説明

光ディスクドライブ内蔵の再生装置

【課題】誤検出することなく、かつ低消費電力でディスクの有無を検出することが可能な光ディスクドライブ内蔵の再生装置を提供する。
【解決手段】スピンドルモータ15の両端電圧を比較してその結果を出力するコンパレータ61を備えさせ、制御IC12がコンパレータ61の出力に基づいてスピンドルモータ15が回転しているか否かを判断し、この判断に基づいて、スピンドルモータ15が停止するまで繰り返しスピンドルモータ15にブレーキパルスを加え、スピンドルモータ15が停止するまでに加えられたブレーキパルスの回数に基づいてディスクドライブ中の光ディスクの有無を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクドライブ内蔵の再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ディスクなどのディスク状記録媒体の再生装置において、ディスクが戴置されているか否かを判別するには、以下のような技術が知られている。即ち特許文献1には、スピンドルモータの逆起電圧を検出し、この逆起電圧の単位時間当たりの変化量から光ディスクの有無を判別することについて記載されいてる。また、特許文献2には、ディスクからデータが読み出されているか否かで判別すること、およびディスク回転駆動用モータに流れる電流とディスクが戴置されるトレイの閉成を示す信号に基づいて判断することについて記載されいている。また、スピンドルモータの回転数および回転方向を知るために、スピンドルモータの両端電圧より求めた逆起電圧を利用することについて特許文献3に記載されている。
【特許文献1】特開2005−302242号公報
【特許文献2】実開昭62−83256号公報
【特許文献3】特開2003−224988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、一般にディスクの重さや形状は一定ではないために、偏芯や面ぶれが生じて、逆起電圧にもブレが生じる。即ち上述した特許文献1のように逆起電圧の単位時間当たりの変化量によってディスクの有無を検出しようとすると、誤検出の可能性が大きかった。また特許文献2では、ディスク回転駆動用モータの一端を抵抗を介してグランドに接続し、このディスク回転駆動用モータに流れる電流に基づく電圧を監視しているため、モータに供給する電力がこの抵抗で消費されていた。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、誤検出することなく、かつ低消費電力でディスクの有無を検出することが可能な光ディスクドライブ内蔵の再生装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の光ディスクドライブ内蔵の再生装置では、光ディスクを回転駆動するスピンドルモータと、上記光ディスクに記録された情報を再生するために上記光ディスクの記録面にレーザ光を照射して、該光ディスクからの反射光を受光する光ピックアップと、を備える光ディスクドライブ内蔵の再生装置において、上記スピンドルモータの両端電圧を比較してその結果を出力するコンパレータと、該コンパレータの出力に基づいて上記スピンドルモータが回転しているか否かを判断する回転検出手段と、上記回転検出手段の判断に基づいて、上記スピンドルモータが停止するまで繰り返し上記スピンドルモータにブレーキパルスを加える制動手段と、上記スピンドルモータが停止するまでに加えられた上記ブレーキパルスの回数を記憶する記憶手段と、上記記憶手段に記憶された上記回数に基づいて上記光ディスクの有無を判別する光ディスク有無判別手段とを備える構成としてある。
上記構成によれば、上記コンパレータは上記スピンドルモータの両端電圧を比較してその結果を出力し、上記回転検出手段が該コンパレータの出力に基づいて上記スピンドルモータが回転しているか否かを判断し、上記制動手段が上記回転検出手段の判断に基づいて、上記スピンドルモータが停止するまで繰り返し上記スピンドルモータにブレーキパルスを加え、上記記憶手段は上記スピンドルモータが停止するまでに加えられた上記ブレーキパルスの回数を記憶し、上記光ディスク有無判別手段が上記記憶手段に記憶された上記回数に基づいて上記光ディスクの有無を判別する。このようにスピンドルモータ停止までのブレーキパルス回数でディスクの有無を判別することにより、ディスクの作りこみ誤差に影響されにくいディスク有無の判別が行える。
【0006】
さらに、上記制動手段は、上記スピンドルモータの回転数を所定回転数まで上昇させた後、上記スピンドルモータが停止するまで上記スピンドルモータにブレーキパルスを加える構成としてもよい。このように構成すると、スピンドルモータが停止するまでのブレーキパルスの回数が、ディスクの有無をよりよく反映するものとなる。
【0007】
さらに、上記制動手段は、上記スピンドルモータの回転数を上昇させる前に、一旦スピンドルモータの回転を停止させる構成としてもよい。このようにスピンドルモータの回転を停止させてからスピンドルモータの回転数を上昇させると、スピンドルモータの回転数を所定回転数まで上昇させるための電圧印加時間を一定とすることが出来るため、スピンドルモータの回転数をコントロールしやすくなる。
【0008】
さらに、上記制動手段は、上記スピンドルモータの回転数が所定回転数まで上昇された後、所定時間待機してから上記ブレーキパルスを加える構成としてもよい。このように所定時間待機することにより、スピンドルモータへの出力が歪まず、一回のブレーキパルスにより減少するスピンドルモータ(光ディスク搭載時は光ディスクも含む)の回転エネルギーにずれが生じにくくなる。
【0009】
さらに、上記光ディスク有無判別手段は、上記ブレーキパルスの回数が第一の規定回数より小さければ上記光ディスクが搭載されていないと判別する構成としてもよい。また、上記光ディスク有無判別手段は、上記ブレーキパルスの回数が第一の規定回数以上であれば上記光ディスクが搭載されていると判別する構成としてもよい。即ち、光ディスク搭載時は非搭載時に比して回転エネルギーが小さいため、第一の規定回数以上であれば回転エネルギーが高く光ディスクが搭載されており、第一の規定回数より小さいと回転エネルギーは低く光ディスクが搭載されていない。これによりブレーキパルスの回数で光ディスクの有無を判別可能となる。
【0010】
さらに、上記光ディスク有無判別手段は、第一の規定回数と該第一の規定回数より大きい第二の規定回数とを有しており、上記ブレーキパルスの回数が第二の規定回数より大きいときには上記スピンドルモータが異常であると判別する構成としてもよい。即ち、光ディスクの重量は、所定の誤差範囲内に収まるものであり、この重量は回転エネルギーに比例する。従って、ブレーキパルスにて減じた回転エネルギーが、所定の誤差範囲を大きく超えるものとなる場合は、スピンドルモータに異常が存在する可能性がある。これにより、ディスクの有無のみならず、スピンドルモータの異常も判別することが可能となる。
【0011】
さらに、上記コンパレータは、上記スピンドルモータをディスク読み取り時の回転方向に回転させる電圧が入力されるとLowを出力し、上記スピンドルモータブレーキパルスの電圧が入力されるとHighを出力し、電圧の入力が停止されると停止の直前と同一の出力を所定時間出力し続けた後Lowを出力し、上記回転判断手段は、上記制動手段によりブレーキパルスが入力されてから所定時間の間にHighを検出すると上記スピンドルモータが停止したと判断する構成としてもよい。このようにブレーキパルスが入力されてから所定時間の間、Highを出力し続ける構成にすると、スピンドルモータの回転停止をより検出しやすくなる。
【0012】
さらに、より具体的な構成例として、光ディスクを回転駆動するスピンドルモータと、上記光ディスクに記録された情報を再生するために上記光ディスクの記録面にレーザ光を照射して、該光ディスクからの反射光を受光する光ピックアップと、を備える光ディスクドライブ内蔵の再生装置において、上記スピンドルモータに駆動電圧を出力するドライバと、上記スピンドルモータの両端子に発生する電圧を比較し、ディスク読み取り時の回転方向に回転させる電圧が入力されるとLowを出力し、上記スピンドルモータを上記スピンドルモータブレーキパルスの電圧が入力されるとHighを出力し、電圧の入力が停止されると停止の直前と同一の出力を所定時間出力し続けた後Lowを出力するコンパレータと、カウンタを備え、上記コンパレータの出力をGPIOにて受け取りつつ、上記ドライバにおける駆動電圧の出力を制御する制御信号を出力するとともに、上記ドライバに上記駆動電圧の基になる電圧を出力する制御ICと、を備え、上記制御ICは、上記ドライバを制御して上記スピンドルモータを停止させ、上記カウンタをリセットし、上記ドライバを制御して上記スピンドルモータを正方向に所定回転数で回転させてから所定時間待機し、上記スピンドルモータの回転が停止するまで、上記スピンドルモータへブレーキパルスを繰り返し加え、上記ブレーキパルスを加えた回数を上記カウンタでカウントし、上記ブレーキパルスが入力されてから所定時間の間にHighを検出すると上記スピンドルモータが停止したと判断し、上記スピンドルモータの停止時に、上記カウンタが閾値より小さいときは光ディスク無しと判断し、上記カウンタが該閾値以上でかつ所定の上限回数より小さいときは光ディスクありと判断し、該所定の上限回数以上の時は上記スピンドルモータの以上と判断する構成としても良い。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明によれば、ディスクの作りこみ誤差に影響されにくいディスク有無の判別が行える光ディスクドライブ内蔵の再生装置を提供することができる。
また請求項3にかかる発明によれば、スピンドルモータが停止するまでのブレーキパルスの回数が、ディスクの有無をよりよく反映するものとなる。
そして請求項4にかかる発明によれば、スピンドルモータの回転数をコントロールしやすくなる。
さらに請求項5にかかる発明によれば、スピンドルモータへの出力が歪みにくくなる。
また請求項6、7にかかる発明によれば、これによりブレーキパルスの回数で光ディスクの有無を判別可能となる。
そして請求項8にかかる発明によれば、スピンドルモータの異常も判別することが可能となる。
さらに請求項9にかかる発明によれば、スピンドルモータの回転停止をより検出しやすくなる。
さらに請求項1のような、より具体的な構成において、上述した請求項2〜請求項9の各発明と同様の作用を奏することはいうまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)光ディスクドライブを内蔵する再生装置の構成:
(2)ディスク有無判別処理:
(3)まとめ:
【0015】
(1)光ディスクドライブを内蔵する再生装置の構成:
以下、本発明の実施形態に係る光ディスクドライブを内蔵する再生装置について図1〜4を参照して説明する。なお本実施形態では光ディスクドライブを内蔵する再生装置を例にとって説明するが、光ディスクに記録する機能を有しても良い。また、DVD再生機能の他に、HDD(Hard Disk Drive)の再生や記録機能、VHSやβ等のリールテープ式の再生や記録機能、等をさらに有するコンボタイプの再生装置であっても無論構わない。本発明の光ディスクドライブは、ディスクトレイを備えないスロットイン方式の光ディスクドライブであってもよいが、ディスクトレイを備えるディスクトレイ方式の光ディスクドライブだとディスクトレイ挿入時にディスクが戴置されているか否かが不明なため本発明を適用すると好適である。
【0016】
図1には光ディスクドライブを内蔵する再生装置のブロック構成図を示してある。図1に示されるように、光ディスク装置1は、DVD等の光ディスク2に記録された情報の再生等を行う装置であり、光ピックアップ(OPU)11と、光ディスクに記憶された情報の再生動作を制御する制御IC12と、ローパスフィルタ13と、制御IC12からのスピンドル出力に基づいてスピンドルモータ15を駆動させるドライバ14と、光ディスク2を回転駆動するスピンドルモータ15と、スピンドルモータ15の端子に発生する電圧を検出する逆起電圧検出回路60とを備えている。
【0017】
光ピックアップ11は、半導体レーザ、コリメータレンズ、ビームスプリッタ、対物レンズ、集光レンズ、及びフォトディテクタ等を有している。半導体レーザから発振されたレーザ光は、コリメータレンズ、ビームスプリッタ及び対物レンズを介して光ディスク2の記録面上に集光照射され、その反射光は、対物レンズ、ビームスプリッタ、及び集光レンズを介してフォトディテクタで受光される。フォトディテクタで検出された光の強弱は、RF信号に変換され、制御IC12に出力される。
【0018】
制御IC12は、RF信号を増幅するRFアンプ31と、RF信号をディジタル信号に変換し、8/16復調、エラー訂正等を行う信号処理回路32と、信号処理回路32から入力されたディジタル信号をデコードして再生信号を得るデコード回路33と、スピンドルモータ15の回転速度を制御するためのスピンドル回転速度制御回路34と、スピンドルモータ15をPWM(Pulse Width Modulation)制御するためのスピンドル出力をスピンドルモータ15に対して出力するPWM出力回路35と、各種情報を記憶する記憶部36と、制御IC12全体を制御して光ディスク2からの情報の再生動作等を制御するMPU37と、入力されたアナログ信号をMPU37に出力するGPIO38とを備えている。
【0019】
図2に示されるように、スピンドル回転速度制御回路34は、PWM出力回路35にCLV(Constant Linear Velocity)制御信号を出力してスピンドルモータ15をCLV制御するCLVサーボ制御回路41と、PWM出力回路35に定電圧制御信号を出力して、スピンドルモータ15を定電圧制御する定電圧制御回路43と、基準クロック(図3参照)に基づいて回転速度を制御するラフサーボ制御回路42と、これら制御回路41〜43のいずれかを選択して、PWM出力回路35に制御信号を出力する選択回路44と、制御回路41〜43からの制御信号の制御値を記憶するスピンドル出力用RAM(Random Access Memory)45とを備えている。
【0020】
スピンドルモータ15はブラシを有するDCモータで構成される。スピンドルモータ15の回転速度は、ラフサーボ制御回路42の基準クロック51に基づいてMAXL52により検出される。なお、MAXL52は、例えば、DVDなら14T+4T長、CDなら11T+11T長の最長シンクパターンを18T/22T検出で検出し、これら最長シンクパターンについて基準クロック51でカウントしたデータを保持する部分であり、スピンドルモータ15の回転速度はこのデータに基づいて検出される。
【0021】
逆起電圧検出回路60は、コンパレータ61、ドライバ14、及びスピンドルモータ15等により構成される。スピンドルモータ15の駆動電圧が入力される両端子のうち、光ディスクに記録された情報の読み取りを行う際に正の電圧が入力される端子の電圧をSP+とし、負の電圧が入力される端子の電圧をSP−とする。すると、コンパレータ61にはSP+とSP−とが入力されて比較され、コンパレータ61の出力CMPは、(SP+)−(SP−)が正のときに出力がLow(L)、(SP+)−(SP−)が負のときに出力がHigh(H)が出力されるように設定される。以後の説明において、(SP+)−(SP−)が正のときのスピンドルモータ15の回転方向を正方向とする。
【0022】
コンパレータ61の出力CMPは、制御IC12のGPIO38に入力される。MPU37はGPIO38を介してこの出力CMPを取得し、出力CMPに基づいてスピンドルモータ15が回転しているか否かを判断する。つまり、ブレーキパルスをスピンドルモータ15にブレーキパルスを印加すると(SP+)−(SP−)が負になるため出力CMPはHになる。ここで、ブレーキパルス印加後に出力CMPがLになればスピンドルモータ15は回転中であり、ブレーキパルス印加後に出力CMPがHのまま変化しないときはスピンドルモータ15は回転していないことになる。
【0023】
図4は、制御IC12からドライバ14に供給される電圧SPDLと、ドライバのオン/オフを制御するドライバミュート(DM)信号STBYと、コンパレータ61の出力CMPとを示したタイミングチャートである。ドライバ14はこのSPDLに基づいた駆動電圧をスピンドルモータ15供給してスピンドルモータ15を駆動する。SPDLはドライバ14の手前の電圧信号を表している。DM信号STBYは制御IC12のGPIO39から出力されてドライバ14に入力される信号であり、ドライバ14はDM信号STBYがHigh(H)の場合はSPDLをスピンドルモータ15に供給し、DM信号STBYがLow(L)の場合はSPDLをスピンドルモータ15に供給しない。
【0024】
図4において、まず制御IC12は、DM信号STBYをHにしてドライバ14から駆動電圧を出力可能としつつ、ディスクが停止するまで、即ちスピンドルモータ15の回転が停止するまでSPDLとして−5Vをドライバ14に供給する。即ちスピンドルモータ15の(SP+)−(SP−)が負となるため出力CMPは正になる(図4の期間A)。スピンドルモータ15が停止したかどうかは、例えば(SP+)−(SP−)の0クロスで判断可能である。
【0025】
期間Aに続く期間Bでは、SPDLは0Vであり、DM信号STBYはLとなる。またスピンドルモータ15は停止しているため(SP+)−(SP−)は0になり、出力CMPはHが出力されてもLが出力されてもよいことになる。本実施形態においては、この出力CMPは(SP+)−(SP−)が負の状態から(SP+)−(SP−)が0となると所定時間(6〜4ms)だけHのまま維持され(Hを出力し続け)、この所定時間が経過するとLになる構成としてある。
【0026】
期間Bに続く期間Cは、スピンドルモータ15を一定の回転速度で回転させるためのものである。期間Bでは、まずDM信号STBYがHとなり、次いでSPDLとして+5Vが500msだけ供給され、500ms経過後にDM信号STBYがLになる。このとき(SP+)−(SP−)は正であるため、出力CMPはLに維持される。
【0027】
期間Cに続く期間Dでは、SPDLは0Vであり、DM信号STBYはLとなる。
【0028】
期間Dに続く期間Eは、スピンドルモータ15にブレーキパルスを加えるものであり、スピンドルモータ15に−5Vを50ms印加する。具体的には、まずDM信号STBYがHとなり、次いでSPDLとして−5Vが50msだけ供給され、50ms経過後にDM信号STBYがLになる。このとき(SP+)−(SP−)は負であるため、出力CMPはHとなる。
【0029】
期間Eに続く期間Fは、スピンドルモータ15が停止したか否かを判断するための待機時間であり、本実施形態では10msとなっている。具体的には、SPDLは−5Vに維持されているがDM信号STBYがLとされるため、ドライバ14からスピンドルモータ15には駆動電圧が供給されない。従って(SP+)−(SP−)はスピンドルモータ15が惰性で回転して生ずる起電力と等しくなる。つまり、スピンドルモータ15の回転が停止されていない場合はスピンドルモータ15は正方向に回転していて出力CMPはLとなり、スピンドルモータ15の回転が停止していれば(SP+)−(SP−)は0となり所定期間Hのまま維持されてからLとなる。期間Fではスピンドルモータ15の回転は停止していないので出力CMPはLとなっている。
【0030】
期間Fに続く期間Gは、期間Eと同じくスピンドルモータ15にブレーキパルスを加えるものであり、スピンドルモータ15に−5Vを50ms印加する。具体的には、まずDM信号STBYがHとなり、次いでSPDLとして−5Vが50msだけ供給され、50ms経過後にDM信号STBYがLになる。このとき(SP+)−(SP−)は負であるため、出力CMPはHとなる。
【0031】
期間Gに続く期間Hは、期間Fと同じくスピンドルモータ15が停止したか否かを判断するための待機時間であり、本実施形態では10msとなっている。具体的には、SPDLは−5Vに維持されているがDM信号STBYがLとされるため、ドライバ14からスピンドルモータ15には駆動電圧が供給されない。期間Hではスピンドルモータ15の回転は停止しているので出力CMPはHに維持されている。そしてスピンドルモータ15の回転が停止していると、ドライバ14に供給されていたSPDLが停止されて0Vになる。そして期間Iでは所定時間経過すると出力CMPがHからLになる。
【0032】
このように、スピンドルモータ15のSP+とSP−からコンパレータによって出力CMPを生成することにより、制御ICのGPIOでスピンドルモータの回転と停止を判別することが可能となり、高価なA/Dコンバータを使用する必要が無くなり、コストダウンが可能となる。また、このコンパレータには、差動用として使用されていたものを流用すると、コストアップすることが無く、さらにコストダウンを図れる。
【0033】
(2)ディスク有無判別処理:
以下、図5〜図7を参照してディスクドライブのディスク有無を判別するMPU37の処理を説明する。図5〜図7には、MPU37の処理をフローチャートにて示してある。本処理は排出されていたディスクトレイが収納されたときや、光ディスクの再生が指示されたとき、電源が投入されたときなど、ディスクドライブ中の光ディスクの有無を確かめる必要が生じたときに実行される。
【0034】
処理が開始されると、ステップS10でディスク停止処理を行う。これは図4のタイミングチャートにおける期間Aに対応し、DM信号STBYをHとしてSPDLに基づく駆動電圧がスピンドルモータ15に出力されるようにしつつPWM出力回路35にSPDLとして−5Vを出力させる。そしてスピンドルモータ15が停止した後にDM信号をLとしてSPDLに基づく駆動電圧がスピンドルモータ15に出力されないようにするとともにPWM出力回路35にSPDLの供給を停止させる。
【0035】
ステップS12ではカウンタnをクリア(リセット)する(n=0とする。)。このカウンタnはブレーキパルスを加えた回数をカウントするものである。
【0036】
ステップS14では、スピンドルモータ15を正方向に一定期間回転させてスピンドルモータ15の回転数を所定回転数まで上昇させる。この処理は図4のタイミングチャートの期間Cに対応する。より具体的には、DM信号STBYをHとしつつSPDLとして+5Vを300ms印加した後、DM信号STBYをLとしてドライバ出力をオフにする。これによりスピンドルモータ15が一定速度で正方向に回転する状態となる。即ち、ステップS14で回転速度を一定としてから以降のブレーキパルスを印加する処理を行うため、スピンドルモータ15が停止するまでのブレーキパルスの回数がディスクの有無をよりよく反映するものとなる。無論、ディスクドライブ収納と同時に一定速度でスピンドルモータ15を回転して光ディスク読み込みが開始されるディスクドライブであれば本ステップを実行しなくともよい。
【0037】
ステップS16では、スピンドルモータ15への出力が歪まないように所定時間待機する。この処理は図4のタイミングチャートの期間Dに対応する。より具体的には、DM信号STBYをLとしてから20ms待機する。つまりステップS14の正方向のスピンドルモータ15駆動電圧の出力に連続して、逆方向の駆動電圧であるブレーキパルスを印加すると、スピンドルモータ15への駆動電圧が歪む恐れがある。即ち、所定時間待機することにより、スピンドルモータ15が停止するまでのブレーキパルスの回数がディスクの有無をよりよく反映するものとなる。
【0038】
ステップS18では、カウンタnが所定の上限回数以上である否かを判断する。より具体的には、カウンタnが20以上であるか否かを判断し、カウンタnが20以上である場合は条件成立として図7のステップS36に進みスピンドルモータ15に異常があるとして本処理を終了する。このn=20が第二の規定回数を構成する。ステップS36を実行して処理を終了すると、MPU37は図示しない表示部にスピンドルモータ15の異常を示す情報を表示させたり、OSD(オンスクリーンディスプレイ)処理部等にスピンドルモータ15の異常を示すOSD信号を生成させてデコード回路33に出力して映像信号にOSD表示させたりする等、利用者にスピンドルモータ15の異常を知らせる処理を行う。一方、カウンタnが20より小さい場合は条件不成立としてステップS20に進む。
【0039】
ステップS20では、スピンドルモータ15に所定時間のブレーキパルスを印加する。この処理は図4の期間Eもしくは期間Gに相当し、図4はステップS20を2回実行した後に処理が終了した例である。具体的には、DM信号STBYをHとしつつSPDLとして−5Vを50ms印加した後、DM信号STBYをLとしてドライバ出力をオフにする。即ちスピンドルモータ15を逆方向に回転させる電圧を所定時間印加することにより、スピンドルモータ15(光ディスクが搭載されていれば光ディスクも含む)から所定量の回転エネルギーを減ずることになる。
【0040】
ステップS22では、ブレーキパルスを印化してから所定時間待機する。具体的にはDM信号がLとなってから6ms待機する。そして出力CMPがHであるか否かを判断する。出力CMPがHであれば条件成立として図6のステップS30に進み、出力CMPがLであれば条件不成立としてステップS26に進む。ステップS26に進むとさらに4ms待機してステップS28に進む。これらステップS22、S24、S26を経てステップs28に進む処理が、図4のタイミングチャートの期間Fに相当し、ステップS22、S24を経てステップS30に進む処理が図4のタイミングチャートの期間Hに相当する。
【0041】
ステップS28では、カウンタnをインクリメントしてステップS18からの処理を繰り返す。
【0042】
ステップS30では、カウンタnが、ディスク有りと無しとを分ける閾値を超えているか否かを判断する。より具体的にはカウンタnが2以上であるか否かを判断する。このn=2が第一の規定回数を構成する。カウンタが2以上であれば条件成立としてステップS32に進み、ディスク有りとして本処理を終了する。ステップS32を実行して処理を終了すると、MPU37はスピンドル回転速度制御回路34やデコード回路33等の各部を制御して光ディスクに記録された情報の読み取り再生を行わせる。一方、カウンタが2よりも小さいときは条件不成立としてステップS34に進み、ディスク無しとして本処理を終了する。ステップS34を実行して処理を終了すると、MPU37は図示しない表示部にディスク無しを示す情報を表示させたり、OSD(オンスクリーンディスプレイ)処理部等にディスク無しを示すOSD信号を生成させてデコード回路33に出力して映像信号にOSD表示させたりする等、利用者にディスクが挿入されていない旨を知らせる処理を行う。
【0043】
以上、ステップS18〜S28の処理を実行するMPU37もしくは制御IC12が制御手段を構成し、カウンタのカウントを記憶部36に記憶させるMPU37もしくは制御IC12が記憶手段を構成し、ステップS24の処理を実行するMPU37もしくは制御IC12が回転検出手段を構成し、ステップS18、S30の処理を実行するMPU37もしくは制御IC12が光ディスク有無判別手段を構成する。
【0044】
以下、上記構成からなる本実施形態の動作を説明する。
利用者がディスクトレイをディスクドライブに収納すると光ディスクがディスクトレイに戴置されているか否かを判断する処理が開始される。まず、光ディスクの回転を停止する処理が実行される(ステップS10)。そしてスピンドルモータ15にドライバ14を介して+5Vが印加され、スピンドルモータ15が所定の回転数に上昇される(ステップS14)。そして20msの待機(ウェイト)がかけられた後(ステップS16)、スピンドルモータ15の回転が停止するまでブレーキパルスが10ms間隔で加えられる(ステップS18〜S26)。このブレーキパルスが加えられた回数はカウントされており(ステップS12、S28)、このカウントの回数に基づいてディスクトレイに光ディスクが戴置されているか否かを判断する(S30〜36)。
【0045】
カウントが2回以内の時は、ディスクトレイに光ディスクは戴置されていないと判断する。カウントが3回以上、20回以下の時はディスクトレイに光ディスクが戴置されていると判断する。カウントが21回以上のときは、スピンドルモータ15に異常が生じていると判断する。そしてこれらの判断に基づいて光ディスクが戴置されていない時とスピンドルモータ15に異常がある場合は、これをユーザに知らせる表示を行う。また、光ディスクが戴置されている場合は、光ディスクに記録された情報の読み取り再生を行う。
【0046】
また上述した実施形態の変形例として、光ディスクの直径が8cmのものを停止させるまでに要するブレーキパルスの回数と、光ディスクの直径が12cmのものをていしさせるまでに要するブレーキパルスの回数とを分けるカウンタnの閾値を別途設けて、スピンドルモータ15の回転が停止するまでに要するブレーキパルスの回数で直径8cmの光ディスクと直径12cmの光ディスクとを判別できる構成とすることも可能である。
【0047】
(3)まとめ:
つまり、スピンドルモータ15の両端電圧を比較してその結果を出力するコンパレータ61を備えさせ、制御IC12がコンパレータ61の出力に基づいてスピンドルモータ15が回転しているか否かを判断し、この判断に基づいて、スピンドルモータ15が停止するまで繰り返しスピンドルモータ15にブレーキパルスを加え、スピンドルモータ15が停止するまでに加えられたブレーキパルスの回数に基づいてディスクドライブ中の光ディスクの有無を判別する。これにより、誤検出することなく、かつ低消費電力でディスクの有無を検出することが可能な光ディスクドライブ内蔵の再生装置を提供可能となる。
【0048】
なお、本発明は上記実施例に限られるものでないことは言うまでもない。当業者であれば言うまでもないことであるが、
・上記実施例の中で開示した相互に置換可能な部材および構成等を適宜その組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術であって上記実施例の中で開示した部材および構成等と相互に置換可能な部材および構成等を適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
・上記実施例の中で開示されていないが、公知技術等に基づいて当業者が上記実施例の中で開示した部材および構成等の代用として想定し得る部材および構成等と適宜置換し、またその組み合わせを変更して適用すること
は本発明の一実施例として開示されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】光ディスクドライブを内蔵する再生装置のブロック構成図を示してある。
【図2】光ディスク装置のスピンドル回転速度制御回路の構成を示すブロック図である。
【図3】スピンドル回転速度制御回路のラフサーボ制御回路の構成を示すブロック図である。
【図4】電圧SPDLとDM信号STBYと出力CMPとを示したタイミングチャートである。
【図5】MPUの処理を示すフローチャートである。
【図6】MPUの処理を示すフローチャートである。
【図7】MPUの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1…光ディスク装置、2…光ディスク、11…光ピックアップ、12…制御IC、13…ローパスフィルタ、14…ドライバ、15…スピンドルモータ、31…RFアンプ、32…信号処理回路、33…デコード回路、34…スピンドル回転速度制御回路、35…PWM出力回路、36…記憶部、38…GPIO、41…CLVサーボ制御回路、42…ラフサーボ制御回路、43…定電圧制御回路、44…選択回路、45…スピンドル出力用RAM(Random Access Memory)、51…基準クロック、60…逆起電圧検出回路、61…コンパレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを回転駆動するスピンドルモータと、上記光ディスクに記録された情報を再生するために上記光ディスクの記録面にレーザ光を照射して、該光ディスクからの反射光を受光する光ピックアップと、を備える光ディスクドライブ内蔵の再生装置において、
上記スピンドルモータに駆動電圧を出力するドライバと、
上記スピンドルモータの両端子に発生する電圧を比較し、ディスク読み取り時の回転方向に回転させる電圧が入力されるとLowを出力し、上記スピンドルモータを上記スピンドルモータブレーキパルスの電圧が入力されるとHighを出力し、電圧の入力が停止されると停止の直前と同一の出力を所定時間出力し続けた後Lowを出力するコンパレータと、
カウンタを備え、上記コンパレータの出力をGPIOにて受け取りつつ、上記ドライバにおける駆動電圧の出力を制御する制御信号を出力するとともに、上記ドライバに上記駆動電圧の基になる電圧を出力する制御ICと、
を備え、
上記制御ICは、
上記ドライバを制御して上記スピンドルモータを停止させ、上記カウンタをリセットし、上記ドライバを制御して上記スピンドルモータを正方向に所定回転数で回転させてから所定時間待機し、
上記スピンドルモータの回転が停止するまで、上記スピンドルモータにブレーキパルスを繰り返し加え、
上記ブレーキパルスを加えた回数を上記カウンタでカウントし、
上記ブレーキパルスが入力されてから所定時間の間にHighを検出すると上記スピンドルモータが停止したと判断し、
上記スピンドルモータの停止時に、上記カウンタが閾値より小さいときは光ディスク無しと判断し、上記カウンタが該閾値以上でかつ所定の上限回数より小さいときは光ディスクありと判断し、該所定の上限回数以上の時は上記スピンドルモータが異常であると判断することを特徴とする光ディスクドライブ内蔵の再生装置。
【請求項2】
光ディスクを回転駆動するスピンドルモータと、上記光ディスクに記録された情報を再生するために上記光ディスクの記録面にレーザ光を照射して、該光ディスクからの反射光を受光する光ピックアップと、を備える光ディスクドライブ内蔵の再生装置において、
上記スピンドルモータの両端電圧を比較してその結果を出力するコンパレータと、
該コンパレータの出力に基づいて上記スピンドルモータが回転しているか否かを判断する回転検出手段と、
上記回転検出手段の判断に基づいて、上記スピンドルモータが停止するまで繰り返し上記スピンドルモータにブレーキパルスを加える制動手段と、
上記スピンドルモータが停止するまでに加えられた上記ブレーキパルスの回数を記憶する記憶手段と、
上記記憶手段に記憶された上記回数に基づいて上記光ディスクの有無を判別する光ディスク有無判別手段とを備えることを特徴とする光ディスクドライブ内蔵の再生装置。
【請求項3】
上記制動手段は、上記スピンドルモータの回転数を所定回転数まで上昇させた後、上記スピンドルモータが停止するまで上記スピンドルモータにブレーキパルスを加えることを特徴とする上記請求項2に記載の光ディスクドライブ内蔵の再生装置。
【請求項4】
上記制動手段は、上記スピンドルモータの回転数を上昇させる前に、一旦スピンドルモータの回転を停止させることを特徴とする上記請求項3に記載の光ディスクドライブ内蔵の再生装置。
【請求項5】
上記制動手段は、上記スピンドルモータの回転数が所定回転数まで上昇された後、所定時間待機してから上記ブレーキパルスを加えることを特徴とする上記請求項3または請求項4に記載の光ディスクドライブ内蔵の再生装置。
【請求項6】
上記光ディスク有無判別手段は、上記ブレーキパルスの回数が第一の規定回数より小されば上記光ディスクが搭載されていないと判別することを特徴とする上記請求項2〜請求項5のいずれか一項に記載の光ディスクドライブ内蔵の再生装置。
【請求項7】
上記光ディスク有無判別手段は、上記ブレーキパルスの回数が第一の規定回数以上であれば上記光ディスクが搭載されていると判別することを特徴とする上記請求項2〜請求項6のいずれか一項に記載の光ディスクドライブ内蔵の再生装置。
【請求項8】
上記光ディスク有無判別手段は、第一の規定回数と該第一の規定回数より大きい第二の規定回数とを有しており、上記ブレーキパルスの回数が第二の規定回数より大きいときには上記スピンドルモータが異常であると判別することを特徴とする上記請求項2〜請求項7のいずれか一項に記載の光ディスクドライブ内蔵の再生装置。
【請求項9】
上記コンパレータは、上記スピンドルモータをディスク読み取り時の回転方向に回転させる電圧が入力されるとLowを出力し、上記スピンドルモータブレーキパルスの電圧が入力されるとHighを出力し、電圧の入力が停止されると停止の直前と同一の出力を所定時間出力し続けた後Lowを出力し、
上記回転検出手段は、上記制動手段によりブレーキパルスが入力されてから所定時間の間にHighを検出すると上記スピンドルモータが停止したと判断することを特徴とする上記請求項2〜請求項8のいずれか一項に記載の光ディスクドライブ内蔵の再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−117482(P2008−117482A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300676(P2006−300676)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】