説明

光ピックアップ装置およびその製造方法

【課題】フロントモニタ方式の光ピックアップ装置であって、部品や組立のばらつきに起因したフロントモニタ検出器への入射光量ばらつきを解消できるものを提供すること。
【解決手段】レーザ光を取り込むための窓を有し、この窓に面してフロントモニタ検出器24を収容するハウジング26を備える。ハウジング26の内寸法は、窓が存するハウジング前面に沿った少なくとも一つの方向に関して、フロントモニタ検出器24の寸法よりも大きい。フロントモニタ検出器24はフレキシブル基板25に搭載されている。フレキシブル基板25に設けられた引っ掛け部25u,25vに係合して、ハウジング26の外部から、ハウジング26内でのフロントモニタ検出器24の位置が調整可能になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザ光を用いて情報記録媒体からの情報の読み取りや情報記録媒体への情報の書き込みを行う光ピックアップ装置に関する。より詳しくは、この発明は、フロントモニタ方式の光ピックアップ装置、つまりレーザ光源から情報記録媒体へ向けてレーザ光を出射し、そのレーザ光の光量を検出して上記レーザ光源の出力パワーをフィードバック制御するタイプの光ピックアップ装置に関する。
【0002】
なお、情報記録媒体としては、典型的にはDVD(デジタルビデオディスク)、CD(コンパクトディスク)などが挙げられる。
【0003】
また、この発明は、そのようなフロントモニタ方式の光ピックアップ装置を製造する光ピックアップ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0004】
この種のフロントモニタ方式の光ピックアップ装置は、基本的には図1に示すように、半導体レーザ1が情報記録媒体(光ディスク)8へ向けて出射するレーザ光の経路に、回折格子2、反射ミラー3、ビームスプリッタ4、コリメートレンズ5、対物レンズ6を備えるとともに、フロントモニタ検出器7を備えている。半導体レーザ1から出射されたレーザ光は、回折格子2、ビームスプリッタ4、コリメートレンズ5、対物レンズ6を通して光ディスク8に照射される。同時に、上記レーザ光の一部は反射ミラー3によって反射されてフロントモニタ検出器7に入射し、フロントモニタ検出器7がその入射したレーザ光の光量を検出する。そして、図示しないフィードバック制御系がフロントモニタ検出器7の出力レベルが一定になるように半導体レーザ1に流す駆動電流をフィードバック制御して、半導体レーザ1の出力パワーを一定に保つ(例えば、特許文献1(特開2000−21001号公報)の第2頁段落0004−0008、図3参照。)。
【0005】
上述のフロントモニタ検出器7は、上部が開放された図示しないハウジングに収容される。従来は、このハウジングの内寸法はフロントモニタ検出器7(より正確には、フロントモニタ検出器7が搭載されているフレキシブル基板を含む)の寸法と実質的に等しく設定されている。光ピックアップ装置の組立の際は、フロントモニタ検出器7が上方からハウジング内に差し込まれる。フロントモニタ検出器7はハウジング内に嵌合し、ハウジング底面に当接した位置で固定される。このように、従来は、ハウジングの内寸法とフロントモニタ検出器7の寸法とを一致させることで、ハウジングに対してフロントモニタ検出器7の取付精度を高めるようにしている。
【特許文献1】特開2000−21001号公報
【特許文献2】特開2002−100069号公報
【特許文献3】特開2002−251775号公報
【特許文献4】特開2002−298421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、フロントモニタ方式の光ピックアップ装置では、半導体レーザ1の放射特性のばらつき、反射ミラー3の反射率や取付のばらつき、フロントモニタ検出器7の取付のばらつき等の、部品や組立のばらつきに起因して、フロントモニタ検出器7への入射光量にばらつきが発生する。
【0007】
このようなフロントモニタ検出器7への入射光量ばらつきによる影響は、外付け抵抗によるフィードバック制御系のゲイン調整によって、個々の光ピックアップ装置ごとに抑えられる。しかしながら、外付け抵抗によりゲイン調整を行った場合、半導体レーザ1の出力パワーを適正範囲に入れることができても、フィードバック制御系の応答速度に影響が生ずる。
【0008】
この影響は、光ディスク8に書き込みを行う場合、特にノートパソコンに内蔵されるようなスリムタイプ(上下方向の幅が狭い)の光ピックアップ装置で光ディスク8に書き込みを行う場合に、深刻になる。
【0009】
そこで、この発明の課題は、フロントモニタ方式の光ピックアップ装置であって、部品や組立のばらつきに起因したフロントモニタ検出器への入射光量ばらつきを解消できるものを提供することにある。
【0010】
また、この発明の課題は、そのようなフロントモニタ方式の光ピックアップ装置を製造するのに適した光ピックアップ装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明の光ピックアップ装置は、
レーザ光源から情報記録媒体へ向けてレーザ光を出射し、そのレーザ光の光量をフロントモニタ検出器によって検出して上記レーザ光源の出力パワーをフィードバック制御しながら、上記レーザ光を用いて上記情報記録媒体からの情報の読み取りおよび/または情報記録媒体への情報の書き込みを行うフロントモニタ方式の光ピックアップ装置において、
上記レーザ光を取り込むための窓を有し、この窓に面して上記フロントモニタ検出器を収容するハウジングを備え、
上記ハウジングの内寸法は、上記窓が存するハウジング前面に沿った少なくとも一つの方向に関して、上記フロントモニタ検出器の寸法よりも大きく、
上記フロントモニタ検出器はフレキシブル基板に搭載されて、
上記フレキシブル基板に設けられた引っ掛け部に係合して、上記ハウジングの外部から、上記ハウジング内での上記フロントモニタ検出器の位置が調整可能になっていることを特徴とする。
【0012】
なお、この明細書では、ハウジングの前後の向きはレーザ光が入射する向きによって定義する。つまり、ハウジングの前方から後方へ向かう向きにレーザ光が入射するものとする。
【0013】
この発明の光ピックアップ装置では、上記フロントモニタ検出器を搭載しているフレキシブル基板に、上記ハウジングの外部から係合される引っ掛け部が設けられている。したがって、この光ピックアップ装置の組立の際、フロントモニタ検出器をハウジングに収容した後、上記ハウジングの外部から係合部材を上記フレキシブル基板の引っ掛け部に係合して、上記フロントモニタ検出器の位置調整を行うことができる。つまり、ハウジング内に収容された上記フロントモニタ検出器の位置を、ハウジングの外部から容易に調整できる。
【0014】
より詳しくは、この光ピックアップ装置では、上記ハウジングの内寸法は、上記窓が存するハウジング前面に沿った少なくとも一つの方向に関して、上記フロントモニタ検出器の寸法よりも大きく設定されている。したがって、上記ハウジング内で上記フロントモニタ検出器がその方向に位置調整され得る。
【0015】
この光ピックアップ装置では、このようにハウジング内での上記フロントモニタ検出器の位置、したがってこのハウジングの窓を通して取り込まれるレーザ光に対して上記フロントモニタ検出器の位置が調整可能になっている。したがって、部品や組立のばらつきに起因したフロントモニタ検出器への入射光量ばらつきが、上記フロントモニタ検出器の位置調整によって解消される。
【0016】
例えば、この光ピックアップ装置の組立の際、まず、検出されるレーザ光源の光量が設計上の中央値よりも高めになるような位置に上記フロントモニタ検出器を取り付ける。続いて、上記フロントモニタ検出器を、例えばハウジング内に挿入された向きと逆向きに移動させる。これにより、検出されるレーザ光源の光量が設計上の中央値に近づく。そのような位置に上記フロントモニタ検出器を止める。このようにした場合、部品や組立のばらつきに起因したフロントモニタ検出器への入射光量ばらつきを解消できる。しかも、フィードバック制御系の応答速度には影響が生じない。
【0017】
一実施形態の光ピックアップ装置では、上記フレキシブル基板の引っ掛け部は、このフレキシブル基板の材料よりも硬質の材料によって補強されていることを特徴とする。
【0018】
なお、「補強」は、上記フレキシブル基板の引っ掛け部に硬質基板を貼り付けて補強する態様を含む。
【0019】
この一実施形態の光ピックアップ装置では、上記フレキシブル基板の引っ掛け部は、このフレキシブル基板の材料よりも硬質の材料によって補強されている。したがって、上記ハウジングの外部から係合部材を上記フレキシブル基板の引っ掛け部に係合して、上記フロントモニタ検出器の位置調整を行う際に、上記フレキシブル基板の引っ掛け部付近が破損するのが防止される。したがって、上記フロントモニタ検出器の位置調整を円滑に行うことができる。
【0020】
この発明の光ピックアップ装置の製造方法は、
上記光ピックアップ装置が有するフレキシブル基板の引っ掛け部をハウジングの外部へ突出するように形成し、
上記ハウジングの外部から係合部材を上記引っ掛け部に係合して、上記フレキシブル基板を上記フロントモニタ検出器とともに上記ハウジング内で移動させて、上記レーザ光に対する上記フロントモニタ検出器の位置を調整した後、
上記ハウジングの外部へ突出する上記引っ掛け部を切断して除去することを特徴とする。
【0021】
この発明の光ピックアップ装置の製造方法では、フロントモニタ検出器をハウジングに収容した後、上記ハウジングの外部から係合部材を上記フレキシブル基板の引っ掛け部に係合して、上記フロントモニタ検出器の位置調整を行うことができる。したがって、ハウジング内に収容された上記フロントモニタ検出器の位置を、ハウジングの外部から容易に調整できる。しかも、上記レーザ光に対する上記フロントモニタ検出器の位置を調整した後、上記ハウジングの外部へ突出する上記引っ掛け部を切断して除去するので、組立後に、上記引っ掛け部がハウジングの外部へ突出する状態で残らない。したがって、光ピックアップ装置をコンパクトに作製できる。
【0022】
また、別の局面では、この発明の光ピックアップ装置は、レーザ光源から情報記録媒体へ向けてレーザ光を出射し、そのレーザ光の光量をフロントモニタ検出器によって検出して上記レーザ光源の出力パワーをフィードバック制御しながら、上記レーザ光を用いて上記情報記録媒体からの情報の読み取りおよび/または情報記録媒体への情報の書き込みを行うフロントモニタ方式の光ピックアップ装置において、上記レーザ光を取り込むための窓を有し、この窓に面して上記フロントモニタ検出器を収容するハウジングを備え、上記ハウジング内で上記フロントモニタ検出器の位置が調整可能になっていることを特徴とする。
【0023】
なお、「ハウジング内で」とは、上記フロントモニタ検出器がハウジング内に完全に収容された状態にあることを意味する。
【0024】
この発明の光ピックアップ装置では、ハウジング内で、したがってこのハウジングの窓を通して取り込まれるレーザ光に対して上記フロントモニタ検出器の位置が調整可能になっている。したがって、部品や組立のばらつきに起因したフロントモニタ検出器への入射光量ばらつきが、上記フロントモニタ検出器の位置調整によって解消される。
【0025】
例えば、この光ピックアップ装置の組立の際、まず上記フロントモニタ検出器を外部からハウジング内に挿入して、検出されるレーザ光源の光量が設計上の中央値よりも高めになるような位置に上記フロントモニタ検出器を取り付ける。続いて、上記フロントモニタ検出器を、例えばハウジング内に挿入された向きと逆向きに移動させる。これにより、検出されるレーザ光源の光量が設計上の中央値に近づく。そのような位置に上記フロントモニタ検出器を止める。このようにした場合、部品や組立のばらつきに起因したフロントモニタ検出器への入射光量ばらつきを解消できる。しかも、フィードバック制御系の応答速度には影響が生じない。
【0026】
一実施形態の光ピックアップ装置は、上記ハウジングの内寸法は、上記窓が存するハウジング前面に沿った少なくとも一つの方向に関して、上記フロントモニタ検出器の寸法よりも大きく設定されていることを特徴とする。
【0027】
この一実施形態の光ピックアップ装置では、上記ハウジングの内寸法は、上記窓が存するハウジング前面に沿った少なくとも一つの方向に関して、上記フロントモニタ検出器の寸法よりも大きく設定されている。したがって、上記ハウジング内で上記フロントモニタ検出器がその方向に位置調整され得る。
【0028】
一実施形態の光ピックアップ装置は、上記ハウジングは、上記窓が存するハウジング前面に連なり前後方向に延びる少なくとも一つの壁面に貫通穴を有し、上記ハウジングの外部からその貫通穴を通して上記フロントモニタ検出器が位置調整されるようになっていることを特徴とする。
【0029】
この一実施形態の光ピックアップ装置では、上記ハウジングは、上記窓が存するハウジング前面に連なり前後方向に延びる少なくとも一つの壁面に貫通穴を有し、上記ハウジングの外部からその貫通穴を通して上記フロントモニタ検出器が位置調整されるようになっている。したがって、ハウジング内に収容された上記フロントモニタ検出器の位置を、ハウジングの外部から容易に調整できる。
【0030】
一実施形態の光ピックアップ装置は、上記貫通穴はねじ穴であることを特徴とする。
【0031】
この一実施形態の光ピックアップ装置では、上記貫通穴はねじ穴であるから、ハウジングの外部からそのねじ穴にねじを嵌めて回せば、ねじ先でフロントモニタ検出器の位置を容易に微調整できる。
【0032】
一実施形態の光ピックアップ装置は、上記ハウジングの内寸法は、上記窓が存するハウジング前面に垂直な前後方向に関して、上記フロントモニタ検出器の寸法よりも大きく設定されて、上記ハウジング内で上記フロントモニタ検出器の後側に、このフロントモニタ検出器をハウジング前壁へ押し付けるように、上記フロントモニタ検出器を搭載しているフレキシブル基板の一部が折り曲げられて挿入されることを特徴とする。
【0033】
この一実施形態の光ピックアップ装置では、上記ハウジング内で上記フロントモニタ検出器の後側に、このフロントモニタ検出器をハウジング前壁へ押し付けるように、上記フロントモニタ検出器を搭載しているフレキシブル基板の一部が折り曲げられて挿入される。したがって、上記ハウジング内で前後方向に関して、上記フロントモニタ検出器の位置が定められる。
【0034】
一実施形態の光ピックアップ装置は、上記ハウジングの内寸法は、上記窓が存するハウジング前面に垂直な前後方向に関して、上記フロントモニタ検出器の寸法よりも大きく設定されて、上記ハウジング内で上記フロントモニタ検出器の後側に、このフロントモニタ検出器を搭載しているフレキシブル基板の弛みを吸収するように、上記フロントモニタ検出器を搭載しているフレキシブル基板の一部が折り曲げられて挿入されることを特徴とする。
【0035】
この一実施形態の光ピックアップ装置では、上記ハウジング内で上記フロントモニタ検出器の後側に、このフロントモニタ検出器を搭載しているフレキシブル基板の弛みを吸収するように、上記フロントモニタ検出器を搭載しているフレキシブル基板の一部が折り曲げられて挿入される。したがって、フレキシブル基板の弛みが吸収されて、フレキシブル基板の残りの部分の配置が容易になる。
【0036】
一実施形態の光ピックアップ装置は、上記フレキシブル基板のうち上記フロントモニタ検出器よりも先端側に存する部分が上記フロントモニタ検出器の後側に折り曲げられて挿入されることを特徴とする。
【0037】
ここで「上記フレキシブル基板のうち上記フロントモニタ検出器よりも先端側」とは、この光ピックアップ装置の組立の際、ハウジング内に先に挿入される側を意味する。
【0038】
この一実施形態の光ピックアップ装置では、上記フレキシブル基板のうち上記フロントモニタ検出器よりも先端側に存する部分(これを「フレキシブル基板の先端部」と呼ぶ。)が上記フロントモニタ検出器の後側に折り曲げられて挿入される。したがって、上記フレキシブル基板の先端部によって、フロントモニタ検出器がハウジング前壁へ押し付けられる。この結果、ハウジング内で前後方向に関して、上記フロントモニタ検出器の位置が定められる。
【0039】
一実施形態の光ピックアップ装置は、上記フレキシブル基板は上記ハウジング内に挿入される方向に対して上記フロントモニタ検出器よりもそれぞれ左側、右側へ張り出した左ウイング部と右ウイング部を有し、上記フレキシブル基板の左ウイング部と右ウイング部がそれぞれ上記フロントモニタ検出器の後側に折り曲げられて挿入されることを特徴とする。
【0040】
この一実施形態の光ピックアップ装置では、上記フレキシブル基板の左ウイング部と右ウイング部がそれぞれ上記フロントモニタ検出器の後側に折り曲げられて挿入される。したがって、上記フレキシブル基板の左ウイング部と右ウイング部によって、フロントモニタ検出器がハウジング前壁へ押し付けられる。この結果、ハウジング内で前後方向に関して、上記フロントモニタ検出器の位置が定められる。
【0041】
一実施形態の光ピックアップ装置は、上記フレキシブル基板の左ウイング部と右ウイング部はいずれも上記ハウジングの奥壁と側壁に当接していることを特徴とする。
【0042】
この一実施形態の光ピックアップ装置では、上記フレキシブル基板の左ウイング部と右ウイング部はいずれも上記ハウジングの奥壁に加えて側壁にも当接している。したがって、上記フロントモニタ検出器はハウジング前壁へ押し付けられて前後方向に関して位置が定められるのに加えて、上記フレキシブル基板の左ウイング部と右ウイング部が左右の側壁から受ける反力によって、上記フロントモニタ検出器は左右方向に関して位置が定められる。
【0043】
一実施形態の光ピックアップ装置は、上記フロントモニタ検出器を搭載しているフレキシブル基板に、上記ハウジングの外部から係合される引っ掛け部が設けられていることを特徴とする。
【0044】
この一実施形態の光ピックアップ装置では、上記フロントモニタ検出器を搭載しているフレキシブル基板に、上記ハウジングの外部から係合される引っ掛け部が設けられている。したがって、この光ピックアップ装置の組立の際、フロントモニタ検出器をハウジングに収容した後、上記ハウジングの外部から係合部材を上記フレキシブル基板の引っ掛け部に係合して、上記フロントモニタ検出器の位置調整を行うことができる。つまり、ハウジング内に収容された上記フロントモニタ検出器の位置を、ハウジングの外部から容易に調整できる。
【0045】
一実施形態の光ピックアップ装置は、上記フレキシブル基板の引っ掛け部は、このフレキシブル基板の材料よりも硬質の材料によって補強されていることを特徴とする。
【0046】
なお、「補強」は、上記フレキシブル基板の引っ掛け部に硬質基板を貼り付けて補強する態様を含む。
【0047】
この一実施形態の光ピックアップ装置では、上記フレキシブル基板の引っ掛け部は、このフレキシブル基板の材料よりも硬質の材料によって補強されている。したがって、上記ハウジングの外部から係合部材を上記フレキシブル基板の引っ掛け部に係合して、上記フロントモニタ検出器の位置調整を行う際に、上記フレキシブル基板の引っ掛け部付近が破損するのが防止される。したがって、上記フロントモニタ検出器の位置調整を円滑に行うことができる。
【0048】
また、別の局面では、この発明の光ピックアップ装置の製造方法は、上記光ピックアップ装置が有するフレキシブル基板の引っ掛け部をハウジングの外部へ突出するように形成し、上記ハウジングの外部から係合部材を上記引っ掛け部に係合して、上記フレキシブル基板を上記フロントモニタ検出器とともに上記ハウジング内で移動させて、上記レーザ光に対する上記フロントモニタ検出器の位置を調整した後、上記ハウジングの外部へ突出する上記引っ掛け部を切断して除去することを特徴とする。
【0049】
この発明の光ピックアップ装置の製造方法では、フロントモニタ検出器をハウジングに収容した後、上記ハウジングの外部から係合部材を上記フレキシブル基板の引っ掛け部に係合して、上記フロントモニタ検出器の位置調整を行うことができる。したがって、ハウジング内に収容された上記フロントモニタ検出器の位置を、ハウジングの外部から容易に調整できる。しかも、上記レーザ光に対する上記フロントモニタ検出器の位置を調整した後、上記ハウジングの外部へ突出する上記引っ掛け部を切断して除去するので、組立後に、上記引っ掛け部がハウジングの外部へ突出する状態で残らない。したがって、光ピックアップ装置をコンパクトに作製できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0051】
これから説明する光ピックアップ装置は、図1に示した基本構成をもつフロントモニタ方式のものであって、半導体レーザ1が情報記録媒体(光ディスク)8へ向けて出射するレーザ光の経路に、回折格子2、反射ミラー3、ビームスプリッタ4、コリメートレンズ5、対物レンズ6を備えるとともに、フロントモニタ検出器7を備えている。半導体レーザ1から出射されたレーザ光は、回折格子2、ビームスプリッタ4、コリメートレンズ5、対物レンズ6を通して情報記録媒体としての光ディスク8に照射される。このレーザ光を用いて光ディスク8からの情報の読み取りや光ディスク8への情報の書き込みを行う。同時に、上記レーザ光の一部は反射ミラー3によって反射されてフロントモニタ検出器7に入射し、フロントモニタ検出器7がその入射したレーザ光の光量を検出する。そして、図示しないフィードバック制御系がフロントモニタ検出器7の出力レベルが一定になるように半導体レーザ1に流す駆動電流をフィードバック制御して、半導体レーザ1の出力パワーを一定に保つ。なお、図1は、光ピックアップ装置の構成要素間の原理的な関係を示すものであって、構成要素の実際の空間的配置を表しているのではない。
【0052】
(第1参考例)
図2(a)(b)は、本発明の基礎となるフロントモニタ方式の光ピックアップ装置が備える、フロントモニタ検出器9とそれを収容したハウジング10との具体的な構成を示している。図2(a)は上方から見たところを示し、図2(b)は前方からハウジング10の前壁を省略して見た断面を示している。なお、理解の容易のために、左右方向をx軸、前後方向をy軸、上下方向をz軸とする直交座標を図中に表している(図3〜図9についても同様。)。
【0053】
フロントモニタ検出器9は略直方体状の外形を有している。フロントモニタ検出器9の前面9aはレーザ光を受けるための受光面になっている。一方、フロントモニタ検出器9の後面9bはフレキシブル基板12に貼り付けられている。このフロントモニタ検出器9の出力は、帯状に延びるフレキシブル基板12上に設けられた図示しない配線を経由して上記フィードバック制御系へ送られる。フレキシブル基板12はポリイミド樹脂などの可撓性を有する材料からなっている。なお、この例では、フレキシブル基板12の先端部にフロントモニタ検出器9が搭載されている。
【0054】
ハウジング10は、このハウジングの前面をなす前壁10aと、奥面をなす奥壁10bと、左側壁10cと、右側壁10dと、底面をなす底壁10eとを有し、上部が開放されている。ハウジング前壁10aには、上下方向に延びる断面凹状の窪み10sが形成されている。窪み10sの左右方向の幅はフロントモニタ検出器9の左右方向の寸法と実質的に一致している。したがって、この窪み10sの段差によってフロントモニタ検出器9の左右方向の動きが規制される。ただし、窪み10sは上下方向に延びているので、この窪み10sによってフロントモニタ検出器9の上下方向の動きが規制されることはない。ハウジング前壁10aのうち窪み10sの中央に相当する部分には、ハウジング10の外部からハウジング内へレーザ光を取り込むための窓10wが形成されている。この窓10wは窪み10sに沿って上下方向に延びている。
【0055】
ハウジング奥壁10b、左側壁10cおよび右側壁10dはそれぞれ平坦に形成されている。ハウジング10の内寸法は、左右方向および前後方向に関して、フロントモニタ検出器9を搭載したフレキシブル基板12の先端部の寸法よりも若干大きく設定されている。その理由は、フロントモニタ検出器9をフレキシブル基板12とともに上方からハウジング10内に挿入するときに、それらの周りに若干クリアランスをもたせるためである。また、ハウジング10の内寸法は、上下方向に関して、フロントモニタ検出器9の寸法よりも大きく、この例では1.5倍程度に設定されている。その理由は、フロントモニタ検出器9の上下方向の位置を調整可能にするためである。
【0056】
ハウジング底壁10eは、概略平坦に形成されているが、フロントモニタ検出器9の直下に相当する部分には、フロントモニタ検出器9の寸法よりも小さい寸法をもつ貫通穴としての角穴10u,10vが形成されている。
【0057】
この光ピックアップ装置の組立の際、まずフロントモニタ検出器9をフレキシブル基板12とともに上方からハウジング10内に挿入する。そして、フロントモニタ検出器9をハウジング前壁10aの窪み10sに嵌合させるとともに、ハウジング底壁10eに当接させる。この例では、このフロントモニタ検出器9の位置は、フロントモニタ検出器9によって検出されるレーザ光の光量が設計上の中央値(適正範囲の中央値)よりも高めになるような位置になっている。このとき、フロントモニタ検出器9の上方には、位置調整用の空間11が生じている。続いて、フロントモニタ検出器9を、ハウジング10の下方からハウジング底壁10eの角穴10u,10vを通して例えば棒部材を挿入して、上向きに移動させる。これにより、検出されるレーザ光の光量が設計上の中央値に近づく。
【0058】
すなわち、部品ばらつき、組立ばらつきが少なくて、フロントモニタ検出器9によって検出されるレーザ光の光量が設計上の中央値よりも十分高くなったときは、フロントモニタ検出器9を上方へ比較的大きく移動させる。逆に部品ばらつき、組立ばらつきが大きくても、フロントモニタ検出器9によって検出されるレーザ光の光量が設計上の中央値よりも若干高くなる。したがって、このときは、フロントモニタ検出器9を上方へ比較的小さく移動させる。いずれにしても、フロントモニタ検出器9によって検出されるレーザ光の光量が設計上の中央値に近づく方向となる。
【0059】
そして、検出されるレーザ光の光量が設計上の中央値に近づいた位置にフロントモニタ検出器9を止めて固定する。
【0060】
このようにした場合、部品や組立のばらつきに起因したフロントモニタ検出器9への入射光量ばらつきを解消できる。しかも、フィードバック制御系の応答速度には影響が生じない。また、ハウジング底壁10eに角穴10u,10vが形成されているので、ハウジング10内に収容されたフロントモニタ検出器10の位置を、ハウジング10の外部から容易に調整できる。
【0061】
(第2参考例)
図3は、本発明の基礎となるフロントモニタ方式の光ピックアップ装置が備える、別のフロントモニタ検出器13とそれを収容したハウジング14との具体的な構成を示している。この図3は、図2(b)と同様に、前方からハウジング14の前壁を省略して見た断面を示している。
【0062】
この例では、フロントモニタ検出器13とそれを搭載したフレキシブル基板15とは、それぞれ先に述べたフロントモニタ検出器9、フレキシブル基板12と同じに構成されている。フロントモニタ検出器13の前面13aは、先に述べたフロントモニタ検出器9の前面9aと同様に、受光面となっている。
【0063】
一方、ハウジング14の底壁14eには、先に述べた角穴10u,10vに代えて、貫通穴としてねじ穴14uが形成されている。ハウジング14のそれ以外の要素は、先に述べたハウジング10と同じに構成されている。
【0064】
この例のように、貫通穴をねじ穴14uとした場合、ハウジング14の下方からそのねじ穴14uにねじ16を嵌めて、その頭部16bを図示しないドライバで回せば、ねじ16を上下方向に徐々に進退させることができる。したがって、ねじ先16でフロントモニタ検出器13の位置を容易に微調整できる。この結果、検出されるレーザ光の光量が設計上の中央値に近づいた位置にフロントモニタ検出器13を容易に止めることができる。しかも、ねじ16を装着したままにすれば、フロントモニタ検出器13の下方への移動を規制でき、フロントモニタ検出器13を容易に固定することができる。
【0065】
(第3参考例)
図4(a)(b)は、本発明の基礎となるフロントモニタ方式の光ピックアップ装置が備える、別のフロントモニタ検出器17とそれを収容したハウジング18との具体的な構成を示している。図4(a)は上方から見たところを示し、図4(b)は右側方からハウジング18の右側壁を省略して見た断面を示している。
【0066】
この例では、フロントモニタ検出器17とそれを搭載したフレキシブル基板20とは、それぞれ先に述べたフロントモニタ検出器9、フレキシブル基板12と同じに構成されている。フロントモニタ検出器17の前面17aは、先に述べたフロントモニタ検出器9の前面9aと同様に、受光面となっている。また、フロントモニタ検出器17の後面17bはフレキシブル基板20の先端部20bに貼り付けられている。この図4(a)(b)では特に、フレキシブル基板20の先端部20aに連なり、先に述べたフィードバック制御系へ延びる帯状の部分20b,20cが示されている。
【0067】
一方、ハウジング18の内寸法は、先に述べたハウジング10の内寸法に比して、前後方向に関して若干大きく設定されている。ハウジング18のそれ以外の要素は、先に述べたハウジング10と同じに構成されている。図中の18aは前壁、18bは奥壁、18cは左側壁、18dは右側壁、18eは底壁、18sは窪み、18wは窓をそれぞれ示している。なお、ハウジング18の底壁18eには、フロントモニタ検出器17の上下方向の位置を調整可能にするための角穴が存在するが、簡単のため、図示を省略している。
【0068】
この例では、ハウジング18内でフロントモニタ検出器17の後側に、フレキシブル基板20の先端部20bからフィードバック制御系へ延びる帯状の部分20bが折り曲げられて挿入されている。フレキシブル基板20が可撓性をもつことから、元の展開状態に戻ろうとして、帯状の部分20bはハウジング奥壁10bから反力を受けている。この反力により、このフロントモニタ検出器17がハウジング前壁18aへ押し付けられて、ハウジング18内で前後方向に関して、フロントモニタ検出器17の位置が定められている。これとともに、フレキシブル基板20の弛みが吸収されて、フレキシブル基板20の残りの部分20cの配置が容易になる。
【0069】
(第4参考例)
図5(b)は、本発明の基礎となるフロントモニタ方式の光ピックアップ装置が備える、別のフロントモニタ検出器22とそれを収容したハウジング24との具体的な構成を示している。なお、図5(b)は右側方からハウジング24の右側壁を省略して見た断面を示している。
【0070】
この例では、フロントモニタ検出器22は、先に述べたフロントモニタ検出器9と同じに構成されている。フロントモニタ検出器22の前面22aは、先に述べたフロントモニタ検出器9の前面9aと同様に、受光面となっている。また、フロントモニタ検出器22の後面22bはフレキシブル基板23に貼り付けられている。
【0071】
このフレキシブル基板23は、図5(a)に示すように、フロントモニタ検出器22を搭載した部分(搭載部)23aよりも先端側に、この搭載部23aと実質的に同じ幅をもつ先端部23eを有している。フロントモニタ検出器22の出力は、フレキシブル基板23の搭載部23aからフィードバック制御系へ延びる帯状の部分23b,23c上に設けられた図示しない配線を経由して、先に述べたフィードバック制御系へ送られる。この例では、帯状の部分23b,23cの幅は搭載部23aの幅の約半分に設定されている。フレキシブル基板23はポリイミド樹脂などの可撓性を有する材料からなっている。
【0072】
図5(b)に示すように、ハウジング24は、図4中に示したハウジング18と全く同じに構成されている。つまり、ハウジング24の内寸法は、先に述べたハウジング10の内寸法に比して、前後方向に関して若干大きく設定されている。図中の24aは前壁、24bは奥壁、24eは底壁をそれぞれ示している。なお、ハウジング24の底壁24eには、フロントモニタ検出器22の上下方向の位置を調整可能にするための角穴が存在するが、簡単のため、図示を省略している。
【0073】
この例では、ハウジング24内でフロントモニタ検出器22の後側に、フレキシブル基板23の先端部23eが折り曲げられて挿入されている。フレキシブル基板23が可撓性をもつことから、元の展開状態に戻ろうとして、先端部23eはハウジング奥壁24bから反力を受けている。この反力により、このフロントモニタ検出器22がハウジング前壁24aへ押し付けられて、ハウジング24内で前後方向に関して、フロントモニタ検出器22の位置が定められている。
【0074】
なお、フレキシブル基板23の帯状の部分20bをハウジング24内でフロントモニタ検出器22の後側に、つまり、先端部23eと搭載部23aとの間に折り曲げて挿入しても良い。これにより、フレキシブル基板23の弛みが吸収されて、フレキシブル基板23の残りの部分23cの配置が容易になる。
【0075】
(第1実施形態)
図6は、本発明を適用したフロントモニタ方式の光ピックアップ装置の製造過程の状態を示している。この光ピックアップ装置は、別のフロントモニタ検出器24とそれを収容したハウジング26とを備えている。この図6は、図2(b)と同様に、前方からハウジング26の前壁を省略して見た断面を示している。
【0076】
この例では、フロントモニタ検出器24は、先に述べたフロントモニタ検出器9と全く同じに構成されている。フロントモニタ検出器24の前面24aは、先に述べたフロントモニタ検出器9の前面9aと同様に、受光面となっている。
【0077】
一方、ハウジング26の前壁には、先に述べたハウジング10におけるような上下方向に延びる断面凹状の窪み10sは形成されていない。したがって、フロントモニタ検出器24の左右方向の動きを規制する要素は設けられていない。ハウジング26のそれ以外の要素は、先に述べたハウジング10と同じに構成されている。図中の26cは左側壁、26dは右側壁、26eは底壁、26uおよび26vは角穴をそれぞれ示している。
【0078】
この例では、フレキシブル基板25の先端部25aにフロントモニタ検出器24が搭載されている。そして、このフレキシブル基板25の先端部25aの左上隅、右上隅(図6において)に連なって、それぞれ矩形状の捨て部25d,25eがハウジング26の外部へ突出するように設けられている。捨て部25d,25eの大きさはフレキシブル基板25の先端部25aの左右方向の幅を越えないように設定されている。これらの捨て部25d,25eにはそれぞれ、ハウジング26の外部から係合される引っ掛け部として丸穴25u,25vが貫通して形成されている。なお、図示を省略しているが、先端部25aのうち捨て部25d,25eの間の領域から、先に述べたフィードバック制御系へ帯状の部分(図示せず)が延びている。
【0079】
この光ピックアップ装置の組立の際、フロントモニタ検出器24をフレキシブル基板25の先端部25とともにハウジング26に収容した後、ハウジング26の外部から係合部材をフレキシブル基板25の捨て部25d,25eに丸穴25u,25vに係合して、フロントモニタ検出器24の位置調整を行うことができる。つまり、ハウジング26内に収容されたフロントモニタ検出器24の位置を、この例では上下方向および左右方向に、ハウジング26の外部から容易に調整できる。
【0080】
(第2実施形態)
図7は、本発明を適用したフロントモニタ方式の光ピックアップ装置の製造過程の状態を示している。この光ピックアップ装置は、別のフロントモニタ検出器30とそれを収容したハウジング31とを備えている。この図7は、図2(b)と同様に、前方からハウジング31の前壁を省略して見た断面を示している。
【0081】
この例では、フロントモニタ検出器30は、先に述べたフロントモニタ検出器9と全く同じに構成されている。フロントモニタ検出器30の前面30aは、先に述べたフロントモニタ検出器9の前面9aと同様に、受光面となっている。
【0082】
一方、ハウジング31の前壁には、先に述べたハウジング10におけるような上下方向に延びる断面凹状の窪み10sは形成されていない。したがって、フロントモニタ検出器30の左右方向の動きを規制する要素は設けられていない。ハウジング31のそれ以外の要素は、先に述べたハウジング10と同じに構成されている。図中の31cは左側壁、31dは右側壁、31eは底壁、31uおよび31vは角穴をそれぞれ示している。
【0083】
この例では、フレキシブル基板29の先端部29aにフロントモニタ検出器30が搭載されている。そして、このフレキシブル基板29の先端部29aの左上隅、右上隅(図7において)に連なって、それぞれ矩形状の捨て部29d,29eがハウジング26の外部へ突出するように設けられている。捨て部29d,29eの大きさはフレキシブル基板29の先端部29aの左右方向の幅を越えるように、先に述べた捨て部25d,25eに比して大形に設定されている。また、これらの捨て部29d,29eにはそれぞれ、フレキシブル基板29の材料よりも硬質の材料からなる硬質基板33,34が貼り付けられている。つまり、捨て部29d,29eは硬質基板33,34によって裏打ちされて、補強されている。そして、これらの捨て部29d,29eと硬質基板33,34にはそれぞれ、ハウジング31の外部から係合される引っ掛け部として丸穴29u,29vが貫通して形成されている。なお、図示を省略しているが、先端部29aのうち捨て部29d,29eの間の領域から、先に述べたフィードバック制御系へ帯状の部分(図示せず)が延びている。
【0084】
この光ピックアップ装置の組立の際、フロントモニタ検出器30をフレキシブル基板29の先端部29とともにハウジング31に収容した後、ハウジング31の外部から係合部材をフレキシブル基板29の捨て部29d,29eに丸穴29u,29vに係合して、フロントモニタ検出器30の位置調整を行うことができる。つまり、ハウジング31内に収容されたフロントモニタ検出器30の位置を、この例では上下方向および左右方向に、ハウジング31の外部から容易に調整できる。しかも、捨て部29d,29eは硬質基板33,34によって補強されているので、フロントモニタ検出器30の位置調整を行う際に、フレキシブル基板29の丸穴29u,29v付近が破損するのを防止できる。したがって、フロントモニタ検出器30の位置調整を円滑に行うことができる。
【0085】
さらに、この例では、フロントモニタ検出器30の位置を調整した後、ハウジング31の外部へ突出する捨て部29d,29eを切断して除去する。したがって、組立後に、捨て部29d,29eがハウジング31の外部へ突出する状態で残らない。したがって、光ピックアップ装置をコンパクトに作製できる。
【0086】
(第5参考例)
図8(a)(b)は、本発明の基礎となるフロントモニタ方式の光ピックアップ装置が備える、フロントモニタ検出器109とそれを収容したハウジング110との具体的な構成を示している。図8(a)は上方から見たところを示し、図8(b)は前方からハウジング110の前壁を省略して見た断面を示している。また、図8(c)はハウジング110に挿入される前のフロントモニタ検出器109とそれを搭載したフレキシブル基板112とを展開状態で示している。
【0087】
この例では、フロントモニタ検出器109は、先に述べたフロントモニタ検出器9と同じに構成されている。フロントモニタ検出器109の前面109aは、先に述べたフロントモニタ検出器9の前面9aと同様に、受光面となっている。また、フロントモニタ検出器109の後面はフレキシブル基板112に貼り付けられている。
【0088】
フレキシブル基板112は、図8(c)に示すように、フロントモニタ検出器109を搭載した部分(搭載部)112aに連なって、フロントモニタ検出器109よりもそれぞれ左側、右側へ張り出した略矩形の左ウイング部112fと右ウイング部112gを有している(なお、ハウジング110内に挿入された図8(a)の状態で左側、右側を定めている。)。左ウイング部112f、右ウイング部112gの寸法は、フロントモニタ検出器109の寸法と同程度に設定されている。搭載部112aと左ウイング部112f、右ウイング部112gとの境界には、それぞれ断面凹状で上下方向に延びる溝からなる折り曲げ線112h,112iが形成されている。したがって、このフレキシブル基板112は、その折り曲げ線112h,112iに相当する箇所で、容易かつ確実に折り曲げられる。また、その折り曲げ線112h,112iに相当する箇所は上下に切込みdが設けられて、他の箇所よりも上下方向の寸法が短くなっている。したがって、さらに容易に折り曲げられる。フロントモニタ検出器109の出力は、フレキシブル基板112の搭載部112aからフィードバック制御系へ延びる帯状の部分112b,112c上に設けられた図示しない配線を経由して、先に述べたフィードバック制御系へ送られる。この例では、帯状の部分112b,112cの幅は搭載部112aの幅の約半分に設定されている。フレキシブル基板112はポリイミド樹脂などの可撓性を有する材料からなっている。
【0089】
一方、図8(a)に示すように、ハウジング110は、図4,図5中に示したハウジング18,24と全く同じに構成されている。つまり、ハウジング110の内寸法は、図2中に示したハウジング10の内寸法に比して、前後方向に関して若干大きく設定されている。図中の110aは前壁、110bは奥壁、110cは左側壁、110dは右側壁、110eは底壁、110sは窪み、110wは窓をそれぞれ示している。なお、図8(a)では図示を省略しているが、図8(b)に示すように、ハウジング110の底壁110eには、フロントモニタ検出器109の上下方向の位置を調整可能にするための角穴110u,110vが存在する。また、フロントモニタ検出器109の上方には、位置調整用の空間111が設けられている。
【0090】
この光ピックアップ装置の組立の際には、フレキシブル基板112は、左ウイング部112f、右ウイング部112gがそれぞれフロントモニタ検出器109の後側に折り曲げられて、ハウジング110内に挿入される。挿入されたフレキシブル基板112の左ウイング部112f、右ウイング部112gは、フレキシブル基板112が可撓性をもつことから、元の展開状態に戻ろうとする。そして、左ウイング部112f、右ウイング部112gはハウジング奥壁110bに当接してハウジング奥壁110bから反力を受ける。この反力によって、フロントモニタ検出器109がハウジング前壁110aへ押し付けられる。この結果、ハウジング110内で前後方向に関して、フロントモニタ検出器109の位置が定められる。
【0091】
図9(a)は、図8(c)中のフレキシブル基板112を変形した例を示している。この例では、上記フロントモニタ検出器109と同じフロントモニタ検出器119がフレキシブル基板122に搭載されている。
【0092】
このフレキシブル基板122は、フロントモニタ検出器119を搭載した部分(搭載部)122aに連なって、フロントモニタ検出器119よりもそれぞれ左側、右側へ張り出した略矩形の左ウイング部122f,122f′と右ウイング部122g,122g′を有している(なお、後述する図9(b)の状態で左側、右側を定めている。)。左ウイング部122f,122f′、右ウイング部122g,122g′の寸法は、搭載部122aの寸法と同程度に設定されている。搭載部122aと左ウイング部122f、右ウイング部122gとの境界には、それぞれ断面凹状で上下方向に延びる溝からなる第1折り曲げ線122h,122iが形成されている。また、左ウイング部122f,122f′の略中央(根元部分122fと端部分122f′との境界)には、上下方向に延びるミシン目からなる第2折り曲げ線122jが形成されている。同様に、右ウイング部122g,122g′の略中央(根元部分122gと端部分122g′との境界)には、上下方向に延びるミシン目からなる第2折り曲げ線122kが形成されている。したがって、このフレキシブル基板122は、各折り曲げ線122h,122i,122j,122kに相当する箇所で、容易かつ確実に折り曲げられる。各折り曲げ線122h,122i,122j,122kに相当する箇所は上下に切込みdが設けられて、他の箇所よりも上下方向の寸法が短くなっている。したがって、さらに容易に折り曲げられる。フロントモニタ検出器119の出力は、フレキシブル基板122の搭載部122aからフィードバック制御系へ延びる帯状の部分122b,122c上に設けられた図示しない配線を経由して、先に述べたフィードバック制御系へ送られる。この例では、帯状の部分122b,122cの幅は搭載部122aの幅の約半分に設定されている。フレキシブル基板122はポリイミド樹脂などの可撓性を有する材料からなっている。
【0093】
この光ピックアップ装置の組立の際には、図9(b)に示すように、フレキシブル基板122は、左ウイング部122f,122f′が二つの折り曲げ線122h,122iのところでフロントモニタ検出器119の後側へ2段階に折り曲げられるとともに、右ウイング部122g,122g′が二つの折り曲げ線122j,122kのところでフロントモニタ検出器119の後側へ2段階に折り曲げられる。そのように折り曲げられた状態で、フレキシブル基板122はハウジング110内に挿入される。挿入されたフレキシブル基板122の左ウイング部122f,122f′、右ウイング部122g,122g′は、フレキシブル基板122が可撓性をもつことから、元の展開状態に戻ろうとする。そして、この例では、左ウイング部の端部分122f′、右ウイング部の端部分122g′がそれぞれハウジング奥壁110bに当接してハウジング奥壁110bから反力を受ける。この反力によって、フロントモニタ検出器119がハウジング前壁110aへ押し付けられる。この結果、ハウジング110内で前後方向に関して、フロントモニタ検出器119の位置が定められる。それに加えて、左ウイング部の第2折り曲げ線122j、右ウイング部の第2折り曲げ線122kのところがそれぞれハウジング左側壁110c、ハウジング右側壁110dに当接してハウジング左側壁110c、ハウジング右側壁110dから反力を受ける。この反力によって、ハウジング110内で左右方向に関して、フロントモニタ検出器119の位置が定められる。なお、フロントモニタ検出器119は、ハウジングの断面凹状の窪み110sによって、ハウジング110内で左右方向に関して位置が規制されているが、上記反力によって左右方向の位置の規制が強化されて、より精度の高い規制が行われる。
【0094】
なお、この発明は、ノートパソコンに内蔵されるようなスリムタイプ(上下方向の幅が狭い)の光ピックアップ装置だけでなく、据え置きタイプのドライブやデスクトップパソコンの内蔵ドライブなどで使用されているハーフハイトタイプの光ピックアップ装置についても、好ましく適用される。
【0095】
以上より明らかなように、この発明の光ピックアップ装置によれば、フロントモニタ方式の光ピックアップ装置において、部品や組立のばらつきに起因したフロントモニタ検出器への入射光量ばらつきを解消できる。
【0096】
また、この発明の光ピックアップ装置の製造方法は、そのようなフロントモニタ方式の光ピックアップ装置を製造するのに適する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】フロントモニタ方式の光ピックアップ装置の基本的な構成を示す図である。
【図2】この発明の基礎となる第1参考例の光ピックアップ装置のフロントモニタ検出器とそれを収容したハウジングを示す図である。
【図3】この発明の基礎となる第2参考例の光ピックアップ装置のフロントモニタ検出器とそれを収容したハウジングを示す図である。
【図4】この発明の基礎となる第3参考例の光ピックアップ装置のフロントモニタ検出器とそれを収容したハウジングを示す図である。
【図5】(a)はこの発明の基礎となる第4参考例の光ピックアップ装置に用いられるフロントモニタ検出器を搭載したフレキシブル基板を示す図、(b)はその光ピックアップ装置のフロントモニタ検出器とそれを収容したハウジングを示す図である。
【図6】この発明の第1実施形態の光ピックアップ装置の製造過程の状態を示す図である。
【図7】この発明の第2実施形態の光ピックアップ装置の製造過程の状態を示す図である。
【図8】(a)(b)はこの発明の基礎となる第5参考例の光ピックアップ装置のフロントモニタ検出器とそれを収容したハウジングを示す図、(c)はその光ピックアップ装置に用いられるフロントモニタ検出器を搭載したフレキシブル基板を示す図である。
【図9】(a)は図8(c)に示したフレキシブル基板の変形例を示す図、(b)はそのフレキシブル基板を備えた光ピックアップ装置を示す図である。
【符号の説明】
【0098】
9,13,17,22,24,30,109,119 フロントモニタ検出器
10,14,18,24,26,31,110 ハウジング
11,15,20,23,25,29,112,122 フレキシブル基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源から情報記録媒体へ向けてレーザ光を出射し、そのレーザ光の光量をフロントモニタ検出器によって検出して上記レーザ光源の出力パワーをフィードバック制御しながら、上記レーザ光を用いて上記情報記録媒体からの情報の読み取りおよび/または情報記録媒体への情報の書き込みを行うフロントモニタ方式の光ピックアップ装置において、
上記レーザ光を取り込むための窓を有し、この窓に面して上記フロントモニタ検出器を収容するハウジングを備え、
上記ハウジングの内寸法は、上記窓が存するハウジング前面に沿った少なくとも一つの方向に関して、上記フロントモニタ検出器の寸法よりも大きく、
上記フロントモニタ検出器はフレキシブル基板に搭載されて、
上記フレキシブル基板に設けられた引っ掛け部に係合して、上記ハウジングの外部から、上記ハウジング内での上記フロントモニタ検出器の位置が調整可能になっていることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ピックアップ装置において、
上記フレキシブル基板の引っ掛け部は、このフレキシブル基板の材料よりも硬質の材料によって補強されていることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光ピックアップ装置が有するフレキシブル基板の引っ掛け部をハウジングの外部へ突出するように形成し、
上記ハウジングの外部から係合部材を上記引っ掛け部に係合して、上記フレキシブル基板を上記フロントモニタ検出器とともに上記ハウジング内で移動させて、上記レーザ光に対する上記フロントモニタ検出器の位置を調整した後、
上記ハウジングの外部へ突出する上記引っ掛け部を切断して除去することを特徴とする光ピックアップ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−73186(P2007−73186A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339723(P2006−339723)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【分割の表示】特願2003−25800(P2003−25800)の分割
【原出願日】平成15年2月3日(2003.2.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】