説明

光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方式及び方法

【課題】隣接し合う2つのノードが少なくとも2つの互いに異なる方向の伝送路によって接続されているとき、第1の伝送路の伝送路断の誤検知をすることなく、第2の伝送路の主信号の出力を、前記第1の伝送路が切断されていない場合に維持することが可能な光伝送システムのAPR機能を提供する。
【解決手段】OSC package21は、伝送路31に伝送路断が発生した可能性がある場合に、OSC package11に、光増幅器12WEの主信号出力を低減させる指令を送出する。その指令を受けたOSC package11は、光増幅器12WEの出力を低減したあと、出力低減が完了したことを伝える通知をOSC package21に送出する。OSC package21は出力低減完了通知を受信するまで、光増幅器22EWの主信号の出力を維持しておき、前記出力低減完了通知を許容時間以内に受信しなかった場合は光増幅器22EWの主信号出力を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方式及び方法に関し、特に、光ファイバ伝送システムにおけるコネクタ外れやケーブルの切断に対する安全対策として、自動で光出力を低減する技術(APR(Automatic Power Reduction)機能)に関する。
【背景技術】
【0002】
<OSC通信機能>
複数のノードからなるネットワークにおいて、各ノード間での通信はOSC回線を通じて行われる。OSCは、Optical Supervisory Channelの略である。SVやTelemetryとも呼ばれる。特に波長多重通信システムでは、主信号とは別の波長を使ったOSC回線の実現例が多い。各ノードではOSC信号を送受信する機能ブロック(Circuit Pack, Package, Panel, unit, plug-in moduleなどと呼ばれる)を持つ。これを本明細書では便宜上“OSC package”と呼ぶ。OSC packageはノードの管理機能ブロック(システムコントローラ)と一体になっているケースもある。なお、この文中で用いる「主信号」とは、その伝送網がクライアントから伝達を請け負った情報が載った信号のことである。一方OSC信号は伝送網内部にある機器間通信のための信号である。
【0003】
各ノードのOSC packageは、隣接ノードとの間にOSC回線を持ち、常に互いに通信している。信号は各ノードで必ず受信されるので、離れたノード間の通信メッセージは、間にあるノードのOSC packageを介して、リレー中継されて伝達される。
【0004】
<ITU−T勧告G.664のAPR機能>
光伝送装置・システムは、レーザー安全基準(IEC 60825−2)に準拠することが求められている。今日広く普及している、光増幅中継ノードを含む波長多重光通信システムにおいては、切断箇所から高いパワーレベルのレーザー光が放出されることを防止するために、ITU−T勧告G.664(非特許文献1)で勧告されているAPR(Automatic Power Reduction)機能を具備するのが通例である。
【0005】
<従来のAPR機能実現方法1>
ITU−T勧告G.664に説明されているAPRの機能実装を、図5を使って説明する。この図5および同様な図1,3,4,7では、伝送路断の起きる区間の両側のノードについてのみ詳しく記述し、それ以外のノードは図示を省略している。各光増幅器では、その入力部に入力信号の有無を検知するモニタを具備することが一般的であり、この図5および同様な図1,3,4,7では、当該実施例の動作に関係する入力信号モニタのみ図示し、それ以外は図示を省略している。伝送路には、主たる光パワーを占める主信号と、光監視回線(以下、「OSC(Optical Supervisory Channel)回線」と呼ぶ)が合波されて伝送されるのが一般的であり、そのための合波器・分波器がノードの伝送路への出入り口に具備されることが一般的であるが、この図5および同様な図1,3,4,7では、説明簡単化のため、それらの図示を省略している。また、図5では、主信号とOSC信号が同方向に伝送されている、最も一般的なケースで説明されている。
【0006】
従来のAPR機能実現方法1は、以下のステップS1からS5の手順で行われる。なお、ステップS1からS5は、図5中に示したS1からS5と対応している。
ステップS1:伝送路31に切断が発生する。
ステップS2:切断箇所の下流にあたるノード20は、光増幅器12WEからの主信号とOSC信号33WEの両方の受信が途絶えたことを検知する。
【0007】
ステップS3:ノード20は、切断箇所の上流にあたるノード10に向かって以下2つの動作を行う。
・切断した方と反対側の伝送路である伝送路32への光増幅器22EWの主信号出力を停止する。
・ノード10に向かうOSC回線34EWを通じて、切断箇所に向かって出力している光増幅器12WEの主信号出力を停止させるAPR動作指令を送出する。
【0008】
ステップS4:ノード10は、ノード20からの光増幅器22EWからの主信号が途絶えたことを検知する。また、OSC回線34EWを通じたAPR動作指令を受信する。
ステップS5:ノード10は、ノード20からの主信号が途絶えたことの検知及びAPR動作指令の受信を受けて、切断箇所に向かう光増幅器12WEの主信号出力を停止する。
【0009】
以上のAPR動作が起きると、それ以外のノードには図6のような影響が発生する。図6は、従来のAPR機能実現方法1により、APRが発動した後の状況を説明する図である。
【0010】
図6において、まず、切断発生区間に向かう主信号が、APR制御により出力停止となる。切断発生区間に向かう主信号は、図6中、白抜き矢印で示している。図5を参照しながら説明したように、各光増幅器は、入力主信号が無くなると出力を停止する仕組みを備えている。そのため信号断が起きた区間より下流側では、入力断によるシャットダウンが連鎖する。このように「従来のAPR実現方法1」によるAPR動作が発動すると、主信号の伝達は、双方向とも、APRが発生した区間で途絶えることになる。
【0011】
上述したAPR制御の動作について補足説明する。
ステップS2で光増幅器12WEの主信号とOSC信号33WEの両方の受信が途絶えたことをAPR動作発動の条件としている理由は、光増幅器12WEの主信号やOSC信号33WEが通信断になる原因には、伝送路の切断以外にも、パッケージ故障や装置内配線の誤抜去など様々なものがありうるためである。
【0012】
もし、光増幅器12WEの主信号もしくはOSC信号33WEのどちらか一方でも伝送されている場合、伝送路が切断されていないことは確実なので、上流側の送出を停止する必要はない。つまり、光増幅器12WEの主信号とOSC信号33WEの両方の受信が途絶えたことをAPR発動条件としているのは、伝送路断と誤判断しないための工夫である。伝送路断でない場合はAPR動作しないほうが保守作業性がよいことは言うまでもない。
【0013】
また、ステップS3で、APRの発動を切断箇所の上流にあたるノード10に伝える際に、OSC回線34EWを通じて伝えるだけでなく、光増幅器22EWの主信号出力も停止させる理由は2つある。どちらの理由も、伝送路32が伝送路31と一緒に切断されている可能性があるがノード20ではその確認ができない、ということに起因する。
【0014】
1つは、伝送路32が切断されている可能性があるため、たとえ切断されていなくても安全を優先して出力を停止させる必要がある、という理由である。もう1つは、伝送路32も切断されている場合、OSC回線34EWを通じてノード10に光増幅器12WEの主信号出力を停止させるAPR動作指令が伝わっていない可能性があり、それを確認する方法もない、という理由である。
【0015】
OSC回線34EWを通じてAPR動作指令を伝える理由は、APR動作発動条件の誤検出防止のためである。つまり、ノード10がAPR発動と判断し、APR発動区間への主信号出力を停止するには、ノード20からの主信号が断、かつ、ノード20からのOSC信号34EWが断もしくはOSC信号34EWに含まれるAPR動作指令の受信、という二つの条件が満たされねばならない。この二重化によって、ノード20の光増幅器22EWやOSC package21の故障・交換などの際に、ノード10がAPRを誤検出することを防止しつつ、本当のAPR発生を確実に検知することができる。
【0016】
図6に示したように、標準的なAPRの実装では、切断されていない可能性のある伝送路32側の主信号も、故意に切断してしまう。しかしながら、当然、それを望まないユーザも多い。つまり、片方向だけでも回線が生きているならばそれを生かしておきたいという要望である。
【0017】
<従来のAPR実現方法2>
一方で、従来のAPR実現方法2は、切断された伝送路の反対側の通信を停止させないAPRである。
【0018】
ITU−T勧告G.664では、付録(Appendix)にて、切断されていない可能性のある伝送路32側の主信号に手をつけずに、上流の信号を停止することができるAPR機能について説明している。その方法を図7に示す。図5と比較すると主信号に対してOSC信号が逆向きに伝送されていることが特徴である。APR動作を順に説明する。
【0019】
ステップS1:伝送路31に切断が発生する。
ステップS2:切断箇所の上流にあたるノード10は、OSC信号33EWの受信が途絶えたことを検知する。
ステップS3:ノード10は、切断箇所の下流にあたるノード20からのOSC信号33EWが途絶えたことを受けて、切断箇所に向かう光増幅器12WEの主信号出力を停止する。
【0020】
この「従来のAPR実現方法2」によると、切断が起きた片方向の伝送路ごとにAPR動作を行うことができる。つまり、切断が起きた伝送路31と反対向きの、切断されていない可能性のある伝送路32に手をつけずにAPR動作を行うことができる。
【0021】
なお、特許文献1は、2芯双方向の光伝送システムにおいて主信号と逆向きに伝送する信号に関する記載があるが(第8コラム、43行目等)、具体的な説明がされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第7,260,324号明細書
【非特許文献】
【0023】
【非特許文献1】「ITU−T勧告G.664第三版」2006年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
「従来のAPR実現方法1」の課題は、APR動作をさせる際に、切断されていない可能性のある伝送路側の主信号回線も停止させてしまうことである。この動作により、伝送路切断の被害が拡大してしまう可能性がある。
【0025】
「従来のAPR実現方法2」の課題は、APR動作発動の誤検知防止の仕組みがないことである。「従来のAPR実現方法1」の場合には、光増幅器12WEの主信号とOSC信号33WEの両方の受信が途絶えたことを発動の条件にすることで、どちらか片方が故障等で断となっても、伝送路断と誤って判断することを防げるが、「従来のAPR実現方法2」にはこの工夫がないため、伝送路切断ではない事態であっても伝送路切断と誤検出してしまう恐れがある。
本発明は、上記課題を同時に解決する手段を提供することを課題とする。
【0026】
すなわち、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、隣接し合う2つのノードが少なくとも2つの互いに異なる方向の伝送路によって接続されているとき、第1の伝送路の伝送路断の誤検知をすることなく、第2の伝送路の主信号の出力を、前記第1の伝送路が切断されていない場合に維持することが可能な光伝送システムのAPR機能を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的を達成するために、本発明は、第1の態様として、光ファイバ伝送システムにおける各ノードが備える伝送路切断時の出力自動低下制御方式であって、ある、ノードとノードに挟まれた伝送区間に着目し、それをノードAとノードBと仮に名づけるとき、その隣接する2ノード間は、ノードAからノードBへ信号を伝送する第1の伝送路と、ノードBからノードAへ信号を伝送する第2の伝送路とによって接続されており、ノードAは、第1の伝送路に向かって信号出力する光増幅器A1と、監視制御手段ACを備え、ノードBは、第1の伝送路からの信号到着をモニタするモニタB1と、第2の伝送路に向かって信号出力する光増幅器B2と、監視制御手段BCを備え、第1の伝送路に伝送路断が発生した場合に、ノードBのモニタB1がその伝送路断を検知し、監視制御手段BCは、切断した第1の伝送路に向かって信号を出力しているノードAの光増幅器A1の出力パワーを安全なレベルまで低減させる指令をノードAの監視制御手段ACに向けて送出し、ノードAの監視制御手段ACは、ノードBからの出力低減通知を受信して、光増幅器A1の出力を低減する、伝送路切断時の出力自動低減制御方式であって、ノードAの監視制御手段ACは、ノードBからの出力低減通知に従って、光増幅器A1の出力の低減が完了したことを表す通知である完了通知を、ノードBの監視制御手段BCに通知することを特徴とし、かつ、ノードBの前記監視制御手段BCは、あらかじめ定めた許容時間、信号出力低減の前記完了通知の受信を待ち、許容時間を超えても前記完了通知を受信しない場合は、第2の伝送路に向かって出力する光増幅器B2の信号出力を自動的に低減することを特徴とする、光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方式を提供するものである。
【0028】
また、上記目的を達成するために、本発明は、第2の態様として、光ファイバ伝送システムにおける、ある、ノードとノードに挟まれた伝送区間に着目し、それらをノードAとノードBと仮に名付けるとき、前記ノードAと前記ノードB間が、前記ノードAから前記ノードBへ信号を伝送する第1の伝送路と、前記ノードBから前記ノードAへ信号を伝送する第2の伝送路とによって接続されており、前記ノードAは、前記第1の伝送路に向かって信号出力する光増幅器A1と、監視制御手段ACを備え、前記ノードBは、前記第1の伝送路からの信号到着をモニタするモニタB1と、前記第2の伝送路に向かって信号出力する光増幅器B2と、監視制御手段BCを備える光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方法であって、前記モニタB1が、前記第1の伝送路に伝送路断が発生した可能性があることを検知する第1の工程と、前記監視制御手段BCが、前記第1の伝送路に向かって信号を出力している前記光増幅器A1の出力パワーを安全なレベルまで低減させる指令である出力低減通知を前記監視制御手段ACに向けて送出する第2の工程と、前記監視制御手段ACが、前記出力低減通知を受信して、前記光増幅器A1の出力を低減させる第3の工程と、前記監視制御手段ACが、前記第3の工程により、前記光増幅器A1の出力の低減が完了したことを表す通知である完了通知を、前記監視制御手段BCに通知する第4の工程と、前記監視制御手段BCが、あらかじめ定めた許容時間、前記完了通知の受信を待ち、前記許容時間を超えても前記完了通知を受信しない場合は、前記第2の伝送路に向かって出力している前記光増幅器B2の信号出力を低減する第5の工程と、を含むことを特徴とする、光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、隣接し合う2つのノードが少なくとも2つの互いに異なる方向の伝送路によって接続されているとき、第1の伝送路の伝送路断の誤検知をすることなく、第2の伝送路の主信号の出力を、前記第1の伝送路が切断されていない場合に維持することが可能な光伝送システムのAPR機能を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1の実施形態の動作説明図である。
【図2】第1の実施形態の変形例の説明図である。
【図3】第2の実施形態の動作説明図である。
【図4】第3の実施形態の動作説明図である。
【図5】従来のAPR実現方法1の動作説明図である。
【図6】従来のAPR実現方法1における、APR発動後の状況説明図である。
【図7】従来のAPR実現方法2の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
下述する各実施形態では、基本的に次の手順で動作して、伝送路断の誤検知がなく、また、切断した方と反対側の伝送路が切断されていない場合にその出力を維持することによって、ユーザビリティを高めたAPR機能が提供される。
【0032】
<基本動作>
第1の手順では、断が発生した区間の下流局がその区間の上流局の出力を停止させる指令を上流局に送る。この段階では対向側の主信号出力を維持する。
第2の手順では、上流局はその指令に基づいて出力停止したことを、何らかの伝達ルートを経由して下流局に伝える。
第3の手順では、下流局は、上流局からの出力停止完了の通知を許容時間待ち、通知が届いた場合は対向側の出力を維持し続け、許容時間を経過してもその通知が届かない場合は対向側の出力を停止する。
【0033】
なお、以下の実施形態ではAPR動作をRepeaterノード間で説明している。APRに関与するノードにおいて主信号の送信器、受信器があるかないか、はAPRの説明には無関係なので、説明を簡単化するためRepノードのケースで説明するものである。ネットワーク内のいずれかのノード(TerminalノードもしくはOADMノードなど)に存在する主信号の送信器、受信器は図示を省略している。
【0034】
<第1の実施形態>
図1に本実施形態の構成を示す。本実施形態は、OSC回線を二重化する構成である。各光増幅器では、その入力部に入力信号の有無を検知するモニタを具備することが一般的であり、図1では、APR動作に関係する入力信号モニタのみ図示し、それ以外は図示を省略している。
【0035】
本実施形態の構成は、図5と比べると、OSC信号の送信部、受信部が2系統あり、同じ情報が伝送路31と、伝送路32の両方を通じて伝達されている。この2重化により、どちらか片方の伝送路が切断されただけであれば、もう一方の伝送路を通じてOSCは双方向通信可能である。
【0036】
動作の基本は<基本動作>に説明したとおりであるが、詳しく説明すると以下のようになる。
ステップS1:伝送路31に切断が発生する。
ステップS2:切断箇所の下流にあたるノード20は、光増幅器22WEが受信する主信号とOSC信号33WE_1の両方の受信が途絶えたことを検知する。また、OSC信号33WE_2は継続していることを検知する。
【0037】
ステップS3:ノード20は、伝送路32経由のOSC回線34EW_2を通じて、切断箇所の上流にあたるノード10に対して、切断箇所に向かって出力している光増幅器12WEの主信号出力を停止させるAPR動作指令を送出する。
【0038】
ステップS4:ノード10は、伝送路32経由のOSC回線34EW_2を通じたAPR動作指令を受信する。
ステップS5:ノード10は、切断箇所に向かう光増幅器12WEの主信号出力を停止する。次に、ノード20に対して伝送路32経由のOSC回線33WE_2を通じて「APR指令に基づき切断箇所に向かう光増幅器12WEの主信号出力を停止した」ことを通知する。
【0039】
ステップS6:ノード20は、許容時間内にノード10の光増幅器12WEの主信号出力停止通知を受け取ったら、動作完了する。この許容時間は、あらかじめ定めてある、レーザー安全上、放射が許容しうる所定の時間である。典型的な許容時間は、約3秒、もしくはそれ以下である。
【0040】
ステップS7:もしノード20が、許容時間内にノード10の光増幅器12WEの主信号出力停止通知を受け取れなかった場合は、伝送路32への光増幅器22EW主信号出力を停止する。
【0041】
もし伝送路31,32が両方ともほぼ同時に切断された場合は次のような動作となる。
ステップS2において、ノード20は、光増幅器22WEが受信する主信号と、ノード10から送られてくるOSC信号33WE_1、33WE_2の3つの信号が途絶えたことを検知する。これにより、ノード20の光増幅器22EWの主信号出力を停止する。
【0042】
同様のことは、ノード10でも起きる。すなわち、ノード10は、光増幅器12EWが受信する主信号と、ノード20から送られてくるOSC信号34EW_1、34EW_2の3つの信号が途絶えたことを検知する。これにより、ノード10の光増幅器12WEの主信号出力を停止する。
【0043】
従来技術であれば、主信号とOSC信号が同時に途絶えたら、ただちに該当区間への光増幅器の主信号出力を停止していた。本改良技術では、2つ送信しているOSCの片方が受信できているならば、そちらの伝送路は”生きている”と仮定して、主信号の断を一時保留して、切れている伝送路への主信号出力を止める制御を試みる。その制御が完了したという通知を受け取れたら、先ほど”生きている”と仮定した方の伝送路が本当に”生きていた”確認が取れたことになるので、そのまま主信号を伝送し続けることができる。許容時間内に確認が取れなければ危険性があるため主信号を切る。
【0044】
この実施形態では、1本のファイバに双方向のOSC信号を伝送する必要がある。その方法について補足説明する。方向が異なるだけでも分離は可能だが、レイリー散乱などの影響で逆方向に同一周波数で進む光が生じることもあり、進行方向に頼って分離するのは技術的に不確実さがある。それを回避するためには、方向で波長を異ならせ、波長で多重分離する方が確実である。例えば図1では33WE_1と34EW_1の波長を異ならせ、33WE_2と34EW_2の波長を異ならせる。ただしここで33WE_1と33WE_2が同一、34EW_1と34EW_2が同一であっても構わないことは言うまでもない。それぞれ同一の送信器から出力された後に光分岐されたものであっても構わないのである。(図2の(b),(c)。後述する)
【0045】
上記各ステップのうち、ステップS2、S3、S6、S7の主体は、さらに具体的には、切断箇所の下流ノード20が備える光監視手段(OSC package)21である。また、ステップS4、S5の主体は、切断箇所の上流ノード10が備える光監視手段(OSC package)11である。
【0046】
<第1の実施形態の変形例>
上記第1の実施形態は、下記のように変形してもよい。
第1の実施形態は、OSCの送信部、受信部を2つ用意するのが基本的な構成である。その部分を省略する変形例としては次のようなものが考えられる。図2を参照しながら説明する。
【0047】
図2(a)は、変形する前の構成、つまり、上記第1の実施形態と同等の構成である。なお、図2では双方向のOSC回線のうちの一方向しか図示していない。他の構成要素は図1などと同一なので省略している。
【0048】
第1の実施形態の変形例としては、図2(b)に示すように、送信部を2つ用意する代わりに1つの送信部の出力を二分岐する方法がある。同一の信号を送出するのであれば、この方法が有効である。
【0049】
第1の実施形態のさらにもう一つの変形例としては、図2(c)に示すように、受信部を2つ用意する代わりに、1×2光スイッチで接続先の伝送路を切り替える方法がある。
【0050】
この構成は受信部が1×2光スイッチよりも高価である場合にコスト低減の効果を持つ。一度にはどちらか片方の状態しか検知できないので、見ている方の受信が途絶えたら光スイッチを他方に切り替えてもう一方の受信可否を見て、次の動作を行う、という、受信器を時分割して使う方法となる。
【0051】
受信器を時分割して使用することによる制御の遅延を懸念する場合は、OSC信号の有無だけを検知できる安価な受光器を使って常時2系統の信号有無を監視する方法も可能である。APR制御の実現だけであれば、OSC信号が伝える全ての情報を受信する必要はないからである。
【0052】
なお、受信部を2つ用意する代わりに1×2光スイッチで接続先の伝送路を切り替えるという技術的思想は、送信部を2つ用意する代わりに1つの送信部の出力を二分岐するという技術的思想と組み合わせることができる。
【0053】
<第2の実施形態>
図3に本実施形態の構成を示す。本実施形態は、リング構成で、主信号出力を停止したことを通知する構成である。おおよそ図5と同様の構成であるが、リング構成を前提とする。動作を順に説明する。
【0054】
ステップS1:伝送路31に切断が発生する。
ステップS2:切断箇所の下流にあたるノード20は、光増幅器22WEが受信する主信号とOSC信号33WEの両方の受信が途絶えたことを検知する。
【0055】
ステップS3:ノード20は、伝送路32経由のOSC回線34EWを通じて、切断箇所の上流にあたるノード10に対して、切断箇所に向かって出力している光増幅器12WEの主信号出力を停止させるAPR動作指令を送出する。
【0056】
ステップS4:ノード10は、伝送路32経由のOSC回線34EWを通じたAPR動作指令を受信する。
ステップS5:ノード10は、切断箇所に向かう光増幅器12WEの主信号出力を停止する。次に、ノード20に対して、伝送路断の可能性のある伝送路31とは別の経路のOSC回線(OSC回線35)を通じて「APR指令に基づき切断箇所に向かう光増幅器12WE主信号出力を停止した」ことを通知する。
【0057】
なお、ステップS5における「伝送路断の可能性のある伝送路31とは別経路のOSC回線」は、本実施形態のようにネットワークがリング状に構成されている場合において、ノード10とノード20の間の伝送路断が発生した可能性のある区間を除いた区間を経由するOSC回線35である。図3では便宜上、OSC回線35はあたかも専用回線のように描いてあるが実際には従来技術のところで説明したように、各ノードのOSC packageでバケツリレー的に伝達される仕組みである。
【0058】
ステップS6:ノード20は、許容時間内にノード10の光増幅器12WE主信号出力停止通知を受け取ったら、動作完了する。この許容時間は、あらかじめ定めてある、レーザー安全上、放射が許容しうる所定の時間である。典型的な許容時間は、約3秒、もしくはそれ以下である。
【0059】
ステップS7:もしノード20が、許容時間内にノード10の光増幅器12WE主信号出力停止通知を受け取れなかった場合は、伝送路32への光増幅器22EWの主信号出力を停止する。
【0060】
もし伝送路31,32が両方ともほぼ同時に切断された場合は次のような動作となる。
ノード20は、ノード10へAPR制御信号を伝達できず、ノード10からのAPR動作完了信号を所定時間内に受け取ることができないため、光増幅器22EWの主信号出力を停止することとなる。
【0061】
同様のことは、ノード10でも起きる。すなわち、ノード10は、光増幅器12EWが受信する主信号と、ノード20から送られてくるOSC信号34EWがともに途絶えたことを検知し、ノード20へAPR制御信号を伝達しようとするが伝達できず、ノード20からのAPR動作完了信号を所定時間内に受け取ることができないため、光増幅器12WEの主信号出力を停止することとなる。
【0062】
従来技術であれば、主信号とOSC信号が同時に途絶えたら、ただちに該当区間への光増幅器の主信号出力を停止していた。本改良技術では、切れたと断定した方と反対側の伝送路は”生きている”と仮定して、主信号の断を一時保留して、”生きている”と仮定した伝送路を通じて、切れている伝送路への主信号出力を止める制御を試みる。その制御が完了したという通知を受け取れたら、先ほど”生きている”と仮定した方の伝送路が本当に”生きていた”確認が取れたことになるので、そのまま主信号を伝送し続けることができる。許容時間内に確認が取れなければ危険性があるため主信号を切る。
【0063】
上記各ステップのうち、ステップS2、S3、S6、S7の主体は、さらに具体的には、ノード20が備える光監視手段(OSC package)21である。また、ステップS4、S5の主体は、ノードが備える光監視手段(OSC package)11である。
【0064】
<第2の実施形態の変形例>
上記第2の実施形態において、「APR指令に基づき切断箇所に向かう主信号出力を停止した」ことの通知を、右回り、左回り両方から流し、どちらかでも受信できるようにしてもよい。
この実施形態では、“リング構成”として最も単純な構成を例にしたが、メッシュ構成もリング構成の集合体と考えることができるので、一般のネットワークのほとんどに本技術を適用することが可能である。
【0065】
<第3の実施形態>
図4に本実施形態の構成を示す。本実施形態は、主信号伝送路以外のルートで主信号出力を停止したことを通知する構成である。おおよそ図5と同様の構成であるが、DCNを利用することが特徴である。
【0066】
データコミュニケーションネットワーク(DCN(Data Communication Network))とは、装置ユーザが装置を管理するためのネットワークである。遠隔から装置と通信する回線としては、OSCを用いる経路と、DCNを用いる経路がある。装置としては、少なくともOSC回線がつながっていれば正常動作するように作られるのが一般的である。つまり装置間の日常的な通信はOSC回線を経由して行うのが一般的である。DCNの主な用途はネットワークマネジメントシステム(NMS(Network Management System))と呼ばれる、装置、ネットワーク全体を管理するサーバとの接続である。したがってDCNは、MCN(Management Communication Network)とも呼ばれる。OSC経由の回線でも装置は管理可能であるが、OSCが不通でも装置を管理可能とするために、OSCとは独立にDCNが用意されるのが通例である。
【0067】
DCNは様々な装置を混在させながら使用する、ユーザの汎用ネットワークであり、使用可能な帯域も保証されていない。混雑していれば転送レートの低下や遅延が起きる。これに対してOSCは、搭載されている装置専用の回線である。したがって、常時必要な装置固有の制御通信などはOSC内の保証された帯域を使用するように設計される。
【0068】
APR制御は装置内部の通信であり、OSCで伝達されるべき制御通信である。しかし伝送路断発生時はOSCも少なくとも一部は切断されてしまうため、通信に制約が生じる。そこでDCNで補うことが考えられる。
【0069】
図4で動作を順に説明する。
ステップS1:伝送路31に切断が発生する。
ステップS2:切断箇所の下流にあたるノード20は、光増幅器22WEが受信する主信号とOSC信号33WEの両方の受信が途絶えたことを検知する。
【0070】
ステップS3:ノード20は、伝送路32経由のOSC回線34EWを通じて、切断箇所の上流にあたるノード10に対して、切断箇所に向かって出力している光増幅器12WEの主信号出力を停止させるAPR動作指令を送出する。
【0071】
ステップS4:ノード10は、伝送路32経由のOSC回線34EWを通じたAPR動作指令を受信する。
ステップS5:ノード10は、切断箇所に向かう光増幅器12WEの主信号出力を停止する。次に、ノード20に対して、DCNを通じて「APR指令に基づき切断箇所に向かう光増幅器12WE主信号出力を停止した」ことを通知する。
【0072】
ステップS6:ノード20は、許容時間内にノード10の光増幅器12WE主信号出力停止通知を受け取ったら、動作完了する。この許容時間は、あらかじめ定めてある、レーザー安全上、放射が許容しうる所定の時間である。典型的な許容時間は、約3秒、もしくはそれ以下である。
【0073】
ステップS7:もしノード20が、許容時間内にノード10の光増幅器12WE主信号出力停止通知を受け取れなかった場合は、伝送路32への光増幅器22WE主信号出力を停止する。
【0074】
上記各ステップのうち、ステップS2、S3、S6、S7の主体は、さらに具体的には、ノード20が備える光監視手段(OSC package)21である。また、ステップS4、S5の主体は、ノードが備える光監視手段(OSC package)11である。
【0075】
<第3の実施形態の変形例>
上記第3の実施形態の説明においては、DCNと表記したが、主信号伝送路以外の経路、という意味であり、同等のものと置き換えても同じである。
ステップS3,S4において、ノード20は、ノード10に対して伝送路32を通るOSC回線34EWを通じてAPR指令を伝えているが、ここもDCN経由としてもよい。OSC回線を使用するほうが好ましい理由は、段落0064でも記したように、DCN経由の通信はOSC回線を経由した通信に比較して、時間がかかったり、不安定だったりする可能性があるためである。OCS回線32EWはノード20からノード10へ通信するための専用回線のため、通信時間も短く、確実に伝達できる。切断箇所からの高パワーのレーザー光の放出は安全性にかかわるので、なるべく早く、確実に制御信号を伝達するのが望ましい。
【0076】
以上の実施形態では、2芯双方向の伝送システムの例で説明したが、用いられる芯線数がもっと多い伝送システム、たとえば現用系と予備系の4芯を使うシステムであっても、本願の技術的思想が適用できることは言うまでもない。
以上の実施例では、説明簡単化のため、レーザー安全基準が安全と定めるパワーレベルまで光出力レベルを下げることを、光出力を停止する、と説明しているが、詳しく言えば、自由放射し続けることが許容されるレベルまで光出力を低減する、という意味である。
ここで光出力レベルの安全性の判定対象にはOSC信号も含まれることは言うまでもない。
以上の発明の説明では、説明簡単化のために、伝送路を伝送する、OSC信号以外の光は、すべて光増幅器の出力である主信号、として説明したが、たとえば分布ラマン増幅のための励起光のように、OSC信号でもなく、光増幅器から出力される主信号でもない光パワーが伝送路に送出されるようなケースであっても、その送出パワーが制御可能であるならば、本願の技術的思想が適用できることは言うまでもない。
ところで本願では、切断したことが明らかな伝送路へ信号を出力する光増幅器の出力低減が完了したことを、切断伝送路の下流ノードへ通知することが新たな工夫の一つとなっている。一方、従来のAPR技術(例えば、非特許文献1)においては、伝送路切断復旧後に出力低減措置を自動的に解除して通信を自動立ち上げするためのAPR解除要請に相当する信号を、光増幅器の出力低減が完了した後も切断伝送路に向かって送出し続けることが記述されている(本願の技術的思想が、そのような自動通信回復の仕組みと共存可能であることは言うまでもない)。この2つの通知は、互いに全く異なるものであるので、混同に注意されたい。
また、従来、APR技術として、集中型の光増幅器に加えて、伝送路での分布ラマン増幅を併用する場合、特に主信号と逆方向に励起光を入力する場合に対する方法も開示されている。そのようなシステムであっても、本願が解決手段を提供する課題が存在し、本願の技術的思想が適用できることは言うまでもない。
【0077】
<各実施形態の効果>
上述した本発明の実施形態の効果を説明する。
上述した本発明の実施形態によれば、APR動作をさせる際に、切断されていない可能性のある伝送路32側の回線が生きているならばそれを生かし続けることができ、一方の伝送路断が他方の主信号断へと影響が広がることを防止できる。
【0078】
切断箇所の下流にあたるノード20は、上流出力の停止信号(APR信号)を発出してから一定時間内に停止完了通知を受け取れなければ、伝送路32も切断されたために切断箇所の上流にあたるノード10にAPR信号が届かなかった可能性があるため、対向側の出力を停止する。これにより切断箇所で許容限度を越えたレーザ光が出射しつづけることを防止できる。
【0079】
また、APR動作の発動の条件として、単に主信号もしくはOSC信号どちらか一方の断だけに頼らずに、切断が想定される現象が二つ以上観測されたことを発動条件にすることで、主信号もしくはOSC信号のどちらか片方が故障等で断となっても、伝送路断の誤判断を防止できる。
【0080】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
光ファイバ伝送システムにおける各ノードが備える伝送路切断時の出力自動低下制御方式であって、
ある、ノードとノードに挟まれた伝送区間に着目し、それをノードAとノードBと仮に名づけるとき、その隣接する2ノード間は、ノードAからノードBへ信号を伝送する第1の伝送路と、ノードBからノードAへ信号を伝送する第2の伝送路とによって接続されており、
ノードAは、第1の伝送路に向かって信号出力する光増幅器A1と、監視制御手段ACを備え、
ノードBは、第1の伝送路からの信号到着をモニタするモニタB1と、第2の伝送路に向かって信号出力する光増幅器B2と、監視制御手段BCを備え、
第1の伝送路に伝送路断が発生した場合に、ノードBのモニタB1がその伝送路断を検知し、監視制御手段BCは、切断した第1の伝送路に向かって信号を出力しているノードAの光増幅器A1の出力パワーを安全なレベルまで低減させる指令をノードAの監視制御手段ACに向けて送出し、
ノードAの監視制御手段ACは、ノードBからの出力低減通知を受信して、光増幅器A1の出力を低減する、
伝送路切断時の出力自動低減制御方式であって、
ノードAの監視制御手段ACは、ノードBからの出力低減通知に従って、光増幅器A1の出力の低減が完了したことを表す通知である完了通知を、ノードBの監視制御手段BCに通知することを特徴とし、
かつ、
ノードBの前記監視制御手段BCは、あらかじめ定めた許容時間、信号出力低減の前記完了通知の受信を待ち、許容時間を超えても前記完了通知を受信しない場合は、第2の伝送路に向かって出力する光増幅器B2の信号出力を自動的に低減する
ことを特徴とする、光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方式。
(付記2)
前記監視制御手段BCは、前記完了通知を、前記第2の伝送路を経由する光監視回線を通じて受信することを特徴とする、付記1記載の光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方式。
(付記3)
前記ノードAと前記ノードBが、複数の伝送路によってリング状に接続されており、
前記監視制御手段BCは、前記完了通知を、前記伝送区間を除く区間の伝送路を経由する光監視回線を通じて受信することを特徴とする、付記1記載の光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方式。
(付記4)
前記監視制御手段BCは、前記完了通知を、前記ノードAと前記ノードBとを通信可能に接続するデータコミュニケーションネットワークを経由して受信することを特徴とする、付記1記載の光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方式。
(付記5)
光ファイバ伝送システムにおける、ある、ノードとノードに挟まれた伝送区間に着目し、それらをノードAとノードBと仮に名付けるとき、前記ノードAと前記ノードB間が、前記ノードAから前記ノードBへ信号を伝送する第1の伝送路と、前記ノードBから前記ノードAへ信号を伝送する第2の伝送路とによって接続されており、
前記ノードAは、前記第1の伝送路に向かって信号出力する光増幅器A1と、監視制御手段ACを備え、
前記ノードBは、前記第1の伝送路からの信号到着をモニタするモニタB1と、前記第2の伝送路に向かって信号出力する光増幅器B2と、監視制御手段BCを備える
光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方法であって、
前記モニタB1が、前記第1の伝送路に伝送路断が発生した可能性があることを検知する第1の工程と、
前記監視制御手段BCが、前記第1の伝送路に向かって信号を出力している前記光増幅器A1の出力パワーを安全なレベルまで低減させる指令である出力低減通知を前記監視制御手段ACに向けて送出する第2の工程と、
前記監視制御手段ACが、前記出力低減通知を受信して、前記光増幅器A1の出力を低減させる第3の工程と、
前記監視制御手段ACが、前記第3の工程により、前記光増幅器A1の出力の低減が完了したことを表す通知である完了通知を、前記監視制御手段BCに通知する第4の工程と、
前記監視制御手段BCが、あらかじめ定めた許容時間、前記完了通知の受信を待ち、前記許容時間を超えても前記完了通知を受信しない場合は、前記第2の伝送路に向かって出力している前記光増幅器B2の信号出力を低減する第5の工程と、
を含むことを特徴とする、光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方法。
【符号の説明】
【0081】
10 中継ノード(Repeater(Rep.)ノード)
11 光監視手段(OSC package)
12WE,12EW 光増幅器
20 中継ノード(Repeater(Rep.)ノード)
21 光監視手段(OSC package)
22WE,22EW 光増幅器
31 伝送路(伝送路断が発生した伝送路)
32 伝送路
33WE,33EW,33WE_1,33WE_2 OSC回線
34EW,34WE,34EW_1,34EW_2 OSC回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバ伝送システムにおける各ノードが備える伝送路切断時の出力自動低下制御方式であって、
ある、ノードとノードに挟まれた伝送区間に着目し、それをノードAとノードBと仮に名づけるとき、その隣接する2ノード間は、ノードAからノードBへ信号を伝送する第1の伝送路と、ノードBからノードAへ信号を伝送する第2の伝送路とによって接続されており、
ノードAは、第1の伝送路に向かって信号出力する光増幅器A1と、監視制御手段ACを備え、
ノードBは、第1の伝送路からの信号到着をモニタするモニタB1と、第2の伝送路に向かって信号出力する光増幅器B2と、監視制御手段BCを備え、
第1の伝送路に伝送路断が発生した場合に、ノードBのモニタB1がその伝送路断を検知し、監視制御手段BCは、切断した第1の伝送路に向かって信号を出力しているノードAの光増幅器A1の出力パワーを安全なレベルまで低減させる指令をノードAの監視制御手段ACに向けて送出し、
ノードAの監視制御手段ACは、ノードBからの出力低減通知を受信して、光増幅器A1の出力を低減する、
伝送路切断時の出力自動低減制御方式であって、
ノードAの監視制御手段ACは、ノードBからの出力低減通知に従って、光増幅器A1の出力の低減が完了したことを表す通知である完了通知を、ノードBの監視制御手段BCに通知することを特徴とし、
かつ、
ノードBの前記監視制御手段BCは、あらかじめ定めた許容時間、信号出力低減の前記完了通知の受信を待ち、許容時間を超えても前記完了通知を受信しない場合は、第2の伝送路に向かって出力する光増幅器B2の信号出力を自動的に低減する
ことを特徴とする、光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方式。
【請求項2】
前記監視制御手段BCは、前記完了通知を、前記第2の伝送路を経由する光監視回線を通じて受信することを特徴とする、請求項1記載の光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方式。
【請求項3】
前記ノードAと前記ノードBが、複数の伝送路によってリング状に接続されており、
前記監視制御手段BCは、前記完了通知を、前記伝送区間を除く区間の伝送路を経由する光監視回線を通じて受信することを特徴とする、請求項1記載の光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方式。
【請求項4】
前記監視制御手段BCは、前記完了通知を、前記ノードAと前記ノードBとを通信可能に接続するデータコミュニケーションネットワークを経由して受信することを特徴とする、請求項1記載の光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方式。
【請求項5】
光ファイバ伝送システムにおける、ある、ノードとノードに挟まれた伝送区間に着目し、それらをノードAとノードBと仮に名付けるとき、前記ノードAと前記ノードB間が、前記ノードAから前記ノードBへ信号を伝送する第1の伝送路と、前記ノードBから前記ノードAへ信号を伝送する第2の伝送路とによって接続されており、
前記ノードAは、前記第1の伝送路に向かって信号出力する光増幅器A1と、監視制御手段ACを備え、
前記ノードBは、前記第1の伝送路からの信号到着をモニタするモニタB1と、前記第2の伝送路に向かって信号出力する光増幅器B2と、監視制御手段BCを備える
光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方法であって、
前記モニタB1が、前記第1の伝送路に伝送路断が発生した可能性があることを検知する第1の工程と、
前記監視制御手段BCが、前記第1の伝送路に向かって信号を出力している前記光増幅器A1の出力パワーを安全なレベルまで低減させる指令である出力低減通知を前記監視制御手段ACに向けて送出する第2の工程と、
前記監視制御手段ACが、前記出力低減通知を受信して、前記光増幅器A1の出力を低減させる第3の工程と、
前記監視制御手段ACが、前記第3の工程により、前記光増幅器A1の出力の低減が完了したことを表す通知である完了通知を、前記監視制御手段BCに通知する第4の工程と、
前記監視制御手段BCが、あらかじめ定めた許容時間、前記完了通知の受信を待ち、前記許容時間を超えても前記完了通知を受信しない場合は、前記第2の伝送路に向かって出力している前記光増幅器B2の信号出力を低減する第5の工程と、
を含むことを特徴とする、光ファイバ伝送システムにおける出力自動低減制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−186636(P2012−186636A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48051(P2011−48051)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】