説明

光ピックアップ装置

【課題】部品点が削減された光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】本発明の光ピックアップ装置26は、BD規格のレーザ光を放射するレーザユニット108と、DVD規格およびCD規格のレーザ光を放射するレーザユニット106と、これらの規格のレーザ光を受光して検出するPDIC10Bとを備えている。PDIC10Bに設けられた1つの光検出器により、DVD規格およびBD規格のレーザ光が検出されるので、光ピックアップ装置26に必要とされる部品点数が削減されて低コストが実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ピックアップ装置に関する。特に本発明は、部品点が削減された光ピックアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、情報の記録/再生のための光ディスク媒体としてCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等が普及している。この光ディスク媒体に対する情報の記録/再生は、対物レンズが集光するレーザ光の焦点を、当該光ディスク媒体の情報記録層に対して正確に合焦させる必要がある。このため、光ディスク媒体の情報記録層に対して、レーザ光の焦点が合焦しないときの誤差を補正するためのフォーカシング制御や、情報記録層上に集光されたスポットが所定のトラック中心からずれた時の誤差を補正するためのトラッキング制御等が行われる。
【0003】
そして、フォーカシング制御においては、例えば差動非点収差法が用いたものが知られている。この差動非点収差法によるフォーカシング制御においては、先ず、レーザ光を回折格子等で回折することにより0次光と±1次光を発生させる。そして、0次光と±1次光を光ディスク媒体の情報記録層に照射する。情報記録層にて反射された当該0次光と±1次光の反射光は、シリンドリカルレンズ等により非点収差が付与される。この非点収差が付与された0次光と±1次光の反射光は、光検出装置に設けられた3つの4分割光検出器にて受光される。
【0004】
図7(A)を参照して、非点収差法にて用いられるPDICには、第1受光領域211、第2受光領域212および第3受光領域213が配置されており、これらで0次光、+1次回折光および−1次回折光を受光している。ここで、第1受光領域211は受光部分A’、B’、C’およびD’から成り、第2受光領域212は、受光部分E’、F’、G’およびH’から成り、第3受光領域213は受光部分I’、J’、K’およびL’から成る。
【0005】
この図では、0次光の焦点が光ディスク媒体の情報記録層に合焦しているときの、各受光部分に照射されるレーザ光の形を一点鎖線の円で示している。0次光の焦点が光ディスク媒体の情報記録層に合焦しているとき、0次光の反射光の受光パターンは円形状となり受光部分A’乃至D’に対して等分に受光される。また、+1次光の反射光の受光パターンも同様に円形状となり、受光部分I’乃至L’に対して等分に受光される。更に、−1次光の反射光の受光パターンも同様に円形状となり、受光部分E’乃至H’に対して等分に受光される。
【0006】
そして、0次光の焦点が光ディスク媒体の情報記録層に合焦していないときに、各受光部分に照射されるレーザ光の形を破線で示している。0次光の焦点が光ディスク媒体の情報記録層に合焦していないとき、0次光と±1次光の反射光の受光パターンは、受光部分A’〜D’、E’〜H’、I’〜L’の対角線を中心とする楕円形状となり、各受光部分A’〜L’に対して等分に受光されないこととなる。このような場合の受光パターンは破線で示されている。
【0007】
そして、このときの各受光部分A’〜L’からの出力に基づき、{(受光部分A’の出力+受光部分C’の出力)−(受光部分B’の出力+受光部分D’の出力)}+k[{(受光部分I’の出力+受光部分K’の出力)−(受光部分J’の出力+受光部分L’の出力)}+{(受光部分E’の出力+受光部分G’の出力)−(受光部分F’の出力+受光部分H’の出力)}]を演算することによってフォーカスエラー信号(以下、FE信号という)を生成する(kは0次光の光強度/±1次光の光強度)。そして、このFE信号に基づいて、フォーカシング制御を行い、0次光の焦点を光ディスク媒体の情報記録層に合焦させることが可能になる。
【0008】
近年、光ディスク媒体においては2つの情報記録層を有する2層光ディスク媒体が普及している。この2層光ディスク媒体(ディスク200)は、図7(B)に示すように、1層目の第1情報記録層200Aが形成された基板層と、2層目の第2情報記録層200Bが形成された基板層とを、中間層を介して貼り合わせた構造となっている。第1情報記録層200Aは半透明反射膜から構成され、0次光と±1次光の光量の一部を反射し、残りの0次光と±1次光を透過する。第2情報記録層200Bは反射膜から構成され、第1情報記録層200Aからの0次光と±1次光を反射する。そして、この多層のディスク200に対しても同様に、0次光の焦点を各情報記録層200A、200Bに合焦させるべく、フォーカシング制御が行われることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4−168631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、2層光ディスク媒体においては、例えば第1情報記録層200Aにレーザ光(0次光)を合焦させている際に第2情報記録層200Bからの0次光の反射光が本来±1次光の反射光を受光すべき受光部分I’、G’に照射するという可能性があった。図7(B)に示す第2情報記録層200Bにて反射した0次光(迷光)が照射される領域を、図7(A)ではハッチングの領域で示している。
【0011】
このようになると、受光部分I’、Gからの出力が本来の値よりも大きくなってしまい、非点収差法によるフォーカスサーボが適切に行われなくなってしまう。特に、0次光の光強度が±1次光の光強度に比して大きい場合(つまり上記した式に含まれる「k」の値が大きい場合)、受光領域I’、G’の出力が高ゲインで増幅されるので、この問題が顕著と成る。
【0012】
更にまた、ピックアップ装置でBD、DVDおよびCD規格のディスクの読取動作等を行う場合、各ディスクに対してレーザ光を照射するレーザユニットおよび受光素子を備える必要があり、このことが光ピックアップ装置の部品点数を増加させる問題があった。
【0013】
本発明はこの様な問題点を鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、部品点が削減された光ピックアップ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の光ピックアップ装置は、第1レーザ光を放射する第1発光源を有する第1レーザユニットと、前記第1レーザ光よりも波長が長い第2レーザ光を放射する第2発光源、及び前記第1レーザ光および前記第2レーザ光よりも波長が長い第3レーザ光を放射する第3発光源を有する第2レーザユニットと、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光を受光する第1光検出器と、前記第3レーザ光を受光する第2光検出器とを有する光検出装置とを備え、前記第1レーザユニット及び前記第2レーザユニットの各発光源からそれぞれ選択的に出射される第1、第2及び第3レーザ光をビームスプリッタを介して共通光路上に導き、各レーザ光に適合する各種情報記録媒体に導く光ピックアップ装置であって、前記光検出装置に設けられる前記第1光検出器は、レーザ光を回折させることで発生する0次光を受光する第1受光領域と、前記第1受光領域に隣接すると共に、前記回折させることで発生する+1次光を受光する第2受光領域と、前記第2受光領域に対向して前記第1受光領域に隣接すると共に、前記回折させることで発生する−1次光を受光する第3受光領域とを備え、前記第2受光領域および前記第3受光領域の、前記第1受光領域に接近する側の角部に、前記レーザ光を受光しない受光禁止領域を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光検出装置に設けられた同一の光検出器にて、波長が異なる第1レーザ光、第2レーザ光および第3レーザ光を検出している。このことにより、複数の規格のディスクに対して読取動作等を行う光ピックアップ装置に必要とされる部品点数を削減して、光ピックアップ装置を低コストにすることが可能となる。
【0016】
更に本発明では、0次光、+1次光および−1次光を受光する第1受光領域、第2受光領域および第3受光領域を設け、第1受光領域に接近する側の第2受光領域および第3受光領域の角部付近に、レーザ光を受光しない受光禁止領域を設けている。
【0017】
このようにすることで、読取又は書込の対象ではない情報記録層からの反射光(迷光)が、第2受光領域または第3受光領域に照射されることが抑制され、差動非点収差法によるフォーカスサーボが適切に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の光ピックアップ装置の光学的レイアウトを示す図である。
【図2】本発明の光ピックアップ装置が備えるPDIC(光検出装置)を示す図であり、(A)はPDICを示す平面図であり、(B)は多層のディスクを示す断面図である。
【図3】本発明の他の形態のPDICを部分的に示す平面図である。
【図4】本発明の他の形態のPDICを全体的に示す平面図である。
【図5】本発明の光ピックアップ装置が備える回折格子を示す図である。
【図6】本発明の光ピックアップ装置の外観を示す斜視図である。
【図7】(A)は背景技術のPDICを示す平面図であり、(B)はディスクを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照して、上記した構成のPDIC10Bを備えた光ピックアップ装置26の光学素子の構成を説明する。
【0020】
光ピックアップ装置26は、BD(Blu−ray Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)またはCD(Compact Disk)規格のレーザ光を、光ディスク(情報記録媒体)の情報記録層に合焦させ、この情報記録層からの反射光を受光して電気信号に変換する機能を備えている。
【0021】
光ピックアップ装置26で用いられるレーザ光としては、BD規格のレーザ光(青紫色波長帯400nm〜420nm)、DVD規格のレーザ光(赤色波長帯645nm〜675nm)およびCD規格のレーザ光(赤外波長帯765nm〜805nm)である。
【0022】
光ピックアップ装置26の具体的な構成は、対物レンズ82、84と、立ち上げミラー86、88と、1/4波長板90と、反射板92、94と、コリメートレンズ96と、プリズム98、100と、アナモレンズ102と、PDIC10Bと、回折格子110、112と、レーザユニット106、108と、ダイバージェントレンズ114とを備えている。
【0023】
レーザユニット108は、BD規格のディスク80に照射されるレーザ光を放射する発光素子をパッケージ化したものである。即ち、BD規格のレーザ光を放射する発光素子がレーザユニット108に内蔵されている。
【0024】
レーザユニット106は、DVD規格およびCD規格のディスク80に照射されるレーザ光を放射する発光素子のパッケージである。即ち、これらの規格に準拠したレーザ光を放射する2つの発光源を備えた発光素子がレーザユニット106に内蔵されている。
【0025】
ここで、レーザユニット106、108は、所謂CANタイプのパッケージでも良いし、リードフレーム型のパッケージでも良い。
【0026】
回折格子110は、レーザユニット106から放射されるレーザ光(DVD規格またはCD規格)を0次回折光、+1次回折光及び−1次回折光に分離する機能を有する。
【0027】
同様に、回折格子112は、レーザユニット108から放射されるBD規格のレーザ光を、0次回折光、+1次回折光及び−1次回折光に分離する機能を有する。
【0028】
ここで、回折格子110の具体的な構成は、図5を参照して後述する。回折格子110により回折されたDVD規格またはCD規格のレーザ光の回折光と、回折格子112により回折されたBD規格のレーザ光の回折光は、ディスク80の同一信号トラックに照射される。
【0029】
ダイバージェントレンズ114は、回折格子110で回折されたレーザ光の広がり角を調整する機能を有する。
【0030】
アナモレンズ102は、通過するレーザ光にフォーカス制御用の非点収差を付与するためのレンズであり、アナモフィックレンズとも称されている。
【0031】
PDIC10Bは、光検出器として機能する信号検出用のフォトダイオード集積回路素子が内蔵されており、BD規格、DVD規格またはCD規格のレーザ光を受光して情報信号成分を含む受光出力を発生する。更に、PDIC10Bは、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボに用いられるサーボ信号成分を発生する。
【0032】
プリズム100は、レーザユニット108から放射されるBD規格のレーザ光に対して、偏光選択性を有する反射面を内蔵している。レーザユニット108から放射されたS方向の直線偏光光であるレーザ光は、プリズム100の反射面により+X方向に反射される。また、ディスク80により反射された復路の戻り光は、1/4波長板90の作用によりP方向の直線偏光光とされており、プリズム100の反射面を−X方向に透過する。
【0033】
プリズム98は、BD規格のレーザ光、DVD規格のレーザ光及びCD規格のレーザ光を共通光路上に導くビームスプリッタの役割を担うように波長選択性および偏光選択性を有する反射面を内蔵している。具体的には、プリズム98は、レーザユニット108から放射されるBD規格のレーザ光を偏向方向に関わらず透過させる。一方、レーザユニット106から放射されるDVD規格およびCD規格のレーザ光は、その偏光方向により、プリズム98の反射面で反射または透過する。具体的には、レーザユニット106からはDVD規格またはCD規格のレーザ光が放射され、これらのレーザ光はS方向の直線偏光光である。そして、レーザユニット106から+Y方向に放射されたレーザ光は、プリズム98の反射面にて+X方向に反射された後に、各種光学素子を介してディスク80に至る。ディスク80の情報記録層にて反射された戻り光であるレーザ光は、1/4波長板90の作用でP方向の直線偏光光に変換されており、プリズム98の反射面を+X方向から−X方向に透過する。
【0034】
コリメートレンズ96は、レーザユニット106、108から放射されたレーザ光を平行光にするためのレンズである。
【0035】
反射板92、94は、レーザユニット106、108から放射されたレーザ光を所定方向に反射するためのものである。ここで、反射板92、94がレーザ光を反射する反射率は100%でも良いし、プリズム98、100の機能を補うために特定の波長や偏向方向のレーザ光の反射率を調節しても良い。
【0036】
1/4波長板90は、入射するレーザ光に位相差を生じさせる光学素子である。従って、レーザユニット106、108から放射されたS方向の直線偏光光のレーザ光が、1/4波長板90を通過すると、円偏光光のレーザ光に変換される。更に、円偏光光とされたレーザ光が、ディスク80の情報記録層にて反射されて再び1/4波長板90を通過すると、P方向の直線偏光光のレーザ光に変換される。
【0037】
立ち上げミラー88は、周波数選択性を有する反射面を備えており、DVD、CD規格のレーザ光を+Y方向に反射する一方、BD規格のレーザ光を−X方向に透過させる。
【0038】
立ち上げミラー86は、立ち上げミラー88を透過したBD規格のレーザ光を、+Y方向に反射させる。
【0039】
対物レンズ84は、立ち上げミラー88により反射されたDVD規格およびCD規格のレーザ光を、ディスク80の情報記録層に合焦する。
【0040】
対物レンズ82は、立ち上げミラー86により反射されたBD規格のレーザ光を、ディスク80の情報記録層に合焦する。
【0041】
次に、上記のように構成された光ピックアップ装置26の動作を説明する。読取動作と書込動作は基本的に同じであり、書込動作は読取動作よりも強度が高いレーザ光が用いられる。
【0042】
先ず、DVD規格およびCD規格のレーザ光の光路を説明する。レーザユニット106から放射されたレーザ光は、回折格子110の回折作用により、0次回折光、+1次回折光及び−1次回折光に分離される。更にその後、ダイバージェントレンズ114により所定の広がり角とされる。ここで、レーザユニット106から放射されるレーザ光は、S方向の直線偏光光である。
【0043】
そして、分離されたレーザ光は、プリズム98の反射面にて反射した後に、反射板94、92にて反射されて1/4波長板を通過することにより、直線偏光光から円偏光光に変換される。
【0044】
その後、円偏光光とされたレーザ光は立ち上げミラー88にて反射された後に、対物レンズ84によりディスク80の情報記録層に合焦される。
【0045】
ディスク80の情報記録層により反射された戻り光であるレーザ光は、対物レンズ84を通過した後に立ち上げミラー88にて反射されて1/4波長板を通過する。このことにより円偏光光であるレーザ光は、P方向の直線偏光光に変換される。
【0046】
偏光方向が変換されたレーザ光は、反射板92、94で反射された後に、コリメートレンズ96を通過してプリズム98、100を透過し、アナモレンズ102にて収差が付与された後に、PDIC10Bに至る。
【0047】
PDIC10Bでは、情報が読み出されるとともに、読み出された情報に基づいてフォーカスサーボおよびトラッキングサーボが行われる。
【0048】
次に、BD規格のレーザ光の光路を説明する。
【0049】
先ず、レーザユニット108から、S方向の直線偏光光であるBD規格のレーザ光が放射される。放射されたBD規格のレーザ光は、回折格子112にて3つのレーザ光に分離された後に、プリズム100の反射面にて反射される。反射されたレーザ光は、プリズム98を透過した後にコリメートレンズ96にて平行光に変換され、反射板94、92にて反射されて1/4波長板90に至る。
【0050】
1/4波長板90で直線偏光光から円偏光光に変換されたレーザ光は、立ち上げミラー88を透過して、立ち上げミラー86の反射面で+Y方向の反射にされる。そして、レーザ光は、対物レンズ82によりディスク80の情報記録層に合焦される。
【0051】
ディスク80の情報記録層にて反射された戻り光のレーザ光は、対物レンズ82を通過して立ち上げミラー86にて反射された後に、立ち上げミラー88を透過して1/4波長板90に入射する。1/4波長板90では、円偏光光のレーザ光が、P方向の直線偏光光のレーザ光に変換される。その後、P方向の直線偏光光であるレーザ光は、反射板92、94で反射されてコリメートレンズ96を透過した後に、プリズム98に至る。
【0052】
P方向の直線偏光光であるBD規格のレーザ光は、プリズム98およびプリズム100を透過して、アナモレンズ102にて収差が付与された後に、PDIC10Bに照射される。そして、PDIC10Bにて、情報が読み出されるとともに、読み出された情報に基づいてフォーカスサーボおよびトラッキングサーボが行われる。
【0053】
上記したように本形態では、BD規格のレーザ光をレーザユニット108から放射し、DVD規格およびCD規格のレーザ光をレーザユニット106から放射し、これらのレーザ光をビームスプリッタで共通項路上に導くことにより、光学素子を複数のレーザ光で共用している。具体的には、PDIC10B、アナモレンズ102、コリメートレンズ96、反射板94、92、1/4波長板90を、3種類のレーザ光で共用している。このことにより必要とされる部品点数が削減され、光ピックアップ装置26の構成が簡略化される。
【0054】
図2を参照して、本形態の光ピックアップ装置に備えられるPDIC10A(光検出装置)の構成を説明する。図2(A)はPDIC10Aを示す平面図であり、図2(B)は多層型のディスク80を示す断面図である。
【0055】
図2(A)を参照して、PDIC10Aは、第1受光領域11、第2受光領域12および第3受光領域13から成る3つの受光領域を備えている。これらの受光領域により回折された3つのレーザ光が受光され、差動非点収差法のための制御信号が生成される。具体的には、回折された0次光が第1受光領域11で受光され、+1次光が第2受光領域12で受光され、−1次光が第3受光領域13で受光される。
【0056】
図2(B)を参照して、ここでは、第1情報記録層80Aおよび第2情報記録層80Bを有する多層のディスク80(情報記録媒体)に対して、情報の読取または書込を行う場合を説明する。ディスク80は、第1情報記録層80Aを備えた基板層と、第2情報記録層80Bとを備えた基板層が、中間層を介して積層された構成である。第1情報記録層80Aは半透明膜から成り、照射されたレーザ光の一部を透過させると共に、残りの部分を反射する性質を備えている。一方、第2情報記録層80Bは反射膜から構成され、照射されたレーザ光を反射する。ここでは、第1情報記録層80Aに対して、読取動作または書込動作を行うものとして説明する。更に、ここでは、2層の情報記録層を備えたディスク80が例示されているが、3層以上の更なる多層の情報記録層がディスク80に備えられても良い。
【0057】
ここで、3つの受光領域は縦方向に直線上に整列した状態ではなく、紙面で横方向に若干ずれた状態で配置されているが、これはPDIC10Aの直近に配置されるアナモレンズ102の影響である。具体的には、第1受光領域11は、第1情報記録層80Aに0次光の焦点が合焦する状態で、アナモレンズ102により非点収差が付与された0次反射光が最小錯乱円と成る位置に配置されている。即ち、アナモレンズの影響により、第1受光領域11、第2受光領域12および第3受光領域の並びが回転された結果、これらの受光領域の並びが、各受光領域の側辺(ここでは紙面上縦方向の側辺)に対して傾斜して配列されている。
【0058】
図2(A)では最小錯乱円を一点鎖線の円で示している。また、第2受光領域12は、同じ状態で、+1次反射光が最小錯乱円と成る位置に配置されている。更に、第3受光領域13は、同様の状態で、−1次反射光が最小錯乱円となる位置に配置されている。
【0059】
これらの受光領域は夫々が4分割された受光部分を備えている。具体的には、第1受光領域11は受光部分A、B、C、Dを備え、第2受光領域12は受光部分E、F、G、Hを備え、第3受光領域13は受光部分I、J、K、Lを備えている。夫々の受光部分にレーザ光が照射されると、照射されたレーザ光の強度に応じた出力が得られる。またここでは、各受光領域の受光部分を分割する分割線を細い点線にて示している。
【0060】
更に、各受光領域は、レーザ光の焦点が第1情報記録層80Aから離れているため受光パターンの形状が楕円形状となる方向に対して45度となる様に分割されている。図2(A)では、楕円形状を呈した場合の受光パターンを破線で示している。例えば、中央に配置された第1受光領域11では、0次光の受光パターンは、受光部分Aおよび受光部分Bの対角線を最大長として、この対角線を中心に変化する楕円形状と成る。又は、0次光の受光パターンは、受光部分Bおよび受光部分Dの対角線を最大線長として、この対角線を中心に変化する楕円形状と成る。
【0061】
受光パターンの楕円形状は、レーザ光の焦点がずれる方向により決定される。具体的には、0次光の焦点が、第1情報記録層80Aよりも対物レンズ側(図2(B)での下方)となる場合は、受光パターンは左斜め方向へ下がる楕円形状となる。一方、0次光の焦点が第1情報記録層80Aよりも上方となる場合は、受光パターンは右斜め方向へ下がる楕円形状となる。
【0062】
本形態では、1次回折光を受光する第2受光領域12および第3受光領域に、レーザ光の受光を禁止するための受光禁止領域14を設けている。具体的には、第2受光領域12を参照すると、第1受光領域11の分割線から離間した角部に受光禁止領域14が設けられている。紙面上では、第2受光領域12の左上角部に受光禁止領域14が設けられている。
【0063】
同様に、第3受光領域13を参照すると、第1受光領域11の分割線から離間する角部(右下角部)に受光禁止領域14が設けられている。
【0064】
受光禁止領域14は、各受光部分A−Lを形成する際に用いられるアルミ等の金属膜によるマスクにより設けられても良い。更には、各受光部分A−Lを形成する際に用いられる保護膜とは別材料から成る被覆膜で保護することにより、受光禁止領域14を設けても良い。また、受光禁止領域14は、第2受光領域12および第3受光領域13の一部を切り欠くことで形成されても良い。
【0065】
このようにすることで、一方の情報記録層(例えば第1情報記録層80A)にレーザ光(0次光)を合焦させている際に他方の情報記録層(例えば第2情報記録層80B)からの前記レーザ光の0次光の反射光である迷光がPDIC10Aに照射された際に、この迷光によるサーボ機構の誤動作が防止される。具体的には、図2(B)を参照して、読取または書込み動作の対象となる層を第1情報記録層80Aから第2情報記録層80Bに変更するためにフォーカスジャンプすると、第2情報記録層80Bにより反射した迷光が、図2(A)のハッチングで示される領域に照射される。この結果、第2受光領域の受光部分Gおよび第3受光領域の受光部分Iに対して迷光が照射される。そして、何ら対策を施さなかったら、迷光が照射される受光部分Gおよび受光部分Iからの出力が他の受光部分よりも大きくなり、適切なサーボ機構が施されなくなる恐れがある。
【0066】
この問題に際して本形態では、受光領域を構成する受光部分Gおよび受光部分Iに、これらの領域を被覆して受光を禁止する受光禁止領域14を設けている。このようにすることで、これらの受光部分(受光領域)に迷光が到達されないので、迷光が照射されることによるサーボ機構の誤作動が防止される。
【0067】
ここでは、ハッチングで示される迷光は、第2受光領域12の左上端部および第3受光領域13の右下端部が含まれるように照射されている。しかしながら、各受光領域のレイアウトによっては、第2受光領域12の右上端部(受光部分H)や、第3受光領域13の左下端部(受光部分J)に迷光が照射さえる場合もあるので、これらの領域の角部にも受光禁止領域14が配置されている。
【0068】
更に、第2受光領域12では、受光禁止領域14は、分離線を中心に紙面上で左右対称に配置されている。即ち、受光禁止領域14は、左上角部だけではなく、右上角部に配置されている。このようにすることで、受光パターンが破線で示す楕円形状となった場合に、各受光部分に照射されるレーザ光の光量および出力値が均等となる。この事項は、第3受光領域13に関しても同様である。
【0069】
更に、第2受光領域12では、第1受光領域11に接近する方の角部だけではなく、4隅に受光禁止領域14が配置されている。このようにすることで、受光パターンが破線で示す楕円形状となった場合に、対向する受光部分に照射されるレーザ光の光量および出力値が均等となる。具体的には、第2受光領域12に含まれる受光部分Eと受光部分Gに照射されるレーザ光の光量および出力値が均等となる。また、受光部分Fと受光部分Hに照射されるレーザ光の光量および出力値が均等となる。この事項は、第3受光領域13に関しても同様である。
【0070】
更にまた、受光禁止領域14は、1次光を受光する各受光領域の角部だけではなく、紙面上に於ける左右側辺付近に設けられても良い。具体的には、第2受光領域12の受光部分Eを参照すると、紙面上における右下角部付近および右側側辺付近に連続して受光禁止領域14が配置されている。同様に、受光部分Fを参照すると左下角部付近および左側側辺付近まで連続して受光禁止領域14が配置されている。また、受光部分Gの左上角部および左側側辺付近にも連続した受光禁止領域14が配置されている。更に、受光部分Hの右上角部および右側側面付近にも連続して受光禁止領域14が配置されている。この事項は第3受光領域13に関しても同様である。
【0071】
このように、1次光を受光する第2受光領域12および第3受光領域13の側辺付近に受光禁止領域14を設けることにより、これらの受光領域の側面に迷光が照射された場合であっても、この迷光がフォーカスサーボの障害となることが抑制される。
【0072】
本形態では、トラッキング制御方法として差動プッシュプル法が採用され、フォーカス制御方法に差動非点収差法が採用されている。
【0073】
差動プッシュプル法に於けるFE信号は、メインの第1受光領域11の信号トラック方向の分割線に分割されたそれぞれ2つのセグメントごとの各受光出力をそれぞれ加算した各和信号同士の差信号であるメインプッシュプル信号を演算する。更に、サブの第2受光領域12および第3受光領域13のそれぞれにおいて信号トラック方向の分割線に分割されたそれぞれ2つのセグメントごとの各受光出力をそれぞれ加算した各和信号同士の差信号であるサブプッシュプル信号を各受光領域ごとに第1、第2のサブプッシュプル信号として演算し、この第1、第2のサブプッシュプル信号を合成した合成サブプッシュプル信号をメインプッシュプル信号に合わせてゲイン調整(k)し、これらのプッシュプル信号の差分を演算する。
【0074】
具体的には、各受光部分から得られる出力を記号で表現すると次式で算出される。即ち、A+B−C−D−k(E+F−G−H+I+J−K−L)によりプッシュプル信号が演算される。尚ここでは、各受光領域は4つに田の字状に分割されているが、紙面上にて上下方向に2分割された状態の受光領域であっても、各受光領域の出力に基づいてプッシュプル信号を演算することが可能である。
【0075】
一方、差動非点収差法に於けるFE信号は、各受光部分の出力に基づいて次式により算出される。{(A+C)−(B+D)}+k[{(I+K)−(J+L)}+{(E+G)−(F+H)}]を演算することによってFE信号は求められる(kは0次光の光強度/±1次光の光強度)。
【0076】
図3および図4の平面図を参照して、具現化されたPDIC10Bの構成を説明する。図3はPDIC10Bの光検出器が設けられる部分を拡大して示す図であり、図4はPDIC10Bを全体的に示す平面図である。
【0077】
図3を参照して、ここでは、図2に示した各受光領域が第1光検出器15として組み込まれており、この第1光検出器15の隣に、第1光検出器15とは異なる波長のレーザ光を検出する第2光検出器16が配置されている。これらの光検出器で回折された各レーザ光を受光することにより、信号が読み出されるとともに、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボが行われる。
【0078】
第1光検出器15は、図2で説明した第1受光領域11、第2受光領域12および第3受光領域13から構成されている。本形態では、第1光検出器15は、BD規格のレーザ光およびDVD規格のレーザ光を検出する。
【0079】
第2光検出器16は、回折された0次光を受光する第1受光領域17と、+1次光を受光する第2受光領域18と、−1次光を受光する第3受光領域19から構成されている。また、第2光検出器16に含まれる各受光領域は、4つに田の字状に分割された受光部分から構成されており、第1光検出器15と同様の原理によりサーボ機構が動作される。本形態では、第2光検出器16には、CD規格のレーザ光が照射される。
【0080】
ここで、第2光検出器16の各受光部分には、図2に示したような受光禁止領域14が設けられていない。この理由は、第2光検出器16で情報が読み取られるCD規格のディスクは1層のみの情報記録層が備えられており、上記した迷光は第2光検出器16には照射されないからである。
【0081】
第1光検出器15を構成する各受光領域は、第2光検出器を構成する各受光領域よりも平面視で大きく形成されている。具体的には、第1光検出器15を構成する第3受光領域13は一辺(L1、L2)が100μm程度の正方形形状であり、第2光検出器16を構成する第3受光領域19は一辺(L5、L6)が80μm程度の正方形形状である。
【0082】
第1光検出器15をこのように大型とする理由は次の通りである。例えば、BD規格のレーザ光をそのままPDIC10Bに照射して、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボを行なおうとすると、照射されるレーザ光の変化に伴いFE信号が急激に変化してしまいサーボ機構が適切に動作しない場合がある。このため、本形態では、光ピックアップ装置に組み込まれた光学素子によりレーザ光を拡大して、比較的大型の各受光領域でこのレーザ光を受光している。このことにより、レーザ光の受光パターン形状の変化に伴うFE信号の変化が緩やかなものと成り、適切にサーボ機構を動作させることが可能となる。
【0083】
第1光検出器15の各受光領域の面積を大きくすることで、図2(A)に示すような迷光が、両端に配置された第2受光領域12および第3受光領域13に照射される場合が多くなる。本形態では、上記したように、第2受光領域12および第3受光領域13に受光禁止領域14を設けることによって、迷光に起因する問題を排除している。
【0084】
更に、第1光検出器15に含まれる各受光領域同士が離間する距離は、第2光検出器16に含まれる各受光領域同士が離間する距離よりも短く設定される。具体的には、第1光検出器15にて、第1受光領域11と第2受光領域12が離間する距離L3は、例えば50μm程度である。同様に、第1光検出器15の第1受光領域11と第3受光領域13が離間する距離L4も50μm程度である。一方、第2光検出器16で、第1受光領域17と第2受光領域18が離間する距離L7は40μm程度であり、第1受光領域17と第3受光領域19とが離間する距離L8も同様である。
【0085】
第1光検出器15を構成する各受光領域の面積を大きくした結果、各受光領域同士が接近している。このことにより、図1に示した迷光が照射される部分の第2受光領域12および第3受光領域13が大きくなる場合があるが、本形態では上記した受光禁止領域14を配置することにより、迷光に起因した問題を解決している。
【0086】
更にここで、第1光検出器15に含まれる各受光領域は互いに均等な面積を備え、第2光検出器16に含まれる各受光領域は互いに均等な面積を備えている。
【0087】
図4を参照して、上記した第1光検出器15および第2光検出器16は、半導体基板の中心付近に配置されている。そして、これらの検出器と接続された接続端子20が基板の周辺部に配置されている。また、PDIC10Bには、光検出器から出力された信号を処理する加算器、減算器、増幅器等が配置されている。第1光検出器15および第2光検出器16は受光量に基づく光電変換信号を発生させ、この光電変換信号に基づいて加算器等により生成されたエラー信号が、接続端子20を経由して外部に供給される。
【0088】
図5は。BD規格のレーザ光を回折する回折格子112の平面の構成を模式的に示す説明図である。回折格子112は、光ディスクの信号トラックの方向に対応して4分割されており、2分割された中央領域112A、112Bを挟んだ両側の各外側領域112C、112Dが互いに通過するレーザ光にπラジアンの位相シフトを付与する領域となっている。そして、回折格子112の中央領域112A、112Bは回折格子112の隣り合う各領域が各外側領域112C、112D間の位相差πラジアン以下の位相差となるような位相シフトを付与する領域となっている。例えば、回折格子112は、一方の外側領域112Cと隣接する中央領域112Aとの位相差がπ/2ラジアン、他方の外側領域112Dと隣接する中央領域112Bとの位相差がπ/2ラジアンとなっており、中央領域112A及び112B間の位相差がπラジアンの位相差となっている。
【0089】
回折格子112の格子形状は、例えば白板ガラスに所定ピッチの溝を形成した単純な凹凸形状で、格子高さはBD規格の波長の各レーザ光において、0次回折光と±1次回折光との比率が各波長のレーザ光で信号再生あるいは信号記録特性及びトラッキングサーボ特性が両立するようにそれぞれ適切に設定される。
【0090】
図1に示すレーザユニット108から発光されたBD規格のレーザ光は、回折格子112により回折されてπラジアンの位相シフトを付与されると共に、0次回折光、±1次の回折光となって、この3ビームが同一信号トラック上に一列に配置されて光ディスクに照射される。
【0091】
また、図1を参照して、DVD規格およびCD規格のレーザ光を回折する回折格子110の構造も、上記した回折格子112と同様である。従って、レーザユニット106から放射されたDVD規格またはCD規格のレーザ光は、回折格子110により回折されてπラジアンの位相シフトを付与されると共に、0次回折光、±1次の回折光の回折光となって、この3ビームが同一信号トラック上に一列に配置されて光ディスクに照射される。
【0092】
図6の斜視図を参照して、上記した構成のPDICが組み込まれた光ピックアップ装置26の構成を更に説明する。
【0093】
光ピックアップ装置26は、樹脂材料や金属材料から成るハウジング28と、このハウジング28に内蔵された各種光学素子と、光学素子と電気的に接続されるフレキシブル配線基板21を備えている。
【0094】
ハウジング28の上面には、対物レンズ82を移動可能に保持するアクチュエータが配置さる。また、ハウジング28の内部および側面には、各種光学素子が配置されている。
【0095】
ハウジング28は、射出成形で一体的に形成された樹脂材料や金属材料(例えばマグネシム)から成る。また、ハウジング28の両端部分には、ガイド孔30とガイド溝32が設けられている。使用状況下に於いては、ガイド孔30にはガイド軸が挿通され、ガイド溝32には別のガイド軸が係合される。そして、光ピックアップ装置26は、これらのガイド軸に沿って、ディスクの径方向に移動する。
【0096】
フレキシブル配線基板21は、光ピックアップ装置26に内蔵された光学素子を外部と接続する。更に、フレキシブル配線基板21は、ハウジング28に備えられた光学素子同士を電気的に接続する機能を備えている。
【0097】
ここで、PDIC10Bは、フレキシブル配線基板21と接続された状態で、ハウジング28の側面に外側から固着されている。
【符号の説明】
【0098】
10A、10B PDIC
11 第1受光領域
A、B、C、D 受光部分
12 第2受光領域
E、F、G、H 受光部分
13 第3受光領域
I、J、K、L 受光部分
14 受光禁止領域
15 第1光検出器
16 第2光検出器
17 第1受光領域
18 第2受光領域
19 第3受光領域
20 接続端子
21 フレキシブル配線基板
26 光ピックアップ装置
28 ハウジング
30 ガイド孔
32 ガイド溝
80 ディスク
82 対物レンズ
84 対物レンズ
86 立ち上げミラー
88 立ち上げミラー
90 1/4波長板
92 反射板
94 反射板
96 コリメートレンズ
98 プリズム(ビームスプリッタ)
100 プリズム
102 アナモレンズ
106 レーザユニット
108 レーザユニット
110 回折格子
112 回折格子
114 ダイバージェントレンズ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レーザ光を放射する第1発光源を有する第1レーザユニットと、前記第1レーザ光よりも波長が長い第2レーザ光を放射する第2発光源、及び前記第1レーザ光および前記第2レーザ光よりも波長が長い第3レーザ光を放射する第3発光源を有する第2レーザユニットと、前記第1レーザ光および前記第2レーザ光を受光する第1光検出器と、前記第3レーザ光を受光する第2光検出器とを有する光検出装置とを備え、
前記第1レーザユニット及び前記第2レーザユニットの各発光源からそれぞれ選択的に出射される第1、第2及び第3レーザ光をビームスプリッタを介して共通光路上に導き、各レーザ光に適合する各種情報記録媒体に導く光ピックアップ装置であって、
前記光検出装置に設けられる前記第1光検出器は、
レーザ光を回折させることで発生する0次光を受光する第1受光領域と、
前記第1受光領域に隣接すると共に、前記回折させることで発生する+1次光を受光する第2受光領域と、
前記第2受光領域に対向して前記第1受光領域に隣接すると共に、前記回折させることで発生する−1次光を受光する第3受光領域とを備え、
前記第2受光領域および前記第3受光領域の、前記第1受光領域に接近する側の角部に、前記レーザ光を受光しない受光禁止領域を設けることを特徴とする光ピックアップ装置。
【請求項2】
前記第1レーザ光を0次光、+1次光および−1次光に回折すると共に、通過するレーザ光にπラジアンの位相シフトを付与する少なくとも2領域を有する第1回折格子と、
前記第2レーザ光および前記第3レーザ光を0次光、+1次光および−1次光に回折すると共に、通過するレーザ光にπラジアンの位相シフトを付与する少なくとも2領域を有する第2回折格子と、を更に備え、
前記第1レーザ光、前記第2レーザ光および前記第3レーザ光の0次光、+1次光および−1次光を、前記情報記録媒体の同一のトラックに照射し、
前記第1光検出器の第1受光領域、第2受光領域および第3受光領域はこれら第1受光領域、第2受光領域および第3受光領域からそれぞれトラッキング制御用のプッシュプル信号が発生されるように少なくとも2分割され、
前記第2光検出器の第1受光領域、第2受光領域および第3受光領域はこれら第1受光領域、第2受光領域および第3受光領域からそれぞれトラッキング制御用のプッシュプル信号が発生されるように少なくとも2分割され、
第1レーザ光および第2レーザ光の光軸を一致させて前記第1光検出器により受光すると共に、前記第3レーザ光を前記第2光検出器により受光することを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
【請求項3】
前記光検出装置の手前に配置され、前記光検出装置に受光されるレーザ光にフォーカス制御用の非点収差を付与する光学素子を備え、
前記第1光検出器および第2光検出器のそれぞれの第1受光領域、前記第2受光領域および前記第3受光領域は、前記光学素子により前記第1レーザ光、前記第2レーザ光および前記第3レーザ光の0次光、+1次光および−1次光の並びが回転させるのに応じて前記各受光領域の側辺に対して斜めに配列され、
前記第2受光領域および前記第3受光領域の、前記第1受光領域の中心線から離間した側の角部に、前記レーザ光を受光しない受光禁止領域を設けることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ピックアップ装置。
【請求項4】
前記第2受光領域および前記第3受光領域では、前記受光禁止領域を、各受光領域の分割線を中心に左右対称に配置することを特徴とする請求項3に記載の光ピックアップ装置。
【請求項5】
前記第1受光領域、前記第2受光領域および前記第3受光領域では、前記情報記録媒体が備える複数の情報記録層の何れかで反射した反射光を受光し、
前記第2受光領域および前記第3受光領域の、前記0次光が合焦しない前記情報記録層からの反射光である迷光が照射される領域に、前記受光禁止領域が設けられることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の光ピックアップ装置。
【請求項6】
前記第2受光領域および前記第3受光領域の4隅に前記受光禁止領域を設けたことを特徴とする請求項3から請求項5の何れかにに記載の光ピックアップ装置。
【請求項7】
前記受光禁止領域は、前記第2受光領域および前記第3受光領域の一部をマスクすることで設けられることを特徴とする請求項3から請求項6の何れかに記載の光ピックアップ装置。
【請求項8】
前記受光禁止領域は、前記第2受光領域および前記第3受光領域の一部を切り欠くことで設けられることを特徴とする請求項3から請求項6の何れかに記載の光ピックアップ装置。
【請求項9】
前記第1光検出器が備える各前記受光領域は、前記第2検出器が備える各前記受光領域よりも平面視で大きく形成されることを特徴とする請求項3から請求項8の何れかに記載の光ピックアップ装置。
【請求項10】
前記第1検出器に含まれる前記受光領域同士が離間する距離は、前記第2検出器に含まれる前記受光領域同士が離間する距離よりも短いことを特徴とする請求項3から請求項9の何れかに記載の光ピックアップ装置。
【請求項11】
前記第1光検出器では、複数の情報記録層を有する情報記録媒体で反射したレーザ光を検出し、
前記第2光検出器では、1つの情報記録層を有する情報記録媒体で反射したレーザ光を検出することを特徴とする請求項3から請求項10の何れかに記載の光ピックアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−48794(P2012−48794A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191944(P2010−191944)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】