説明

光ファイバケーブル

【課題】 外被の横滑りを防止できる光ファイバケーブルを得る。
【解決手段】光ファイバ心線3と、光ファイバ心線3に沿う抗張力体5,5と、光ファイバ心線3及び抗張力体5,5を被覆する断面矩形状の外被7とを具備した光ファイバケーブル1であって、外被7の表面にケーブル軸線方向aに沿う凸条9を形成した。凸条9は、連続形成されてもよく、間欠形成されてもよい。凸条9の高さhは、0.1mm未満であることが好ましい。外被7は、低摩擦性を有することがより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ心線が低摩擦の外被にて被覆される光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
既設集合住宅の各戸まで光化(FTTH;Fiber to the Home)する場合、加入者の発生に応じ電話配管内に光ファイバケーブルを追加布設することが行われる。図4は既設集合住宅各戸までの光ファイバケーブル追加布設経路を表す概念図である。既設集合住宅(マンション等)500の屋内には主配電盤であるMDF(Main Distributing Frame)が設けられ、MDFは各階の中間配電盤であるIDF(Intermediate Distributing Frame)へ縦系の電話配管501にて接続される。なお、図中、501aは横系の電話配管を示す。
【0003】
図5は電話配管の通線状況を表す断面図である。
追加布設では、電話配管501の既設電話線503を除く空間505に、複数の光ファイバケーブル507を通線するため、光ファイバケーブル507は細く、低摩擦であることが望まれる。例えば電話配管501がφ22であれば30本、電話配管501がφ28であれば50本程度の光ファイバケーブル507が挿通されることから、光ファイバケーブル507には細径化が求められる。光ファイバケーブル507は、複数階500a,500b,500c,500dを貫通する縦系に布設されるため、難燃試験(JIS C3005)の傾斜試験と同等以上の高難燃性が求められる。また、外被材料はハロゲンガスを発生しないノンハロゲン材料が望まれる。このような場所に使用される光ファイバケーブルとしては、例えば特許文献1に開示される図6に示す構造の光ファイバケーブル507が挙げられる。
【0004】
図6は従来の光ファイバケーブルの断面図である。
光ファイバケーブル507は、光ファイバ心線509を収納する収納部511を2分割するためのV字状ノッチ部513を有し、難燃ポリオレフィンから成形されたケーブルシース515と、ケーブルシース515の収納部511の近傍に設けられ伸長方向の張力を吸収する抗張力体517とを備える。ケーブルシース515のノッチ部先端を除く外面には、低摩擦樹脂519が被覆される。
【特許文献1】特開2004−205979号公報 図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
メタル線(銅線など)を巻取りボビンに巻取る巻取り方法としては、一般的に線材をトラバースさせるプーリートラバース方式が知られるが、上記した光ファイバケーブルを巻取る場合には、光ファイバに余分な力を作用させないため、巻取りボビンをトラバースするボビントラバース方式が広く用いられる。ボビントラバース方式の巻取り機では、パスラインに対し直交方向に巻取りボビンがトラバース動作し、光ファイバケーブルがボビン軸線方向に沿ってボビン外周に順次巻き取られて行く。ボビン端の鍔部まで巻取りが完了すると、今度は逆方向に巻取りボビンがトラバース動作し、巻取り済みの光ファイバケーブル上に後続の光ファイバケーブルが再びボビン軸線方向に沿って巻かれて行く。この巻取りボビンのトラバース動作が繰り返されることで、ボビン外周には光ファイバケーブルが多層状に巻かれる。
しかしながら、多条布設の要請から外面に低摩擦樹脂519を被覆した光ファイバケーブル507は、配管内の挿入性を良好とするために長手方向の低摩擦性は有効となるが、横方向に滑り易い場合には、ボビン巻取り時に上下層の光ファイバケーブルが横滑りして上層の光ファイバケーブルが下層の光ファイバケーブル同士の間に落ち込んだりして、巻き崩れを生じさせ易い問題があった。このことは、電話配管内に挿入されるインドアケーブルのみならず、電柱上から家庭内へ引き込む際に用いられる例えば光ファイバドロップケーブル等の屋外線についても同様のことが言えた。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、外被の横滑りを防止できる光ファイバケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 光ファイバ心線と、該光ファイバ心線に沿う抗張力体と、前記光ファイバ心線及び該抗張力体を被覆する断面矩形状の外被と、を具備した光ファイバケーブルであって、
前記外被の表面にケーブル軸線方向に沿う凸条が形成されることを特徴とする光ファイバケーブル。
【0007】
この光ファイバケーブルによれば、ボビン巻取り時、光ファイバケーブルは、平行な一対の辺部がボビン軸線に沿う方向(ケーブル軸線を横切る方向)に並び層状に巻き取られ、ボビン半径方向外側へ多層状に巻き取られて行く。この際、上下層に巻かれた光ファイバケーブルは、一対の辺部に形成された凸条同士がボビン軸線に沿う方向で当接し合い、外被の横滑り(ボビン軸線方向の移動)が阻止される。
【0008】
(2) (1)の光ファイバケーブルであって、
前記凸条が、連続形成されることを特徴とする光ファイバケーブル。
【0009】
この光ファイバケーブルによれば、凸条がケーブル長手方向に連続して形成され、ボビン巻取り時、上下或いは左右に隣接する光ファイバケーブル同士の凸条分断部が干渉することによる巻き取り方向の引っ掛かりがなくなる。外被の押出形成が、押出機のダイス形状を変更するのみで容易に可能となる。
【0010】
(3) (1)の光ファイバケーブルであって、
前記凸条が、間欠形成されることを特徴とする光ファイバケーブル。
【0011】
この光ファイバケーブルによれば、凸条を、ボビン巻取り時に横滑りを発生させない必要最小長で形成できる。この際、凸条は、分断部同士が干渉することによる引っ掛かりを防止するため、延在方向両端を徐々に低くする傾斜面とすることが好ましい。
【0012】
(4) (1)〜(3)のいずれか1つの光ファイバケーブルであって、
前記凸条の高さが、0.1mm未満であることを特徴とする光ファイバケーブル。
【0013】
この光ファイバケーブルによれば、凸条が0.1mm以上で大きく突出された場合の凸条同士の干渉による引っ掛かり、巻き崩れが防止される。
【0014】
(5) (1)〜(4)のいずれか1つの光ファイバケーブルであって、
前記外被が、低摩擦性を有することを特徴とする光ファイバケーブル。
【0015】
この光ファイバケーブルによれば、外被に付与された低摩擦性が、光ファイバケーブルの通線時の挿入抵抗低減に寄与し、良好な挿入性が得られる。なお、挿入抵抗の低減は、低摩擦性外被の表面に突設された凸条によっても接触面積が低減されることで促進される。
【0016】
(6) (1)〜(5)のいずれか1つの光ファイバケーブルであって、
前記外被に被覆される前記抗張力体の外周が接着剤層に覆われ、
該接着剤層が、難燃性を有することを特徴とする光ファイバケーブル。
【0017】
この光ファイバケーブルによれば、抗張力体が難燃性を有する接着剤層にて覆われ、外部からの炎によって抗張力体が燃焼し難くなる。接着剤層にて抗張力体が低摩擦材層へ高強度に固定される。接着剤層にて密に抗張力体が覆われるので、抗張力体にアラミド繊維等の繊維材料が使用されても抗張力体の内部空気が燃焼に寄与し難くなり、自己消炎が可能となる。抗張力体を覆う難燃層が接着剤層にて形成できるので、接着剤層の形成においてはディップコーティング法等の簡易な設備を用いることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る光ファイバケーブルによれば、光ファイバ心線と、光ファイバ心線に沿う抗張力体と、光ファイバ心線及び抗張力体を被覆する断面矩形状の外被とを具備し、外被の表面にケーブル軸線方向に沿う凸条を形成したので、ボビン巻取り時、上下層に巻かれた光ファイバケーブルの凸条同士を当接し、外被の横滑りを阻止し、巻き崩れを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る光ファイバケーブルの好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
図1(a)は本発明に係る光ファイバケーブルの第1の実施の形態を表す斜視図、(b)は凸条の拡大図である。
この実施の形態による光ファイバケーブル1は、少なくとも1本の光ファイバ心線3と、光ファイバ心線3に沿う抗張力体5,5と、光ファイバ心線3及び抗張力体5,5を被覆する断面矩形状の外被7とを備え、外被7の表面にケーブル軸線方向aに沿う凸条9が形成されて成る。なお、抗張力体5,5は、接着剤層11に覆われ、接着剤層11ごと外被7に被覆されてもよい。
【0020】
光ファイバ心線3の両側に平行に配置された抗張力体5は、ケーブルの伸長方向の張力を吸収する。抗張力体5としては、金属線としての例えば撚鋼線、非導電性の抗張力繊維のケブラー(商標)などのアラミド繊維、エンプラ(エンジニアリングプラスチック)などが用いられる。本実施の形態ではアラミド繊維が用いられている。
【0021】
光ファイバ心線3、抗張力体5,5を覆う外被7は、断面矩形状に形成される。外被7の外形寸法は、例えば横1.9mm、縦1.5mmに形成される。外被7は、少なくとも高密度ポリエチレン(HDPE)又はポリプロピレンの硬質樹脂を用いて成り、低摩擦性を有する。外被7に付与された低摩擦性が、光ファイバケーブル1の通線時の挿入抵抗低減に寄与し、良好な挿入性が得られる。なお、挿入抵抗の低減は、低摩擦性外被の表面に突設された凸条9によっても接触面積が低減されることで促進される。これにより、低密度ポリエチレン(LDPE)など一般に光ケーブル外被に使用されている樹脂に比べ低摩擦が得られ、多条布設への対応が可能となる。また、高密度ポリエチレンやポリプロピレンなど硬質樹脂は摩耗性に優れるため、外被7の表面や凸条9に削れが生じ難くなる。また、外被7の難燃性を高めるために高密度ポリエチレン又はポリプロピレンに水酸化マグネシウム等の難燃剤を配合しても良い。
【0022】
この外被7は、例えば高密度ポリエチレン等のオレフィン系樹脂をベース樹脂とし、これに難燃剤である水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を添加して生成することができる。
【0023】
外被7には、上記以外の難燃材料が用いられてもよい。難燃材料は、ベース材料に難燃剤を添加して得る。ベース材料としては、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、PPS樹脂、PVC樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、難燃剤としては、臭素系難燃剤、窒素系難燃剤、リン酸系難燃剤、無機系難燃剤等が挙げられる。
【0024】
外被7の表面にはフッ素樹脂がコーティングされてもよい。フッ素樹脂が外被7の表面にコーティングされることで摩擦係数をより低くすることが可能となる。フッ素樹脂はそれ自体が難燃性を有するので、外被7の難燃性を高めることができる。
【0025】
また、外被7は、高難燃性、且つ低摩擦係数のフッ素樹脂を含浸して成るものであってもよい。外被7に、難燃性が高く且つ摩擦係数の低いフッ素樹脂が含浸されることで、外被7自体が難燃性を有することとなり、しかも、フッ素コートと異なり通線時にコート材の剥がれることがない。なお、フッ素樹脂としては、平均粒子径が2〜10μmのポリテトラフルオロエチレンの用いられることが望ましい。
【0026】
さらに、外被7は、高難燃樹脂の表面を架橋又は焼付けした材料から成るものであってもよい。外被7が高難燃樹脂からなり、その表面が架橋又は焼付けされることで硬くなり、摩擦係数が低減する(一般に表面硬化により摩擦係数は低くなる)。これにより、低摩擦性で高難燃性の外被7が得られる。
【0027】
外被7の上下辺部には光ファイバ心線3を挟んでV字溝(切り裂きノッチ)13,13がケーブル長手方向に沿って形成されている。切り裂きノッチ13,13のそれぞれに上下逆方向の力を加えて外被7を引き裂いて2分割することにより、光ファイバ心線3を容易に取り出すことができるようになっている。
【0028】
抗張力体5と外被7を接着固定する接着剤層11は、外被7よりも高い難燃性を有している。接着剤層11は、外被7よりも多量の難燃剤を添加することが可能であるため、外被7よりも高い難燃性を付与することができる。接着剤層11は、接着性樹脂(接着剤)に、金属酸化物又は赤リンを添加してなる。接着剤としては、例えば無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着性樹脂[三井化学製「アドマーVF500」]が挙げられる。これは非常によく燃える可燃物であるため、水酸化マグネシウムのような金属酸化物や赤リンを添加する。接着剤と添加物の混和性をよくするため、金属酸化物や赤リンが添加されたポリエチレン、ポリオレフィンやポリプロピレンと接着剤とを配合してもよい。
【0029】
このように、接着剤層11は、入手容易な市販の接着性樹脂に添加剤である金属酸化物又は赤リンを添加することで、難燃性のないベース材料(接着剤)に難燃性が付与されている。
【0030】
無水マレイン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着性樹脂は、融点が60〜80℃程度と、外被のポリオレフィンやポリプロピレンなどの樹脂よりも低く、低粘度のため接着剤を溶融させた容器内に抗張力体を通しダイスで成形するという簡易な塗布法(ディップコーティング法等)で抗張力体5に被覆できる。これにより、樹脂被覆のための高価な押出機は、外被7の成形のみに使用する1台で済むメリットが生じる。
【0031】
光ファイバケーブル1では、抗張力体5が難燃性を有する接着剤層11に覆われ、外部からの炎によって抗張力体5が燃焼し難くなる。接着剤層11にて抗張力体5が外被7へ高強度に固定される。外被7と抗張力体5が高強度に固定されることで、ヒートサイクルによっても光ファイバ心線3に伝送損失(マイクロベンドロス)が発生し難くなる。
【0032】
また、接着剤層11にて密に抗張力体5が覆われるので、抗張力体5にアラミド繊維等の繊維材料が使用されても抗張力体5の内部空気が燃焼に寄与し難くなる。コード内部から空気が流出することによる燃焼継続が生じず、外被7のみの燃焼による自己消炎が可能となる。
【0033】
凸条9は、外被7の上下辺部(平行な一対の長辺部)7a,7bのそれぞれに、切り裂きノッチ13,13を挟んで形成される。凸条9は、この他、上下辺部7a,7bのいずれかに一つ、或いは上下辺部7a,7bの双方に一対以上設けられてもよい。なお、後述するように、凸条9は、左右辺部(平行な一対の短辺部)7c,7dに設けることもできる。
【0034】
本実施の形態において、凸条9は、断面形状が円弧、楕円弧、長円弧等となる凸状湾曲面にて形成される。断面形状は図例の湾曲凸形状の他、三角形状であってもよい。凸条9は、後述するように、ケーブル軸線方向aを横切る方向で相互に当接して、ボビン巻取り時における外被7の横滑りを規制するよう作用する。また、外被7は、上記のように通線時の抵抗を少なくするために低摩擦であることが要求される。このため、他部材との接触面積を小さくすることが好ましい。断面形状を凸状湾曲面とすることで、他部材との干渉を、接触面積の小さい線接触とし、ケーブル通線時の摩擦抵抗を小さくすることができる。
【0035】
凸条9は、図1(b)に示す高さhが、0.1mm未満であることが好ましい。これにより、凸条9が0.1mm以上で大きく突出された場合の凸条9,9同士の干渉による引っ掛かり、巻き崩れが防止される。また、凸条9は、幅wが0.2mm未満であることが好ましい。これにより、適宜な横滑り規制力(引っ掛かり力)が得られる。
【0036】
凸条9は、連続形成されることが好ましい。凸条9がケーブル軸線方向aに連続して形成されることにより、ボビン巻取り時、上下或いは左右に隣接する光ファイバケーブル1,1同士の凸条分断部が干渉することによる巻き取り方向の引っ掛かりがなくなる。また、外被7の押出形成が、押出機のダイス形状を変更するのみにより容易に可能となる。
【0037】
図2はボビンに巻き取られた光ファイバケーブルの断面図である。
上記の構成を有する光ファイバケーブル1では、ボビン巻取り時、光ファイバケーブル1は、平行な一対の上下辺部7a,7bがボビン軸線に沿う方向b(ケーブル軸線aを横切る方向)に並び層状に巻き取られ、ボビン半径方向rの外側へ多層状に巻き取られて行く。この際、光ファイバケーブル1は、一対の上下辺部7a,7bに形成された凸条9,9同士がボビン軸線に沿う方向bで当接し合い、外被7の横滑り(ボビン軸線に沿う方向bの移動)が阻止される。
【0038】
したがって、上記構成の光ファイバケーブル1によれば、光ファイバ心線3と、光ファイバ心線3に沿う抗張力体5,5と、光ファイバ心線3及び抗張力体5,5を被覆する断面矩形状の外被7とを具備し、外被7の表面にケーブル軸線方向aに沿う凸条9を形成したので、ボビン巻取り時、上下層に巻かれた光ファイバケーブル1の凸条9,9同士を当接し、外被7の横滑りを阻止し、巻き崩れを防止することができる。
【0039】
次に、本発明に係る光ファイバケーブルの第2の実施の形態を説明する。
図3は第2の実施の形態を表す光ファイバケーブルの断面図である。
なお、図1、図2に示した部材部位と同等の部材部位には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
この実施の形態による光ファイバケーブル21は、凸条9Aが、左右辺部7c,7dにも形成されている。凸条9Aが、左右辺部7c,7dに形成されることで、ボビン巻取り時に光ファイバケーブル21が90°回転した場合であっても、上下層の凸条9A,9A同士により横滑りが防止可能となる。凸条9Aは、上下辺部7a,7bに設けられた凸条9と異なり、ケーブル軸線方向aに沿って間欠形成される。
【0040】
凸条9Aは、間欠形成されることで、ボビン巻取り時に横滑りを発生させない必要最小長で形成できる。この際、凸条9Aは、分断部同士が干渉することによる引っ掛かりを防止するため、延在方向両端を徐々に低くする傾斜面9Aa,9Abとすることが好ましい。なお、凸条9と凸条9Aは、上下辺部7a,7b、左右辺部7c,7dの何れに配設されてもよい。
【0041】
また、光ファイバケーブル21には、第1の実施の形態で説明した切り裂きノッチ13,13と異なる切り裂きノッチ13A,13Aが形成されている。切り裂きノッチ13A,13Aは、凸条9,9間の外被7の表面に、ケーブル軸線方向aに沿って線状に形成される。この切り裂きノッチ13A,13Aによれば、溝内が開放されるV字形状の切り裂きノッチ13,13と異なり、溝内面同士が接してノッチが開放されなくなり、外部からの炎が光ファイバ心線3により伝わり難くなる。
【0042】
なお、上記の各実施の形態では、抗張力体5,5に、アラミド繊維が用いられる構成を例に説明したが、光ファイバケーブル1,21は、抗張力体5に撚鋼線を用いてもよい。この構成によれば、撚鋼線を用いることにより、撚鋼線表面の凹凸に外被7が一体化し、抗張力体5,5が外被7へ高強度に固定され、接着剤層11が省略可能となる。また、剛性の高い抗張力体5,5で側圧を支えるため、光ファイバ心線3におけるマイクロベンドロスの発生を抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)は本発明に係る光ファイバケーブルの第1の実施の形態を表す斜視図、(b)は凸条の拡大図である。
【図2】ボビンに巻き取られた光ファイバケーブルの断面図である。
【図3】第2の実施の形態を表す光ファイバケーブルの断面図である。
【図4】既設集合住宅各戸までの光ファイバケーブル追加布設経路を表す概念図である。
【図5】電話配管の通線状況を表す断面図である。
【図6】従来の光ファイバケーブルの断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1,21 光ファイバケーブル
3 光ファイバ心線
5 抗張力体
7 外被
9 凸条
11 接着剤層
a ケーブル軸線方向
b ボビン軸線方向
h 凸条の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ心線と、該光ファイバ心線に沿う抗張力体と、前記光ファイバ心線及び該抗張力体を被覆する断面矩形状の外被と、を具備した光ファイバケーブルであって、
前記外被の表面にケーブル軸線方向に沿う凸条が形成されることを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項2】
請求項1記載の光ファイバケーブルであって、
前記凸条が、連続形成されることを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項3】
請求項1記載の光ファイバケーブルであって、
前記凸条が、間欠形成されることを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の光ファイバケーブルであって、
前記凸条の高さが、0.1mm未満であることを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の光ファイバケーブルであって、
前記外被が、低摩擦性を有することを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の光ファイバケーブルであって、
前記外被に被覆される前記抗張力体の外周が接着剤層に覆われ、
該接着剤層が、難燃性を有することを特徴とする光ファイバケーブル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate