説明

充電装置

【課題】充電設備の利用効率を高めることができる充電装置を提供すること。
【解決手段】車両側コネクタ5Bに充電ケーブル12の先端に設けられた充電プラグ11を接続して車両5に搭載されたバッテリ5Aを充電する充電装置1において、充電プラグ11および充電ケーブル12は、車両5側との通信線12Aが設けられ、車両側コネクタ5Bと充電プラグ11とが接続されているときに接続をロック状態にするロック機構14と、接続されているときに通信線12Aを介して車両5から車両ID情報を入手し、予約車両か否かを判定する予約車両判定部24と、予約車両と判定されたときに、ロック機構14により車両側コネクタ5Bと充電プラグ11との結合をロック状態にさせ、予約時間終了時にロック機構14によるロック状態を解除させる充電プラグ制御手段23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は充電装置に関し、さらに詳しくは、電気自動車やレンジエクステンダ式の電動車両の充電設備において、予約管理システムと連動して効率的な充電プラグの受け渡しを可能とする電動車両の充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やレンジエクステンダ式の電動車両の普及に伴って、利用者の利便性や充電施設の稼働率の向上が重要になっている。そこで、充電施設予約システムとしては、充電施設の予約時間と、所望の蓄電量まで充電するために実際に必要となる時間との隔たりを抑制するために、車両の現在位置情報から充電施設に到着するまでに必要な電力を差し引いて、充電設備に到着したときに必要な充電時間を算出して予約を行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。車両から充電施設へ予約を行う方法としては、道路交通情報を用いて充電施設への到着時間を算出して予約を行うことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。充電装置を備えた駐車装置としては、それぞれ車両を載せる複数のパレットに、車両へ給電を行う給電端子(充電プラグ)を備えたものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−230499号公報
【特許文献2】特開2010−230615号公報
【特許文献3】特開2010−261256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、到着予定の充電施設を予約した場合において、予約をしていない車両が不正に施設の充電設備を使用していたり、前使用者が、充電が終了した状態でそのまま車両を放置していたり、充電用の駐車スペースを、充電を行わない車両が使用していたりすることにより、その設備を使用できないことがある。充電設備の稼働率を上げるためには利用者による車両の移動と充電プラグの抜き差しを時間通りに行う必要があり、利用者にとっての利便性が低下するという問題がある。また、上記充電施設予約システムや駐車装置では、充電終了後から予約時間終了までの時間は充電設備が開放されないため、利用者が充電に要する時間の余裕を持たせて予約設定するほど設備稼働率が落ちるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、充電設備の利用効率を高めることができる充電装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様は、車両側コネクタに充電ケーブルの先端に設けられた充電プラグを接続して車両に搭載されたバッテリを充電する充電装置において、充電プラグおよび充電ケーブルは、車両側との通信線が設けられ、車両側コネクタと充電プラグとが接続されているときに車両側コネクタと充電プラグとの結合をロック状態にするロック機構と、車両側コネクタに充電プラグが接続されているときに通信線を介して車両から車両ID情報を入手し、車両ID情報と予約時に入手した予約車両の車両ID情報とを比較して一致するか否かを判定する予約車両判定部と、予約車両判定部により車両が予約車両と判定されたときに、ロック機構により車両側コネクタと充電プラグとの結合をロック状態にさせ、遅くとも予約時間終了時に前記ロック機構によるロック状態を解除させる充電プラグ制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記態様としては、充電プラグ制御手段は、予約時間の終了前に、車両に搭載されたバッテリの充電が完了したときに、前記ロック機構のロック状態を解除させることを特徴とする。
【0008】
上記態様としては、車両側コネクタと充電プラグとの接続を解除する充電プラグ取り外し手段と、充電ケーブルを自動的に巻き取るケーブル巻き取り手段と、を備え、充電プラグ制御手段は、ロック機構を解除したときに、充電プラグ取り外し手段により車両側コネクタと充電プラグとの接続を解除し、充電ケーブル巻き取り手段により充電ケーブルを巻き取らせることを特徴とする。
【0009】
上記態様としては、充電プラグを移動させる充電プラグ移動手段と、充電プラグを車両側コネクタに自動的に挿入する充電プラグ挿入手段と、を備え、充電プラグ制御手段は、予約時間開始時に、充電プラグ移動手段により充電プラグを予約車両の車両側コネクタに接続可能な位置まで移動させ、充電プラグ挿入手段により充電プラグを車両側コネクタに挿入させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、充電設備の利用効率を高めることができる充電装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る充電装置を含む充電システム構成を示す説明図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る充電装置における充電プラグの挿入時のロック動作を示す説明図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る充電装置における充電プラグを取り外す際の動作を示す説明図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態に係る充電装置の充電プラグを手動で移動させる例を示す平面説明図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態に係る充電装置の充電プラグをガイドレールに沿って移動させる例を示す説明図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態に係る充電装置の充電プラグを自動で移動、挿入できる例を示す平面説明図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態に係る充電装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態に係る充電装置を用いた場合の充電施設での予約管理処理が行われた予約スケジュール例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係る充電装置を図面に基づいて説明する。但し、図面は模式的なものであり、各部材の寸法や寸法の比率などは現実のものと異なることに留意すべきである。
【0013】
本実施の形態に係る充電装置は、通信線が設けられた充電プラグおよび充電ケーブルを備え、車両側コネクタと充電プラグとが接続されているときに車両側コネクタと充電プラグとの結合をロック状態にするロック機構と、車両側コネクタに充電プラグが接続されているときに通信線を介して車両から車両ID情報を入手し、車両ID情報と予約時に入手した予約車両の車両ID情報とを比較して一致するか否かを判定する予約車両判定部と、予約車両判定部により車両が予約車両と判定されたときに、ロック機構により車両側コネクタと充電プラグとの結合をロック状態にさせ、予約時間終了時にロック機構によるロック状態を解除させる充電プラグ制御手段と、を備えることを特徴とする。このような構成に基づいて、本実施の形態に係る充電装置では、充電設備の利用効率を高めることを可能にしている。
【0014】
(充電システムの概略構成)
以下に、本発明の実施の形態に係る充電装置を含む充電システムの概略を説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る充電装置1を含む充電システム構成の例を示している。図1に示すように、この充電システムは、充電装置1を備える充電施設2、インターネットなどの通信網3、通信処理装置4、車両5に搭載されて車載予約端末5C、携帯電話6、通信ネットワークパソコン7などで構築される。
【0015】
充電装置1を利用する車両5は、図1に示すように、例えばリチウム電池などのバッテリ(二次電池)5Aを搭載し、車両側コネクタ5Bを備える電気自動車やレンジエクステンダ式の電動車両である。また、この車両5は、CAN通信のラインが車両側コネクタ5Bを介して充電装置1側と接続されるようになっている。
【0016】
充電施設2は、充電装置1と、予約管理処理部21と、を備える。予約管理処理部21は、例えば、車載予約端末5C、携帯電話6、通信ネットワークパソコン7、充電施設2に設置された図示しない予約端末などを介して予約データが入力され、予約データに基づいて充電装置1毎のスケジュール作成処理を行うようになっている。また、予約管理処理部21は、充電装置1から入力される使用状況データに基づいてスケジュールの更新処理も行うようになっている。
【0017】
(充電装置の構成)
図1に示すように、充電装置1は、充電プラグ11と、充電ケーブル12と、ケーブル巻き取り手段としてのケーブル巻き取り装置13と、制御部22と、を備える。この充電装置1は、制御部22を介して充電施設2の予約管理処理部21と接続されている。
【0018】
充電プラグ11は、本体の先端面に、車両5の車両側コネクタ5Bに接続される接続端子11Aが設けられている。また、充電プラグ11の上部には、ロック機構14が設けられている。充電プラグ11の先端面の中央には、充電プラグ取り外し手段としてのプラグ取り外しピン15が設けられている。この充電プラグ11は、充電ケーブル12の先端に接続されている。なお、充電プラグ11および充電ケーブル12には、車両側コネクタ5Bを介して車両側と通信可能な通信線12Aが設けられている。
【0019】
図2および図3に示すように、ロック機構14は、ロックアーム14Aとロックアーム作動部14Bとを備えている。ロックアーム14Aの一方の端部(先端部)は、屈曲した係合部14Dとなっている。ロックアーム14Aの他方の端部(基部)は、プラグ本体に揺動可能になるように支持部14Cで支持されている。係合部14Dは、車両5の車両側コネクタ5Bに充電プラグ11が接続されているときに車両側コネクタ5Bに係合して接続をロック状態するように設定されている。
【0020】
なお、本実施の形態では、ロックアーム14Aは、係合部14Dがロック状態となる位置へ向けて、図示しないバネ部材で付勢されている。そして、ロックアーム作動部14Bを作動させることにより、係合部14Dをロック状態から非ロック状態に解除できるようになっている。
【0021】
図3に示すように、プラグ取り外しピン15は、図示しない駆動部によりプラグ11の先端面より軸方向に進退可能となっている。なお、プラグ取り外しピン15は、充電プラグ11が車両側コネクタ5Bに接続されたときに引っ込んだ状態に設定され、充電プラグ11を車両側コネクタ5Bから取り外すときに突出させることで、車両側コネクタ5Bと充電プラグ11とを離間させて非接続状態にさせるようになっている。なお、上記ロック機構14およびプラグ取り外しピン15の駆動およびタイミングは、制御部22により制御されるようになっている。
【0022】
図1〜3に示すように、上記ケーブル巻き取り装置13は、ドラム状の巻き取り装置であり、図示しない回転駆動部を備えている。なお、図4および図5は、ケーブル巻き取り装置13を省略して示している。このケーブル巻き取り装置13に巻き取られる充電ケーブル12の基端部は、充電スタンド16に接続されている。そして、ケーブル巻き取り装置13の駆動およびタイミングは、充電スタンド16に設けられた制御部22により制御されるようになっている。
【0023】
なお、本実施の形態では、図4に示すように、少なくとも2つの駐車スペースA,Bに充電プラグ11が届くような長さの充電ケーブル12としてもよい。また、本実施の形態では、図5に示すように、複数の駐車スペースの上方に複数の駐車スペースを横断するように、充電プラグ移動手段としてのガイドレール17を充電スタンド16に架設し、図示しないケーブル巻き取り装置13と共に充電ケーブル12および充電プラグ11がガイドレール17に沿って各駐車スペースへ移動できるようにしてもよい。
【0024】
さらに、本実施の形態に係る充電プラグ11は、充電スタンド16に架設されたガイドレール17に対して、図6に示すような、充電プラグ挿入手段としてのプラグ挿入用アーム18を設けてもよい。プラグ挿入用アーム18は、ガイドレール17に対して直角をなすように設定されている。また、プラグ挿入用アーム18は、ガイドレール17に沿ってx1方向およびその反対方向に移動可能である。
【0025】
また、このプラグ挿入用アーム18は、ガイドレール17側に設けられた第1アーム18Aと、この第1アーム18A内に嵌合され軸方向(図中y方向)に往復移動可能な第2アーム18Bと、を備える。この第2アーム18Bは、第1アーム18Aに対する突出長さが制御部22で制御されるようになっている。また、プラグ挿入用アーム18は、図示しない駆動部により、ガイドレール17を中心として回転可能に駆動されるようになっている。また、第2アーム18Bの先端に設けられた充電プラグ11は、対応する車両側コネクタ5Bに適正に対向するように回転制御されるようになっている。なお、充電プラグ11の回転制御は、図示しない位置センサによる車両側コネクタ5B側の位置検出結果に基づいて、制御部22で位置合わせ制御を行うようになっている。
【0026】
制御部22は、充電プラグ制御手段23と予約車両判定部24とを備えている。予約車両判定部24は、充電施設2の予約管理処理部21に入力されている予約時の車両ID情報と、充電プラグ11および充電ケーブル12を介して得られる車両5のID情報とを比較して一致するか否かを判定するようになっている。
【0027】
充電プラグ制御手段23は、ロック機構14、プラグ取り外しピン15、ケーブル巻き取り装置13、プラグ挿入用アーム18、充電プラグ11の回転駆動部(不図示)などの駆動および駆動タイミングを制御するようになっている。
【0028】
以上、本実施の形態に係る充電装置1の構成について説明したが、次に、充電装置1において実行される制御方法および動作について図7のフローチャートを用いて説明する。なお、本実施の形態では、図4〜6に示した構成を有する複数の駐車スペースに対応して制御が行われるように設定されている。
【0029】
まず、制御部22では、充電開始条件成立か否かを判定する(ステップS1)。ここで、充電開始条件が成立している場合は、充電を行う車両が配置される駐車スペースに充電プラグ11を移動させるプラグ移動機構があるか否かの判定を行う(ステップS2)。ステップS2において、プラグ移動機構、すなわち、図6に示すようなガイドレール17を備えて充電プラグ11を車両側コネクタ5Bに向けて移動させて自動接続させる機構がある場合は、充電プラグ11を車両側コネクタ5Bに自動接続可能とする(ステップS3)。なお、このとき、駐車スペースに車両があるなしに拘わらず、充電プラグ11のロックアーム14Aは非ロック状態に位置するように設定されている。このため、ロックアーム14Aが接続の際に車両側コネクタ5Bに干渉することを防止できる。
【0030】
次に、駐車スペース位置に車両5があるか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4において、車両5が駐車スペースに配置されている場合は、予約車両か否かを判定する(ステップS5)。なお、この判定は、充電プラグ11と車両側コネクタ5Bとの接続によって、車両5側からCAN通信により得られた車両ID情報と、充電施設2の予約管理処理部21に入力された予約車両ID情報と、に基づいて、予約車両判定部24にてこれら情報を比較して行う。
【0031】
上記ステップS5において、駐車スペースに駐車された車両5が予約車両であると判定された後は、図2に示すように、ロックアーム14Aを非ロック状態からロック状態となるように、ロックアーム作動部14Bを作動させる。なお、このロックアーム作動部14Bの制御は、充電プラグ制御手段23で行ってロックアーム14Aで車両側コネクタ5Bと充電プラグ11との接続をロックする(ステップS6)。
【0032】
ステップS6においてロックアーム14Aによるロックが施された後は、充電スタンド16から電力供給を行って充電を開始する(ステップS7)。その後、充電が終了したか否かを判定する(ステップS8)。本実施の形態では、車両5のバッテリ5Aの情報を、CAN通信によりバッテリ5Aの情報を入手するように設定しているが、充電装置1側で充電電流を検出するなどの手法によりバッテリ5Aの充電が完了したか(満充電状態か)の判定するようにしても勿論よい。
【0033】
ステップS8において、充電終了条件が成立しない場合は、ステップS7に戻って充電を継続する。ステップS8において、充電終了条件が成立した場合は、充電プラグ制御手段23により、ロック機構14のロック状態を解除する制御を行った後、プラグ取り外しピン15を押し出す制御を行う(ステップS9)。具体的には、このステップS9において、充電プラグ制御手段23が、ロックアーム作動部14Bを作動させてロックアーム14Aが充電プラグ11と車両側コネクタ5Bとの係合を解除した後、この状態を保ったまま図示しない駆動部を作動させてプラグ取り外しピン15が充電プラグ11の先端面から突出するように制御する。
【0034】
次に、充電プラグ11を車両側コネクタ5Bから後退させて分離させる機構(プラグ挿入用アーム18)、および充電スタンド16の配置されたホーム位置に移動させる機構(ガイドレール17等)があるか否かの判定を行う(ステップS10)。ステップS10において、これらプラグ分離・移動機構があると判定された場合は、充電プラグ11を車両側コネクタ5Bから分離した後、プラグ挿入用アーム18を回動させて車両5に干渉しない位置まで回転移動させた後、ガイドレール17に沿ってホーム位置への移動を開始させると同時に、ケーブル巻き取り装置13を作動させて充電ケーブル12の巻き取りを行う(ステップS11)。
【0035】
ステップS11にて、充電プラグ11をホーム位置に移動させた後は、充電スタンド16に設けた図示しない表示装置に充電終了の表示を行わせ、充電施設2の予約管理処理部21へ使用状況データとして充電終了情報を出力する。これに伴い、充電施設2の予約管理処理部21では、予約スケジュールの更新処理を行う。また、予約管理部21は、インターネットなどの通信網3を介して、車載予約端末5C、携帯電話6、通信ネットワークパソコン7などのユーザに指定された機器に充電終了通知を出力する(ステップS12)。このようにして、図6に示すような自動で充電プラグ11の挿入、取り外しを行い、ロック機構14により接続のロック機能を有し、プラグ挿入用アーム18で移動が可能な設備での充電処理を行うことができる。
【0036】
しかし、図6に示すような設備でない場合、例えば図4や図5に示すように充電プラグ11を手動で操作する場合は、上記ステップS2において、プラグ移動機構がないと判定される。そして、この場合は、充電可能通知を行う(ステップS13)。その後、充電プラグ11が車両側コネクタ5Bに接続されたことが確認されるまで待機して(ステップS14)、ステップS5の予約車両である否かの判定が行われる。
【0037】
このステップS5において、予約車両でないと判定された場合は、予約確認が行われ(S15)、その後、予約再設定するか、繰り上げ充電を行う(ステップS16)。そして、この時点で予約なしの充電か否かの判定を行う(ステップS17)。ステップS17で予約なしではない判定、すなわち予約ありとの判定された場合は、次に上記ステップS6を行う。
【0038】
ステップS17で予約なしの充電と判定された場合は、充電プラグ制御手段23は、車両側コネクタ5Bと充電プラグ11とをロックしない状態で接続して、ステップ7の充電を行うことになる。
【0039】
上記ステップS10において、プラグ分離・移動機構がないと判定された場合は、充電プラグ11が車両側コネクタ5B側から手動で分離されることが確認し(ステップS18)、その後、ステップS12の通知を行う。なお、充電プラグ11が車両側コネクタ5Bから分離された情報は、通信線12Aを介して充電プラグ制御手段23に入力される。この情報に基づき、充電プラグ制御手段23は、充電スタンド16および予約管理処理部21へ充電終了の通知を行う。
【0040】
本実施の形態に係る充電装置1を用いて、例えば、図4に示すような駐車スペースA,Bを効率よく利用しようとする場合について、図8に示すような予約スケジュールを用いて説明する。なお、図4に示す駐車スペースA,Bは、充電スタンド16が一機配置されている。この駐車スペースA,Bでは、この充電スタンド16の1つの充電プラグ11を異なる時間帯で使い分けるようになっている。
【0041】
図8に示すように、T1の予約時間帯は、車両IDがAAAAの車両5が、図4の駐車スペースAに予約されている時間帯である。この予約時間帯T1において、IDがAAAAの車両5が満充電となった時点で利用を終了させた場合、予約残り時間R1を、次に充電装置1を予約して駐車スペースBに駐車している車両IDがBBBBの車両5が予約を繰り上げて使用することも可能となる。したがって、この場合は、時間R1だけ充電装置1が使われない状態となることを回避できる。また、この残り時間R1だけ、予約なしの車両の充電が(もしくは予約を入れることも)可能となる。なお、予約なしの車両5の充電の場合は、ロック機構14でのロックは行わずに、所定の時間後に充電が停止したときに、予約した車両5へ充電プラグ11を移動させることが可能となっている。
【0042】
また、図8に示すT2の予約時間帯のように、駐車スペースBで待機していた車両IDがBBBBの車両5が予約時間開始後に充電プラグ11が車両側コネクタ5Bに接続されたことを検出すると、予約車両の判別を行った後、ロック機構14をロック状態として充電を開始する。そして、満充電となった時点または予約時間終了または充電がキャンセルされた場合に、予約管理処理部21ではスケジュール上の予約状況のデータを更新する。
【0043】
また、図8のT3の予約時間帯のように、予約時刻になっても車両5が充電を行わなかったり、予約終了時刻よりも前に充電が終了したりする場合は、次の駐車スペースAの予約時間帯までは駐車可能として、駐車料金の設定などと組み合わせて車両5の放置を回避するようにしてもよい。
【0044】
このようなスケジュール管理を行うことにより、充電予約時間の終了前に、車両に搭載されたバッテリの充電が完了したときに、ロック機構14により満充電の状態までは、予約車両を優先的に充電させることができるとともに、予約時間のあまり時間を次の予約車両の繰り上げ予約可能にすることや、予約なしの車両に開放して、充電させることが可能となる。また、前使用者の車両5が充電終了後に車両放置されていても、ロック機構14が解除されていれば、予約なしの車両の駐車スペースに充電プラグ11を移動させることが可能である。このため、充電装置1の空き時間を減少させ、設備稼働率を向上させることができる。なお、本実施の形態のように、充電終了後に充電プラグ11をホーム位置へ移動させるようにすれば、前使用者の充電終了を明白にすることができる。
【0045】
本実施の形態では、図6のようなプラグ挿入用アーム18を備える構成として、自動で充電プラグ11の挿入、取り外し、移動を行える構成とすることにより、前使用者の車両5に触れる必要がなくなり、使用者間のトラブルを減少することができる。そして、図5に示すように、ガイドレール17を備えてプラグ挿入用アーム18を複数の駐車スペースに亘って移動可能とすることにより、予め充電したい車両5を駐車スペースに駐車しておけば、充電開始時間に使用者が近くに居なくても車両5への充電を実施することが可能となる。
【0046】
本実施の形態に係る充電装置1では、予約なし者の充電装置1や駐車スペースの不正使用を回避でき、予約時間内において予約者が安心して使用することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、図4に示すように、充電開始、終了時のロック機構14のロック動作、解除動作のみで充電終了後は充電プラグ11の挿し替えは手動による構成と、充電終了後は自動でホーム位置に移動する構成と、充電終了後は自動で充電プラグ11を取り外し、次の予約があれば次の予約車両が駐車された駐車スペースへ移動して自動で接続を行い、次の予約がなければホーム位置に自動で移動する構成と、を含むものであり、いずれの構成の充電装置1においても設備稼働率の向上を図ることができる。本実施の形態では、少なくとも、ロック機構14の解除は、充電プラグ制御手段23により自動化されることが好ましい。
【0048】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、この実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0049】
例えば、上記実施の形態では、ロック機構14をロックアーム14Aとロックアーム作動部14Bとで構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、電磁式のロック機構を用いてもよく、充電プラグ11と車両側コネクタ5Bとの接続を実質的にロック状態、非ロック状態にできる構成であればよい。
【0050】
また、上記実施の形態では、充電プラグ挿入手段として、プラグ挿入用アーム18を用いて充電プラグ11の移動、挿入、取り外しを自動制御にしているが、これに限定されるものではなく、各種の移動手段を適用できることは云うまでもない。
【0051】
さらに、上記実施の形態では、充電プラグ取り外し手段として、プラグ取り外しピン15を充電プラグ11の先端面に設けたが、車両側コネクタ5Bから充電プラグ11を取り外す方向へ充電プラグ11を付勢する機構であればこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0052】
1 充電装置
2 充電施設
3 通信網
4 通信処理装置
5 車両
5A バッテリ
5B 車両側コネクタ
5C 車載予約端末
6 携帯電話
7 通信ネットワークパソコン
11 充電プラグ
12 充電ケーブル
12A 通信線
13 ケーブル巻き取り装置(ケーブル巻き取り手段)
14 ロック機構
14A ロックアーム
14B ロックアーム作動部
15 プラグ取り外しピン(充電プラグ取り外し手段)
16 充電スタンド
17 ガイドレール(充電プラグ移動手段)
18 プラグ挿入用アーム(充電プラグ挿入手段)
18A 第1アーム
18B 第2アーム
21 予約管理処理部
22 制御部
23 充電プラグ制御手段
24 予約車両判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側コネクタに充電ケーブルの先端に設けられた充電プラグを接続して車両に搭載されたバッテリを充電する充電装置において、
前記充電プラグおよび前記充電ケーブルは、車両側との通信線が設けられ、
前記車両側コネクタと前記充電プラグとが接続されているときに前記車両側コネクタと前記充電プラグとの結合をロック状態にするロック機構と、
前記車両側コネクタに前記充電プラグが接続されているときに前記通信線を介して車両から車両ID情報を入手し、当該車両ID情報と予約時に入手した予約車両の車両ID情報とを比較して一致するか否かを判定する予約車両判定部と、
予約車両判定部により車両が予約車両と判定されたときに、前記ロック機構により前記車両側コネクタと前記充電プラグとの結合をロック状態にさせ、遅くとも予約時間終了時に前記ロック機構によるロック状態を解除させる充電プラグ制御手段と、
を備えることを特徴とする充電装置。
【請求項2】
前記充電プラグ制御手段は、予約時間の終了前に、車両に搭載されたバッテリの充電が完了したときに、前記ロック機構のロック状態を解除させることを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記車両側コネクタと前記充電プラグとの接続を解除する充電プラグ取り外し手段と、
前記充電ケーブルを自動的に巻き取るケーブル巻き取り手段と、
を備え、
前記充電プラグ制御手段は、
前記ロック機構を解除したときに、前記充電プラグ取り外し手段により前記車両側コネクタと前記充電プラグとの接続を解除し、前記充電ケーブル巻き取り手段により前記充電ケーブルを巻き取らせることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の充電装置。
【請求項4】
前記充電プラグを移動させる充電プラグ移動手段と、
前記充電プラグを前記車両側コネクタに自動的に挿入する充電プラグ挿入手段と、
を備え、
前記充電プラグ制御手段は、
予約時間開始時に、前記充電プラグ移動手段により充電プラグを予約車両の前記車両側コネクタに接続可能な位置まで移動させ、前記充電プラグ挿入手段により前記充電プラグを前記車両側コネクタに挿入させることを特徴とする請求項3に記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−106391(P2013−106391A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247188(P2011−247188)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】