光ファイバ接続用部品および接続方法
【課題】簡便な方法で光ファイバを破損することなく光ファイバの接続を行うことが可能な光ファイバ接続用部品および光ファイバ接続方法を提供すること。
【解決手段】被覆を除去しない2本の光ファイバ心線1を両側からV溝型光ファイバ心線固定部7の溝に挿入し、剃刀の刃などに用いられる形状の刃を光ファイバの直径より小さい間隔になるように重ねた2枚刃状光ファイバ押さえ部8で加重する。これにより、光ファイバ押さえ部8の先端が光ファイバ心線1の被覆を貫通し光ファイバ2に直接接触して光ファイバ2の位置決めが行われ、簡便な方法で光ファイバを破損することなく光ファイバを接続することが可能になった。
【解決手段】被覆を除去しない2本の光ファイバ心線1を両側からV溝型光ファイバ心線固定部7の溝に挿入し、剃刀の刃などに用いられる形状の刃を光ファイバの直径より小さい間隔になるように重ねた2枚刃状光ファイバ押さえ部8で加重する。これにより、光ファイバ押さえ部8の先端が光ファイバ心線1の被覆を貫通し光ファイバ2に直接接触して光ファイバ2の位置決めが行われ、簡便な方法で光ファイバを破損することなく光ファイバを接続することが可能になった。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの対向整列による光ファイバの接続技術に係り、特に光ファイバ心線の被覆を除去しない状態で光ファイバ心線を接続することが可能な光ファイバ接続用部品および光ファイバ接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバの接続には、従来、光コネクタ,ファイバ融着接続,あるいはメカニカルスプライス(mechanical splice)等が用いられている。特に、メカニカルスプライスは光コネクタ組立などと比較して簡便な操作で光接続が可能となるため、光配線工事などにおいても広く使用されている。
【0003】
メカニカルスプライスに関しては、例えば特開平9−61655号公報(特許文献1)、特開2001−324638号公報(特許文献2)などに記載されているものが知られている。メカニカルスプライスは、光ファイバ心線の被覆除去、光ファイバの清掃、光ファイバのクリーブ(cleave;切断)、光ファイバのV溝部品への挿入などにより行われる。
【0004】
また、特開2006−010871号公報(特許文献3)には、光ファイバ心線を被覆除去せずにファイバ保持部材により挟み込み被覆部を圧縮変形させて位置決めする方法が記載されており、IEEE Photonics Technology Letters, pp.804-6, Vol.16, No.3, March 2004.(非特許文献1)には、光ファイバ心線の被覆を除去せずに接続を行う方法として自己形成導波路など利用した光ファイバ接続が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−61655号公報
【特許文献2】特開2001−324638号公報
【特許文献3】特開2006−010871号公報
【非特許文献1】IEEE Photonics Technology Letters, pp.804-6, Vol.16, No.3, March 2004.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のメカニカルスプライス等による光ファイバの接続に際しては、被覆が除去された状態で光ファイバを取り扱う必要があったため、作業中に光ファイバを折ってしまうなどの破損の問題があった。
【0007】
光ファイバは、一般的に直径125μmもしくは80μmの極細径のガラスであり、作業中などに容易に破損してしまう危険がある。また、光ファイバ心線の被覆除去や光ファイバの清掃など、作業工数が多くなってしまうといった問題もあった。
【0008】
光ファイバ心線の被覆を除去せずに接続を行う方法としては、上述した非特許文献1に提案された自己形成導波路など利用した光ファイバ接続方法があるが、この文献に提案された接続方法では紫外線の照射を必要とするなど現段階では簡便性に問題があった。
【0009】
本発明の目的は、上記問題を解消し、簡便な方法により光ファイバを破損することなく光ファイバの接続を行うことが可能な光ファイバ接続用部品および光ファイバ接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、被覆を除去することなくそのまま対向整列による光ファイバの接続を行うことを可能としたものであり、これにより、被覆を除去した状態で光ファイバを取り扱う必要がなくなるため、作業工程数の削減や、作業中に光ファイバを破損してしまう確率を大幅に軽減することが可能となる。
【0011】
以下、本発明の特徴を述べる。
a)光ファイバの対向整列による光ファイバ接続において、光ファイバの位置決めを行うための光ファイバ接続用部品であって、被覆を有する光ファイバ心線を固定する光ファイバ心線固定部と光ファイバ心線の被覆を貫通して光ファイバに直接接触する光ファイバ押さえ部が光ファイバ心線の延びる方向に沿って該光ファイバ心線に接するように配置されていることを特徴としている(請求項1参照)。
【0012】
従来、メカニカルスプライスなどの光ファイバの対向整列では、図14に示すように光ファイバ心線1の被覆3を除去し裸の光ファイバ2とし、該光ファイバ2を、図15に例を示すようにV溝基板4上に整列させ(実際は接続する2本の光ファイバを両側から整列させるが、図15では片側の光ファイバ2のみを示す)、2本の光ファイバをお互いに突き当てた状態で図16に示すようにV溝型押さえ板5により上側から光ファイバ2を押さえ、光ファイバ同士の接続を実現している。
【0013】
しかし、前述したように、光ファイバ2は一般的に直径125μmあるいは80μmの極細径のガラスであり、作業中などに容易に破損してしまう危険がある。光ファイバ2の破損を防ぐために、被覆を除去しないで光ファイバ心線1のままV溝基板4により整列させることも考えられるが、光ファイバ心線1の被覆の外径精度は光ファイバ2の外径精度に比べて著しく劣るため、同方法により対向整列させた場合、十分な位置決め精度を得ることができず良好な接続特性を実現することはできなかった。
【0014】
これに対して、本発明によれば、光ファイバ押さえ部の中心部で対向整列させる光ファイバ心線同士を突き当てることにより、光ファイバ心線固定部で安定に光ファイバ心線が保持されつつ、光ファイバ押さえ部が被覆を貫通し光ファイバの外径精度と同精度で光ファイバの位置決めを行うことが可能となるため、被覆を除去せずに光ファイバ心線の対向整列による接続を実現することができる。
【0015】
本発明における位置決め精度は、光ファイバの外径精度と同様の精度となるため、メカニカルスプライスと同等の接続特性を得ることができる。さらに、被覆を除去する必要がないため、作業中などに光ファイバを破損してしまう危険を低減することができる。また、被覆除去工程を削除することが可能となる。光ファイバ心線固定部と光ファイバ押さえ部がそれぞれ個別の部品になっていて、それらを光ファイバ心線の延びる方向に沿って該光ファイバ心線に接するように配置させることができる。
【0016】
b)また、上記の光ファイバ接続用部品において、光ファイバ押さえ部が剃刀の刃状構造となっていることを特徴としている(請求項2参照)。これにより、光ファイバ押さえ部を光ファイバ心線の被覆を貫通させて光ファイバに直接接触させることが容易となる。
【0017】
c)また、上記の光ファイバ接続用部品において、光ファイバ押さえ部が2枚の剃刀状の刃を光ファイバの直径よりも小さい間隔となるように固定された構造を有することを特徴としており(請求項3参照)、光ファイバ心線の被覆を貫通させる際に、図1に構成の一例を示すように光ファイバ心線1を左右にはじくようなことなく安定した状態で、2枚刃状光ファイバ押さえ部8を光ファイバ心線1の被覆を貫通させることが可能となる。
【0018】
図2に示す2枚刃状光ファイバ押さえ部8の2枚刃の先端の間隔aは、光ファイバ2の直径より小さくする必要がある。例えば、光ファイバ2の直径が125μmの場合、2枚刃の先端の間隔aは、70μm〜100μmの間隔を有することが望ましい。刃の先端の間隔aが70μm以下の狭い場合は光ファイバ心線1を左右いずれかにはじいてしまう場合がある。また、刃の先端の間隔aが100μm以上の広い場合は、光ファイバが刃と刃の間に挟みこまれてしまい、光ファイバの位置決めができないかあるいは精度が大きく劣化してしまう場合がある。
【0019】
d)また、上記光ファイバ接続用部品において、図3,4に示すように、光ファイバ押さえ部9の刃の先端方向が光ファイバの直径方向、すなわち刃の先端が光ファイバ2の中心に向かうように配置されていることを特徴としている(請求項4参照)。これにより、図3および図4に構成の一例を示すように、光ファイバを等方的に安定して保持することが可能となる。
【0020】
e)また、上記の光ファイバ接続用部品において、光ファイバ心線固定部がV溝またはU溝を有する構造であることを特徴としている(請求項5参照)。これにより、図1あるいは図3に一例を示すように光ファイバ心線1を安定した状態でV溝型光ファイバ心線固定部7あるいはU溝型光ファイバ心線固定部10上に固定することが可能となる。
【0021】
f)さらに、上記の光ファイバ接続用部品において、光ファイバ心線固定部がキャピラリ構造であることを特徴としている(請求項6参照)。これにより、図5に構成の一例を示すように、キャピラリ型光ファイバ心線固定部11に光ファイバ心線1を収容するようにして、治具の方向に依らず安定した光ファイバ心線1の固定が可能となる。
【0022】
g)また、前述のa)〜f)に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、光ファイバ心線1を光ファイバ心線固定部(7,10,11)に設置した後に、光ファイバ押さえ部(8,9)を光ファイバ心線固定部(7,10,11)の方向へ移動させて光ファイバ心線1の突合せ部分に押し付けることにより、光ファイバ押さえ部(8,9)の先端が光ファイバ心線1の被覆3を貫通し光ファイバ2に直接接触し、光ファイバ2の位置決めを行うことを特徴としている(請求項9参照)。
【0023】
例えば、メカニカルスプライスなど従来の光ファイバ接続方法においては、図17に示すように、V溝基板4とV溝押さえ板5をくさび板6によりスペースを作っておき、その状態で光ファイバ2を双方の光ファイバ挿入口より挿入し(図は一方の光ファイバのみを示す)、V溝基板4の中心位置で光ファイバ同士を突き合わせた後に、くさび板4を引き抜きV溝基板4とV溝押さえ板5で光ファイバ2を挟み込むようにして位置決めを行っていた。しかし、この方法では光ファイバ挿入口が狭く、光ファイバ2を破損しないよう慎重に作業を行う必要があった。
【0024】
これに対して、本発明の光ファイバ接続方法によれば、光ファイバ心線1を対向させた状態で光ファイバ心線固定部(7,10,11)に設置して突合せ、光ファイバ押さえ部(8,9)を光ファイバ心線1の直径方向に中心へ向かって押し付けることで、被覆3の除去を行うことなく光ファイバ2の接続を実現することができるため、光ファイバ心線1の整列を容易に行うことが可能となる。さらに、裸ファイバの状態での作業がなくなるため、誤って光ファイバ2を破損してしまう危険性を軽減することができる。
【0025】
h)また、前述のa)〜f)に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、光ファイバ心線固定部(7,10,11)に光ファイバ心線1が設置された状態において、光ファイバ押さえ部(8,9)の先端が光ファイバに直接接触するような相対位置に、予め光ファイバ心線固定部(7,10,11)と光ファイバ押さえ部(8,9)を設置し、光ファイバ心線固定部(7,10,11)と光ファイバ押さえ部(8,9)により形成された空間に、光ファイバ心線1をスライドさせて挿入することにより、光ファイバ心線1の被覆3が光ファイバ心線固定部(7,10,11)に固定され、且つ光ファイバ押さえ部(8,9)の先端が光ファイバ2に直接接触して該光ファイバ2の位置決めを行うことを特徴としている(請求項10参照)。
【0026】
これにより、光ファイバ心線1の被覆3を光ファイバ心線固定部(7,10,11)に押し当てながら、光ファイバ心線固定部(7,10,11)と光ファイバ押さえ部(8,9)により形成された空間にスライドさせながら挿入して光ファイバ2の端面同士を突き当てれば、光ファイバ心線1の挿入時に光ファイバ押さえ部(8,9)の先端が光ファイバ心線1の被覆3を切り裂くようにして光ファイバ2に直接接触するので、被覆3の除去を行うことなく光ファイバの接続を実現することが可能となる。
【0027】
このように、裸ファイバの状態での作業がなくなるため、光ファイバ心線1を光ファイバ接続用部品に導入する際などに、誤って光ファイバ2を破損してしまう危険性を軽減することができる。
【0028】
i)さらに、前述のa)〜f)に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、複数の光ファイバ押さえ部9の先端が光ファイバ2に直接接触するような相対位置に、予め複数の光ファイバ押さえ部9を設置し、該複数の光ファイバ押さえ部9の先端が形成する空間に、光ファイバ心線1をスライドさせて挿入することにより(図3,4,6,7参照)、複数の光ファイバ押さえ部9の先端が光ファイバ心線1の被覆3を貫通し光ファイバ2に直接接触して光ファイバ2の位置決めを行うことを特徴としている(請求項11参照)。
【0029】
これにより、光ファイバ心線1を光ファイバ押さえ部9の先端が形成する空間にスライドさせながら挿入して光ファイバ2の端面同士を突き当てれば、光ファイバ心線1の挿入時に複数の光ファイバ押さえ部9の先端が光ファイバ心線1の被覆3を切り裂くようにして光ファイバ2に直接接触し位置決めが成され、被覆の除去を行うことなく光ファイバの接続を実現することが可能となる。このように、裸ファイバの状態での作業がなくなるため、誤って光ファイバを破損してしまう危険性を軽減することができる。
【0030】
j)また、前述のf)に記載の光ファイバ接続用部品において、図6に示すように、キャピラリ構造を有する光ファイバ心線固定部13の内壁面から複数の光ファイバ押さえ部9がキャピラリの中心方向へ突き出した構造を有し、光ファイバ押さえ部9の先端に外接する円の直径が光ファイバ2の直径と同じであり、その外接円の中心が光ファイバ心線固定部13の中心と同じであり、光ファイバ心線固定部13の外径とほぼ同じ大きさの外径を有し、内径が光ファイバ心線1の外径とほぼ同じとなるキャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品12a,12bを有し、キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部13の両端に前記キャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品12aと12bが配置され、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部13とキャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品12a,12bがスリーブ(例えば、割りスリーブ14)により光ファイバの延びる方向に沿って且つ光ファイバ心線と同軸上に整列されていることを特徴としている(請求項7参照)。
【0031】
一般に、光ファイバの直径は125μmもしくは80μm程度であり、光部品に設けられた光ファイバ挿入穴に光ファイバを挿入する際には挿入ガイド等が併用されるが、挿入ガイドの位置決めには高い精度が必要となる。
【0032】
したがって、メカニカルスプライスなどではファイバ挿入ガイドが一体成形された接続用部品が用いられる。しかし、光部品とファイバ挿入ガイドが別々の部品になっている場合、位置合わせのための仕組みが必要となる。
【0033】
本発明では、光ファイバ心線固定部品13とファイバ挿入ガイド部品12a,12bをスリーブにより整列させることで位置決めを行うため、非常に簡便な方法での位置決めが可能となる。例えば、図6に一例を示すように、キャピラリ形状の部品として光コネクタ用フェルールを流用し、スリーブに光コネクタ用の割りスリーブ14を使用すれば、光ファイバ心線挿入ガイド部品12a、光ファイバ心線固定部品13、光ファイバ心線挿入ガイド部品12bの順に割りスリーブ14へ挿入するだけで、各部品が同軸上に整列されて自動的に位置決めが完了することになる。
【0034】
図6の例では、光コネクタ用フェルールの中心の穴径を光ファイバ心線1の外径と同程度に加工した光ファイバ心線挿入ガイド部品12a,12bと、光ファイバ心線固定部品の内壁面から、4つの三角形の断面を有する光ファイバ押さえ部9がキャピラリの中心方向へ突き出した構造の光ファイバ心線固定部品13を示してある。同図において、Aは左側から見た側面図、Bは光ファイバ心線挿入ガイド部品12aでの断面図、Cは光ファイバ心線固定部品13での断面図、Dは光ファイバ心線挿入ガイド部品12bでの断面図である。
【0035】
図7は、光ファイバ心線固定部の内壁面からキャピラリの中心方向へ突き出した光ファイバ押さえ部9の個数が3つの場合を示したものである。光ファイバ押さえ部9の個数はこれに限定されない。
【0036】
k)さらに、前述のj)に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、光ファイバ心線1をキャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品12より挿入し、キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部13の中心で光ファイバ心線1が突き当たるようにして、光ファイバの位置決めを行うことを特徴としている(請求項12参照)。
【0037】
これにより、光ファイバ心線挿入ガイド部品12を用いるため光ファイバ心線1の挿入作業を容易に行うことができる。また、2つの光ファイバ心線挿入ガイド部品12a,12bの間に光ファイバ心線固定部13が挟み込まれた光ファイバ接続用部品を使用するため、光ファイバ心線1を挿入する操作だけで、光ファイバ心線1を光ファイバ心線固定部で固定するとともに、光ファイバ心線固定部の内壁面からキャピラリの中心方向へ突き出した光ファイバ押さえ部9により光ファイバの位置決めを行うことができるため、非常に簡便な作業により被覆の除去を行うことなく光ファイバの接続を実現することが可能となる。
【0038】
l)また、キャピラリ構造を有する光ファイバ心線固定部の内壁面から複数の光ファイバ押さえ部がキャピラリの中心方向へ突き出した構造を有し、光ファイバ押さえ部の先端に外接する円の直径が光ファイバの直径と同じであり、その外接円の中心がキャピラリ構造光ファイバ心線固定部の中心と同じであり、キャピラリ構造光ファイバ心線固定部の外径と同じ大きさの外径で、内径が光ファイバ心線の外径とほぼ同じとなるキャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品を有し、前記キャピラリ構造光ファイバ心線固定部の両端に前記キャピラリ構造光ファイバ心線挿入ガイド部品が配置され、該キャピラリ構造光ファイバ心線固定部とキャピラリ構造光ファイバ心線挿入ガイド部品がスリーブにより光ファイバ心線の延びる方向に沿い且つ同軸上に整列されている光ファイバ接続用部品を、光コネクタ用アダプタ15のスリーブホルダ17に内蔵させることを特徴としている(請求項8参照)。
【0039】
光コネクタ用アダプタ15は、図8に示すような構造を有している。
内部にはスリーブホルダ17が設けられており、その中に光コネクタプラグのフェルールを位置決めするための割りスリーブ(不図示)が内蔵されている。この割りスリーブに代えて、光コネクタ用割りスリーブを利用した本発明に係る光ファイバ接続用部品をスリーブホルダ17に内蔵させることにより、光ファイバ心線接続用の光コネクタ用アダプタ15とすることができる。
【0040】
m)また、前述のl)に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、2本の光ファイバ心線1を、キャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品12aおよび2bより両側から挿入し、キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部品12の中心で2本の光ファイバ心線1が突き当たるようにして、光ファイバ2の位置決めを行うことを特徴としている(請求項13参照)。
【0041】
このように、光コネクタ用アダプタ15、割りスリーブ、フェルールなど、市販品を流用することができるため、安価に光ファイバ接続用部品を作製することが可能であり、また、光ファイバ心線の被覆除去なども不要となるため、安価で簡便な光ファイバ接続を実現することができるようになる。
【0042】
n)また、前述のg)〜i),k),m)に記載の光ファイバ接続方法において、2本の光ファイバの接続部分に屈折率整合剤を用いることを特徴としている(請求項14参照)。このため、光ファイバ端面が平面であっても接続損失を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、光ファイバ心線の被覆を除去せずに、対向整列により光ファイバの接続が可能となり、光ファイバの破損の危険性を低減するとともに簡便な方法により光ファイバ心線を接続できる光ファイバ接続用部品および光ファイバ接続方法が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の具体的な実施例を図面を参照してさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
図9〜11は、図1に構成の一例を示した光ファイバ接続用部品の実施形態例を示している。
【0046】
剃刀の刃などに用いられる形状の刃を、刃先の間隔が70μm〜100μm(光ファイバの直径が125μmの場合。以下同様)となるように重ねて、平板に設けた溝に固定することにより、2枚刃状光ファイバ押さえ部8が形成されている。2枚刃状光ファイバ押さえ部8の先端の刃先は、例えば、図9の2枚刃状光ファイバ押さえ部8に示す如き剃刀の刃のように幅を有する形状のものである。
【0047】
光ファイバ心線固定部としてV溝を形成したV溝型光ファイバ心線固定部7を用い、その両脇には2枚刃状光ファイバ押さえ部8を位置決めするために側壁が設けてある。側壁の内側には系止部19が設けられている。また、2枚刃状光ファイバ押さえ部8の平板の側面には係止突起20が設けられている(図10参照)。
【0048】
光ファイバ心線1をV溝型光ファイバ心線固定部7のV溝に整列させ、図10に示すような状態にした後に、2枚刃状光ファイバ押さえ部8の刃の先端が被覆を貫通するように、2枚刃状光ファイバ押さえ部8を押し込み、図11のような状態にすると、2枚刃状光ファイバ押さえ部8の平板の側面には係止突起20が、V溝型光ファイバ心線固定部7側壁の係止部19に固定される。これにより、光ファイバ心線1の被覆を除去せずに、光ファイバの外径と同等精度での光ファイバの位置決めを行うことが可能となる。
【0049】
(実施例2)
図12、図13は、図1に構成の一例を示した光ファイバ接続用部品の実施例1と異なる構造の実施形態例を示している。
【0050】
実施例1と同様に、髭剃りの刃などに用いられる刃を、刃先の間隔が70μm〜100μmとなるように重ねて、平板に設けた溝に固定することにより、2枚刃状光ファイバ押さえ部8が形成されている。ただし、ここでは2枚刃状光ファイバ押さえ部8の上側に、V溝型光ファイバ心線固定部7に固定するための固定部22が設けてある。V溝を設けたV溝型光ファイバ心線固定部7の一側方にファイバ押さえ設置部21が設けられている。
【0051】
2枚刃状光ファイバ押さえ部8は、2枚刃の中心が光ファイバ心線1の中心と一致するようにV溝型光ファイバ心線固定部7のファイバ押さえ設置部21に固定部22によって取り付けられる。光ファイバ心線1をV溝に整列させた後に、2枚刃状光ファイバ押さえ部8の刃の先端が被覆を貫通するように、2枚刃状光ファイバ押さえの固定部22を押し込み、図13のような状態にすることにより、光ファイバ心線1の被覆を除去せずに、光ファイバ2の外径と同等精度での光ファイバの位置決めを行うことが可能となる。
【0052】
(実施例3)
従来、メカニカルスプライスなどの光ファイバの対向整列では、図14に示す光ファイバ心線1の被覆3を除去した裸の光ファイバ2を図15に例を示すようなV溝基板上に整列させ(図15では一方の光ファイバ2のみを示す)、お互いに突き当てた状態で図16のようにV溝型押さえ板5により上側から光ファイバ2を押さえ、2本の光ファイバ同士の接続を実現している。
【0053】
しかしながら、光ファイバは、上述したように一般的に直径125μmあるいは80μmの極細径のガラスであり、作業中などに容易に破損してしまう危険がある。また、光ファイバ心線の被覆の除去や光ファイバ2の清掃など、作業工数が多くなってしまうといった問題もあった。
【0054】
光ファイバ心線1をV溝基板により整列させることもできるが、光ファイバ心線の被覆の外径精度は光ファイバの外径精度に比べて著しく劣るため、同方法により対向整列させた場合、十分な位置決め精度を得ることができない。
【0055】
これに対して、特許文献3には、前述したように光ファイバ心線を被覆除去せずにファイバ保持部材により挟み込み被覆部を圧縮変形させて位置決めする方法が記載されている。
【0056】
以下では、特許文献3で記載されているような光ファイバ心線の被覆を圧縮変形させた場合と、本発明の光ファイバ押さえ部の先端が光ファイバ心線の被覆を貫通し光ファイバに直接接触させることにより光ファイバの位置決めを行う場合とを比較する。
【0057】
シングルモード用の光ファイバ心線の被覆を除去せずに、それぞれの光ファイバ接続用部品を用いて対向整列させたときの接続損失を評価した。なお、屈折率整合剤は使用していない。
【0058】
まずは、図18、図19に例を示すような光ファイバ接続用部品を用いて作業を行った。光ファイバ心線切断後に、2本の光ファイバ心線1をV溝型光ファイバ心線固定部7に対向整列させることにより突き合わせ、V溝型押さえ板24(図19)あるいは平板型押さえ板23(図18)を上方から加重し、光ファイバ心線1の被覆を圧縮変形させ位置決めを実施した。
【0059】
本例では、対向整列により付き合わせた光ファイバ心線1のもう一端には光コネクタが取り付けられており、それぞれ光源と検出器が接続されている。光ファイバ心線1をV溝型光ファイバ心線固定部7に対向整列させ突き合わせた時点では、測定装置の測定限界を超えており、接続損失を測定することができない状態であった。
【0060】
続いて、V溝型押さえ板24(図19)あるいは平板型押さえ板23(図18)を上方から加重し、光ファイバ心線1の被覆を圧縮変形させていったところ、接続損失が徐々に小さくなっていって、最終的には4〜5dB程度となった。
【0061】
次に、図12、図13に示すV溝型光ファイバ心線固定部7を有する本発明の光ファイバ接続用部品を用いて同様の評価を行った。この場合も、光ファイバ心線1をV溝型光ファイバ心線固定部7に対向整列させ突き合わせた時点では、測定装置の測定限界を超えており、接続損失を測定することができない状態であった。
【0062】
続いて、2枚刃状光ファイバ押さえ部8を光ファイバ心線1に向けて加重していくと、接続損失が徐々に小さくなっていって、最終的には0.3〜0.5dB程度となった。
【0063】
このように、シングルモードファイバの場合には、光ファイバ心線1の被覆を圧縮変形させるだけでは、十分な位置決め精度を達成することができないが、本発明のように2枚刃状光ファイバ押さえ部8の先端が光ファイバ心線1の被覆を貫通し光ファイバ2に直接接触させることにより光ファイバ2の位置決めを行うようにした光ファイバ接続用部品および光ファイバ接続方法を用いることにより、十分な位置決め精度を得ることが可能となる。
【0064】
(実施例4)
上述した如きV溝型光ファイバ心線固定部7を有する光ファイバ接続用部品の場合には、光ファイバ心線1をその自重で該V溝型光ファイバ心線固定部7のV溝部に整列させることになるため、光ファイバ心線1を設置する際に水平な状態で作業する必要がある。
【0065】
一方、図5に一例を示すようなキャピラリ型光ファイバ心線固定部11を用いた光ファイバ接続用部品では、キャピラリ型光ファイバ心線固定部11に光ファイバ心線1を挿入した後は、光ファイバ心線1の自重による整列は不要となるため、水平な状態で作業する必要がなくなるといったメリットがある。
【0066】
また、図1、図3〜図5にそれぞれ構造の一例を示すような光ファイバ接続用部品において、光ファイバ押さえ部(8,9)の先端が光ファイバ2に直接接触するような相対位置に予め光ファイバ心線固定部(7,10)と光ファイバ押さえ部(8,9)を設置した場合においても、ファイバ心線固定部(7,10)に光ファイバ心線1を挿入した後は、光ファイバ心線1の自重による整列は不要となり、水平な状態で作業する必要がなくなる。
【0067】
さらに、図1、図3〜図5にそれぞれ構造の一例を示す光ファイバ押さえ部(8,9)の先端が光ファイバ2に直接接触するような相対位置に、予め光ファイバ心線固定部(7,10)と光ファイバ押さえ部(8,9)を設置した光ファイバ接続用部品の場合には、光ファイバ心線1の挿入時に光ファイバ心線1をスライドさせる動作で光ファイバ押さえ部(8,9)が被覆を貫通し光ファイバの位置決めが可能となる。
【0068】
図18、図19に例を示すような光ファイバ接続用部品の場合には、押さえ板(23,24)を上方から加重した状態で光ファイバ心線1の挿入はできないが、本発明の光ファイバ接続用部品では、上述したように、より簡便な作業により光ファイバ接続が可能となるといったメリットもある。
【0069】
(実施例5)
前述したように、一般に光ファイバ2の直径は125μmあるいは80μm程度であり、光部品に設けられた光ファイバ挿入穴に光ファイバを挿入する際には挿入ガイド等が併用されるが、挿入ガイドの位置決めには高い精度が必要となる。したがって、メカニカルスプライスなどではファイバ挿入ガイドが一体成形された接続用部品が用いられる。
【0070】
しかし、光部品とファイバ挿入ガイドが別々の部品になっている場合、位置合わせのための仕組みが必要となる。V溝部品を位置決めする場合には、部品の厚さや、側壁からV溝までの寸法などを精密に制御する必要がるとともに、接着剤などで固定することも必要となるため、部品コストが高くなってしまうことに加え、作業工程も煩雑となってしまう。
【0071】
これに対して、本発明では、図6に構成の一例を示すように、光接続用部品とファイバ挿入ガイドをスリーブにより整列させることで位置決めを行うため、それぞれの部品を割りスリーブに挿入するだけで、自動的に高精度な位置決めが完了することになる。
【0072】
ここでは、SC形光コネクタ用のフェルールを流用し、中心に光ファイバ心線と同径の穴を加工することにより光ファイバ心線挿入ガイド部品12a,12bを作製した。また、外径がSC形光コネクタ用フェルールと同径の光ファイバ心線固定部品13を作製し、SC形光コネクタ用の割りスリーブ14に光ファイバ心線挿入ガイド部品12a、光ファイバ心線固定部品13、光ファイバ心線挿入ガイド部品12bの順に挿入したところ、自動的にこれらの部品の位置決めが完了するため、光ファイバ心線1を挿入しただけで良好な接続損失を得ることができた。
【0073】
このように、市販品を流用することが可能であり、簡便な作業により低コストに、光ファイバ心線挿入ガイド部品を有する光コネクタ接続用部品を提供することが可能となる。
【0074】
なお、本発明は、現在市販されている直径125μmあるいは80μmの光ファイバのいずれにも適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図2】2枚刃状光ファイバ押さえ部の刃の先端部を示した図である。
【図3】光ファイバ押さえ部が光ファイバ直径方向に配置された光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図4】光ファイバ押さえ部の先端が光ファイバに直接接触するような相対位置に予め光ファイバ心線固定部と光ファイバ押さえ部を設置した光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図5】2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図6】光ファイバ心線固定部と光ファイバ心線挿入ガイド部品をスリーブで整列させた様子の一例を示した図である。
【図7】光ファイバ心線固定部の内壁面からキャピラリの中心方向へ突き出した光ファイバ押さえ部の個数が3つの場合の例を示した図である。
【図8】光コネクタ用アダプタの内部構造を示した図である。
【図9】V溝型光ファイバ心線固定部および2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図10】V溝型光ファイバ心線固定部および2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図11】V溝型光ファイバ心線固定部および2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図12】V溝型光ファイバ心線固定部および2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図13】V溝型光ファイバ心線固定部および2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図14】光ファイバ心線の構造を示した図である。
【図15】メカニカルスプライスでの光ファイバの整列方法を示した図である。
【図16】メカニカルスプライスでの光ファイバの位置決め方法を示した図である。
【図17】メカニカルスプライスでの光ファイバ挿入の様子を示した図である。
【図18】光ファイバ心線を被覆除去せずにファイバ保持部材により挟み込み被覆部を圧縮変形させて位置決めする光ファイバ接続用部品の一例を示した図である(V溝型光ファイバ心線固定部と平板型押さえ板を使用の例)。
【図19】光ファイバ心線を被覆除去せずにファイバ保持部材により挟み込み被覆部を圧縮変形させて位置決めする光ファイバ接続用部品の一例を示した図である(V溝型光ファイバ心線固定部とV溝型押さえ板を使用の例)。
【符号の説明】
【0076】
1:光ファイバ心線
2:光ファイバ
3:被覆
4:V溝基板
5:V溝型押さえ版
6:くさび板
7:V溝型光ファイバ心線固定部
8:2枚刃状光ファイバ押さえ部
9:光ファイバ押さえ部
10:U溝型光ファイバ心線固定部
11:キャピラリ型光ファイバ心線固定部
12a,12b:光ファイバ心線挿入ガイド部品
13:光ファイバ心線固定部品
14:割りスリーブ
15:光コネクタ用アダプタ
16:ハウジング
17:スリーブホルダ
18:プラグ係止用ラッチ
19:係止部
20:係止突起
21:ファイバ押さえ設置部
22:固定部
23:平板型押さえ版
24:V溝型押さえ版
a:刃の先端の間隔
A:側面図
B:光ファイバ心線挿入ガイド部品12aでの断面図
C:光ファイバ心線固定部品13での断面図
D:光ファイバ心線挿入ガイド部品12bでの断面図
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバの対向整列による光ファイバの接続技術に係り、特に光ファイバ心線の被覆を除去しない状態で光ファイバ心線を接続することが可能な光ファイバ接続用部品および光ファイバ接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ファイバの接続には、従来、光コネクタ,ファイバ融着接続,あるいはメカニカルスプライス(mechanical splice)等が用いられている。特に、メカニカルスプライスは光コネクタ組立などと比較して簡便な操作で光接続が可能となるため、光配線工事などにおいても広く使用されている。
【0003】
メカニカルスプライスに関しては、例えば特開平9−61655号公報(特許文献1)、特開2001−324638号公報(特許文献2)などに記載されているものが知られている。メカニカルスプライスは、光ファイバ心線の被覆除去、光ファイバの清掃、光ファイバのクリーブ(cleave;切断)、光ファイバのV溝部品への挿入などにより行われる。
【0004】
また、特開2006−010871号公報(特許文献3)には、光ファイバ心線を被覆除去せずにファイバ保持部材により挟み込み被覆部を圧縮変形させて位置決めする方法が記載されており、IEEE Photonics Technology Letters, pp.804-6, Vol.16, No.3, March 2004.(非特許文献1)には、光ファイバ心線の被覆を除去せずに接続を行う方法として自己形成導波路など利用した光ファイバ接続が記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−61655号公報
【特許文献2】特開2001−324638号公報
【特許文献3】特開2006−010871号公報
【非特許文献1】IEEE Photonics Technology Letters, pp.804-6, Vol.16, No.3, March 2004.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のメカニカルスプライス等による光ファイバの接続に際しては、被覆が除去された状態で光ファイバを取り扱う必要があったため、作業中に光ファイバを折ってしまうなどの破損の問題があった。
【0007】
光ファイバは、一般的に直径125μmもしくは80μmの極細径のガラスであり、作業中などに容易に破損してしまう危険がある。また、光ファイバ心線の被覆除去や光ファイバの清掃など、作業工数が多くなってしまうといった問題もあった。
【0008】
光ファイバ心線の被覆を除去せずに接続を行う方法としては、上述した非特許文献1に提案された自己形成導波路など利用した光ファイバ接続方法があるが、この文献に提案された接続方法では紫外線の照射を必要とするなど現段階では簡便性に問題があった。
【0009】
本発明の目的は、上記問題を解消し、簡便な方法により光ファイバを破損することなく光ファイバの接続を行うことが可能な光ファイバ接続用部品および光ファイバ接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、被覆を除去することなくそのまま対向整列による光ファイバの接続を行うことを可能としたものであり、これにより、被覆を除去した状態で光ファイバを取り扱う必要がなくなるため、作業工程数の削減や、作業中に光ファイバを破損してしまう確率を大幅に軽減することが可能となる。
【0011】
以下、本発明の特徴を述べる。
a)光ファイバの対向整列による光ファイバ接続において、光ファイバの位置決めを行うための光ファイバ接続用部品であって、被覆を有する光ファイバ心線を固定する光ファイバ心線固定部と光ファイバ心線の被覆を貫通して光ファイバに直接接触する光ファイバ押さえ部が光ファイバ心線の延びる方向に沿って該光ファイバ心線に接するように配置されていることを特徴としている(請求項1参照)。
【0012】
従来、メカニカルスプライスなどの光ファイバの対向整列では、図14に示すように光ファイバ心線1の被覆3を除去し裸の光ファイバ2とし、該光ファイバ2を、図15に例を示すようにV溝基板4上に整列させ(実際は接続する2本の光ファイバを両側から整列させるが、図15では片側の光ファイバ2のみを示す)、2本の光ファイバをお互いに突き当てた状態で図16に示すようにV溝型押さえ板5により上側から光ファイバ2を押さえ、光ファイバ同士の接続を実現している。
【0013】
しかし、前述したように、光ファイバ2は一般的に直径125μmあるいは80μmの極細径のガラスであり、作業中などに容易に破損してしまう危険がある。光ファイバ2の破損を防ぐために、被覆を除去しないで光ファイバ心線1のままV溝基板4により整列させることも考えられるが、光ファイバ心線1の被覆の外径精度は光ファイバ2の外径精度に比べて著しく劣るため、同方法により対向整列させた場合、十分な位置決め精度を得ることができず良好な接続特性を実現することはできなかった。
【0014】
これに対して、本発明によれば、光ファイバ押さえ部の中心部で対向整列させる光ファイバ心線同士を突き当てることにより、光ファイバ心線固定部で安定に光ファイバ心線が保持されつつ、光ファイバ押さえ部が被覆を貫通し光ファイバの外径精度と同精度で光ファイバの位置決めを行うことが可能となるため、被覆を除去せずに光ファイバ心線の対向整列による接続を実現することができる。
【0015】
本発明における位置決め精度は、光ファイバの外径精度と同様の精度となるため、メカニカルスプライスと同等の接続特性を得ることができる。さらに、被覆を除去する必要がないため、作業中などに光ファイバを破損してしまう危険を低減することができる。また、被覆除去工程を削除することが可能となる。光ファイバ心線固定部と光ファイバ押さえ部がそれぞれ個別の部品になっていて、それらを光ファイバ心線の延びる方向に沿って該光ファイバ心線に接するように配置させることができる。
【0016】
b)また、上記の光ファイバ接続用部品において、光ファイバ押さえ部が剃刀の刃状構造となっていることを特徴としている(請求項2参照)。これにより、光ファイバ押さえ部を光ファイバ心線の被覆を貫通させて光ファイバに直接接触させることが容易となる。
【0017】
c)また、上記の光ファイバ接続用部品において、光ファイバ押さえ部が2枚の剃刀状の刃を光ファイバの直径よりも小さい間隔となるように固定された構造を有することを特徴としており(請求項3参照)、光ファイバ心線の被覆を貫通させる際に、図1に構成の一例を示すように光ファイバ心線1を左右にはじくようなことなく安定した状態で、2枚刃状光ファイバ押さえ部8を光ファイバ心線1の被覆を貫通させることが可能となる。
【0018】
図2に示す2枚刃状光ファイバ押さえ部8の2枚刃の先端の間隔aは、光ファイバ2の直径より小さくする必要がある。例えば、光ファイバ2の直径が125μmの場合、2枚刃の先端の間隔aは、70μm〜100μmの間隔を有することが望ましい。刃の先端の間隔aが70μm以下の狭い場合は光ファイバ心線1を左右いずれかにはじいてしまう場合がある。また、刃の先端の間隔aが100μm以上の広い場合は、光ファイバが刃と刃の間に挟みこまれてしまい、光ファイバの位置決めができないかあるいは精度が大きく劣化してしまう場合がある。
【0019】
d)また、上記光ファイバ接続用部品において、図3,4に示すように、光ファイバ押さえ部9の刃の先端方向が光ファイバの直径方向、すなわち刃の先端が光ファイバ2の中心に向かうように配置されていることを特徴としている(請求項4参照)。これにより、図3および図4に構成の一例を示すように、光ファイバを等方的に安定して保持することが可能となる。
【0020】
e)また、上記の光ファイバ接続用部品において、光ファイバ心線固定部がV溝またはU溝を有する構造であることを特徴としている(請求項5参照)。これにより、図1あるいは図3に一例を示すように光ファイバ心線1を安定した状態でV溝型光ファイバ心線固定部7あるいはU溝型光ファイバ心線固定部10上に固定することが可能となる。
【0021】
f)さらに、上記の光ファイバ接続用部品において、光ファイバ心線固定部がキャピラリ構造であることを特徴としている(請求項6参照)。これにより、図5に構成の一例を示すように、キャピラリ型光ファイバ心線固定部11に光ファイバ心線1を収容するようにして、治具の方向に依らず安定した光ファイバ心線1の固定が可能となる。
【0022】
g)また、前述のa)〜f)に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、光ファイバ心線1を光ファイバ心線固定部(7,10,11)に設置した後に、光ファイバ押さえ部(8,9)を光ファイバ心線固定部(7,10,11)の方向へ移動させて光ファイバ心線1の突合せ部分に押し付けることにより、光ファイバ押さえ部(8,9)の先端が光ファイバ心線1の被覆3を貫通し光ファイバ2に直接接触し、光ファイバ2の位置決めを行うことを特徴としている(請求項9参照)。
【0023】
例えば、メカニカルスプライスなど従来の光ファイバ接続方法においては、図17に示すように、V溝基板4とV溝押さえ板5をくさび板6によりスペースを作っておき、その状態で光ファイバ2を双方の光ファイバ挿入口より挿入し(図は一方の光ファイバのみを示す)、V溝基板4の中心位置で光ファイバ同士を突き合わせた後に、くさび板4を引き抜きV溝基板4とV溝押さえ板5で光ファイバ2を挟み込むようにして位置決めを行っていた。しかし、この方法では光ファイバ挿入口が狭く、光ファイバ2を破損しないよう慎重に作業を行う必要があった。
【0024】
これに対して、本発明の光ファイバ接続方法によれば、光ファイバ心線1を対向させた状態で光ファイバ心線固定部(7,10,11)に設置して突合せ、光ファイバ押さえ部(8,9)を光ファイバ心線1の直径方向に中心へ向かって押し付けることで、被覆3の除去を行うことなく光ファイバ2の接続を実現することができるため、光ファイバ心線1の整列を容易に行うことが可能となる。さらに、裸ファイバの状態での作業がなくなるため、誤って光ファイバ2を破損してしまう危険性を軽減することができる。
【0025】
h)また、前述のa)〜f)に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、光ファイバ心線固定部(7,10,11)に光ファイバ心線1が設置された状態において、光ファイバ押さえ部(8,9)の先端が光ファイバに直接接触するような相対位置に、予め光ファイバ心線固定部(7,10,11)と光ファイバ押さえ部(8,9)を設置し、光ファイバ心線固定部(7,10,11)と光ファイバ押さえ部(8,9)により形成された空間に、光ファイバ心線1をスライドさせて挿入することにより、光ファイバ心線1の被覆3が光ファイバ心線固定部(7,10,11)に固定され、且つ光ファイバ押さえ部(8,9)の先端が光ファイバ2に直接接触して該光ファイバ2の位置決めを行うことを特徴としている(請求項10参照)。
【0026】
これにより、光ファイバ心線1の被覆3を光ファイバ心線固定部(7,10,11)に押し当てながら、光ファイバ心線固定部(7,10,11)と光ファイバ押さえ部(8,9)により形成された空間にスライドさせながら挿入して光ファイバ2の端面同士を突き当てれば、光ファイバ心線1の挿入時に光ファイバ押さえ部(8,9)の先端が光ファイバ心線1の被覆3を切り裂くようにして光ファイバ2に直接接触するので、被覆3の除去を行うことなく光ファイバの接続を実現することが可能となる。
【0027】
このように、裸ファイバの状態での作業がなくなるため、光ファイバ心線1を光ファイバ接続用部品に導入する際などに、誤って光ファイバ2を破損してしまう危険性を軽減することができる。
【0028】
i)さらに、前述のa)〜f)に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、複数の光ファイバ押さえ部9の先端が光ファイバ2に直接接触するような相対位置に、予め複数の光ファイバ押さえ部9を設置し、該複数の光ファイバ押さえ部9の先端が形成する空間に、光ファイバ心線1をスライドさせて挿入することにより(図3,4,6,7参照)、複数の光ファイバ押さえ部9の先端が光ファイバ心線1の被覆3を貫通し光ファイバ2に直接接触して光ファイバ2の位置決めを行うことを特徴としている(請求項11参照)。
【0029】
これにより、光ファイバ心線1を光ファイバ押さえ部9の先端が形成する空間にスライドさせながら挿入して光ファイバ2の端面同士を突き当てれば、光ファイバ心線1の挿入時に複数の光ファイバ押さえ部9の先端が光ファイバ心線1の被覆3を切り裂くようにして光ファイバ2に直接接触し位置決めが成され、被覆の除去を行うことなく光ファイバの接続を実現することが可能となる。このように、裸ファイバの状態での作業がなくなるため、誤って光ファイバを破損してしまう危険性を軽減することができる。
【0030】
j)また、前述のf)に記載の光ファイバ接続用部品において、図6に示すように、キャピラリ構造を有する光ファイバ心線固定部13の内壁面から複数の光ファイバ押さえ部9がキャピラリの中心方向へ突き出した構造を有し、光ファイバ押さえ部9の先端に外接する円の直径が光ファイバ2の直径と同じであり、その外接円の中心が光ファイバ心線固定部13の中心と同じであり、光ファイバ心線固定部13の外径とほぼ同じ大きさの外径を有し、内径が光ファイバ心線1の外径とほぼ同じとなるキャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品12a,12bを有し、キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部13の両端に前記キャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品12aと12bが配置され、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部13とキャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品12a,12bがスリーブ(例えば、割りスリーブ14)により光ファイバの延びる方向に沿って且つ光ファイバ心線と同軸上に整列されていることを特徴としている(請求項7参照)。
【0031】
一般に、光ファイバの直径は125μmもしくは80μm程度であり、光部品に設けられた光ファイバ挿入穴に光ファイバを挿入する際には挿入ガイド等が併用されるが、挿入ガイドの位置決めには高い精度が必要となる。
【0032】
したがって、メカニカルスプライスなどではファイバ挿入ガイドが一体成形された接続用部品が用いられる。しかし、光部品とファイバ挿入ガイドが別々の部品になっている場合、位置合わせのための仕組みが必要となる。
【0033】
本発明では、光ファイバ心線固定部品13とファイバ挿入ガイド部品12a,12bをスリーブにより整列させることで位置決めを行うため、非常に簡便な方法での位置決めが可能となる。例えば、図6に一例を示すように、キャピラリ形状の部品として光コネクタ用フェルールを流用し、スリーブに光コネクタ用の割りスリーブ14を使用すれば、光ファイバ心線挿入ガイド部品12a、光ファイバ心線固定部品13、光ファイバ心線挿入ガイド部品12bの順に割りスリーブ14へ挿入するだけで、各部品が同軸上に整列されて自動的に位置決めが完了することになる。
【0034】
図6の例では、光コネクタ用フェルールの中心の穴径を光ファイバ心線1の外径と同程度に加工した光ファイバ心線挿入ガイド部品12a,12bと、光ファイバ心線固定部品の内壁面から、4つの三角形の断面を有する光ファイバ押さえ部9がキャピラリの中心方向へ突き出した構造の光ファイバ心線固定部品13を示してある。同図において、Aは左側から見た側面図、Bは光ファイバ心線挿入ガイド部品12aでの断面図、Cは光ファイバ心線固定部品13での断面図、Dは光ファイバ心線挿入ガイド部品12bでの断面図である。
【0035】
図7は、光ファイバ心線固定部の内壁面からキャピラリの中心方向へ突き出した光ファイバ押さえ部9の個数が3つの場合を示したものである。光ファイバ押さえ部9の個数はこれに限定されない。
【0036】
k)さらに、前述のj)に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、光ファイバ心線1をキャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品12より挿入し、キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部13の中心で光ファイバ心線1が突き当たるようにして、光ファイバの位置決めを行うことを特徴としている(請求項12参照)。
【0037】
これにより、光ファイバ心線挿入ガイド部品12を用いるため光ファイバ心線1の挿入作業を容易に行うことができる。また、2つの光ファイバ心線挿入ガイド部品12a,12bの間に光ファイバ心線固定部13が挟み込まれた光ファイバ接続用部品を使用するため、光ファイバ心線1を挿入する操作だけで、光ファイバ心線1を光ファイバ心線固定部で固定するとともに、光ファイバ心線固定部の内壁面からキャピラリの中心方向へ突き出した光ファイバ押さえ部9により光ファイバの位置決めを行うことができるため、非常に簡便な作業により被覆の除去を行うことなく光ファイバの接続を実現することが可能となる。
【0038】
l)また、キャピラリ構造を有する光ファイバ心線固定部の内壁面から複数の光ファイバ押さえ部がキャピラリの中心方向へ突き出した構造を有し、光ファイバ押さえ部の先端に外接する円の直径が光ファイバの直径と同じであり、その外接円の中心がキャピラリ構造光ファイバ心線固定部の中心と同じであり、キャピラリ構造光ファイバ心線固定部の外径と同じ大きさの外径で、内径が光ファイバ心線の外径とほぼ同じとなるキャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品を有し、前記キャピラリ構造光ファイバ心線固定部の両端に前記キャピラリ構造光ファイバ心線挿入ガイド部品が配置され、該キャピラリ構造光ファイバ心線固定部とキャピラリ構造光ファイバ心線挿入ガイド部品がスリーブにより光ファイバ心線の延びる方向に沿い且つ同軸上に整列されている光ファイバ接続用部品を、光コネクタ用アダプタ15のスリーブホルダ17に内蔵させることを特徴としている(請求項8参照)。
【0039】
光コネクタ用アダプタ15は、図8に示すような構造を有している。
内部にはスリーブホルダ17が設けられており、その中に光コネクタプラグのフェルールを位置決めするための割りスリーブ(不図示)が内蔵されている。この割りスリーブに代えて、光コネクタ用割りスリーブを利用した本発明に係る光ファイバ接続用部品をスリーブホルダ17に内蔵させることにより、光ファイバ心線接続用の光コネクタ用アダプタ15とすることができる。
【0040】
m)また、前述のl)に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、2本の光ファイバ心線1を、キャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品12aおよび2bより両側から挿入し、キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部品12の中心で2本の光ファイバ心線1が突き当たるようにして、光ファイバ2の位置決めを行うことを特徴としている(請求項13参照)。
【0041】
このように、光コネクタ用アダプタ15、割りスリーブ、フェルールなど、市販品を流用することができるため、安価に光ファイバ接続用部品を作製することが可能であり、また、光ファイバ心線の被覆除去なども不要となるため、安価で簡便な光ファイバ接続を実現することができるようになる。
【0042】
n)また、前述のg)〜i),k),m)に記載の光ファイバ接続方法において、2本の光ファイバの接続部分に屈折率整合剤を用いることを特徴としている(請求項14参照)。このため、光ファイバ端面が平面であっても接続損失を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、光ファイバ心線の被覆を除去せずに、対向整列により光ファイバの接続が可能となり、光ファイバの破損の危険性を低減するとともに簡便な方法により光ファイバ心線を接続できる光ファイバ接続用部品および光ファイバ接続方法が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の具体的な実施例を図面を参照してさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0045】
(実施例1)
図9〜11は、図1に構成の一例を示した光ファイバ接続用部品の実施形態例を示している。
【0046】
剃刀の刃などに用いられる形状の刃を、刃先の間隔が70μm〜100μm(光ファイバの直径が125μmの場合。以下同様)となるように重ねて、平板に設けた溝に固定することにより、2枚刃状光ファイバ押さえ部8が形成されている。2枚刃状光ファイバ押さえ部8の先端の刃先は、例えば、図9の2枚刃状光ファイバ押さえ部8に示す如き剃刀の刃のように幅を有する形状のものである。
【0047】
光ファイバ心線固定部としてV溝を形成したV溝型光ファイバ心線固定部7を用い、その両脇には2枚刃状光ファイバ押さえ部8を位置決めするために側壁が設けてある。側壁の内側には系止部19が設けられている。また、2枚刃状光ファイバ押さえ部8の平板の側面には係止突起20が設けられている(図10参照)。
【0048】
光ファイバ心線1をV溝型光ファイバ心線固定部7のV溝に整列させ、図10に示すような状態にした後に、2枚刃状光ファイバ押さえ部8の刃の先端が被覆を貫通するように、2枚刃状光ファイバ押さえ部8を押し込み、図11のような状態にすると、2枚刃状光ファイバ押さえ部8の平板の側面には係止突起20が、V溝型光ファイバ心線固定部7側壁の係止部19に固定される。これにより、光ファイバ心線1の被覆を除去せずに、光ファイバの外径と同等精度での光ファイバの位置決めを行うことが可能となる。
【0049】
(実施例2)
図12、図13は、図1に構成の一例を示した光ファイバ接続用部品の実施例1と異なる構造の実施形態例を示している。
【0050】
実施例1と同様に、髭剃りの刃などに用いられる刃を、刃先の間隔が70μm〜100μmとなるように重ねて、平板に設けた溝に固定することにより、2枚刃状光ファイバ押さえ部8が形成されている。ただし、ここでは2枚刃状光ファイバ押さえ部8の上側に、V溝型光ファイバ心線固定部7に固定するための固定部22が設けてある。V溝を設けたV溝型光ファイバ心線固定部7の一側方にファイバ押さえ設置部21が設けられている。
【0051】
2枚刃状光ファイバ押さえ部8は、2枚刃の中心が光ファイバ心線1の中心と一致するようにV溝型光ファイバ心線固定部7のファイバ押さえ設置部21に固定部22によって取り付けられる。光ファイバ心線1をV溝に整列させた後に、2枚刃状光ファイバ押さえ部8の刃の先端が被覆を貫通するように、2枚刃状光ファイバ押さえの固定部22を押し込み、図13のような状態にすることにより、光ファイバ心線1の被覆を除去せずに、光ファイバ2の外径と同等精度での光ファイバの位置決めを行うことが可能となる。
【0052】
(実施例3)
従来、メカニカルスプライスなどの光ファイバの対向整列では、図14に示す光ファイバ心線1の被覆3を除去した裸の光ファイバ2を図15に例を示すようなV溝基板上に整列させ(図15では一方の光ファイバ2のみを示す)、お互いに突き当てた状態で図16のようにV溝型押さえ板5により上側から光ファイバ2を押さえ、2本の光ファイバ同士の接続を実現している。
【0053】
しかしながら、光ファイバは、上述したように一般的に直径125μmあるいは80μmの極細径のガラスであり、作業中などに容易に破損してしまう危険がある。また、光ファイバ心線の被覆の除去や光ファイバ2の清掃など、作業工数が多くなってしまうといった問題もあった。
【0054】
光ファイバ心線1をV溝基板により整列させることもできるが、光ファイバ心線の被覆の外径精度は光ファイバの外径精度に比べて著しく劣るため、同方法により対向整列させた場合、十分な位置決め精度を得ることができない。
【0055】
これに対して、特許文献3には、前述したように光ファイバ心線を被覆除去せずにファイバ保持部材により挟み込み被覆部を圧縮変形させて位置決めする方法が記載されている。
【0056】
以下では、特許文献3で記載されているような光ファイバ心線の被覆を圧縮変形させた場合と、本発明の光ファイバ押さえ部の先端が光ファイバ心線の被覆を貫通し光ファイバに直接接触させることにより光ファイバの位置決めを行う場合とを比較する。
【0057】
シングルモード用の光ファイバ心線の被覆を除去せずに、それぞれの光ファイバ接続用部品を用いて対向整列させたときの接続損失を評価した。なお、屈折率整合剤は使用していない。
【0058】
まずは、図18、図19に例を示すような光ファイバ接続用部品を用いて作業を行った。光ファイバ心線切断後に、2本の光ファイバ心線1をV溝型光ファイバ心線固定部7に対向整列させることにより突き合わせ、V溝型押さえ板24(図19)あるいは平板型押さえ板23(図18)を上方から加重し、光ファイバ心線1の被覆を圧縮変形させ位置決めを実施した。
【0059】
本例では、対向整列により付き合わせた光ファイバ心線1のもう一端には光コネクタが取り付けられており、それぞれ光源と検出器が接続されている。光ファイバ心線1をV溝型光ファイバ心線固定部7に対向整列させ突き合わせた時点では、測定装置の測定限界を超えており、接続損失を測定することができない状態であった。
【0060】
続いて、V溝型押さえ板24(図19)あるいは平板型押さえ板23(図18)を上方から加重し、光ファイバ心線1の被覆を圧縮変形させていったところ、接続損失が徐々に小さくなっていって、最終的には4〜5dB程度となった。
【0061】
次に、図12、図13に示すV溝型光ファイバ心線固定部7を有する本発明の光ファイバ接続用部品を用いて同様の評価を行った。この場合も、光ファイバ心線1をV溝型光ファイバ心線固定部7に対向整列させ突き合わせた時点では、測定装置の測定限界を超えており、接続損失を測定することができない状態であった。
【0062】
続いて、2枚刃状光ファイバ押さえ部8を光ファイバ心線1に向けて加重していくと、接続損失が徐々に小さくなっていって、最終的には0.3〜0.5dB程度となった。
【0063】
このように、シングルモードファイバの場合には、光ファイバ心線1の被覆を圧縮変形させるだけでは、十分な位置決め精度を達成することができないが、本発明のように2枚刃状光ファイバ押さえ部8の先端が光ファイバ心線1の被覆を貫通し光ファイバ2に直接接触させることにより光ファイバ2の位置決めを行うようにした光ファイバ接続用部品および光ファイバ接続方法を用いることにより、十分な位置決め精度を得ることが可能となる。
【0064】
(実施例4)
上述した如きV溝型光ファイバ心線固定部7を有する光ファイバ接続用部品の場合には、光ファイバ心線1をその自重で該V溝型光ファイバ心線固定部7のV溝部に整列させることになるため、光ファイバ心線1を設置する際に水平な状態で作業する必要がある。
【0065】
一方、図5に一例を示すようなキャピラリ型光ファイバ心線固定部11を用いた光ファイバ接続用部品では、キャピラリ型光ファイバ心線固定部11に光ファイバ心線1を挿入した後は、光ファイバ心線1の自重による整列は不要となるため、水平な状態で作業する必要がなくなるといったメリットがある。
【0066】
また、図1、図3〜図5にそれぞれ構造の一例を示すような光ファイバ接続用部品において、光ファイバ押さえ部(8,9)の先端が光ファイバ2に直接接触するような相対位置に予め光ファイバ心線固定部(7,10)と光ファイバ押さえ部(8,9)を設置した場合においても、ファイバ心線固定部(7,10)に光ファイバ心線1を挿入した後は、光ファイバ心線1の自重による整列は不要となり、水平な状態で作業する必要がなくなる。
【0067】
さらに、図1、図3〜図5にそれぞれ構造の一例を示す光ファイバ押さえ部(8,9)の先端が光ファイバ2に直接接触するような相対位置に、予め光ファイバ心線固定部(7,10)と光ファイバ押さえ部(8,9)を設置した光ファイバ接続用部品の場合には、光ファイバ心線1の挿入時に光ファイバ心線1をスライドさせる動作で光ファイバ押さえ部(8,9)が被覆を貫通し光ファイバの位置決めが可能となる。
【0068】
図18、図19に例を示すような光ファイバ接続用部品の場合には、押さえ板(23,24)を上方から加重した状態で光ファイバ心線1の挿入はできないが、本発明の光ファイバ接続用部品では、上述したように、より簡便な作業により光ファイバ接続が可能となるといったメリットもある。
【0069】
(実施例5)
前述したように、一般に光ファイバ2の直径は125μmあるいは80μm程度であり、光部品に設けられた光ファイバ挿入穴に光ファイバを挿入する際には挿入ガイド等が併用されるが、挿入ガイドの位置決めには高い精度が必要となる。したがって、メカニカルスプライスなどではファイバ挿入ガイドが一体成形された接続用部品が用いられる。
【0070】
しかし、光部品とファイバ挿入ガイドが別々の部品になっている場合、位置合わせのための仕組みが必要となる。V溝部品を位置決めする場合には、部品の厚さや、側壁からV溝までの寸法などを精密に制御する必要がるとともに、接着剤などで固定することも必要となるため、部品コストが高くなってしまうことに加え、作業工程も煩雑となってしまう。
【0071】
これに対して、本発明では、図6に構成の一例を示すように、光接続用部品とファイバ挿入ガイドをスリーブにより整列させることで位置決めを行うため、それぞれの部品を割りスリーブに挿入するだけで、自動的に高精度な位置決めが完了することになる。
【0072】
ここでは、SC形光コネクタ用のフェルールを流用し、中心に光ファイバ心線と同径の穴を加工することにより光ファイバ心線挿入ガイド部品12a,12bを作製した。また、外径がSC形光コネクタ用フェルールと同径の光ファイバ心線固定部品13を作製し、SC形光コネクタ用の割りスリーブ14に光ファイバ心線挿入ガイド部品12a、光ファイバ心線固定部品13、光ファイバ心線挿入ガイド部品12bの順に挿入したところ、自動的にこれらの部品の位置決めが完了するため、光ファイバ心線1を挿入しただけで良好な接続損失を得ることができた。
【0073】
このように、市販品を流用することが可能であり、簡便な作業により低コストに、光ファイバ心線挿入ガイド部品を有する光コネクタ接続用部品を提供することが可能となる。
【0074】
なお、本発明は、現在市販されている直径125μmあるいは80μmの光ファイバのいずれにも適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図2】2枚刃状光ファイバ押さえ部の刃の先端部を示した図である。
【図3】光ファイバ押さえ部が光ファイバ直径方向に配置された光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図4】光ファイバ押さえ部の先端が光ファイバに直接接触するような相対位置に予め光ファイバ心線固定部と光ファイバ押さえ部を設置した光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図5】2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図6】光ファイバ心線固定部と光ファイバ心線挿入ガイド部品をスリーブで整列させた様子の一例を示した図である。
【図7】光ファイバ心線固定部の内壁面からキャピラリの中心方向へ突き出した光ファイバ押さえ部の個数が3つの場合の例を示した図である。
【図8】光コネクタ用アダプタの内部構造を示した図である。
【図9】V溝型光ファイバ心線固定部および2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図10】V溝型光ファイバ心線固定部および2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図11】V溝型光ファイバ心線固定部および2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図12】V溝型光ファイバ心線固定部および2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図13】V溝型光ファイバ心線固定部および2枚刃状光ファイバ押さえ部を有する光ファイバ接続用部品の一例を示した図である。
【図14】光ファイバ心線の構造を示した図である。
【図15】メカニカルスプライスでの光ファイバの整列方法を示した図である。
【図16】メカニカルスプライスでの光ファイバの位置決め方法を示した図である。
【図17】メカニカルスプライスでの光ファイバ挿入の様子を示した図である。
【図18】光ファイバ心線を被覆除去せずにファイバ保持部材により挟み込み被覆部を圧縮変形させて位置決めする光ファイバ接続用部品の一例を示した図である(V溝型光ファイバ心線固定部と平板型押さえ板を使用の例)。
【図19】光ファイバ心線を被覆除去せずにファイバ保持部材により挟み込み被覆部を圧縮変形させて位置決めする光ファイバ接続用部品の一例を示した図である(V溝型光ファイバ心線固定部とV溝型押さえ板を使用の例)。
【符号の説明】
【0076】
1:光ファイバ心線
2:光ファイバ
3:被覆
4:V溝基板
5:V溝型押さえ版
6:くさび板
7:V溝型光ファイバ心線固定部
8:2枚刃状光ファイバ押さえ部
9:光ファイバ押さえ部
10:U溝型光ファイバ心線固定部
11:キャピラリ型光ファイバ心線固定部
12a,12b:光ファイバ心線挿入ガイド部品
13:光ファイバ心線固定部品
14:割りスリーブ
15:光コネクタ用アダプタ
16:ハウジング
17:スリーブホルダ
18:プラグ係止用ラッチ
19:係止部
20:係止突起
21:ファイバ押さえ設置部
22:固定部
23:平板型押さえ版
24:V溝型押さえ版
a:刃の先端の間隔
A:側面図
B:光ファイバ心線挿入ガイド部品12aでの断面図
C:光ファイバ心線固定部品13での断面図
D:光ファイバ心線挿入ガイド部品12bでの断面図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを対向整列させて接続する場合に光ファイバの位置決めを行うための光ファイバ接続用部品であって、
被覆を有する光ファイバ心線を固定する光ファイバ心線固定部と、
光ファイバ心線の被覆を貫通して光ファイバに直接接触する先端を有する光ファイバ押さえ部を有し、
前記光ファイバ押さえ部が、前記光ファイバ心線固定部に位置決め固定された光ファイバ心線の長手方向に沿って平行に配置されていることを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバ接続用部品において、
前記光ファイバ押さえ部が刃状構造となっていることを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光ファイバ接続用部品において、
前記光ファイバ押さえ部が2枚の刃を光ファイバの直径よりも小さい間隔となるように固定された構造を有することを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の光ファイバ接続用部品において、
複数の前記光ファイバ押さえ部の先端が光ファイバの直径方向に向けて配置されていることを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の光ファイバ接続用部品において、
前記光ファイバ心線固定部の光ファイバ心線を固定する部分が光ファイバ心線を収納するためのV溝またはU溝構造を有することを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の光ファイバ接続用部品において、
前記光ファイバ心線固定部がキャピラリ構造を有することを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項7】
請求項6に記載の光ファイバ接続用部品において、
前記キャピラリ構造を有する光ファイバ心線固定部の内壁面から複数の光ファイバ押さえ部がキャピラリの中心方向へ突き出した構造を有し、前記光ファイバ押さえ部の先端に外接する円の直径が光ファイバの直径と略同じであり、その外接円の中心が該キャピラリ構造光ファイバ心線固定部の中心と同じであり、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部の外径と略同じ大きさの外径を有するとともに前記光ファイバ心線の外径と略同じ内径を有するキャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品を備え、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部の両端に該キャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品が配置され、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部と前記キャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品がスリーブにより前記光ファイバ心線の延びる方向に且つ同軸上に整列されていることを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項8】
光コネクタ用アダプタのスリーブホルダに、請求項7に記載の光ファイバ接続用部品を内蔵させたことを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項9】
請求項1から6のいずれかに記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、
前記光ファイバ心線を前記光ファイバ心線固定部に設置した後に、前記光ファイバ押さえ部を前記光ファイバ心線固定部の方向へ移動させて該光ファイバ心線の突合せ部分に押し付けることにより、該光ファイバ押さえ部の先端が該光ファイバ心線の被覆を貫通し光ファイバに直接接触し、該光ファイバの位置決めを行うことを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項10】
請求項1から6のいずれかに記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、
前記光ファイバ心線固定部に前記光ファイバ心線が設置された状態において前記光ファイバ押さえ部の先端が前記光ファイバに直接接触するような相対位置に前記光ファイバ心線固定部と前記光ファイバ押さえ部を設置し、前記光ファイバ心線固定部と前記光ファイバ押さえ部により形成された空間に前記光ファイバ心線をスライドさせて挿入し、前記光ファイバ心線の被覆を前記光ファイバ心線固定部に固定し、且つ前記光ファイバ押さえ部の先端を前記光ファイバに直接接触させて該光ファイバの位置決めを行うことを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項11】
請求項1から6のいずれかに記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、
複数の光ファイバ押さえ部の先端が光ファイバに直接接触するような相対位置に該光ファイバ押さえ部を設置し、前記光ファイバ押さえ部の先端が形成する空間に前記光ファイバ心線をスライドさせて挿入し、前記光ファイバ押さえ部の先端を前記光ファイバ心線の被覆を貫通し光ファイバに直接接触させて該光ファイバの位置決めを行うことを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項12】
請求項7に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、
2本の光ファイバ心線を、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部の両端に配置された前記キャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品から挿入し、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部の中心で前記2本の光ファイバ心線が突き当たるようにして、光ファイバの位置決めを行うことを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項13】
請求項8に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、
2本の光ファイバ心線を、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部の両端に配置された前記キャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品から挿入し、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部の中心で前記2本の光ファイバ心線が突き当たるようにして、光ファイバの位置決めを行うことを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項14】
請求項9から13のいずれかに記載の光ファイバ接続方法において、
前記2本の光ファイバ心線の接続部分に屈折率整合剤を用いることを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項1】
光ファイバを対向整列させて接続する場合に光ファイバの位置決めを行うための光ファイバ接続用部品であって、
被覆を有する光ファイバ心線を固定する光ファイバ心線固定部と、
光ファイバ心線の被覆を貫通して光ファイバに直接接触する先端を有する光ファイバ押さえ部を有し、
前記光ファイバ押さえ部が、前記光ファイバ心線固定部に位置決め固定された光ファイバ心線の長手方向に沿って平行に配置されていることを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項2】
請求項1に記載の光ファイバ接続用部品において、
前記光ファイバ押さえ部が刃状構造となっていることを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光ファイバ接続用部品において、
前記光ファイバ押さえ部が2枚の刃を光ファイバの直径よりも小さい間隔となるように固定された構造を有することを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の光ファイバ接続用部品において、
複数の前記光ファイバ押さえ部の先端が光ファイバの直径方向に向けて配置されていることを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の光ファイバ接続用部品において、
前記光ファイバ心線固定部の光ファイバ心線を固定する部分が光ファイバ心線を収納するためのV溝またはU溝構造を有することを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載の光ファイバ接続用部品において、
前記光ファイバ心線固定部がキャピラリ構造を有することを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項7】
請求項6に記載の光ファイバ接続用部品において、
前記キャピラリ構造を有する光ファイバ心線固定部の内壁面から複数の光ファイバ押さえ部がキャピラリの中心方向へ突き出した構造を有し、前記光ファイバ押さえ部の先端に外接する円の直径が光ファイバの直径と略同じであり、その外接円の中心が該キャピラリ構造光ファイバ心線固定部の中心と同じであり、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部の外径と略同じ大きさの外径を有するとともに前記光ファイバ心線の外径と略同じ内径を有するキャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品を備え、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部の両端に該キャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品が配置され、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部と前記キャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品がスリーブにより前記光ファイバ心線の延びる方向に且つ同軸上に整列されていることを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項8】
光コネクタ用アダプタのスリーブホルダに、請求項7に記載の光ファイバ接続用部品を内蔵させたことを特徴とする光ファイバ接続用部品。
【請求項9】
請求項1から6のいずれかに記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、
前記光ファイバ心線を前記光ファイバ心線固定部に設置した後に、前記光ファイバ押さえ部を前記光ファイバ心線固定部の方向へ移動させて該光ファイバ心線の突合せ部分に押し付けることにより、該光ファイバ押さえ部の先端が該光ファイバ心線の被覆を貫通し光ファイバに直接接触し、該光ファイバの位置決めを行うことを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項10】
請求項1から6のいずれかに記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、
前記光ファイバ心線固定部に前記光ファイバ心線が設置された状態において前記光ファイバ押さえ部の先端が前記光ファイバに直接接触するような相対位置に前記光ファイバ心線固定部と前記光ファイバ押さえ部を設置し、前記光ファイバ心線固定部と前記光ファイバ押さえ部により形成された空間に前記光ファイバ心線をスライドさせて挿入し、前記光ファイバ心線の被覆を前記光ファイバ心線固定部に固定し、且つ前記光ファイバ押さえ部の先端を前記光ファイバに直接接触させて該光ファイバの位置決めを行うことを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項11】
請求項1から6のいずれかに記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、
複数の光ファイバ押さえ部の先端が光ファイバに直接接触するような相対位置に該光ファイバ押さえ部を設置し、前記光ファイバ押さえ部の先端が形成する空間に前記光ファイバ心線をスライドさせて挿入し、前記光ファイバ押さえ部の先端を前記光ファイバ心線の被覆を貫通し光ファイバに直接接触させて該光ファイバの位置決めを行うことを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項12】
請求項7に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、
2本の光ファイバ心線を、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部の両端に配置された前記キャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品から挿入し、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部の中心で前記2本の光ファイバ心線が突き当たるようにして、光ファイバの位置決めを行うことを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項13】
請求項8に記載の光ファイバ接続用部品を用いた光ファイバ接続方法において、
2本の光ファイバ心線を、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部の両端に配置された前記キャピラリ構造の光ファイバ心線挿入ガイド部品から挿入し、前記キャピラリ構造の光ファイバ心線固定部の中心で前記2本の光ファイバ心線が突き当たるようにして、光ファイバの位置決めを行うことを特徴とする光ファイバ接続方法。
【請求項14】
請求項9から13のいずれかに記載の光ファイバ接続方法において、
前記2本の光ファイバ心線の接続部分に屈折率整合剤を用いることを特徴とする光ファイバ接続方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−70549(P2008−70549A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248332(P2006−248332)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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