説明

光スイッチを通る電流漏れの検出

【課題】光スイッチの故障により、漏電流が患者の体内に流れることを防ぐ。
【解決手段】光スイッチをテストする装置は、電源と光スイッチの入力部との間に接続する第1の検出抵抗器と、光スイッチの出力部に接続する第2の検出抵抗器とを含む。テスト回路が、第1の検出抵抗器を流れる第1の電流および第2の検出抵抗器を流れる第2の電流を検出するように接続され、第1の電流と第2の電流との間の関係に応答してテスト信号を生成する。制御装置は、テスト信号を受信するように接続され、テスト信号が事前に設定された限界値を超えると保護動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の技術分野〕
本発明は、概して電子回路および機器に関し、特に機器のテストおよび安全に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
光スイッチ(オプトアイソレータまたはオプトカプラーとも言う)は、短い光伝送経路を用いて、回路の要素を電気的に絶縁しながら、その要素間で信号を伝送する。光スイッチは、医療機器において、機器の回路から患者の体への電流漏れを防止するために使用される。光スイッチは、高電圧下であってもほとんど漏電しないと考えられている。しかし、光スイッチが故障すると、高い漏電流が患者に流れる場合がある。漏電流が心カテーテルを流れると、例えば致死的な結果をもたらす可能性がある。
【0003】
〔発明の概要〕
本発明の発明者によれば、医療機器への装備前に事前テストを行って認証された光スイッチであっても、機器の操作時に故障する可能性が残る。機器が患者の体に接触しているとき、このような故障からの保護が極めて重要になり得る。本発明の実施形態において、このような故障を確実に検出するために、テスト回路が医療機器に付け加えられる。テスト回路は、光スイッチを通る漏電流を示すテスト信号を出力する。制御装置は、信号を受信し、信号が事前に設定された限界値を超えると、保護動作を実行する。
【0004】
いくつかの実施形態において、機器を人体に接触させる前に、較正段階においてテスト信号を測定する。この較正テスト信号は、機器の実操作時に生成されるテスト信号を監視する際に、制御装置が使用する限界値の設定に使用される。較正工程は、異なる部品および異なる機器の間の差を補完する上で役立つ。較正工程によって、高価で高精度な部品をテストおよび測定回路に使用することなく、漏電の高感度検出および制御が容易となる。
【0005】
そこで、本発明の実施形態による光スイッチをテストする装置が提供される。この装置は、電源と前記光スイッチの入力部との間に接続された第1の検出抵抗器と;光スイッチの出力部に接続された第2の検出抵抗器と;第1の検出抵抗器を流れる第1の電流および第2の検出抵抗器を流れる第2の電流を検出し、第1の電流と第2の電流との間の関係に応答してテスト信号を生成するように接続されたテスト回路と;テスト信号を受信し、テスト信号が事前に設定された限界値を超えると、保護動作を実行するように接続された制御装置と、を備える。
【0006】
開示された実施形態において、光スイッチは、患者の体への電流漏れを防止するために、医療機器において使用される。テスト回路および制御装置は、医療機器が人体と接触しているときに保護動作を実行するように、医療機器に装備される。典型的には、制御装置は、医療機器が体と接触していないときに行われる較正段階において、テスト信号を測定することにより、限界値を決定するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態において、保護動作は、電源を光スイッチから遮断することを含む。ある実施形態において、制御装置は、テスト信号が限界値を超えたと判断すると、カウンタを増加させ、カウンタが事前に設定された閾値に達すると、光スイッチを電源から遮断するように構成される。制御装置は、テスト信号が限界値より低いと判断すると、カウンタを減少させるように構成することができる。
【0008】
開示された実施形態において、この装置は、電源ならびに第1および第2の検出抵抗器を、複数の光スイッチの各々と接続させるように構成された多重回路を備え、制御装置が、多重回路によって選択された光スイッチの各々によるテスト信号を評価するように構成される。多重回路は、光スイッチの多数の対の各々を、電源ならびに第1および第2の検出抵抗器と同時に接続させることにより、テスト回路が、対の各々について第1および第2の電流を検出するように構成することができ、制御装置が、各対によるテスト信号を評価するように構成することもできる。
【0009】
ある実施形態において、テスト回路は、第1の検出抵抗器をはさんで接続される第1の差動増幅器であって、第1の出力部を有する第1の差動増幅器と、第2の検出抵抗器を通して接続される第2の差動増幅器であって、第2の出力部を有する第2の差動増幅器と、第1および第2の出力部を通して接続される第3の差動増幅器であって、第1の電流と第2の電流との間の差に応答してテスト信号を生成する第3の差動増幅器と、を備える。
【0010】
また、本発明の実施形態によれば、医療機器の光スイッチをテストする方法が提供され、この方法は、較正段階の間、光スイッチの入力部へと流れる第1の電流と、光スイッチの出力部から流れる第2の電流との間の第1の関係を測定し、第1のテスト信号を、第1の関係に応答して生成することと;第1のテスト信号に応答して、光スイッチを通る漏電流に対する限界値を設定することと;医療機器を患者の体に接触する状態で操作する間に、光スイッチの入力部へと流れる第1の電流と、光スイッチの出力部から流れる第2の電流との間の第2の関係に応答して、第2のテスト信号を生成することと;第2のテスト信号が前記限界値を超えると、保護動作を実行することと、を含む。
【0011】
本発明は、後述する本発明の実施形態の詳細な説明を、添付図面と併せて読むことによって、より十分に理解されるであろう。
【0012】
〔実施形態の詳細な説明〕
図1は、本発明の実施形態による、患者22を治療する侵襲性医療システム20の概略図であり、図解したものである。このシステムは、本発明の用途の理解を助けるための例として示すものである。しかし、本発明の原理は、このような特定の種類のシステムに何ら限定されるものではなく、患者の体に接触するほぼあらゆる種類の電気医療機器と共に利用することができる。後述するオプトアイソレータのテスト用回路および技術は、オプトアイソレータを電気的な絶縁のために利用する他のタイプの機器およびシステムにも、適応可能である。
【0013】
システム20のオペレータ26は、カテーテル28を患者22の心臓24に挿入する。この例では、カテーテルの遠位端(図1左側挿入図の心臓内に示す)が、複数の電極30を備える。電極は、心臓を診断する過程で使用され、オペレータがコンソール32を通して制御する。コンソール(図の右側挿入図に示す)では、刺激装置34が刺激信号を生成し、刺激信号は個々の光スイッチ36を通して電極30(EL1、EL2、…と表記)に送られる。任意の適したタイプの光スイッチ、例えばマサチューセッツ州ベバリーのクレア社(Clare Inc. )製造の機器CPC1018Nが、システム20において使用可能である。
【0014】
デジタル制御装置38が、光スイッチの操作を制御する。制御装置38は、典型的にはマイクロプロセッサを備える。マイクロプロセッサは、適切な入出力インターフェースを有し、ソフトのプログラムによって本明細書に記載した機能を実行する。代わりに、またはこれに加えて、制御装置38は、専用のまたはプログラム可能なデジタル論理回路を備えることもできる。
【0015】
図2は、本発明の実施形態による回路ダイアグラムの概略図であり、コンソール32の光スイッチ回路40をさらに詳細に示す。図2の構成においては、電極30が刺激装置34からの負入力(negative input)と接続するように、1組の光スイッチ36(図左側)が接続され、電極が刺激装置からの正入力(positive input)と接続するように、他の光スイッチ(図右側)の組が接続される。光スイッチは、多重回路52および54によって選択される。光スイッチを適切に選択することにより、電極30を、単極または双極の刺激モードのいずれかで起動することができる。このような光スイッチおよび付属回路の構成は、単なる例示に過ぎず、本発明の原理は、1つまたは複数の光スイッチを絶縁のために使用する任意の種類の回路をテストするために実施することが可能である。
【0016】
電源42は、ブレーカスイッチ44ならびに限流抵抗器(R2,R3)48および50を通して、光スイッチ36に電力を供給する。入力検出抵抗器(R1)46が、電源42と光スイッチ入力部との間に接続され、出力検出抵抗器(R4)56が、光スイッチ出力部と地面との間に接続される。典型的には、これらの抵抗器は、標準的で安価な部品であり、検出可能な漏電流レベルに対応した範囲の抵抗を有する。例えば、1つの実施態様において、本発明の発明者は、33.2Ωおよび精度1%の検出抵抗器を用いて、10μAの漏電流が電圧を約330μV低下させるようにした。本明細書で後述する較正工程により、回路40に高価な高精度抵抗器を使用する必要なく、制御装置38が、光スイッチを通る漏電流の変化を高い感度で検出することが可能である。
【0017】
光スイッチを通る漏電流が存在しない場合、抵抗器46を通る電流は、抵抗器56を通る電流に等しい。これらの電流は各々、テストポイント58および60の間における電圧降下、ならびにテストポイント62および地面の間における電圧降下と比例する。これら2つの電圧降下の関係に何らかの大きな変化が生じた場合、光スイッチの1つまたは複数が故障していることを示している可能性がある。
【0018】
図3は、本発明の実施形態による回路ダイアグラムの概略図であり、回路40における光スイッチ36の漏電流を検出するために使用する、テスト回路70を示す。回路70は、1組の差動増幅器72および74、例えば計装用増幅器を備える。増幅器72の差動入力は、テストポイント58および60と接続し(図2)、増幅器74の差動入力は、テストポイント62および地面と接続する。増幅器72および74は各々、検出抵抗器46および56を流れる電流に比例した信号を出力する。これらの信号が別の差動増幅器76に入力されると、差動増幅器76は、検出抵抗器を流れる各電流の差に比例した信号を出力する。アナログ/デジタル変換器(ADC)78は、出力信号をデジタル化し、制御装置38は、デジタル化された結果を処理して、漏電の可能性を検出する。
【0019】
前述の実施態様において、例えば(33.2Ωの検出抵抗器によって)本発明の発明者は、増幅器72、74、および76の効果係数(gain factor)を20と設定し、合計増幅値を400とした。つまり、10μAの漏電流が、増幅器76の出力部において132mVの信号を発生する。この信号が、感度1ビット/mVに設定した12ビットのADCに送られる。ただし、本明細書に記載したこれらのパラメータ値は、例示のためにのみ示すものであり、システムおよび用途上の必要に応じて、異なるパラメータを代わりに使用することもできる。
【0020】
別の実施形態(図示せず)において、別個の検出抵抗器およびテスト回路を、負入力の光スイッチ(多重回路52に接続)のグループおよび正入力の光スイッチ(多重回路54に接続)のグループに使用することができる。このような手法はシステムをいくらか複雑にするが、漏電が生じた光スイッチの正確な特定が可能な点で有益である。
【0021】
図4は、本発明の実施形態によるフローチャートであり、回路40に設けたテスト回路70による較正測定方法を概略的に示す。この較正工程は、典型的にはシステム20の電源を入れた後で行うが、システムのいずれかの部分を患者22と接触させる前に行う。この工程は、例えば、工場で一度だけ行ってもよく、システム20の電源を入れるたびに起動処理の一部として行ってもよい。較正工程は、図5を参照して後述するように、回路40接続時のテスト回路70の実出力値をチェックし、この出力値を利用して、この後に回路の光スイッチを監視するための限界値を設定する。較正工程により、制御装置38はシステム20の操作中に、回路40の電気部品が非精密であるにも関わらず、回路40の光スイッチを通る漏電流の小さな変化を、典型的には電源42によって発生する電流の0.2%のオーダー(例えば、5mAの電流が発生すると、漏電流10μAの変化)で検出することができる。
【0022】
最初に、制御装置38は、基準測定ステップ80において、回路40に光スイッチ36を1つも選択しない状態で、回路70の出力を測定する。つまり、制御装置が、多重回路52および54の光スイッチを全て電源42から遮断した状態で、ADC78が出力したデジタル信号を記録する。制御装置はこの測定値を用いて、実操作時に回路40を監視する際に使用する基準電流の限界値を設定する。
【0023】
次に、電流の個別測定ステップ82において、多重回路は各々光スイッチを選択し、制御装置は各光スイッチについて回路70からの出力信号を測定する。
【0024】
さらに、多重回路は光スイッチの対を選択する。すなわち、対測定ステップ84において、多重回路52は、負側の光スイッチを1つ選択し、多重回路54は、正側の光スイッチを1つ選択する。制御装置は、光スイッチの各対について、回路70からの出力信号を測定する(ただし、前述した別の実施形態において、別個のテスト回路を光スイッチの正および負のグループについて使用する場合は、ステップ84は省略する)。
【0025】
ステップ80、82、および84における測定値を基に、限界値設定ステップ86において、制御装置38は、ランタイム監視で使用する限界電流値を設定する。基準限界値の設定は、例えば、ステップ80において回路70で所定の測定時間にわたり測定した検出抵抗器46および56間の基準電流差の平均を取った後、平均の上下に所定の幅を設けることによって行う。この幅は、偏差を検出する際の望ましい感度に応じて、予期される誤認警報の煩わしさとのバランスを考慮して設定する。本発明の発明者によれば、幅を約10μAとすることで良好な結果が得られた。概して、光スイッチ個別の漏電流についての限界値は、ステップ82において、光スイッチ個別の測定結果全ての平均値をとった後、適切な幅を加算することで算出することができる。概して、1組の光スイッチの漏電流についての限界値も同様に、ステップ84で得た結果の平均を基に算出することができる。
【0026】
これに加えて、または代わりとして、制御装置38は、各光スイッチおよび/または光スイッチの各対に対する個々の限界値を、特定の光スイッチまたは対についての測定結果に基づき、計算および保存することができる。
【0027】
さらに別の選択肢として、制御装置が、所定の光スイッチまたは光スイッチの対を通る高電流を較正段階で測定する場合、制御装置は、漏電の疑いがある光スイッチまたはスイッチを特定し、直ちに警報を発することも可能である。このように、システム20のいずれかの部分を患者と接触させる前に、部品の故障を特定し、解決することができる。
【0028】
図5は、本発明の実施形態によるフローチャートであり、回路40の光スイッチ36の動作をテストする方法を模式的に示す。光スイッチ起動ステップ90において、ランタイム操作の間、異なる光スイッチまたは光スイッチの対が、多重回路52および54によって起動される。システム20の場合、例えば前述したように、光スイッチは、典型的には起動され、異なる電極30を通してカテーテル28に刺激信号を送る。制御装置38は、起動する光スイッチを選択することができ、または、所定の時間に起動する光スイッチを指示する入力を受信するだけであってもよい。制御装置は、選択した光スイッチに応じて、ステップ86(図4)で設定したように、較正された適用可能な限界電流を選択し、回路70の出力値を監視するために使用する。
【0029】
出力測定ステップ92において、制御装置38は、ADC78からデジタル値を受信する。前述したように、これらの値は、回路70が測定した電流差を示す。電流テストステップ94において、制御装置は、これらの値を適用可能な限界値と比較する。測定値が限界値を超えると、増加ステップ96において、制御装置がカウンタの値を増加させる。カウンタ値は、典型的にはゼロから始まり、測定値が限界値を超える状態が続くたびに増加する。カウンタを使用するのは、個々の測定値が、実際の漏電ではなくノイズが原因で限界値を超える場合があるため、限界値を超えるすべての測定値と積極的に反応することを回避するためである。その後の測定値が適用可能な限界値より低いと、減少ステップ98において、制御装置38がカウンタ値を減少させる。カウンタ値はこのように減少してゼロまで戻ることがあるが、ゼロを下回ることはない。
【0030】
ステップ96においてカウンタを増加させた後、閾値チェックステップ100において、制御装置38は、カウンタ値が事前に設定された閾値に達したかどうかをチェックする。閾値は、典型的には、危険と思われる漏電の長さによって選択する。例えば、制御装置がADCのデジタル出力を8,000サンプル/秒受信する場合、漏電流が1秒続くと閾値に達するように、閾値を約8,000に設定することができる。カウンタ値が閾値に近づくと、保護ステップ102において、制御装置38は保護動作を実行する。例えば、制御装置がブレーカスイッチ44を作動させて光スイッチを電源から遮断し、どの光スイッチまたは光スイッチの対が高レベルの漏電の原因であるかを示す警報を発することができる。その後、保守技術員がこれらの部品を交換することが可能である。一方、前述したように、別個のテスト回路を光スイッチの正および負のグループに用いる場合は、漏電のある光スイッチを特定して電源を切り、他の光スイッチは電源から切り離さずに残すことも可能である。
【0031】
代わりに、好ましくは、光スイッチを含む回路基板全体を、単に交換することもできる。特に、ステップ100においてカウンタが閾値に達した場合は、回路基板全体を交換し、どの光スイッチも選択しない(つまり、測定された電流が基準電流の限界値を上回ったことを意味する)。
【0032】
従って、前述した回路および方法によれば、高価な高精度部品を必要とすることなく、漏電の高感度な検出および制御が可能である。較正工程は、異なる部品および異なる回路カードの間で生じ得る差を考慮する。カウンタを使用して、較正された限界値からの偏差を監視することも、カウンタが閾値に達することなく過渡電流の変化を全体的に平均化するため、実際の故障と「ノイズを発する」部品による過渡電流とを区別する上で役立つ。複数の光スイッチを同時に監視することは、個々の部品のランタイム中の故障を検出する上でも、部品同士の組み合わせが悪い場合に起こり得る複数部品の故障を検出する上でも有益である。
【0033】
前述の実施形態は、例示として記載したものであり、本発明は、本明細書で前述した内容に限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、本発明の範囲は、本明細書に記載したさまざまな特徴の組合せおよび組合せ要素をいずれも含むと共に、本明細書で前述した内容を読んだ当業者が想到し得る変形および変更であって、先行技術において開示されていないものも含む。
【0034】
〔実施の態様〕
(1)光スイッチをテストする装置において、
電源と前記光スイッチの入力部との間に接続された第1の検出抵抗器と、
前記光スイッチの出力部に接続された第2の検出抵抗器と、
前記第1の検出抵抗器を流れる第1の電流および前記第2の検出抵抗器を流れる第2の電流を検出し、前記第1の電流と前記第2の電流との間の関係に応答してテスト信号を生成するように接続されたテスト回路と、
前記テスト信号を受信し、前記テスト信号が事前に設定された限界値を超えると、保護動作を実行するように接続された制御装置と、
を備える、装置。
(2)実施態様1に記載の装置において、
前記光スイッチは、患者の体内への電流漏れを防止するために医療機器において使用され、
前記テスト回路および前記制御装置は、前記医療機器が前記体と接触している間、前記保護動作を実行するために、前記医療機器に装備される、装置。
(3)実施態様2に記載の装置において、
前記制御装置は、前記医療機器が前記体と接触していないときに実行される較正段階において、前記テスト信号を測定することにより、前記限界値を決定するように構成される、装置。
(4)実施態様1に記載の装置において、
前記保護動作は、前記電源を前記光スイッチから遮断することを含む、装置。
(5)実施態様4に記載の装置において、
前記制御装置は、前記テスト信号が前記限界値を超えたと判断すると、カウンタを増加させ、前記カウンタが事前に設定された閾値に達すると、前記光スイッチを前記電源から遮断するように構成される、装置。
(6)実施態様5に記載の装置において、
前記制御装置は、前記テスト信号が前記限界値より低いと判断すると、前記カウンタを減少させるように構成される、装置。
(7)実施態様1に記載の装置において、
前記電源ならびに前記第1および第2の検出抵抗器を、複数の光スイッチの各々と接続させるように構成された、多重回路、
を備え、
前記制御装置は、前記多重回路によって選択された前記光スイッチの各々による前記テスト信号を評価するように構成される、装置。
(8)実施態様7に記載の装置において、
前記多重回路は、前記光スイッチの多数の対の各々を、前記電源ならびに前記第1および第2の検出抵抗器と同時に接続させることにより、前記テスト回路が、前記対の各々について前記第1および第2の電流を検出するように構成され、
前記制御装置は、前記対の各々による前記テスト信号を評価するように構成される、装置。
(9)実施態様1に記載の装置において、
前記テスト回路は、前記第1の検出抵抗器をはさんで接続される第1の差動増幅器であって、第1の出力部を有する、第1の差動増幅器と、前記第2の検出抵抗器をはさんで接続される第2の差動増幅器であって、第2の出力部を有する、第2の差動増幅器と、前記第1および第2の出力部を通して接続される第3の差動増幅器であって、前記第1の電流と前記第2の電流との間の差に応答して前記テスト信号を生成する第3の差動増幅器と、を備える、装置。
(10)医療機器の光スイッチをテストする方法において、
較正段階の間、前記光スイッチの入力部へと流れる第1の電流と、前記光スイッチの出力部から流れる第2の電流との間の第1の関係を測定し、第1のテスト信号を、前記第1の関係に応答して生成することと、
前記第1のテスト信号に応答して、前記光スイッチを通る漏電流に対する限界値を設定することと、
前記医療機器を患者の体に接触する状態で操作する間に、前記光スイッチの前記入力部へと流れる前記第1の電流と、前記光スイッチの前記出力部から流れる前記第2の電流との間の第2の関係に応答して、第2のテスト信号を生成することと、
前記第2のテスト信号が前記限界値を超えると、保護動作を実行することと、
を含む、方法。
【0035】
(11)実施態様10に記載の方法において、
前記保護動作を実行することは、前記光スイッチを、前記第1および第2の電流を供給する電源から遮断することを含む、方法。
(12)実施態様11に記載の方法において、
前記保護動作を実行することは、前記第2のテスト信号が前記限界値を超えたと判断すると、カウンタを増加させること、および前記カウンタが事前に設定された閾値に達すると、前記光スイッチを前記電源から遮断することを含む、方法。
(13)実施態様12に記載の方法において、
前記第2のテスト信号が前記限界値より低いと判断すると、前記カウンタを減少させること、
を含む、方法。
(14)実施態様10に記載の方法において、
前記第1および第2の関係は、前記第1の電流と前記第2の電流との間の第1および第2の差をそれぞれ含む、方法。
(15)実施態様10に記載の方法において、
前記医療機器の前記操作は、複数の光スイッチの間で多重化させることを含み、
前記第2のテスト信号を生成することは、前記多重化によって選択された前記光スイッチの各々による前記第2のテスト信号を評価することを含む、方法。
(16)実施態様15に記載の方法において、
前記複数の前記光スイッチの間で多重化させることは、前記光スイッチの多数の対の各々を選択することと、前記対についての前記第1および第2の電流を検出することと、を含み、
前記第2のテスト信号を評価することは、前記対の各々による前記第2のテスト信号を確認することを含む、方法。
(17)実施態様15に記載の方法において、
前記限界値を設定することは、前記複数の前記光スイッチについての前記第1のテスト信号の平均を得ることと、前記平均に応答して前記限界値を設定することと、を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態による、侵襲性医療システムの概略図であり、図解したものである。
【図2】本発明の実施形態による、医療機器の光スイッチ回路を示す、回路ダイアグラムの概略図である。
【図3】本発明の実施形態による、図2の回路と共に使用するテスト回路を示す、回路ダイアグラムの概略図である。
【図4】本発明の実施形態による、光スイッチ回路の較正方法を概略的に示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態による、光スイッチのテスト方法を概略的に示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光スイッチをテストする装置において、
電源と前記光スイッチの入力部との間に接続された第1の検出抵抗器と、
前記光スイッチの出力部に接続された第2の検出抵抗器と、
前記第1の検出抵抗器を流れる第1の電流および前記第2の検出抵抗器を流れる第2の電流を検出し、前記第1の電流と前記第2の電流との間の関係に応答してテスト信号を生成するように接続されたテスト回路と、
前記テスト信号を受信し、前記テスト信号が事前に設定された限界値を超えると、保護動作を実行するように接続された制御装置と、
を備える、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記光スイッチは、患者の体内への電流漏れを防止するために医療機器において使用され、
前記テスト回路および前記制御装置は、前記医療機器が前記体と接触している間、前記保護動作を実行するために、前記医療機器に装備される、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
前記制御装置は、前記医療機器が前記体と接触していないときに実行される較正段階において、前記テスト信号を測定することにより、前記限界値を決定するように構成される、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記保護動作は、前記電源を前記光スイッチから遮断することを含む、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、
前記制御装置は、前記テスト信号が前記限界値を超えたと判断すると、カウンタを増加させ、前記カウンタが事前に設定された閾値に達すると、前記光スイッチを前記電源から遮断するように構成される、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記制御装置は、前記テスト信号が前記限界値より低いと判断すると、前記カウンタを減少させるように構成される、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置において、
前記電源ならびに前記第1および第2の検出抵抗器を、複数の光スイッチの各々と接続させるように構成された、多重回路、
を備え、
前記制御装置は、前記多重回路によって選択された前記光スイッチの各々による前記テスト信号を評価するように構成される、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
前記多重回路は、前記光スイッチの多数の対の各々を、前記電源ならびに前記第1および第2の検出抵抗器と同時に接続させることにより、前記テスト回路が、前記対の各々について前記第1および第2の電流を検出するように構成され、
前記制御装置は、前記対の各々による前記テスト信号を評価するように構成される、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、
前記テスト回路は、前記第1の検出抵抗器をはさんで接続される第1の差動増幅器であって、第1の出力部を有する、第1の差動増幅器と、前記第2の検出抵抗器をはさんで接続される第2の差動増幅器であって、第2の出力部を有する、第2の差動増幅器と、前記第1および第2の出力部を通して接続される第3の差動増幅器であって、前記第1の電流と前記第2の電流との間の差に応答して前記テスト信号を生成する第3の差動増幅器と、を備える、装置。
【請求項10】
医療機器の光スイッチをテストする方法において、
較正段階の間、前記光スイッチの入力部へと流れる第1の電流と、前記光スイッチの出力部から流れる第2の電流との間の第1の関係を測定し、第1のテスト信号を、前記第1の関係に応答して生成することと、
前記第1のテスト信号に応答して、前記光スイッチを通る漏電流に対する限界値を設定することと、
前記医療機器を患者の体に接触する状態で操作する間に、前記光スイッチの前記入力部へと流れる前記第1の電流と、前記光スイッチの前記出力部から流れる前記第2の電流との間の第2の関係に応答して、第2のテスト信号を生成することと、
前記第2のテスト信号が前記限界値を超えると、保護動作を実行することと、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記保護動作を実行することは、前記光スイッチを、前記第1および第2の電流を供給する電源から遮断することを含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記保護動作を実行することは、前記第2のテスト信号が前記限界値を超えたと判断すると、カウンタを増加させること、および前記カウンタが事前に設定された閾値に達すると、前記光スイッチを前記電源から遮断することを含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、
前記第2のテスト信号が前記限界値より低いと判断すると、前記カウンタを減少させること、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法において、
前記第1および第2の関係は、前記第1の電流と前記第2の電流との間の第1および第2の差をそれぞれ含む、方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法において、
前記医療機器の前記操作は、複数の光スイッチの間で多重化させることを含み、
前記第2のテスト信号を生成することは、前記多重化によって選択された前記光スイッチの各々による前記第2のテスト信号を評価することを含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法において、
前記複数の前記光スイッチの間で多重化させることは、前記光スイッチの多数の対の各々を選択することと、前記対についての前記第1および第2の電流を検出することと、を含み、
前記第2のテスト信号を評価することは、前記対の各々による前記第2のテスト信号を確認することを含む、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法において、
前記限界値を設定することは、前記複数の前記光スイッチについての前記第1のテスト信号の平均を得ることと、前記平均に応答して前記限界値を設定することと、を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−172375(P2009−172375A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−9572(P2009−9572)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(508080229)バイオセンス・ウエブスター・インコーポレーテツド (79)
【Fターム(参考)】