説明

光ディスク用紫外線硬化型組成物および光ディスク

【課題】 高い弾性率を有し、かつ光透過層を形成する際に反りが生じにくく、また高温高湿耐久環境下でも反りを生じにくい光透過層を形成可能な光ディスク用紫外線硬化型組成物を提供する。
【解決手段】 基板上に、少なくとも光反射層と、紫外線硬化型組成物の硬化物からなる光透過層とが積層され、光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の再生を行う光ディスクであって、紫外線硬化型組成物が、一分子中に少なくとも二個のイソシアネート基又は少なくとも一個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)と、ヒドロキシモノ(メタ)アクリレート(b)からなるウレタン(メタ)アクリレート(X)を含有し、紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物中のウレタン(メタ)アクリレート(X)の含有量が40質量%以上である紫外線硬化型組成物により、弾性率が大きく、且つ反りが少ない硬化被膜を形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも光反射層と光透過層とが形成され、前記光透過層を通して370nm〜430nmの範囲内に発振波長を有する半導体レーザー(以下ブルーレーザーと称す)により記録又は再生を行う光ディスクの光透過層に適した紫外線硬化型組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報技術の発展により大容量の情報記録の伝達が可能になった。これに伴い、大容量となる映像、音楽、コンピューターデータ等を記録及び再生出来る高密度大容量の光ディスクが要求されている。
【0003】
高密度記録媒体として伸長を見せているDVD(Digital Versatile Disc)は厚さ0.6mmの2枚の基板を接着剤で貼り合わせた構造を有している。DVDにおいては高密度化を達成するため、CD(Compact Disc)に比べ短波長の650nmのレーザーを用い、光学系も高開口数化している。
【0004】
しかし、HDTV(high definition television)に対応した高画質の映像等を記録または再生する為には更なる高密度化が必要となる。DVDの次世代に位置する更なる高密度記録の方法及びその光ディスクの検討が行われており、DVDよりも更に短波長のブルーレーザー及び高開口数の光学系を用いる新しい光ディスク構造による高密度記録方式が提案されている。
【0005】
この新しい光ディスクはポリカーボネート等のプラスチックで形成される透明又は不透明の基板上に記録層を形成し、次いで記録層上に約100μmの光透過層を積層し、該光透過層を通して記録光又は再生光が、あるいはその両方が入射する構造の光ディスクである。当該構成の光ディスクにおいては、光透過層が約100μmの厚膜であり、また記録再生に使用するレーザー波長も短波長であるため、従来型のDVD等に比して変形や劣化の問題が顕著に生じる。
【0006】
このような、ブルーレーザーにより記録又は再生を行う光ディスクとして、円形基板上に情報記録層及び光反射層を形成し、更に紫外線硬化型樹脂を塗布し、硬化させて光透過層を積層した光ディスクが提案されている。該技術では、光透過層形成材料としてカチオン重合性紫外線硬化型組成物が使用されている(特許文献1及び特許文献2参照)。しかしながら、カチオン重合性紫外線硬化型組成物は、紫外線照射により光反射層を腐食させやすいルイス酸を発生するため、光ディスクを長期間保存する場合の安定性が得られ難い欠点がある。光反射膜に用いる材料としては、400nm前後で高い反射率が求められることから、銀又は銀を主成分とする合金が使用されている。銀又は銀を主成分とする合金は化学物質による腐食等の化学変化を起こしやすいため、光反射層を形成する材料として銀又は銀を主成分とする合金を用いた場合、これに接する光透過層用の材料としてカチオン重合性紫外線硬化型組成物を用いることは好ましくない。
【0007】
ラジカル重合系のアクリレートを使用した光ディスク用樹脂組成物としては、例えば、ビスフェノールA型のエポキシアクリレートを使用した組成物が開示されている(特許文献3参照)。しかし、ここで開示されている一般的なビスフェノールA型のエポキシアクリレートを含有する組成物は、高い弾性率を得ることができるが、厚膜の光透過層を形成すると、反りが非常に大きくなる欠点があった。
【0008】
レーザー照射時の加熱によっても変形が生じにくくエラー発生の少ない光ディスクを形成可能な光ディスク用紫外線硬化型組成物として、多環式の(メタ)アクリレート化合物とイソシアヌレート構造を有する化合物とを使用した紫外線硬化型組成物が開示されている(特許文献4参照)。当該組成物は剛直な環状構造を有するモノマーを使用しているため弾性率を高く設計できるが、当該硬化膜も厚膜の光透過層を形成すると、反りが大きくなる欠点があった。
【0009】
また、光ファイバーの被覆に用いられる紫外線硬化型組成物として、2−ヒドロキシプロピルアクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートとからなるラジカル重合性オリゴマーを含有する組成物が開示されている(特許文献5参照)。当該組成物は、光ファイバー用途において優れた引き抜き性や表面活性を有する光ファイバー被覆層を実現できるものであるが、当該文献において開示された組成物を単に適用しても上記構成の光ディスクの光透過層用途として充分な硬さの硬化被膜が得られなかった。
【0010】
【特許文献1】特開平11−191240号公報
【特許文献2】特開2002−92948号公報
【特許文献3】特開平11−302309号公報
【特許文献4】特開2006−79804号公報
【特許文献5】特開2005−283773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、高い弾性率を有し、かつ光透過層を形成する際に反りが生じにくく、また高温高湿耐久環境下でも反りを生じにくい光透過層を形成可能な光ディスク用紫外線硬化型組成物を提供することにある。また、反りが少なく、かつ、高い弾性率で変形を生じにくい光透過層を有する光ディスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、複数の官能基を有するイソシアネート化合物と、ヒドロキシモノ(メタ)アクリレートとからなる分子量の低いウレタンアクリレートオリゴマー成分を紫外線硬化型組成物中の主たる成分として使用することにより、弾性率が大きく、且つ反りが少ない硬化被膜を形成できることを見出し本発明に至った。
【0013】
すなわち本発明は、基板上に、少なくとも光反射層と、紫外線硬化型組成物の硬化物からなる光透過層とが積層され、前記光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の再生を行う光ディスクであって、
前記紫外線硬化型組成物が、一分子中に少なくとも二個のイソシアネート基又は少なくとも一個のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(a)と、ヒドロキシモノ(メタ)アクリレート(b)からなるウレタン(メタ)アクリレート(X)を含有し、
前記紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物中のウレタン(メタ)アクリレート(X)の含有量が40質量%以上である光ディスク用紫外線硬化型組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の光ディスクの光透過層用紫外線硬化型組成物は、得られる硬化膜の高弾性率化と、反りの抑制という両立が困難な特性を共に好適に調整でき、光ディスクの光透過層として使用した場合に、優れた耐久性と耐光性とを実現できる。また、弾性率が高いことから耐磨耗性の向上にも貢献でき、最表面にハードコート層を設けない構成の光ディスクにも有用に使用できる。したがって、本発明の光ディスクは光透過層の膜厚の厚いブルーレーザー用光ディスクとして最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の紫外線硬化型組成物において使用するウレタン(メタ)アクリレート(X)は、ポリイソシアネート化合物(a)と、ヒドロキシモノ(メタ)アクリレート(b)との反応によって得られるラジカル重合性オリゴマーである。
【0016】
本発明においてポリイソシアネート化合物(a)とは、一分子中に少なくとも二個のイソシアネート基又は少なくとも一個のイソシアネート基を有する多官能性のイソシアネート化合物をいう。ポリイソシアネート化合物(a)としては、脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネート及び脂環式イソシアネートのいずれであってもよい。
【0017】
二官能イソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロペンタジエンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。なかでも、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルネンジイソシアネートが剛直な環構造を分子内に有しているため、弾性率を高くできるため、好ましい。
【0018】
三官能イソシアネート化合物としては、例えば、4,4’,4’’−トリフェニルメタントリイソシアネート、2,4,4’−トリイソシアナトトリフェニル、2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルメタン、2,4,6−トリイソシアナトジフェニルエーテル、2,2’,4−トリイソシアナトジフェニルエーテル、2,2’,4−トリイソシアナトジフェニルスルフィド、2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルスルフィド、2,3’,4−トリイソシアナト−4’−メチルジフェニルエーテル、2,3’,4−トリイソシアナト−4’−メトキシジフェニルエーテル、2,4,4’−トリイソシアナト−3’−クロロジフェニルエーテル、4,4’,6−ジフェニルトリイソシアネート、2,4,6−トリレントリイソシアネート、2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテル等が挙げられる。
【0019】
また、ジイソシアネートの環式三量体のイソシアヌレートや、イソシアネートとジイソシアネートのビウレット、あるいは、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の三官能性アルコールとジイソシアネートのアダクトやトリアミンなども好適に使用できる。更に多官能性のイソシアネート化合物として、ジイソシアネートとポリオール又はポリアミンとの反応により得られるイソシアネート化合物も使用できる。これらのイソシアネート化合物を使用する場合には、その数平均分子量1000以下のものを使用することが好ましい。特にイソホロンジイソシアネートの環式三量体のイソシアヌレートが好ましい。
【0020】
上記の中でも2,4−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のような二官能イソシアネート化合物は、得られるラジカル重合性オリゴマーの構造設計が容易となり、組成物を調整しやすいため好ましい。
【0021】
本発明に使用するヒドロキシモノ(メタ)アクリレート(b)は、上記ポリイソシアネート化合物との反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート(X)の鎖長を制御することにより、高い弾性率と低収縮性で高い弾性率の硬化被膜を形成できる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートをいい、これらの誘導体についても同様に表記する。
【0022】
ヒドロキシモノ(メタ)アクリレート(b)としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシグリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトンで変性されたモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる
【0023】
上記のなかでも、炭素数が1〜6のアルキル基を有するヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが弾性率を高めることができるため好ましい。また、ε−カプロラクトンで変性されたモノ(メタ)アクリレートは柔軟な構造になることから反り変化量を少なくすることが可能であり、ε−カプロラクトンモノ(メタ)アクリレートを2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等と併用しても良い。
【0024】
紫外線硬化型組成物に含有させるウレタン(メタ)アクリレート(X)の含有量は、紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物中の40質量%以上、好ましくは、40〜70質量%、より好ましくは45〜60質量%とすることで、弾性率を高めることができ、粘度も100μmの光透過層を形成するのに良好となる。
【0025】
本発明の紫外線硬化型組成物は、上記ウレタン(メタ)アクリレート(X)以外の他のラジカル重合性化合物として、一分子中に一個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、単官能(メタ)アクリレートと略記する)や、一分子中に二個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、二官能の(メタ)アクリレートと略記する。)、更には一分子中に三個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(以下、三官能以上の(メタ)アクリレートと略記する。)を使用することで、所望の粘度、硬化後の弾性率を有する組成物を得ることができる。
【0026】
他のラジカル重合性化合物としては、各種(メタ)アクリレートを使用でき、例えば単官能(メタ)アクリレートとしては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタンアダマンチル(メタ)アクリレート、などを使用できる。
【0027】
中でも、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレートを用いた場合、膜厚変化量が少なく、反り変化量も少なくなるため、好ましい。
【0028】
二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、脂環式構造を有する(メタ)アクリレートとしては、脂環式の二官能(メタ)アクリレートとして、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、等を使用できる。
【0029】
なかでもトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、等が好ましく、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0030】
また、硬化後の弾性率を高く調整したい場合に、三官能以上の(メタ)アクリレートを使用することができる。例えば、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、等を使用できる。
【0031】
また、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエーテルモノマー等のラジカル重合化合物も必要に応じて使用できる。
【0032】
更に、所望によりエポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレートオリゴマーを併用しても良い。
【0033】
本発明においては、紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物中の二官能(メタ)アクリレートの含有量を20質量%以下、好ましくは10質量%以下とすることで、上記ウレタン(メタ)アクリレート(X)の使用により高い弾性率設計とした際にも得られる硬化膜の反りを低減できる。
【0034】
本発明における紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物全量中の単官能(メタ)アクリレートの含有量としては、20〜60質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることが好ましい。三官能以上の(メタ)アクリレートの含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましい。また、上記ウレタン(メタ)アクリレート(X)以外の他のアクリレートオリゴマーを使用する場合には、他のアクリレートオリゴマーの含有量が20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。さらにウレタン(メタ)アクリレート(X)を含むオリゴマーの総量が70質量%以下であることが好ましい。
【0035】
本発明の紫外線硬化型組成物は、上記ラジカル重合性化合物を調整し、粘度を300〜4000mPa・s、好ましくは600〜2500mPa・sとすることで、厚膜の光透過層を好適に形成できる。
【0036】
本発明の紫外線硬化型組成物は、紫外線を照射した後の硬化膜の弾性率が、2500〜4500MPa(25℃)となるように調整することが好ましい。中でも3000〜4000MPaとなる組成であることがより好ましい。弾性率を当該範囲とすることで、外力による変形や傷つきの少ない光ディスクを得ることができる。
【0037】
本発明の光透過層用紫外線硬化型組成物中には、ラジカル重合性化合物以外に、公知の光重合開始剤、及び熱重合開始剤等を用いる事が出来る。
【0038】
本発明に使用できる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等の分子開裂型や、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等の水素引き抜き型の光重合開始剤等がある。
【0039】
本発明に使用する紫外線硬化型組成物には、必要に応じて、添加剤として、界面活性剤、レベリング剤、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ホスファイト等の酸化防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤を使用することもできる。また、増感剤として、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用でき、更に、前記の光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。
【0040】
[光ディスク]
本発明の光ディスクは、基板上に、少なくとも光反射層と光透過層とが形成され、光透過層を通してレーザー光により記録又は再生を行う光ディスクであって、光透過層が、上記の紫外線硬化型組成物の硬化物からなるものである。本発明の光ディスクは、光透過層として、上記した紫外線硬化型組成物を使用することにより、高温高湿下でも膜減りが生じにくく、光反射率の低下が少ないため、良好に情報の記録・再生を行うことができる。
【0041】
本発明の光ディスクにおける光透過層は、レーザー光の発振波長が370〜430nmであるブルーレーザーを効率良く透過することが好ましく、100μmの厚さにおいて405nmの光の透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0042】
本発明の光ディスクにおける光透過層の厚みは50〜150μmの範囲であり、75〜150μmであることが特に好ましい。光透過層の厚みは、通常、約100μmに設定されるが、厚みは光透過率や信号の読み取り及び記録に大きく影響を及ぼすため、十分な管理が必要である。光透過層は、当該厚さの硬化層単層で形成されていても、複数層が積層されていてもよい。
【0043】
本発明の光ディスクは、積算光量1.0J/cmにて、100μm厚の光透過層を形成した際の光透過層の反り変化量が±1.5°以内であることが好ましく、±1.0°以内であることが特に好ましい。1.5°程度の変化量であれば、基板の成形時に補正することで、読み取りや書き込みの際に発生する不具合をなくすことが可能である。
【0044】
更に本発明の光ディスクは、100μm厚の光透過層を有する光ディスクを、80℃85%RH96時間の高温高湿環境下に曝露した後の反り変化量が±1.0°以内であることが好ましく、±0.5°以内であることが特に好ましい。
【0045】
光透過層が100μm厚の層を80℃85%RH96時間の高温高湿環境下に曝露した後の反射率変化量が、4.0%以内であることが好ましく、2.0%以内であることが特に好ましい。
【0046】
光透過層が100μm厚の層を80℃85%RH96時間の高温高湿環境下に曝露した後の膜厚減少量が2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることが特に好ましい。
【0047】
光反射層としては、レーザー光を反射し、記録・再生が可能な光ディスクを形成できるものであればよく、例えば、金、銅、アルミニウムなどの金属又はその合金、シリコンなどの無機化合物を使用できる。なかでも、405nm近傍の光の反射率が高いことから銀又は銀を主成分とする合金を使用することが好ましい。光反射層の厚さは、10〜60nm程度の厚さとすることが好ましい。
【0048】
基板としては、ディスク形状の円形樹脂基板を使用でき、当該樹脂としてはポリカーボネートを好ましく使用できる。光ディスクが再生専用の場合には、基板上に情報記録を担うピットが光反射層と積層される表面に形成される。
【0049】
また、書込可能な光ディスクの場合には、光反射層と光透過層との間に情報記録層が設けられる。情報記録層としては、情報の記録・再生が可能であればよく、相変化型記録層、光磁気記録層、あるいは有機色素型記録層のいずれであってもよい。
【0050】
情報記録層が相変化型記録層である場合には、当該情報記録層は通常、誘電体層と相変化膜から構成される。誘電体層は、相変化層に発生する熱を緩衝する機能、ディスクの反射率を調整する機能を求められ、ZnSとSiOの混合組成が用いられる。相変化膜は、膜の相変化により非晶状態と結晶状態で反射率差を生じるものであり、Ge−Sb−Te系、Sb−Te系、Ag−In−Sb−Te系合金を用いることができる。
【0051】
本願発明の光ディスクは、情報記録部位が二つ以上形成されていても良い。例えば、再生専用光ディスクの場合には、ピットを有する基板上に、第一の光反射層、第一の光透過層が積層され、当該第一の光透過層上又は他の層を積層し、当該層上に第二の光反射層、第二の光透過層を形成してもよい。この場合には第一の光透過層やこれに積層する他の層上にピットが形成される。また、記録・再生可能な光ディスクの場合は、基板上に、情報記録層、光反射層及び光透過層とが積層された構成を有するものであるが、当該光透過層上に更に、第二の光反射層、第二の情報記録層、第二の光透過層を形成して二層の情報記録層を有する構成、あるいは、同様に層を積層して三層以上の情報記録層を有する構成としてもよい。複数層を積層する場合には、各層の層厚さの和が上記の厚さになるように適宜調整すればよい。
【0052】
また、本発明の光ディスクにおいては、光透過層が最表面の層であってもよいが、更にその表層に表面コート層を設けてもよい。
【0053】
本発明の光ディスクには、再生専用のディスクと、記録・再生可能なディスクがある。再生専用のディスクは、1枚の円形樹脂基板を射出成形する際に、情報記録層であるピットを設け、次いで該情報記録層上に光反射層を形成し、更に、該光反射層上に紫外線硬化型組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射により硬化させて光透過層を形成することにより製造することができる。また、記録・再生可能なディスクは、1枚の円形樹脂基板上に光反射層を形成し、次いで相変化膜、又は光磁気記録膜等の情報記録層を設け、更に、該光反射層上に紫外線硬化型組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射により硬化させて光透過層を形成することにより製造することができる。
【0054】
光反射層上に塗布した紫外線硬化型組成物を紫外線照射することにより硬化させる場合、例えばメタルハライドランプ、高圧水銀灯などを用いた連続光照射方式で行うこともできるし、USP5904795記載の閃光照射方式で行うこともできる。効率よく硬化出来る点で閃光照射方式がより好ましい。
【0055】
紫外線を照射する場合、積算光量は0.05〜1.0J/cmとなるようにコントロールするのが好ましい。積算光量は0.2〜1.0J/cmであることがより好ましい。
【0056】
[実施態様]
以下、本発明の光ディスクの具体例として、単層型光ディスク及び二層型光ディスクの具体的構成の一例を以下に示す。
【0057】
本発明の光ディスクのうち、単層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図1に示したように、基板1上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う構成が例示できる。図中の凹凸は、記録トラック(グルーブ)を模式的に表したものである。光透過層3は、本発明の紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、その厚さは100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
【0058】
図2は図1に示した構成の最表層にハードコート層4を設けた構成である。ハードコート層は、高硬度で、耐摩耗性に優れる層であることが好ましい。ハードコート層の厚さは、1〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。
【0059】
単層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図1に示したように、基板1上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う構成が例示できる。図中の凹凸は、記録トラック(グルーブ)を模式的に表したものである。光透過層3は、本発明の紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、その厚さは100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
【0060】
多層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図3に示したように、基板1上に、光反射層5と、光透過層6とが積層され、さらにその上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層3側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う二層型光ディスクの構成が例示できる。光透過層3及び光透過層6は、紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、少なくともいずれかの層が本発明の紫外線硬化型組成物からなる層である。層の厚さとしては、光透過層3の厚さと光透過層6の厚さの和が100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
【0061】
当該構成の二層型光ディスクにおいては、記録トラック(グルーブ)が、光透過層6の表面にも形成されるため、光透過層6は、接着性に優れる紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層の上に、記録トラックを好適に形成できる紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層を積層した複層で形成されていてもよい。また当該構成においても最表層にハードコート層が設けられていてもよい。
【0062】
図1に示す光ディスクの製造方法を以下に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を射出成形することによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する基板1を作製する。次に基板1の記録トラック側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層2を成膜する。この上に本発明の紫外線硬化型組成物を塗布し、ディスクの片面または両面から紫外線を照射して、紫外線硬化型組成物を硬化させ、光透過層3を形成し、図1の光ディスクを作製する。図2の光ディスクの場合には、この上に更にスピンコート等によりハードコート層4を形成する。
【0063】
図3に示す光ディスクの製造方法を以下に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を射出成形にすることによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する基板1を作製する。次に、基板1の記録トラック側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層6を成膜する。
【0064】
この上に、本発明の紫外線硬化型組成物又は任意の紫外線硬化型組成物の光透過層6を形成するが、その際に型を用いて表面に記録トラック(グルーブ)を転写する。記録トラック(グルーブ)を転写する工程は次の通りである。基板1に形成された光反射層5上に紫外線硬化型組成物を塗布し、その上に記録トラック(グルーブ)を形成するための型と貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの片面または両面から紫外線を照射して、紫外線硬化型組成物を硬化させる。その後、型を剥離して、光透過層6の記録トラック(グルーブ)を有する側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層2を成膜し、この上に、紫外線硬化型組成物を塗付した後、紫外線照射により硬化させ、光透過層3を形成することで、図3の光ディスクを作製できる。
【0065】
また、光反射層に相変化型記録層を用いる場合でも上記と同様の方法により光ディスクを作成することができる。
【実施例】
【0066】
次に、合成例及び実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下実施例中の「部」は「質量部」を表す。
【0067】
(ウレタンアクリレートUA1の合成)
攪拌羽根のついたフラスコに2−ヒドロキシプロピルアクリレート(分子量130)260部(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらTDI(2,4−トリレンジイソシアネート)174部(1モル)を発熱に注意しながら滴下し70℃まで昇温し、この温度で反応を7時間行い、赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ウレタンアクリレートUA1(数平均分子量434)を得た。
【0068】
(ウレタンアクリレートUA2の合成)
攪拌羽根のついたフラスコに2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116)232部(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらTDI(2,4−トリレンジイソシアネート)174部(1モル)を発熱に注意しながら滴下し70℃まで昇温し、この温度で反応を7時間行い、赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ウレタンアクリレートUA2(数平均分子量406)を得た。
【0069】
(ウレタンアクリレートUA3の合成)
攪拌羽根のついたフラスコに2−ヒドロキシプロピルアクリレート(分子量130)260部(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらIPDI(イソホロンジイソシアネート)222部(1モルを発熱に注意しながら滴下し70℃まで昇温し、この温度で反応を7時間行い、赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ウレタンアクリレートUA3(数平均分子量482)を得た。
【0070】
(ウレタンアクリレートUA4の合成)
攪拌羽根のついたフラスコに2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116)232部(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらIPDI(イソホロンジイソシアネート)222部(1モルを発熱に注意しながら滴下し70℃まで昇温し、この温度で反応を7時間行い、赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ウレタンアクリレートUA4(数平均分子量454)を得た。
【0071】
(ウレタンアクリレートUA5の合成)
攪拌羽根のついたフラスコに2−ヒドロキシプロピルアクリレート(分子量130)260部(2モル)を仕込み、攪拌を行いながら水添MDI(メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート))262部(1モル)を発熱に注意しながら滴下し70℃まで昇温し、この温度で反応を7時間行い、赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ウレタンアクリレートUA5(数平均分子量522)を得た。
【0072】
(ウレタンアクリレートUA6の合成)
攪拌羽根のついたフラスコに2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116)348部(3モル)を仕込み、攪拌を行いながらイソホロンジイソシアネートの環式三量体のイソシアヌレート666部(1モル)を発熱に注意しながら滴下し70℃まで昇温し、この温度で反応を7時間行い、赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ウレタンアクリレートUA6(数平均分子量1014)を得た。
【0073】
(ウレタンアクリレートUA7の合成)
攪拌羽根のついたフラスコに2−ヒドロキシエチルアクリレートに1モルのカプロラクトンを付加したヒドリキシアクリレート(ダイセルサイテック社製 FA−1)(分子量230)460部(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらTDI(2,4−トリレンジイソシアネート)174部(1モル)を発熱に注意しながら滴下し70℃まで昇温し、この温度で反応を7時間行い、赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ウレタンアクリレートUA7(数平均分子量634)を得た。
【0074】
(ウレタンアクリレートUA8の合成)
攪拌羽根のついたフラスコにTDI(2,4−トリレンジイソシアネート)174部(1モル)2ヒドロキシエチルアクリレートに3モルのカプロラクトンを付加したヒドリキシアクリレート(ダイセルサイテック社製 FA−3)(分子量458)916部(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらを発熱に注意しながら滴下し70℃まで昇温し、この温度で反応を7時間行い、赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ウレタンアクリレートUA8(数平均分子量1090)を得た。
【0075】
(ウレタンアクリレートUA9の合成)
攪拌羽根のついたフラスコにTDI(2,4−トリレンジイソシアネート)348部(2モル)を仕込み、攪拌を行いながらポリプロピレングリコール(数平均分子量2000)2000部(1モル)を発熱に注意しながら仕込み、70℃まで昇温した。この温度で反応を7時間行い、NCO%を測定したところ、3.58%であった。ついで2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116)232部(2モル)を仕込み、この温度で更に7時間反応を行った。赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ウレタンアクリレートUA9(数平均分子量2580)を得た。
【0076】
下記表1〜4に示した組成(質量部)により配合した各組成物を60℃で3時間加熱、溶解して、実施例1〜21及び比較例1〜9の各実施例及び比較例の紫外線硬化型組成物を調製した。得られた組成物について、下記の評価を行った。得られた結果を表1〜4に示した。
【0077】
<弾性率の測定方法>
紫外線硬化型組成物を、ガラス板上に硬化塗膜が100±10μmになるように塗布した後、メタルハライドランプ(コールドミラー付き、ランプ出力120W/cm)を用い、1.0J/cmで硬化させた。この硬化塗膜の弾性率をティー・エイ・インストルメント(株)社の自動動的粘弾性測定装置で測定し、25℃における動的弾性率E’を弾性率とした。
【0078】
測定条件
(1)サンプルサイズ: 幅6mm、長さ20mm
(2)ひずみ: 0.1%
(3)周波数:3.5Hz
(4)昇温速度: 3℃/min
【0079】
<光ディスクの作成方法>
直径120mm、厚さ1.2mmの光ディスク基板を準備し、銀を主成分とするビスマスとの合金を20〜40nmの膜厚でスパッタした後、該金属反射膜上に、表1の各紫外線硬化型組成物をスピンコーターで膜厚が硬化後に100±10μmになるように塗布し、コールドミラー付きメタルハライドランプ120W/cmを用いて照射量1.0J/cm(アイグラフィックス社製光量計UVPF−36)の紫外線を照射、硬化して光ディスクを得た。
【0080】
<光ディスクの反りの評価>
得られた光ディスクサンプルについて、エスペック(株)製「PR−2PK」を使用して、80℃85%RH96時間の高温高湿環境下での曝露(耐久試験)を行った。コート前後と耐久試験前後のサンプルについて、Dr.Schwab社製 Argus Blu を用い、反りの変化量を測定した。半径位置が50mm位置でのRadial Tiltの平均値から反り変化量を測定した。
【0081】
反り、反射率及び弾性率の判定基準は以下のとおりである。
(反り)
◎:コート前後、試験前後の反りの変化が±1.0°以内
○:コート前後、試験前後の反りの変化が±1.5°以内
×:コート前後、試験前後の反りの変化が±1.5°を越える
(弾性率)
◎:25℃の弾性率が3000MPa以上
○:25℃の弾性率が2500〜3000MPa
×:25℃の弾性率が2500MPa以下
【0082】
【表1】

【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
【表4】

【0086】
表1〜4中の記号は下記のとおりである。
EB600:エポキシアクリレート(ダイセルサイテック社製)
TPGDA:トリプロピレングリコールジアクリレート
HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
TCDDA:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
HPNDA:ヒドリキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート
BP4EA:ライトアクリレートBP4EA(ビスフェノールA1モルに4モルのエチレンオキサイドを付加して得たジオールのジアクリレート、共栄社化学社製)
PEA:フェノキシエチルアクリレート
EOEOEA:エトキシエトキシエチルアクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
IDA:イソデシルアクリレート
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート
NV2P:N−ビニル2−ピロリドン
TMP(EO)TA:トリメチロールプロパン1モルに3モルのエチレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリアクリレート
TAEIC:トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
PM−2:リン酸メタクリレート (日本化薬社製)
没食子酸:3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸
Irgacure 184:2−ヒドリキシシクロヘキシルフェニルケトン
TPO:トリメチルフェニルジフェニルホスフィンオキサイド
Darocur 1173: 2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン1−オン
Irgacure 907: 2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン−1オン
BPMPS:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート
MPTMS:メルカプトプロピルトリメトキシシラン
S1:数平均分子量8万のジメチルポリシロキサン
S2:数平均分子量20万のジメチルポリシロキサン
S3:数平均分子量10033のエチレンオキシド、プロピレンオキシド共重合体(50/50モル比)変性のペンダント型変性ポリジメチルシロキサン(変性率70.1%)
S4:数平均分子量22900のエチレンオキシド、プロピレンオキシド共重合体(50/50モル比)変性のペンダント型変性ポリジメチルシロキサン(変性率73.8%)
【0087】
表1〜4に示したように本発明の紫外線硬化型組成物を使用した光ディスクは、高い弾性率としても反りの発生が少ないものであった。一方、比較例の紫外線硬化型組成物を使用すると高い弾性率と反りの抑制の両立が困難であった。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の単層型光ディスクの一例を示す図である。
【図2】本発明の単層型光ディスクの一例を示す図である。
【図3】本発明の二層型光ディスクの一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、少なくとも光反射層と、紫外線硬化型組成物の硬化物からなる光透過層とが積層され、前記光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の再生を行う光ディスクにおける光透過層に使用する紫外線硬化型組成物であって、
前記紫外線硬化型組成物が、ラジカル重合性化合物として、ポリイソシアネート化合物(a)と、ヒドロキシモノ(メタ)アクリレート(b)からなるウレタン(メタ)アクリレート(X)を含有し、
前記紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物中のウレタン(メタ)アクリレート(X)の含有量が40質量%以上であり、かつ、前記紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物中の前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)以外の二官能(メタ)アクリレートの含有量が20質量%以下であることを特徴とする光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項2】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)の分子量が、400〜1500である請求項1に記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項3】
単官能(メタ)アクリレートの含有量が30〜60質量%である請求項1又は2に記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項4】
前記ポリイソシアネート化合物(a)が、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの環式三量体のイソシアヌレートから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項5】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(X)以外のラジカル重合性オリゴマーの含有量が、前記紫外線硬化型組成物に含まれるラジカル重合性化合物中の20質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項6】
前記ヒドロキシモノ(メタ)アクリレート(b)が、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれかに記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項7】
紫外線照射により硬化させた硬化物の25℃での弾性率が、2500MPa以上である請求項1〜6のいずれかに記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項8】
基板上に、少なくとも光反射層と、紫外線硬化型組成物の硬化物からなる光透過層とが積層され、前記光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の再生を行う光ディスクであって、前記紫外線硬化型組成物が請求項1〜7のいずれかに記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物であることを特徴とする光ディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−158026(P2009−158026A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336080(P2007−336080)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】