説明

光ディスク装置

【課題】組み立て時のバラツキや外界の温度変化の影響による誤動作を防止して、データのリード/ライト性能の向上を図り、光ディスク装置の信頼性を向上させること。
【解決手段】対物レンズを光ディスクの記録面と略垂直な方向に移動させると共に対物レンズを光ディスクの半径方向に移動させる微動アクチュエータ26と光ピックアップを光ディスクの半径方向に移動させる粗動アクチュエータ31とを備え、微動アクチュエータ26と粗動アクチュエータ31とを連動させて光ディスクに対してデータの書込み及び/又は読み出しを行う光ディスク装置において、対物レンズと光ピックアップとを光ディスクの半径方向において相対的に移動させ、対物レンズと光ピックアップとの移動距離に対するFA駆動信号特性を算出し、算出されたFA駆動信号特性に応じて粗動アクチュエータ31を駆動させる制御部100を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)等の記憶媒体(以下、光ディスク)にデータをリード/ライトする光ディスク装置が開発されている。
【0003】
この光ディスク装置としては、光ディスクに対してデータをリード/ライトするために、対物レンズの焦点を調整するフォーカス制御を行うための駆動手段と、対物レンズを光ディスクの半径方向に移動させてトラッキング制御を行うための駆動手段とを備える光ディスク装置が開発されていたが、このようなフォーカス制御とトラッキング制御とを個別に行う駆動手段を夫々備える光ディスク装置は、近年の小型化及び省エネルギー化の要望に沿うことが難しいという問題があった。
【0004】
そこで、小型化及び省エネルギー化を図るために、対物レンズを有して光ディスクの半径方向に移動可能に支持された光ピックアップと、対物レンズを半径方向に移動させるトラッキングコイル及び対物レンズの焦点を調整するフォーカスコイルを含む第1の駆動手段(微動アクチュエータ)と、光ピックアップを光ディスクの半径方向に移動させるスレッドモータを含む第2の駆動手段(粗動アクチュエータ)とを備え、トラックに追従するように対物レンズを第1の駆動手段より移動させると共に、対物レンズの移動量に追従して光ピックアップを第2の駆動手段により移動させるトラッキング制御を行う光ディスク装置が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−273009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような従来の光ディスク装置は、対物レンズと光ピックアップとの相対距離と微動アクチュエータの駆動信号とは比例関係にあり、例えば、粗動アクチュエータがステップモータである場合には、対物レンズと光ピックアップとの相対距離が粗動アクチュエータの1ステップ相当の距離に対応する際に出力される微動アクチュエータの駆動信号が検出されたとき、粗動アクチュエータが1ステップ駆動されることとなる。
【0006】
しかしながら、微動アクチュエータは、コイル及びヨークマグネットから形成される磁気回路であるため、微動アクチュエータの組み立て時のバラツキや、外界の温度変化の影響を受け、対物レンズと光ピックアップとの相対距離と微動アクチュエータの駆動信号との関係が変動する。
【0007】
この対物レンズと光ピックアップとの相対距離と微動アクチュエータの駆動信号との関係が変動することにより、実際は対物レンズと光ピックアップとの相対距離が粗動アクチュエータの1ステップ相当の距離であるにも拘わらず、微動アクチュエータの駆動信号が粗動アクチュエータの1ステップ相当の距離を示す値にはならず、誤った位置を1ステップ相当の位置と誤認識した状態で制御が行われることとなり、データのリード/ライト性能が低下するという問題が生じ、光ディスク装置の信頼性を低下させることとなる。
【0008】
本発明の課題は、組み立て時のバラツキや外界の温度変化の影響による誤動作を防止して、データのリード/ライト性能の向上を図り、光ディスク装置の信頼性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、光源、当該光源から射出される光束を光ディスクの記録面に集光させる対物レンズ、当該光ディスクの記録面から反射される光束を受光する光検出器を有する光ピックアップと、前記対物レンズを前記光ディスクの記録面と略垂直な方向に移動させると共に、前記対物レンズを前記光ディスクの半径方向に移動させる微動アクチュエータと、前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移動させる粗動アクチュエータと、を備え、前記微動アクチュエータと粗動アクチュエータとを連動させて前記光ディスクに対してデータの書込み及び/又は読み出しを行う光ディスク装置において、
前記対物レンズと前記光ピックアップとを前記光ディスクの半径方向において相対的に移動させ、前記対物レンズと前記光ピックアップとの移動距離に対する微動アクチュエータの駆動信号の特性を算出し、算出された当該微動アクチュエータの駆動信号の特性に応じて、前記粗動アクチュエータを駆動させる制御手段を備えること、
を特徴とする光ディスク装置。
することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の光ディスク装置において、前記粗動アクチュエータは、光ピックアップの移動距離や移動速度を、所定のステップ角のパルス数及びこのパルスの周波数で制御可能なモータであること、を特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の光ディスク装置において、前記制御手段は、前記対物レンズと前記光ピックアップとを前記光ディスクの半径方向において相対的に移動させる際、前記粗動アクチュエータを駆動させて前記光ピックアップを移動させると共に、前記対物レンズが当該粗動アクチュエータの駆動に伴って前記光ディスクの半径方向に移動しないように前記微動アクチュエータを駆動させること、を特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2記載の光ディスク装置において、前記制御手段は、前記対物レンズと前記光ピックアップとを前記光ディスクの半径方向において相対的に移動させる際、前記微動アクチュエータのみを駆動させて前記対物レンズを前記光ディスクの半径方向に移動させること、を特徴としている。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の光ディスク装置において、前記制御手段は、算出された前記微動アクチュエータの駆動信号の特性に基づいて前記粗動アクチュエータの駆動閾値を設定し、前記微動アクチュエータの駆動信号が当該駆動閾値と等しくなるときに前記粗動アクチュエータを駆動させること、を特徴としている。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の光ディスク装置において、前記制御手段は、前記微動アクチュエータを駆動させて前記光束の焦点を調整させた後、前記対物レンズと前記光ピックアップとを前記光ディスクの半径方向において相対的に移動させること、を特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、対物レンズと光ピックアップとの移動距離に対する微動アクチュエータの駆動信号の特性を算出し、算出された微動アクチュエータの駆動信号の特性に応じて粗動アクチュエータを駆動させることができるため、組み立て時のバラツキや外界の温度変化の影響による微動アクチュエータの駆動信号の特性の変動を解消して微動アクチュエータと粗動アクチュエータとの連動性の精度を高めることができる。従って、データのリード/ライト性能が向上され、光ディスク装置の信頼性を向上させることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られるのは勿論のこと、粗動アクチュエータとして所定のステップ角で制御可能なモータを用いることができることから、対物レンズと光ピックアップとの前記光ディスクの半径方向における相対的な移動距離を位置センサ等を用いなくとも算出することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2と同様の効果を得られるのは勿論のこと、粗動アクチュエータを駆動させると共に、対物レンズが当該粗動アクチュエータの駆動に伴って光ディスクの半径方向に移動しないように微動アクチュエータを駆動させることにより、対物レンズの中心の位置と光ピックアップの位置とを光ディスクの半径方向において相対的に移動させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2と同様の効果を得られるのは勿論のこと、微動アクチュエータのみを駆動させて対物レンズを光ディスクの半径方向に移動させることにより、対物レンズの中心の位置と光ピックアップの位置とを光ディスクの半径方向において相対的に移動させることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から4のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、微動アクチュエータの駆動信号の特性に基づいて決定された粗動アクチュエータの駆動閾値に応じて粗動アクチュエータを駆動させることができるため、微動アクチュエータと粗動アクチュエータとの連動性を高めることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1から5のいずれか一項と同様の効果を得られるのは勿論のこと、焦点の調整済みの光束を用いて微動アクチュエータの駆動信号の特性を算出できるため、微動アクチュエータの駆動信号の特性の算出精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[実施の形態1]
以下、図を参照して本発明の実施の形態1を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態1における光ディスク装置の概略断面構成図を示す。
【0022】
図1に示すように、光ディスク装置1は、ディスクトレイ(不図示)に固定されたCDやDVD等の光ディスク2を回転させるスピンドルモータ11を有するディスク駆動機構部10と、光ピックアップ20と、光ピックアップ20を光ディスク2の半径方向Xに移動させる粗動アクチュエータ31に一端が結合され他端が回転自在に光ピックアップ20に結合された送りネジ32を有する光ピックアップ駆動機構部30とを備えて構成されている。
【0023】
光ピックアップ20は、光源21、対物レンズ22、光検出器23、光学レンズ系24、レンズホルダ25等を備えて構成されている。
【0024】
光源21は、レーザ光を発生する半導体レーザダイオードであり、対物レンズ22は、光源21から射出された光束を光ディスク2の記録面に集光させると共に光ディスク2の記録面から反射された反射光束を集光する。
【0025】
光検出器23は、対物レンズ22が集光した反射光束を受光して、反射光束に応じた電気信号に変換する。
【0026】
光学レンズ系24は、光源21から射出された光束をコリメータレンズ(不図示)により平行光束とし、ビームスプリッタ24aを介して対物レンズ22に平行光束を導くと共に、ビームスプリッタ24aを介して対物レンズ22が集光した反射光束を光検出器23に導く。
【0027】
レンズホルダ25は、対物レンズ22を光ピックアップ20に対してバネやワイヤ等の弾性支持部材25aにより支持すると共に、対物レンズ22を光ディスク2の半径方向X及び光ディスクの記録面と垂直な方向Yに移動させる微動アクチュエータを備える。
【0028】
微動アクチュエータは、対物レンズ22を光ディスク2の記録面と垂直な方向Yに移動させて光ディスク2の記録面に集光される光束の焦点を調整(フォーカシング)するためのフォーカスコイルと、対物レンズ22を光ディスク2の半径方向Xに移動させて光ディスク2のトラックに集光された光束を照射させるトラッキング調整を行うトラッキングコイルと、フォーカスコイル及びトラッキングコイル夫々と磁気回路を形成するように配置されたヨークマグネットを備えている。
【0029】
光ピックアップ駆動機構部30の粗動アクチュエータ31は、高精度の位置決め性能を有するモータを用いることが好ましく、特に、光ピックアップ20の移動距離や移動速度を、一定角度(基本ステップ角)のパルス数及びこのパルスの周波数で制御可能なステッピングモータやスレッドモータを用いることが好ましい。
【0030】
粗動アクチュエータ31として所定のステップ角で制御可能なモータを用いることができることから、対物レンズ22と光ピックアップ20との相対的な移動距離を位置センサ等を用いなくとも算出することができる。
【0031】
図2に、本実施の形態1における光ディスク装置1の制御ブロック図を示す。
図2に示すように、光ディスク装置1は、制御部100、メモリ110、スピンドルモータ11を駆動させる第1ドライバ121、微動アクチュエータ26を駆動させる第2ドライバ122、粗動アクチュエータ31を駆動させる第3ドライバ123、駆動検出回路部130、信号処理回路部140等を備えて構成されている。
【0032】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、DSP(Digital Signal Processor)、第1〜3ドライバ121、122、123等に対応する各種コントローラ、A/D変換及びD/A変換回路等により構成されている(例えば、システムLSI(Large Scale Integration))。
【0033】
制御部100は、制御部100内に記憶された各種データやシステムプログラム等をワークエリアに展開し、これらのプログラム及びデータとの協働により、微動アクチュエータ26と粗動アクチュエータ31とを駆動させ、光束の焦点を調整するフォーカシング制御、光束を光ディスクの記録面上のトラックに沿わせるトラッキング制御、光ディスクの記録面上の特定位置へ光束を移動させるシーク制御等をプッシュプル方式と呼ばれる信号処理を用いて実行させ、光ディスク2に対してデータのリード/ライト動作を実現させて光ディスク装置1全体を統括的に制御するものである。
【0034】
本実施の形態1において制御部100は、制御部100内に記憶されている各種処理プログラムや各種データを読み出してワークエリアに展開し、展開されたプログラムに従って、微動アクチュエータ26を駆動させて光束の焦点を調整させた後、対物レンズ22の中心の位置と光ピックアップ20の位置とを光ディスク2の半径方向Xにおいて相対的に移動させ、対物レンズ22と光ピックアップ20との移動距離に対する微動アクチュエータ26の駆動信号の特性(以下、FA駆動信号特性という。)を算出し、算出されたFA駆動信号特性に応じて、粗動アクチュエータ31を駆動させる微動アクチュエータ26の感度補正処理(図3〜5参照)を始めとする各種処理を実行する制御手段である。
【0035】
このように、焦点の調整済みの光束を用いてFA駆動信号特性を算出できるため、FA駆動信号特性の算出精度を向上させることができる。
【0036】
また、本実施の形態1における制御部100は、対物レンズ22の中心の位置と光ピックアップ20の位置とを光ディスクの半径方向Xにおいて相対的に移動させる際、粗動アクチュエータ31を予め設定されたステップ数駆動させて光ピックアップ20を移動させると共に、対物レンズ22が当該粗動アクチュエータ31の駆動に伴って光ディスク2の半径方向Xに移動しないように微動アクチュエータ26を駆動させる。
【0037】
更に、本実施の形態1における制御部100は、算出されたFA駆動信号特性に基づいて、粗動アクチュエータ31の駆動閾値(スレッショルドレベル)を設定し、微動アクチュエータ26の駆動信号(以下、FA駆動信号という。)が設定されたスレッショルドレベルと等しくなるときに粗動アクチュエータ31を駆動(例えば、1ステップ駆動)させる。
【0038】
メモリ110は、微動アクチュエータ26の感度補正処理が実行される際に、粗動アクチュエータ31を駆動させる範囲として予め規定ステップ数が記憶されていると共に、算出されたFA駆動信号特性や設定された粗動アクチュエータ31のスレッショルドレベルが記憶される記憶手段であり、磁気的、光学的記憶媒体若しくは半導体メモリで構成される電気的に消去及び書き換え可能な不揮発性の記憶媒体で構成されている。メモリ110としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)やフラッシュメモリなどが挙げられる。なお、メモリ110は、着脱自在に装着可能な構成としてもよい。
【0039】
第1ドライバ121は、制御部100内のCPUによる指示に基づく第1ドライバ121に対応するコントローラからの制御信号に応じた駆動信号をスピンドルモータ11に出力し、スピンドルモータ11を駆動させる。
【0040】
第2ドライバ122は、制御部100内のCPUによる指示に基づく第2ドライバ122に対応するコントローラからの制御信号に応じたFA駆動信号を微動アクチュエータ26に出力し、微動アクチュエータ26を駆動させる。
【0041】
FA駆動信号は、高周波のパルス信号であり、デューティー比や駆動周波数を調整することにより微動アクチュエータ26を駆動させ対物レンズ22を移動させる。この対物レンズ22の移動により対物レンズ22を支持している弾性支持部材25aに加わる力が調整されることとなる。
【0042】
第3ドライバ123は、制御部100内のCPUによる指示に基づく第3ドライバ123に対応するコントローラからの制御信号に応じた駆動信号を粗動アクチュエータ31に出力し、粗動アクチュエータ31を駆動させる。
【0043】
駆動検出回路部130は、第2ドライバ122から微動アクチュエータ26に出力される高周波のパルス信号であるFA駆動信号を検出し、検出したFA駆動信号(以下、FA駆動検出信号という。)を制御部100に出力する。
【0044】
信号処理回路部140は、光検出器23から入力される電気信号に基づいてサーボ機構系に用いられる信号処理と、データ系の信号処理とを行う。サーボ機構系の信号処理では、プッシュプル方式に基づいて光検出器23から入力される電気信号を処理し、トラッキングエラー信号、フォーカシングエラー信号、トラッククロス信号等を算出する。データ系の信号処理では、光検出器23から入力される電気信号に基づいて、光ディスク2の記録面上のアドレス情報やデータ信号等の記録情報を検出する。信号処理回路部140は、検出した各種信号を制御部100に出力する。
【0045】
次に、本実施の形態1の動作を説明する。
図3に、本実施の形態1における微動アクチュエータ26の感度補正処理のフローチャートを示す。
【0046】
まず、電気的オフセットのキャリブレーション、光源21の確認処理、光ピックアップ20のフォーカスサーボ位置への移動等、フォーカシング制御処理が実行される前の光ディスク装置1内の各部の初期化処理が実行され(ステップS1)、初期化処理が終了されると、第1ドライバ121によりスピンドルモータ11が駆動されて光ディスク2が回転された後、フォーカシング制御処理が実行される(ステップS2)。
【0047】
フォーカシング制御処理が実行された後、光ディスク2の溝(トラック)に対して光束の焦点が追従され(ステップS3)、信号処理回路部140により検出される光ディスク2のアドレス情報が確認されながら同一トラック上に光束を追従させる動作、例えば、光ディスク1回転分のトラック追従動作を行わせた後に光ディスク2の回転に同期して元のトラックに戻るという動作、を連続的に行わせ(以下、1トラックジャンプという。)第2ドライバ122により微動アクチュエータ26が駆動される(ステップS4)。
【0048】
微動アクチュエータ26により1トラックジャンプの動作が実行された状態で、粗動アクチュエータ31が規定ステップ数だけ光ディスク2の半径方向Xに往復駆動され(ステップS5)、対物レンズ22と光ピックアップ20とが相対的に移動される。
【0049】
ステップS5において、粗動アクチュエータ31が規定ステップ数だけ光ディスク2の半径方向Xに往復駆動されている際に、第2ドライバ122から微動アクチュエータ26に出力されているFA駆動信号が駆動検出回路部130により随時検出され、検出されたFA駆動検出信号と当該検出されたFA駆動検出信号に対応する粗動アクチュエータ31の駆動ステップ数とが対応付けられてメモリ110に記憶される(ステップS6)。
【0050】
粗動アクチュエータ31が1ステップ駆動される際の対物レンズ22と光ピックアップ20との距離は予め定められていることから、粗動アクチュエータ31の駆動ステップ数に基づいて対物レンズと光ピックアップとの移動距離が算出でき、メモリ110に記憶された検出されたFA駆動検出信号と当該検出されたFA駆動検出信号に対応する粗動アクチュエータ31の駆動ステップ数とに基づいてFA駆動信号特性が算出され、算出されたFA駆動信号特性が示すFA駆動信号の変化量、即ち、微動アクチュエータ26の感度が算出される(ステップS7)。
【0051】
図4に、対物レンズ22と光ピックアップ20との移動距離に対する微動アクチュエータ26の駆動信号の特性を示すグラフの例を示す。
【0052】
図4には、図3に示す処理が実行されることにより算出されたFA駆動信号特性を実線Eで示し、予め設定されているFA駆動信号特性を一点鎖線Eで示し、粗動アクチュエータ31が1ステップ駆動された際の対物レンズ22と光ピックアップ20との移動距離(以下、1ステップ距離という。)をX1として示す。なお、図4に示すFA駆動信号は、駆動検出回路部130により検出されたFA駆動検出信号の電圧値を示すものとする。
【0053】
図4に示すように、組み立て時のバラツキや外界の温度変化の影響により、実際に光ディスク装置1を駆動させる際のFA駆動信号特性Eの1ステップ距離X1に対するFA駆動信号の値(Eの傾き)と、予め設定されていたFA駆動信号特性Eの1ステップ距離X1に対するFA駆動信号の値(Eの傾き)とが異なる。即ち、微動アクチュエータ26の感度が異なることとなる。
【0054】
微動アクチュエータ26の感度が算出された後(ステップS7後)、算出された微動アクチュエータ26の感度に基づいて、粗動アクチュエータ31を1ステップ駆動させる際のFA駆動信号の値が算出され、算出されたFA駆動信号の値が粗動アクチュエータ31の新たなスレッショルドレベルとして設定され(ステップS8)、本処理は終了される。本処理終了後、トラッキング制御やシーク制御等が実行されることとなる。
【0055】
図5に、図3に示す微動アクチュエータ26の感度補正処理後のトラッキング制御時のFA駆動信号の例を示す。図5に示す一点鎖線Fは、予め設定されていたFA駆動信号特性Eに基づいて出力されたFA駆動信号を示し、実線Fは、算出されたFA駆動信号特性Eに基づいて出力されたFA駆動信号を示す。なお、図5に示すFA駆動信号は、駆動検出回路部130により検出されたFA駆動検出信号の電圧値を示すものとする。
【0056】
図5に示すように、FA駆動信号の上限値は、当初のスレッショルドレベルFAから新たなスレッショルドレベルFAに補正される。なお、図5には図示していないが、FA駆動信号の下限値も上限値と同様に算出されたFA駆動信号特性Eに基づいて補正されるものである。
【0057】
このように、本実施の形態1によれば、フォーカシング制御後に粗動アクチュエータ31を予め設定されたステップ数駆動させると共に、対物レンズ22が当該粗動アクチュエータ31の駆動に伴って光ディスク2の半径方向Xに移動しないように微動アクチュエータ26を駆動させることにより、対物レンズ22の中心の位置と光ピックアップ20の位置とを光ディスクの半径方向Xにおいて相対的に移動させてFA駆動信号特性を算出することができる。
【0058】
そして、算出されたFA駆動信号特性に基づいて決定された粗動アクチュエータ31のスレッショルドレベルに応じて粗動アクチュエータ31を駆動させることができるため、微動アクチュエータ26と粗動アクチュエータ31との連動性を高めることができる。
【0059】
従って、組み立て時のバラツキや外界の温度変化の影響によるFA駆動信号特性の変動を解消することができ、微動アクチュエータ26と粗動アクチュエータ31との追従性を高めることができることにより、データのリード/ライト性能が向上され、光ディスク装置の信頼性を向上させることができる。
【0060】
[実施の形態2]
以下、図を参照して本発明の実施の形態2を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
本実施の形態2における光ディスク装置の概略断面構成図及び制御ブロック図は、実施の形態1における図1及び図2と略同様であるため、図は省略し、異なる内容のみ説明する。
【0061】
本実施の形態2において制御部100は、制御部100内に記憶されている各種処理プログラムや各種データを読み出してワークエリアに展開し、展開されたプログラムに従って、微動アクチュエータ26を駆動させて光束の焦点を調整させた後、対物レンズ22の中心の位置と光ピックアップ20の位置とを光ディスクの半径方向Xにおいて相対的に移動させ、対物レンズ22と光ピックアップ20との移動距離に対するFA駆動信号特性を算出し、算出されたFA駆動信号特性に応じて、粗動アクチュエータ31を駆動させる微動アクチュエータ26の感度補正処理(図6参照)を始めとする各種処理を実行する制御手段である。
【0062】
このように、焦点の調整済みの光束を用いてFA駆動信号特性を算出できるため、FA駆動信号特性の算出精度を向上させることができる。
【0063】
また、本実施の形態2における制御部100は、対物レンズ22の中心の位置と光ピックアップ20の位置とを光ディスクの半径方向Xにおいて相対的に移動させる際、微動アクチュエータ26のみを駆動させて対物レンズ22を光ディスク2の半径方向Xに予め設定されたトラック数分移動させる。
【0064】
更に、本実施の形態2における制御部100は、算出されたFA駆動信号特性に基づいて、粗動アクチュエータ31のスレッショルドレベルを設定し、FA駆動信号が設定されたスレッショルドレベルと等しくなるときに粗動アクチュエータ31を駆動(例えば、1ステップ駆動)させる。
【0065】
メモリ110は、微動アクチュエータ26の感度補正処理が実行される際に、微動アクチュエータ26を駆動して対物レンズ22を移動させる範囲として予め規定トラック数が記憶されていると共に、算出されたFA駆動信号特性や設定された粗動アクチュエータ31のスレッショルドレベルが記憶される記憶手段であり、磁気的、光学的記憶媒体若しくは半導体メモリで構成される電気的に消去及び書き換え可能な不揮発性の記憶媒体で構成されている。メモリ110としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)やフラッシュメモリなどが挙げられる。なお、メモリ110は、着脱自在に装着可能な構成としてもよい。
【0066】
次に、本実施の形態2の動作を説明する。
図6に、本実施の形態2における微動アクチュエータ26の感度補正処理のフローチャートを示す。
【0067】
まず、電気的オフセットのキャリブレーション、光源21の確認処理、光ピックアップ20のフォーカスサーボ位置への移動等、フォーカシング制御処理が実行される前の光ディスク装置1内の各部の初期化処理が実行され(ステップS11)、初期化処理が終了されると、第1ドライバ121によりスピンドルモータ11が駆動されて光ディスク2が回転された後、フォーカシング制御処理が実行される(ステップS12)。
【0068】
フォーカシング制御処理が実行された後、光ディスク2のトラックに対して光束の焦点が追従され(ステップS13)、粗動アクチュエータ31に駆動信号が出力されていない状態、即ち、光ピックアップ20の位置を変えない状態を保ちつつ、第2ドライバ122により微動アクチュエータ26が規定トラック数だけ光ディスク2の半径方向Xに往復移動され(トラックシーク)(ステップS14)、対物レンズ22と光ピックアップ20とが光ディスク2の半径方向Xにおいて相対的に移動される。
【0069】
ステップS14において、微動アクチュエータ26が規定トラック数だけ光ディスク2の半径方向Xに往復駆動されている際に、第2ドライバ122から微動アクチュエータ26に出力されているFA駆動信号が駆動検出回路部130により随時検出され、検出されたFA駆動検出信号と当該検出されたFA駆動検出信号に対応するFA駆動信号が出力されている際に光ディスク2から反射される光束に基づいて信号処理回路部140から算出される記録情報とが対応付けられてメモリ110に記憶される(ステップS15)。
【0070】
光ディスク2の規格により予めトラック幅が定められていることから、トラック幅と光ディスク2のアドレス情報に基づいて光ピックアップ20上における対物レンズ22の移動距離が算出でき、メモリ110に記憶された検出されたFA駆動検出信号と当該検出されたFA駆動検出信号に対応する光ピックアップ20上における対物レンズ22の移動距離とに基づいてFA駆動信号特性が算出され、算出されたFA駆動信号特性が示すFA駆動信号の変化量、即ち、微動アクチュエータ26の感度が算出される(ステップS16)。
【0071】
対物レンズ22と光ピックアップ20との移動距離に対する微動アクチュエータ26の駆動信号特性を示すグラフの例は、実施の形態1と同様であるため、図示及び説明は省略する。
【0072】
微動アクチュエータ26の感度が算出された後(ステップS16後)、算出された微動アクチュエータ26の感度に基づいて、粗動アクチュエータ31を1ステップ駆動させる際のFA駆動信号の値が算出され、算出されたFA駆動信号の値が粗動アクチュエータ31の新たなスレッショルドレベルとして設定され(ステップS17)、本処理は終了される。本処理終了後、トラッキング制御やシーク制御等が実行されることとなる。
【0073】
図6に示す微動アクチュエータ26の感度補正処理後のトラッキング制御時のFA駆動信号の例は、実施の形態1と同様であるため、図示及び説明は省略する。
【0074】
このように、本実施の形態2によれば、フォーカシング制御後に微動アクチュエータ26のみを駆動させて対物レンズ22を光ディスク2の半径方向Xに予め設定されたトラック数分移動させることにより、対物レンズ22の中心の位置と光ピックアップ20の位置とを光ディスクの半径方向Xにおいて相対的に移動させることができることにより、FA駆動信号特性を算出することができる。
【0075】
そして、算出されたFA駆動信号特性に基づいて決定された粗動アクチュエータ31のスレッショルドレベルに応じて粗動アクチュエータ31を駆動させることができるため、微動アクチュエータ26と粗動アクチュエータ31との連動性を高めることができる。
【0076】
従って、組み立て時のバラツキや外界の温度変化の影響によるFA駆動信号特性の変動を解消することができ、微動アクチュエータ26と粗動アクチュエータ31との追従性を高めることができることにより、データのリード/ライト性能が向上され、光ディスク装置の信頼性を向上させることができる。
【0077】
また、本発明は、上記実施の形態1及び2の内容に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施の形態1における光ディスク装置の概略断面構成図である。
【図2】実施の形態1における光ディスク装置1の制御ブロック図である。
【図3】実施の形態1における微動アクチュエータ26の感度補正処理のフローチャートである。
【図4】対物レンズ22と光ピックアップ20との移動距離に対する微動アクチュエータ26の駆動信号特性を示すグラフの例である。
【図5】図3に示す微動アクチュエータ26の感度補正処理後のトラッキング制御時のFA駆動信号の例である。
【図6】実施の形態2における微動アクチュエータ26の感度補正処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0079】
1 光ディスク装置
2 光ディスク
10 ディスク駆動機構部
11 スピンドルモータ
20 光ピックアップ
21 光源
22 対物レンズ
23 光検出器
24 光学レンズ系
24a ビームスプリッタ
25 レンズホルダ
25a 弾性支持部材
26 微動アクチュエータ
30 光ピックアップ駆動機構部
31 粗動アクチュエータ
32 送りネジ
100 制御部
110 メモリ
121 第1ドライバ
122 第2ドライバ
123 第3ドライバ
130 駆動検出回路部
140 信号処理回路部
X 半径方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源、当該光源から射出される光束を光ディスクの記録面に集光させる対物レンズ、当該光ディスクの記録面から反射される光束を受光する光検出器を有する光ピックアップと、前記対物レンズを前記光ディスクの記録面と略垂直な方向に移動させると共に、前記対物レンズを前記光ディスクの半径方向に移動させる微動アクチュエータと、前記光ピックアップを前記光ディスクの半径方向に移動させる粗動アクチュエータと、を備え、前記微動アクチュエータと粗動アクチュエータとを連動させて前記光ディスクに対してデータの書込み及び/又は読み出しを行う光ディスク装置において、
前記対物レンズと前記光ピックアップとを前記光ディスクの半径方向において相対的に移動させ、前記対物レンズと前記光ピックアップとの移動距離に対する微動アクチュエータの駆動信号の特性を算出し、算出された当該微動アクチュエータの駆動信号の特性に応じて、前記粗動アクチュエータを駆動させる制御手段を備えること、
を特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記粗動アクチュエータは、光ピックアップの移動距離や移動速度を、所定のステップ角のパルス数及びこのパルスの周波数で制御可能なモータであること、
を特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記対物レンズと前記光ピックアップとを前記光ディスクの半径方向において相対的に移動させる際、前記粗動アクチュエータを駆動させて前記光ピックアップを移動させると共に、前記対物レンズが当該粗動アクチュエータの駆動に伴って前記光ディスクの半径方向に移動しないように前記微動アクチュエータを駆動させること、
を特徴とする請求項1又は2記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記対物レンズと前記光ピックアップとを前記光ディスクの半径方向において相対的に移動させる際、前記微動アクチュエータのみを駆動させて前記対物レンズを前記光ディスクの半径方向に移動させること、
を特徴とする請求項1又は2記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
算出された前記微動アクチュエータの駆動信号の特性に基づいて前記粗動アクチュエータの駆動閾値を設定し、前記微動アクチュエータの駆動信号が当該駆動閾値と等しくなるときに前記粗動アクチュエータを駆動させること、
を特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記微動アクチュエータを駆動させて前記光束の焦点を調整させた後、前記対物レンズと前記光ピックアップとを前記光ディスクの半径方向において相対的に移動させること、
を特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−305248(P2007−305248A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−133856(P2006−133856)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】