説明

光ディスク記録再生装置

【課題】 小型・高速・大容量の光ディスク記録再生装置を得る。
【解決手段】 スイングアームの回転軸の位置に設けた放熱体3と、この放熱体3に取り付けたLD(レーザダイオード)2と、このLD2による発光光を平行光とするコリメートレンズ1と、平行光となったレーザービームを照射するアーム先端に取り付けた対物レンズ6と、この対物レンズ6の近傍に配置しフォーカスおよびトラッキング信号を生成する検出系とを有して構成される。このようにすることにより、レンズが小径・高NAであってもフォーカス引き込み範囲を確保することができ、LD2の放熱も行なえる。また、スイングアーム方式のLD2の放熱と小径・高NAの対物レンズ6に対応したフォーカスおよびトラック信号検出系の配置を両立させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスク記録再生装置に関し、特に、LD(レーザダイオード)の発熱を高効率で放熱する光ディスク記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、光ディスク記録再生装置は一般に、放熱体が設けられて構成される。この放熱方式として、スイングアーム方式およびリニアモータスライダ方式におけるLDの放熱方法等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の一般的なスライド方式では、ピックアップにLDを放熱体と共に組みつけている。リニアモータを使ったスライド方式では、外部にLDおよび検出系を配置し、スライダ上の光学系に照射する方法がある(特開昭63-224037 )。
【0004】スイングアーム方式では対物レンズが大きい(数ミリ)ときは、アームの中心にレーザ光を照射したり(特開平11-195233 )、アームの中心にLDを配置することでLDの放熱を確保できる(特開平5-144072)。
【0005】一般的なスライド方式ではピックアップにLDを、放熱体と共に組みつけているリニアモータを使ったスライド方式では外部にLDおよび検出系を配置し、スライダ上の光学系に照射する方法がある。スイングアーム方式では対物レンズが大きい(数ミリ)ときは、アームの中心にレーザ光を照射したりアームの中心に検出系およびLDを配置することで、LDの放熱を確保できる。
【0006】リニアモータを使ったスライド方式およびスイングアーム方式においては、対物レンズが小径(1ミリ以下)かつ高NA(>7)の場合、フォーカスおよびトラック信号検出系を配置できる位置が近距離になってしまう。このため、スライダの端部やアーム回転軸付近に検出系をもってこれない。
【0007】レンズ径が1/nになると同等のフォーカス感度を示す位置は対物レンズ−検出系の距離をLとするとL/nではなくさらに短くなる(フォーカス引き込み範囲を同じにするにはL/n2)。またNAが大きくなるとデフォーカスによる変動が大きくなるためさらに短くしなくてはならない。LDを含んだ光学ピックアップをアームの先端やリニアモータ上に載せることは、放熱体を考えると重たいものになってしまい、高速性が損なわれてしまう。
【0008】本発明は、ボイスコイルやリニアモータに比較的負荷にならないように光学系を構成し、小径・高NAの対物レンズを利用可能とし、小型・高速・大容量の光ディスク記録再生装置を実現可能にするものである。
【0009】本発明の請求項1は、スイングアーム方式のLDの放熱と小径・高NAの対物レンズに対応したフォーカスおよびトラック信号検出系の配置を両立させることを目的とする。
【0010】請求項2は請求項1に加えLDのコリメート光の品質により距離が取れない場合の実現、および検出系とLD一体の光学系とし、調整をしやすくすることを目的とする。
【0011】請求項3および請求項5は請求項1において熱容量増加を目的とする。
【0012】請求項4および請求項6は請求項2において熱容量増加を目的とする。
【0013】請求項7は請求項2において放熱速度向上を目的とする。
【0014】請求項8は請求項6において放熱速度向上を目的とする。請求項9はリニアモータ方式のLDの放熱と小径・高NAの対物レンズに対応したフォーカスおよびトラック信号検出系の配置を両立させることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するため、請求項1に記載の光ディスク記録再生装置は、スイングアーム方式の光ディスク記録再生であり、スイングアームの回転軸の位置に設けた放熱体と、この放熱体に取り付けたLD(レーザダイオード)と、このLDによる発光光を平行光とするコリメートレンズと、平行光となったレーザービームを照射するアーム先端に取り付けた対物レンズと、この対物レンズの近傍に配置しフォーカスおよびトラッキング信号を生成する検出系とを有することを特徴としている。
【0016】請求項2に記載の発明は、スイングアーム方式の光ディスク記録再生装置であり、スイングアームの回転軸の位置に放熱体を設け、アームに沿って高速熱伝導体(たとえばヒートパイプ)を配置し、高速熱伝導体にLD(レーザダイオード)を取り付け、LDと一体になったフォーカスおよびトラッキング信号を生成する検出系を配置し、平行光となったレーザービームをアーム先端の対物レンズに照射するように構成したことを特徴としている。
【0017】請求項3の発明は、請求項1に記載の光ディスク記録再生装置において、カウンタバランスも放熱体とすることを特徴とする。
【0018】請求項4の発明は、請求項2に記載の光ディスク記録再生装置において、カウンタバランスも放熱体とすることを特徴とする。
【0019】請求項5の発明は、請求項1に記載の光ディスク記録再生装置において、放熱体と接する高速熱伝導体の回転軸を介して、さらに大きな放熱体を設けることを特徴とする。
【0020】請求項6の発明は、スイングアーム方式の光ディスク記録再生装置において、スイングアームの回転軸を高速熱伝導体1(たとえばヒートパイプ)とし、アームに沿って高速熱伝導体2を配置し、高速熱伝導体2を高速熱伝導体1に接するようにし、LD(レーザダイオード)高速熱伝導体2にLD(レーザダイオード)を取り付け、LDと一体になったフォーカスおよびトラッキング信号を生成する検出系を配置し、平行光となったレーザービームをアーム先端の対物レンズに照射するように構成したことを特徴とする。
【0021】請求項7の発明は、請求項2に記載の光ディスク記録再生装置において、高速熱伝導体上に放熱フィンを設けたことを特徴とする。
【0022】請求項8の発明は、請求項6に記載の光ディスク記録再生装置において、高速熱伝導体上に放熱フィンを設けたことを特徴とする。
【0023】請求項9の発明は、リニアモータによるスライド方式のシーク機構を持つ光ディスク記録再生装置において、スライド方向にレーザビームをリニアモータ上の光ピックアップに向けて照射するように構成し、LDを端部に放熱体と共に固定可能にしたことを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】次に添付図面を参照して本発明による光ディスク記録再生装置の実施の形態を詳細に説明する。図1から図8を参照すると本発明の光ディスク記録再生装置の一実施形態が示されている。
【0025】(実施例1)図1は、一般のボイスコイルモータを用いたスイングアームである。図2に構成例を示す。回転軸の周囲に放熱体3を配置し(上部も含む)、LD2を取り付ける。LD2の前面にはコリメートレンズ1を配置し、平行光にしてアーム先端の光学系に向けて照射する。
【0026】アーム先端の光学系の詳細を図3に示す。LD2からの平行光をミラー4または偏向プリズムにて90度折り曲げ1/4λ板5を通して対物レンズ6に照射し、ディスク面でスポットにする。ディスク7から反射されたレーザ光は対物レンズ6・1/4 λ板5・ミラー4を経て、光路分離プリズム(PBS)8のハーフミラー面で90度に反射した光を検出レンズにより集光してPDで受け、フォーカスエラーおよびトラックエラー(フォーカスおよびトラック信号)を検出する。このようにすることにより、レンズが小径・高NAであってもフォーカス引き込み範囲を確保することができ、LD2の放熱も行なえる。
【0027】スイングアームを駆動するボイスコイルモータへの負荷もそれほど増加せず、シーク(トラック位置決め) 速度を低下せずに済む。ここではPBS8で分離された光をPDで検出するようにしているが、代表的な例としてあげただけで本発明は、検出方式を特定するものではない。
【0028】(実施例2)図4に構成例を示す。回転軸の周囲に配置した放熱体から高速熱伝導体(ヒートパイプ等)10を介してLDを設置するようにし、図3の対物レンズ・ミラー部とフォーカスおよびトラック信号の検出部9を分離して配置する(フォーカス引き込み範囲を確保可能な位置)。
【0029】検出部9はLDを一体としたユニットにすれば、ユニットで光軸等を調整できアーム上では向きの調整のみとなり、組付け・調整の効率が上がる。また、LDとコリメートレンズで生成される平行光が品質が悪いと、徐々に広がってしまう。LDと対物レンズの距離を短くできるので、平行光が品質が多少悪くても問題がなくなる。図4では対物レンズ部6と検出部9を分離したが、重量的な問題がなければ、アーム先端に対物レンズ部6と検出部9とLDを一体にしたユニットとして搭載することも可能である。
【0030】(実施例3)実施例1および実施例2で放熱体の熱容量が不足する場合には、一般にスイングアームではボイスコイル側に回転モーメントでバランスを取るためにカウンタウェイトが設けられることがある。この場合に図5のように、放熱体をカウンタウェイとを含んだような放熱体とすることにより、熱容量のが大きくなる。
【0031】(実施例4)実施例2において、アーム上の総重量に余裕があれば、図6のような放熱フィンを重量に問題ない範囲で複数枚設けることで、放熱速度が向上するので、温度によるLDへの悪影響を減らすことができ、より安定した記録が可能になる。
【0032】(実施例5)記録速度を向上しようとすると、より出力の大きいLDを採用することになる。実施例3でもまだ不足するようなときは、図7のように、回転軸21を高速放熱体とし、放熱体と接するようして土台部分に設けた更なる放熱体もしくは、フレーム等がアルミニウム等であれば直接フレームに回転軸21を設置すれば良い。放熱体と回転軸21の摩擦抵抗が大きくなっては、ボイスコイルモータに負荷となるので図7では放熱体そのものを軸受けのようにヒートパイプ球状のような高速熱伝導体をベアリング代わりとするような物にすれば良い。(実施例2) のようなヒートパイプ10の場合には、2本のヒートパイプで回転軸挟むような構成にすれば、土台の放熱体やフレームで十分に放熱が可能となる。
【0033】(実施例6)図8に構成例を示す。リニアモータによるスライダ方式のシーク機構を持つ場合に実施例1)のような光ピックアップに対し、外部に取り付けたLDとコリメートレンズで生成される平行光を照射するようにしたものである。
【0034】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、請求項1記載の光ディスク記録再生装置においては、スイングアーム方式の回転軸の周囲に放熱体がある。このため、回転モーメントのバランスを崩さず、ボイスコイルモータへの負荷もそれほど増加しない。この結果、高速動作を維持でき、小径・高NAの対物レンズに対応した位置に検出系を配置できるので、小型・大容量が実現できる。
【0035】請求項2の装置においては、軽量の高速熱伝導体により回転軸の周囲の放熱体に熱伝導できる。このため、LDを検出系と一体に配置できるので、請求項1の場合に加えてLDのコリメート品質が悪い場合(すこしずつ広がる)に対応できる。また検出系とLDを一体としたユニットにすることにより組付け・調整の効率が向上する。
【0036】請求項3の装置においては、請求項1の効果に加え、放熱体の熱容量が増加するのでより高出力のLDパワーでの書き込みに対応できる。
【0037】請求項4の装置においては、請求項2の効果に加え、放熱体の熱容量が増加するのでより高出力のLDパワーでの書き込みに対応できる。
【0038】請求項5の装置においては、請求項3より、さらに放熱体の熱容量が増加するのでより高出力のLDパワーでの書き込みに対応できる。
【0039】請求項6の装置においては、請求項4の効果に加え、放熱体の熱容量が増加するのでより高出力のLDパワーでの書き込みに対応できる。
【0040】請求項7の装置においては、請求項2の効果に加え放熱速度も向上するのでLDの出力がより安定する。
【0041】請求項8の装置においては、請求項6の効果に加え放熱速度も向上するのでLDの出力がより安定する。
【0042】請求項9の装置においては、スライダ方式のリニアモータのスライダ部分には対物レンズ、ミラー、検出系しか載せないためミラーと、検出系部分の重みが増加するが、小径・高NAのため100mg 以下の増加にしかならず、フォーカスアクチェータを小さくできることを考えればむしろ軽量になるため高速動作が可能な小型・大容量が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ディスク記録再生装置の実施形態を示す一般のボイスコイルモータを用いたスイングアームである。
【図2】図1のボイスコイルモータのより詳細な構成例を示す。
【図3】アーム先端の光学系の詳細構成例を示す図である。
【図4】回転軸の周囲に配置した放熱体から高速熱伝導体(ヒートパイプ等)を介してLDを設置するようにした構成例を示す図である。
【図5】放熱体の熱容量を大きくした場合の構成例を示す図である。
【図6】放熱体フィンを設けた場合の構成例を示す図である。
【図7】回転軸を高速放熱体とし放熱体と接するようして土台部分に設けた場合の構成例を示す図である。
【図8】外部に取り付けたLDとコリメートレンズで生成される平行光を照射するようにした場合の構成例を示す図である。
【符号の説明】
1 コリメートレンズ
2 LD
3 放熱体
4 ミラー
5 (90度折り曲げ)1/4λ板
6 対物レンズ
7 ディスク
8 光路分離プリズム(PBS)
9 検出部
10 ヒートパイプ
21 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】 スイングアーム方式の光ディスク記録再生装置において、スイングアームの回転軸の位置に設けた放熱体と、該放熱体に取り付けたLD(レーザダイオード)と、該LDによる発光光を平行光とするコリメートレンズと、前記平行光となったレーザービームを照射するアーム先端に取り付けた対物レンズと、該対物レンズの近傍に配置しフォーカスおよびトラッキング信号を生成する検出系とを有すること、を特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項2】 スイングアーム方式の光ディスク記録再生装置において、スイングアームの回転軸の位置に放熱体を設け、アームに沿って高速熱伝導体(たとえばヒートパイプ)を配置し、高速熱伝導体にLD(レーザダイオード)を取り付け、LDと一体になったフォーカスおよびトラッキング信号を生成する検出系を配置し、平行光となったレーザービームをアーム先端の対物レンズに照射するように構成したこと、を特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項3】 カウンタバランスも放熱体とすることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項4】 カウンタバランスも放熱体とすることを特徴とする請求項2に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項5】 放熱体と接する高速熱伝導体の回転軸を介して、さらに大きな放熱体を設けることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項6】 スイングアーム方式の光ディスク記録再生装置において、スイングアームの回転軸を高速熱伝導体1(たとえばヒートパイプ)とし、前記スイングアームに沿って高速熱伝導体2を配置し、前記高速熱伝導体2を前記高速熱伝導体1に接するようにし、LD(レーザダイオード)高速熱伝導体2にLD(レーザダイオード)を取り付け、前記LDと一体になったフォーカスおよびトラッキング信号を生成する検出系を配置し、平行光となったレーザービームをアーム先端の対物レンズに照射するように構成したこと、を特徴とする光ディスク記録再生装置。
【請求項7】 高速熱伝導体上に放熱フィンを設けたことを特徴とする請求項2に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項8】 高速熱伝導体上に放熱フィンを設けたことを特徴とする請求項6に記載の光ディスク記録再生装置。
【請求項9】 リニアモータによるスライド方式のシーク機構を持つ光ディスク記録再生装置において、スライド方向にレーザビームを前記リニアモータ上の光ピックアップに向けて照射するように構成し、LDを端部に放熱体と共に固定可能にしたこと、を特徴とする光ディスク記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2002−123958(P2002−123958A)
【公開日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−310759(P2000−310759)
【出願日】平成12年10月11日(2000.10.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】