説明

光トランシーバ

【課題】 フレキシブル基板と回路基板との接続が破断することを抑制可能な光トランシーバを提供する。
【解決手段】 FPC9は、PCB8の表面81に接続されるPCB接続部91と、光モジュール7に接続される光モジュール接続部92と、PCB8の端面83に沿って延在する中間部93とを有している。特に、中間部93には係合部94が設けられ、その係合部94が、PCB8の端面83の係合部84に係合される。このため、FPC9とPCB8との相対的な位置ズレが防止される。よって、FPC9とPCB8との接続部分に対してその接続が破断するような方向に応力が加わらないので、FPC9とPCB8との接続が破断することを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板とフレキシブル基板とを備える光トランシーバに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野の従来の光トランシーバとして、例えば特許文献1に記載の光トランシーバが知られている。特許文献1に記載の光トランシーバは、CANパッケージ構造の光モジュールと、光モジュールの後段に配置された回路基板と、光モジュールと回路基板と電気的に接続するフレキシブル基板とを備えている。この光トランシーバにおいては、フレキシブル基板は、その一端部が回路基板の表面に接続されると共に、回路基板の裏面側のスペースに取り回されて、他端部が光モジュールに接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−88233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えばSFP、SFP+、或いはXFPといった規格に準拠する光トランシーバにおいては、回路基板が、筐体における厚さ方向の中心よりも下側にオフセットを設けて配置されている。つまり、そのような光トランシーバにおいては、筐体内における回路基板よりも下側のスペース(すなわち回路基板の裏面側のスペース)が、回路基板よりも上側のスペース(すなわち回路基板の表面側のスペース)よりも狭くなっている。
【0005】
このため、特許文献1に記載の光トランシーバのように、筐体における回路基板の裏面側の比較的狭いスペースにフレキシブル基板を取り回すと、フレキシブル基板と筐体とが接触することがある。フレキシブル基板と筐体とが接触すると、フレキシブル基板と回路基板との接続部分に対して、その接続が破断するような方向に応力が加わってしまう。つまり、筐体における回路基板の裏面側のスペースにフレキシブル基板を取り回すと、フレキシブル基板と筐体との接触に起因して、フレキシブル基板と回路基板との接続が破断する虞がある。
【0006】
そこで、フレキシブル基板と筐体との接触を避けるために、筐体内における回路基板の表面側の比較的広いスペースにフレキシブル基板を取り回すことが考えられる。しかしながら、その場合には、例えば光トランシーバの組み立て作業中等において、フレキシブル基板の他端部が接続された状態の光モジュールに変位が生じると、その変位が直ちにフレキシブル基板と回路基板との接続が破断するような方向の応力の発生につながる。つまり、筐体内における回路基板の表面側のスペースにフレキシブル基板を取り回すと、光モジュールの変位に起因して、フレキシブル基板と回路基板との接続が破断する虞がある。
【0007】
本発明は、そのような事情に鑑みてなされたものであり、回路基板とフレキシブル基板との接続が破断することを抑制可能な光トランシーバを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る光トランシーバは、光モジュールと、回路基板と、光モジュールと回路基板とを電気的に接続するフレキシブル基板とを備える光トランシーバであって、回路基板は、第1の面と、第1の面の反対側の第2の面と、第1の面と第2の面とを接続する第3の面とを有し、フレキシブル基板は、回路基板の第1の面に接続される第1の部分と、光モジュールに接続される第2の部分と、第1の部分と第2の部分とを接続する第3の部分とを有し、回路基板の第3の面には、第1の係合部が設けられており、フレキシブル基板の第3の部分には、第2の係合部が設けられており、フレキシブル基板の第3の部分は、第2の係合部を第1の係合部に係合しつつ回路基板の第3の面に沿って延在していることを特徴とする。
【0009】
この光トランシーバにおいては、フレキシブル基板は、回路基板の第1の面に接続される第1の部分と、光モジュールに接続される第2の部分と、回路基板の第3の面に沿って延在して第1の部分と第2の部分とを接続する第3の部分とを有している。特に、フレキシブル基板の第3の部分には係合部が設けられており、その係合部には、回路基板の第3の面に設けられた別の係合部が係合される。このため、フレキシブル基板と回路基板との相対的な位置ズレが防止される。その結果、例えばフレキシブル基板と筐体とが接触した場合や、光モジュールに変位が生じた場合においても、回路基板とフレキシブル基板との相対的な位置ズレが生じないので、回路基板とフレキシブル基板との接続部分に対してその接続が破断するような方向に応力が加わらない。よって、この光トランシーバによれば、回路基板とフレキシブル基板との接続が破断することを抑制することができる。
【0010】
或いは、上記課題を解決するために、本発明に係る光トランシーバは、光モジュールと、第1及び第2の回路基板と、第1の回路基板と第2の回路基板とを電気的に接続するフレキシブル基板とを備える光トランシーバであって、第1の回路基板は、第1の面と、第1の面の反対側の第2の面と、第1の面と第2の面とを接続する第3の面とを有し、フレキシブル基板は、第1の回路基板の第1の面に接続される第1の部分と、第2の回路基板に接続される第2の部分と、第1の部分と第2の部分とを接続する第3の部分とを有し、第1の回路基板の第3の面には、第1の係合部が設けられており、フレキシブル基板の第3の部分には、第2の係合部が設けられており、フレキシブル基板の第3の部分は、第2の係合部を第1の係合部に係合しつつ第1の回路基板の第3の面に沿って延在していることを特徴とする。
【0011】
この光トランシーバにおいても、上述した光トランシーバと同様の理由から、第1の回路基板とフレキシブル基板との相対的な位置ズレが防止されるので、第1の回路基板とフレキシブル基板との接続部分に対して、その接続が破断するような方向に応力が加わらない。よって、この光トランシーバによれば、第1の回路基板とフレキシブル基板との接続が破断することを抑制することができる
【0012】
本発明に係る光トランシーバにおいては、第1の係合部は、第3の面から突出して設けられた突起であり、第2の係合部は、第3の部分を貫通する貫通孔とすることができる。この場合には、簡単な構成によって、回路基板とフレキシブル基板との相対的な位置ズレを防止し、それらの接続が破断することを抑制することができる。
【0013】
本発明に係る光トランシーバにおいては、第3の部分の少なくとも一方の側部には、切り欠きが設けられており、第3の面には、第3の部分の切り欠きに係合する突起が設けられているものとすることができる。この場合には、回路基板とフレキシブル基板との接続部の側部においても、その接続が破断することを抑制することができる。
【0014】
本発明に係る光トランシーバにおいては、第3の部分には補強部材が取り付けられているものとすることができる。この場合には、例えば、フレキシブル基板の第3の部分に貫通孔や切り欠き部を設けた場合においても、その剛性が低下することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フレキシブル基板と回路基板との接続が破断することを抑制可能な光トランシーバを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光トランシーバの側面図である。
【図2】図1に示された光トランシーバの分解斜視図である。
【図3】図2に示されたPCBの斜視図である。
【図4】図2に示されたFPCの斜視図である。
【図5】PCBとFPCとが互いに接続された状態を示す斜視図である。
【図6】PCBとFPCとが互いに接続された状態を示す斜視図である。
【図7】図1に示された光トランシーバの一部切り欠き側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る光トランシーバの分解斜視図である。
【図9】図8に示されたPCBの斜視図である。
【図10】PCB同士をFPCによって接続した状態を示す斜視図である。
【図11】図10の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る光トランシーバの一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
【0018】
図1は、本発明の第1実施形態に係る光トランシーバの側面図である。図2は、図1に示された光トランシーバの分解斜視図である。図1及び図2に示される光トランシーバ1は、例えばSFP、SFP+、或いはXFPといった規格に準拠するプラガブルタイプの光トランシーバであって、ホストシステム(不図示)のケージに装着・係合されて使用されるものである。
【0019】
図1及び図2に示されるように、光トランシーバ1は、種々の部品を収容する筐体2を備えている。筐体2の内部には、筐体2の下部に位置するベース2aと、筐体2の上部に位置するサブベース2bとが収容されている。筐体2は、長尺の四角筒状を呈している。なお、後の説明においては、筐体2の長手方向についての一端部2c側を「前」、他端2d側を「後」ということがある。
【0020】
光トランシーバ1は、光レセプタクル3を備えている。光レセプタクル3は、例えば光ファイバの先端に設けられた一対の光コネクタを、その前部3aに受容する。また、光レセプタクル3は、後述する一対の光モジュールを、その後部3bに受容する。つまり、光レセプタクル3は、光コネクタと光モジュールとを互いに光学的に結合するための空間を画成している。このような光レセプタクル3は、後部3bが筐体2の一端部2cに収容された状態において、筐体2に係止されている。したがって、光レセプタクル3の前部3aは筐体2の一端部2cから露出している。
【0021】
光レセプタクル3の前部3aには、光レセプタクル3の前方側を通るように回動可能にベール4が取り付けられている。ベール4の回動によって、光トランシーバ1の底面に付属するアクチュエータ5にシーソー運動を誘起し、光トランシーバ1とホストシステムとの係合が解除される。また、光レセプタクル3の後部3bには、光トランシーバ1の筐体をホストシステムのグランドに接続するための導電部材6が取り付けられている。
【0022】
光トランシーバ1は、一対の光モジュール7を備えている。光モジュール7は、光レセプタクル3の後段において筐体2に収容されている。光モジュール7のうちの一方は光送信に用いられ(光送信サブアセンブリ)、他方は光受信に用いられる(光受信サブアセンブリ)。光モジュール7のそれぞれは、上述したように、光レセプタクル3の後部3bに挿入され、光レセプタクル3の前部3aに挿入される光コネクタに光学的に結合される。
【0023】
光トランシーバ1は、回路基板(PCB)8を備えている。PCB8は、光モジュール7の後段において筐体2に収容されており、ベース2aとサブベース2bとの間に配置されている。PCB8には、光モジュール7のための種々の電子部品が実装されている。PCB8に実装される電子部品は、例えば、トランシーバIC等である。PCB8は、その後部においてコネクタ8aを有している。コネクタ8aは、筐体2の他端部2dから露出しており、光トランシーバ1をホストシステムに装着したときに、ホストシステムのコネクタに電気的に接続される。これにより、光トランシーバ1とホストシステムとの間の電気的な通信経路が確立される。
【0024】
光トランシーバ1は、フレキシブル基板(FPC)9を備えている。FPC9は、光モジュール7と回路基板8との間において筐体2に収容されている。FPC9は、一端が光モジュール7に接合されると共に他端がPCB8に接合されている。つまり、FPC9は、光モジュール7と回路基板8とを電気的に接続している。
【0025】
引き続いて、PCB8及びFPC9の詳細について説明する。図3は、図2に示されたPCB8の斜視図である。なお、図3においては、PCB8に実装された電子部品が省略されている。図3に示されるように、PCB8は、長方形板状を呈している。PCB8は、表面(第1の面)81と、表面81の反対側の裏面(第2の面)82と、光モジュール7側において表面81と裏面82とを接続する端面(第3の面)83とを有している。端面83は、PCB8の長手方向においてコネクタ8aの反対側に位置する端面である。表面81における端面83側の端部には、FPC接続用パッドP8が設けられている。また、例えば上述したトランシーバIC等は、表面81に実装されている。
【0026】
PCB8の端面83には、突起(第1の係合部)84が設けられている。突起84は、端面83からPCB8の長手方向に突出して設けられ、直方体状を呈している。突起84は、端面83の略中央部に設けられている。また、PCB8の端面83には、一対の突起(ストッパ)85がさらに設けられている。突起85は、端面83からPCB8の長手方向に突出して設けられている。突起85は、端面83の幅方向における両側部に設けられている。
【0027】
図4は、図2に示されたFPCの斜視図である。図4の(a)部は、FPC9の一方の側からの斜視図であり、(b)部は他方の側からの斜視図である。図4に示されるように、FPC9は、PCB8に接続されるPCB接続部(第1の部分)91と、光モジュール7のそれぞれに接続される一対の光モジュール接続部(第2の部分)92と、PCB接続部91と光モジュール接続部92とを接続する中間部(第3の部分)93とを有している。FPC9は、所望の形状に塑性変形可能に構成されている。
【0028】
FPC9のPCB接続部91は、長方形板状を呈している。PCB接続部91の裏面91aには、PCB8のFPC接続用パッドP8に対応するPCB接続用パッドP9が設けられている。したがって、FPC9をPCB8に接続する際には、そのPCB接続用パッドP9と、PCB8のFPC接続用パッドP8とを、例えば半田等の導電性接着剤によって互いに接着する。
【0029】
FPC9の中間部93は、PCB接続部91に接合されており、長方形板状を呈している。中間部93には、貫通孔(第2の係合部)94が設けられている。貫通孔94は、中間部93の略中央部に設けられている。貫通孔94の形状は、PCB8の突起84の外形状と略同一とされている。つまり、中間部93の略中央部には、PCB8の端面83に設けられた突起84を係合(嵌合)可能な貫通孔94が設けられている。
【0030】
FPC9の中間部93には、一対の切り欠き(剥離防止部)95がさらに設けられている。切り欠き95は、中間部93の長手方向の両側部に設けられている。切り欠き95の形状は、PCB8の端面83に設けられた突起85に対応している。つまり、中間部93の長手方向の両側部には、PCB8の端面83に設けられた突起85を係合(嵌合)可能な切り欠き95が設けられている。
【0031】
中間部93の裏面93aには、中間部93の全長に渡って延在する補強板(補強部材)96が取り付けられている。補強板96には、貫通孔94及び切り欠き95の縁部に沿うように切り欠きが設けられている。したがって、補強板96は、中間部93の全体を補強すると共に、貫通孔94及び切り欠き95の縁部を補強する。補強板96は、例えばポリイミドといった材料によって構成することができる。
【0032】
FPC9の光モジュール接続部92は、中間部93に接合されており、中間部93の長手方向に交差する方向に延びる長尺の長方形板状を呈している。光モジュール接続部92のうちの一方は、光モジュール7のそれぞれの位置に対応するように、他方に比べて長く構成されている。光モジュール接続部92の先端部には、光モジュール7のリードピンを接続するための電極部97が設けられている。光モジュール接続部92の先端部には、補強板98が取り付けられている。補強板98は、例えば、補強板96と同様の材料より構成することができる。
【0033】
図5及び図6は、FPCとPCBとが互いに接続された状態を示す斜視図である。図6の(a)部は図5の要部拡大図であり、(b)部は(a)部の矢印XAの方向からの図である。図5及び図6に示されるように、FPC9は、そのPCB接続部91がPCB8の表面81に接合されることでPCB8に接続される。より具体的には、PCB接続部91のPCB接続用パッドP9が、PCB8の表面81のFPC接続用パッドP8に接着される。
【0034】
その状態において、FPC9は(すなわち中間部93及び光モジュール接続部92は)、PCB8の表面81側に開口するようなU字状に変形されている。したがって、FPC9は、PCB8の表面81に接合されると共に、PCB8の表面81と反対の裏面82側に一旦引き回された後に光モジュール7に接続される。その結果、FPC9の中間部93が、PCB8の端面83に沿って延在することとなる。このとき、中間部93の貫通孔94に、PCB8の端面83の突起84が係合(嵌合)すると共に、中間部93の切り欠き95に、PCB8の端面83の突起85が係合(嵌合)する。
【0035】
なお、図7に示されるように、PCB8は、筐体2内において、光モジュール7の光軸(筐体2の厚さ方向における中心軸)LAよりも下側にオフセット(例えば1.5mm程度)を設けて配置されている。したがって、筐体2内においては、PCB8の裏面82側のスペース(すなわちPCB8の下側のスペース)S2が、PCB8の表面81側のスペース(すなわちPCB8の上側のスペース)S1よりも狭くなっている。FPC9は、その比較的狭いスペースS2に取り回されている。なお、図7は、図1に示された光トランシーバの一部切り欠き断面図である。図7においては、筐体2、PCB8、FPC9、及び光モジュール7のみを示している。
【0036】
以上説明したように、光トランシーバ1においては、FPC9は、PCB8の端面83に沿って延在する中間部93を有している。そして、中間部93には貫通孔94が設けられており、その貫通孔94には、PCB8の端面83に設けられた突起84が係合されている。また、中間部93には切り欠き95がさらに設けられており、その切り欠き95には、PCB8の端面83に設けられた突起85が係合されている。
【0037】
このため、例えば、FPC9と筐体2とが接触した場合等に、図6の矢印YAの方向(すなわち、PCB8とFPC9との接続が破断する方向)に応力が生じ、FPC9がその方向に移動しようとするが、貫通孔94及び切り欠き95の縁部と突起84,85とが互いに接触することにより、FPC9のその方向への移動が抑制される。つまり、PCB8とFPC9との相対的な位置ズレが防止される。したがって、PCB8とFPC9との接続部分に対して、その接続が破断するような方向に応力が加わらない。よって、この光トランシーバ1によれば、PCB8とFPC9との接続が破断することを抑制することができる。
【0038】
また、光トランシーバ1においては、中間部93の全長に渡って延在すると共に貫通孔94及び切り欠き95の縁部に沿うように切り欠きが設けられた補強板96が、中間部93に取り付けられている。このため、上述したように、PCB8とFPC9との接続が破断することを抑制すべく、中間部93に貫通孔94や切り欠き95を設けても、その剛性が低下することを防止することができ、ひいては、取り扱いが容易となる。
【0039】
また、光トランシーバ1においては、PCB8側の係合部として、PCB8の端面83に突起84,85を設ける構成を採用している。このように、PCB8における実装領域でない領域に外形形状(突起)を追加するだけなので、コストアップが比較的少ない。また、PCB8側の係合部として追加の部品を用いたり、PCB8の実装領域を利用したりする必要がないので、PCB8における配線の自由度が確保される。
【0040】
また、光トランシーバ1においては、FPC9側の係合部として、FPC9の中間部93に貫通孔94及び切り欠き95を設ける構成を採用している。このように、FPC9の係合部としてFPC9の不使用領域を利用するので、FPC9の最大寸法が変化しないため、コストアップが比較的少ない。さらに、FPC9に貫通孔94や切り欠き95を設けるための加工には特別な装置や治具が必要ないので、加工費を増大させることなく短時間で簡単にFPC9を製造することができる。
【0041】
さらには、光トランシーバ1によれば、上述したようにFPC9とPCB8との相対的な位置ズレが防止されるので、例えば、光トランシーバ1の組み立て作業中において、互いに接続されたPCB8とFPC9とをハンドリングする際に、PCB8とFPC9とが剥離する方向について応力が生じることを勘案する必要がない。
[第2実施形態]
【0042】
図8は、本発明の第2実施形態に係る光トランシーバの分解斜視図である。図8に示される光トランシーバ1Aは、光トランシーバ1と同様にプラガブルタイプの光トランシーバである。光トランシーバ1Aは、種々の部品を収容する筐体10を備えている。筐体10は、上部筐体10aと下部筐体10bとによって、長尺の四角筒状に構成されている。なお、後の説明においては、筐体10の長手方向における一端部10c側を「前」、他端10d側を「後」ということがある。
【0043】
光トランシーバ1Aは、光モジュール11を備えている。光モジュール11は、筐体10の一端部10c側において筐体10に収容されている。光モジュール11は、例えば、光送信サブアセンブリと光受信サブアセンブリとを、互いの光軸を略90°違えた状態において一体に組み立てることにより構成されている。
【0044】
光トランシーバ1Aは、PCB(第1の回路基板)12とPCB(第2の回路基板)13とを備えている。PCB12及びPCB13は、光モジュール11の後段において筐体10に収容されている。PCB12及びPCB13には、光モジュール11のための種々の電子部品が実装されている。PCB12とPCB13とは、所定の間隔でもって互いに略平行に配置されている。
【0045】
PCB12は、その後部においてコネクタ12aを有している。コネクタ12aは、筐体10の他端部10dから露出しており、光トランシーバ1Aをホストシステムに装着したときに、ホストシステムのコネクタに電気的に接続される。これにより、光トランシーバ1Aとホストシステムとの間の電気的な通信経路が確立される。また、PCB12及びPCB13は、FPC14によって、光モジュール11に電気的に接続されている。
【0046】
光トランシーバ1Aは、FPC15を備えている。FPC15は、PCB12とPCB13とを間において筐体10に収容されている。FPC15は、一端がPCB12に接続されており、他端がPCB13に接続されている。つまり、FPC15は、PCB12とPCB13とを電気的に接続している。
【0047】
引き続いて、PCB12、及びFPC15について詳細に説明する。図9は、図8に示されたPCBの斜視図である。図9の(a)部はPCB12を示しており、(b)部はPCB13及びFPC15を示している。また、図10は、PCB同士をFPCによって接続した状態を示す斜視図である。図10の(a)部は、一方の側からの斜視図であり、(b)部は他方の側からの斜視図である。図11は、図10の(b)の要部拡大図である。
【0048】
図9〜11に示されるように、PCB12は、長方形板状を呈している。PCB12は、表面(第1の面)121と、表面121の反対側の裏面(第2の面)122と、PCB12の長手方向に交差する方向の端部において表面121と裏面122とを接続する側面(第3の面)123とを有している。
【0049】
PCB12の側面123には、一対の突起(第1の係合部)124が設けられている。より具体的には、PCB12の側面123には、凹部123aが設けられており、その凹部123aの底面に一対の突起124が設けられている。突起124は、直方体状を呈している。
【0050】
PCB13は長方形板状を呈しており、PCB12の側面123に対応する側部にFPC15が接合されている。そのFPC15は、PCB12に接続される第1の接続部(第1の部分)151と、PCB13に接続される第2の接続部(第2の部分)152と、第1の接続部151と第2の接続部152とを接続する中間部(第3の部分)153とを有している。
【0051】
中間部153には、一対の貫通孔(第2の係合部)154が設けられている。貫通孔154のそれぞれは、PCB12の突起124のそれぞれに対応する位置に設けられている。貫通孔154の形状は、PCB12の突起124の外形状と略同一とされている。つまり、中間部153には、PCB12の側面123に設けられた突起124を係合(嵌合)可能な貫通孔154が設けられている。このような中間部153は、その貫通孔154をPCB12の突起124に係合しつつPCB12の側面123に沿って延在している。
【0052】
第1の接続部151は、中間部153に接合されており、PCB12の表面121に、例えば半田等の導電性接着剤によって接着されている。第2の接続部152は、中間部153に接合されており、PCB13の裏面132に、例えば半田等の導電性接着剤によって接着されている。FPC15は、第1の接続部151、第2の接続部152、及び中間部153によって、PCB12とPCB13との間のスペースに向けて開放するようなU字状を成している。
【0053】
以上説明したように、光トランシーバ1Aにおいては、FPC15は、PCB12の側面123に沿って延在する中間部153を有している。そして、中間部153には貫通孔154が設けられており、その貫通孔154には、PCB12の側面123に設けられた突起124が係合されている。このため、第1実施形態に係る光トランシーバ1と同様の理由により、PCB12とFPC15の相対的な位置ズレを防止することができる。したがって、PCB12とFPC15との接続部分に対してその接続が破断するような方向に応力が加わらない。その結果、この光トランシーバ1Aによれば、PCB12とFPC15との接続が破断することを抑制することができる。
【0054】
なお、光トランシーバ1Aにおいては、FPC15の中間部153の少なくとも一方の側部に、切り欠きを設けてもよい。その場合には、その切り欠きに係合するような突起を、PCB12の側面123における凹部123aに設けることができる。このように構成することにより、PCB12とFPC15との接続部分の側部についても、その接続が破断することを抑制することができる。
【0055】
また、光トランシーバ1Aにおいては、FPC15の少なくとも中間部153に補強部材を取り付けることができる。その補強部材は、補強板96と同様に、中間部153の全長に渡って延在すると共に、中間部153の貫通孔154の縁部に沿った切り欠き(或いは貫通孔)を有することが望ましい。これにより、中間部153の全体を補強できると共に、貫通孔154の縁部を補強することができる。
【0056】
以上の第1及び第2実施形態は、本発明に係る光トランシーバの一実施形態を説明したものである。したがって、本発明に係る光トランシーバは、上述した光トランシーバ1及び光トランシーバ1Aに限定されるものではない。本発明に係る光トランシーバは、特許請求の範囲に示された各請求項の要旨を変更しない範囲において、光トランシーバ1及び光トランシーバ1Aを任意に変形したものとすることができる。
【0057】
例えば、光トランシーバ1及び光トランシーバ1Aにおいては、PCBとFPCとの係合部として、PCB側に突起を設けると共に、FPC側にその突起に係合する貫通孔や切り欠きを設けたが、PCBとFPCとの係合部はこれに限定されない。例えば、PCB側に凹部を設けると共に、FPC側にその凹部に係合する突起を設けてもよい。すなわち、PCBとFPCとの係合部は、互いの相対的な位置ズレを防止できるものであればよい。
【符号の説明】
【0058】
1,1A…光トランシーバ、7,11…光モジュール、8…PCB(回路基板)、9,15…FPC(フレキシブル基板)、12…PCB(第1の回路基板)、13…PCB(第2の回路基板)、81,121…表面(第1の面)、82,122…裏面(第2の面)、83…端面(第3の面)、84,124…突起(第1の係合部)、85…突起、91…PCB接続部(第1の部分)、92…光モジュール接続部(第2の部分)、93…中間部(第3の部分)、94,154…貫通孔(第2の係合部)、95…切り欠き、96…補強板(補強部材)、151…第1の接続部(第1の部分)、152…第2の接続部(第2の部分)、153…中間部(第3の部分)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光モジュールと、回路基板と、前記光モジュールと前記回路基板とを電気的に接続するフレキシブル基板とを備える光トランシーバであって、
前記回路基板は、第1の面と、前記第1の面の反対側の第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを接続する第3の面とを有し、
前記フレキシブル基板は、前記回路基板の前記第1の面に接続される第1の部分と、前記光モジュールに接続される第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分とを接続する第3の部分とを有し、
前記回路基板の第3の面には、第1の係合部が設けられており、
前記フレキシブル基板の前記第3の部分には、第2の係合部が設けられており、
前記フレキシブル基板の前記第3の部分は、前記第2の係合部を前記第1の係合部に係合しつつ前記回路基板の前記第3の面に沿って延在している、ことを特徴とする光トランシーバ。
【請求項2】
光モジュールと、第1及び第2の回路基板と、前記第1の回路基板と前記第2の回路基板とを電気的に接続するフレキシブル基板とを備える光トランシーバであって、
前記第1の回路基板は、第1の面と、前記第1の面の反対側の第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを接続する第3の面とを有し、
前記フレキシブル基板は、前記第1の回路基板の前記第1の面に接続される第1の部分と、前記第2の回路基板に接続される第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分とを接続する第3の部分とを有し、
前記第1の回路基板の第3の面には、第1の係合部が設けられており、
前記フレキシブル基板の前記第3の部分には、第2の係合部が設けられており、
前記フレキシブル基板の前記第3の部分は、前記第2の係合部を前記第1の係合部に係合しつつ前記第1の回路基板の前記第3の面に沿って延在している、ことを特徴とする光トランシーバ。
【請求項3】
前記第1の係合部は、前記第3の面から突出して設けられた突起であり、
前記第2の係合部は、前記第3の部分を貫通する貫通孔である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光トランシーバ。
【請求項4】
前記第3の部分の少なくとも一方の側部には、切り欠きが設けられており、
前記第3の面には、前記第3の部分の前記切り欠きに係合する突起が設けられている、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光トランシーバ。
【請求項5】
前記第3の部分には補強部材が取り付けられている、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光トランシーバ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−61413(P2013−61413A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198615(P2011−198615)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】