光トランシーバ用のハウジング及び光トランシーバ
【課題】光トランシーバの前方における光ファイバケーブル用のスペースを小さくすることが可能な光トランシーバ用のハウジングおよび光トランシーバを提供する。
【解決手段】光トランシーバ用のハウジングは、前面壁、第1の領域、第2の領域、第3の領域、及び、区画壁を備える。第1の領域は、光レセプタクル14を搭載する。第2の領域には複数の光サブアセンブリ16が搭載される。第3の領域では、光レセプタクル14に挿入される光コネクタプラグと複数の光サブアセンブリ18とを光学的に結合する一対の光ファイバが引き回される。区画壁は、第1の方向において第1の領域を後方から画成する第1の壁と、第1の領域を側方から画成する一対の第2の壁と、を含む。第1の領域は、光レセプタクルのポートが、第1の方向と一対の第2の壁が配列された第2の方向との間の方向に延在するように、光レセプタクル14を搭載する。
【解決手段】光トランシーバ用のハウジングは、前面壁、第1の領域、第2の領域、第3の領域、及び、区画壁を備える。第1の領域は、光レセプタクル14を搭載する。第2の領域には複数の光サブアセンブリ16が搭載される。第3の領域では、光レセプタクル14に挿入される光コネクタプラグと複数の光サブアセンブリ18とを光学的に結合する一対の光ファイバが引き回される。区画壁は、第1の方向において第1の領域を後方から画成する第1の壁と、第1の領域を側方から画成する一対の第2の壁と、を含む。第1の領域は、光レセプタクルのポートが、第1の方向と一対の第2の壁が配列された第2の方向との間の方向に延在するように、光レセプタクル14を搭載する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光トランシーバ用のハウジング及び光トランシーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光トランシーバには、下記非特許文献1に記載されたものがある。非特許文献1に記載された光トランシーバでは、フロントカバーの開口から光レセプタクルのポートが露出されている。当該ポートは、フロントカバーの前面に直交する方向に延びた空間である。当該ポートには、光ファイバケーブルを内蔵した光コネクタプラグが外部から挿入される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】"Cisco CRS-1 キャリア ルーティングシステム 10-Gigabit Ethernet Physical Layer Interface Module(PLIM)インストレーション ノート"、[online]、[平成23年2月17日検索]、インターネット〈URL:http://www.cisco.com/japanese/warp/public/3/jp/service/manual_j/rt/crs/crs10in/chapter01/6437_01.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載された光トランシーバのポートに光コネクタプラグを装着すると、当該光コネクタプラグから延びる光ファイバケーブルは、フロントカバーの前面に直交する方向に延在することになる。したがって、フロントカバーの前方に光ファイバケーブルが延在するスペースとして大きなスペースが必要となり得る。
【0005】
したがって、当技術分野においては、光トランシーバの前方における光ファイバケーブル用のスペースを小さくすることが要請されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、光トランシーバ用のハウジングに関するものである。このハウジングは、前面壁、第1の領域、第2の領域、第3の領域、及び、区画壁を備えている。前面壁には、光コネクタプラグを受容する光レセプタクルのポートを露出させるための開口が形成されている。第1の領域は、光レセプタクルを搭載する領域である。第1の領域は前面壁に直交する第1の方向において前記開口に連続している。第2の領域は、電気信号を光信号に変換する光送信サブアセンブリ、及び、光信号を電気信号に変換する光受信サブアセンブリを含む複数の光サブアセンブリを搭載する領域である。第3の領域は、光レセプタクルに挿入される光コネクタプラグと複数の光サブアセンブリとを光学的に結合するための一対の光ファイバを引き回すための領域である。区画壁は、第1の領域を画成する。区画壁は、第1の領域から第2の領域に向かう第1の方向において第1の領域を後方から画成する第1の壁と、第1の領域を側方から画成する一対の第2の壁と、を含む。第1の領域は、光レセプタクルのポートが第1の方向と一対の第2の壁が配列された第2の方向との間の方向に延在するように、当該光レセプタクルを搭載可能である。
【0007】
このハウジングは、前面壁の開口に連続する第1の領域において、光レセプタクルのポートが第1の方向(即ち、前後方向)と第2の方向(即ち、幅方向)との間の方向に延在するように、光レセプタクルを搭載することが可能である。かかるハウジングを用いた光トランシーバによれば、光レセプタクルに光コネクタプラグが装着されると、当該光コネクタプラグの光ファイバケーブルが、ハウジングの前面壁に対して斜め方向に延びることとなる。その結果、光トランシーバの前方における光ファイバケーブル用のスペースが小さくなる。
【0008】
一実施形態においては、区画壁には、第1の方向と第2の方向の間の第3の方向に延びる一対の第1の溝が形成されていてもよい。第3の方向は、第1の方向と第2の方向との間の方向であり、第1の方向に対して傾斜した所定の方向である。この実施形態のハウジングでは、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを一対の第1の溝内に通すことにより、当該一対の光ファイバを、第3の方向に延在させて区画壁を通過させることができる。したがって、一対の光ファイバに与える曲げを抑制しつつ、ポートが第3の方向に延在するよう光レセプタクルを配置することが可能となる。
【0009】
一実施形態においては、区画壁には、第1の方向に対して第3の方向とは線対称な方向に延びる別の一対の第1の溝が形成されていてもよい。この実施形態のハウジングでは、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを一対の別の第1の溝内に通すことにより、当該一対の光ファイバを、第3の方向とは線対称な方向に延在させて区画壁を通過させることができる。したがって、この実施形態のハウジングには、一対の光ファイバに与える曲げを抑制しつつ、ポートが第3の方向とは線対称な方向に延在するよう光レセプタクルを配置することが可能となる。即ち、この実施形態のハウジングには、光レセプタクルを上下反転させて搭載することが可能である。その結果、光トランシーバの前方における光ファイバケーブルの引き出し方向を上記第3の方向とは線対称な方向に変更することが可能である。
【0010】
一実施形態においては、区画壁には、第1の方向に延びる一対の第2の溝であり第2の方向において配列された当該一対の第2の溝が形成されていてもよい。この実施形態のハウジングでは、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを一対の第2の溝内に通すことにより、当該一対の光ファイバを、第1の方向に延在させて区画壁を通過させることが可能である。したがって、このハウジングには、上記第1の方向に延びるポートを有する光レセプタクルを搭載することも可能である。即ち、このハウジングは、異なる方向に延びるポートを有する異なる光レセプタクルに対して、共用され得る。
【0011】
一実施形態においては、第1の領域は、第1の方向及び第2の方向に直交する方向に延びる軸線中心に前記光レセプタクルを回転可能に支持する支持手段を有していてもよい。この実施形態のハウジングよれば、光レセプタクルのポートの延在方向を第1の方向及び第2の方向の間で任意に傾斜させることが可能である。したがって、この実施形態のハウジングを用いた光トランシーバは、その前方において、光コネクタプラグの光ファイバケーブルを斜め方向に延在させることが可能である。
【0012】
一実施形態においては、区画壁は、第1の領域と第2の領域とを接続する空間を画成していてもよく、前記軸線に平行な方向における当該空間の長さよりも第2の方向における当該空間の長さが長くてもよい。この実施形態のハウジングでは、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを、当該空間を介して第2の領域に導くことができる。また、この空間は第2の方向に幅広となっている。即ち、光レセプタクルの上記軸線中心の回転による光ファイバの揺動を受容するように当該空間が構成されている。したがって、光レセプタクルの回転に伴う光ファイバの移動が阻害されなくなっている。
【0013】
また、本発明の別の側面は、光トランシーバに関するものである。この光トランシーバは、上述した一側面のハウジング、光レセプタクル、複数の光サブアセンブリ、及び、一対の光ファイバを備えている。光レセプタクルは、外部光コネクタプラグを受容する一対のポートを有する。ハウジングは、一対のポートが第1の方向と第2の方向の間の方向に延在するよう、第1の領域において光レセプタクルを搭載可能である。複数の光サブアセンブリは、電気信号を光信号に変換する光送信サブアセンブリ、及び、光信号を電気信号に変換する光受信サブアセンブリを含み、第2の領域に搭載される。一対の光ファイバは、光レセプタクルの一対のポートに挿入される光コネクタプラグと複数の光サブアセンブリとを光学的に結合するための光路を提供する。一対の光ファイバは、光レセプタクルの一対のポートから延在して第3の領域において引き回される。
【0014】
この光トランシーバでは、ポートが第1の方向(即ち、前後方向)と第2の方向(即ち、幅方向)との間の方向に延在するよう、光レセプタクルがハウジングに搭載され得る。かかる光トランシーバによれば、光レセプタクルに光コネクタプラグが装着されると、当該光コネクタプラグの光ファイバケーブルが、ハウジングの前面壁に対して斜め方向に延びることとなる。その結果、光トランシーバの前方における光ファイバケーブル用のスペースが小さくなる。
【0015】
一実施形態においては、区画壁には、第1の方向と第2の方向の間の第3の方向に延びる一対の第1の溝が形成されており、一対の光ファイバは、一対の第1の溝内を通っていてもよい。この実施形態の光トランシーバでは、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを一対の第1の溝内に通すことにより、当該一対の光ファイバを、第3の方向に延在させて区画壁を通過させることができる。したがって、一対の光ファイバに与える曲げを抑制しつつ、ポートが第3の方向に延在するよう光レセプタクルを配置することが可能となる。
【0016】
一実施形態においては、区画壁には、第1の方向に対して第3の方向とは線対称な方向に延びる別の一対の第1の溝が形成されていてもよい。この実施形態の光トランシーバでは、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを一対の別の第1の溝内に通すことにより、当該一対の光ファイバを、第3の方向とは線対称な方向に延在させて区画壁を通過させることができる。したがって、この実施形態の光トランシーバにおいては、一対の光ファイバに与える曲げを抑制しつつ、ポートが第3の方向とは線対称な方向に延在するよう光レセプタクルを配置することが可能となる。即ち、この実施形態の光トランシーバには、光レセプタクルを上下反転させて搭載することが可能である。その結果、光トランシーバの前方における光ファイバケーブルの引き出し方向を上記第3の方向とは線対称な方向に変更することが可能である。
【0017】
一実施形態においては、区画壁には、一対の第2の溝が形成されていてもよい。一対の第2の溝は、第1の方向に延び、第2の方向において配列されている。この実施形態では、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを一対の第2の溝内に通すことにより、当該一対の光ファイバを、第1の方向に延在させて区画壁を通過させることが可能である。したがって、この光トランシーバには、第3の方向に延びるポートを有する上記の光レセプタクルに代えて、第1の方向に延びるポートを有する光レセプタクルを搭載することも可能である。即ち、この光トランシーバでは、異なる方向に延びるポートを有する異なる光レセプタクルに対して、一つのハウジングを共用することが可能である。
【0018】
一実施形態においては、光トランシーバは、第1の領域を第2の領域から電磁的に遮蔽するための導電性のシールド部材であり、一対の第2の溝を閉じるように光レセプタクルと第1の壁との間に狭持される当該シールド部材を更に備えていてもよい。この実施形態の光トランシーバによれば、第1の溝に光ファイバを配置したときに、第2の溝を電磁的に遮蔽することが可能である。
【0019】
一実施形態においては、光レセプタクルは後面を含み、当該後面は、第1の壁の一部分であって一対の第2の溝のうち一方が形成された当該一部分に対面し、シールド部材は、板金製の第1の部材と、弾性を有し第1の部材の一主面に取り付けられたシート状の第2の部材とを含み、シールド部材は第1の部材が後面に接するよう光レセプタクルに取り付けられていてもよい。この実施形態によれば、第1の壁の一部分と後面との間にシールド部材の一部分のみが挟持される場合であっても、第1の部材の剛性により、一対の第2の溝の双方を閉じるように第2の部材を第1の壁に密着させることが可能となる。
【0020】
一実施形態においては、ハウジングの第1の領域は、第1の方向及び第2の方向に直交する軸線中心に光レセプタクルを回転可能に支持する支持手段を有していてもよい。この実施形態によれば、光レセプタクルのポートの延在方向を第1の方向及び第2の方向の間で任意に傾斜させることが可能である。したがって、この実施形態の光トランシーバは、その前方において、光コネクタプラグの光ファイバケーブルを斜め方向に延在させることが可能である。
【0021】
一実施形態においては、支持手段は前記軸線に沿って設けられた凸部及び凹部の一方であり、光レセプタクルは、支持手段によって当該光レセプタクルを軸支するための凸部及び凹部の他方を有していてもよい。
【0022】
一実施形態においては、区画壁は、第2の領域に一対の光ファイバを導くための空間を画成していてもよく、前記軸線に平行な方向における当該空間の長さよりも第2の方向における当該空間の長さが長くてもよい。この実施形態においては、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを、当該空間を介して第2の領域に導くことができる。また、この空間は第2の方向に幅広になっている。すなわち、光レセプタクルの上記軸線中心の回転による光ファイバの揺動を受容するように当該空間は構成されている。したがって、光レセプタクルの回転に伴う光ファイバの移動が阻害されなくなっている。
【0023】
一実施形態においては、光トランシーバは、一方の開口端及び他方の開口端まで延在する中空のガスケットを含む導電性のシールド部材を更に備えていてもよく、ガスケットは、前記空間において一対の光ファイバが当該ガスケット内を通るように、前記空間に嵌め込まれており、ガスケットは、一方の開口端から他方の開口端までの間において、折り曲げられていてもよい。かかる構成の光トランシーバによれば、区画壁に設けられた空間にガスケットを設けて、当該ガスケットに曲げを与えることにより、当該空間を介した電磁ノイズの伝達を抑制することが可能となる。
【0024】
一実施形態においては、光トランシーバは、一対の光ファイバの先端に付属した一対のスリーブでありフランジ部と光レセプタクルのポート内に挿入される先端部分とを含む当該一対のスリーブと、光レセプタクルに係合する押え部材と、を更に備えてもよく、光レセプタクルと押え部材が、それらの間にフランジ部を挟持してもよい。この実施形態によれば、押え部材により、光レセプタクルに対するスリーブの位置決めが達成される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明の一側面によれば、光トランシーバの前方における光ファイバケーブル用のスペースを小さくすることが可能な光トランシーバ用のハウジングが提供される。また、本発明の別の一側面によれば、その前方における光ファイバケーブル用のスペースを小さくすることが可能な光トランシーバが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一実施形態に係る光トランシーバを示す分解斜視図である。
【図2】一実施形態に係る光トランシーバを、フロントカバー及び第2のハウジングを取り除いて示した斜視図である。
【図3】一実施形態に係る光トランシーバの第1のハウジング及び一対の光ファイバを示す平面図である。
【図4】一実施形態に係るハウジングの第1のハウジングを示す斜視図である。
【図5】一実施形態に係る光レセプタクルを含む光レセプタクルアセンブリを示す図である。
【図6】図5に示す光レセプタクルアセンブリの分解斜視図である。
【図7】一実施形態に係る光レセプタクルを示す斜視図である。
【図8】図5に示す光レセプタクルアセンブリからシールド部材を分離して示す分解斜視図である。
【図9】一実施形態に係るシールド部材の斜視図である。
【図10】一実施形態に係る光トランシーバの前側部分の拡大斜視図である。
【図11】一実施形態に係る光トランシーバの前側部分とフロントカバーとを示す図である。
【図12】一実施形態に係る送信用光ファイバの経路を示す図である。
【図13】一実施形態に係る受信用光ファイバの経路を示す図である。
【図14】一実施形態に係る光トランシーバに搭載可能な別の光レセプタクルを示す斜視図である。
【図15】一実施形態に係る光トランシーバに搭載可能な別の光レセプタクルを示す斜視図である。
【図16】別の実施形態に係る光トランシーバの前側部分を拡大して示す斜視図である。
【図17】別の実施形態に係る光トランシーバの前側部分を、フロントカバー及び第2のハウジングを取り除いて示した平面図である。
【図18】図17に示す状態から光レセプタクルを回転させた状態を示す光トランシーバの平面図である。
【図19】別の実施形態に係るハウジングに含まれる第1のハウジングを示す斜視図である。
【図20】別の実施形態に係る光トランシーバ用の光レセプタクルを示す斜視図である。
【図21】別の実施形態に係る光トランシーバの前側部分を拡大して示す斜視図である。
【図22】図21に示す光トランシーバの破断斜視図である。
【図23】図17のXXIII−XXIII線に沿った断面を示す図である。
【図24】別の実施形態に係る光るトランシーバ用のシールド板を示す斜視図である。
【図25】別の実施形態に係る光るトランシーバ用のガスケットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0028】
図1は、一実施形態に係る光トランシーバを示す分解斜視図である。図2は、一実施形態に係る光トランシーバを、フロントカバー及び第2のハウジングを取り除いて示した斜視図である。また、図3は、一実施形態に係る光トランシーバの第1のハウジング及び一対の光ファイバを示す平面図である。
【0029】
図1、図2、及び図3に示す光トランシーバ10は、ホストシステムのケージにZ方向(即ち、第1の方向)に挿入されて用いられるものである。光トランシーバ10は、ハウジング12、光レセプタクル14、複数の光送信サブアセンブリ(TOSA)16、複数の光受信サブアセンブリ(ROSA)18、一対の光ファイバF1を備えている。
【0030】
ハウジング12は、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウムといった金属製の部材である。一実施形態においては、ハウジング12は、上下方向(Y方向)に分離可能であり、ハウジング12の下側部分を構成する第1のハウジング20、及び、ハウジング12の上側部分を構成する第2のハウジング22を含んでいる。
【0031】
図4は、一実施形態に係るハウジングの第1のハウジングを示す斜視図である。図4に示すように、一実施形態においては、第1のハウジング20は、底壁BW、一対の側壁SW、及び、前面壁FWを含み得る。底壁BWは、第1のハウジング20の底部を構成しており、Y方向に交差又は実質的に直交している。一対の側壁SWは、底壁BWのX方向における両縁部からY方向に立ち上がるように設けられており、X方向に交差又は実質的に直交している。前面壁FWは、底壁BWのZ方向における前側縁部から立ち上がるように設けられており、Z方向に交差又は実質的に直交している。前面壁FWは、ホストシステムのフロントパネルに略平行に設けられ得る。なお、本明細書においては、X方向は幅方向(第2の方向)を示し、Y方向はX方向に直交する方向であり上下方向を示し、Z方向はX方向及びY方向に直交する方向であり前後方向(第1の方向)を示している。
【0032】
前面壁FWは、X方向における中央において開口OP1を画成している。第1のハウジング20は、この開口OP1にZ方向において連続する第1の領域R1を含んでいる。また、第1のハウジング20は、第1の領域R1に加えて、第2の領域R2、及び、第3の領域R3を含んでいる。第2の領域R2は、Z方向おいて第1の領域R1と第3の領域R3との間に設けられている。
【0033】
第1のハウジング20は、第1の領域R1を画成する区画壁W1を有している。区画壁W1は、第1の壁W11、及び、一対の第2の壁W12を含んでいる。第1の壁W11は、第1の領域R1をZ方向において後側から画成しており、Z方向に交差又は実質的に直交している。一対の第2の壁W12は、側方、即ちX方向から第1の領域R1を画成している。一対の第2の壁W12は、X方向に交差又は実質的に直交しており、当該X方向に配列されている。
【0034】
区画壁W1には、一対の溝(第1の溝)G11が形成されている。溝G11は、第3の方向に延びている。この第3の方向は、X方向とZ方向の間の方向であり、Z方向に対して傾斜した所定の方向である。これら一対の溝G11内には、一対の光ファイバF1が配置され得る。
【0035】
一実施形態においては、区画壁W1には、別の一対の溝(別の一対の第1の溝)G12が形成されている。一対の溝G12は、溝G11の延在方向、即ち第3の方向とはZ方向に対して線対称な方向に延びている。
【0036】
また、一実施形態においては、第1の壁W11には、Z方向に延びる一対の溝G21が形成されている。一対の溝G21には、所謂SC型の光コネクタプラグと光学的に結合する光レセプタクルから延びるスリーブを配置することができる。したがって、一対の溝G21は、SC型の光コネクタプラグの一対の光ファイバ間のピッチに対応したピッチでX方向に配列されている。
【0037】
また、一実施形態においては、第1の壁W11には、Z方向に延びる一対の溝G22が、一対の溝G21の間に形成されている。一対の溝G22には、所謂LC型の光コネクタプラグと光学的に結合する光レセプタクルから延びる光ファイバを配置することができる。したがって、一対の溝G22は、LC型の光コネクタプラグの一対の光ファイバ間のピッチに対応したピッチでX方向に配列されている。
【0038】
一実施形態においては、一対の溝G21及び一対の溝G22は、X方向において一対の溝G11及び一対の溝G12の間に設けられている。例えば、図4に示すように、一対の溝G11は、一対の第2の壁W12のうち一方、又は、一対の第2の壁W12のうち一方とその近傍の第1の壁W11に形成され得る。また、一対の溝G12は、一対の第2の壁W12のうち他方、又は、一対の第2の壁W12のうち他方とその近傍の第1の壁W11に形成され得る。
【0039】
このような区画壁W1によって画成される第1の領域R1には、光レセプタクル14が搭載される。以下、図5〜図9を参照する。図5は、一実施形態に係る光レセプタクルを含む光レセプタクルアセンブリを示す図である。図6は、図5に示す光レセプタクルアセンブリの分解斜視図である。図7は、一実施形態に係る光レセプタクルを示す斜視図である。図7の(a)には、ポートの一端側が見えるように示した光レセプタクルの斜視図が示されており、図7の(b)には、ポートの他端側が見えるように示した光レセプタクルの斜視図が示されている。図8は、図5に示す光レセプタクルアセンブリからシールド部材を分離して示す分解斜視図である。また、図9は、一実施形態に係るシールド部材の斜視図である。
【0040】
光トランシーバ10は、図5及び図6に示す光レセプタクルアセンブリA14を備え得る。光レセプタクルアセンブリA14は、光レセプタクル14、一対のスリーブS1、押え部材24、及び、シールド部材26を含み得る。
【0041】
図7に示すように、光レセプタクル14は、一対のポート14pを含んでいる。一対のポート14pはそれぞれ、所定の方向に延びる空間を提供している。一対のポート14pは、光レセプタクル14がハウジング12の第1の領域R1に搭載されたときに、第3の方向に延在するように形成されている。図5及び図6に示すように、一対のポート14pには、それらの一端側から光コネクタプラグが挿入され、他端側からは一対の光ファイバF1の先端(一端)に付属するスリーブS1が挿入される。ポート14p内では、一対の光ファイバF1と光コネクタプラグの光ファイバとが光学的に結合される。
【0042】
図6に示すように、スリーブS1は、略筒状の部材であり、フランジ部S1aと先端部分S1bとを含んでいる。フランジ部S1aは、先端部分S1bの直径よりも大きな直径を有している。即ち、フランジ部S1aと先端部分S1bとの間には、段差面S1cが設けられている。先端部分S1bはポート14p内に挿入される。このポート14p内には、段差面S1cが当接する面が設けられている。
【0043】
面S1cと反対側のフランジ部S1aの面S1dは、押え部材24によって光レセプタクル14側に押圧される。押え部材24は、板金製の部材である。押え部材24は、第1の部分24a及び四つの第2の部分24bを含み得る。第1の部分24aは、スリーブS1の面S1dに当接する。この第1の部分24aには、一対の光ファイバF1を通すための一対の凹部24dが形成されている。
【0044】
図6に示すように、光レセプタクル14の外壁面には、複数の突起14aが設けられている。押え部材24の四つの第2の部分24bはそれぞれ、第1の部分24aの四つの縁部から光レセプタクル14の外壁面に沿うように折り曲げられている。これら第2の部分24bには、光レセプタクル14の複数の突起14aが嵌る穴24cが形成されている。穴24cに突起14aが嵌ると、押え部材24は光レセプタクル14に係合し、当該押え部材24と光レセプタクル14との間にフランジ部S1aが狭持される。これにより、光レセプタクル14に対してスリーブS1が位置決めされて保持される。
【0045】
図8に示すように、光レセプタクル14は、後面14bを更に含み得る。後面14bは、区画壁W1の第1の壁W11に対面する。後面14bは、第1の壁W11のうちの一部分のみに対面するサイズを有している。この一部分は、一対の溝G21のうち一方及び一対の溝G22のうち一方のみが形成されている部分である。かかる後面14bには、シールド部材26が取り付けられる。
【0046】
図9に示すように、シールド部材26は、第1の部材28及び第2の部材30を含んでいる。第1の部材28は、板状の金属材である。また、第2の部材30は、弾性及び/又は可撓性を有するシート状の部材である。第2の部材30は、例えば、導電性の不織布により構成される。この第2の部材30は、第1の部材28の一方の主面に貼り付けられる。このシールド部材26は、第1の部材28の他方の主面が光レセプタクル14の後面14bに接するように、光レセプタクル14に取り付けられる。
【0047】
一実施形態においては、第1の部材28には、穴28aが形成されている。一方、図8に示すように、光レセプタクル14の後面14bには、突起14eが形成されている。第1の部材28の穴28aに突起14eが嵌り、これにより、シールド部材26が光レセプタクル14の後面14bに取り付けられる。
【0048】
ここで、図5〜図9に加えて、図10及び図11を参照する。図10は、一実施形態に係る光トランシーバの前側部分の拡大斜視図である。図11は、一実施形態に係る光トランシーバの前側部分とフロントカバーとを示す図である。図5、図8、及び図10に示すように、シールド部材26のX方向のサイズは、光レセプタクル14の後面14bのX方向のサイズより大きくなっている。即ち、シールド部材26は、第1の壁W11に形成された一対の溝G21及び一対の溝G22の全てを閉じるように、第1の壁W11の略全体に接する。かかるシールド部材26は、光レセプタクル14の後面14bと第1の壁W11との間に狭持される。より具体的には、シールド部材26は、光レセプタクル14からZ方向の圧力を受けて第1の壁W11に当接する。このZ方向の圧力は、一実施形態では、フロントカバー32から光レセプタクル14を介して発揮される。
【0049】
図11に示すように、フロントカバー32は、ハウジング12の前面壁FWに固定される。例えば、フロントカバー32は、ねじ留めによってハウジング12の前面壁FWに固定される。このフロントカバー32は、Z方向に直交する前面32aを有している。この前面32aには、光レセプタクル14の一対のポート14pを外部に露出させるための開口32bが形成されている。フロントカバー32は、この開口32bのX方向の両側において、Z方向に延びる一対の突起(図示せず)を有している。一方、光レセプタクル14は、一対のポート14pのX方向における両側に、Z方向に直交する面14f及び14gを有している。これら面14f及び14gは、フロントカバー32の上述した突起によって押圧され、これにより、上述したZ方向の圧力が発生される。このZ方向への圧力により、シールド部材26の第2の部材30は、第1の壁W11に密着する。
【0050】
ここで、後面14bと第1の壁W11との間にはシールド部材26の一部分のみが狭持されるが、後面14bと第1の壁W11との間に狭持されていない部分においても第2の部材30は、第1の部材28の剛性により、第1の壁W11に密着する。このように、溝G21及びG22を閉じるように第1の壁W11にシールド部材26の第2の部材30が密着することにより、第1の領域R1は第2の領域R2から電磁的に遮蔽される。
【0051】
再び、図1〜図4を参照する。一実施形態においては、第1のハウジング20は、第1の領域R1のX方向の両側それぞれに第4の領域R4を提供している。一方の第4の領域R4には、光マルチプレクサ34が搭載され、他方の第4の領域R4には、光デマルチプレクサ36が搭載され得る。光マルチプレクサ34には一対の光ファイバF1のうち一方の他端が結合されており、光デマルチプレクサ36には一対の光ファイバF1のうち他方の他端が結合されている。
【0052】
光トランシーバ10では、四つのTOSA 16によって異なる波長を有する四つの光信号が電気信号に基づいて発生される。四つのTOSA 16によって発生される四つの光信号は、光マルチプレクサ34によって一つの光信号(多重化光信号)に多重化される。そのため、光マルチプレクサ34には、四つのTOSA 16と当該光マルチプレクサ34とを光学的に結合するための四つの光ファイバF2の一端が結合されている。また、四つの光ファイバF2の他端はそれぞれ四つのTOSA 16に光学的に結合される。光マルチプレクサ34によって生成される多重化光信号は、光マルチプレクサ34から一対の光ファイバF1のうち一方を介して、光レセプタクル14のポート14pに挿入される光コネクタプラグの光ファイバに送信される。なお、上記電気信号は、第3の領域R3に搭載される回路基板からTOSA 16に与えられ得る。
【0053】
また、光トランシーバ10では、光コネクタプラグの光ファイバからの多重化光信号が、一対の光ファイバF1のうち他方を介して光デマルチプレクサ36に送信される。光デマルチプレクサ36は、多重化光信号を、当該多重化光信号に含まれる異なる波長を有する四つの光信号に分解し、当該四つの光信号をそれぞれ四つのROSA 18に送信する。そのため、光デマルチプレクサ36には、四つのROSA 18と当該光デマルチプレクサ36とを光学的に結合するための四つの光ファイバF3の一端が結合されている。四つの光ファイバF3の他端はそれぞれ、四つのROSA 18に光学的に結合される。四つのROSA 18はそれぞれ、受信した光信号を電気信号に変換して当該電気信号を回路基板に供給する。
【0054】
なお、光トランシーバ10は、40GHz又は100GHzの多重化光信号を取り扱うことができる。この場合に、四つのTOSA 16及び四つのROSA 18はそれぞれ、10GHz又は25GHzの光信号及び電気信号を取り扱うことができる。
【0055】
TOSA 16及びROSA 18は、第1のハウジング20の第2の領域R2に搭載されている。また、この第2の領域R2には、フロントトレイ38、八つのコネクタ40、並びに、ホルダ42及び44が搭載されている。フロントトレイ38は、Z方向においてコネクタ40の前側に設けられている。八つのコネクタ40は、Z方向においてフロントトレイ38とホルダ42及び44の間に設けられている。
【0056】
ホルダ42は、四つのTOSA 16を保持するための部材である。ホルダ42は、第1のハウジング20に対して固定されている。ホルダ42は、四つのTOSA 16を保持するための四つのスロットを有している。これら四つのスロットはX方向に配列されている。
【0057】
ホルダ44は、四つのROSA 18を保持するための部材である。ホルダ44は、第1のハウジング20に対して固定されている。ホルダ44は、四つのROSA 18を保持するための四つのスロットを有している。これら四つのスロットはX方向に配列されている。
【0058】
八つのコネクタ40はそれぞれ、ホルダ42の四つのスロット及びホルダ44の四つのスロットに対してZ方向に整列するように設けられている。八つのコネクタ40のうち四つのコネクタは、四つの光ファイバF2の他端に付属するフェルールFf2を保持し、別の四つのコネクタは、四つの光ファイバF3の他端に付属するフェルールFf3を保持する。
【0059】
八つのコネクタ40はそれぞれ、第1のハウジング20に固定されたフロントトレイ38に対してZ方向に移動可能であるよう当該フロントトレイ38に係合されている。八つのコネクタ40がホルダ42及びホルダ44側に移動すると、これらコネクタ40はホルダ42及びホルダ44に係合する。このとき、フェルールFf2及びFf3は、TOSA 16及びROSA 18のスリーブ内に挿入され、TOSA 16及びROSA 18と光学的に結合する。
【0060】
一方、これらコネクタ40がフロントトレイ38側に移動すると、フェルールFf2及びフェルールFf3とTOSA 16及びROSA 18との結合が解除される。このとき、フェルールFf2及びフェルールFf3は、TOSA 16及びROSA 18に干渉しない位置に退避する。これにより、光トランシーバ10では、TOSA 16及びROSA 18のホルダ42及びホルダ44上への配置、及び、ホルダ42及びホルダ44からのTOSA 16及びROSA 18の取り外しが容易に行えるようになっている。
【0061】
以下、図2、図3、図4、図12、及び図13を参照して、光ファイバF1、F2、F3のハウジング内での経路について説明する。なお、本明細書においては、ROSA 18に対してX方向においてTOSA 16が配置されているハウジング12内の領域を送信側とよび、TOSA 16に対してX方向においてROSA 18が配置されているハウジング12内の領域を受信側ということがある。また、光ファイバF2、及び、光マルチプレクサ34を介してTOSA 16に結合する光ファイバF1をそれぞれ、送信用光ファイバF2及びF1ということがある。さらに、光ファイバF3、及び、光デマルチプレクサ36を介してROSA 18に結合する光ファイバF1をそれぞれ、受信用光ファイバF3及びF1ということがある。
【0062】
まず、図2、図3、図4、及び図12を参照する。送信用光ファイバF1は、第1の領域R1から一対の溝G11のうち一方を通り、送信側の側壁SWに沿う位置に向けて配線される。この位置から、送信用光ファイバF1は、送信側の側壁SWに沿ってZ方向に進み第3の領域R3に到るよう配線される。次いで、第3の領域R3において、送信用光ファイバF1は、Z方向に後方へ向かい、続いて、X方向において送信側から受信側に向かい、続いてZ方向に前方へ曲がり、更に、X方向において受信側から送信側に向かうよう配線される。
【0063】
図4に示すように、第2の領域R2の送信側の底壁BWには、Z方向に延在する溝G1,G101,G102,G103が形成されている。溝G1は、溝G101,G102,G103に対してZ方向において後方に設けられている。これら溝G101,G102,G103は、X方向に配列されており、溝G1から分岐して、送信側の領域R4に向けて延びている。
【0064】
再び図2、図3、図4、及び図12を参照すると、送信用光ファイバF1は、次いで、第3の領域R3から第2の領域R2の溝G1及び溝G102を通り、更に、フロントトレイ38の下方を通って、光マルチプレクサ34に結合するよう配線される。
【0065】
送信用光ファイバF2は、光マルチプレクサ34からZ方向に後方側へ延び、フロントトレイ38の下方を通り、次いで、溝G101又は溝G103を通り、更に溝G1を通って第3の領域R3に到るよう配線される。
【0066】
次いで、送信用光ファイバF2は、第3の領域R3において送信側から受信側へと向きを変えて受信側の側壁SWに沿う位置に到るよう配線される。この位置から、送信用光ファイバF2は、受信側の側壁SWに沿ってZ方向に前方へ進むよう配線される。次いで、送信用光ファイバF2は、フロントトレイ38によって案内されて対応するコネクタ40まで配線される。
【0067】
なお、フロントトレイ38は、光ファイバF2及びF3を対応のコネクタ40まで案内するためのスロットを有している。これらスロットには、光ファイバF2及びF3がY方向にフロントトレイ38から浮き上がることを防止するための規制手段が設けられていてもよい。かかる規制手段は、Y方向において上方から光ファイバF2及びF3に対峙するように設けられ得る。
【0068】
次に、図2、図3、図4、及び図13を参照する。受信用ファイバF1は、第1の領域R1から一対の溝G11のうち他方を通り、送信側の側壁SWに沿う位置に向けて配線される。この位置から、受信用光ファイバF1は、送信側の側壁SWに沿ってZ方向に進み第3の領域R3に到るよう配線される。次いで、第3の領域R3において、受信用光ファイバF1は、Z方向に後方へ向かい、続いて、X方向において送信側から受信側に向かい、更にZ方向に前方へ曲がるよう、配線される。
【0069】
図4に示すように、第2の領域R2の受信側の底壁BWには、Z方向に延在する溝G2,G201,G202,G203が形成されている。溝G2は、溝G201,G202,G203に対してZ方向において後方に設けられている。これら溝G201,G202,G203は、X方向に配列されており、溝G2から分岐して、受信側の領域R4に向けて延びている。
【0070】
再び図2、図3、図4、及び図13を参照すると、受信用光ファイバF1は、次いで、第3の領域R3から第2の領域R2の溝G2及び溝G202を通り、更に、フロントトレイ38の下方を通って、光デマルチプレクサ36に結合するよう配線される。
【0071】
受信用光ファイバF3は、光デマルチプレクサ36からZ方向に後方側へ延び、フロントトレイ38の下方を通り、次いで、溝G201又は溝G203を通り、更に溝G2を通って第3の領域R3に到るよう配線される。
【0072】
次いで、受信用光ファイバF3は、第3の領域R3において受信側から送信側へと向きを変えて送信側の側壁SWに沿う位置に到るよう配線される。この位置から、受信用光ファイバF3は、送信側の側壁SWに沿ってZ方向に前方へ進む。次いで、受信用光ファイバF3は、フロントトレイ38によって案内されて対応するコネクタ40まで配線される。
【0073】
光トランシーバ10では、図2に示すように、第2の領域R2において、光ファイバF2及びF3の上に、上述したコネクタ40、並びにホルダ42及び44が配置される。また、第3の領域においては、光ファイバF1、F2及びF3の上に、上述した回路基板が配置される。したがって、配線された光ファイバF1、F2、及びF3がY方向に上方へ浮き上がることが防止され得る。
【0074】
また、光トランシーバ10は、光ファイバF1、F2、及びF3を引き回すための領域として第3の領域R3を有している。この第3の領域R3においては、光ファイバF1、F2、及びF3の余長を処理することが可能である。なお、光トランシーバ10は、第3の領域R3に光ファイバF1、F2、及びF3を案内するための別のトレイを有していてもよい。また、当該別のトレイは、光ファイバF1、F2、及びF3の上方への浮き上がりを規制する規制手段を有していてもよい。
【0075】
以上に説明した光トランシーバ10によれば、光レセプタクル14から延在する一対の光ファイバF1を一対の第1の溝G11内に通すことにより、当該一対の光ファイバF1を、第3の方向に延在させて区画壁W1を通過させることが可能である。したがって、一対の光ファイバF1に加わる曲げを抑制しつつ、ポート14pがZ方向(前後方向)に対して傾斜した方向(即ち、第3の方向)に延在するよう光レセプタクル14をハウジング12に搭載することができる。この光レセプタクル14のポート14pに外部から光コネクタプラグが挿入されると、当該光コネクタプラグの光ファイバケーブルは、光トランシーバ10、即ち、ホストシステムのフロントパネルの前方において第3の方向に延在することとなる。したがって、この光トランシーバ10によれば、光トランシーバの前方における光ファイバケーブル用のスペースが小さくなる。
【0076】
なお、光トランシーバ10では、光レセプタクル14を図2等に示す向きからY方向に上下反転させて第1のハウジング20上に搭載することができる。この場合には、一対の光ファイバF1を一対の溝G11ではなく上述した一対の溝G12内に通すことができる。
【0077】
また、光トランシーバ10には、図14及び図15に示す別の光レセプタクルを搭載することも可能である。図14及び図15は、一実施形態に係る光トランシーバに搭載可能な別の光レセプタクルを示す斜視図である。
【0078】
図14に示す光レセプタクル14Aは、所謂LC型の光レセプタクルである。この光レセプタクル14Aのポート内に挿入された一対のスリーブS1Aからは一対の光ファイバF1AがZ方向に延び出している。これら光ファイバF1Aは、第1の壁W11の溝G22を通り、第2の領域R2に設けられた溝G3を通って第3の領域R3に向けて配線され得る。また、光レセプタクル14Aの後面と第1の壁W11との間には、第1の領域R1を第2の領域R2から電磁的に遮蔽するためのシールド部材26Aが狭持される。
【0079】
図15に示す光レセプタクル14Bは、所謂SC型の光レセプタクルである。この光レセプタクル14Bのポート内には一対のスリーブS1Bの先端部分が挿入されている。一対のスリーブS1Bの後側部分はZ方向に延びており、上述した一対の溝G21内に配置される。一対のスリーブS1Bからは光ファイバF1BがZ方向に延び出している。これら光ファイバF1Bは、第2の領域R2に設けられた溝G4を通って第3の領域R3に向けて配線され得る。また、光レセプタクル14Bの後面と第1の壁W11との間には、第1の領域R1を第2の領域R2から電磁的に遮蔽するためのシールド部材26Bが狭持される。
【0080】
以上説明したように、光トランシーバ10には、異なるタイプ又は異なる方向に延びるポートを有する複数の光レセプタクルを交換して搭載することが可能である。即ち、ハウジング12は、異なるタイプ又は異なる方向に延びるポートを有する複数の光レセプタクルに対して共用され得る。
【0081】
以下、別の実施形態について説明する。図16は、別の実施形態に係る光トランシーバの前側部分を拡大して示す斜視図である。図17は、別の実施形態に係る光トランシーバの前側部分を、フロントカバー及び第2のハウジングを取り除いて示した平面図である。図18は、図17に示す状態から光レセプタクルを回転させた状態を示す光トランシーバの平面図である。図16、図17、及び、図18に示す光トランシーバ10Cは、第1の領域R1において、光レセプタクルを回転可能に搭載する点において、光トランシーバ10と異なる。即ち、光トランシーバ10Cでは、図17に示すように、ポートが第1の方向(即ち、Z方向)に延在するように光レセプタクル14Cを配置することができ、また、図16及び図18に示すように、ポート14pが第1の方向(即ち、Z方向)と第2の方向(即ち、X方向)との間の方向に延在するよう光レセプタクル14Cを回転させることが可能である。以下、光トランシーバ10Cに関して光トランシーバ10と異なる点を説明する。
【0082】
図19は、別の実施形態に係るハウジングに含まれる第1のハウジングを示す斜視図である。図19に示すように、光トランシーバ10Cの第1のハウジング20Cの第1の領域R1の底壁BWには、凹部D1が設けられている。この凹部D1は、Z方向及びX方向に実質的に直交する方向(即ち、Y方向)に延在する穴として構成されている。
【0083】
また、第1のハウジング20Cの区画壁W1の第1の壁W11は、空間SP1を画成している。一実施形態においては、空間SP1を画成するために、第1の壁W11のY方向における高さは、第2の壁W12の高さよりも低くなっている。このように提供される空間SP1は、第1の領域R1と第2の領域R2とを接続する。この空間SP1は、光レセプタクル14Cから延在する一対の光ファイバF1を第2の領域R2に導くために設けられており、光レセプタクル14Cの回転に伴う一対の光ファイバF1の揺動を受容するようになっている。このため、一実施形態においては、X方向における空間SP1の長さは、Y方向における空間SP1の長さよりも長くなっている。即ち、空間SP1は、X方向に幅広となるように構成されている。
【0084】
さらに、第1のハウジング20Cの第2の領域R2には、溝G3及び溝G4に変わる一対の溝G5が設けられている。これら一対の溝G5は、光レセプタクル14Cから延在する一対の光ファイバF1を第3の領域R3に向けて配線するための溝であり、第2の領域R2においてZ方向に延在するように形成されている。一実施形態においては、溝G5は、その前方端において、当該前方端よりも後側の部分よりも幅広となるように、開口している。即ち、溝G5の前方端はテーパー状に形成されている。かかる形状に構成されることにより、溝G5は、光レセプタクル14Cの回転に伴う一対の光ファイバF1の揺動を受容するようになっている。
【0085】
図20は、別の実施形態に係る光トランシーバ用の光レセプタクルを示す斜視図である。図20に示すように、光トランシーバ10C用の光レセプタクル14Cは、その一面に凸部P1を有している。この凸部P1は、Y方向に延びる軸線に沿って延在する円柱形状を有しており、第1のハウジング20Cの凹部D1に挿入される。この凸部P1が凹部D1に挿入されることにより、光レセプタクル14Cは、Y方向に延びる軸線中心に回転可能となる。これにより、光トランシーバ10Cでは、光レセプタクル14Cのポート14pの向きを、第1の方向(即ち、Z方向)と第2の方向(即ち、X方向)の間の任意の方向に変更することが可能となっている。
【0086】
上述した実施形態と同様に、光レセプタクル14Cは、一端側、即ち前側端の開口(図16を参照)からポート14pに挿入される外部光コネクタプラグを受容する。ポート14pには、当該ポート14pの多端からスリーブS1が挿入されており、当該スリーブS1に保持されている光ファイバF1と外部光コネクタプラグの光ファイバとは、ポート14p内で光学的に結合される。図20に示すように、光レセプタクル14Cには、押さえ部材24が係合されている。この押さえ部材24は、光レセプタクル14Cと当該押さえ部材24との間にスリーブS1を挟持し、これにより、ポート14p内でのスリーブS1の位置を決定する。
【0087】
図21は、別の実施形態に係る光トランシーバの前側部分を拡大して示す斜視図である。図22は、図21に示す光トランシーバの破断斜視図である。図23は、図17のXXIII−XXIII線に沿った断面を示す図である。図21〜図23に示すように、一実施形態においては、光トランシーバ10Cは、第1の領域R1と第2の領域R2との間における電磁ノイズの伝達を抑制するために、シールド部材50を更に備え得る。
【0088】
以下、図21〜図23に加えて、図24及び図25を参照する。図24は、別の実施形態に係る光るトランシーバ用のシールド板を示す斜視図であり、図25は、別の実施形態に係る光るトランシーバ用のガスケットを示す斜視図である。一実施形態においては、シールド部材50は、シールド板52及びガスケット54を含んでいる。図24に示すように、シールド板52は、金属板から構成される導電性の部材であり、第1の部分52aと一対の第2の部分52bとを含み得る。このシールド板52は、図21〜図23に示すように、第1の部分52aが第1の壁W11に沿い、一対の第2の部分52bが第2の壁W12に沿うように、第1の領域R1に設けられる。このシールド板52により、区画壁W1に形成された各種の溝が閉じられ、第1の領域R1と第2の領域R2との間の電磁ノイズの伝達が抑制され得る。また、このシールド板52には、区画壁W1によって画成される空間SP1に連続するように、開口52hが形成されている。
【0089】
図25に示すように、ガスケット54は、導電性を有する筒状の部材であり、一方の開口端54aから他方の開口端54bまで延在している。ガスケット54は、例えば導電性及び弾性を有する材料から構成される。図21〜図23に示すように、ガスケット54の一方の開口端54aは、シールド板52の開口52h内に嵌め込まれている。ガスケット54は、X方向に幅広の形状を有しており、区画壁W1によって画成された空間SP1を通って第2の領域R2まで延在している。ガスケット54の内孔には、光レセプタクル14Cから延在する一つの光ファイバF1が通される。また、ガスケット54には、一方の開口端54aから他方の開口端54bまでの間において曲げが与えられている。これにより、ガスケット54は、その内孔を介した第1の領域R1と第2の領域R2との間の電磁ノイズの伝達を抑制することを可能としている。
【0090】
以上説明した光トランシーバ10Cによれば、第1の領域R1において光レセプタクル14を回転させることにより、ポート14pの延在方向を一定の角度範囲内において傾斜させることが可能である。したがって、光トランシーバ10Cによれば、その前方において光コネクタプラグの光ファイバケーブルを斜め方向に延在させることが可能である。その結果、その結果、光トランシーバ10Cの前方における光ファイバケーブル用のスペースが小さくなる。
【0091】
種々の実施形態に係る光トランシーバ及びハウジングについて説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、光トランシーバ10Cでは、第1のハウジング20Cに凹部D1を設けて、光レセプタクル14Cに凸部P1を設けることにより、光レセプタクル14Cの回転を実現させているが、第1のハウジング20Cに凸部を設け、当該凸部が挿入される凹部を光レセプタクル14Cに設けてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10…光トランシーバ、12…ハウジング、A14…光レセプタクルアセンブリ、14…光レセプタクル、16…光送信サブアセンブリ(TOSA)、18…光受信サブアセンブリ、20…第1のハウジング、22…第2のハウジング、24…押え部材、26…シールド部材、28…第1の部材、30…第2の部材、32…フロントカバー、34…光マルチプレクサ、36…光デマルチプレクサ、38…フロントトレイ、40…コネクタ、42,44…ホルダ、W1…区画壁、W11…第1の壁、W12…一対の第2の壁、G11…一対の溝(一対の第1の溝)、G12…一対の溝(別の一対の第1の溝)、G21,G22…一対の溝(一対の第2の溝)、S1…一対のスリーブ。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光トランシーバ用のハウジング及び光トランシーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光トランシーバには、下記非特許文献1に記載されたものがある。非特許文献1に記載された光トランシーバでは、フロントカバーの開口から光レセプタクルのポートが露出されている。当該ポートは、フロントカバーの前面に直交する方向に延びた空間である。当該ポートには、光ファイバケーブルを内蔵した光コネクタプラグが外部から挿入される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】"Cisco CRS-1 キャリア ルーティングシステム 10-Gigabit Ethernet Physical Layer Interface Module(PLIM)インストレーション ノート"、[online]、[平成23年2月17日検索]、インターネット〈URL:http://www.cisco.com/japanese/warp/public/3/jp/service/manual_j/rt/crs/crs10in/chapter01/6437_01.pdf〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1に記載された光トランシーバのポートに光コネクタプラグを装着すると、当該光コネクタプラグから延びる光ファイバケーブルは、フロントカバーの前面に直交する方向に延在することになる。したがって、フロントカバーの前方に光ファイバケーブルが延在するスペースとして大きなスペースが必要となり得る。
【0005】
したがって、当技術分野においては、光トランシーバの前方における光ファイバケーブル用のスペースを小さくすることが要請されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面は、光トランシーバ用のハウジングに関するものである。このハウジングは、前面壁、第1の領域、第2の領域、第3の領域、及び、区画壁を備えている。前面壁には、光コネクタプラグを受容する光レセプタクルのポートを露出させるための開口が形成されている。第1の領域は、光レセプタクルを搭載する領域である。第1の領域は前面壁に直交する第1の方向において前記開口に連続している。第2の領域は、電気信号を光信号に変換する光送信サブアセンブリ、及び、光信号を電気信号に変換する光受信サブアセンブリを含む複数の光サブアセンブリを搭載する領域である。第3の領域は、光レセプタクルに挿入される光コネクタプラグと複数の光サブアセンブリとを光学的に結合するための一対の光ファイバを引き回すための領域である。区画壁は、第1の領域を画成する。区画壁は、第1の領域から第2の領域に向かう第1の方向において第1の領域を後方から画成する第1の壁と、第1の領域を側方から画成する一対の第2の壁と、を含む。第1の領域は、光レセプタクルのポートが第1の方向と一対の第2の壁が配列された第2の方向との間の方向に延在するように、当該光レセプタクルを搭載可能である。
【0007】
このハウジングは、前面壁の開口に連続する第1の領域において、光レセプタクルのポートが第1の方向(即ち、前後方向)と第2の方向(即ち、幅方向)との間の方向に延在するように、光レセプタクルを搭載することが可能である。かかるハウジングを用いた光トランシーバによれば、光レセプタクルに光コネクタプラグが装着されると、当該光コネクタプラグの光ファイバケーブルが、ハウジングの前面壁に対して斜め方向に延びることとなる。その結果、光トランシーバの前方における光ファイバケーブル用のスペースが小さくなる。
【0008】
一実施形態においては、区画壁には、第1の方向と第2の方向の間の第3の方向に延びる一対の第1の溝が形成されていてもよい。第3の方向は、第1の方向と第2の方向との間の方向であり、第1の方向に対して傾斜した所定の方向である。この実施形態のハウジングでは、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを一対の第1の溝内に通すことにより、当該一対の光ファイバを、第3の方向に延在させて区画壁を通過させることができる。したがって、一対の光ファイバに与える曲げを抑制しつつ、ポートが第3の方向に延在するよう光レセプタクルを配置することが可能となる。
【0009】
一実施形態においては、区画壁には、第1の方向に対して第3の方向とは線対称な方向に延びる別の一対の第1の溝が形成されていてもよい。この実施形態のハウジングでは、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを一対の別の第1の溝内に通すことにより、当該一対の光ファイバを、第3の方向とは線対称な方向に延在させて区画壁を通過させることができる。したがって、この実施形態のハウジングには、一対の光ファイバに与える曲げを抑制しつつ、ポートが第3の方向とは線対称な方向に延在するよう光レセプタクルを配置することが可能となる。即ち、この実施形態のハウジングには、光レセプタクルを上下反転させて搭載することが可能である。その結果、光トランシーバの前方における光ファイバケーブルの引き出し方向を上記第3の方向とは線対称な方向に変更することが可能である。
【0010】
一実施形態においては、区画壁には、第1の方向に延びる一対の第2の溝であり第2の方向において配列された当該一対の第2の溝が形成されていてもよい。この実施形態のハウジングでは、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを一対の第2の溝内に通すことにより、当該一対の光ファイバを、第1の方向に延在させて区画壁を通過させることが可能である。したがって、このハウジングには、上記第1の方向に延びるポートを有する光レセプタクルを搭載することも可能である。即ち、このハウジングは、異なる方向に延びるポートを有する異なる光レセプタクルに対して、共用され得る。
【0011】
一実施形態においては、第1の領域は、第1の方向及び第2の方向に直交する方向に延びる軸線中心に前記光レセプタクルを回転可能に支持する支持手段を有していてもよい。この実施形態のハウジングよれば、光レセプタクルのポートの延在方向を第1の方向及び第2の方向の間で任意に傾斜させることが可能である。したがって、この実施形態のハウジングを用いた光トランシーバは、その前方において、光コネクタプラグの光ファイバケーブルを斜め方向に延在させることが可能である。
【0012】
一実施形態においては、区画壁は、第1の領域と第2の領域とを接続する空間を画成していてもよく、前記軸線に平行な方向における当該空間の長さよりも第2の方向における当該空間の長さが長くてもよい。この実施形態のハウジングでは、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを、当該空間を介して第2の領域に導くことができる。また、この空間は第2の方向に幅広となっている。即ち、光レセプタクルの上記軸線中心の回転による光ファイバの揺動を受容するように当該空間が構成されている。したがって、光レセプタクルの回転に伴う光ファイバの移動が阻害されなくなっている。
【0013】
また、本発明の別の側面は、光トランシーバに関するものである。この光トランシーバは、上述した一側面のハウジング、光レセプタクル、複数の光サブアセンブリ、及び、一対の光ファイバを備えている。光レセプタクルは、外部光コネクタプラグを受容する一対のポートを有する。ハウジングは、一対のポートが第1の方向と第2の方向の間の方向に延在するよう、第1の領域において光レセプタクルを搭載可能である。複数の光サブアセンブリは、電気信号を光信号に変換する光送信サブアセンブリ、及び、光信号を電気信号に変換する光受信サブアセンブリを含み、第2の領域に搭載される。一対の光ファイバは、光レセプタクルの一対のポートに挿入される光コネクタプラグと複数の光サブアセンブリとを光学的に結合するための光路を提供する。一対の光ファイバは、光レセプタクルの一対のポートから延在して第3の領域において引き回される。
【0014】
この光トランシーバでは、ポートが第1の方向(即ち、前後方向)と第2の方向(即ち、幅方向)との間の方向に延在するよう、光レセプタクルがハウジングに搭載され得る。かかる光トランシーバによれば、光レセプタクルに光コネクタプラグが装着されると、当該光コネクタプラグの光ファイバケーブルが、ハウジングの前面壁に対して斜め方向に延びることとなる。その結果、光トランシーバの前方における光ファイバケーブル用のスペースが小さくなる。
【0015】
一実施形態においては、区画壁には、第1の方向と第2の方向の間の第3の方向に延びる一対の第1の溝が形成されており、一対の光ファイバは、一対の第1の溝内を通っていてもよい。この実施形態の光トランシーバでは、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを一対の第1の溝内に通すことにより、当該一対の光ファイバを、第3の方向に延在させて区画壁を通過させることができる。したがって、一対の光ファイバに与える曲げを抑制しつつ、ポートが第3の方向に延在するよう光レセプタクルを配置することが可能となる。
【0016】
一実施形態においては、区画壁には、第1の方向に対して第3の方向とは線対称な方向に延びる別の一対の第1の溝が形成されていてもよい。この実施形態の光トランシーバでは、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを一対の別の第1の溝内に通すことにより、当該一対の光ファイバを、第3の方向とは線対称な方向に延在させて区画壁を通過させることができる。したがって、この実施形態の光トランシーバにおいては、一対の光ファイバに与える曲げを抑制しつつ、ポートが第3の方向とは線対称な方向に延在するよう光レセプタクルを配置することが可能となる。即ち、この実施形態の光トランシーバには、光レセプタクルを上下反転させて搭載することが可能である。その結果、光トランシーバの前方における光ファイバケーブルの引き出し方向を上記第3の方向とは線対称な方向に変更することが可能である。
【0017】
一実施形態においては、区画壁には、一対の第2の溝が形成されていてもよい。一対の第2の溝は、第1の方向に延び、第2の方向において配列されている。この実施形態では、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを一対の第2の溝内に通すことにより、当該一対の光ファイバを、第1の方向に延在させて区画壁を通過させることが可能である。したがって、この光トランシーバには、第3の方向に延びるポートを有する上記の光レセプタクルに代えて、第1の方向に延びるポートを有する光レセプタクルを搭載することも可能である。即ち、この光トランシーバでは、異なる方向に延びるポートを有する異なる光レセプタクルに対して、一つのハウジングを共用することが可能である。
【0018】
一実施形態においては、光トランシーバは、第1の領域を第2の領域から電磁的に遮蔽するための導電性のシールド部材であり、一対の第2の溝を閉じるように光レセプタクルと第1の壁との間に狭持される当該シールド部材を更に備えていてもよい。この実施形態の光トランシーバによれば、第1の溝に光ファイバを配置したときに、第2の溝を電磁的に遮蔽することが可能である。
【0019】
一実施形態においては、光レセプタクルは後面を含み、当該後面は、第1の壁の一部分であって一対の第2の溝のうち一方が形成された当該一部分に対面し、シールド部材は、板金製の第1の部材と、弾性を有し第1の部材の一主面に取り付けられたシート状の第2の部材とを含み、シールド部材は第1の部材が後面に接するよう光レセプタクルに取り付けられていてもよい。この実施形態によれば、第1の壁の一部分と後面との間にシールド部材の一部分のみが挟持される場合であっても、第1の部材の剛性により、一対の第2の溝の双方を閉じるように第2の部材を第1の壁に密着させることが可能となる。
【0020】
一実施形態においては、ハウジングの第1の領域は、第1の方向及び第2の方向に直交する軸線中心に光レセプタクルを回転可能に支持する支持手段を有していてもよい。この実施形態によれば、光レセプタクルのポートの延在方向を第1の方向及び第2の方向の間で任意に傾斜させることが可能である。したがって、この実施形態の光トランシーバは、その前方において、光コネクタプラグの光ファイバケーブルを斜め方向に延在させることが可能である。
【0021】
一実施形態においては、支持手段は前記軸線に沿って設けられた凸部及び凹部の一方であり、光レセプタクルは、支持手段によって当該光レセプタクルを軸支するための凸部及び凹部の他方を有していてもよい。
【0022】
一実施形態においては、区画壁は、第2の領域に一対の光ファイバを導くための空間を画成していてもよく、前記軸線に平行な方向における当該空間の長さよりも第2の方向における当該空間の長さが長くてもよい。この実施形態においては、光レセプタクルから延在する一対の光ファイバを、当該空間を介して第2の領域に導くことができる。また、この空間は第2の方向に幅広になっている。すなわち、光レセプタクルの上記軸線中心の回転による光ファイバの揺動を受容するように当該空間は構成されている。したがって、光レセプタクルの回転に伴う光ファイバの移動が阻害されなくなっている。
【0023】
一実施形態においては、光トランシーバは、一方の開口端及び他方の開口端まで延在する中空のガスケットを含む導電性のシールド部材を更に備えていてもよく、ガスケットは、前記空間において一対の光ファイバが当該ガスケット内を通るように、前記空間に嵌め込まれており、ガスケットは、一方の開口端から他方の開口端までの間において、折り曲げられていてもよい。かかる構成の光トランシーバによれば、区画壁に設けられた空間にガスケットを設けて、当該ガスケットに曲げを与えることにより、当該空間を介した電磁ノイズの伝達を抑制することが可能となる。
【0024】
一実施形態においては、光トランシーバは、一対の光ファイバの先端に付属した一対のスリーブでありフランジ部と光レセプタクルのポート内に挿入される先端部分とを含む当該一対のスリーブと、光レセプタクルに係合する押え部材と、を更に備えてもよく、光レセプタクルと押え部材が、それらの間にフランジ部を挟持してもよい。この実施形態によれば、押え部材により、光レセプタクルに対するスリーブの位置決めが達成される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明の一側面によれば、光トランシーバの前方における光ファイバケーブル用のスペースを小さくすることが可能な光トランシーバ用のハウジングが提供される。また、本発明の別の一側面によれば、その前方における光ファイバケーブル用のスペースを小さくすることが可能な光トランシーバが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一実施形態に係る光トランシーバを示す分解斜視図である。
【図2】一実施形態に係る光トランシーバを、フロントカバー及び第2のハウジングを取り除いて示した斜視図である。
【図3】一実施形態に係る光トランシーバの第1のハウジング及び一対の光ファイバを示す平面図である。
【図4】一実施形態に係るハウジングの第1のハウジングを示す斜視図である。
【図5】一実施形態に係る光レセプタクルを含む光レセプタクルアセンブリを示す図である。
【図6】図5に示す光レセプタクルアセンブリの分解斜視図である。
【図7】一実施形態に係る光レセプタクルを示す斜視図である。
【図8】図5に示す光レセプタクルアセンブリからシールド部材を分離して示す分解斜視図である。
【図9】一実施形態に係るシールド部材の斜視図である。
【図10】一実施形態に係る光トランシーバの前側部分の拡大斜視図である。
【図11】一実施形態に係る光トランシーバの前側部分とフロントカバーとを示す図である。
【図12】一実施形態に係る送信用光ファイバの経路を示す図である。
【図13】一実施形態に係る受信用光ファイバの経路を示す図である。
【図14】一実施形態に係る光トランシーバに搭載可能な別の光レセプタクルを示す斜視図である。
【図15】一実施形態に係る光トランシーバに搭載可能な別の光レセプタクルを示す斜視図である。
【図16】別の実施形態に係る光トランシーバの前側部分を拡大して示す斜視図である。
【図17】別の実施形態に係る光トランシーバの前側部分を、フロントカバー及び第2のハウジングを取り除いて示した平面図である。
【図18】図17に示す状態から光レセプタクルを回転させた状態を示す光トランシーバの平面図である。
【図19】別の実施形態に係るハウジングに含まれる第1のハウジングを示す斜視図である。
【図20】別の実施形態に係る光トランシーバ用の光レセプタクルを示す斜視図である。
【図21】別の実施形態に係る光トランシーバの前側部分を拡大して示す斜視図である。
【図22】図21に示す光トランシーバの破断斜視図である。
【図23】図17のXXIII−XXIII線に沿った断面を示す図である。
【図24】別の実施形態に係る光るトランシーバ用のシールド板を示す斜視図である。
【図25】別の実施形態に係る光るトランシーバ用のガスケットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0028】
図1は、一実施形態に係る光トランシーバを示す分解斜視図である。図2は、一実施形態に係る光トランシーバを、フロントカバー及び第2のハウジングを取り除いて示した斜視図である。また、図3は、一実施形態に係る光トランシーバの第1のハウジング及び一対の光ファイバを示す平面図である。
【0029】
図1、図2、及び図3に示す光トランシーバ10は、ホストシステムのケージにZ方向(即ち、第1の方向)に挿入されて用いられるものである。光トランシーバ10は、ハウジング12、光レセプタクル14、複数の光送信サブアセンブリ(TOSA)16、複数の光受信サブアセンブリ(ROSA)18、一対の光ファイバF1を備えている。
【0030】
ハウジング12は、例えば、ステンレス鋼又はアルミニウムといった金属製の部材である。一実施形態においては、ハウジング12は、上下方向(Y方向)に分離可能であり、ハウジング12の下側部分を構成する第1のハウジング20、及び、ハウジング12の上側部分を構成する第2のハウジング22を含んでいる。
【0031】
図4は、一実施形態に係るハウジングの第1のハウジングを示す斜視図である。図4に示すように、一実施形態においては、第1のハウジング20は、底壁BW、一対の側壁SW、及び、前面壁FWを含み得る。底壁BWは、第1のハウジング20の底部を構成しており、Y方向に交差又は実質的に直交している。一対の側壁SWは、底壁BWのX方向における両縁部からY方向に立ち上がるように設けられており、X方向に交差又は実質的に直交している。前面壁FWは、底壁BWのZ方向における前側縁部から立ち上がるように設けられており、Z方向に交差又は実質的に直交している。前面壁FWは、ホストシステムのフロントパネルに略平行に設けられ得る。なお、本明細書においては、X方向は幅方向(第2の方向)を示し、Y方向はX方向に直交する方向であり上下方向を示し、Z方向はX方向及びY方向に直交する方向であり前後方向(第1の方向)を示している。
【0032】
前面壁FWは、X方向における中央において開口OP1を画成している。第1のハウジング20は、この開口OP1にZ方向において連続する第1の領域R1を含んでいる。また、第1のハウジング20は、第1の領域R1に加えて、第2の領域R2、及び、第3の領域R3を含んでいる。第2の領域R2は、Z方向おいて第1の領域R1と第3の領域R3との間に設けられている。
【0033】
第1のハウジング20は、第1の領域R1を画成する区画壁W1を有している。区画壁W1は、第1の壁W11、及び、一対の第2の壁W12を含んでいる。第1の壁W11は、第1の領域R1をZ方向において後側から画成しており、Z方向に交差又は実質的に直交している。一対の第2の壁W12は、側方、即ちX方向から第1の領域R1を画成している。一対の第2の壁W12は、X方向に交差又は実質的に直交しており、当該X方向に配列されている。
【0034】
区画壁W1には、一対の溝(第1の溝)G11が形成されている。溝G11は、第3の方向に延びている。この第3の方向は、X方向とZ方向の間の方向であり、Z方向に対して傾斜した所定の方向である。これら一対の溝G11内には、一対の光ファイバF1が配置され得る。
【0035】
一実施形態においては、区画壁W1には、別の一対の溝(別の一対の第1の溝)G12が形成されている。一対の溝G12は、溝G11の延在方向、即ち第3の方向とはZ方向に対して線対称な方向に延びている。
【0036】
また、一実施形態においては、第1の壁W11には、Z方向に延びる一対の溝G21が形成されている。一対の溝G21には、所謂SC型の光コネクタプラグと光学的に結合する光レセプタクルから延びるスリーブを配置することができる。したがって、一対の溝G21は、SC型の光コネクタプラグの一対の光ファイバ間のピッチに対応したピッチでX方向に配列されている。
【0037】
また、一実施形態においては、第1の壁W11には、Z方向に延びる一対の溝G22が、一対の溝G21の間に形成されている。一対の溝G22には、所謂LC型の光コネクタプラグと光学的に結合する光レセプタクルから延びる光ファイバを配置することができる。したがって、一対の溝G22は、LC型の光コネクタプラグの一対の光ファイバ間のピッチに対応したピッチでX方向に配列されている。
【0038】
一実施形態においては、一対の溝G21及び一対の溝G22は、X方向において一対の溝G11及び一対の溝G12の間に設けられている。例えば、図4に示すように、一対の溝G11は、一対の第2の壁W12のうち一方、又は、一対の第2の壁W12のうち一方とその近傍の第1の壁W11に形成され得る。また、一対の溝G12は、一対の第2の壁W12のうち他方、又は、一対の第2の壁W12のうち他方とその近傍の第1の壁W11に形成され得る。
【0039】
このような区画壁W1によって画成される第1の領域R1には、光レセプタクル14が搭載される。以下、図5〜図9を参照する。図5は、一実施形態に係る光レセプタクルを含む光レセプタクルアセンブリを示す図である。図6は、図5に示す光レセプタクルアセンブリの分解斜視図である。図7は、一実施形態に係る光レセプタクルを示す斜視図である。図7の(a)には、ポートの一端側が見えるように示した光レセプタクルの斜視図が示されており、図7の(b)には、ポートの他端側が見えるように示した光レセプタクルの斜視図が示されている。図8は、図5に示す光レセプタクルアセンブリからシールド部材を分離して示す分解斜視図である。また、図9は、一実施形態に係るシールド部材の斜視図である。
【0040】
光トランシーバ10は、図5及び図6に示す光レセプタクルアセンブリA14を備え得る。光レセプタクルアセンブリA14は、光レセプタクル14、一対のスリーブS1、押え部材24、及び、シールド部材26を含み得る。
【0041】
図7に示すように、光レセプタクル14は、一対のポート14pを含んでいる。一対のポート14pはそれぞれ、所定の方向に延びる空間を提供している。一対のポート14pは、光レセプタクル14がハウジング12の第1の領域R1に搭載されたときに、第3の方向に延在するように形成されている。図5及び図6に示すように、一対のポート14pには、それらの一端側から光コネクタプラグが挿入され、他端側からは一対の光ファイバF1の先端(一端)に付属するスリーブS1が挿入される。ポート14p内では、一対の光ファイバF1と光コネクタプラグの光ファイバとが光学的に結合される。
【0042】
図6に示すように、スリーブS1は、略筒状の部材であり、フランジ部S1aと先端部分S1bとを含んでいる。フランジ部S1aは、先端部分S1bの直径よりも大きな直径を有している。即ち、フランジ部S1aと先端部分S1bとの間には、段差面S1cが設けられている。先端部分S1bはポート14p内に挿入される。このポート14p内には、段差面S1cが当接する面が設けられている。
【0043】
面S1cと反対側のフランジ部S1aの面S1dは、押え部材24によって光レセプタクル14側に押圧される。押え部材24は、板金製の部材である。押え部材24は、第1の部分24a及び四つの第2の部分24bを含み得る。第1の部分24aは、スリーブS1の面S1dに当接する。この第1の部分24aには、一対の光ファイバF1を通すための一対の凹部24dが形成されている。
【0044】
図6に示すように、光レセプタクル14の外壁面には、複数の突起14aが設けられている。押え部材24の四つの第2の部分24bはそれぞれ、第1の部分24aの四つの縁部から光レセプタクル14の外壁面に沿うように折り曲げられている。これら第2の部分24bには、光レセプタクル14の複数の突起14aが嵌る穴24cが形成されている。穴24cに突起14aが嵌ると、押え部材24は光レセプタクル14に係合し、当該押え部材24と光レセプタクル14との間にフランジ部S1aが狭持される。これにより、光レセプタクル14に対してスリーブS1が位置決めされて保持される。
【0045】
図8に示すように、光レセプタクル14は、後面14bを更に含み得る。後面14bは、区画壁W1の第1の壁W11に対面する。後面14bは、第1の壁W11のうちの一部分のみに対面するサイズを有している。この一部分は、一対の溝G21のうち一方及び一対の溝G22のうち一方のみが形成されている部分である。かかる後面14bには、シールド部材26が取り付けられる。
【0046】
図9に示すように、シールド部材26は、第1の部材28及び第2の部材30を含んでいる。第1の部材28は、板状の金属材である。また、第2の部材30は、弾性及び/又は可撓性を有するシート状の部材である。第2の部材30は、例えば、導電性の不織布により構成される。この第2の部材30は、第1の部材28の一方の主面に貼り付けられる。このシールド部材26は、第1の部材28の他方の主面が光レセプタクル14の後面14bに接するように、光レセプタクル14に取り付けられる。
【0047】
一実施形態においては、第1の部材28には、穴28aが形成されている。一方、図8に示すように、光レセプタクル14の後面14bには、突起14eが形成されている。第1の部材28の穴28aに突起14eが嵌り、これにより、シールド部材26が光レセプタクル14の後面14bに取り付けられる。
【0048】
ここで、図5〜図9に加えて、図10及び図11を参照する。図10は、一実施形態に係る光トランシーバの前側部分の拡大斜視図である。図11は、一実施形態に係る光トランシーバの前側部分とフロントカバーとを示す図である。図5、図8、及び図10に示すように、シールド部材26のX方向のサイズは、光レセプタクル14の後面14bのX方向のサイズより大きくなっている。即ち、シールド部材26は、第1の壁W11に形成された一対の溝G21及び一対の溝G22の全てを閉じるように、第1の壁W11の略全体に接する。かかるシールド部材26は、光レセプタクル14の後面14bと第1の壁W11との間に狭持される。より具体的には、シールド部材26は、光レセプタクル14からZ方向の圧力を受けて第1の壁W11に当接する。このZ方向の圧力は、一実施形態では、フロントカバー32から光レセプタクル14を介して発揮される。
【0049】
図11に示すように、フロントカバー32は、ハウジング12の前面壁FWに固定される。例えば、フロントカバー32は、ねじ留めによってハウジング12の前面壁FWに固定される。このフロントカバー32は、Z方向に直交する前面32aを有している。この前面32aには、光レセプタクル14の一対のポート14pを外部に露出させるための開口32bが形成されている。フロントカバー32は、この開口32bのX方向の両側において、Z方向に延びる一対の突起(図示せず)を有している。一方、光レセプタクル14は、一対のポート14pのX方向における両側に、Z方向に直交する面14f及び14gを有している。これら面14f及び14gは、フロントカバー32の上述した突起によって押圧され、これにより、上述したZ方向の圧力が発生される。このZ方向への圧力により、シールド部材26の第2の部材30は、第1の壁W11に密着する。
【0050】
ここで、後面14bと第1の壁W11との間にはシールド部材26の一部分のみが狭持されるが、後面14bと第1の壁W11との間に狭持されていない部分においても第2の部材30は、第1の部材28の剛性により、第1の壁W11に密着する。このように、溝G21及びG22を閉じるように第1の壁W11にシールド部材26の第2の部材30が密着することにより、第1の領域R1は第2の領域R2から電磁的に遮蔽される。
【0051】
再び、図1〜図4を参照する。一実施形態においては、第1のハウジング20は、第1の領域R1のX方向の両側それぞれに第4の領域R4を提供している。一方の第4の領域R4には、光マルチプレクサ34が搭載され、他方の第4の領域R4には、光デマルチプレクサ36が搭載され得る。光マルチプレクサ34には一対の光ファイバF1のうち一方の他端が結合されており、光デマルチプレクサ36には一対の光ファイバF1のうち他方の他端が結合されている。
【0052】
光トランシーバ10では、四つのTOSA 16によって異なる波長を有する四つの光信号が電気信号に基づいて発生される。四つのTOSA 16によって発生される四つの光信号は、光マルチプレクサ34によって一つの光信号(多重化光信号)に多重化される。そのため、光マルチプレクサ34には、四つのTOSA 16と当該光マルチプレクサ34とを光学的に結合するための四つの光ファイバF2の一端が結合されている。また、四つの光ファイバF2の他端はそれぞれ四つのTOSA 16に光学的に結合される。光マルチプレクサ34によって生成される多重化光信号は、光マルチプレクサ34から一対の光ファイバF1のうち一方を介して、光レセプタクル14のポート14pに挿入される光コネクタプラグの光ファイバに送信される。なお、上記電気信号は、第3の領域R3に搭載される回路基板からTOSA 16に与えられ得る。
【0053】
また、光トランシーバ10では、光コネクタプラグの光ファイバからの多重化光信号が、一対の光ファイバF1のうち他方を介して光デマルチプレクサ36に送信される。光デマルチプレクサ36は、多重化光信号を、当該多重化光信号に含まれる異なる波長を有する四つの光信号に分解し、当該四つの光信号をそれぞれ四つのROSA 18に送信する。そのため、光デマルチプレクサ36には、四つのROSA 18と当該光デマルチプレクサ36とを光学的に結合するための四つの光ファイバF3の一端が結合されている。四つの光ファイバF3の他端はそれぞれ、四つのROSA 18に光学的に結合される。四つのROSA 18はそれぞれ、受信した光信号を電気信号に変換して当該電気信号を回路基板に供給する。
【0054】
なお、光トランシーバ10は、40GHz又は100GHzの多重化光信号を取り扱うことができる。この場合に、四つのTOSA 16及び四つのROSA 18はそれぞれ、10GHz又は25GHzの光信号及び電気信号を取り扱うことができる。
【0055】
TOSA 16及びROSA 18は、第1のハウジング20の第2の領域R2に搭載されている。また、この第2の領域R2には、フロントトレイ38、八つのコネクタ40、並びに、ホルダ42及び44が搭載されている。フロントトレイ38は、Z方向においてコネクタ40の前側に設けられている。八つのコネクタ40は、Z方向においてフロントトレイ38とホルダ42及び44の間に設けられている。
【0056】
ホルダ42は、四つのTOSA 16を保持するための部材である。ホルダ42は、第1のハウジング20に対して固定されている。ホルダ42は、四つのTOSA 16を保持するための四つのスロットを有している。これら四つのスロットはX方向に配列されている。
【0057】
ホルダ44は、四つのROSA 18を保持するための部材である。ホルダ44は、第1のハウジング20に対して固定されている。ホルダ44は、四つのROSA 18を保持するための四つのスロットを有している。これら四つのスロットはX方向に配列されている。
【0058】
八つのコネクタ40はそれぞれ、ホルダ42の四つのスロット及びホルダ44の四つのスロットに対してZ方向に整列するように設けられている。八つのコネクタ40のうち四つのコネクタは、四つの光ファイバF2の他端に付属するフェルールFf2を保持し、別の四つのコネクタは、四つの光ファイバF3の他端に付属するフェルールFf3を保持する。
【0059】
八つのコネクタ40はそれぞれ、第1のハウジング20に固定されたフロントトレイ38に対してZ方向に移動可能であるよう当該フロントトレイ38に係合されている。八つのコネクタ40がホルダ42及びホルダ44側に移動すると、これらコネクタ40はホルダ42及びホルダ44に係合する。このとき、フェルールFf2及びFf3は、TOSA 16及びROSA 18のスリーブ内に挿入され、TOSA 16及びROSA 18と光学的に結合する。
【0060】
一方、これらコネクタ40がフロントトレイ38側に移動すると、フェルールFf2及びフェルールFf3とTOSA 16及びROSA 18との結合が解除される。このとき、フェルールFf2及びフェルールFf3は、TOSA 16及びROSA 18に干渉しない位置に退避する。これにより、光トランシーバ10では、TOSA 16及びROSA 18のホルダ42及びホルダ44上への配置、及び、ホルダ42及びホルダ44からのTOSA 16及びROSA 18の取り外しが容易に行えるようになっている。
【0061】
以下、図2、図3、図4、図12、及び図13を参照して、光ファイバF1、F2、F3のハウジング内での経路について説明する。なお、本明細書においては、ROSA 18に対してX方向においてTOSA 16が配置されているハウジング12内の領域を送信側とよび、TOSA 16に対してX方向においてROSA 18が配置されているハウジング12内の領域を受信側ということがある。また、光ファイバF2、及び、光マルチプレクサ34を介してTOSA 16に結合する光ファイバF1をそれぞれ、送信用光ファイバF2及びF1ということがある。さらに、光ファイバF3、及び、光デマルチプレクサ36を介してROSA 18に結合する光ファイバF1をそれぞれ、受信用光ファイバF3及びF1ということがある。
【0062】
まず、図2、図3、図4、及び図12を参照する。送信用光ファイバF1は、第1の領域R1から一対の溝G11のうち一方を通り、送信側の側壁SWに沿う位置に向けて配線される。この位置から、送信用光ファイバF1は、送信側の側壁SWに沿ってZ方向に進み第3の領域R3に到るよう配線される。次いで、第3の領域R3において、送信用光ファイバF1は、Z方向に後方へ向かい、続いて、X方向において送信側から受信側に向かい、続いてZ方向に前方へ曲がり、更に、X方向において受信側から送信側に向かうよう配線される。
【0063】
図4に示すように、第2の領域R2の送信側の底壁BWには、Z方向に延在する溝G1,G101,G102,G103が形成されている。溝G1は、溝G101,G102,G103に対してZ方向において後方に設けられている。これら溝G101,G102,G103は、X方向に配列されており、溝G1から分岐して、送信側の領域R4に向けて延びている。
【0064】
再び図2、図3、図4、及び図12を参照すると、送信用光ファイバF1は、次いで、第3の領域R3から第2の領域R2の溝G1及び溝G102を通り、更に、フロントトレイ38の下方を通って、光マルチプレクサ34に結合するよう配線される。
【0065】
送信用光ファイバF2は、光マルチプレクサ34からZ方向に後方側へ延び、フロントトレイ38の下方を通り、次いで、溝G101又は溝G103を通り、更に溝G1を通って第3の領域R3に到るよう配線される。
【0066】
次いで、送信用光ファイバF2は、第3の領域R3において送信側から受信側へと向きを変えて受信側の側壁SWに沿う位置に到るよう配線される。この位置から、送信用光ファイバF2は、受信側の側壁SWに沿ってZ方向に前方へ進むよう配線される。次いで、送信用光ファイバF2は、フロントトレイ38によって案内されて対応するコネクタ40まで配線される。
【0067】
なお、フロントトレイ38は、光ファイバF2及びF3を対応のコネクタ40まで案内するためのスロットを有している。これらスロットには、光ファイバF2及びF3がY方向にフロントトレイ38から浮き上がることを防止するための規制手段が設けられていてもよい。かかる規制手段は、Y方向において上方から光ファイバF2及びF3に対峙するように設けられ得る。
【0068】
次に、図2、図3、図4、及び図13を参照する。受信用ファイバF1は、第1の領域R1から一対の溝G11のうち他方を通り、送信側の側壁SWに沿う位置に向けて配線される。この位置から、受信用光ファイバF1は、送信側の側壁SWに沿ってZ方向に進み第3の領域R3に到るよう配線される。次いで、第3の領域R3において、受信用光ファイバF1は、Z方向に後方へ向かい、続いて、X方向において送信側から受信側に向かい、更にZ方向に前方へ曲がるよう、配線される。
【0069】
図4に示すように、第2の領域R2の受信側の底壁BWには、Z方向に延在する溝G2,G201,G202,G203が形成されている。溝G2は、溝G201,G202,G203に対してZ方向において後方に設けられている。これら溝G201,G202,G203は、X方向に配列されており、溝G2から分岐して、受信側の領域R4に向けて延びている。
【0070】
再び図2、図3、図4、及び図13を参照すると、受信用光ファイバF1は、次いで、第3の領域R3から第2の領域R2の溝G2及び溝G202を通り、更に、フロントトレイ38の下方を通って、光デマルチプレクサ36に結合するよう配線される。
【0071】
受信用光ファイバF3は、光デマルチプレクサ36からZ方向に後方側へ延び、フロントトレイ38の下方を通り、次いで、溝G201又は溝G203を通り、更に溝G2を通って第3の領域R3に到るよう配線される。
【0072】
次いで、受信用光ファイバF3は、第3の領域R3において受信側から送信側へと向きを変えて送信側の側壁SWに沿う位置に到るよう配線される。この位置から、受信用光ファイバF3は、送信側の側壁SWに沿ってZ方向に前方へ進む。次いで、受信用光ファイバF3は、フロントトレイ38によって案内されて対応するコネクタ40まで配線される。
【0073】
光トランシーバ10では、図2に示すように、第2の領域R2において、光ファイバF2及びF3の上に、上述したコネクタ40、並びにホルダ42及び44が配置される。また、第3の領域においては、光ファイバF1、F2及びF3の上に、上述した回路基板が配置される。したがって、配線された光ファイバF1、F2、及びF3がY方向に上方へ浮き上がることが防止され得る。
【0074】
また、光トランシーバ10は、光ファイバF1、F2、及びF3を引き回すための領域として第3の領域R3を有している。この第3の領域R3においては、光ファイバF1、F2、及びF3の余長を処理することが可能である。なお、光トランシーバ10は、第3の領域R3に光ファイバF1、F2、及びF3を案内するための別のトレイを有していてもよい。また、当該別のトレイは、光ファイバF1、F2、及びF3の上方への浮き上がりを規制する規制手段を有していてもよい。
【0075】
以上に説明した光トランシーバ10によれば、光レセプタクル14から延在する一対の光ファイバF1を一対の第1の溝G11内に通すことにより、当該一対の光ファイバF1を、第3の方向に延在させて区画壁W1を通過させることが可能である。したがって、一対の光ファイバF1に加わる曲げを抑制しつつ、ポート14pがZ方向(前後方向)に対して傾斜した方向(即ち、第3の方向)に延在するよう光レセプタクル14をハウジング12に搭載することができる。この光レセプタクル14のポート14pに外部から光コネクタプラグが挿入されると、当該光コネクタプラグの光ファイバケーブルは、光トランシーバ10、即ち、ホストシステムのフロントパネルの前方において第3の方向に延在することとなる。したがって、この光トランシーバ10によれば、光トランシーバの前方における光ファイバケーブル用のスペースが小さくなる。
【0076】
なお、光トランシーバ10では、光レセプタクル14を図2等に示す向きからY方向に上下反転させて第1のハウジング20上に搭載することができる。この場合には、一対の光ファイバF1を一対の溝G11ではなく上述した一対の溝G12内に通すことができる。
【0077】
また、光トランシーバ10には、図14及び図15に示す別の光レセプタクルを搭載することも可能である。図14及び図15は、一実施形態に係る光トランシーバに搭載可能な別の光レセプタクルを示す斜視図である。
【0078】
図14に示す光レセプタクル14Aは、所謂LC型の光レセプタクルである。この光レセプタクル14Aのポート内に挿入された一対のスリーブS1Aからは一対の光ファイバF1AがZ方向に延び出している。これら光ファイバF1Aは、第1の壁W11の溝G22を通り、第2の領域R2に設けられた溝G3を通って第3の領域R3に向けて配線され得る。また、光レセプタクル14Aの後面と第1の壁W11との間には、第1の領域R1を第2の領域R2から電磁的に遮蔽するためのシールド部材26Aが狭持される。
【0079】
図15に示す光レセプタクル14Bは、所謂SC型の光レセプタクルである。この光レセプタクル14Bのポート内には一対のスリーブS1Bの先端部分が挿入されている。一対のスリーブS1Bの後側部分はZ方向に延びており、上述した一対の溝G21内に配置される。一対のスリーブS1Bからは光ファイバF1BがZ方向に延び出している。これら光ファイバF1Bは、第2の領域R2に設けられた溝G4を通って第3の領域R3に向けて配線され得る。また、光レセプタクル14Bの後面と第1の壁W11との間には、第1の領域R1を第2の領域R2から電磁的に遮蔽するためのシールド部材26Bが狭持される。
【0080】
以上説明したように、光トランシーバ10には、異なるタイプ又は異なる方向に延びるポートを有する複数の光レセプタクルを交換して搭載することが可能である。即ち、ハウジング12は、異なるタイプ又は異なる方向に延びるポートを有する複数の光レセプタクルに対して共用され得る。
【0081】
以下、別の実施形態について説明する。図16は、別の実施形態に係る光トランシーバの前側部分を拡大して示す斜視図である。図17は、別の実施形態に係る光トランシーバの前側部分を、フロントカバー及び第2のハウジングを取り除いて示した平面図である。図18は、図17に示す状態から光レセプタクルを回転させた状態を示す光トランシーバの平面図である。図16、図17、及び、図18に示す光トランシーバ10Cは、第1の領域R1において、光レセプタクルを回転可能に搭載する点において、光トランシーバ10と異なる。即ち、光トランシーバ10Cでは、図17に示すように、ポートが第1の方向(即ち、Z方向)に延在するように光レセプタクル14Cを配置することができ、また、図16及び図18に示すように、ポート14pが第1の方向(即ち、Z方向)と第2の方向(即ち、X方向)との間の方向に延在するよう光レセプタクル14Cを回転させることが可能である。以下、光トランシーバ10Cに関して光トランシーバ10と異なる点を説明する。
【0082】
図19は、別の実施形態に係るハウジングに含まれる第1のハウジングを示す斜視図である。図19に示すように、光トランシーバ10Cの第1のハウジング20Cの第1の領域R1の底壁BWには、凹部D1が設けられている。この凹部D1は、Z方向及びX方向に実質的に直交する方向(即ち、Y方向)に延在する穴として構成されている。
【0083】
また、第1のハウジング20Cの区画壁W1の第1の壁W11は、空間SP1を画成している。一実施形態においては、空間SP1を画成するために、第1の壁W11のY方向における高さは、第2の壁W12の高さよりも低くなっている。このように提供される空間SP1は、第1の領域R1と第2の領域R2とを接続する。この空間SP1は、光レセプタクル14Cから延在する一対の光ファイバF1を第2の領域R2に導くために設けられており、光レセプタクル14Cの回転に伴う一対の光ファイバF1の揺動を受容するようになっている。このため、一実施形態においては、X方向における空間SP1の長さは、Y方向における空間SP1の長さよりも長くなっている。即ち、空間SP1は、X方向に幅広となるように構成されている。
【0084】
さらに、第1のハウジング20Cの第2の領域R2には、溝G3及び溝G4に変わる一対の溝G5が設けられている。これら一対の溝G5は、光レセプタクル14Cから延在する一対の光ファイバF1を第3の領域R3に向けて配線するための溝であり、第2の領域R2においてZ方向に延在するように形成されている。一実施形態においては、溝G5は、その前方端において、当該前方端よりも後側の部分よりも幅広となるように、開口している。即ち、溝G5の前方端はテーパー状に形成されている。かかる形状に構成されることにより、溝G5は、光レセプタクル14Cの回転に伴う一対の光ファイバF1の揺動を受容するようになっている。
【0085】
図20は、別の実施形態に係る光トランシーバ用の光レセプタクルを示す斜視図である。図20に示すように、光トランシーバ10C用の光レセプタクル14Cは、その一面に凸部P1を有している。この凸部P1は、Y方向に延びる軸線に沿って延在する円柱形状を有しており、第1のハウジング20Cの凹部D1に挿入される。この凸部P1が凹部D1に挿入されることにより、光レセプタクル14Cは、Y方向に延びる軸線中心に回転可能となる。これにより、光トランシーバ10Cでは、光レセプタクル14Cのポート14pの向きを、第1の方向(即ち、Z方向)と第2の方向(即ち、X方向)の間の任意の方向に変更することが可能となっている。
【0086】
上述した実施形態と同様に、光レセプタクル14Cは、一端側、即ち前側端の開口(図16を参照)からポート14pに挿入される外部光コネクタプラグを受容する。ポート14pには、当該ポート14pの多端からスリーブS1が挿入されており、当該スリーブS1に保持されている光ファイバF1と外部光コネクタプラグの光ファイバとは、ポート14p内で光学的に結合される。図20に示すように、光レセプタクル14Cには、押さえ部材24が係合されている。この押さえ部材24は、光レセプタクル14Cと当該押さえ部材24との間にスリーブS1を挟持し、これにより、ポート14p内でのスリーブS1の位置を決定する。
【0087】
図21は、別の実施形態に係る光トランシーバの前側部分を拡大して示す斜視図である。図22は、図21に示す光トランシーバの破断斜視図である。図23は、図17のXXIII−XXIII線に沿った断面を示す図である。図21〜図23に示すように、一実施形態においては、光トランシーバ10Cは、第1の領域R1と第2の領域R2との間における電磁ノイズの伝達を抑制するために、シールド部材50を更に備え得る。
【0088】
以下、図21〜図23に加えて、図24及び図25を参照する。図24は、別の実施形態に係る光るトランシーバ用のシールド板を示す斜視図であり、図25は、別の実施形態に係る光るトランシーバ用のガスケットを示す斜視図である。一実施形態においては、シールド部材50は、シールド板52及びガスケット54を含んでいる。図24に示すように、シールド板52は、金属板から構成される導電性の部材であり、第1の部分52aと一対の第2の部分52bとを含み得る。このシールド板52は、図21〜図23に示すように、第1の部分52aが第1の壁W11に沿い、一対の第2の部分52bが第2の壁W12に沿うように、第1の領域R1に設けられる。このシールド板52により、区画壁W1に形成された各種の溝が閉じられ、第1の領域R1と第2の領域R2との間の電磁ノイズの伝達が抑制され得る。また、このシールド板52には、区画壁W1によって画成される空間SP1に連続するように、開口52hが形成されている。
【0089】
図25に示すように、ガスケット54は、導電性を有する筒状の部材であり、一方の開口端54aから他方の開口端54bまで延在している。ガスケット54は、例えば導電性及び弾性を有する材料から構成される。図21〜図23に示すように、ガスケット54の一方の開口端54aは、シールド板52の開口52h内に嵌め込まれている。ガスケット54は、X方向に幅広の形状を有しており、区画壁W1によって画成された空間SP1を通って第2の領域R2まで延在している。ガスケット54の内孔には、光レセプタクル14Cから延在する一つの光ファイバF1が通される。また、ガスケット54には、一方の開口端54aから他方の開口端54bまでの間において曲げが与えられている。これにより、ガスケット54は、その内孔を介した第1の領域R1と第2の領域R2との間の電磁ノイズの伝達を抑制することを可能としている。
【0090】
以上説明した光トランシーバ10Cによれば、第1の領域R1において光レセプタクル14を回転させることにより、ポート14pの延在方向を一定の角度範囲内において傾斜させることが可能である。したがって、光トランシーバ10Cによれば、その前方において光コネクタプラグの光ファイバケーブルを斜め方向に延在させることが可能である。その結果、その結果、光トランシーバ10Cの前方における光ファイバケーブル用のスペースが小さくなる。
【0091】
種々の実施形態に係る光トランシーバ及びハウジングについて説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく種々の変形態様を構成可能である。例えば、光トランシーバ10Cでは、第1のハウジング20Cに凹部D1を設けて、光レセプタクル14Cに凸部P1を設けることにより、光レセプタクル14Cの回転を実現させているが、第1のハウジング20Cに凸部を設け、当該凸部が挿入される凹部を光レセプタクル14Cに設けてもよい。
【符号の説明】
【0092】
10…光トランシーバ、12…ハウジング、A14…光レセプタクルアセンブリ、14…光レセプタクル、16…光送信サブアセンブリ(TOSA)、18…光受信サブアセンブリ、20…第1のハウジング、22…第2のハウジング、24…押え部材、26…シールド部材、28…第1の部材、30…第2の部材、32…フロントカバー、34…光マルチプレクサ、36…光デマルチプレクサ、38…フロントトレイ、40…コネクタ、42,44…ホルダ、W1…区画壁、W11…第1の壁、W12…一対の第2の壁、G11…一対の溝(一対の第1の溝)、G12…一対の溝(別の一対の第1の溝)、G21,G22…一対の溝(一対の第2の溝)、S1…一対のスリーブ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光トランシーバ用のハウジングであって、
光コネクタプラグを受容する光レセプタクルのポートを露出させるための開口が形成された前面壁と、
前記光レセプタクルを搭載する第1の領域であり、前記前面壁に直交する第1の方向において前記開口に連続する該第1の領域と、
電気信号を光信号に変換する光送信サブアセンブリ、及び、光信号を電気信号に変換する光受信サブアセンブリを含む複数の光サブアセンブリを搭載する第2の領域と、
前記光コネクタプラグと前記複数の光サブアセンブリとを光学的に結合するための一対の光ファイバを引き回すための第3の領域と、
前記第1の領域を画成する区画壁であり、前記第1の領域から前記第2の領域に向かう第1の方向において前記第1の領域を後方から画成する第1の壁と、前記第1の領域を側方から画成する一対の第2の壁と、を含む該区画壁と、
を備え、
前記第1の領域は、前記ポートが前記第1の方向と前記一対の第2の壁が配列された第2の方向との間の方向に延在するように、前記光レセプタクルを搭載可能である、
ハウジング。
【請求項2】
前記区画壁には、前記第1の方向と前記第2の方向の間の第3の方向に延びる一対の第1の溝が形成されている、請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記区画壁には、前記第1の方向に対して前記第3の方向とは線対称な方向に延びる別の一対の第1の溝が形成されている、請求項2に記載のハウジング。
【請求項4】
前記区画壁には、前記第1の方向に延びる一対の第2の溝であり前記第2の方向において配列された該一対の第2の溝が形成されている、請求項2又は3に記載のハウジング。
【請求項5】
前記第1の領域は、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する方向に延びる軸線中心に前記光レセプタクルを回転可能に支持する支持手段を有する、請求項1に記載のハウジング。
【請求項6】
前記区画壁は、前記第1の領域と前記第2の領域とを接続する空間を画成しており、前記軸線に平行な方向における該空間の長さよりも前記第2の方向における該空間の長さが長い、請求項5に記載のハウジング。
【請求項7】
光コネクタプラグを受容する一対のポートを有する光レセプタクルと、
請求項1に記載のハウジングであり、前記一対のポートが前記第1の方向と前記第2の方向の間の方向に延在するよう、前記第1の領域において前記光レセプタクルを搭載可能な該ハウジングと、
電気信号を光信号に変換する光送信サブアセンブリ、及び、光信号を電気信号に変換する光受信サブアセンブリを含む複数の光サブアセンブリであって、前記第2の領域に搭載された該複数の光サブアセンブリと、
前記光レセプタクルの前記一対のポートに挿入される光コネクタプラグと前記複数の光サブアセンブリとを光学的に結合するための一対の光ファイバであって、前記光レセプタクルの前記一対のポートから延在して前記第3の領域において引き回される該一対の光ファイバと、
を備える光トランシーバ。
【請求項8】
前記区画壁には、前記第1の方向と前記第2の方向の間の第3の方向に延びる一対の第1の溝が形成されており、
前記一対の光ファイバは、前記一対の第1の溝内を通っている、
請求項7に記載の光トランシーバ。
【請求項9】
前記区画壁には、前記第1の方向に対して前記第3の方向とは線対称な方向に延びる別の一対の第1の溝が形成されている、請求項8に記載の光トランシーバ。
【請求項10】
前記区画壁には、前記第1の方向に延びる一対の第2の溝であり前記第2の方向において配列された該一対の第2の溝が形成されている、請求項8又は9に記載の光トランシーバ。
【請求項11】
前記第1の領域を前記第2の領域から電磁的に遮蔽するための導電性のシールド部材であり、前記一対の第2の溝を閉じるように前記光レセプタクルと前記第1の壁との間に狭持される該シールド部材を更に備える、
請求項10に記載の光トランシーバ。
【請求項12】
前記光レセプタクルは、前記第1の壁の一部分であり前記一対の第2の溝のうち一方が形成された該一部分に対面する後面を含み、
前記シールド部材は、板金製の第1の部材と、弾性を有し該第1の部材の一主面に取り付けられたシート状の第2の部材とを含み、
前記シールド部材は、前記第1の部材が前記後面に接するよう前記光レセプタクルに取り付けられる、
請求項11に記載の光トランシーバ。
【請求項13】
前記ハウジングの前記第1の領域は、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する軸線中心に前記光レセプタクルを回転可能に支持する支持手段を有する、請求項7に記載の光トランシーバ。
【請求項14】
前記支持手段は、前記軸線に沿って設けられた凸部及び凹部の一方であり、
前記光レセプタクルは、前記支持手段によって該光レセプタクルを軸支するための凸部及び凹部の他方を有する、
請求項13に記載の光トランシーバ。
【請求項15】
前記ハウジングの前記区画壁は、前記第2の領域に前記一対の光ファイバを導くための空間を画成しており、前記軸線に平行な方向における該空間の長さよりも前記第2の方向における該空間の長さが長い、
請求項13又は14に記載の光トランシーバ。
【請求項16】
一方の開口端及び他方の開口端まで延在する中空のガスケットを含む導電性のシールド部材を更に備え、
前記ガスケットは、前記空間において前記一対の光ファイバが該ガスケット内を通るように、前記空間に嵌め込まれており、
前記ガスケットは、前記一方の開口端から前記他方の開口端までの間において、折り曲げられている、
請求項15に記載の光トランシーバ。
【請求項17】
前記一対の光ファイバの先端に付属した一対のスリーブであり、フランジ部と前記光レセプタクルの前記ポート内に挿入される先端部分とを含む該一対のスリーブと、
前記光レセプタクルに係合する押え部材と、
を更に備え、
前記光レセプタクルと前記押え部材が、それらの間に前記フランジ部を挟持する、
請求項7〜16の何れか一項に記載の光トランシーバ。
【請求項1】
光トランシーバ用のハウジングであって、
光コネクタプラグを受容する光レセプタクルのポートを露出させるための開口が形成された前面壁と、
前記光レセプタクルを搭載する第1の領域であり、前記前面壁に直交する第1の方向において前記開口に連続する該第1の領域と、
電気信号を光信号に変換する光送信サブアセンブリ、及び、光信号を電気信号に変換する光受信サブアセンブリを含む複数の光サブアセンブリを搭載する第2の領域と、
前記光コネクタプラグと前記複数の光サブアセンブリとを光学的に結合するための一対の光ファイバを引き回すための第3の領域と、
前記第1の領域を画成する区画壁であり、前記第1の領域から前記第2の領域に向かう第1の方向において前記第1の領域を後方から画成する第1の壁と、前記第1の領域を側方から画成する一対の第2の壁と、を含む該区画壁と、
を備え、
前記第1の領域は、前記ポートが前記第1の方向と前記一対の第2の壁が配列された第2の方向との間の方向に延在するように、前記光レセプタクルを搭載可能である、
ハウジング。
【請求項2】
前記区画壁には、前記第1の方向と前記第2の方向の間の第3の方向に延びる一対の第1の溝が形成されている、請求項1に記載のハウジング。
【請求項3】
前記区画壁には、前記第1の方向に対して前記第3の方向とは線対称な方向に延びる別の一対の第1の溝が形成されている、請求項2に記載のハウジング。
【請求項4】
前記区画壁には、前記第1の方向に延びる一対の第2の溝であり前記第2の方向において配列された該一対の第2の溝が形成されている、請求項2又は3に記載のハウジング。
【請求項5】
前記第1の領域は、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する方向に延びる軸線中心に前記光レセプタクルを回転可能に支持する支持手段を有する、請求項1に記載のハウジング。
【請求項6】
前記区画壁は、前記第1の領域と前記第2の領域とを接続する空間を画成しており、前記軸線に平行な方向における該空間の長さよりも前記第2の方向における該空間の長さが長い、請求項5に記載のハウジング。
【請求項7】
光コネクタプラグを受容する一対のポートを有する光レセプタクルと、
請求項1に記載のハウジングであり、前記一対のポートが前記第1の方向と前記第2の方向の間の方向に延在するよう、前記第1の領域において前記光レセプタクルを搭載可能な該ハウジングと、
電気信号を光信号に変換する光送信サブアセンブリ、及び、光信号を電気信号に変換する光受信サブアセンブリを含む複数の光サブアセンブリであって、前記第2の領域に搭載された該複数の光サブアセンブリと、
前記光レセプタクルの前記一対のポートに挿入される光コネクタプラグと前記複数の光サブアセンブリとを光学的に結合するための一対の光ファイバであって、前記光レセプタクルの前記一対のポートから延在して前記第3の領域において引き回される該一対の光ファイバと、
を備える光トランシーバ。
【請求項8】
前記区画壁には、前記第1の方向と前記第2の方向の間の第3の方向に延びる一対の第1の溝が形成されており、
前記一対の光ファイバは、前記一対の第1の溝内を通っている、
請求項7に記載の光トランシーバ。
【請求項9】
前記区画壁には、前記第1の方向に対して前記第3の方向とは線対称な方向に延びる別の一対の第1の溝が形成されている、請求項8に記載の光トランシーバ。
【請求項10】
前記区画壁には、前記第1の方向に延びる一対の第2の溝であり前記第2の方向において配列された該一対の第2の溝が形成されている、請求項8又は9に記載の光トランシーバ。
【請求項11】
前記第1の領域を前記第2の領域から電磁的に遮蔽するための導電性のシールド部材であり、前記一対の第2の溝を閉じるように前記光レセプタクルと前記第1の壁との間に狭持される該シールド部材を更に備える、
請求項10に記載の光トランシーバ。
【請求項12】
前記光レセプタクルは、前記第1の壁の一部分であり前記一対の第2の溝のうち一方が形成された該一部分に対面する後面を含み、
前記シールド部材は、板金製の第1の部材と、弾性を有し該第1の部材の一主面に取り付けられたシート状の第2の部材とを含み、
前記シールド部材は、前記第1の部材が前記後面に接するよう前記光レセプタクルに取り付けられる、
請求項11に記載の光トランシーバ。
【請求項13】
前記ハウジングの前記第1の領域は、前記第1の方向及び前記第2の方向に直交する軸線中心に前記光レセプタクルを回転可能に支持する支持手段を有する、請求項7に記載の光トランシーバ。
【請求項14】
前記支持手段は、前記軸線に沿って設けられた凸部及び凹部の一方であり、
前記光レセプタクルは、前記支持手段によって該光レセプタクルを軸支するための凸部及び凹部の他方を有する、
請求項13に記載の光トランシーバ。
【請求項15】
前記ハウジングの前記区画壁は、前記第2の領域に前記一対の光ファイバを導くための空間を画成しており、前記軸線に平行な方向における該空間の長さよりも前記第2の方向における該空間の長さが長い、
請求項13又は14に記載の光トランシーバ。
【請求項16】
一方の開口端及び他方の開口端まで延在する中空のガスケットを含む導電性のシールド部材を更に備え、
前記ガスケットは、前記空間において前記一対の光ファイバが該ガスケット内を通るように、前記空間に嵌め込まれており、
前記ガスケットは、前記一方の開口端から前記他方の開口端までの間において、折り曲げられている、
請求項15に記載の光トランシーバ。
【請求項17】
前記一対の光ファイバの先端に付属した一対のスリーブであり、フランジ部と前記光レセプタクルの前記ポート内に挿入される先端部分とを含む該一対のスリーブと、
前記光レセプタクルに係合する押え部材と、
を更に備え、
前記光レセプタクルと前記押え部材が、それらの間に前記フランジ部を挟持する、
請求項7〜16の何れか一項に記載の光トランシーバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図19】
【図17】
【図18】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−215838(P2012−215838A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−35472(P2012−35472)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000154325)住友電工デバイス・イノベーション株式会社 (291)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ETHERNET
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000154325)住友電工デバイス・イノベーション株式会社 (291)
【Fターム(参考)】
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