説明

光ディスク処理装置

【課題】光ディスク処理装置において、高温環境下で情報を再生する際に、光ディスクから情報を読取るための各種自動調整を安定化できると共に、光ディスクから情報の読取を開始して出画、出音するまでの時間の遅れを防止できる。
【解決手段】モータ印加電圧値制御部72は、スピンドルモータ13の回転を開始させる際に、モータ駆動回路14からスピンドルモータ13に印加するモータ印加電圧値を所定の初期電圧値に設定する初期電圧値設定部81と、スピンドルモータ13の回転開始後、モータ電流値測定部15にて測定されるモータ電流値を基に初期電圧値を増幅する初期電圧値増幅部82と、ディスク回転速度検出部71により検出される光ディスクの回転速度が所定回転速度に達した後、光ディスクの回転速度が線速度一定となるようにモータ印加電圧値を調整する線速度一定電圧値調整部83とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばCDやDVD等の光ディスクに対して、情報の記録及び/又は再生を行う光ディスク処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光ディスク処理装置は、スピンドルモータにより光ディスクを回転させながら、光ヘッドにより光ディスクに光を照射して光ディスクからの反射光を受光することにより、光ディスクから映像や音楽、文書等の情報を読取って再生するようになっている。光ディスクは、線速度一定で情報が記録されており、このため、光ディスク処理装置は、光ヘッドの光照射位置における光ディスクの回転速度を線速度一定に保って、光ディスクから情報を読取るようになっている。
【0003】
また、電流感知抵抗の電圧値を測定し、その測定電圧値を利得乗算器にて乗算し、その乗算した電圧値を積分し、そして、その積分した電圧値が基準電圧値よりも小さければ、電流感知抵抗の電圧値の測定、測定電圧値の利得乗算器による乗算、及び乗算した電圧値の積分を繰り返し、一方、積分した電圧値が基準電圧値以上であれば、モータドライバをディセーブルし、これにより、スピンドルモータ始動中にモータ転流切替えにより電源上で見られる高周波電流ピークを低減するようにしたモータ始動電流制限装置が知られている(例えば特許文献1参照)。また、スピンドルモータの両端電圧から逆起電圧を求める逆起電圧検出手段を備え、ディスク装置の電源オン時に逆起電圧検出手段の出力を規定時間間隔をおいて測定し、同じ値であると判断できる場合に、そのときの逆起電圧検出手段の出力値をスピンドルモータの回転数ゼロの値の基準値として、スピンドルモータの回転数ゼロを検出するまでスピンドルモータにブレーキ電圧を印加することで、スピンドルモータを停止させるようにしたスピンドルモータ停止制御装置が知られている(例えば特許文献2参照)。
【特許文献1】特表2004−515188号公報
【特許文献2】特開2003−224988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の光ディスク処理装置においては、光ディスクの回転速度を線速度一定に保って光ディスクから情報を読取るようになっているため、光ディスクから情報を読取るための各種自動調整や光ディスクからの情報の読取動作を安定して行うには、光ディスクの回転速度を安定させることが重要である。
【0005】
ところが、高温環境下では、スピンドルモータの部品であるコイルの温度上昇が発生して、コイルの直流抵抗値が大きくなるため、スピンドルモータに所定の電圧を印加しても、スピンドルモータに流れる電流値が低下して、スピンドルモータの回転速度が低くなり、その結果、スピンドルモータにより回転される光ディスクの回転速度が低くなる。このため、光ディスクから情報の再生を開始する際、高温環境下では、光ディスクの回転開始後に光ディスクの回転速度が安定するまでの時間が延長し、その結果、光ディスクから情報を読取るための各種自動調整が不安定化したり、光ディスクから情報の読取を開始して出画、出音するまでの時間が遅れるといった現象が生じる。なお、上述した特許文献1及び特許文献2に開示の内容を適用したとしても、上記の課題を解決することはできない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、高温環境下での光ディスクからの情報再生時において、光ディスクから情報を読取るための各種自動調整を安定化できると共に、光ディスクから情報の読取を開始して出画、出音するまでの時間の遅れを防止できる光ディスク処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、同心円状又は渦巻状に記録トラックが形成された光ディスクが装着され、この光ディスクを回転させるスピンドルモータと、スピンドルモータを回転させるモータ駆動手段と、スピンドルモータに装着された光ディスクに光を照射して反射光を受光することにより該光ディスクの記録トラックに形成されているピットを検出する光ヘッドと、モータ駆動手段によるスピンドルモータの回転、及び光ヘッドによる光の照射を制御して、光ディスクにピットにより記録されている情報の読取を制御する制御手段とを備え、制御手段は、光ヘッドによるピットの検出タイミングを基に、光ディスクの回転速度を検出するディスク回転速度検出手段と、ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度を基に、スピンドルモータを回転させるためにモータ駆動手段がスピンドルモータに印加するモータ印加電圧値を制御するモータ印加電圧値制御手段とを有してなる光ディスク処理装置において、スピンドルモータに流れる電流値をスピンドルモータに接続される抵抗の両端電圧値から測定するモータ電流値測定手段をさらに備え、モータ印加電圧値制御手段は、スピンドルモータの回転を開始させる際に、該スピンドルモータの回転速度が所定回転速度になるようにモータ印加電圧値を所定の初期電圧値に設定する初期電圧値設定手段と、スピンドルモータの回転開始後、ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度が所定回転速度に達するまでの間において、モータ電流値測定手段にて測定されたモータ電流値をフィードバックして、初期電圧値に対する抵抗の両端電圧値の電圧比をEratioとしたとき、1/Eratioの増幅率で、初期電圧値設定手段にて初期電圧値として設定されたモータ印加電圧値を増幅する初期電圧値増幅手段と、スピンドルモータの回転開始後、ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度が所定回転速度に達した後において、ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度を基に、光ヘッドの光照射位置における光ディスクの回転速度が線速度一定となるようにモータ印加電圧値を調整する線速度一定電圧値調整手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2の発明は、同心円状又は渦巻状に記録トラックが形成された光ディスクが装着され、この光ディスクを回転させるスピンドルモータと、スピンドルモータを回転させるモータ駆動手段と、スピンドルモータに装着された光ディスクに光を照射して反射光を受光することにより該光ディスクの記録トラックに形成されているピットを検出する光ヘッドと、モータ駆動手段によるスピンドルモータの回転、及び光ヘッドによる光の照射を制御して、光ディスクにピットにより記録されている情報の読取を制御する制御手段とを備え、制御手段は、光ヘッドによるピットの検出タイミングを基に、光ディスクの回転速度を検出するディスク回転速度検出手段と、ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度を基に、スピンドルモータを回転させるためにモータ駆動手段がスピンドルモータに印加するモータ印加電圧値を制御するモータ印加電圧値制御手段とを有してなる光ディスク処理装置において、モータ印加電圧値制御手段は、スピンドルモータの回転を開始させる際に、モータ駆動手段によるスピンドルモータへのモータ印加電圧値を所定の初期電圧値に設定し、スピンドルモータの回転開始後、スピンドルモータに流れる電流値を基に、初期電圧値として設定されたモータ印加電圧値を増幅するものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の光ディスク処理装置において、モータ印加電圧値制御手段は、スピンドルモータの回転開始後、ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度が所定回転速度に達すると、その後は、ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度を基に、光ヘッドの光照射位置における光ディスクの回転速度が線速度一定となるようにモータ印加電圧値を調整するものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、スピンドルモータの回転開始後から光ディスクの回転速度が所定回転速度に達するまでの間においては、スピンドルモータへのモータ印加電圧は、初期電圧値に対するスピンドルモータに接続される抵抗の両端電圧値の電圧比をEratioとしたとき、1/Eratioの増幅率で初期電圧値から増幅される。このため、スピンドルモータへのモータ印加電圧は、高温環境下においてスピンドルモータの部品であるコイルの温度上昇が発生しても、常温環境下と比較して低くならない。従って、高温環境下で光ディスクから情報の再生を開始する際、光ディスクの回転開始後に光ディスクの回転速度が安定するまでの時間が延長することがなく、光ディスクから情報を読取るための各種自動調整を安定化できると共に、光ディスクから情報の読取を開始して出画、出音するまでの時間の遅れを防止できる。また、光ディスクの回転速度が所定回転速度に達した後においては、スピンドルモータへのモータ印加電圧は、光ヘッドの光照射位置における光ディスクの回転速度が線速度一定となるように調整され、これにより、光ディスクから情報の読取を開始した後、光ディスクからの情報の読取を安定して継続することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、スピンドルモータへのモータ印加電圧は、スピンドルモータに流れる電流値を基に増幅されるため、高温環境下においてスピンドルモータの部品であるコイルの温度上昇が発生しても、常温環境下と比較して低くならない。従って、高温環境下で光ディスクから情報の再生を開始する際、光ディスクの回転開始後に光ディスクの回転速度が安定するまでの時間が延長することがなく、光ディスクから情報を読取るための各種自動調整を安定化できると共に、光ディスクから情報の読取を開始して出画、出音するまでの時間の遅れを防止できる。
【0012】
請求項3の発明によれば、光ディスクの回転速度が所定回転速度に達した後においては、スピンドルモータへのモータ印加電圧は、光ヘッドの光照射位置における光ディスクの回転速度が線速度一定となるように調整され、これにより、光ディスクから情報の読取を開始した後、光ディスクからの情報の読取を安定して継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施形態による光ディスク処理装置について図面を参照して説明する。図1は、光ディスク処理装置の構成を示す。光ディスク処理装置1は、例えばCDやDVD等の同心円状又は渦巻状に記録トラックが形成された光ディスク2に対して、例えば映像や音楽、文書等の情報を記録及び/又は再生する装置である。
【0014】
光ディスク処理装置1は、光ディスク処理装置1を制御するためのCPU等からなる制御部11と、ディスク挿入検知部12と、スピンドルモータ13と、モータ駆動回路14と、モータ電流値測定部15と、移動モータ16と、光ヘッド17と、レーザ駆動部18と、RF信号処理部19と、サーボ制御部20とを備える。また、光ディスク処理装置1は、放送信号受信部21と、受信信号処理部22と、信号入力部23と、符号化処理部24と、復号処理部25と、信号出力部26と、OSD処理部27と、メモリ28と、リモコン29と、リモコン受信部30と、表示部31と、ROM32とを備える。
【0015】
ディスク挿入検知部12は、光ディスク2がディスク挿入部(不図示)から挿入されたことを検出し、その信号を制御部11へ入力する。ディスク挿入部に挿入された光ディスク2は、スピンドルモータ13に装着される。スピンドルモータ13は、モータ駆動回路14によって回転駆動され、装着された光ディスク2を回転させる。モータ駆動回路14は、制御部11による制御のもと、スピンドルモータ13に電圧を印加してスピンドルモータ13を回転駆動する。モータ電流値測定部15は、スピンドルモータ13に流れるモータ電流値を測定して、制御部11にフィードバックする。移動モータ16は、リニアモータから成り、制御部11によって駆動され、光ヘッド17を光ディスク2上でその半径方向に移動させる。
【0016】
光ヘッド17は、スピンドルモータ13に装着された光ディスク2に光を照射することにより、光ディスク2にピットを形成して情報を記録し、また、光ディスク2に光を照射して反射光を受光することにより、光ディスク2に形成されているピットを検出して情報を読取るものである。光ヘッド17は、半導体レーザ51、コリメートレンズ52、ビームスプリッタ53、対物レンズ54、集光レンズ55、及び受光素子56を備えている。
【0017】
半導体レーザ51は、レーザ駆動部18により駆動されて光を出射する。半導体レーザ51から出射された光は、コリメートレンズ52、ビームスプリッタ53、及び対物レンズ54を介して光ディスク2上に集光照射される。また、光ディスク2で反射された光は、対物レンズ54、ビームスプリッタ53、集光レンズ55を介して、受光素子56上に集光される。対物レンズ54は、レンズホルダ57に保持されており、サーボ制御部20による制御のもと、フォーカシングコイル58及びトラッキングコイル59の磁気作用により、光ディスク2面と垂直な方向及び光ディスク2の半径方向に移動される。この対物レンズ54の移動により、半導体レーザ51から出射されて光ディスク2上に集光照射される光の集光点の位置及び集光スポット径が調整される。受光素子56は、受光面が複数の領域に分割されており、受光面毎に受光強度に応じた電気信号を出力する。
【0018】
このような構成の光ヘッド17は、半導体レーザ51から出射される光を光ディスク2に照射して、光ディスク2の記録層を変質させることにより、光ディスク2にピットを形成する。また、光ヘッド17は、半導体レーザ51から出射される光を光ディスク2に照射して、受光素子56が光ディスク2からの反射光を受光することにより、光ディスク2の記録層に形成されているピットを検出する。ピットを検出する際には、光ディスク2の記録層が変質しないように、半導体レーザ51から出射する光の強度が弱められる。
【0019】
レーザ駆動部18は、制御部11による制御のもと、半導体レーザ51の発光タイミングや発光強度を制御する。RF信号処理部19は、受光素子56からの出力信号に基づいて、ピットの有無に応じて強度が変化するRF信号(反射強度信号)を生成し、そのRF信号を制御部11に出力する。サーボ制御部20は、受光素子56からの出力信号に基づいて、フォーカシングコイル58及びトラッキングコイル59を駆動し、これにより、対物レンズ54を移動させて、光ディスク2上に照射される半導体レーザ51からの光の集光点の位置を制御する。
【0020】
放送信号受信部21は、制御部11による制御のもと、受信周波数が放送局から配信されるテレビ放送信号の周波数に同調されることにより、アンテナ21aを介してテレビ放送信号を受信する。受信信号処理部22は、制御部11による制御のもと、放送信号受信部21で受信したテレビ放送信号を復調処理して映像・音声信号を生成する。信号入力部23には、制御部11による制御のもと、信号入力端子23aを介してビデオカメラやデジタルカメラ、パソコン等の外部機器から映像や音声、文書等の情報を表す各種信号が入力される。
【0021】
符号化処理部24は、制御部11による制御のもと、受信信号処理部22にて生成された映像・音声信号及び信号入力部23から入力された信号を符号データとして光ディスク2に記録するために、それらの信号を所定の形式に符号化する。復号処理部25は、制御部11による制御のもと、光ディスク2から読取った符号データを復号する。
【0022】
信号出力部26は、制御部11による制御のもと、受信信号処理部22にて生成された映像・音声信号、信号入力部23から入力された信号、及び復号処理部25にて復号された信号を信号出力端子26aを介してディスプレイやスピーカ、パソコン等の外部機器に出力する。OSD処理部27は、制御部11による制御のもと、オンスクリーン画像をディスプレイに表示するためのオンスクリーン画像信号を、受信信号処理部22にて生成された映像信号、信号入力部23から入力された信号、及び復号処理部25にて復号された信号に重畳する。
【0023】
メモリ28は、制御部11による制御のもと、光ディスク2に記録する符号データ、及び光ディスク2から読取った符号データ等を一時的に保存する。また、メモリ28は、オンスクリーン画像を生成するためのグラフィックスデータ等を記憶している。
【0024】
リモコン29は、テレビ放送信号の受信チャンネルの選択、光ディスク2への映像や音楽、文書等の情報の記録、光ディスク2に記録されている情報の再生等、光ディスク処理装置1の各種動作を指示するためにユーザにより操作されるものである。リモコン29は、光ディスク処理装置1の各種動作を指示するためにユーザに操作される各種操作キー(何れも不図示)を備えており、各種操作キーが操作されることにより、その操作に対応付けられた赤外線コード信号を送出する。
【0025】
リモコン受信部30は、リモコン29から送出される赤外線信号を受信して電気信号に変換し、リモコン29の操作に対応する信号を制御部11へ出力する。表示部31は、光ディスク処理装置1本体のフロントパネルに設けられ、リモコン29により操作された内容や光ディスク処理装置1の動作状況等を表示する。ROM32は、制御部11の動作プログラムを格納している。
【0026】
制御部11は、リモコン受信部30からの出力信号を基にリモコン29の操作内容を判断し、リモコン29の操作に応じて、テレビ放送信号の受信動作、光ディスク2への映像や音楽、文書等の情報の記録動作、光ディスク2に記録されている情報の再生動作、等を制御する。
【0027】
光ディスク2への情報の記録は、受信信号処理部22にて生成された映像・音声信号又は信号入力部23から入力された信号を符号化処理部24にて符号化し、光ヘッド17により、その符号データに対応する長さ及び配列で光ディスク2にピットを形成して、その符号データを光ディスク2に記録することにより行われる。
【0028】
光ディスク2に記録されている情報の再生は、光ヘッド17により光ディスク2に形成されているピットを検出し、それによりRF信号処理部19から出力されるRF信号を基に制御部11にてピットの長さや配列を判別して符号データを読取り、その符号データを復号処理部25にて復号し、その復号した信号を信号出力部26から出力することにより行われる。
【0029】
光ディスク2には、記録トラックが所定ピッチで同心円状又は渦巻状に形成されている。記録トラックは、多数のセクタの配列により構成されており、各セクタには、各セクタを識別するアドレスがピットにより予め記録されている。
【0030】
光ヘッド17による光ディスク2へのピットの形成は、スピンドルモータ13により光ディスク2を回転させながら、光ヘッド17により光ディスク2に光を照射することにより行われる。また、光ヘッド17による光ディスク2のピットの検出は、スピンドルモータ13により光ディスク2を回転させながら、光ヘッド17により光ディスク2に光を照射して光ディスク2からの反射光を受光することにより行われる。
【0031】
制御部11は、スピンドルモータ13の回転、及び光ヘッド17による光の照射を制御して、光ディスク2に対する符号データの記録/読取動作を制御する。このとき、制御部11は、光ヘッド17によるピットの検出タイミングを基に、光ディスク2の回転速度を検出し、その回転速度及びモータ電流値測定部15にて測定されるモータ電流値を基に、モータ駆動回路14からスピンドルモータ13に印加するモータ印加電圧値を制御して、スピンドルモータ13に装着される光ディスク2の回転速度を制御する。光ヘッド17によるピットの検出タイミングは、RF信号処理部19から出力されるRF信号を基に判断される。
【0032】
制御部11は、光ディスク2に対する符号データの記録/読取を開始する際、光ヘッド17の光照射位置における光ディスク2の回転速度が線速度一定となるようにしたうえで、光ディスクに対して符号データを記録/読取するための各種自動調整を行い、その後、光ディスク2に対する符号データの記録/読取を開始する。そして、制御部11は、光ディスク2の回転速度を線速度一定に保って、光ディスク2に対する符号データの記録/読取を継続する。制御部11は、光ヘッド17により光ディスク2の各セクタのアドレスを読取ってセクタを識別し、セクタ単位で符号データの記録/読取を行う。
【0033】
図2は、上記モータ駆動回路14、モータ電流値測定部15、及び制御部11の構成を示す。モータ駆動回路14は、上述のように制御部11による制御のもとスピンドルモータ13に電圧を印加してスピンドルモータ13を回転駆動する。モータ電流値測定部15は、上述のようにスピンドルモータ13に流れるモータ電流値を測定して制御部11にフィードバックする。モータ電流値測定部15は、スピンドルモータ13に接続される抵抗61の両端電圧を差動アンプ62にて測定することで、スピンドルモータ13に流れるモータ電流値を測定する。
【0034】
制御部11は、ディスク回転速度検出部71と、モータ印加電圧値制御部72とを備える。ディスク回転速度検出部71は、光ヘッド15による光ディスク2に形成されているピットの検出タイミングを基に光ディスク2の回転速度を検出する。光ヘッド17によるピットの検出タイミングは、上述のようにRF信号処理部19から出力されるRF信号を基に判断される。モータ印加電圧値制御部72は、初期電圧値設定部81と、初期電圧値増幅部82と、線速度一定電圧値調整部83とを備え、ディスク回転速度検出71により検出される光ディスク2の回転速度を基に、モータ駆動回路14からスピンドルモータ13に印加するモータ印加電圧値を制御する。
【0035】
初期電圧値設定部81は、スピンドルモータ13の回転を開始させる際に、スピンドルモータ13の回転速度が所定回転速度になるようにモータ印加電圧値を所定の初期電圧値に設定する。
【0036】
初期電圧値増幅部82は、スピンドルモータ13の回転開始後、ディスク回転速度検出部71により検出される光ディスク2の回転速度が所定回転速度に達するまでの間において、スピンドルモータ13に流れるモータ電流値をフィードバックして、初期電圧値設定部81にて初期電圧値として設定されたモータ印加電圧値を増幅する。
【0037】
初期電圧値増幅部82は、可変アンプ91と、増幅率設定部92とを備える。可変アンプ91は、初期電圧値設定部81にて初期電圧値として設定されたモータ印加電圧値を、増幅率設定部92にて設定される増幅率で増幅する。増幅率設定部92は、初期電圧値設定部81にて設定される初期電圧値に対する抵抗61の両端電圧値の電圧比をEratioとしたとき、可変アンプ91の増幅率を1/Eratioに設定する。初期電圧値増幅部82は、このような構成により、スピンドルモータ13に流れるモータ電流値をフィードバックして、初期電圧値設定部81にて初期電圧値として設定されたモータ印加電圧値を1/Eratioの増幅率で増幅する。
【0038】
線速度一定電圧値調整部83は、スピンドルモータ13の回転開始後、ディスク回転速度検出部71により検出される光ディスク2の回転速度が所定回転速度に達した後において、ディスク回転速度検出部71により検出される光ディスク2の回転速度を基に、光ヘッド17の光照射位置における光ディスク2の回転速度が線速度一定となるようにモータ印加電圧値を調整する。
【0039】
図3は、上記光ディスク処理装置1の記録/再生開始時の動作フローチャートを示す。まず、リモコン29により、情報の記録/再生指示がなされると(#1でYES)、初期電圧値設定部81がモータ印加電圧値を所定の初期電圧値に設定し、これにより、モータ駆動回路14がスピンドルモータ13に所定の初期電圧を印加する(#2)。これにより、スピンドルモータ13は、モータ印加電圧として所定の初期電圧で回転駆動される。
【0040】
そして、モータ電流値測定部15がスピンドルモータ13に接続される抵抗61の両端電圧値を測定し(#3)、増幅率設定部92が、電圧比Eratio=測定電圧値/初期電圧値(初期電圧値設定部81にて設定された初期電圧値に対する抵抗61の両端電圧値の電圧比)を算出し(#4)、可変アンプ91の増幅率を1/電圧比Eratioに設定する(#5)。これにより、初期電圧値設定部81にて設定された初期電圧値が1/Eratioの増幅率で増幅され、モータ駆動回路14がスピンドルモータ13に所定の初期電圧から1/Eratioの増幅率で増幅されたモータ印加電圧を印加し、スピンドルモータ13は、所定の初期電圧から1/Eratioの増幅率で増幅されたモータ印加電圧で回転駆動される。
【0041】
その後、ディスク回転速度検出部71が光ディスク2の回転速度を検出し、光ディスク2の回転速度が所定回転速度に到達すると(#6でYES)、その後は、線速度一定電圧値調整部83が光ヘッド17の光照射位置における光ディスク2の回転速度を線速度一定にするようにモータ印加電圧値の調整し、これにより、モータ駆動回路14がスピンドルモータ13に光ディスク2の回転速度を線速度一定とする電圧を印加する(#7)。これにより、光ディスク2の回転速度が所定回転速度に到達した後は、スピンドルモータ13は、モータ印加電圧として光ヘッド17の光照射位置における光ディスク2の回転速度が線速度一定となる電圧で回転駆動される。
【0042】
一方、光ディスク2の回転速度が所定回転速度に到達していなければ(#6でNO)、上記#3以降の動作が繰り返される。すなわち、光ディスク2の回転速度が所定回転速度に到達するまで、モータ印加電圧値が1/Eratioの増幅率で初期電圧値から増幅され、スピンドルモータ13は、その初期電圧値から増幅されたモータ印加電圧で回転駆動される。
【0043】
光ディスク2の回転速度が所定回転速度に到達した後は、光ディスクに対して符号データを記録/読取するための各種自動調整が行われ、その後、光ディスク2に対する符号データの記録/読取が開始される。光ディスク2に対する符号データの記録/読取は、光ディスク2の回転速度を線速度一定に保って行われる。
【0044】
このような構成の光ディスク処理装置1によれば、スピンドルモータ13の回転開始後から光ディスク2の回転速度が所定回転速度に達するまでの間においては、スピンドルモータ13へのモータ印加電圧は、初期電圧値に対するスピンドルモータ13に接続される抵抗61の両端電圧値の電圧比をEratioとしたとき、1/Eratioの増幅率で初期電圧値から増幅される。このため、スピンドルモータ13へのモータ印加電圧は、高温環境下においてスピンドルモータ13の部品であるコイルの温度上昇が発生しても、常温環境下と比較して低くならない。
【0045】
従って、高温環境下で光ディスク2から情報の再生を開始する際、光ディスク2の回転開始後に光ディスク2の回転速度が安定するまでの時間が延長することがなく、光ディスク2から情報を読取るための各種自動調整を安定化できると共に、光ディスク2から情報の読取を開始して出画、出音するまでの時間の遅れを防止できる。
【0046】
また、光ディスク2の回転速度が所定回転速度に達した後においては、スピンドルモータ13へのモータ印加電圧は、光ヘッド17によるピットの検出タイミングを基に検出される光ディスク2の回転速度を基に、光ヘッド2の光照射位置における光ディスク2の回転速度が線速度一定となるように調整される。これにより、光ディスク2から情報の読取を開始した後、光ディスク2からの情報の読取を安定して継続することができる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、初期電圧値増幅部82は、スピンドルモータ13に印加する初期電圧値を1/Eratioの増幅率で増幅するものに限られず、他の増幅率で増幅するものであってもよい。光ディスク2に対する符号データの記録/読取は、光ディスク2の回転速度を線速度一定に保つ以外に、光ディスク2の回転速度を角速度一定に保って行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク処理装置の概略構成を示す電気的ブロック構成図。
【図2】同光ディスク処理装置のモータ駆動回路、モータ電流値測定部、及び制御部の構成を示す電気的ブロック構成図。
【図3】同光ディスク処理装置の記録/再生開始時の動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0049】
1 光ディスク処理装置
2 光ディスク
11 制御部
12 ディスク挿入検知部
13 スピンドルモータ
14 モータ駆動回路
15 モータ電流値測定部
16 移動モータ
17 光ヘッド
19 RF信号処理部
20 サーボ制御部
23 信号入力部
24 符号化処理部
25 復号処理部
26 信号出力部
28 メモリ
29 リモコン
61 抵抗
62 差動アンプ
71 ディスク回転速度検出部
72 モータ印加電圧値制御部
81 初期電圧値設定部
82 初期電圧値増幅部
83 線速度一定電圧値調整部
91 可変アンプ
92 増幅率設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心円状又は渦巻状に記録トラックが形成された光ディスクが装着され、この光ディスクを回転させるスピンドルモータと、前記スピンドルモータを回転させるモータ駆動手段と、前記スピンドルモータに装着された光ディスクに光を照射して反射光を受光することにより該光ディスクの記録トラックに形成されているピットを検出する光ヘッドと、前記モータ駆動手段による前記スピンドルモータの回転、及び前記光ヘッドによる光の照射を制御して、光ディスクにピットにより記録されている情報の読取を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記光ヘッドによるピットの検出タイミングを基に、光ディスクの回転速度を検出するディスク回転速度検出手段と、前記ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度を基に、前記スピンドルモータを回転させるために前記モータ駆動手段が前記スピンドルモータに印加するモータ印加電圧値を制御するモータ印加電圧値制御手段とを有してなる光ディスク処理装置において、
前記スピンドルモータに流れる電流値を前記スピンドルモータに接続される抵抗の両端電圧値から測定するモータ電流値測定手段をさらに備え、
前記モータ印加電圧値制御手段は、
前記スピンドルモータの回転を開始させる際に、該スピンドルモータの回転速度が所定回転速度になるように前記モータ印加電圧値を所定の初期電圧値に設定する初期電圧値設定手段と、
前記スピンドルモータの回転開始後、前記ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度が所定回転速度に達するまでの間において、前記モータ電流値測定手段にて測定されたモータ電流値をフィードバックして、前記初期電圧値に対する前記抵抗の両端電圧値の電圧比をEratioとしたとき、1/Eratioの増幅率で、前記初期電圧値設定手段にて初期電圧値として設定されたモータ印加電圧値を増幅する初期電圧値増幅手段と、
前記スピンドルモータの回転開始後、前記ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度が所定回転速度に達した後において、前記ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度を基に、前記光ヘッドの光照射位置における光ディスクの回転速度が線速度一定となるように前記モータ印加電圧値を調整する線速度一定電圧値調整手段とを備えることを特徴とする光ディスク処理装置。
【請求項2】
同心円状又は渦巻状に記録トラックが形成された光ディスクが装着され、この光ディスクを回転させるスピンドルモータと、前記スピンドルモータを回転させるモータ駆動手段と、前記スピンドルモータに装着された光ディスクに光を照射して反射光を受光することにより該光ディスクの記録トラックに形成されているピットを検出する光ヘッドと、前記モータ駆動手段による前記スピンドルモータの回転、及び前記光ヘッドによる光の照射を制御して、光ディスクにピットにより記録されている情報の読取を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記光ヘッドによるピットの検出タイミングを基に、光ディスクの回転速度を検出するディスク回転速度検出手段と、前記ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度を基に、前記スピンドルモータを回転させるために前記モータ駆動手段が前記スピンドルモータに印加するモータ印加電圧値を制御するモータ印加電圧値制御手段とを有してなる光ディスク処理装置において、
前記モータ印加電圧値制御手段は、前記スピンドルモータの回転を開始させる際に、前記モータ駆動手段による前記スピンドルモータへのモータ印加電圧値を所定の初期電圧値に設定し、前記スピンドルモータの回転開始後、前記スピンドルモータに流れる電流値を基に、前記初期電圧値として設定されたモータ印加電圧値を増幅することを特徴とする光ディスク処理装置。
【請求項3】
前記モータ印加電圧値制御手段は、前記スピンドルモータの回転開始後、前記ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度が所定回転速度に達すると、その後は、前記ディスク回転速度検出手段により検出される光ディスクの回転速度を基に、前記光ヘッドの光照射位置における光ディスクの回転速度が線速度一定となるように前記モータ印加電圧値を調整する請求項2に記載の光ディスク処理装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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