説明

光ディスク装置

【課題】スロットイン形光ディスク装置において、異なるサイズの複数種類の記録媒体を、最小の機構要素部材により所定の位置にローディング、イジェクト可能なディスクローディング機構。
【解決手段】スロットイン型の光ディスク装置1において、ディスク挿入位置Aから見て、ターンテーブル1513を中心として左右に設けられたディスクガイド23,25を、8cmの光ディスクの外周が接しない状態を初期状態とし、12cmの光ディスクについては、その外周が接触して両ディスクガイドの間隔を広げるよう構成し、ディスクガイドの間隔が光ディスクにより押し広げられる場合は、押圧力によりターンテーブルの奥側に設けられた旋回要素19の旋回半径とローディングモータをオン/オフする検出スイッチ41の動作タイミングとで、1つの検出スイッチのみにより、光ディスクの直径を検出し、光ディスクの直径に合わせたローディング距離を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、円盤状の記録媒体、例えば光ディスクに記録されている情報を読み出し、あるいは同ディスクに情報を記録する光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録されている情報をレーザ光により再生し、あるいはレーザ光により情報が記録可能な光ディスク装置が実用化されて久しい。
【0003】
光ディスク装置は、光ディスクの情報記録面に沿ってその半径方向に移動され、光ディスクに記録されている情報を読み出し、あるいは光ディスクに情報を記録するピックアップ(光学ヘッド)装置と、光ディスクをドライブ装置内部の所定の位置に引き込み、また確実に排出するためのディスクローディング機構と、光ディスクを回転させるディスクモータと、情報の記録及び再生に関する一連の動作を司る制御回路部等を含む。
【0004】
ところで、今日では、ビデオカメラ等に用いる記録媒体として、小サイズ(8cm)の光ディスクが利用されている。
【0005】
このため、光ディスク装置においては、従来からの12cmの光ディスクと8cmの光ディスクの双方から情報を読み出し、もしくは情報が記録できることが求められている。
【0006】
なお、特許文献1には、独立した2つの回転支持点により支持された2つのセレクトアームと一対(2個)の位置決めピンを有し、径の大きな光ディスクが挿入された場合は、セレクトアームが光ディスクの外周で押しだされることを利用して位置決めピンの位置を変更するディスク装置が、示されている。
【0007】
また、特許文献2には、単一のスイッチによりディスクの挿入を検出するが、個々の径の光ディスクのチャッキング位置やローディングEND等の各ポジションの検出に、独立したスイッチを用いるディスクドライブ装置が、示されている。
【0008】
また、特許文献3には、直線方向に往復移動する単一のスライダーに設けられた一対のガイドレバーの開き角により、装脱口から挿入された光ディスクを、その径に拘わりなくターンテーブルの中心に案内するディスク装置が、が示されている。
【特許文献1】特許第3761314号
【特許文献2】特開2006−18994
【特許文献3】特開2006−155706
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した各特許文献に記載された光ディスクドライブ装置は、いずれも8cmディスクと12cmディスクの双方に対応しているが、いずれの光ディスクドライブ装置もターンテーブルの中心と各ディスクの中心の位置決めのために、2以上のアーム部材を用いている。従って、ディスクを搬送するための機構や位置決めのための機構が複雑となるばかりか、光ディスクドライブ装置のコストも増大することが予想される。
【0010】
また、光ディスクドライブ装置が、例えばパーソナルコンピュータ等の携帯可能な機器に組み込まれる場合に、装置全体の重量を増大させることにもつながる。
【0011】
この発明の目的は、スロットイン型の光ディスク装置において、異なる直径の複数種類の円盤状の記録媒体を、記録媒体の外径に基づいて規定される所定のローディング位置にローディング可能で、しかも記録媒体の排出(イジェクティング)においても記録媒体を不所望に脱落させることなく、確実にローディング/イジェクティング制御が可能な光ディスク装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、上記問題点に基づきなされたもので、光ディスクを、その記録面を所定の速度で回転可能に支持するターンテーブルと、前記ターンテーブルに案内される光ディスクの進路を妨げることなく、かつ前記ターンテーブルに向けて光ディスクを案内可能に規定された所定の位置を回動支点として回動可能に形成され、前記ターンテーブルに案内すべき光ディスクの外周の少なくとも1点に接触可能な案内部を有し、前記ターンテーブルに案内すべき光ディスクを、前記ターンテーブルに向けて案内する案内部材と、第1の位置において、第1の直径の光ディスクを前記ターンテーブルに向けて案内するとともに、第1の位置と間隔が異なる第2の位置において、第1の直径よりも大きな第2の直径の光ディスクを前記ターンテーブルに向けて案内するガイド部材と、前記ガイド部材が前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動される移動動作に基づいて、前記回動支点からの距離が異なる第1の起動位置と第2の起動位置に移動可能な検出スイッチと、前記ターンテーブルに案内される光ディスクが挿入される方向よりも前記ターンテーブルの後方の所定の位置を回動支点として回動可能に形成され、前記ターンテーブルに案内すべき光ディスクを前記ターンテーブルに向けて搬送するとともに、前記検出スイッチの前記第1の起動位置及び前記第2の起動位置のそれぞれにおいて前記検出スイッチを動作させる制御部を有するアーム部材と、を有することを特徴とする光ディスク装置、を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明の実施の形態によれば、1つの検出スイッチによって各々光ディスクに最適なタイミングで電動ローディング開始検出及びローディング終了検出を行うことができ、また部品構成が簡単なことから部品点数の削減と動作シーケンスの簡略化及び動作信頼性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態の一例を説明する。
【0015】
図1ないし図4は、この発明の実施の一形態が適用可能な光ディスク装置の一例を示す。なお、図1に示す光ディスク装置は、情報の記録時及び再生時に光ディスクが装置内部に収容されるスロットイン型と呼ばれる光ディスク装置であって、例えば携帯可能なパーソナルコンピュータ(ノートPC)等に組み込まれて利用される。また、図1では、一部のカバー類を取り外した状態を示している。また、図2は、直径が12cmの光ディスクが挿入される状態を説明するために図1に示した状態から要素の一部を取り外した状態を、図3は、直径が8cmの光ディスクが挿入される状態を説明するために図1に示した状態から要素の一部を取り外した状態を、図4は、サイズの異なる光ディスクの直径を検出するための構成を抜き出した状態を、それぞれ、示している。
【0016】
図1乃至図4に示す光ディスク装置1は、ボトムカバーすなわちシャーシ11と、シャーシ11の概ね中央に位置されたディスクモータ13とを有する。ディスクモータ13の中心軸(符号なし)には、光ディスクを積置して固定するターンテーブル15が設けられている。
【0017】
ターンテーブル15(ディスクモータ13)の近傍には、シャーシ11の所定の位置に定義された支点17を回動中心として旋回(回動)するローディングアーム19が設けられている。
【0018】
ローディングアーム19の支点17から離れた所定の位置には、矢印Aで示すディスク挿入方向からターンテーブル15に向けて挿入される光ディスクの円周の一部と接触可能に形成された第1の位置決め突起19aと、第1の位置決め突起19aと支点17との間の所定の位置に形成された第2の位置決め突起19bが設けられている。なお、第1の位置決め突起19aは、ディスク挿入方向(矢印)Aから挿入される光ディスクの直径に拘わらず、(挿入される)光ディスクの記録面がターンテーブル15に接するよりも前に光ディスクの外周に接するように、位置及び形状が規定されている。また、第2の位置決め突起19bは、ディスク挿入方向A(矢印A方向)から挿入される光ディスクの直径に拘わらず、光ディスクの中心に設けられている開孔(中心穴)とターンテーブル15の中心が概ね一致する位置で、光ディスクの外周と接触するよう、位置及び形状が規定されている。
【0019】
ローディングアーム19はまた、支点17を回動中心とする所定の半径の位置に、後段に説明するが、挿入された光ディスクが12cmであるか8cmであるかを識別して、光ディスク装置1内への光ディスクのローディング量を設定し、さらにローディングENDを設定するための信号を出力する検出スイッチを切り換えるための、検出溝19cが用意されている。なお、ローディングアーム19は、挿入された光ディスクの中心穴がターンテーブル15と実質的に一致する位置まで引き込み動作(旋回)したのち、光ディスクと接触することのない退避位置(ボトムカバー11の挿入方向と反対の最も奥)まで、詳述しないローディングモータ及び駆動力伝達機構により移動される(退避する)。
【0020】
シャーシ11の広がり方向(面方向)の外周側の所定の位置には、ローディングアーム19と協働して、挿入方向Aから挿入される光ディスクを支持してローディングアーム19に向けて案内する第1のディスクガイド23(挿入方向Aから見て、ターンテーブル15の右側に位置される)及び第2のディスクガイド25(挿入方向Aから見て、ターンテーブル15の左側に位置される)が設けられている。すなわち、第1及び第2のディスクガイド23,25は、ターンテーブル15を平面方向(ターンテーブル15を支持するディスクモータ13の中心軸と平行な方向)から見た状態で、ターンテーブル15がそれぞれのガイド23,25の内側に位置されるよう、ターンテーブル15を挟んで両側に位置されている。
【0021】
第1のディスクガイド23の近傍には、ローディングアーム19の第1の位置決め突起19aと協働して、挿入方向Aから挿入される光ディスクを保持するディスクホールディングピン27aを有するディスクホールドレバー27が、設けられている。なお、ディスクホールドレバー27は、レバー27の所定の位置に形成されている支点27bを回動中心として、ターンテーブル15に向かう方向に、旋回可能である。また、ディスクホールドレバー27とローディングアーム19は、それぞれ、ばね部材29により互いに引き寄せられている(ディスクホールドレバー27とローディングアーム19は、ばね部材29により、常時、ターンテーブル15側へ引き寄せられる向きの力で、互いに引き寄せられている)。
【0022】
第1及び第2のディスクガイド23,25は、それぞれ、支点23a及び25aにより分割されるメインディスクガイド23b及び25bと、サブディスクガイド23c及び25cと、両者に所定の張力(引張り)を与えるばね部材23d及び25dを含む。
【0023】
第1及び第2のディスクガイド23,25は、ディスクモータ13とボトムカバー11のディスク挿入方向Aと反対側の端部との間の所定の位置で、挿入されたディスクが移動する方向と概ね直交する方向に往復動可能に配列された第1の選択スライダ33(第1のディスクガイド23に対応)及び第2の選択スライダ35(第2のディスクガイド25に対応)に、スライド動作を与える。なお、それぞれの係合ピン23e,25eは、サブディスクガイド23c,25cの支点23a,25aとは逆側の端部に設けられている。また、それぞれの係合ピン23e,25eは、ボトムカバー11の対応する位置に設けられたボトムガイド溝11Lと11Rのそれぞれとも、係合している。
【0024】
これにより、第1及び第2のディスクガイド23,25が、それぞれの支点23a,25aを支点としてばね部材23d,25dによりディスクモータ13側へ向かう力を受ける際の最もディスクモータ13側に位置する際の位置が規定される。すなわち、それぞれのディスクガイド23,25の支点23a,25aがばね部材23d,25dによりドライブ装置1の内側(中心寄り)へ突出する方向で付勢された際の突出量は、ボトムガイド溝11L,11Rの端部により予め規制された(突出量)となる。
【0025】
なお、ボトムガイド溝11L,11Rの端部の位置は、各ディスクガイド23,25の支点23a,25a間の距離が8cm径の光ディスクの外径よりも僅かに大きな「8cm+αcm」となるよう、予め設定されている。
【0026】
また、スライダガイド溝33a,35aは、それぞれ、第1及び第2のディスクガイド23,25の支点23a,25aを最もボトムカバー11の外縁寄りに移動させるため、ディスク挿入方向(矢印A)側を基準として外縁に向かって概ね45度程度の角度が与えられたディスクガイド解放位置33−1,35−1を有し、第1及び第2のディスクガイド23,25を、光ディスクが所定の位置まで挿入された時点でボトムガイド溝11L,11Rと概ね平行となるよう、案内する。
【0027】
第1の選択スライダ33及び第2の選択スライダ35はまた、第1及び第2のディスクガイド23,25に、ボトムカバー11のディスク挿入方向Aと反対側の端部とディスクモータ13との間の所定の位置に設けられたコネクトホルダ37の回転中心37aに係合された同期レバー39に対して、回転中心37aを回転中心とする所定の角度(範囲)の旋回を与える。すなわち、コネクトホルダ37は、同期レバー39を、同期レバー39の概ね中央に設けられた同期レバーピン(軸)39aを回転中心として上記第1及び第2の選択スライダ33,35を、所定量だけスライド可能とするための推力を提供する。
【0028】
詳細には、コネクトホルダ37は、回転中心37aと、回転中心37aと同心円状に規定された同期レバーガイド穴37b,37cと、回転中心37aから概ね等しい位置に規定されたスライド係合突起37d,37eを有し、同期レバーピン39aを中心として同期レバー39が所定の角度だけ旋回することを可能としている。
【0029】
同期レバー39には、同期レバーピン39aから概ね等距離の位置に、第1及び第2の同期係合突起39b(同期レバーガイド穴37b対応),39c(同期レバーガイド穴37c対応)が設けられ、それぞれ、第1の選択スライダ33のスライド溝33b,33cの概ね中間の位置に規定された同期溝33d(同期レバーガイド穴37b,同期係合突起39b対応)及び第2の選択スライダ35のスライド溝35b,35cの概ね中間の位置に規定された同期溝35d(同期レバーガイド穴37c,同期係合突起39c対応)と係合されている。
【0030】
従って、挿入されたディスクが移動する方向と概ね直交する方向に往復動する選択スライダ33,35の直線運動は、同期レバーピン39aを回転中心とする同期レバー39の回転運動に変換される。なお、同期レバー39の同期レバーピン39aを回転中心とする旋回は、挿入方向Aから挿入される光ディスクの径に基づいて、第1及び第2のディスクガイド23,25の支点23a,25aがディスクモータ13に近接した初期位置からサブディスクガイド23c,25cとメインディスクガイド23b,25bが概ね直線状となる12cmディスク検出位置へ移動することで提供される。
【0031】
第1及び第2の選択スライダ33,35のいずれか一方の所定の位置であって、ターンテーブル15(ディスクモータ13)の近傍に位置する位置には、挿入された光ディスクが12cmであるか8cmであるかを識別し、ローディング量及びローディングENDを設定するための信号を出力する検出スイッチ41が設けられている。なお、検出スイッチ41は、図1により説明したローディングアーム19に用意された検出溝19cが、挿入される光ディスクの径に関連して、支点17を回動中心として所定角度旋回(回動)することにより、以下に説明するように、複数の信号を出力可能である。
【0032】
検出スイッチ41は、2接点(両極双等)型であり、図5乃至図10を用いて後段に説明するが、ローディングアーム19の旋回(挿入された光ディスクの直径と位置に応じて変化)の程度に従って、いずれか一方の接点がオン(ON)または両方の接点がオフ(OFF)に区分される3つの信号を出力する。なお、検出スイッチ41は、挿入される光ディスクの直径に応じて間隔が変化される選択スライダ33,35の所定の位置に設けられていることから、選択スライダ33,35が挿入される光ディスクの直径に応じて変位することにより、光ディスクの直径を検出可能で、しかもその光ディスクの直径に合わせて、電動ローディングのローディング量を最適に設定できる。すなわち、検出スイッチ41による検出位置を光ディスクの直径の違いに基づいてメカニカルに移動可能な2つの半径の円弧(検出溝19c)上に規定し、ローディングアーム19の回転量と検出スイッチ41が位置される円弧(検出スイッチ41の位置)とにより、異なる径の光ディスクのそれぞれに対して、進入位置(挿入後のローディング)を適切に検出可能としている。
【0033】
図2は、図1に示した光ディスク装置に、第1の大きさ、例えば直径が12cmの光ディスクが挿入される状態を示している。なお、図2は、光ディスク装置に光ディスクが挿入される際に、光ディスクの外周の任意の位置が、ディスクホールディングレバー27のディスクホールディングピン27aおよびローディングアーム19の第1の位置決め突起19aに接した状態を、示している。
【0034】
図2に示すように、光ディスク(12cm)が挿入方向Aから光ディスク装置1に挿入される(押し込まれる)と、ディスクホールディングレバー27のディスクホールディングピン27aに光ディスクの外周の任意の位置が接することにより、光ディスクは、ローディングアーム19(ターンテーブル15)側へ誘導され、ローディングアーム19の第1の位置決め突起19aに接触する。なお、既に説明した通り、ディスクホールディングレバー27とローディングアーム19は、互いにターンテーブル15側に向かうよう、所定の張力が与えられていることにより、光ディスクは、ディスクホールディングレバー27とローディングアーム19とにより支えられて、ターンテーブル15側へ案内される。
【0035】
この状態でさらに光ディスクが押し込まれると、ローディングアーム19が支点17を回動中心としてターンテーブル15から離れる方向に、回動(旋回)する。
【0036】
以下、第1及び第2のディスクガイド23,25の支点23a及び25aが、光ディスクが挿入される(ローディングアーム19が旋回する)につれて外側に次第に押し広げられ、光ディスクの不所望な動きが規制される。
【0037】
一方、8cmの光ディスクが挿入方向Aから光ディスク装置1に挿入される(押し込まれる)場合には、図3に示すように、ディスクホールディングレバー27のディスクホールディングピン27aに光ディスクの外周の任意の位置が接することにより、光ディスクは、ローディングアーム19(ターンテーブル15)側へ誘導され、ローディングアーム19の第1の位置決め突起19aに接触する。なお、既に説明した通り、ディスクホールディングレバー27とローディングアーム19は、互いにターンテーブル15側に向かうよう、所定の張力が与えられていることにより、光ディスクは、ディスクホールディングレバー27とローディングアーム19とにより挟持されて、ターンテーブル15側へ案内される。
【0038】
この状態でさらに光ディスクが押し込まれると、ローディングアーム19が支点17を回動中心としてターンテーブル15から離れる方向に、回動(旋回)する。
【0039】
このとき、第1及び第2のディスクガイド23,25及びその支点23a及び25aは、光ディスクの不所望な動きを規制するものの、12cmの光ディスクが挿入される場合に比較して、実質的な回動(旋回)動作を伴わない初期位置で、光ディスクを光ディスク装置1の概ね中央に位置させることができる。
【0040】
なお、図1乃至図3により説明したように、12cmの光ディスクあるいは8cmの光ディスクが光ディスク装置1内の所定の位置まで挿入されると、詳述しないが、ローディングモータが順方向(引き込み方向)に回転され、その回転が詳述しない駆動力伝達機構によりローディングアーム19(及びローディングアーム19にばね部材29により引き寄せられているディスクホールディングレバー27)に伝達されることにより、光ディスクが、ターンテーブル15とディスクの中心とが一致するクランプ位置に向けて搬送される。
【0041】
このとき、第1及び第2のディスクガイド23,25の動作に合わせて、第1及び第2の選択スライダ33,35のスライド動作が生じ、そのスライド動作により、コネクトホルダ37の回転中心37aに係合された同期レバー39が、同期レバーピン39aを回転中心として、同期レバーガイド穴37b,37cの範囲内で、回転される。
【0042】
また、第1及び第2の選択スライダ33,35のスライド動作により、第1の選択スライダ33の所定の位置に設けられている検出スイッチ41の位置が、ローディングアーム19の検出溝19cの半径の異なる8cmディスク用と12cmディスク用の2つの円弧のいずれか一方に整合するよう、設定される。
【0043】
次に、図5乃至図8を用いて、12cmの光ディスクが光ディスク装置1に挿入される際の動作を説明する。
【0044】
図5(図1)から明らかなように、光ディスクが挿入されていない状態においては、光ディスク装置1の第1及び第2のディスクガイド23,25は、それぞれの支点23a,25a間の距離が、概ね8cm(8cm+αcm)である。なお、ローディングアーム19の旋回量は最小であるから、ローディングアーム19の検出溝19cは、検出スイッチ41を第1の接点(A接点)がオン(ON)となる状態に位置させる。従って、詳述しないローディングモータは、オフされている。
【0045】
光ディスクがさらに押し込まれると、図6に示すように第1及び第2のディスクガイド23,25の支点23a,25aがディスクの外周により圧力を受け(押圧され)ることにより、第1及び第2のディスクガイド23,25の支点23a,25aは、関節を伸張させるよう、移動される。このとき、第1及び第2の選択スライダ33,35のスライドガイド溝33a,35aに沿って係合ピン23e,25eがスライドし、スライドガイド溝33a,35aの45度前後の傾斜により第1及び第2の選択スライダ33,35が、挿入された光ディスクが移動する方向と概ね直交する方向のうちのディスクモータ13側(中央寄り)に、移動される。
【0046】
これにより、第1の選択スライダ33に設けられた検出スイッチ41が、ローディングアーム19の検出溝19cにおける2つの半径の円弧のうちの12cmディスク用の円弧の側に移動される。従って、ローディングアーム19の検出溝19cは、検出スイッチ41を第1の接点(A接点)がオンとなる状態に維持する。従って、詳述しないローディングモータは、オフされている。
【0047】
さらに12cmの光ディスクが押し込まれることでローディングアーム19が旋回し、図7に示す通り、検出スイッチ41が検出溝19cの12cmディスク用の円弧から突出する位置に達すると、検出スイッチ41は、A接点(第1の接点)と反対側の第2の接点(B接点)のいずれもオフ(OFF)となる中立位置に切り換えられる。これにより、図示しない制御回路が起動され、詳述しないローディングモータがオンされ、ローディングアーム19が支点17を回動支点として旋回(回転)される。
【0048】
詳述しないローディングモータがオンされ、ローディングアーム19が所定の位置まで旋回され、図8に示す、光ディスクがターンテーブル15にクランプ可能な位置まで搬送されると、検出溝19cは、検出スイッチ41を第2の接点(B接点)がオン(ON)となるローディングモータ停止位置(ローディングEND)に到達する。なお、12cmの光ディスクにおいては、クランプ位置とローディングENDとの間の距離は僅かである。また、光ディスクが回転される際には、ローディングアーム19及びディスクホールディングレバー27のそれぞれは、図示しないばね圧解除機構により、ターンテーブル15へ向かう方向の張力が解放され、光ディスクの外周部と接することが抑止されることはいうまでもない。
【0049】
次に、図9及び図10を用い、8cmの光ディスクが光ディスク装置1に挿入される際の動作を説明する。
【0050】
図5に示した待機状態において、8cmの光ディスクが挿入されると、図9に示すように、第1及び第2のディスクガイド23,25は、それぞれの支点23a,25a間の距離が、概ね8cm(8cm+αcm)を維持したままである。従って、ローディングアーム19の検出溝19cは、検出スイッチ41を第1の接点(A接点)がオン(ON)となる状態に位置させる。
【0051】
図9に示すように、さらに8cmの光ディスクが光ディスク装置1内に挿入された場合、第1及び第2のディスクガイド23,25は、それぞれの支点23a,25a間の距離を、概ね8cm(8cm+αcm)に、そのまま維持する。仮に、光ディスクが第1及び第2のディスクガイド23,25の一方に片寄った位置で挿入された場合には、第1及び第2の選択スライダ33,35の作用によって、第1及び第2のディスクガイド23,25のいずれかが単独で伸張することは無く、従って12cmの光ディスクが挿入される際とは異なり、検出スイッチ41は移動しない。
【0052】
さらに光ディスクが押し込まれることで、ローディングアーム19が旋回され、検出溝19cのうちの8cmの光ディスク用の半径の円弧が、検出スイッチ41をA,B接点ともにオフ(OFF)する位置にさしかかると、、図示しない制御回路が起動され、詳述しないローディングモータがオンされ、ローディングアーム19が支点17を回動支点として旋回(回転)される。
【0053】
以下、詳述しないローディングモータがオンされ、ローディングアーム19が所定の位置まで旋回され、光ディスクがターンテーブル15にクランプ可能な位置まで搬送されると、詳述しないが、ディスクホールディングレバー27の回動と関連して規定されている図示しないカムスライダの動作によりターンテーブル15に光ディスクがチャッキングされる。なお、ローディングアーム19は、所定のタイミングで、さらに旋回され、検出溝19cが検出スイッチ41を第2の接点(B接点)がオン(ON)となるローディングモータ停止位置(ローディングEND)に到達するまで、引き続き旋回される。また、光ディスクが回転される際には、ディスクホールディングレバー27は、図示しないばね圧解除機構により、ターンテーブル15へ向かう方向の張力が解放され、光ディスクの外周部と接することが抑止されることはいうまでもない。
【0054】
このように、12cmの光ディスクと8cmの光ディスクとの直径の差を利用して電動搬送(ローディング)のトリガを設定することで、直径の異なる2種類の光ディスクを、1つの検出センサのみを用いることで、光ディスク装置1内のターンテーブルの位置に正確にローディングできる。
【0055】
また、光ディスクが排出される場合には、図示しないが、イジェクトスイッチ等によりイジェクトが指示されることで、ターンテーブル15と光ディスクとのチャッキングが解放され、詳述しないが、ローディングモータが逆方向(イジェクト方向)に回転する。
【0056】
これにより、ローディングアーム19が逆方向に旋回し、さらに、検出溝19cによりローディングモータの回転が制御されることで、12cmの光ディスクであっても8cmの光ディスクであっても、不所望に光ディスク装置1から脱落することのない、安全なディスク取り出し位置に、容易に(取り出し可能な位置まで)排出可能である。また、ローディングモータも、検出スイッチ41がA接点(第1の接点)に切り換えられた時点で停止するため、消費電力も最小限に抑えることができる。
【0057】
以上説明したように、この発明の実施の形態の一例によれば、スロットイン型の光ディスク装置において、ディスク挿入方向から見て、ターンテーブル(ディスクモータ)を中心として左右に設けられたディスクガイドを、8cmの光ディスクについては、その外周が接しない状態を初期状態とし、12cmの光ディスクについては、その外周が接触して両ディスクガイドの間隔を広げるよう構成し、ディスクガイドの間隔が光ディスクにより押し広げられる場合は、その押圧力によりターンテーブルの奥側に設けられたただ1つの旋回要素(ローディングアーム)の旋回半径とローディングモータをオン/オフする検出スイッチの動作タイミングとを関連付けたことにより、ただ1つの2接点スイッチにより、光ディスクの直径を検出し、さらに光ディスクの直径に合わせた好適なローディング距離(モータ動作時間)を設定することができる。これにより、大きさの異なる光ディスクをターンテーブルの中央に(ディスクの中心が)一致するよう、案内できる。
【0058】
また、光ディスクが排出される場合においても、旋回要素の逆方向の旋回により、12cmの光ディスクであっても8cmの光ディスクであっても、不所望に光ディスク装置1から脱落することのない、安全なディスク取り出し位置に、容易に(取り出し可能な位置まで)排出可能であるとともに、ローディングモータの動作時間を最適に管理できる。これにより、消費電力も最小限に抑えることができる。
【0059】
以上説明した通り、この発明の実施の形態によれば、スロットイン型の光ディスク装置に、直径の異なる光ディスクをローディングするためのローディングモータを動作させる際に、光ディスクの外径に応じて異なるローディング時間を、1つの検出スイッチによって、設定可能である。従って、部品点数が削減できる。また、これに伴って装置が軽量化され、さらに信頼性の向上を図ることができる。
【0060】
また、光ディスクをイジェクト(排出)する際のローディングモータの逆回転の時間も光ディスクの外径に応じて管理されるため、不所望に光ディスク装置から光ディスクが脱落することのない、安全なディスク取り出し位置に、容易に(取り出し可能な位置まで)排出可能である。
【0061】
なお、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形もしくは変更が可能である。また、個々の実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせて実施されてもよく、その場合、組み合わせによる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】この発明の実施の一形態が適用される光ディスク装置の一例を説明する概略図。
【図2】図1に示した光ディスク装置に12cmの光ディスクが挿入される過程を説明する概略図。
【図3】図1に示した光ディスク装置に8cmの光ディスクが挿入される過程を説明する概略図。
【図4】図1に示した光ディスク装置において、サイズの異なる光ディスクの直径を検出するための構成を抜き出した状態を示す概略図。
【図5】図1乃至図4に示した光ディスク装置に12cm(または8cm)の光ディスクが挿入される状態を説明する概略図。
【図6】図5に示した12cmの光ディスクの挿入過程に引き続く挿入過程を説明する概略図。
【図7】図6に示した12cmの光ディスクの挿入過程に引き続く挿入過程を説明する概略図。
【図8】図7に示した12cmの光ディスクの挿入過程に引き続く挿入過程を説明する概略図。
【図9】図1乃至図4に示した光ディスク装置に8cmの光ディスクが挿入される状態を説明する概略図。
【図10】図9に示した8cmの光ディスクの挿入過程に引き続く挿入過程を説明する概略図。
【符号の説明】
【0063】
1…光ディスク装置、11…ボトムカバー(シャーシ)、13…ディスクモータ、15…ターンテーブル、17…(ローディングアームの)回動支点、19…ローディングアーム、19a…第1の位置決め突起、19b…第2の位置決め突起、19c…検出溝、21…コネクトレバー、23…第1のディスクガイド、23a…支点、23e…係合ピン、25…第2のディスクガイド、25a…支点、25e…係合ピン、27…ディスクホールディングレバー、27a…ディスクホールディングピン、29…ばね部材、33…第1の選択スライダ、33a…スライダガイド溝、33b,33c…スライド溝、35…第2の選択スライダ、35a…スライダガイド溝、35b,35c…スライド溝、37…コネクトホルダ、37a…回転中心、37b,37c…同期レバーガイド穴、37d,37e…スライド係合突起、39…同期レバー、39a…同期レバーピン(軸)、39b,39c…同期係合突起、41…検出スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクを、その記録面を所定の速度で回転可能に支持するターンテーブルと、
前記ターンテーブルに案内される光ディスクの進路を妨げることなく、かつ前記ターンテーブルに向けて光ディスクを案内可能に規定された所定の位置を回動支点として回動可能に形成され、前記ターンテーブルに案内すべき光ディスクの外周の少なくとも1点に接触可能な案内部を有し、前記ターンテーブルに案内すべき光ディスクを、前記ターンテーブルに向けて案内する案内部材と、
第1の位置において、第1の直径の光ディスクを前記ターンテーブルに向けて案内するとともに、第1の位置と間隔が異なる第2の位置において、第1の直径よりも大きな第2の直径の光ディスクを前記ターンテーブルに向けて案内するガイド部材と、
前記ガイド部材が前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動される移動動作に基づいて、前記回動支点からの距離が異なる第1の起動位置と第2の起動位置に移動可能な検出スイッチと、
前記ターンテーブルに案内される光ディスクが挿入される方向よりも前記ターンテーブルの後方の所定の位置を回動支点として回動可能に形成され、前記ターンテーブルに案内すべき光ディスクを前記ターンテーブルに向けて搬送するとともに、前記検出スイッチの前記第1の起動位置及び前記第2の起動位置のそれぞれにおいて前記検出スイッチを動作させる制御部を有するアーム部材と、
を有することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記第2の位置において、前記検出スイッチを前記第1の位置とは異なる前記第2に起動位置へ変位させることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記第1の位置において、前記検出スイッチを前記第1の起動位置に維持することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、前記第1の位置において前記検出スイッチを前記第1の起動位置に維持し、前記第2の位置において、光ディスクが移動される方向と直交する方向に、前記検出スイッチをスライドさせて、第2の起動位置へ導くことを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項5】
前記アーム部材の前記制御部は、回動支点からの距離が異なる2つの領域を有し、それぞれの領域が前記検出スイッチの前記第1の起動位置及び前記第2の起動位置に対応することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項6】
前記ガイド部材は、前記第1の位置で第1の直径の光ディスクを前記アーム部材に案内するとともに、第2の直径の光ディスクが挿入された際には、前記第1の位置よりも間隔が広い前記第2の位置に変位することを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項7】
前記回動支点は、挿入される光ディスクの最大外周よりも前記ターンテーブルからの距離が離れた位置に規定されることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項8】
前記ガイド部材は、前記第2の位置において、前記検出スイッチを前記第1の位置とは異なる前記第2に起動位置へ変位させることを特徴とする請求項6記載の光ディスク装置。
【請求項9】
前記ガイド部材は、前記第1の位置において、前記検出スイッチを前記第1の起動位置に維持することを特徴とする請求項6記載の光ディスク装置。
【請求項10】
前記ガイド部材は、前記第1の位置において前記検出スイッチを前記第1の起動位置に維持し、前記第2の位置において、光ディスクが移動される方向と直交する方向に、前記検出スイッチをスライドさせて、第2の起動位置へ導くことを特徴とする請求項6記載の光ディスク装置。
【請求項11】
前記アーム部材の前記制御部は、回動支点からの距離が異なる2つの領域を有し、それぞれの領域が前記検出スイッチの前記第1の起動位置及び前記第2の起動位置に対応することを特徴とする請求項6記載の光ディスク装置。
【請求項12】
スロットイン型の光ディスク装置であって、
光ディスクが挿入される方向に旋回可能に形成され、光ディスクの直径の違いに基づいて予め規定されている角度に旋回した状態で光ディスクの直径の違いに応じて規定される所定の位置に設けられたスイッチ制御部を有するローディングアームと、
このローディングアームの旋回により搬送される光ディスクを保持して、光ディスクを回転させるターンテーブルと、
第1の位置において、第1の直径の光ディスクを前記ターンテーブルに向けて案内するとともに、第1の位置と間隔が異なる第2の位置において、第1の直径よりも大きな第2の直径の光ディスクを前記ターンテーブルに向けて案内するガイド部材と、
前記ガイド部材が前記第1の位置と前記第2の位置との間を移動される移動動作に基づいて、前記回動支点からの距離が異なる第1の起動位置と第2の起動位置に移動可能な検出スイッチと、
を有し、
前記ガイド部材により挿入される光ディスクの直径に合わせて前記検出スイッチを前記第1の起動位置または前記第2の起動位置に位置させ、前記ローディングアームの前記スイッチ制御部により前記検出スイッチを、光ディスクの直径に依存した異なる位置で選択的に動作させることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項13】
前記検出スイッチは、光ディスクをローディング/イジェクティングするための動力発生機構を動作させることを特徴とする請求項12記載の光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−165890(P2008−165890A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−353298(P2006−353298)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】