説明

光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物

【課題】隣接被覆層との剥離性に優れた光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A1)数平均分子量が1000〜2000であるポリプロピレングリコールに由来する構造を有する、ウレタン(メタ)アクリレート30〜70質%、(A2)ジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物であって、ポリオールに由来する構造を有しない、ウレタン(メタ)アクリレート5〜20質量%、(B)N−ビニル化合物およびイソボルニル(メタ)アクリレートを含む、エチレン性不飽和基を有する化合物1〜70質量%(C)重合開始剤0.1〜10質量%、(D)平均分子量1,500〜35,000のシリコーン化合物0.1〜50質量%および(F)分子量1500以上のポリオール化合物10〜50質量%を含有する光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ素線の表面に塗布後硬化して使用するアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバの製造においては、ガラスファイバを熱溶融紡糸し、保護補強を目的として樹脂被覆が施されている。この過程を線引きと称し、樹脂被覆としては、光ファイバの表面にまず柔軟な第一次の被覆層を設け、その外側に剛性の高い第二次の被覆層を設けた構造が知られている。また、これらの樹脂被覆を施された光ファイバ素線を実用に供するため、平面上に複数並べて結束材料で固めテープ状被覆層を設けた構造が知られている。この第一次の被覆層を形成するための樹脂組成物をソフト材、第二次の被覆層を形成するための樹脂組成物をハード材、テープ状の被覆層を形成するための樹脂組成物をテープ材と称している。
【0003】
光ファイバ素線の外径は通常250μm程度であるが、手作業による作業性を改善する目的で、この外周をさらに別の樹脂層で被覆して外径を500〜900μm程度に増大させることが行われている。このような樹脂被覆層を通常アップジャケット層という。アップジャケット層自体は光学的特性を要するものではないため、特に透明性は必要とされず、着色を付して目視による識別性を付与することもある。アップジャケット層は、光ファイバ素線の結線作業等を行う場合に、容易に、かつ、下層にある一次被覆層や二次被覆層を破損させずに剥離できることが重要な特性である。
【0004】
このようなアップジャケット層を含めた光ファイバ用被覆材として用いられる硬化性樹脂には、塗布性に優れ高速で線引き可能なこと;十分な強度、柔軟性を有すること;耐熱性に優れること;耐候性に優れること;酸、アルカリなどに対する耐性に優れること;耐油性に優れていること;吸水、吸湿性が低いこと;耐候性に優れていること;水素ガス発生量が少ないこと;液状で保存安定性が良好なことなどの特性が要求されている。
【0005】
しかし、従来のアップジャケット用材料では、アップジャケット層がその上層であるケーブル層や下層である一次被覆層や二次被覆層と強固に接着しているため、テープ層を剥離して光ファイバ素線を露出させる際にアップジャケット層が破損したり、光ファイバ素線からアップジャケット層を剥離させる際に一次被覆層や二次被覆層を破損させることが多かった。このため、光ファイバの接続作業の作業性が低下しているという問題があった。
【0006】
かかる剥離性を改善したアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物としては、3種類のポリシロキサン化合物を配合した組成物(特許文献1)、及び樹脂材料中に有機または無機材料からなる粒子を配合した組成物(特許文献2、3)が報告されている。
しかしながら、上記組成物により形成されたアップジャケット層の剥離性は十分とはいえなかった。このため、特定構造を有するウレタン(メタ)アクリレート、特定分子量のシリコーン化合物等を含有する光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物(特許文献4)等が検討されているが、さらに、光ファイバ被覆材としての機能に優れ、かつ隣接被覆層との剥離性に優れた液状硬化性樹脂組成物が望まれていた。
【特許文献1】特開平10−287717号公報
【特許文献2】特開平9−324136号公報
【特許文献3】特開2000−273127号公報
【特許文献4】特開2007−108639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、光ファイバ被覆材としての機能に優れ、かつ隣接被覆層との剥離性に優れた光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する液状硬化性樹脂組成物に種々の成分を配合して、その硬化物の光ファイバ被覆層としての機能及び剥離性について検討してきたところ、後記成分(A)〜(D)及び(F)を特定の割合で組み合わせて用いることにより、光ファイバ被覆材としての機能、特に、硬化速度が速く、十分な強度の硬化物が得られ、しかも隣接被覆層との剥離性、特に低温における剥離性に優れた液状硬化性樹脂組成物が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、組成物全体を100質量%として、
(A1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求めた数平均分子量が1000〜2000であるポリプロピレングリコールに由来する構造を有する、ウレタン(メタ)アクリレート 30〜70質量%、
(A2)ジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物であって、ポリオールに由来する構造を有しない、ウレタン(メタ)アクリレート 5〜20質量%、
(B)N−ビニル化合物およびイソボルニル(メタ)アクリレートを含む、エチレン性不飽和基を有する化合物 1〜70質量%、
(C)重合開始剤 0.1〜10質量%、
(D)平均分子量1,500〜35,000のシリコーン化合物 0.1〜50質量%
および
(F)分子量1500以上のポリオール化合物 10〜50質量%
を含有する光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物であって、
(B)成分の全量の45質量%以上が、2以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である、光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、当該光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物の硬化物からなる光ファイバアップジャケット層を提供する。
さらに本発明は、当該光ファイバアップジャケット層を有する光ファイバアップジャケット素線を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、硬化速度が速く、得られる光ファイバアップジャケット層は、十分な強度、耐候性等の機能を有し、かつその剥離性が良好で、特に低温における剥離性に優れることから、光ファイバ接続作業の作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の(A1)成分であるウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオール、ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させることにより製造される。すなわち、ジイソシアネートのイソシアネート基を、ポリオールの水酸基および水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と、それぞれ反応させることにより製造される。
【0013】
この反応としては、例えばポリオール、ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを一括に仕込んで反応させる方法;ポリオールおよびジイソシアネートを反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法;ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオールを反応させる方法;ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させ、次いでポリオールを反応させ、最後にまた水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させる方法等が挙げられる。
【0014】
本発明においては、ポリオールとして、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求めた数平均分子量が1000〜2000、好ましくは1000〜1500であるポリプロピレングリコールを用いる。
また、これ以外のポリオールを併用することもできる。好ましく用いられるポリオールとしては、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールおよびその他のポリオールが挙げられる。これらのポリオールの各構造単位の重合様式には特に制限されずランダム重合、ブロック重合、グラフト重合のいずれであってもよい。ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコールあるいは二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られる脂肪族ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル等の環状エーテル類が挙げられる。また、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミン等の環状イミン類、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸、あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルポリオールを使用することもできる。上記二種以上のイオン重合性環状化合物の具体的な組み合わせとしては、例えばテトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブテン−1−オキシド、エチレンオキシドの3元重合体等を挙げることができる。これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状の結合をしていてもよい。
【0015】
これらの脂肪族ポリエーテルポリオールは、例えばPTMG650、PTMG1000、PTMG2000(以上、三菱化学製)、PPG−400、PPG1000、PPG2000、PPG3000、EXCENOL720、1020、2020(以上、旭硝子ウレタン製)、PEG1000、ユニセーフDC1100、DC1800(以上、日本油脂製)、PPTG2000、PPTG1000、PTG400、PTGL2000(以上、保土谷化学製)、Z−3001−4、Z−3001−5、PBG2000A、PBG2000B(以上、第一工業製薬製)等の市販品としても入手することができる。
【0016】
さらに、ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ポリオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、水添ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ナフトハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、アントラハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、1,4−シクロヘキサンポリオールおよびそのアルキレンオキサイド付加ポリオール、トリシクロデカンポリオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンポリオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール等の環式ポリエーテルポリオールが挙げられる。これらの中で、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。これらのポリオールは、例えばユニオールDA400、DA700、DA1000、DB400(以上、日本油脂製)、トリシクロデカンジメタノール(三菱化学製)等の市販品として入手することもできる。その他、環式ポリエーテルポリオールとしては、キレンオキシド付加ポリオール、ビスフェノールFのアルキレノキシド付加ポリオール、1,4−シクロヘキサンポリオールのアルキレノキシド付加ポリオールなどが挙げられる。
【0017】
ポリエステルポリオールとしては、例えば二価アルコールと二塩基酸とを反応して得られるポリエステルポリオールなどが挙げられる。上記二価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンポリオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンポリオール、1,9−ノナンポリオール、2−メチル−1,8−オクタンポリオール等が挙げられる。二塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマール酸、アジピン酸、セバシン酸等の二塩基酸を挙げることができる。市販品としては、クラポールP−2010、PMIPA、PKA−A、PKA−A2、PNA−2000(以上、クラレ製)等が入手できる。
【0018】
また、ポリカーボネートポリオールとしては、例えばポリテトラヒドロフランのポリカーボネート、1,6−ヘキサンポリオールのポリカーボネート等が挙げられ、市販品としては、DN−980、981、982、983(以上、日本ポリウレタン製)、PC−8000(米国PPG製)、PC−THF−CD(BASF製)等が挙げられる。
【0019】
さらにポリカプロラクトンポリオールとしては、例えばε−カプロラクトンと、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ポリブチレングリコール、1,6−ヘキサンポリオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−ブタンポリオール等の2価のポリオールとを反応させて得られるポリカプロラクトンポリオールが挙げられる。これらのポリオールは、プラクセル205、205AL、212、212AL、220、220AL(以上、ダイセル化学工業製)等の市販品として入手することができる。
【0020】
上記以外の他のポリオールも数多く使用することができる。このような他のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンポリオール、1,5−ペンタンポリオール、1,6−ヘキサンポリオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジシクロペンタジエンのジメチロール化合物、トリシクロデカンジメタノール、β−メチル−δ−バレロラクトン、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端水添ポリブタジエン、ヒマシ油変性ポリオール、ポリジメチルシロキサンの末端ポリオール化合物、ポリジメチルシロキサンカルビトール変性ポリオール等が挙げられる。
【0021】
また上記したようなポリオールを併用する以外にも、ポリオールとともにジアミンを併用することも可能である。このようなジアミンとしては、例えばエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、パラフェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン等のジアミンやヘテロ原子を含むジアミン、ポリエーテルジアミン等が挙げられる。
【0022】
これらのポリオールのうち、ポリエーテルポリオール、特に脂肪族ポリエーテルポリオールが好ましい。具体的には、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとの共重合体が好ましい。ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとの共重合体であるジオールは、EO/BO500、EO/BO1000、EO/BO2000、EO/BO3000、EO/BO4000(以上、第一工業製薬製)などの市販品として入手できる。
また、ポリオールの数平均分子量は、400〜1000が好ましく、500〜800が特に好ましい。数平均分子量は、ポリスチレンを分子量標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により求める。
【0023】
ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサ
ンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,5(または2,6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。特に、2,4−トリレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等が好ましい。
【0024】
これらのジイソシアネートは、単独あるいは二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンポリオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンポリオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、下記式(1)または(2)
【0026】
【化1】

【0027】
(式中、R1は水素原子またはメチル基を示し、nは1〜15の数を示す)
で表される(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物を使用することもできる。これら水酸基含有(メタ)アクリレートのうち、特に、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0028】
これらの、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物は、単独であるいは二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0029】
ポリオール、ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートの使用割合は、ポリオールに含まれる水酸基1当量に対してジイソシアネートに含まれるイソシアネート基が1.1〜3当量、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基が0.2〜1.5当量となるようにするのが好ましい。
【0030】
これらの化合物の反応においては、例えばナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ジブチル錫ジラウレート、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、2,6,7−トリメチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等のウレタン化触媒を、反応物の総量100質量部に対して0.01〜1質量部用いるのが好ましい。また、反応温度は、通常10〜90℃、特に30〜80℃で行うのが好ましい。
【0031】
水酸基含有(メタ)アクリレートの一部をイソシアネート基に付加しうる官能基を持った化合物で置き換えて用いることもできる。例えば、γ−メルカプトトリメトキシシラン、γ−アミノトリメトキシシランなどを挙げることができる。これらの化合物を使用することにより、ガラス等の基材への密着性を高めることができる。
【0032】
これら(A1)成分であるウレタン(メタ)アクリレートは、組成物全体((E)成分を配合する場合には、(E)成分を除く)100質量%に対して、通常30〜70質量%配合されるが、好ましくは30〜60質量%配合され、特に好ましくは40〜50質量%配合される。30質量%未満では弾性率の温度依存性が大きく、70質量%を超えると液状硬化性樹脂組成物の粘度が高くなることがある。
【0033】
本発明の(A2)成分であるウレタン(メタ)アクリレートは、ジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物であって、ポリオールに由来する構造を有しない、ウレタン(メタ)アクリレートである。(A2)成分は、ジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させることにより製造される。すなわち、ジイソシアネートのイソシアネート基を、水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と反応させることにより製造される。(A2)成分の合成に使用することのできるジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートは、(A1)成分の合成に使用されるジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートとそれぞれ同様である。
【0034】
(A2)成分は、より具体的には、ジイソシアネート1モルに対して水酸基含有(メタ)アクリレート化合物2モルを反応させることにより製造される。かかるウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートの反応物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと2,5(または2,6)−ビス(イソシアネートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタンの反応物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとイソフォロンジイソシアネートの反応物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートと2,4−トリレンジイソシアネートの反応物、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとイソフォロンジイソシアネートの反応物等が挙げられる。
【0035】
これら(A2)成分であるウレタン(メタ)アクリレートは、組成物全体((E)成分を配合する場合には、(E)成分を除く)100質量%に対して、通常5〜20質量%配合されるが、好ましくは10〜15質量%配合される。5質量%未満では弾性率の温度依存性が大きく、20質量%を超えると液状硬化性樹脂組成物の粘度が高くなることがある。
【0036】
本発明の組成物には、(A1)成分、(A2)成分に加えて、(A1)および(A2)成分以外のウレタン(メタ)アクリレート(A3)成分を添加することができる。(A3)成分としては、特に限定されないが、ポリプロピレングリコール以外のポリオールとジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物であるウレタン(メタ)アクリレートが好ましく、この場合のポリオールとしては、芳香族構造を有するポリオールが好ましく、ビスフェノール構造を有するポリオールがさらに好ましい。
【0037】
このようなポリオールの具体例としては、例えばビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ポリオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、水添ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ナフトハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、アントラハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、1,4−シクロヘキサンポリオールおよびそのアルキレンオキサイド付加ポリオール、トリシクロデカンポリオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンポリオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール等の環式ポリエーテルポリオールが挙げられる。
これらの中で、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。これらのポリオールは、例えばユニオールDA400、DA700、DA1000、DB400(以上、日本油脂製)、トリシクロデカンジメタノール(三菱化学製)等の市販品として入手することもできる。
【0038】
その他、環式ポリエーテルポリオールとしては、キレンオキシド付加ポリオール、ビスフェノールFのアルキレノキシド付加ポリオール、1,4−シクロヘキサンポリオールのアルキレノキシド付加ポリオールなどが挙げられる。
なお、(A3)成分の合成に使用することのできるジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートは、(A1)成分の合成に使用されるジイソシアネートおよび水酸基含有(メタ)アクリレートとそれぞれ同様である。
【0039】
これら(A3)成分であるウレタン(メタ)アクリレートは、組成物全体((E)成分を配合する場合には、(E)成分を除く)100質量%に対して、通常0〜15質量%配合されるが、好ましくは0〜10質量%配合される。15質量%を超えると液状硬化性樹脂組成物の粘度が高くなることがある。
【0040】
(B)成分であるエチレン性不飽和基を有する化合物としては、N−ビニル化合物およびイソボルニル(メタ)アクリレートを必須要件として、さらに重合性単官能化合物または重合性多官能化合物を用いることができる。N−ビニル化合物としては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタムが挙げられる。また、単官能性化合物としては、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート、4−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン等が挙げられる。さらに、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、下記式(3)〜(6)で表される化合物を挙げることができる。
【0041】
【化2】

【0042】
(式中、R2は水素原子またはメチル基を示し、R3は炭素数2〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基を示し、R4は水素原子または炭素数1〜12、好ましくは1〜9のアルキル基を示し、rは0〜12、好ましくは1〜8の数を示す)
【0043】
【化3】

【0044】
(式中、R5は水素原子またはメチル基を示し、R6は炭素数2〜8、好ましくは2〜5のアルキレン基を示し、R7は水素原子またはメチル基を示し、pは好ましくは1〜4の数を示す。)
【0045】
【化4】

【0046】
(式中、R8、R9、R10およびR11は互いに独立で、HまたはCH3であり、qは1〜5の整数である)
【0047】
これら重合性単官能化合物のうち、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル基含有ラクタム、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリルアクリレートが好ましい。
【0048】
これら重合性単官能化合物の市販品としては、IBXA(大阪有機化学工業製)、アロニックスM−111、M−113、M114、M−117、TO−1210(以上、東亞合成製)を使用することができる。
【0049】
また重合性多官能化合物としては、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、1,4−ブタンポリオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンポリオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加体、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体のポリオールのジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドの付加体のポリオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルに(メタ)アクリレートを付加させたエポキシ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテルおよび下記式(7)
【0050】
【化5】

【0051】
(ここで、R12およびR13は互いに独立に水素原子またはメチル基でありそしてnは1〜100の数である)
で表わされる化合物等が挙げられる。
【0052】
これら重合性多官能化合物のうち、上記式(7)で表わされる化合物、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、エチレンオキサイドを付加させたビスフェノールAのジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イアオシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレートが好ましく、中でも、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0053】
これら重合性多官能化合物の市販品として、例えば、ユピマーUV、SA1002(以上、三菱化学製)、アロニックスM−215、M−315、M−325(以上、東亞合成製)を使用することができる。また、アローニックスTO−1210(東亞合成製)を使用することができる。
【0054】
これらの(B)エチレン性不飽和基を有する化合物は、組成物全体((E)成分を配合する場合には、(E)成分を除く)100質量%に対して、通常1〜70質量%配合されるが、好ましくは5〜50質量%であり、特に好ましくは10〜40質量%である。1質量%未満であると硬化性を損ねる可能性があり、70質量%をこえると低粘度による塗布形状の変化が起き、塗布が安定しない。
【0055】
本発明においては、(B)エチレン性不飽和基を有する化合物全量の45質量%以上が、2以上のエチレン性不飽和基を有する化合物であることが必要である。2以上のエチレン性不飽和基を有する化合物が45質量%以上であることにより、組成物の硬化物が有する熱膨張率(線膨張係数)が低下し、アップジャケット層に80〜120℃程度の熱履歴を与えた場合にも、良好な剥離性を得ることができる。
【0056】
さらに、本発明の液状硬化性樹脂組成物は、(C)成分として重合開始剤を含有する。重合開始剤としては、熱重合開始剤または光開始剤を用いることができる。
【0057】
本発明の液状硬化性樹脂組成物が熱硬化性の場合には、通常、過酸化物、アゾ化合物等の熱重合開始剤が用いられる。具体的には、例えばベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−オキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0058】
また、本発明の液状硬化性樹脂組成物が光硬化性の場合には、光重合開始剤を用い、必要に応じて、さらに光増感剤を併用するのが好ましい。ここで、光重合開始剤としては、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォフフィンオキシド;IRGACURE184、369、651、500、907、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61;Darocure1116、1173(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製);LucirinTPO(BASF製);ユベクリルP36(UCB製)等が挙げられる。また、光増感剤としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル;ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB製)等が挙げられる。
【0059】
本発明の液状硬化性樹脂組成物を熱および紫外線を併用して硬化させる場合には、前記熱重合開始剤と光重合開始剤を併用することもできる。(C)重合開始剤は、組成物全体((E)成分を配合する場合には、(E)成分を除く)100質量%に対して、0.1〜10質量%、特に0.3〜7質量%配合するのが好ましい。
【0060】
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、さらに、(D)成分として平均分子量1,500〜35,000のシリコーン化合物を含有する。当該(D)成分は、本発明の樹脂組成物を用いて形成された光ファイバアップジャケット層の隣接する層からの剥離性向上効果を得るうえで重要である。(D)成分の平均分子量が1,500未満では、十分な剥離性向上効果が得られず、平均分子量が35,000を超えると剥離性向上効果が不十分となる。より好ましい平均分子量は1,500〜20,000であり、さらに1,500〜20,000が好ましく、特に3,000〜15,000が好ましい。
また、(D)成分は、エチレン性不飽和基等の重合性基を有しないことが好ましい。(D)成分がエチレン性不飽和基等の重合性基を有しないことにより、熱履歴を与えても良好な剥離性を維持することができる。
【0061】
当該シリコーン化合物としては、ポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、ウレタンアクリレート変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、メチルスチリル変性シリコーン、エポキシポリエーテル変性シリコーン、アルキルアラルキルポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、これらのうちポリエーテル変性シリコーンが特に好ましい。ポリエーテル変性シリコーンとしては、少なくとも1個のケイ素原子に基R14−(R15O)s−R16−(ここで、R14は水酸基又は炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、R15は炭素数2〜4のアルキレン基を示し(R15は2種以上のアルキレン基が混在していてもよい)、R16は炭素数2〜12のアルキレン基を示し、sは1〜20の数を示す)が結合しているポリジメチルシロキサン化合物が好ましい。このうちR15としては、エチレン基、プロピレン基が好ましく、特にエチレン基が好ましい。当該シリコーン化合物の市販品のうち、エチレン性不飽和基等の重合性基を有しないものとしては、例えばSH28PA(東レ・ダウコーニング社製、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体)、ペインタッド19、54(東レ・ダウコーニング社製、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体)、FM0411(チッソ社製、サイラプレーン)、SF8428(東レ・ダウコーニング社製、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体(側鎖OH含有))、BYK UV3510(ビックケミー・ジャパン社製、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体)、DC57(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体)等を挙げることができる。また、エチレン性不飽和基を有する当該シリコーン化合物の市販品としては、例えば、Tego Rad 2300、2200N(テゴ・ケミー社製)等を挙げることができる。
【0062】
(D)成分の配合量は、アップジャケット層の剥離性及び強度や耐候性の点から、成分組成物全体((E)成分を配合する場合には、(E)成分を除く)100質量%に対して0.1〜50質量%、さらに0.5〜40質量%、特に1〜20質量%が好ましい。
【0063】
また、本願発明の液状硬化性樹脂組成物には、(E)難燃剤を添加することもできる。(E)難燃剤としては、公知のものであれば特に限定されるものではないが、ハロゲン系(臭素、塩素系)、リン系、窒素系またはシリコーン系の難燃剤を挙げることができる。
【0064】
臭素系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA(TBBPA)、デカブロモジフェニルオキサイド、ホキサブロモシクロドデカン、トリブロモフェノール、エチレンビステトラブロモフタルイミド、TBBPAポリカーボネートオリゴマー、臭素化ポリスチレン、TBBPAエポキシオリゴマー、TBBPAビスブロモプロピルエーテル、エチレンビスペンタブロモジフェノール、ペンタブロモベンジルアクリレート、ヘキサブロモベンゼン、臭素化芳香族トリアジン等を挙げることができる。
【0065】
リン系難燃剤としては、リン酸エステル、含ハロゲンリン酸エステル、ポリリン酸アンモニウム、赤リン系、ホスファフェナントレン系等を挙げることができる。リン酸エステルの具体例としては、トリイソプロピルフェニルフォスフェート、トリス(2−クロロイソプロピル)フォスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリクレジルフォスフェート等が挙げられる。
【0066】
塩素系難燃剤としては、塩素化パラフィン、パークロロシクロペンタデカン、クロレンド酸等を挙げることができる。
【0067】
(E)難燃剤の配合量は、(E)成分以外の組成物全体100質量部に対して、1〜50質量部配合されることが好ましく、さらに5〜20質量部配合されることが好ましい。1質量部未満であると、難燃効果が不十分であり、50質量部を越えると、難燃剤が硬化物中からブリードアウトしたり、アップジャケット層としての弾性特性等に悪影響を与えるため好ましくない。
【0068】
本発明の液状硬化性樹脂組成物は、(F)成分として分子量1500以上のポリオール化合物を含有する。当該(F)成分を添加することにより、本発明の樹脂組成物を用いて形成された光ファイバアップジャケット層の隣接する層からの剥離性向上効果をさらに向上させることができる。(F)成分の分子量が1500未満では、インキ層への移行の問題から耐久性のうえで問題があり好ましくない。より好ましいポリオール化合物の分子量は1500〜10000であり、さらに好ましくは2000〜8000である。
【0069】
(F)成分のポリオール化合物としては、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールおよびその他のポリオールが挙げられる。これらのポリオールの各構造単位の重合様式には特に制限されずランダム重合、ブロック重合、グラフト重合のいずれであってもよい。
【0070】
これらのうち、ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリヘプタメチレングリコール、ポリデカメチレングリコールあるいは二種以上のイオン重合性環状化合物を開環共重合させて得られる脂肪族ポリエーテルポリオール等が挙げられる。上記イオン重合性環状化合物としては、例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテン−1−オキシド、イソブテンオキシド、3,3−ビスクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、トリオキサン、テトラオキサン、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド、エピクロルヒドリン、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アリルグリシジルカーボネート、ブタジエンモノオキシド、イソプレンモノオキシド、ビニルオキセタン、ビニルテトラヒドロフラン、ビニルシクロヘキセンオキシド、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、安息香酸グリシジルエステル等の環状エーテル類が挙げられる。また、上記イオン重合性環状化合物と、エチレンイミン等の環状イミン類、β−プロピオラクトン、グリコール酸ラクチド等の環状ラクトン酸、あるいはジメチルシクロポリシロキサン類とを開環共重合させたポリエーテルポリオールを使用することもできる。上記二種以上のイオン重合性環状化合物の具体的な組み合わせとしては、例えばテトラヒドロフランとプロピレンオキシド、テトラヒドロフランと2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとエチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシド、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブテン−1−オキシド、エチレンオキシドの3元重合体等を挙げることができる。これらのイオン重合性環状化合物の開環共重合体はランダムに結合していてもよいし、ブロック状の結合をしていてもよい。
【0071】
これらの脂肪族ポリエーテルポリオールは、例えばPTMG2000(三菱化学製)、PPG2000、PPG3000、EXCENOL2020(以上、旭硝子ウレタン製)、DC1800(日本油脂製)、PPTG2000、PTGL2000(以上、保土谷化学製)、PBG2000A、PBG2000B(以上、第一工業製薬製)等の市販品としても入手することができる。
【0072】
さらに、ポリエーテルポリオールとしては、例えばビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ポリオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加ポリオール、水添ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、ナフトハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、アントラハイドロキノンのアルキレンオキサイド付加ポリオール、1,4−シクロヘキサンポリオールおよびそのアルキレンオキサイド付加ポリオール、トリシクロデカンポリオール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンポリオール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール等の環式ポリエーテルポリオールが挙げられる。その他、環式ポリエーテルポリオールとしては、キレンオキシド付加ポリオール、ビスフェノールFのアルキレノキシド付加ポリオール、1,4−シクロヘキサンポリオールのアルキレノキシド付加ポリオールなどが挙げられる。これらのポリオールは、直鎖状の分子であってもよいし、分岐構造を有していてもよい。また、これらの併用であってもよい。
【0073】
これらのポリオールのうち、特に例えばメチル基、エチル基に代表されるアルキル基等の分岐構造を有し、その分岐による各分岐鎖の末端に水酸基を有し、ポリオールの分子量を該分岐鎖末端の水酸基の数で割った値が500〜2000であるポリオール(以下、「分岐構造を有するポリオール」ともいう。)を含有することが好ましい。
【0074】
分岐構造を有するポリオールの具体例としては、グリセリン、あるいはソルビトール等にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種類を開環重合したポリオールが好ましく、特に、ポリプロピレングリコールや、ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとの共重合体が好ましい。
【0075】
ポリオールの分子量を該分岐鎖末端の水酸基の数で割った値は、好ましくは500〜2000であり、さらに好ましくは1000〜1500である。またポリオール自体の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法で求めたポリスチレン換算分子量として、1500〜12000、さらに2000〜10000、特に2500〜8000が好ましい。
【0076】
また分岐構造を有するポリオールは、一分子中に分岐による分岐鎖末端水酸基を3〜6個有するものが好ましい。
【0077】
ポリオールの市販品としては、PPG2000、PPG3000、EXCENOL2020(以上、旭硝子ウレタン製);ブテン−1−オキシドとエチレンオキシドとの共重合体であるジオールは、EO/BO2000、EO/BO3000、EO/BO4000(以上、第一工業製薬製)などの市販品として入手できる。
また、分岐構造を有するポリオールの市販品としては、例えば、第一工業製薬製、旭硝子ウレタン製、三洋化成工業製の「サニックスTP−400」、「サニックスGL−3000」、「サニックスGP−250」、「サニックスGP−400」、「サニックスGP−600」、「サニックスGP−1000」、「サニックスGP−3000」、「サニックスGP−3700M」、「サニックスGP−4000」、「サニックスGEP−2800」、「ニューポールTL4500N」等が挙げられる。
【0078】
(F)成分の配合量は、アップジャケット層の剥離性および強度や耐候性の点から、組成物全体((E)成分を配合する場合には、(E)成分を除く)100質量%に対して、10〜50質量%、特に10〜40質量%、さらに15〜35質量%が好ましい。
【0079】
本発明の液状硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、本発明の特性を損なわない範囲で各種添加剤、例えば、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、熱重合禁止剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、フィラー、老化防止剤、濡れ性改良剤、塗面改良剤等を配合することができる。
【0080】
なお、本発明の液状硬化性樹脂組成物は、熱および/または放射線によって硬化されるが、ここで放射線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
【0081】
本発明の液状硬化性組成物の硬化物は、好ましくは100MPa〜500MPaのヤング率を示すのが好ましい。また、アップジャケット層を形成するには膜厚100〜350μmに被覆するのが好ましい。さらに、光ファイバアップジャケット層の外側に接して熱可塑性樹脂からなるケーブル層を設けることもできる。
【実施例】
【0082】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれら実施例に限定されるものではない。
【0083】
[製造例1:(A)ウレタン(メタ)アクリレートの合成1]
攪拌機を備えた反応容器に、イソボロニルアクリレート98.51g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.113g、トルエンジイソシアナート245.05g、数平均分子量が1000であるポリプロピレングリコール234.92gを加え、液温が15℃になるまで冷却した。ジブチル錫ジラウレート0.376gを添加した後、液温が40℃以上にならないように1時間攪拌した。これらを撹拌しながら液温度が15℃以下になるまで氷冷した。2-ヒドロキシエチルアクリレート110.85gを、液温が20℃以下になるように制御しながらゆっくりと滴下した。さらに、1時間撹拌して反応させた後、液温度70〜75℃にて3時間撹拌を継続させ、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とした。得られた(A)ウレタン(メタ)アクリレートを、UA−1とする。UA−1は、下記式(11)〜(12)で表される構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを、それぞれ、37.13質量部、9.85質量部を含有する混合物である。
HEA−TDI−PPG1000−TDI−HEA (11)
HEA−TDI−HEA (12)
[式(11)〜(12)中、HEAは、ヒドロキシエチルアクリレート由来の構造を示し、TDIは、トルエンジイソシアナート由来の構造を示し、PPG1000は、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール由来の構造を示す。]
【0084】
[製造例2:(A)ウレタン(メタ)アクリレートの合成2]
攪拌機を備えた反応容器に、イソボロニルアクリレート99.27g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.106g、トルエンジイソシアナート114.72g、数平均分子量が1000であるポリプロピレングリコール207.74g、数平均分子量が2000であるポリプロピレングリコール17.75を加え、液温が15℃になるまで冷却した。ジブチル錫ジラウレート0.354gを添加した後、液温が40℃以上にならないように1時間攪拌した。これらを撹拌しながら液温度が15℃以下になるまで氷冷した。2-ヒドロキシエチルアクリレート102.67gを、液温が20℃以下になるように制御しながらゆっくりと滴下した。さらに、1時間撹拌して反応させた後、液温度70〜75℃にて3時間撹拌を継続させ、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とした。得られた(A)ウレタン(メタ)アクリレートを、UA−2とする。UA−2は、下記式(13)〜(15)で表される構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを、それぞれ、32.83質量部、2.29質量部、9.16質量部を含有する混合物である。
HEA−TDI−PPG1000−TDI−HEA (13)
HEA−TDI−PPG2000−TDI−HEA (14)
HEA−TDI−HEA (15)
[式(13)〜(15)中、HEAは、ヒドロキシエチルアクリレート由来の構造を示し、TDIは、トルエンジイソシアナート由来の構造を示し、PPG1000は、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール由来の構造を示し、PPG2000は、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール由来の構造を示す。]
【0085】
[製造例3:(A)ウレタン(メタ)アクリレートの合成3]
攪拌機を備えた反応容器に、イソボロニルアクリレート99.26g、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.114g、トルエンジイソシアナート133.23g、数平均分子量が2000であるポリプロピレングリコール198.07g、数平均分子量が400であるポリプロピレングリコール17.75を加え、液温が15℃になるまで冷却した。ジブチル錫ジラウレート0.354gを添加した後、液温が40℃以上にならないように1時間攪拌した。これらを撹拌しながら液温度が15℃以下になるまで氷冷した。2-ヒドロキシエチルアクリレート117.19gを、液温が20℃以下になるように制御しながらゆっくりと滴下した。さらに、1時間撹拌して反応させた後、液温度70〜75℃にて3時間撹拌を継続させ、残留イソシアネートが0.1質量%以下になった時を反応終了とした。得られた(A)ウレタン(メタ)アクリレートを、UA−3とする。UA−3は、下記式(16)〜(18)で表される構造を有するウレタン(メタ)アクリレートを、それぞれ、32.31質量部、6.11質量部、9.92質量部を含有する混合物である。
HEA−TDI−PPG2000−TDI−HEA (16)
HEA−TDI−DA400−TDI−HEA (17)
HEA−TDI−HEA (18)
[式(16)〜(18)中、HEAは、ヒドロキシエチルアクリレート由来の構造を示し、TDIは、トルエンジイソシアナート由来の構造を示し、PPG2000は、数平均分子量2000のポリプロピレングリコール由来の構造を示し、DA400は、数平均分子量400のポリエチレンビスフェノールAエーテル由来の構造を示す。]
【0086】
実施例1〜3
表1に示す組成の各成分を、攪拌機を備えた反応容器に仕込み、液温度を50℃に制御しながら1時間攪拌し、液状硬化性樹脂組成物を得た。
なお、実施例1においては、(A1)及び(A2)の混合物として、UA−1(製造例1)を62質量部、実施例2においては、(A1)及び(A2)の混合物として、UA−2(製造例2)を58質量部、実施例3においては、(A1)、(A2)及び(A3)の混合物としてUA−3(製造例3)を62質量部用いた。
【0087】
試験例
前記実施例で得た液状硬化性樹脂組成物について、ヤング率、硬化速度及び剥離性を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0088】
1.ヤング率:
200μm厚のアプリケーターバーを用いてガラス板上に液状硬化性樹脂組成物を塗布し、これを空気下で1J/cm2のエネルギーの紫外線で照射して硬化させ、ヤング率測定用フィルムを得た。このフィルムから、延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるよう短冊状サンプルを作成し、温度23℃、湿度50%で引っ張り試験を行った。引っ張り速度は1mm/minで2.5%歪みでの抗張力からヤング率を求めた。
【0089】
2.硬化速度:
200μm厚のアプリケーターを用いて石英ガラス板上に組成物を塗布し、それに3.5KWメタルハライドランプ(オーク社製、SMX−3500/F−OS)を用い、空気雰囲気下において紫外線照射量100mJ/cm2と1.0J/cm2の2条件で紫外線を照射し、硬化フィルムを得た。次いで、23℃、相対湿度50%で24時間放置した後、このフィルムから、延伸部が幅6mm、長さ25mmとなるよう短冊状サンプルを作成して試験片とした。次に、引っ張り試験機にて試験片のヤング率(MPa)を測定した。紫外線照射量100mJ/cm2におけるヤング率を1J/cm2におけるヤング率で除して得られる値を硬化速度とした。
【0090】
3.剥離性:
ガラスファイバに、一次被覆材(R1164;JSR製)、二次被覆材(R3180;JSR製)、インキ材(FS青インキ;ティーアンドケイ東華製)をリワインダーモデル(吉田工業製)を用いて塗布及び紫外線硬化した作製した外径250μmの光ファイバ素線に対し、表1に示した各硬化性組成物を、同装置を用いてさらに塗布及び紫外線硬化してアップジャケット層を被覆し、外径500μmのアップジャケット素線を作製した。一方、水酸化マグネシウム含有難燃性ポリエチレン樹脂ペレットからホットプレスを用いて厚さ1mmの同樹脂のシートを作製した(プレス条件:プレス圧力60kgf/cm2、180℃×3分)。アップジャケット素線を難燃性ポリエチレン樹脂シート間に挟み、ホットプレスでプレス(プレス条件:プレス圧力1kgf/cm2、180℃×1分)して、擬似ケーブルを作製し、測定試料とした。
図1に示すように、上記疑似ケーブルの末端から3cmの個所をホットストリッパー(古河電気工業製)で保持し、引っ張り試験機(島津製作所製)を用いて速度50m/minで引っ張り、アップジャケット層を引き抜く際の被覆除去応力(図2に示す最大応力)を測定した。測定は、−20℃にて行った。
【0091】
【表1】

【0092】
表1において、
Irgacure184;1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
ルシリン−TPO;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製)
Irganox245;エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)
SH28−PA:東レ・ダウコーニング社製、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体(平均分子量4000)
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】引っ張り試験機の概念図を示す図である。
【図2】アップジャケット層を引き抜く際の被覆除去応力挙動概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物全体を100質量%として、
(A1)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により求めた数平均分子量が1000〜2000であるポリプロピレングリコールに由来する構造を有する、ウレタン(メタ)アクリレート 30〜70質量%、
(A2)ジイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物であって、ポリオールに由来する構造を有しない、ウレタン(メタ)アクリレート 5〜20質量%、
(B)N−ビニル化合物およびイソボルニル(メタ)アクリレートを含む、エチレン性不飽和基を有する化合物 1〜70質量%、
(C)重合開始剤 0.1〜10質量%、
(D)平均分子量1,500〜35,000のシリコーン化合物 0.1〜50質量%
および
(F)分子量1500以上のポリオール化合物 10〜50質量%
を含有する光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物であって、
(B)成分の全量の45質量%以上が、2以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である、光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
成分(B)が、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート又はトリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレートを含有する、請求項1記載の光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
(D)シリコーン化合物が、ポリエーテル変性シリコーンである請求項1又は2記載の光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
(D)シリコーン化合物が、重合性基を有しないものである請求項1〜3のいずれか1項記載の光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の光ファイバアップジャケット用液状硬化性樹脂組成物の硬化物からなる光ファイバアップジャケット層。
【請求項6】
請求項5記載の光ファイバアップジャケット層を有する光ファイバアップジャケット素線。
【請求項7】
光ファイバアップジャケット層の外側に接して熱可塑性樹脂からなるケーブル層をさらに有する、請求項6記載の光ファイバアップジャケット素線。

【図2】
image rotate

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2009−168864(P2009−168864A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3814(P2008−3814)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】