説明

光および/または熱に対して安定化された組成物

本発明は、少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を示す少なくとも1種の安定剤を含む光および/または熱に対して安定化したポリアミドを主成分とした組成物に関する。また、本発明は、紡績糸、短繊維、長繊維および/またはこれら組成物から得られた製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を示す少なくとも1種の安定化剤を含む光および/または熱に対して安定化されたポリアミドを主成分とした組成物に関する。本発明は、紡績糸、短繊維、長繊維および/またはこの組成物から得られる製品にも関する。
【0002】
ポリアミドは、紡績糸、短繊維および長繊維の製品に広く使用される合成ポリマーである。これらの短繊維、紡績糸および長繊維は、後に、織物表面、特に染料で染められた織物表面の作製に使用される。
【背景技術】
【0003】
ポリアミドは、紫外線、熱および悪天候などの外的条件または要因に曝される時に損傷を受けることがある。また、ポリアミドは、その製造および/またはその形成の間に使用される熱により損傷が誘発されることもある。この不安定性が、損傷、機械的性質の低下、色の変化および不均質性を引き起こす。これらの問題は、多くの用途において重大であろう。
【0004】
ポリアミドの安定性を改善するために、ポリアミドと添加剤とを組み合わせることが知られている。添加剤はたいていの場合、その作用によって、酸化防止剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤などに分類される。特に、ヒンダードフェノール系を含む酸化防止剤およびリン含有安定化剤は、ポリアミドを安定させることが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポリアミドの光および熱に対する安定性特性を向上させるために、新規な添加剤または新規な安定化剤添加化合物の研究が続けられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含む少なくとも1種の光および/または熱安定剤、ならびに
少なくとも1つの以下の化合物:
− 二酸化チタン、および/または
− マンガン化合物、
を含むポリアミドマトリックスを主成分とした組成物に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明による組成物は、光および/または熱に対して良好な安定性を示す。特に、本発明の安定化されたポリアミド組成物の耐熱性および/または耐光性により、より良好な染色の均一性、機械的性質の維持、長期にわたって(エイジング)の染色のより良好な保持が可能となる。特に、紡績糸、短繊維、長繊維および/または繊維製品が染色工程前または工程後に受けるヒートセット処理などの熱処理後に、本発明による安定化されたポリアミド組成物の物理的および化学的特性は、損なわれないことが認められる。
【0008】
ポリアミドの合成中において、さまざまな化合物が添加できる。かかる工程によって、とりわけ、ポリアミドにおける添加剤の非常に良好な分散を得ることができ、時には該ポリアミドの再溶融操作を回避することができる。さらに、ポリアミド合成中の安定化剤の導入によって、ポリアミドの製造および/またはその形成の間の損傷を防ぐことができる。
【0009】
さらに、本発明による組成物は、優れた染色の保持を有する繊維製品を得ることができる。そのうえ、得られた製品に関して、染色の均一性が乏しいことによる目に見える不具合はほとんどまたは全く認められない。本発明の組成物に伴うこの利点は、特に、ヒートセット工程が糊抜きしない繊維製品に対して行われている場合に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
当業者に知られる少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含む安定化剤は非常に多く存在する。少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含む本発明による安定化剤は、好ましくは、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(TAD)、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよび式(I)の芳香族化合物:
【化1】

(ここで、pは0または1に等しく、R1およびR2は、同一または異なり、飽和または不飽和であり、置換または非置換であり、芳香族および/または脂肪族であり、任意で環式であり、好ましくは5〜20の炭素原子を有する炭化水素基であり、少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を示すものである。アミン官能基に加えて、R1および/またはR2基は窒素および/または酸素などのヘテロ原子を含むことができる)、
からなる群から選択される。
【0011】
このように、式(I)の化合物は、2つまたは3つのカルボニル官能基を含み、そして少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を示す基を含み、該官能基はカルボニル官能基のうちの1つに結合した基に含まれる。カルボニル官能基は、アミド、エステルまたはエステル−アミド基に含まれ得る。
【0012】
pが0に等しい場合、本発明の添加剤は、以下に定義される化学構造(II)または(III)を有することができる。:
【化2】

(ここで、R1またはR2は、同一または異なる基であり、少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を示すものであり、立体障害(ヒンダード)アミン官能基を含まない基は、C1〜C18のアルコキシ基;任意で水素、C1〜C5アルコキシ基、カルボニル基、カルバミル基またはアルコキシカルボニル基により置換されるアミノアルキル基;C3〜C5のエポキシドから選択される。)
【0013】
立体障害(ヒンダード)アミン官能基を含む1または複数の基は、次式(IV)の化合物から選択できる。:
【化3】

(ここで、RおよびR’は、水素、C1〜C12アルキル基、C1〜C8アルコキシ基、−COR3構造を有する基(R3は、水素もしくはC1〜C6アルキル基、フェニル基、−COO(C1〜C4アルキル)基)、NR5R6構造を有する基(R5およびR6は、水素、C1〜C12アルキル基、C5もしくはC6シクロアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、C1〜C12のアルキル基であるアルキル基、あるいは任意で酸素原子もしくはもう1つの窒素原子を含み、好ましくはピぺリジン系もしくはモルホリン系由来の基からなる5〜7員環に結合した窒素原子を有するR5およびR6の種類から選択される。)から独立して選択される。)
【0014】
光安定剤のための好ましい化合物は、式(V)の化合物である。:
【化4】

(ここで、R”は、C1〜C20アルキル基、C1〜C20アミノアルキル基、置換されたC1〜C20アミノアルキル基、C1〜C20ヒドロキシアルキル基、C1〜C20アルケニル基、置換されたC1〜C20アルケニル基、アルコキシアルキル基、C1-20−オキシ−N−C1-20−アルキル基、
炭素原子1〜10を含む−N−シクロアルキル基、−COR4基により置換された炭素原子1〜10を含む−N−シクロアルキル基(R4は、水素、C1〜C6アルキル、フェニル、C1-20COO(HまたはC1-4アルキル)基から選択され、R’は、式(IV)におけるものと同義である。)
【0015】
光安定剤は、式(VI)の化合物がよりいっそう好ましい。:
【化5】

この添加剤は、例えば、Nylostab S-EED(商品名)としてClariant社により提供される。
【0016】
本発明の組成物は、少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含んでいる、組成物の総重量に対して0.05重量%〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%の光および/または熱安定剤を含むことができる。
【0017】
本発明による組成物は、二酸化チタンを含むことができる。
二酸化チタンは、二酸化チタン粒子、任意で結晶性形状であり得る。結晶性の二酸化チタンは、アナターゼ型および/またはルチル型よりなり得る。好ましくは、二酸化チタンの結晶性性質は、主としてアナターゼである。チタン化合物中のアナターゼの割合は、50重量%より大きく、好ましくは80重量%である。
【0018】
本発明による組成物は、組成物の総重量に対して0.01重量%〜3重量%、好ましくは0.02〜2重量%、より好ましくは0.3〜2重量%の二酸化チタンを含むことができる。二酸化チタン粒子は、1μm未満、好ましくは0.2〜0.4μmの平均粒径を示し得る。
【0019】
二酸化チタンの結晶格子に、少なくとも1種の金属イオン(例えば、アンチモンなど)を結合させることによってドープすることが可能である。
【0020】
二酸化チタン粒子は、特に分散性を促進するために、任意で、あらかじめ、例えばポリオール、ポリグリコール、ポリエーテル、有機エステル(アゼライン酸ジオクチルなど)および/またはトリメチロールプロパンから開始する有機処理を受けることができる。
【0021】
好ましくは、本発明により使用される二酸化チタンは、粒子形状で与えられる場合、無機コーティングを含まない。紡績糸、短繊維または長繊維用途のポリアミドに使用される二酸化チタン粒子は、一般に、粒子の総重量に対して0.3〜0.75重量%の元素(シリコンおよび/またはアルミニウム)の濃度の、シリカおよび/またはアルミナなどの無機化合物によりコーティングされることが知られている。好ましくは、0.2重量%未満、好ましくは、0.1重量%未満のシリコンおよび/またはアルミニウム(元素)を含む二酸化チタン粒子が使用される。
【0022】
組成物中のチタンの存在は、例えば、蛍光X線などの元素分析によって決定できる。組成物中の二酸化チタンの存在は、X線回析により決定され、二酸化チタンの結晶相を明らかにすることができる。本発明による組成物中の、1または複数の無機化合物によってコーティングされていない二酸化チタン粒子の存在は、次の方法:チタン、シリコンおよび/またはアルミニウム元素の存在を決定するために無機化された物質の、例えばICP(誘導結合プラズマ)などの元素分析、で実証できる。チタンの割合は、組成物中のコーティングまたは非コーティングの二酸化チタン粒子の有無を決定するために、シリコンおよび/またはアルミニウムの割合と関連づけできる。
【0023】
本発明による組成物は、マンガン化合物を含むことができる。このマンガン化合物は、例えば、無機酸および/または有機酸から得られたマンガン塩であってよい。
【0024】
マンガン塩は、好ましくは、シュウ酸マンガン、乳酸マンガン、安息香酸マンガン、ステアリン酸マンガン、酢酸マンガン、次亜リン酸マンガン、ケイ酸マンガン、ピロリン酸マンガンおよび塩化マンガンからなる群から選択され、好ましくは酢酸マンガンである。好ましくは、酢酸マンガン四水和物(CAS:6156-78-1)が使用される。
【0025】
本発明による組成物は、5〜100ppm(mg/ポリアミド1kg)、好ましくは5〜50ppmのマンガン化合物を含むことができる(前記濃度はマンガン元素について表される)。組成物中のマンガン元素の割合は、例えばX線蛍光またはICP(誘導結合プラズマ)による分析などの元素分析によって測定できる。
【0026】
本発明のポリアミドマトリックスは、ラクタムおよび/またはアミノ酸から開始する重合により得られる種類のポリアミドを主成分とするか、あるいはジカルボン酸およびジアミンの重縮合により得られる種類のポリアミドを主成分とすることができる。ポリアミドマトリックスは、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、コポリアミド4−6、コポリアミド6−66、コポリアミド6−10、コポリアミド6−12、コポリアミド12−12並びにそれらのブレンドおよびコポリアミドからなる群から選択される(コ)ポリアミドを含むことができる。ポリアミド組成物は、WO97/24388またはEP1086161の出願に記載のように、星形もしくは分岐ポリアミドを主成分とすることができる、または含むことができる。
【0027】
(コ)ポリアミドは、35〜75meq/kg、好ましくは35〜50meq/kgのアミン末端基(ATG)の含有量を示し得る。
【0028】
安定化されたポリアミドを主成分とした組成物は、すでに述べられた添加剤に加え、他の添加剤を含むことができる。これら添加剤は、重合前、重合中もしくは重合後、または溶融ブレンドの間に導入できる。かかる添加剤の例としては、つや消しおよび/または有色の外観を組成物に与えることを目的とする顔料またはつや消し剤、難燃剤、他の安定剤(フェノール系酸化防止剤などの酸化防止剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、リン含有安定剤など)、抗菌剤、消泡剤ならびに加工助剤などが挙げられる。
【0029】
本発明による組成物を製造するために、さまざまな方法が使用できる。特に、少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含む少なくとも1種の光および/または熱安定剤、ならびに、少なくとも:
− 二酸化チタン、および/または
− 1つのマンガン化合物
が重合工程前または工程中にポリアミドのベースモノマーに導入される、安定化したポリアミド組成物の製造方法が使用できる。
【0030】
式(VI)の化合物などの少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含む光および/または熱安定剤ならびに二酸化チタンは、特に、重合中に導入できる。式(VI)の化合物などの少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含む光および/または熱安定剤ならびに酢酸マンガンなどのマンガン化合物もまた、重合中に導入できる。
【0031】
本発明は、上記の工程により得ることができるポリアミド組成物にも関する。
【0032】
本発明によるポリアミドの製造工程は、上述のさまざまな化合物が重合工程前または工程中に重合媒体中へ導入されるのであれば、既知の方法から選択することができる。低度の重縮合を示す製品に関しては、添加剤の導入前に形成されることが可能である。上記のさまざまな化合物は、重合工程前のさまざまな製造段階において逐次あるいは同時に重合媒体に導入できる。
【0033】
二酸化チタン粒子は、水性懸濁液の状態で、あるいはカプロラクタムおよび水の混合物として導入できる。
【0034】
ポリアミド66を形成するために、有利な製造方法は、出発物質としてアジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウム塩を、好ましくは塩濃度50〜70重量%の溶液状態で使用する。この連続的または回分式方法は、水の蒸発の第1段階および重縮合による重合の第2段階からなり得る。
【0035】
ポリアミド6を形成するために、出発物質としてε−ポリカプロラクタムを使用できる。この連続的または回分式方法は、開環の第1段階、重付加および重縮合の段階、粒状化の段階、最後に、微粒を洗浄する段階からなり得る。
【0036】
一塩基酸、二塩基酸、モノアミンおよび/またはジアミンなどのさまざまな鎖制限用化合物または鎖伸張用化合物は、ポリアミドの重合前または重合中にポリアミドのベースモノマーに添加できる。例えば、酢酸、安息香酸、プロピオン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸および/またはヘキサメチレンジアミンが添加できる。
【0037】
本発明はまた、本発明による組成物を形成することにより得られる物品、任意で、紡績糸、短繊維および/または長繊維などの繊維製品にも関する。
【0038】
本発明の組成物は、固化および再溶融の中間段階なしに、重合後に直接、紡績糸、短繊維および/または長繊維に形成されることが可能である。本発明の組成物はまた、例えば、成形品の製造または紡績糸、短繊維もしくは長繊維の製造において、その後の最終的な成形のために再溶融されることを目的として微粒に形成されることが可能である。
【0039】
本発明による組成物から形成される紡績糸、短繊維および/または長繊維は、融解紡糸により製造される:該組成物は、溶融状態で、1またはそれ以上のオリフィスからなる紡糸口金を通して押し出し成形される。
【0040】
任意の融解紡糸法が使用可能である。
マルチフィラメント糸(長繊維糸)の製造方法は、紡糸または紡糸−延伸もしくは紡糸−延伸−仮撚り工程があり、一貫して行うか各工程ごとに行い、どんな紡績速度でも行われる。糸は、3500m/分より大きい紡績速度で、高速紡糸によって製造できる。かかる方法は、たいてい以下の用語により示される:POY(半延伸糸)、FOY(延伸糸)またはISD(一貫した紡糸−延伸)。
【0041】
短繊維の製造のために、フィラメント糸は、例えば粗糸またはラップの形に集められて、紡績後すぐにあるいは連続工程において、延伸、テクスチャード加工および切断できる。得られた短繊維は、不織布またはステープル繊維糸の製造に使用できる。
【0042】
本発明の紡績糸、短繊維および/または長繊維は、例えば、連続的段階または逐次処理における延伸、サイズ剤の付着、オイリング、編組、織り(texturing)、圧接、緊張熱処理または緩和熱処理、撚糸、加撚および/または染色などの、さまざまな処理を受けることができる。
【0043】
本発明はまた、少なくとも上記の紡績糸、短繊維および/または長繊維を含む繊維製品にも関する。用語“繊維製品”は、特に、例えば、織布、不織布、編物、タフテッド、フェルト、ニードルボンド、ステッチボンドもしくはフロック加工された織物表面、または他の製造方法で製造された織物表面など、あらゆる種類の布という意味であると理解される。
【0044】
紡績糸、短繊維および/または長繊維ならびに紡績糸、短繊維および/または長繊維から得られた物品は染色が可能である。挙げられる染色工程は、特に浴染色またはジェット染色工程である。好ましい染料は、含金属酸性染料または金属を含まない酸性染料である。
【0045】
本発明の原理を容易に理解するために、本明細書中に特殊な専門用語が使用される。しかしながら、これらの用語の使用によって本発明の範囲が過度に限定されないことを理解すべきである。特に、変更、改善および改良が行われることは当業者には理解されよう。
【0046】
用語“および/または”は、“および”、“または”およびこの用語に関係するすべての他の可能な要素の組み合わせの意味を含む。
【実施例】
【0047】
本発明の他の詳細または利益は、単なる一例としての以下の実施例に照らして、より明確に明らかとなるであろう。
【0048】
実施例1:本発明によるポリアミド66組成物
ポリアミド66を主成分とするコポリマーは、
− 58gの酢酸マンガン四水和物(Aldrich reference:22,100-7);
− 20gのRhodorsil 411 消泡剤;
− 12.9kgのカプロラクタム;
− 780gのNylostab S-EED(Clariant社);
− 257gのアジピン酸、および
− 8.8kgの非コーティングTiO2(Hombitan LWS、Sachtleben社)
を加えた、1115kgの52重量%アジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウム塩濃水溶液から製造される。
【0049】
ポリアミドは、蒸発器における溶液の濃縮工程および撹拌式オートクレーブ反応器内での重縮合工程からなる標準工程に従って製造されて、最終温度267℃、18.5barの静的圧力で約100分の蒸留工程、最終温度269℃で18.5bar〜1bar(1850〜100kPa)で約25分の減圧工程、および最終温度278℃で約26分の仕上げ工程を伴う。
【0050】
圧力下の蒸留工程の間、20重量%の非コーティング酸化チタン粒子の水分散液を25分後に44.2kg添加する。
【0051】
2.5重量%のポリアミド6ユニットおよび1.7重量%の二酸化チタンを含む、ポリアミド66を主成分とするコポリマーを得る。
【0052】
比較例2:ポリアミド66組成物
対照のポリアミド2Cは、以下の原料物質から出発する同様の工程により得られる:
ポリアミド66を主成分とするコポリマーは、
− 58gの酢酸マンガン四水和物(Aldrich reference:22,100-7)、
− 20gのRhodorsil 411消泡剤、
− 13kgのカプロラクタム、
− 120gの酢酸、
− 8.8kgの非コーティングTiO2(Hombitan LWS、Sachtleben社)
を加えた、1115kgの52重量%アジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウム塩濃水溶液から製造される。
【0053】
2.5重量%のポリアミド6ユニットおよび1.7重量%の二酸化チタンを含む、ポリアミド66主成分であるコポリマーを得る。
【0054】
比較例3:ポリアミド66組成物
対照のポリアミド3Cは、以下の原料物質から出発する同様の工程により得られる:
ポリアミド66を主成分としたコポリマーは、
− 20gのRhodorsil 411消泡剤、
− 13kgのカプロラクタム、
− 120gの酢酸、
− 8.8kgのシリカおよびアルミナをコーティングしたTiO2(Hombitan LOCR-SM、Sachtleben社)
を加えた、1115kgの52重量%アジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウム塩濃水溶液から製造される。
【0055】
2.5重量%のポリアミド6ユニットおよび1.7重量%の二酸化チタンを含む、ポリアミド66を主成分としたコポリマーを得る。
【0056】
実施例4:ポリアミド66組成物
対照のポリアミド4Cは、以下の原料物質から出発する同様の工程により得られる:ポリアミド66を主成分としたコポリマーは、
− 20gのRhodorsil 411消泡剤、
− 12.9kgのカプロラクタム、
− 780gのNylostab S-EED(Clariant社)、
− 257gのアジピン酸、
− 8.8kgのシリカおよびアルミナでコーティングされたTiO2(Hombitan LOCR-SM、Sachtleben社)
を加えた、1115kgの52重量%アジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウム塩濃水溶液から製造される。
【0057】
2.5重量%のポリアミド6ユニットおよび1.7重量%の二酸化チタンを含む、ポリアミド66主成分としたコポリマーを得る。
【0058】
実施例5:ポリアミド組成物の紡績と編み工程
上記の実施例で得られたポリアミド組成物は、巻き上げ速度4200m/分で紡ぎ、そして巻き上げ速度1070m/分で延伸する。得られる紡績糸の繊度は、延伸前は101デシテック/68長繊維であり、延伸後は82デシテックである。
【0059】
ポリアミド1について、延伸前のPOY糸の引張強さは34.8cN/tex、破断点伸びは75.9%である。延伸糸の引張強さは43.9cN/tex、破断点伸びは43.3%である。
【0060】
対照のポリアミド2Cについて、延伸前のPOY糸の引張強さは34.5cN/tex、破断点伸びは74.2%である。延伸糸の引張強さは43.3cN/tex、破断点伸びは43.9%である。
【0061】
対照のポリアミド3Cについて、延伸前のPOY糸の引張強さは33.9cN/tex、破断点伸びは77%である。延伸糸の引張強さは42.1cN/tex、破断点伸びは44.2%である。
【0062】
対照のポリアミド4Cについて、延伸前のPOY糸の引張強さは34.2cN/tex、破断点伸びは76.3%である。延伸糸の引張強さは42.4cN/tex、破断点伸びは44.6%である。
【0063】
5つの編物の表面を、上記の5つの紡績糸で調製する。各編物の表面は、1種類の紡績糸からなる。
【0064】
実施例6:ヒートセット
実施例5で得られた織物表面を、続いて195℃で45秒間ヒートセットする。
ヒートセット前後の粘度数およびアミン基濃度を、記載されている分析手法により測定する。
【表1】

【0065】
定量法:
− 紡績糸のVN(ml/g):POY糸を0.5重量/体積の濃度の90%ギ酸中に溶解する。ISO規格307に従い、直径0.63mmのUbbelohde管を用いて25℃で粘度の測定を行う。
− ATG:40℃で5時間、70mlのフェノール(90%)に溶解した2gのPOY糸の0.1N塩酸を用いた電位差滴定によって、アミン基を決定する。
− ヒートセット後のΔVN:ヒートセット後の編物のVNとヒートセット前の編物のVN(すなわち、POY糸のVN)との相違を決定する。
− ΔATG(meq/kg):ヒートセット後の編物のATG濃度とヒートセット前の編物のATG濃度(すなわち、POY糸のVN)との相違を決定する。
【0066】
実施例7:本発明によるポリアミド66組成物およびヒートセット試験
ポリアミド66を主成分とするコポリマーは、
− 1.45gの酢酸マンガン四水和物(Aldrich reference:22,100-7);
− 78.7gのカプロラクタム;
− 0.61gの酢酸;
− 0.1gのRhodorsil 411消泡剤;
− 14gのNylostab S-EED(Clariant社)、および
− 200gの20%のさまざまなTiO2の種類の水性懸濁液(表II参照)
を加えた、3148gの52重量%アジピン酸ヘキサメチレンジアンモニウム塩濃度水溶液から製造する。
【0067】
上記の標準工程により、ポリアミドを7.5Lの反応器において仕上げ時間40分で製造する。
【0068】
ポリアミドを低温で粉化し(100−200μm)、5分間、200℃で該粉体にヒートセット試験を行う。続いて、ヒートセット前後の粘度数の変動を、上記の分析方法で測定する。
【表2】

【0069】
使用されたTiO2粒子は、以下の特性を示す:
− Hombitan LWS(Sachtleben社):無機コーティングなし/有機コーティングなし/結晶にドーピングなし、
− Hombitan LWS-U(Sachtleben社):無機コーティングなし/有機コーティングなし/アンチモンを結晶にドーピング、
− Hombitan LWSU-HD(Sachtleben社):無機コーティングなし/有機コーティング/アンチモンを結晶にドーピング、
− APP2(Huntsman社):無機コーティング/有機コーティング/結晶にドーピングなし。
【0070】
実施例8 耐光性
実施例1および比較例2(2C)の延伸糸を編む。得られた表面は、糊抜きおよび染色をしないまま、耐光性試験機(Xenotest 150S, Hanau, 試験槽/ブラックパネルの温度45℃/相対湿度60%)にかける。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含む少なくとも1種の光および/または熱安定剤、ならびに
少なくとも1つの
− 二酸化チタン、および/または
− マンガン化合物、
である化合物、
を含むポリアミドマトリックスを主成分とする組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含む前記安定剤は、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよび式(I)の芳香族化合物:
【化1】

(ここで、pは0または1に等しく、R1およびR2は、同一または異なる炭化水素基であり、少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含む)、
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含む前記光安定剤は、式(VI)の化合物:
【化2】

であることを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含む光および/または熱安定剤を、組成物の総重量に対して0.05重量%〜0.5重量%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記二酸化チタンは、結晶性形状の二酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記二酸化チタンは、無機コーティングを含まない二酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物は、組成物の総重量に対して0.01重量%〜3重量%の二酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記マンガン化合物は、無機酸および/または有機酸から得られたマンガン塩であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記マンガン塩は、シュウ酸マンガン、乳酸マンガン、安息香酸マンガン、ステアリン酸マンガン、酢酸マンガン、次亜塩素酸マンガン、ケイ酸マンガン、ピロリン酸マンガンおよび塩化マンガンからなる群から選択されることを特徴とする請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物は、5〜100ppmのマンガン化合物を含む(前記濃度はマンガン元素について表される)ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリアミドマトリックスは、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、コポリアミド4−6、コポリアミド6−66、コポリアミド6−10、コポリアミド6−12、コポリアミド12−12ならびにそれらのブレンドおよびコポリアミドからなる群から選択される(コ)ポリアミドを含むことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
少なくとも1つのヒンダードアミン官能基を含む少なくとも1種の光および/または熱安定剤、ならびに
少なくとも1つの
− 二酸化チタンおよび/または
− マンガン化合物
を含む化合物が、重合工程前または工程中に、ポリアミドのベースモノマーに導入されることを特徴とする安定化したポリアミド組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法により得ることができるポリアミド組成物。
【請求項14】
請求項1〜11のうちの1による組成物または請求項12記載の方法によって得られる組成物を形成することにより得られた紡績糸、短繊維および/または長繊維。
【請求項15】
少なくとも請求項14記載の紡績糸、繊維および/またはフィラメントを含む繊維製品。

【公表番号】特表2007−510015(P2007−510015A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536116(P2006−536116)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002664
【国際公開番号】WO2005/040262
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(501475088)
【Fターム(参考)】