説明

光ディスク装置、フォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法

【課題】
記録層数が増加し、記録層間のカバー層厚さが変化すると、フォーカス誤差信号による識別方法では誤って異なる記録層に焦点を合わせてしまう場合が懸念される。
【解決手段】
任意の記録層に焦点を位置づけ制御する際に、当該の記録層に対応する補正量から、収差補正素子の補正量を変動させることによって記録層が目標の記録層であるかを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録層を複数有する光ディスクに対してデータ記録または再生を行う光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には「このように、本発明の多層光記録媒体では、一部の記録層の記録層識別エリアには第1の反射率を持つ第1の領域が、他の記録層の記録層識別エリアには第2の反射率を持つ第2の領域が、記録層の積層方向に沿って第1の領域の少なくとも一部と第2の領域の少なくとも一部とが互いに重なり合うように形成されている。このため、ピックアップを第1、第2の領域が重なる部位にセットしてフォーカスジャンプをおこなえば、検出される記録層からの反射光の強度は反射率に応じて異なるため、これを記録層の識別標識として用いることができる。」と記載されている。
【0003】
また、特許文献2には「フォーカスジャンプ前に、トラックへの追従性の指標であるトラッキングエラー(TE)信号の振幅を記憶し、ジャンプ前のTE信号の振幅に対するジャンプ後のTE信号の振幅の比が、所定の閾値以下である場合に、ジャンプを再試行する。また、ジャンプ後に球面収差の補正値を段階的に変化させた場合、TE信号の振幅変化に極大値を検出できないときに、ジャンプを再試行する。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−26479
【特許文献2】特開2009−230781
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のDVD二層ディスクなどでは、任意の記録層にレーザー焦点を合わせサーボ制御を行う際、反射光より得られるフォーカス誤差信号によって記録層数をカウントし、任意の記録層を識別する方法が用いられてきた。
【0006】
現在、規格化されているブルーレイディスク(Blu-ray Disc 以下、BDという)において、光ディスク表面から0.1mm近傍に複数の記録層を有し、片面から複数の記録層へのアクセスを可能とする。複数の記録層はディスクの厚み方向にマイクロメートルオーダーの厚さのカバー層を挟んで配置されている。
【0007】
記録層数が増加し、記録層間のカバー層厚さが変化すると、フォーカス誤差信号による識別方法では誤って異なる記録層に焦点を合わせてしまう場合が懸念される。記録層を誤ってフォーカス引き込みした場合には、従来では光ディスク上のアドレスを読むなどしか識別の方法がなく、記録層誤りと判定するためにさらに処理時間を要する。
【0008】
このような問題を解決するために特許文献1には、各記録層にデータエリアとは別に記録層を識別するための記録層識別エリアを、反射率の異なる領域として設けることによって解決する構成が提案されている。
【0009】
しかし、特許文献1のように、光ディスクの構造に特殊な領域を設けて記録層を判定する方法では光ディスクの製造工程が複雑となることが懸念される。また、従来ディスクとの互換性も低下する。
【0010】
また、特許文献2記載の技術は、誤って焦点が位置づけられた記録層に対して所望(目標)の記録層がいずれの方向(光ディスクの表面側またはその逆側)であるかが考慮されていない。そのため、特許文献2のような技術に3層以上の光ディスクを適用すると、誤って焦点が位置づけられた記録層が一つに定まらず、誤って焦点が位置づけられた記録層がいずれの記録層かを判別できないため、フォーカスジャンプを再試行しようとしても、所望の記録層に焦点を位置づけることができない可能性がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は、所望の記録層にフォーカス引き込み又はフォーカスジャンプを迅速に実行できる光ディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、例えば特許請求の範囲記載の構成を採用することにより解決される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所望の記録層にフォーカス引き込み又はフォーカスジャンプを迅速に実行できる光ディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】光ディスク装置の構成例を示す図
【図2】球面収差補正と光ディスクの記録層位置を示す図
【図3(a)】トラッキング誤差信号の球面収差補正量と合焦点位置との関係を示す図
【図3(b)】トラッキング誤差信号の球面収差補正量と合焦点位置との関係を示す図
【図4】本発明の一実施の処理を示すフローチャート
【図5】本発明の一実施の処理を示すフローチャート
【図6】本発明の一実施の処理を示すフローチャート
【図7】本発明の一実施の処理を示すフローチャート
【図8】本発明の一実施の処理を示すフローチャート
【図9】本発明の一実施の処理を示すフローチャート
【図10(a)】本発明の一実施の処理を示すフローチャート
【図10(b)】本発明の一実施の処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて実施例について説明する。また、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
図1に本発明における実施の一形態を示す。図1において、101は片面からアクセス可能なN個(N≧3、Nは整数)の記録層を持つ光ディスクである。102はレーザー光を光ディスク101の記録層に集光するための対物レンズである。103は対物レンズ102を駆動するための駆動手段(アクチュエータ)である。104はレーザーである。例えば、半導体レーザーであり、レーザー波長は405nmである。105は光ディスク101から反射されるレーザー光を受光する受光器である。
【0017】
106は受光器105により受光されたレーザー光から光ディスク101上の焦点と記録層とのずれを示すフォーカス誤差信号を生成するフォーカス誤差信号生成手段である。107は駆動手段103を焦点方向に駆動するためのフォーカス駆動信号を生成するフォーカス駆動信号生成手段である。108は受光器105により受光されたレーザー光から光ディスク101上の焦点と記録層上のトラック溝とのずれを示すトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成手段である。
【0018】
109は駆動手段103を光ディスク101の略半径方向に駆動するためのトラッキング駆動信号を生成するトラッキング駆動信号生成手段である。110は駆動信号に応じて駆動手段103に駆動電圧を供給する駆動電圧供給手段である。111は光ディスク101上に生じるの焦点における球面収差を補正する球面収差補正素子である。
【0019】
112は球面収差補正素子111を駆動して収差補正を行う球面収差補正制御手段である。113は受光器105が受光した反射光から光ディスク101上に記録された情報を示す信号を生成する再生信号生成手段である。
【0020】
114は前記トラッキング誤差信号または前記再生信号の振幅を測定する信号振幅計測手段である。115は計測された振幅量を記憶するための記憶手段である。記憶手段115は、例えば半導体メモリによって実装する。116は信号振幅計測手段114によって計測された信号振幅または記憶手段115に記憶された信号振幅情報から記録層の判定を行う記録層判定手段である。117は制御手段である。例えば、制御手段117は、CPU等の信号処理回路によって実装する。
【0021】
図1において対物レンズ102からレーザー104、球面収差補正素子111で光ヘッド118を構成する。図1の装置は、対物レンズ102によってレーザー104から出射されるレーザー光を光ディスク101上に集光し焦点を生じる。
【0022】
なお、本光ディスク装置において、フォーカス誤差信号生成手段106、フォーカス駆動信号生成手段107、トラッキング誤差信号生成手段108、トラッキング駆動信号生成手段109、駆動電圧供給手段110、球面収差補正制御手段112、再生信号生成手段113、信号振幅計測手段114、記憶手段115、記録層判定手段116、制御手段117は、例えば、単一のLSIやMPUによって実装するものとする。また、任意の手段を別のLSIによって実装してもよい。
【0023】
図1において、球面収差補正素子111は、レーザー104から対物レンズ102の間のレーザー光路中に配置される。球面収差補正素子111の構成は、レーザー光路中に挿入された略光軸方向に位置可変なレンズを変位させることによって球面収差を補正することができる。例えばレンズ間距離が可変の2枚以上のレンズの組合せによって、そのレンズ間距離を変化させ調整することで、通過光束の球面収差を補正することが可能な、所謂、ビームエキスパンダにより構成される。なお、球面収差補正素子111の構成はこれに限るものではなく、液晶素子などでもよい。例えば、同心円状パターンを有した液晶素子によって、光束の内周部と外周部との間に位相差をあたえることによって上記の効果を与えることが可能である。なお、一般に球面収差補正素子111にレンズの組合せを用いると、液晶素子に比べ価格が安価であり、また制御がしやすい。また、液晶素子を用いると、レンズの組合せに比べ省スペース化が図れ、また駆動時間も速くなる。
【0024】
図2に球面収差補正素子111の球面収差補正量と光ディスク101上の記録層の位置との関係を示す。図2では光ディスク101が四つの記録層を有する場合を例として説明する。光ディスク101上には、対物レンズと対向する側の光ディスク101表面から、第3層、第2層、第1層、第0層の四つの記録層が順番に配置されている。このとき、ディスク表面を基準(0)として、ディスク表面から第0層〜第3層の各記録層の位置をそれぞれT0〜T3で表す(T0>T1>T2>T3)。
【0025】
一方、球面収差補正素子111の球面収差補正量は、素子を構成する収差補正レンズの位置に関係する。光ディスク101の第0層〜第3層に焦点を生じたとき、球面収差の影響が最も低減される収差補正レンズの位置をそれぞれX0〜X3とする。このとき、収差補正レンズの位置をX3からX0に向かう方向を正とするならば、収差補正レンズの位置にはX0>X1>X2>X3の関係がある。以下、収差補正レンズの位置を球面収差補正量と言う。
【0026】
光ディスク101上の任意の記録層に焦点が位置づけされているとき、球面収差補正量が記録層に対応する補正量から大きく離れている場合、収差の影響によってトラッキング誤差信号、再生信号、反射光量などの信号振幅は低下する。
【0027】
例として、四つの記録層を有する光ディスクについて、焦点の位置と球面収差補正量による信号振幅の変化の関係を、トラッキング誤差信号を例に図3(a)、(b)に図示する。
【0028】
図3(a)では焦点が位置づけられた記録層と、球面収差補正が最適となる記録層とが一致すれば、大きな信号振幅が得られ、焦点位置または球面収差補正のどちらか一方が異なる記録層に変化すると信号振幅が低下することを示している。焦点位置または球面収差補正の変化量が大きくなればなるほど、信号振幅の低下量は大きくなる。
【0029】
なお、焦点位置または球面収差補正のいずれかが隣接する記録層に移動した場合、+方向に移動した場合と−方向に移動した場合とで振幅低下量は同一であるとは限らない。また、焦点位置が隣接層に移動した場合と、球面収差補正が隣接層に移動した場合との振幅低下量は同一であるとは限らない。このときの低下量の違いは、隣接する記録層との記録層間距離の違いなどのディスク構造や、光学系の構成などによって決まる。
【0030】
また、焦点位置と球面収差補正の位置とが一致している場合、焦点位置および球面収差補正の位置がどの記録層に位置しているかによって、振幅は異なる場合がある。
【0031】
図1の装置の動作を図4のフローチャートで説明する。例として、図2のような四つの記録層を有する光ディスクを図1の装置に装着した場合について説明する。いずれの記録層に対しても焦点が合っていない状態から、四つの記録層のうち任意の記録層を目標とし焦点の位置づけを行う場合について説明する。例として第1層に焦点の位置づけを行おうとする場合について説明する。
【0032】
はじめに図1の装置は、フォーカス引き込みを開始する(S401)。S402において第1層で球面収差の影響が小さくなるように、球面収差補正素子111を駆動してX1の位置に設定する。
【0033】
S403では、対物レンズ102を光ディスク101の厚み方向に駆動して第1層に焦点を位置づけようとする。このとき、記録層からの反射光によって得られるフォーカス誤差信号または反射光量信号によって第1層を検出するが、ディスクの反射光ばらつきや記録未記録による反射率の変動などによって、記録層数のカウントを誤るなどし、所望の記録層である第1層とは異なる記録層に焦点を位置づけてしまう場合がある。
【0034】
S404では、信号振幅計測手段114によって、トラッキング誤差信号生成手段108で生成されるトラッキング誤差信号の振幅を計測する。ここで計測する信号は、記録層からの反射光から生成される信号で、球面収差の影響を受けるものであれば良く、例えば再生信号、反射光量、ウォブル信号であっても良い。ここで計測された信号振幅をV1とする。なお、再生信号などは、グルーブのない所謂グルーブレス多層の光ディスクである場合に有効である。
【0035】
S405では、S404で計測されたV1と所定の信号振幅Vthとを比較する。Vthは、球面収差補正の位置をX1としたとき、焦点位置が第1層となるときに得られることが期待されるトラッキング誤差信号の振幅V11よりも低い値で、かつ焦点位置のみが隣接する記録層(第0層および第2層)にずれた場合に得られることが期待されるトラッキング誤差信号の振幅(V10およびV12)よりも大きな値として設定される固定値である(V11>Vth,Vth>V10,Vth>V12)。
【0036】
球面収差補正の位置をX1としたとき、振幅がVthより大きい値が得られれば、S410に進み、焦点位置が目標の記録層(第1層)にあると判定する。
【0037】
振幅がVth以下である場合、焦点位置が目標の記録層にないと判定する。どちらの方向にずれているのかを判定するため、S406の処理に進む。S406では球面収差補正量を目標の記録層の位置から−方向にずらし、X2に設定する。なお、S407では、信号振幅計測手段114によって、トラッキング誤差信号生成手段108で生成されるトラッキング誤差信号の振幅を再度計測し、ここで計測された信号振幅をV2とする。S408で、V2とS404で計測されたV1とを比較する。
【0038】
V2>V1の場合、現在の焦点位置に対して、球面収差補正の位置X2およびX1との関係性は、得られた振幅の大小関係(V2>V1)からX2の方が好適な収差補正位置であることになる。したがって、第1層を目標としてフォーカス引き込みを行ったが、第2層側に存在する異なる記録層に誤ってフォーカス引き込みを行っている可能性が高い。
【0039】
図3(b)を用いてこのときの信号振幅と収差補正量の関係を示す。V2>V1では、図3(b)においてX1からX2の範囲で右上がりとなるため、図中丸と破線で示した第2層における振幅変化と類似となる。したがって、目標の第1層から見て第2層側(−方向)の別の記録層に焦点が位置づいていると考えられる。
【0040】
この場合S415に進み、焦点位置が−方向にずれていると判定する。一方、V1≧V2の場合、S409に進む。S409では球面収差補正量を目標の記録層の位置から+方向にずらし、X0に設定する。S410で、信号振幅計測手段114によって、トラッキング誤差信号生成手段108で生成されるトラッキング誤差信号の振幅を再度計測し、ここで計測された信号振幅をV0とする。
【0041】
S411で、V0とS404で計測されたV1と比較する。V0>V1の場合、現在の焦点位置に対して、球面収差補正の位置X0およびX1との関係性は、得られた振幅の大小関係(V0>V1)からX0の方が好適な収差補正位置であることになる。したがって、第1層を目標層としてフォーカス引き込みを行ったが、第0層側に存在する異なる記録層に誤ってフォーカス引き込みを行っている可能性が高い。
【0042】
図3(b)を用いてこのときの信号振幅と収差補正量の関係を示す。V0>V1かつV1≧V2の場合、図3(b)においてX0からX2の範囲で右下がりとなるため、図中ひし形と二点破線で示した第0層における振幅変化と類似となる。したがって、目標の第1層から見て第0層側(+方向)の別の記録層に焦点が位置づいていると考えられる。この場合S413に進み、焦点位置が+方向にずれていると判定する。
【0043】
一方、V1≧V0の場合、S412に進む。この場合、S404、S407、S410で計測された三つの球面収差補正位置X0、X1、X2に対応するトラッキング誤差信号振幅V0、V1、V2の関係性が、V1≧V0かつV1≧V2であり、球面収差補正位置を第1層に対応する位置X1としたときに最大振幅が得られたことになる。
【0044】
図3(b)を用いてこのときの信号振幅と収差補正量の関係を示す。V1≧V0かつV1≧V2の場合、図3(b)においてX0からX2の範囲でX1付近に信号振幅の極地が存在する。図中三角形と一点破線で示した第1層における振幅変化と類似となる。したがって、焦点位置は目標の記録層である第1層にあると判断する。
【0045】
S412、S413、S415のいずれかの処理によって、目標の記録層に対する現在の記録層のずれの方向が確定される。判定された結果が目標層と判定の場合(S412)、フォーカス引き込みは成功しているので、装置はその他の処理を継続できる。その他の処理を行う前に、球面収差補正を第1層に対応するX1の位置に戻す。
【0046】
判定された結果が目標層である第1層でなかった場合、さらに目標層に焦点位置を移動する処理を行うことが出来る。S413、S415のいずれの場合も、球面収差補正の位置を再度目標層である第1層に対応するX1の位置に設定する。+方向にずれていると判定された場合(S413)、焦点位置を−方向に移動するため、−側に隣接する記録層に向かって、すなわち目標の第1層に向かう方向のフォーカスジャンプを行う(S414)。−方向にずれていると判定された場合(S415)は逆に+方向に隣接する記録層に向かって、すなわち目標の第1層に向かう方向のフォーカスジャンプを行う(S416)。S412,S414,S416を経て処理を終了する。
【0047】
S406で設定する収差補正位置として、第2層に最適となる球面収差位置X2の替わりに、Xp=i×X1+(1−i)×X2(iは正の数、0≦i<1)であらわされるXpを用いても良い。これにより、急激に球面収差補正量が変動することがなくなるため、フォーカスサーボの安定性への影響を低減できる。
【0048】
Xpは記録層の間隔|T1−T2|に対して、ディスク製造による各記録層の厚み誤差がΔt以下である場合、(|Xp−X1|/|X2−X1|)>(Δt/|T1−T2|)となるようなiを選択することで、ディスクの厚み誤差による記録層の誤判定を抑制できる。ΔtはBDの場合、例えば5μm.程度である。
【0049】
同様にS409で設定する収差補正位置として、第0層に最適となる球面収差位置X0の替わりに、Xm=j×X1+(1−j)×X2(jは正の数、0≦j<1)であらわされるXmを用いても良い。Xpと同様に、Xmは、記録層の間隔|T1−T0|に対して、ディスク製造による各記録層の厚み誤差がΔt以下である場合、(|Xp−X1|/|X1−X0|)>(Δt/|T1−T0|)となるようなjを選択することで、ディスクの厚み誤差による記録層の誤判定を抑制できる。
【0050】
また、S405のVthによる記録層判定ステップは省略されても良い。S405がなくとも、記録層の判定ができるためである。但し、S404がある方が、光ディスク装置が誤ってフォーカス引き込みなどをする確率が低い場合には、全体として処理の速度は上がる。
【0051】
また、記録層の数は4つに限定されない。記録層の数を一般化した場合、即ち、第0層から第(N−1)層までのN個の記録層が順番に並んで配置され(Nは正の整数、N≧3)、第k層(kは正の整数、0≦k<N)にフォーカス引き込みを行う場合の処理を次に説明する。そのフローチャートを図5に示す。
【0052】
まず、フォーカス引き込みを開始する(S501)。S502では球面収差補正素子111を駆動し、第k層に対応する収差補正量Xkに設定する。S503では第k層に焦点位置づけを行う。S504では信号振幅計測手段114により、トラッキング誤差信号などの指標となる振幅を計測し、この振幅をVkとする。S505ではVkとVthの比較を行い、Vk>VthであればS512に進み焦点が第k層に位置づいたと判定する。Vth>VkであればS506に進む。
【0053】
S506では球面収差補正素子111を第k層の+方向に隣接する第(k+1)層に対応する球面収差補正量であるXk+1に設定する。S507では信号振幅を計測し、Vk+1とする。S508ではVk+1とVkとを比較し、Vk+1>Vkであれば、S515に進み、焦点位置が+方向の記録層にずれていると判定する。この場合、第(k+1)層に誤って焦点が位置づけられたと判定する。
【0054】
Vk≧Vk+1であれば、S509に進む。S509からS511については、第k層と−方向に隣接する第(k−1)層について、S409からS411と同様の処理を行うため、説明を省略する。また、S512〜S517はS412〜417と同様であるため説明を省略する。
【0055】
S506およびS509で設定する球面収差補正量は、S406およびS409と同様に、隣接する記録層に対応する球面収差補正量でなくても、現在の記録層と隣接する記録層との球面収差補正量から一定の比率によって求められる補正量でよい。
【0056】
また、フォーカス引き込みの目標となる第k層が、並んで配置されたN個の記録層のうち最も端に位置する記録層の場合(k=0またはk=N−1)、他の記録層は+側か−側のどちらか一方にしか存在しない。この場合、k=0で+側の隣接記録層が存在しない場合は、S506からS508の処理を省略してもよい。逆に、k=N−1で−側の隣接記録層が存在しない場合はS509からS511の処理を省略しても良く、この場合S508の判定処理がN判定の場合は、S512に移動する。このように、記録層数が異なる場合にも適用できる。
【0057】
また、図5ではフォーカス引き込み時について説明したが、同様の処理をフォーカスジャンプ時に行っても良い。例えば第0層から第(N−1)層までのN個の記録層が順番に並んで配置された(Nは正の整数、N≧3)光ディスクにおいて、第a層(aは正の整数、0≦a<N)から第k層(kは正の整数、0≦k<N)にフォーカスジャンプを行う場合も層判別を行うことが出来る。その一例を図6に示す。
【0058】
なお、図6におけるフォーカスジャンプでは、第a層(aは正の整数、0≦a<N)から第k層(kは正の整数、0≦k<N)に焦点位置を移動する間、球面収差補正の位置を第k層に対応する位置Xkではなく、第a層に対応する位置XaとXkと係数h(hは正の数、0≦h<1)によって決まる位置Xj(Xj=h×Xk+(1−h)×Xa)の位置に設定して行う。この場合、焦点位置の移動後に球面収差補正の位置をXkにあわせる。これにより、フォーカスジャンプの際、急激に球面収差補正量が変動することがなくなるため、フォーカスサーボ外れを抑制することができる。
【0059】
S601にて第a層から第k層にフォーカスジャンプを開始する。このとき、焦点位置は第a層にあり、収差補正位置は第a層に対応する位置Xaにある。S602で球面収差補正素子111を駆動し、収差補正位置をXj(Xj=h×Xk+(1−h)×Xa(hは正の数、0≦h<1))の位置に設定する。hは、上述のiなどと同様の範囲で設定する。次にS603では対物レンズ102をフォーカス方向に駆動して、第k層に焦点位置を移動し、第k層でフォーカスサーボを動作させる。
【0060】
次にS604で信号振幅計測手段114によって、トラッキング誤差信号生成手段108で生成されるトラッキング誤差信号の振幅を計測する。このときの振幅をVaとする。S605では球面収差補正素子111を駆動し、第k層に対応する収差補正位置Xkに設定する。
【0061】
S606では信号振幅計測手段114によって、トラッキング誤差信号生成手段108で生成されるトラッキング誤差信号の振幅を計測し、この信号振幅をVkとする。S607では、S606で計測されたVkと所定の信号振幅Vthとを比較する。振幅がVth以上得られれば、S612に進み、焦点位置が目標の記録層にあると判定される。
【0062】
振幅がVth以下である場合、焦点位置が目標の記録層にないと判定する。どちらの方向にずれているのかを判定するため、S608の処理に進む。S608では、VkとS604で測定されたVaとを比較する。Va>Vkの場合、現在の焦点位置と、収差補正位置XkおよびXhの関係性は、得られた振幅の大小関係から、Xhの方がより収差の影響が少ない補正位置である。したがって、第k層を目標層としてフォーカスジャンプを行ったが、第k層から見て第a層側の異なる記録層に間違えてフォーカスジャンプを行っている可能性が高い。
【0063】
この場合S614に進み、焦点位置が第a層の方向にずれていると判定する。一方、Vk≧Vhの場合、S609に進む。S609では球面収差補正の位置をXkの位置からXaとは逆のXbの位置に設定する。S610で、信号振幅計測手段114によって、トラッキング誤差生成手段108で生成されるトラッキング誤差信号の振幅を再度計測する。このときの振幅をVbとする。
【0064】
S611で、VkとS610で計測されたVbとを比較する。Vb>Vkの場合、現在の焦点位置と、球面収差補正の位置XbおよびXkとの関係性は、得られた振幅の大小関係(Vb>Vk)からXbの方が好適な収差補正位置であることになる。したがって、第k層を目標層としてフォーカスジャンプを行ったが、第a層とは逆側の異なる記録層に間違えてフォーカスジャンプを行っている可能性が高い。
【0065】
この場合S612に進み、焦点位置が第k層から見て第a層とは逆側にずれていると判定する。Vk≧Vbの場合、S612に進む。この場合、S604、S606、S610で計測された三つの球面収差補正位置Xj、Xh、Xbに対応するトラッキング誤差信号振幅Vh、Vk、Vbの関係性が、Vk≧VhかつVk≧Vbであり、球面収差補正位置を第k層に対応する位置Xkとしたときに最大振幅が得られたことになる。このため、焦点位置は目標の記録層である第k層にあると判断する。
【0066】
S612、S613、S615のいずれかの処理によって、目標の記録層に対する現在の記録層のずれの方向が確定される。S614,616は、図4のS414,416と同様であるため説明を省略する。
【0067】
また、フォーカスジャンプの目標となる第k層が、並んで配置されたN個の記録層のうち最も端に位置する記録層の場合(k=0またはk=N−1の場合)、隣接する記録層はフォーカスジャンプ元の第a層の側にしか存在しない。この場合、S609からS611の処理を省略してもよい。この場合S608の判定処理がN判定の場合は、S612に移動する。
【0068】
図6のフォーカスジャンプにおいては、S602の処理は通常のフォーカスジャンプ動作に含まれる処理である。通常のフォーカスジャンプではS605の目標の第k層に対する球面収差補正量Xkへの設定が完了して、フォーカスジャンプ処理完了となる。図6の実施例ではS604で通常のフォーカスジャンプの処理の間に追加して記録層判定のための振幅測定を行うことによって、球面収差補正量の設定の回数を軽減でき、全体の処理時間を短縮している。
【0069】
図6に示したような制御を行わない場合、例えばS601のフォーカスジャンプ開始、S602の収差補正量Xj設定、S603の第k層へのフォーカス制御、S605の収差補正量Xkの手順でフォーカスジャンプを行ったあと、図4に示したようなS401から記録層判定処理を行うことが考えられる。
【0070】
以上本実施例によれば、誤って所望の記録層とは異なる記録層に焦点を位置づけてしまった場合において、所望の記録層にフォーカス引き込み又はフォーカスジャンプを迅速に実行できる光ディスク装置を提供することができる。
【0071】
なお、収差補正を−側に駆動して計測を行うS406〜S408と、収差補正を+側に駆動して計測を行うS409〜411とは、処理の順番が入れ替わっても良い。つまり、まず、収差補正を+側に駆動して計測を行ってもよい。これを示すフローチャートを図7に示す。なお、S701〜705、S712〜717は、S401〜405,S412〜417と同様である。光ディスク装置の特性によって、収差補正を−側に駆動する処理を先に行うか、収差補正を+側に駆動する処理を先に行うかを決めればよい。また、フォーカスジャンプまたはフォーカス引き込みを行う方向に応じて、収差補正を−側に駆動する処理を先に行うか、収差補正を+側に駆動する処理を先に行うかを決めてもよい。例えば、図2おいて第3層から第1層にフォーカスジャンプをする際は、第0層に誤って焦点を合せてしまう可能性が高いとして、収差補正を+側に駆動する処理を先に行なってもよいし、第2層に誤って焦点を合せてしまう可能性が高い場合には、収差補正を−側に駆動する処理を先に行なってもよい。これにより処理速度を向上することができる。
【0072】
また、S407とS410の判定処理は、必ずしもS406とS409の振幅計測処理の直後に行われる必要はない。つまり、二つの振幅計測が終了した後に行われても良い。これを示すフローチャートの一例を図8に示す。また、図9に示すように図8のS810とS811が入れ替わっても良い。
【0073】
また、S414、S416で行われるフォーカスジャンプは、現在位置づけている記録層と目標の記録層と間に存在する記録層数にかかわらず、隣接する記録層へのフォーカスジャンプ処理としてもよい。この場合、フォーカスジャンプを行った後に再度S404から判定処理を行うことで、フォーカスジャンプ後の記録層が目標の記録層かを判定して処理を行えば、記録層数のずれが2層以上のずれであったとしても、隣接する記録層へのフォーカスジャンプを繰り返し行われることで最終的には目標の記録層へ位置づけることができる。複数の記録層を一度にフォーカスジャンプするよりも、隣接の記録層へフォーカスジャンプする処理の方が焦点の移動距離が短いため安定的にフォーカスジャンプを行うことができるため、隣接の記録層へのフォーカスジャンプを繰り返し行う処理とすることで動作の安定性を高めることもできる。図5におけるS514、S516、図6におけるS614、S616、図7におけるS714、S716、図8におけるS814、S816も同様である。
【実施例2】
【0074】
本実施例を図10(a)(b)のフローチャートを用いて説明する。実施例1と異なる点は、誤って焦点が位置付けられた記録層がどの記録層かを判定することを考慮している点である。
【0075】
図10(a)のS1001〜S1013、S1015は、図5のS501〜S513、S515と同様であるため説明を省略する。
【0076】
S1015以降の処理を図10(b)を用いて説明する。S1015で−方向にずれていると判定したが、そのもう1つ−方向の記録層にずれている可能性もある。そのため、S1017では、球面収差補正素子111を駆動してXk+2の位置に設定する。S1018では、信号振幅計測手段114によって、トラッキング誤差信号生成手段108で生成されるトラッキング誤差信号の振幅を計測する。このときの振幅をVk+2とする。
【0077】
S1019では、Vk+2とS1007で測定されたVk+1とを比較する。Vk+2>Vk+1の場合、現在の焦点位置と、収差補正位置Xk+2およびXk+1の関係性は、得られた振幅の大小関係から、Xk+2の方がより収差の影響が少ない補正位置である。したがって、第k層を目標層としてフォーカスジャンプを行ったが、第1層から見て2つの記録層分だけ誤ってフォーカスジャンプを行っている可能性が高い。よって、この場合、−方向に2層分ずれていると判定する(S1020)。そして、球面収差補正の位置を再度目標層である第k層に対応するXkの位置に設定し、現在焦点が合っている第(k+2)層から目標の第k層にフォーカスジャンプを行う(S1021)。
【0078】
一方、Vk+2≦Vk+1の場合、得られた振幅の大小関係から、Xk+1の方がより収差の影響が少ない補正位置である。よって、この場合、−方向に1層分だけずれていると判定する(S1022)。そして、球面収差補正の位置を再度目標層である第k層に対応するXkの位置に設定し、現在焦点が合っている第(k+1)層から目標の第k層にフォーカスジャンプを行う(S1023)。このような処理を経て処理を終了する(S1016)。S1013以降の処理は(B以降の処理)、図10(b)とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0079】
なお、同様の手法により3層分以上誤ってフォーカス引きこみ又はフォーカスジャンプをしてしまう可能性がある場合であっても、対応することができる。
【0080】
以上、本実施例によれば、誤って焦点が位置付けられた記録層をがどの記録層かを判定しつつ、誤って所望の記録層とは異なる記録層に焦点を位置づけてしまった場合において、所望の記録層にフォーカス引き込み又はフォーカスジャンプを迅速に実行できる光ディスク装置を提供することができる。
【0081】
なお、上記実施例1,2では、フォーカス引き込み又はフォーカスジャンプの開始後に、目標の記録層とは異なる記録層に対応した球面収差補正量での信号振幅を取得しているが(例えば、図3におけるV2),例えば、光ディスク装置のセットアップ時に予めこの信号振幅を取得し(フォーカスイープ中など)、記憶手段115に保持しておいてもよい。ただし、実施例1、2のようにフォーカス引き込み又はフォーカスジャンプの開始後に、球面収差補正素子を駆動し、信号振幅を取得する場合は、セットアップ時間の短縮の点などで有効である。
【0082】
また、上記実施例1,2では記録層ごとに異なる球面収差補正の設定値を用いて層判定を行ったが、記録層ごとに最適な設定値が異なるものであれば、別の設定値を用いても良い。例えば、ディスクと対物レンズの相対的な傾きを補正する素子の設定値であるコマ収差補正量を用いてもよい。
【0083】
また、球面収差補正だけでなくコマ収差補正も上記実施例1,2に適用することにより、光ディスクのチルトの影響も考慮するこが可能となるため、より精度良く所望の記録層にフォーカス引き込み又はフォーカスジャンプを実行できる。
【0084】
また、信号振幅計測手段114による信号振幅の計測が行われる間、トラッキング駆動信号生成手段109はトラッキング駆動信号を発生しない状態であっても良いし、対物レンズ102の位置がトラック横断方向について定位置を維持するように制御されても良い。
【0085】
また、任意の波形をトラッキング駆動信号として印加して、任意のパターンで対物レンズ102を駆動しても良い。例えばサイン波パターンの波形を印加することで、レーザー光焦点が光ディスク101のトラック上を複数横断するように駆動すれば、トラック誤差信号を安定的に出力できる。
【符号の説明】
【0086】
101 光ディスク
102 対物レンズ
103 駆動手段
104 レーザー
105 受光器
106 フォーカス誤差信号生成手段
107 フォーカス駆動信号生成手段
108 トラッキング誤差信号生成手段
109 トラッキング駆動信号生成手段
110 駆動電圧供給手段
111 球面収差補正素子
112 球面収差補正制御手段
113 再生信号生成手段
114 信号振幅計測手段
115 記憶手段
116 記録層判定手段
117 制御手段
118 光ピックアップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3層以上の記録層を有する光ディスクに情報を記録または再生可能な光ディスク装置であって、
レーザー光を発光するレーザーと、
前記レーザーから発光されたレーザー光を前記光ディスク上に集光させる対物レンズと、
前記対物レンズを移動させる駆動部と、
前記光ディスクから反射されたレーザー光を受光する受光部と、
前記受光部により受光する反射光に対応する信号を生成する反射光信号生成部と、
前記光ディスク上に集光したレーザー光の焦点に生じる球面収差を補正する球面収差補正部と、
前記球面収差補正素子を制御する球面収差補正制御部と、を備え、
フォーカスジャンプまたはフォーカス引き込みにより、前記記録層のうちの任意の第1の記録層を目標として前記レーザー光の焦点位置を記録層に追従させるフォーカス制御を行い、前記球面収差補正制御部によって設定される球面収差補正量を、前記第1の記録層に焦点を位置づけたときに生じる球面収差を補正するための第1の球面収差補正量とは異なる第2の球面収差補正量に設定したときに前記反射光信号生成部より得られる反射光信号の信号振幅に基づいて、前記レーザー光の焦点がフォーカス制御によって追従している記録層と前記第1の記録層との位置関係を判定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記球面収差補正量を第1の球面収差補正量に設定したときに前記反射光信号生成部により得られる第1の信号振幅と前記球面収差補正量を前記第2の球面収差補正量に設定したときに前記反射光信号生成部により得られる第2の信号振幅とを比較し、前記第2の信号振幅が大きいときは、前記第2の球面収差補正量に対応する第2の記録層の側に存在する記録層から第1の記録層に向かう方向に焦点位置を移動することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光ディスク装置であって
前記第2の信号振幅が、前記第1の信号振幅よりも小さいときは、前記第1の球面収差補正量及び第2の球面収差補正量とは異なる第3の球面収差補正量に設定し、前記第3の球面収差補正量に設定したときに前記反射光信号生成部より得られる第3の信号振幅が前記第1の信号振幅よりも大きいときは、前記第3の球面収差補正量に対応する第3の記録層の側にある記録層から第1の記録層に向かう方向に焦点位置を移動することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項3に記載の光ディスク装置であって、
前記第3の記録層は、前記第1の記録層からみて前記第2の記録層とは逆側の記録層が選択されることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項5】
請求項2に記載の光ディスク装置であって、
フォーカスジャンプまたはフォーカス引き込み時にレーザー光焦点が変位した方向に応じて、前記第2の記録層が前記第1の記録層からみてどちらの方向に存在する記録層かを決定することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項6】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記第1の記録層が最も端に位置する記録層である場合、第2の球面収差補正量は、前記第1の記録層に隣接する記録層に対応する球面収差補正量であることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項7】
請求項2に記載の光ディスク装置であって、
前記第2の球面収差補正量は、前記第1の記録層に焦点を位置づけた際に設定する球面収差補正量と前記第2の記録層に焦点を位置づけた際に設定する球面収差補正量との間に相当する球面収差補正量であることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項8】
請求項2に記載の光ディスク装置であって、
前記第2の信号振幅が前記第1の信号振幅よりも大きい場合に、前記第1の球面収差補正量及び第2の球面収差補正量とは異なる第4の球面収差補正量に設定し、
前記第4の球面収差補正量に設定したときに得られる信号振幅が前記第2の信号振幅よりも大きいときは、前記第4の球面収差補正量に対応する記録層から前記第1の記録層の方向に焦点位置を移動すること特徴とする光ディスク装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記反射光信号生成部は、レーザー光焦点と前記光ディスクの記録層上のトラック溝との位置ずれを示すトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成部、前記光ディスク上に記録された情報の再生信号を生成する再生信号生成部、または前記光ディスクから反射されて前記受光部により受光されたレーザー光の強度を示す反射光量信号を生成する反射光量信号生成部のいずれかであることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項10】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記球面収差補正素子は、前記レーザーから前記対物レンズまでのレーザー光路中に挿入された位置可変なレンズを駆動するレンズ駆動素子、または液晶素子を含んで構成されることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項11】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記球面収差補正素子に代えて、前記光ディスクと前記対物レンズの相対的な傾きを補正するコマ収差補正部を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項12】
3層以上の記録層を有する光ディスクに情報を記録または再生可能な光ディスク装置におけるフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法であって、
レーザー光を発光し、
前記レーザー光を前記光ディスク上に集光させ、
前記光ディスクから反射されたレーザー光を受光し、
前記受光する反射光に対応する反射光信号を生成し、
前記光ディスク上に集光したレーザー光の焦点に生じる球面収差を球面収差補正部により補正し、
フォーカスジャンプまたはフォーカス引き込みにより、前記記録層のうちの任意の第1の記録層を目標として前記レーザー光の焦点位置を記録層に追従させるフォーカス制御を行い、前記球面収差補正制御部によって設定される球面収差補正量を、前記第1の記録層に焦点を位置づけたときに生じる球面収差を補正するための第1の球面収差補正量とは異なる第2の球面収差補正量に設定したときに得られる反射光信号の信号振幅に基づいて、前記レーザー光の焦点がフォーカス制御によって追従している記録層と前記第1の記録層との位置関係を判定することを特徴とするフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法。
【請求項13】
請求項12に記載のフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法であって、
前記球面収差補正量を第1の球面収差補正量に設定したときに得られる第1の信号振幅よりも、前記球面収差補正量を前記第2の球面収差補正量に設定したときに得られる第2の信号振幅とを比較し、前記第2の信号振幅が大きいときは、前記第2の球面収差補正量に対応する第2の記録層の側に存在する記録層から第1の記録層に向かう方向に焦点位置を移動することを特徴とするフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法。
【請求項14】
請求項13に記載のフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法であって、
前記第2の信号振幅が、前記第1の信号振幅よりも小さいときは、前記第1の球面収差補正量及び第2の球面収差補正量とは異なる第3の球面収差補正量に設定し、前記第3の球面収差補正量に設定したときに前記反射光信号生成部より得られる第3の信号振幅が前記第1の信号振幅よりも大きいときは、前記第3の球面収差補正量に対応する第3の記録層の側にある記録層から第1の記録層に向かう方向に焦点位置を移動することを特徴とするフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法。
【請求項15】
請求項14に記載のフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法であって、
前記第3の記録層は、前記第1の記録層からみて前記第2の記録層とは逆側の記録層が選択されることを特徴とするフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法。
【請求項16】
請求項13に記載のフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法であって、
フォーカスジャンプまたはフォーカス引き込み時にレーザー光焦点が変位した方向に応じて、前記第2の記録層が前記第1の記録層からみてどちらの方向に存在する記録層かを決定することを特徴とするフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法。
【請求項17】
請求項12に記載のフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法であって、
前記第1の記録層が最も端に位置する記録層である場合、第2の球面収差補正量は、前記第1の記録層に隣接する記録層に対応する球面収差補正量であることを特徴とするフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法。
【請求項18】
請求項13に記載のフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法であって、
前記第2の球面収差補正量は、前記第1の記録層に焦点を位置づけた際に設定する球面収差補正量と前記第2の記録層に焦点を位置づけた際に設定する球面収差補正量との間に相当する球面収差補正量であることを特徴とするフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法。
【請求項19】
請求項13に記載のフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法であって、
前記第2の信号振幅が前記第1の信号振幅よりも大きい場合に、前記第1の球面収差補正量及び第2の球面収差補正量とは異なる第4の球面収差補正量に設定し、
前記第4の球面収差補正量に設定したときに得られる信号振幅が前記第2の信号振幅よりも大きいときは、前記第4の球面収差補正量に対応する記録層から前記第1の記録層の方向に焦点位置を移動すること特徴とするフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法。
【請求項20】
請求項12に記載のフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法であって、
前記反射光信号は、レーザー光焦点と前記光ディスクの記録層上のトラック溝との位置ずれを示すトラッキング誤差信号、前記光ディスク上に記録された情報の再生信号を生成する再生信号、または前記光ディスクから反射されて前記受光されたレーザー光の強度を示す反射光量信号のいずれかであることを特徴とするフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法。
【請求項21】
請求項12に記載のフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法であって、
前記球面収差補正素子は、前記レーザーから前記対物レンズまでのレーザー光路中に挿入された位置可変なレンズを駆動するレンズ駆動素子、または液晶素子を含んで構成されることを特徴とするフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法。
【請求項22】
請求項12に記載のフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法であって、
前記球面収差補正素子に代えて、前記光ディスクと前記対物レンズの相対的な傾きを補正するコマ収差補正部を備えることを特徴とするフォーカス引き込みまたはフォーカスジャンプの方法。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【公開番号】特開2012−208985(P2012−208985A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73881(P2011−73881)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】