光ディスク原盤露光装置
【課題】より簡素或いは安価な構成で光ディスク原盤に対する高密度記録を行うこと。
【解決手段】光ディスク原盤3上に照射して螺旋状又は同心円状のピット列を形成するための露光光を出力する光源17と、光ディスク原盤3を回転させる第1の回転機構14と、第1の回転機構14の回転軸からずれて設けられ、露光光又は光ディスク原盤3を回転させる第2の回転機構11とを具備する。
【解決手段】光ディスク原盤3上に照射して螺旋状又は同心円状のピット列を形成するための露光光を出力する光源17と、光ディスク原盤3を回転させる第1の回転機構14と、第1の回転機構14の回転軸からずれて設けられ、露光光又は光ディスク原盤3を回転させる第2の回転機構11とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク原盤に対してレーザビームやEB(電子線)等の露光光を照射して螺旋状又は同心円状のピット列を形成する光ディスク原盤露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク製造の概略は、先ずガラス原板に対して感光材料であるフォトレジストを塗布し、これを光ディスク原盤とする。次にこの光ディスク原盤のフォトレジストをレーザビームやEBにより露光し、記録すべき情報を凹形状として加工し、これをピット信号(ピット列)として記録する。この後、光ディスク原盤に対する現像などの処理を行い、続いて光ディスク原盤から情報を写しとり、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパを作成する。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクを完成する。このような光ディスクの製造では、光ディスク原盤のフォトレジストにレーザビームを露光して情報の記録を行っている。
【0003】
図24はかかる光ディスク原盤記録装置の構成図である。スピンドルモータ1に連結されたステージ2上には、光ディスク原盤3が配置されている。この光ディスク原盤3は、ガラス原板上に感光材料であるフォトレジストを塗布したものである。一方、ステージ2の上方には、一軸スライダ4が配置され、その移動端には露光用光学ヘッド(露光レーザヘッド)5が取り付けられている。この露光用光学ヘッド5は、露光光学系6から出力されたレーザビームを光ディスク原盤3上に照射するものとなっている。なお、一軸スライダ4は、露光用光学ヘッド5が取り付けられた移動端を光ディスク原盤3の半径方向に移動自在、すなわちリニアガイドの駆動方式となっている。コンピュータ7は、スピンドルモータ1を回転制御するとともに一軸スライダ4を移動制御し、かつ露光光学系6のレーザビーム出力を制御する。
【0004】
このような構成であれば、スピンドルモータ1の回転により光ディスク原盤3は回転し、この状態に一軸スライダ4によって露光用光学ヘッド5が一軸方向つまり光ディスク原盤3の半径方向にスライド移動する。なお、露光用光学ヘッド5は、図25に示すように光ディスク原盤3における最外周記録半径Rの位置から最内周記録半径rの位置まで直線的にスライド移動して記録を行う(リニアガイド方式)。このとき、記録されるディジタル信号の列とスライド移動方向は直交している。これにより、露光用光学ヘッド5から出射されたレーザビームは、回転するレジストの塗布された光ディスク原盤3上に照射され、このときレーザビームの照射が情報に応じて制御されると、光ディスク原盤3上には、ピット、グルーブなどの情報群が記録される。
【0005】
このとき、露光用光学ヘッド5の位置は、レーザ干渉計4aによって測定されており、図示せぬ微動系によって常にフィードバック制御を受けている。従って、このような露光装置によるトラックピッの分解能は、レーザ干渉計4aの測定分解能によって一義的に決定されてしまうことになる。又、このような露光用光学ヘッド5を直線的に走査する駆動方式では、一軸スライダ4などを高剛性化しなければならず、そのために一軸スライダ4は、例えば2ガイド方式のスライダを用いることになる。このため、かかるスライダは、光ディスク原盤3を跨いだ構成となり、装置全体が、大重量、大型化することになる。
【0006】
一方、露光用光学ヘッド5の駆動方式としては、直線的に走査するリニアガイド方法の他に、HDD(ハードディスクドライブ)の磁気記録方式に見られるスウィングアーム方式を適用したものがある。このスウィングアーム方式による駆動は、図25に示すように露光用光学ヘッド5を最外周記録半径Rの位置から最内周記録半径rの位置まで円弧状に移動するものである。
このような方式では、スウィングアームの回転中心位置が光ディスク原盤3の外側にあるため、露光用光学ヘッド5の駆動軌跡が曲率を持つものとなるが、ほとんどリニアガイド方法に近似される駆動軌跡となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなスウィングアーム方式の露光用光学ヘッドの位置は、駆動軌跡の回動中心を駆動する回動軸に設けられたエンコーダによって把握されている。従って、スウィングアーム方式におけるトラックピッチの分解能もこのエンコーダの分解能によって限界が決定されてしまっていた。光ディスクに現状よりも多くの情報を記録する場合、隣合うピット列の幅を縮めていくこと以外に情報量を上げていくことは難しい。隣合うピット列の間の距離はピットひとつの長さよりも短くなってきている。このような高密度記録を行うためには、ピットひとつひとつを形成するときのラジアル方向に対する位置決めを高精度に行うことが要求される。
【0008】
現在の露光装置においては、露光用光学ヘッドを移動させるときの運動誤差は、直接トラックピッチむらとして現れてくるため、この運動誤差を出来る限り小さくしなければならない。この要求を満たすためには、露光装置に用いられている位置検出器の分解能を上げることが一つの方法であるが、エンコーダやレーザ干渉計の位置分解能が伸び悩んでいることや高価なことから、このような位置検出器の分解能に依存しない形で露光装置の高分解能化が強く望まれている。
【0009】
又、上記各駆動方式では、リニアエンコーダ又はレーザ干渉測長器を用いて露光用光学ヘッド5の位置又は光学ヘッドを搭載したテーブル(又はスライダ)を制御しているが、本質的に位置を制御したい対象は、レジストを実際に感光・記録するレーザビームの集光スポットであり、この集光スポット位置を直接観察、測定することは行われていない。
【0010】
従来のリニアガイド方式やスウィングアーム方式による駆動では、用いている位置検出器の分解能に依存して送り誤差が発生し、これに伴ってトラックピッチむらが生じるので、情報の高密度記録を行うことが難しい。
【0011】
そこで本発明は、より簡素或いは安価な構成で光ディスク原盤に対する高密度記録ができる光ディスク原盤露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の主要な局面に係る光ディスク原盤露光装置は、光ディスク原盤上に照射して螺旋状又は同心円状のピット列を形成する露光光を出力する光源と、光ディスク原盤を回転させる第1の回転機構と、第1の回転機構の回転軸からずれて設けられ、露光光又は光ディスク原盤を回転させる第2の回転機構とを具備する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より簡素或いは安価な構成で光ディスク原盤に対する高密度記録ができる光ディスク原盤露光装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(1)以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明の光ディスク原盤露光方法は、図1に示すように光ディスク原盤3に対して露光光、例えばレーザビームを照射し、この光ディスク原盤3上に螺旋状又は同心円状のピット列pを形成する場合、レーザビームの照射がピット列pに対して平行又は斜め方向の軌跡(露光用光学ヘッドの駆動軌跡F)となるように行うものである。このようなレーザビームの照射の軌跡は、ピット列pの少なくとも一箇所、例えば図1に示す軌跡では点A又はBで接していることが好ましい。すなわち、レーザビームの照射は、光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接する軌跡となるように行ってもよい。
【0015】
又、レーザビームの照射は、光ディスク原盤3における最外側のピット列pに対して点Aで接する軌跡となるように行ってもよい。このレーザビームの光ディスク原盤3に対する照射は、点Sを中心とする円弧の軌跡となるように行う。そして、この円弧の軌跡となるレーザビームの軌跡は、光ディスク原盤3における最内側のピット列pの半径(最内周記録半径)rと最外側のピット列pの半径(最外周記録半径)Rとの和(R+r)を直径とするものとなり、かつこのレーザビームの軌跡の中心点Sは、光ディスク原盤3の平面内に存在する。
【0016】
従って、本発明の第1の実施の形態における光ディスク原盤露光方法は、光ディスク原盤3を所定速度で回転させ、かつ露光用光学ヘッドを光ディスク原盤3における最外周記録半径Rに内接するとともに最内周記録半径rに外接し、かつ(R+r)を直径としする駆動軌跡F上に移動させ、光ディスク原盤3に対してレーザビームを照射してピット列を形成し、情報記録を行うものである。
【0017】
このような露光用光学ヘッドの駆動軌跡Fであれば、例えば最外周記録半径Rを60mm、最内周記録半径rを20mmとすると、駆動軌跡の長さは、125.6mmとなる。
【0018】
ここで、図25に示す従来のリイアガイド方式による駆動軌跡の長さでは40mm、スウィングアーム方式ではほぼ40mmとなり、本発明の駆動軌跡Fの長さは、従来の各方式よりも3.14倍長くなる。
【0019】
従って、従来の装置に用いていたエンコーダや測距器をそのまま用いるとき、トラック方向(ピット列の方向)に対して見掛上、3.14倍の分解能(誤差を1/3.14に縮小)が得られ、光ディスク原盤3に対して情報記録時の高分解能化を実現して高密度記録ができる。
又、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
実際のディスクにおいては、直径が80mmや120mmになるので、実際の分解能はさらに大きくなる。
円弧状のレーザビームの軌跡Fは、図2Aに示すように光ディスク原盤3上の例えばnトラック目からn+1トラック目に着目した場合、これらトラック方向に対して角度αで交差するので、これらトラック間の軌跡の長さが、図2Bに示すリイアガイド方式による駆動軌跡と比較して長くなる。これにより、円弧状のレーザビームの軌跡Fであれば、1/cos(90°−α)で感度が緩和される。
【0020】
図3は、図4に示す円弧状のレーザビームの軌跡Fの走査角度θ(=0°〜180°)に対する軌跡Fのトラックピッチと交差する角度αの関係を示しており、ここでは走査角度θ(=120°)のときに交差する角度αが30°を示している。
従って、交差角αはα=30°を曲値とする上に凸の曲線になるから、これにつれてレーザビームの軌跡Fの各トラック間の距離が長くなり、例えば送り系の送りむらが発生しても、これに対する影響を少なくできる。
【0021】
図5は円弧状のレーザビームの軌跡Fによる感度と従来技術(リニアガイド方式)の感度とを比較した図であって、従来技術の感度を「1」としたときの円弧状のレーザビームの軌跡Fによる感度を示している。すなわち、走査角度θ(=120°)のときにおいてもレーザビームの軌跡Fによる感度は、従来技術の感度の2倍となり、その前後ではこの走査角度θ(=120°における感度よりも高いことが分かる。従って、本発明によれば、光ディスク原盤3に対して情報記録時の高分解能化を実現して高密度記録ができる。
【0022】
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、光ディスク原盤3に対する現像などの処理が行われ、続いて光ディスク原盤3から情報を写しとり、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパが作成される。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクが完成する。
【0023】
このように上記第1の実施の形態によれば、レーザビームの照射を光ディスク原盤3における最内側のピット列の半径rと最外側のピット列の半径Rとの和を直径とする円弧の軌跡により行うので、トラックピッチむらがなく、情報が高密度に記録できる。又、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、従来では実現し得なかった高密度な情報が記録されたものとなる。
【0024】
又、レーザビームの軌跡となる円弧の中心Sを光ディスク原盤3の内側に配置されるようにしたので、レーザビームを円弧状に移動させるスウィングアームの長さを短くでき、レーザビームを照射するときの上下方向の振れを少なくでき、光ディスク原盤3への高密度の情報記録には最適である。
【0025】
リニアガイドにしろスウィングアームにしろ、これらを支持する支持点から露光用光学ヘッドまでの距離が長ければ長い程、印加された振動は、露光用光学ヘッドに対して大きな位置変動を与えることになる。
この変動は、回動運動であるから、露光光のスポットの大きさを変動させる要因であると同時にトラックピッチ方向にも誤差を与えることになる。
支持点がディスクの外側に存在するときには、支持点と露光用光学ヘッドとの間には必ず所定の距離が存在するが、支持点をディスクの内側に置くことによって本実施の形態の露光方法を用いることができかつ前記回動運動による誤差を軽減することが可能となるものである。
【0026】
なお、本発明は、上記第1の実施の形態の光ディスク原盤露光方法に限らず、次のようなレーザビームの軌跡としてもよい。例えば、図6に示すようにレーザビームの照射が光ディスク原盤3における最内側のピット列に対して接し、かつ直線の軌跡Fa、Fbとなるようにしてもよい。なお、軌跡Fbは、最内側のピット列に対し、中心からの方向に直角に接している。このとき、従来のリニアガイド方式のメカ部を用いることができてかつ高密度記録を達成することが可能である。
【0027】
又、レーザビームの照射の軌跡は、ピット列pの少なくとも一箇所で接すればよく、例えば図7に示すように点A又はCで接する弧でもよい。この場合でも上記第1の実施の形態に近い分解能で記録を行うことができる。
又、同図に示すように点A、Dで接する螺旋状の軌跡や、ピット列pに限りなく近い螺旋状、又は同心円状、さらには楕円や自由曲線による軌跡によっても本発明の目的を達成することができる。
【0028】
(2)次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0029】
図8は上記光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置の構成図である。振動を抑えるための定盤10には、第2の回転機構としての第1のモータ11が設けられている。この第1のモータ11の回転軸には、ターンテーブル12が連結され、このターンテーブル12上の回転軸11aを外れたところに固定部材13を介して第1の回転機構としての第2のモータ14が設けられている。
この第2のモータ14の回転軸には、ターンテーブル15が連結され、このターンテーブル15上に光ディスク原盤3が載置されている。
【0030】
このように光ディスク原盤3を回転させる第2のモータ14が、第1のモータ11の回転軸からずれて設けられているので、第1のモータ11の回転軸11aが光ディスク原盤3内を通るライン上に配置されるものとなる。すなわち、第1のモータ11の回転軸11aは、図1に示す駆動軌跡Fの中心Sと一致するものとなる。
又、第2のモータ14の回転軸11aに対して対称位置には、第2のモータ14と同じ重量のバランサ19aが設けられている。又、レーザビームの光路上には、レンズマウント19bが設けられ、これに結像レンズ19cが取り付けられている。
【0031】
一方、定盤10上には、支持アーム16を介して露光光源としてのレーザ発振器17が設けられている。このレーザ発振器17から出力されるレーザビームの光路上には、ミラー18が配置され、レーザビームを光ディスク原盤3上に向けて反射するものとなっている。
【0032】
次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。
光ディスク製造において、先ず、ガラス原板に対して感光材料であるフォトレジストが塗布され、これを光ディスク原盤3とする。次に、この光ディスク原盤3をレーザビームにより露光し、記録すべき情報を凹形状として加工し、これをピット信号として記録する。すなわち、光ディスク原盤3に対する露光、記録は、次の通り行われる。
【0033】
光ディスク原盤3は、テーブル15上に載置され、第2のモータ14の駆動により所定の速度で回転する。これと共に第1のモータ11が、第2のモータ14の速度よりも遅い速度で回転する。
一方、レーザ発振器17からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、ミラー18で反射して光ディスク原盤3に向かって落射される。これにより、レーザビームは、光ディスク原盤3上に対して上記図1に示す軌跡F、すなわち光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧の軌跡となるように照射される。
【0034】
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、光ディスク原盤3に対する現像などの処理が行われ、続いて光ディスク原盤3から情報を写しとり、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパが作成される。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクが完成する。
【0035】
このように上記第2の実施の形態によれば、露光光の照射をピット列pに対して平行又は斜め方向の軌跡となるように行うので、トラックピッチむらがなく、情報が高密度に記録でき、かつこの光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。又、露光光の軌跡となる円弧の中心Sを光ディスク原盤3の内側に配置されるようにしたので、露光光を照射するときの振れを小さくすることができ、光ディスク原盤3への高密度の情報記録には最適である。
【0036】
(3)次に本発明の第3の実施の形態について説明する。
図9は上記光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置の構成図である。定盤20上には、支持体21を介してベース板22が設けられた2層構造となっている。定盤20上には、回転テーブル23が設けられ、この回転テーブル23上に光ディスク原盤3が載置されている。ベース板22上には、光ディスク原盤3に対する露光光源としてのレーザ発振器24が設けられている。なお、このレーザ発振器24は、レーザビームを光ディスク原盤3の面方向と同一方向に出力するものとなっている。そして、このレーザビームの光路上には、レーザビームを光ディスク原盤3面上で絞り込む光学系24aが配置されている。
【0037】
又、前置ミラーとしての第1のミラー25が、ベース板22上に設けられている。この第1のミラー25は、レーザ発振器24から出力されるレーザビームの光路上で、かつ光ディスク原盤3の中心を通りこの光ディスク原盤3の面に対して垂直方向のライン上に配置されている。この第1のミラー25は、光ディスク原盤3の面に対して角度45°方向の反射面となるように配置され、レーザ発振器24から出力されたレーザビームを、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向で光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射するものとなっている。この第1のミラー25によるレーザビームの落射方向には、ミラー昇降機構26が設けられている。
【0038】
このミラー昇降機構26は、前置ミラーとしての第2のミラー27を保持し、かつこの第2のミラー27を光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に昇降させるガイド体28、及びこのガイド体28に沿って第2のミラー27を昇降させる昇降モータ(不図示)を備えている。又、このミラー昇降機構26は、第2のミラー27を回転軸に取り付けた回転モータ29を備えている。この回転モータ29は、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向を回転軸として第2のミラー27を回転させるものとなっている。なお、この回転モータ29は、昇降モータの駆動により第2のミラー27と一体的に昇降する。
【0039】
このミラー昇降機構26は、昇降モータと回転モータ29とを同期して駆動するもので、これら昇降モータ及び回転モータ29の駆動により、第2のミラー27は、例えば上方から下方に向かって回転しながら下降するものとなる。
【0040】
第2のミラー27は、第1のミラー25から反射するレーザビームの光路に対して角度45°方向の反射面となるように配置され、レーザビームを光ディスク原盤3の面方向に対して平行な方向に反射するものとなっている。
【0041】
ベース板22の下面には、第3のミラーとして切頭した円錐状ミラー30が設けられている。この円錐状ミラー30は、光ディスク原盤3の中心位置を通る垂直ライン上の所定位置から光ディスク原盤3の面に対して角度45°の方向にミラー面が配置されたものとなっている。この円錐状ミラー30は、第2のミラー27からのレーザビームを反射し、光ディスク原盤3の面に垂直に照射するものとなっている。
【0042】
回転制御部30aは、ミラー昇降機構26と回転モータ29とを回転制御する機能を有するもので、特に光ディスク原盤3の面に照射するレーザビームの軌跡を、例えば上記図1に示すように光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧の軌跡となるように照射するようにミラー昇降機構26と回転モータ29とを回転制御する機能を有している。
【0043】
或いは光ディスク原盤を固定状態にして回転させないで露光する場合においては、レーザビームの軌跡を所望のピット列に対して沿うように同心円状或いは螺旋状に描くよう、ミラー昇降機構26と回転モータ29とを連動制御する機能を有している。
【0044】
次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。
光ディスク原盤3は、回転テーブル23上に載置される。一方、レーザ発振器24からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のミラー25で反射して光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射される。さらに、このレーザビームは、第2のミラー27で45°方向に反射し、円錐上ミラー30に進行し、この円錐状ミラー30で45°方向に反射し、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に照射される。
【0045】
このとき、ミラー昇降機構26と回転モータ29とが回転制御部30aにより回転制御されることにより、第2のミラー27、円錐状ミラー30で反射し、光ディスク原盤3の面に照射されるレーザビームの軌跡は、上記図1に示すように光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧の軌跡となる。
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、上記同様に、この光ディスク原盤3を用いて複製が行われ、最終製品である光ディスクが完成する。
【0046】
一方、かかる装置では、次のような露光、記録ができる。光ディスク原盤3は、固定テーブル23上に載置される。一方、レーザ発振器24からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のミラー25で反射して光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射される。さらに、このレーザビームは、第2のミラー27で45°方向に反射し、円錐上ミラー30に進行し、この円錐上ミラー30で45°方向に反射し、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に照射される。このとき、第2のミラー27は、回転モータ29の駆動により光ディスク原盤3の中心位置を通る垂直ラインを回転軸として一定速度で回転し、これと共に光ディスク原盤3の面から見て上方から下方に向かって所定速度で下降する。
【0047】
従って、この第2のミラー27で反射し、さらに円錐状ミラー30で反射して光ディスク原盤3に照射されるレーザビームは、上記図1に示す光ディスク原盤3の最内周記録半径rの位置から最外周記録半径Rの位置までの全領域に対し、360°の全周に亘ってスキャニングされる。
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、上記同様に、この光ディスク原盤3を用いて複製が行われ、最終製品である光ディスクが完成する。
【0048】
このように上記第3の実施の形態においては、ミラー昇降機構26及び回転モータ29を回転制御して第2のミラー27を回転及び移動し、レーザビームの照射をピット列pに対して平行又は斜め方向の軌跡となるように行うので、トラックピッチむらがなく、情報が高密度に記録でき、かつこの光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。そのうえ、第1及び第2のミラー25、27と円錐状ミラー30を配置し、このうち第2のミラー27を回転させながら昇降させる構成としたので、駆動部分を軽量化でき、かつ光ディスク原盤3を回転させることが不要とすることが可能となり、これによりスピンドルモータを用いたときのような光ディスク原盤3とスピンドルモータとの重心位置ずれによる非同期振れをなくすことができ、かつ光ディスク原盤3とスピンドルモータとのセンタリング機構を不要にできる。
【0049】
又、露光光の軌跡となる円弧の中心Sを光ディスク原盤3の内側に配置されるようにしたので、露光光の経路を短くでき、露光光を照射するときの振れを少なくでき、光ディスク原盤3への高密度の情報記録には最適である。
【0050】
従って、露光・記録処理の行われた光ディスク原盤3は、トラックピッチむらがなく、情報が高密度に記録される。このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0051】
(4)次に本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、図9と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図10は上記光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置の構成図である。第1のミラーとして凹型の第1のトロイダルミラー31が配置されている。この第1のトロイダルミラー31は、それぞれ所定の曲率を持ったミラー面に形成され、短半径側を絞り込むものとなっている。又、第2のミラーとして凹型の第2のトロイダルミラー32が配置されている。この第1のトロイダルミラー32は、それぞれ所定の曲率を持ったミラー面に形成され、短半径側を絞り込むものとなっている。これら第1及び第2のトロイダルミラー31、32は、図11に示すようにレーザ発振器24から出力されたレーザビームのレーザビームスポットを絞り込んで光ディスク原盤3の面に照射するものとなっている。
【0052】
このような構成であれば、光ディスク原盤3に対する露光、記録は、次の通り行われる。光ディスク原盤3は、回転テーブル23上に載置され、所定の速度で回転される。レーザ発振器24からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のトロイダルミラー31で反射して光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射し、続いて第2のトロイダルミラー32で角度45°方向に反射し、さらに円錐状ミラー30で角度45°方向に反射し、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に照射される。
【0053】
このとき、ミラー昇降機構26と回転モータ29とが回転制御部30aにより回転制御されることにより、第2のトロイダルミラー32、円錐状ミラー30で反射し、光ディスク原盤3の面に照射されるレーザビームの軌跡は、上記図1に示すように光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧の軌跡となる。
【0054】
又、第1及び第2のトロイダルミラー31、32でそれぞれ反射するレーザビームは、図11に示すようにそのレーザビームスポットが絞り込まれて光ディスク原盤3の面に照射される。
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、上記同様に、この光ディスク原盤3を用いて複製が行われ、最終製品である光ディスクが完成する。
【0055】
一方、かかる装置では、次のような露光、記録ができる。光ディスク原盤3は、回転テーブル23上に載置される。この場合、回転テーブル23は、回転せずに固定である。レーザ発振器24からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のトロイダルミラー31で反射して光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射し、続いて第2のトロイダルミラー32で角度45°方向に反射し、さらに円錐状ミラー30で角度45°方向に反射し、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に照射される。
【0056】
このとき、第2のトロイダルミラー32は、回転モータ29の駆動により光ディスク原盤3の中心位置を通る垂直ラインを回転軸として一定速度で回転し、これと共に光ディスク原盤3の面から見て上方から下方に向かって所定速度で下降する。これにより、レーザビームの軌跡は、ディスク全面に亘って同心円状或いは螺旋状に描かれる。
【0057】
従って、光ディスク原盤3に照射されるレーザビームは、光ディスク原盤3の最内周記録半径rの位置から最外周記録半径Rの位置までの全領域に対し、360°の全周に亘ってスキャニングされる。
【0058】
又、このとき第1及び第2のトロイダルミラー31、32でそれぞれ反射するレーザビームは、そのレーザビームスポットが絞り込まれて光ディスク原盤3の面に照射される。
【0059】
このように上記第4の実施の形態においては、第1及び第2のトロイダルミラー31、32をそれぞれ所定の曲率を持ったミラー面に形成し、レーザビームのレーザビームスポットを絞り込んで光ディスク原盤3の面に照射するようにしたので、上記第3の実施の形態の効果と同様の効果を奏する他に、光ディスク原盤3への情報の記録をさらに高密度化できる。
このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0060】
(5)次に本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、図9と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図12は上記光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置の構成図である。第1のミラーとして第1の補正付ミラー33が配置されている。この第1の補正付ミラー33は、ミラー面の曲率を変更制御可能に構成してミラー面におけるレンズ作用を補正するものとなっている。又、第2のミラーとして第2の補正付ミラー34が配置されている。この第2の補正付ミラー34は、上記第1の補正付ミラー33と同様に、ミラー面の曲率を変更制御可能に構成してミラー面におけるレンズ作用を補正するものとなっている。
【0061】
これら第1及び第2の補正付ミラー33、34は、図13Aの外観図に示すように切欠きヒンジ35の背面にミラー面33a、34aを設け、かつ図13Bに示すように切欠き側に2つの圧電素子群36、37をそれぞれ間隔の異なる各切欠き端間に設けたものとなっている。なお、各圧電素子群36、37は、それぞれ複数の圧電素子を積層したものとなっている。
【0062】
一方、曲面制御部38は、各圧電素子群36、37に対する各印加電圧をそれぞれ制御し、第1又は第2の補正付ミラー33、34のいずれか一方又は両方のミラー面の曲率を制御し、ミラー面におけるレンズ作用を補正する機能を有している。すなわち、この曲面制御部38は、第2の補正付ミラー34の昇降位置に対応する各圧電素子群36、37への印加電圧をテーブル化して持っており、このテーブルから第2の補正付ミラー34の昇降位置に対応する印加電圧を読み出して各圧電素子群36、37に印加する機能を有している。
【0063】
このような構成であれば、光ディスク原盤3に対する露光、記録は、次の通り行われる。光ディスク原盤3は、回転テーブル23上に載置され、所定の速度で回転される。レーザ発振器24からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1の補正付ミラー33で反射して光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射される。
続いてレーザビームは、第2の補正付ミラー34で角度45°方向に反射し、さらに円錐状ミラー30で45°方向で落射し、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に照射される。
【0064】
このとき、ミラー昇降機構26と回転モータ29とが回転制御部30aにより回転制御されることにより、第2の補正付きミラー34、円錐上ミラー30で反射し、光ディスク原盤3の面に照射されるレーザビームの軌跡は、上記図1に示すように光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧の軌跡となる。
【0065】
又、第1及び第2の補正付ミラー33、34は、曲面制御部38によって第1又は第2の圧電素子群36、37に対する印加電圧が制御され、その各ミラー面33a、34aの短半径側の曲率半径が制御される。すなわち、これら第1及び第2の補正付ミラー33、34の曲率半径は、第2の補正付ミラー34の昇降位置に応じて設定され、これらミラー33、34のレンズ作用を補正する。
従って、光ディスク原盤3に照射されるレーザビームは、光ディスク原盤3上に対する集光特性が最適に設定される。
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、上記同様に、この光ディスク原盤3を用いて複製が行われ、最終製品である光ディスクが完成する。
【0066】
一方、かかる装置では、次のような露光、記録ができる。光ディスク原盤3は、回転テーブル23上に載置される。この場合、回転ミラー23は、回転せずに固定される。レーザ発振器24からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1の補正付ミラー33で反射して光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射される。続いてレーザビームは、第2の補正付ミラー34で角度45°方向に反射し、さらに円錐状ミラー30で45°方向で落射し、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に照射される。
【0067】
このとき、第2の補正付ミラー34は、回転モータ29の駆動により光ディスク原盤3の中心位置を通る垂直ラインを回転軸として一定速度で回転し、これと共に光ディスク原盤3の面から見て例えば上方から下方に向かって所定速度で下降する。
従って、光ディスク原盤3に照射されるレーザビームは、光ディスク原盤3の最内周記録半径rの位置から最外周記録半径Rの位置までの全領域に対し、360°の全周に亘ってスキャニングされる。ここで、第1及び第2の補正付ミラー33、34は、上記同様に、曲面制御部38によって第1又は第2の圧電素子群36、37に対する印加電圧が制御され、その各ミラー面33a、34aの短半径側の曲率半径が制御される。すなわち、これら第1及び第2の補正付ミラー33、34の曲率半径は、第2の補正付ミラー34の昇降位置に応じて設定され、これらミラー33、34のレンズ作用を補正する。
従って、光ディスク原盤3に照射されるレーザビームは、光ディスク原盤3上に対する集光特性が最適に設定される。
【0068】
このように上記第5の実施の形態においては、第1及び第2の補正付ミラー33、34をそれぞれ所定の曲率に制御するようにしたので、上記第2の実施の形態の効果と同様の効果を奏する他に、光ディスク原盤3に対する集光特性を最適に設定でき、光ディスク原盤3への情報の記録をさらに高密度化できる。又、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0069】
(6)次に本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0070】
図14及び図15は上記光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置の構成図であって、図14は上方から見た構成図、図15は側面から見た構成図である。原盤吸着盤40は、上面に載置される光ディスク原盤3を真空吸着し、固定するものである。この原盤吸着盤40の上方には、XY駆動機構41が設けられている。すなわち、2本のX軸ガイド42、43は、光ディスク原盤3の直径よりも長い間隔をおいて互いに平行に配置されている。これらX軸ガイド42、43には、それぞれX軸スライダ44、45が移動自在に設けられている。これらX軸スライダ44、45間には、2本のY軸ガイド46、47が互いに平行に架けられている。なお、X軸ガイド42、43とY軸ガイド46、47とは、互いに垂直な関係にある。
【0071】
これらY軸ガイド46、47には、XYステージ48が移動自在に設けられている。このXYステージ48には、露光用光学ヘッド49が搭載されている。この露光用光学ヘッド49は、対物レンズにフォーカスアクチュエータを備え、常に集光スポットが光ディスク原盤3に対してジャストフォーカスとなるようになっている。
【0072】
この露光用光学ヘッド49にレーザビームを導く光学系は次の通りである。レーザ発振器50は、レーザビームをX軸方向に出力するように配置されている。このレーザ発振器50から出力されるレーザビーム光路上であるX軸スライダ45上には、45°ミラー51が配置されている。この45°ミラー51は、レーザ発振器50から出力されるレーザビームをY軸方向に反射するものとなっている。又、この反射レーザビーム光路上であるXYステージ48上には、落射用の45°ミラー52が配置されている。この落射用の45°ミラー52は、レーザビームを露光用光学ヘッド49に向かって落射するものとなっている。
【0073】
一方、駆動制御部53は、X軸スライダ44、45及びXYステージ48に対して駆動制御信号を発し、XYステージ48をXY座標の管理によって駆動して露光用光学ヘッド49を光ディスク原盤3の上方において走査し、例えば光ディスク原盤3の面に照射するレーザビームの軌跡を、上記図1に示すように光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧の軌跡となるように駆動制御する機能を有している。
【0074】
次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。
光ディスク製造において、先ずガラス原板に対して感光材料であるフォトレジストが塗布され、これを光ディスク原盤3とする。次にこの光ディスク原盤3をレーザビームにより露光し、記録すべき情報を凹形状として加工し、これをピット信号として記録する。すなわち、光ディスク原盤3に対する露光、記録は、次の通り行われる。
【0075】
駆動制御部53は、光ディスク原盤3に記録すべき各記録ピットの位置をXY座標に換算し、このXY座標に従ってXYステージ48を移動させる。XYステージ48は、駆動制御信号に従って駆動されるX軸ガイド42、43、Y軸ガイド46、47によって移動し、これによって露光用光学ヘッド49を、各記録ピットを記録すべき光ディスク原盤3の上方に連続的に位置決めする。或いは連続的に送り制御を行う。すなわち、光ディスク原盤を回転させているときは、露光用光学ヘッド49は、上記図1に示すように光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧のレーザビームの軌跡となるように連続的に位置決め或いは送り制御される。
【0076】
この露光用光学ヘッド49が、各記録位置に対応して位置決めされたとき、レーザ発振器50からレーザビームが出力される。このレーザビームは、45°ミラー51でY軸方向に反射し、次に落射用の45°ミラー52で露光用光学ヘッド49に向かって落射される。この露光用光学ヘッド49は、光ディスク原盤3に対してジャストフォーカスでレーザビームの集光スポットを照射する。従って、露光用光学ヘッド49が、XYステージ48の移動により、光ディスク原盤3の全ての記録すべき記録ピットの上方に位置決めされるので、光ディスク原盤3の全周に亘って情報が記録される。
【0077】
一方、光ディスク原盤3が固定テーブルに載置されている場合には、レーザビームの軌跡を所望のピット列に対して沿うように同心円状或いは螺旋状に描くようXYステージ48を移動させる。或いはある一辺から対向する辺に向かって原盤全面をラスタスキャンさせていく方法でも露光を実施することが可能である。
【0078】
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、光ディスク原盤3から情報が写しとられ、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパが作成される。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクが完成する。
【0079】
このように上記第6の実施の形態においては、露光用光学ヘッド49をXY座標で位置決め・管理して、連続的に位置決め或いは送り制御するので、上記第2の実施の形態の効果と同様に、光ディスク原盤3への情報の記録を高密度化にでき、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0080】
(7)次に本発明の第7の実施の形態について説明する。
図16は上記光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置を示す構成図である。定盤60には、回転機構としてのスピンドルモータ61が設けられている。このスピンドルモータ61の回転軸には、ターンテーブル62が取り付けられている。このターンテーブル62は、吸着面が形成され、載置される光ディスク原盤3を真空吸着し固定するものとなっている。
【0081】
一方、定盤60の上方には、ベース板63が設けられている。このベース板63の上面には、露光光であるレーザビームを出力するレーザ発振器64が設けられている。このレーザ発振器64から出力されるレーザビーム光路上には、第1のミラー65が設けられ、レーザビームを光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に落射するものとなっている。なお、この第1のミラー65は、レーザビーム光路に対して角度45°で配置されている。又、ベース板63の下面には、第1のミラー65で反射するレーザビーム光路を回転軸として中空モータ66が取り付けられている。
【0082】
この中空モータ66は、円弧移動手段としての機能を有するもので、第1のミラー65で反射したレーザビームを通過させる中空部分67が形成され、かつその円周部分の回転体68が回転軸を中心として回転するものとなっている。この中空モータ66の下面には、露光用光学ヘッド69が設けられている。
【0083】
この露光用光学ヘッド69は、第2のミラー70、第3のミラー71及び対物レンズ72から構成されている。このうち第2のミラー70は、ミラー面を光ディスク原盤3の面に対して角度45°に配置したもので、第1のミラー65により反射したレーザビームをディスクに対して水平の方向に反射するものである。第3のミラー71は、第2のミラー70に対して光ディスク原盤3における最外周記録半径Rと最内周記録半径rとの合計距離の2分の1の間隔をおいて配置されている。又、この第3のミラー71は、ミラー面を光ディスク原盤3の面に対して角度45°に配置したもので、第2のミラー70により反射したレーザビームを光ディスク原盤3に向かって落射するものである。
【0084】
対物レンズ72は、第3のミラー71の反射レーザビームの光路上に配置され、かつフォーカスアクチュエータを備え、光ディスク原盤3に対してレーザビームを常にジャストフォーカスの集光スポットとして光ディスク原盤3に照射するものである。ここで、中空モータ66が回転した場合、露光用光学ヘッド69では、第2のミラー70が中空モータ66の回転軸を中心として回転し、これと共に第2のミラー71及び対物レンズ72が一体となって第2のミラー70を中心とする円弧上に移動するものとなる。すなわち、露光用光学ヘッド69の対物レンズ72は、上記図1に示すように最外周記録半径Rに内接するとともに最内周記録半径rに外接する駆動軌跡F上に移動するものとなる。
【0085】
次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。
光ディスク製造において、先ずガラス原板に対して感光材料であるフォトレジストが塗布され、これを光ディスク原盤3とする。次にこの光ディスク原盤3をレーザビームにより露光し、記録すべき情報を凹形状として加工し、これをピット信号として記録する。すなわち、光ディスク原盤3に対する露光、記録は、次の通り行われる。スピンドルモータ61が一定の回転速度で回転すると、これに応動してターンテーブル62は一定の回転速度で回転し、これに吸着固定されている光ディスク原盤3も一定の回転速度で回転する。
【0086】
一方、レーザ発振器64からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のミラー65で落射し、中空モータ66の中空部分67を通って露光用光学ヘッド69の第2のミラー70に到達する。そして、レーザビームは、第2のミラー70でディスク原盤に対して平行な方向に反射し、さらに第3のミラー71で落射し、対物レンズ72でジャストフォーカスの集光スポットとして光ディスク原盤3に照射される。
【0087】
このとき、中空モータ66は、所定の速度で回転駆動する。この中空モータ66の回転駆動により、第2のミラー71及び対物レンズ72は、一体的に第2のミラー70を中心として円弧上に移動する。すなわち、露光用光学ヘッド69の対物レンズ72は、上記図1に示すように最外周記録半径Rに内接するとともに最内周記録半径rに外接する駆動軌跡F上に従って移動する。この駆動軌跡Fは、例えば(R+r)を直径とする円弧となる。
【0088】
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、光ディスク原盤3から情報が写しとられ、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパが作成される。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクが完成する。
【0089】
このように上記第7の実施の形態によれば、トラック方向に対して見掛上、高い分解能(誤差を1/3.14に縮小)を得ることができ、光ディスク原盤3に対して情報記録時の高分解能化を実現して高密度記録ができる。又、レーザビームの軌跡となる円弧の中心Sを光ディスク原盤3の内側に配置されるようにしたので、第2のミラー70と第3のミラー71との間隔を短くしてレーザビームを照射するときの振れを少なくでき、光ディスク原盤3への高密度の情報記録には最適である。又、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0090】
(8)次に本発明の第8の実施の形態について説明する。なお、図16と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図17は光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置の構成図である。定盤60上には、2枚のベース板80、81がそれぞれ所定間隔をおいて支持部材82、83によって支持されている。このうち上段のベース板80上には、レーザ発振器84が設けられ、このレーザ発振器84から出力されるレーザビーム光路上に第1のミラー85が配置されている。又、下段のベース板81上には、モータ86が設けられ、このモータ86の回転軸に露光用光学ヘッド87が連結されている。この露光用光学ヘッド87は、第2のミラー88、第3のミラー89及び対物レンズ90から構成されている。
【0091】
このうち第2のミラー88は、ミラー面を光ディスク原盤3の面に対して角度45°に配置したもので、第1のミラー85により反射したレーザビームをディスク原盤に対して平行な方向に反射するものである。第3のミラー89は、第2のミラー88に対して光ディスク原盤3における最外周記録半径Rと最内周記録半径rとの合計距離の2分の1の間隔をおいて配置されている。又、この第3のミラー89は、ミラー面を光ディスク原盤3の面に対して角度45°に配置したもので、第2のミラー88により反射したレーザビームを光ディスク原盤3に向かって落射するものである。
【0092】
対物レンズ90は、第3のミラー89の反射レーザビームの光路上に配置され、かつフォーカスアクチュエータを備え、光ディスク原盤3に対してレーザビームを常にジャストフォーカスの集光スポットとして光ディスク原盤3に照射するものである。ここで、モータ86が回転した場合、露光用光学ヘッド87では、第2のミラー88がモータ86の回転軸を中心として回転し、これと共に第2のミラー88及び対物レンズ90が一体となって第2のミラー88を中心とする円弧上に移動するものとなる。すなわち、露光用光学ヘッド87の対物レンズ90は、上記図1に示すように最外周記録半径Rに内接するとともに最内周記録半径rに外接する駆動軌跡F上に移動するものとなる。
【0093】
次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。
光ディスク製造において、スピンドルモータ61が一定の回転速度で回転すると、これに応動してターンテーブル62は一定の回転速度で回転し、これに吸着固定されている光ディスク原盤3も一定の回転速度で回転する。
一方、レーザ発振器84からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のミラー85で落射し、露光用光学ヘッド87の第2のミラー88に到達する。そして、レーザビームは、第2のミラー88で角度45°方向に反射し、さらに第3のミラー89で落射し、対物レンズ90でジャストフォーカスの集光スポットとして光ディスク原盤3に照射される。
【0094】
このとき、モータ86は、所定の速度で回転駆動するので、第3のミラー89及び対物レンズ90は、一体的に第2のミラー88を中心として円弧上に移動する。すなわち、露光用光学ヘッド87の対物レンズ90は、上記図1に示すように最外周記録半径Rに内接するとともに最内周記録半径rに外接する駆動軌跡F上に従って移動する。この駆動軌跡Fは、(R+r)を直径とする円弧となる。
【0095】
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、光ディスク原盤3から情報が写しとられ、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパが作成される。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクが完成する。
【0096】
このように上記第8の実施の形態によれば、上記第7の実施の形態と同様に、トラック方向に対して見掛上、高い分解能(誤差を1/3.14に縮小)を得ることができ、光ディスク原盤3に対して情報記録時の高分解能化を実現して高密度記録ができる。又、レーザビームの軌跡となる円弧の中心Sを光ディスク原盤3の内側に配置されるようにしたので、第2のミラー88と第3のミラー89との間隔を短くしてレーザビームを照射するときの振れを少なくでき、光ディスク原盤3への高密度の情報記録には最適である。又、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0097】
なお、上記第7及び第8の実施の形態は、次の通りに変形してもよい。
例えば、これら第7及び第8の実施の形態は、露光用光学ヘッド69、87を回転させて各対物レンズ72、90をそれぞれ上記図1に示すように最外周記録半径Rに内接するとともに最内周記録半径rに外接する駆動軌跡F上に移動しているが、露光用光学ヘッド69、87を固定し、スピンドルモータ61側を回転させて光ディスク原盤3上のレーザビームの軌跡が図1に示す駆動軌跡Fとなるようにしてもよく、このように構成しても上記第7及び第8の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0098】
(9)次に本発明の第9の実施の形態について説明する。
図18は光ディスク原盤露光装置に用いる光ディスク原盤3を載置する回転テーブル23等のターンテーブル周りを示す図である。なお、ここでは、上記第7及び第8の実施の形態に適用した場合について説明する。スピンドルモータ61の回転軸には、ターンテーブル91が連結されている。このターンテーブル91は、光ディスク原盤3における最内周記録半径r内の領域よりも小さい領域で光ディスク原盤3を吸着する吸着機構92の溝を備えている。
【0099】
又、光ディスク原盤3のレーザビームの照射される面側とは反対の面側の下方には、露光光センサとしてのイメージセンサ93が設けられている。このイメージセンサ93は、複数の受光素子を羅列したもので、例えば図19に示すように露光用光学ヘッド69、87の対物レンズの駆動軌跡Fに対応する円弧形状に形成されている。このイメージセンサ93は、光ディスク原盤3を透過するレーザビームを受光し、その受光位置に応じた受光信号を出力するものである。
【0100】
フィードバック制御部94は、イメージセンサ93から出力された受光信号を入力し、この受光信号から光ディスク原盤3に照射されたレーザビームの集光スポット位置を検出し、この集光スポット位置とスポット設定位置との差を求め、この差が無くなるように露光用光学ヘッド69、87を位置決めする機能を有している。なお、フィードバック制御部94は、露光用光学ヘッド69、87を駆動軌跡Fに従って移動しているとき、基準クロックをカウントし、このカウント値に対応するスポット設定位置が予め設定されている。
【0101】
このような構成であれば、上記第7及び第8の実施の形態の作用に加えて次の作用がある。すなわち、光ディスク原盤3を吸着する吸着機構92は、光ディスク原盤3の最内周記録半径r内の領域よりも狭い領域において光ディスク原盤3を吸着し、かつ光ディスク原盤3の記録領域に対応する光ディスク原盤3の下面には空間が形成されているので、光ディスク原盤3に対する露光・記録時のレーザビームは、光ディスク原盤3を透過しても、これが反射して再び光ディスク原盤3に戻ることはない。
【0102】
従って、光ディスク原盤3に対する露光・記録時の露光むらは完全に回避できる。
【0103】
又、光ディスク原盤3を透過したレーザビームは、図20に示すように広がり角を持ってイメージセンサ93に入射する。このイメージセンサ93は、光ディスク原盤3を透過する広がり角を持ったレーザビームを複数の受光素子で受光し、その受光位置に応じた受光信号を出力する。
【0104】
フィードバック制御部94は、イメージセンサ93から出力された受光信号を入力し、この受光信号と予め設定された基準レベルaとを比較し、この基準レベルa以上となった受光信号の中間位置(2b/2)をレーザビームの集光スポット位置として推定する。そして、フィードバック制御部94は、この集光スポット位置とスポット設定位置との差を求め、この差が無くなるように露光用光学ヘッド69、87を位置決めする。
【0105】
このように上記第9の実施の形態であれば、上記第7及び第8の実施の形態の効果に加えて、光ディスク原盤3の露光むらを回避でき、かつ露光用光学ヘッド69、87を位置決めしてレーザビーム集光スポット位置を所定の位置に制御でき、さらに情報記録の高密度化を図ることができる。又、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0106】
(10)次に本発明の第10の実施の形態について説明する。
この本発明の第10の実施の形態は、光ディスク原盤の吸着方法を改良した光ディスク原盤露光方法である。この光ディスク原盤露光方法は、ターンテーブル上に光ディスク原盤3を載置するときにターンテーブルの吸着面を大気圧状態にする第1の工程と、この第1の工程の後、ターンテーブルの吸着面と光ディスク原盤3との間を正圧状態にする第2の工程と、この第2の工程の後、ターンテーブルの吸着面と光ディスク原盤3との間を複数段階の真空度で所定の真空状態に到達する第3の工程とを有し、この第3の工程の後,光ディスク原盤3にレーザビームを照射して情報記録を行うものである。
【0107】
図21はかかる光ディスク原盤の吸着方法を適用した光ディスク原盤露光装置の吸着機構の構成図である。スピンドルモータ100の回転軸には、ターンテーブル101が連結され、このターンテーブル101上に光ディスク原盤3が吸着・固定される。このターンテーブル101は、その吸着面溝102が図22に示すように光ディスク原盤3の露光領域に対応する部分に凸部、又は図23に示すように溝(凹部)のみ形成されたものとなっている。このターンテーブル101の吸着溝には、配管を介して直列に2段の電磁空気弁、すなわち第1段目の電磁空気弁(以下、第1の電磁空気弁と称する)103、第2段目の電磁空気弁(以下、第2の電磁空気弁と称する)104が配管を通して接続されている。
【0108】
これら第1及び第2の電磁空気弁103、104は、それそれ3つの弁口R、A、Pを有するもので、このうち弁口A、Rを通して直列接続されている。そして、後段の第2の電磁空気弁104の弁口Rには、配管を通して真空ポンプ105が接続されている。又、第1の電磁空気弁103の弁口Pには、第1のレギュレータ106を介して圧縮空気源107が配管を通して接続され、第2の電磁空気弁104の弁口Pには、電磁弁付エジェクタ108、第2のレギュレータ109を介して上記圧縮空気源107が配管を通して接続されている。
【0109】
しかるに、第1の電磁空気弁103は、ターンテーブル101の吸着面側の弁口Aに対して圧縮空気源107側の弁口P又は第2の電磁空気弁104側の弁口Rとを選択して切り替えるものとなっている。又、第2の電磁空気弁104は、第1の電磁空気弁103側の吸着面側の弁口Aに対して圧縮空気源107側の弁口P又は真空ポンプ105側の弁口Rとを選択して切り替えるものとなっている。
【0110】
圧力制御装置110は、第1及び第2の電磁空気弁103、104、電磁弁付エジェクタ108を動作制御し、ターンテーブル101の吸着面を大気圧状態にし、次にターンテーブル101の吸着面と光ディスク原盤3との間を正圧状態にし、この後、ターンテーブル101の吸着面と光ディスク原盤3との間を複数段階の真空度、例えば(大気圧−100mmHg)〜(大気圧−200mmHg)の低い真空度、次に(大気圧−700mmHg)以下の高い真空度に到達させる機能を有している。
【0111】
次に上記の如く構成された装置の作用について上記第7の実施の形態の光ディスク原盤露光装置におけるターンテーブルに適用した場合について説明する。
光ディスク製造において、先ずガラス原板に対して感光材料であるフォトレジストが塗布され、これを光ディスク原盤3とする。この光ディスク原盤3は、ターンテーブル101(第7の実施の形態ではターンテーブル62)に吸着され、固定される。すなわち、第1の工程として、圧力制御装置110は、第1の電磁空気弁103を第2の電磁空気弁104側(弁口A→R)に開放する。そして、電磁弁付エジェクタ108には、第2のレギュレータ109を閉じて圧縮空気源107からの圧縮空気の供給をしゃ断する。このとき電磁弁付エジェクタ108は、大気圧側に開放されている。これにより、ターンテーブル101の吸着面は、大気圧状態に形成される。この大気圧状態にあるターンテーブル101の吸着面に対して光ディスク原盤3が載置される。
【0112】
第2の工程において、ターンテーブル101に対して光ディスク原盤3をセンタリング、すなわちターンテーブル101の回転中心に対して光ディスク原盤3の中心位置とを位置決めするとき、圧力制御装置110は、第1の電磁空気弁103を圧縮空気源107側(弁口P)に開放する。なお、電磁弁付エジェクタ108は、いかなる状態でもよい。この第1の電磁空気弁103の弁口P側の開放により圧縮空気源107からの圧縮空気が、第1のレギュレータ106、第1の電磁空気弁103を通ってターンテーブル101の吸着面に供給される。このとき、ターンテーブル101の吸着面に供給される圧縮空気は、他の機器の状態に一切かかわらず供給される。又、このターンテーブル101に供給される圧縮空気の供給圧力は、第1のレギュレータ106により調圧され、例えば大気圧に対して最大でも+1kgf/cm2程度とわずかに正圧に設定される。これにより、光ディスク原盤3とターンテーブル101との間は、正圧(陽圧)に設定される。
【0113】
しかるに、この光ディスク原盤3とターンテーブル101との間の正圧の状態に、ターンテーブル101に対して光ディスク原盤3がセンタリング機構によりセンタリングされる。
【0114】
この後、第3の工程において、圧力制御装置110は、第1の電磁空気弁103を第2の電磁空気弁104側(弁口A→R)に開放し、かつ第2の電磁空気弁104を電磁弁付エジェクタ108側(弁口A→P)に開放する。そして、電磁弁付エジェクタ108には、第2のレギュレータ109を通して圧縮空気源107からの圧縮空気を供給して真空状態を形成する。このとき、電磁弁付エジェクタ108への供給圧力は、第2のレギュレータ109により調圧され、上記センタリング後の吸着のとき位置ずれがないように電磁弁付エジェクタ108の到達真空度が低い真空度、例えば(大気圧−100mmHg)〜(大気圧−200mmHg)に設定される。これにより、光ディスク原盤3は、ターンテーブル101に対して上記低い真空度により吸着される、いわゆる軽く吸着される。
【0115】
次に圧力制御装置110は、第1の電磁空気弁103を第2の電磁空気弁104側(弁口A→R)に開放し、かつ第2の電磁空気弁104を真空ポンプ105側(弁口A→R)に開放する。このとき電磁弁付エジェクタ108は、いかなる状態でもよい。これにより、ターンテーブル101の吸着面は、第1及び第2の電磁空気弁103、104を通して真空ポンプ105により吸引され、光ディスク原盤3を吸着・固定する。このとき、ターンテーブル101の吸着面における到達真空度は、例えば(大気圧−700mmHg)以下の高い真空度に設定される。
【0116】
このように光ディスク原盤3がターンテーブル101に吸着・固定されると、上記第7の実施の形態の光ディスク原盤露光装置であれば、スピンドルモータ61が一定の回転速度で回転し、これに応動してターンテーブル62は一定の回転速度で回転し、これに吸着固定されている光ディスク原盤3も一定の回転速度で回転する。
【0117】
一方、レーザ発振器64からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のミラー65で落射し、回転する中空モータ66の中空部分67を通って露光用光学ヘッド69の第2のミラー70に到達する。そして、レーザビームは、第2のミラー70で反射し、さらに第3のミラー71で落射し、対物レンズ72でジャストフォーカスの集光スポットとして光ディスク原盤3に照射される。
【0118】
このとき、中空モータ66は、所定の速度で回転駆動しているので、露光用光学ヘッド69の対物レンズ72は、図1に示す駆動軌跡Fの円弧上に沿って移動する。
【0119】
これにより光ディスク原盤3には、レーザビームが露光され、記録すべき情報を凹形状として加工し、これをピット信号として記録される。
【0120】
ところで、光ディスク原盤3に照射されたレーザビームは、光ディスク原盤3を透過してターンテーブル101に到達するが、ターンテーブル101の吸着面は、図22に示すように光ディスク原盤3の露光領域に対応する部分に凸部、又は図23に示すように溝(凹部)のみが形成されているので、ターンテーブル101からの反射レーザビームの影響を受けての露光むらは低減される。
【0121】
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、光ディスク原盤3から情報が写しとられ、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパが作成される。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクが完成する。
【0122】
このように上記第10の実施の形態においては、ターンテーブル101上に光ディスク原盤3を載置するときにターンテーブル101の吸着面を大気圧状態にし、次にターンテーブル101の吸着面と光ディスク原盤3との間を正圧状態にし、次にターンテーブル101の吸着面と光ディスク原盤3との間を低い真空度、高い真空度の2段階の真空度で光ディスク原盤3を吸着・固定するようにしたので、すなわち、真空状態にアンバランスが生じないようにターンテーブル101の吸着面を段階的、又は連続的に大気圧から高真空に移行させるので、光ディスク原盤3をターンテーブル101に事前にセンタリングして吸着・固定してもこのセンタリングがずれることなく光ディスク原盤を吸着できる。
【0123】
又、光ディスク原盤3の露光領域に対応するターンテーブル101の吸着面を凸部、又は溝(凹部)のみに形成したので、ターンテーブル101からの反射レーザビームの影響を受けての露光むらは低減できる。
【0124】
なお、上記第10の実施の形態は、次の通りに変形しても良い。例えば、2つの真空発生装置である真空ポンプ105、電磁弁付エジェクタ108を使用するに限らず、1つの真空発生装置を使用し、供給圧力を電気的に変換できる電気−空気レギュレータによって到達真空度を制御し、連続的に到達真空度を高めて吸着してもよい。
又、2段の電磁空気弁を直列接続するに限らず、複数の電磁空気弁を接続して複数段階で到達真空度を調整するようにしてもよい。
【0125】
又、上記第10の実施の形態は、上記第7の実施の形態の光ディスク原盤露光装置におけるターンテーブルに適用した場合について説明したが、上記第8の実施の形態の光ディスク原盤露光装置におけるターンテーブルに適用することもできる。
【0126】
以上の説明のように、本発明の光ディスク原盤露光方法及びその装置を用いることにより、駆動方式に関わらず、使用するレーザ干渉計やエンコーダの限界を大きく上回る分解能の露光を行うことが出来るので、将来の光ディスクの大容量化に貢献することが可能となる。
【0127】
又、本発明の光ディスクは、高密度の記録が高精度で行えるために、光ディスク内の情報が高密度化した場合にエラーやジッタが少ない高品質の信号を提供することが可能となる。
【0128】
産業上の利用可能性
以上に記載したように、本発明にかかる光ディスク原盤露光方法及び露光装置は、CD/DVDのみならず、今後の高記録密度化された光ディスクの原盤を作成する上で、有用な技術であり、特に装置を安価に構成したい場合に適している。又、本発明にかかる光ディスクは、今後のマルチメディア文化の発展に伴う情報量の増大に対して、コンパクトな記録媒体を安価に提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明に係わる光ディスク原盤露光方法の第1の実施の形態を示す図。
【図2A】同露光方法によるトラック上の露光光の軌跡を示す図。
【図2B】同露光方法によるトラック上の露光光の軌跡を示す図。
【図3】走査角度に対するトラックピッチと交差する角度を示す図。
【図4】走査角度を示す図。
【図5】走査角度に対する従来技術の感度との比較を示す図。
【図6】露光光の軌跡の変形例を示す図。
【図7】露光光の軌跡の変形例を示す図。
【図8】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図9】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第3の実施の形態を示す構成図。
【図10】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第4の実施の形態を示す構成図。
【図11】トロイダルミラーによるレーザビームスポットの絞り込みを示す図。
【図12】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第5の実施の形態を示す構成図。
【図13A】補正付ミラーの具体的な構成図。
【図13B】補正付ミラーの圧電素子群を設けた具体的な構成図。
【図14】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第6の実施の形態を示す上方から見た構成図。
【図15】同光ディスク原盤露光装置の側面から見た構成図。
【図16】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第7の実施の形態を示す構成図。
【図17】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第8の実施の形態を示す構成図。
【図18】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置のターンテーブルの第9の実施の形態を示す構成図。
【図19】イメージセンサの配置状態を示す外観図。
【図20】イメージセンサの受光作用を示す図。
【図21】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の吸着機構の第10の実施の形態を示す構成図。
【図22】ターンテーブルの吸着面溝形状を示す図。
【図23】ターンテーブルの吸着面溝形状を示す図。
【図24】従来の光ディスク原盤露光装置の構成図。
【図25】従来の露光用光学ヘッドの駆動軌跡を示す図。
【符号の説明】
【0130】
3:光ディスク原盤、10:定盤、11:第1のモータ、12:ターンテーブル、11a:回転軸、13:固定部材、14:第2のモータ、15:ターンテーブル、19a:バランサ、19b:レンズマウント、19c:結像レンズ、16:支持アーム、17:レーザ発振器、18:ミラー、20:定盤、21:支持体、22:ベース板、23:回転テーブル、24:レーザ発振器、24a:光学系、25:第1のミラー、26:ミラー昇降機構、27:第2のミラー、28:ガイド体、29:回転モータ、30:円錐状ミラー、30a:回転制御部、31:第1のトロイダルミラー、32:第2のトロイダルミラー、33:第1の補正付ミラー、34:第2の補正付ミラー、35:切欠きヒンジ、33a,34a:ミラー面、36,37:圧電素子群、38:曲面制御部、40:原盤吸着盤、41:XY駆動機構、42,43:X軸ガイド、44,45:X軸スライダ、46,47:Y軸ガイド、48:XYステージ、49:露光用光学ヘッド、50:レーザ発振器、51:45°ミラー、52:45°ミラー、60:定盤、61:スピンドルモータ、62:ターンテーブル、63:ベース板、64:レーザ発振器、65:第1のミラー、66:中空モータ、67:中空部分、68:回転体、69:露光用光学ヘッド、70:第2のミラー、71:第3のミラー、72:対物レンズ、80,81:ベース板、82,83:支持部材、84:レーザ発振器、85:第1のミラー、86:モータ、87:露光用光学ヘッド、88:第2のミラー、89:第3のミラー、90:対物レンズ、91:ターンテーブル、92:吸着機構、93:イメージセンサ、94:フィードバック制御部、100:スピンドルモータ、101:ターンテーブル、102:吸着面溝、103:第1の電磁空気弁、104:第2の電磁空気弁、105:真空ポンプ、106:第1のレギュレータ、107:圧縮空気源、108:電磁弁付エジェクタ、109:第2のレギュレータ、110:圧力制御装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク原盤に対してレーザビームやEB(電子線)等の露光光を照射して螺旋状又は同心円状のピット列を形成する光ディスク原盤露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク製造の概略は、先ずガラス原板に対して感光材料であるフォトレジストを塗布し、これを光ディスク原盤とする。次にこの光ディスク原盤のフォトレジストをレーザビームやEBにより露光し、記録すべき情報を凹形状として加工し、これをピット信号(ピット列)として記録する。この後、光ディスク原盤に対する現像などの処理を行い、続いて光ディスク原盤から情報を写しとり、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパを作成する。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクを完成する。このような光ディスクの製造では、光ディスク原盤のフォトレジストにレーザビームを露光して情報の記録を行っている。
【0003】
図24はかかる光ディスク原盤記録装置の構成図である。スピンドルモータ1に連結されたステージ2上には、光ディスク原盤3が配置されている。この光ディスク原盤3は、ガラス原板上に感光材料であるフォトレジストを塗布したものである。一方、ステージ2の上方には、一軸スライダ4が配置され、その移動端には露光用光学ヘッド(露光レーザヘッド)5が取り付けられている。この露光用光学ヘッド5は、露光光学系6から出力されたレーザビームを光ディスク原盤3上に照射するものとなっている。なお、一軸スライダ4は、露光用光学ヘッド5が取り付けられた移動端を光ディスク原盤3の半径方向に移動自在、すなわちリニアガイドの駆動方式となっている。コンピュータ7は、スピンドルモータ1を回転制御するとともに一軸スライダ4を移動制御し、かつ露光光学系6のレーザビーム出力を制御する。
【0004】
このような構成であれば、スピンドルモータ1の回転により光ディスク原盤3は回転し、この状態に一軸スライダ4によって露光用光学ヘッド5が一軸方向つまり光ディスク原盤3の半径方向にスライド移動する。なお、露光用光学ヘッド5は、図25に示すように光ディスク原盤3における最外周記録半径Rの位置から最内周記録半径rの位置まで直線的にスライド移動して記録を行う(リニアガイド方式)。このとき、記録されるディジタル信号の列とスライド移動方向は直交している。これにより、露光用光学ヘッド5から出射されたレーザビームは、回転するレジストの塗布された光ディスク原盤3上に照射され、このときレーザビームの照射が情報に応じて制御されると、光ディスク原盤3上には、ピット、グルーブなどの情報群が記録される。
【0005】
このとき、露光用光学ヘッド5の位置は、レーザ干渉計4aによって測定されており、図示せぬ微動系によって常にフィードバック制御を受けている。従って、このような露光装置によるトラックピッの分解能は、レーザ干渉計4aの測定分解能によって一義的に決定されてしまうことになる。又、このような露光用光学ヘッド5を直線的に走査する駆動方式では、一軸スライダ4などを高剛性化しなければならず、そのために一軸スライダ4は、例えば2ガイド方式のスライダを用いることになる。このため、かかるスライダは、光ディスク原盤3を跨いだ構成となり、装置全体が、大重量、大型化することになる。
【0006】
一方、露光用光学ヘッド5の駆動方式としては、直線的に走査するリニアガイド方法の他に、HDD(ハードディスクドライブ)の磁気記録方式に見られるスウィングアーム方式を適用したものがある。このスウィングアーム方式による駆動は、図25に示すように露光用光学ヘッド5を最外周記録半径Rの位置から最内周記録半径rの位置まで円弧状に移動するものである。
このような方式では、スウィングアームの回転中心位置が光ディスク原盤3の外側にあるため、露光用光学ヘッド5の駆動軌跡が曲率を持つものとなるが、ほとんどリニアガイド方法に近似される駆動軌跡となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなスウィングアーム方式の露光用光学ヘッドの位置は、駆動軌跡の回動中心を駆動する回動軸に設けられたエンコーダによって把握されている。従って、スウィングアーム方式におけるトラックピッチの分解能もこのエンコーダの分解能によって限界が決定されてしまっていた。光ディスクに現状よりも多くの情報を記録する場合、隣合うピット列の幅を縮めていくこと以外に情報量を上げていくことは難しい。隣合うピット列の間の距離はピットひとつの長さよりも短くなってきている。このような高密度記録を行うためには、ピットひとつひとつを形成するときのラジアル方向に対する位置決めを高精度に行うことが要求される。
【0008】
現在の露光装置においては、露光用光学ヘッドを移動させるときの運動誤差は、直接トラックピッチむらとして現れてくるため、この運動誤差を出来る限り小さくしなければならない。この要求を満たすためには、露光装置に用いられている位置検出器の分解能を上げることが一つの方法であるが、エンコーダやレーザ干渉計の位置分解能が伸び悩んでいることや高価なことから、このような位置検出器の分解能に依存しない形で露光装置の高分解能化が強く望まれている。
【0009】
又、上記各駆動方式では、リニアエンコーダ又はレーザ干渉測長器を用いて露光用光学ヘッド5の位置又は光学ヘッドを搭載したテーブル(又はスライダ)を制御しているが、本質的に位置を制御したい対象は、レジストを実際に感光・記録するレーザビームの集光スポットであり、この集光スポット位置を直接観察、測定することは行われていない。
【0010】
従来のリニアガイド方式やスウィングアーム方式による駆動では、用いている位置検出器の分解能に依存して送り誤差が発生し、これに伴ってトラックピッチむらが生じるので、情報の高密度記録を行うことが難しい。
【0011】
そこで本発明は、より簡素或いは安価な構成で光ディスク原盤に対する高密度記録ができる光ディスク原盤露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の主要な局面に係る光ディスク原盤露光装置は、光ディスク原盤上に照射して螺旋状又は同心円状のピット列を形成する露光光を出力する光源と、光ディスク原盤を回転させる第1の回転機構と、第1の回転機構の回転軸からずれて設けられ、露光光又は光ディスク原盤を回転させる第2の回転機構とを具備する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、より簡素或いは安価な構成で光ディスク原盤に対する高密度記録ができる光ディスク原盤露光装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(1)以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明の光ディスク原盤露光方法は、図1に示すように光ディスク原盤3に対して露光光、例えばレーザビームを照射し、この光ディスク原盤3上に螺旋状又は同心円状のピット列pを形成する場合、レーザビームの照射がピット列pに対して平行又は斜め方向の軌跡(露光用光学ヘッドの駆動軌跡F)となるように行うものである。このようなレーザビームの照射の軌跡は、ピット列pの少なくとも一箇所、例えば図1に示す軌跡では点A又はBで接していることが好ましい。すなわち、レーザビームの照射は、光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接する軌跡となるように行ってもよい。
【0015】
又、レーザビームの照射は、光ディスク原盤3における最外側のピット列pに対して点Aで接する軌跡となるように行ってもよい。このレーザビームの光ディスク原盤3に対する照射は、点Sを中心とする円弧の軌跡となるように行う。そして、この円弧の軌跡となるレーザビームの軌跡は、光ディスク原盤3における最内側のピット列pの半径(最内周記録半径)rと最外側のピット列pの半径(最外周記録半径)Rとの和(R+r)を直径とするものとなり、かつこのレーザビームの軌跡の中心点Sは、光ディスク原盤3の平面内に存在する。
【0016】
従って、本発明の第1の実施の形態における光ディスク原盤露光方法は、光ディスク原盤3を所定速度で回転させ、かつ露光用光学ヘッドを光ディスク原盤3における最外周記録半径Rに内接するとともに最内周記録半径rに外接し、かつ(R+r)を直径としする駆動軌跡F上に移動させ、光ディスク原盤3に対してレーザビームを照射してピット列を形成し、情報記録を行うものである。
【0017】
このような露光用光学ヘッドの駆動軌跡Fであれば、例えば最外周記録半径Rを60mm、最内周記録半径rを20mmとすると、駆動軌跡の長さは、125.6mmとなる。
【0018】
ここで、図25に示す従来のリイアガイド方式による駆動軌跡の長さでは40mm、スウィングアーム方式ではほぼ40mmとなり、本発明の駆動軌跡Fの長さは、従来の各方式よりも3.14倍長くなる。
【0019】
従って、従来の装置に用いていたエンコーダや測距器をそのまま用いるとき、トラック方向(ピット列の方向)に対して見掛上、3.14倍の分解能(誤差を1/3.14に縮小)が得られ、光ディスク原盤3に対して情報記録時の高分解能化を実現して高密度記録ができる。
又、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
実際のディスクにおいては、直径が80mmや120mmになるので、実際の分解能はさらに大きくなる。
円弧状のレーザビームの軌跡Fは、図2Aに示すように光ディスク原盤3上の例えばnトラック目からn+1トラック目に着目した場合、これらトラック方向に対して角度αで交差するので、これらトラック間の軌跡の長さが、図2Bに示すリイアガイド方式による駆動軌跡と比較して長くなる。これにより、円弧状のレーザビームの軌跡Fであれば、1/cos(90°−α)で感度が緩和される。
【0020】
図3は、図4に示す円弧状のレーザビームの軌跡Fの走査角度θ(=0°〜180°)に対する軌跡Fのトラックピッチと交差する角度αの関係を示しており、ここでは走査角度θ(=120°)のときに交差する角度αが30°を示している。
従って、交差角αはα=30°を曲値とする上に凸の曲線になるから、これにつれてレーザビームの軌跡Fの各トラック間の距離が長くなり、例えば送り系の送りむらが発生しても、これに対する影響を少なくできる。
【0021】
図5は円弧状のレーザビームの軌跡Fによる感度と従来技術(リニアガイド方式)の感度とを比較した図であって、従来技術の感度を「1」としたときの円弧状のレーザビームの軌跡Fによる感度を示している。すなわち、走査角度θ(=120°)のときにおいてもレーザビームの軌跡Fによる感度は、従来技術の感度の2倍となり、その前後ではこの走査角度θ(=120°における感度よりも高いことが分かる。従って、本発明によれば、光ディスク原盤3に対して情報記録時の高分解能化を実現して高密度記録ができる。
【0022】
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、光ディスク原盤3に対する現像などの処理が行われ、続いて光ディスク原盤3から情報を写しとり、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパが作成される。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクが完成する。
【0023】
このように上記第1の実施の形態によれば、レーザビームの照射を光ディスク原盤3における最内側のピット列の半径rと最外側のピット列の半径Rとの和を直径とする円弧の軌跡により行うので、トラックピッチむらがなく、情報が高密度に記録できる。又、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、従来では実現し得なかった高密度な情報が記録されたものとなる。
【0024】
又、レーザビームの軌跡となる円弧の中心Sを光ディスク原盤3の内側に配置されるようにしたので、レーザビームを円弧状に移動させるスウィングアームの長さを短くでき、レーザビームを照射するときの上下方向の振れを少なくでき、光ディスク原盤3への高密度の情報記録には最適である。
【0025】
リニアガイドにしろスウィングアームにしろ、これらを支持する支持点から露光用光学ヘッドまでの距離が長ければ長い程、印加された振動は、露光用光学ヘッドに対して大きな位置変動を与えることになる。
この変動は、回動運動であるから、露光光のスポットの大きさを変動させる要因であると同時にトラックピッチ方向にも誤差を与えることになる。
支持点がディスクの外側に存在するときには、支持点と露光用光学ヘッドとの間には必ず所定の距離が存在するが、支持点をディスクの内側に置くことによって本実施の形態の露光方法を用いることができかつ前記回動運動による誤差を軽減することが可能となるものである。
【0026】
なお、本発明は、上記第1の実施の形態の光ディスク原盤露光方法に限らず、次のようなレーザビームの軌跡としてもよい。例えば、図6に示すようにレーザビームの照射が光ディスク原盤3における最内側のピット列に対して接し、かつ直線の軌跡Fa、Fbとなるようにしてもよい。なお、軌跡Fbは、最内側のピット列に対し、中心からの方向に直角に接している。このとき、従来のリニアガイド方式のメカ部を用いることができてかつ高密度記録を達成することが可能である。
【0027】
又、レーザビームの照射の軌跡は、ピット列pの少なくとも一箇所で接すればよく、例えば図7に示すように点A又はCで接する弧でもよい。この場合でも上記第1の実施の形態に近い分解能で記録を行うことができる。
又、同図に示すように点A、Dで接する螺旋状の軌跡や、ピット列pに限りなく近い螺旋状、又は同心円状、さらには楕円や自由曲線による軌跡によっても本発明の目的を達成することができる。
【0028】
(2)次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0029】
図8は上記光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置の構成図である。振動を抑えるための定盤10には、第2の回転機構としての第1のモータ11が設けられている。この第1のモータ11の回転軸には、ターンテーブル12が連結され、このターンテーブル12上の回転軸11aを外れたところに固定部材13を介して第1の回転機構としての第2のモータ14が設けられている。
この第2のモータ14の回転軸には、ターンテーブル15が連結され、このターンテーブル15上に光ディスク原盤3が載置されている。
【0030】
このように光ディスク原盤3を回転させる第2のモータ14が、第1のモータ11の回転軸からずれて設けられているので、第1のモータ11の回転軸11aが光ディスク原盤3内を通るライン上に配置されるものとなる。すなわち、第1のモータ11の回転軸11aは、図1に示す駆動軌跡Fの中心Sと一致するものとなる。
又、第2のモータ14の回転軸11aに対して対称位置には、第2のモータ14と同じ重量のバランサ19aが設けられている。又、レーザビームの光路上には、レンズマウント19bが設けられ、これに結像レンズ19cが取り付けられている。
【0031】
一方、定盤10上には、支持アーム16を介して露光光源としてのレーザ発振器17が設けられている。このレーザ発振器17から出力されるレーザビームの光路上には、ミラー18が配置され、レーザビームを光ディスク原盤3上に向けて反射するものとなっている。
【0032】
次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。
光ディスク製造において、先ず、ガラス原板に対して感光材料であるフォトレジストが塗布され、これを光ディスク原盤3とする。次に、この光ディスク原盤3をレーザビームにより露光し、記録すべき情報を凹形状として加工し、これをピット信号として記録する。すなわち、光ディスク原盤3に対する露光、記録は、次の通り行われる。
【0033】
光ディスク原盤3は、テーブル15上に載置され、第2のモータ14の駆動により所定の速度で回転する。これと共に第1のモータ11が、第2のモータ14の速度よりも遅い速度で回転する。
一方、レーザ発振器17からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、ミラー18で反射して光ディスク原盤3に向かって落射される。これにより、レーザビームは、光ディスク原盤3上に対して上記図1に示す軌跡F、すなわち光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧の軌跡となるように照射される。
【0034】
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、光ディスク原盤3に対する現像などの処理が行われ、続いて光ディスク原盤3から情報を写しとり、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパが作成される。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクが完成する。
【0035】
このように上記第2の実施の形態によれば、露光光の照射をピット列pに対して平行又は斜め方向の軌跡となるように行うので、トラックピッチむらがなく、情報が高密度に記録でき、かつこの光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。又、露光光の軌跡となる円弧の中心Sを光ディスク原盤3の内側に配置されるようにしたので、露光光を照射するときの振れを小さくすることができ、光ディスク原盤3への高密度の情報記録には最適である。
【0036】
(3)次に本発明の第3の実施の形態について説明する。
図9は上記光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置の構成図である。定盤20上には、支持体21を介してベース板22が設けられた2層構造となっている。定盤20上には、回転テーブル23が設けられ、この回転テーブル23上に光ディスク原盤3が載置されている。ベース板22上には、光ディスク原盤3に対する露光光源としてのレーザ発振器24が設けられている。なお、このレーザ発振器24は、レーザビームを光ディスク原盤3の面方向と同一方向に出力するものとなっている。そして、このレーザビームの光路上には、レーザビームを光ディスク原盤3面上で絞り込む光学系24aが配置されている。
【0037】
又、前置ミラーとしての第1のミラー25が、ベース板22上に設けられている。この第1のミラー25は、レーザ発振器24から出力されるレーザビームの光路上で、かつ光ディスク原盤3の中心を通りこの光ディスク原盤3の面に対して垂直方向のライン上に配置されている。この第1のミラー25は、光ディスク原盤3の面に対して角度45°方向の反射面となるように配置され、レーザ発振器24から出力されたレーザビームを、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向で光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射するものとなっている。この第1のミラー25によるレーザビームの落射方向には、ミラー昇降機構26が設けられている。
【0038】
このミラー昇降機構26は、前置ミラーとしての第2のミラー27を保持し、かつこの第2のミラー27を光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に昇降させるガイド体28、及びこのガイド体28に沿って第2のミラー27を昇降させる昇降モータ(不図示)を備えている。又、このミラー昇降機構26は、第2のミラー27を回転軸に取り付けた回転モータ29を備えている。この回転モータ29は、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向を回転軸として第2のミラー27を回転させるものとなっている。なお、この回転モータ29は、昇降モータの駆動により第2のミラー27と一体的に昇降する。
【0039】
このミラー昇降機構26は、昇降モータと回転モータ29とを同期して駆動するもので、これら昇降モータ及び回転モータ29の駆動により、第2のミラー27は、例えば上方から下方に向かって回転しながら下降するものとなる。
【0040】
第2のミラー27は、第1のミラー25から反射するレーザビームの光路に対して角度45°方向の反射面となるように配置され、レーザビームを光ディスク原盤3の面方向に対して平行な方向に反射するものとなっている。
【0041】
ベース板22の下面には、第3のミラーとして切頭した円錐状ミラー30が設けられている。この円錐状ミラー30は、光ディスク原盤3の中心位置を通る垂直ライン上の所定位置から光ディスク原盤3の面に対して角度45°の方向にミラー面が配置されたものとなっている。この円錐状ミラー30は、第2のミラー27からのレーザビームを反射し、光ディスク原盤3の面に垂直に照射するものとなっている。
【0042】
回転制御部30aは、ミラー昇降機構26と回転モータ29とを回転制御する機能を有するもので、特に光ディスク原盤3の面に照射するレーザビームの軌跡を、例えば上記図1に示すように光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧の軌跡となるように照射するようにミラー昇降機構26と回転モータ29とを回転制御する機能を有している。
【0043】
或いは光ディスク原盤を固定状態にして回転させないで露光する場合においては、レーザビームの軌跡を所望のピット列に対して沿うように同心円状或いは螺旋状に描くよう、ミラー昇降機構26と回転モータ29とを連動制御する機能を有している。
【0044】
次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。
光ディスク原盤3は、回転テーブル23上に載置される。一方、レーザ発振器24からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のミラー25で反射して光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射される。さらに、このレーザビームは、第2のミラー27で45°方向に反射し、円錐上ミラー30に進行し、この円錐状ミラー30で45°方向に反射し、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に照射される。
【0045】
このとき、ミラー昇降機構26と回転モータ29とが回転制御部30aにより回転制御されることにより、第2のミラー27、円錐状ミラー30で反射し、光ディスク原盤3の面に照射されるレーザビームの軌跡は、上記図1に示すように光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧の軌跡となる。
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、上記同様に、この光ディスク原盤3を用いて複製が行われ、最終製品である光ディスクが完成する。
【0046】
一方、かかる装置では、次のような露光、記録ができる。光ディスク原盤3は、固定テーブル23上に載置される。一方、レーザ発振器24からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のミラー25で反射して光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射される。さらに、このレーザビームは、第2のミラー27で45°方向に反射し、円錐上ミラー30に進行し、この円錐上ミラー30で45°方向に反射し、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に照射される。このとき、第2のミラー27は、回転モータ29の駆動により光ディスク原盤3の中心位置を通る垂直ラインを回転軸として一定速度で回転し、これと共に光ディスク原盤3の面から見て上方から下方に向かって所定速度で下降する。
【0047】
従って、この第2のミラー27で反射し、さらに円錐状ミラー30で反射して光ディスク原盤3に照射されるレーザビームは、上記図1に示す光ディスク原盤3の最内周記録半径rの位置から最外周記録半径Rの位置までの全領域に対し、360°の全周に亘ってスキャニングされる。
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、上記同様に、この光ディスク原盤3を用いて複製が行われ、最終製品である光ディスクが完成する。
【0048】
このように上記第3の実施の形態においては、ミラー昇降機構26及び回転モータ29を回転制御して第2のミラー27を回転及び移動し、レーザビームの照射をピット列pに対して平行又は斜め方向の軌跡となるように行うので、トラックピッチむらがなく、情報が高密度に記録でき、かつこの光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。そのうえ、第1及び第2のミラー25、27と円錐状ミラー30を配置し、このうち第2のミラー27を回転させながら昇降させる構成としたので、駆動部分を軽量化でき、かつ光ディスク原盤3を回転させることが不要とすることが可能となり、これによりスピンドルモータを用いたときのような光ディスク原盤3とスピンドルモータとの重心位置ずれによる非同期振れをなくすことができ、かつ光ディスク原盤3とスピンドルモータとのセンタリング機構を不要にできる。
【0049】
又、露光光の軌跡となる円弧の中心Sを光ディスク原盤3の内側に配置されるようにしたので、露光光の経路を短くでき、露光光を照射するときの振れを少なくでき、光ディスク原盤3への高密度の情報記録には最適である。
【0050】
従って、露光・記録処理の行われた光ディスク原盤3は、トラックピッチむらがなく、情報が高密度に記録される。このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0051】
(4)次に本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、図9と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図10は上記光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置の構成図である。第1のミラーとして凹型の第1のトロイダルミラー31が配置されている。この第1のトロイダルミラー31は、それぞれ所定の曲率を持ったミラー面に形成され、短半径側を絞り込むものとなっている。又、第2のミラーとして凹型の第2のトロイダルミラー32が配置されている。この第1のトロイダルミラー32は、それぞれ所定の曲率を持ったミラー面に形成され、短半径側を絞り込むものとなっている。これら第1及び第2のトロイダルミラー31、32は、図11に示すようにレーザ発振器24から出力されたレーザビームのレーザビームスポットを絞り込んで光ディスク原盤3の面に照射するものとなっている。
【0052】
このような構成であれば、光ディスク原盤3に対する露光、記録は、次の通り行われる。光ディスク原盤3は、回転テーブル23上に載置され、所定の速度で回転される。レーザ発振器24からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のトロイダルミラー31で反射して光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射し、続いて第2のトロイダルミラー32で角度45°方向に反射し、さらに円錐状ミラー30で角度45°方向に反射し、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に照射される。
【0053】
このとき、ミラー昇降機構26と回転モータ29とが回転制御部30aにより回転制御されることにより、第2のトロイダルミラー32、円錐状ミラー30で反射し、光ディスク原盤3の面に照射されるレーザビームの軌跡は、上記図1に示すように光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧の軌跡となる。
【0054】
又、第1及び第2のトロイダルミラー31、32でそれぞれ反射するレーザビームは、図11に示すようにそのレーザビームスポットが絞り込まれて光ディスク原盤3の面に照射される。
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、上記同様に、この光ディスク原盤3を用いて複製が行われ、最終製品である光ディスクが完成する。
【0055】
一方、かかる装置では、次のような露光、記録ができる。光ディスク原盤3は、回転テーブル23上に載置される。この場合、回転テーブル23は、回転せずに固定である。レーザ発振器24からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のトロイダルミラー31で反射して光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射し、続いて第2のトロイダルミラー32で角度45°方向に反射し、さらに円錐状ミラー30で角度45°方向に反射し、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に照射される。
【0056】
このとき、第2のトロイダルミラー32は、回転モータ29の駆動により光ディスク原盤3の中心位置を通る垂直ラインを回転軸として一定速度で回転し、これと共に光ディスク原盤3の面から見て上方から下方に向かって所定速度で下降する。これにより、レーザビームの軌跡は、ディスク全面に亘って同心円状或いは螺旋状に描かれる。
【0057】
従って、光ディスク原盤3に照射されるレーザビームは、光ディスク原盤3の最内周記録半径rの位置から最外周記録半径Rの位置までの全領域に対し、360°の全周に亘ってスキャニングされる。
【0058】
又、このとき第1及び第2のトロイダルミラー31、32でそれぞれ反射するレーザビームは、そのレーザビームスポットが絞り込まれて光ディスク原盤3の面に照射される。
【0059】
このように上記第4の実施の形態においては、第1及び第2のトロイダルミラー31、32をそれぞれ所定の曲率を持ったミラー面に形成し、レーザビームのレーザビームスポットを絞り込んで光ディスク原盤3の面に照射するようにしたので、上記第3の実施の形態の効果と同様の効果を奏する他に、光ディスク原盤3への情報の記録をさらに高密度化できる。
このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0060】
(5)次に本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、図9と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図12は上記光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置の構成図である。第1のミラーとして第1の補正付ミラー33が配置されている。この第1の補正付ミラー33は、ミラー面の曲率を変更制御可能に構成してミラー面におけるレンズ作用を補正するものとなっている。又、第2のミラーとして第2の補正付ミラー34が配置されている。この第2の補正付ミラー34は、上記第1の補正付ミラー33と同様に、ミラー面の曲率を変更制御可能に構成してミラー面におけるレンズ作用を補正するものとなっている。
【0061】
これら第1及び第2の補正付ミラー33、34は、図13Aの外観図に示すように切欠きヒンジ35の背面にミラー面33a、34aを設け、かつ図13Bに示すように切欠き側に2つの圧電素子群36、37をそれぞれ間隔の異なる各切欠き端間に設けたものとなっている。なお、各圧電素子群36、37は、それぞれ複数の圧電素子を積層したものとなっている。
【0062】
一方、曲面制御部38は、各圧電素子群36、37に対する各印加電圧をそれぞれ制御し、第1又は第2の補正付ミラー33、34のいずれか一方又は両方のミラー面の曲率を制御し、ミラー面におけるレンズ作用を補正する機能を有している。すなわち、この曲面制御部38は、第2の補正付ミラー34の昇降位置に対応する各圧電素子群36、37への印加電圧をテーブル化して持っており、このテーブルから第2の補正付ミラー34の昇降位置に対応する印加電圧を読み出して各圧電素子群36、37に印加する機能を有している。
【0063】
このような構成であれば、光ディスク原盤3に対する露光、記録は、次の通り行われる。光ディスク原盤3は、回転テーブル23上に載置され、所定の速度で回転される。レーザ発振器24からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1の補正付ミラー33で反射して光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射される。
続いてレーザビームは、第2の補正付ミラー34で角度45°方向に反射し、さらに円錐状ミラー30で45°方向で落射し、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に照射される。
【0064】
このとき、ミラー昇降機構26と回転モータ29とが回転制御部30aにより回転制御されることにより、第2の補正付きミラー34、円錐上ミラー30で反射し、光ディスク原盤3の面に照射されるレーザビームの軌跡は、上記図1に示すように光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧の軌跡となる。
【0065】
又、第1及び第2の補正付ミラー33、34は、曲面制御部38によって第1又は第2の圧電素子群36、37に対する印加電圧が制御され、その各ミラー面33a、34aの短半径側の曲率半径が制御される。すなわち、これら第1及び第2の補正付ミラー33、34の曲率半径は、第2の補正付ミラー34の昇降位置に応じて設定され、これらミラー33、34のレンズ作用を補正する。
従って、光ディスク原盤3に照射されるレーザビームは、光ディスク原盤3上に対する集光特性が最適に設定される。
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、上記同様に、この光ディスク原盤3を用いて複製が行われ、最終製品である光ディスクが完成する。
【0066】
一方、かかる装置では、次のような露光、記録ができる。光ディスク原盤3は、回転テーブル23上に載置される。この場合、回転ミラー23は、回転せずに固定される。レーザ発振器24からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1の補正付ミラー33で反射して光ディスク原盤3の中心位置に向かって落射される。続いてレーザビームは、第2の補正付ミラー34で角度45°方向に反射し、さらに円錐状ミラー30で45°方向で落射し、光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に照射される。
【0067】
このとき、第2の補正付ミラー34は、回転モータ29の駆動により光ディスク原盤3の中心位置を通る垂直ラインを回転軸として一定速度で回転し、これと共に光ディスク原盤3の面から見て例えば上方から下方に向かって所定速度で下降する。
従って、光ディスク原盤3に照射されるレーザビームは、光ディスク原盤3の最内周記録半径rの位置から最外周記録半径Rの位置までの全領域に対し、360°の全周に亘ってスキャニングされる。ここで、第1及び第2の補正付ミラー33、34は、上記同様に、曲面制御部38によって第1又は第2の圧電素子群36、37に対する印加電圧が制御され、その各ミラー面33a、34aの短半径側の曲率半径が制御される。すなわち、これら第1及び第2の補正付ミラー33、34の曲率半径は、第2の補正付ミラー34の昇降位置に応じて設定され、これらミラー33、34のレンズ作用を補正する。
従って、光ディスク原盤3に照射されるレーザビームは、光ディスク原盤3上に対する集光特性が最適に設定される。
【0068】
このように上記第5の実施の形態においては、第1及び第2の補正付ミラー33、34をそれぞれ所定の曲率に制御するようにしたので、上記第2の実施の形態の効果と同様の効果を奏する他に、光ディスク原盤3に対する集光特性を最適に設定でき、光ディスク原盤3への情報の記録をさらに高密度化できる。又、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0069】
(6)次に本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0070】
図14及び図15は上記光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置の構成図であって、図14は上方から見た構成図、図15は側面から見た構成図である。原盤吸着盤40は、上面に載置される光ディスク原盤3を真空吸着し、固定するものである。この原盤吸着盤40の上方には、XY駆動機構41が設けられている。すなわち、2本のX軸ガイド42、43は、光ディスク原盤3の直径よりも長い間隔をおいて互いに平行に配置されている。これらX軸ガイド42、43には、それぞれX軸スライダ44、45が移動自在に設けられている。これらX軸スライダ44、45間には、2本のY軸ガイド46、47が互いに平行に架けられている。なお、X軸ガイド42、43とY軸ガイド46、47とは、互いに垂直な関係にある。
【0071】
これらY軸ガイド46、47には、XYステージ48が移動自在に設けられている。このXYステージ48には、露光用光学ヘッド49が搭載されている。この露光用光学ヘッド49は、対物レンズにフォーカスアクチュエータを備え、常に集光スポットが光ディスク原盤3に対してジャストフォーカスとなるようになっている。
【0072】
この露光用光学ヘッド49にレーザビームを導く光学系は次の通りである。レーザ発振器50は、レーザビームをX軸方向に出力するように配置されている。このレーザ発振器50から出力されるレーザビーム光路上であるX軸スライダ45上には、45°ミラー51が配置されている。この45°ミラー51は、レーザ発振器50から出力されるレーザビームをY軸方向に反射するものとなっている。又、この反射レーザビーム光路上であるXYステージ48上には、落射用の45°ミラー52が配置されている。この落射用の45°ミラー52は、レーザビームを露光用光学ヘッド49に向かって落射するものとなっている。
【0073】
一方、駆動制御部53は、X軸スライダ44、45及びXYステージ48に対して駆動制御信号を発し、XYステージ48をXY座標の管理によって駆動して露光用光学ヘッド49を光ディスク原盤3の上方において走査し、例えば光ディスク原盤3の面に照射するレーザビームの軌跡を、上記図1に示すように光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧の軌跡となるように駆動制御する機能を有している。
【0074】
次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。
光ディスク製造において、先ずガラス原板に対して感光材料であるフォトレジストが塗布され、これを光ディスク原盤3とする。次にこの光ディスク原盤3をレーザビームにより露光し、記録すべき情報を凹形状として加工し、これをピット信号として記録する。すなわち、光ディスク原盤3に対する露光、記録は、次の通り行われる。
【0075】
駆動制御部53は、光ディスク原盤3に記録すべき各記録ピットの位置をXY座標に換算し、このXY座標に従ってXYステージ48を移動させる。XYステージ48は、駆動制御信号に従って駆動されるX軸ガイド42、43、Y軸ガイド46、47によって移動し、これによって露光用光学ヘッド49を、各記録ピットを記録すべき光ディスク原盤3の上方に連続的に位置決めする。或いは連続的に送り制御を行う。すなわち、光ディスク原盤を回転させているときは、露光用光学ヘッド49は、上記図1に示すように光ディスク原盤3における最内側のピット列pに対して点Bで接すると共に最外側のピット列pに対して点Aで接し、かつ中心Sとする円弧のレーザビームの軌跡となるように連続的に位置決め或いは送り制御される。
【0076】
この露光用光学ヘッド49が、各記録位置に対応して位置決めされたとき、レーザ発振器50からレーザビームが出力される。このレーザビームは、45°ミラー51でY軸方向に反射し、次に落射用の45°ミラー52で露光用光学ヘッド49に向かって落射される。この露光用光学ヘッド49は、光ディスク原盤3に対してジャストフォーカスでレーザビームの集光スポットを照射する。従って、露光用光学ヘッド49が、XYステージ48の移動により、光ディスク原盤3の全ての記録すべき記録ピットの上方に位置決めされるので、光ディスク原盤3の全周に亘って情報が記録される。
【0077】
一方、光ディスク原盤3が固定テーブルに載置されている場合には、レーザビームの軌跡を所望のピット列に対して沿うように同心円状或いは螺旋状に描くようXYステージ48を移動させる。或いはある一辺から対向する辺に向かって原盤全面をラスタスキャンさせていく方法でも露光を実施することが可能である。
【0078】
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、この後、光ディスク原盤3から情報が写しとられ、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパが作成される。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクが完成する。
【0079】
このように上記第6の実施の形態においては、露光用光学ヘッド49をXY座標で位置決め・管理して、連続的に位置決め或いは送り制御するので、上記第2の実施の形態の効果と同様に、光ディスク原盤3への情報の記録を高密度化にでき、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0080】
(7)次に本発明の第7の実施の形態について説明する。
図16は上記光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置を示す構成図である。定盤60には、回転機構としてのスピンドルモータ61が設けられている。このスピンドルモータ61の回転軸には、ターンテーブル62が取り付けられている。このターンテーブル62は、吸着面が形成され、載置される光ディスク原盤3を真空吸着し固定するものとなっている。
【0081】
一方、定盤60の上方には、ベース板63が設けられている。このベース板63の上面には、露光光であるレーザビームを出力するレーザ発振器64が設けられている。このレーザ発振器64から出力されるレーザビーム光路上には、第1のミラー65が設けられ、レーザビームを光ディスク原盤3の面に対して垂直方向に落射するものとなっている。なお、この第1のミラー65は、レーザビーム光路に対して角度45°で配置されている。又、ベース板63の下面には、第1のミラー65で反射するレーザビーム光路を回転軸として中空モータ66が取り付けられている。
【0082】
この中空モータ66は、円弧移動手段としての機能を有するもので、第1のミラー65で反射したレーザビームを通過させる中空部分67が形成され、かつその円周部分の回転体68が回転軸を中心として回転するものとなっている。この中空モータ66の下面には、露光用光学ヘッド69が設けられている。
【0083】
この露光用光学ヘッド69は、第2のミラー70、第3のミラー71及び対物レンズ72から構成されている。このうち第2のミラー70は、ミラー面を光ディスク原盤3の面に対して角度45°に配置したもので、第1のミラー65により反射したレーザビームをディスクに対して水平の方向に反射するものである。第3のミラー71は、第2のミラー70に対して光ディスク原盤3における最外周記録半径Rと最内周記録半径rとの合計距離の2分の1の間隔をおいて配置されている。又、この第3のミラー71は、ミラー面を光ディスク原盤3の面に対して角度45°に配置したもので、第2のミラー70により反射したレーザビームを光ディスク原盤3に向かって落射するものである。
【0084】
対物レンズ72は、第3のミラー71の反射レーザビームの光路上に配置され、かつフォーカスアクチュエータを備え、光ディスク原盤3に対してレーザビームを常にジャストフォーカスの集光スポットとして光ディスク原盤3に照射するものである。ここで、中空モータ66が回転した場合、露光用光学ヘッド69では、第2のミラー70が中空モータ66の回転軸を中心として回転し、これと共に第2のミラー71及び対物レンズ72が一体となって第2のミラー70を中心とする円弧上に移動するものとなる。すなわち、露光用光学ヘッド69の対物レンズ72は、上記図1に示すように最外周記録半径Rに内接するとともに最内周記録半径rに外接する駆動軌跡F上に移動するものとなる。
【0085】
次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。
光ディスク製造において、先ずガラス原板に対して感光材料であるフォトレジストが塗布され、これを光ディスク原盤3とする。次にこの光ディスク原盤3をレーザビームにより露光し、記録すべき情報を凹形状として加工し、これをピット信号として記録する。すなわち、光ディスク原盤3に対する露光、記録は、次の通り行われる。スピンドルモータ61が一定の回転速度で回転すると、これに応動してターンテーブル62は一定の回転速度で回転し、これに吸着固定されている光ディスク原盤3も一定の回転速度で回転する。
【0086】
一方、レーザ発振器64からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のミラー65で落射し、中空モータ66の中空部分67を通って露光用光学ヘッド69の第2のミラー70に到達する。そして、レーザビームは、第2のミラー70でディスク原盤に対して平行な方向に反射し、さらに第3のミラー71で落射し、対物レンズ72でジャストフォーカスの集光スポットとして光ディスク原盤3に照射される。
【0087】
このとき、中空モータ66は、所定の速度で回転駆動する。この中空モータ66の回転駆動により、第2のミラー71及び対物レンズ72は、一体的に第2のミラー70を中心として円弧上に移動する。すなわち、露光用光学ヘッド69の対物レンズ72は、上記図1に示すように最外周記録半径Rに内接するとともに最内周記録半径rに外接する駆動軌跡F上に従って移動する。この駆動軌跡Fは、例えば(R+r)を直径とする円弧となる。
【0088】
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、光ディスク原盤3から情報が写しとられ、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパが作成される。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクが完成する。
【0089】
このように上記第7の実施の形態によれば、トラック方向に対して見掛上、高い分解能(誤差を1/3.14に縮小)を得ることができ、光ディスク原盤3に対して情報記録時の高分解能化を実現して高密度記録ができる。又、レーザビームの軌跡となる円弧の中心Sを光ディスク原盤3の内側に配置されるようにしたので、第2のミラー70と第3のミラー71との間隔を短くしてレーザビームを照射するときの振れを少なくでき、光ディスク原盤3への高密度の情報記録には最適である。又、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0090】
(8)次に本発明の第8の実施の形態について説明する。なお、図16と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図17は光ディスク原盤露光方法を適用した光ディスク原盤露光装置の構成図である。定盤60上には、2枚のベース板80、81がそれぞれ所定間隔をおいて支持部材82、83によって支持されている。このうち上段のベース板80上には、レーザ発振器84が設けられ、このレーザ発振器84から出力されるレーザビーム光路上に第1のミラー85が配置されている。又、下段のベース板81上には、モータ86が設けられ、このモータ86の回転軸に露光用光学ヘッド87が連結されている。この露光用光学ヘッド87は、第2のミラー88、第3のミラー89及び対物レンズ90から構成されている。
【0091】
このうち第2のミラー88は、ミラー面を光ディスク原盤3の面に対して角度45°に配置したもので、第1のミラー85により反射したレーザビームをディスク原盤に対して平行な方向に反射するものである。第3のミラー89は、第2のミラー88に対して光ディスク原盤3における最外周記録半径Rと最内周記録半径rとの合計距離の2分の1の間隔をおいて配置されている。又、この第3のミラー89は、ミラー面を光ディスク原盤3の面に対して角度45°に配置したもので、第2のミラー88により反射したレーザビームを光ディスク原盤3に向かって落射するものである。
【0092】
対物レンズ90は、第3のミラー89の反射レーザビームの光路上に配置され、かつフォーカスアクチュエータを備え、光ディスク原盤3に対してレーザビームを常にジャストフォーカスの集光スポットとして光ディスク原盤3に照射するものである。ここで、モータ86が回転した場合、露光用光学ヘッド87では、第2のミラー88がモータ86の回転軸を中心として回転し、これと共に第2のミラー88及び対物レンズ90が一体となって第2のミラー88を中心とする円弧上に移動するものとなる。すなわち、露光用光学ヘッド87の対物レンズ90は、上記図1に示すように最外周記録半径Rに内接するとともに最内周記録半径rに外接する駆動軌跡F上に移動するものとなる。
【0093】
次に上記の如く構成された装置の作用について説明する。
光ディスク製造において、スピンドルモータ61が一定の回転速度で回転すると、これに応動してターンテーブル62は一定の回転速度で回転し、これに吸着固定されている光ディスク原盤3も一定の回転速度で回転する。
一方、レーザ発振器84からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のミラー85で落射し、露光用光学ヘッド87の第2のミラー88に到達する。そして、レーザビームは、第2のミラー88で角度45°方向に反射し、さらに第3のミラー89で落射し、対物レンズ90でジャストフォーカスの集光スポットとして光ディスク原盤3に照射される。
【0094】
このとき、モータ86は、所定の速度で回転駆動するので、第3のミラー89及び対物レンズ90は、一体的に第2のミラー88を中心として円弧上に移動する。すなわち、露光用光学ヘッド87の対物レンズ90は、上記図1に示すように最外周記録半径Rに内接するとともに最内周記録半径rに外接する駆動軌跡F上に従って移動する。この駆動軌跡Fは、(R+r)を直径とする円弧となる。
【0095】
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、光ディスク原盤3から情報が写しとられ、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパが作成される。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクが完成する。
【0096】
このように上記第8の実施の形態によれば、上記第7の実施の形態と同様に、トラック方向に対して見掛上、高い分解能(誤差を1/3.14に縮小)を得ることができ、光ディスク原盤3に対して情報記録時の高分解能化を実現して高密度記録ができる。又、レーザビームの軌跡となる円弧の中心Sを光ディスク原盤3の内側に配置されるようにしたので、第2のミラー88と第3のミラー89との間隔を短くしてレーザビームを照射するときの振れを少なくでき、光ディスク原盤3への高密度の情報記録には最適である。又、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0097】
なお、上記第7及び第8の実施の形態は、次の通りに変形してもよい。
例えば、これら第7及び第8の実施の形態は、露光用光学ヘッド69、87を回転させて各対物レンズ72、90をそれぞれ上記図1に示すように最外周記録半径Rに内接するとともに最内周記録半径rに外接する駆動軌跡F上に移動しているが、露光用光学ヘッド69、87を固定し、スピンドルモータ61側を回転させて光ディスク原盤3上のレーザビームの軌跡が図1に示す駆動軌跡Fとなるようにしてもよく、このように構成しても上記第7及び第8の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0098】
(9)次に本発明の第9の実施の形態について説明する。
図18は光ディスク原盤露光装置に用いる光ディスク原盤3を載置する回転テーブル23等のターンテーブル周りを示す図である。なお、ここでは、上記第7及び第8の実施の形態に適用した場合について説明する。スピンドルモータ61の回転軸には、ターンテーブル91が連結されている。このターンテーブル91は、光ディスク原盤3における最内周記録半径r内の領域よりも小さい領域で光ディスク原盤3を吸着する吸着機構92の溝を備えている。
【0099】
又、光ディスク原盤3のレーザビームの照射される面側とは反対の面側の下方には、露光光センサとしてのイメージセンサ93が設けられている。このイメージセンサ93は、複数の受光素子を羅列したもので、例えば図19に示すように露光用光学ヘッド69、87の対物レンズの駆動軌跡Fに対応する円弧形状に形成されている。このイメージセンサ93は、光ディスク原盤3を透過するレーザビームを受光し、その受光位置に応じた受光信号を出力するものである。
【0100】
フィードバック制御部94は、イメージセンサ93から出力された受光信号を入力し、この受光信号から光ディスク原盤3に照射されたレーザビームの集光スポット位置を検出し、この集光スポット位置とスポット設定位置との差を求め、この差が無くなるように露光用光学ヘッド69、87を位置決めする機能を有している。なお、フィードバック制御部94は、露光用光学ヘッド69、87を駆動軌跡Fに従って移動しているとき、基準クロックをカウントし、このカウント値に対応するスポット設定位置が予め設定されている。
【0101】
このような構成であれば、上記第7及び第8の実施の形態の作用に加えて次の作用がある。すなわち、光ディスク原盤3を吸着する吸着機構92は、光ディスク原盤3の最内周記録半径r内の領域よりも狭い領域において光ディスク原盤3を吸着し、かつ光ディスク原盤3の記録領域に対応する光ディスク原盤3の下面には空間が形成されているので、光ディスク原盤3に対する露光・記録時のレーザビームは、光ディスク原盤3を透過しても、これが反射して再び光ディスク原盤3に戻ることはない。
【0102】
従って、光ディスク原盤3に対する露光・記録時の露光むらは完全に回避できる。
【0103】
又、光ディスク原盤3を透過したレーザビームは、図20に示すように広がり角を持ってイメージセンサ93に入射する。このイメージセンサ93は、光ディスク原盤3を透過する広がり角を持ったレーザビームを複数の受光素子で受光し、その受光位置に応じた受光信号を出力する。
【0104】
フィードバック制御部94は、イメージセンサ93から出力された受光信号を入力し、この受光信号と予め設定された基準レベルaとを比較し、この基準レベルa以上となった受光信号の中間位置(2b/2)をレーザビームの集光スポット位置として推定する。そして、フィードバック制御部94は、この集光スポット位置とスポット設定位置との差を求め、この差が無くなるように露光用光学ヘッド69、87を位置決めする。
【0105】
このように上記第9の実施の形態であれば、上記第7及び第8の実施の形態の効果に加えて、光ディスク原盤3の露光むらを回避でき、かつ露光用光学ヘッド69、87を位置決めしてレーザビーム集光スポット位置を所定の位置に制御でき、さらに情報記録の高密度化を図ることができる。又、このような光ディスク原盤3を用いて複製された光ディスクであれば、高密度に情報が記録されたものとなる。
【0106】
(10)次に本発明の第10の実施の形態について説明する。
この本発明の第10の実施の形態は、光ディスク原盤の吸着方法を改良した光ディスク原盤露光方法である。この光ディスク原盤露光方法は、ターンテーブル上に光ディスク原盤3を載置するときにターンテーブルの吸着面を大気圧状態にする第1の工程と、この第1の工程の後、ターンテーブルの吸着面と光ディスク原盤3との間を正圧状態にする第2の工程と、この第2の工程の後、ターンテーブルの吸着面と光ディスク原盤3との間を複数段階の真空度で所定の真空状態に到達する第3の工程とを有し、この第3の工程の後,光ディスク原盤3にレーザビームを照射して情報記録を行うものである。
【0107】
図21はかかる光ディスク原盤の吸着方法を適用した光ディスク原盤露光装置の吸着機構の構成図である。スピンドルモータ100の回転軸には、ターンテーブル101が連結され、このターンテーブル101上に光ディスク原盤3が吸着・固定される。このターンテーブル101は、その吸着面溝102が図22に示すように光ディスク原盤3の露光領域に対応する部分に凸部、又は図23に示すように溝(凹部)のみ形成されたものとなっている。このターンテーブル101の吸着溝には、配管を介して直列に2段の電磁空気弁、すなわち第1段目の電磁空気弁(以下、第1の電磁空気弁と称する)103、第2段目の電磁空気弁(以下、第2の電磁空気弁と称する)104が配管を通して接続されている。
【0108】
これら第1及び第2の電磁空気弁103、104は、それそれ3つの弁口R、A、Pを有するもので、このうち弁口A、Rを通して直列接続されている。そして、後段の第2の電磁空気弁104の弁口Rには、配管を通して真空ポンプ105が接続されている。又、第1の電磁空気弁103の弁口Pには、第1のレギュレータ106を介して圧縮空気源107が配管を通して接続され、第2の電磁空気弁104の弁口Pには、電磁弁付エジェクタ108、第2のレギュレータ109を介して上記圧縮空気源107が配管を通して接続されている。
【0109】
しかるに、第1の電磁空気弁103は、ターンテーブル101の吸着面側の弁口Aに対して圧縮空気源107側の弁口P又は第2の電磁空気弁104側の弁口Rとを選択して切り替えるものとなっている。又、第2の電磁空気弁104は、第1の電磁空気弁103側の吸着面側の弁口Aに対して圧縮空気源107側の弁口P又は真空ポンプ105側の弁口Rとを選択して切り替えるものとなっている。
【0110】
圧力制御装置110は、第1及び第2の電磁空気弁103、104、電磁弁付エジェクタ108を動作制御し、ターンテーブル101の吸着面を大気圧状態にし、次にターンテーブル101の吸着面と光ディスク原盤3との間を正圧状態にし、この後、ターンテーブル101の吸着面と光ディスク原盤3との間を複数段階の真空度、例えば(大気圧−100mmHg)〜(大気圧−200mmHg)の低い真空度、次に(大気圧−700mmHg)以下の高い真空度に到達させる機能を有している。
【0111】
次に上記の如く構成された装置の作用について上記第7の実施の形態の光ディスク原盤露光装置におけるターンテーブルに適用した場合について説明する。
光ディスク製造において、先ずガラス原板に対して感光材料であるフォトレジストが塗布され、これを光ディスク原盤3とする。この光ディスク原盤3は、ターンテーブル101(第7の実施の形態ではターンテーブル62)に吸着され、固定される。すなわち、第1の工程として、圧力制御装置110は、第1の電磁空気弁103を第2の電磁空気弁104側(弁口A→R)に開放する。そして、電磁弁付エジェクタ108には、第2のレギュレータ109を閉じて圧縮空気源107からの圧縮空気の供給をしゃ断する。このとき電磁弁付エジェクタ108は、大気圧側に開放されている。これにより、ターンテーブル101の吸着面は、大気圧状態に形成される。この大気圧状態にあるターンテーブル101の吸着面に対して光ディスク原盤3が載置される。
【0112】
第2の工程において、ターンテーブル101に対して光ディスク原盤3をセンタリング、すなわちターンテーブル101の回転中心に対して光ディスク原盤3の中心位置とを位置決めするとき、圧力制御装置110は、第1の電磁空気弁103を圧縮空気源107側(弁口P)に開放する。なお、電磁弁付エジェクタ108は、いかなる状態でもよい。この第1の電磁空気弁103の弁口P側の開放により圧縮空気源107からの圧縮空気が、第1のレギュレータ106、第1の電磁空気弁103を通ってターンテーブル101の吸着面に供給される。このとき、ターンテーブル101の吸着面に供給される圧縮空気は、他の機器の状態に一切かかわらず供給される。又、このターンテーブル101に供給される圧縮空気の供給圧力は、第1のレギュレータ106により調圧され、例えば大気圧に対して最大でも+1kgf/cm2程度とわずかに正圧に設定される。これにより、光ディスク原盤3とターンテーブル101との間は、正圧(陽圧)に設定される。
【0113】
しかるに、この光ディスク原盤3とターンテーブル101との間の正圧の状態に、ターンテーブル101に対して光ディスク原盤3がセンタリング機構によりセンタリングされる。
【0114】
この後、第3の工程において、圧力制御装置110は、第1の電磁空気弁103を第2の電磁空気弁104側(弁口A→R)に開放し、かつ第2の電磁空気弁104を電磁弁付エジェクタ108側(弁口A→P)に開放する。そして、電磁弁付エジェクタ108には、第2のレギュレータ109を通して圧縮空気源107からの圧縮空気を供給して真空状態を形成する。このとき、電磁弁付エジェクタ108への供給圧力は、第2のレギュレータ109により調圧され、上記センタリング後の吸着のとき位置ずれがないように電磁弁付エジェクタ108の到達真空度が低い真空度、例えば(大気圧−100mmHg)〜(大気圧−200mmHg)に設定される。これにより、光ディスク原盤3は、ターンテーブル101に対して上記低い真空度により吸着される、いわゆる軽く吸着される。
【0115】
次に圧力制御装置110は、第1の電磁空気弁103を第2の電磁空気弁104側(弁口A→R)に開放し、かつ第2の電磁空気弁104を真空ポンプ105側(弁口A→R)に開放する。このとき電磁弁付エジェクタ108は、いかなる状態でもよい。これにより、ターンテーブル101の吸着面は、第1及び第2の電磁空気弁103、104を通して真空ポンプ105により吸引され、光ディスク原盤3を吸着・固定する。このとき、ターンテーブル101の吸着面における到達真空度は、例えば(大気圧−700mmHg)以下の高い真空度に設定される。
【0116】
このように光ディスク原盤3がターンテーブル101に吸着・固定されると、上記第7の実施の形態の光ディスク原盤露光装置であれば、スピンドルモータ61が一定の回転速度で回転し、これに応動してターンテーブル62は一定の回転速度で回転し、これに吸着固定されている光ディスク原盤3も一定の回転速度で回転する。
【0117】
一方、レーザ発振器64からレーザビームが出力されると、このレーザビームは、第1のミラー65で落射し、回転する中空モータ66の中空部分67を通って露光用光学ヘッド69の第2のミラー70に到達する。そして、レーザビームは、第2のミラー70で反射し、さらに第3のミラー71で落射し、対物レンズ72でジャストフォーカスの集光スポットとして光ディスク原盤3に照射される。
【0118】
このとき、中空モータ66は、所定の速度で回転駆動しているので、露光用光学ヘッド69の対物レンズ72は、図1に示す駆動軌跡Fの円弧上に沿って移動する。
【0119】
これにより光ディスク原盤3には、レーザビームが露光され、記録すべき情報を凹形状として加工し、これをピット信号として記録される。
【0120】
ところで、光ディスク原盤3に照射されたレーザビームは、光ディスク原盤3を透過してターンテーブル101に到達するが、ターンテーブル101の吸着面は、図22に示すように光ディスク原盤3の露光領域に対応する部分に凸部、又は図23に示すように溝(凹部)のみが形成されているので、ターンテーブル101からの反射レーザビームの影響を受けての露光むらは低減される。
【0121】
このようにして光ディスク原盤3に対する露光・記録が終了すると、光ディスク原盤3から情報が写しとられ、これを原盤として光ディスクの複製を行うに必要な金属スタンパが作成される。そして、この金属スタンパを用いて複製を行い、最終製品である光ディスクが完成する。
【0122】
このように上記第10の実施の形態においては、ターンテーブル101上に光ディスク原盤3を載置するときにターンテーブル101の吸着面を大気圧状態にし、次にターンテーブル101の吸着面と光ディスク原盤3との間を正圧状態にし、次にターンテーブル101の吸着面と光ディスク原盤3との間を低い真空度、高い真空度の2段階の真空度で光ディスク原盤3を吸着・固定するようにしたので、すなわち、真空状態にアンバランスが生じないようにターンテーブル101の吸着面を段階的、又は連続的に大気圧から高真空に移行させるので、光ディスク原盤3をターンテーブル101に事前にセンタリングして吸着・固定してもこのセンタリングがずれることなく光ディスク原盤を吸着できる。
【0123】
又、光ディスク原盤3の露光領域に対応するターンテーブル101の吸着面を凸部、又は溝(凹部)のみに形成したので、ターンテーブル101からの反射レーザビームの影響を受けての露光むらは低減できる。
【0124】
なお、上記第10の実施の形態は、次の通りに変形しても良い。例えば、2つの真空発生装置である真空ポンプ105、電磁弁付エジェクタ108を使用するに限らず、1つの真空発生装置を使用し、供給圧力を電気的に変換できる電気−空気レギュレータによって到達真空度を制御し、連続的に到達真空度を高めて吸着してもよい。
又、2段の電磁空気弁を直列接続するに限らず、複数の電磁空気弁を接続して複数段階で到達真空度を調整するようにしてもよい。
【0125】
又、上記第10の実施の形態は、上記第7の実施の形態の光ディスク原盤露光装置におけるターンテーブルに適用した場合について説明したが、上記第8の実施の形態の光ディスク原盤露光装置におけるターンテーブルに適用することもできる。
【0126】
以上の説明のように、本発明の光ディスク原盤露光方法及びその装置を用いることにより、駆動方式に関わらず、使用するレーザ干渉計やエンコーダの限界を大きく上回る分解能の露光を行うことが出来るので、将来の光ディスクの大容量化に貢献することが可能となる。
【0127】
又、本発明の光ディスクは、高密度の記録が高精度で行えるために、光ディスク内の情報が高密度化した場合にエラーやジッタが少ない高品質の信号を提供することが可能となる。
【0128】
産業上の利用可能性
以上に記載したように、本発明にかかる光ディスク原盤露光方法及び露光装置は、CD/DVDのみならず、今後の高記録密度化された光ディスクの原盤を作成する上で、有用な技術であり、特に装置を安価に構成したい場合に適している。又、本発明にかかる光ディスクは、今後のマルチメディア文化の発展に伴う情報量の増大に対して、コンパクトな記録媒体を安価に提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明に係わる光ディスク原盤露光方法の第1の実施の形態を示す図。
【図2A】同露光方法によるトラック上の露光光の軌跡を示す図。
【図2B】同露光方法によるトラック上の露光光の軌跡を示す図。
【図3】走査角度に対するトラックピッチと交差する角度を示す図。
【図4】走査角度を示す図。
【図5】走査角度に対する従来技術の感度との比較を示す図。
【図6】露光光の軌跡の変形例を示す図。
【図7】露光光の軌跡の変形例を示す図。
【図8】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第2の実施の形態を示す構成図。
【図9】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第3の実施の形態を示す構成図。
【図10】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第4の実施の形態を示す構成図。
【図11】トロイダルミラーによるレーザビームスポットの絞り込みを示す図。
【図12】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第5の実施の形態を示す構成図。
【図13A】補正付ミラーの具体的な構成図。
【図13B】補正付ミラーの圧電素子群を設けた具体的な構成図。
【図14】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第6の実施の形態を示す上方から見た構成図。
【図15】同光ディスク原盤露光装置の側面から見た構成図。
【図16】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第7の実施の形態を示す構成図。
【図17】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の第8の実施の形態を示す構成図。
【図18】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置のターンテーブルの第9の実施の形態を示す構成図。
【図19】イメージセンサの配置状態を示す外観図。
【図20】イメージセンサの受光作用を示す図。
【図21】本発明に係わる光ディスク原盤露光装置の吸着機構の第10の実施の形態を示す構成図。
【図22】ターンテーブルの吸着面溝形状を示す図。
【図23】ターンテーブルの吸着面溝形状を示す図。
【図24】従来の光ディスク原盤露光装置の構成図。
【図25】従来の露光用光学ヘッドの駆動軌跡を示す図。
【符号の説明】
【0130】
3:光ディスク原盤、10:定盤、11:第1のモータ、12:ターンテーブル、11a:回転軸、13:固定部材、14:第2のモータ、15:ターンテーブル、19a:バランサ、19b:レンズマウント、19c:結像レンズ、16:支持アーム、17:レーザ発振器、18:ミラー、20:定盤、21:支持体、22:ベース板、23:回転テーブル、24:レーザ発振器、24a:光学系、25:第1のミラー、26:ミラー昇降機構、27:第2のミラー、28:ガイド体、29:回転モータ、30:円錐状ミラー、30a:回転制御部、31:第1のトロイダルミラー、32:第2のトロイダルミラー、33:第1の補正付ミラー、34:第2の補正付ミラー、35:切欠きヒンジ、33a,34a:ミラー面、36,37:圧電素子群、38:曲面制御部、40:原盤吸着盤、41:XY駆動機構、42,43:X軸ガイド、44,45:X軸スライダ、46,47:Y軸ガイド、48:XYステージ、49:露光用光学ヘッド、50:レーザ発振器、51:45°ミラー、52:45°ミラー、60:定盤、61:スピンドルモータ、62:ターンテーブル、63:ベース板、64:レーザ発振器、65:第1のミラー、66:中空モータ、67:中空部分、68:回転体、69:露光用光学ヘッド、70:第2のミラー、71:第3のミラー、72:対物レンズ、80,81:ベース板、82,83:支持部材、84:レーザ発振器、85:第1のミラー、86:モータ、87:露光用光学ヘッド、88:第2のミラー、89:第3のミラー、90:対物レンズ、91:ターンテーブル、92:吸着機構、93:イメージセンサ、94:フィードバック制御部、100:スピンドルモータ、101:ターンテーブル、102:吸着面溝、103:第1の電磁空気弁、104:第2の電磁空気弁、105:真空ポンプ、106:第1のレギュレータ、107:圧縮空気源、108:電磁弁付エジェクタ、109:第2のレギュレータ、110:圧力制御装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク原盤上に照射して螺旋状又は同心円状のピット列を形成する露光光を出力する光源と、
前記光ディスク原盤と前記露光光とをそれぞれ相対的に回転移動させ、前記光ディスク原盤に照射される前記露光光の軌跡を円弧とする回転機構と、
を具備したことを特徴とする光ディスク原盤露光装置。
【請求項2】
前記回転機構は、前記光ディスク原盤を揺動させ、前記光ディスク原盤上における前記露光光の照射の軌跡を円弧にすることを特徴とする請求項1記載の光ディスク原盤露光装置。
【請求項3】
前記回転機構は、前記露光光を円弧状に移動して前記光ディスク原盤上に照射することを特徴とする請求項1記載の光ディスク原盤露光装置。
【請求項4】
前記露光光を出射する露光用光学ヘッドを有し、
前記回転機構は、前記露光用光学ヘッドを円弧状に移動するXYステージを有する、
ことを特徴とする請求項1記載の光ディスク原盤露光装置。
【請求項5】
前記回転機構は、前記光ディスク原盤を回転させる第1の回転機構と、前記第1の回転機構の回転軸からずれて設けられ、前記露光光又は前記光ディスク原盤を回転させる第2の回転機構とを有することを特徴とする請求項1記載の光ディスク原盤露光装置。
【請求項1】
光ディスク原盤上に照射して螺旋状又は同心円状のピット列を形成する露光光を出力する光源と、
前記光ディスク原盤と前記露光光とをそれぞれ相対的に回転移動させ、前記光ディスク原盤に照射される前記露光光の軌跡を円弧とする回転機構と、
を具備したことを特徴とする光ディスク原盤露光装置。
【請求項2】
前記回転機構は、前記光ディスク原盤を揺動させ、前記光ディスク原盤上における前記露光光の照射の軌跡を円弧にすることを特徴とする請求項1記載の光ディスク原盤露光装置。
【請求項3】
前記回転機構は、前記露光光を円弧状に移動して前記光ディスク原盤上に照射することを特徴とする請求項1記載の光ディスク原盤露光装置。
【請求項4】
前記露光光を出射する露光用光学ヘッドを有し、
前記回転機構は、前記露光用光学ヘッドを円弧状に移動するXYステージを有する、
ことを特徴とする請求項1記載の光ディスク原盤露光装置。
【請求項5】
前記回転機構は、前記光ディスク原盤を回転させる第1の回転機構と、前記第1の回転機構の回転軸からずれて設けられ、前記露光光又は前記光ディスク原盤を回転させる第2の回転機構とを有することを特徴とする請求項1記載の光ディスク原盤露光装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2006−172713(P2006−172713A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21310(P2006−21310)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【分割の表示】特願平9−512595の分割
【原出願日】平成8年9月19日(1996.9.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【分割の表示】特願平9−512595の分割
【原出願日】平成8年9月19日(1996.9.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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