説明

光ディスク装置

【課題】直径の異なる光ディスクに対応するための光ディスクの位置決め機構を簡略化したスロットイン方式の光ディスク装置を提供する。
【解決手段】フロントアーム101およびストッパアーム102はそれぞれの一端において互いに係合離脱自在に構成され、連動して動作し、フロントアーム101およびストッパアーム102は、カバーシャーシ9の裏面に配設されたディスクストッパと呼称される部材を溝部9gに沿って往復移動可能にするとともに、ディスクストッパ201の溝部9gに沿った移動範囲を、光ディスクの直径に応じて所定の範囲内に規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコンパクト・ディスク(いわゆるCD)やディジタル・バーサタイル・ディスク(いわゆるDVD)等の、情報記録媒体としての光ディスクに信号を記録、または記録された信号を再生するための光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクを直接出し入れする、いわゆるスロットイン方式の光ディスク装置においては、例えば特許文献1に開示されるように、直径の異なる光ディスクに対応するために、光ディスクの進出退避方向に沿った中心軸上にディスクストッパと呼称される光ディスクの位置決め部材が設けられている。
【0003】
ディスクストッパは、上記中心軸上の所定位置から中心軸に沿って往復移動可能に構成され、光ディスクが光ディスク装置内に収納された場合、光ディスクの直径に合わせてディスクストッパが所定の位置まで移動し、そこで移動を停止することで、光ディスクの進出退避方向での位置決めを自動的に行う構成となっていた。
【0004】
【特許文献1】特開2004−185771号公報(図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上説明したように、従来の光ディスク装置では、ディスクストッパにより光ディスクの進出退避方向での位置決めを自動的に行う構成となっていたが、ディスクストッパを光ディスクの進出退避方向に沿った中心軸上で往復移動可能とするための機構が複雑であり、構造的にトラブルが発生しやすく、また、製造コストの増加が予想される。
【0006】
本発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、直径の異なる光ディスクに対応するための光ディスクの位置決め機構を簡略化したスロットイン方式の光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光ディスク装置は、光ディスクを直接に収納および排出自在で、収納された前記光ディスクに対して情報信号の記録および/または再生を行うための光ディスク装置であって、収納された前記光ディスクを回転可能に支持するターンテーブルと、収納または排出される前記光ディスクとの干渉を回避した下降位置と、収納された前記光ディスクを支持可能な上昇位置との間で、前記ターンテーブルを昇降させるターンテーブル昇降機構と、少なくとも前記ターンテーブル昇降機構に対する駆動力を発生させる駆動源機構と、前記光ディスクの進出退避方向に沿った中心軸上での位置決めを行う位置決め機構とを備え、前記位置決め機構は、前記中心軸上に配設され、前記光ディスクの退避時には、前記光ディスクに当接し、前記光ディスクの退避位置を規制するディスクストッパと、前記ディスクストッパの前記中心軸上での往復移動を可能にするとともに、前記ディスクストッパの移動を所定の範囲内に規制するアーム部と、記アーム部とは高さ位置の異なる平面上に配設され、前記アーム部の動きに連動して、前記光ディスクの進出退避方向に平行な方向での往復移動が可能なスライドプレートと、前記ターンテーブル昇降機構の一部を構成し、前記スライドプレートの一部に係合して、前記スライドプレートの動きに連動して、前記進出退避方向と平面的に直交する第1の方向に直線的にスライドされるとともに、前記ターンテーブルの上昇に際しては、前記駆動源機構からの前記駆動力を受けて前記第1の方向にさらにスライドすることで、前記スライドプレートを強制的にスライドさせるスライダ部材とを有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る光ディスク装置によれば、光ディスクの進出退避方向に沿った中心軸上での位置決めを行う位置決め機構が、ディスクストッパと、中心軸上でのディスクストッパの往復移動を可能にするとともに、中心軸上でのディスクストッパの移動を所定の範囲内に規制するアーム部と、アーム部とは高さ位置の異なる平面上に配設され、アーム部の動きに連動して、光ディスクの進出退避方向に平行な方向での往復移動が可能なスライドプレートと、スライドプレートの一部に係合して、スライドプレートの動きに連動して第1の方向に直線的にスライドするスライダ部材とで構成されるので、比較的簡単な構造で光ディスクの進出退避方向での位置決めを自動的に行うことができ、構造的なトラブルが発生しにくく、また、製造コストも低減した光ディスク装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<実施の形態>
<A.基本的構成および動作>
本発明に係る実施の形態の光ディスク装置1の特徴的な構成および動作について、図1〜図11を用いて説明する。
【0010】
<A−1.外観的構成>
図1および図2は、光ディスク装置1を斜め上方から見た場合の外観構成を示すとともに、直径8cmの光ディスクPD1(第1の光ディスク)を光ディスク装置1内に収納する前の状態および、収納した後の状態を示す斜視図である。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、光ディスクの進出退避方向に平行な軸をY軸(光ディスクの退避方向を(+)Y方向、進出方向を(−)Y方向とする)とし、光ディスクの主面において上記Y軸と直交する軸をX軸(Y軸(+)方向に向いて右側を(+)X方向、左側を(−)X方向とする)とし、光ディスクの主面に直交する軸をZ軸(光ディスクのレーベル面側を(+)Z方向、記録面側を(−)Z方向とする)として説明する。
【0011】
図1に示すように光ディスク装置1は、メインシャーシ11と、メインシャーシ11の上蓋とも言えるカバーシャーシ9とで筐体10を構成し、当該筐体10の1つの側面に光ディスクを出し入れ可能に構成されたスロット状のディスク出入口SLが形成されている。
【0012】
ディスク出入口SLは、メインシャーシ11に設けられた開口部11hと、カバーシャーシ9に設けたられた開口部9hとが合わされることで形成され、開口部9h側にはフラップ20と呼称される光ディスクの押さえ板が配設されている。
【0013】
フラップ20は平面視形状が細長い矩形状をなし、その幅方向においてディスク出入口SLに挿入された構成を採り、光ディスクが挿入されていない状態ではフラップ20の主面が斜めに傾いた状態にあり、光ディスクが挿入されている状態、および光ディスクの進出退避に際してはフラップ20の主面が光ディスクの主面に対してほぼ平行となるように可動に構成されている。なお、図2では光ディスクが光ディスク装置1内に収納されており、フラップ20の主面が光ディスクの主面に対してほぼ平行となった状態を示している。
【0014】
また、カバーシャーシ9の上面には、中心よりややディスク出入口SL寄りの位置に円筒状のクランパ収容部9aが設けられ、クランパ収容部9a内に、クランパ18と呼称される光ディスクの保持部材が回転自在に収容されている。
【0015】
このクランパ18は、Y軸に沿って往復移動する光ディスクと干渉しないように、光ディスクの移動軌跡の高さ位置よりも上側((+)Z方向側)の位置に支持されている。また、クランパ18の内部にはマグネットが収納されており、当該マグネットの磁力によってクランパ18と後述するターンテーブル52(図3)とが吸引し合うことによって、クランパ18とターンテーブル52との間に光ディスクを圧着保持する。
【0016】
カバーシャーシ9の上面の左((−)X方向)端部分には、フロントアーム101と呼称される細長い部材がY方向に延在するように配設され、フロントアーム101の長手方向のディスク出入口SL側とは反対側の先端部の下から(+)X方向に延在するようにストッパアーム102と呼称する細長い部材が配設されている。
【0017】
フロントアーム101およびストッパアーム102はそれぞれの一端において互いに係合離脱自在に構成され、係合した状態では連動して動作する構成となっている。
【0018】
すなわち、ストッパアーム102は長手方向の一方の先端部が、他方の先端部よりも極端に幅が狭い形状を有し、一方の先端部には長手方向に延在する開口部102cを有している。そして、他方の先端部には幅方向にほぼ沿って直列に配接され、ストッパアーム102の上面から突出するボス部102aおよび102b(第1および第2のボス部)(図13)を有している。
【0019】
このボス部102aおよび102bのどちらかと、フロントアーム101の長手方向のディスク出入口SLとは反対側の先端部の裏面に設けられたボス受け部101f(図12)とが係合することで、フロントアーム101およびストッパアーム102が連動することが可能となる。
【0020】
フロントアーム101はそのほぼ中央部に、長手方向に沿った細長い開口部101aを有し、当該開口部101aにはカバーシャーシ9の上面から垂直に突出するボス部9bが係合し、フロントアーム101は開口部101aの形状に沿って長手方向に往復移動可能であるとともに、ボス部9bを中心にして回動可能に構成されている。また、フロントアーム101のほぼ中央部の、クランパ収容部9a側の側面にはバネ104(例えばコイルバネ)の一方端が接続されるフック部101cが設けられている。そして、バネ104の他方端は、フロントアーム101の近傍のカバーシャーシ9の上面から垂直に突出するボス部9cに接続されている。バネ104によって付勢されたフロントアーム101は、回動運動および直線運動に際して動きが規制されることとなる。
【0021】
また、ストッパアーム102は、カバーシャーシ9の上面に回動可能に取り付けられ、ストッパアーム102が回動することで、フロントアーム101が長手方向に往復移動することになる。なお、フロントアーム101およびストッパアーム102の構造については、後にそれぞれ図12および図13を用いてさらに説明する。
【0022】
フロントアーム101およびストッパアーム102は、カバーシャーシ9の裏面に配設されたディスクストッパ201(図3)と呼称される部材を、溝部9g(ガイド溝部)に沿って往復移動可能にするとともに、ディスクストッパ201の溝部9gに沿った移動範囲を、光ディスクの直径に応じて所定の範囲内に規制するための部材であり、フロントアーム101およびストッパアーム102を合わせてアーム部と呼称する。
【0023】
ディスクストッパ201は光ディスクが光ディスク装置1内に退避(収納)する際に、光ディスクの側面に当接するように、ターンテーブル52の近傍が初期位置となるように配設されており、カバーシャーシ9のクランパ収容部9aよりも(+)Y方向の中心軸に沿って形成された溝部9gに案内され、当該中心軸に沿って往復移動することが可能である。なお、ディスクストッパ201の構造については後に図14および図15を用いてさらに説明する。
【0024】
ストッパアーム102の先端部の開口部102cには溝部9gから突出するディスクストッパのボス部201aが係合しているので、ディスクストッパ201の溝部9gに沿った移動に伴い、ストッパアーム102およびフロントアーム101が連動して動くことになる。
【0025】
なお、光ディスクが光ディスク装置1内から進出(排出)する際には、ディスクストッパ201はストッパアーム102を付勢するバネ103の弾性力で初期位置に向けて押し戻される。なお、バネ103としては、例えばねじりバネの一種を使用し、その一方端がカバーシャーシ9の上面から垂直に突出するボス部9dに接続され、他方端がストッパアーム102の裏面に係合する構成となっている。
【0026】
図1では光ディスクPD1が光ディスク装置1内に退避しておらず、ディスクストッパ201が初期位置にある状態を示しているが、図2に示すように光ディスクPD1が光ディスク装置1内に退避すると、ボス部201aの位置から判るように、ディスクストッパ201が光ディスクPD1に押されて退避方向に移動し、フロントアーム101とストッパアーム102のなす角度が、図1の状態に比べて広くなるとともに、フロントアーム101は(−)Y方向にスライドする。
【0027】
<A−2.トラバースユニットの構成>
図3には、メインシャーシ11(図1)内に配設され、メインシャーシ11に対して揺動自在に支持されたトラバースユニット50と呼称される構成と、トラバースユニット50の周辺の構成を説明する斜視図であり、本発明と関連の薄い構成については図示を省略している。
【0028】
トラバースユニット50は、トラバースシャーシ51と呼称される方形枠状体を基体としており、トラバースシャーシ51においては、光ディスクの退避方向側((+)Y方向側)の端部に、X方向に平行するように回動軸51aおよび51bが設けられ、回動軸51aおよび51bがメインシャーシ11に回動自在に支持されることで、回動軸51aおよび51bによって構成される揺動軸P1を中心にしてメインシャーシ11内で揺動可能となっている。
【0029】
上述のようにトラバースシャーシ51は揺動軸P1を中心にして揺動するので、トラバースシャーシ51の光ディスクの進出方向側((−)Y方向側)の端部を揺動変位側端部と呼称する。なお、トラバースシャーシ51の揺動により、ターンテーブル52が昇降することになる。
【0030】
図3に示すように、トラバースシャーシ51の揺動変位側端部の先端部近傍には、ターンテーブル52が設けられている。このターンテーブル52は、磁力により引き寄せられる性質を持つ鉄等の材料により形成されており、クランパ18(図1)との間で光ディスクを挟持する構成となっている。この状態で、後述する回転駆動源機構としてのスピンドルモータ54の駆動力を受けて光ディスクと一体的に回転する。
【0031】
また、トラバースシャーシ51内には、ターンテーブル52と揺動軸P1側の端部との間に、兼用モータ62の駆動力を受けてY軸に沿って移動可能な光ピックアップ57が配設されている。この光ピックアップ57は、光ディスクに信号を記録および/または光ディスクに記録された信号を再生するための構成である。なお、光ピックアップ57の(+)X方向側には、兼用モータ62の駆動力を光ピックアップ57のY軸に沿った移動のための駆動力に変換するスライドラック58が設けられている。スライドラック58には、スライドラック58を駆動するギヤが噛合する際のバックラッシュを防止するバネ59を有している。
【0032】
また、光ピックアップ57の一方の側面外方には兼用モータ62が設けられている。この兼用モータ62は、ディスク搬送動作とターンテーブル昇降動作とピックアップ送り動作との駆動源として用いられる。
【0033】
また、トラバースシャーシ51の揺動変位側の端部には、ほぼX軸に沿って可動なトリガープレート69が配設されている。トリガープレート69は、平面視形状が細長い矩形状をなしており、その幅方向の一方の側面部においてカムスライダ30(スライダ部材)と係合し、また他方の側面側の端縁部のトリガープレート69の長手方向中間部にはカム溝69bが形成されている。カム溝69bは、スライドラック58のボス部58aが係合可能な溝状に形成されており、その延在方向の途中部分で屈曲している。スライドラック58が(−)Y方向に移動して、ボス部58aがカム溝69b内を挿入されて該カム溝69b内を移動することで、トリガープレート69はカム溝69bの屈曲形状に応じた方向に移動される。
【0034】
カムスライダ30は、メインシャーシ11(図示せず)の光ディスクの進出方向((−)Y方向)側の端部に、光ディスクの進出退避方向と直交する方向(X軸)に沿って往復動可能に支持されており、その全体形状は、平面視形状が細長い矩形状をなす第1片30pと、その一方の側面から垂直に延在する第2片30qとで構成されている。
【0035】
そして第1片30pの長手方向の一方の端部からは、側面にラック歯車30aが設けられたギヤ部30dが延在している。ギヤ部30dの平面視形状は細長い矩形状をなし、第1片30pの長手方向に沿って延在し、その幅は第1片30pよりも狭く、ラック歯車30aは第2片30qが設けられた側とは反対側の側面の一部に設けられている。
【0036】
また、第1片30pの長手方向の他方の端部側の、第2片30qが設けられた側とは反対側の側面から水平に張り出すように、フラップ20の開閉に寄与する小片部30bが設けられている。小片部30bは、第1片30pの長手方向に沿ってギヤ部30dとは反対側にも延在するように構成されている。
【0037】
さらに、第1片30pの長手方向の他方の端部側には、第1片30pの主面を貫通する溝部30cが設けられている。
【0038】
溝部30cは、平面視形状が略L字形をなし、第1片30pの長手方向に沿った略直線状の部分と、第2片30qが設けられた側面に向かって斜めに延在する部分とを有している。そして、この溝部30cには、スライドプレート40が係合する構成となっている。
【0039】
スライドプレート40は、メインシャーシ11(図示せず)の(−)X方向側の端部に、光ディスクの進出退避方向(Y軸)に略沿って往復動可能に支持されており、その全体形状は、平面視形状が細長い矩形状をなす第1片40pと、第1片40pの長手方向の一方の端部から、当該長手方向に沿って延在する第2片40qとで構成されている。そして第2片40qの先端部40aの裏面から垂直に突出するボス部40t(図16)が溝部30cに係合している。従って、スライドプレート40は、カムスライダ30がX軸に沿って往復動するのに連動して、Y軸に略沿うように往復動することになる。
【0040】
さらに、第1片40pには、主面を貫通し幅方向に略沿って延在する溝部40bが設けられている。なお、溝部40bが設けられた部分は、第1片40pの側面の一部が水平方向に張り出した部分であり、溝部40bは若干の弧を描くように形成されている。
【0041】
そして溝部40bには、図1において説明したフロントアーム101の裏面から垂直方向に延在する突起部101bが係合する構成となっており、フロントアーム101のY軸に略沿った往復動に連動して、スライドプレート40もY軸に沿って動作する構成となっている。
【0042】
また、図3においては、光ディスクの搬送に使用される搬送ローラ21b、ローラギヤ22およびギヤ23を示すとともに、メインシャーシ11(図示せず)の側面内壁に回動自在に支持され、ギヤ22およびギヤ23に係合するギヤ68と、メインシャーシ11(図示せず)の内側底面に回動自在に支持され、ギヤ23およびギヤ66に係合するギヤ67とを併せて示している。なお、ギヤ66およびギヤ67は、兼用モータ62の回転駆動力を各機構の駆動力として伝える一連のギヤ群の一部を構成しているが、本発明との関係が薄いギヤについて説明は省略する。
【0043】
<A−3.8cm光ディスクの退避動作>
次に、図4〜図6を用いて光ディスクPD1の退避動作の進行状況と、そのときのディスクストッパ201およびそれに関連する部材の位置関係を説明する。なお、図4〜図6においては、カバーシャーシ9を除去するとともに、光ディスク装置1内においてディスクストッパ201と関連の薄い構成については省略している。
【0044】
図4は、搬送ローラ21b(図3)によって光ディスクPD1が光ディスク装置1内に収納され、光ディスクPD1の退避方向の端縁部がディスクストッパ201に当接した直後の状態を示している。この状態ではターンテーブル52は最も下降した位置にある。なお、このときのトラバースシャーシ51の状態については、後に図16を用いてさらに説明する。
【0045】
図5は、光ディスクPD1がディスクストッパ201に当接後、ディスクストッパ201をさらに少し退避方向に押しやるように移動して、ターンテーブル52の中心と光ディスクPD1の中心とが一致した状態を示しており、ストッパアーム102に連動してフロントアーム101が(−)Y方向にスライドし、それに伴ってスライドプレート40も(−)Y方向にスライドする。
【0046】
そして、スライドプレート40の(−)Y方向のスライドにより、カムスライダ30が僅かながら(−)X方向側に引き戻され、その結果、カムスライダ30がギヤ67(図3)に噛合するようになり、ギヤ67の回転駆動力によりカムスライダ30が(−)X方向にさらにスライドされ、これに伴って、トラバースシャーシ51の揺動変位側端部が、ターンテーブル52(図3)をクランパ18(図1)に近づける方向に揺動し、ターンテーブル52が上昇を開始する。なお、このときのトラバースシャーシ51の動作については、後に図17を用いてさらに説明する。
【0047】
図6は、ターンテーブル52(図3)が完全に上昇して、クランパ18(図1)とターンテーブル52とが吸引し合って、クランパ18とターンテーブル52との間に光ディスクPD1が圧着保持された状態を表している。
【0048】
ターンテーブル52が完全に上昇することで接触防止機構により、ディスクストッパ201がさらに少し退避方向に移動することとなり、光ディスクPD1がディスクストッパ201に接触しなくなり、光ディスクPD1の回転に際してディスクストッパ201が干渉することが防止される。なお、上述した接触防止機構については、後に図18を用いてさらに説明する。
【0049】
ここで、ディスクストッパ201はターンテーブル52の近傍が初期位置となるように配設されており、この初期位置は光ディスクPD1を収納する場合に適した位置に設定されており、また、フロントアーム101がストッパアーム102のボス部102aに係合した状態では、フロントアーム101およびストッパアーム102は、直径8cmの光ディスクPD1に応じた範囲でしか動作せず、この範囲を超えるようにディスクストッパ201を退避方向に動かすことはできない。
【0050】
<A−4.12cm光ディスクの退避動作>
図7および図8は、光ディスク装置1を斜め上方から見た場合の外観構成を示すとともに、直径12cmの光ディスクPD2(第2の光ディスク)を光ディスク装置1内に収納する前の状態および、収納した後の状態を示す斜視図である。なお、図7および図8においては、装置構成的には図1および図2と変わらないので、重複する説明は省略し、各部材の動作の違いを中心に説明する。
【0051】
図7では光ディスクPD2が光ディスク装置1内に退避しておらず、ディスクストッパ201が初期位置にある状態を示しているが、図8に示すように光ディスクPD2が光ディスク装置1内に退避すると、ボス部201aの位置から判るように、ディスクストッパ201が光ディスクPD1に押されて退避方向に移動し、フロントアーム101とストッパアーム102のなす角度が、図1の状態に比べて広くなるとともに、フロントアーム101は(−)Y方向にスライドする。
【0052】
このとき、フロントアーム101は直線動作に加えて回動動作も行い、ストッパアーム102上のボス部102bが、フロントアーム101と係合する。
【0053】
次に、図9〜図11を用いて光ディスクPD2の退避動作の進行状況と、そのときのディスクストッパ201およびそれに関連する部材の位置関係を説明する。なお、図9〜図11においては、カバーシャーシ9を除去するとともに、光ディスク装置1内においてディスクストッパ201と関連の薄い構成については省略している。
【0054】
図9は、搬送ローラ21b(図3)によって光ディスクPD1が光ディスク装置1内に収納され、光ディスクPD1の退避方向の端縁部がディスクストッパ201に当接した直後の状態を示している。
【0055】
先に説明したように、フロントアーム101がストッパアーム102のボス部102aに係合した状態では、フロントアーム101およびストッパアーム102は、直径8cmの光ディスクPD1に応じた範囲でしか動作せず、この範囲を超えるようにディスクストッパ201を退避方向に動かすことはできない。
【0056】
しかし、直径12cmの光ディスクPD2を光ディスク装置1内に収納する場合、ディスクストッパ201を退避方向にさらに移動させなければならず、そのための構成がフロントアーム101に設けられた解除ロッド101eである。
【0057】
解除ロッド101eはフロントアーム101の長手方向のディスク出入口SL側の先端部の裏面から垂直に延在しており、その長さは、光ディスクPD2を収納する際および排出する際に、光ディスクPD2の側面が必ず接触する長さに設定され、また、その水平方向での初期位置は、光ディスクPD2を収納、排出する際にのみ光ディスクPD2の側面に接触する位置に設定されている。
【0058】
図9においては、光ディスクPD2が半分以上収納され、退避方向の側面がディスクストッパ201に当接するとともに、(−)X方向の側面が解除ロッド101eに当接した状態を示している。
【0059】
ここで、フロントアーム101は、図1を用いて説明したように、ボス部9bを中心にして回動可能に構成されており、光ディスクPD2の側面に当接した解除ロッド101eは(−)X方向に移動し、それによって解除ロッド101eが設けられた側の先端部とは反対側の先端部が(+)X方向に移動するようにフロントアーム101が回動する。
【0060】
このとき、フロントアーム101と、ストッパアーム102のボス部102aとの係合が解除され、ディスクストッパ201とストッパアーム102のみが光ディスクPD2に押されてさらに退避方向に進むことになる。
【0061】
そして、光ディスクPD2の退避動作がさらに進行すると、一旦解除されたフロントアーム101とストッパアーム102のボス部102aとの係合は、バネ104の弾性力でフロントアーム101が反時計回りに回動し、ターンテーブル52の中心と光ディスクPD2の中心とが一致する直前の位置で、ストッパアーム102のボス部102bとフロントアーム101の裏面に設けられたボス受け部101f(図12)との係合に切り替わる。
【0062】
フロントアーム101がボス部102bに係合した状態では、ストッパアーム102は初期位置に戻ることはできない状態となり、光ディスクPD2の退避動作の進行とともに、ディスクストッパ201がさらに退避方向に進む。
【0063】
このように、フロントアーム101とストッパアーム102とは、光ディスクの直径に応じて、係合位置が切り替わるように構成されており、それにより、ディスクストッパ201のY軸に沿った中心軸上での移動範囲を、光ディスクの直径に応じて切り替えることが可能となっている。従って、直径の異なる光ディスクに対して、進出退避方向に沿った中心軸上での位置決めを自動的に行うことが可能となる。
【0064】
また、フロントアーム101とストッパアーム102との係合の解除を、フロントアーム101に一体的に形成された解除ロッド101eのような単純な構成を用いて行うので、構造が簡略化され、構造上のトラブルの発生を防止できる。
【0065】
図10は、光ディスクPD2がディスクストッパ201に当接後、ディスクストッパ201をさらに退避方向に押しやるように移動して、ターンテーブル52の中心と光ディスクPD2の中心とが一致した状態を示しており、ストッパアーム102に連動してフロントアーム101が(−)Y方向にスライドし、それに伴ってスライドプレート40も(−)Y方向にスライドする。
【0066】
そして、スライドプレート40の(−)Y方向のスライドにより、カムスライダ30が僅かながら(−)X方向側に引き戻され、その結果、カムスライダ30がギヤ67(図3)に噛合するようになり、ギヤ67の回転駆動力によりカムスライダ30が(−)X方向にさらにスライドされ、これに伴って、トラバースシャーシ51の揺動変位側端部が、ターンテーブル52(図3)をクランパ18(図1)に近づける方向に揺動し、ターンテーブル52が上昇を開始する。
【0067】
なお、ここまで光ディスクPD2が退避すると、光ディスクPD2の端縁部は解除ロッド101には接触しなくなり、次に接触するのは、光ディスクPD2が進出方向に移動する際であり、その時には、フロントアーム101とボス部102bとの係合が解除され、フロントアーム101はボス部102aと係合することになる。
【0068】
図11は、ターンテーブル52(図3)が完全に上昇して、クランパ18(図1)とターンテーブル52とが吸引し合って、クランパ18とターンテーブル52との間に光ディスクPD2が圧着保持された状態を表している。
【0069】
ターンテーブル52が完全に上昇することで、後に説明する接触防止機構により、ディスクストッパ201がさらに少し退避方向に移動することとなり、光ディスクPD2がディスクストッパ201に接触しなくなり、光ディスクPD2の回転に際してディスクストッパ201が干渉することが防止される。
【0070】
<B.各部の構成>
ここで再び図3を参照しつつ、図12〜図15を用いて、ディスクストッパ201およびその動作に関連する各部材の構成について説明する。
【0071】
<B−1.フロントアームの構成>
図12にフロントアーム101を裏面側(すなわちカバーシャーシ9の上面に対面する側の主面側)から見た場合の斜視図を示す。
図12に示すように、フロントアーム101の裏面には、長手方向の一方の先端部において主面から垂直に延在する解除ロッド101eが配設され、また、他方の先端部においては、突起部101bが設けられた側の側面に開口部を有する溝状のボス受け部101fが設けられている。また、ボス受け部101fよりも開口部101a寄りに近い部分はボス収納部101gとなっており、ボス受け部101fと同じ側に開口部を有している。
【0072】
先に説明したように、ボス受け部101fには、ストッパアーム102に設けられたボス部102aおよび102bのどちらかが係合し、ボス受け部101fにボス部102bが係合される場合には、ボス収納部101gにボス102aが収納されることになる。
【0073】
また、突起部101bは、ボス収納部101gと開口部101aとの間に設けられている。
【0074】
<B−2.ストッパアームの構成>
図13にストッパアーム102を上面側(すなわちカバーシャーシ9の上面に対面する側とは反対側の主面側)から見た場合の斜視図を示す。
図13に示すように、ストッパアーム102の上面には、長手方向の一方の先端部において長手方向に延在する開口部102cが設けられ、他方の先端部においては、主面から垂直に延在するボス部102aおよび102bが設けられている。ボス部102aおよび102bは、幅方向にほぼ沿って直列に配接されている。
【0075】
<B−3.ディスクストッパの構成>
図14にディスクストッパ201を上面側から見た場合の斜視図を、また、図15にディスクストッパ201を裏面側から見た場合の斜視図を示す。
【0076】
図14および図15に細長形状の上面板201cと、上面板201cの裏面に対して垂直に設けられ、上面板201cの長手方向に沿って弧を描くように延在する側面板201eと、側面板201cの長手方向の両端部にそれぞれ接するように、上面板201cの裏面から垂直に突出する2本の当接柱201dとを有している。当接柱201dは側面板201cの厚みよりも大きな直径を有しており、光ディスクPD1およびPD2の側面は、この当接柱201dに当接し、側面板201cには直接に接しない構成となっている。
【0077】
なお、図15においては、光ディスクPD1(およびPD2)を仮想的に示しているが、これは、先に述べたように、光ディスクPD1(およびPD2)がディスクストッパ201に当接した後、接触防止機構により、ディスクストッパ201がさらに少し退避方向に移動した場合の、ディスクストッパ201と光ディスクPD1(およびPD2)との位置関係を示しており、光ディスクPD1(およびPD2)がディスクストッパ201のどの部分にも接触しないので、光ディスクPD1(およびPD2)の回転に際してディスクストッパ201が干渉することがない。
【0078】
また、上面板201cの上面の長手方向中央部に、上面に対して垂直に突出するようにボス部201aが設けられ、ボス部201aを中心とし、上面板201cの上面の幅方向の両端部からそれぞれ垂直に突出するように設けられ、カバーシャーシ9の溝部9g(図1)に係合する2つのガイド部201bとを有している。
【0079】
ガイド部201bは、カバーシャーシ9の溝部9gの幅よりも少し広い部材であり、ボス部201aとともに、溝部9gと同じ程度の幅を有する基台201x上に配設され、基台201xが溝部9gに係合した状態ではガイド部201bは溝部9g上を溝幅方向に覆うように突出し、ディスクストッパ201が溝部9gから外れることを防止するとともに、ディスクストッパ201がボス部201aを中心として回動することを防止している。
【0080】
<C.装置動作>
次に、図1〜図3を参照しつつ、図16〜図18を用いて光ディスク装置1におけるディスク搬送動作、ターンテーブル昇降動作およびピックアップ送り動作の動作を説明する。
【0081】
<C−1.光ディスク非退避状態での動作>
図16は、図4および図9に示したように、光ディスクが光ディスク装置1内に完全には退避しておらず、ターンテーブル52や光ピックアップ57等が配されたトラバースシャーシ51は、この後、装置1内部に引き込まれる光ディスクとターンテーブル52との干渉を避けるために、回動軸51a、51bを中心にトラバースシャーシ51の揺動変位側端部をターンテーブル52がクランパ18(図1)から離間する方向に揺動し、メインシャーシ11に対して傾斜した状態を示している。
【0082】
このときカムスライダ30は(+)X方向の最終点に位置しており、カムスライダ30のギヤ部30dのラック歯車30aはギヤ67には噛合せず、ギヤ67の回転駆動力は、カムスライダ30のスライド動作には寄与していない。なお、この状態では、ギヤ67の回転駆動力は搬送ローラ21b(図3)の光ディスクを退避させる方向の回転にのみ寄与している。
【0083】
また、カムスライダ30は(+)X方向の最終点に位置しているので、スライドプレート40の第2片40qの先端部40aの裏面から垂直に突出するボス部40tは、カムスライダ30の溝部30cの(−)X方向側の最端部に位置している。
【0084】
また、スライドプレート40の第2片40qの、ボス部40tが設けられた側の側面には、ボス部40tと同じ方向に突出する係合ピン40fが設けられている。係合ピン40fはボス部40tからスライドプレート40の長手方向に沿って少し離れた位置に配設され、その先端部は円錐状となっている。
【0085】
一方、トラバースシャーシ51には、係合ピン40fに対向する位置に、ピン係合壁51xが設けられている。トラバースシャーシ51の揺動変位側端部の(−)X方向の側面に、当該側面に対して垂直に突出するように設けられている。
【0086】
この係合ピン40fおよびピン係合壁51xが、光ディスクPD1(およびPD2)とディスクストッパ201との接触防止機構を構成している。
【0087】
なお、スライドプレート40の第1片40pには、その長手方向に沿うように細長く設けられた開口部40dおよび40eを有しており、両者の長手方向の中心軸は一致し、開口部40dおよび40eを介してネジ止めすることでスライドプレート40がメインシャーシ11の底面に取り付けられるが、上記ネジは、スライドプレート40がY方向に往復移動可能なように取り付けられている。
【0088】
<C−2.光ディスク退避後の動作>
図17は、図5および図10に示したように、光ディスクが装置1内に退避移動し、光ディスクがターンテーブル52の真上位置まで到達した後、回動軸51a、51bを中心にトラバースシャーシ51の揺動変位側端部が、ターンテーブル52をクランパ18(図1)に近づける方向に揺動し、ターンテーブル52が上昇している途中の状態を示している。
【0089】
この動作をさらに説明する。光ディスクがターンテーブル52の真上位置まで移動する際に、カバーシャーシ9の裏面に配設されたディスクストッパ201(図4および図9)が溝部9g(図1)に案内されて(+)Y方向に移動する。このとき、ストッパアーム102(図3)に連動してフロントアーム101(図3)は(−)Y方向にスライドするが、図3を用いて説明したように、スライドプレート40の溝部40bにはフロントアーム101の裏面から垂直方向に延在する突起部101bが係合しているので、フロントアーム101の(−)Y方向のスライドと同時にスライドプレート40も(−)Y方向にスライドする。
【0090】
スライドプレート40が(−)Y方向にスライドすると、それまでカムスライダ30の溝部30cの(−)X方向側の最端部に位置していたスライドプレート40のボス部40tが、図16に示す状態から溝部30cの平面視形状が略L字形をなした屈曲部の斜面を押圧し、カムスライダ30を(−)X方向側に引き戻す動作を行う。
【0091】
この引き戻しの移動距離は僅かであるが、カムスライダ30のギヤ部30dのラック歯車30aがギヤ67に噛合するには充分な距離に設定されており、ギヤ67の回転駆動力がラック歯車30aによって直線駆動力に変換され、カムスライダ30を(−)X方向にスライドさせる。
【0092】
また、スライドプレート40が(−)Y方向にスライドすることで、それに合わせて係合ピン40fの位置も(−)Y方向に移動し、その移動後の位置に合わせるように、ピン係合壁51xがトラバースシャーシ51の上昇とともに上昇してくる。なお、図17に示す状態は、トラバースシャーシ51が未だ完全に上昇しておらず、係合ピン40fとピン係合壁51xとは未係合の状態にある。
【0093】
ここで、図3を用いて説明したようにカムスライダ30は、第1片30pの一方の側面から垂直に延在する第2片30qを有しているが、第2片30qには、トラバースシャーシ51の揺動変位側端部の端面に突出形成された被駆動ボス部51c(図16)が係合する平面視Z字状のカム溝30fが設けられており、カムスライダ30の(−)X方向のスライドに伴って、上記被駆動ボス部51cが上記カム溝30f内を(+)Z方向に引き上げられるように案内されることで、トラバースシャーシ51の揺動変位側端部が、ターンテーブル52をクランパ18(図1)に近づける方向に揺動する。この動作をターンテーブル52の上昇動作と呼称する。
【0094】
なお、光ディスクの進出移動に際しては、カムスライダ30が上記と反対方向にスライドすることで、ターンテーブル52をクランパ18から離間させるようにトラバースシャーシ51が揺動する。この動作をターンテーブル52の下降動作と呼称する。
【0095】
上述したように、被駆動ボス部51cおよびカムスライダ30はターンテーブルを昇降させるターンテーブル昇降機構の主たる構成要素である。
【0096】
カムスライダ30のラック歯車30aの配設長さは、ターンテーブル52が光ディスクを搭載して、光ピックアップ57による情報の記録および/または読み出し動作が可能な(+)Z方向の位置(所定の高さ位置)にまで移動するだけの長さに設定されており、ラック歯車30aがギヤ67との噛合から解除された後は、カムスライダ30のX方向のスライド動作は停止する。
【0097】
なお、ターンテーブル52が所定の高さ位置にまで上昇すると、クランパ18の磁力による吸引力により、光ディスクがターンテーブル52とクランパ18との間に挟持される。
【0098】
<C−3.光ピックアップの送り動作>
図18は、図6および図11に示したように、トラバースシャーシ51が完全に上昇し、光ディスクがターンテーブル52とクランパ18との間に挟持されて、情報の記録および/または読み出し動作が可能となった状態を示している。
【0099】
この状態では、スライドラック58のターンテーブル52側の端部に設けたボス部58aは、トリガープレート69のカム溝69bには係合しなくなり、光ピックアップ57とトリガープレート69との係合が解除され、Y方向に独立してスライド可能な状態となる。これにより、兼用モータ62の回転方向に応じて、光ピックアップ57が所定半径方向(Y軸)に沿って往復移動することが可能となる。
【0100】
なお、情報信号の記録および/または再生に際しては、光ディスクはスピンドルモータ54(図3)の回転駆動力を受けて回転し、光ピックアップ57がY軸に沿って往復移動することで光ディスク上の所定のデータエリアに対して情報信号が記録および/または再生される。
【0101】
ここで、カムスライダ30は、(−)X方向に最も移動した状態を示しており、ラック歯車30aはギヤ67には噛合せず、溝部30cの(+)X方向側の最端部にスライドプレート40のボス部40tが係合している。なお、先に図3を用いてカムスライダ30の溝部30cは、平面視形状が略L字形をなし、第1片30pの長手方向に沿った略直線状の部分と、第2片30qが設けられた側面に向かって斜めに延在する部分とを有していると説明したが、略直線状の部分は、輪郭が階段状に形成されており、カムスライダ30が(−)X方向にスライドするにつれてスライドプレート40を(−)Y方向にスライドさせる形状となっている。
【0102】
この構造により、トラバースシャーシ51が完全に上昇し、光ディスクがターンテーブル52とクランパ18との間に挟持された状態では、ディスクストッパ201(図3)が光ディスクPD1(およびPD2)の側面から退避方向に少し(数mm)離れた位置に存在し、光ディスクPD1(およびPD2)がディスクストッパ201に接触しなくなり、光ディスクPD1の回転に際してディスクストッパ201が干渉することが防止される。
【0103】
従って、カムスライダ30の溝部30cも、光ディスクPD1(およびPD2)とディスクストッパ201との接触防止機構を構成する要素の1つであると言える。
【0104】
一方、トラバースシャーシ51が完全に上昇することで、係合ピン40fとピン係合壁51xの(−)Y方向側の壁面とが係合し、スライドプレート40が(+)Y方向に移動することが防止されることとなり、ディスクストッパ201が光ディスクPD1(およびPD2)の進出方向に移動すること、すなわち光ディスクPD1(およびPD2)に接近することが確実に防止されることとなる。なお、係合ピン40fの先端は円錐状となっており、またピン係合壁51xの(−)Y方向側の壁面のエッジ部も丸みを帯びるように構成されているので、両者は滑らかに、確実に係合することができる。
【0105】
<D.特徴的効果>
以上説明したように、本発明に係る実施の形態の光ディスク装置1においては、ディスクストッパ201により光ディスクの進出退避方向に沿った中心軸上での位置決めを自動的に行うことができ、そのための機構は、カバーシャーシ9の上面に設けられたフロントアーム101およびストッパアーム102と、メインシャーシ11の同一底面上に設けたスライドプレート40およびカムスライダ30で構成されるので、光ディスクの位置決め機構が簡単化され、構造的なトラブルが発生しにくく、また、製造コストも低減できる。
【0106】
なお、以上説明した光ディスク装置1は、直径が8cmおよび12cmの光ディスクに対応する構成であるとしたが、光ディスクの種類はこれに限定されるものではなく、他の直径に対応できるように各部材の寸法を変更すれば、いかなる大きさの光ディスクにも対応できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明に係る実施の形態の光ディスク装置に直径8cmの光ディスクを収納する途中の状態の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る実施の形態の光ディスク装置に直径8cmの光ディスクを収納した状態の外観を示す斜視図である。
【図3】トラバースシャーシの構成を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の光ディスク装置に直径8cmの光ディスクを収納する動作を説明する斜視図である。
【図5】本発明に係る実施の形態の光ディスク装置に直径8cmの光ディスクを収納する動作を説明する斜視図である。
【図6】本発明に係る実施の形態の光ディスク装置に直径8cmの光ディスクを収納する動作を説明する斜視図である。
【図7】本発明に係る実施の形態の光ディスク装置に直径12cmの光ディスクを収納する途中の状態の外観を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る実施の形態の光ディスク装置に直径12cmの光ディスクを収納した状態の外観を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る実施の形態の光ディスク装置に直径12cmの光ディスクを収納する動作を説明する斜視図である。
【図10】本発明に係る実施の形態の光ディスク装置に直径12cmの光ディスクを収納する動作を説明する斜視図である。
【図11】本発明に係る実施の形態の光ディスク装置に直径12cmの光ディスクを収納する動作を説明する斜視図である。
【図12】フロントアームの構成を説明する斜視図である。
【図13】ストッパアームの構成を説明する斜視図である。
【図14】ディスクストッパの構成を説明する斜視図である。
【図15】ディスクストッパの構成を説明する斜視図である。
【図16】光ディスクが退避していない段階でのトラバースユニットの状態を示す斜視図である。
【図17】光ディスクが退避する途中でのトラバースユニットの状態を示す斜視図である。
【図18】光ディスクが退避した段階でのトラバースユニットの状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0108】
9 カバーシャーシ、11 メインシャーシ、20 フラップ、40 スライドプレート、51c 被駆動ボス、52 ターンテーブル、57 光ピックアップ、101 フロントアーム、101e 解除ロッド、102 ストッパアーム、201 ディスクストッパ、PD1,PD2 光ディスク、SL ディスク出入口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを直接に収納および排出自在で、収納された前記光ディスクに対して情報信号の記録および/または再生を行うための光ディスク装置であって、
収納された前記光ディスクを回転可能に支持するターンテーブルと、
収納または排出される前記光ディスクとの干渉を回避した下降位置と、収納された前記光ディスクを支持可能な上昇位置との間で、前記ターンテーブルを昇降させるターンテーブル昇降機構と、
少なくとも前記ターンテーブル昇降機構に対する駆動力を発生させる駆動源機構と、
前記光ディスクの進出退避方向に沿った中心軸上での位置決めを行う位置決め機構と、を備え、
前記位置決め機構は、
前記中心軸上に配設され、前記光ディスクの退避時には、前記光ディスクに当接し、前記光ディスクの退避位置を規制するディスクストッパと、
前記中心軸上での前記ディスクストッパの往復移動を可能にするとともに、前記ディスクストッパの移動を所定の範囲内に規制するアーム部と、
前記アーム部とは高さ位置の異なる平面上に配設され、前記アーム部の動きに連動して、前記光ディスクの進出退避方向に平行な方向での往復移動が可能なスライドプレートと、
前記ターンテーブル昇降機構の一部を構成し、前記スライドプレートの一部に係合して、前記スライドプレートの動きに連動して、前記進出退避方向と平面的に直交する第1の方向に直線的にスライドされるとともに、前記ターンテーブルの上昇に際しては、前記駆動源機構からの前記駆動力を受けて前記第1の方向にさらにスライドすることで、前記スライドプレートを強制的にスライドさせるスライダ部材とを有する、光ディスク装置。
【請求項2】
前記光ディスク装置を収納する筐体の上面に、前記光ディスクの前記進出退避方向に沿った中心軸上に設けられたガイド溝部を有し、
前記アーム部は、
前記ガイド溝部から突出する前記ディスクストッパの一部に、その一方の先端部が係合する細長形状のストッパアームと、
前記ストッパアームの他方の先端部と、その一方の先端部とが係合離脱自在な細長形状のフロントアームと、を有し、
前記ストッパアームは前記筐体の前記上面に回動可能に取り付けられ、
前記フロントアームは、前記筐体の前記上面に、その長手方向に沿った往復移動が可能であるとともに、回動可能に取り付けられ、回動により、前記ストッパアームの前記他方の先端部との係合位置が切り替え可能であって、
前記光ディスク装置内に収納される前記光ディスクの直径に応じて、前記ストッパアームと前記フロントアームとの係合位置が切り替わることで、前記中心軸上での前記ディスクストッパの移動範囲が、前記光ディスクの直径に応じて切り替わる、請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記ストッパアームは、
前記他方の先端部に設けられ、その上面から垂直に突出する第1および第2のボス部を有し、
前記フロントアームの前記一方の先端部は、前記第1および第2のボス部の一方と係合し、
前記フロントアームは、その長手方向の他方の先端部の裏面から垂直に延在し、前記筐体の内部に達する解除ロッドを有し、
前記解除ロッドの移動により、前記フロントアームの前記一方の先端部と、前記第1および第2のボス部のどちらかとの係合を解除するように前記フロントアームを回動させることで前記ストッパアームと前記フロントアームとの係合位置が切り替わる、請求項2記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記光ディスクは、
第1の光ディスクと、前記第1の光ディスクよりも直径の大きな第2の光ディスクとを含み、
前記解除ロッドは、前記第2の光ディスクを収納および排出する際に、前記光ディスクの端縁部が接触する長さに設定されるとともに、その水平方向での初期位置は、前記第2の光ディスクを収納、排出する際にのみ前記第2の光ディスクの側面に接触する位置に設定されている、請求項3記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記スライダ部材は、その主面を貫通し、その長手方向に延在する溝部を有し、
前記溝部は、輪郭が前記第1の方向とは反対の第2の方向に向かうにつれて高さが低くなる階段状に形成された部分を含み、
前記溝部の前記階段状の部分に前記スライドプレートの前記一部が係合した状態で、前記スライダ部材を前記第1の方向にスライドさせることで、前記ディスクストッパを前記光ディスクに当接した位置から、退避方向に離れた位置に移動させる、請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記ターンテーブルは、その揺動動作により前記ターンテーブルを昇降させるトラバースシャーシ上に搭載され、
前記スライドプレートは、
前記トラバースシャーシに隣接する側面側において、前記スライドプレートの裏面側から垂直に突出するように配設された係合ピンを有し、
前記光ディスクが前記情報信号の記録および/または再生を行う状態にまで前記ターンテーブルが上昇した段階で、前記トラバースシャーシに設けられたピン係合壁に、前記係合ピンが係合することで、前記スライドプレートの前記光ディスクの進出方向への移動が制限される、請求項1記載の光ディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2006−190407(P2006−190407A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−2209(P2005−2209)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】