説明

光伝送システムにおけるスパンロス自動調整装置および方法

【課題】光伝送路で接続された伝送装置間で一方の伝送装置において効率的にスパンロス調整可能なスパンロス自動調整装置および方法を提供する。
【解決手段】光信号を光伝送路30を通して伝送装置10から受信し受信パワーレベル情報Prcvを検出する光受信部201と、伝送装置10から光伝送路30を通して光信号の送信パワーレベル情報Ptrを監視信号として受信する監視信号受信部202と、光信号の送信パワーレベル情報と受信パワーレベル情報との差に基づいて光伝送路30のスパンロスを検出するスパンロス検出部210と、スパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて光受信手段の入力の減衰量を可変制御する可変減衰部204と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の光伝送路および光伝送装置を通して光信号を伝送する光伝送システムに係り、特に光伝送装置間のスパンロスを調整する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光伝送システムを設計する際、伝送路のスパンロスが事前に分かっていない場合にはスパンロスを推定する必要があり、通常、このスパンロスの推定はある程度のマージンを持たせて行われている。そのために、実際の運用時にはスパンロスを適切な値に調整する必要があるが、スパンロス値は伝送区間ごとに異なっているので一律に調整することはできない。そこで、これまでは手動でスパンロスの調整が行われており、そのための支援装置が種々提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、伝送区間の送信側の送信レベルと受信側の受信レベルとをモニタし、それらのレベル差をスパンロスとして表示する伝送路ロス表示装置が開示されている。これによってオペレータ(調整者)はその表示値をみながら容易に光減衰器を調整することができる。同様に、特許文献2には、監視制御光を利用して送信パワーと受信パワーとを測定し、それらに基づいてスパンロスを検出する方法が開示されている。
【0004】
また、伝送光レベルを所定レベルに制御する方法としては、特許文献3に開示された光レベル制御方法がある。この光レベル制御方法では、OSC(Optical Supervisory Channel)光を利用して送信光レベル情報を受信側へ送信し、受信側では、受信したOSC光から送信光レベル情報を取り出し、送信光レベル情報と受信OSC光の受信光レベルとを用いてリンク網の光レベル変動を算出し、出力光レベルが所定レベルとなるように可変光減衰器(VOA:Variable Optical Attenuator)を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−078841号公報
【特許文献2】特開2007−251683号公報
【特許文献3】特開2007−104103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示された伝送路ロス表示装置やスパンロス検出方法によれば、実際のスパンロス調整は、現地に作業員が出向いてスパンロスを検出し、スパンロスに応じて可変光減衰器を手動で調整する必要があるために時間と手間を要していた。また特許文献3は受信側の光アンプの入力レベルを一定に維持することで伝送路品質を確保する技術であり、スパンロス調整のための回路を教示していない。
【0007】
また、特許文献1−3では、下流側の伝送装置にスパンロス調整あるいは光レベル制御のための光可変減衰器を設けているために、光伝送路を通過した後の光を減衰させることとなり光伝送路を伝搬する光の強度を調整できない。
【0008】
さらに、伝送装置間が複数本の光伝送路で接続されている場合、それぞれの光伝送路に対して同様のスパンロス調整あるいは光レベル制御を実行しなければならず、時間のかかる繁雑な作業となる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、光伝送路で接続された伝送装置間で一方の伝送装置において効率的にスパンロス調整可能なスパンロス自動調整装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるスパンロス自動調整装置は、複数の光伝送路を用いて伝送装置間で主信号の他に監視信号を伝送可能な光伝送システムにおけるスパンロス自動調整装置であって、光信号を光伝送路を通して接続先の伝送装置から受信し、受信パワーレベル情報を検出する光受信手段と、前記接続先の伝送装置から前記光伝送路を通して前記光信号の送信パワーレベル情報を監視信号として受信する監視信号受信手段と、前記光信号の送信パワーレベル情報と前記受信パワーレベル情報との差に基づいて前記光伝送路のスパンロスを検出するスパンロス検出手段と、前記スパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光受信手段の入力の減衰量を可変制御する可変減衰手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によるスパンロス自動調整方法は、光受信手段が光信号を光伝送路を通して接続先の伝送装置から受信して受信パワーレベル情報を検出し、監視信号受信手段が前記接続先の伝送装置から前記光伝送路を通して前記光信号の送信パワーレベル情報を監視信号として受信し、スパンロス検出手段が前記光信号の送信パワーレベル情報と前記受信パワーレベル情報との差に基づいて前記光伝送路のスパンロスを検出し、可変減衰手段が前記スパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光受信手段の入力の減衰量を可変制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光伝送路で接続された伝送装置間で一方の伝送装置において効率的なスパンロス調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の第1実施形態によるスパンロス自動調整方法の基本的動作を説明するための光伝送システムのブロック図である。
【図2】図2は本発明の第2実施形態によるスパンロス自動調整装置を組み込んだ光伝送システムのブロック図である。
【図3】図3は第2実施形態によるスパンロス自動調整動作を説明するためのシーケンス図である。
【図4】図4は本発明の第3実施形態によるスパンロス自動調整装置を組み込んだ光伝送システムのブロック図である。
【図5】図5は第3実施形態によるスパンロス自動調整動作を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態
図1に示すように、上流側の伝送装置10と下流側の伝送装置20とが光伝送路30により接続された波長分割多重(WDM)方式の光伝送システムを考える。ただし、図1では、本発明に関連する構成のみを図示している。
【0015】
伝送装置10は光アンプ101、監視信号送信部102および装置制御部103を有する。装置制御部103は伝送装置10の全体的な動作制御を行うが、ここでは光アンプ101の送信パワーレベル情報Ptrを監視信号に乗せて送信するように監視信号送信部102を制御する。監視信号送信部102は、装置制御部103の制御に従って、送信パワーレベル情報Ptrを含む監視信号S(Ptr)を生成し光アンプ101へ出力する。監視信号(OSC信号)は一般的に伝送装置の遠隔制御などに用いられるものであるが、ここでは光アンプの送信パワーレベル情報の送信に利用する。光アンプ101は、上流から受信した主信号を光増幅すると共に監視信号S(Ptr)を波長多重し、光伝送路30を通して伝送装置20へ送信する。
【0016】
伝送装置20は、光アンプ201、監視信号受信部202、装置制御部203および光可変減衰器204に加えて、スパンロス検出部210および比較部211をさらに有する。装置制御部103は伝送装置20の全体的な動作制御を行う。光アンプ201は受信した光信号から主信号と監視信号(ここではS(Ptr))を分離し、主信号を光増幅してさらに下流の伝送装置へ送信し、監視信号S(Ptr)を監視信号受信部202へ出力する。監視信号受信部202は監視信号S(Ptr)から送信パワーレベル情報Ptrを取り出し、装置制御部203へ出力する。また、光アンプ201は受信パワーレベル情報Prcvを装置制御部203へ出力する。
【0017】
装置制御部203は、入力した送信パワーレベル情報Ptrと受信パワーレベル情報Prcvとをスパンロス検出部210へ出力する。スパンロス検出部210は、送信パワーレベル情報Ptrと受信パワーレベル情報Prcvとの差分をとることで光伝送路30のスパンロス実測値を算出し、比較部211へ出力する。比較部211は、入力したスパンロス実測値と伝送設計時に想定したスパンロス目標値とを比較し、その差分を装置制御部203へ出力する。装置制御部203は、スパンロスの実測値と目標値との差に従って減衰制御信号Cを生成し光可変減衰器204へ出力する。こうして、
【0018】
本発明の第1実施形態によれば、伝送装置10と伝送装置20とが光信号を伝送する光伝送路30で接続された伝送システムにおいて、スパンロスの実測値と目標値との差に従って光可変減衰器204での減衰量を制御することでスパンロスの自動調整が可能となる。
【0019】
2.第2実施形態
図2に示すように、本発明の第2実施形態によるスパンロス自動調整装置は上流側の伝送装置11に設けられている。本実施形態による光伝送システムでは、伝送装置11と伝送装置21とが2本の光伝送路30および40で接続され、それぞれ光信号を逆方向に伝送する。このような二重化された伝送システムでは、一方の光伝送路に障害が発生しても他方の光伝送路へ切り替えることで障害を迂回したパスを形成することが可能である。なお、図1と同じ機能を有するブロックには同一の参照番号を付して説明は簡略化する。
【0020】
図2において、伝送装置11は、光伝送路30の系に対応する光アンプ101および監視信号送信部102と本実施形態による制御を行う装置制御部104とに加えて、光伝送路40の系に対応する光アンプ105および監視信号送信部106と、装置制御部104により制御されるスパンロス検出部110および比較部111と、光アンプ101の出力側に設けられた光可変減衰器112と、をさらに有する。
【0021】
伝送装置21は、光伝送路30の系に対応する光アンプ201および監視信号受信部202と、光伝送路40の系に対応する光アンプ205および監視信号送信部206と、本実施形態による制御を行う装置制御部207と、を有する。装置制御部207は伝送装置21の全体的な動作制御を行う。本実施形態によれば、伝送装置21は光伝送路30を通して受信した光信号の受信パワーレベル情報Prcvを監視信号を利用して光伝送路40を通して伝送装置11へ返す。
【0022】
なお、伝送装置11において、監視信号送信部102、装置制御部104、監視信号送信部106、スパンロス検出部110、および比較部111の機能は、プログラム制御プロセッサ上でプログラムを実行することにより実現することもできる。同様に、伝送装置21において、監視信号受信部202、監視信号送信部206および装置制御部207の機能は、プログラム制御プロセッサ上でプログラムを実行することにより実現することもできる。以下、本実施形態の動作を図2および図3を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
まず、伝送装置11の監視信号送信部102は、装置制御部104の制御に従って監視信号Sを生成し光アンプ101へ出力する。光アンプ101は、上流から受信した主信号を光増幅すると共に監視信号Sを波長多重し、光可変減衰器112を通して光伝送路30へ送出する(ステップ301)。その際、装置制御部104は送信時の送信パワーレベル情報Ptrを保存する(ステップ302)。
【0024】
伝送装置21の光アンプ201は、受信した光信号から主信号と監視信号Sを分離し、主信号を光増幅してさらに下流の伝送装置へ送信し、監視信号Sを監視信号受信部202へ出力する。光アンプ201は受信パワーレベル情報Prcvを装置制御部207へ出力する(ステップ303)。装置制御部207は、受信パワーレベル情報Prcvを監視信号に乗せて送信するように監視信号送信部206を制御する。監視信号送信部206は、装置制御部207の制御に従って、受信パワーレベル情報Prcvを含む監視信号S(Prcv)を生成し光アンプ205へ出力する。光アンプ205は、上流から受信した主信号を光増幅すると共に監視信号S(Prcv)を波長多重し、光伝送路40を通して伝送装置11へ送信する(ステップ304)。
【0025】
伝送装置11の光アンプ105は、受信した光信号から主信号と監視信号(ここではS(Prcv))を分離し、主信号を光増幅してさらに下流の伝送装置へ送信し、監視信号S(Prcv)を監視信号受信部106へ出力する。監視信号受信部106は監視信号S(Prcv)から伝送装置21での受信パワーレベル情報Prcvを取り出し、装置制御部104へ出力する。
【0026】
装置制御部104は、当該伝送装置11の送信パワーレベル情報Ptrと伝送装置21での受信パワーレベル情報Prcvとをスパンロス検出部110へ出力する。スパンロス検出部110は、送信パワーレベル情報Ptrと受信パワーレベル情報Prcvとの差分をとることで光伝送路30のスパンロス実測値を算出し、比較部111へ出力する(ステップ305)。比較部111は、入力したスパンロス実測値と伝送設計時に想定したスパンロス目標値とを比較し、その差分を装置制御部104へ出力する。装置制御部104は、スパンロスの実測値と目標値との差に応じた減衰制御信号Cを生成し、光可変減衰器112へ出力する(ステップ306)。こうして、光伝送路30のスパンロスの実測値と目標値との差に従って光可変減衰器112での減衰量を制御することでスパンロスの自動調整が可能となる。
【0027】
なお、図2および図3では、伝送装置11において光伝送路30のスパンロスを検出して光可変減衰器112を調整したが、同じ構成を伝送装置21に設けることで光伝送路40のスパンロスの自動調整も可能である。
【0028】
本発明の第2実施形態によれば、伝送装置11と伝送装置21とがそれぞれ逆方向に光信号を伝送する2本の光伝送路30および40で接続された伝送システムにおいて、各光伝送路のスパンロスを上流側の伝送装置で調整可能となる。
【0029】
3.第3実施形態
図4に示すように、本発明の第3実施形態によるスパンロス自動調整装置は一方の伝送装置12に設けられている。本実施形態による光伝送システムでは、伝送装置12と伝送装置22とが2本の光伝送路30および40で接続され、それぞれ光信号を逆方向に伝送する。このような二重化された伝送システムでは、一方の光伝送路に障害が発生しても他方の光伝送路へ切り替えることで障害を迂回したパスを形成することが可能である。なお、図2と同じ機能を有するブロックには同一の参照番号を付して説明は簡略化する。
【0030】
図4において、伝送装置12は、光伝送路30の系に対応する光アンプ101および監視信号送信部102と本実施形態による制御を行う装置制御部107とに加えて、光伝送路40の系に対応する光アンプ105および監視信号送信部106と、装置制御部104により制御されるスパンロス検出部110および比較部111と、光アンプ101の出力側に設けられた光可変減衰器112と、光アンプ105の入力側に設けられた光可変減衰器113とをさらに有する。
【0031】
伝送装置22は、光伝送路30の系に対応する光アンプ201および監視信号受信部202と、光伝送路40の系に対応する光アンプ205および監視信号送信部206と、本実施形態による制御を行う装置制御部208と、を有する。装置制御部208は伝送装置22の全体的な動作制御を行う。本実施形態によれば、伝送装置22は、光伝送路30を通して受信した光信号の受信パワーレベル情報Prcv1と光アンプ205の送信パワーレベル情報Ptr2とを監視信号を利用して光伝送路40を通して伝送装置12へ送信する機能を有する。
【0032】
なお、伝送装置12において、監視信号送信部102、装置制御部107、監視信号送信部106、スパンロス検出部110、および比較部111の機能は、プログラム制御プロセッサ上でプログラムを実行することにより実現することもできる。同様に、伝送装置22において、監視信号受信部202、監視信号送信部206および装置制御部208の機能は、プログラム制御プロセッサ上でプログラムを実行することにより実現することもできる。以下、本実施形態の動作を図4および図5を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
まず、伝送装置12の監視信号送信部102は、装置制御部107の制御に従って監視信号Sを生成し光アンプ101へ出力する。光アンプ101は、上流から受信した主信号を光増幅すると共に監視信号Sを波長多重し、光可変減衰器112を通して光伝送路30へ送出する(ステップ401)。その際、装置制御部107は送信時の送信パワーレベル情報Ptr1を保存する(ステップ402)。
【0034】
伝送装置22の光アンプ201は、受信した光信号から主信号と監視信号Sを分離し、主信号を光増幅してさらに下流の伝送装置へ送信し、監視信号Sを監視信号受信部202へ出力する。光アンプ201は受信パワーレベル情報Prcv1を装置制御部207へ出力し、光アンプ205は送信パワーレベル情報Ptr2を装置制御部207へ出力する(ステップ403)。装置制御部208は、受信パワーレベル情報Prcv1および送信パワーレベル情報Ptr2を監視信号に乗せて送信するように監視信号送信部206を制御する。監視信号送信部206は、装置制御部208の制御に従って、受信パワーレベル情報Prcv1および送信パワーレベル情報Ptr2をを含む監視信号S(Prcv1, Ptr2)を生成し光アンプ205へ出力する。光アンプ205は、上流から受信した主信号を光増幅すると共に監視信号S(Prcv1, Ptr2)を波長多重し、光伝送路40を通して伝送装置11へ送信する(ステップ404)。
【0035】
伝送装置12の光アンプ105は、伝送装置22から光可変減衰器113を通して受信した光信号から主信号と監視信号(ここではS(Prcv1, Ptr2))を分離し、主信号を光増幅してさらに下流の伝送装置へ送信し、監視信号S(Prcv1, Ptr2)を監視信号受信部106へ出力する。監視信号受信部106は監視信号S(Prcv1, Ptr2)から伝送装置22での受信パワーレベル情報Prcv1および送信パワーレベル情報Ptr2を取り出し、装置制御部107へ出力する。さらに、光アンプ105は伝送装置22から光可変減衰器113を通して受信した光信号の受信パワーレベルPrcv2を検出して装置制御部107へ出力する(ステップ405)。
【0036】
装置制御部107は、まず、当該伝送装置12の送信パワーレベル情報Ptr1と伝送装置22での受信パワーレベル情報Prcv1とをスパンロス検出部110へ出力する。スパンロス検出部110は、送信パワーレベル情報Ptr1と受信パワーレベル情報Prcv1との差分をとることで光伝送路30のスパンロス実測値を算出し、比較部111へ出力する(ステップ406)。比較部111は、入力したスパンロス実測値と伝送設計時に想定したスパンロス目標値とを比較し、その差分を装置制御部107へ出力する。同様に、装置制御部107は、伝送装置22の送信パワーレベル情報Ptr2と伝送装置12での受信パワーレベル情報Prcv2とをスパンロス検出部110へ出力する。スパンロス検出部110は、送信パワーレベル情報Ptr2と受信パワーレベル情報Prcv2との差分をとることで光伝送路40のスパンロス実測値を算出し、比較部111へ出力する(ステップ406)。比較部111は、入力したスパンロス実測値と伝送設計時に想定したスパンロス目標値とを比較し、その差分を装置制御部107へ出力する。
【0037】
こうして伝送路30および40のスパンロスが検出されると、装置制御部107は、光伝送路30のスパンロスの実測値と目標値との差に応じた減衰制御信号C1を生成し、光可変減衰器112へ出力し、光伝送路40のスパンロスの実測値と目標値との差に応じた減衰制御信号C2を生成し、光可変減衰器113へ出力する(ステップ407)。こうして、光伝送路30および40におけるスパンロスの実測値と目標値との差に従って光可変減衰器112および113での減衰量を制御することで、2つの光伝送路30および40のスパンロスの自動調整が一度に可能となる。
【0038】
本発明の第3実施形態によれば、伝送装置12と伝送装置22とがそれぞれ逆方向に光信号を伝送する2本の光伝送路30および40で接続された伝送システムにおいて、両方の光伝送路のスパンロスを1つの伝送装置で一度に調整可能となる。
【0039】
4.他の実施例
上記実施形態では、波長分割多重(WDM)伝送システムを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、監視信号(たとえばSONET/SDHのDCC通信)を用いて伝送装置間で情報のやりとりができるシステムであれば、適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、伝送装置間が複数の光伝送路で接続され、監視信号を用いて伝送装置間で情報のやりとりができる伝送システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
10−12、20−22 伝送装置
101、105、201、205 光アンプ
102、206 監視信号送信部
103、104、107、203,207,208 装置制御部
106、202 監視信号受信部
110 スパンロス検出部
111 比較部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光伝送路を用いて伝送装置間で主信号の他に監視信号を伝送可能な光伝送システムにおけるスパンロス自動調整装置であって、
光信号を光伝送路を通して接続先の伝送装置から受信し、受信パワーレベル情報を検出する光受信手段と、
前記接続先の伝送装置から前記光伝送路を通して前記光信号の送信パワーレベル情報を監視信号として受信する監視信号受信手段と、
前記光信号の送信パワーレベル情報と前記受信パワーレベル情報との差に基づいて前記光伝送路のスパンロスを検出するスパンロス検出手段と、
前記スパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光受信手段の入力の減衰量を可変制御する可変減衰手段と、
を有することを特徴とするスパンロス自動調整装置。
【請求項2】
複数の光伝送路を用いて伝送装置間で主信号の他に監視信号を伝送可能な光伝送システムにおけるスパンロス自動調整方法であって、
光受信手段が光信号を光伝送路を通して接続先の伝送装置から受信して受信パワーレベル情報を検出し、
監視信号受信手段が前記接続先の伝送装置から前記光伝送路を通して前記光信号の送信パワーレベル情報を監視信号として受信し、
スパンロス検出手段が前記光信号の送信パワーレベル情報と前記受信パワーレベル情報との差に基づいて前記光伝送路のスパンロスを検出し、
可変減衰手段が前記スパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光受信手段の入力の減衰量を可変制御する、
ことを特徴とするスパンロス自動調整方法。
【請求項3】
複数の光伝送路を用いて伝送装置間で主信号の他に監視信号を伝送可能な光伝送システムにおけるスパンロス自動調整装置であって、
光信号を第1光伝送路を通して接続先の伝送装置へ伝送する光送信手段と、
前記接続先の伝送装置から第2光伝送路を通して前記光信号の受信パワーレベル情報を監視信号として受信する監視信号受信手段と、
前記光送信手段の送信パワーレベル情報と前記受信パワーレベル情報との差に基づいて前記第1光伝送路のスパンロスを検出するスパンロス検出手段と、
前記スパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光送信手段の出力の減衰量を可変制御する可変減衰手段と、
を有することを特徴とするスパンロス自動調整装置。
【請求項4】
複数の光伝送路を用いて伝送装置間で主信号の他に監視信号を伝送可能な光伝送システムにおけるスパンロス自動調整方法であって、
光送信手段が光信号を第1光伝送路を通して接続先の伝送装置へ伝送し、
監視信号受信手段が前記接続先の伝送装置から第2光伝送路を通して前記光信号の受信パワーレベル情報を監視信号として受信し、
スパンロス検出手段が前記光送信手段の送信パワーレベル情報と前記受信パワーレベル情報との差に基づいて前記第1光伝送路のスパンロスを検出し、
可変減衰手段が前記スパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光送信手段の出力の減衰量を可変制御する、
ことを特徴とするスパンロス自動調整方法。
【請求項5】
複数の光伝送路を用いて伝送装置間で主信号の他に監視信号を伝送可能な光伝送システムにおけるスパンロス自動調整装置であって、
第1光信号を第1光伝送路を通して接続先の伝送装置へ伝送する光送信手段と、
第2光信号を第2光伝送路を通して前記接続先の伝送装置から受信する光受信手段と、
前記接続先の伝送装置から前記第2光伝送路を通して前記第1光信号の受信パワーレベル情報と前記接続先の伝送装置から送信される前記第2光信号の送信パワーレベル情報とを監視信号として受信する監視信号受信手段と、
前記光送信手段の送信パワーレベル情報と前記第1光信号の受信パワーレベル情報との差に基づいて前記第1光伝送路のスパンロスを検出し、前記第2光信号の送信パワーレベル情報と前記光受信手段で受信した前記第2光信号の受信パワーレベル情報との差に基づいて前記第2光伝送路のスパンロスを検出するスパンロス検出手段と、
前記第1光伝送路のスパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光送信手段の出力の減衰量を可変制御する第1可変減衰手段と、
前記第2光伝送路のスパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光受信手段の入力側の減衰量を可変制御する第2可変減衰手段と、
を有することを特徴とするスパンロス自動調整装置。
【請求項6】
複数の光伝送路を用いて伝送装置間で主信号の他に監視信号を伝送可能な光伝送システムにおけるスパンロス自動調整方法であって、
光送信手段が光信号を第1光伝送路を通して接続先の伝送装置へ伝送し、
光受信手段が第2光信号を第2光伝送路を通して前記接続先の伝送装置から受信し、
監視信号受信手段が前記接続先の伝送装置から前記第2光伝送路を通して前記第1光信号の受信パワーレベル情報と前記接続先の伝送装置から送信される前記第2光信号の送信パワーレベル情報とを監視信号として受信し、
スパンロス検出手段が前記光送信手段の送信パワーレベル情報と前記第1光信号の受信パワーレベル情報との差に基づいて前記第1光伝送路のスパンロスを検出し、前記第2光信号の送信パワーレベル情報と前記光受信手段で受信した前記第2光信号の受信パワーレベル情報との、差に基づいて前記第2光伝送路のスパンロスを検出し、
第1可変減衰手段が前記第1光伝送路のスパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光送信手段の出力の減衰量を可変制御し、
第2可変減衰手段が前記第2光伝送路のスパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光受信手段の入力側の減衰量を可変制御する、
ことを特徴とするスパンロス自動調整方法。
【請求項7】
複数の光伝送路を用いて伝送装置間で主信号の他に監視信号を伝送可能な光伝送システムであって、
第1伝送装置が光信号を光伝送路を通して第2伝送装置へ伝送すると共に、前記光信号の送信パワーレベル情報を監視信号として送信する光送信手段を有し、
前記第2伝送装置が、
前記第1伝送装置から前記光伝送路を通して受信した光信号の受信パワーレベル情報を検出する光受信手段と、
前記送信パワーレベル情報を監視信号として受信する監視信号受信手段と、
前記光信号の送信パワーレベル情報と前記受信パワーレベル情報との差に基づいて前記光伝送路のスパンロスを検出するスパンロス検出手段と、
前記スパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光受信手段の入力の減衰量を可変制御する可変減衰手段と、を有する、
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項8】
複数の光伝送路を用いて伝送装置間で主信号の他に監視信号を伝送可能な光伝送システムであって、
第1伝送装置が、
光信号を第1光伝送路を通して第2伝送装置へ伝送する光送信手段と、
前記第2伝送装置から第2光伝送路を通して前記光信号の受信パワーレベル情報を監視信号として受信する監視信号受信手段と、
前記光送信手段の送信パワーレベル情報と前記受信パワーレベル情報との差に基づいて前記第1光伝送路のスパンロスを検出するスパンロス検出手段と、
前記スパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光送信手段の出力の減衰量を可変制御する可変減衰手段と、
を有し、
前記第2伝送装置が、
前記第1光伝送路通して前記第1伝送装置から前記光信号を受信する光受信手段と、
前記光受信手段により受信された時の前記光信号の受信パワーレベル情報を含む監視信号を前記第1伝送装置へ前記第2光伝送路を通して送信する監視信号送信手段と、
を有する、
ことを特徴とする光伝送システム。
【請求項9】
光伝送路を用いて伝送装置間で主信号の他に監視信号を伝送可能な光伝送システムにおける伝送装置のプログラム制御プロセッサをスパンロス自動調整装置として機能させるプログラムであって、
光受信手段が光信号を光伝送路を通して接続先の伝送装置から受信して受信パワーレベル情報を検出し、
監視信号受信手段が前記接続先の伝送装置から前記光伝送路を通して前記光信号の送信パワーレベル情報を監視信号として受信し、
スパンロス検出手段が前記光信号の送信パワーレベル情報と前記受信パワーレベル情報との差に基づいて前記光伝送路のスパンロスを検出し、
可変減衰手段が前記スパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光受信手段の入力の減衰量を可変制御する、
ように前記プログラム制御プロセッサを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
複数の光伝送路を用いて伝送装置間で主信号の他に監視信号を伝送可能な光伝送システムにおける伝送装置のプログラム制御プロセッサをスパンロス自動調整装置として機能させるプログラムであって、
光送信手段が光信号を第1光伝送路を通して接続先の伝送装置へ伝送し、
監視信号受信手段が前記接続先の伝送装置から第2光伝送路を通して前記光信号の受信パワーレベル情報を監視信号として受信し、
スパンロス検出手段が前記光送信手段の送信パワーレベル情報と前記受信パワーレベル情報との差に基づいて前記第1光伝送路のスパンロスを検出し、
可変減衰手段が前記スパンロス検出値と予め設定されたスパンロス目標値との差に基づいて前記光送信手段の出力の減衰量を可変制御する、
ように前記プログラム制御プロセッサを機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−205172(P2012−205172A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69325(P2011−69325)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(390001454)NECネッツエスアイ株式会社 (36)
【Fターム(参考)】