説明

光ディスク装置における乱数データ発生装置、及び乱数データ発生方法

【課題】既存の回路を用いて品位のよい乱数データを生成する。
【解決手段】ピックアップヘッド11から出力された信号を処理するヘッドアンプ14と、ヘッドアンプ14により処理された信号、例えばトラッキングエラー信号を増幅するサーボアンプ18と、サーボアンプ18により増幅された信号をデジタル化して特定のビット幅のデータを出力するA/Dコンバータ24aと、A/Dコンバータ24aにより出力されるデータをもとに乱数データを生成する乱数生成部24bを有する。乱数生成部24bは、トラッキングエラー信号が出力される信号経路からホワイトノイズが出力されるタイミング、例えば電源投入直後に乱数データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置における乱数データ発生装置、及び乱数データ発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CSS(Content Scramble System)、AACS(Advanced Access Control System)、CPRM(Content Protection For Recordable Media)、VCPS(Video Content Protection System)などのコンテンツ保護技術を使用する場合、光ディスク装置では、ホストとの機器認証の際に秘密鍵に対してスクランブルをかける(暗号化する)ための乱数データが必要となる。悪意のあるユーザーによるクラックを回避するため、この乱数データには再現性がないなどの品位が良いことが要求される。
【0003】
従来、乱数データを発生する乱数発生器としては、ホワイトノイズのような物理現象によるランダムパルスを利用したものが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された乱数発生器は、ノイズ源と、ノイズを増幅する増幅器と、基準パルス信号と、当該基準パルス信号を基準に、ノイズレベルに応じてランダムにパルス幅を変動するパルス幅変調回路と、当該パルス幅変調回路の出力パルスの「0」、「1」の状態と前記基準パルス信号の「0」、「1」の状態を対比して乱数データ「0」もしくは「1」を生成する乱数生成回路を有している。
【特許文献1】特開2003−150374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の乱数発生器では、ホワイトノイズなどのランダムパルスを発生させるノイズ源や増幅回路などの回路を追加する必要があった。また、ノイズ源から発生されたホワイトノイズなど、微小な信号を増幅する必要があるため、乱数データを発生させるためだけに余分な電力消費が必要となっていた。
【0005】
また、従来では、論理回路によって擬似乱数を生成する擬似乱数発生器もある。この擬似乱数発生回路では、追加回路が必要ないが、初期値に特別な工夫をしないかぎり乱数のパターンが毎回同じになってしまうなど品位としての問題がある。
【0006】
本発明の課題は、既存の回路を用いて品位のよい乱数データを生成することが可能な光ディスク装置における乱数データ発生装置、及び乱数データ発生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ピックアップヘッドから出力された信号を処理する信号処理手段と、前記信号処理手段により処理された信号を増幅する増幅手段と、前記増幅手段により増幅された信号をデジタル化して特定のビット幅のデータを出力するA/D変換手段と、前記A/D変換手段により出力されるデータをもとに乱数データを生成する乱数データ生成手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光ディスク装置に設けられた既存の回路を利用して、再現性のない品位の良い乱数データを生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるシステムの構成を示すブロック図である。
記録媒体としての光ディスク10は、スパイラル状のトラックが形成されており、ディスクモータ32(例えばスピンドルモータ)によって回転駆動される。
【0010】
光ディスク10に対するデータの記録、再生は、ピックアップヘッド(PUH)11(光ピックアップヘッド)から出力されるレーザ光によって行われる。ピックアップヘッド11は、光ディスク10のデータ読み取り面に対向する位置に、送りモータ28によって光ディスク10の半径方向に移動自在なように支持されている。
【0011】
ピックアップヘッド11には、レーザダイオード、コリメータレンズ、ビームスプリッタ、対物レンズ12、シリンドリカルレンズ、フォトディテクタ、レンズポジションセンサ、モニタダイオード等が含まれている。
【0012】
また、ピックアップヘッド11には、対物レンズ12を直交する2方向に移動させる2軸アクチュエータ、すなわちフォーカシング方向(レンズの光軸方向)に移動させてフォーカスを調整するフォーカスアクチュエータ、対物レンズ12をトッラキング方向(光ディスク10の半径方向)に移動させてトラッキングを調整するトラッキングアクチュエータが設けられている。フォーカスアクチュエータは、ドライバ20から出力されるフォーカス駆動信号により制御され、トラッキングアクチュエータは、ドライバ22からのトラッキング駆動信号により制御される。
【0013】
レーザダイオードは、コントローラ24の制御のもとで、APC(Auto Power Control)36により駆動されることによりレーザ光を出力する。レーザダイオードから出力されたレーザ光は、コリメータレンズ、ビームスプリッタ、対物レンズ12を介して光ディスク10上に照射される。
【0014】
光ディスク10からの反射光は、対物レンズ12、ビームスプリッタ、及びシリンカドリカルレンズを介して、フォトディテクタに導かれる。フォトディテクタは、例えば4分割されている。4分割されたフォトディテクタにより検知された信号は、所定の電圧値に増幅されてRFアンプ13に出力される。
【0015】
APC36は、コントローラ24の制御のもとでレーザダイオードを駆動するもので、レーザ出力のオン/オフ、再生時または記録時におけるレーザ光の強度を制御する。
【0016】
レーザダイオードから出力されたレーザ光は、コリメータレンズ、ビームスプリッタ、対物レンズ12を介して光ディスク10に照射される。光ディスク10による反射されたレーザ光は、対物レンズ12、ビームスプリッタ、及びシリンカドリカルレンズを介して、フォトディテクタ(フォトディテクタ11a,11b,11c,11d)に導かれる。
【0017】
ヘッドアンプ14は、光ディスク装置に設けられた既存の回路であり、フォトディテクタからの信号を処理して出力するもので、レーザ光のビームスポット中心とトラック中心との誤差を示すトラッキングエラー信号(TE)、ジャストフォーカスからの誤差を示すフォーカスエラー信号(FE)、例えば4分割されたフォトディテクタから出力される信号を加算したRF信号または加算信号(フォーカス和信号)などを生成して出力する(詳細については後述する(図2参照))。
【0018】
また、ヘッドアンプ14から出力されるフォーカスエラー信号FEはサーボアンプ16に出力され、トラッキングエラー信号TE(DPD信号、PP信号)はサーボアンプ18に出力される。
【0019】
サーボアンプ16は、ヘッドアンプ14から出力されるフォーカスエラー信号FEを増幅し、ドライバ20からピックアップヘッド11のフォーカシングアクチュエータ(図示せず)に対してフォーカス駆動信号を出力させる。また、サーボアンプ16により増幅された信号は、コントローラ24のA/Dコンバータ24aに出力される。
【0020】
ドライバ20から出力されるフォーカス駆動信号によりフォーカシングアクチュエータが駆動され、ピックアップヘッド11から出力されるレーザ光が光ディスク10の記録膜上にジャストフォーカスとなるようにフォーカスサーボが実行される。
【0021】
サーボアンプ18は、ヘッドアンプ14から出力されるトラッキングエラー信号TEを増幅し、ドライバ22からピックアップヘッド11のトラッキングアクチュエータ(図示せず)に対してトラッキング駆動信号を出力させる。また、サーボアンプ18により増幅された信号は、コントローラ24のA/Dコンバータ24aに出力される。
【0022】
ドライバ22から出力されるトラッキング駆動信号によりトラッキングアクチュエータが駆動され、ピックアップヘッド11から出力されるレーザ光が光ディスク10上に形成されたトラック上を常にトレースするようにトラッキングサーボが実行される。
【0023】
また、アンプ38は、ヘッドアンプ14から出力されるアナログ信号、例えばRF信号、加算信号(フォーカス和信号)LVL、あるいはウォブル信号などを増幅して、コントローラ24のA/Dコンバータ24aに出力する。
【0024】
なお、サーボアンプ16,18、アンプ38は、光ディスク装置に設けられた既存の回路である。
【0025】
コントローラ24は、プロセッサやメモリ(RAM、ROM等)を含んで構成されるもので、メモリに記憶された各種プログラムをプロセッサにより実行することで装置全体を総合的に制御する。コントローラ24には、光ディスク10に記録されるコンテンツの著作権保護のための機能が設けられる。コンテンツの著作権保護には、例えばCSS、AACS、CPRM、VCPSなどのコンテンツ保護技術が利用される。
【0026】
コントローラ24には、コンテンツ保護技術を利用した処理のために、A/Dコンバータ24a、乱数生成部24b、乱数処理部24c、コピープロテクション部24d、エンコーダ24e、及びデコーダ24fが設けられている。
【0027】
A/Dコンバータ24aは、ヘッドアンプ14から出力される信号に応じた処理をコントローラ24において実行するために設けられた既存の回路であり、ヘッドアンプ14から出力されるアナログ信号を、アンプ(サーボアンプ16,18、あるいはアンプ38)を介して入力してデジタル信号に変換する。A/Dコンバータ24aは、例えば8ビット幅のデータを出力する。なお、A/Dコンバータ24aは、8ビット幅以外のデータ幅でデータを出力するものでも良い。
【0028】
本実施形態における光ディスク装置において、例えばヘッドアンプ14からトラッキングエラー信号(DPD−TE)が出力される信号経路を利用して乱数データを生成する場合、A/Dコンバータ24aは、サーボアンプ18により増幅された信号を入力してA/D変換し、このA/D変換により生成されたデータを乱数生成部24bに出力する。
【0029】
乱数生成部24bは、A/Dコンバータ24aから出力される特定のビット幅のデータ(例えば8ビット)をもとに、コンテンツ保護技術において使用される鍵情報(例えば秘密鍵)の暗号化に必要な乱数データを生成する。
【0030】
乱数処理部24cは、乱数生成部24bによって生成された乱数データを用いて、コンテンツ保護技術を利用した処理で使用される鍵情報を暗号化して暗号鍵を生成する。
【0031】
コピープロテクション部24dは、CSS、AACS、CPRM、VCPSなどコンテンツ保護技術を用いて、光ディスク10に記録されるコンテンツの著作権保護のための処理を実行する。コピープロテクション部24dは、鍵情報を生成して乱数処理部24cに出力することにより、乱数処理部24cにより生成された暗号鍵を取得する。コピープロテクション部24dは、乱数処理部24cにより生成された暗号鍵を用いて、例えばホスト40との間の機器認証処理を実行する。また、コピープロテクション部24dは、暗号鍵をエンコーダ24eあるいはデコーダ24fに提供する。
【0032】
エンコーダ24eは、記録可能な光ディスク10に対してコンテンツを記録する場合に、コピープロテクション部24dから得られる暗号鍵を用いて、コンテンツデータを暗号化する。
【0033】
デコーダ24は、光ディスク10に記録されたコンテンツを読み出す場合に、コピープロテクション部24dから得られる暗号鍵を用いて、光ディスク10から読み出された暗号化されたコンテンツデータをデコードする。
【0034】
図2は、ピックアップヘッド11のフォトディテクタ(11a,11b,11c,11d)とヘッドアンプ14の詳細な構成を示す図である。
4分割されたフォトディテクタ11a,11b,11c,11dにより検出された信号A〜Dは、それぞれピックアップヘッド11内に設けられた増幅器11e,11f,11g,11hにより、所定の電圧値となるように増幅される。
【0035】
増幅器11eから出力される信号Aは、ヘッドアンプ14内の加算器14a,14dに入力される。増幅器11fから出力される信号Bは、加算器14b,14cに入力される。増幅器11gから出力される信号Cは、ヘッドアンプ14内の加算器14a,14cに入力される。また、増幅器11hから出力される信号Dは、ヘッドアンプ14内の加算器14b,14dに入力される。従って、加算器14aは、信号Aと信号Cとが加算された、信号(A+C)を出力する。同様にして、加算器14bは、信号(B+D)を出力し、加算器14cは信号(B+C)を出力し、加算器14dは信号(A+D)を出力する。
【0036】
加算器14aから出力される信号(A+C)は、減算器14e、加算器14h、及びHPF(high pass filter)14oに入力される。加算器14bから出力される信号(B+D)は、減算器14e、加算器14h、及びHPF14pに入力される。加算器14cから出力される信号(B+C)は、減算器14f、加算器14gに入力される。加算器14dから出力される信号(A+D)は、減算器14f、加算器14gに入力される。
【0037】
減算器14eは、加算器14aからの信号(A+C)から、加算器14bからの信号(B+D)を引いた信号を出力する。減算器14eから出力された信号は、LPF(low pass filter)14sを介してフォーカスエラー信号(FE)として出力される。すなわち、フォーカスエラー信号FE=(A+C)−(B+D)として生成される。
【0038】
減算器14fは、加算器14dからの信号(A+D)から、加算器14cからの信号(B+C)を引いた信号を出力する。減算器14fから出力された信号は、LPF14tを介してプッシュプル法によるトラッキングエラー信号(PP−TE)として出力される。すなわち、プッシュプル法によるトラッキングエラー信号(PP−TE)=(A+D)−(B+C)として生成される。
【0039】
位相比較器14qは、HPF14oを介して加算器14aから出力された信号(A+C)と、HPF14pを介して加算器14bからの信号(B+D)とを入力して、2つの信号の位相差を表す信号、すなわち信号(A+C)から信号(B+D)を引いた信号を出力する。位相比較器14qから出力された信号は、LPF14rを介して位相差法によるトラッキングエラー信号TE(DPD(Deferential Phase Detection)−TE)として出力される。すなわち、位相差法によるトラッキングエラー信号(DPD−TE)=φ(A+C)−φ(B+D)として生成される。
【0040】
加算器14gは、加算器14dから出力された信号(A+D)と加算器14cから出力された信号(B+C)とを加算して出力する。また、加算器14hは、加算器14aから出力された信号(A+C)と加算器14bから出力された信号(B+D)とを加算して出力する。加算器14iは、加算器14gと加算器14hから出力された信号を加算して出力する。すなわち、加算器14iは、全てのフォトディテクタ11a,11b,11c,11dから出力された信号の全てを加算した信号(A+B+C+D)を出力する。加算器14iから出力された信号は、LPF14jを介して加算信号(フォーカス和信号)LVL(以下、LVL信号と称する)として出力される。また、加算器14iから出力された信号は、HPF14kを介して情報信号RF(以下、RF信号と称する)として出力される。HPF14kを介して出力される信号は、振幅検波器14lに入力される。振幅検波器14lは、RF信号の振幅値を検知し、この振幅値に比例して変化するRF振幅信号RFRPを出力する。
【0041】
振幅検波器14lから出力されるRF振幅信号は、比較器14nに入力される。比較器14nは、基準器14mに予め設定されている基準値とRF振幅信号のレベルとを比較し、基準値よりRF振幅信号のレベルが高い場合に、RF検出信号SIGDET(以下、SIGDET信号と称する)を出力する。
【0042】
以下、図面を参照しながら本実施例の動作について説明する。
本実施形態では、ヘッドアンプ14からトラッキングエラー信号(DPD−TE)が出力される信号経路を利用し、この信号経路から出力されるホワイトノイズをもとに乱数データを生成する場合を例にして説明する。
【0043】
光ディスク装置は、光ディスク10に対してデータのリード/ライトを実行する場合の通常の動作時では、ヘッドアンプ14から出力されるトラッキングエラー信号(DPD−TE)をサーボアンプ18により増幅し、ドライバ22を介してトラッキング駆動信号をピックアップヘッド11に出力する。ピックアップヘッド11のトラッキングアクチュエータは、トラック駆動信号に応じてトラッキングを調整する。
【0044】
一方、光ディスク装置は、電源が投入された直後、すなわちAPC36によりピックアップヘッド11のレーザダイオードを駆動する前では、フォトディテクタ11a,11b,11c,11dに全く光が入らない。
【0045】
フォトディテクタ11a,11b,11c,11dは、全く光が入らない状態ではホワイトノイズを出力する。フォトディテクタ11a,11b,11c,11dのそれぞれから出力されるホワイトノイズは、図2に示すように、増幅器11e,11f,11g,11hにより増幅される。
【0046】
ヘッドアンプ14は、増幅器11e,11f,11g,11hにより増幅されたホワイトノイズに対して、図2に示すように、対角成分を加算(信号(A+C)、信号(B+D))し、対角成分を加算した相関のない信号同士の移相差から信号を生成する。この結果、ヘッドアンプ14は、ランダムノイズであるホワイトノイズを生成して出力することになる。
【0047】
ヘッドアンプ14は、トラッキングエラー信号(DPD−TE)を出力する信号経路から前述したようなホワイトノイズを出力する。ヘッドアンプ14から出力されたホワイトノイズは、サーボアンプ18により増幅され、A/Dコンバータ24aに出力される。A/Dコンバータ24aは、サーボアンプ18により増幅された信号をA/D変換して、例えば8ビット幅のデータを乱数生成部24bに出力する。
【0048】
図3は、この方式により生成したA/Dコンバータ24aから出力される8ビットのデータの一例を示している。図3は、電源投入後に同じクロックタイミングで100回測定(A/Dコンバータ24aから出力されるデータの取得)した場合の各測定時の値を示している。図3に示すように、8ビットのデータが示す0〜256の値が再現性なく現れている。
【0049】
乱数生成部24bは、A/Dコンバータ24aによりホワイトノイズをもとにしたデータが生成されると、このデータ(初期乱数データ)を用いて、コンテンツ保護技術において必要となる乱数データを生成する。
【0050】
A/Dコンバータ24aのビット幅が8ビットとすると、初期乱数データのビットと幅は、秘密鍵のスクランブル(暗号化)に要求される乱数データのビット幅よりも少ない。
【0051】
このため、乱数生成部24bは、乱数生成処理を実行して、A/Dコンバータ24aから出力される初期乱数データを用いて、秘密鍵のスクランブルに要求される乱数データを生成する。
【0052】
図4は、第1の乱数生成処理を説明するためのフローチャートである。図5は、第1の乱数生成処理を説明するための図である。
【0053】
乱数生成部24bは、A/Dコンバータ24aから特定のビット幅(ここでは8ビット)の初期乱数データを取得すると(ステップA1)、この初期乱数データを接続して乱数データを生成する(ステップA2)。
【0054】
ここで、乱数データに要求されるビット幅となっていなければ(ステップA3、No)、乱数生成部24bは、さらに初期乱数データを接続して乱数データを生成する(ステップA2)。乱数生成部24bは、図5に示すように、乱数データに要求されるビット幅となるまで初期乱数データを繰り返し接続する。
【0055】
乱数生成部24bは、初期乱数データを用いて乱数データの生成を完了すると(ステップA3、Yes)、この乱数データを乱数処理部24cに出力する(ステップA4)。
【0056】
このように、第1の乱数生成処理では、A/Dコンバータ24aから出力される初期乱数データを連続して接続することで乱数データを生成することができる。従って、A/Dコンバータ24aから品位の良い(再現性のない)初期乱数データが出力されるタイミングで取得された初期乱数データのみを利用することができる。
【0057】
図6は、第2の乱数生成処理を説明するためのフローチャートである。図7は、第2の乱数生成処理を説明するための図である。
【0058】
乱数生成部24bは、A/Dコンバータ24aから特定のビット幅(ここでは8ビット)の初期乱数データを取得すると(ステップB1)、この初期乱数データを接続して乱数データを生成する(ステップB2)。
【0059】
ここで、乱数データに要求されるビット幅となっていなければ(ステップB3、No)、乱数生成部24bは、さらにA/Dコンバータ24aから出力される初期乱数データを取得し(ステップB1)、同様にして、新たに取得された初期乱数データを接続して乱数データを生成する(ステップB2)。乱数生成部24bは、図6に示すように、乱数データに要求されるビット幅となるまで、初期乱数データを取得し、これを繰り返し接続することで乱数データを生成する。
【0060】
乱数生成部24bは、初期乱数データを用いて乱数データの生成を完了すると(ステップB3、Yes)、この乱数データを乱数処理部24cに出力する(ステップB4)。
【0061】
このように、第2の乱数生成処理では、A/Dコンバータ24aから出力される初期乱数データを複数回取得し、複数の初期乱数データを連続して接続することで、再現性のない乱数データを生成することができる。
【0062】
乱数処理部24cは、コンテンツ保護技術を利用した処理で使用される鍵情報をコピープロテクション部24dから取得し、乱数生成部24bによって生成された乱数データを用いて鍵情報を暗号化して暗号鍵を生成する。
【0063】
コピープロテクション部24dは、乱数処理部24cにより生成された暗号鍵を用いて、コンテンツ保護のための処理を実行する。
【0064】
次に、乱数生成部24bの別の構成例について説明する。
前述した説明では、乱数生成部24bは、A/Dコンバータ24aから出力されたデータ(初期乱数データ)をそのまま用いて乱数データを生成しているが、初期乱数データをもとに擬似乱数データを生成する構成としても良い。
【0065】
図8は、擬似乱数データを生成する乱数生成部24bの構成を示すブロック図である。図8に示すように、乱数生成部24bは、初期データをもとに擬似乱数データを生成する擬似乱数生成回路24b2と、A/Dコンバータ24aにより出力される特定のビット幅のデータを複数接続して、擬似乱数生成回路24b2で用いられる初期データを生成する初期値生成部24b1が設けられている。擬似乱数生成回路24b2は、例えば論理回路の組み合わせにより構成されており、最初に入力される初期データをもとに擬似乱数データを発生する。
【0066】
初期値生成部24b1は、例えば図4に示す第1乱数生成処理によって、擬似乱数生成回路24bで用いられる初期データを生成する。すなわち、初期値生成部24b1は、A/Dコンバータ24aから出力される初期乱数データを複数シリアルに接続して、初期データを生成する。
【0067】
擬似乱数生成回路24b2は、初期値生成部24b1により生成された初期データを入力し、擬似乱数データを生成して乱数処理部24cに出力する。擬似乱数生成回路24b2は、A/Dコンバータ24aから出力される再現性のない初期乱数データ(ホワイトノイズをもとにして生成されたデータ)を用いて擬似乱数データを生成する。従って、擬似乱数生成回路24b2から出力される擬似乱数データの乱数パターンが同じになることを回避できる。
【0068】
このようにして、A/Dコンバータ24aから出力される、ホワイトノイズをもとに生成される初期乱数データを、擬似乱数生成回路24b2の初期データとして使用することが可能となる。
【0069】
なお、前述した説明では、トラッキングエラー信号(DPD−TE)が出力される信号経路を利用して、この信号経路から入力されたホワイトノイズをサーボアンプ18により増幅し、A/Dコンバータ24aによりA/D変換して、乱数データを生成しているが、ヘッドアンプ14から出力される他の信号の信号経路を用いて、乱数データを生成するように構成することも可能である。
【0070】
例えば、プッシュプル法によるトラッキングエラー信号(PP−TE)が出力される信号経路を利用することができる。トラッキングエラー信号(PP−TE)の信号経路は、トラッキングエラー信号(DPD−TE)と同様にして、サーボアンプ18により増幅されて、A/Dコンバータ24aに出力される。
【0071】
また、フォーカスエラー信号FEが出力される信号経路を利用することができる。フォーカスエラー信号FEは、サーボアンプ16により増幅され、A/Dコンバータ24aに出力される。ピックアップヘッド11のレーザダイオードがAPC36によって駆動されていない時、フォーカスエラー信号FEの信号経路からホワイトノイズが出力される。この信号経路から入力されたホワイトノイズをサーボアンプ16により増幅し、A/Dコンバータ24aによりA/D変換する。乱数生成部24bは、A/Dコンバータ24aから出力されるデータを用いて乱数データを生成する。
【0072】
同様にして、ヘッドアンプ14から出力されるRF信号、加算信号(フォーカス和信号)LVL、あるいはウォブル信号など、その他のヘッドアンプ14から出力される信号の信号経路を利用することができる。アンプ38は、これらの信号経路から出力される信号を増幅し、A/Dコンバータ24aに出力する。この信号経路からホワイトノイズが出力されるタイミングで、乱数生成部24bは、A/Dコンバータ24aによりA/D変換されたデータを用いて乱数データを生成することで、再現性のない品位の良い乱数データを生成することができる。
【0073】
また、前述した説明では、光ディスク装置の電源投入直後のピックアップヘッド11(フォトディテクタ11a,11b,11c,11d)に光が入力されていないタイミングでA/Dコンバータ24aから出力されるデータをもとに、乱数データを生成するとしているが、電源投入直後に限るものではない。ヘッドアンプ14からホワイトノイズが出力されるタイミングであれば、いつでも良い。
【0074】
このようにして、何れの信号の信号経路を利用しても、光ディスク装置に設けられた既存の回路(ピックアップヘッド11、ヘッドアンプ14、サーボアンプ16,18、アンプ38等)を使用するので、乱数データを生成するためだけの専用の回路、例えば雑音源とする回路などを追加することなく、再現性のない品位の良い乱数データを生成することができる。
【0075】
さらに、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題の少なくとも1つが解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果の少なくとも1つが得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施形態におけるシステムの構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態におけるピックアップヘッド11のフォトディテクタとヘッドアンプ14の詳細な構成を示す図。
【図3】本実施形態におけるA/Dコンバータ24aから出力される8ビットのデータの一例を示す図。
【図4】本実施形態における第1の乱数生成処理を説明するためのフローチャート。
【図5】第1の乱数生成処理を説明するための図。
【図6】本実施形態における第2の乱数生成処理を説明するためのフローチャート。
【図7】第2の乱数生成処理を説明するための図。
【図8】本実施形態における擬似乱数データを生成する乱数生成部24bの構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0077】
10…光ディスク、11…ピックアップヘッド(PUH)、12…対物レンズ、14…ヘッドアンプ、16,18…サーボアンプ、20,22,26…ドライバ、24…コントローラ、24a…A/Dコンバータ、24b…乱数生成部、24c…乱数処理部、24d…コピープロテクション部、24e…エンコーダ、24f…デコーダ、28…送りモータ、30…モータ制御回路、32…ディスクモータ、36…APC、38…アンプ、40…ホスト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピックアップヘッドから出力された信号を処理する信号処理手段と、
前記信号処理手段により処理された信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段により増幅された信号をデジタル化して特定のビット幅のデータを出力するA/D変換手段と、
前記A/D変換手段により出力されるデータをもとに乱数データを生成する乱数データ生成手段と
を具備したことを特徴とする光ディスク装置における乱数データ発生装置。
【請求項2】
前記乱数データ生成手段は、
前記光ディスク装置の電源が投入された直後に前記A/D変換手段により出力されたデータをもとに乱数データを生成することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置における乱数データ発生装置。
【請求項3】
前記乱数データ生成手段によって生成された乱数データを用いて、コンテンツ保護技術を利用した処理で使用される鍵情報を暗号化する乱数処理手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置における乱数データ発生装置。
【請求項4】
前記乱数データ生成手段は、前記A/D変換手段により出力される特定のビット幅のデータを複数接続して、前記乱数データを生成することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置における乱数データ発生装置。
【請求項5】
前記乱数データ生成手段は、前記A/D変換手段により複数回出力される特定のビット幅のデータを接続して、前記乱数データを生成することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置における乱数データ発生装置。
【請求項6】
前記乱数データ生成手段は、
初期データをもとに擬似乱数データを生成する擬似乱数生成手段と、
前記A/D変換手段により出力される特定のビット幅のデータを複数接続して、前記初期データを生成する初期値生成手段とを具備したことを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置における乱数データ発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−273030(P2007−273030A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−99366(P2006−99366)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(504224854)東芝サムスン ストレージ・テクノロジー株式会社 (74)
【Fターム(参考)】