説明

光コネクタ

【課題】 安全で小型な光コネクタを提供すること。
【解決手段】 多心型の光コネクタ10は、第1の光ファイバ21と、第1の光ファイバ21を保持する第1の保持部材31と、第2の光ファイバ41と、第2の光ファイバ41を保持する第2の保持部材51と、第1の保持部材31と第2の保持部材51とを内部にて位置決めして保持する位置決め部材61と、遮光部材81とを有している。遮光部材81は、出射端面21aと入射端面41aとが離間している場合、光の進行方向において、位置決め部材61の内部且つ出射端面21aの前方に配設され、出射端面21aから出射された光を遮光する。また遮光部材81は、出射端面21aと入射端面41aとが光結合している場合、位置決め部材61の径方向において、第1の保持部材31と位置決め部材61との間に配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を遮光する遮光部材を有する光コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、光を遮光する遮光部材を有する光コネクタが開示されている。この光コネクタにおいて、遮光部材であるシャッタ機構は、スリーブに収納されるフェルールに直接固定されている。シャッタ機構は、フェルール同士が分離し、光ファイバ同士が分離して、光が光ファイバから出射された際に、安全を確保するために、この光を遮光する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−116518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光コネクタを小型化するためには、シャッタ機構は、フェルールと共にスリーブに収納されるように、フェルールの外形以下のサイズに収まる必要がある。
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている光コネクタでは、下記1,2の構成が必須となっている。
1:シャッタ機構がフェルールに固定されるために、シャッタ機構をフェルールに固定するためのスペースがフェルールに必要になること。
2:シャッタ機構はレーザ光を遮光する遮光板をフェルールの径方向に回避する構造を有すること。
この1,2のために、光コネクタは大型化してしまう。また光コネクタを小型にした状態で1,2が実現できたとしても、フェルールの外形に対して、実際にレーザ光を遮光する面積は、非常に小さくなる。
【0006】
言い換えると、大面積のレーザ光を遮光する場合、フェルールの径を大きくする必要があり、光コネクタ全体の小型化を阻害する。
【0007】
また単身のシングルモードファイバのように、遮光する面積が小さい場合は光コネクタを小型化にできる可能性を有している。しかし大径のマルチモードファイバや、多心型の光コネクタでは、大面積を遮光する必要がある。この場合、光コネクタは小型化できない。
【0008】
またこのとき、光コネクタの小型化を確保した状態では、大面積を遮光できず、光が漏れ、安全性を確保できない虞が生じる。
【0009】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、安全で小型な光コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は目的を達成するために、光を出射する出射端面をそれぞれが有する第1の光ファイバと、前記第1の光ファイバを保持する第1の保持部材と、前記出射端面から出射された前記光が入射する入射端面をそれぞれが有する第2の光ファイバと、前記第2の光ファイバを保持する第2の保持部材と、前記出射端面と前記入射端面とが光結合するために、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とを内部にて位置決めして保持する位置決め部材と、前記出射端面と前記入射端面とが離間している場合、前記光の進行方向において、前記位置決め部材の内部且つ出射端面の前方を示す遮光位置に配設され、前記出射端面から出射された前記光を遮光し、前記出射端面と前記入射端面とが光結合している場合、前記位置決め部材の径方向において、前記位置決め部材と前記第1の保持部材との間、または前記位置決め部材と前記第2の保持部材との間を示す退避位置に配設される遮光部材と、を具備すること特徴とする光コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安全で小型な光コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施形態に係り、光結合前の光コネクタの概略図である。
【図1B】図1Bは、光結合後の光コネクタの概略図である。
【図2A】図2Aは、遮光部材の正面図である。
【図2B】図2Bは、図1Aに示す遮光位置における遮光部材の斜視図である。
【図2C】図2Cは、図1Bに示す退避位置における遮光キャップの斜視図である。
【図3A】図3Aは、本発明の第2の実施形態に係り、光結合前の光コネクタの概略図である。
【図3B】図3Bは、本発明の第2の実施形態に係り、光結合後の光コネクタの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1Aと図1Bと図2Aと図2Bと図2Cとを参照して第1の実施形態について説明する。
図1Aに示すように、多心型の光コネクタ10は、図示しない光源から出射された光を導光する第1の導光部材である複数の第1の光ファイバ21と、複数の第1の光ファイバ21を保持する第1の保持部材31と、第1の光ファイバ21によって導光された光をさらに導光する第2の導光部材である複数の第2の光ファイバ41と、複数の第2の光ファイバ41を保持する第2の保持部材51とを有している。
【0014】
第1の光ファイバ21は、光を出射する出射端面21aを一端部に有している。第1の光ファイバ21は、第1の光ファイバ21を保護する樹脂製の被覆層22によって被覆されている。第1の光ファイバ21は、例えばガラスやプラスチックなどである。
【0015】
第1の保持部材31は、ジルコニアやガラスや金属などによって形成されているフェルールである。第1の保持部材31は、第1の光ファイバ21が嵌合または接着する図示しない複数の孔を有している。1つの孔には、1本の第1の光ファイバ21が挿入されて嵌合または接着する。孔は、第1の保持部材31の軸方向において、第1の保持部材31を貫通している。第1の保持部材31は、第1の光ファイバ21の出射端面21aが第1の保持部材31の一端面31bと同一平面上に配設されるように、第1の光ファイバ21を保持している。なおこのとき、出射端面21aと一端面31bとは、同一平面上に位置するように、研磨される。このように第1の保持部材31は、多心型の保持部材である。
【0016】
第1の保持部材31と、第1の光ファイバ21における被覆層22とは、第1の保持部材31の他端面31cにおいて、接着剤32によって固定されている。
【0017】
第1の保持部材31には、一端部31e側が他端部31f側よりも細径となるように、段差部33が形成されている。一端部31e側は、他端部31f側から一端部31e側に向かって縮径している円錐台形状を有している。そのため、一端部31e側には傾斜面33aが側面全体に形成されており、一端部31e側はテーパとなっている。また他端部31f側は、円柱形状を有している。
【0018】
第2の光ファイバ41は、出射端面21aから出射された光が入射する入射端面41aを一端部に有している。第2の光ファイバ41は、第2の光ファイバ41を保護する樹脂製の被覆層42によって被覆されている。第2の光ファイバ41は、例えばガラスやプラスチックなどである。
【0019】
第2の保持部材51は、ジルコニアやガラスや金属などによって形成されているフェルールである。第2の保持部材51は、例えば円柱形状を有している。第2の保持部材51は、第2の光ファイバ41が嵌合または接着する図示しない複数の孔を有している。孔は、第2の保持部材51の軸方向において、第2の保持部材51を貫通している。1つの孔には、1本の第2の光ファイバ41が挿入されて嵌合または接着する。第2の保持部材51は、第2の光ファイバ41の入射端面41aが第2の保持部材51の一端面51bと同一平面上に配設されるように、第2の光ファイバ41を保持している。なおこのとき、入射端面41aと一端面51bは、同一平面上に位置するように、研磨される。第2の保持部材51の外径は、第1の保持部材31の他端部31f側の外径と略同一となっている。このように第2の保持部材51は、多心型の保持部材である。
【0020】
第2の保持部材51と、第2の光ファイバ41における被覆層42とは、第2の保持部材51の他端面51cにおいて、接着剤32によって固定されている。
【0021】
また光コネクタ10は、出射端面21aと入射端面41aとが光結合するために、第1の保持部材31と第2の保持部材51とを内部にて位置決めして保持する位置決め部材61をさらに有している。位置決め部材61は、例えば断面がC字形状の略円筒形状を有している。そのため位置決め部材61には、図示しないスリットが位置決め部材61の長手方向に沿って配設されている。このように位置決め部材61は、円の一部が欠けた割りスリーブとなっている。
【0022】
位置決め部材61には、一端面31bと一端面51bとが位置決め部材61の内部にて当接し、出射端面21aと入射端面41aとが位置決め部材61の内部にて光結合(当接)するように、第1の保持部材31と第2の保持部材51とが光の進行方向において対向した状態で嵌合する。そのため位置決め部材61は、第1の保持部材31と第2の保持部材51とを収納することとなる。位置決め部材61の内径は、第1の保持部材31の他端部31f側の外径と第2の保持部材51の外径と略同一となっている。
【0023】
なお第1の保持部材31の一端部31e側は、上述したように他端部31f側に比べて細径となっている。そのため、第1の保持部材31が位置決め部材61に嵌合した際に、位置決め部材61の径方向において、一端部31e側と位置決め部材61との間には、隙間部71が形成される。この隙間部71は、光結合状態において、後述する遮光部材81を収納する収納部となっており、遮光部材81が退避する退避部となっている。この隙間部71は、遮光部材81が後述する退避位置に移動するために、形成される。
【0024】
また光コネクタ10は、図1Aに示すように出射端面21aと入射端面41aとが離間している場合、光の進行方向において、位置決め部材61の内部且つ出射端面21aの前方に配設され、出射端面21aから出射された光を遮光し、図1Bに示すように出射端面21aと入射端面41aとが光結合している場合、位置決め部材61の径方向において、第1の保持部材31と位置決め部材61との間(隙間部71)に配設される遮光部材81をさらに有している。
【0025】
図1Aと図1Bとに示すように、遮光部材81は、位置決め部材61の内部と第1の保持部材31とに固定されておらず、出射端面21aと入射端面41aとの光結合動作、本実施形態では、第2の保持部材51の位置決め部材61への挿入・抜去動作に連動して、図1Aに示す遮光位置と図1Bに示す退避位置とのいずれかに移動する。このとき遮光部材81は、位置決め部材61の内部に配設され、位置決め部材61の内部を、傾斜面33aと位置決め部材61とに沿って摺動する。言い換えると、遮光部材81は、出射端面21aと入射端面41aとの離間状態、または出射端面21aと入射端面41aとの光結合状態に応じて、これらを摺動する。
【0026】
また遮光部材81は、出射端面21aと入射端面41aとの光結合動作に連動して、図1Aと図2Bとに示すように離間状態(遮光位置)において閉じ、図1Bと図2Cとに示すように光結合状態(退避位置)において開く。
【0027】
出射端面21aと入射端面41aとが図1Bに示す光結合状態から図1Aに示す離間状態に変わると、図1Aに示すように、遮光部材81は、位置決め部材61の内部において、第2の保持部材51に向かって傾斜面33aと位置決め部材61とを摺動して、出射端面21aから出射された光を遮光するように閉じ、出射端面21aの前方に配設される。この位置を、遮光部材81の遮光位置と称する。
【0028】
また、出射端面21aと入射端面41aとが図1Aに示す離間状態から図1Bに示す光結合状態に変わると、図1Bに示すように、遮光部材81は、位置決め部材61の内部において、隙間部71に向かって傾斜面33aと位置決め部材61とを摺動し開き、第1の保持部材31と位置決め部材61との間、つまり隙間部71に退避する。この位置を遮光部材81の退避位置と称する。このとき位置決め部材61に固定されている第1の保持部材31の一端部31eは、図1Bと図1Cとに示すように、移動して開いた遮光部材81に挿し込まれる。
【0029】
このように、遮光部材81は、出射端面21aと入射端面41aとの離間状態と光結合状態とに連動して、図1Aに示す遮光位置と図1Bに示す退避位置とのいずれかに移動し、移動と共に開閉する。遮光部材81は、第2の保持部材51によって第1の保持部材31に向かって押し込まれることで遮光位置から退避位置に移動し、第2の保持部材51が遮光部材81から離れることで退避位置から遮光位置に移動する。
【0030】
このような遮光部材81は、開閉するために弾性変形可能な例えばリン青銅やニッケルやSUSといった金属の薄板によって形成されている。また出射端面21aと入射端面41aとが光結合状態から離間状態に変わった際に、遮光部材81は、上述したように弾性変形可能であるため、退避位置から遮光位置に戻る復元力を有している。遮光部材81は、例えばプレス加工によって形成される。
【0031】
次に遮光部材81の構造について図2Aと図2Bと図2Cとを参照して説明する。
遮光部材81は、底面82を有する中空形状例えば円筒形状を有している。底面82は、第1の保持部材31側に配設されている。底面82は、底面82から遮光部材81の内部(第2の保持部材51側)に向かって略半球形状に隆起している隆起部83を底面82の例えば中央に有している。隆起部83は遮光部材81の内部に配設されており、隆起部83の頂点(後述する蓋部材84の先端部84a)は遮光部材81の側面85の端部85aよりも底面82側に位置している。
【0032】
隆起部83は、第2の保持部材51の位置決め部材61への挿入・抜去動作に連動して、開閉する。このとき隆起部83は、第2の保持部材51の抜去動作に連動して出射端面21aから出射された光を遮光するために、閉じて遮光位置に配設される。また隆起部83は、第2の保持部材51への挿入動作に連動して、出射端面21aを露出するように開いて退避位置に配設される。
【0033】
また遮光部材81の側面85において、側面85の外径は、位置決め部材61の内径と略同一である。遮光部材81が位置決め部材81の内部に配設される際、側面85は、位置決め部材61の長手方向に沿って位置決め部材61の内周面を摺動可能に、当接する。
【0034】
次に隆起部83の構造について図2Aと図2Bと図2Cとを参照して説明する。
隆起部83は、正面から見た際にそれぞれが略扇形形状を有し、遮光部材81の周方向において隣り合うことで正面から見た際に略円形形状を有する例えば8枚の板状の蓋部材84によって形成される。蓋部材84は、蓋部材84の根元部分において底面82と一体となっている。図2Aに示すように、蓋部材84同士は、正面から見た際に、遮光位置において、遮光部材81の周方向において互いに離れて配設されている。つまり一方の蓋部材84は、遮光部材81の周方向において隣に配設されている他方の蓋部材84と微小に離れている。よって、蓋部材84の間には、隙間部87が形成される。このとき蓋部材84の各先端部84aは、互いに微小に離れている。
【0035】
蓋部材84は、根元部分を支点として、離間状態(遮光位置)において閉じ、光結合状態(退避位置)において開く。また蓋部材84の各先端部84aは、蓋部材84が開いた際に互いに離れ、蓋部材84が閉じた際に互いに近づく。
【0036】
蓋部材84は、図1Aに示す離間状態(遮光位置)において閉じることで図1Aと図2Bとに示すような略半球形状の隆起部83を形成する。このとき蓋部材84は、出射端面21aの前方に配設され、且つ光軸に斜行する方向に沿って配設され、出射端面21aを含む一端面31bと傾斜面33aとをキャップするように覆う。言い換えると、隆起部83は、一端面31bと傾斜面33aとに嵌め込まれ、一端面31bと傾斜面33aとを例えば略半球形状に覆う。これにより蓋部材84は、出射端面21aから出射された光を遮光する。
【0037】
また蓋部材84は、図1Aに示す遮光位置から図1Bに示す退避位置に移動する際に、各先端部84aが互いに離れるように開く。そして蓋部材84を含む遮光部材81は、図1Bに示す光結合状態(退避位置)において、隙間部71に退避して光軸方向に沿って配設される。このように蓋部材84は、根元部分を支点として光軸に斜行する方向から光軸方向に沿うように、開く。
【0038】
なお遮光部材81が図1Aに示す遮光位置と図1Bに示す退避位置とのいずれかに移動する際、蓋部材84は傾斜面33aを摺動し、側面85は位置決め部材61を摺動する。
【0039】
また遮光部材81は、遮光位置において、図2Aに示すように、出射端面21aが周方向において蓋部材84と蓋部材84との間の隙間部87に対向せず蓋部材84自体に対向するように、周方向において位置決めされている。そのため、例えば位置決め部材61は、周方向における遮光部材81を位置決めし、遮光部材81の回転を防止する図示しない回転防止機構を有していても良い。
【0040】
なお図1Aに示す離間状態において、図1Aと図2Aとに示すように8枚の板状の蓋部材84が円形形状を形成する際、この略円形の大きさは、蓋部材84が上述したようにキャップし、蓋部材84が傾斜面33aを摺動するために、一端面31bよりも大きく、一端部31eの径方向における一端部31eの根元側の大きさよりも小さくなっている。
【0041】
また光コネクタ10は、離間状態において、退避位置から遮光位置に遮光部材81を移動させるために、遮光位置に向かって遮光部材81を付勢する付勢部材91を有している。付勢部材91は、例えばバネである。この場合、付勢部材91は、隙間部71に配設され、一端部31e側を第1の保持部材31の周方向に沿って券回している。付勢部材91は、遮光部材81よりも他端部31f側に配設されており、底面82に当接する。
【0042】
また付勢部材91は、遮光部材81が第2の保持部材51によって隙間部71に押し込まれて退避位置に移動した際に、遮光部材81によって押圧されて縮む。また付勢部材91の付勢力は、第2の保持部材51が位置決め部材61に嵌合した際、第2の保持部材51と位置決め部材61とに生じる摩擦力よりも小さい。
【0043】
なお位置決め部材61は、離間状態において、遮光部材81が付勢部材91の付勢力によって位置決め部材61から抜け落ちないような長さを有している。または位置決め部材61は、遮光部材81が付勢部材91の付勢力によって位置決め部材61から抜け落ちることを防止する図示しない抜け落ち防止機構を有している。
【0044】
また隙間部71は、図1Bに示す光結合状態において、及び位置決め部材61の長手方向において、遮光部材81と、縮んだ付勢部材91とが収納され、遮光部材81の端部85aが第1の保持部材31の一端面31bと同一平面に位置する長さを有している。
【0045】
次に本実施形態の動作方法について説明する。
図1Aに示すように、第1の保持部材31は、複数の第1の光ファイバ21を保持した状態で、位置決め部材61に挿入され嵌合する。これにより位置決め部材61の径方向において、隙間部71が一端部31e側と位置決め部材61との間に形成される。隙間部71には、一端部31e側を第1の保持部材31の周方向に沿って券回するように、付勢部材91が配設される。このとき第2の保持部材51は位置決め部材61に嵌合しておらず、出射端面21aと入射端面41aとは離間している。
【0046】
遮光部材81は、位置決め部材61の内部に配設される。また遮光位置において、出射端面21aが蓋部材84自体に対向するように、遮光部材81は周方向において位置決めされる。
【0047】
このとき遮光部材81において、蓋部材84は根元部分を支点として閉じており、これにより隆起部83が形成される。隆起部83は、出射端面21aを含む一端面31bと傾斜面33aとをキャップするように覆う。言い換えると、隆起部83は、一端面31bと傾斜面33aとに嵌め込まれ、一端面31bと傾斜面33aとを例えば略半球形状に覆う。
【0048】
またこのとき、蓋部材84は、上述した位置決めによって必ず出射端面21aに対向するため、出射端面21aから出射された光を遮光する。なお本実施形態では、遮光部材81は、出射端面21aが蓋部材84に対向するように、周方向に位置決めされている。そのため、遮光部材81は、出射端面21aから出射された光が隙間部87から漏れることを、防止する。
【0049】
また遮光部材81は、位置決め部材61によって、付勢部材91の付勢力によって位置決め部材61から抜け落ちることを防止されている。よって遮光部材81は、上述したように周方向に位置決めされた状態で、遮光状態を確実に維持する。
【0050】
次に第2の保持部材51は、図1Bに示すように、出射端面21aと入射端面41aとが光結合するために、複数の第2の光ファイバ41を保持した状態で、位置決め部材61に挿入され嵌合する。
【0051】
遮光部材81は、第2の保持部材51の挿入動作に連動して、位置決め部材61の内部を隙間部71に向かって傾斜面33aと位置決め部材61とに沿って摺動し、開く。詳細には、遮光部材81の端部85aが第2の保持部材51の一端面51bに当接し、遮光部材81が第2の保持部材51によって押し込まれ、遮光位置から退避位置に移動する。このとき、側面85は隙間部71に向かって位置決め部材61の長手方向に沿って位置決め部材61を摺動し、蓋部材84は隙間部71に向かって傾斜面33aを摺動する。
【0052】
またこのとき、遮光部材81は、円筒形状を有した状態で第1の保持部材31に対して第1の保持部材31の一端面31bの平面(径)方向にスライドするのではない。本実施形態では、遮光部材81は、第2の保持部材51によって第1の保持部材31に向かって押し込まれる。このとき蓋部材84(隆起部83)は、位置決め部材61に固定されている第1の保持部材31の一端面31bと当接し、一端面31bに向かって押し込まれることで、根元部分を支点として開く。またこのとき蓋部材84は、図1Bに示す光結合状態において各先端部84aが互いに離れるように開く。そして第1の保持部材31の一端部31eは、開いた遮光部材81に挿し込まれる。このとき蓋部材84は、開いた状態で傾斜面33aを摺動する。そして蓋部材84を含む遮光部材81は、隙間部71に退避して光軸方向に沿って配設される。
【0053】
また付勢部材91は、遮光部材81によって押圧され縮む。このとき、少なくとも遮光部材81の端部85aは、位置決め部材61の長手方向における隙間部71の長さによって、第1の保持部材31の一端面31bと同一平面上に位置する。よって、位置決め部材61の長手方向において、遮光部材81の端部85aが、第1の保持部材31の一端面31bよりも第2の保持部材51の一端面51b側に突出した状態で、第2の保持部材51の一端面51bに当接することが防止される。これにより、第1の保持部材31の一端面31bと第2の保持部材51の一端面51bとが突出した遮光部材81の端部85aによって当接しないことが防止され、出射端面21aと入射端面41aとの光結合を阻害することが防止される。つまり第1の保持部材31の一端面31bと第2の保持部材51の一端面51bとは当接し、出射端面21aと入射端面41aとは光結合する。
【0054】
また付勢部材91の付勢力は第2の保持部材51と位置決め部材61とに生じる摩擦力よりも小さいため、第2の保持部材51が遮光部材81を隙間部71に固定することとなる。これにより、光結合状態は維持される。
【0055】
また第1の保持部材31の一端面31bと第2の保持部材51の一端面51bとが離間し、出射端面21aと入射端面41aとの光結合が解除され、第2の保持部材51が位置決め部材61から抜去されると、付勢部材91は、遮光部材81が退避位置から遮光位置に移動するように、遮光位置に向けて遮光部材81を付勢する。また遮光部材81は、遮光部材81の復元力によっても、退避位置から遮光位置に移動する。これにより遮光部材81は、位置決め部材61の内部を傾斜面33aと位置決め部材61とに沿って第2の保持部材51に向かって摺動し、出射端面21aの前方に配設され、閉じて出射端面21aから出射された光を遮光する。
【0056】
このとき上述したように、遮光部材81において、側面85は第2の保持部材51に向かって位置決め部材61の長手方向に沿って位置決め部材61を摺動し、蓋部材84は第2の保持部材51に向かって傾斜面33aを摺動し同時に根元部分を支点として閉じる。これにより隆起部83が形成される。隆起部83は、出射端面21aを含む一端面31bと傾斜面33aとをキャップするように覆う。言い換えると、隆起部83は、一端面31bと傾斜面33aとに嵌め込まれ、一端面31bと傾斜面33aとを例えば略半球形状に覆う。
【0057】
またこのとき、上述したように、蓋部材84は、上述した位置決めによって必ず出射端面21aに対向するため、出射端面21aから出射された光を遮光する。なお本実施形態では、遮光部材81は、出射端面21aが出射端面21aに対向するように、周方向に位置決めされている。そのため、遮光部材81は、出射端面21aから出射された光が蓋部材84と蓋部材84との間の隙間部87から漏れることを、防止する。
【0058】
このように本実施形態では、遮光部材81を位置決め部材61の内部と第1の保持部材31とに固定せず、出射端面21aと入射端面41aとの光結合動作(第2の保持部材51の位置部材への挿入・抜去動作)に連動して、出射端面21aの前方を示す遮光位置と、隙間部71である退避位置と、のいずれかに遮光部材81を移動させている。また本実施形態では遮光部材81を、隙間部71において、光軸方向に沿って配設している。このとき本実施形態では、付勢部材91の付勢力を第2の保持部材51と位置決め部材61とに生じる摩擦力よりも小さくしているため、第2の保持部材51によって遮光部材81の位置を隙間部71に固定している。
よって、本実施形態では、遮光部材81を第1の保持部材31に固定しないために、固定するためのスペースや遮光時における固定機構を第1の保持部材31に配設する必要が無い。
また本実施形態では、光結合状態において、遮光部材81を第1の保持部材31に対して第1の保持部材31の一端面31bの平面(径)方向にスライドさせるのではない。本実施形態では、遮光部材81を第2の保持部材51によって押し込み、蓋部材84(隆起部83)を位置決め部材61に固定されている第1の保持部材31の一端部31eに当接させ、蓋部材84を一端部31eに押し込み開き、遮光部材81を隙間部71において光軸方向に沿って配設している。よって本実施形態では、遮光部材81を径方向に回避する構造及びスペースを不要にできる。
これにより本実施形態では、光コネクタ10を小型にできる。
【0059】
また本実施形態では、上述したように光コネクタ10を小型にしても、遮光部材81を出射端面21aの前方に配設でき、また複数の光ファイバを第1の保持部材31が保持していても、遮光部材81(隆起部83)によって一端面31bと傾斜面33aとを例えば略半球形状に覆うことができる。よって本実施形態では、単身のシングルモードファイバや大径のマルチモードファイバや多心型の光コネクタ10であっても、光の漏れを防止でき、光コネクタ10を安全にできる。
【0060】
また本実施形態では、第2の保持部材51の位置決め部材61への挿入・抜去動作に連動して、遮光部材81を遮光位置と退避位置とのいずれかに移動できる。よって本実施形態では、遮光部材81を移動させる専用の機構を不要にでき、光結合動作と同時に遮光部材81を退避位置に移動でき、光結合を解除すると同時に遮光部材81を遮光位置に移動できる。
【0061】
また本実施形態では、蓋部材84同士を遮光位置において遮光部材81の周方向において互いに離して配設し、隙間部71を形成することで、隆起部83における剛性を低くでき、蓋部材84を容易に開閉できる。
【0062】
また本実施形態では、段差部33によって遮光部材81を退避位置に退避させることができ、光コネクタ10を小型にできる。
【0063】
また本実施形態では、遮光部材81の復元力と、付勢部材91と、一端部31e側に形成されている傾斜面33aとによって、遮光部材81の退避位置から遮光位置への移動を補助することができ、安全性をさらに確保することができる。
【0064】
また本実施形態では、出射端面21aが蓋部材84に対向するように、遮光部材81を周方向に位置決めしているために、出射端面21aから出射された光が隙間部87から漏れることを防止でき、光を蓋部材84によって遮光できる。
【0065】
また本実施形態では、第1の保持部材31に対して複雑な加工は必要とせず、遮光部材81によって、簡単且つ素早く光を遮光できる。
【0066】
また本実施形態では、側面85の外径を位置決め部材61の内径と略同一にし、側面85を位置決め部材61の内周面に当接させているため、図1Bに示す光結合状態において、遮光部材81が付勢部材91によって付勢力されても、当接力によって遮光部材81を隙間部71に収納することができ、確実に光結合状態を維持できる。またこれにより本実施形態では、一端面31bの平面方向における遮光部材81の位置ずれをより確実に防止できる。なお付勢部材91の付勢力が第2の保持部材51と位置決め部材61とに生じる摩擦力よりも小さく、光結合状態を維持できれば、側面85の外径は、位置決め部材61の内径よりも小さくても良い。
【0067】
なお本実施形態では、蓋部材84の枚数は、複数枚であればよい。また本実施形態では、蓋部材84を正面から見た際に、円形形状としたが、これに限定する必要は無く、例えば正六角形や正八角形であってもよい。
【0068】
また本実施形態では、第1の保持部材31の構成と第2の保持部材51の構成とが逆であっても良い。
また本実施形態では、第1の保持部材31は複数の第1の光ファイバ21を保持し、第2の保持部材51は複数の第2の光ファイバ41を保持しているが、これに限定する必要は無い。第1の保持部材31と第2の保持部材51とは、光ファイバを単数保持していてもよい。
【0069】
また本実施形態では、第1の保持部材31を第2の保持部材51よりも先に位置決め部材61に挿入して嵌合したが、これに限定する必要はなく、第2の保持部材51を第1の保持部材31よりも先に位置決め部材61に挿入して嵌合してもよいし、これらを同時に位置決め部材61に挿入して嵌合してもよい。
【0070】
次に、本発明に係る第2の実施形態について図3Aと図3Bとを参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一の構成については、第1の実施形態と同一の参照符号を付すことにより説明を省略する。
本実施形態の第1の保持部材31には、一端部31e側が他端部31f側よりも細径となるように、段差部33が形成されている。一端部31e側は円柱形状を有し、他端部31f側は一端部31e側よりも太い円柱形状を有している。
【0071】
遮光部材81の側面85は、一端部31eに挿し込まれ一端部31eと係合している。また底面82は第2の保持部材51側に配設されており、隆起部83は、第2の保持部材51側から第1の保持部材31側に向かって隆起している。
【0072】
また本実施形態の第2の保持部材51は、第1の実施形態の第1の保持部材31と同じ構成を有している。つまり第2の保持部材51には、一端部51e側が他端部51f側よりも細径となるように、段差部53が形成されている。一端部51e側は、他端部51f側から一端部51e側に向かって縮径している円錐台形状を有している。そのため、一端部51e側には、傾斜面53aが側面全体に形成されている。また他端部51f側は、円柱形状を有している。
【0073】
位置決め部材61の内径は、第1の保持部材31の他端部31f側の外径と第2の保持部材51の他端部51f側の外径と略同一となっている。
【0074】
第2の保持部材51が位置決め部材61に嵌合した際に、位置決め部材61の径方向において、一端部51e側と位置決め部材61との間には、隙間部71が形成される。また付勢部材91は、例えばバネであり、隙間部71に配設され、一端部51e側を第1の保持部材31の周方向に沿って券回している。付勢部材91は、遮光部材81よりも他端部51f側に配設されている。
【0075】
本実施形態の動作方法は、第1の実施形態と略同様である。なお本実施形態では、退避位置は、位置決め部材61の径方向において、位置決め部材61と第2の保持部材51との間を示す。
【0076】
これにより本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また本実施形態では、遮光部材81を一端部31eに係合させているために、一端面31bの平面方向における遮光部材81の位置ずれをより確実に防止できる。これにより本実施形態では、安全性をより高めることができる。
【0077】
また本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0078】
10…光コネクタ、21…第1の光ファイバ、21a…出射端面、31…第1の保持部材、41…第2の光ファイバ、41a…入射端面、51…第2の保持部材、61…位置決め部材、71…隙間部、81…遮光部材、82…底面、83…隆起部、84…蓋部材、85…側面、85a…端部、87…隙間部、91…付勢部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する出射端面をそれぞれが有する第1の光ファイバと、
前記第1の光ファイバを保持する第1の保持部材と、
前記出射端面から出射された前記光が入射する入射端面をそれぞれが有する第2の光ファイバと、
前記第2の光ファイバを保持する第2の保持部材と、
前記出射端面と前記入射端面とが光結合するために、光結合前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とを内部にて位置決めして保持する位置決め部材と、
前記出射端面と前記入射端面とが離間している場合、前記光の進行方向において、前記位置決め部材の内部且つ出射端面の前方を示す遮光位置に配設され、前記出射端面から出射された前記光を遮光し、前記出射端面と前記入射端面とが光結合している場合、前記位置決め部材の径方向において、前記位置決め部材と前記第1の保持部材との間、または前記位置決め部材と前記第2の保持部材との間を示す退避位置に配設される遮光部材と、
を具備すること特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とのどちらか一方が位置決め部材に位置決めされている状態において、前記遮光部材は、前記位置部材への他方の挿入・抜去動作に連動して前記遮光位置と前記退避位置とのいずれかに移動すること特徴とする請求項1に記載の光コネクタ。
【請求項3】
前記遮光部材は、底面を有する中空形状を有し、
前記底面は、
前記他方の抜去動作に連動して前記出射端面から出射された前記光を遮光するために、閉じて前記遮光位置に配設され、
前記他方の挿入動作に連動して、前記出射端面を露出するように開いて前記退避位置に配設される隆起部を有していることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項4】
前記隆起部は、根元部分において底面と一体となっている複数の蓋部材を有し、
前記蓋部材は、前記遮光位置において閉じることで略半球形状の前記隆起部を形成し、前記遮光位置から前記退避位置に移動する際に開いて光軸方向に沿って配設されることを特徴とする請求項3に記載の光コネクタ。
【請求項5】
前記蓋部材同士は、前記遮光位置において、前記遮光部材の周方向において互いに離れて配設されていることを特徴とする請求項4に記載の光コネクタ。
【請求項6】
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とのどちらか一方において、前記遮光部材が前記退避位置に移動するために、前記一方の一端部側が前記一方の他端部側よりも細径となるように、段差部が前記一方に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項7】
前記一端部側には、傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の光コネクタ。
【請求項8】
前記遮光部材は、前記退避位置から前記遮光位置に戻る復元力を有していることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ。
【請求項9】
前記出射端面と前記入射端面とが離間している場合、前記退避位置から前記遮光位置に前記遮光部材を移動させるために、前記遮光位置に向かって前記遮光部材を付勢する付勢部材を有していることを特徴とする請求項2に記載の光コネクタ。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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