説明

光伝導アンテナ及びテラヘルツ波発生方法

【課題】簡易な構成でデッドエリアを低減できる光伝導アンテナ、及びこのような光伝導アンテナを用いたテラヘルツ波発生方法を提供する。
【解決手段】光伝導アンテナ31では、各電極33のパッド部35に対し、電極33の配列順に徐々に増加又は徐々に減少するように直流電圧源24からの電圧が印加される。これにより、発生するテラヘルツ波Tの極性が電極33ごとに少しずつ変化し、テラヘルツ波Tが電極33毎に反転して出力が打ち消されることを防止できる。光伝導アンテナ31では、従来のような遮光マスクや電極間の切り離し部分が存在しないので、電極33自体を除いてデッドエリアが存在せず、テラヘルツ波Tの発生効率を確保できる。また、光路長差を形成するためのガラス板を用いず、各電極33に印加する電圧の調整によってテラヘルツ波Tの極性を調整しているので、構成の簡素化が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばテラヘルツ波を用いた分光計測に用いられる光伝導アンテナ、及びこのような光伝導アンテナを用いたテラヘルツ波発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光伝導アンテナは、一般的な構成として、半導体層上に形成された電極を備えている。この電極は、テラヘルツ波の発生又は検出を行うアンテナ領域を形成するアンテナ部と、アンテナ部の端部に設けられ、外部電源に電気的に接続されるパッド部とを有している。従来、分光計測に用いられる光伝導アンテナでは、テラヘルツ波の発生効率を高めるために電極を複数設けた多電極型の光伝導アンテナが用いられてきている(例えば特許文献1及び非特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007―324310号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A. Dreyhaupt, S. Winnerl, T. Dekorsy, andM. Helm, Appl. Phys. Lett. 86, 121114 (2005)
【非特許文献2】M. Awad, M. Nagel, H. Kurz, J. Herfort, andK. Ploog, Appl. Phys. Lett. 91, 181124 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、非特許文献1に記載の光伝導アンテナでは、発生するテラヘルツ波の極性が電極毎に反転して出力が打ち消されることを防止するため、一つおきの電極間にポンプ光を遮光する遮光マスクを配置している。しかしながら、この構成では、テラヘルツ波の発生に貢献しないデッドエリアが遮光マスクによって形成され、素子面積に対してデッドエリアが占める割合も看過できず、結果としてテラヘルツ波の発生効率が十分に得られないおそれがある。
【0006】
また、非特許文献2に記載の光伝導アンテナでは、結晶成長を行った基板から光吸収層を分離し、これを別の絶縁性基板に取り付ける際に一つおきの電極間を切り離している。しかしながら、この構成では、光伝導アンテナ素子を作製する工程が複雑化するという問題がある。また、電極間の切り離し部分がデッドエリアとなるため、非特許文献1の場合と同様に、テラヘルツ波の発生効率が十分に得られないおそれがある。
【0007】
これに対し、特許文献1に記載の光伝導アンテナでは、ストライプ状に凹凸を設けたガラス板にポンプ光を入射させることによって各電極に入射するポンプ光の到達時刻を調整し、デッドエリアの形成を回避しつつ、発生するテラヘルツ波の極性が電極毎に反転して出力が打ち消されることを防止している。しかしながら、この構成では、一つおきの電極に入射されるポンプ光の到達時間差をガラス厚で実現しなければならないという問題がある。
【0008】
この点につき、時間領域での1psは、光路長差300μmに相当するが、例えば屈折率1.5のガラスで屈折率1.0の空気との間に300μmの光路長差を形成しようとすれば、約600μmの厚さのガラス板を用意する必要がある。通常、光伝導アンテナにおける電極の間隔は数10μm程度であり、より大きな光路長差を実現するには、数10μm×数mmオーダーの高いアスペクト比を有するガラス板が必要となるが、このようなガラス板の作製は現実には困難である。
【0009】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、簡易な構成でデッドエリアを低減できる光伝導アンテナ、及びこのような光伝導アンテナを用いたテラヘルツ波発生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題の解決のため、本発明に係る光伝導アンテナは、テラヘルツ波を発生又は検出する光伝導アンテナであって、半導体層と、半導体層上に所定の間隔を持って複数配列された電極と、を備え、電極は、テラヘルツ波を発生又は検出するアンテナ領域を形成する線状のアンテナ部と、アンテナ部に接続され、電極の配列順に徐々に増加又は徐々に減少するように外部電源からの電圧が印加されるパッド部と、を有していることを特徴としている。
【0011】
この光伝導アンテナでは、各電極のパッド部に対し、電極の配列順に徐々に増加又は徐々に減少するように外部電源からの電圧が印加される。これにより、発生するテラヘルツ波の極性が電極毎に反転して出力が打ち消されることを防止できる。この光伝導アンテナでは、従来のような遮光マスクや電極間の切り離し部分が存在しないので、電極自体を除いてデッドエリアが存在せず、テラヘルツ波の発生効率を十分に確保できる。また、光路長差を形成するためのガラス板を用いず、各電極に印加する電圧の調整によってテラヘルツ波の極性を調整しているので、構成の簡素化が図られる。
【0012】
また、パッド部に対し、電極の配列順に徐々に増加又は徐々に減少するように外部電源からの電圧を分配する電圧分配回路を備えたことが好ましい。こうすると、単一の電源で各電極間の電圧を自在に設定できる。
【0013】
また、電圧分配回路は、電極間にそれぞれ接続された抵抗によって構成されていることが好ましい。この場合、簡単な構成で電圧分配回路を構成できる。
【0014】
また、電圧分配回路は、電極間にそれぞれ接続されたツェナーダイオードによって構成されていることが好ましい。この場合、ツェナーダイオードによって各電極に印加される電圧を所望の値に制限できる。
【0015】
また、ツェナーダイオードにコンデンサが並列接続されていることが好ましい。この場合、ツェナーダイオードで発生するノイズをコンデンサによって除去できる。
【0016】
また、本発明に係るテラヘルツ波発生方法は、半導体層と、半導体層上に所定の間隔を持って複数配列された電極と、を備え、電極が、テラヘルツ波を発生又は検出するアンテナ領域を形成する線状のアンテナ部と、アンテナ部に接続されたパッド部と、を有する光伝導アンテナを用いたテラヘルツ波発生方法であって、電極の配列順に徐々に増加又は徐々に減少するように外部電源からの電圧をパッド部に印加した状態で、アンテナ領域にポンプ光を入射させることを特徴としている。
【0017】
このテラヘルツ波発生方法では、光伝導アンテナの各電極のパッド部に対し、電極の配列順に徐々に増加又は徐々に減少するように外部電源からの電圧を印加する。これにより、発生するテラヘルツ波の極性が電極毎に反転して出力が打ち消されることを防止できる。このテラヘルツ波発生方法を用いる場合、光伝導アンテナに従来のような遮光マスクや電極間の切り離し部分を設ける必要がなくなり、光伝導アンテナにおいて電極自体を除くデッドエリアを存在させなくすることが可能となるので、テラヘルツ波の発生効率を十分に確保できる。また、光路長差を形成するためのガラス板を用いず、各電極に印加する電圧の調整によってテラヘルツ波の極性を調整しているので、光伝導アンテナの構成の簡素化が図られる。
【0018】
また、電極を配列順にグループ分けし、各グループ毎に異なる電圧をパッド部に印加することが好ましい。この場合、ポンプ光の強度分布に対応して、発生するテラヘルツ波の強度分布を均一化できる。
【0019】
また、電極のうち、中央側に位置する一の電極を接地電位とし、両端に位置する電極がそれぞれ最大正電圧及び最大負電圧となるように外部電源からの電圧をパッド部に印加することが好ましい。この場合、光伝導アンテナに印加される電圧の最大値・最小値を抑えることができる。これにより、放電等の発生を回避できる。
【0020】
また、外部電源としてシグナルジェネレータを用い、シグナルジェネレータからの変調電圧をパッド部に印加することが好ましい。この場合、ポンプ光を変調する変調素子が不要となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡易な構成で光伝導アンテナのデッドエリアを低減できる。これにより、テラヘルツ波の発生効率を十分に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る光伝導アンテナを適用してなる分光計測システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光伝導アンテナを示す平面図である。
【図3】図2に示した光伝導アンテナへの電圧分配回路を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る光伝導アンテナへの電圧分配回路を示す図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る光伝導アンテナへの電圧分配回路を示す図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る光伝導アンテナへの電圧分配回路を示す図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る光伝導アンテナへの電圧分配回路を示す図である。
【図8】シグナルジェネレータによる電圧の変調波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る光伝導アンテナ及びテラヘルツ波発生方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0024】
[光伝導アンテナの適用例]
図1は、本発明に係る光伝導アンテナを適用してなる分光計測システムの構成例を示す図である。同図に示すように、分光計測システム1においては、フェムト秒パルスレーザを出射するレーザ光源11が用いられる。レーザ光源11から出射したレーザ光Lは、光路の途中でビームスプリッタ12によってポンプ光L1とプローブ光L2とに分割される。ビームスプリッタ12を透過したポンプ光L1は、ミラー13、チョッパー14、及び集光レンズ15を経てテラヘルツ波発生アンテナ16に入射する。一方、ビームスプリッタ12で反射したレーザ光Lは、ミラー17、光軸方向に移動可能なリトロリフレクタ18、ミラー19、及び集光レンズ20を経てテラヘルツ波検出アンテナ21に入射する。
【0025】
テラヘルツ波発生アンテナ16で発生したテラヘルツ波Tは、放物面鏡22,23によってテラヘルツ波検出アンテナ21に入射し、プローブ光L2との間で相関作用を生じさせる。このとき、テラヘルツ波発生アンテナ16には、直流電圧源(外部電源)24からの電圧が印加され、テラヘルツ波検出アンテナ21には、ロックインアンプ25が接続される。そして、リトロリフレクタ18が光軸に沿って移動することにより、テラヘルツ波Tとプローブ光L2との間の時間相関波形が得られ、当該波形がコンピュータ26でフーリエ変換されることにより、テラヘルツ波Tのスペクトルが得られる。
【0026】
次に、上述したテラヘルツ波発生アンテナ16及びテラヘルツ波検出アンテナ21について説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図2は、テラヘルツ波発生アンテナ16及びテラヘルツ波検出アンテナ21を構成する光伝導アンテナの第1実施形態を示す平面図である。同図に示すように、光伝導アンテナ31は、半導体層32の表面に複数の電極33が形成された多電極型の素子である。半導体層32は、例えば半絶縁性のGaAs基板にMBEによって低温(200℃〜300℃)でエピタキシャル成長させたGaAs層であり、長さ約10mm、幅約6mm、厚さ1μm〜10μmに形成されている。
【0028】
電極33は、AuGe/Au等のオーミック電極である。電極33は、テラヘルツ波Tの発生及び検出を行うアンテナ領域Aを形成する線状のアンテナ部34と、アンテナ部34の端部に接続されたパッド部35とを有している。本実施形態では、半導体層32の表面に6段の電極33が形成され、幅が約6μmのアンテナ部34が約20μmの間隔をもってストリップラインを形成している。また、パッド部35は、例えば長さ800μm、幅800μmの矩形状をなしており、半導体層32の表面の一方側に配列されている。
【0029】
図3は、光伝導アンテナ31への電圧分配回路36を示す図である。同図に示すように、光伝導アンテナ31の各段の電極33には、電圧分配回路36により、パッド部35(図3において不図示)を介してそれぞれ直流電圧源24が接続される。そして、各段の電極33には、配列順に徐々に増加又は徐々に減少するように直流電圧源24からの電圧が印加される。すなわち、n段目の電極33に印加される電位をVとすると、V>Vn−1となるように各段の電極33に電圧が印加される。また、V=n×(V−Vn−1)を更に満たすようにしてもよい。
【0030】
なお、アンテナ部34,34間の間隔が約20μmの場合、各段の電極33のダーク抵抗はおよそ数百MΩとなる。アンテナ領域Aにポンプ光L1が入射すると、その抵抗値は、ポンプ光L1の強度にも依存するが、1MΩ程度まで低下する。各段の電極33に数十V(例えば10V〜50V)の電圧を印加する場合には、所定の電圧を発生可能な直流電圧源24を電極33の段数に応じて用意する必要がある。
【0031】
以上説明したように、この光伝導アンテナ31では、各電極33のパッド部35に対し、電極33の配列順に徐々に増加又は徐々に減少するように直流電圧源24からの電圧が印加される。これにより、発生するテラヘルツ波Tの極性が電極33毎に反転して出力が打ち消されることを防止できる。この光伝導アンテナ31では、従来のような遮光マスクや電極間の切り離し部分が存在しないので、電極33自体を除いてデッドエリアが存在せず、テラヘルツ波Tの発生効率を十分に確保できる。また、光路長差を形成するためのガラス板を用いず、各電極33に印加する電圧の調整によってテラヘルツ波Tの極性を調整しているので、構成の簡素化が図られる。
【0032】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係る光伝導アンテナへの電圧分配回路を示す図である。同図に示すように、第2実施形態に係る光伝導アンテナ41は、各段の電極33への電圧分配回路46の構成が第1実施形態と異なっている。すなわち、光伝導アンテナ41では、電極33,33間にそれぞれ接続された抵抗47が単一の直流電圧源24に接続されることによって電圧分配回路46が構成されている。
【0033】
電極33,33間の抵抗47の抵抗値は、ポンプ光L1が入射したときの電極33の抵抗値よりも十分に小さな値とすればよい。上述したように、アンテナ部34,34間の間隔が約20μmの場合、各段の電極33のダーク抵抗はおよそ数百MΩとなり、アンテナ領域Aにポンプ光L1が入射した場合の抵抗値は1MΩ程度まで低下する。したがって、電極33の段数をnとすれば、各抵抗47の抵抗値は、例えば100kΩとすればよい。
【0034】
以上のような光伝導アンテナ41においても、第1実施形態と同様に、簡素な構成で、テラヘルツ波Tの発生効率を十分に確保できる。また、抵抗47の接続によって構成された電圧分配回路46により、電極33の段数に応じて直流電圧源24を用意する必要がなくなり、単一の直流電圧源24で各段の電極33に印加される電圧を自在に設定できる。
【0035】
[第3実施形態]
図5は、本発明の第3実施形態に係る光伝導アンテナへの電圧分配回路を示す図である。同図に示すように、第3実施形態に係る光伝導アンテナ51は、各電極33への電圧分配回路56の構成が第1実施形態と更に異なっている。すなわち、光伝導アンテナ51では、電極33,33間にそれぞれ接続されたツェナーダイオード57が単一の直流電圧源24に接続されることによって電圧分配回路56が構成されている。また、各ツェナーダイオード57には、コンデンサ58がそれぞれ並列接続されている。
【0036】
以上のような光伝導アンテナ51においても、第1実施形態と同様に、簡素な構成で、テラヘルツ波Tの発生効率を十分に確保できる。また、ツェナーダイオード57の接続によって構成された電圧分配回路56により、各段の電極33に印加される電圧を所望の値に制限できる。また、ツェナーダイオード57で発生するノイズをコンデンサ58によって除去できる。
【0037】
[第4実施形態]
図6は、本発明の第4実施形態に係る光伝導アンテナへの電圧分配回路を示す図である。同図に示すように、第4実施形態に係る光伝導アンテナ61は、各電極33への電圧分配回路66の構成が第1実施形態と更に異なっている。すなわち、光伝導アンテナ61では、各段の電極33を配列順にグループ(本実施形態ではG1,G2の2グループ)分けし、電圧分配回路66によって各グループ毎に異なる電圧を印加している。
【0038】
すなわち、光伝導アンテナ61では、n番目のグループGnのm段目の電極に印加される電圧をVGnmとすると、VGnm>VGn(m−1)となるように各段の電極33に電圧が印加される。また、VGnm=n×(VGnm−VGn(m−1))を更に満たすようにしてもよい。このような光伝導アンテナ61においても、第1実施形態と同様に、簡素な構成で、テラヘルツ波Tの発生効率を十分に確保できる。また、光伝導アンテナ61に入射するポンプ光L1に強度分布がある場合であっても、各電極グループに印加できる電圧を個別に設定できるため、その強度分布に対応して発生するテラヘルツ波Tの強度分布を均一化できる。
【0039】
[第5実施形態]
図7は、本発明の第5実施形態に係る光伝導アンテナへの電圧分配回路を示す図である。同図に示すように、第5実施形態に係る光伝導アンテナ71は、各電極33への電圧分配回路76の構成は第1実施形態と共通しているが、各電極33のうち、中央側に位置する一の電極33を接地電位とし、両端に位置する電極33がそれぞれ最大正電圧及び最大負電圧となるように直流電圧源24からの電圧をパッド部35に印加するようになっている。このような光伝導アンテナ76においても、第1実施形態と同様に、簡素な構成で、テラヘルツ波Tの発生効率を十分に確保できる。また、光伝導アンテナ76に印加される電圧の最大値・最小値を抑えることができるので、放電等の発生を回避できる。
【0040】
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上述した実施形態では、図2に示したように、パッド部35が半導体層32の表面の一方側に配列されているが、パッド部35の位置には特に限定はなく、例えば半導体層32の表面の一方側と他方側とに交互に配列されていてもよい。
【0041】
また、上述した実施形態では、チョッパー14で変調したポンプ光L1を間欠的にテラヘルツ波発生アンテナ16に入射させているが、分光計測システム1からチョッパー14を外すと共に、直流電圧源24に代えてシグナルジェネレータからの変調電圧をパッド部35に印加するようにしてもよい。この場合の電圧の変調波形は、例えば図8に示すように、変調周期tが0.01ms〜0.1s程度の矩形波とすればよい。このほか、正弦波の変調波形であってもよい。
【符号の説明】
【0042】
31,41,51,61,71…光伝導アンテナ、24…直流電圧源(外部電源)、32…半導体層、33…電極、34…アンテナ部、35…パッド部、36,46,56,66,76…電圧分配回路、47…抵抗、57…ツェナーダイオード、58…コンデンサ、A…アンテナ領域、T…テラヘルツ波。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テラヘルツ波を発生又は検出する光伝導アンテナであって、
半導体層と、
前記半導体層上に所定の間隔を持って複数配列された電極と、を備え、
前記電極は、
前記テラヘルツ波を発生又は検出するアンテナ領域を形成する線状のアンテナ部と、
前記アンテナ部に接続され、前記電極の配列順に徐々に増加又は徐々に減少するように外部電源からの電圧が印加されるパッド部と、を有していることを特徴とする光伝導アンテナ。
【請求項2】
前記パッド部に対し、前記電極の配列順に徐々に増加又は徐々に減少するように前記外部電源からの電圧を分配する電圧分配回路を備えたことを特徴とする請求項1記載の光伝導アンテナ。
【請求項3】
前記電圧分配回路は、前記電極間にそれぞれ接続された抵抗によって構成されていることを特徴とする請求項2記載の光伝導アンテナ。
【請求項4】
前記電圧分配回路は、前記電極間にそれぞれ接続されたツェナーダイオードによって構成されていることを特徴とする請求項2記載の光伝導アンテナ。
【請求項5】
前記ツェナーダイオードにコンデンサが並列接続されていることを特徴とする請求項4記載の光伝導アンテナ。
【請求項6】
半導体層と、
前記半導体層上に所定の間隔を持って複数配列された電極と、を備え、
前記電極が、
前記テラヘルツ波を発生又は検出するアンテナ領域を形成する線状のアンテナ部と、
前記アンテナ部に接続されたパッド部と、を有する光伝導アンテナを用いたテラヘルツ波発生方法であって、
前記電極の配列順に徐々に増加又は徐々に減少するように外部電源からの電圧を前記パッド部に印加した状態で、前記アンテナ領域にポンプ光を入射させることを特徴とするテラヘルツ波発生方法。
【請求項7】
前記電極を配列順にグループ分けし、各グループ毎に異なる電圧を前記パッド部に印加することを特徴とする請求項6記載のテラヘルツ波発生方法。
【請求項8】
前記電極のうち、中央側に位置する一の電極を接地電位とし、両端に位置する電極がそれぞれ最大正電圧及び最大負電圧となるように前記外部電源からの電圧を前記パッド部に印加することを特徴とする請求項6記載のテラヘルツ波発生方法。
【請求項9】
前記外部電源としてシグナルジェネレータを用い、前記シグナルジェネレータからの変調電圧を前記パッド部に印加することを特徴とする請求項6記載のテラヘルツ波発生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−94705(P2012−94705A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241108(P2010−241108)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000236436)浜松ホトニクス株式会社 (1,479)
【Fターム(参考)】