説明

充電装置

【課題】充電待ち時間を短縮することができる充電装置を提供する。
【解決手段】車両300に接続され、車両300に含まれるバッテリを充電する充電器1を備えた充電装置100において、充電器1を用いて充電中の第1車両以外の第2車両から、第1車両の充電終了後に充電器1を用いて充電するための充電予約を受け付ける充電予約受付手段と、充電予約受付手段による充電予約の受付状態に応じて、第1車両の充電時間及び第2車両の充電時間を設定する充電時間設定手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駐車場に設置されるとともに、駆動力源として電動機を用いる車両の走行用バッテリへ電力を供給して充電を行う車両用充電装置であって、広告を提示させるためのデータである広告データを格納する広告データ格納部と、前記広告データ格納部に格納されている広告データを前記車両へ送信する広告データ送信部と、を備え、前記広告データ送信部から前記車両への前記広告データの送信が完了した後に、前記走行用バッテリへの充電を行い、前記走行用バッテリが満充電になるまで充電を行う車両用充電装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−114988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来では、走行用バッテリの空容量に応じて充電時間が決まり、車両用充電装置で既に充電している車両がいて、複数の車両が充電を待っている状態では、当該複数の車両は先に充電している車両のバッテリが満充電になるまで、充電を開始することができないため、充電待ち時間が長くなるという問題があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、充電待ち時間を短縮することができる充電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、充電器を用いて充電中の第1車両以外の第2車両から、第1車両の充電終了後に充電器を用いて充電するための充電予約を受け付ける充電予約受付手段と、充電予約受付手段による前記充電予約の受付状態に応じて、第1車両の充電時間及び第2車両の充電時間を設定する充電時間設定手段とを備えることによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、充電予約の有無に応じて、充電を待っている車両があるか否かを判別した上で、充電時間が調整されるため、充電待ち時間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る充電装置を含む充電システムの概要図である。
【図2】図1の充電装置のブロック図である。
【図3】図2の充電装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図4】図3の充電時間の設定制御の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第1実施形態》
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る充電装置を含む充電システムの概要図である。図2は本例の充電装置のブロック図である。本例の充電システムは、例えばショッピングモールの駐車場や、電気自動車のカーシェアリングサービスを提供している施設の駐車場や、電気自動車を社用車として利用している会社の駐車場などに設けられる。
【0011】
本例における充電システムは、図1に示すように、車両300の走行用バッテリ(不図示)を充電し、充電装置100を備えている。なお、本実施形態における車両300は、動力源としてのモータジェネレータと、当該モータジェネレータに対して充放電を行う走行等バッテリと、を有する車両であり、例えば、電気自動車やプラグインタイプのハイブリッドカー等を例示することができる。
【0012】
充電装置100の表面にはタッチパネルである操作パネル2が設けられている。例えば、充電操作を行う充電操作者(例えばドライバ等)は、車両300のバッテリの充電に際して、操作パネル2に表示される案内に従って、当該操作パネル2上のボタンにタッチすることで、充電の開始及び充電の終了等の充電制御のための操作を行うことができる。また、車両300の充電中に、他の車両から充電の予約を受けるための案内画面が操作パネル2に表示され、充電予約の希望者が操作パネルに表示されるボタンにタッチすることで、充電の予約を行うことができる。
【0013】
充電装置100は、車両300に電力を供給することで、車両300の走行用バッテリを充電する充電スタンドである。この充電装置100は、商用交流電源200の交流電力を直流電力に変換し、これを所定の電圧に昇圧する電力変換器を備えた充電器1が内蔵されており、この充電器1で変換された直流電流を、充電ケーブル101を介して車両300のバッテリに供給する。
【0014】
図1に示すように、この充電ケーブル101の先端には充電コネクタ102が取り付けられており、充電操作者が、当該充電コネクタ102を車両300の給電インレット301に装着することで、充電ケーブル101を介して充電装置100と車両300のバッテリとが電気的に接続される。
【0015】
図2に示すように、充電装置100は、充電器1と、操作パネル2と、温度センサ3と、制御部10とを備えている。充電装置100は、交流電源200に接続されている。また充電装置100の電力の出力側には、充電コネクタ102が充電ケーブル101を介して接続されている。
【0016】
充電器1は、インバータ等を有し、車両300のバッテリを充電するための充電回路である。充電器1は、制御部10からの制御信号に基づき制御され、交流電源200から供給される交流電力を、走行用のバッテリを充電するために適した電力に変換して、当該電力を車両300のバッテリに供給することで、バッテリを充電する。操作パネル2は、充電措置100の表面に設けられるタッチパネルであり、充電を開始する旨のボタン及び充電を終了する旨のボタン、及び、案内画面等を表示する。そして、充電操作者が当該ボタンに触れると、操作パネル2はボタンに応じた信号、例えば充電を開始するための操作信号、あるいは、充電を終了するための操作信号を、制御部10に送信する。
【0017】
温度センサ3は、充電装置100が設定された環境の環境温度(周囲温度)を検出するためのセンサである。
【0018】
制御部10は、充電予約受付部11と充電時間設定部12とを有している。制御部10は、充電器1、操作パネル2及び温度センサ3を制御するためのコントローラであり、充電装置100の全体を制御する。充電予約受付部11は、充電器1を用いて充電中の車両300以外の車両から、充電中の車両の充電終了後に同じ充電器1を用いて充電するための充電予約を受け付ける。充電時間設定部12は、車両300のバッテリの充電時間、言い換えると、充電器1から当該バッテリに電力を供給している時間を設定する。充電時間設定部12は、後述するように、充電予約受付部11による充電予約の受付状態に応じて、充電時間を設定する。
【0019】
次に、図1及び図2を用いて、本例の充電装置100の制御について説明する。まず、充電器1の充電制御について説明する。
【0020】
本例の充電装置100には、充電時間の最大時間(Tmax)が予め決まっており、原則として、1回の充電あたりの電力の供給時間が最大充電時間(Tmax)を越えることはない。そして、充電装置100は、後述するように充電時間設定部12で設定される充電時間でバッテリを充電し、バッテリの充電を開始した時点から当該充電時間に達した時点、あるいは、バッテリの充電容量が満充電に達した時点で、充電を終了させる。
【0021】
車両300が充電コネクタ102に接続され、充電操作者により、操作パネル2に表示される充電開始のボタンが押されると、制御部10は充電器1を制御し、充電時間設定部12で設定された充電時間で充電を開始する。制御部10は、バッテリの充電中、バッテリの容量を監視している。そして、制御部10は、設定された充電時間に達する前に、バッテリの容量が満充電に達した場合には、充電を終了させる。また、制御部10は、バッテリの容量が満充電に達していない状態であっても、例えば充電操作者により充電を強制的に終了させる操作が行われた場合にも、充電を終了させる。
【0022】
一方、バッテリの容量が満充電に達する前に、充電開示時刻からの経過時間が充電時間に達した場合には、制御部10は充電を終了させる。制御部10は、充電を終了させた場合には、充電装置100のディスプレイに充電を終了させたことを表示する。
【0023】
次に、充電予約受付部11による充電予約の制御について説明する。本例では、充電装置100で充電するために、待っている車両がいるか否かを判別するために、予約を受け入れるシステムを搭載している。
【0024】
充電予約受付部11は、操作パネル2を制御して、ユーザからの充電予約を受け付けるための表示画面を表示する。例えば、充電装置100により車両300を充電している時に、充電予約受付部11は操作パネル2に充電予約を受け付ける旨のボタンを表示する。そして、ユーザが当該ボタンに触れることで、充電予約がされた旨の信号が操作パネル2から充電予約受付部11に送信され、充電予約受付部11は当該信号に基づいて予約を受け入れ、充電予約がされた状態となる。
【0025】
本例では、充電予約を受け入れられる車両数を限定しており、例えば1台に限定している。そのため、充電予約がされた場合には、充電予約受付部11は、予約が埋まっている旨を操作パネル2に表示し、充電予約を受け付ける旨のボタンを表示しない。また、充電装置100で充電が行われおらず、充電予約を受け付ける必要が無い場合には、充電予約受付部11は、充電予約を受ける旨のボタンを表示しない。
【0026】
すなわち、例えば、充電装置100により、3台の車両が順番に充電を行う場合であって、1番目の車両の充電中に2番目の車両の充電操作者が充電予約を受け付ける旨のボタンに触れると、充電予約受付部12は2番目の車両からの充電予約を受け入れて、2番目の車両の充電予約が確定する。1番目の車両の充電中には、充電予約受付部11は、2番目の車両以外の車両からの充電予約を受け付けないため、3番目の車両は1番目の車両の充電が終わるまで、充電予約を行うことができない。そして、1番目の充電を終えると、充電予約を受け付けるための枠が空くため、3番目の車両は充電予約を行うことができる。
【0027】
制御部10は、充電予約受付部11により充電予約がされた場合には、充電を待っている車両があると判断し、充電予約受付部11により充電予約がされていない場合には、充電を待っている車両がいないと判断する。そして制御部10は、充電車両の状態、及び、充電予約の有無の状態を示すためのフラグを設定する。
【0028】
まず、充電装置100が使用されておらず、充電車両及び充電予約車両がない状態、言い換えると、本例の充電制御の初期状態では、制御部10はフラグを「0」に設定する。充電器1により車両300が充電中で、充電予約受付部11により充電予約がされていない場合には、制御部10はフラグを「1」に設定する。充電器1により車両300が充電中で、充電予約受付部11により充電予約がされている場合には、制御部10はフラグを「2」に設定する。
【0029】
充電予約受付部11により充電予約がされた後に、この充電予約をした車両が充電中である場合には、制御部10はフラグを「3」に設定する。充電予約をした車両が充電中で、充電予約受付部11により充電予約がされていない場合には、制御部10はフラグを「4」に設定する。充電予約をした車両が充電中で、充電予約受付部11により充電予約がされた場合には、制御部10はフラグを「5」に設定する。
【0030】
次に、充電時間設定部12の制御について説明する。充電時間設定部12には、充電予約の受付状態に応じて、充電時間を調整するための係数(比率)(R)が設定されている。係数(R)は1より小さい値である。充電時間設定部12は、充電時間を最大充電時間(Tmax)より短い時間に設定する場合には、最大充電時間(Tmax)に係数(R)を乗ずる。一方、充電時間を最大充電時間(Tmax)より短い時間に設定しない場合には、充電時間設定部12は、係数(R)を用いることなく、最大充電時間(Tmax)を充電時間とする。
【0031】
充電時間設定部12が充電時間を短く設定する具体例を説明する。充電予約を行っていない車両の充電中に、他車両から充電予約が入った場合には、充電時間設定部12は、充電予約が入る直前の残りの充電時間より短い時間に設定する。これにより、本例は、先に充電を行っていた車両の充電終了時刻を早めることで、充電予約をした車両の充電開始時刻を早めることができ、当該車両の充電の待ち時間を短くすることができる。
【0032】
充電予約を行った車両を充電する場合には、充電時間設定部12は充電時間を最大充電時間(Tmax)より短い時間に設定する。充電予約がされている場合には、充電装置100を利用するための車両渋滞が発生している可能性があり、充電予約を行った車両以外の車両が充電待ちをしているおそれがある。そのため、本例では、充電予約を行った車両を充電する際にも、充電時間を短くすることで、充電の待ち時間を短縮化する。
【0033】
また、充電時間設定部12には、充電時間の下限値として、充電器1の最小充電時間(Tmin)が設定されている。上記のように、車両の充電中に充電予約がされた場合には、残りの充電時間が短くなる場合がある。しかし、例えば設定された充電時間の終了時刻の間際に充電予約がされた場合に、残りの充電時間が短い状態にもかわらず、係数(R)を乗じて、さらに残りの充電時間を短くしても、充電終了時刻を十分に早めることできない。
【0034】
そのため、充電時間設定部12は、残りの充電時間に係数(R)を乗じることで算出した算出時間と、最小充電時間(Tmin)とを比較して、算出時間が最小充電時間(Tmin)以下である場合には、充電時間を短くしない。一方、算出時間が最小充電時間(Tmin)より長い場合には、充電時間設定部12は、残りの充電時間に係数(R)を乗じて、残りの充電時間を短くする。これにより、充電の残り時間が短く、充電時間を短縮化しても大して充電終了時間を早めることができない場合には、充電時間設定部12は、充電時間を最小充電時間(Tmin)より短くすることを禁止する。
【0035】
また充電時間設定部12は、充電予約をした車両を充電中に、他車両から充電予約がされた場合には、当該充電予約をした車両の充電時間を短くすることを禁止する。例えば、充電装置100により、3台の車両が順番に充電を行う場合であり、順に充電予約をしている場合には、1番目の車両の充電が終わり2番目の車両を充電する際に、充電時間設定部12は、2番目の車両の充電時間を最大充電時間(Tmax)に係数(R)を乗じた時間とする。そして、2番目の車両の充電中に3番目の車両から充電予約がされた場合には、2番目の車両の充電時間をさらに短くすると、2番目の車両の充電時間を十分に確保することができず、2番目の車両のバッテリが十分に充電されないおそれがある。そのため、充電時間設定部12は、充電予約をした車両の充電中に、他車両から充電予約がされた場合には、充電予約をした車両の充電時間を短くすることを禁止する。
【0036】
以下、車両300の充電予約の受付状態を場合分けした上で、制御部10における制御内容を説明する。まず、充電予約していない車両の充電制御であって、充電中に他車両からの充電予約がない場合(通常の充電制御)について説明する。制御部10は、初期状態でフラグを「0」に設定しており、操作パネル2から充電を開始する旨の信号を受信すると、フラグ「1」に設定する。また、充電時間設定部12は、最大充電時間(Tmax)を充電時間に設定する。制御部10は、バッテリの充電状態(SOC)を管理しつつ、設定された最大充電時間(Tmax)で充電を開始する。そして、制御部10は、充電開始時刻からの経過時間が最大充電時間(Tmax)に達した時点、または、バッテリが満充電に達した時点で、充電を終了する。
【0037】
次に、充電予約していない1番目の車両の充電制御であって、充電中に他車両である2番目の車両からの充電予約があった場合について説明する。充電開始から充電予約が入るまでは、上記の通常の充電制御と同じであるため、制御部10はフラグを「1」に設定し、充電時間設定部12は最大充電時間(Tmax)を充電時間に設定し、充電制御が行われる。そして、充電の途中に、制御部10は操作パネル2から充電を予約する旨の信号を受信すると、充電予約受付部11は当該信号に基づき充電予約を受け付けて、充電予約が完了した状態となる。
【0038】
充電中の車両は、充電予約をしていない車両であるため、残りの充電時間の長さに応じて、充電時間を短縮する。制御部10は、充電予約受付部11により、充電予約がされたことを検出すると、充電時間設定部12により、残りの充電時間に係数(R)を乗じた算出時間と、最小充電時間(Tmin)とを比較する。算出時間が最小充電時間(Tmin)より長い場合には、充電時間設定部12は算出時間を残りの充電時間に設定し、制御部10は充電制御を行う。一方、算出時間が最小充電時間(Tmin)以下である場合には、充電時間設定部12は充電時間を変更せず、制御部10は充電制御を行う。
【0039】
また充電予約受付部11が充電予約を受け付けると、充電予約の受付状態が変わるため、制御部10はフラグを「1」から「2」に変更する。そして、充電予約をした車両は充電時に、充電時間が最大充電時間(Tmax)より短い時間で充電される。そのため、充電予約をした車両であることを、2番目の車両の充電制御時に充電予約の状態を識別させるよう、制御部10はフラグを「2」から「3」に変更する。
【0040】
次に、充電予約をした車両の充電制御であって、充電中に他車両からの充電予約がない場合について説明する。充電予約をした車両を充電する際には、制御部10はフラグを「3」からフラグ「4」に変更し、充電時間設定部12は当該フラグの状態に基づいて、最大充電時間(Tmax)に係数(R)を乗じて充電時間を短くする。そして、制御部10は、充電開始時刻からの経過時間が設定された充電時間に達した時点、または、バッテリが満充電に達した時点で、充電を終了する。
【0041】
次に、充電予約をした1番目の車両の充電制御であって、充電中に他車両である2番目の車両からの充電予約があった場合について説明する。充電開始から2番目の車両からの充電予約が入るまでは、上記の充電予約をした車両の充電制御と同じであるため、制御部10は、フラグを「3」からフラグ「4」に変更し、最大充電時間(Tmax)に係数(R)を乗じた時間を充電時間として、バッテリを充電する。充電の途中に、制御部10は操作パネル2から充電を予約する旨の信号を受信すると、1番目の車両の充電時間は既に短くなっているため、充電時間設定部12は当該充電時間より短くしない。
【0042】
充電予約受付部11が充電予約を受け付けると、充電予約の受付状態が変わるため、制御部10はフラグを「4」からフラグ「5」に変更する。そして、充電予約をした2番目の車両は充電時に、充電時間が最大充電時間(Tmax)より短い時間で充電される。そのため、充電予約をした車両であることを、2番目の車両の充電制御時に充電予約の状態を識別させるよう、制御部10はフラグを「5」から「3」に変更する。
【0043】
上記のように、制御部10は充電予約受付部11の充電予約の受付状態に応じて、充電時間を設定し、充電器1を制御する。また、以下に掲げるように、充電時間設定部12は、温度センサ3の検出温度に応じて充電時間を設定し、制御部10は当該充電時間により充電器1を制御する。
【0044】
例えば寒冷地の深夜の時間帯等、充電装置100が設定された環境の温度が低い場合には、バッテリへの充電効率が昼間と比べて低下する場合がある。そして、温度センサ3は、充電装置100の外部温度を検出しているため、充電時間設定部12は、温度センサ3の検出温度に応じて、充電時間を調整するための温度係数(α)を設定し、最大充電時間(Tmax)に温度係数(α)を乗ずることで、充電時間を設定する。なお、温度係数(α)は1より大きい値である。
【0045】
制御部10には、充電時間を変更するか否かを判断するための閾値温度が予め設定されている。閾値温度は、充電装置100が設定される環境、環境温度に対する充電効率等に基づいて予め設定される閾値である。そして制御部10は、温度センサ3の検出温度と閾値温度とを比較する。制御部10は、検出温度が閾値温度より高い場合には、充電装置100の環境温度が高く、充電時間を長くする必要はないと判断し、充電時間設定部12において、温度係数(α)を最大充電時間(Tmax)に乗じないよう制御する。一方、制御部10は、検出温度が閾値温度より低い場合には、充電装置100の環境温度が低く、充電時間を長くする必要があると判断し、充電時間設定部12において、温度係数(α)を最大充電時間(Tmax)に乗じて、充電時間を長くするよう制御する。
【0046】
これにより、寒冷地の深夜の時間帯等で、温度センサの検出温度が閾値温度より低くなると、充電時間設定部12は、温度係数(α)に基づき、最大充電時間(Tmax)より長い充電時間を設定することができる。その結果として、本例は、よりユーザにとって利便性の高い充電システムを提供することができる。
【0047】
図3及び図4を用いて、本例の充電装置100の制御手順を説明する。図3は本例の充電装置の制御手順を示すフローチャートである。図4は図3に示す制御処理のうち、温度センサ3の検出温度に基づく充電時間の設定制御を示すフローチャートである。
【0048】
本例の充電装置100のメインスイッチがオンになると、ステップS1にて、制御部10は初期状態としてフラグを「0」に設定する。ステップS2にて、制御部10は、操作パネル2の操作信号に基づいて、充電操作者による充電の開始命令がされたか否かを検出する。充電開始命令を示す操作信号を検出した場合にはステップS3へ、充電開始命令を示す操作信号を検出していない場合にはステップS2に戻る。
【0049】
ステップS3にて、制御部10は、フラグの状態を確認する。フラグの状態が「0」である場合には、充電予約をしなかった車両の充電制御が行われ、ステップS4にて充電時間設定部12は最大充電時間(Tmax)を充電時間(T)に設定し、ステップS5にて制御部10はフラグを「1」に設定し、ステップS8に遷る。
【0050】
一方、フラグの状態が「3」である場合には、充電予約をした車両の充電制御が行われ、ステップS6にて充電時間設定部12は最大充電時間(Tmax)に係数(R)を乗ずることで算出された時間を充電時間(T)に設定し、ステップS7にて制御部10はフラグを「1」に設定し、ステップS8に遷る。
【0051】
ステップS8にて、充電時間設定部12は、温度センサ3の検出温度に応じて充電時間(T)を補正することで充電時間(T)を設定する。なお、充電時間(T)の算出制御については後述する。
【0052】
ステップS9にて、ステップS8で設定された充電時間(T)でバッテリへの充電を開始しつつ、充電時間(T)からカウントダウンすることで、充電の残り時間(T)の計測を開始する。ステップS10にて、制御部10は、操作パネル2の操作信号に基づき、バッテリの充電中に、他車両から充電予約があるか否かを検出する。充電予約が検出されない場合には、ステップS17に遷り、バッテリの充電を継続する。
【0053】
一方、充電予約が検出された場合には、ステップS11にて、制御部10は、充電している車両が、充電予約をした車両であるか否かを判別するために、フラグの状態を確認する。フラグが「1」の状態である場合には、ステップS12にて、充電時間算出部12は残りの充電時間(T)に係数(R)を乗じた算出時間(T×R)と、最小充電時間(Tmin)とを比較する。算出時間(T×R)が最小充電時間(Tmin)より長い場合には、ステップS13にて、充電時間設定部12は算出時間(T×R)を残りの充電時間に設定し、制御部10は、算出時間(T×R)を充電の残り時間に変更して、バッテリの充電を継続させる。ステップS14にて制御部10はフラグを「1」から「2」に設定し、ステップS17に遷る。
【0054】
一方、ステップS12に戻り、算出時間(T×R)が最小充電時間(Tmin)以下である場合には、現在の残りの充電時間を短くすることができないため、残りの充電時間を変更することなく、ステップS15にて、制御部10はフラグを「1」から「2」に設定し、ステップS17に遷る。
【0055】
ステップS11に戻り、フラグの状態が「1」ではない場合、すなわち、フラグの状態が「4」である場合には、現在、充電中の車両が、充電予約をした車両であって、既に充電時間が短くなっているため、当該車両の残りの充電時間を変更することなく、ステップS16にて、制御部10はフラグを「4」から「5」に設定し、ステップS17に遷る。
【0056】
ステップS17にて、制御部10は操作パネル2の操作信号に基づき充電の終了、または、バッテリが満充電に達したことによる充電の終了を検出したか否かを判断する。充電終了を検出していない場合には、制御部10は、ステップS18にて、現在の残りの充電時間(T)がゼロになったか否かを判断する。残りの充電時間(T)がゼロでない場合には、充電を継続させるよう、ステップS10に戻る。
【0057】
一方、残りの充電時間(T)がゼロである場合には、制御部10は充電器1からの電力の出力を停止し、バッテリの充電を終了させて、ステップS19に遷る。また、ステップS17に戻り、充電終了を検出した場合には、制御部10は充電器1からの電力の出力を停止し、バッテリの充電を終了させて、ステップS19に遷る。
【0058】
ステップS19にて、制御部10はフラグの状態を確認する。フラグが「1」の状態である場合には、次に充電する車両は充電予約をしていない車両であるため、制御部10はフラグを「0」に設定して、ステップS2に戻る。フラグが「2」の状態である場合には、次に充電する車両は充電予約をした車両であるため、制御部10はフラグを「3」に設定して、ステップS2に戻る。フラグが「4」の状態である場合には、次に充電する車両は充電予約をしていない車両であるため、制御部10はフラグを「0」に設定して、ステップS2に戻る。フラグが「5」の状態である場合には、次に充電する車両は充電予約をした車両であるため、制御部10はフラグを「3」に設定して、ステップS2に戻る。
【0059】
なお、図3に示す制御において、メインスイッチがオフにされた場合には、図3の制御フローから外れて、制御部10は、本例の制御処理を終了する。
【0060】
次に、図4を用いて、図3のステップS8の充電時間の設定制御の制御手順を説明する。
【0061】
ステップS81にて、制御部10は、温度センサ3を制御し、充電装置100の環境温度を検出する。ステップS82にて、制御部10は、検出温度と閾値温度とを比較する。検出温度が閾値温度より高い場合には、充電時間設定部12はステップS4、S6で算出された充電時間(T)を充電時間(T)とし、図3のステップS6に遷る。一方、検出温度が閾値温度以下である場合には、ステップS58にて、充電時間設定部12は、ステップS4、S6で算出された充電時間(T)に温度係数(α)を乗じて、充電時間(T)を算出し、図3のステップS9に遷る。
【0062】
上記のように、本発明は、充電中の車両以外の車両から、充電器1を用いて充電するための充電予約を受け付ける充電予約受付部11と、充電予約受付部11の充電予約の受付状態に応じて、充電中の車両の充電時間及び充電予約をした車両の充電時間を設定する充電時間設定部12とを備える。これにより、本例は、充電予約の有無に応じて、充電を待っている車両があるか否かを判別した上で、充電時間が調整されるため充電待ち時間を短縮させることができる。
【0063】
また本例は、充電予約がされていない場合には、充電する車両300の充電時間を最大充電時間(Tmax)に設定し、充電予約がされた場合には、充電する車両300の充電時間を最大充電時間(Tmax)より短い時間に設定する。これにより、後続に充電を待っている車両がある場合には、先に充電している車両の充電時間が短くなり、充電終了時刻を早めることができるため、充電待ちしている車両の待ち時間を短縮化させることができる。
【0064】
また本例は、充電予約をした車両の充電時間を、最大充電時間(Tmax)より短い時間に設定する。これにより、本例は、先に充電している車両の充電時間だけではなく、充電予約をした後続の車両の充電時間も短くなるため、充電システムの利便する際の公正性を保つことができる。
【0065】
また本例において、3台の車両が順番に充電を行い、順に充電予約をしている場合であって、充電予約受付部11により、2番目の充電中に3番目の充電予約を受け付け、3番目の車両からの充電予約がされた場合には、充電時間設定部12は、2番目の車両の充電時間を短くすることを禁止する。これにより、本例は、既に充電時間が短くなっている、2番目の車両の充電時間がさらに短くなることを防ぐことができ、バッテリを充電するための充電時間を確保することができる。
【0066】
また本例において、充電時間設定部12は、充電中の車両の残りの充電時間を最小充電時間(Tmin)より短くすることを禁止する。これにより、既に、残りの充電時間が短く、さらに短くても、充電終了時間を十分に早めることができない場合には、充電時間を短縮化する制御処理を省くことができ、制御部10に含まれるCPUの負担を軽減化させることができる。
【0067】
また本例において、充電予約受付部11は、1番目の車両の充電中に2番目の車両からの充電予約を受け付けた場合には、1番目の車両の充電を終えるまで、1番目の車両及び2番目の車両以外の車両からの充電予約を受け付けない。これにより、充電予約を受け付ける車両数を限定し、制御フローが複雑化になることを防ぐことができる。
【0068】
また本例は、温度センサ3の検出温度に応じて充電時間を設定する。これにより、充電装置100の外部温度に対応させて、充電時間を制御することができ、ユーザにとって利便性の高い充電装置を提供することができる。
【0069】
なお本例は、温度係数(α)を1より大きい値に設定したが、温度係数(α)を1より小さい値に設定してもよい。これにより、充電装置100の環境温度が低い場合には、充電制御の回転率を高めることができる。また、本例は、充電予約がされており、かつ、温度センサ3の検出温度が閾値温度以下である場合に、1より大きい値の温度係数(α)を最大充電時間(Tmax)に乗ずることで、充電時間を設定してもよい。これにより、充電装置100の環境温度が低く、充電待ちの車両がある場合に、充電時間を短くすることができるため、充電の待ち時間を短縮化しつつ、充電制御の回転率を高めることができる。
【0070】
上記充電時間設定部12は本発明に係る「充電時間設定手段」に相当し、充電予約受付部11は「充電予約受付手段」に相当する。
【符号の説明】
【0071】
100…充電装置
101…充電ケーブル
102…充電コネクタ
1…充電器
2…操作パネル
3…温度センサ
10…制御部
11…充電予約受付部
12…充電時間設定部
200…交流電源
300…車両
301…給電インレット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に接続され、前記車両に含まれるバッテリを充電する充電器を備えた充電装置において、
前記充電器を用いて充電中の第1車両以外の第2車両から、前記第1車両の充電終了後に前記充電器を用いて充電するための充電予約を受け付ける充電予約受付手段と、
前記充電予約受付手段による前記充電予約の受付状態に応じて、前記第1車両の充電時間及び前記第2車両の充電時間を設定する充電時間設定手段とを備える
ことを特徴とする充電装置。
【請求項2】
請求項1記載の充電装置において、
前記充電時間設定手段は、
前記第2車両からの充電予約がされていない場合には、前記第1車両の充電時間を第1充電時間に設定し、
前記第2車両からの充電予約がされた場合には、前記第1車両の充電時間を第1充電時間より短い第2充電時間に設定する
ことを特徴とする充電装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の充電装置において、
前記充電時間設定手段は、
前記第2車両からの充電予約がされた場合には、前記第2車両の充電時間を前記充電器の最大充電時間より短い時間に設定する
ことを特徴とする充電装置。
【請求項4】
請求項3記載の充電装置において、
前記充電予約受付手段は、
前記第2車両の充電中に、前記第2車両以外の第3車両から、前記第2車両の充電終了後に前記充電器を用いて充電するための充電予約を受け付け、
前記充電時間設定手段は、
前記第3車両からの充電予約がされた場合には、前記第2車両の充電時間を短くすることを禁止する
ことを特徴とする充電装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の充電装置において、
前記充電時間設定手段は、
前記第1車両の充電中に前記第2車両からの充電予約がされた場合には、前記第1車両の残りの充電時間を前記充電器の最小充電時間より短くすることを禁止する
ことを特徴とする充電装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の充電装置において、
前記充電予約受付手段は、
前記第1車両の充電中に前記第2車両からの充電予約を受け付けた場合には、前記第1車両の充電を終えるまで、前記第1車両及び前記第2車両以外の他の車両からの充電予約を受け付けない
ことを特徴とする充電装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の充電装置において、
前記充電装置の外部の温度を検出する温度センサをさらに備えて、
前記充電時間設定手段は、
前記温度センサの検出温度に応じて、前記充電時間を設定する
ことを特徴とする充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−85343(P2013−85343A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222537(P2011−222537)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】