説明

光ディスクドライブ

【課題】光ディスクへの書き込みや読み出しエラー発生時等において、光ピックアップの対物レンズが汚れていると判断した場合に、自動的に掃除することができる光ディスクドライブを提供する。
【解決手段】光ディスク2の記録面にレーザビームを照射して光ディスク2への書き込みや読み出しを行う光ディスクドライブにおいて、搭載する光ディスク縁(最外周)の近くに、光ピックアップ3の対物レンズ4に接触して対物レンズに付着した塵埃等を除去する吸着シートの掃除部材と、前記掃除部材の保持と光ピックアップの対物レンズ4との接触による衝撃を吸収する弾性支持部材と、を備えたクリーニングユニット32を容易に着脱可能なカセット式に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクの記録面にレーザビームを照射して光ディスクへの書き込みや読み出しを行う光ディスクドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル化に伴い、デジタルデータの複合利用が可能になり、1台のハードウェアで様々なことを同時に処理できることやインターネットの高速化・低価格化によるデータ通信の普及により、データの大量化の急速に進んでおり、コンピュータシステム等の高信頼性の需要が求められている。コンピュータシステムの信頼性向上には、大容量のデータをバックアップしておくことが重要になっている。しかも、高速にバックアップするこが要求されている。コンピュータシステムのバックアップとしては、磁気テープドライブを使用することが一般的である。磁気テープ媒体は単位容量あたりの単価が安いことと、他の媒体に比べて大容量(数十ギガバイト)であることから、コンピュータシステムのハードディスクドライブ等のエラー時に備えて、ハードディスク等のメディアに記録されているデータをバックアップ等の用途に広く利用されている。しかし、磁気テープドライブ自体が高価であることが懸念されている。その代用の一つとして磁気テープ媒体と同じく装填したり、排出したりすることできるリムーバブルなメディアである光ディスクを使用した光ディスクドライブが有用と考えられる。たえとば、ある光ディスクドライブで書き込まれた光ディスクを他の光ディスクドライブで読み出ししたり、書き込みしたりすることができる。
【0003】
光ディスクは物理ファーマットや記録方式の違いにより、相変化媒体(CD−RW(Compact Disc−ReWritable)、DVD−RW(Digital Versatile Disk−ReWritable)、DVD+RW(Digital Versatile Disk+ReWritable)、DVD−RAM(Digital Versatile Disk Random Access Memory)等)、光磁気媒体(MO(Magneto−Optical disk)等)、色素媒体(CD−R(Compact Disc−Recordable)、DVD−R(Digital Versatile Disk−Recordable)、DVD+R(DVD+Recordable)等)がある。記録容量は各媒体によるが、700メガバイト〜9.4ギガバイトがあり、最近では新しい記録方式であるBlu−rayが登場し、CD・DVDと同様に物理フォーマットや記録方式の違いにより、相変化媒体(BD−RE(Blu−ray Disc−Rewritable)と等)、色素媒体(BD-R(Blu−ray Disc−Recordable)等)がある。記録容量は25ギガバイト(1層)〜50ギガバイト(2層)と大容量化が進んでいる。また、DVD−RAM、MO等は信頼性を確保するために、カートリッジと呼ぶプラスチックケースに入れて使用することで、記録面に塵埃や指紋等の異物付着を防いでいる。
【0004】
図2、図3は、従来の光ディスクドライブ1の基本構造を示したブロック図である。光ディスク2の記録面にレーザビームを照射する光ピックアップ3(光源であるレーザダイオード31、レーザダイオード31から出射されたレーザビームを平行光束するコリメータレンズ30、レーザビームを透過させたり、反射させたりする偏光ビームスプリッタ29、光ディスク2からの反射光を電気信号に変換するフォトダイオード28、レーザビームを光ディスク2に集光する対物レンズ4、フォトダイオード28に集光するシリンドリカルレンズ27)、対物レンズ4を光ディスク2の回転軸方向に駆動するフォーカシングアクチュエータ8、対物レンズ4を光ディスク2の半径方向に駆動するトラッキングアクチュエータ7、光ディスク2を回転させるスピンドルモータ5、スピンドルモータ5の回転情報を検出する回転情報検出部15、光ディスク2への書き込みデータをエンコードしたり、光ディスク2から読み出しデータをデコードしたりする信号処理回路18、光ピックアップ3を目的セクタ位置へシークさせるステッピングモータ9、スピンドルモータ5を制御するスピンドルモータ制御部6、フォーカシングアクチュエータ8を制御するフォーカシングアクチュエータ制御部12、トラッキングアクチュエータ7を制御するトラッキングアクチュエータ制御部11、ステッピングモータ9を制御するステッピングモータ制御部10、光ピックアップ3で光電変換されたアナログ信号からトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、読み出し信号を生成するRF(Radio Frequency)回路17、トラッキングエラー信号を検出するトラッキングエラー検出部13、フォーカシングエラー信号を検出するフォーカシングエラー検出部14、レーザダイオード31の発光強度を調整するレーザ駆動回路16、コンピュータシステムと光ディスクドライブ1間の入出力信号を仲介するインターフェース23、光ディスクドライブ1全体の動作を制御するMPU(Micro Processing Unit)19、MPU19が実行するプログラムやデータを記憶しておく半導体メモリ21、MPU19とインターフェース23間の処理速度や転送速度の差による処理待ちのデータやエンコードやデコードの処理として先読みしたデータを一時的に保存しておくバッファ20、光ディスクドライブ1へ駆動電力を供給する電源22から構成される。
【0005】
光ディスクドライブのインターフェースの動向は、PATA(Parallel Advanced Technology Attachment)からSATA(Serial ATA)へ移行が進んでいる。SATA移行はハードディスクドライブが先行しており、コンピュータシステムのマザーボードに光ディスクドライブ用に40ピンのPATAコネクタを設ける必要性が薄れている背景もある。
【0006】
前記DVD−RAM、MOはカートリッジで記録面が保護されているが、それ以外の光ディスクは裸のままで使用するため、光ディスクを扱うときに記録面に指紋等の異物付着したり、光ディスクドライブ内に光ディスクを長時間に亘って装填したり、光ディクスドライブの使用環境によって、光ディスクの記録面に塵埃等の異物付着によって光ディスクへの書き込みや読み出しに悪影響することが懸念される。また、光ディスクドライブにおいては、使用環境等の経年経過とともに光ピックアップの対物レンズに塵埃等の異物付着やレーザダイオードの経年劣化によって光ディスクへの書き込みや読み出しに悪影響することが懸念される。
【0007】
上記のように、光ディスクへの書き込みや読み出しエラーは、塵埃等によって光ディスクの記録面、または、光ピックアップの対物レンズ、もしくは、両方が塵埃等によって汚れていることで発生していると考えられる。
【0008】
光ピックアップの対物レンズが塵埃等によって汚れている場合は、レンズクリーニング用光ディスクを使用することが一般的である。レンズクリーニング用光ディスクは乾式と湿式があり、光ディスクの記録面に数個のブラシが取り付けてある。前者は、そのブラシで光ピックアップの対物レンズに付着している塵埃等を掃き取る。後者は、ブラシにクリーニング液を付けて、光ピックアップの対物レンズに付着している油膜系の汚れを拭き取る。ブラシを直接、対物レンズに接触させるため、付着している塵埃等を対物レンズに擦り付けて傷を付ける危険がある。また、ブラシは一定の回転方向なので、対物レンズの汚れを取り切れなかったり、その塵埃等が光ディスクドライブ内を浮遊し、光ディスクの記憶面等に付着したり、別の問題を引き起こすことが懸念される。
また、書き込みは一回限りだが読み出しは何度でもできるWORM (Write Once Read Many)と呼ばれる前記CD-R、DVD-R等に書き込む場合、書き込む前に光ディスクの記録面、または、光ピックアップの対物レンズの汚れを検出することは、書き込み失敗を未然に回避する上で重要なことである。
【0009】
顧客先にて、光ディスクドライブの障害が発生した場合は、迅速に原因特定し、逸早く現状復旧させることが最優先となるため、保守部材(良品)の光ディスクドライブと交換することが一般的である。一方、コンピュータシステムを連続稼動している顧客先では、安易にコンピュータシステムの稼動停止させることは許されないため、原因特定を容易にできることが要求される。また、光ディスクドライブの障害対応が完了するまで期間は、光ディスクへの書き込みや読み出しが行えないことは重要な問題である。
【0010】
特許文献1(特開2005−78701号公報)には、光ディスクドライブ内の不揮発性メモリに記録している基準反射光量と基準ディスクから反射光量を比較して、基準ディスクの反射光量が小ならば、光ピックアップの汚れが原因と通知し、基準反射光量と基準ディスクから反射光量がほぼ同等で、光ディスクからの反射光量と基準反射光量を比較して、光ディスクからの反射光量が小ならば、光ディスクの汚れが原因と通知する光ディスクドライブが開示されている。しかしながら、この文献に示されたものは、基準ディスクを常備して置き、光ディスクドライブからの通知に従って、オペレーターが基準ディスクを光ディスクドライブに装着する必要がある。また、塵埃等によって光ディスクおよび光ピックアップが汚れている状態に対する適当な対策を提供するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−78701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
光ディスクドライブが塵埃等の異物付着によって光ディスクの記録面、または、光ピックアップの対物レンズが汚れている場合に、迅速に原因特定し、その汚れを取り除いくことは困難である。
【0013】
本発明の目的は、光ディスクへの書き込みや読み出しエラー発生時、光ディスクドライブの電源投下時、光ディスクの認識時等において、光ピックアップの対物レンズが汚れていると判断した場合に、自動的に掃除することができる光ディスクドライブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
光ディスクの記録面にレーザビームを照射して光ディスクへの書き込みや読み出しを行う光ディスクドライブにおいて、搭載する光ディスク縁(最外周)の近くに、光ピックアップの対物レンズに接触して対物レンズに付着した塵埃等を除去する吸着シートの掃除部材と、前記掃除部材の保持と光ピックアップの対物レンズとの接触による衝撃を吸収する弾性支持部材と、を備えたクリーニングユニットを容易に着脱可能なカセット式に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光ディスクドライブは、光ディスクドライブ内に容易に着脱できるカセット式のクリーニングユニットを設けることで、塵埃等による光ピックアップの汚れと判断された場合に、自動的にクリーニングユニットの吸着シートの新しい面を引き出して対物レンズの汚れを取り除いて、光ディスクへの書き込みや読み出しエラーを回避、または、復旧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の光ディスクドライブを説明するブロック図である。(実施例1)
【図2】従来の光ディスクドライブを説明するブロック図である。
【図3】光ピックアップを説明するブロック図である。
【図4】反射光量の低下原因判定および対処方法のフローチャートである。
【図5】反射光量の低下原因を判定する前処理のフローチャートである。
【図6】光ピックアップの掃除処理のフローチャートである。
【図7】クリーニングユニットの実装を説明する断面図である。
【図8】クリーニングユニットを説明する図である。
【図9】クリーニングユニットの着脱を説明する断面図である。
【図10】光ピックアップのシーク動作を説明する断面図である。
【図11】吸着シートを説明する断面図である。
【図12】光ピックアップの掃除動作を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図示した実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明による光ディスクドライブ1の一実施例を示すブロック図で、以下に着脱可能なカセット式のクリーニングユニット32を設けた光ディスクドライブ1の動作例を示すものである。
【0019】
図1は、本発明の光ディスクドライブ1の基本構造を示したブロック図である。図2に記載されたものに加えて、光ディスク2の記録面や光ピックアップ3の対物レンズ4の汚れを判別するときに基準となる基準メディア24、基準メディア24の塵埃付着防止用カバー25、基準メディア24からの反射光量を随時、記録する不揮発性メモリ26、光ピックアップ3の対物レンズの汚れを掃除するクリーニングユニット32(塵埃等を除去する吸着シート33、吸着シートを巻くリール34、吸着シート33の保持と光ピックアップ3の対物レンズ4との接触による衝撃を吸収する弾性支持部材35、吸着シートの最終面を検出するセンサ41)、塵埃等を除去するときに、新しい吸着シート面にするように吸着シート33のリール34を走行させるリールモータ36、リールモータ36を制御するリールモータ駆動制御部37、吸着シート面を光ピックアップ3の対物レンズ4に接触させるために、弾性支持材35をゆっくり振動させるカム付き円板40、カム付き円板40を駆動させるカムモータ39、カムモータを制御するカムモータ駆動制御部43、クリーニングユニットを着脱するクリーニングユニット着脱開口部38から構成される。
【0020】
上記構成による光ディスクへの書き込みや読み出しする動作について、以下に説明する。尚、説明を簡単にするため、光ディスクが光ディスクドライブに装填されて、光ディスクの認識処理である光ディスクの内周部にあるTOC領域、もしくは、エンボス領域に記録されている制御情報を読み出す動作の説明は省略する。光ディスク2を光ディスクドライブ1のスピンドルモータ5に装填すると、コンピュータシステムからのコマンド指令により、スピンドルモータ5とスピンドル制御部6を動作させ、光ディスク2を回転させて、光ディスク2を認識(物理ファーマットや記録方式)して、リクエストセンスを返す。次に、MPU19が光ディスク2への書き込み動作や読み出しの指令を行い、回転情報検出部15にて光ディスク2の回転速度をモニターし、所定の回転速度になったら、光ピックアップ3、フォーカシングアクチュエータ制御部12、トラッキングアクチュエータ制御部11、ステッピングモータ9、ステッピングモータ制御部10、RF回路17を動作させて、光ディスク2への書き込みや読み出しを行う。MPU19のアクセスログは半導体メモリ21に記録され、ある容量を超えた分から古いアクセスログから上書きする。光ディスク2への書き込みはバッファ20に一時保管してから、纏まったデータ量で光ディスク2に書き込みを行う。
【0021】
上記構成においては、光ディスク2の反射光量が低下した場合、RF回路17で検出され、レーザ駆動回路16を制御して、光ピックアップ3の光源であるレーザダイオードの発光強度を調整する。しかしながら、塵埃等による光ディスク2の記録面、または、対物レンズ4の汚れの程度が大きくなるにつれて、上記のレーザ駆動回路16による発光強度の調整が追いつかず、光ディスク2の反射光量は低下する。また、光ピックアップ3の光源であるレーザダイオードの経年劣化も同様である。光ディスク2は装填したり、排出したりすることできるリムーバブルなメディアであるため、光ディスク2の記録面は光ピックアップ3の対物レンズ4より汚れるポテンシャルが高い。光ディスク2の記録面が汚れている場合は、光ディスク2を新品に交換するしかない。光ピックアップ2の対物レンズが汚れている場合は、対物レンズ4の掃除を行う。レーザダイオードの経年劣化の場合は、レーザダイオードの交換等光ディスクドライブ1のメンテナスが必要である。したがって、光ディスク2の反射光量の低下原因によって対処方法が異なるため、容易に特定できることが望まれる。
【0022】
光ディスクの反射光量の低下原因を特定する動作処理は、以下の3通りである。
(1)光ディスクへの書き込みや読み出しエラー発生時
(2)光ディスクドライブの電源投下時
(3)光ディスクの認識時
まず、図5を参照しながら前処理フローチャートの動作手順について説明する。反射光量低下原因判定および対処方法のサブルーチンの前処理を開始する(S21)。光ディスクドライブ内に光ディスクの有無を確認する(S22)。光ディスクがある場合は、エラーが発生した光ディスクの最内周まで光ピックアップをシークし(S23)、レーザダイオードを発光する(S24)。そのときに検出した光ディスクからの反射光量をLdとする(S25)。次に、光ピックアップを光ディスクドライブに設けた塵埃付着防止用カバーで保護された小片の基準メディア24までシークし(S26)、塵埃付着防止用カバーを開口させて(S27)、レーザダイオードを発光する(S28)。そのときに検出した基準メディアからの反射光量をLrとする(S29)。また、光ディスクがない場合は、S26からS29の処理を行う。ここで、前処理を終了する(S30)。
【0023】
(1)光ディスクへの書き込みや読み出しエラー発生時
光ディスクへの書き込みや読み出し動作中に何らかエラーが発生したとき、光ディスクドライブからコンピュータシステムへエラーコードを返した後に、そのエラーが塵埃等による光ディスクからの反射光量の低下が原因なのかを切り分けおよび対処方法(通知、または、掃除)を行うために、図4の処理フローチャートを行う。処理開始は自動実行、専用コマンド発行、専用ボタン押下する等がある。
【0024】
図4を参照しながら反射光量低下原因判定および対処方法の処理フローチャートの動作手順について説明する。反射光量低下原因判定および対処方法の処理を開始する(S1)。コンピュータシステムからのコマンドがないとき、または、定期的に不揮発性メモリに基準メディアからの反射光量Liを記録する(S2)。次に、図5の前処理を行う(S3)。S3で検出された光ディスクからの反射光量Ldと基準メディアからの反射光量Lrとの比較を行い(S4)、LdがLrより規定値以上の小の場合には、LiとLrとの比較を行い(S5)、LrがLiより規定値以上の小の場合には、LdおよびLrの両方が低下していることになるため、光ディスクおよび光ピックアップが汚れていると判断する(S6)。次に、光ピックアップの掃除処理を行い(S7)、光ピックアップの掃除が完了した旨を通知する(S8)。また、LiとLrとの比較を行い(S5)、LrがLiとほぼ等しいならば、Ldが低下した原因は光ディスクが汚れていると判断し(S9)、光ディスクが汚れていると判断した旨の通知を行う(S10)。次に、光ディスクの交換を促す通知を行う(S11)。ここで、処理を終了する(S20)。
【0025】
一方、S4の比較でLdとLrがほぼ等しい場合には、LiとLrとの比較を行い(S12)、LrがLiより規定値以上の小ならば、光ピックアップが汚れていると判断し(S13)、光ピックアップが汚れていると判断した旨の通知を行う(S14)。次に、光ピックアップの掃除処理を行い(S15)、光ピックアップの掃除が完了した旨を通知する(S16)。また、LrがLiとほぼ等しい場合には、エラー発生している(S17)ため、光ディスクおよび光ピックアップの汚れ以外の原因があると判断し(S18)、原因調査を促す通知を行う(S19)。ここで、処理を終了する(S20)。
【0026】
上記の場合、上記S4が本発明の第1の比較手段に、S5およびS21が本発明の第2の比較手段に、S9が本発明の第1の判定手段に、S21が本発明の第2の判定手段に、S10が本発明の第1の通知手段に、上記S14が本発明の第2の通知手段に、S16が本発明の第3の通知手段に、それぞれ相当する。
【0027】
図6を参照しながら反射光量低下原因の対処方法の一つである光ピックアップの対物レンズを掃除するまでの掃除処理フローチャートの動作手順について説明する。光ピックアップの掃除処理を開始する(S31)。クリーニングユニットの装填有無を確認する(S32)。装填されていない場合には、クリーニングユニットの装填を促す通知を行う(S33)。次に、クリーニングユニットの吸着シートが最終面かどうか確認する(S34)。最終面の場合には、クリーニングユニットの交換を促す通知を行う(S35)。次に、光ディスクがある(S36)ため、スピンドルモータを停止し、スンピンドルモータを駆動させるコマンドを受け取らない設定にする(S37)。次に、光ピックアップをクリーニングユニットまでシークし(S38)、リールモータを駆動させて、吸着シートを新しい面にする(S39)。次に、吸着シートが対物レンズに接着するように弾性支持部材をゆっくり振動させて(S40)、対物レンズに付着している汚れを取り除く。ここで、処理を終了する(S41)。
【0028】
上記の場合、S37が本発明の掃除制御手段に、S38が本発明の掃除手段に、S31が本発明の第4の通知手段に、S33が本発明の第5の通知手段に、それぞれ相当する。
(2)光ディスクドライブの電源投下時
光ディスクドライブの電源投入時においては、光ディスクドライブの認識後に、塵埃等による光ディスクから反射光量の低下が発生するか事前にチェックする目的で、図4処理フローチャートを行う。上記の光ディスクへの書き込みや読み出しエラー発生時と同様の処理である。尚、光ディスクが装填されていない場合は、図5の前処理において、光ディスクの処理を行わないルーチンが実行される。また、図4において、LiとLrとLdがほぼ等しい場合は、正常と判断し、メインルーチンへ戻る。
(3)光ディスクの認識時
光ディスクの認識時においては、光ディスクを装填して、光ディスクの内周部にあるTOC領域、もしくは、エンボス領域に記録されている制御情報を読み出す動作の後に、塵埃等によって光ディスクの記録面が汚染されて、光ディスクからの反射光量低下が発生しているか事前にチェックする目的で、図4の処理フローチャートを行う。上記の光ディスクへの書き込みや読み出しエラー発生時と同様の処理である。尚、図4において、LiとLrとLdがほぼ等しい場合は、正常と判断し、メインルーチンへ戻る。
【0029】
図7はクリーニングユニットおよび基準メディアの実装図で、図7(a)は上面から見た図、図7(b)は側面(X方向)から見た図、図7(c)は側面(Y方向)から見た図である。図7に光ディスク2と、光ピックアップ3、基準メディア24、クリーニングユニット32、リールモータ36、カムモータ39等の実装位置を示す。光ピックアップ3の対物レンズ4の中心とスピンドルモータ5の中心軸を結ぶ直線上に、クリーニングユニット32の吸着シート33および基準メディア24を実装し、光ピックアップ3をシークすることで、通常の光ディスク2への書き込みや読み込み以外に、光ピックアップ3の対物レンズ4を掃除したり、基準メディア24から反射光量を測定したりすることが可能になる。
【0030】
図8はクリーニングユニット32の構造について説明する図で、図8(a)はクリーニングユニット32の断面図、図8(b)はカム付き円板40と弾性支持部材35の実装位置、図8(c)はセンサ41の断面図である。クリーニングユニット32は塵埃等を除去する吸着シート33、吸着シートを巻くリール34、吸着シート33の保持と光ピックアップ3の対物レンズ4との接触による衝撃を吸収する弾性支持部材35、吸着シートの最終面を検出するセンサ41から構成する。カム付き円板40を回転させて、カム部がある一定の間隔で弾性支持部材35上を通過する仕組みになっている。吸着シートの最終面を検出するセンサはコ型の形状で、両端に投光器と受光器を対向設置しており、投光器と受光器の間を吸着シートで光を遮る構造になっている。
【0031】
図9はクリーニングユニット32の着脱動作について説明する断面図で、図9(a)はクリーニングユニット32挿入時、図9(b)はクリーニングユニット32装着完了時である。光ディスクドライブの天面に設けているクリーニング着脱開口部38のカバーを取り外して、クリーニングユニット32をゆっくり挿入する。リールモータ36の軸は出っ張っており、クリーニングユニット32を挿入するときに当たるが、リールモータ36の軸はバネ構造でモータ内部に入り込む構造になっている。クリーニングユニット32が定位置まで装着されるとリールモータ36の軸がクリーニングユニット32のリール穴に入り込んで、リールを駆動することが吸着シートを新しい面にすることが出来る。最後にクリーニング着脱開口部のカバーを取り付ければ装着完了である。また、クリーニングユニット32を外すときは、クリーニングユニット32を引っ張ることで、リールモータ36の軸がモータ内部に入り込んで、外すことが出来る。
【0032】
図10は光ピックアップ3のシーク動作について説明する断面図で、図10(a)は光ピックアップ3の基準位置[A]、図10(b)はクリーニングユニット32へのシーク位置[B]、図10(c)は基準メディア24へのシーク位置[C]、図10(d)は光ディスク3への書き込みおよび読み出し時のシーク範囲[D]である。Aはトレイもしくはカートリッジを排出する時に、光ディスク2の縁より少し外側で待機する位置である。Bは図4のフローにより光ピックアップ3が汚れていると判断された場合に、光ピックアップ3の対物レンズ4の汚れを掃除するため、クリーニングユニット32の吸着シート33までシークする位置である。Cはコンピュータシステムからのコマンドがない時、または、定期的、または、図5の前処理の時に基準メディア24の反射光量を測定するために、基準メディア24までシークする位置である。Dは通常の光ディスク2への書き込みおよび読み出しする時にシークする範囲である。光ピックアップ3のシークはステッピングモータ制御部10で制御している。
【0033】
図11は吸着シートの動作について説明する断面図で、図11(a)は吸着シート33が最終面ではない場合、図11(b)は吸着シート33が最終面である場合である。吸着面が最終面ではない場合、センサ41の投光器からの光が吸着シートで遮られてセンサ41の受光器に届かず、センサ41はOFF状態となり吸着シート33は最終面ではないと判断し、リールモータ駆動制御部37の制御によってリールモータ36を回転させて、吸着シート33を新しい面にする。一方、吸着シート33が最終面の場合、吸着シート33に最終面を示す穴42があり、センサ41の投光器からの光が受光器に届き、ON状態となり吸着シート33は最終面であると判断し、クリーニングユニット32の交換を促す通知を行う。
【0034】
図12はクリーニングユニット32の動作について説明する断面図で、図12(a)は掃除前のクリーニングユニット32、図12(b)は掃除時のクリーニングユニットである。掃除前はカム付き円板40が静止しており、吸着シート33の面と光ピックアップ3の対物レンズ4は離間した位置を保持している。光ピックアップ3の対物レンズ4の方向(矢印A方向)に弾性変形しながら振動する。 掃除時はカム付き円板40が回転し、ある一定間隔でカム部が弾性保持部材35上を通過するときに、弾性支持部材35が矢印A方向にゆっくり振動して吸着シート33の面と光ピックアップ3の対物レンズ4が接触する。カム付き円板40は2〜3回回転して対物レンズ4に付着している汚れを取り除く。
【0035】
これにより、光ディスクドライブ内に容易に着脱できるカセット式のクリーニングユニットを設けることで、塵埃等の異物付着による光ディスクの記録面、または、光ピックアップの対物レンズが汚れているのかを、光ディスクからの反射光量低下を検出することで、容易に原因を判別し、光ピックアップの対物レンズが塵埃等の異物付着によって汚れていると判断された場合に、自動的にクリーニングユニットの吸着シートを新しい面に切り替えて対物レンズの汚れを取り除くことができる。
【符号の説明】
【0036】
1:光ディスクドライブ
2:光ディスク
3:光ピックアップ
4:対物レンズ
5:スピンドルモータ
6:スピンドルモータ制御部
7:トラッキングアクチュエータ
8:フォーカシングアクチュエータ
9:ステッピングモータ
10:ステッピングモータ制御部
11:トラッキングアクチュエータ制御部
12:フォーカシングアクチュエータ制御部
13:トラッキングエラー検出部
14:フォーカシングエラー検出部
15:回転情報検出部
16:レーザ駆動回路
17:RF回路
18:信号処理回路
19:MPU
20:バッファ
21:半導体メモリ
22:電源
23:インターフェース
24:基準メディア
25:基準メディアの塵埃付着防止用カバー
26:不揮発性メモリ
27:シリンドリカルレンズ
28:フォトダイオード
29:偏光ビームスプリッタ
30:コリメータレンズ
31:レーザダイオード
32:クリーニングユニット
33:吸着シート
34:吸着シートを巻いているリール
35:弾性支持部材
36:リールモータ
37:リールモータ駆動制御部
38:クリーニングユニット着脱開口部
39:カムモータ
40:カム付き円板
41:センサ
42:吸着シートの最終面を示す穴
43:カムモータ駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの記録面にレーザビームを照射して光ディスクへの書き込みや読み出しを行う光ディスクドライブにおいて、光ピックアップの対物レンズに接触して対物レンズに付着した塵埃を除去する吸着シートの掃除部材と、前記掃除部材と光ピックアップの対物レンズとの接触させる弾性支持部材と、を備えたクリーニングユニットを着脱可能なカセット式に設けたことを特徴とする光ディスクドライブ。
【請求項2】
塵埃付着防止用カバー付き基準メディアおよび光ディスクからの反射光量を検出する反射光量検出手段と、前記反射光量検出手段によって検出された基準メディアからの反射光量を基準反射光量として定期的に記録用不揮発性メモリに記録しておく基準反射光量記録手段と、少なくとも光ディスクへの書き込みや読み出しエラー発生時、光ディスクドライブの電源投下時、光ディスクの認識時に、前記反射光量検出手段によって検出された光ディスクからの反射光量と基準メディアからの反射光量を比較する第1の比較手段と、前記反射光量検出手段によって検出された基準メディアから反射光量と前記基準反射光量記録手段によって記録されている基準反射光量を比較する第2の比較手段と、前記第1の比較手段の比較に基づいて、光ディスクからの反射光量が基準メディアからの反射光量より規定値以上の小、且つ、基準メディアからの反射光量と前記基準反射光量がほぼ等しいならば、光ディスクの記録面が汚れていると判断する第1の判定手段と、その旨を通知する第1の通知手段と、前記第2の比較手段の比較に基づいて、基準メディアからの反射光量が前記基準反射光量より規定値以上の小ならば、光ピックアップの対物レンズが汚れていると判断する第2の判定手段と、その旨を通知する第2の通知手段と、クリーニングユニットを用いて対物レンズの汚れ等を取り除く掃除手段、その旨を通知する第3の通知手段と、前記掃除手段を使用する直前にクリーニングユニットの吸着シートを新しくする掃除制御手段と、クリーニングユニットの装填を促す通知する第4の通知手段と、吸着シートの交換を促す通知する第5の通知手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載の光ディスクドライブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−272146(P2010−272146A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120469(P2009−120469)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】