説明

光ディスク用紫外線硬化型組成物および光ディスク

【課題】 起泡性、相溶性、液切れ性に優れ、好適な滑り性を有する光ディスクの最外層を形成可能な紫外線硬化型組成物、及び、塗工欠陥や濁りによる光散乱因子が少なく、好適な滑り性を有する光ディスクを提供する。
【解決手段】 光ディスクの最外層に使用する組成物であって、テトラヒドロフランとメチルテトラヒドロフランとの共重合ポリエーテルポリオール(a)と、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物(b)と、ヒドロキシル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(c)とからなるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)を含有し、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)の含有量が0.1〜15質量%である光ディスク用紫外線硬化型組成物により、組成物の気泡性や液切れ性を悪化させることなく好適に相溶し、好適にスリップ剤として作用することにより優れた滑り性を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
高密度記録可能な光ディスクとして主流となっているDVD(Digital Versatile Disc)は厚さ0.6mmの2枚の基板を接着剤で貼り合わせた構造を有している。DVDにおいては高密度化を達成するため、CD(Compact Disc)に比べ短波長の650nmのレーザーを用い、光学系も高開口数化している。
【0002】
しかし、HDTV(high definition television)に対応した高画質の映像等を記録または再生する為には更なる高密度化が必要となる。DVDの次世代に位置する更なる高密度記録の方法及びその光ディスクの検討が行われており、DVDよりも更に短波長のブルーレーザー及び高開口数の光学系を用いる新しい光ディスク構造による高密度記録方式が提案されている。
【0003】
当該光ディスクはポリカーボネート等のプラスチックで形成される透明又は不透明の基板上に記録層を形成し、次いで記録層上に約100μmの光透過層を積層してなり、該光透過層を通して記録光又は再生光が、あるいはその両方が入射する構造の光ディスクである。この光ディスクの光透過層には、生産性の観点から、紫外線硬化型組成物を使用することがもっぱら研究されている。
【0004】
これら光ディスクは長期に安定した記録再生特性を保持する必要がある。このため、光透過層には形状安定性に優れるものが望まれ、また最外層として使用する場合には傷が付きにくく、指紋等が付着した際にも拭き取り易い表面性状が求められることから、表面の滑り性向上が求められる。光ディスクの最外層として使用される組成物としては、例えば、シリカ等の無機粒子や、シラン化合物などを含有させることで、表面の滑り性を向上させた組成物が開示されている(例えば特許文献1、2参照)。しかし、無機微粒子やシラン化合物を含有する組成物を厚膜の光透過層として、光ディスクの最外層に使用すると相溶性が悪く濁りが生じる場合や、起泡性、液切れ性が悪化する場合があった。起泡性が悪いと減圧塗工時に泡が多く発生することによる塗工欠陥が生じ、また液切れが悪いと、塗工時にディスクキャップを外すプロセスで液が伸びてから切れるためディスク面に飛び散ることによる塗工欠陥が生じる場合があった。
【0005】
また、DVDの接着剤層に使用する組成物として、ポリオール化合物、ポリイソシアネ
ート化合物および水酸基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する組成物が開示されている(特許文献3参照)。しかし、当該接着剤組成物の硬化被膜は好適な滑り性が得られないため、厚膜の光透過層として光ディスクの最外層に適用できないものであった。
【0006】
【特許文献1】特開2005−216352
【特許文献2】特開2006−219657
【特許文献3】特開平11−100419
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、起泡性、相溶性、液切れ性に優れ、好適な滑り性を有する光ディスクの最外層を形成可能な紫外線硬化型組成物、及び、塗工欠陥や濁りによる光散乱因子が少なく、好適な滑り性を有する光ディスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の紫外線硬化型組成物は、特定のポリエーテルポリオールを使用したウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)を微量使用することにより、組成物の気泡性や液切れ性を悪化させることなく好適に相溶して塗膜の表面ないしその近傍に好適に偏在し、スリップ剤として作用することにより優れた滑り性を実現できる。
【0009】
すなわち本発明は、光ディスクの最外層に使用する紫外線硬化型組成物であって、
テトラヒドロフランとメチルテトラヒドロフランとの共重合ポリエーテルポリオール(a)、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物(b)、および、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(c)からなるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)を含有し、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)の含有量が0.1〜15質量%である光ディスク用紫外線硬化型組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の光ディスク用紫外線硬化型組成物は、起泡性、相溶性、液切れ性に優れ、好適な滑り性を有する光ディスクの最外層を形成可能な紫外線硬化型組成物、及び、好適な滑り性を有する光ディスクを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)]
本発明に使用するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)は、テトラヒドロフランとメチルテトラヒドロフランとの共重合ポリエーテルポリオール(a)、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物(b)、および、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(c)からなるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーである。
【0012】
〔共重合ポリエーテルポリオール(a)〕
本発明に使用する共重合ポリエーテルポリオール(a)は、テトラヒドロフランとメチルテトラヒドロフランとの共重合により得られるポリエーテルポリオールである。メチルテトラヒドロフランとしては、2−メチルテトラヒドロフラン及び3−メチルテトラヒドロフランのいずれであってもよく、これらを併用しても良い。本発明においては、共重合ポリエーテルポリオール(a)を使用することにより、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)が塗膜の表面ないしその近傍に偏在し、スリップ剤として作用することにより優れた滑り性を実現できる。更に、当該ポリエーテルポリオール部分はウレタン(メタ)アクリレート(X)の骨格の一部として組成物中に包含されるため、無機微粒子やシラン化合物のように起泡性や液切れ性を悪化させることなく、好適に光ディスク用組成物中に相溶する。
【0013】
共重合ポリエーテルポリオール(a)の分子量は、水酸基価から算出した数平均分子量(Mn)が、500〜5000であることが好ましく、900〜3500であることがより好ましく、2000〜3000であることがさらにより好ましい。上記分子量範囲内のポリエーテルポリオール(a)を使用すると、相溶性、滑り性に優れる。なお、水酸基価はJIS K0070に基づいて測定した。
【0014】
〔分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物(b)〕
分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート類が挙げられる。なかでも、分子内に2個のイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物を好ましく使用でき、特にトリレンジイソシアネートは、色相の悪化が無く、かつ光線透過性も低下することがないため特に好ましい。
【0015】
〔ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物(c)〕
ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等があり、さらにこれらの(メタ)アクリレートと2個以上のヒドロキシル基を有する化合物とを反応させて得られる化合物でも良い。あるいは2個以上のヒドロキシキル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる化合物でも良く、例えばグリシジルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコール化合物のモノ(メタ)アクリレート体等が挙げられる。
【0016】
本発明で使用するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)としては、1000〜30000であることが好ましく、5000〜20000であることがより好ましい。上記分子量範囲内のポリエーテルポリオール(a)を使用すると、相溶性、滑り性に優れる。
【0017】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)中の共重合ポリエーテルポリオール(a)の含有量としては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)を構成する紫外線硬化性化合物中の60質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。
【0018】
本発明の紫外線硬化型組成物中のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)の含有量は、紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の0.1〜15質量%であることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー含有量を当該範囲とすることでウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)が塗膜の表面ないしその近傍に偏在し、スリップ剤として作用する。
【0019】
[(メタ)アクリレートオリゴマー]
本発明の紫外線硬化型組成物には、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)以外のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーや、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー等の他の(メタ)アクリレートオリゴマーを含有してもよい。なかでも、高い弾性率を得やすく、最外層として好適な硬化被膜を形成しやすいことから、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを好ましく使用できる。
【0020】
本発明に使用するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、反りが少なく、高い弾性率で変形を生じにくい光透過層を形成しやすいことから、分岐状のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを好適に使用できる。
【0021】
なかでも、式(1)〜(2)
【0022】
【化1】

【0023】
【化2】

(式(1)〜(2)中、X〜Xは、それぞれ独立してSO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
で表される構造単位の少なくとも一種と、
式(3)〜(4)
【0024】
【化3】

(式(3)中、Xは、SO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
【0025】
【化4】

(式(4)中、Xは、SO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
で表される構造単位とからなり、
前記式(1)で表される構造単位中のYが、式(1)〜(2)で表される他の構造単位のZ〜Zのいずれか又は式(3)中のZに結合し、
前記式(2)で表される構造単位中のY2〜Yが、それぞれ水素原子、あるいは、式(1)〜(2)で表される他の構造単位のZ〜Zのいずれか又は式(3)中のZに結合し、
前記式(1)〜(2)で表される構造単位中のZ〜Zが、それぞれ式(1)〜式(2)で表される他の構造単位中のY〜Yのいずれか又は式(4)中のYと結合した分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)を使用することが好ましい。
【0026】
上記分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)のなかでも、X〜XがC(CHであり、R〜Rが水素原子のものが、安価に製造できると共に反応制御が容易となるため好ましい。
【0027】
また、上記分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)は、式(5)
【0028】
【化5】

(式(5)中、XはSO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R〜R10はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
で表されるエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E2)とのエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー混合物として使用されても良い。通常、分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)の製造時に、式(5)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E2)が生成するため、両者の混合物を使用することが製造工程上有利である。
【0029】
本発明においては、上記分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)として、式(6)
【0030】
【化6】

(式(6)中、X〜Xは、それぞれ独立してSO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R11〜R16はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、nは0〜20である。)
で表される分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを有することが反応制御が容易となるため好ましい。なかでも、X〜XがC(CHであり、R11〜R16が水素原子のものが、安価に製造できると共に反応制御が容易となるため特に好ましい。
【0031】
上記分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)は多くの分岐構造を分子骨格中に有している事で、紫外線硬化後の塗膜構造が高架橋密度に形成される事が特徴であり、特に分子中にフェニル骨格を有することで、フェニル骨格に起因する硬い分子骨格を有するため、アクリロイル基の含有量を低く設計して紫外線硬化による架橋反応を少なくしても、塗膜硬度を硬く設計する事が可能となる。すなわち、紫外線硬化時に生じる硬化収縮による硬化膜内の歪みを緩和することができ、その結果、高い弾性率を有し、塗膜硬度を厚く設計しても硬化時の反りが少ない光ディスク用塗料を実現できる。光ディスクの中でも特に厚い光透過層が必要とされるブルーレーザーにより信号の記録再生を行う光ディスク用途に最適である。
【0032】
上記分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)は、
(1−1)芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)、
(1−2)(1−2−1)芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)
および/または
(1−2−2)前記(A1)および(A2)以外の
芳香族二官能エポキシ樹脂(B)、
および
(1−3)リン系触媒(C)
を含有する混合物中の芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)中の水酸基とアクリロイル基とを、或いは、芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)および芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)中の水酸基とアクリロイル基とを反応させて水酸基、アクリロイル基およびエポキシ基を有する分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー中間体(e1)を含有する反応混合物を得た後、該反応混合物と不飽和モノカルボン酸とを混合し、該反応混合物中の分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー中間体(e1)のエポキシ基と前記不飽和モノカルボン酸中のカルボキシル基とを反応させて得ることができる。
【0033】
前記反応混合物中の水酸基とアクリロイル基とエポキシ基を有する分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー中間体(e1)は、芳香族二官能エポキシ樹脂ジアクリレート(A2)中の水酸基とアクリロイル基とを、或いは、芳香族二官能エポキシ樹脂ジアクリレート(A2)および芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)中の水酸基とアクリロイル基とを反応させて得られる分岐状のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーであり、芳香族二官能ジアクリレート(A2)、芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)および芳香族エポキシ化合物(B)からなる群から選ばれる1種以上の樹脂成分は、芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)と、芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)および/または芳香族二官能エポキシ樹脂(B)と、リン系触媒(C)を含有する混合物内(反応系内)での分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)の合成反応を行なった後の未反応樹脂成分である。
【0034】
前記芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)は、芳香族二官能エポキシ樹脂(b)中の2個のエポキシ基がアクリル酸(a)でアクリロイル化されているものである。ここで用いる芳香族二官能エポキシ樹脂(b)としては、例えば、
テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂等のビフェノール型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性の芳香族二官能エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン類をエポキシ化してなるジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂;芳香族二価カルボン酸のグリシジルエステル型樹脂;キシレノールから誘導された二官能エポキシ樹脂、ナフタレンアラルキルエポキシ樹脂;これら芳香族二官能エポキシ樹脂をジシクロペンタジエンで変性したエポキシ樹脂;これら芳香族二官能エポキシ樹脂をジカルボン酸類で変性したエステル変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0035】
芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)の調製に用いる芳香族二官能エポキシ樹脂(b)は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0036】
前記芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)および/または芳香族エポキシ化合物(B)としては、例えば、前記芳香族二官能エポキシ樹脂(b)中の2個のエポキシ基のうち1個のエポキシ基がアクリル酸でアクリル化されている芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)の単独、前記芳香族二官能エポキシ樹脂(b)の単独、または、これらの混合物が挙げられる。ここで用いる芳香族二官能エポキシ樹脂(b)としては、前記芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)の調製に用いるものと同じものを使用しても良いし、異なるものを使用しても良い。また、芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)の調製に用いる芳香族二官能エポキシ樹脂(b)は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0037】
反応混合物を得るには、例えば、それぞれ別途製造した芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)と、別途製造した芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)および/または芳香族二官能エポキシ樹脂(B)と、リン系触媒(C)とを含有する混合物中で、必要により有機溶剤または反応性希釈剤の存在下、芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)中の水酸基とアクリロイル基とを反応させる、或いは、芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)および芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)中の水酸基とアクリロイル基とを反応させれば良い。反応させる時の温度は通常100〜170℃、好ましくは100〜150℃である。反応させる時間は通常1〜20時間、好ましくは2〜15時間である。なお、この際には、別途製造した芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)が芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)および/または芳香族二官能エポキシ樹脂(B)を含有してなる混合物であってもよく、またゲル化を生じない範囲であれば、必要に応じて3官能以上の芳香族多官能エポキシ樹脂のアクリレートを併用してもよい。さらに、この際、芳香族モノエポキシ化合物のモノアクリレートおよび/または芳香族モノエポキシ化合物を併用してもよい。
【0038】
前記したように、前記反応混合物を得るには芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)と、芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)および/または芳香族二官能エポキシ樹脂(B)と、リン系触媒(C)を含有する混合物を用いるが、これら(A2)と(A1)および/または(B)として、芳香族二官能エポキシ樹脂(b)とアクリル酸(a)とを、芳香族二官能エポキシ樹脂(b)中のエポキシ基がアクリル酸(a)中のカルボキシル基に対して過剰となる条件で反応させて、芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)と、芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)および/または芳香族二官能エポキシ樹脂(B)を含有する反応系とした(以下、この工程を「工程1」と略記することがある。)ものを用いると、以後の反応混合物の製造を続いて実施できることから好ましい。
【0039】
特に、芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)と芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)を含有する反応系〔ただし、未反応の芳香族二官能エポキシ樹脂(B)を含有していてもよい。〕、すなわち、前記(A2)と(A1)からなる反応系、または前記(A2)と(A1)と(B)からなる反応系とすることが、容易に実施できることから好ましい。
【0040】
さらにこの反応系内の芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)中の水酸基とアクリロイル基とを、或いは、芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)および芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)中の水酸基とアクリロイル基とを、リン系触媒(C)の存在下で反応させる。そして、芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)、或いは、芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)及び芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)を高分子量化してなる、水酸基とアクリロイル基とエポキシ基を有する分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー中間体(e1)ならびに、芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)、芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)および芳香族二官能エポキシ樹脂(B)からなる群から選ばれる1種以上の未反応樹脂成分とを含有する反応混合物とする。
【0041】
尚、本発明で用いる芳香族二官能エポキシ樹脂(B)は前記(A1)および(A2)以外のエポキシ樹脂である。前記工程1では、芳香族二官能エポキシ樹脂(b)とアクリル酸(a)とを、芳香族二官能エポキシ樹脂(b)中のエポキシ基がアクリル酸(a)中のカルボキシル基に対して過剰となる条件で反応させるので、アクリル酸(a)と反応せずに残った芳香族二官能エポキシ樹脂(b)が存在する。この残存する芳香族二官能エポキシ樹脂(b)は、芳香族二官能エポキシ樹脂(b)とアクリル酸(a)との反応物である芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)や芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)と異なる。従って、残存する芳香族二官能エポキシ樹脂(b)は(A1)および(A2)以外の芳香族二官能エポキシ樹脂(B)となる。
【0042】
本発明で用いるリン系触媒(C)としては、例えば、ホスフィン類、ホスホニウム塩類等が挙げられる。中でも、ホスフィン類が最も好ましい。
【0043】
前記ホスフィン類としては、トリアルキルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリアルキルフェニルホスフィン等が挙げられ、なかでも反応制御が容易なことからトリフェニルホスフィンが特に好ましい。
【0044】
リン系触媒(C)の使用量としては、触媒量が多いほど混合物中の芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)および芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)中の水酸基とアクリロイル基との反応が進行しやすいが、ゲル化しやすくなることおよび組成物の安定性が悪化することを考慮すると、芳香族二官能エポキシ樹脂(b)とアクリル酸(a)の合計重量に対して10〜30,000ppmの範囲が好ましい。
【0045】
前記芳香族二官能エポキシ樹脂(b)や芳香族二官能エポキシ樹脂(B)としては、なかでも硬化性に優れる樹脂組成物が得られることから、エポキシ当量が135〜2,000g/当量であるものが好ましく、エポキシ当量が135〜500g/当量であるものがより好ましい。また、硬化物の機械物性に優れる樹脂組成物が得られることから、テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂等のビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレン類をエポキシ化してなるジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂または1,6−ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂が最も好ましい。
【0046】
芳香族二官能エポキシ樹脂(b)中のエポキシ基がアクリル酸(a)中のカルボキシル基に対して過剰である範囲としては、特に限定されないが、芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)中の水酸基とアクリロイル基の反応、或いは、芳香族二官能エポキシ樹脂のジアクリレート(A2)および芳香族二官能エポキシ樹脂のモノアクリレート(A1)中の水酸基とアクリロイル基の反応が円滑に進行することから、芳香族二官能エポキシ樹脂(b)中のエポキシ基とアクリル酸(a)中のカルボキシル基の当量比〔(エポキシ基当量)/(カルボキシル基当量)〕が1.1〜5.5となる範囲であることが好ましい。また、得られる分岐型ポリエーテル樹脂の分子量調整が容易になることから、前記当量比〔(エポキシ基当量)/(カルボキシル基当量)〕は、なかでも1.25〜3.0となる範囲であることがより好ましい。
【0047】
反応混合物中のエポキシ基と前記不飽和モノカルボン酸中のカルボキシル基とを反応させる工程においては、前記反応混合物中のエポキシ基と不飽和モノカルボン酸中のカルボキシル基を反応させることにより、エポキシ基の大部分または全部が消費されて、水酸基とアクリロイル基含有不飽和モノカルボン酸エステル構造を有する分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)となり、反応系はこの分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)と芳香族二官能エポキシ樹脂のジ(不飽和モノカルボン酸)エステルを含有する分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー組成物(II)を得ることができる。
【0048】
ここで用いる不飽和モノカルボン酸としては、例えば、重合性不飽和基とカルボキシル基をそれぞれ1個有する化合物等が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、モノメチルマレート、モノエチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレート、モノ(2−エチルヘキシル)マレート、ソルビン酸等を通常用いるが、さらにヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロへキシル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の様な水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とジカルボン酸無水物との反応による得られる不飽和ハーフエステル化物、重合性不飽和基と1個のカルボキシル基を有する化合物にε−カプロラクトンを反応させたラクトン変性不飽和モノカルボン酸、アクリル酸のダイマー等であってもよい。これらの中でも、アクリル酸および/またはメタクリル酸が好ましい。
【0049】
また、反応混合物中のエポキシ基と不飽和モノカルボン酸中のカルボキシル基の当量比(エポキシ基/カルボキシル基)が0.9/1〜1/0.9となる範囲で反応させることで経時安定性、硬化性に優れる分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)が得られることから好ましい。さらに、活性エネルギー線硬化性に優れることから、不飽和モノカルボン酸としてはアクリル酸および/またはメタクリル酸が好ましい。
【0050】
反応混合物中のエポキシ基と不飽和モノカルボン酸の反応温度は通常80〜160℃であるが、なかでも合成時の安定性が良好なことから100〜140℃であることが好ましい。また、反応時間は、通常1〜20時間、好ましくは2〜15時間である。この時、反応触媒として、塩基性触媒を追加添加しても良い。
【0051】
塩基性触媒としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリスジメチルアミノメチルフェノール、ベンジルジメチルアミン、ジエタノールアミン等の3級アミン類;テトラメチルアンモニュウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニュウムハイドロオキサイド等の4級アンモニュウムヒドロキシド類;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジエチルアミン塩酸塩、ジアザビスシクロウンデセン等の窒素化合物類;トリフェニルホスフィン等のトリアルキルホスフィン類;テトラ−n−ブチルホスホニウムハイドロオキサイド等のテトラアルキルホスホニウムハイドロオキサイド類;ナフテン酸クロムなどの金属塩類;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩類;テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類等のハロゲン系触媒;水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の無機触媒が挙げられる。
【0052】
これらの塩基性触媒としては、非ハロゲン系触媒が好ましく、さらに3級アミン類、4級アンモニュウム塩類等の窒素化合物類;ホスフィン類、ホスホニウム塩類等のリン系触媒等が好ましい。これらのなかでも、第一工程で必須の触媒として使用できることから、ホスフィン類、ホスホニウム塩類等のリン系触媒がより好ましく、ホスフィン類が最も好ましい。
【0053】
前記ホスフィン類としては、トリアルキルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリアルキルフェニルホスフィン等が挙げられ、なかでも反応制御が容易なことからトリフェニルホスフィンが特に好ましい。
【0054】
塩基性触媒の使用量としては、触媒量が多いほど反応が進行しやすいが、ゲル化しやすくなることおよび組成物の安定性が悪化することを考慮すると、芳香族二官能エポキシ樹脂(b)とアクリル酸(a)の合計重量に対して10〜30,000ppmの範囲が好ましい。異なるリン系触媒を添加しても良いし、反応途中で追加しても良い。
【0055】
上記分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを合成した場合、通常、上記式(1)や(2)で表される構造単位の繰り返し数nが1〜100の範囲にある分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)と、上記式(5)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーの混合物として得られ、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等で分析すると、nが種々の値を示す化合物の分布が観察できる。従って、本発明の紫外線硬化型組成物を調整する際には、当該混合物を使用することが簡便である。当該混合物を使用する場合には、n=1〜100の分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを30質量%以上含有する混合物を使用することが好ましく、35質量%以上含有する混合物がより好ましい。
【0056】
本発明においては、上記の分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)と上記式(5)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーの混合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した結果より確認される分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)の重量平均分子量(Mw)が、1000〜10000のものを使用することが好ましく、1500〜8000であることが好ましく、2000〜6000であることがさらに好ましい。分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)の分子量を上記の範囲とすることにより、粘度が必要以上に高くなる事が避けられ、本発明の紫外線硬化型組成物中に含有される必須成分である分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)の含有量を高くする事が出来る。また、混合物中の分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)とエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E2)との比が、上記GPCで測定したクロマトグラムによる面積比で、分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)/エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E2)=10/1〜1/2であることが好ましく、5/1〜1/1であることがより好ましく、3/1〜3/2が更に好ましい。
【0057】
なお、GPCによる重量平均分子量は、例えば、東ソー(株)社製 HLC−8220を用い、カラムはSuper HZM―M4本を使用し、溶媒はTHFを用い、1.0ml/minの流量でカラム温度が40℃、検出器温度が30℃、分子量は標準ポリスチレン換算で測定を行うことで特定される。
【0058】
また、分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)以外のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーリゴマーも好適に使用でき、なかでも、ビスフェノール骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーは耐久性能に優れるため好ましく、式(i)、(iii)、(viii)で表されるエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを特に好ましく使用できる。
【0059】
【化7】

【0060】
[式(i)中、Aは式(ii)
【0061】
【化8】

【0062】
(式(ii)中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、iは0又は1以上の整数を表す。)
で表される基であり、Dはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。]
【0063】
このようなビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、油化シェルエポキシ社製エピコート802、1001、1004等のビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びエピコート4001P、4002P、4003P等のビスフェノールF型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応によって得られるエポキシアクリレート等が挙げられ、UNIDIC V−5810(大日本インキ化学工業(株))などが挙げられる。
【0064】
【化9】

【0065】
[式(iii)中、Aは、エステル基、エーテル基、芳香族炭化水素基、環式脂肪族基で置換されていてもよく、また、分岐鎖を有していてもよい重量平均分子量250〜10000の長鎖アルキルジオール基であり、Bは式(iv)
【0066】
【化10】

【0067】
(式(iv)中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、iは0〜8の整数を表す。)
で表される基であり、Dはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。]
【0068】
また、上記式(iii)中のAは、式(v)〜(vii)で表される基であることが好ましい。
【0069】
【化11】

【0070】
(式(v)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Lは、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜20の2価の脂肪族炭化水素基又は−(RO)−R−(Rは分岐鎖を有していても良い炭素数2〜8のアルキレン基を表し、pは1〜10の整数である。)で表される基であり、kは1〜20の整数を表す。)
【0071】
【化12】

【0072】
(式(vi)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、Lは、数平均分子量が250〜10000の長鎖アルキルジオール残基又はポリエーテルジオール残基を表す。)
【0073】
【化13】

【0074】
(式(vii)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、L、Lは各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、k、kは各々独立して1〜20の整数を表す。)
【0075】
このようなエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、DICLITE UE−8080(大日本インキ化学工業(株))等が挙げられる。
【0076】
【化14】

【0077】
[式(viii)中、Aは式(ix)
【0078】
【化15】

【0079】
(式(ix)中、Eは−SO−、−CH−、−CH(CH)−又は−C(CH−を表し、nは0〜8の整数を表す。)
で表される基であり、Bは、式(x)
【0080】
【化16】

【0081】
(式(x)中、Jは、水素原子が炭素数1〜6のアルキル基により置換されていても良い2価の芳香族炭化水素基又は分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基で表される基である。)
で表される基であり、Cは、式(xi)
【0082】
【化17】

【0083】
(L、Lは、各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、kは各々独立して1〜20の整数である。)
又は、式(xii)
【0084】
【化18】

【0085】
(L、Lは、各々独立して、分岐鎖を有していても良い炭素数2〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、kは各々独立して1〜20の整数である。)
で表される基であり、Dはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。]
【0086】
このようなエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、CNUVE151(SARTOMER)、EBECRYL3708(ダイセル・サイテック(株))等が挙げられる。
【0087】
これらエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを本発明の紫外線硬化型組成物中のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の10〜80質量%であることが好ましく、20〜70質量%であることが特に好ましい。エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー含有量を当該範囲とすることで、高温高湿環境下において優れた耐久性に加え、硬化時や高温高湿環境下での反りの低減等の特性制御を好適に行うことができる。
【0088】
本発明の紫外線硬化型組成物には、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)以外のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有することも好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの有するウレタン結合により、凝集性が向上し、凝集破壊が生じにくくなるため、得られる硬化物は好適な密着性を有する。また、酸素移動を抑制できることから、表面硬度の向上にも貢献する。
【0089】
本発明に使用するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)以外のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物と、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物と、分子内に2個以上のヒドロキシル基を有する化合物とから得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを好ましく使用できる。また、ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物と、分子内に2個のイソシアネート基を有する化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーも好ましく使用できる。
【0090】
分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネートなどのポリイソシアネート類が挙げられる。なかでも、分子内に2個のイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物を好ましく使用でき、特にトリレンジイソシアネートは、色相の悪化が無く、かつ光線透過性も低下することがないため特に好ましい。
【0091】
ヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等があり、さらにこれらの(メタ)アクリレートと2個以上のヒドロキシル基を有する化合物とを反応させて得られる化合物でも良い。あるいは2個以上のヒドロキシキル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる化合物でも良く、例えばグリシジルエーテル化合物と(メタ)アクリル酸との付加反応物、グリコール化合物のモノ(メタ)アクリレート体等が挙げられる。
【0092】
2個以上のヒドロキシル基を有する化合物としては、ポリオール類が好ましく用いられ、その具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、エオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、1,2−ジメチロールシクロヘキサン、1,3−ジメチロールシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン等のアルキレンポリオール類等の多量体としての高分子ポリオールが挙げられる。
【0093】
なかでも、エーテル結合を有するポリエーテルポリオール、多塩基酸との反応や環状エステルの開環重合により得られるエステル結合を有するポリエステルポリオール、又は、カーボネートとの反応により得られるカーボネート結合を有するポリカーボネートポリオールであることが好ましい。これらポリオール類の少なくとも一部、好ましくはポリオール類全量中の15モル%以上、更に好ましくはポリオール類全量中の30モル%以上は、分子量500〜2500であるのが好ましい。
【0094】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、前記ポリオール類の多量体のほかに、テトラヒドロフランの環状エーテルの開環重合体としてのポリテトラメチレングリコール、及び、前記ポリオール類の、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイドの付加物等が挙げられる。
【0095】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、前記ポリオール類と、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸等の多塩基酸との反応物、及び、カプロラクトン等の環状エステルの開環重合体としてのポリカプロラクトン等が挙げられる。
【0096】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記ポリオール類と、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート、又は、ジフェニルカーボネート、4−メチルジフェニルカーボネート、4−エチルジフェニルカーボネート、4−プロピルジフェニルカーボネート、4,4’−ジメチルジフェニルカーボネート、2−トリル−4−トリルカーボネート、4,4’−ジエチルジフェニルカーボネート、4,4’−ジプロピルジフェニルカーボネート、フェニルトルイルカーボネート、ビスクロロフェニルカーボネート、フェニルクロロフェニルカーボネート、フェニルナフチルカーボネート、ジナフチルカーボネート等のジアリールカーボネート、あるいは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジ−n−アミルカーボネート、ジイソアミルカーボネート等のジアルキルカーボネート等との反応物等が挙げられる。
【0097】
使用するポリオールは、1種であっても2種以上を併用してもよいが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオールの2種以上を併用したウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、2種を併用することがより好ましい。これらポリオールを併用することで、得られる硬化膜の高温高湿環境下における耐変形性や、表面硬度を好適に調整しやすくなる。2種の併用の例としては、表面硬度を高くする場合には、ポリエステルポリオールとポリカーボネートポリオールとの併用が好ましく、耐湿熱変形性を向上させる場合には、ポリエーテルポリオールとを併用させることが好ましい。これらの中間的な特性とする場合には、ポリエーテルポリオールとポリカーボネートポリオールとを併用することが好ましい。
【0098】
ポリオール併用時における各ポリオールの含有量としては、使用するポリオールの全量に対して、ポリエーテルポリオールは20〜90質量%であることが好ましく30〜80質量%であることがより好ましい。ポリエステルポリオールの含有量としては、10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%とすることがより好ましい。ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールの含有量を当該範囲とすることで、硬化物の表面硬度や耐湿熱特性が得られやすい。
【0099】
また、本発明に使用するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、芳香環を有さない構造のものであると透明性が高くなるため好ましい。
【0100】
本発明に使用するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエーテル骨格のウレタンアクリレートとして、大日本インキ化学工業(株)社製FAU−742TP、FAU−306、ポリエステル骨格のウレタンアクリレートとして、コグニスジャパン(株)社製Photomer−6892、ダイセルサイテック(株)社製Ebecryl−8405等が好ましく例示できる。
【0101】
本発明の紫外線硬化型組成物中のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)以外のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの含有量は、紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物中の5〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー含有量を当該範囲とすることで硬化膜に適度な柔軟性を付与することが可能となり、特に湿度ショックを与えたときの反り変化が小さくなる。
【0102】
本発明で使用するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)としては、1000〜20000であることが好ましく、1500〜10000であることがより好ましい。これにより、本発明の紫外線硬化型組成物を使用した光ディスクの耐久性及び耐光性がより優れたものとなる。
【0103】
[単官能、二官能又は多官能アクリレート]
本発明においては、エポキシ(メタ)アクリレートやウレタン(メタ)アクリレートと併用して、一分子中に一の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(以下、単官能(メタ)アクリレートと略記する)や、一分子中に二個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(以下、二官能の(メタ)アクリレートと略記する。)、更には一分子中に三以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートモノマー(以下、多官能の(メタ)アクリレートと略記する。)を使用することで、所望の粘度、硬化後の弾性率を有する組成物を得ることができる。
【0104】
これら(メタ)アクリレートモノマーとしては、各種(メタ)アクリレートを使用でき、例えば単官能(メタ)アクリレートとしては、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタンアダマンチル(メタ)アクリレート、などを使用できる。
【0105】
中でも、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレートを用いた場合、膜厚変化量が少なく、反り変化量も少なくなるため、好ましい。
【0106】
二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性アルキル化リン酸ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、脂環式構造を有する(メタ)アクリレートとしては、脂環式の二官能(メタ)アクリレートとして、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジエタノールにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド2モル付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、等を使用できる。
【0107】
なかでもトリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、等が好ましく、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0108】
また、硬化後の弾性率を高く調整したい場合に、三官能以上の(メタ)アクリレートを使用することができる。例えば、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−アクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシプロピル)ヒドロキシプロピルイソシアヌレート、ビス(2−メタクリロイルオキシブチル)ヒドロキシブチルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシプロピル)イソシアヌレート、トリス(2−メタクリロイルオキシブチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、等を使用できる。
【0109】
また、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルエーテルモノマー等の紫外線硬化性化合物も必要に応じて使用できる。
【0110】
本発明における紫外線硬化型組成物に含まれる紫外線硬化性化合物全量中の単官能(メタ)アクリレートの含有量としては、3〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることが好ましい。二官能(メタ)アクリレートの含有量は3〜40質量%であることが好ましく、5〜35質量%であることが好ましい。また、エポキシ(メタ)アクリレート以外の三官能以上の(メタ)アクリレートの含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることが好ましい。
【0111】
本発明の紫外線硬化型組成物は、上記紫外線硬化性化合物を調整し、粘度を800〜3000mPa・s、好ましくは1000〜2500mPa・sとすることで、厚膜の光透過層を好適に形成できる。
【0112】
本発明の紫外線硬化型組成物は、紫外線を照射した後の硬化膜の弾性率が、100〜2000MPa(25℃)となるように調整することが好ましい。中でも200〜1500MPaとなる組成であることがより好ましい。弾性率がこの範囲となる組成であると、硬化時の歪みが緩和され易く、高温高湿環境下に長時間曝されても反りの変化量が少ない光ディスクを得ることができる。
【0113】
[開始剤、添加剤]
本発明の光透過層用紫外線硬化型組成物中には、エポキシ(メタ)アクリレートおよび上記単官能、二官能又は多官能(メタ)アクリレートの以外に、公知の光重合開始剤、及び熱重合開始剤等を用いる事が出来る。
【0114】
本発明に使用できる光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン及び2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等の分子開裂型や、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等の水素引き抜き型の光重合開始剤等がある。
【0115】
本発明に使用する紫外線硬化型組成物には、必要に応じて、添加剤として、界面活性剤、レベリング剤、熱重合禁止剤、ヒンダードフェノール、ホスファイト等の酸化防止剤、ヒンダードアミン等の光安定剤を使用することもできる。また、増感剤として、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等が使用でき、更に、前記の光重合性化合物と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。シリコーン系のスリップ剤の含有量は0.1%以下にするのが好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。
【0116】
[光ディスク]
本発明の光ディスクは、最外層として、上記紫外線硬化型組成物を使用することにより、好適な滑り性を実現できるため、傷が付きにくく、また指紋等による汚染が生じた際にもふき取りが容易となる。上記紫外線硬化型組成物は、基板上に、少なくとも光反射層と光透過層とが形成され、ブルーレーザーにより記録再生が可能な光ディスクにおいて、最外層が前記光透過層である場合に、当該光透過層として好適に使用できる。
【0117】
本発明の光ディスクにおける光透過層は、レーザー光の発振波長が370〜430nmであるブルーレーザーを効率良く透過することが好ましく、100μmの厚さにおいて405nmの光の透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることが特に好ましい。
【0118】
本発明の光ディスクにおける光透過層の厚みは70〜110μmであることが好ましい。光透過層の厚みは、通常、約100μmに設定されるが、厚みは光透過率や信号の読み取り及び記録に大きく影響を及ぼすため、十分な管理が必要である。光透過層は、当該厚さの硬化層単層で形成されていても、複数層が積層されていてもよい。
【0119】
光反射層としては、レーザー光を反射し、記録・再生が可能な光ディスクを形成できるものであればよく、例えば、金、銅、アルミニウムなどの金属又はその合金、シリコンなどの無機化合物を使用できる。なかでも、400nm近傍の光の反射率が高いことから銀又は銀を主成分とする合金を使用することが好ましい。光反射層の厚さは、10〜60nm程度の厚さとすることが好ましい。
【0120】
基板としては、ディスク形状の円形樹脂基板を使用でき、当該樹脂としてはポリカーボネートを好ましく使用できる。光ディスクが再生専用の場合には、基板上に情報記録を担うピットが光反射層と積層される表面に形成される。
【0121】
また、書込可能な光ディスクの場合には、光反射層と光透過層との間に情報記録層が設けられる。情報記録層としては、情報の記録・再生が可能であればよく、相変化型記録層、光磁気記録層、あるいは有機色素型記録層のいずれであってもよい。
【0122】
情報記録層が相変化型記録層である場合には、当該情報記録層は通常、誘電体層と相変化膜から構成される。誘電体層は、相変化層に発生する熱を緩衝する機能、ディスクの反射率を調整する機能を求められ、ZnSとSiOの混合組成が用いられる。相変化膜は、膜の相変化により非晶状態と結晶状態で反射率差を生じるものであり、Ge−Sb−Te系、Sb−Te系、Ag−In−Sb−Te系合金を用いることができる。
【0123】
本願発明の光ディスクは、情報記録部位が二つ以上形成されていても良い。例えば、再生専用光ディスクの場合には、ピットを有する基板上に、第一の光反射層、第一の光透過層が積層され、当該第一の光透過層上又は他の層を積層し、当該層上に第二の光反射層、第二の光透過層を形成してもよい。この場合には第一の光透過層やこれに積層する他の層上にピットが形成される。また、記録・再生可能な光ディスクの場合は、基板上に、情報記録層、光反射層及び光透過層が積層された構成を有するものであるが、当該光透過層上に更に、第二の光反射層、第二の情報記録層、第二の光透過層を形成して二層の情報記録層を有する構成、あるいは、同様に層を積層して三層以上の情報記録層を有する構成としてもよい。複数層を積層する場合には、各層の層厚さの和が上記の厚さになるように適宜調整すればよい。
【0124】
本発明の光ディスクは、100μm厚の光透過層を有する光ディスクを、80℃85%RH240時間の高温高湿環境下に曝露した後の反射率変化量が、4.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることが特に好ましい。
【0125】
本発明の光ディスクは、100μm厚の光透過層を有する光ディスクを、80℃85%RH240時間の高温高湿環境下に曝露した後の反り変化量が±1.0°以内であることが好ましく、±0.5°以内であることが特に好ましい。さらに、25℃85%RHから25℃30%RHのように湿度のみを急激に変化させた場合の反り変化量のついても、±1.0°以内であることが好ましく、±0.5°以内であることが特に好ましい。
【0126】
また、光透過層を10日間蛍光灯暴露した際の反射率変化量化が、4.0%以内であることが好ましく、2.0%以内であることが特に好ましい。
【0127】
本発明の光ディスクには、再生専用のディスクと、記録・再生可能なディスクがある。再生専用のディスクは、1枚の円形樹脂基板を射出成形する際に、情報記録層であるピットを設け、次いで該情報記録層上に光反射層を形成し、更に、該光反射層上に紫外線硬化型組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射により硬化させて光透過層を形成することにより製造することができる。また、記録・再生可能なディスクは、1枚の円形樹脂基板上に光反射層を形成し、次いで相変化膜、又は光磁気記録膜等の情報記録層を設け、更に、該光反射層上に紫外線硬化型組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射により硬化させて光透過層を形成することにより製造することができる。
【0128】
光反射層上に塗布した紫外線硬化型組成物を紫外線照射することにより硬化させる場合、例えばメタルハライドランプ、高圧水銀灯などを用いた連続光照射方式で行うこともできるし、USP5904795記載の閃光照射方式で行うこともできる。効率よく硬化出来る点で閃光照射方式がより好ましい。
【0129】
紫外線を照射する場合、積算光量は0.05〜1J/cmとなるようにコントロールするのが好ましい。積算光量は0.05〜0.8J/cmであることがより好ましく、0.05〜0.6J/cmであることが特に好ましい。本発明の光ディスクに使用する紫外線硬化型組成物は、積算光量が少量であっても、十分に硬化し、光ディスク端面や表面のタックが発生せず、更に光ディスクの反りや歪みが発生しない。
【0130】
[実施態様]
以下、本発明の光ディスクの具体例として、単層型光ディスク及び二層型光ディスクの具体的構成の一例を以下に示す。
【0131】
本発明の光ディスクのうち、単層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図1に示したように、基板1上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う構成が例示できる。図中の凹凸は、記録トラック(グルーブ)を模式的に表したものである。光透過層3は、本発明の紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、その厚さは100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
【0132】
多層型光ディスクの好ましい実施態様としては、例えば、図2に示したように、基板1上に、光反射層5と、光透過層6とが積層され、さらにその上に、光反射層2と、光透過層3とが積層され、光透過層3側からブルーレーザーを入射して情報の記録又は再生を行う二層型光ディスクの構成が例示できる。光透過層3及び光透過層6は、紫外線硬化型組成物の硬化物からなる層であり、少なくともいずれかの層が本発明の紫外線硬化型組成物からなる層である。層の厚さとしては、光透過層3の厚さと光透過層6の厚さの和が100±10μmの範囲である。基板1の厚さは1.1mm程度、光反射膜は銀等の薄膜である。
【0133】
当該構成の二層型光ディスクにおいては、記録トラック(グルーブ)が、光透過層6の表面にも形成されるため、光透過層6は、接着性に優れる紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層の上に、記録トラックを好適に形成できる紫外線硬化型組成物の硬化膜からなる層を積層した複層で形成されていてもよい。
【0134】
図1に示す光ディスクの製造方法を以下に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を射出成形することによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する基板1を作製する。次に基板1の記録トラック側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層2を成膜する。この上に本発明の紫外線硬化型組成物を塗布し、ディスクの片面または両面から紫外線を照射して、紫外線硬化型組成物を硬化させ、光透過層3を形成し、図1の光ディスクを作製する。
【0135】
図2に示す光ディスクの製造方法を以下に説明する。
まず、ポリカーボネート樹脂を射出成形にすることによって、記録トラック(グルーブ)と呼ばれるレーザー光をトラッキングするための案内溝を有する基板1を作製する。次に、基板1の記録トラック側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層6を成膜する。
【0136】
この上に、本発明の紫外線硬化型組成物又は任意の紫外線硬化型組成物の光透過層5を形成するが、その際に型を用いて表面に記録トラック(グルーブ)を転写する。記録トラック(グルーブ)を転写する工程は次の通りである。基板1に形成された光反射層6上に紫外線硬化型組成物を塗布し、その上に記録トラック(グルーブ)を形成するための型と貼り合わせ、この貼り合わせたディスクの片面または両面から紫外線を照射して、紫外線硬化型組成物を硬化させる。その後、型を剥離して、光透過層5の記録トラック(グルーブ)を有する側の表面に、銀合金などをスパッタまたは蒸着することにより光反射層2を成膜し、この上に、紫外線硬化型組成物を塗付した後、紫外線照射により硬化させ、光透過層3を形成することで、図2の光ディスクを作製できる。また、光反射層に相変化型記録層を用いる場合でも上記と同様の方法により光ディスクを作成することができる。
【実施例】
【0137】
次に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下実施例中の「部」は「質量部」を表す。
【0138】
(合成例1)
〔ウレタンアクリレート(UA1)の合成〕
撹拌機、ガス導入管、コンデンサーおよび温度計を備えたフラスコに、イソホロンジイソシアネート444部、ジブチル錫ジアセテート、スミライザーBHT〔住友化学工業(株)製酸化防止剤〕およびメトキノン〔精工化学工業(株)製重合禁止剤〕を加え、均一に混合しながら徐々に昇温した。60℃に達したところで、ヒドロキシエチルアクリレート(計算分子量;116)を232部加えて3時間反応した後、PTG−L2000〔テトラヒドロフランとメチルテトラヒドロフランとの共重合により得られるポリエーテルポリオール、数平均分子量;2000、保土谷化学(株)製〕2000部を加え、80℃で3時間反応させ、ウレタンアクリレート(UA1)〔オリゴマー/酢酸ブチル=70/30%希釈時のガードナー粘度;V−W(25℃)、ガードナーカラー;1以下、重量平均分子量;10,219〕を得た。
【0139】
(合成例2)
〔ウレタンアクリレート(UA2)の合成〕
撹拌機、ガス導入管、コンデンサーおよび温度計を備えたフラスコに、イソホロンジイソシアネート444部、ジブチル錫ジアセテート、スミライザーBHT〔住友化学工業(株)製酸化防止剤〕およびメトキノン〔精工化学工業(株)製重合禁止剤〕を加え、均一に混合しながら徐々に昇温した。60℃に達したところで、ヒドロキシエチルアクリレート(計算分子量;116)を232部加えて3時間反応した後、PTG−L3000〔テトラヒドロフランとメチルテトラヒドロフランとの共重合により得られるポリエーテルポリオール、数平均分子量;3000、保土谷化学(株)製〕3000部を加え、80℃で3時間反応させ、ウレタンアクリレート(UA2)〔オリゴマー/酢酸ブチル=70/30%希釈時のガードナー粘度;Y―Z(25℃)、ガードナーカラー;1以下、重量平均分子量;15,442〕を得た。
【0140】
(合成例3)
〔エポキシアクリレート(EA1)の合成〕
温度計、攪拌機および環流冷却器を備えたフラスコに、フェノキシエチルアクリレート65.5gを入れ、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量189g/当量;大日本インキ化学工業株式会社製EPICLON850)189gを溶解し、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1gを加えた後、アクリル酸50.7g(0.7mol)を仕込んだ。触媒としてトリフェニルホスフィン0.48gを添加し、攪拌を行いながら2時間で130℃まで昇温した。130℃で6時間保持した後、酸価が0mg/KOHになった事を確認した後、80℃まで降温してアクリル酸22.2g(0.3mol)を仕込んだ。1時間で再び130℃まで昇温してトリフェニルホスフィン0.48gを添加し4時間保持後、分岐エポキシアクリレート(EA1)を含有する淡黄色透明の樹脂状の反応混合物(酸価=0.2mg/KOH、酢酸ブチル希釈粘度(反応混合物/酢酸ブチル=80/20)=U−V、エポキシ当量=15,000)を得た。
【0141】
下記表1に示した配合(表中の組成の数値は質量部を表す)により調整した各組成物を60℃で3時間加熱、溶解して、実施例1〜5及び比較例1〜2の紫外線硬化型組成物を調製した。得られた組成物について、下記の評価を行い、得られた結果を示す。
【0142】
<弾性率の測定方法>
各サンプルについて、ガラス板上に硬化塗膜が100±10μmになるように塗布した後、高圧水銀灯(コールドミラー付き、ランプ出力120W/cm)を用いて窒素雰囲気中で1,000mJ/cmで硬化させた。この硬化塗膜の弾性率をティー・エイ・インストルメント(株)社の自動動的粘弾性測定装置で測定し、25℃における動的弾性率E’を弾性率とした。
【0143】
<静摩擦係数の測定方法>
直径120mm、厚さ1.2mmの光ディスク基板を準備し、銀を主成分とするビスマスとの合金を20〜40nmの膜厚でスパッタした後、該金属反射膜上に、表2の各紫外線硬化型組成物をスピンコーターで膜厚が硬化後に100±10μmになるように塗布し、コールドミラー付き高圧水銀灯120W/cmを用いて照射量500mJ/cm(アイグラフィックス社製光量計UVPF−36)の紫外線を2回照射、硬化して試験用ディスクサンプルを得た。
各サンプルで作製した光ディスクについて24時間放置後、HEIDON社製 トライボギアミューズを用い、静摩擦係数を測定した。
【0144】
<起泡性の評価方法>
実施例及び比較例にて調整した組成物を500Paまで減圧した後5分間静置したときの液表面に発生する泡を目視で評価した。静置後に起泡による塗工欠陥が生じないものを○、塗工欠陥が生じたものを×とした。
【0145】
<相溶性の評価方法>
実施例及び比較例にて調整した組成物の濁りを目視にて評価した。濁りが観察されないものを○、濁りが観察されたものを×とした。
【0146】
<液切れの評価方法>
ディスクへのコーティングに際して、紫外線硬化型組成物滴下・塗工後にディスク中心部キャップを外すプロセスでの液切れを評価した。キャップを外す際にディスク塗工面への液の飛散による塗工欠陥が生じなかったものを○、生じたものを×とした。
【0147】
【表1】

【0148】
表中の記号は以下のとおりである。
・UA1:合成例1にて合成したウレタンアクリレート
・UA2:合成例2にて合成したウレタンアクリレート
・EA1:合成例3にて合成したエポキシアクリレート
・EA2:ビスフェノールA型エポキシアクリレート「VR77」 昭和高分子(株)製
・UA3:ウレタンアクリレートオリゴマー「フォトマー6019」(G−PPG/IPDI/HEA,G−PPG:グリセリン変性したプロピレングリコールジアクリレート、IPDI:イソホロンジイソシアネート、HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレートを表す) コグニスジャパン製
・UA4:ウレタンアクリレートオリゴマー「フォトマー6008」(G−PPG/H12MDI/HEA,G−PPG:グリセリン変性したプロピレングリコールジアクリレート、H12MDI:水添ジフェニルメタンジイソシアネート、HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレートを表す) コグニスジャパン製
・BPE4−A:4モルのEO変性ビスフェノールAジアクリレート 第一工業製薬(株)製
・HPN:ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート
・PHE:フェノキシエチルアクリレート
・ACMO:アクリロイルモルホリン 興人(株)製
・KAYARAD MANDA:ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート 日本化薬(株)製
・Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン チバジャパン社製
・Irg369:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホルノフェニル)−ブタン−1−オン チバジャパン社製
・PM−2:エチレンオキシド変性リン酸メタクリレート(日本化薬(株)製)
・GA:没食子酸(大日本住友製薬(株)製)
・TEGO Rad 2200N:反応性ポリシロキサン、degussa製、
・ビスコート3PA:トリス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]ホスフェート 大阪有機化学工業(株)製
SH6062:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン 東レ・ダウ・コーニング・シリコーン(株)製、
【0149】
実施例1〜5は、 起泡性、相溶性、液切れ性に優れ、好適な滑り性を有するものであった。
比較例1はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)を含有していないために静摩擦係数が高いものであった。比較例2はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)の代わりにシリコーン系スリップ剤を含有しており、静摩擦係数は良好な結果が得られてはいるが、起泡性、相溶性(濁り)、液切れが悪いものであった。比較例3はウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)を30部含有しており、静摩擦係数が比較的高く、また弾性率は低くなった。比較例4は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する組成物であるが、その含有量が多いため静摩擦係数が高いものであった。更に粘度が低いために100±10μmになるように塗布すると均一な膜厚を形成できなかった。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】本発明の単層型光ディスクの一例を示す図である。
【図2】本発明の二層型光ディスクの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0151】
1 基板
2 光反射層
3 紫外線硬化型組成物の光透過層
5 光反射層
6 紫外線硬化型組成物の光透過層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの最外層に使用する紫外線硬化型組成物であって、
テトラヒドロフランとメチルテトラヒドロフランとの共重合ポリエーテルポリオール(a)と、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する化合物(b)と、ヒドロキシル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(c)とからなるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)を含有し、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(X)の含有量が0.1〜15質量%であることを特徴とする光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項2】
前記ポリエーテルポリオール(a)が、2−メチルテトラヒドロフラン及び3−メチルテトラヒドロフランの少なくとも一種と、テトラヒドロフランとのポリエーテルポリオールである請求項1に記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項3】
前記ポリエーテルポリオールの水酸基価から算出される数平均分子量が500〜5000である請求項1又は2に記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項4】
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーを10〜40質量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項5】
前記エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーが、
式(1)〜(2)
【化1】

【化2】

(式(1)〜(2)中、X〜Xは、それぞれ独立してSO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
で表される構造単位の少なくとも一種と、
式(3)〜(4)
【化3】

(式(3)中、Xは、SO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
【化4】

(式(4)中、Xは、SO、CH、CH(CH)またはC(CHを表し、R〜Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。)
で表される構造単位とからなり、
前記式(1)で表される構造単位中のYが、式(1)〜(2)で表される他の構造単位のZ〜Zのいずれか又は式(3)中のZに結合し、
前記式(2)で表される構造単位中のY2〜Yが、それぞれ水素原子、あるいは、式(1)〜(2)で表される他の構造単位のZ〜Zのいずれか又は式(3)中のZに結合し、
前記式(1)〜(2)で表される構造単位中のZ〜Zが、それぞれ式(1)〜式(2)で表される他の構造単位中のY〜Yのいずれか又は式(4)中のYと結合した分岐エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー(E1)である請求項4に記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項6】
紫外線照射により硬化させた硬化物の弾性率が、1500〜4000MPaである請求項1〜5のいずれかに記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物。
【請求項7】
基板上に、光反射層及び光透過層が順に積層され、前記光透過層側からブルーレーザーを入射して情報の再生を行う光ディスクであって、
前記光透過層が、請求項1〜6のいずれかに記載の光ディスク用紫外線硬化型組成物の硬化物からなることを特徴とする光ディスク。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−79999(P2010−79999A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247825(P2008−247825)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】