説明

光ディスク装置

【課題】前処理として実際に記録することなく、球面収差の補正を行うことが可能な光ディスク装置を提供する。
【解決手段】情報再生処理中に、球面収差補正量を変更しつつ再生信号品位が最良になるように補正量を調整する。情報記録処理中に、球面収差補正量を変更しつつ記録し、記録動作終了後にそれを再生し、最良になる箇所での補正量を求める。若しくは、規定の球面収差補正量をもって記録した後、記録箇所の再生を行い、信号品位を検出し、これを繰り返し、信号品位が最良になる補正量を求める。その時の周囲温度も記録する。予め求めた情報再生処理時と情報記録処理時での球面収差補正量とその時の周囲温度、及び記録前に求めた情報再生処理時の球面収差補正量とその時の周囲温度から、記録時に最適な球面収差の補正量を求めて安定的な情報記録を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクの記録再生装置における球面収差補正技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の情報通信技術の進展に伴い、高密度・大容量の情報記録媒体の研究開発が活発に進められている。このような記録媒体としては、光学式記録媒体、磁気記録媒体等がある。
【0003】
例えば、光学式記録媒体としては、CD(Compact disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスクが知られている。また、次世代大容量光ディスクとして、青紫色レーザを光源に用いた光ディスク、例えばブルーレイディスク(Blu-ray Disc)の研究開発が精力的に進められている。このような高密度・大容量光ディスクの開発の進展に伴い、光ディスクの記録密度を一層高密度化するため、光ディスク上に光ビームを収束させて回折限界の微小スポットを形成する対物レンズの開口数(NA)を拡大することが検討されている。しかし、光ディスクの記録層を保護する基材厚みの誤差に起因する球面収差はNAの4乗に比例するため、例えばNAを0.8や0.85等に大きくする場合には、球面収差が飛躍的に大きくなってしまう。
【0004】
また、レーザー光源の使用波長の微小変化に伴って生じる対物レンズの波面収差の3次球面収差成分の変化と、光軸方向への集光スポットのずれとの問題である。一般に、使用波長が短いほどその微小変化によって光学レンズの屈折率変化が大きくなる結果、これら波面収差の3次球面収差成分の変化と集光スポットのずれとが大きく生じ、情報の記録や再生が妨げられることとなる。
【0005】
従って、前記光学系に球面収差を補正する手段を設けることが不可欠になる。
上記した光ディスクの記録又は再生時においては、光ビームの短波長化、及び対物レンズの高NA(Numerical Aperture)化に対応でき、より高精度で安定度の高い光ディスク装置の開発が望まれている。
【0006】
従来の球面収差を補正する装置には、光ディスクに記録されている情報を再生する際に球面収差が最小になるように補正する手段が提案されている(例えば、特許文献1参照)。その一例を図12に示す。これを従来例1とする。
【0007】
また、光ディスクに情報を記録する時の球面収差が最小になるような補正の方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。その一例を図18に示す。これを従来例2とする。
【0008】
まず、図12に示した従来例1について説明する。
光ピックアップ120は、スピンドルモータ130によって回転駆動される光学式記録媒体としての光ディスク140に読取ビーム光を照射し、その反射光を受光する。この際、スピンドルモータ130は、上記光ディスク140を1回転させる度に回転信号RTを発生し、これを制御回路150に供給する。光ピックアップ120は、上述した如く光ディスク140に読取ビーム光を照射した際の反射光を受光しこれを電気信号に変換したものを、フォーカスエラー生成回路101、トラッキングエラー生成回路102、及び情報読取信号生成回路103の各々に供給する。
【0009】
光ピックアップ120は、レーザ発生素子121、液晶パネル122、ハーフミラー123、対物レンズ124、フォーカシングアクチュエータ125、トラッキングアクチュエータ126、集光レンズ127、及び光検出器128から構成されている。レーザ発生素子121は、所定の光パワーを有するレーザビーム光を発生する。かかるレーザビーム光は、光ディスク140の透過基板の厚さ誤差に伴う球面収差を補正すべく設けられた液晶パネル122を透過してハーフミラー123に導出される。
【0010】
図13は、上記レーザビーム光の光軸方向から眺めた液晶パネル122の構造を示す。
液晶パネル122は、円形の透明電極E1、円環状の透明電極E2、及び複屈折特性を有する液晶分子が充填された液晶層CLとからなる。透明電極E1の直径は、対物レンズ124のレンズ径が3000[μm]である場合には例えば約1600[μm]であり、透明電極E2の外径は約2800[μm]である。
【0011】
なお、透明電極E1及びE2の中心軸は、共にレーザビーム光の光軸中心に等しい。透明電極E1には所定の電位(例えば2ボルト)が固定印加されており、透明電極E2には液晶ドライバ104からの液晶駆動電位CVが印加される。この際、液晶層CL内に充填されている液晶分子の内、透明電極E2に覆われた円環状の領域に存在する液晶分子のツイスト角が液晶駆動電位CVに応じた分だけ推移する。よって、図13に示されるようにレーザビーム光によるビームスポットSPが液晶パネル122に照射されると、透明電極E2に覆われた領域を透過する光と、他の領域を透過する光とに上記液晶駆動電位CVに応じた分の位相差が生じる。つまり、液晶パネル122は、レーザ発生素子121から供給されたレーザビーム光の波面に上述した如き位相差をもたせて透過出力するのである。かかる動作により、液晶パネル122は、光ディスクの透過基板厚のバラツキによる球面収差の補正を行う。
【0012】
ハーフミラー123は、かかる液晶パネル122から供給されたレーザビーム光を対物レンズ124に導出する。対物レンズ124は、ハーフミラー123から供給されたレーザビーム光を上記読取ビーム光として光ディスク140の記録面に形成されている記録トラック上に集光する。フォーカシングアクチュエータ125は、対物レンズ124をサーボループスイッチ105から供給されたフォーカス駆動信号FGに応じた分だけ、光ディスク140の記録面に対する垂直方向、いわゆるフォーカス調整軌道上において移動せしめる。トラッキングアクチュエータ126は、サーボループスイッチ106から供給されたトラッキング駆動信号TGに応じた分だけ対物レンズ124の光軸を光ディスク140のディスク半径方向に振る。
【0013】
ここで、上記読取ビーム光を光ディスク140の記録トラック上に照射した際に得られた反射光は対物レンズ124及びハーフミラー123を介して集光レンズ127に導出される。集光レンズ127は、かかる反射光を集光して光検出器128の受光面に照射する。図14は光検出器128の受光面を示す。
【0014】
光検出器128は、記録トラック方向に対して図の如く配列された4つの独立した受光素子A〜Dを備えている。受光素子A〜D各々は、集光レンズ127から供給された反射光を受光して電気信号に変換したものを光電変換信号R1〜R4として出力する。フォーカスエラー生成回路101は、光検出器128における上記受光素子A〜Dの内で互いに対角に配置されている受光素子同士の出力和を夫々求め、両者の差分値をフォーカスエラー信号FEとして減算器107に供給する。すなわち、フォーカスエラー生成回路101は、FE=(R1+R3)―(R2+R4)なるフォーカスエラー信号FEを減算器107に供給するのである。
【0015】
減算器107は、かかるフォーカスエラー信号FEから、制御回路150から供給されたフォーカス調整軌道上位置信号FPを減算して得たフォーカスエラー信号FE’をサーボループスイッチ105に供給する。サーボループスイッチ105は、制御回路150から供給されたフォーカスサーボスイッチ信号FSWに応じたオン・オフ状態となる。例えば、サーボループスイッチ105は、フォーカスサーボ・オフを示す論理レベル"0"のフォーカスサーボスイッチ信号FSWが供給された場合にはオフ状態となる。一方、フォーカスサーボ・オンを示す論理レベル"1"のフォーカスサーボスイッチ信号FSWが供給された場合にはオン状態となり、上記フォーカスエラー信号FE’に応じたフォーカス駆動信号FGをフォーカシングアクチュエータ125に供給開始する。すなわち、光ピックアップ120、フォーカスエラー生成回路101、減算器107、サーボループスイッチ105なる系により、いわゆるフォーカスサーボループを形成しているのである。かかるフォーカスサーボループにより、対物レンズ124は、上記フォーカス調整軌道上位置信号FPに応じたフォーカス調整軌道上の位置に保持される。
【0016】
トラッキングエラー生成回路102は、上記光検出器128の受光素子A〜Dの内で互いに対角に配置されている受光素子同士の出力和を夫々求め、両者の位相差をトラッキングエラー信号としてサーボループスイッチ106及びLPF(ローパスフィルタ)108各々に供給する。すなわち、(R1+R3)と(R2+R4)との位相差をトラッキングエラー信号として求めるのである。サーボループスイッチ106は、制御回路150から供給されたトラッキングサーボスイッチ信号TSWに応じたオン・オフ状態となる。例えば、サーボループスイッチ106は、トラッキングサーボ・オンを示す論理レベル"1"のトラッキングサーボスイッチ信号TSWが供給された場合にはオン状態となり、上記トラッキングエラー信号に応じたトラッキング駆動信号TGをトラッキングアクチュエータ126に供給開始する。一方、トラッキングサーボ・オフを示す論理レベル"0"のトラッキングサーボスイッチ信号TSWが供給された場合にはオフ状態となる。この際、トラッキングアクチュエータ126にはトラッキング駆動信号TGの供給が為されない。LPF108は、上記トラッキングエラー信号から高域ノイズ成分を除去したものをトラッキングエラー信号TEとして制御回路150に供給する。
【0017】
情報読取信号生成回路103は、上記光電変換信号R1〜R4を互いに加算して得た加算結果を、光ディスク140に記録されている情報データに対応した情報読取信号として求め、これをLPF(ローパスフィルタ)109及び情報データ復調回路110の各々に供給する。LPF109は、上記情報読取信号から高域ノイズ成分を除去したものを情報読取信号RFとして制御回路150に供給する。情報データ復調回路110は、かかる情報読取信号に対して所定の復調処理を施すことにより情報データを再生し、これを再生情報データとして出力する。
【0018】
制御回路150は、光学式情報再生装置における各種記録再生動作を実現すべく図示せぬメインルーチンに従った制御を行う。この際、かかるメインルーチンの実行中に、光ディスク140がこの光学式情報再生装置に装着されると、制御回路150は、図15及び図16に示されるが如き手順からなる球面収差補正サブルーチンの実行に移る。
【0019】
図15において、先ず、制御回路150は、フォーカスサーボをオン状態にすべく、論理レベル”1”のフォーカスサーボスイッチ信号FSWをサーボループスイッチ105に供給する(ステップS101)。次に、制御回路150は、トラッキングサーボをオフ状態にすべく、論理レベル”0”のトラッキングサーボスイッチ信号TSWをサーボループスイッチ106に供給する(ステップS102)。次に、制御回路150は、情報読取信号RFの振幅レベルの最大値RFmax、トラッキングエラー信号TEの振幅レベルの最大値TEmax、フォーカス調整軌道上位置信号FP、トラッキングエラー信号TEの振幅レベルが最大となる時のフォーカス調整軌道上の位置FPTE、情報読取信号RFの振幅レベルが最大となる時のフォーカス調整軌道上の位置FPRF各々の初期値として、夫々”0”を内蔵レジスタ(図示せず)に記憶する(ステップS103)。
【0020】
次に、制御回路150は、上記内蔵レジスタに記憶されているフォーカス調整軌道上位置信号FPを減算器107に供給する(ステップS4)。かかるステップS104の実行により、フォーカシングアクチュエータ125は、対物レンズ124を、上記内蔵レジスタに記憶されているフォーカス調整軌道上位置信号FPによって示されるフォーカス調整軌道上の位置に移送する。次に、制御回路150は、スピンドルモータ130から供給された回転信号RTに基づき、光ディスク140が1回転したか否かの判定を、この光ディスク140が1回転するまで繰り返し行う(ステップS105)。かかるステップS105において光ディスク140が1回転したと判定されたら、制御回路150は、LPF108及び109各々から供給されたトラッキングエラー信号TE及び情報読取信号RFを夫々取り込む(ステップS106)。
【0021】
次に、制御回路150は、この取り込んだトラッキングエラー信号TEの振幅レベルが、上記内蔵レジスタに記憶されているTEmaxよりも大であるか否かの判定を行う(ステップS107)。かかるステップS107において、トラッキングエラー信号TEの振幅レベルがTEmaxよりも大であると判定された場合、制御回路150は、ステップS106で取り込んだトラッキングエラー信号TEの振幅レベルを新たなTEmaxとして上記内蔵レジスタに上書き記憶する(ステップS108)。次に、制御回路150は、上記内蔵レジスタに記憶されているFPTEの値を、上記内蔵レジスタに記憶されているフォーカス調整軌道上位置信号FPによって示される値に書き換える(ステップS109)。
【0022】
かかるステップS109の実行後、又は上記ステップS107においてトラッキングエラー信号TEの振幅レベルがTEmaxよりも大ではないと判定された場合、制御回路150は、上記ステップS106で取り込んだ情報読取信号RFの振幅レベルが上記内蔵レジスタに記憶されているRFmaxよりも大であるか否かの判定を行う(ステップS110)。かかるステップS110において、情報読取信号RFの振幅レベルがRFmaxよりも大であると判定された場合、制御回路150は、ステップS6で取り込んだ情報読取信号RFの振幅レベルを新たなRFmaxとして上記内蔵レジスタに上書き記憶する(ステップS111)。次に、制御回路150は、上記内蔵レジスタに記憶されているFPRFの値を、上記フォーカス調整軌道上の位置信号FPによって示される値に書き換える(ステップS112)。
【0023】
かかるステップS112の実行後、又は上記ステップS110において情報読取信号RFの振幅レベルがRFmaxよりも大ではないと判定された場合、制御回路150は、上記内蔵レジスタに記憶されているフォーカス調整軌道上の位置信号FPの値に”1”を加算した値を新たなFPとして上記内蔵レジスタに上書き記憶する(ステップS113)。次に、制御回路150は、上記内蔵レジスタに記憶されているフォーカス調整軌道上位置信号FPの値が”16”になったか否かを判定する(ステップS114)。かかるステップS114において、フォーカス調整軌道上の位置信号FPの値が”16”にはなっていないと判定された場合、制御回路150は、上記ステップS104の実行に戻って前述した如きステップS104〜S114までの動作を繰り返し実行する。この間、上記ステップS113、S114、S104なる一連の動作が実施される度に対物レンズ124のフォーカス調整軌道上における位置が所定距離ずつ推移して行く。つまり、フォーカス調整軌道上位置信号FPの値が”0”から”15”に推移するまでの16段階にて、対物レンズ124のフォーカス調整軌道上における位置が所定距離ずつ推移して行くのである。そして、ステップS106の実行により、各段階毎にトラッキングエラー信号TEの振幅レベル及び情報読取信号RFの振幅レベルを夫々取り込む。次に、ステップS107〜S109の実行により、各段階毎のトラッキングエラー信号TEの内でその振幅レベルが最大となった時の対物レンズ124のフォーカス調整軌道上における位置をFPTEとして得る。更に、ステップS110〜S112の実行により、各段階毎の情報読取信号RFの内で最もその振幅レベルが大となった時の対物レンズ124のフォーカス調整軌道上における位置をFPRFとして得るのである。
【0024】
一方、上記ステップS114において上記内蔵レジスタに記憶されているフォーカス調整軌道上位置信号FPの値が”16”になったと判定された場合、制御回路150は、上記内蔵レジスタに記憶されているFPRFを新たなフォーカス調整軌道上位置信号FPの値とすべく、このフォーカス調整軌道上位置信号FPの値を書き換える(ステップS115)。そして、制御回路150は、この書き換えられたフォーカス調整軌道上位置信号FPを減算器107に供給する(ステップS116)。すなわち、ステップS115及びS116の実行により、対物レンズ124は、情報読取信号RFの振幅レベルが最大となる時のフォーカス調整軌道上における位置、つまり上記FPRFにて示される位置に保持されるのである。
【0025】
次に、制御回路150は、上記内蔵レジスタに記憶されているFPTE及びFPRF、つまり、トラッキングエラー信号TEの振幅レベルが最大となる時のフォーカス調整軌道上の位置FPTEと、情報読取信号RFの振幅レベルが最大となる時のフォーカス調整軌道上の位置FPRFとが一致しているか否かの判定を行う(ステップS117)。
【0026】
かかるステップS117において、両者が一致していないと判定された場合、制御回路150は、球面収差補正信号SA、球面収差補正信号の最大値SAmaxの初期値として夫々"0"を上記内蔵レジスタに記憶する。更に、制御回路150は、この内蔵レジスタに記憶されているトラッキングエラー信号TEの振幅レベルの最大値TEmaxを”0”にリセットする(ステップS118)。次に、制御回路150は、上記内蔵レジスタに記憶されている球面収差補正信号SAを液晶ドライバ104に供給する(ステップS119)。かかるステップS119の実行により、液晶ドライバ104は、球面収差補正信号SAの値に応じた電位を有する液晶駆動電位CVを発生し、これを液晶パネル122に印加する。従って、この際、液晶パネル122にレーザビーム光が照射されると、図13に示されるが如き円環状の透明電極E2に覆われた領域を透過する光と、他の領域を透過する光とに、上記球面収差補正信号SAに応じた位相差が生じる。これにより、球面収差の仮補正がなされることになる。次に、制御回路150は、スピンドルモータ130から供給された回転信号RTに基づき、光ディスク140が1回転したか否かの判定を、この光ディスク140が1回転するまで繰り返し行う(ステップS120)。かかるステップS120において光ディスク140が1回転したと判定されたら、制御回路150は、LPF108から供給されたトラッキングエラー信号TEを取り込む(ステップS121)。
【0027】
次に、制御回路150は、この取り込んだトラッキングエラー信号TEの振幅レベルが、上記内蔵レジスタに記憶されているTEmaxよりも大であるか否かの判定を行う(ステップS122)。かかるステップS122において、トラッキングエラー信号TEの振幅レベルがTEmaxよりも大であると判定された場合、制御回路150は、上記ステップS121で取り込んだトラッキングエラー信号TEの振幅レベルを新たなTEmaxとして上記内蔵レジスタに上書き記憶する(ステップS123)。次に、制御回路150は、上記内蔵レジスタに記憶されているSAmaxの値を、上記内蔵レジスタに記憶されている球面収差補正信号SAによって示される値に書き換える(ステップS124)。
【0028】
かかるステップS124の実行後、又は上記ステップS122においてトラッキングエラー信号TEの振幅レベルが上記内蔵レジスタに記憶されているTEmaxよりも大ではないと判定された場合、制御回路150は、上記内蔵レジスタに記憶されている球面収差補正信号SAの値に"1"を加算した値を新たなSAとして上記内蔵レジスタに上書き記憶する(ステップS125)。次に、制御回路150は、上記内蔵レジスタに記憶されている球面収差補正信号SAの値が”16”になったか否かを判定する(ステップS126)。かかるステップS126において、球面収差補正信号SAの値が”16”にはなっていないと判定された場合、制御回路150は、上記ステップS119の実行に戻って前述した如きステップS119〜S126までの動作を繰り返し実行する。この間、上記ステップS125、S126、S119なる一連の動作が実施される度に液晶パネル122による球面収差補正がその補正量を更新しつつ行われる。つまり、上記補正量としての球面収差補正信号SAの値を”0”〜”15”なる16段階にて変更しながら球面収差の仮補正を実施して行く。そして、ステップS122〜S124の実行により、これら16段階にて球面収差仮補正を行った際に各段階毎に取り込まれたトラッキングエラー信号TEの内で最もその振幅レベルが大となった時の球面収差の補正量をSAmaxとするのである。
【0029】
ここで、上記ステップS126において、球面収差補正信号SAの値が”16”になったと判定された場合、制御回路150は、上記内蔵レジスタに記憶されているSAmaxを新たな球面収差補正信号SAの値とすべく、かかる球面収差補正信号SAの値を書き換える(ステップS127)。そして、制御回路150は、この球面収差補正信号SAを最終的な球面収差補正信号として液晶ドライバ104に供給する(ステップS128)。すなわち、ステップS127及びS128の実行により、上記SAmaxを最終的な球面収差補正量としこの補正量に応じた分だけ図13に示される透明電極E2に覆われた領域に対して位相差をもたせるべく液晶パネル122を駆動する。かかる駆動により、最終的な球面収差補正をなすのである。
【0030】
上記ステップS128の終了後、又は、上記ステップS117においてFPTEと、FPRFとが一致していると判定された場合、制御回路150は、この球面収差補正サブルーチンを抜けてメインルーチンの実行に戻る。以下に、かかる球面収差補正サブルーチンの実行による球面収差の補正原理について述べる。
【0031】
球面収差が生じていると、図17に示されるが如く、トラッキングエラー信号の振幅レベルが最大となる時のフォーカス調整軌道上の位置と、情報読取信号RFの振幅レベルが最大となる時のフォーカス調整軌道上の位置とにズレが生じる。そこで、上記ステップS104〜S114の実行により、先ず、対物レンズ124のフォーカス調整軌道上における位置を図17に示されるが如く”0”〜”15”へと推移させつつ、トラッキングエラー信号(実線にて示す)及び情報読取信号(破線にて示す)各々の振幅レベルを取得する。そして、トラッキングエラー信号の振幅レベルが最大となる時のフォーカス調整軌道上の位置FPTE、及び情報読取信号の振幅レベルが最大となる時のフォーカス調整軌道上の位置FPRFを夫々検索する。ここで、ステップS115及びS116の実行により、対物レンズ124のフォーカス調整軌道上の位置を、情報読取信号の振幅レベルが最大となる時のフォーカス調整軌道上の位置FPRFに保持する。この際、ステップS117にて、上記FPTEと、FPRFとが一致していると判定された場合には、球面収差が生じていないと判断し、この球面収差補正サブルーチンを終了する。一方、図17に示されるように、上記FPTEとFPRFとが一致していない場合には球面収差が生じていると判断し、ステップS118〜S128を実行する。かかるステップS118〜S128では、液晶パネル122を用いることによりその補正量を徐々に変更しつつ球面収差の補正を行い、この間に取り込まれたトラッキングエラー信号の内でその振幅レベルが最大となった時の補正量(SAmax)を選ぶ。そして、この補正量(SAmax)にて最終的な球面収差補正を行うのである。かかる球面収差補正によれば、図17の矢印にて示されるように、フォーカス調整軌道上の位置に対するトラッキングエラー信号の放物線は、情報読取信号の放物線に近づいてゆく。よって、上述した如く、対物レンズ124のフォーカス調整軌道上の位置をFPRFに保持した際に得られるトラッキングエラー信号の振幅レベルは増大することになる。これにより、球面収差が発生する場合においても、適切な収差補正を行うことができ、安定した情報の再生を行うことができる。
【0032】
次に、図18に示した従来例2について説明する。
光ディスクDは、情報の記録が可能なタイプの光ディスクである。従来例の球面収差補正装置は、記録手段250と、戻り光レベル検出手段251と、補正量決定手段252と、球面収差補正手段253とを備える。
【0033】
記録手段250は、情報記録の対象となる光ディスクに対して情報の記録を行う。具体的には、記録手段は、光ディスクに対して記録用光ビームを照射し、情報記録面上にピットを形成することにより情報の記録を行う。
【0034】
戻り光レベル検出手段251は、情報の記録中に、戻り光のレベルを検出する。戻り光とは、光ディスクDに対して照射した記録用光ビームが光ディスクDの情報記録面により反射されて得られる光ビームを指す。戻り光のレベルとは、戻り光を光電変換して得られる検出信号のレベルをいい、具体的には後述するピットレベル、リードレベル及びライトレベルや記録パワーなど、並びにそれらから算出されるピットレシオなどを含む。
【0035】
補正量決定手段252は、戻り光レベル検出手段251により得られた戻り光レベルに基づいて、球面収差の補正量を決定する。決定された球面収差補正量は球面収差補正手段53へ供給され、球面収差補正処理がなされる。
【0036】
記録手段250による記録中に、補正量決定手段252は球面収差補正量を少しずつ変化させて球面収差補正手段253による補正を行い、戻り光レベル検出手段251はその結果得られる戻り光検出レベル取得する。そして、補正量決定手段252は、検出された戻り光レベルに基づいて、前回の球面収差補正量による補正により球面収差が減っている(改善している)か否かを判定する。球面収差が減っている場合には、前回と同一の補正方向(補正量の極性に関して同一方向)にさらに球面収差を補正して、同じ動作を繰り返す。一方、球面収差が減っていない(改善していない)場合、補正量決定手段252は、前回とは逆の方向に球面収差を補正して、同じ動作を繰り返す。
【0037】
このようにして補正量決定手段252は、常に球面収差が減少する方向へ球面収差補正量を変更して、球面収差補正手段253による補正を行う。これにより、実際の情報記録中の温度変化などにより球面収差量が変動した場合でも、それに応じてリアルタイムで適切な球面収差補正を行うことができる。
【特許文献1】特開2001−222838号公報
【特許文献2】特開2004−62938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
しかしながら従来例1においては、記録時における球面収差の補正が行われず、再生時のみ球面収差の補正が行われる。
ディスクへの情報記録時に要するレーザーパワーは、再生時に比べて十数倍以上となりレーザーダイオード(レーザ光源)自身の温度変化に伴って生じる対物レンズの波面収差の3次球面収差成分の変化が問題となる。光ピックアップにおいて一般に用いられるプラスチック製の対物レンズは温度変化を受けて変形しやすく、この変形に伴い対物レンズの屈折率が変化し、その結果、波面収差の3次球面収差成分が変化する。この波面収差の3次球面収差成分の変化量ΔSA(単位:λrms)は、概ね
ΔSA = k・f(1−M)4(NA)4・ΔT/λ・・・・・第1式
ここで、k:定数、f:像側焦点距離、M:倍率、NA:像側開口数、ΔT:温度変化、λ:波長である。
【0039】
従って、この式からも明らかなように、再生に最適な球面収差の補正量は、記録に最適な球面収差の補正量とは一致しないため、再生に最適な球面収差の補正量を用いて補正を行った状態でディスクに情報を記録した場合、記録品位が低下してしまう。もともとのディスクの記録特性が悪い場合や、温度や湿度などの環境の影響を受けて記録品位が悪くなる場合は、球面収差の補正量が最適でないこととあいまって、さらに記録品位を悪化させ、読み取りエラーが発生するなど、種々の問題が生じる。
【0040】
また、従来例2においては、ディスクへの情報記録時に戻り光のレベルを検出し、検出レベルが最大となるように球面収差の補正を行うことを特徴としている。
しかしながら、記録中にリアルタイムに球面収差補正を行う場合、検出される戻り光レベルに対する、球面収差補正処理の応答性が問題となる。検出される戻り光レベルに対して敏感に補正処理を反応させた場合は、制御のオーバーシュートもしくはアンダーシュートにより球面収差を補正しきれずに記録品位を悪化させてしまう。また、検出される戻り光レベルに対して鈍感に補正処理を反応させた場合は、制御の追従が遅くなり球面収差を補正しきれずに記録品位を悪化させてしまう。
【0041】
もう1つの問題は、記録中に球面収差の補正量を増減させて、戻り光レベルの検出を行う場合、最適な補正量に対して常に球面収差の補正量を変化させるために、最適な球面収差の補正量に対し、常に誤差を含んでしまう結果となる。このようにして補正を行う場合は記録品位にムラが発生し、記録後の読み取りにおいて、読み取りエラーが発生するなど、種々の問題が生じる。
【0042】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、情報の記録においても、球面収差を効果的に補正することが可能な球面収差補正を有する光ディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0043】
本発明の請求項1記載の光ディスク装置は、レーザ光源から出射した光ビームを対物レンズを介して記録媒体の記録層に合焦させてアクセスする光ピックアップを有する光ディスク装置であって、前記記録層からの反射光ビームを受光する光検出器と、前記光検出器からの信号からフォーカスおよびトラッキングエラー信号を生成するエラー信号生成手段と、前記エラー信号生成手段の出力に基づいて前記対物レンズを光ビームと平行ならびに垂直に駆動するアクチュエータと、前記レーザ光源から前記対物レンズの間の光路に介装され光ビームの収差を補正する球面収差補正手段と、前記光検出器から出力される信号の再生品位を検出する信号品位検出手段と、前記信号品位検出手段からの出力を受け球面収差の補正量を決定する補正量決定手段と、前記光ピックアップの温度をモニターする温度検出手段と、前記アクチュエータを駆動したり、記録データーに基づいて前記レーザー光源の出力を制御する情報記録手段と、前記信号品位検出手段の出力と前記補正量決定手段の出力および前記温度検出手段の検出温度などを学習結果として記憶するメモリーと、情報記録手段の出力と前記メモリーから読み出した学習結果に基づいて記録を行う前に前記補正量決定手段に球面収差の補正量を指示する補正量計算手段と、前記補正量決定手段のデーターに基づいて前記球面収差補正手段を駆動するドライバー回路とを有することを特徴とする。
【0044】
本発明の請求項2記載の光ディスク装置は、請求項1において、前記情報記録手段を、前記メモリーに記憶されている球面収差補正結果および補正時の温度データーを前記記録媒体に記録し、前記記録媒体にデーターを記録する前に、前記記録媒体から読み出した補正結果および温度データーに基づいて、球面収差補正を行うよう構成したことを特徴とする。
【0045】
本発明の請求項3記載の光ディスク装置は、請求項1において、前記情報記録手段を、前記補正量決定手段にて記録に最適な球面収差補正量を求める際に、記録時のレーザーパワーを異なった値にて複数回変更し、それぞれの記録パワーに最適な球面収差補正量を求め、求めた球面収差補正量の最小二乗近似にて記録時のレーザーパワーと球面収差補正量との関係を求めることにより球面収差の補正を行うよう構成したことを特徴とする。
【0046】
本発明の請求項4記載の光ディスク装置は、請求項1において、前記球面収差補正手段は、液晶位相シフタまたはエキスパンダレンズまたはコリメータレンズアクチュエータ駆動方式であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0047】
この構成によれば、NAの大きな対物レンズを用いて高密度の層からなる記録媒体に対して記録処理を行う場合に、あらかじめ学習した再生および記録時の球面収差補正値とその時の光ピックアップの温度ならびに、記録前に学習する再生時の球面収差補正値とその時の光ピックアップの温度により、記録時の球面収差補正量を割り出す処理を行うことで、記録時に発生する球面収差の影響を、記録の初期から最小限に抑えることができ、安定した品位の記録を行うことができる。
【0048】
また、記録前に毎回テスト記録を行う場合に比べて、初回の学習を除いて記録を行うことなく記録に最適な球面収差の補正量を求めることができるので、記録媒体の記録領域を無駄に消費することなく学習が可能となる。
【0049】
また、記録前に毎回テスト記録を行う場合に比べて、初回の学習を除いて記録を行うことなく記録に最適な球面収差の補正量を求めることができるので、テスト記録に要する時間を消費することなく短時間での学習が可能となる。
【0050】
また、新規の回路を追加することなく既存の回路を利用することができるため、無駄なコストアップをせずに、システムの実現が可能となる。
【発明の実施の形態】
【0051】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図11に基づいて説明する。
図1は本発明の実施形態に係る光ディスク装置を示す。
情報の記録が可能なタイプの光ディスク10にアクセスする光ピックアップ11は、光ディスクへ照射される光ビーム(LB)及びレーザーパワーモニター用の光ビーム(MB)を発するレーザ光源15と、レーザー光源から発せられる光ビーム(MB)の発光量を検出するパワーモニター16と、光ビーム(LB)を収束させる対物レンズ12と、対物レンズ12を光ディスク10の記録面と垂直な方向に移動させたり、光ディスクの半径方向に移動させるアクチュエータ13と、光ディスク10の表面から記録層までのカバー層の厚さや記録層間のスペーサ層の厚さの変動によって発生する収差を補正する球面収差補正手段14と、光ディスク10から反射され対物レンズ12により集光された戻り光を検出する光検出器17、および光ピックアップ11の温度を検出する温度検出手段18とを有する。
【0052】
球面収差補正手段14としては、例えば、液晶位相シフタ、ビームエキスパンダ、コリメータレンズアクチュエータ駆動方式などを用いることができる。ビームエキスパンダを用いる場合には、ステッピングモータなどのアクチュエータでビームエキスパンダを駆動することにより収差補正を行うことができる。また、液晶素子を用いる場合には、アナログ駆動信号又はPWM(Pulse Width Modulation)信号などによって液晶の収差補正量を調整することができる。この実施の形態においては、球面収差補正手段14としてビームエキスパンダを用いた場合を例に説明する。
【0053】
レーザーパワー制御手段19は、パワーモニター16から出力される信号によりレーザ光源15から出射される光ビーム(LB)の発光量が所定の値となるように制御を行う。
温度検出手段18により検出された光ピックアップ11の情報、具体的には、温度検出手段18により検出されたレーザ光源15の温度は、メモリー22に記憶される。なお、光ディスク装置には光ピックアップ11を光ディスク10の半径方向に駆動するトラバースモータ(図示しない)が設けられている。
【0054】
アクチュエータ13、前記トラバースモータ、および球面収差補正手段14は、ドライバー回路25によって駆動される。
エラー信号生成手段26は、光検出器17から出力される信号に基づいて、光ディスク10の記録面に対し対物レンズ12によって集光される光ビーム(LB)の収束点の光ディスク10の記録面と垂直方向の位置に応じたフォーカス誤差信号を出力したり、光ディスク10上の情報が記録されるトラックに対し対物レンズ12によって集光される光ビーム(LB)の収束点の半径方向の位置に応じたトラッキング誤差信号を出力する。
【0055】
サーボ制御手段27は、エラー信号生成手段26からのサーボ誤差信号に基づいて、光ビーム(LB)の収束点が光ディスク10の記録面上に位置するようにドライバー回路25を通じて、対物レンズ12をフォーカス方向に制御したり、光ビーム(LB)の収束点が光ディスク10の記録トラック上に位置するようにドライバー回路25を通じて、対物レンズ12をトラック方向に制御する。
【0056】
信号品位検出手段20は、光ディスク10を再生中に光検出器17により検出された光ディスク10からの戻り光から抽出される信号の品位を検出する。信号品位の検出は、例えば、再生信号の時間軸上の揺らぎを示すジッターの検出でも良いし、再生信号の訂正を行った時のエラーレート(訂正誤り率)の検出でも良いし、光ディスク評価手法としてビタビ検出でのメトリクス演算を応用して定式化したMLSE(Maximum Likelihood Sequence Error)の検出でも良い。この実施の形態においては、信号品位検出手段20として信号品位をジッターで検出する手段を用いた場合を例に説明する。
【0057】
補正量決定手段21は、記録前における球面収差補正の事前学習において、再生時は信号品位検出手段20により検出される信号品位を基に信号品位が最良となる球面収差の補正量を探索する。この補正量決定手段21は、記録時には、情報記録手段28と連携し、所定の範囲内で球面収差補正量を変更しつつ、光ディスク10にデーターを記録していく。また、通常の記録再生時においては、メモリー22に記録された、記録または再生に最適な球面収差補正量を読み出して、球面収差の補正を行う。
【0058】
補正量計算手段23は、メモリー22に格納されている前記補正量決定手段21で求められた事前学習での学習結果と、同じくメモリー22に格納されている前記温度検出手段18によって検出された事前学習時の温度データーと、同じくメモリー22に格納されている前記レーザーパワー制御手段19によって検出された事前学習時のレーザーパワーとに基づき、記録を行う時に最適な球面収差の補正値を算出する。
【0059】
つまり、ここでメモリー22には、信号品位検出手段20から出力される信号品位にかかわるデーターや、補正量決定手段21から出力される球面収差の補正量にかかわるデーターや、補正量計算手段23から出力される記録時に最適な球面収差補正量にかかわるデーターや、情報記録手段28からの記録アドレス情報や、レーザーパワー制御手段19から出力される記録または再生時に設定されたレーザーパワーにかかわるデーターを記録されている。
【0060】
情報記録手段28は、光ディスク装置の動作に必要な運転プログラムが書き込まれたCPUを有しており、例えば、光ディスク10に情報を記録するための情報を記録用の信号に変換し、更にレーザ光源15を駆動してレーザービーム(LB)の発光を制御する。
【0061】
この光ディスク装置の球面収差補正は、パワー差球面収差補正学習処理と、温度差球面収差補正学習処理と、記録前球面収差補正処理の3つの処理から成り立っている。
最初に、パワー差球面収差補正学習について説明する。
【0062】
説明には、図1の他に図2、図7、図8、図9、図10を用いる。
パワー差球面収差補正学習は、レーザー光源から発せられる光ビーム(LB)の発光量によって、発生する球面収差量の変化を吸収する目的で行う。
【0063】
まず、再生処理について説明する。
レーザ光源15から出射されるレーザービーム(MB)がパワーモニター16に入射されると、パワーモニター16では、入射された光量に応じたレベルの電気信号に変換される。レーザー制御手段19は、前記パワーモニター16から出力される信号レベルを基に、レーザ光源15から出射される光ビーム(LB)の発光量を割り出し、前記光ビーム(LB)の発光量が、目標とする再生光量となるように、レーザーパワー制御手段の出力を制御する。
【0064】
光ディスク10には、前記レーザ光源15から出射され、対物レンズ12により集光された光ビーム(LB)が照射される。
一方、サーボ制御手段27は、ドライバー回路25に制御信号を送り、対物レンズ12を光ディスク10の記録面と垂直方向に駆動させる。光ディスク10の記録面に照射された光ビーム(LB)の戻り光を光検出器17が受け電気信号に変換する。光検出器17から出力される電気信号はエラー信号生成手段26に入力される。エラー信号生成手段26は、光検出器17から入力された電気信号を基に、光ディスク10の記録面と、光ビーム(LB)の焦点との距離に応じたフォーカス誤差信号を出力する。前記エラー信号生成手段26から出力されたフォーカス誤差信号は、サーボ制御手段27に入力され、サーボ制御手段27は、前記フォーカス誤差信号が最小になるように、ドライバー回路25を制御し、対物レンズ12を駆動する。
【0065】
更に、サーボ制御手段27は、ドライバー回路25に制御信号を送り、対物レンズ12を光ディスク10の記録面上を半径方向に駆動させる。光ディスク10の記録面上に形成された記録トラックに照射された光ビーム(LB)の戻り光を光検出器17が受け、電気信号に変換する。光検出器17から出力される電気信号はエラー信号生成手段26に入力される。エラー信号生成手段26は、光検出器17から入力された電気信号を基に、光ディスク10の記録面上に形成された記録トラックと、光ビーム(LB)の焦点との半径方向の距離に応じたトラッキング誤差信号を出力する。前記エラー信号生成手段26から出力されたトラッキング誤差信号は、サーボ制御手段27に入力され、サーボ制御手段27は、前記トラッキング誤差信号が最小になるようにドライバー回路25を制御し、対物レンズ12を駆動する。
【0066】
再生状態において、パワー差球面収差補正学習が開始されると、既に学習が終了しているかどうか確認する(ステップS21)。もし、既にパワー差球面収差補正学習が完了していた場合は、この学習を行わず終了する。
【0067】
もし、まだパワー差球面収差補正学習が完了していない場合は、次のステップに進む。次に、調整前の光ピックアップ11の温度(Te1)の測定を行う(ステップS22)。この測定の時には、光ピックアップ11の温度を温度検出手段18により検出する。
【0068】
次に、再生パワー(LP1)での球面収差補正開始を行う(ステップS23)。球面収差補正処理は、下記の手順で行われる。
まず、光ビーム(LB)の発光量が再生パワー(Lp1)になるように制御し、光検出器17により検出される再生信号のジッター量を、信号品位検出手段20が検出する。補正決定手段21は、信号品位検出手段20から出力されるジッター値を基にジッター値が最小になるようにドライバー回路25を制御し、球面収差補正手段14を駆動する。図7は、そのときの動作を現している。球面収差補正量の初期設定が図のb点で示されるSAbとし、この時のジッター値がJitbであったとする。次に球面収差補正量SAaに設定する。球面収差補正量SAaであるa点でのジッター量検出の結果ジッター値Jitaを取得する。次に、JitaとJitbを比較し、Jita>Jitbの場合、現状よりもジッター値が更に小さくなると予測される方向に球面収差量を設定する。図7の場合、c点であるSAcに球面収差補正量を設定する。この時のジッター値Jitcを取得する。
【0069】
取得したジッター値Jitcと先ほどのJitbを比較する。Jitb>Jitcの場合、ジッター値が更に小さくなると予測される方向に球面収差量を設定する。図7の場合、d点であるSAdに球面収差補正量を設定する。この時のジッター値Jitdを取得する。
【0070】
取得したジッター値Jitdと先ほどのJitcを比較する。Jitd>Jitcの場合、再生パワー(Lp1)での球面収差補正処理を終了する。
次に、学習結果(SA1)を取得する(ステップS24)。取得の方法は、球面収差補正処理にて取得したジッター値が最小になるところの球面収差補正量を求める。図7において、取得したジッターの最小値はJitcでありその時の球面収差補正量は、SAcであるので、球面収差補正量の学習結果をSAcと決定する。
【0071】
または、次の方法で再生パワー(Lp1)での球面収差補正処理を行っても良い。
図7において、球面収差補正量を順にSAa、Sab、SAc、SAdまで4段階切り替えていき、その時のジッター値Jita、Jitb、Jitc、Jitdを取得する。
【0072】
得られた、学習結果より最小二乗近似にてジッター値が最小となる球面収差補正量を求めても良い。この場合、少ない球面収差の変更数で補完してジッター値が最小となる球面収差補正量を求めることが可能となるため、短時間で精度よく最良となる球面収差の学習結果を求めることが可能となる。
【0073】
次に、光ビーム(LB)の発光量が記録パワー(Lp2)になるように制御し、球面収差補正開始を行う(ステップS25)。
球面収差補正処理は、下記の手順で行われる。
【0074】
まず、レーザーパワー制御手段19は、記録パワーがLp2になるように、パワーモニター16からの信号を基にレーザ光源15を駆動する。次に、補正量決定手段21は、ドライバー回路25を制御して、球面収差補正手段14の補正量が所定の値になるように駆動する。また、情報記録手段28は、記録するデーターに対応したレーザー制御を行うためにレーザ光源15を駆動する。図8に示すように、球面収差補正量をSAhに設定して、光ディスク10上の記録領域のAdraからAdrbに記録を行う。次に球面収差補正量をSAgに設定して、光ディスク10上の記録領域のAdrbからAdrcに記録を行う。次に球面収差補正量をSAfに設定して、光ディスク10上の記録領域のAdrcからAdrdに記録を行う。次に球面収差補正量をSAeに設定して、光ディスク10上の記録領域のAdrdからAdreに記録を行う。
【0075】
このようにして、球面収差補正量を変更しつつ順次記録を行っていく。
記録処理が終了した後、学習結果SA2を取得する処理に移行する(ステップS26)。光ビーム(LB)の発光量が再生パワー(Lp1)になるように制御し、前記記録パワー(Lp2)にて球面収差補正量を段階的に変更して記録処理を行った箇所AdraからAdreを再生する。
【0076】
再生時に、光検出器17により検出される再生信号のジッター量を、信号品位検出手段20が検出する。
光ディスク10上の記録領域AdraからAdreを再生した時に、信号品位検出手段20により検出されたジッター値が図9のようになった場合、ジッター値が最も小さいJitgとなる記録アドレスAdrbからAdrcを記録した時に設定された球面収差補正量SAgが記録に最適な補正量(SA2)として取得される。
【0077】
または、次の方法で記録パワー(Lp2)での球面収差補正処理を行っても良い。
図8と図9から記録時の球面収差補正量と再生ジッター値との関係を表したものが図10になる。図10において、球面収差補正量を順にSAe,Saf,SAg,SAhとそれに対応するジッター値Jitd、Jite,Jitf,Jitgから最小二乗近似にてジッター値が最小となる球面収差補正量を求めても良い。この場合、少ない球面収差の変更数で補完してジッター値が最小となる球面収差補正量を求めることが可能となるため、短時間で精度よく最良となる球面収差の学習結果を求めることが可能となる。
【0078】
次に、パワー差球面収差補正学習で取得した値をメモリー22に保存する(ステップS27)。保存する値は、球面収差学習結果(SA1,SA2)と学習時光ピックアップ温度(Te1)と再生パワー(Lp1)と記録パワー(Lp2)である。
【0079】
メモリー22に学習結果が保存された後、パワー差球面収差補正学習が終了する。
次に、温度差球面収差補正学習について説明する。
説明には、図1の他に図3、図11を用いる。
【0080】
温度差球面収差補正学習は、光ピックアップ11の温度の変化によって、発生する球面収差量の変化を吸収する目的で行う。
再生状態において、温度差球面収差補正学習が開始されると、既に学習が終了しているかどうか確認する(ステップS31)。もし、既に温度差球面収差補正学習が完了していた場合は、この学習を行わず終了する。
【0081】
もし、まだ温度差球面収差補正学習が完了していない場合は、次のステップに進む。
次に、調整前光ピックアップ温度(Te2)の測定を行う(ステップS32)。この測定の時には、光ピックアップ11の温度を温度検出手段18により検出する。
【0082】
次に、再生パワー(LP1)での球面収差補正開始を行う(ステップS33)。球面収差補正処理は、下記の手順で行われる。
まず、光ビーム(LB)の発光量が再生パワー(Lp1)になるように制御し、光検出器17により検出される再生信号のジッター量を、信号品位検出手段20が検出する。補正決定手段21は、信号品位検出手段20から出力されるジッター値を基にジッター値が最小になるようにドライバー回路25を制御し、球面収差補正手段14を駆動する。図11は、そのときの動作を現している。球面収差補正量の初期設定がb0点で示されるSAb0とし、この時のジッター値がJitb0であったとする。次に球面収差補正量SAa0に設定する。球面収差補正量SAa0であるa0点でのジッター量検出の結果ジッター値Jita0を取得する。次に、Jita0とJitb0を比較し、Jita0>Jitb0の場合、現状よりもジッター値が更に小さくなると予測される方向に球面収差量を設定する。図11の場合、c0点であるSAc0に球面収差補正量を設定する。この時のジッター値Jitc0を取得する。取得したジッター値Jitc0と先ほどのJitb0を比較する。
【0083】
Jitb0>Jitc0の場合、ジッター値が更に小さくなると予測される方向に球面収差量を設定する。図11の場合、d0点であるSAd0に球面収差補正量を設定する。この時のジッター値Jitd0を取得する。取得したジッター値Jitd0と先ほどのJitc0を比較する。Jitd0>Jitc0の場合、再生パワー(Lp1)での球面収差補正処理を終了する。
【0084】
次に、学習結果(SA3)を取得する(ステップS34)。取得の方法は、球面収差補正処理にて取得したジッター値が最小になるところの球面収差補正量を求める。
図11において、取得したジッターの最小値はJitc0でありその時の球面収差補正量はSAc0であるので、球面収差補正量の学習結果をSAc0と決定する。
【0085】
または、次の方法で再生パワー(Lp1)での球面収差補正処理を行っても良い。
図11において、球面収差補正量を順にSAa0,Sab0,SAc0,SAd0まで4段階切り替えていき、その時のジッター値Jita0,Jitb0,Jitc0,Jitd0を取得する。
【0086】
得られた学習結果より最小二乗近似にてジッター値が最小となる球面収差補正量を求めても良い。この場合、少ない球面収差の変更数で補完してジッター値が最小となる球面収差補正量を求めることが可能となるため、短時間で精度よく最良となる球面収差の学習結果を求めることが可能となる。
【0087】
次に、温度差球面収差補正学習で取得した値を、メモリー22に保存する(ステップS35)。保存する値は、球面収差学習結果(SA3)と学習時光ピックアップ温度(Te2)と再生パワー(Lp1)である。メモリー22に学習結果が保存された後、温度差球面収差補正学習が終了する。
【0088】
次に、記録前球面収差補正処理について説明する。
説明には、図1の他に図4、図5、図6を用いる。
記録前球面収差補正処理は、光ピックアップ11の温度の変化によって発生する球面収差量の変化が及ぼす記録品位への影響を低減する目的で行う。
【0089】
記録前球面収差補正処理が開始されると、補正量計算手段23により、選択された記録速度に対応した記録パワー(Lpx)が決定される(ステップS41)。
次に、補正量計算手段23は、メモリー22に保存されている値を読み出す。読み出す値は、球面収差学習結果(SA1,SA2)、球面収差学習結果(SA3)、学習時光ピックアップ温度(Te1)、学習時光ピックアップ温度(Te2)、再生パワー(Lp1)、記録パワー(Lp2)である(ステップS42)。
【0090】
次に、温度検出手段18により、補正前の光ピックアップ11の温度(Tex)を測定する(ステップS43)。
次に、補正量計算手段23により、記録時球面収差補正量(SArev)を計算する(ステップS44)。
【0091】
補正量計算手段23は、次の手順で記録における球面収差の補正量計算を行う。
図5は、レーザーパワーの変化による球面収差補正量の変化である。
第1式で示したように、レーザーパワーの変化に対し、球面収差の変化は比例関係にあるので、レーザーパワーLp1での球面収差補正量SA1および、レーザーパワーLp2での球面収差補正量SA2を用いて、記録パワーLpxでの球面収差補正量は、第2式により表される。
【0092】
SApower ={(SA2−SA1)/(Lp2−Lp1)}・Lpx・・・・・第2式
また、図6は、光ピックアップ11の温度変化による球面収差補正量の変化である。
この場合も、第1式で示したように、光ピックアップの温度の変化に対し、球面収差の変化は比例関係にあるので、温度Te1での球面収差補正量SA1および、温度Te2での球面収差補正量SA2を用いて、温度Texでの球面収差補正量は、第3式により表される。
【0093】
SAtemp ={(SA3−SA1)/(Te2−Te1)}・Tex・・・・・第3式
第2式および第3式を用いて、記録時球面収差補正量(SArev)は次のように計算され求められる。
【0094】
SArev = SAtemp・SApower ・・・・・第4式
次に、補正量計算手段23は、求められた記録時球面収差補正量(SArev)、学習時の光ピックアップ11の温度(Tex)、記録パワー(Lpx)をメモリー22に格納する(ステップS45)。
【0095】
次に、光ディスク10に対し記録を行う前に、補正量決定手段21は、記録に最適な球面収差補正量SArevになるように、ドライバー回路25を制御して球面収差補正手段14を駆動する(ステップS46)。球面収差補正手段14の駆動完了後、情報記録手段28は、記録処理を開始するために、レーザ光源15に対して記録するデーターに対応したレーザー制御を行う。
【0096】
以上説明したように、本実施例に係る光ディスク装置は、光ディスクに対して照射するレーザーパワーの変化と球面収差補正量の変化の関係および、周囲温度の変化と球面収差補正量の変化の関係をあらかじめ導き出しておき、記録を行う前に得られる光ピックアップ11の温度と記録パワーを前記関係式に代入することで、記録時に発生する球面収差の影響を、記録の初期から最小限に抑えることができ、安定した品位の記録を行うことができる。
【0097】
また、記録前に毎回テスト記録を行う場合に比べて、初回の学習を除いて記録を行うことなく記録に最適な球面収差の補正量を求めることができるので、ディスクの記録領域を無駄に消費することなく学習が可能となる。
【0098】
また、記録前に毎回テスト記録を行う場合に比べて、初回の学習を除いて記録を行うことなく記録に最適な球面収差の補正量を求めることができるので、テスト記録に要する時間を消費することなく短時間での学習が可能となる。
【0099】
また、新規の回路を追加することなく既存の回路を利用することができるため、無駄なコストアップをせずに、システムの実現が可能となる。
なお、前記情報記録手段28を、前記メモリー22に記憶されている球面収差補正結果および補正時の温度データーを光ディスク10に記録し、光ディスク10にデーターを記録する前に、光ディスク10から読み出した補正結果およびレーザ光源15の情報としての例えばレーザ光源15の温度データに基づいて、球面収差補正を行うよう構成することもできる。
【0100】
上記の実施の形態では、レーザーパワーが一定で、球面収差補正量を切り換えてジッター量が最小となる球面収差補正量を最小自乗近似によって求めたが、補正量決定手段21にて記録に最適な球面収差補正量を求める際に、記録時のレーザーパワーを異なった値にて複数回変更し、それぞれの記録パワーに最適な球面収差補正量を求め、求めた球面収差補正量の最小二乗近似にて記録時のレーザーパワーと球面収差補正量との関係を求めることにより球面収差の補正を行うように情報記録手段28を構成しても実現できる。
【0101】
なお、上記の各実施の形態では、レーザ光源15の情報として温度検出手段18によってレーザ光源15の温度を検出してこれに使用したが、レーザ光源15への入力パワーまたは出力パワーまたは波長をレーザ光源15の情報とすることもでき、本発明の光ディスク装置記録再生方法は、情報再生処理中に球面収差補正量を変更しつつ再生信号品位が最良になるように補正量を調整しその時のレーザ光源15の情報を記録し、情報記録処理中に、球面収差補正量を所定の区間変更しつつ記録して記録動作終了後に記録した箇所を再生し、再生信号品位が最良になる箇所での補正量を求めその時のレーザ光源15の情報を記録し、予め求めた情報再生処理時と情報記録処理時での球面収差補正量とその時のレーザ光源15の情報、及び記録前に求めた情報再生処理時の球面収差補正量とその時のレーザ光源15の情報から、記録時に最適な球面収差の補正量を求める方法、若しくは、情報再生処理中に、予め決められた球面収差補正量をもって記録動作を行った後、記録箇所の再生を行い信号品位を検出し、これを繰り返して信号品位が最良になる補正量を求めその時のレーザ光源15の情報を記録し、予め求めた情報再生処理時と情報記録処理時での球面収差補正量とその時の前記レーザ光源15の情報、及び記録前に求めた情報再生処理時の球面収差補正量とその時のレーザ光源15の情報から、記録時に最適な球面収差の補正量を求める方法であると言える。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は球面収差を効果的に補正して安定的な情報記録に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図
【図2】パワー差球面収差補正学習の工程図
【図3】温度差球面収差補正学習の工程図
【図4】記録前球面収差補正処理の工程図
【図5】記録前球面収差補正処理でのレーザーパワーと球面収差補正量の関係図
【図6】記録前球面収差補正処理での周囲温度変化と球面収差補正量の関係図
【図7】パワー差球面収差補正学習での再生時における球面収差補正量とジッター値の関係図
【図8】パワー差球面収差補正学習での記録時における記録アドレスと球面収差補正量の関係図
【図9】パワー差球面収差補正学習での記録時における記録アドレスとジッター値の関係
【図10】パワー差球面収差補正学習での記録時における球面収差補正量とジッター値の関係図
【図11】温度差球面収差補正学習での再生時における球面収差補正量とジッター値の関係図
【図12】従来例の光学式情報再生装置の光学系を示す図
【図13】従来例の液晶パネルの概略構造を示す図
【図14】従来例の光検出器の受光面を示す図
【図15】従来例の球面収差補正サブルーチンフロー図
【図16】従来例の球面収差補正サブルーチンフロー図
【図17】従来例の球面収差が生じている際に得られるフォーカス調整軌道上での各位置毎のトラッキングエラー信号の振幅レベル及び情報読取信号の振幅レベルの一例を示す図
【図18】従来例における球面収差補正装置の構成図
【符号の説明】
【0104】
LB 光ビーム
10 光ディスク
11 光ピックアップ
12 対物レンズ
13 アクチュエータ
14 球面収差補正手段
15 レーザ光源
16 パワーモニター
17 光検出器
18 温度検出手段
19 レーザーパワー制御手段
20 信号品位検出手段
21 補正量決定手段
22 メモリー
23 補正量計算手段
25 ドライバー回路
26 エラー信号生成手段
27 サーボ制御手段
28 情報記録手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源から出射した光ビームを対物レンズを介して記録媒体の記録層に合焦させてアクセスする光ピックアップを有する光ディスク装置であって、
前記記録層からの反射光ビームを受光する光検出器と、
前記光検出器からの信号からフォーカスおよびトラッキングエラー信号を生成するエラー信号生成手段と、
前記エラー信号生成手段の出力に基づいて前記対物レンズを光ビームと平行ならびに垂直に駆動するアクチュエータと、
前記レーザ光源から前記対物レンズの間の光路に介装され光ビームの収差を補正する球面収差補正手段と、
前記光検出器から出力される信号の再生品位を検出する信号品位検出手段と、
前記信号品位検出手段からの出力を受け球面収差の補正量を決定する補正量決定手段と、
前記光ピックアップの温度をモニターする温度検出手段と、
前記アクチュエータを駆動したり、記録データーに基づいて前記レーザー光源の出力を制御する情報記録手段と、
前記信号品位検出手段の出力と前記補正量決定手段の出力および前記温度検出手段の検出温度などを学習結果として記憶するメモリーと、
情報記録手段の出力と前記メモリーから読み出した学習結果に基づいて記録を行う前に前記補正量決定手段に球面収差の補正量を指示する補正量計算手段と、
前記補正量決定手段のデーターに基づいて前記球面収差補正手段を駆動するドライバー回路と
を有する光ディスク装置。
【請求項2】
前記情報記録手段を、
前記メモリーに記憶されている球面収差補正結果および補正時の温度データーを前記記録媒体に記録し、前記記録媒体にデーターを記録する前に、前記記録媒体から読み出した補正結果および温度データーに基づいて、球面収差補正を行うよう構成した
請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記情報記録手段を、
前記補正量決定手段にて記録に最適な球面収差補正量を求める際に、記録時のレーザーパワーを異なった値にて複数回変更し、それぞれの記録パワーに最適な球面収差補正量を求め、求めた球面収差補正量の最小二乗近似にて記録時のレーザーパワーと球面収差補正量との関係を求めることにより球面収差の補正を行うよう構成した
請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
前記球面収差補正手段は、液晶位相シフタまたはエキスパンダレンズまたはコリメータレンズアクチュエータ駆動方式である
請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
レーザ光源から出射した光ビームを対物レンズを介して記録媒体の記録層に合焦させてアクセスして記録再生するに際し、
情報再生処理中に、球面収差補正量を変更しつつ再生信号品位が最良になるように補正量を調整しその時の前記レーザ光源の情報を記録し、情報記録処理中に球面収差補正量を所定の区間変更しつつ記録して記録動作終了後に記録した箇所を再生して再生信号品位が最良になる箇所での補正量を求めその時の前記レーザ光源の情報を記録し、
若しくは情報再生処理中に、予め決められた球面収差補正量をもって記録動作を行った後、記録箇所の再生を行い信号品位を検出し、これを繰り返して信号品位が最良になる補正量を求めその時の前記レーザ光源の情報を記録し、
予め求めた情報再生処理時と情報記録処理時での球面収差補正量とその時の前記レーザ光源の情報、及び記録前に求めた情報再生処理時の球面収差補正量とその時の前記レーザ光源の情報から、記録時に最適な球面収差の補正量を求める
光ディスク装置記録再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−192255(P2008−192255A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27419(P2007−27419)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】