説明

光コネクタ

【課題】光ケーブルと光ファイバ素線の両方の接続に対応できる現地組立型の光コネクタを提供する。
【解決手段】第1光ファイバ200を内蔵したフェルール20と、第2光ファイバ102を把持する把持部12と、フェルール20を一端部側に固定しており第1光ファイバ200と第2光ファイバ102を突き合わせて接続するための光ファイバ接続部品40と、フェルールと光ファイバ接続部品の組立体を付勢力に抗して軸方向Lに移動可能に収容するハウジング部材88と、光ファイバ接続部品40の他端部側と把持部12との間を連結してフェルール20と光ファイバ接続部品40の組立体と把持部12とを連動可能にする連結部材30を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光コネクタの光ファイバ接続部品組立体に関し、特に現地で組み立てる現地組立型の光コネクタの光ファイバ接続部品組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
現地で組み立てることができる現地組立型の光コネクタが、種々提案されている。この種の光コネクタでは、既に光ファイバを内蔵したフェルール端が研磨されている。現地でもう1つの光ファイバ端を前処理して、このもう1つの光ファイバ端が、フェルール研磨端の光ファイバ端に対して、押し当てて接続されるようになっている。
【0003】
現地で接続される光ファイバは、例えば架空に敷設された光ケーブルから取り出された光ファイバ素線や、現地で架空と構内との間を繋ぐために用いられる外被で補強された単心ケーブルまたは少心ケーブルなどがある。
後者の外被で補強された単心ケーブルまたは少心ケーブルに接続する場合には、外被を除去した光ファイバの先端部分を、光コネクタに内蔵される光ファイバ接続部品に接続するが、外被の剥き際の部分は、光コネクタ内に固定するために専用のケーブル把持部材などに取り付けて、光コネクタ内の所定の位置に配置される。
【0004】
現地で組み立てられた光コネクタは、同様の現地組立型の光コネクタあるいはSCコネクタのような工場で組み立てられた光コネクタに接続されるが、フェルールの接続端面には一方あるいは両方の光コネクタに予め内蔵されるコイルスプリングの圧縮力により押圧して付勢される。このときに、コイルスプリングを内蔵する側のフェルールは、光コネクタのハウジング内でバックする。
【0005】
なお、現地組立型の光コネクタの関連する技術としては、特許文献1が挙げられる。
光ファイバの心線同士を接続するために、新たに光コネクタに対して挿入して接続しようとする光ファイバの心線の端面と、あらかじめ光コネクタに内蔵された内蔵光ファイバの心線の端面とが、互いに接触することで、両光ファイバは光学的に接続される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−206688号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、光ケーブルに接続される従来の現地組立型の光コネクタの場合には、フェルールに連動してケーブル外被の固定部分(ケーブル把持部材)がバックできないので、光コネクタの内部で光ファイバの撓みが生じ、その結果、光ファイバの撓みによる光学特性の劣化を引き起こす。
この光ファイバの撓みを防ぐには、光ファイバ接続部材と光ケーブルや光ファイバの素線を把持する把持部材とを、軸方向に沿って連動させることが必要であり、光ファイバ接続部材の後端部に外被把持部材を連結させる構造が要求される。
【0008】
しかし、前述の通り、光ファイバ素線と接続する場合もある。従来、適用する光ケーブルに合った光ファイバ接続部材の構造を各々用いていたが、1種類の光ファイバの接続ケーブルと光ファイバの素線の両方に対応できるようにすることが製造上の管理やコスト低減の点で好ましい。
そこで、本発明は上記課題を解消するために、光ファイバの撓みが生じないようにして光ケーブルと光ファイバ素線の両方の接続に適用できる光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解消するために、本発明の光コネクタは第1光ファイバを内蔵したフェルールと、第2光ファイバを把持する把持部と、前記フェルールを端部に固定しており、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバを突き合わせて接続するための光ファイバ接続部品と、前記フェルールと前記光ファイバ接続部品の組立体を収容するハウジング部材と、を備える光コネクタであって、前記光ファイバ接続部品は、前記第2光ファイバを保持する接続基台と、前記接続基台に対して対面して配置される蓋と、前記ハウジング部材内において前記接続基台と前記蓋とを合わせた状態で押圧するクランプ部材と、を備え、前記蓋は第1突起を有し、前記接続基台は第2突起を有しており、前記クランプ部材に接触する前記第1突起の接触面と前記クランプ部材に接触する前記第2突起の接触面は、前記第2光ファイバの中心を中心軸とする円弧状であって、前記クランプ部材と前記第1突起の接触面との第1接点と、前記クランプ部材と前記第2突起の接触面との第2接点は、前記第2光ファイバの中心を含む中心線S1よりも前記クランプ部材のC字形断面の開口側W方向にずらされていて、前記接続基台と前記蓋とが合わさった端点と前記第1接点と第2接点とが、前記クランプ部材の内側で当接することで前記接続基台と前記蓋とが固定されることを特徴とする。
【0010】
本発明の光ファイバは、好ましくは前記接続基台と前記蓋とを前記ハウジング部材内において固定するために前記接続基台と前記蓋との間に挿入されるクサビを有しており、前記クランプ部材と前記第1突起の接触面との第1接点と、前記クランプ部材と前記第2突起の接触面との第2接点は、前記ハウジング部材の中心線から前記クサビが配置されている位置側にずらされていることを特徴とする。
【0011】
本発明の光ファイバ接続部品の組立体は、好ましくは前記接続基台の内面側の中心位置にV溝が形成されて、前記V溝に対面する前記蓋の内面は平坦面であることを特徴とする請求項1又は2記載の
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光ファイバの撓みが生じないようにして光ケーブルと光ファイバ素線の両方の接続に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の光コネクタの好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す光コネクタの逆方向から見た斜視図である。
【図3】図2に示す光コネクタからハウジングを外して中からプラグフレームが露出された状態を示す斜視図である。
【図4】図2に示す光コネクタを矢印Y2とY3から見た側面図である。
【図5】図3の光コネクタを矢印Y1から見た平面図を示す図である。
【図6】光コネクタの光ファイバ把持部品と、プラグフレームと、光ファイバ接続部品と、連結部材を示す図である。
【図7】光ファイバ接続部品とフェルールの形状例を示している図である。
【図8】光ファイバ接続部品の各構成要素とこれらの組立手順を示す斜視図である。
【図9】光ファイバ接続部品の各構成要素とこれらの組立手順を示す斜視図である。
【図10】光ファイバ把持部品の接続本体部の接続端部と、光ファイバ接続部材のハウジング部材と、プラグフレームと、そして、連結部材を示す斜視図である。
【図11】連結部材とスプリングの付近を示す斜視図である。
【図12】図6における光ファイバ接続部材とハウジング部材のB−B線における断面構造例を示す図である。
【図13】光コネクタ10の各構成要素を示す斜視図である。
【図14】プラグフレームと光ファイバ接続部品が組み立てられた様子を示す斜視図である。
【図15】連結部材を取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図16】カバーなどを組み立てようとする状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の光コネクタの好ましい実施形態を示す斜視図である。
図1に示す光コネクタ10は、外側ハウジング11と光ファイバ把持部12を有している。フェルール20が外側ハウジング11の内部空間から突出している。
図2は、図1に示す光コネクタ10の逆方向から見た斜視図であり、図3は図2に示す光コネクタ10から外側ハウジング11を外して、外側ハウジング11の中からプラグフレーム14と中のハウジング部材88が露出された状態を示す斜視図である。
【0015】
図1と図2に示すように、外側ハウジング11は操作者が直接指で光接続操作する中空部を有する直方体の箱部材である。光ファイバ把持部12とカバー13は中空部を有する直方体の箱部材である。
【0016】
図1と図2に示す外側ハウジング11と光ファイバ把持部12とは、例えば部品を目視により確実に区別できるようにするために、互いに色を変えたプラスチックで成型されている。図1と図2に示すように、外側ハウジング11は作業者が指で持っても滑らないようにするために凹凸状の把持部11Bを有している。
【0017】
図1と図2に示す外側ハウジング11は、軸方向Lに沿って断面長方形の空間を有しており、一方の端部には開口部11Cを有し、他方の端部には開口部11Dを有している。開口部11Cからは、フェルール20の端部が突出している。
図3に示すように、光コネクタ10から外側ハウジング11を外すと、光ファイバ接続部材40を収容しているハウジング部材88と連結部材30が露出される。
【0018】
図4(A)と図4(B)は、図2に示す光コネクタ10を矢印Y2と矢印Y3から見た側面図である。図5は、図3の光コネクタ10を矢印Y1から見た平面図であるが、図5では図3のカバー13は取り除かれている。図6は、図5の光コネクタ10のA−A線における断面図である。
【0019】
図6と図5を参照して、光コネクタ10の内部構造を説明する。
図6に示す光コネクタ10は、光ファイバ把持部(把持部の一例)12と、プラグフレーム14と、光ファイバ接続部品40と、内側のハウジング部材88と、連結部材30と、スプリング(付勢部材の一例)63を有している。図5と図6では、図1に示す外側のハウジング11の図示は、図面の簡単化のために省略している。
【0020】
図6に示すように、光ファイバ把持部12と光ファイバ接続部品40は、連結部材30を介して軸方向Lに沿って連結されている。
プラグフレーム14は、内部に貫通する空間を有するプラスチック成型品であり、プラグフレーム14の内部空間14Cには、フェルール20の大部分と光ファイバ接続部品40の一部と内側のハウジング部材88の一部分が収容されている。
【0021】
図6に示すように、光ファイバ把持部12は、ケース19とケーブル把持部材28とカバー13(図2を参照)とを有している。図6では、光ファイバ把持部12内を見せるためにカバー13は破線で示している。
光ファイバ把持部12のケース19は、接続本体部60とこの接続本体部60から延長して形成された延長部61を有している。接続本体部60は接続端部62を有している。内側のハウジング部材88は、プラスチック製の筒状の部材である。この内側のハウジング部材88の一端部はプラグフレーム14内に配置され、内側のハウジング部材88の他端部は、この接続端部62内に収容して保持されている。
【0022】
図6に示すスプリング63は、例えばコイルスプリングが採用されており、スプリング63は、内側のハウジング部材88に配置されている。スプリング63は、光ファイバ接続部品40の接続端部45と、内側のハウジング部材88のストッパー64との間において、軸方向Lに沿って光ファイバ接続部品40に対して与圧を与えるために配置されている。
【0023】
図6と図5に示すように、光ファイバ把持部12の延長部61の上には、ケーブル把持部材28が配置されている。このケーブル把持部材28は、ケーブルファイバ100の外被101を剥いた端部を保持している。図6に示すケーブルファイバ100は、外被101と光ファイバ102を有しており、外被101を除去して露出された光ファイバ102は、接続本体部60の通し穴60Hに通されるとともに、光ファイバ接続部品40のV溝300により軸方向Lに沿って保持されている。
【0024】
図6に示すこの光ファイバ102の先端部110は、フェルール20に内蔵した光ファイバ200の一方の端部201に対して、接続基台80内で突き当てることで光学的に接続されている。フェルール20に内蔵した光ファイバ200の他方の端部202は、プラグフレーム14のから外部に露出している。これにより、光コネクタ10は、ケーブルファイバ100の光ファイバ102とフェルール20に内蔵した光ファイバ200を、軸方向Lに沿って配置した状態で接続されている。なお、フェルール20に内蔵した光ファイバ200は、第1光ファイバであり、外被を除去した光ファイバ102は、第2光ファイバである。
【0025】
図2に例示するように、例えばフェルール20に内蔵された光ファイバ200の他方の端部202は、別の光コネクタ1000の光ファイバ1001の端部1002に突き当てることで接続できるようになっている。
【0026】
光ファイバ接続部品40は、断面がほぼ円形状のプラスチック部品であり、フェルール20は光ファイバ接続部品40に比べると、円柱状の細いプラスチック部材である。光ファイバ把持部12の接続本体部60と、光ファイバ接続部品40は、連結部材30のピン31により着脱可能に連結され、互いに軸方向Lに沿って連動するようになっている。
【0027】
図7は、光ファイバ接続部品40とフェルール20の形状例を示しており、図7(A)は光ファイバ接続部品40とフェルール20の正面図であり、図7(B))は、図7(A)の光ファイバ接続部品40とフェルール20をF方向から見た側面図であり、図7(C)は、図7(A)の光ファイバ接続部品40とフェルール20のG−G線における断面図である。
【0028】
図7に示すように、光ファイバ接続部品40は、プラスチック製の接続基台80と、プラスチック製の2つの蓋81,82と、金属製のクランプ部材83とを有している。図7(C)に示すように、接続基台80の接続端部70には、フェルール20の一方の端部20Bが挿入して固定されている。
【0029】
図8と図9は、光ファイバ接続部品40の各構成要素と、これらの組立手順を示している。
図8(A)は、接続基台80と、蓋81,82と、クランプ部材83を組み立てる前の状態を示し、図8(B)は、接続基台80に対して蓋82を配置した状態を示している。さらに、図9(A)は、接続基台80に対して蓋81,82を配置した状態を示し、図9(B)は、接続基台80と蓋81,82の組立体を、クランプ部材83により挟んで保持した状態を示している。
【0030】
図8(A)に示すように、接続基台80は、軸方向Lに沿って半割にした部材であり、一端部には第1接続端部70が形成され、他端側には第2接続端部45が形成されている。第1接続端部45と第2接続端部70の間には、V溝300が軸方向Lに沿って形成されている。このV溝300は、図6に示す光ファイバ102を保持するための断面V字型の溝である。
【0031】
図8(A)に示すように、蓋81,82には、断面が弓形の部材であり、軸方向Lに沿ってほぼ同じ長さを有している。図8(B)と図9(A)に示すように、蓋81,82は、接続基台80の上に対向して配置されることで接続基台80を塞ぐ。蓋81,82はそれぞれ突起部81D、82Dを有している。図8(A)に示すように、接続基台80には、突起部80Dが形成されている。
【0032】
図8(A)に示すように、クランプ部材83は、断面円弧状の弾性変形可能な部材であり、はめ込み部分83B、83Cを有する。はめ込み部分83B、83Cは、図9(A)と図9(B)に示すように、それぞれ蓋81,82の突起部81D、82Dと接続基台80の外周面とを挟み込むことで、クランプ部材83は、蓋81,82と接続基台8を挟み込んで固定する。
【0033】
そして、図9(B)に示す光ファイバ接続部品40は、図9(B)と図6に示すように、内側のハウジング部材88内に挿入されて、第2接続端部45が与圧用のスプリング63の一端部に当接される。ハウジング部材88のストッパー64は、与圧用のスプリング63の他端部を保持している。このスプリング63の保持状態は、図6と図11にも示している。ハウジング部材88は、軸方向Lに沿った長いガイド穴89を有している。また、図9(B)に示すように、第2接続端部45には、凹部99,99が形成されている。これにより、光ファイバ接続部品40の各構成要素の組立と、光ファイバ接続部品40と内側のハウジング部材88との組立が終了する。
【0034】
図10は、光ファイバ把持部12の接続本体部60の接続端部62と、光ファイバ接続部品80と、内側のハウジング部材88と、プラグフレーム14と、連結部材30を示している。そこで、光ファイバ把持部12の接続本体部60の接続端部62と、光ファイバ接続部品80との連結構造について説明する。
【0035】
連結部材30は、弾性変形可能なプラスチックで成型されており、基部31Bと2つのL字形のピン31,31を有する。ピン31,31はそれぞれ突起31T、31Tを有し、突起31T、31Tは向かい合っている。
【0036】
図10(A)に示すように、接続本体部60の接続端部62の一方の面と他方の面には、貫通孔85,85が形成されている。一方、接続基台80には凹部99,99が形成されている。そこで、図10(A)と図10(B)に示すように、連結部材30のピン31,31は、それぞれ貫通孔85と、内側のハウジング部材88のガイド穴89を通って、接続基台80の凹部99,99に挿入される。
【0037】
これにより、光ファイバ把持部12の接続本体部60の接続端部62と光ファイバ接続部品40とは、連結部材30を用いて連結されている。光ファイバ接続部品40とフェルール20の組立体と光ファイバ把持部12は、内側のハウジング部材88とプラグフレーム14に対して、軸方向Lに沿って、スプリング63の付勢力に抗して押圧して移動可能である。
【0038】
次に、図12を参照して、光ファイバ接続部材40の構造例を更に説明する。
図12は、図6における光ファイバ接続部材40とハウジング部材88のB−B線における断面構造例を示している。
図12には、すでに図8と図9に示した接続基台80,蓋81,82、クランプ部材83,ハウジング部材88を示している。断面C字形のクランプ部材83は、接続基台80と蓋81,82とを対面するように突き合わせた状態で固定している。
【0039】
図12の拡大部分Hに示すように、接続基台80の内面側の中心位置にはV溝300が形成されている。このV溝300に対面する蓋81,82の内面は平坦面である。これにより、第2光ファイバ102と光ファイバ200の一方の端部201の接続部が、中心線S1とこの中心線S1に直交する中心線S2の交差する位置において、このV溝300内に位置決めされている。
【0040】
図12の拡大部分Jに示すように、蓋81,82の突起81D、82Dには、円弧状の第1接触面221を有している。この第1接触面221は、クランプ部材83の第1押圧部83Tと当たる部分であり、第1接触面221と第1押圧部83Tの内面とは、第1接点221Pにおいて当接している。
【0041】
同様にして、図12の拡大部分Kに示すように、接続基台80は、円弧状の第2接触面222を有している。この第2接触面222は、拡大部分Kに示すように、クランプ部材83の第2押圧部83Rと当たる部分であり、第2接触面222と第2押圧部83Rの内面とは、第2接点222Pにおいて当接している。第1接触面221と第2接触面222は、第2光ファイバ102の中心を中心軸とする円弧状に形成されている。
【0042】
図12に示すように、第1接点221Pと第2接点222Pは、共に中心線S1に比べてわずかにW方向にずらして設定されている。しかも、円弧状の第1当接部221と円弧状の第2当接部222を採用しているので、蓋81,82と接続基台80とは、第1接点221Pと第2接点222Pを用いて、クランプ部材83によりクランプされている。
【0043】
従って、第1接点221Pから第2光ファイバ102に加わる力は、矢印C1で示し、第2接点222Pから第2光ファイバ102に加わる力は、矢印C2で示すことができ、矢印C1,C2は、中心線S1に比べてW方向にずれて位置しているので、第2光ファイバ102に加わる力は、中心線S1に沿って正反対方向から負荷を掛けるのに比べて分散することができ、第2光ファイバ102への負荷を効率良く掛けることが可能である。
【0044】
また、図12の拡大部分Rで示すように、蓋81,82と接続基台80の間の空間131に対して、クサビ500を圧入することにより、クランプ部材83は蓋81,82と接続基台80を、内側のハウジング部材88の中で、より確実に固定することができる。
【0045】
図6の示すフェルール200の第1光ファイバ200の第1接続端部201は素線のままむき出しになっているが、この第1接続端部201は非常に欠けやすく、蓋81,82が軸方向Lに沿ってずれることによって顕著に発生することが分かっている。
【0046】
しかし、図12に示すように、本発明の実施形態では、第1接点221Pと第2接点222Pがクサビ500側寄りにずらして設定されているので、力の横成分F1,F2を発生でき、クサビ500を圧入しても蓋81,82が接続基台80に対してずれることなくクランプ部材83により押さえることができる。このため、図6に示すフェルール200の第1光ファイバ200の第1接続端部201と第2光ファイバ100の接続端部110との突き当て状態に余計な力が加わらないので、第1光ファイバ200の第1接続端部201が欠けるのを防止できる。
【0047】
次に、図13〜図16を参照して、光コネクタ10の組立例を説明する。
図13では、光コネクタ10の各構成要素を示しており、外側ハウジング11、プラグフレーム14,光ファイバ接続部材40,内側のハウジング部材88,スプリング63,光ファイバ把持部12を示している。
【0048】
図13では、図9(B)に示すようにして、接続基台89と蓋81,82とクランプ部材83の組立体が、内側のハウジング部材88内に挿入されることで、図14に示すように光ファイバ接続部品40と内側のハウジング部材88の組立体が構成される。
【0049】
そして、図14と図15に示すように、光ファイバ接続部品40と内側のハウジング部材88の組立体が、プラグフレーム14内に挿入して固定される。光ファイバ接続部品40と内側のハウジング部材88の組立体が、光ファイバ把持部12のケース19の接続端部62内に挿入される。
【0050】
ここで、図10に示す要領で、連結部材30のピン31,31が、貫通孔85,85とガイド穴89,89を通過して、接続基台80の凹部99,99内にはまり込む。これにより、図15に示す組立状態から図16に示すような組立状態になり、図6に示すように、光ファイバ接続部品40とフェルール20の組立体と、光ファイバ把持部12とは、連結部材30を用いて連結される。フェルール20が図6のL1方向に押されると、光ファイバ接続部品40とフェルール20と光ファイバ把持部12との組立体は、外側のハウジング11とプラグフレーム14に対して、軸方向Lに沿って連動して移動できる。
【0051】
図16において、プラグフレーム14が外側のハウジング11内には通されると共に、ケース19の上にはケーブル把持部材28が置かれる、その後、カバー13がケース19に対して配置される。
【0052】
このように組み立てられた光コネクタ10は、図6に示すように使用される。
光ケーブル100の外101がケーブル把持部材28に把持され、光ケーブル100の第2光ファイバ102が接続本体部60の通し孔60Hを通過して光ファイバ接続部品40のV溝300に固定される。第2光ファイバ100の先端部110は、フェルール20に内蔵されている第1光ファイバ200の第1端部201に突き当てて接続される。
【0053】
図6において、第1光ファイバ200と第2光ファイバ100の接続作業を現地で行う場合に、フェルール20に対して別の光ファイバを接続する際に、フェルール20がL1方向に押された場合に、このフェルール20のL1方向への移動に連動して、光ファイバ接続部品40とフェルール20の組立体と光ファイバ把持部12との組立体は、図2に示す外側のハウジング11とプラグフレーム14と内側のハウジング部材88に対して、L1方向に移動(後退移動)することができる。つまり、外側のハウジング11とプラグフレーム14と内側のハウジング部材88は固定側であり、光ファイバ接続部品40とフェルール20の組立体と光ファイバ把持部12との組立体は移動側である。
【0054】
従って、光コネクタ10の内部では、第2光ファイバ102の接続端部110と第1光ファイバ200の第1接続端部201との突き当て状態が変わらないので、第2光ファイバ102の撓みが発生しない。その結果、光ファイバの撓みによる光学特性の劣化を防ぐことができる。
【0055】
また、図示例では、例えば図6に示すように、光ケーブル100が光ファイバ把持部12のケーブル把持部材28を用いて把持できるようになっている。しかし、これに限らず光ファイバ把持部12は、ケーブル把持部材28を用いて光ファイバの素線を保持することもできる。従って、図示の光コネクタ10は、外被を有する光ケーブルに限らず、光ファイバ素線の両方の形式の第2光ファイバに対応して、フェルール20に内蔵の第1光ファイバ200を接続できる。1種類の接続基台80を用意するだけで、外被を有する光ケーブルを把持できるばかりでなく、この光ケーブルに代えて光ファイバの素線をも把持することができる。
【0056】
本発明の実施形態の光コネクタ10は、第1光ファイバ200を内蔵したフェルール20と、第2光ファイバ102を把持する把持部12と、フェルール20を一端部側に固定しており第1光ファイバ200と第2光ファイバ102を突き合わせて接続するための光ファイバ接続部品40と、フェルールと光ファイバ接続部品の組立体を付勢力に抗して軸方向Lに移動可能に収容するハウジング部材88と、光ファイバ接続部品40の他端部側と把持部12との間を連結してフェルール20と光ファイバ接続部品40の組立体と把持部12とを連動可能にする連結部材40を備える。
【0057】
これにより、本発明の実施形態の光コネクタ10では、別の光ファイバをフェルールに対して接続する際にフェルールが軸方向に押されたとしても、光ファイバの撓みが生じないようにすることができ、把持部を用いて光ケーブルと光ファイバ素線の両方の接続に適用できる。
【0058】
また、フェルール20と光ファイバ接続部品40の組立体と把持部12は、ハウジング部材88に対して、付勢部材であるスプリング63の付勢力に抗して、軸方向Lに連動して移動可能である。これにより、フェルール20と光ファイバ接続部品40の組立体と把持部12は、スプリング63の力に抗して、ハウジング部材88に対して確実に連動して移動できる。
【0059】
さらに、把持部12は、第2光ファイバ102と第2光ファイバ102を被覆する外被101とを有する光ケーブル100を把持するケーブル把持部材28と、ケーブル把持部材28を載せるケース19と、ケース19を閉じるカバー13とを有する。これにより、把持部12は、光ファイバの素線ではなく光ケーブルであっても把持できる。光ファイバ接続部品40の他端部側とハウジング部材88のストッパー64との間には、付勢部材が配置されている。これにより、付勢部材は光ファイバ接続部品40により確実に付勢力を与えることができる。
【0060】
把持部12は、光ケーブルまたは素線の第2光ファイバを把持する。これにより、光ケーブルまたは素線の第2光ファイバのいずれの形式であっても接続でき、現場での作業が容易になる。
【0061】
図12に示すように、光ファイバ接続部品40は、第2光ファイバ200を保持する接続基台80と、接続基台80に対して対面して配置される蓋81,82と、内側のハウジング部材88内において接続基台80と蓋81,82とを合わせた状態で押圧するクランプ部材83を備える。蓋81,82は第1突起81D、82Dを有し、接続基台80は第2突起80Dを有しており、クランプ部材83に接触する第1突起81D、82Dの接触面とクランプ部材83に接触する第2突起80Dの接触面は、第2光ファイバ102の中心を中心軸とする円弧状に形成されている。これにより、接続基台80と蓋81,82は、第2光ファイバへの負荷を分散することなく、効率良く負荷をかけることができる。
【0062】
図12に示すように、接続基台80と蓋81,82とを内側のハウジング部材88内において固定するために接続基台80と蓋81,82との間に挿入されるクサビ500を有しており、クランプ部材83と第1突起81D、82Dの接触面との第1接点221Pと、クランプ部材83と第2突起80Dの接触面との第2接点222Pは、内側のハウジング部材88の中心線からクサビ500が配置されている位置側にずらされている。これにより、第2光ファイバ102クサビ500がクサビ500側とは反対の方向の力の成分を加えることができ、接続基台80と蓋81,82との間に挿入されても、蓋81,82が接続基台80に対してずれることがない。
【0063】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されず種々の変形例を採用できる。
例えば、図示した光コネクタの各構成要素の形状は、特に限定されない。連結部材30は、対向する2つのピン31,31を有している。連結部材30は1つのピンを有しているのに比べて、2つのピン31,31を有している方が、光ファイバ接続部品40と光ファイバ把持部12の連結を確実に行える。
【0064】
スプリング63はコイルスプリングであるが、他の形状のスプリングであっても良い。
連結部材30は、プラスチック製であるが、金属製であっても良い。クランプ部材83は、断面C字型の金属製の弾性変形可能な板バネであるが、プラスチック製の板バネであっても良い。
【符号の説明】
【0065】
10 光コネクタ
11 ハウジング
12 光ファイバ把持部品
13 カバー
14 プラグフレーム
19 ケース
20 フェルール
28 ケーブル把持部材
30 連結部材
31 ピン
45 接続基台の第2接続端部
60 接続本体部
62 接続本体部の接続端部
63 スプリング(付勢部材)
70 接続基台の第1接続端部
80 接続基台
81,82 蓋
83 クランプ部材
85 貫通孔
88 ハウジング部材
99 凹部
100 光ケーブル
102 第2光ファイバ
200 第1光ファイバ
300 V溝
L 軸方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光ファイバを内蔵したフェルールと、
第2光ファイバを把持する把持部と、
前記フェルールを端部に固定しており、前記第1光ファイバと前記第2光ファイバを突き合わせて接続するための光ファイバ接続部品と、
前記フェルールと前記光ファイバ接続部品の組立体を収容するハウジング部材と、
を備える光コネクタであって、
前記光ファイバ接続部品は、前記第2光ファイバを保持する接続基台と、前記接続基台に対して対面して配置される蓋と、前記ハウジング部材内において前記接続基台と前記蓋とを合わせた状態で押圧するクランプ部材と、を備え、
前記蓋は第1突起を有し、前記接続基台は第2突起を有しており、前記クランプ部材に接触する前記第1突起の接触面と前記クランプ部材に接触する前記第2突起の接触面は、前記第2光ファイバの中心を中心軸とする円弧状であって、
前記クランプ部材と前記第1突起の接触面との第1接点と、前記クランプ部材と前記第2突起の接触面との第2接点は、前記第2光ファイバの中心を含む中心線S1よりも前記クランプ部材のC字形断面の開口側W方向にずらされていて、前記接続基台と前記蓋とが合わさった端部と前記第1接点と前記第2接点とが、前記クランプ部材の内側と当接することで前記接続基台と前記蓋とが固定されることを特徴とする。
【請求項2】
前記接続基台と前記蓋とを前記ハウジング部材内において固定するために前記接続基台と前記蓋との間であって、前記クランプ部材のC字形断面の開口側に挿入されるクサビを有していることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記接続基台の前記蓋と当接する面の中心位置に第2光ファイバをV溝が形成されて、前記V溝に対面する前記蓋の内面は平坦面であることを特徴とする請求項1又は2記載の光コネクタ


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−175286(P2011−175286A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100149(P2011−100149)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【分割の表示】特願2007−318388(P2007−318388)の分割
【原出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】