説明

光ピックアップ装置およびレンズ駆動装置

【課題】偏熱によるレンズ特性の劣化を抑制可能な光ピックアップ装置およびレンズ駆動装置を提供する。
【解決手段】モータ13が駆動されて駆動板15が光軸方向に移動すると、突片15cに押されて保持筒11が光軸方向に移動する。このとき、ベース20側に固定された突片17aからカム溝11bが力を受け、この力により、保持筒11が、光軸を軸として回転する。この回転の際、突片15cは溝11a内を、保持筒11の円周方向に滑る。このように、光軸方向におけるコリメータレンズ104の移動に伴ってコリメータレンズ104が光軸周りに回転するため、コリメータレンズ104の偏熱が抑制・緩和される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置およびレンズ駆動装置に関するものであり、特に、樹脂製のレンズを搭載する光ピックアップ装置およびレンズ駆動装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、樹脂製のレンズが、光ピックアップ装置等の光学機器に用いられるようになっている。かかるレンズは、従来のガラスレンズに比べ、安価かつ軽量であるとのメリットを有している。しかし、樹脂製レンズは、ガラスレンズに比べて、温度による影響を受け易く、これによる光学特性の劣化が懸案となっている。
【0003】
図6は、既存の光ピックアップ装置を側面から見た内部透視図である。図示の如く、光ピックアップ装置は、半導体レーザ1と、対物レンズ2と、半導体レーザ1から出射されたレーザ光を対物レンズ2に導く光学系3がケース4に収容された構成となっている。ケース4には、たとえばその上面に、メイン基板5と、レーザドライバ6が設置される。
【0004】
CD、DVD、BDに対応可能な互換型の光ピックアップ装置では、図6に示す光学ブロックが2系統、ケース4に収容される場合がある。なお、BDに対応可能な光ピックアップ装置では、通常、収差補正のために、コリメータレンズ3aを光軸方向に変位させる機構が配されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−93762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図6に示すような構成では、メイン基板5やレーザドライバ6にて発生する熱により、ケース4内の温度に偏りが生じる。近年の記録速度の高速化に伴い、半導体レーザ1の出射パワーが高まると、従来に比べ、レーザドライバ6における発熱量が、かなり大きくなる。このため、ケース4内における温度の偏りは、一層激しくなり、これにより、ケース4内に配された光学部品の特性が劣化する惧れがある。
【0007】
特に、図6に示すコリメータレンズ3aが樹脂により形成されている場合には、かかる温度の偏りにより、レーザ光にコマ収差や非点収差が発生する惧れがある。たとえば、図6の構成では、コリメータレンズ3aの上部が下部に比べ温度が高くなり、上部と下部の光学特性に差が生じる。このため、コリメータレンズ3aを透過したレーザ光にコマ収差や非点収差が発生する惧れがある。
【0008】
本発明は、かかる問題を解消するためになされたものであり、偏熱によるレンズ特性の劣化を抑制可能な光ピックアップ装置およびレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、光ピックアップ装置に関する。本態様に係る光ピックアップ装置は、レーザ光源と、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を収束させる対物レンズと、前記レーザ光源と前記対物レンズとの間に配されたレンズと、前記レンズの光軸を軸として前記レンズを回転させるレンズアクチュエータとを備える。
【0010】
本発明の第2の態様は、レンズ駆動装置に関する。本態様に係るレンズ駆動装置は、レンズと、前記レンズを光軸方向に移動させるための第1のアクチュエータ部と、前記第1のアクチュエータ部による駆動力を用いて前記レンズを前記光軸の周りに回転させるための第2のアクチュエータ部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、偏熱によるレンズ特性の劣化を抑制可能な光ピックアップ装置およびレンズ駆動装置を提供することができる。
【0012】
本発明の特徴は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態に係る光ピックアップ装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係るレンズ駆動装置の構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係るレンズ駆動装置の動作および効果を示す図である。
【図4】実施の形態に係るレンズ駆動装置の変更例を示すである。
【図5】実施の形態に係るレンズ駆動装置の他の変更例を示すである。
【図6】既存の光ピックアップ装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。本実施の形態は、BDとCD(Compact Disc)およびDVD(Digital Versatile Disc)に対してレーザ光を照射する光ピックアップ装置および当該光ピックアップ装置に配されるレンズ駆動装置に本発明を適用したものである。
【0015】
図1に、実施の形態に係る光ピックアップ装置の光学系を示す。同図(a)は光学系の上面図、同図(b)は対物レンズアクチュエータ周辺部分を側面側から見た内部透視図である。この光学系は、BD用の光学系とCD/DVD用の光学系に区分される。
【0016】
BD用の光学系は、半導体レーザ101と、回折格子102と、偏光ビームスプリッタ103と、コリメータレンズ104を含むレンズ駆動装置105と、立ち上げミラー106と、λ/4板107と、第1の対物レンズ108と、アナモレンズ109と、光検出器110から構成されている。
【0017】
半導体レーザ101は、波長400nm程度の青色レーザ光を出力する。回折格子102は、半導体レーザ101から出射されたレーザ光を3ビームに分割する。偏光ビームスプリッタ103は、回折格子102側から入射されたレーザ光を反射する。
【0018】
コリメータレンズ104は、偏光ビームスプリッタ103によって反射されたレーザ光を平行光に変換する。コリメータレンズ104は、樹脂材料により形成されている。レンズ駆動装置105は、コリメータレンズ104をレーザ光の光軸方向に駆動する。なお、コリメータレンズ104およびレンズ駆動装置105は、収差補正手段として機能する。レンズ駆動装置105の詳細は、追って、図2および図3を参照して説明する。
【0019】
立ち上げミラー106は、コリメータレンズ104を介して入射されたレーザ光を第1の対物レンズ108に向かう方向に反射する。λ/4板107は、反射ミラー106によって反射されたレーザ光を円偏光に変換するとともに、ディスクからの反射光を、ディスクへ入射される際の偏光方向に直交する直線偏光に変換する。これにより、ディスクによって反射されたレーザ光は偏光ビームスプリッタ103を透過して光検出器110へと導かれる。
【0020】
第1の対物レンズ108は、青色波長のレーザ光を、BDの信号面上に適正に収束できるよう設計されている。すなわち、第1の対物レンズ108は、0.1mm厚の基板を介して信号面上に青色波長のレーザ光を適正に収束できるよう設計されている。積層方向に複数の記録層が配されたBDが装着された場合には、記録/再生対象の記録層に応じて、コリメータレンズ104が光軸方向にシフトされる。
【0021】
アナモレンズ109は、ディスクによって反射されたレーザ光を光検出器110上に収束させる。アナモレンズ109は、ディスクからの反射光に非点収差を導入する。光検出器110は、受光したレーザ光の強度分布から再生RF信号、フォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号を導出するためのセンサーパターンを有している。なお、本実施の形態では、フォーカスエラー信号の生成手法として非点収差法が採用され、トラッキングエラー信号の生成手法としてDPP(Differential Push Pull)法が採用されている。光検出器110は、これらの手法に従ってフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号を導出するためのセンサーパターンを有している。
【0022】
CD/DVD用の光学系は、半導体レーザ121と、回折格子122と、偏光ビームスプリッタ123と、コリメータレンズ124と、立ち上げミラー125と、λ/4板126と、第2の対物レンズ127と、アナモレンズ128と、光検出器129から構成されている。
【0023】
半導体レーザ121は、一つのCAN内に、波長780nm程度の赤外レーザ光と波長650nm程度の赤色レーザ光を出力するレーザ素子を備える。回折格子122は、半導体レーザ121から出射されたレーザ光を3ビームに分割する。偏光ビームスプリッタ123は、回折格子122側から入射されたレーザ光を反射する。
【0024】
コリメータレンズ124は、偏光ビームスプリッタ123によって反射されたレーザ光を平行光に変換する。コリメータレンズ124は、樹脂材料により形成されている。なお、本実施の形態では、コリメータレンズ124は、光軸方向に変位しないよう構成されているが、BD用光学系のコリメータレンズ104と同様、後述のレンズ駆動装置によってコリメータレンズ124を光軸方向に移動可能としても良い。
【0025】
立ち上げミラー125は、コリメータレンズ124を介して入射されたレーザ光を第2の対物レンズ127に向かう方向に反射する。λ/4板126は、反射ミラー125によって反射されたレーザ光を円偏光に変換するとともに、ディスクからの反射光を、ディスクへ入射される際の偏光方向に直交する直線偏光に変換する。これにより、ディスクによって反射されたレーザ光は偏光ビームスプリッタ123を透過して光検出器129へと導かれる。
【0026】
第2の対物レンズ127は、赤外波長のレーザ光と赤色波長のレーザ光を、それぞれ、CDとDVDの信号面上に適正に収束できるよう設計されている。すなわち、第2の対物レンズ127は、1.2mm厚の基板を介して信号面上に赤外波長のレーザ光を適正に収束でき、且つ、0.6mm厚の基板を介して信号面上に赤色波長のレーザ光を適正に収束できるよう設計されている。
【0027】
アナモレンズ128は、ディスクによって反射されたレーザ光を光検出器129上に収束させる。アナモレンズ128は、ディスクからの反射光に非点収差を導入する。
光検出器129は、受光したレーザ光の強度分布から再生RF信号、フォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号を導出するためのセンサーパターンを有している。なお、本実施の形態では、上記の如く、フォーカスエラー信号の生成手法として非点収差法が採用され、トラッキングエラー信号の生成手法としてDPP(Differential Push Pull)法が採用されている。光検出器129は、これらの手法に従ってフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号を導出するためのセンサーパターンを有している。
【0028】
第1の対物レンズ108および第2の対物レンズ127と、λ/4板107、126は、共通のホルダ131に装着されている。このホルダ131は、対物レンズアクチュエータ132によって、フォーカス方向およびトラッキング方向に駆動される。したがって、第1の対物レンズ108および第2の対物レンズ127と、λ/4板107、126は、ホルダ131の駆動に伴って一体的に駆動される。対物レンズアクチュエータ132は、コイルと磁気回路からなり、このうち、コイルがホルダ131に装着されている。
【0029】
第1の対物レンズ108と第2の対物レンズ127はディスク径方向に並ぶように配置されている。このとき、これら2つの対物レンズのうち、レンズ径の小さい第1の対物レンズ108の方がディスク内周側に配置される。
【0030】
次に、図2を参照して、上記レンズ駆動装置105の構成について説明する。
【0031】
同図(a)は、レンズ駆動装置105の要部斜視図、同図(b)は、同図(a)をA−A’線にてレンズ光軸に平行に切断して上側を取り除いたときの保持筒11の近傍を上面から見た図、同図(c)は、同図(a)の構成体がベース20に装着された状態を前方から見たときの図である。
【0032】
同図において、保持筒11は前方と後方が開放された円柱状の筒体で、内部にコリメータレンズ104が装着されている。保持筒11の周面には、同一円周上に形成された溝11aと、螺旋状に形成されたカム溝11bが形成されている。
【0033】
図1の光学系が装着されるベース20には、保持筒11の装着位置に、保持筒11の周面と同じ形状をもつ受け面20aが形成されている。この受け面20aは、保持筒11が後述のように光軸方向に移動できるよう、保持筒11の全長よりも長く形成されている。同図(c)に示すように、保持筒11が受け面20aに乗せられた状態で、上側からガイド枠12がベース20に取り付けられる。これにより、保持筒11は、受け面20aとガイド枠12に案内されて、光軸方向に移動可能となる。
【0034】
ベース20には、さらに、モータ13が装着される。モータ13の駆動軸には、ウォームギア14が装着され、このウォームギア14が、駆動板15のギア孔15aに噛み合っている。駆動板15の孔16bに、ベース20に装着されたガイドシャフト16が通されることにより、駆動板15が光軸方向に案内される。なお、同図(a)および(c)では、ガイドシャフト16の両端をベース20に装着するための台座が図示省略されている。
【0035】
駆動板15には、光軸方向に垂直な方向に突出した円柱状の突片15cが形成され、この突片15cが、保持筒11の溝11aと係合している。また、ベース20の上面には台部17が形成され、この台部17から光軸方向に垂直な方向に突出した円柱状の突片17aが、保持筒11のカム溝11bと係合している。
【0036】
同図に示す構成において、モータ13が駆動されて駆動板15が光軸方向に移動すると、突片15cに押されて保持筒11が光軸方向に移動する。このとき、ベース20側に固定された突片17aからカム溝11bが力を受け、この力により、保持筒11が、光軸を軸として回転する。この回転の際、突片15cは溝11a内を、保持筒11の円周方向に滑る。
【0037】
図3は、レンズ駆動装置105の動作および効果を示す図である。同図(a)および(b)は、レンズ駆動装置105が図2(a)の状態にあるときの図2(b)および(c)に対応する図である。同図(c)および(d)は、レンズ駆動装置105の保持筒11が図2(a)の状態から後方に移動されたときの図2(b)および(c)に対応する図である。なお、同図(b)、(d)のコリメータレンズ104に示されたハッチングは、温度の高い領域を模式的に示すものである。
【0038】
同図(a)、(b)に示す状態から、モータ13が駆動され、保持筒11が後方に移動すると、上記のように、突片17aとカム溝11bとの間の作用により、保持筒11は、光軸を軸として反時計方向に回転する。これに伴い、コリメータレンズ104も、光軸を軸として反時計方向に回転する。さらにモータ13が駆動され、保持筒11が同図(c)の位置まで移動すると、保持筒11は、同図(a)、(b)の位置から反回転し、これに伴いコリメータレンズ104も反回転する。
【0039】
たとえば、光ピックアップ装置の外側面のうち、コリメータレンズ104の真上位置近傍に、メイン基板やレーザドライバ等が配置されると、これら回路から発生した熱により、コリメータレンズ104は、図3(b)に示すように上部が温められ、コリメータレンズ104の上部と下部の間に温度差が生じる。この温度差により、コリメータレンズ104の上部と下部の光学作用が相違し、これにより、コリメータレンズ104を透過したレーザ光にコマ収差や非点収差が生じる惧れがある。
【0040】
本実施の形態では、光軸方向におけるコリメータレンズ104の移動に伴ってコリメータレンズ104が光軸周りに回転するため、コリメータレンズ104における偏熱が緩和される。
【0041】
たとえば、積層方向に複数の記録層を有するBDについて本実施の形態に係る光ピックアップ装置が使用される場合、記録/再生の対象となる記録層に応じて、コリメータレンズ104の位置が光軸方向に大きくシフトされる。この場合、記録/再生対象が一方の記録層から他方の記録層へと移るときに、コリメータレンズ104の位置が、図3(a)の位置から図3(c)の位置に変化するようにレンズ駆動装置105を構成すると、記録/再生対象の記録層が変更される毎に、コリメータレンズ104は反回転する。このとき、一方の記録層の記録/再生中に温まったコリメータレンズ104の領域は、他方の記録層の記録/再生へと移行するに応じて、熱源であるメイン基板やレーザドライバ等から遠ざけられる。こうして、他方の記録層の記録/再生中には、コリメータレンズ104の上部と下部との間の温度差が徐々に小さくなり、偏熱によるコリメータレンズ104の特性劣化が抑制される。
【0042】
なお、このように記録/再生対象の記録層の変更に応じてコリメータレンズ104を反回転させるには、記録層変更の際のコリメータレンズ104の移動ストロークD(図3(c)参照)と、カム溝11bが反回転するときの光軸方向におけるカム溝11bの変位量とを一致させれば良い。
【0043】
なお、ここでは、記録/再生の対象とされる記録層が変更される場合を例に挙げて、本実施の形態に係る光ピックアップ装置およびレンズ駆動装置105の効果を説明したが、本実施の形態に係る光ピックアップ装置およびレンズ駆動装置105は、一つの記録層のみしか持たないBDが対象とされる場合にも、効果を奏し得るものである。
【0044】
たとえば、BDのレーザ光入射面から記録層までの距離(カバー厚)は、ディスク毎によって相違する。コリメータレンズ104は、カバー厚の相違に基づき発生する収差を補正するために、光軸方向に移動される。本実施の形態では、かかる移動に伴って、コリメータレンズ104が光軸を軸として回転される。したがって、ディスクが交換され、カバー厚が変化すると、その度毎に、コリメータレンズ104は回転される。これにより、コリメータレンズ104の偏熱が抑制される。
【0045】
なお、この場合には、記録/再生対象の記録層が変更される場合のようにコリメータレンズ104が大きく移動することはない。よって、ディスク交換時のコリメータレンズ104の回転量は、記録層変更時の回転量に比べて小さい。しかし、この場合であっても、コリメータレンズ104は回転されるため、コリメータレンズ104における偏熱は抑制され得る。
【0046】
以上、本実施の形態によれば、コリメータレンズ104における偏熱を抑制でき、よって、偏熱によるコリメータレンズ104の特性劣化を抑制することができる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、光軸方向におけるコリメータレンズ104の移動を利用してコリメータレンズ104が回転されるため、コリメータレンズ104を回転させるための機構を簡素なものとすることができる。
【0048】
さらに、本実施の形態によれば、コリメータレンズ104の移動に伴ってコリメータレンズ104が回転されるため、記録/再生動作中における記録層の変更や、ディスクの交換に伴って、コリメータレンズ104の偏熱を抑制することができる。すなわち、記録/再生動作中等、偏熱が生じ得る状況下において、特別な処理を要することなく、コリメータレンズ104の偏熱を抑制することができる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も上記の他に種々の変更が可能である。
【0050】
たとえば、上記実施の形態では、カム溝11bを保持筒11側に形成することによりコリメータレンズ104を回転させたが、カム溝11bをベース20a側に配置して、コリメータレンズ104を回転させても良い。
【0051】
図4は、この場合の構成例を示す図である。同図(a)は、本変更例に係るレンズ駆動装置105の要部斜視図、同図(b)は、同図(a)の構成体がベース20に装着された状態を前方から見たときの図、同図(c)および(d)は、同図(b)の上面図である。なお、同図(a)では、便宜上、カム枠19が図示省略されている。
【0052】
本変更例では、保持筒11の中に、保持筒11の内径と略等しい外径を持つ回転筒18が挿入されている。回転筒18は、保持筒11内で光軸を軸として回転可能である。また、回転筒18にコリメータレンズ104が装着されている。
【0053】
保持筒11には、同一円周上に、内部に続く切り欠き11cが形成されている。切り欠き11cは、保持筒18の上部に半周に亘って形成されている。回動筒18には、外周面から円柱状の突片18aが突設され、この突片18aが切り欠き11cから外部に突出している。
【0054】
上記実施の形態と同様、保持筒11は、ベース20の受け面20aに載せられ、この状態で、上側から、ガイド枠11がベース20に装着される。これにより、保持筒11は、光軸方向に移動可能となる。この状態で、上側からカム枠19がベースに装着される。カム枠19の下面にカム溝19aが形成されており、このカム溝19aに、回動筒18の突片18aが係合する。なお、本変更例では、駆動板15の突片15cが保持筒11に連結される。
【0055】
本変更例において、モータ13が駆動されて駆動板15が図4(c)の状態から後方に移動すると、突片15cに押されて保持筒11が後方に移動する。このとき、突片18aが、ベース20側に固定されたカム枠19のカム溝19aから力を受け、この力によって、回転筒18が、光軸を軸として回転する。その後、保持筒11が同図(d)の位置まで移動されると、突片15cは同図中に示す位置まで移動される。これにより、回転筒18が略反回転し、これに伴い、コリメータレンズ104も反回転する。
【0056】
本変更例においても、コリメータレンズ14の移動に伴ってコリメータレンズ14が光軸周りに回転するため、上記実施の形態と同様、偏熱によるコリメータレンズ14の特性劣化を抑制できる。その他、本変更例においても、上記実施の形態と同様の効果が奏され得る。
【0057】
なお、本変更例では、カム枠19を配するようにしたが、カム枠19を省略し、図5(a)に示すように、ベース20の受け面20aに、図4のカム溝19aに対応するカム溝20bを形成するようにして良い。この場合、図5(b)に示すように、受け面20aに形成されたカム溝20bに突片18aが係合するように、保持筒11が、図4の状態から上下反転して配置される。こうすると、カム枠19を省略できるため、更なる構成の簡素化を図ることができる。
【0058】
上記実施の形態および変更例では、コリメータレンズ104を駆動するレンズ駆動装置105に本発明を適用したが、たとえば、収差補正用に凹レンズと凸レンズとからなるビームエキスパンダが配されている場合には、これらレンズを駆動するためのレンズ駆動装置に本発明を適用することもできる。
【0059】
また、本発明は、図1に示す構成以外の光ピックアップ装置に適用することもでき、たとえば、対物レンズを一つしか持たない光学系の光ピックアップ装置にも適用することができる。
【0060】
この他、本発明は、光ピックアップ装置以外の光学装置に搭載されるレンズ駆動装置にも適用可能である。
【0061】
本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
104 … コリメータレンズ
105 … レンズ駆動装置
11a … 溝(第1のアクチュエータ部)
11b … カム溝(第2のアクチュエータ部)
11c … 切り欠き(第2のアクチュエータ部)
12 … ガイド枠(第1のアクチュエータ部、第2のアクチュエータ部)
13 … モータ(第1のアクチュエータ部)
14 … ウォームギア(第1のアクチュエータ部)
15 … 駆動板(第1のアクチュエータ部)
15c … 突片(第1のアクチュエータ部)
17a … 突片(第2のアクチュエータ部)
18 … 回転筒(第2のアクチュエータ部)
18a … 突片(第2のアクチュエータ部)
19 … カム枠(第2のアクチュエータ部)
19a … カム溝(第2のアクチュエータ部)
20a … 受け面(第1のアクチュエータ部)
20b … カム溝(第2のアクチュエータ部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源と、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を収束させる対物レンズと、
前記レーザ光源と前記対物レンズとの間に配されたレンズと、
前記レンズの光軸を軸として前記レンズを回転させるレンズアクチュエータと、
を備えることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光ピックアップ装置において、
前記レンズアクチュエータは、
前記レンズを光軸方向に移動させるための第1のアクチュエータ部と、
前記第1のアクチュエータ部による駆動力を用いて前記レンズを前記光軸の周りに回転させるための第2のアクチュエータ部と、を有する、
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光ピックアップ装置において、
前記第2のアクチュエータ部は、カム溝と該カム溝に係合する係合片とを有する、
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の光ピックアップ装置において、
前記レンズは、前記レーザ光に生じる収差を補正するために光軸方向に移動されるレンズである、
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光ピックアップ装置において、
前記レンズは、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を平行光に変換するとともに、前記レーザ光に生じる収差を補正するために光軸方向に移動されるコリメータレンズレンズである、
ことを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項6】
レンズと、
前記レンズを光軸方向に移動させるための第1のアクチュエータ部と、
前記第1のアクチュエータ部による駆動力を用いて前記レンズを前記光軸の周りに回転させるための第2のアクチュエータ部と、を有する、
ことを特徴とするレンズ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−129219(P2011−129219A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288477(P2009−288477)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(504464070)三洋オプテックデザイン株式会社 (315)
【Fターム(参考)】