説明

光デバイスの製造方法、光デバイス及び生体情報検出器

【課題】 ボンディングワイヤーのボンディングパッドへの取り付けの信頼性を高める光デバイス等を提供する。
【解決手段】 光デバイスは、第1の面11A及び第2の面11Bを有する基板と、第2の面11Bに実装され、第1の中心14−1を有する発光素子14と、第1の面11Aに実装され、第2の中心16−1を有する受光素子16とを含む。発光素子14の少なくとも一部は、平面視において、受光素子16に重なる位置に配置され、発光素子14よりも後付けされる受光素子16は、ボンディングパッド16A’を有し、ボンディングパッド16A’は、平面視において、第2の中心16−1よりも第1の方向DR1に変位した位置に設けられ、第1の中心14−1は、平面視において、第2の中心16−1よりも第2の方向DR2に変位した位置に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイスの製造方法、光デバイス及び生体情報検出器等に関する。
【背景技術】
【0002】
生体情報測定装置は、例えば人間の脈拍数、血液中の酸素飽和度、体温、心拍数等の生体情報を測定し、生体情報測定装置の一例は、脈拍数を測定する脈拍計である。また、脈拍計等の生体情報測定装置は、時計、携帯電話、ページャー、パーソナルコンピューター等の電子機器に組み込まれてもよく、又は電子機器と組み合わせてもよい。生体情報測定装置は、生体情報を検出する生体情報検出器を有し、生体情報検出器は、被検査体(ユーザー)の被検出部位に向けて光を発光する発光素子と、被検出部位からの生体情報を有する光を受光する受光素子とを含む。このように、生体情報検出器又は生体情報測定装置は、光デバイスを有し、生体情報を検出又は測定することができる。生体情報検出器又は生体情報測定装置だけでなく、一般的な検出器又は測定装置(広義には、電子機器)も、光デバイスを有することができる。
【0003】
特許文献1は、脈拍計(広義には、生体情報測定装置)を開示し、脈拍計の受光素子(例えば、特許文献1の図16の受光素子12)は、被検出部位での反射光(例えば、特許文献1の図16の点線)を拡散反射面(例えば、特許文献1の図16の反射部131)を介して受光する。特許文献1の光プローブ1は、平面視において発光素子11と受光素子12とが重なり、光プローブ1の小型化を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−337605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の図4は、受光素子12への配線(狭義には、ボンディングワイヤー)及び電極(狭義には、ボンディングパッド)が表されている。平面視において発光素子11と受光素子12とが重なる場合、特許文献1の図5に示されるように、ボンディングパッドの直下の位置に発光素子11の第1の発光素子111が存在する。このような構成では、ボンディングワイヤーをボンディングパッドに取り付ける時、その取り付けの信頼性を高めることが困難である。或いは、このような製造工程において、発光素子111が破損してしまうこともある。
【0006】
本発明の幾つかの態様によれば、ボンディングワイヤーをボンディングパッドに取り付ける時、その取り付けの信頼性を向上可能な光デバイスの製造方法、光デバイス及び生体情報検出器を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、第1の面及び前記第1の面と対向する第2の面を有する基板を準備し、
第1の中心を有する発光素子を前記第2の面に実装し、
(a)第2の中心及びボンディングパッドを有する受光素子が平面視において前記発光素子の少なくとも一部と重なり、(b)ボンディングパッドが平面視において前記第2の中心よりも第1の方向に変位し、且つ(c)第1の中心が平面視において前記第2の中心よりも前記第1の方向と反対である第2の方向に変位するように、前記受光素子を前記第1の面に実装し、
前記ボンディングパッドの直下の位置を支えながら、前記ボンディングパッドにボンディングワイヤーを取り付けることを特徴とする光デバイスの製造方法に関係する。
【0008】
本発明の一態様によれば、受光素子のボンディングパッドが平面視において受光素子の中心(第2の中心)よりも第1の方向に変位し、且つ発光素子の中心(第1の中心)が平面視において受光素子の中心(第2の中心)よりも第2の方向に変位する。従って、受光素子のボンディングパッドの直下の位置を冶具(jig)等で支えることができる。受光素子のボンディングパッドの直下の位置が支えられているので、ボンディングツールでボンディングパッドを押さえても、受光素子のボンディングパッドは静止することができる。これにより、ボンディングパッドにボンディングワイヤーを確実に取り付けることができる。その結果として、ボンディングワイヤーをボンディングパッドに取り付ける時、その取り付けの信頼性が向上する。また、受光素子のボンディングパッドの直下の位置に空間が生じる場合、受光素子のボンディングパッドの直下の位置に発光素子を実装しないことができる。従って、ボンディングワイヤーをボンディングパッドに取り付ける時、発光素子の破損を防止できる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記発光素子は、前記発光素子が発する光を反射させる第1の反射部を介して前記第2の面に実装されてもよく、
前記ボンディングワイヤーは、前記ボンディングパッドの前記直下の位置を前記第1の反射部で支えながら、前記ボンディングパッドに取り付けられてもよい。
【0010】
このように、発光素子に第1の反射部が付加されることにより、受光素子のボンディングパッドの直下の位置を第1の反射部及び冶具等で支えることができる。従って、ボンディングパッドにボンディングワイヤーを確実に取り付けることができる。また、第1の反射部は、冶具が発光素子に接触することを防止することができ、その結果として、発光素子の破損を防止できる。
【0011】
また、本発明の他の態様は、第1の面及び前記第1の面と対向する第2の面を有する基板と、
前記第2の面に実装され、第1の中心を有する発光素子と、
前記第1の面に実装され、第2の中心を有する受光素子と、
を含み、
前記発光素子の少なくとも一部は、平面視において、前記受光素子に重なる位置に配置され、
前記発光素子よりも後付けされる前記受光素子は、ボンディングパッドを有し、
前記ボンディングパッドは、平面視において、前記第2の中心よりも第1の方向に変位した位置に設けられ、
前記第1の中心は、平面視において、前記第2の中心よりも前記第1の方向と反対である第2の方向に変位した位置に設けられることを特徴とする光デバイスに関係する。
【0012】
本発明の他の態様によれば、受光素子のボンディングパッドが平面視において受光素子の中心(第2の中心)よりも第1の方向に変位した位置に設けられ、且つ発光素子の中心(第1の中心)が平面視において受光素子の中心(第2の中心)よりも第2の方向に変位した位置に設けられる。従って、ボンディングパッドにボンディングワイヤーを確実に取り付けることができる。
【0013】
また、本発明の他の態様では、前記発光素子は、平面視において、矩形の輪郭形状を有してもよく、
前記矩形の1辺は、平面視において、前記ボンディングパッドを中心とする所与の半径を有する円に接してもよい。
【0014】
このように、発光素子は、受光素子のボンディングパッドの直下の位置から所与の半径だけ離すことができる。従って、受光素子のボンディングパッドの直下の位置に空間を確保することができる。
【0015】
また、本発明の他の態様では、前記発光素子は、平面視において、矩形の輪郭形状を有してもよく、
前記矩形の1辺は、平面視において、前記第1の中心と前記第2の中心とを結ぶ方向に直交してもよい。
【0016】
このように、発光素子は、受光素子のボンディングパッドの直下の位置から効果的に離すことができる。従って、受光素子のボンディングパッドの直下の位置に空間を確保することができる。
【0017】
また、本発明の他の態様では、前記発光素子のすべては、平面視において、前記受光素子に完全に重なる位置に配置されてもよい。
【0018】
このように、発光素子が平面視において受光素子に完全に重なることにより、光は、受光素子に到達し易くなる。言い換えれば、発光素子が形成する遮光領域は、受光素子が形成する遮光領域と重なり、全体としての遮光領域は、受光素子が形成する遮光領域だけとなる。
【0019】
また、本発明の他の態様では、光デバイスは、
第3の中心を有し、前記発光素子が発する光を反射させる第1の反射部を、さらに含み、
前記第3の中心は、平面視において、前記第1の中心と一致してもよい。
【0020】
このように、発光素子に第1の反射部が付加されることにより、受光素子のボンディングパッドの直下の位置を第1の反射部及び冶具等で支えることができる。従って、ボンディングパッドにボンディングワイヤーを確実に取り付けることができる。
【0021】
また、本発明の他の態様は、上記に記載の光デバイスと、
被検査体との接触面を有し、前記発光素子が発する光の波長に対して透明な材料で構成される接触部と、
生体情報を有する光を反射させる第2の反射部と、
を含み、
前記発光素子は、前記被検査体の被検出部位に向かう光を発し、
前記受光素子は、前記発光素子が発する光が前記被検出部位にて反射された、前記生体情報を有する光を受け、
前記基板は、前記発光素子が発する光の波長に対して透明な材料で構成されるフレキシブル基板であり、
前記生体情報は、脈拍数であることを特徴とする生体情報検出器に関係する。
【0022】
本発明の他の態様によれば、光デバイスを生体情報検出器に適用することにより、ボンディングワイヤーをボンディングパッドに取り付ける時、その取り付けの信頼性を向上した生体情報検出器(脈拍計)を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1(A)、図1(B)は、本実施形態の光デバイスの構成例。
【図2】図2(A)、図2(B)、図2(C)、図2(D)は、本実施形態の光デバイスの製造方法の手順例。
【図3】光デバイスの比較例。
【図4】図4(A)、図4(B)は、光デバイスの配置例。
【図5】図5(A)、図5(B)は、第1の中心と第2の中心との距離の説明図。
【図6】図6(A)、図6(B)は、本実施形態の生体情報検出器の構成例。
【図7】図7(A)、図7(B)は、図6(A)の生体情報検出器の平面図。
【図8】図8(A)、図8(B)、図8(C)、図8(D)は、本実施形態の光デバイスの製造方法の他の手順例。
【図9】発光素子が発する光の強度特性の一例。
【図10】接触部を通る光の透過特性の一例。
【図11】本実施形態の生体情報検出器の他の構成例。
【図12】光透過膜がコーティングされた基板を通る光の透過特性の一例。
【図13】図13(A)、図13(B)、図13(C)は、第1の反射部の構成例。
【図14】図14(A)、図14(B)は、第1の反射部及び発光素子の平面視での外観例。
【図15】図15(A)、図15(B)は、生体情報検出器を含む生体情報測定装置の外観例。
【図16】生体情報測定装置の構成例。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0025】
1. 光デバイス
図1(A)、図1(B)は、本実施形態の光デバイスの構成例を示す。なお、図1(A)、図1(B)において、各部材の寸法は、実際の寸法を正確に表すものではない。即ち、図1(A)、図1(B)において、各部材の寸法は、以下の説明を理解し易くするために、拡大又は縮小されている。図1(A)、図1(B)以外の他の図面も、同様に、必ずしも正確な寸法を表すものではない。
【0026】
図1(A)は、断面図を表し、図1(B)は、平面図を表す。図1(A)に示されるように、光デバイスは、基板11、発光素子14及び受光素子16を含む。基板11は、第1の面11A及び第1の面11Aと対向する第2の面11Bを有する。発光素子14は、第1の面11Aに実装され、受光素子16は、第2の面11Bに実装される。例えば図1(B)に示されるように、平面視において、発光素子14は、第1の中心14−1を有し、受光素子16は、第2の中心16−1を有する。
【0027】
図1(A)、図1(B)の例では、発光素子14のすべては、平面視において、受光素子16に完全に重なる位置に配置されているが、発光素子14の少なくとも一部が、平面視において、受光素子16に重なる位置に配置されてもよい。即ち、発光素子14は、平面視において、受光素子16中に収まるが、発光素子14の一部が、平面視において、受光素子16の外に出てもよい。
【0028】
図1(A)、図1(B)の例では、発光素子14及び受光素子16の双方が既に基板11に取り付けられているが、実際には、発光素子14が基板11に取り付けられた状態で、受光素子16が基板11に取り付けられる。発光素子14よりも後付けされる受光素子16は、ボンディングパッド16A’を有し、ボンディングパッド16A’は、平面視において、第2の中心16−1よりも第1の方向DR1に変位した位置に設けられる。また、第1の中心14−1は、平面視において、第2の中心16−1よりも第1の方向DR1と反対である第2の方向DR2に変位した位置に設けられる。
【0029】
受光素子16のボンディングパッド16A’が平面視において受光素子16の中心(第2の中心16−1)よりも第1の方向DR1に変位した位置に設けられ、且つ発光素子14の中心(第1の中心14−1)が平面視において受光素子16の中心(第2の中心16−1)よりも第2の方向DR2に変位した位置に設けられる。従って、ボンディングパッド16A’にボンディングワイヤー61−1を取り付ける時、ボンディングパッド16A’の直下の位置を冶具(jig)等で支えることができる。これにより、ボンディングワイヤー61−1は、確実に取り付けることができる。
【0030】
なお、図1(A)、図1(B)の例では、ボンディングワイヤー61−1は、受光素子16のボンディングパッド16A’と受光素子16への接続パッド61’(広義には、受光素子16への配線)との間を電気的に接続する。また、光デバイスの構成例は、図1(A)、図1(B)によって限定されず、構成例の一部(例えば発光素子14、受光素子16、ボンディングパッド16A’等)の形状等は、変更してもよい。
【0031】
1.1 光デバイスの製造方法
図2(A)、図2(B)、図2(C)、図2(D)は、本実施形態の光デバイスの製造方法の手順例を示す。図1(A)、図1(B)の例では、発光素子14及び受光素子16の双方が既に基板11に取り付けられているが、図2(A)に示すように、第1の面11A及び第1の面11Aと対向する第2の面11Bを有する基板11を準備する。第1の面11Aを例えば表面とし、第2の面11Bを例えば裏面とする場合、図2(A)の例では、基板11は、裏返されている。
【0032】
図2(B)に示すように、発光素子14を第2の面11Bの上に実装する。その後、発光素子14が付けられた基板11を裏返し、受光素子16を第1の面11Aの上に実装する。図2(C)に示すように、以下の条件(a)〜(c)を満たす(図1(B)参照)。
(a)第2の中心16−1及びボンディングパッド16A’を有する受光素子16が平面視において発光素子14の少なくとも一部と重なること、
(b)ボンディングパッド16A’が平面視において第2の中心16−1よりも第1の方向DR1に変位すること、及び
(c)第1の中心14−1が平面視において第2の中心16−1よりも第2の方向DR2に変位すること。
【0033】
図2(D)に示すように、受光素子16のボンディングパッド16A’の直下の位置を冶具74で支えることができる。受光素子16のボンディングパッド16A’の直下の位置が支えられているので、ボンディングツール72でボンディングパッド16A’を押さえても、受光素子16のボンディングパッド16A’は静止することができる。
【0034】
図3は、光デバイスの比較例を示す。図3の例では、上記条件(c)が満たされていない。図3に示すように、冶具74は、発光素子14を破壊しないように、受光素子16のボンディングパッド16A’の直下の位置に空間を設ける必要がある。従って、受光素子16のボンディングパッド16A’の直下の位置を冶具74で直接に支えることができない。受光素子16のボンディングパッド16A’の直下の位置が支えられていないので、ボンディングツール72でボンディングパッド16A’を押さえると、基板11が曲がってしまう。基板11の曲がりに伴って受光素子16のボンディングパッド16A’の位置は、変化する。ボンディングパッド16A’が静止することができないので、ボンディングパッド16A’にボンディングワイヤー61−1を確実に取り付けることができない。
【0035】
図3の例と比較して、図2(D)の例では、ボンディングパッド16A’の直下の位置を支えながら、ボンディングパッド16A’にボンディングワイヤー61−1を取り付ける。このように、図2(D)の例では、ボンディングパッド16A’にボンディングワイヤー61−1を確実に取り付けることができる。その結果として、ボンディングワイヤー61−1をボンディングパッド16A’に取り付ける光デバイスの製造方法において、その取り付けの信頼性が向上する。
【0036】
図4(A)、図4(B)は、光デバイスの配置例を示す。図1(B)と同様に、図4(A)の例、及び図4(B)の例では、光デバイスとして、発光素子14及び受光素子16が表されている。図4(A)、図4(B)に示されるように、発光素子14は、平面視において、矩形の輪郭形状を有し、矩形の1辺は、平面視において、ボンディングパッド16A’(狭義には、ボンディングパッド16A’の中心)を中心とする所与の半径を有する円に接する。発光素子14は、平面視において、受光素子16のボンディングパッド16A’の直下の位置から所与の半径だけ離すことができる。従って、受光素子16のボンディングパッド16A’の直下の位置に空間を確保することができる。例えば、図2(D)に示すように、冶具74で基板11を直接に支えることができる。
【0037】
図4(A)に示すボンディングパッド16A’を中心とする所与の半径は、図4(B)に示すボンディングパッド16A’を中心とする所与の半径と等しく、受光素子16のボンディングパッド16A’の直下の位置から同じ所与の半径だけ離すことができる。図4(A)の例では、発光素子14が平面視において受光素子16に完全に重なる一方、図4(B)の例では、発光素子14の一部が平面視において受光素子16に重なる。発光素子14が発する光が基板11を通過し、受光素子16で受ける場合、平面視における発光素子14は遮光領域を形成し、平面視における受光素子16も遮光領域を形成する。図4(A)の例において、全体としての遮光領域は、受光素子16の遮光領域だけになり、図4(B)の例において、全体としての遮光領域は、受光素子16の遮光領域に、受光素子16の遮光領域から外に出る発光素子14の遮光領域(受光素子16の遮光領域と重複しない発光素子14の遮光領域)が加わる。図4(A)の例で表される全体としての遮光領域は、図4(B)の例で表される全体としての遮光領域よりも小さい。従って、図4の例では、図4(B)の例と比較して、光は、受光素子16に到達し易くなる。
【0038】
図5(A)、図5(B)は、第1の中心14−1と第2の中心16−1との距離の説明図である。図5(A)、図5(B)に示されるように、発光素子14は、平面視において、矩形(狭義には、正方形)の輪郭形状を有し、図5(A)に示す正方形の1辺の長さは、図5(B)に示す正方形の1辺の長さと等しい。図5(A)の例では、正方形(広義には、矩形)の1辺(例えば、ボンディングパッド16A’に最も近い1辺)は、平面視において、第1の中心14−1と第2の中心16−1とを結ぶ方向に直交する。図5(B)の例では、正方形(広義には、矩形)の1辺、即ち、4辺の何れもの辺も、平面視において、第1の中心14−1と第2の中心16−1とを結ぶ方向に直交しない。
【0039】
図5(A)に示すボンディングパッド16A’を中心とする所与の半径は、図5(B)に示すボンディングパッド16A’を中心とする所与の半径よりも小さくできる。このように、発光素子14の輪郭形状である矩形の1辺が、平面視において、第1の中心14−1と第2の中心16−1とを結ぶ方向に直交する場合、第1の中心14−1と第2の中心16−1との距離を短くすることができる。発光素子14が発する光が基板11を通過し、受光素子16で受ける場合、第1の中心14−1と第2の中心16−1との距離が短い程、受光素子16−1は、光を効果的に受けることができる。
【0040】
2. 生体情報検出器
図6(A)、図6(B)は、本実施形態の生体情報検出器の構成例を示す。図6(A)、図6(B)に示されるように、生体情報検出器は、例えば図1(A)に示す光デバイスを含む。図6(A)、図6(B)は、本実施形態の光デバイスの他の構成例を示すとも言える。図6(A)、図6(B)に示されるように、生体情報検出器(広義には、光デバイス)は、第1の反射部92をさらに含むことができる。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
図6(A)は、被検査体(例えば、ユーザー)の被検出部位O側に発光素子14を配置する一方、図6(A)は、被検査体の被検出部位O側に受光素子16を配置する。図6(A)の基板11の第1の面11Aに配置される受光素子16等のすべては、図6(B)の基板11の第2の面11Bに配置されるが、図6(A)中の16A’等の符号は、図6(B)において省略されている。また、図6(A)の基板11の第2の面11Bに配置される発光素子14等のすべては、図6(B)の基板11の第1の面11Aに配置されるが、図6(A)中の14A等の符号は、図6(B)において省略されている。さらに、図6(A)の発光素子14は、第1の光R1及び第2の光R2を発するが、第2の光R2は、図6(B)において省略されている。
【0042】
発光素子14は、被検査体(例えば、ユーザー)の被検出部位Oに向かう光R1を発する。また、発光素子14は、被検出部位Oとは異なる方向(第1の反射部92)に向かう第2の光R2も発する。第1の反射部92は、第2の光R2を反射させて被検出部位Oに導く。受光素子16は、発光素子14が発する光R1が被検出部位Oにて反射された、生体情報を有する光R1’(反射光)を受ける。受光素子16は、第2の光R2が被検出部位Oにて反射された、生体情報を有するR2’(反射光)も受ける。
【0043】
生体情報検出器(広義には、光デバイス)は、第2の反射部18をさらに含むことができる。図6(A)、図6(B)の例では、第2の反射部18は、発光素子14が発する光R1又は生体情報を有する光R1’(反射光)を反射させる。図6(A)において、第2の反射部18は、被検出部位Oからの生体情報を有する光R1’、R2’(反射光)を反射させて受光素子16に導く。図6(B)において、発光素子14が発する光R1を反射させて被検出部位Oに導く。第2の反射部18は、発光素子14と受光素子16との間に設けたドーム面に反射面を有することができる。
【0044】
生体情報検出器(広義には、光デバイス)は、接触部19をさらに含むことができる。接触部19は、被検査体との接触面19Aを有し、発光素子14が発する光R1の波長に対して透明な材料(例えば、ガラス)で構成される。基板11も、発光素子14が発する光R1の波長に対して透明な材料(例えば、ポリイミド)で構成され、基板11は、例えば、フレキシブル基板で構成される。
【0045】
図6(A)、図6(B)の例において、被検出部位O(例えば、血管)は、被検査体の内部にある。第1の光R1は、被検査体の内部に進み、表皮、真皮及び皮下組織で拡散又は散乱する。その後、第1の光R1は、被検出部位Oに到達し、被検出部位Oで反射される。被検出部位Oでの反射光R1’は、皮下組織、真皮及び表皮で拡散又は散乱する。図1(A)では、反射光R1’は、第2の反射部18に向かう。図1(B)では、第1の光R1は、第2の反射部18を介して被検出部位Oに向かう。なお、第1の光R1は、血管で部分的に吸収される。従って、脈拍の影響により、血管での吸収率が変化し、被検出部位Oでの反射光R1’の光量も変化する。このように、生体情報(例えば、脈拍数)は、被検出部位Oでの反射光R1’に反映される。
【0046】
図6(A)において、第2の光R2は、被検査体の内部に進み、被検出部位Oでの反射光R2’は、第2の反射部18に向かう。生体情報(脈拍数)は、被検出部位Oでの反射光R2’にも反映される。
【0047】
生体情報検出器(広義には、光デバイス)の構成例は、図6(A)、図6(B)によって限定されず、構成例の一部(例えば、第1の反射部92、第2の反射部18等)の形状等は、変更してもよい。また、生体情報は、血液中の酸素飽和度、体温、心拍数等であってもよく、被検出部位Oが被検査体の表面SAにあってもよい。図6(A)の例において、第1の光R1及び第2の光R2がそれぞれ1つの線として描かれ、図6(B)の例において、第1の光R1が1つの線として描かれているが、実際には、発光素子14は、様々な方向に多くの光を発する。
【0048】
図6(A)の例では、受光素子16への配線の一部が表され、受光素子16への接続パッド61’が表されている。ボンディングパッド16A’(広義には、電極)は、例えば、受光素子16のアノードである。図6(A)の例では、受光素子16への配線の一部として、例えば、受光素子16の電極パッド16C’(広義には、電極)と接続する接続部62’も、表されている。電極パッド16C’は、例えば、受光素子16のカソードである。図6(A)の例では、接続部62’は、電極16Cと直接に接続される。
【0049】
また、図6(A)の例では、発光素子14への配線の一部も表され、発光素子14への接続パッド64’が表されている。接続パッド64’は、ボンディングワイヤー64−1を介して、発光素子14のボンディングパッド14A’(広義には、電極)に接続され、ボンディングパッド14A’は、例えば、発光素子14のアノードである。図6(A)の例は、1つの切断面に対応する断面図を表し、図6(A)の例では、1つの切断面には実際に存在しない接続パッド63’を、点線で例示している。接続パッド63’は、ボンディングワイヤー63−1を介して、発光素子14のボンディングパッド14C’(広義には、電極)に接続され、ボンディングパッド14C’は、例えば、発光素子14のカソードである。
【0050】
図7(A)、図7(B)は、図6(A)の生体情報検出器(広義には、光デバイス)の平面図を示す。図7(A)は、受光素子16側の平面図に対応し、図7(B)は、発光素子14側の平面図に対応する。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
図7(A)において、発光素子14及び第1の反射部92は、点線で示されている。図7(A)に示すように、第1の反射部92は、第3の中心92−Cを有し、第3の中心92−Cは、平面視において、発光素子14の第1の中心14−1と一致する。第3の中心92−Cが第1の中心14−1と一致する場合、第1の反射部92は、発光素子14が発する光を効果的に反射させることができる。なお、図7(A)は、図1(B)に示す位置関係を満たすので、第3の中心92−C(第1の中心14−1)は、平面視において、第2の中心16−1よりも第1の方向DR1と反対である第2の方向DR2に変位した位置に設けられる。
【0052】
図7(A)に示されるように、受光素子16への配線61は、一端に、接続パッド61’及びボンディングワイヤー61−1を有する。また、受光素子16への配線62は、一端に、接続部62’を有する。図7(B)に示されるように、発光素子14への配線63は、一端に、接続パッド63’及びボンディングワイヤー63−1を有する。また、発光素子14への配線64は、一端に、接続パッド64’及びボンディングワイヤー64−1を有する。配線63及び配線64から発光素子14に電力を供給することができ、配線63及び配線64から受光素子16の電気信号を取り出すことができる。図7(A)において、配線63及び配線64は、省略されている。図7(B)において、受光素子16等は、点線で示されている。
【0053】
なお、発光素子14への配線63及び配線64並びに受光素子16への配線61及び配線62の構成例は、図7(A)、図7(B)によって限定されない。例えば、配線61の接続パッド61’の形状は、図7(A)で示される円形の代わりに、例えば矩形、楕円、多角形等の他の形状でもよい。また、例えば配線63の接続パッド63’の形状も、図7(B)で示される矩形の代わりに、例えば円形、楕円、多角形等の他の形状でもよい。
【0054】
2.1 生体情報検出器における光デバイスの製造方法
図8(A)、図8(B)、図8(C)、図8(D)は、本実施形態の光デバイスの製造方法の他の手順例を示す。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略し、符号の一部は、図示を省略している。図2(D)の例と異なる点は、概して、発光素子14は、発光素子14が発する光を反射させる第1の反射部92を介して第2の面11Bに実装され、ボンディングワイヤー61−1は、ボンディングパッド16A’の直下の位置を第1の反射部92で支えながら、ボンディングパッド16A’に取り付けられる(図8(D))。
【0055】
発光素子14に第1の反射部92が付加されることにより、受光素子16のボンディングパッド16A’の直下の位置を第1の反射部92及び冶具74等で支えることができる。従って、ボンディングパッド16A’にボンディングワイヤー61−1を確実に取り付けることができる。また、第1の反射部92は、冶具74が発光素子14に接触することを防止することができ、その結果として、発光素子14の破損を防止できる。
【0056】
図8(A)、図6(A)、図7(B)に示すように、基板11の第2の面11Bには、接続パッド64’及び接続パッド63’(広義には、発光素子14への配線64、63)が予め配置されている。また、基板11の第1の面11Aには、接続パッド61’及び接続部62’(広義には、受光素子16への配線61、62)が予め配置されている。
【0057】
図8(B)に示すように、予め発光素子14が取り付けられた第1の反射部92を基板11の第2の面11Bに配置し、図示しない冶具等で基板11の第1の面11Aを支えながら、ボンディングパッド14A’にボンディングワイヤー64−1を取り付ける。また、ボンディングパッド14C’にボンディングワイヤー63−1を取り付ける。
【0058】
図8(C)に示すように、以下の条件(a)〜(c)を満たす。
(a)第2の中心16−1及びボンディングパッド16A’を有する受光素子16が平面視において発光素子14の少なくとも一部と重なること、
(b)ボンディングパッド16A’が平面視において第2の中心16−1よりも第1の方向DR1に変位すること、及び
(c)第3の中心92−C(及び第1の中心14−1)が平面視において第2の中心16−1よりも第2の方向DR2に変位すること。
【0059】
図8(C)に示すように、光デバイスのワイヤーボンディングが終了した後、例えば図6(A)に示すように、基板11に第2の反射部18及び接触部19を取り付ける。
【0060】
図6(A)又は図6(B)に示すように、基板11は、第2の反射部18と接触部19との間に配置されるので、発光素子14及び受光素子16が基板11に配置されたとしても、基板11それ自身を支持する機構を別途設ける必要がなく、部品点数が減少する。また、基板11は、発光波長に対して透明な材料で構成されるので、発光素子14から受光素子16に至る光路途中に基板11を配置でき、基板11を光路以外の位置例えば第2の反射部18の内部に格納する必要がない。このように、容易に組み立て可能な生体情報検出器(広義には、光デバイス)を提供することができる。また、第2の反射部18は、受光素子16又は被検出部位Oに到達する光量を増加させることが可能であり、生体情報検出器の検出精度(SN比)は向上する。
【0061】
なお、特許文献1では、発光素子11、受光素子12、基板15及び透明材料142を反射部131の内部に組み込む必要がある。従って、小型な光プローブ1の組み立ては、容易ではない。また、特許文献1の段落[0048]によれば、基板15は、反射部131の内部の側を拡散反射面として形成されている。言い換えれば、特許文献1の基板15は、透明な材料で構成する必要がない。
【0062】
基板11の厚さは、例えば、10[μm]〜1000[μm]である。基板11は、例えばプリント基板であるが、一般には、プリント基板は、例えば特許文献1の基板15のように、透明な材料で構成されていない。言い換えれば、本発明者らは、プリント基板を少なくとも発光素子14の発光波長に対して透明な材料で構成することをあえて採用した。接触部19の厚さは、例えば、1[μm]〜3000[μm]である。
【0063】
発光素子14は、例えばLEDであり、LEDが発する光の波長は、例えば425[nm]〜625[nm]の範囲に強度の最大値(広義には、ピーク値)を持ち、例えば緑色の光が発せられる。発光素子14の厚さは、例えば、20[μm]〜1000[μm]である。受光素子16は、例えばフォトダイオードであり、一般的にはSiフォトダイオードで構成できる。受光素子16の厚さは、例えば、20[μm]〜1000[μm]である。Siフォトダイオードが受ける光の波長は、例えば800[nm]〜1000[nm]の範囲に感度の最大値(広義には、ピーク値)を持つ。好ましくは、受光素子16は、GaAsPフォトダイオードで構成され、GaAsPフォトダイオードが受ける光の波長は、例えば550[nm]〜650[nm]の範囲に感度の最大値(広義には、ピーク値)を持つ。生体(水やヘモグロビン)は、700[nm]〜1100[nm]の範囲に含まれる赤外線を透過させ易いので、GaAsPフォトダイオードで構成される受光素子16は、例えばSiフォトダイオードで構成される受光素子16と比較して、外光に起因するノイズ成分を減少させることができる。
【0064】
図9は、発光素子14が発する光の強度特性の一例を示す。図9の例において、520[nm]の波長を持つ光の強度が、最大値を示し、その強度で他の波長を持つ光の強度は正規化されている。また、図9の例において、発光素子14が発する光の波長の範囲は、470[nm]〜600[nm]である。
【0065】
図10は、接触部19を通る光の透過特性の一例を示す。図10に示すように、例えば図9の強度の最大値を示す発光素子14が発する光の波長(520[nm])の透過率は、50[%]以上ある。また、基板11そのものを通る光の透過特性の一例は、示されていないが、図10の透過特性と同様に、520[nm]の波長に対する基板11の透過率は、例えば50[%]以上に設定することができる。接触部19及び基板11は、発光素子14が発する光R1の波長に対して透明な材料で構成することができる。
【0066】
図11は、本実施形態の生体情報検出器の他の構成例を示す。図11に示されるように、基板11の第1の面11A及び第1の面と対向する第2の面11Bに光透過膜11−1を形成することができる。また、上述した構成例と同一の構成については同じ符号を付し、その説明を省略する。なお、光透過膜11−1は、第1の面11Aだけに形成されてもよく、又は、第2の面11Bだけに形成されてもよい。また、図11の例において、光透過膜11−1は、発光素子14及び受光素子16(狭義には、第1の反射部92、接続パッド64’(図7(B)の発光素子14への配線63、64)、接続部62’及び接続パッド61’(図7(B)の受光素子16への配線61、62))が配置されていない基板11の光透過領域に形成される。図11は、図6(A)に対応するが、図6(B)の基板11の第1の面11A及び第2の面11Bの少なくとも一方に光透過膜11−1が形成されてもよい。光透過膜11−1は、例えば、ソルダーレジスト(広義には、レジスト)で構成することができる。
【0067】
図11の例において、基板11上の配線61、62、63、64(接続パッド61’、64’及び接続部62’等を含む)が剥離しないように、基板11の第1の面11A及び第2の面11Bは、粗面加工することができる。従って、第1の面11A及び第2の面11Bに光透過膜11−1を形成することにより、基板11の表面の粗面を光透過膜で埋め込んで、基板11全体の平坦性は、向上する。言い換えれば、基板11上の光透過膜11−1は、平坦であるので、光が基板11を透過する時、基板11の表面の粗面での光の拡散を減少させることができる。言い換えれば、光透過膜11−1の存在により、基板11の透過率が向上する。従って、受光素子16又は被検出部位Oに到達する光量が増加し、生体情報検出器の検出精度はさらに向上する。
【0068】
なお、光透過膜11−1の屈折率は、空気の屈折率と基板11の屈折率の間であることが好ましい。さらに、光透過膜11−1の屈折率は、空気の屈折率よりも、基板11の屈折率に近い方が好ましい。このような場合、界面での光の反射を減少させることができる。
【0069】
図12は、光透過膜11−1がコーティングされた基板11を通る光の透過特性の一例を示す。図12の例において、基板11を透過する前の光の強度と基板11を透過した後の光の強度とを用いて、透過率が計算されている。図12の例において、生体の窓の下限である700[nm]以下の波長領域において、525[nm]の波長を持つ光の透過率が、最大値を示す。或いは、図12の例において、生体の窓の下限である700[nm]以下の波長領域において、光透過膜11−1を通る光の透過率の最大値は、例えば図9の発光素子14が発する光の波長の強度の最大値の±10%以内の範囲に入る。このように、光透過膜11−1は、発光素子14が発する光(例えば、図6(A)の第1の光R1(狭義には、第1の光R1の反射光R1’))を選択的に透過させることが好ましい。光透過膜11−1の存在により、基板11の平坦性を向上するとともに、発光素子14又は受光素子16の効率の低下をある程度防止することができる。なお、図12の例で示したように、例えば可視光領域において、525[nm]の波長を持つ光の透過率が最大値(広義には、ピーク値)を示す場合、光透過膜11−1は、例えば緑色を示す。
【0070】
図6(A)の例において、発光素子14は、被検出部位Oと対向し、第1の光R1を発する第1の発光面14Aを有することができる。また、発光素子14は、第1の発光面14Aの側面であって、第2の光R2を発する第2の発光面14Bをさらに有することができる。この場合、第1の反射部92は、第2の発光面14Bを囲む壁部を有することができる。
【0071】
図13(A)、図13(B)、図13(C)は、図6(A)の第1の反射部92の構成例を示す。図13(A)に示されるように、第1の反射部92は、発光素子14を支持する支持部92−1と、発光素子14の第2の発光面14Bを囲む壁部の内壁面92−2及び頂面92−3と、を有することができる。なお、図13(A)〜図10(C)において、発光素子14は省略されている。図10(A)の例において、第1の反射部92は、内壁面92−2において第2の光R2を被検出部位Oに反射させることができ(図6(A)参照)、内壁面92−2に第1の反射面を有する。支持部92−1の厚さは、例えば、50[μm]〜1000[μm]であり、壁部(92−3)の厚さは、例えば、100[μm]〜1000[μm]である。
【0072】
図13(A)の例では、内壁面92−2は、断面視において、幅方向(第1の方向)にて第1の反射部92の中心から遠ざかる位置ほど、高さ方向(第1の方向と直交する方向)にて被検出部位O側に変位する斜面(92−2)を有する。図13(A)の斜面(92−2)は、断面視において、傾斜平面で形成されているが、例えば図13(C)で示される湾曲面等の斜面であってもよい。内壁面92−2は傾斜角度が異なる複数の傾斜平面で形成されてもよく、或いは複数の曲率を持つ湾曲面で形成されてもよい。第1の反射部92の内壁面92−2が斜面を有する場合、この第1の反射部92の内壁面92−2は、第2の光R2を被検出部位Oに向けて反射させることができる。言い換えれば、この第1の反射部92の内壁面92−2の斜面は、発光素子14の指向性を高めた第1の反射面と言うことができる。このような場合、被検出部位Oに到達する光量は、さらに増加する。また、図13(A)、図13(C)の頂面92−3は、例えば図13(B)に示されるように省略してもよい。第1の反射部92が頂面92−3を有する場合、冶具74で頂面92−3を支えることができる(図8(D)参照)。なお、図13(A)〜図13(C)では、符号92−4で示す範囲が鏡面部として機能する。
【0073】
図14(A)、図14(B)は、図6(A)の第1の反射部92及び発光素子14の平面視での外観例を示す。図14(A)の例では、(例えば、図6(A)の被検出部位Oの側の)平面視において、第1の反射部92の外周は、円を表し、円の直径は、例えば、直径200[μm]〜11000[μm]である。図14(A)の例において、第1の反射部92の壁部(92−2)は、発光素子14を囲む(図6(A)参照)。また、第1の反射部92の外周は、平面視において、例えば図14(B)に示すように、四角形(狭義には、正方形)を表してもよい。また、図14(A)、図14(B)の例では、(例えば、図6(A)の被検出部位Oの側の)平面視において、発光素子14の外周は、四角形(狭義には、正方形)を表し、正方形の1辺は、例えば、100[μm]〜10000[μm]である。また、発光素子14の外周は、円形を表してもよい。
【0074】
第1の反射部92は、それ自身を金属で形成し、その表面を鏡面加工することで、反射構造(狭義には、鏡面反射構造)を有する。なお、第1の反射部92は、例えば樹脂で形成し、その表面に鏡面加工してもよい。具体的には、例えば、第1の反射部92の下地金属を準備し、その後、その表面を例えばめっきする。或いは、例えば、熱可塑性樹脂を第1の反射部92の金型(図示せず)に充填して成形し、その後、その表面に例えば金属膜を蒸着する。
【0075】
図14(A)、図14(B)の例では、(例えば、図6(Aの被検出部位Oの側の)平面視において、第1の反射部92は、発光素子14を直接支持する領域以外の領域(支持部92−1の一部、壁部の内壁面92−2及び頂面92−3)が露出する。この露出する領域は、図13(A)の例では、鏡面部92−4として示されている。なお、図13(A)の例において、鏡面部92−4を表す点線は、第1の反射部92の内側に位置しているが、実際には、鏡面部92−4は、第1の反射部92の表面に形成されている。
【0076】
図13(A)、図13(B)、図13(C)の例において、鏡面部92−4は、高い反射率を有することが好ましい。鏡面部92−4の反射率は、例えば、80%〜90%以上である。また、鏡面部92−4は、内壁面92−2の斜面だけに形成することができる。鏡面部92−4が内壁面92−2の斜面だけでなく、支持部92−1にも形成される場合、発光素子14の指向性は、さらに高くなる。
【0077】
第2の反射部18は、例えば樹脂で形成し、その表面(図6(A)の受光素子16側の反射面)に鏡面加工することで、反射構造(狭義には、鏡面反射構造)を有する。言い換えれば、第2の反射部18は、光を拡散反射させずに、光を鏡面反射させることができる。第2の反射部18が鏡面反射構造を有する場合、この第2の反射部18は、第1の光R1の反射光R1’の反射角と異なる反射角を有する第1の光R1の反射光R1’’(直接反射光:無効光)を受光素子16に反射させないこともできる(図6(A)参照)。このような場合、生体情報検出器の検出精度はさらに向上する。なお、図6(A)に示されるように、第1の光R1の反射光R1’は、被検査体の内部にある被検出部位Oが起点となるので、第1の光R1の反射光R1’の反射角(被検査体の表面SAに垂直な直線を基準にした反射角)は、概して小さい。一方、第1の光R1の反射光R1’’は、被検査体の表面SAが起点となるので、第1の光Rの反射光R1’’の反射角は、概して大きい。
【0078】
ところで、特許文献1の図16は、反射部131を開示し、特許文献1の段落[0046]、[0059]、[0077]によれば、反射部131は、拡散反射構造を有し、反射率を向上させることによって受光素子12の効率を高める。しかしながら、本出願時において、当業者は、特許文献1の反射部131では、直接反射光(広義には、ノイズ)も受光素子12に反射させてしまうことを認識していない。言い換えれば、本発明者らは、直接反射光に起因するノイズ成分を受光信号から低減させることによって受光素子の効率を高めることを認識した。言い換えれば、本発明者らは、第2の反射部18が鏡面反射構造を有する場合、生体情報検出器の検出精度がさらに向上することを認識した。
【0079】
3. 生体情報測定装置
3.1 脈拍計
図15(A)、図15(B)は、図1等の生体情報検出器を含む生体情報測定装置の外観例である。図15(A)に示されるように、例えば図6(A)の生体情報検出器は、生体情報検出器を被検査体(ユーザー)の腕(狭義には、手首)に取り付け可能なリストバンド150をさらに含むことができる。図15(A)の例において、生体情報は、脈拍数であり、例えば「72」が示されている。また、生体情報検出器は、腕時計に組み込まれ、時刻(例えば、午前8時15分)が示されている。また、図15(B)に示されるように、腕時計の裏蓋に開口部が設けられ、開口部に例えば図6(A)の接触部19が露出する。図15(B)の例において、第2の反射部18及び受光素子16は、腕時計に組み込まれている。図15(B)の例において、第1の反射部92、発光素子14、リストバンド150等は、省略されている。
【0080】
図16は、生体情報測定装置の構成例を示す。生体情報測定装置は、図6(A)等の生体情報検出器と、生体情報検出器の受光素子16において生成される受光信号から生体情報を測定する生体情報測定部とを含む。図16に示すように、生体情報検出器は、発光素子14と受光素子16と発光素子14の制御回路161とを有することができる。生体情報検出器は、受光素子16の受光信号の増幅回路162をさらに有することができる。また、生体情報測定部は、受光素子16の受光信号をA/D変換するA/D変換回路163と脈拍数を算出する脈拍数算出回路164とを有することができる。生体情報測定部は、脈拍数を表示する表示部165をさらに有することができる。
【0081】
生体情報検出器は、加速度検出部166を有することができ、生体情報測定部は、加速度検出部166の加速度信号をA/D変換するA/D変換回路167とデジタル信号を処理するデジタル信号処理回路168とをさらに有することができる。生体情報測定装置の構成例は、図16によって限定されない。図16の脈拍数算出回路164は、例えば生体情報検出器を組み込む電子機器のMPU(Micro Processing Unit)であってもよい。
【0082】
図16の制御回路161は、発光素子14を駆動する。制御回路161は、例えば、定電流回路であり、所与の電圧(例えば、6[V])を保護抵抗を介して発光素子14に供給し、発光素子14に流れる電流を所与の値(例えば、2[mA])に保つ。なお、制御回路161は、消費電流を低減するために、発光素子14を間欠的に(例えば、128[Hz]で)駆動することができる。制御回路161は、例えばマザーボードに形成され、制御回路161と発光素子14との配線は、例えば、図6(A)の基板11に形成される。
【0083】
図16の増幅回路162は、受光素子16において生成される受光信号(電流)から直流成分を除去し、交流成分だけを抽出し、その交流成分を増幅して、交流信号を生成することができる。増幅回路162は、例えばハイパスフィルターで所与の周波数以下の直流成分を除去し、例えばオペアンプで交流成分をバッファーする。なお、受光信号は、脈動成分及び体動成分を含む。増幅回路162又は制御回路161は、受光素子16を例えば逆バイアスで動作させるための電源電圧を受光素子16に供給することができる。発光素子14が間欠的に駆動される場合、受光素子16の電源も間欠的に供給され、また交流成分も間欠的に増幅される。増幅回路162は、例えばマザーボードに形成され、増幅回路162と受光素子16との配線は、例えば、図6(A)の基板11に形成される。また、増幅回路162は、ハイパスフィルターの前段で受光信号を増幅する増幅器を有してもよい。増幅回路162が増幅器を有する場合、増幅器は、例えば、基板11に形成される。
【0084】
図16のA/D変換回路163は、増幅回路162において生成される交流信号をデジタル信号(第1のデジタル信号)に変換する。図16の加速度検出部166は、例えば3軸(X軸、Y軸及びZ軸)の加速度を検出して、加速度信号を生成する。体(腕)の動き、従って生体情報測定装置の動きは、加速度信号に反映される。図16のA/D変換回路167は、加速度検出部166において生成される加速度信号をデジタル信号(第2のデジタル信号)に変換する。
【0085】
図16のデジタル信号処理回路168は、第2のデジタル信号を用いて、第1のデジタル信号の体動成分を除去し又は低減させる。デジタル信号処理回路168は、例えば、FIRフィルター等の適応フィルターで構成することができる。デジタル信号処理回路168は、第1のデジタル信号及び第2のデジタル信号を適応フィルターに入力し、ノイズが除去又は低減されたフィルター出力信号を生成する。
【0086】
図16の脈拍数算出回路164は、フィルター出力信号を例えば高速フーリエ変換(広義には、拡散フーリエ変換)によって周波数解析する。脈拍数算出回路164は、周波数解析の結果に基づき脈動成分を表す周波数を特定し、脈拍数を算出する。
【0087】
3.2 パルスオキシメーター
以下に、生体情報測定装置の他の例としての、パルスオキシメーターについて説明する。パルスオキシメーターに搭載される生体情報検出器(広義には、光デバイス)は、前述の実施形態と同じ構成(例えば図6(A)や図1(A)に示される構成)を用いて実現することができる。
【0088】
ここでは、図6(A)の構成に基づいて説明する。パルスオキシメーター(広義には、生体情報検出器)は、発光素子14と受光素子16で構成されている。発光素子14は、例えば赤色光と赤外光を発し、これらの光が被検出部位O(例えば血管)にて反射した反射光を、受光素子16で測定する。血液中のヘモグロビンは酸素との結合の有無により赤色光と赤外光の吸光度が異なる。よって、受光素子16で反射光を測定して分析することにより、動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定することができる。
【0089】
パルスオキシメーター用の生体情報測定部の構成としては、図16に示される脈拍計用の生体情報測定部(A/D変換回路163、脈拍数算出回路164、表示部165、加速度検出部166、A/D変換回路167、デジタル信号処理回路168)の構成をそのまま利用することができる。但し、図16に示される脈拍算出回路164は、脈拍算出回路およびFFT等を用いた動脈血酸素飽和度分析回路164に置換される。
【0090】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0091】
11 基板、 11A 第1の面、 11B 第2の面、 11−1 光透過膜、
14 発光素子、 14−1 第1の中心、 14A 第1の発光面、
14B 第2の発光面、 14A’,14C’ ボンディングパッド、
16 受光素子、 16−1 第2の中心、 16A’ ボンディングパッド、
16C’ 電極パッド、 18 第2の反射部、 19 接触部、 19A 接触面
61,62,63,64 配線、
61−1,63−1,64−1 ボンディングワイヤー、
61’,63’,64’,63’’,64’’ 接続パッド、 62’ 接続部、
72 ボンディングツール、 74 冶具、 92 第1の反射部、
92−1 支持部、 92−2 内壁面、 92−3 頂面、 92−4 鏡面部、
92−C 第3の中心、 150 リストバンド、 161 制御回路、
162 増幅回路、 163,167 A/D変換回路、 164 脈拍数算出回路、
165 表示部、 166 加速度検出部、168 デジタル信号処理回路、
DR1 第1の方向、 DR2 第2の方向、 O 被検出部位、 R1 第1の光、
R2 第2の光、 R1’,R2’ 反射光(有効光)、
R1’’ 直接反射光(無効光)、SA 被検査体の表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面及び前記第1の面と対向する第2の面を有する基板を準備し、
第1の中心を有する発光素子を前記第2の面に実装し、
(a)第2の中心及びボンディングパッドを有する受光素子が平面視において前記発光素子の少なくとも一部と重なり、(b)ボンディングパッドが平面視において前記第2の中心よりも第1の方向に変位し、且つ(c)第1の中心が平面視において前記第2の中心よりも前記第1の方向と反対である第2の方向に変位するように、前記受光素子を前記第1の面に実装し、
前記ボンディングパッドの直下の位置を支えながら、前記ボンディングパッドにボンディングワイヤーを取り付けることを特徴とする光デバイスの製造方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記発光素子は、前記発光素子が発する光を反射させる第1の反射部を介して前記第2の面に実装され、
前記ボンディングワイヤーは、前記ボンディングパッドの前記直下の位置を前記第1の反射部で支えながら、前記ボンディングパッドに取り付けられることを特徴とする光デバイスの製造方法。
【請求項3】
第1の面及び前記第1の面と対向する第2の面を有する基板と、
前記第2の面に実装され、第1の中心を有する発光素子と、
前記第1の面に実装され、第2の中心を有する受光素子と、
を含み、
前記発光素子の少なくとも一部は、平面視において、前記受光素子に重なる位置に配置され、
前記発光素子よりも後付けされる前記受光素子は、ボンディングパッドを有し、
前記ボンディングパッドは、平面視において、前記第2の中心よりも第1の方向に変位した位置に設けられ、
前記第1の中心は、平面視において、前記第2の中心よりも前記第1の方向と反対である第2の方向に変位した位置に設けられることを特徴とする光デバイス。
【請求項4】
請求項3において、
前記発光素子は、平面視において、矩形の輪郭形状を有し、
前記矩形の1辺は、平面視において、前記ボンディングパッドを中心とする所与の半径を有する円に接することを特徴とする光デバイス。
【請求項5】
請求項3において、
前記発光素子は、平面視において、矩形の輪郭形状を有し、
前記矩形の1辺は、平面視において、前記第1の中心と前記第2の中心とを結ぶ方向に直交することを特徴とする光デバイス。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れかにおいて、
前記発光素子のすべては、平面視において、前記受光素子に完全に重なる位置に配置されることを特徴とする光デバイス。
【請求項7】
請求項3乃至6の何れかにおいて、
第3の中心を有し、前記発光素子が発する光を反射させる第1の反射部を、さらに含み、
前記第3の中心は、平面視において、前記第1の中心と一致することを特徴とする光デバイス。
【請求項8】
請求項3乃至7の何れかに記載の光デバイスと、
被検査体との接触面を有し、前記発光素子が発する光の波長に対して透明な材料で構成される接触部と、
生体情報を有する光を反射させる第2の反射部と、
を含み、
前記発光素子は、前記被検査体の被検出部位に向かう光を発し、
前記受光素子は、前記発光素子が発する光が前記被検出部位にて反射された、前記生体情報を有する光を受け、
前記基板は、前記発光素子が発する光の波長に対して透明な材料で構成されるフレキシブル基板であり、
前記生体情報は、脈拍数であることを特徴とする生体情報検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−167318(P2011−167318A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33058(P2010−33058)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】