説明

光ルミネセンス材料を有する複数の光源を用いて出力光を放出するためのデバイス及び方法。

【課題】高い演色評価数を有する白色出力光の生成
【解決手段】出力光を放出するためのデバイス及び方法は、異なるピーク波長を有する原初の光を生成するために複数の光源(102,104,532)を利用する。デバイスの第1の光源(102)は、青の波長範囲においてピーク波長を有する第1の光を生成するように構成され、デバイスの第2の光源(104)は、赤の波長範囲においてピーク波長を有する第2の光を生成するように構成される。少なくとも第1の光源から放出された原初の光の一部は、出力光を生成するために、光ルミネセンス材料(120)を用いて原初の光のピーク波長よりも長いピーク波長を有する光に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ルミネセンス(光輝性)材料を有する複数の光源を用いて出力光を放出するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
白熱ランプ、ハロゲンランプ、蛍光ランプのような従来の発光装置は、過去20年間に著しく改良されていない。しかしながら、発光ダイオード(「LED」)は、動作効率に関する点で改良されており、この場合、LEDは現在、交通信号機、及び自動車のテールランプのような従来の単色照明用途における従来の発光装置に取って代わっている。これは、LEDが従来の発光装置にまさる多くの利点を有する事実に或る程度起因している。これらの利点には、長寿命、低消費電力、及びより小さいサイズが含まれる。
【0003】
LEDは、一般に単色光を生成する、光源としての半導体LEDダイを使用する。現時点では、LEDは、紫外線の青から緑、黄色、及び赤までの種々の色で利用可能である。LEDダイの狭帯域発光特性に起因して、これらのLEDは、「白色」光の用途に直接的に使用されることができない。それどころか、単色LEDダイの出力光は、白色光を生成するために、1つ又は複数の異なる波長の他の光と混合されなければならない。白色光を生成するための一般的な2つの手法には、(1)個々の赤、緑、及び青のLEDダイを一緒にパッケージングして、その結果、これらのLEDダイから放出された光が組み合わされて白色光を生成すること、(2)UV(紫外線)、青、又は緑のLED内へ光ルミネセンス材料を導入して、その結果、LEDの半導体ダイにより放出された原初の光の一部または全てが、より長い波長の光に変換されて原初の青または緑の光と組み合わされて、白色光を生成することが含まれる。
【0004】
単色LEDダイを使用して白色光を生成するためのこれら2つの手法に関して、第2の手法は概して、第1の手法よりも好ましい。第2の手法とは異なり、第1の手法は、赤、緑、及び青のLEDダイが異なる動作電圧要件を有するので、より複雑な駆動回路を必要とする。さらに、異なるLEDダイから放出された光を適切に混合できないことにより、不均一な色を有する出力光をもたらす可能性がある。さらに、異なるタイプの半導体LEDダイを使用するので、結果としての混合された光は、温度、経年変化、及び動作環境に関するこれらLEDダイの異なる動作特性に起因してばらつきを受けやすい。
【0005】
第2の手法の問題は、結果としての白色光が、特定のバックライト及び照明の用途に必要な高い演色評価数を有することができないことである。一例として、YAG:Ce蛍光体を有する青色のLEDダイを使用する白色LEDは、赤の波長領域において不十分である白色光を生成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の問題に鑑みて、高い演色評価数を有する白色出力光を放出するためのデバイス及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
出力光を放出するためのデバイス及び方法は、異なるピーク波長を有する原初の光を生成するために複数の光源を利用する。デバイスの第1の光源は、青の波長範囲においてピーク波長を有する第1の光を生成するように構成され、デバイスの第2の光源は、赤の波長範囲においてピーク波長を有する第2の光を生成するように構成される。少なくとも第1の光源から放出された原初の光の一部は、出力光を生成するために、光ルミネセンス材料を用いて原初の光のピーク波長よりも長いピーク波長を有する光に変換される。デバイス及び方法を用いて、高い演色評価数を有する白色出力光を生成することができる。
【0008】
本発明の実施形態による出力光を放出するためのデバイスは、取付構造体、第1の光源、第2の光源、及び波長シフト領域を含む。第1及び第2の光源は取付構造体の上に配置される。第1の光源は、青の波長範囲においてピーク波長を有する第1の光を生成するように構成される。第2の光源は、赤の波長範囲においてピーク波長を有する第2の光を生成するように構成される。波長シフト領域は、少なくとも第1の光源に光学的に結合される。波長シフト領域は、第1の光の少なくとも一部を第1の光のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第3の光に変換するための特性を有する光ルミネセンス材料を含む。第1の光、第2の光、及び第3の光は、出力光の成分である。
【0009】
デバイスは、LCDバックライト装置のような照明装置の光源デバイスとして使用され得る。本発明の実施形態による照明装置は、少なくとも1つの発光デバイス、及び光透過パネルを含む。発光デバイスは、取付構造体、第1の光源、第2の光源、及び波長シフト領域を含む。第1及び第2の光源は取付構造体の上に配置される。第1の光源は、青の波長範囲においてピーク波長を有する第1の光を生成するように構成される。第2の光源は、赤の波長範囲においてピーク波長を有する第2の光を生成するように構成される。波長シフト領域は、少なくとも第1の光源に光学的に結合される。波長シフト領域は、第1の光の少なくとも一部を第1の光のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第3の光に変換するための特性を有する光ルミネセンス材料を含む。第1の光、第2の光、及び第3の光は、発光デバイスから放出された出力光の成分である。光透過パネルは、発光デバイスに光学的に結合されて出力光を受光する。光透過パネルは、発光デバイスの出力光を用いて照明を提供するために構成される。
【0010】
本発明の実施形態による発光デバイスから出力光を放出するための方法は、発光デバイスの第1の光源から青の波長範囲においてピーク波長を有する第1の光を生成し、発光デバイスの第2の光源から赤の波長範囲においてピーク波長を有する第2の光を生成し、少なくとも第1の光源に光学的に結合された波長シフト領域において第1の光を受光し、第1の光の一部を、波長シフト領域に包含される光ルミネセンス材料を用いて第1の光のピーク波長より長いピーク波長を有する第3の光に変換し、第1の光、第2の光、及び第3の光を出力光の成分として放出することを含む。
【0011】
本発明の他の態様及び利点は、本発明の原理を一例として示す添付図面に関連してなされる以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高い演色評価数を有する白色出力光を生成することができるLED又は発光デバイスを提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照すると、本発明の実施形態による発光ダイオード(LED)100が示される。LED100は、高い演色評価数を有する「白」色出力光を生成するように設計される。この実施形態において、LED100は表面実装型LEDである。しかしながら、他の実施形態において、LED100は、リードフレーム実装型LEDのような異なるタイプのLEDとすることができる。図1に示されるように、LED100は、LEDダイ102及び104、オプションのサブマウント106、取付構造体108、及びカプセル材料110を含む。
【0014】
LEDダイ102及び104は、LED100の光源である。LEDダイ102及び104は、特定のピーク波長を有する光を生成する半導体チップである。LEDダイ102は、約420nmから490nmである、可視スペクトルの青の波長範囲におけるピーク波長を有する光を生成するように構成される。この青の光は、図1において矢印112により示される。LEDダイ104は、約620nmから800nmである、可視スペクトルの赤の波長範囲におけるピーク波長を有する光を生成するように構成される。この赤の光は、図1において矢印114により示される。
【0015】
図1に示されるように、LEDダイ102及び104は、取付構造体108に取り付けられるオプションのサブマウント106に取り付けられる。他の実施形態において、LEDダイ102及び104は、取付構造体108に直接取り付けられ得る。LEDダイ102及び104は、ハンダ116のような導電性の接着材料を用いて、サブマウント106又は取付構造体108に取り付けられ得る。サブマウント106は、LEDダイ102及び104からの熱エネルギーを放散するためのLEDダイから取付構造体108までの熱伝導経路を提供する。また、サブマウント106は、LEDダイ102及び104と取付構造体108との間の熱膨張の緩衝も提供する。図1において、LED100は、LEDダイ102及び104が取り付けられる単一のサブマウント106を有するように示される。しかしながら、代替の実施形態において、LED100は、LEDダイ102及び104のそれぞれのサブマウントを含むことができる。取付構造体108は、LEDダイ102及び104を駆動するために必要な電力を提供するリードフレーム118を含む。
【0016】
LEDダイ102及び104は、LEDダイからの光の伝播の媒体であるカプセル材料110内に封入される。カプセル材料110は、任意の透明物質から作成され得る。一例として、カプセル材料110は、エポキシ、シリコーン、シリコーンとエポキシの混成物、非晶質ポリアミド樹脂または過フッ化炭化水素、ガラス及び/又はプラスチック材料から作成され得る。また、カプセル材料110は光ルミネセンス材料120も含み、その光ルミネセンス材料は、LEDダイ102から放出された青色光の少なくとも一部を吸収して、約520nm〜565nmである、可視スペクトルの緑の波長範囲においてピーク波長を有する光のような、より長い波長の光を生成する特性を有する。このように、光ルミネセンス材料120は、LEDダイ102からの青色光の一部を緑色光に変換する。この緑色光は、図1において矢印122により示される。いくつかの従来のLEDにおいて、白色光は、青色を放出するLEDダイから放出された青色光と蛍光体変換された緑色光との混合により生成される。しかしながら、係る白色光は一般に、可視スペクトルの赤の波長領域において不十分である。LED100において、この赤の不足は、LEDダイ104を包含することにより解消され、このLEDダイ104は、高い演色評価数を有する白色光を生成するために、LEDダイ102からの原初の青色光、及び変換された緑色光と混合される赤色光を放出する。
【0017】
カプセル材料110内の光ルミネセンス材料120は、蛍光体、量子ドット、ナノ蛍光体、レーザ色素、無機色素、又は有機色素を含むことができる。ナノ蛍光体は、従来の蛍光体と類似した光学特性を有する。しかしながら、ナノ蛍光体は、従来の蛍光体よりもサイズが小さいが、量子ドットよりも大きい。従来の蛍光体のサイズは、1〜50μm(ミクロン)の範囲内(一般に1〜20μm(ミクロン)の範囲内)である。ナノ蛍光体のサイズは、1μm(ミクロン)より小さいが、サイズが数ナノメートルである量子ドットより大きい。一例として、光ルミネセンス材料120は、YAG:Ce蛍光体を含むことができる。
【0018】
この実施形態において、光ルミネセンス材料120は、カプセル材料110の全体にわたって分散される。従って、カプセル材料120の全体が、LEDダイ102から放出された青色光の波長シフト領域として機能する。しかしながら、他の実施形態において、カプセル材料110の一部だけが、光ルミネセンス材料120を含んでもよい。一例として、図2において、LEDダイ102上のカプセル材料110の部分224が、光ルミネセンス材料120を含む。従って、カプセル材料110のこの部分224だけが、波長シフト領域である。カプセル材料110の残りの部分225は、光ルミネセンス材料120を含まない。他の実施形態において、波長シフト領域224はLEDダイ102を覆う薄層、或いはカプセル材料110の上面またはLEDダイ102から少し離れたところにある層とすることができる。
【0019】
図1及び図2において、LED100は、リフレクターカップを有さない表面実装型LEDであるように示される。しかしながら、LED100は、リフレクターカップを有する表面実装型LEDとして構成され得る。一例として、本発明の実施形態による表面実装型LED300が図3に示される。図1と図2に使用された同じ参照符号が、図3の類似した要素を識別するために使用される。LED300は、LEDダイ102及び104、オプションのサブマウント106、取付構造体108、及びカプセル材料110を含む。LED300はさらに、ポリ(p−フェニレンアセチレン)(PPA)ハウジング328又はプリント基板(図示せず)に形成されたリフレクターカップ326を含む。図3に示されるように、カプセル材料110の全体が波長シフト領域である。しかしながら、他の実施形態において、図2に示されるように、カプセル材料110の一部が波長シフト領域であってもよい。
【0020】
代替の実施形態において、図1、図2、及び図3のLED100及び300のLEDダイ102及び104は、並んで配置される代わりに、互いの上に積み重ねられてもよい。ここで図4を参照すると、本発明の実施形態による積み重ねられたLEDダイを有するLED400が示される。図1、図2、及び図3に使用された同じ参照符号が、図4の類似した要素を識別するために使用される。この代替の実施形態において、LEDダイ102は、LEDダイ104の上に積み重ねられ、LEDダイ104はオプションのサブマウント106に取り付けられるか、又は取付構造体108に直接取り付けられる。このように、LEDダイ102及び104は、スタック型構成で配置される。図示された実施形態において、LEDダイ102は、導電性である接着材料428を用いてLEDダイ104に取り付けられる。LEDダイ104は、やはり導電性である接着材料430を用いて支持構造体(取付構造体)108のリードフレーム118に電気接続される。また、LEDダイ104は、駆動電流が積み重ねられたLEDダイ102及び104を通って伝えられ得るように、ボンドワイヤ431を介して支持構造体108の別のリードフレーム118にも電気接続される。代替の構成において、LEDダイ104は、LEDダイ102の上に積み重ねられ、LEDダイ102はオプションのサブマウント106に取り付けられるか、又は取付構造体108に直接取り付けられてもよい。図4に示されるように、カプセル材料110の全体が光ルミネセンス材料120を含み、かくしてカプセル材料の全体が波長シフト領域である。しかしながら、他の実施形態において、図2に示されるように、カプセル材料110の一部が波長シフト領域であってもよい。さらに、他の実施形態において、図3に示されるように、LED400はさらに、PPAハウジング又はプリント基板に形成されたリフレクターカップを含むことができる。
【0021】
ここで図5を参照すると、本発明の別の実施形態によるLED500が示される。図1、図2、図3、及び図4に使用された同じ参照符号が、図5の類似した要素を識別するために使用される。図1及び図2のLED100に類似して、LED500は、LEDダイ102及び104、オプションのサブマウント106、及び取付構造体108を含む。しかしながら、この実施形態において、LED500は、LEDダイ102と同一とすることができる青色を放出する追加のLEDダイ532を含む。図5に示されるように、この実施形態において、追加のLEDダイ532は、オプションのサブマウント106に取り付けられる。しかしながら、他の実施形態において、LEDダイ532は、別個のサブマウント(図示せず)に取り付けられるか、又は取付構造体108に直接取り付けられてもよい。
【0022】
また、LED500は、光ルミネセンス材料120に加えて追加の光ルミネセンス材料536を包含するカプセル材料534も含む。このように、LED500のカプセル材料534は、2つのタイプの光ルミネセンス材料を含む。光ルミネセンス材料536は、LEDダイ532から放出された青色光の少なくとも一部を、約590nm〜620nmである、可視スペクトルのオレンジの波長範囲においてピーク波長を有する光へ変換する特性を有する。光ルミネセンス材料120に類似して、光ルミネセンス材料536は、蛍光体、量子ドット、ナノ蛍光体、レーザ色素、無機色素、又は有機色素を含むことができる。一例として、光ルミネセンス材料536は、ケイ酸塩、ガーネット、硫化物、チオメタレート(Thiometallate)、窒化物、オルトケイ酸塩、ニトリドシリケート、及びセレン化物を基材とした蛍光体を含むことができる。
【0023】
この実施形態において、カプセル材料534は、光ルミネセンス材料536を包含する第1の波長シフト領域538を含む。波長シフト領域538は、LEDダイ532から放出された光の少なくとも一部が波長シフト領域538の光ルミネセンス材料536によって、より長い波長の「オレンジ」の光に変換され得るように、LED532の上に配置される。カプセル材料534はさらに、他の光ルミネセンス材料120を包含する第2の波長シフト領域540を含む。この波長シフト領域540は、LEDダイ102から放出された光の少なくとも一部が波長シフト領域540の光ルミネセンス材料120によって、より長い波長の「緑色」の光に変換され得るように、LEDダイ102の上に配置される。カプセル材料534の残りの領域541は、任意の光ルミネセンス材料を包含せず、かくして波長シフト領域ではない。代替の実施形態において、この領域541は、光ルミネセンス材料120又は536のような光ルミネセンス材料を含むことができる。しかしながら、光ルミネセンス材料が存在しても、LEDダイ104により放出される赤色光は、より長い波長の光へ変換されずに、領域541を透過する。LEDダイ104からの原初の赤色光、LEDダイ102及び532からの原初の青色光、変換された緑色光、及び変換されたオレンジ光が混合されて、高い演色評価数を有する白色出力光が生成される。
【0024】
本発明の異なる実施形態によるLED100、300、400、及び500は、種々の照明用途、例えば液晶ディスプレイ(LCD)のような照明されるディスプレイ装置のバックライトの光源デバイスとして使用され得る。一例として、本発明の実施形態によるLCDバックライト装置600が図6に示される。バックライト装置600は、多数のLED602、ライトパネル604、及びリフレクター606を含む。LED602は、バックライト装置600の光源デバイスとしての役割を果たす。LED602は、本発明の実施形態による任意のタイプのLEDとすることができる。図6には3つのLEDだけが示されるが、バックライト装置600は任意の数のLEDを含むことができる。図6に示されるように、LED602はライトパネル604の側面610に沿って配置される。従って、LED602からの出力光は、LEDに面するライトパネル604の側面610を通過してライトパネル604内へ透過させられる。他の実施形態において、LED602は、ライトパネル604の2つ以上の側面に沿って配置され得る。
【0025】
ライトパネル604は、照明する光が実質的に一様な態様でライトパネルの上面から放出されるように、ライトパネルの側面610で受光されたLED光をライトパネルの上面612の方へ向ける働きをする。例示的な実施形態において、ライトパネル604は、導光板(「ライトパイプパネル」としても知られている)である。従って、ライトパネル604は、本明細書において導光板とも呼ばれる。しかしながら、他の実施形態において、ライトパネル604は、1つ又は複数のLEDからの光を用いてパネルの広い表面から照明光を放出することができる任意の光透過パネルとすることができる。
【0026】
図7に示されるように、導光板604は、矢印702により示されるように垂直を基準として大きな角度で導光板の上面612に内部で入射する光が内部反射されるが、矢印704により示されるように垂直を基準としてより小さい角度で上面に内部で入射する光が導光板の上面を透過するように、設計される。導光板604は、光がより一様に導光板の上面612から放出されるように、導光板内の光を拡散して散乱させるための光抽出要素706を含むことができる。光抽出要素706は、導光板604の底面708上にプリントされたドット、化学エッチングされたドット、又はレーザエッチングされたドットとすることができる。代案として、光抽出要素706は、図7に示されたように、導光板604の底面708に形成された微細構造レンズ要素とすることができる。図7に示されるように、微細構造レンズ要素706は、光が導光板604の上面612からより一様に抽出され得るように、反射光または屈折光の角度を最適化するV字型の断面を有することができる多くの突出部710を含む。
【0027】
図6及び図7に示されるように、リフレクター606が導光板604の下に配置される。リフレクター606は、光が導光板の上面612から放出され得るように、導光板604の底面708から放出される光を導光板内へ戻すように反射する働きをする。
【0028】
ここで、図8を参照すると、本発明の代替の実施形態によるバックライト装置800が示される。図6のバックライト装置600に類似して、バックライト装置800は、多数のLED802、及びライトパネル804を含む。しかしながら、この実施形態において、LED802は、ライトパネルの側面に沿って配置される代わりに、ライトパネル804の下面806の下に配置される。従って、LED802からの光は、ライトパネル804の下面806内へ透過させられ、照明光としてライトパネルの上面808から放出される。バックライト装置800のLED802は、本発明の実施形態による任意のタイプのLEDとすることができる。ライトパネル804は、導光板または任意の他の光透過パネルとすることができる。
【0029】
本発明の実施形態による発光デバイスから出力光を生成するための方法が、図9のプロセスフロー図に関連して説明される。ブロック902において、青の波長範囲においてピーク波長を有する第1の光が、青色LEDダイのような発光デバイスの第1の光源から生成される。次に、ブロック904において、赤の波長範囲においてピーク波長を有する第2の光が、赤色LEDダイのような発光デバイスの第2の光源から生成される。次に、ブロック906において、第1の光が、光ルミネセンス材料を包含する波長シフト領域で受光される。波長シフト領域は、少なくとも第1の光源に光学的に結合される。さらに、ブロック906において、第1の光の少なくとも一部が、波長シフト領域に包含された光ルミネセンス材料を用いて第1の光のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第3の光に変換される。次に、ブロック908において、第1の光、第2の光、及び第3の光が、白色出力光となることができる出力光の成分として放出される。
【0030】
本発明の特定の実施形態が説明されて図示されたが、本発明は、説明されて図示されたような特定の形態または部品の構成に限定されない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、及びそれらの等価物により規定されべきである。
【0031】
以下においては、本発明の種々の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施形態を示す。
1.取付構造体と、
前記取付構造体の上に配置され、青の波長範囲においてピーク波長を有する第1の光を放出するように構成されている第1の光源と、
前記取付構造体の上に配置され、赤の波長範囲においてピーク波長を有する第2の光を放出するように構成されている第2の光源と、
少なくとも前記第1の光源に光学的に結合された波長シフト領域とを含み、
前記波長シフト領域が、前記第1の光の少なくとも一部を、前記第1の光のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第3の光に変換するための特性を有する光ルミネセンス材料を含み、前記第1の光、前記第2の光、及び前記第3の光が、出力光の成分である、出力光を放出するためのデバイス。
2.前記第1及び第2の光源が発光ダイオードのダイである、上記1に記載のデバイス。
3.前記光ルミネセンス材料が、前記第1の光の少なくとも一部を緑の波長範囲においてピーク波長を有する前記第3の光に変換するための特性を有する、上記1に記載のデバイス。
4.前記第1及び第2の光源の少なくとも一方が、前記取付構造体に取り付けられる、上記1に記載のデバイス。
5.前記取付構造体に取り付けられるサブマウントをさらに含み、前記第1及び第2の光源の少なくとも一方が、前記サブマウントに取り付けられる、上記1に記載のデバイス。
6.前記第1及び第2の光源がスタック型構成で配置される、上記1に記載のデバイス。
7.前記第1及び第2の光源の上に配置されたカプセル材料をさらに含み、前記波長シフト領域が前記カプセル材料の一部である、上記1に記載のデバイス。
8.リフレクターカップをさらに含み、前記第1及び第2の光源が前記リフレクターカップ内に配置される、上記1に記載のデバイス。
9.前記取付構造体の上に配置され、青の波長範囲においてピーク波長を有する第4の光を放出するように構成されている第3の光源と、
前記第3の光源に光学的に結合された第2の波長シフト領域とをさらに含み、
前記第2の波長シフト領域が、前記第4の光の少なくとも一部を前記第4の光のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第5の光に変換するための特性を有する第2の光ルミネセンス材料を含む、上記1に記載のデバイス。
10.前記第2の光ルミネセンス材料が、前記第4の光の少なくとも一部をオレンジの波長範囲においてピーク波長を有する前記第5の光に変換するための特性を有する、上記9に記載のデバイス。
11.発光デバイスから出力光を放出するための方法であって、
前記発光デバイスの第1の光源から青の波長範囲においてピーク波長を有する第1の光を生成し、
前記発光デバイスの第2の光源から赤の波長範囲においてピーク波長を有する第2の光を生成し、
少なくとも前記第1の光源に光学的に結合された波長シフト領域において前記第1の光を受光し、前記第1の光の少なくとも一部を、前記波長シフト領域に包含される光ルミネセンス材料を用いて前記第1の光のピーク波長より長いピーク波長を有する第3の光に変換し、
前記第1の光、前記第2の光、及び前記第3の光を前記出力光の成分として放出することを含む、方法。
12.前記第1の光を生成することが、前記発光デバイスの第1の発光ダイオードのダイから前記青の波長範囲においてピーク波長を有する前記第1の光を生成することを含み、前記第2の光を生成することが、前記発光デバイスの第2の発光ダイオードのダイから前記赤の波長範囲においてピーク波長を有する前記第2の光を生成することを含む、上記11に記載の方法。
13.前記変換することが、前記第1の光の少なくとも一部を、緑の波長範囲においてピーク波長を有する前記第3の光に変換することを含む、上記11に記載の方法。
14.前記発光デバイスの第3の光源において前記青の波長範囲においてピーク波長を有する第4の光を生成し、
少なくとも前記第3の光源に光学的に結合された第2の波長シフト領域で前記第4の光を受光し、前記第4の光の少なくとも一部を、前記第2の波長シフト領域に包含される第2の光ルミネセンス材料を用いて前記第4の光のピーク波長より長いピーク波長を有する第5の光に変換することをさらに含む、上記11に記載の方法。
15.前記第4の光の少なくとも一部を変換することが、前記第4の光の少なくとも一部を、オレンジの波長範囲においてピーク波長を有する前記第5の光に変換することを含む、上記14に記載の方法。
16.少なくとも1つの発光デバイスと、光透過パネルとを含む、照明を提供するための装置であって、前記発光デバイスが、
取付構造体と、
前記取付構造体の上に配置され、青の波長範囲においてピーク波長を有する第1の光を放出するように構成されている第1の光源と、
前記取付構造体の上に配置され、赤の波長範囲においてピーク波長を有する第2の光を放出するように構成されている第2の光源と、
少なくとも前記第1の光源に光学的に結合された波長シフト領域とを含み、
前記波長シフト領域が、前記第1の光の少なくとも一部を前記第1の光のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第3の光に変換するための特性を有する光ルミネセンス材料を含み、前記第1の光、前記第2の光、及び前記第3の光が、前記発光デバイスから放出される出力光の成分であり、
前記光透過パネルが、前記発光デバイスに光学的に結合されて前記出力光を受光し、前記発光デバイスの前記出力光を用いて照明を提供するように構成されている、装置。
17.前記光透過パネルが導光板である、上記16に記載の装置。
18.前記発光デバイスが、前記取付構造体に取り付けられるサブマウントをさらに含み、前記第1及び第2の光源の少なくとも一方が、前記サブマウントに取り付けられる、上記16に記載の装置。
19.前記第1及び第2の光源がスタック型構成で配置される、上記16に記載の装置。
20.前記発光デバイスが、
前記取付構造体の上に配置され、青の波長範囲においてピーク波長を有する第4の光を放出するように構成されている第3の光源と、
前記第3の光源に光学的に結合された第2の波長シフト領域とをさらに含み、
前記第2の波長シフト領域が、前記第4の光の少なくとも一部を前記第4の光のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第5の光に変換するための特性を有する第2の光ルミネセンス材料を含む、上記16に記載の装置。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態によるLEDの図である。
【図2】本発明の別の実施形態による、図1のLEDの図である。
【図3】本発明の実施形態による、レフレクタカップを有するLEDの図である。
【図4】本発明の実施形態による、積み重ねられたLEDダイを有するLEDの図である。
【図5】本発明の実施形態による、3つのLEDダイを有するLEDの図である。
【図6】本発明の実施形態による、LCDバックライト装置の図である。
【図7】図6のLCDバックライト装置の部分断面図である。
【図8】本発明の代替の実施形態による、LCDバックライト装置の図である。
【図9】本発明の実施形態による、発光デバイスから出力光を放出するための方法に関するプロセスフロー図である。
【符号の説明】
【0033】
100、300、400、500、602、802 LED
102、104、532 LEDダイ
106 サブマウント
108 取付構造体
110、534 カプセル材料
118 リードフレーム
120、536 光ルミネセンス材料
600、800 LCDバックライト装置
604、804 ライトパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付構造体(108)と、
前記取付構造体の上に配置され、青の波長範囲においてピーク波長を有する第1の光を放出するように構成されている第1の光源(102)と、
前記取付構造体の上に配置され、赤の波長範囲においてピーク波長を有する第2の光を放出するように構成されている第2の光源(104)と、
少なくとも前記第1の光源に光学的に結合された波長シフト領域(110;224;538、540)とを含み、
前記波長シフト領域が、前記第1の光の少なくとも一部を、前記第1の光のピーク波長よりも長いピーク波長を有する第3の光に変換するための特性を有する光ルミネセンス材料(120)を含み、前記第1の光、前記第2の光、及び前記第3の光が、出力光の成分である、出力光を放出するためのデバイス。
【請求項2】
前記第1及び第2の光源(102、104)が発光ダイオードのダイである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記光ルミネセンス材料(120)が、前記第1の光の少なくとも一部を緑の波長範囲においてピーク波長を有する前記第3の光に変換するための特性を有する、請求項1又は2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記取付構造体(108)に取り付けられるサブマウント(106)をさらに含み、前記第1及び第2の光源(102、104)の少なくとも一方が、前記サブマウントに取り付けられる、請求項1、2、又は3の何れかに記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1及び第2の光源(102、104)がスタック型構成で配置される、請求項1、2、3、又は4の何れかに記載のデバイス。
【請求項6】
発光デバイス(100;300;400;500;600;800)から出力光を放出するための方法であって、
前記発光デバイスの第1の光源(102)から青の波長範囲においてピーク波長を有する第1の光を生成し(902)、
前記発光デバイスの第2の光源(104)から赤の波長範囲においてピーク波長を有する第2の光を生成し(904)、
少なくとも前記第1の光源に光学的に結合された波長シフト領域(110;224;538、540)において前記第1の光を受光し、前記第1の光の少なくとも一部を、前記波長シフト領域に包含される光ルミネセンス材料を用いて前記第1の光のピーク波長より長いピーク波長を有する第3の光に変換し(906)、
前記第1の光、前記第2の光、及び前記第3の光を前記出力光の成分として放出すること(908)を含む、方法。
【請求項7】
前記第1の光を生成すること(902)が、前記発光デバイス(100;300;400;500;600;800)の第1の発光ダイオードのダイ(102)から前記青の波長範囲においてピーク波長を有する前記第1の光を生成することを含み、前記第2の光を生成すること(904)が、前記発光デバイスの第2の発光ダイオードのダイ(104)から前記赤の波長範囲においてピーク波長を有する前記第2の光を生成することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記変換することが、前記第1の光の少なくとも一部を、緑の波長範囲においてピーク波長を有する前記第3の光に変換することを含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記発光デバイス(100;300;400;500;600;800)の第3の光源(532)において前記青の波長範囲においてピーク波長を有する第4の光を生成し、
少なくとも前記第3の光源に光学的に結合された第2の波長シフト領域(538)で前記第4の光を受光し、前記第4の光の少なくとも一部を、前記第2の波長シフト領域に包含される第2の光ルミネセンス材料(536)を用いて前記第4の光のピーク波長より長いピーク波長を有する第5の光に変換することをさらに含む、請求項6、7、又は8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
前記第4の光の少なくとも一部を変換することが、前記第4の光の少なくとも一部を、オレンジの波長範囲においてピーク波長を有する前記第5の光に変換することを含む、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−36232(P2007−36232A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−199251(P2006−199251)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(506076606)アバゴ・テクノロジーズ・ジェネラル・アイピー(シンガポール)プライベート・リミテッド (129)
【Fターム(参考)】