説明

光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物

【課題】光硬化後の表面タックが抑制された柔らかさを有する、光ディスク面を傷から防護するための光ディスクプロテクタ用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】光ラジカル重合反応性オリゴマー(成分A)と、光ラジカル重合開始剤(成分B)とを含有し、成分Aが、ジエン系オリゴマー、ウレタン系オリゴマー及び(メタ)アクリレート系オリゴマーから選ばれる1以上の化合物であり、前記(メタ)アクリレート系オリゴマーが、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリルアクリレートオリゴマーからなる群から選ばれる1以上の化合物であり、成分Aの分子量が500〜100000であり、成分Bが、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンのモノマー及び/又はオリゴマーである光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光記録媒体の記録,再生に用いられる光ピックアップ装置及び光ピックアップ装置を組み込んだ光ディスクドライブ装置は、発光素子からの出射光を各種の光透過及び/又は光反射媒体である光学部品を介して対物レンズに導き、光記録媒体上で収束させる光学系と、光記録媒体からの戻り光を対物レンズ及び他の光学部品を介して光出力を電気信号に変換するための光電変換素子で受光する光学系とから構成される。
対物レンズを始めとする各種レンズ,プリズム,ミラー等の光学部品は、光ピックアップ装置に対して、光学的観点から最適な位置に接着剤を用いて固定することが必要となる。
【0003】
このような光ピックアップ装置は、様々な要因で面ブレを起こす光ディスクに対して、アクチュエータによって対物レンズの高さを微調整させ、対物レンズと光ディスク面をある一定の距離にすることで、光ディスクの信号の読み出しや書き込みを安定して行うことを可能としている。
【0004】
しかし、近年、光ピックアップ装置を組み込むパソコン、ブルーレイディスク、光ディスクドライブ装置などの光学用途装置の薄型化に伴い、光ディスク面と対物レンズ面との距離が小さくなってきているため、アクチュエータのフォーカスサーボの外れ、衝撃的な外力による対物レンズ又は光ディスク面の損傷等により、信号の読み取り障害が生じないように、薄型の光ピックアップ装置には、図1に示すように、対物レンズよりも光ディスク面側に突起した位置に接着剤のような保護(プロテクタ)部材が取付けられている構造が一般的になっている。
【0005】
このような保護部材としては、回転している光ディスクに接触した場合、光ディスク表面を傷つけることなく、樹脂自体が容易に削れ、また、衝撃的な外力が加わった場合でも、接触面が滑るような、光ディスク面と接触しても光ディスク面の傷をつけないような樹脂が使用されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、短時間で硬化可能な紫外線硬化型接着剤(アクリル系、エポキシ系)、シリコーン系接着剤等が好ましく、光ディスクの原料がポリカーボネートであるため、ポリカーボネートの弾性率(2GPa)よりも十分小さい接着剤、好ましくは、弾性率が1GPa以下であるような柔らかい接着剤を使用することが望ましいとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−003252公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物を保護部材として使用する場合、光ディスク面の傷をつけないために、弾性率が低いという観点だけで組成物を構成する樹脂を設計しても、酵素阻害などによる表面タックがある場合には、組成物が光ディスクに付着するディスク汚染が発生することがあり、光ディスク面を十分に保護できるとはいえない。
また、そのままでは表面タックが強い樹脂は、そのままでも表面タックが問題にならない樹脂に比べて柔かい場合が多く、このような樹脂の強い表面タックを軽減すれば、従来にはない柔らかい樹脂によって、ディスク汚染の発生し難い光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物を構成できることになる。
【0009】
本発明は、ディスク汚染軽減の観点から、光硬化後の表面タックが抑制された柔らかさを有する、光ディスク面を傷から防護するための光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
光ラジカル重合反応性オリゴマー(成分A)と、
光ラジカル重合開始剤(成分B)
とを含有する光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物であって、
前記成分Aが、ジエン系オリゴマー、ウレタン系オリゴマー及び(メタ)アクリレート系オリゴマーからなる群から選ばれる1以上の化合物であり、
前記(メタ)アクリレート系オリゴマーが、
エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリルアクリレートオリゴマーからなる群から選ばれる1以上の化合物であり、
前記成分Aの重量平均分子量が500〜100000であり、
前記成分Bが、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンのモノマー及び/又はオリゴマーである光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物。
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光硬化後の表面タックが抑制された柔らかさを有する、光ディスク面を傷から防護するための光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】光ピックアップ装置におけるアクチュエータ部分の概念図
【図2】光ディスク損傷試験の断面図(図2上)と上面図(図2下)
【図3】表面硬化性試験の×の評価の状態(図3上)と○の評価の状態(図3下)
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔成分A〕
本発明に含まれる成分Aは、
光ラジカル重合開始剤である成分Bによって光ラジカル重合した後の本発明の光硬化後の柔らかさと低い表面タックにより、光ディスク面を傷から防護する観点から、ジエン系オリゴマー、ウレタン系オリゴマー及び(メタ)アクリレート系オリゴマーからなる群から選ばれる1以上の化合物であり、
前記(メタ)アクリレート系オリゴマーが
エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリルアクリレートオリゴマーからなる群から選ばれる1以上の化合物である光ラジカル重合反応性化合物である。
【0014】
成分Aの重量平均分子量は、本発明の光硬化後の柔らかさと低い表面タックを確保する観点から、
500〜100000であり、1000〜50000が好ましく、1000〜30000がより好ましい。
なお、重量平均分子量は、GPCに基づいて測定されたものであり、好ましくは、以下の条件で測定される。
測定装置:島津製作所社製GPCシステム
カラムの種類:有機溶媒系SECカラム(東ソー社製)
溶剤の種類:テトラヒドロフラン(THF)
【0015】
ジエン系オリゴマーとは、ブタジエン、イソプレン等のジエン系炭化水素モノマーに由来する、光ラジカル重合反応性化合物であり、低い表面タック性の観点から、ブタジエンオリゴマー及び/又はイソプレンオリゴマーが好ましく、イソプレンオリゴマーがより好ましい。
【0016】
市販されているジエン系オリゴマーとして、イソプレン(メタ)アクリレートオリゴマーUC−203(クラレ社製)、ブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーTE2000(日本曹達社製)、ブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーBAC−45(大阪有機化学社製)等が挙げられる。
【0017】
ウレタン系オリゴマーとしては、本発明の硬化後の柔らかさと低い表面タックを付与する観点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートは、多価アルコール、有機ポリイソシアネート及びヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物を反応させることによって得られる。
多価アルコールとしては、例えば、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリシクロデカンジメチロール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等、これら多価アルコールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール、前記多価アルコールとε−カプロラクトンとの反応によって得られるカプロラクトンアルコール、ポリカーボネートポリオール(例えば、1,6− ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等)又はポリエーテルポリオール(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシド変性ビスフェノールA 等)等が挙げられる。
【0018】
有機ポリイソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート又はジシクロペンタニルイソシアネート等が挙げられる。
【0019】
ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチロールシクロヘキシルモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシカプロラクトン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0020】
ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、例えば、以下の反応により得られる。即ち、多価アルコールにその水酸基1当量当りイソシアネート基が好ましくは1.1〜2.0当量になるように有機ポリイソシアネートを混合し、反応温度を好ましくは70〜90℃で反応させ、ウレタンオリゴマーを合成する。次いで得られたウレタンオリゴマーのイソシアネート基1当量当り、ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物をその水酸基が好ましくは1〜1.5当量となるように混合し、好ましくは70〜90℃で反応させて目的とするウレタン(メタ)アクリレートが得られる。
【0021】
〔その他の光ラジカル重合性化合物〕
本発明は、成分A以外に、粘度や硬度、接着性など諸物性調整の観点から、その他の光ラジカル重合性化合物を含むことができる。
その他の光ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリレート系モノマーが好ましく、粘度や硬度、接着性など諸物性調整がし易いとの観点から、炭化水素系(メタ)アクリレート並びに/又はシクロ環又は/若しくは水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーがより好ましい。
【0022】
炭化水素系(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートモノマーに代表される長鎖(メタ)アクリルモノマー、及びアクリロニトリル等が好ましく、ラウリル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0023】
シクロ環含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0024】
水酸基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、カプロラクトンアクリレート又は脂肪族エポキシアクリレートが好ましく、
4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートがより好ましく、
4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
【0025】
〔成分B〕
本発明に含まれる成分Bは、光ラジカル重合性化合物である成分Aを光ラジカル重合させるための光重合開始剤であって、本発明の硬化体の柔らかさと低い表面タック性により、光ディスク面を傷や汚染から防護する観点から、水素引き抜き型もしくは自己開裂型の光開始剤が好ましく、
水素引き抜き型の光開始剤としてはベンゾフェノン類、ジベンゾスベロン類、アントラキノン類、キサントン類、チオキサントン類等を使用でき、
自己開裂型の光開始剤としては、αヒドロキシアルキルフェノン系の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンのモノマー及び/又はオリゴマーを含むベンゾインエーテル類、ベンジルケタール類、ハロゲノアセトフェノン類、ジアルコキシアセトフェノン類、ヒドロキシアセトフェノン類等が使用できる。
これらの中では、本発明の硬化体に柔らかさと低い表面タック性を付与する観点から、
ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン,4−メチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンのモノマー及び/又はオリゴマーがより好ましく、
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンのモノマー及び/又はオリゴマーが更に好ましく、
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンのオリゴマーが更に好ましい。
【0026】
ベンゾフェノン系光開始剤としては、IRGACURE 500(BASF社製)、Esacure TZT(DKSHジャパン社製)等が挙げられ、
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンのモノマー及び/又はオリゴマーとしては、Esacure ONE、KIP100、150、150P(DKSHジャパン社製)が挙げられる。
【0027】
〔成分C〕
本発明が、成分Aと成分Bによって光硬化した後の低い表面タック性に加えて、適度なスベリ性を付与して、光ディスク面の傷からの防護をさらに強化する観点から、本発明には、さらに、シリコーン系化合物、パラフィン系ワックス及びフッ素系ワックスからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物又はワックス(成分C)を含めることが好ましく、シリコーン系化合物がより好ましい。
【0028】
シリコーン系化合物としては、アルキルやポリエーテルなどで有機変性したポリジメチルシロキサン化合物が好ましく、
ポリフローKL−400HF、KL−401、KL−402、KL−403、KL−404などが共栄社化学社より入手できる。好ましくは有機変性ポリシロキサンKL−402が挙げられる。
なお、シリコーン系化合物は、オイル状、ペースト状、フィラー状のいずれでもよいが、配合し易さの観点からオイル状が好ましい。
【0029】
パラフィン系ワックスとしては、ポリエチレンワックス、アマイドワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、ラノリンワックスなどがあり、CERAFLOUR(登録商標)990、995、CERACOL(登録商標)604、609Nなどがビックケミー社より入手できる。
【0030】
フッ素系ワックスとしては、PTFE、PTFE変性ポリエチレンワックスなどがあり、CERAFLOUR(登録商標)997、998などがビックケミー社より入手できる。
【0031】
〔その他の成分〕
本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、可塑剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、無機、有機各種フィラー、ポリマー等の添加剤を含めることができる。
【0032】
〔光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物〕
成分Aと成分Bによって光硬化した後に低い表面タック性を付与する観点から、
成分A及びBの含有量は、成分A及びBの合計量に対して、
好ましくは、成分Aが70〜99重量%、成分Bが1〜30重量%、
より好ましくは、成分Aが75〜97重量%、成分Bが3〜25重量%、
更に好ましくは、成分Aが80〜95重量%、成分Bが5〜20重量%、
更に好ましくは、成分Aが80〜90重量%、成分Bが10〜20重量%であり、
成分A及びBの合計量は、光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物中、
好ましくは50〜100重量%、より好ましくは55〜99.99重量%、更に好ましくは55〜99.98重量%、更に好ましくは55〜99.5重量%、更に好ましくは55〜98重量%、更に好ましくは55〜90重量%、更に好ましくは55〜80重量%、更に好ましくは55〜75重量%である。
【0033】
成分Aと成分Bによって光硬化した後に低い表面タック性を付与することに加えて、適度なスベリ性を付与して、光ディスク面の傷からの防護をさらに強化する観点から、
光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物中、
成分Cは、好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは0.02〜0.5重量%である。
【0034】
また、光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物は、硬化後の柔らかさを確保する観点と、ディスクとの接触に際してプロテクタの安定した形状を確保する観点から、硬化した後のタイプA硬度が25〜75であることが好ましく、30〜70であることがより好ましく、30〜60であることが更に好ましく、30〜50であることが更に好ましい。
【0035】
本発明は、CDやDVD等の光記録媒体の記録,再生に用いられる光ピックアップ装置、もしくは光ピックアップ装置を組み込んだ光ディスクドライブ装置における光ディスクプロテクタ用の接着剤として好適に使用でき、薄型化の進むパソコンや、Blu−rayディスクの光ピックアップ装置、もしくは光ピックアップ装置を組み込んだ光ディスクドライブ装置における光ディスクプロテクタ用にも好適に使用できる。
【実施例】
【0036】
本発明の効果を実施例によって説明する。
実施例及び比較例には、以下の化合物を使用した。
〔成分A〕
UC−203(イソプレンメタクリレートオリゴマー、クラレ社製)
UV2750B(ウレタンアクリレートオリゴマー、日本合成化学社製)
EB270(ウレタンアクリレートオリゴマー、ダイセル・サイテック社製)
〔その他の光ラジカル重合性化合物〕
L−A(ラウリルアクリレートモノマー、共栄社化学社製)
HOB(2−ヒドロキシブチルメタクリレート、共栄社化学社製)
FA−711MM(ペンタメチルピペリジルメタクリレートモノマー、日立化成社製)
FA−511AS(ジシクロペンテニルアクリレート、日立化成社製)
〔成分B〕
KP−150(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンのオリゴマー、DKSHジャパン社製)
〔その他の光ラジカル重合開始剤〕
I−184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、BASF社製)
〔成分C〕
ポリフローKL−402(シリコーン系化合物、共栄社化学社製)
〔その他の成分〕
可塑剤:ニカノール(登録商標)NK−L(液状キシレン樹脂、フドー社製)
【0037】
〔光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物〕
表1に記載された組成になるように、上記の各成分を、60℃で、スリーワンモーター(EYELA社製MAZELAZ)を用いて500rpm、30分間撹拌し、約100gの光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物を製造した。
【0038】
〔評価条件〕
(1)粘度
得られた光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物を、RE−U型粘度計(東機産業社製)を使用して、25℃、R14ローター、10rpmなる条件で測定した。
粘度は、酸素阻害を受けにくくタックが発生しにくい、プロテクタの高さを調整しやすいなどの観点から、2000〜100000mPa・sが好ましく、5000〜40000mPa・sがより好ましく、10000〜20000mPa・sが更に好ましい。
【0039】
(2)タイプA硬度
得られた光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物2.5gを深さ5mm、内直径2.2mm、材質がポリプロピレンで、組成物が接触する内面が平滑な容器に入れて、メタルハライドUV照射装置(アイグラフィックス社製)で、6000mJ/cmのエネルギーで照射し、厚さ5mm径2.2mmの円柱状の光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物の硬化体を製造した。この光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物の硬化体を、硬度計200型(SHIMADZU社製)を用い、25℃・2分値読み取りの条件でタイプA硬度を測定した。
【0040】
(3)光ディスク損傷試験
得られた光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物5mgを、LCPダンベルに、武蔵エンジニアリング社製ディスペンサを使用して点接着し、光ファイバタイプUV照射装置LC5(浜松ホトニクス社製)で、500mW/cmのエネルギーで12秒間照射した後、図2に示すように、
光ディスク面上の所定の位置に接触させ、LCPダンベルの対面に50gの荷重を付し、
光ディスクを100rpmで30秒間回転させた後の、光ディスクの損傷状態(傷及び光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物由来の樹脂の有無)を目視で観察する。
ディスクに樹脂の付着又は円状の傷が明瞭である場合を、×
ディスクに樹脂の付着がなく円状の傷がうっすらと見える場合を、○
ディスクに樹脂の付着及び円状の傷が認められない場合を、◎
とした。
【0041】
(4)表面硬化性
得られた光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物を、ガラス上に直径1cm高さ1mmの円柱形となるように塗布し、光ファイバタイプUV照射装置LC5(浜松ホトニクス社製)で、500mW/cmのエネルギーで12秒間照射して、光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物の硬化体を形成した。
25℃、湿度40%の環境で、形成された硬化体の上に、カーボンブラック粉(商品名 NBD-0744、日弘ビックス社製)0.1gを上からまき、その後硬化体をひっくり返して軽く振動を与え、さらにエアガン(商品名 HBA−50HZ、アズワン社製)でエアを硬化体表面に吹き付けてカーボンブラックを除去した後、どの程度樹脂表面に付着するかを観察し、表面タックの度合いを評価した。
カーボンブラックが付着している場合を、×
カーボンブラックが付着していない場合を、○
とした。図3上に比較例2の結果を、図3下に実施例1の結果を示した。
【0042】
【表1】

【符号の説明】
【0043】
1 対物レンズ
2 接着剤
3 対物レンズホルダ
4 光ディスク
5 荷重(50g)
6 LCPダンベル
7 光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物(5mg)
8 45mm

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ラジカル重合反応性オリゴマー(成分A)と、
光ラジカル重合開始剤(成分B)
とを含有する光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物であって、
前記成分Aが、ジエン系オリゴマー、ウレタン系オリゴマー及び(メタ)アクリレート系オリゴマーからなる群から選ばれる1以上の化合物であり、
前記(メタ)アクリレート系オリゴマーが、
エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリルアクリレートオリゴマーからなる群から選ばれる1以上の化合物であり、
前記成分Aの重量平均分子量が500〜100000であり、
前記成分Bが、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンのモノマー及び/又はオリゴマーである光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記ジエン系オリゴマーが、イソプレン(メタ)アクリレートオリゴマー、ブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー及びブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマーからなる群から選ばれる1以上の化合物である請求項1記載の光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記ウレタン系オリゴマーが、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである請求項1記載又は2記載の光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記成分Bが、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンのオリゴマーである請求項1〜3のいずれか1項記載の光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
前記成分A及びBの合計量に対して、
前記成分Aが70〜99重量%、前記成分Bが1〜30重量%であり、
前記成分A及びBの合計量が、
前記光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物中、50〜100重量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
光硬化した後のタイプA硬度が30〜75である請求項1〜5のいずれか1項記載の光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
さらにシリコーン系化合物、パラフィン系ワックス及びフッ素系ワックスからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物又はワックス(成分C)を含む請求項1〜5のいずれか1項記載の光ディスクプロテクタ用光硬化性樹脂組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−40244(P2013−40244A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176587(P2011−176587)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000162434)協立化学産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】