説明

光ディスク装置

【課題】高い環境温度であっても動作時間をより長く確保できる光ディスク装置を提供すること。
【解決手段】光ディスク装置は、対物レンズを光ディスクに対してそれぞれ所定の方向に動かす複数のアクチュエータを有する光ピックアップと、光ピックアップ又はその周囲の温度を検出する温度センサと、各アクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動回路と、アクチュエータ駆動回路を制御する制御回路とを備える。制御回路は、温度センサが検出した温度が光ピックアップの動作上限温度に到達していないとき、動作上限温度と温度センサが検出した温度の差分に基づいて、アクチュエータ駆動回路が各アクチュエータに出力する駆動信号の電流の上限値を算出する処理部と、アクチュエータ駆動回路が上限値を超えない駆動信号を出力するよう設定した制御信号を生成する駆動制御部とを有する。処理部は、算出した上限値が0未満のときは当該上限値を0に設定し、他の上限値の1つを再算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップを構成するアクチュエータに対する駆動信号の電流値の上限値を制御する光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された光ディスク装置は、対物レンズを支持し、駆動するアクチュエータ可動部を備え、対物レンズのフォーカシング及びトラッキングを行う。当該光ディスク装置が備えるDSP等の演算部は、アクチュエータの消費電力と周囲温度とに基づいて、アクチュエータを構成する対象要素の温度を算出する。対象要素の温度が第1の設定温度を越えたとき、演算部は、アクチュエータの動作を停止する指令を出力するか、光ディスクの回転数を正規の回転数から低下させ、かつサーボ帯域を正規の帯域から低い帯域に変更する指令を光ディスクの回転機構及びサーボ機構に出力する。したがって、アクチュエータの焼損を確実に防止できる。
【0003】
また、特許文献2に開示された光ディスク画像形成装置は、ピックアップを支持するスライダが半径方向に所定間隔で移動し、ピックアップ内の対物レンズをアクチュエータがシフトしてレーザビームを照射する。また、当該装置では、ピックアップ付近の温度を温度センサにて検出し、画像形成開始前の温度よりも閾値以上上昇している場合、移動量設定部は、スライダの移動間隔と対物レンズのシフト量を小さく設定して、アクチュエータへの駆動電流の最大値を下げる。したがって、当該装置における温度上昇を低減し、光ピックアップの構成部品の特性劣化や部品の損傷などを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−34962号公報
【特許文献2】特開2007−242177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記説明した特許文献1や特許文献2では、アクチュエータの動作を制限又は停止することによって温度上昇によるアクチュエータの破損を防止している。すなわち、アクチュエータの動作を制限又は停止する際の条件を満たす前と満たした後とではアクチュエータに対して異なる制御を行う。しかし、周囲温度が上昇した場合でも、アクチュエータの駆動電流は制限されないため、設定温度に短い時間で到達し、アクチュエータの動作を停止させる等の動作を行い、光ディスクを再生することができない。このように、従来では、アクチュエータの動作を制限した後に、より長い動作時間を確保するための制御は行われていない。
【0006】
本発明の目的は、高い環境温度であっても動作時間をより長く確保できる光ディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、対物レンズを光ディスクに対してそれぞれ所定の方向に動かす複数のアクチュエータを有する光ピックアップと、前記光ピックアップ又はその周囲の温度を検出する温度センサと、前記光ピックアップが有する各アクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動回路と、前記アクチュエータ駆動回路を制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記温度センサが検出した温度が前記光ピックアップの動作上限温度に到達していないとき、前記動作上限温度と前記温度センサが検出した温度の差分である温度差分に基づいて、前記アクチュエータ駆動回路が各アクチュエータに出力する駆動信号の電流の上限値を算出する処理部と、前記アクチュエータ駆動回路が前記処理部によって算出された電流の上限値を超えない駆動信号を出力するよう設定した制御信号を生成する駆動制御部と、を有し、前記処理部は、算出した上限値が0未満のときは当該上限値を0に設定し、他の上限値の少なくともいずれか1つを再算出することを特徴とする光ディスク装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る光ディスク装置によれば、高い環境温度であっても動作時間をより長く確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態の光ディスク装置の構成を示すブロック図
【図2】図1に示した光ディスク装置が備える制御回路107の動作を示すフローチャート
【図3】図1に示した光ディスク装置が備える制御回路107の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、一実施形態の光ディスク装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、一実施形態の光ディスク装置は、光ピックアップ101と、温度センサ103と、アクチュエータ駆動回路105と、制御回路107と、メモリ109とを備える。
【0012】
光ピックアップ101は、フォーカスアクチュエータ111と、トラッキングアクチュエータ113と、チルトアクチュエータ115とを有する。フォーカスアクチュエータ111は、光ディスク191の面に対して直角の方向に対物レンズ117を動かす。トラッキングアクチュエータ113は、光ディスク191の径方向に対物レンズ117を動かす。チルトアクチュエータ115は、光ディスク191の面に対して傾く方向に対物レンズ117を動かす。
【0013】
温度センサ103は、光ピックアップ101又はその周囲の温度(以下「環境温度」という)を検出する。温度センサ103が検出した環境温度を示す信号は、制御回路107に送られる。
【0014】
アクチュエータ駆動回路105は、フォーカスアクチュエータ駆動回路121と、トラッキングアクチュエータ駆動回路123と、チルトアクチュエータ駆動回路125とを有する。フォーカスアクチュエータ駆動回路121は、制御回路107からのフォーカスアクチュエータ111の駆動に係る制御信号の電流値に応じて駆動信号を生成し、当該駆動信号をフォーカスアクチュエータ111に出力する。トラッキングアクチュエータ駆動回路123は、制御回路107からのトラッキングアクチュエータ113の駆動に係る制御信号の電流値に応じて駆動信号を生成し、当該駆動信号をトラッキングアクチュエータ113に出力する。チルトアクチュエータ駆動回路125は、制御回路107からのチルトアクチュエータ115の駆動に係る制御信号の電流値に応じて駆動信号を生成し、当該駆動信号をチルトアクチュエータ115に出力する。
【0015】
メモリ109は、制御回路107の動作に必要となる設定値等を記憶する。メモリ109に格納された設定値は、制御回路107によって読み出される。なお、本実施形態では、メモリ109に、光ピックアップ101の動作上限温度、フォーカスアクチュエータ111を構成するコイルの抵抗成分を示す値(フォーカスコイル抵抗Rf)及び当該コイル用の係数(フォーカスコイル用係数Cf)、トラッキングアクチュエータ113を構成するコイルの抵抗成分を示す値(トラッキングコイル抵抗Rt)及び当該コイル用の係数(トラッキングコイル用係数Ct)、チルトアクチュエータ115を構成するコイルの抵抗成分を示す値(チルトコイル抵抗Rs)及び当該コイル用の係数(チルトコイル用係数Cs)、並びに、光ディスクの再生信号のジッター値の上限値が格納されている。
【0016】
制御回路107は、温度差分算出部151と、エラー信号生成部153と、レーザ発光制御部155と、ジッター値計測部157と、処理部159と、駆動制御部161とを有する。以下、制御回路107の各構成要素について説明する。
【0017】
温度差分算出部151は、メモリ109から読み出した光ピックアップ101の動作上限温度(以下「上限温度」という)Tjと温度センサ103が検出した現環境温度Tgの差分(以下「温度差分」という)ΔT(=Tj−Tg)を算出する。なお、上限温度Tjは、光ピックアップ101の耐熱温度以下に設定されている。温度差分算出部151が算出した温度差分ΔTを示す情報は、処理部159に送られる。
【0018】
エラー信号生成部153は、光ピックアップ101の受光部119から得られた信号に基づいて、非点収差法又はSSD法等によってフォーカスエラー信号(FE)を生成し、3ビーム法、位相差法又はプッシュプル法等によってトラッキングエラー信号(TE)を生成する。エラー信号生成部153が生成したトラッキングエラー信号(TE)又はフォーカスエラー信号(FE)は、処理部159に送られる。レーザ発光制御部155は、光ピックアップ101のレーザ発光部118によるレーザ発光を制御する。ジッター値計測部157は、光ピックアップ101の受光部119から得られた信号に基づいて、光ディスク191の再生信号のジッター値を計測する。ジッター値計測部157が計測したジッター値を示す情報は、処理部159に送られる。
【0019】
処理部159は、温度差分算出部151から得られた温度差分ΔTが0以上であれば、光ピックアップ101のレーザ発光部118がレーザ発光を行うようレーザ発光制御部155に指示する。また、処理部159は、光ピックアップ101を構成する各アクチュエータにアクチュエータ駆動回路105が出力する駆動信号の電流の上限値を算出する。上限値の算出方法については後述する。駆動制御部161は、各アクチュエータにアクチュエータ駆動回路105が出力する駆動信号の設定に係る制御信号を生成して、アクチュエータ駆動回路105の対応するアクチュエータ駆動回路に出力する。なお、駆動制御部161が生成する制御信号の電流値は、処理部159が算出した上限値を超えない。
【0020】
上記構成要素を有する制御回路107は、温度差分算出部151が算出する温度差分ΔTがマイナス値のとき、又は、エラー信号生成部153から入力されるトラッキングエラー信号(TE)若しくはフォーカスエラー信号(FE)を処理部159が検出したとき、動作を停止する。
【0021】
図2及び図3は、図1に示した光ディスク装置が備える制御回路107の動作を示すフローチャートである。以下、図2及び図3を参照して、制御回路107の動作について詳細に説明する。
【0022】
光ディスク191が光ディスク装置に挿入されてモータ193が駆動される(光ディスク191が起動される)と、温度差分算出部151は、メモリ109から読み出した上限温度Tjと温度センサ103が検出した現環境温度Tgの差分ΔT(=Tj−Tg)を算出する(ステップS101)。次に、処理部159は、ステップS101で算出された温度差分ΔTが0以上(ΔT≧0)か否かを判別し(ステップS103)、ΔT≧0であればステップS105に進み、ΔT<0であればステップS157に進む。ステップS105では、レーザ発光制御部155は、光ピックアップ101のレーザ発光部118がレーザ発光するよう制御する。一方、ステップS157では、制御回路107は動作を停止して、ステップS101に戻る。
【0023】
ステップS105の後、処理部159は、フォーカスアクチュエータ駆動回路121がフォーカスアクチュエータ111に出力する駆動信号の電流の上限値(以下「フォーカスアクチュエータ電流上限値」という)Ifmaxを算出する(ステップS107)。以下の式(1)は、フォーカスアクチュエータ電流上限値Ifmaxの算出式である。なお、Rfはフォーカスコイル抵抗を示し、Cfはフォーカスコイル用係数を示す。フォーカスコイル抵抗Rf及びフォーカスコイル用係数Cfの各値は、メモリ109に格納されている。
Ifmax=√{ΔT/(Rf×Cf)} …(1)
【0024】
ステップS107の後、駆動制御部161は、ステップS107で処理部159が算出したフォーカスアクチュエータ電流上限値Ifmaxを上限とした、フォーカスアクチュエータ駆動回路121に出力するための制御信号を生成する。さらに、駆動制御部161は、当該生成した制御信号をフォーカスアクチュエータ駆動回路121に出力する(ステップS109)。このとき、フォーカスアクチュエータ駆動回路121は、駆動制御部161からの制御信号の電流値に応じて駆動信号を生成し、当該駆動信号をフォーカスアクチュエータ111に出力する。フォーカスアクチュエータ111は、駆動信号の電流値に応じて動作する。
【0025】
ステップS109の後、処理部159は、フォーカスエラー信号(FE)を検出したか否かを判断し(ステップS111)、フォーカスエラー信号(FE)を検出した場合はステップS157に進み、検出しなかった場合はステップS113に進む。
【0026】
ステップS113では、処理部159は、トラッキングアクチュエータ駆動回路123がトラッキングアクチュエータ113に出力する駆動信号の電流の上限値(以下「トラッキングアクチュエータ電流上限値」という)Itmaxを算出する。以下の式(2)は、トラッキングアクチュエータ電流上限値Itmaxの算出式である。なお、Rtはトラッキングコイル抵抗を示し、Ctはトラッキングコイル用係数を示す。トラッキングコイル抵抗Rt及びトラッキングコイル用係数Ctの各値は、メモリ109に格納されている。また、Ifは、フォーカスアクチュエータ駆動回路121がフォーカスアクチュエータ111に出力する駆動信号の電流値である。
Itmax=√{(ΔT−If×Rf×Cf)/(Rt×Ct)} …(2)
【0027】
ステップS113の後、駆動制御部161は、ステップS113で処理部159が算出したトラッキングアクチュエータ電流上限値Itmaxを上限とした、トラッキングアクチュエータ駆動回路123に出力するための制御信号を生成する。さらに、駆動制御部161は、当該生成した制御信号をトラッキングアクチュエータ駆動回路123に出力する(ステップS115)。このとき、トラッキングアクチュエータ駆動回路123は、駆動制御部161からの制御信号の電流値に応じて駆動信号を生成し、当該駆動信号をトラッキングアクチュエータ113に出力する。トラッキングアクチュエータ113は、駆動信号の電流値に応じて動作する。
【0028】
ステップS115の後、処理部159は、トラッキングエラー信号(TE)を検出したか否かを判断し(ステップS117)、トラッキングエラー信号(TE)を検出した場合はステップS157に進み、検出しなかった場合はステップS119に進む。
【0029】
ステップS119では、処理部159は、チルトアクチュエータ駆動回路125がチルトアクチュエータ115に出力する駆動信号の電流の上限値(以下「チルトアクチュエータ電流上限値」という)Ismaxを算出する。以下の式(3)は、チルトアクチュエータ電流上限値Ismaxの算出式である。なお、Rsはチルトコイル抵抗を示し、Csはチルトコイル用係数を示す。チルトコイル抵抗Rs及びチルトコイル用係数Csの各値は、メモリ109に格納されている。また、Itは、トラッキングアクチュエータ駆動回路123がトラッキングアクチュエータ113に出力する駆動信号の電流値である。
Ismax=√{(ΔT−If×Rf×Cf−It×Rt×Ct)/(Rs×Cs)} …(3)
【0030】
ステップS119の後、処理部159は、チルトアクチュエータ電流上限値Ismaxが0以上(Ismax≧0)か否かを判別し(ステップS121)、Ismax≧0であればステップS123に進み、Ismax<0であればステップS151に進む。
【0031】
ステップS123では、駆動制御部161は、ステップS119で処理部159が算出したチルトアクチュエータ電流上限値Ismaxを上限とした、チルトアクチュエータ駆動回路125に出力するための制御信号を生成する。さらに、駆動制御部161は、当該生成した制御信号をチルトアクチュエータ駆動回路125に出力する。このとき、チルトアクチュエータ駆動回路125は、駆動制御部161からの制御信号の電流値に応じて駆動信号を生成し、当該駆動信号をチルトアクチュエータ115に出力する。チルトアクチュエータ115は、駆動信号の電流値に応じて動作する。
【0032】
ステップS123の後、ジッター値計測部157は、光ディスク191の再生信号のジッター値Jitを計測する(ステップS125)。次に、処理部159は、ジッター値Jitが上限値Jmax以下(Jit≦Jmax)か否かを判別し(ステップS127)、Jit≦JmaxであればステップS129に進み、Jit>JmaxであればステップS157に進む。ステップS129では、温度差分算出部151は、上限温度Tjと温度センサ103が検出した現環境温度Tgの差分ΔT(=Tj−Tg)を再算出する。次に、処理部159は、ステップS129で算出した温度差分ΔTが0以上(ΔT≧0)か否かを判別し(ステップS131)、ΔT≧0であればステップS119に戻り、ΔT<0であればステップS157に進む。
【0033】
ステップS121で処理部159がIsmax<0と判別した際に行われるステップS151では、処理部159は、チルトアクチュエータ115が動作を停止するよう、チルトアクチュエータ電流上限値Ismaxを0に設定する。次に、処理部159は、フォーカスアクチュエータ電流上限値Ifmaxを再算出する(ステップS153)。以下の式(4)は、フォーカスアクチュエータ電流上限値Ifmaxを再算出する際の算出式である。
Ifmax=√{(ΔT−It×Rt×Ct)/(Rf×Cf)} …(4)
【0034】
ステップS153の後、処理部159は、フォーカスエラー信号(FE)を検出したか否かを判断し(ステップS155)、フォーカスエラー信号(FE)を検出した場合はステップS157に進み、検出しなかった場合はステップS127に進む。
【0035】
なお、上記説明では、ステップS153でフォーカスアクチュエータ電流上限値Ifmaxを再算出しているが、処理部159は、トラッキングアクチュエータ電流上限値Itmaxを以下の式(5)より再算出しても良い。なお、この場合、ステップS155では、トラッキングエラー信号(TE)を検出したか否かを処理部159が判断する。
Itmax=√{(ΔT−If×Rf×Cf)/(Rt×Ct)} …(5)
【0036】
以上説明したように、本実施形態の光ディスク装置によれば、制御回路107が、温度差分ΔTによって表される光ピックアップ101の温度上昇余裕幅に応じて、アクチュエータ駆動回路105が各アクチュエータに出力する駆動信号の電流の上限値を順に算出し、各アクチュエータにおける発熱量を制限している。このように、各アクチュエータの発熱制限量は環境温度に応じて変更される。したがって、現環境温度Tgが高い状態であっても、光ピックアップ101の動作時間をより長く確保できる。
【0037】
また、電流の上限値を算出する順序は、フォーカスアクチュエータ電流上限値Ifmax、トラッキングアクチュエータ電流上限値Itmax、チルトアクチュエータ電流上限値Ismaxの順序である。これは、発熱量が大きいアクチュエータの順である。また、チルト制御の有無は、フォーカスやトラッキングの制御と比較して、光ディスクの再生信号のジッター値に対する影響が小さい。したがって、本実施形態のように、チルトアクチュエータ電流上限値Ismaxが0以下であれば、ジッター値を十分保ったままより適当なフォーカスアクチュエータ電流上限値Ifmax又はトラッキングアクチュエータ電流上限値Itmaxを再算出することによって、光ピックアップ101の動作時間をさらに長く確保できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る光ディスク装置は、高い環境温度であっても動作時間をより長く確保する光ディスク装置等として有用である。
【符号の説明】
【0039】
101 光ピックアップ
103 温度センサ
105 アクチュエータ駆動回路
107 制御回路
109 メモリ
111 フォーカスアクチュエータ
113 トラッキングアクチュエータ
115 チルトアクチュエータ
117 対物レンズ
118 レーザ発光部
119 受光部
121 フォーカスアクチュエータ駆動回路
123 トラッキングアクチュエータ駆動回路
125 チルトアクチュエータ駆動回路
151 温度差分算出部
153 エラー信号生成部
155 レーザ発光制御部
157 ジッター値計測部
159 処理部
161 駆動制御部
191 光ディスク
193 モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズを光ディスクに対してそれぞれ所定の方向に動かす複数のアクチュエータを有する光ピックアップと、
前記光ピックアップ又はその周囲の温度を検出する温度センサと、
前記光ピックアップが有する各アクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動回路と、
前記アクチュエータ駆動回路を制御する制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
前記温度センサが検出した温度が前記光ピックアップの動作上限温度に到達していないとき、前記動作上限温度と前記温度センサが検出した温度の差分である温度差分に基づいて、前記アクチュエータ駆動回路が各アクチュエータに出力する駆動信号の電流の上限値を算出する処理部と、
前記アクチュエータ駆動回路が前記処理部によって算出された電流の上限値を超えない駆動信号を出力するよう設定した制御信号を生成する駆動制御部と、を有し、
前記処理部は、算出した上限値が0未満のときは当該上限値を0に設定し、他の上限値の少なくともいずれか1つを再算出することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク装置であって、
前記複数のアクチュエータは、前記光ディスクの面に対して直角に前記対物レンズを動かすフォーカスアクチュエータと、前記光ディスクの径方向に前記対物レンズを動かすトラッキングアクチュエータと、前記光ディスクの面に対して傾く方向に前記対物レンズを動かすチルトアクチュエータと、を含み、
前記処理部は、前記フォーカスアクチュエータ、前記トラッキングアクチュエータ、前記チルトアクチュエータの順に駆動信号の電流の上限値を算出する際、
前記フォーカスアクチュエータに出力する駆動信号の電流の上限値を前記温度差分に基づいて算出し、
前記トラッキングアクチュエータに出力する駆動信号の電流の上限値を前記温度差分及び前記フォーカスアクチュエータにおける消費電力に基づいて算出し、
前記チルトアクチュエータに出力する駆動信号の電流の上限値を前記温度差分、前記フォーカスアクチュエータにおける消費電力及び前記トラッキングアクチュエータにおける消費電力に基づいて算出することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光ディスク装置であって、
前記処理部は、
前記チルトアクチュエータに出力する駆動信号の電流の上限値が0未満のときは当該上限値を0に設定し、前記フォーカスアクチュエータに出力する駆動信号の電流の上限値を前記温度差分及び前記トラッキングアクチュエータにおける消費電力に基づいて再算出することを特徴とする光ディスク装置。
【請求項4】
請求項2に記載の光ディスク装置であって、
前記処理部は、
前記チルトアクチュエータに出力する駆動信号の電流の上限値が0未満のときは当該上限値を0に設定し、前記トラッキングアクチュエータに出力する駆動信号の電流の上限値を前記温度差分及び前記フォーカスアクチュエータにおける消費電力に基づいて再算出することを特徴とする光ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−198964(P2012−198964A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63073(P2011−63073)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】