光伝送装置及び光伝送システム
【課題】運用・保守性を維持しながら、伝送路の増設に対応可能な光伝送装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態において、光伝送装置は、それぞれが複数の伝送路のそれぞれに対応する複数の第一の波長多重光信号処理部と、クライアント装置と接続しクライアント信号の送受信を行うインタフェース部と、インタフェース部と接続しインタフェース部から波長多重用信号を受ける第二の波長多重光信号処理部とを備える。複数の第一の波長多重光信号処理部のそれぞれは、複数入力を備え、その複数入力からの光入力信号から選択した信号を合波して対応する伝送路に出力する波長選択スイッチを備える。波長多重用信号を受ける第二の波長多重光信号処理部は、光信号を分岐し、複数の波長多重光信号処理部の波長選択スイッチのそれぞれに出力する光スプリッタを備える。
【解決手段】本発明の一実施形態において、光伝送装置は、それぞれが複数の伝送路のそれぞれに対応する複数の第一の波長多重光信号処理部と、クライアント装置と接続しクライアント信号の送受信を行うインタフェース部と、インタフェース部と接続しインタフェース部から波長多重用信号を受ける第二の波長多重光信号処理部とを備える。複数の第一の波長多重光信号処理部のそれぞれは、複数入力を備え、その複数入力からの光入力信号から選択した信号を合波して対応する伝送路に出力する波長選択スイッチを備える。波長多重用信号を受ける第二の波長多重光信号処理部は、光信号を分岐し、複数の波長多重光信号処理部の波長選択スイッチのそれぞれに出力する光スプリッタを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送装置及び光伝送システムに関し、特に波長多重及び光分岐挿入が可能な光伝送装置及び光伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットに代表されるデータ・トラフィックの急増により、通信ネットワークの伝送容量の大容量化が進んでいる。この大容量化は、時分割多重技術及び光波長多重技術を用いて実現されている。1チャネルあたり毎秒10ギガビットの伝送装置、1本の光ファイバへ数チャネルから数十チャネルの波長多重や、光増幅器又は再生中継器等を用いて、数百kmを超える長距離伝送が可能なポイント・ツー・ポイント型の波長多重伝送システムが実用化されている。
【0003】
今後の伝送容量の需要増、さらなる経済化及びサービスの多様化に対応するため、通信ノードを環状に接続したリング型光ネットワークが検討されている。さらに、より経路選択の自由度を増すため、通信ノードを網目状に接続したメッシュ型光ネットワークが検討されている。
【0004】
リング型光ネットワークで使われる光伝送装置は、光分岐挿入装置(Optical Add−Drop Multiplexer;OADM)と呼ばれる。メッシュ型光ネットワークで使われる光伝送装置は、光クロスコネクト装置(Optical CROSS−Connect;OXC)と呼ばれる。
【0005】
これらの光伝送装置は、光信号を電気信号に変換することなく、光信号のままノードを通過させる構成を備えることで、ネットワーク全体を経済的に実現することができる。この他、各ノード装置を遠隔一元管理するネットワーク監視制御システムにより、運用の簡素化を図ることができる。又、各ノード装置の監視制御部が相互連携することにより、回線の始点から終点までのエンド・ツー・エンドのパス管理の容易化及びパス設定の高速化を期待することができる。
【0006】
OADM、OXCは、光信号のアド・ドロップ/スルーの選択及び経路切替のため、光スイッチを使用する。現在、このような光スイッチを実現するいくつかの技術が知られている。それらの例は、材料に電界を印加することで生じる屈折率変化を応用した半導体スイッチやLiNO3スイッチ、そして、材料に熱を加えることで生じる屈折率変化を応用したPLC(Planar Lightwave Circuit)スイッチである。
【0007】
これらの他、電磁石を利用して光ファイバ又はレンズの位置を移動させる可動光スイッチ、静電力を利用して半導体技術で作成した微小なミラーを制御するMicro−Electro−Mechanical Systems(MEMS)スイッチ、液晶に印加する電圧を変えることで光信号の透過や反射を選択する液晶光スイッチが知られている。
【0008】
MEMS又は液晶技術の応用技術として、切替機能に加え、波長多重機能を備えた波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch;WSS)が知られている。WSSを用いた光伝送装置は、例えば、特開2006−140598号公報(特許文献1)に開示されている。
【0009】
この文献は、光経路切替手段において、いずれかの入力ポートから入力されるWDM(Wavelength Division Multiplexing)光に含まれる1又は2以上の波長の信号光を選択していずれかの出力ポートから出力する構成を開示している。さらに、これにより、当該WDM光を従来のように波長毎に分波することなく或る伝送経路からのWDM光に含まれる任意波長の信号光の伝送経路を異なる経路へ変更することができ、光経路切替手段に必要なポート数を大幅に削減することができると述べている。
【0010】
この他、特開2008−60773号公報(特許文献2)は、挿入する光信号の出力方路が固定化されておらず、任意の出力方路を選択できる光伝送装置を開示している。この光伝送装置は光分岐挿入機能を備え、任意の分岐挿入部へ/から任意の方路に対して任意波長の信号光を分岐/挿入することができ、方路数の増減及び波長数の増減に容易に対応し得るようにすると共に装置構成を簡素化・小型化すると、この文献は述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−140598号公報
【特許文献2】特開2008−60773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
経路選択の自由度を高め、サービスの多様化に応えるため、既存のネットワークに方路を追加し、ネットワーク・トポロジーを変更する要求が存在する。ネットワーク・トポロジー変更の典型的な例は、リング型光ネットワークからメッシュ型光ネットワークへの変更である。
【0013】
このネットワークの変更において、光伝送装置は、リング構成からメッシュ構成への変更に対応可能であることが要求される。リング型光ネットワークで使用される光伝送装置(OADM)は、接続されているファイバ伝送路数が2のリング構成を有している。従って、光伝送装置は、ネットワーク・トポロジーの移行に伴い、接続伝送路数を増やす拡張に対応可能であることが必要である。又、メッシュ型光ネットワークにおける光伝送装置は、経路選択の高い自由度を備えることが重要である。
【0014】
さらに、特許文献2が指摘するように、従来のリング型ネットワークで使用されるOADMにおいて、挿入する光信号の出力先伝送路が固定化されており、この状態でOADMの運用・保守が行われている。従って、光伝送装置に対して、従来構成の運用・保守性を維持しつつ、伝送路の増設及び経路選択の自由の増加に対応可能であることが求められる。
【0015】
あるいは、ネットワークの運用性を向上させるため、光伝送装置には、1つのノードの送信器からの光出力信号を別の1つのノードの受信器で受信するポイント・ツー・ポイント型の通信だけでなく、1つのノードの送信器からの光出力信号を別の複数のノードの受信器で受信するポイント・ツー・マルチポイント型の通信にも対応可能であることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する複数の手段を含んでいるが、その一つは、複数の伝送路に接続する光伝送装置である。前記光伝送装置は、それぞれが前記複数の伝送路のそれぞれに対応する、複数の第一の波長多重光信号処理部と、クライアント装置と接続しクライアント信号と波長多重用信号との変換を行うインタフェース部と、前記インタフェース部と接続し前記インタフェース部から前記波長多重用信号を受ける第二の波長多重光信号処理部とを備える。前記複数の第一の波長多重光信号処理部のそれぞれは、複数入力を備え、その複数入力からの光入力信号から選択した信号を合波して対応する伝送路に出力する波長選択スイッチを備える。前記インタフェース部からの波長多重用信号を受ける前記第二の波長多重光信号処理部は、前記波長多重用信号を含む光信号を分岐し、前記複数の第一の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチのそれぞれに出力する光スプリッタを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、リング構成の光伝送装置のような挿入する光信号の出力先伝送路が固定されていた光伝送装置において、その運用・保守性を維持しながら、伝送路の増設に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明の光伝送システムを適用することができるネットワーク形態の例を模式的に示す図である。
【図1B】本発明の光伝送システムを適用することができるネットワーク形態の他の例を模式的に示す図である。
【図1C】本発明の光伝送システムを適用することができるネットワーク形態の他の例を模式的に示す図である。
【図2】第1の実施形態において、光伝送装置の構成例を模式的に示す図である。
【図3】第1の実施形態において、2ファイバ伝送路が接続されているリング構成の光伝送装置の構成例を模式的に示す図である。
【図4A】第1の実施形態において、光伝送装置における波長選択スイッチの機能を模式的に示す図である。
【図4B】第1の実施形態において、波長選択スイッチの機能ブロックの構成例を模式的に示す図である。
【図5】第1の実施形態において、リング構成からメッシュ構成に拡張された光伝送装置の構成例を模式的に示す図である。
【図6】第1の実施形態において、メッシュ構成の光伝送装置による光伝送における光信号の流れの一例を示している。
【図7】第1の実施形態において、メッシュ構成の光伝送装置による光伝送における光信号の流れの他の例を示している。
【図8】第1の実施形態において、メッシュ構成の光伝送装置による光伝送における光信号の流れの他の例を示している。
【図9】第2の実施形態において、光伝送装置の構成例を模式的に示す図である。
【図10】第3の実施形態において、光伝送装置のポイント・ツー・マルチポイント通信における光信号の流れの例を示している。
【図11】第3の実施形態において、光伝送装置のポイント・ツー・マルチポイント通信における光信号の流れの他の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0020】
<第1の実施形態>
図1A〜図8を参照して、第1の実施形態を説明する。本実施形態は、光ネットワーク・システムにおける光伝送装置に特徴を有している。本実施形態の光伝送装置は、様々なネットワーク・トポロジーにおいて利用することができる。図1A〜図1Cは、本実施形態の光伝送装置を利用可能な典型的な光ネットワーク・システムを模式的に示している。
【0021】
図1Aは、リニア型ネットワークを模式的に示している。図1Aの構成は、3つの光伝送装置(ノード)101〜103を備えており、二つの光伝送装置101と光伝送装置103とが端点でのノードである。光伝送装置101と光伝送装置103との間に光伝送装置102があり、光伝送装置101と光伝送装置102とがファイバ伝送路801で接続されており、光伝送装置102と光伝送装置103とファイバ伝送路802で接続されている。ファイバ伝送路801、802は、光主信号を双方向で伝送する。これは、以下の説明における他のファイバ伝送路について同様である。
【0022】
光伝送装置102は、光伝送装置101又は光伝送装置103が挿入(アド)した信号の少なくとも一部を、分岐(ドロップ)することが可能であり、又、光伝送装置102は、別の信号を挿入することが可能である。図1Aにおける実線矢印は、光伝送装置101と光伝送装置102と間、光伝送装置102と光伝送装置103と間、そして光伝送装置103と光伝送装置101と間に設定されているパスを示している。これらのパスは一例である。
【0023】
図1Bは、リング型ネットワークを模式的に示している。本例は、4つの光伝送装置(ノード)101〜104を備え、隣接する光伝送装置がファイバ伝送路で接続されている。具体的には、光伝送装置101と光伝送装置102、光伝送装置102と光伝送装置103、光伝送装置103と光伝送装置104、光伝送装置104と光伝送装置101をそれぞれ、ファイバ伝送路801〜804が接続している。
【0024】
ネットワークがリングを形成しているので、いずれかのファイバ伝送路の1箇所において障害が発生した場合も、逆周りの信号伝送により信号を保護することができる。また、運用が比較的簡単であることもリング型ネットワークの利点である。図1Bにおいて、実線矢印は、光伝送装置101、102の間、光伝送装置102、103の間、そして、光伝送装置101、103、104の間において設定されているパスを示している。これらのパスは一例である。
【0025】
図1Cは、メッシュ型ネットワークを示している。本例において、光伝送装置(ノード)101〜104及び図示しない他の光伝送装置が、網の目状のファイバ伝送路で接続されている。図1Cにおいては、ファイバ伝送路801〜811が図示されている。本図における実線矢印は、ノード間で設定されているパスを示している。これらのパスは一例である。メッシュ型ネットワークの運用管理は、リング型ネットワークと比較して難しいが、メッシュ型ネットワークは、諸条件に応じてパスの経路変更が可能な自由度の高いネットワークである。
【0026】
図1A〜図1Cのいずれのシステムにおいても、各光伝送装置101〜104は、統合監視制御装置(統合監視制御サーバ)10と、制御ネットワーク11を介して通信を行う。統合監視制御装置10は光伝送装置101〜104の構成、動作、性能、警報等の管理を行うと共に、ネットワークのリソース管理を行う。光伝送装置101〜104は、統合監視制御装置10の指示(制御)に従って光信号伝送を行う。
【0027】
上述のように、本実施形態の光伝送装置は、図1A〜図1Cに示すいずれのネットワーク形態においても、1つ又は複数の光ノードにおいて利用することができる。本実施形態の光伝送装置の利点の一つは、光伝送装置の既存構成の保守・運用性を維持しつつ、リング構成からメッシュ構成へ容易に拡張することができることである。以下において、本実施形態の光伝送装置のリング構成からメッシュ構成への拡張について説明を行う。
【0028】
まず、図2を参照して、リング構成の光伝送装置100の全体構成例を説明する。例えば、光伝送装置100は、図1Bにおける光伝送装置102として利用される。なお、図2に示す構成は一例であって、光伝送措置100は他の構成を有することができる。光伝送装置100は、ノード監視制御部121及び光分岐挿入部124を備えている。光分岐挿入部124は、伝送路に波長多重信号を挿入し、又、伝送路からの波長多重信号から任意の波長の信号を分岐させてインタフェース部に送る。ここでインタフェース部は光インタフェース122、光電気インタフェース123(光送受信器231および233)を区別せず説明する際に用いる名称である。
【0029】
光分岐挿入部124は、WDM(Wavelength Division Multiplexing)光信号処理部241a、241b、光増幅部242a、242bそして光合分波部243a、243bを備えている。
【0030】
WDM光信号処理部241a、241bは、それぞれ光増幅部242a、242bに接続されている。また、WDM光信号処理部241a、241bは、それぞれ光合分波部243a、243bに接続されている。WDM光信号処理部241a、241bは同様の構成を有している。以下においては、WDM光信号処理部241aの構成、処理及びそれに関連する他の構成について説明を行い、WDM光信号処理部241bの説明を省略する。
【0031】
光伝送装置100は、光合分波部243aに接続されている複数のインタフェース部を備えている。図2は、それらのうちの、光インタフェース部122と光電気インタフェース部123を例示している。光伝送装置100は一方の種類のインタフェース部のみを備えていてもよい。インタフェース部のそれぞれは、クライアント装置900のポートに接続されている。
【0032】
光伝送装置100は2つの伝送路に接続されており、図2は光増幅部242aと接続されている一つの伝送路501aを例示している。伝送路501aは双方向の信号伝送が可能である。光伝送装置100は、複数のインタフェース部からの信号及び他の伝送路からの信号を波長多重して伝送路501aへ送出する。又、光伝送装置100は、伝送路501aからの波長多重信号から所望の波長の信号を分岐させて、それをクライアント装置900に送る。
【0033】
光インタフェース部122は、オーバーヘッド処理、ビット・インターリーブド・パリティ(Bit Interleaved Parity;BIP)を用いた主信号品質監視、クライアント装置900から受信したクライアント信号の伝送路へ出力される波長への変換などを行う。図2の例においては、クライアント装置900が複数のポートを備え、一つのインタフェース部は、一つのポートのクライアント信号に対応している。異なるインタフェース部に異なるクライアント装置が接続されてもよい。
【0034】
光インタフェース部122は、伝送距離拡大や、ファイバの季節変動や物理的外力による損失変動や部品の経年劣化など他の要因による品質劣化を補償するために、例えば、ITU−T勧告G.709に示されるような誤り訂正処理を行うこともある。
【0035】
光インタフェース部122は、例えば、STM−16(2.5Gbit/s)、STM−64(10Gbit/s)、STM−256(40Gbit/s)をインタフェースとするクライアント装置からの信号を受信し、それぞれITU−T G.709 OTNで規定されるOTU1(2.7Gbit/s)、OTU2(10.7Gbit/s)、OTU3(42.8Gbit/s)の伝送レート及びITU−Tで規定された波長を持つ信号へ変換して合分波部243a経由でWDM光信号処理部241aへ出力する。又、WDM光信号処理部241aからの信号を、上記変換の逆変換する機能を持つ。
【0036】
光インタフェース部122は、ある光ノードで一方の伝送路から別の伝送路へ転送される信号に対しては、OTUn(n=1、2、3)の信号を再生中継する機能を持ってもよい。光インタフェース部122は、クライアント信号として、他に例えばIEEE 802.3zで規定されるGbE(1Gbit/s)や、IEEE 802.3aeで規定される10GbE(10.3Gbit/s)に対応してもよい。WDM光信号処理部241aとのインタフェース速度は、これらに誤り訂正符号分の比率、例えば7%〜25%程度を付加したものになる。
【0037】
光伝送装置100は、光インタフェース部122に代わり又は光インタフェース部122に加えて、光電気インタフェース123を備えてもよい。一例において、光電気インタフェース123は、クライアント装置900からの光信号を受信して電気信号に変換する光送受信器231と、光送受信器231からの電気信号を所望の単位で切替える電気スイッチ232と、電気スイッチ232からの電気信号を受信して波長多重信号に適した光信号に変換する光送受信器233を備える。
【0038】
光分岐挿入部124において、光合分波部243aは、複数のインタフェース部からの波長多重用信号を合波し、又、伝送路からの信号を複数の波長多重用信号に分波する。WDM光信号処理部241aと光増幅部242aの組が、伝送路501aの光信号の送受信を行う。
【0039】
WDM光信号処理部241aは、通信制御部411、プロセッサ(CPU)412、切替状態情報413、性能情報取得部414、障害情報取得部415、駆動制御部416、そしてWDM光スイッチ部417を備えている。情報はメモリに格納されている。WDM光スイッチ部417は、光信号の波長多重分離及び切替を行う。WDM光スイッチ部417の詳細は、後に説明する。
【0040】
駆動制御部416は、CPU412の制御下において、WDM光スイッチ部417に電圧加えてそれを駆動する。CPU412は、切替状態情報413に制御情報を格納し、駆動制御部416は、切替状態情報413に従ってWDM光スイッチ部417を駆動する。CPU412は、駆動制御部416を直接に制御し、その制御結果としての情報を切替状態情報413に格納してもよい。
【0041】
性能情報取得部414は、入力信号の波長及び光パワー、出力する信号の光パワーをモニタし、これらの値を格納する。CPU412は、性能情報から光パワー損失を算出することができる。CPU412は、光パワー損失から、入出力の異常動作を検出することができる。
【0042】
障害情報取得部415は、WDM光スイッチ部417の障害を検出し、その情報を格納する。CPU412は、障害情報取得部415から定期的に情報を取得し、障害を示す情報を取得すると、通信制御部411を介して、ノード監視制御部121に通知する。なお、CPU412は他の電子回路が行う管理処理の一部を行ってもよく、CPU412の処理の一部を他の電子回路が行ってもよい。
【0043】
ノード監視制御部121は、複数のWDM光信号処理部を含む光伝送装置100の全体を監視、制御する。ノード監視制御部121は、通信制御部211、プロセッサ(CPU)212、構成管理情報213、障害管理情報214、性能管理情報215、切替管理情報216を備えている。CPU212が上記情報を収集し、その情報をメモリ内に格納する。他の電子回路がこの処理を行ってもよい。
【0044】
構成管理情報213は、光伝送装置100の構成情報、例えば、WDM光信号処理部の数、接続伝送路数などの情報を格納している。障害管理情報214は光伝送装置100の障害情報を格納し、性能管理情報215は光伝送装置100の性能情報を格納する。切替管理情報216は、WDM光信号処理部241a、241bの切替情報を格納している。
【0045】
CPU212は、通信制御部211を介して、統合監視制御装置10から、信号(伝送路の信号及び接続されているクライアントからの信号)の転送を行うための情報を取得し、その情報からWDM光信号処理部241aへの切替指示の情報を生成し、それを切替管理情報216に格納する。WDM光信号処理部241aは、切替管理情報216に格納されている情報をノード監視制御部121から受け、その情報に従って駆動制御部416を介して、WDM光スイッチ部417を操作する。
【0046】
光増幅部242aは、光波長多重信号を、光信号のまま増幅してファイバ伝送路501aへ送出する。光増幅部242aは、WDM光信号処理部241aからの信号を光増幅器421で増幅してファイバ伝送路へ送出し、又、ファイバ伝送路からの波長多重信号を増幅してWDM光信号処理部241aへ送る。さらに、光増幅部242aは、監視信号処理部422を備える。監視信号処理部422は、伝送路で伝送する波長多重信号に監視用制御信号を重畳し、ノード間の監視用制御信号の授受を行う。
【0047】
ファイバ伝送路へ送出する際の光パワーは、波長数、光ノード間伝送路損失、光増幅器の雑音指数と光信号対雑音との比(Optical Signal−to−Noise Ratio;OSNR)並びにファイバ中の非線形効果、波長分散、偏波分散による波形劣化及び雑音増加を考慮して決定される。
【0048】
非線形効果としては、自己位相変調(Self Phase Modulation;SPM)、相互位相変調(Cross Phase Modulation;XPM)、四波混合(Four Wave Mixing;FWM)などが知られている。波形劣化量は、波長数、ファイバの分散、非線形定数、ファイバへの入力パワー、光ファイバ損失等に依存する。
【0049】
光インタフェース部122へ送出する前の光増幅器421の出力パワーは、WDM光信号処理部241aの損失、パス端でのOSNR、そして受信器のダイナミックレンジ及び受信感度等を考慮して決められる。ファイバの波長分散による波形劣化を相殺する分散補償機能を光増幅部やインタフェース部に組み込んでもよい。
【0050】
分散補償機能を実現する手段としては、ファイバ伝送路と符号が異なる分散補償ファイバや、ファイバ回折格子、光学レンズ、共振器、電気信号処理など利用したものが知られている。光インタフェース部122から出力される波長は、例えばITU−T勧告G694.1やG694.2で規定される波長グリッド上の波長であり、その波長数は、8波、16波、20波、40波、64波、80波、128波、160波など、伝送条件を工夫することで様々な選択肢から選ぶことができる。
【0051】
図3は、接続された伝送路数が2のリング構成を有する光伝送装置100において、光信号の接続関係を模式的に示す図である。図3は、WDM光信号処理部241a、241bの一部の構成を模式的に示しており、説明の明確化のため、WDM光信号処理部241a、241bにおける多くの構成要素を省略している。なお、以下の光信号の接続関係の説明において、光カプラ(光スプリッタ)及び波長選択スイッチのポート数は一例に過ぎず、本実施形態の効果は特定のポート数に限定されない。
【0052】
WDM光信号処理部241aは、伝送路501a及び光合分波部243aに接続されている。WDM光信号処理部241bは、伝送路501b及び光合分波部243bに接続されている。光合分波部243a、243bにはそれぞれ、光インタフェース部122a、122bが接続されている。光合分波部243a、243bのそれぞれに複数のインタフェース部が接続されており、光インタフェース部122a、122bは、それらのうちの1つである。
【0053】
WDM光信号処理部241aは、波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch;WSS)171a及び光カプラ(OC)172aを備えている。WDM光信号処理部241bは、波長選択スイッチ171b及び光カプラ172bを備えている。光カプラ172a、172bは光スプリッタとして機能するため、以下においては、これらを光スプリッタ172a、172bと呼ぶ。
【0054】
図3の例においては、波長選択スイッチ171a、171bは、1x5波長選択スイッチであり、5入力1出力を備える。また、光スプリッタ172a、172bは、1x5光スプリッタであり、5入力1出力を備える。波長選択スイッチ171a、171b及び光スプリッタ172a、172bは、WDM光スイッチ部417の構成要素である。
【0055】
WDM光信号処理部241aの1つの出力は伝送路501aに接続し、他の1つの出力は、光合分波部243aを介して、光インタフェース122aに接続している。WDM光信号処理部241aの1つの入力は伝送路501aに接続し、他の1つの入力は、光合分波部243aを介して、光インタフェース122aに接続し、そして、他の1つの入力はWDM光信号処理部241bに接続している。
【0056】
具体的には、波長選択スイッチ171aの出力は、伝送路501aに接続し、光スプリッタ172aの出力は、もう一方のWDM光信号処理部241bの波長選択スイッチ171bの入力に接続している。伝送路501aは光スプリッタ172aの入力に接続し、光インタフェース122aは波長選択スイッチ171aの入力に接続し、WDM光信号処理部241bの光スプリッタ172bの出力が波長選択スイッチ171aの他の入力に接続している。
【0057】
WDM光信号処理部241bにおける光信号線接続も同様である。波長選択スイッチ171bの出力は伝送路501bに接続し、光スプリッタ172bの出力は、もう一方のWDM光信号処理部241aの波長選択スイッチ171aの入力に接続している。伝送路501bは光スプリッタ172bの入力に接続し、光インタフェース122bは波長選択スイッチ171bの入力に接続し、WDM光信号処理部241aの光スプリッタ172aの出力が波長選択スイッチ171bの他の入力に接続している。
【0058】
波長選択スイッチ171a、171bの他の入力及び光スプリッタ172a、172bの他の出力は拡張用であり、本構成においてそれらはいずれの構成要素とも接続されていない。
【0059】
次に、本構成における光信号の流れを説明する。光インタフェース122aからの入力光信号は、光合分波部243aにて他のインタフェース部の光信号と波長多重され、波長選択スイッチ171aへ入る(信号の挿入)。波長選択スイッチ171aは、光合分波部243aと他の伝送路501bからの光信号から必要な信号波長を選択し、選択した信号を合波する。波長選択スイッチ171aからの波長多重信号は、伝送路501aへ出力される。
【0060】
伝送路501aからの光信号は、光スプリッタ172aで分岐され、1つの信号は光合分波部243aに入り、他の1つの信号はWDM光信号処理部241bの波長選択スイッチ171bに入る。光合分波部243aは光スプリッタ172aからの光信号を分波し、光インタフェース122aはその対応波長の信号を受信してクライアント装置に送る(信号の分岐)。
【0061】
WDM光信号処理部241bにおける処理は、WDM光信号処理部241aにおける処理と同様である。光インタフェース122bから出力された光信号は、光合分波部243bにて他のインタフェース部の光信号と波長多重され、波長選択スイッチ171bへ入る(信号の挿入)。波長選択スイッチ171bは、光合分波部243bと他の伝送路501aからの光信号から必要な信号波長を選択し、選択した信号を合波する。波長選択スイッチ171bからの波長多重信号は、伝送路501bへ出力される。
【0062】
伝送路501bからの入力光信号は、光スプリッタ172bで分岐され、1つの信号は光合分波部243bに入り、他の1つの信号は波長選択スイッチ171aに入る。光合分波部243bは伝送路501bからの入力光信号を分波し、光インタフェース122bはその対応波長の信号を受信してクライアント装置に送る(信号の分岐)。
【0063】
以上の説明から理解されるように、この構成においては、挿入信号の出力先伝送路が固定されている。つまり、WDM光信号処理部241aにおいて挿入されたクライアント信号は、伝送路501aに出力される。WDM光信号処理部241bにおいて挿入されたクライアント信号は、伝送路501bに出力される。
【0064】
そのため、各伝送路に対応した光合分波部とインタフェース部が必要である。この構成は、伝送路数と同じ数のWDM光信号処理部があれば実現できるという利点がある。光合分波部としては、Arrayed Waveguide Grating(AWG)と呼ばれるPLC型素子を用いることができる。AWGにおいては出力ポートと波長が対応しているため、インタフェース部の入出力波長に合わせて、インタフェース部と光合分波部の入出力ポートとを接続する。
【0065】
図4A及び図4Bは、本実施形態における波長選択スイッチ171a、171bに適用可能な構成例171を説明する図である。波長選択スイッチ171は、複数の入力ポートからそれぞれ波長多重信号を入力し、所定の制御を行うことで、出力ポートから1つ又は複数の任意の波長を出力することが可能である。
【0066】
図4Aにおいて、PORT_1から波長λ1、λ2とλ5の光信号が入力し、PORT_2から波長λ2、λ7、λmの光信号が入力し、PORT_kから残りの波長λ3、λ4、λ6、λ8、・・・λm−1の光信号が入力している。出力ポートPORT_cが、波長多重信号を出力する。
【0067】
図4Aの例において、波長λ2の信号は、PORT_1、PORT_2の両方から入力する。波長選択スイッチ171は、いずれか一方の入力ポートからの波長λ2の信号を選択する。これにより、同一波長の光信号が、出力ポートPORT_cからの出力信号において重複しないようにすることができる。なお、λ2は一例であり、波長選択スイッチ171は、これ以外の1つあるいは複数の波長について同様の選択機能を備えている。
【0068】
図4Bに波長選択スイッチ171の機能ブロックの一例を示す。波長選択スイッチ171は、複数の分波器を備え、それぞれが各ポートに対応する。さらに、複数の選択スイッチを備え、それぞれが入力信号の各波長に対応する。図4Bは、PORT_1、PORT_2及びPORT_kのそれぞれに対応する分波器711a、711b、711cを明示している。また、波長λ1、λ2、λmのそれぞれに対応する選択スイッチ712a、712b、712cを明示している。
【0069】
波長選択スイッチ171において、PORT_1、PORT_2及びPORT_kから波長多重信号が入力されると、分波器711a、711b、711cは、それぞれ、その波長多重信号を異なる波長の信号に分離する。選択スイッチ712a、712b、712cは、それぞれ、波長λ1、λ2、λmの信号を受け、合波器713へ出力する光信号(ポート)を選択する。
【0070】
これにより、波長選択スイッチ171は、PORT_1からPORT_kにおいて同一の波長が入力されても、それらを重複することなく、合波器713から波長多重信号を出力することが可能である。本例では、λ2がPORT_1とPORT_2の両方に入力されているが、λ2用の選択スイッチ712bがいずれか1つのポートからの波長λ2の信号を選択して、合波器713へ出力する。
【0071】
図5は、図3に示すリング構成からメッシュ構成に拡張した光伝送装置100の構成を模式的に示している。図5の光伝送装置100において、ファイバ伝送路501cが新たに接続されており、3つの伝送路が光伝送装置に接続している。伝送路501cの増設に対応して、WDM光信号処理部241cが増設されている。さらに、WDM光信号処理部241d並びにそれに対応する光合分波部243c及び複数のインタフェース部が増設されている。インタフェース部のうち、一例として、光インタフェース部122c、122dが参照符号で指示されている。
【0072】
本構成の特徴として、WDM光信号処理部241dは、インタフェース部から入力された波長多重用信号をそれぞれの伝送路に送出することができる。これにより、メッシュ型ネットワークにおける経路選択の高い自由度を実現することができる。さらに、光伝送装置100の拡張において、既存の装置構成の変更は不要であり、リング構成における運用・保守性を維持しつつ、メッシュ構成へ拡張することができる。
【0073】
以下において、メッシュ構成の光伝送装置100の構成及び信号伝送処理について説明を行う。既に説明した構成については、必要がなければその説明を省略する。WDM光信号処理部241c、241dは、他のWDM光信号処理部241a、241bと同様の装置構成(ハードウェエア構成)を有している。
【0074】
WDM光信号処理部241cは波長選択スイッチ171c及び光スプリッタ172cを備え、WDM光信号処理部241dは波長選択スイッチ171d及び光スプリッタ172dを備える。WDM光信号処理部241c、241dは、この他、ノード監視制御部及び光分岐挿入部における他の構成を備えるが、説明を省略する。
【0075】
WDM光信号処理部241dは、他の構成要素との光信号線の接続において、他のWDM光信号処理部241a〜241cと異なる。具体的には、WDM光信号処理部241dにおいて、光スプリッタ172dの入力が、光合分波部243cの出力と接続している。光スプリッタ172dの3つの出力は、それぞれ、他のWDM光信号処理部241a〜241cの波長選択スイッチ171a〜171cの入力に接続している。このため、光合分波部243cからの光信号は、波長選択スイッチ171a〜171cの全ての入力信号である。
【0076】
WDM光信号処理部241dにおいて、波長選択スイッチ171dの出力は、光合分波部243cの入力に接続されている。波長選択スイッチ171dの3つの入力は、それぞれ、他のWDM光信号処理部241a〜241cの光スプリッタ172a〜172cに接続している。波長選択スイッチ171dは、伝送路501a〜501c(光スプリッタ172a〜172c)からの信号から、設定に従って波長を選択し、選択した波長の波長多重信号を光合分波部243cに出力する。
【0077】
このように、WDM光信号処理部241dにおいて、インタフェース部からの信号が光スプリッタ172dに入り、光スプリッタ172dが伝送路501a〜501c(波長選択スイッチ171a〜171c)に向けて光信号を分岐して出力する。これにより、光伝送装置100は、光信号を伝送路501a〜501cにおける任意の伝送路に出力することができる。
【0078】
また、伝送路501a〜501cからの光信号を受けた波長選択スイッチ171dが、光合分波部243cに光信号を出力する。これにより、光伝送装置100は、伝送路501a〜501cにおける任意の伝送路からの光信号を受信することができる。
【0079】
図6を参照して、光伝送装置100が、増設された光インタフェース部122cにおける波長λ1の光信号を、伝送路501aへ出力する処理例を説明する。インタフェース部122cの波長多重用信号λ1は、他のインタフェース部からの波長多重用信号と共に、光合分波部243cに入る。光合分波部243cは各インタフェース部からの波長多重用信号を合波し、波長多重信号を光スプリッタ172dに送る。
【0080】
光スプリッタ172dは、入力された光信号をほぼ均等な光パワーの複数の信号に分岐する。分岐された信号は、それぞれ全ての入力波長を含み、WDM光信号処理部241a〜241c内の波長選択スイッチ171a〜171cへ入る。
【0081】
波長選択スイッチ171aは、入力信号において、WDM光信号処理部241dからの光信号λ1を通過させる。この時、他のWDM光信号処理部からの別の波長の光信号を同時に通過させても良い。このことは以下の例でも同様である。光信号λ1を含む波長多重信号は、伝送路501aにより送信される。他の波長選択スイッチ171b、171cは、WDM光信号処理部241dからの光信号λ1を阻止する。光信号λ1は、伝送路501b、501cには出力されない。
【0082】
次に、図7を参照して、光伝送装置100が、増設されたインタフェース部122dにおける波長λkの光信号を、伝送路501cへ出力する処理例を説明する。インタフェース部122dの波長多重用信号λkは、他のインタフェース部からの波長多重用信号とともに光合分波部243cにおいて合波され、光スプリッタ172dに入る。
【0083】
光スプリッタ172dは、入力された光信号をほぼ均等な光パワーの複数の信号に分岐する。分岐された信号は、それぞれ、WDM光信号処理部241a〜241c内の波長選択スイッチ171a〜171cへ入る。
【0084】
波長選択スイッチ171cは、WDM光信号処理部241dからの入力信号である光信号λkを通過させる。光信号λkを含む波長多重信号は、伝送路501cにより送信される。他の波長選択スイッチ171a、171bは、光信号λkを阻止する。光信号λkは、伝送路501b、501cには出力されない。
【0085】
インタフェース部122cにおける波長多重用信号λ1を伝送路501bに出力する処理は、波長選択スイッチ171bでWDM光信号処理部241dの光スプリッタ172dから入力される光信号λ1を通過させ、他の波長選択スイッチ171a、171cにおいて光信号λ1を阻止する。
【0086】
次に、図8を参照して、伝送路501aからの入力信号に含まれる光信号λ1を、増設されたインタフェース部122cに伝送する処理例を説明する。WDM光信号処理部241aの光スプリッタ172aは、伝送路501aからの光信号をほぼ均等な光パワーの複数の信号に分岐する。分岐された複数の光信号は、それぞれ、他のWDM光信号処理部241b〜241dの波長選択スイッチ171b〜171dに入る。
【0087】
波長選択スイッチ171dは、WDM光信号処理部241aからの信号における光信号λ1を通過させる。他の波長選択スイッチ171b、171cは、光信号λ1を阻止する。波長選択スイッチ171dからの出力信号には、光信号λ1が含まれる。光合分波部243cは入力信号を分波して、光信号λ1をインタフェース部122cに出力する。
【0088】
このように、本実施形態によれば、光伝送装置100は、既存のリング構成の保守運用性を維持しながら、伝送路の増設に対応することができる。特に、増設するインタフェースの波長が既存のインタフェースと重複しないよう選ばれれば、既存のインタフェースは上記増設から何ら影響を受けることがない。
【0089】
さらに、光伝送装置100は、増設した挿入信号(クライアント信号)を光スプリッタにより分岐して、各伝送路の波長選択スイッチに入力することにより、挿入信号の出力先伝送路を任意に選択することができる。又、光伝送装置100は、各伝送路の光スプリッタからの信号を波長選択スイッチにより受け、1つもしくは複数の波長の信号を選択的に通過させることにより、任意の伝送路から光信号を受けることができる。
【0090】
上記構成において、4つのWDM光信号処理部241a〜241dは、同様の回路構成を有している。同様のハードウェア構成を有するモジュールを利用できるので、光伝送システム(光伝送装置)を効率的に構築することができる。このように、WDM光信号処理部は同様の構成を有することが好ましいが、これらは異なる構成を有していてもよい。
【0091】
例えば、WDM光信号処理部241a〜241dは、光スプリッタ172a〜172dに代えて、波長選択スイッチを備えることができる。光スプリッタは波長選択スイッチよりも構成がシンプルであるため、光スプリッタを使用することが好ましい。さらに、後の第3の実施形態で説明するポイント・ツー・マルチポイント型の通信に対応可能な構成を備えるために、WDM光信号処理部241a〜241dは、波長選択スイッチではなく、光スプリッタ172a〜172dを備えることが好ましい。
【0092】
WDM光信号処理部241a〜241cが、伝送路からの信号を受ける波長選択スイッチを備える場合、設計によっては、WDM光信号処理部241dにおける波長選択スイッチ171dでなく光スプリッタを用いてもよい。WDM光信号処理部241a〜241cの波長選択スイッチにより、WDM光信号処理部241dのインタフェース部に出力する光信号を選択する。
【0093】
図5〜図8の説明では省略したが、WDM光信号処理部241cに、光合分波部及びインタフェース部を接続することも可能である。設計によっては、波長選択スイッチ171a〜171dは、他のWDM光信号処理部の一部の光スプリッタの出力とのみ接続していてもよい。
【0094】
本実施形態の光伝送装置は3以上の伝送路と接続された光伝送装置に特に好適であるが、接続伝送路数が2の光伝送装置が、WDM光信号処理部241dを備えていてもよい。光伝送装置は、インタフェース部からWDM光信号処理部241dに入力した挿入信号を、2伝送路うちの任意の伝送路に出力することができる。又、任意の伝送路から入力された光信号を分岐してインタフェース部に接続されたクライアント装置に転送することができる。
【0095】
上記の光伝送装置100は、1つの任意伝送路選択用WDM光信号処理部241dを備えるが、光伝送装置100は複数の任意伝送路選択用WDM光信号処理部を備えることができる。
【0096】
<第2の実施形態>
以下において、図9を参照して、第2の実施形態を説明する。本実施形態は、既存のリング構成時の保守運用性を維持しながら伝送路の増設に対応し且つ挿入信号の出力先伝送路を任意に選択できるだけでなく、インタフェース部と光合分波部の接続関係を任意に選択することができる光伝送装置の例を説明する。
【0097】
第1の実施形態においては、光合分波部243cのインタフェース部への出力ポートにおける波長は固定であった。本実施形態の光伝送装置100は、光合分波部の出力ポートにおいて光信号の波長を選択することができる。これにより、インタフェース部は、送受信する波長によらず、任意の光合分波部のポートに接続することができる。
【0098】
図9は、本実施形態における光伝送装置100の一例を示す構成図である。図9の光伝送装置100において、既に説明した図3又は図5が示す構成と同一部分については、説明を省略する。図9に示す構成において、光合分波部243dは、k入力1出力の光カプラ431、1入力k出力の光カプラ432及び複数の波長可変フィルタを備えている。波長可変フィルタのうち、2つの波長可変フィルタが、参照符号433a、433bで指示されている。ここでは、機能を示すため、1入力k出力の光カプラ432を、光スプリッタと呼ぶ。
【0099】
光カプラ431の入力ポートには、複数のインタフェース部の出力が接続される。光カプラ431は、インタフェース部からの信号を結合して、光スプリッタ172dに送る。光スプリッタ432の出力ポートには、インタフェース部の入力が接続される。インタフェース部との接続のため、光カプラ431の入力ポート数と光スプリッタ432の出力ポート数は同数とする。このポート数は、各伝送路の最大波長多重数と同じであってもよく、それよりも少なくてもよい。
【0100】
光スプリッタ432の各出力ポートには、波長可変フィルタが実装されている。波長可変フィルタは、設定された波長の光信号を選択的に出力する。ノード監視制御部121は、統合監視制御装置10からの指示に従い、波長可変フィルタの通過波長を設定する。波長可変フィルタは、設定された波長の光信号を通過させ、設定範囲外の波長の信号を阻止する。これにより、波長可変フィルタは、対応するインタフェース部が受信すべき波長を選択して出力する。
【0101】
図9の構成において、波長可変フィルタ433aは光インタフェース部122cとの接続する出力ポートの波長選択を行う。具体的には、波長可変フィルタ433aは波長λ1の光信号のみを通過させる。波長可変フィルタ433bは光インタフェース部122dと接続する出力ポートの波長選択を行う。具体的には、波長可変フィルタ433bは波長λkの光信号のみを通過させる。
【0102】
本構成によれば、インタフェース部は、その光信号の波長によらず光合分波部243dの任意の入力ポートと接続することができる。又、波長可変フィルタの通過波長を適切に設定することにより、インタフェース部で受信すべき波長が出力ポートにおいて選択されるので、インタフェース部への入力光信号の波長によらず、そのインタフェース部を光合分波器243dの任意の出力ポートに接続できる。
【0103】
好ましくは、光合分波部243dの全ての出力ポートに波長可変フィルタを実装する。設計によっては、光合分波部243dの一部の出力ポートのみに波長可変フィルタを実行し、他の出力ポートには固定フィルタを実装してもよい。もしくは、波長可変フィルタをインタフェース部に実装しても良い。
【0104】
図9に示すように、好ましい構成において、WDM光信号処理部241a〜241dは、波長選択スイッチ171a〜171dの出力側及び光スプリッタ172a〜172dの入力側に、光増幅部175a〜175dを備える。光増幅部175a〜175cは、伝送路501a〜501cとの間で送受信する光信号のパワーをWDM光信号処理部241a〜241c以降のハードウェアでの処理および伝送する信号品質に適した値に増幅する。光増幅部175dは、合分波部243dとの間で送受信する光信号のパワーがWDM光信号処理部241d以降のハードウェアでの処理および信号品質に適した値に増幅する。
【0105】
上述のように光増幅部175a〜175cにより、伝送路及びインタフェース部に対して、適切なパワーの光信号を出力することができる。また、伝送路及びインタフェース部からの光信号のパワーをWDM光信号処理部に適切な値とすることができる。光伝送装置100は、伝送路のための光増幅器とインタフェース部のための光増幅器の一方のみを備えていてもよい。WDM光信号処理部241a〜241cは、インタフェース部のための光増幅器を備えることができる。
【0106】
<第3の実施形態>
以下において、図10及び図11を参照して、第3の実施形態を説明する。本実施形態において、上記第1及び第2の実施形態において説明した構成の説明を省略する。第1及び第2の実施形態において説明した光伝送装置100は、ポイント・ツー・マルチポイント型通信に対応可能な構成を有している。本実施形態においては、光伝送装置100によるポイント・ツー・マルチポイント型通信を説明する。特定の信号をポイント・ツー・マルチポイント通信に利用するため、光伝送装置100は、その光信号をマルチキャストする。
【0107】
光伝送装置100は、任意伝送路選択用WDM光信号処理部241dから挿入された光信号を、複数の伝送路に同時に転送することができる。伝送路501a〜501cに信号出力する波長選択スイッチ171a〜171cのうちの複数の波長選択スイッチが、挿入信号を選択して伝送路に出力する。
【0108】
また、任意の伝送路における光信号を、WDM光信号処理部241dに接続されたクライアント装置に転送すると共に、他の伝送路に転送することができる。WDM光信号処理部241dにおける波長選択スイッチ171d及び上記他の伝送路の波長選択スイッチが、同一の光信号を選択する。
【0109】
まず、WDM光信号処理部241dにおける挿入信号を、複数伝送路に出力する処理の例を、図10を参照して説明する。本処理例は、光インタフェース部122cからの挿入信号λ1を、2つの伝送路501a及び501cに出力する。
【0110】
光インタフェース部122cの波長多重用信号λ1は、他のインタフェース部からの光信号と共に、光合分波部243dの光カプラ431に入る。光カプラ431は複数のインタフェース部からの信号を結合し、波長多重信号を光スプリッタ172dに送る。
【0111】
光スプリッタ172dは、入力された光信号をほぼ均等な光パワーの複数の信号に分岐する。分岐された信号は、それぞれ全ての入力波長を含み、WDM光信号処理部241a〜241c内の波長選択スイッチ171a〜171cへ入る。
【0112】
波長選択スイッチ171a、171cは、入力信号において、WDM光信号処理部241dからの光信号λ1を通過させる。光信号λ1を含む波長多重信号は、光増幅器175a、175cにより増幅されて、伝送路501a、501cに出力される。波長選択スイッチ171bは、WDM光信号処理部241dからの光信号λ1を阻止する。光信号λ1は、伝送路501bには出力されない。
【0113】
次に、図11を参照して、伝送路501aからの波長多重信号における波長λ1の光信号を、光インタフェース部122c及び伝送路501bに転送する処理例を説明する。WDM光信号処理部241aの光スプリッタ172aは、伝送路501aから光増幅器175aを介して入力された波長多重信号をほぼ均等な光パワーの複数の信号に分岐する。分岐された複数の光信号は、それぞれ、他のWDM光信号処理部241b〜241dの波長選択スイッチ171b〜171dに入る。
【0114】
波長選択スイッチ171bは、WDM光信号処理部241aからの信号における光信号λ1を通過させる。波長選択スイッチ171bからの波長多重信号は光信号λ1を含み、光増幅器175bで増幅されて、伝送路501bに出力される。波長選択スイッチ171cは、WDM光信号処理部241aからの信号における光信号λ1を阻止する。
【0115】
波長選択スイッチ171dは、WDM光信号処理部241aからの信号における光信号λ1を通過させる。波長選択スイッチ171dからの出力信号には、光信号λ1が含まれる。波長選択スイッチ171dからの出力信号は、光増幅器175dを介して、光合分波部243dに入る。光スプリッタ432は入力信号を分岐し、波長可変フィルタ433aが、光信号λ1を通過させる。インタフェース部122cは、波長可変フィルタ433aから光信号λ1を受信する。
【0116】
以上のように、光スプリッタにより波長多重信号を分岐し、波長多重信号を受けた複数の波長選択スイッチがその波長多重信号から所望の波長の光信号を通過させることで、ポイント・ツー・マルチポイント型通信を行うことができる。上記光伝送装置は、第2の実施形態で説明した構成を備えるが、第1の実施形態で説明した構成においても、ポイント・ツー・マルチポイント型通信を同様に行うことができる。
【0117】
以上、本発明を添付の図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこのような具体的構成に限定されるものではなく、添付した請求の範囲の趣旨内における様々な変更及び同等の構成を含むものである。
【符号の説明】
【0118】
10…統合監視制御装置、11…制御ネットワーク、100〜104…光伝送装置、121…ノード監視制御部、122a〜122d…光インタフェース部、123…光電気インタフェース部、124…光分岐挿入部、171…波長選択スイッチ、171a〜171d…波長選択スイッチ、172a〜172d…光スプリッタ(光カプラ)、175a〜175d…光増幅部、211…通信制御部、213…構成管理情報、214…障害管理情報、215…性能管理情報、216…切替管理情報、231、233…光送受信器、232…電気スイッチ、242a〜243d…光増幅部、241a〜241d…WDM光信号処理部、411…通信制御部、413…切替状態情報、414…性能情報取得部、415…障害情報取得部、416…駆動制御部、417…WDM光スイッチ部、421…増幅器、422…監視信号処理部、431…光カプラ、432…光スプリッタ(光カプラ)、433a、433b…波長可変フィルタ、501a〜501c…ファイバ伝送路、711a〜711c…分波器、712a〜712c…選択スイッチ、713…合波器、801〜811…ファイバ伝送路、900…クライアント装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送装置及び光伝送システムに関し、特に波長多重及び光分岐挿入が可能な光伝送装置及び光伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットに代表されるデータ・トラフィックの急増により、通信ネットワークの伝送容量の大容量化が進んでいる。この大容量化は、時分割多重技術及び光波長多重技術を用いて実現されている。1チャネルあたり毎秒10ギガビットの伝送装置、1本の光ファイバへ数チャネルから数十チャネルの波長多重や、光増幅器又は再生中継器等を用いて、数百kmを超える長距離伝送が可能なポイント・ツー・ポイント型の波長多重伝送システムが実用化されている。
【0003】
今後の伝送容量の需要増、さらなる経済化及びサービスの多様化に対応するため、通信ノードを環状に接続したリング型光ネットワークが検討されている。さらに、より経路選択の自由度を増すため、通信ノードを網目状に接続したメッシュ型光ネットワークが検討されている。
【0004】
リング型光ネットワークで使われる光伝送装置は、光分岐挿入装置(Optical Add−Drop Multiplexer;OADM)と呼ばれる。メッシュ型光ネットワークで使われる光伝送装置は、光クロスコネクト装置(Optical CROSS−Connect;OXC)と呼ばれる。
【0005】
これらの光伝送装置は、光信号を電気信号に変換することなく、光信号のままノードを通過させる構成を備えることで、ネットワーク全体を経済的に実現することができる。この他、各ノード装置を遠隔一元管理するネットワーク監視制御システムにより、運用の簡素化を図ることができる。又、各ノード装置の監視制御部が相互連携することにより、回線の始点から終点までのエンド・ツー・エンドのパス管理の容易化及びパス設定の高速化を期待することができる。
【0006】
OADM、OXCは、光信号のアド・ドロップ/スルーの選択及び経路切替のため、光スイッチを使用する。現在、このような光スイッチを実現するいくつかの技術が知られている。それらの例は、材料に電界を印加することで生じる屈折率変化を応用した半導体スイッチやLiNO3スイッチ、そして、材料に熱を加えることで生じる屈折率変化を応用したPLC(Planar Lightwave Circuit)スイッチである。
【0007】
これらの他、電磁石を利用して光ファイバ又はレンズの位置を移動させる可動光スイッチ、静電力を利用して半導体技術で作成した微小なミラーを制御するMicro−Electro−Mechanical Systems(MEMS)スイッチ、液晶に印加する電圧を変えることで光信号の透過や反射を選択する液晶光スイッチが知られている。
【0008】
MEMS又は液晶技術の応用技術として、切替機能に加え、波長多重機能を備えた波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch;WSS)が知られている。WSSを用いた光伝送装置は、例えば、特開2006−140598号公報(特許文献1)に開示されている。
【0009】
この文献は、光経路切替手段において、いずれかの入力ポートから入力されるWDM(Wavelength Division Multiplexing)光に含まれる1又は2以上の波長の信号光を選択していずれかの出力ポートから出力する構成を開示している。さらに、これにより、当該WDM光を従来のように波長毎に分波することなく或る伝送経路からのWDM光に含まれる任意波長の信号光の伝送経路を異なる経路へ変更することができ、光経路切替手段に必要なポート数を大幅に削減することができると述べている。
【0010】
この他、特開2008−60773号公報(特許文献2)は、挿入する光信号の出力方路が固定化されておらず、任意の出力方路を選択できる光伝送装置を開示している。この光伝送装置は光分岐挿入機能を備え、任意の分岐挿入部へ/から任意の方路に対して任意波長の信号光を分岐/挿入することができ、方路数の増減及び波長数の増減に容易に対応し得るようにすると共に装置構成を簡素化・小型化すると、この文献は述べている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−140598号公報
【特許文献2】特開2008−60773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
経路選択の自由度を高め、サービスの多様化に応えるため、既存のネットワークに方路を追加し、ネットワーク・トポロジーを変更する要求が存在する。ネットワーク・トポロジー変更の典型的な例は、リング型光ネットワークからメッシュ型光ネットワークへの変更である。
【0013】
このネットワークの変更において、光伝送装置は、リング構成からメッシュ構成への変更に対応可能であることが要求される。リング型光ネットワークで使用される光伝送装置(OADM)は、接続されているファイバ伝送路数が2のリング構成を有している。従って、光伝送装置は、ネットワーク・トポロジーの移行に伴い、接続伝送路数を増やす拡張に対応可能であることが必要である。又、メッシュ型光ネットワークにおける光伝送装置は、経路選択の高い自由度を備えることが重要である。
【0014】
さらに、特許文献2が指摘するように、従来のリング型ネットワークで使用されるOADMにおいて、挿入する光信号の出力先伝送路が固定化されており、この状態でOADMの運用・保守が行われている。従って、光伝送装置に対して、従来構成の運用・保守性を維持しつつ、伝送路の増設及び経路選択の自由の増加に対応可能であることが求められる。
【0015】
あるいは、ネットワークの運用性を向上させるため、光伝送装置には、1つのノードの送信器からの光出力信号を別の1つのノードの受信器で受信するポイント・ツー・ポイント型の通信だけでなく、1つのノードの送信器からの光出力信号を別の複数のノードの受信器で受信するポイント・ツー・マルチポイント型の通信にも対応可能であることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決する複数の手段を含んでいるが、その一つは、複数の伝送路に接続する光伝送装置である。前記光伝送装置は、それぞれが前記複数の伝送路のそれぞれに対応する、複数の第一の波長多重光信号処理部と、クライアント装置と接続しクライアント信号と波長多重用信号との変換を行うインタフェース部と、前記インタフェース部と接続し前記インタフェース部から前記波長多重用信号を受ける第二の波長多重光信号処理部とを備える。前記複数の第一の波長多重光信号処理部のそれぞれは、複数入力を備え、その複数入力からの光入力信号から選択した信号を合波して対応する伝送路に出力する波長選択スイッチを備える。前記インタフェース部からの波長多重用信号を受ける前記第二の波長多重光信号処理部は、前記波長多重用信号を含む光信号を分岐し、前記複数の第一の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチのそれぞれに出力する光スプリッタを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、リング構成の光伝送装置のような挿入する光信号の出力先伝送路が固定されていた光伝送装置において、その運用・保守性を維持しながら、伝送路の増設に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】本発明の光伝送システムを適用することができるネットワーク形態の例を模式的に示す図である。
【図1B】本発明の光伝送システムを適用することができるネットワーク形態の他の例を模式的に示す図である。
【図1C】本発明の光伝送システムを適用することができるネットワーク形態の他の例を模式的に示す図である。
【図2】第1の実施形態において、光伝送装置の構成例を模式的に示す図である。
【図3】第1の実施形態において、2ファイバ伝送路が接続されているリング構成の光伝送装置の構成例を模式的に示す図である。
【図4A】第1の実施形態において、光伝送装置における波長選択スイッチの機能を模式的に示す図である。
【図4B】第1の実施形態において、波長選択スイッチの機能ブロックの構成例を模式的に示す図である。
【図5】第1の実施形態において、リング構成からメッシュ構成に拡張された光伝送装置の構成例を模式的に示す図である。
【図6】第1の実施形態において、メッシュ構成の光伝送装置による光伝送における光信号の流れの一例を示している。
【図7】第1の実施形態において、メッシュ構成の光伝送装置による光伝送における光信号の流れの他の例を示している。
【図8】第1の実施形態において、メッシュ構成の光伝送装置による光伝送における光信号の流れの他の例を示している。
【図9】第2の実施形態において、光伝送装置の構成例を模式的に示す図である。
【図10】第3の実施形態において、光伝送装置のポイント・ツー・マルチポイント通信における光信号の流れの例を示している。
【図11】第3の実施形態において、光伝送装置のポイント・ツー・マルチポイント通信における光信号の流れの他の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態を説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略及び簡略化がなされている。又、各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0020】
<第1の実施形態>
図1A〜図8を参照して、第1の実施形態を説明する。本実施形態は、光ネットワーク・システムにおける光伝送装置に特徴を有している。本実施形態の光伝送装置は、様々なネットワーク・トポロジーにおいて利用することができる。図1A〜図1Cは、本実施形態の光伝送装置を利用可能な典型的な光ネットワーク・システムを模式的に示している。
【0021】
図1Aは、リニア型ネットワークを模式的に示している。図1Aの構成は、3つの光伝送装置(ノード)101〜103を備えており、二つの光伝送装置101と光伝送装置103とが端点でのノードである。光伝送装置101と光伝送装置103との間に光伝送装置102があり、光伝送装置101と光伝送装置102とがファイバ伝送路801で接続されており、光伝送装置102と光伝送装置103とファイバ伝送路802で接続されている。ファイバ伝送路801、802は、光主信号を双方向で伝送する。これは、以下の説明における他のファイバ伝送路について同様である。
【0022】
光伝送装置102は、光伝送装置101又は光伝送装置103が挿入(アド)した信号の少なくとも一部を、分岐(ドロップ)することが可能であり、又、光伝送装置102は、別の信号を挿入することが可能である。図1Aにおける実線矢印は、光伝送装置101と光伝送装置102と間、光伝送装置102と光伝送装置103と間、そして光伝送装置103と光伝送装置101と間に設定されているパスを示している。これらのパスは一例である。
【0023】
図1Bは、リング型ネットワークを模式的に示している。本例は、4つの光伝送装置(ノード)101〜104を備え、隣接する光伝送装置がファイバ伝送路で接続されている。具体的には、光伝送装置101と光伝送装置102、光伝送装置102と光伝送装置103、光伝送装置103と光伝送装置104、光伝送装置104と光伝送装置101をそれぞれ、ファイバ伝送路801〜804が接続している。
【0024】
ネットワークがリングを形成しているので、いずれかのファイバ伝送路の1箇所において障害が発生した場合も、逆周りの信号伝送により信号を保護することができる。また、運用が比較的簡単であることもリング型ネットワークの利点である。図1Bにおいて、実線矢印は、光伝送装置101、102の間、光伝送装置102、103の間、そして、光伝送装置101、103、104の間において設定されているパスを示している。これらのパスは一例である。
【0025】
図1Cは、メッシュ型ネットワークを示している。本例において、光伝送装置(ノード)101〜104及び図示しない他の光伝送装置が、網の目状のファイバ伝送路で接続されている。図1Cにおいては、ファイバ伝送路801〜811が図示されている。本図における実線矢印は、ノード間で設定されているパスを示している。これらのパスは一例である。メッシュ型ネットワークの運用管理は、リング型ネットワークと比較して難しいが、メッシュ型ネットワークは、諸条件に応じてパスの経路変更が可能な自由度の高いネットワークである。
【0026】
図1A〜図1Cのいずれのシステムにおいても、各光伝送装置101〜104は、統合監視制御装置(統合監視制御サーバ)10と、制御ネットワーク11を介して通信を行う。統合監視制御装置10は光伝送装置101〜104の構成、動作、性能、警報等の管理を行うと共に、ネットワークのリソース管理を行う。光伝送装置101〜104は、統合監視制御装置10の指示(制御)に従って光信号伝送を行う。
【0027】
上述のように、本実施形態の光伝送装置は、図1A〜図1Cに示すいずれのネットワーク形態においても、1つ又は複数の光ノードにおいて利用することができる。本実施形態の光伝送装置の利点の一つは、光伝送装置の既存構成の保守・運用性を維持しつつ、リング構成からメッシュ構成へ容易に拡張することができることである。以下において、本実施形態の光伝送装置のリング構成からメッシュ構成への拡張について説明を行う。
【0028】
まず、図2を参照して、リング構成の光伝送装置100の全体構成例を説明する。例えば、光伝送装置100は、図1Bにおける光伝送装置102として利用される。なお、図2に示す構成は一例であって、光伝送措置100は他の構成を有することができる。光伝送装置100は、ノード監視制御部121及び光分岐挿入部124を備えている。光分岐挿入部124は、伝送路に波長多重信号を挿入し、又、伝送路からの波長多重信号から任意の波長の信号を分岐させてインタフェース部に送る。ここでインタフェース部は光インタフェース122、光電気インタフェース123(光送受信器231および233)を区別せず説明する際に用いる名称である。
【0029】
光分岐挿入部124は、WDM(Wavelength Division Multiplexing)光信号処理部241a、241b、光増幅部242a、242bそして光合分波部243a、243bを備えている。
【0030】
WDM光信号処理部241a、241bは、それぞれ光増幅部242a、242bに接続されている。また、WDM光信号処理部241a、241bは、それぞれ光合分波部243a、243bに接続されている。WDM光信号処理部241a、241bは同様の構成を有している。以下においては、WDM光信号処理部241aの構成、処理及びそれに関連する他の構成について説明を行い、WDM光信号処理部241bの説明を省略する。
【0031】
光伝送装置100は、光合分波部243aに接続されている複数のインタフェース部を備えている。図2は、それらのうちの、光インタフェース部122と光電気インタフェース部123を例示している。光伝送装置100は一方の種類のインタフェース部のみを備えていてもよい。インタフェース部のそれぞれは、クライアント装置900のポートに接続されている。
【0032】
光伝送装置100は2つの伝送路に接続されており、図2は光増幅部242aと接続されている一つの伝送路501aを例示している。伝送路501aは双方向の信号伝送が可能である。光伝送装置100は、複数のインタフェース部からの信号及び他の伝送路からの信号を波長多重して伝送路501aへ送出する。又、光伝送装置100は、伝送路501aからの波長多重信号から所望の波長の信号を分岐させて、それをクライアント装置900に送る。
【0033】
光インタフェース部122は、オーバーヘッド処理、ビット・インターリーブド・パリティ(Bit Interleaved Parity;BIP)を用いた主信号品質監視、クライアント装置900から受信したクライアント信号の伝送路へ出力される波長への変換などを行う。図2の例においては、クライアント装置900が複数のポートを備え、一つのインタフェース部は、一つのポートのクライアント信号に対応している。異なるインタフェース部に異なるクライアント装置が接続されてもよい。
【0034】
光インタフェース部122は、伝送距離拡大や、ファイバの季節変動や物理的外力による損失変動や部品の経年劣化など他の要因による品質劣化を補償するために、例えば、ITU−T勧告G.709に示されるような誤り訂正処理を行うこともある。
【0035】
光インタフェース部122は、例えば、STM−16(2.5Gbit/s)、STM−64(10Gbit/s)、STM−256(40Gbit/s)をインタフェースとするクライアント装置からの信号を受信し、それぞれITU−T G.709 OTNで規定されるOTU1(2.7Gbit/s)、OTU2(10.7Gbit/s)、OTU3(42.8Gbit/s)の伝送レート及びITU−Tで規定された波長を持つ信号へ変換して合分波部243a経由でWDM光信号処理部241aへ出力する。又、WDM光信号処理部241aからの信号を、上記変換の逆変換する機能を持つ。
【0036】
光インタフェース部122は、ある光ノードで一方の伝送路から別の伝送路へ転送される信号に対しては、OTUn(n=1、2、3)の信号を再生中継する機能を持ってもよい。光インタフェース部122は、クライアント信号として、他に例えばIEEE 802.3zで規定されるGbE(1Gbit/s)や、IEEE 802.3aeで規定される10GbE(10.3Gbit/s)に対応してもよい。WDM光信号処理部241aとのインタフェース速度は、これらに誤り訂正符号分の比率、例えば7%〜25%程度を付加したものになる。
【0037】
光伝送装置100は、光インタフェース部122に代わり又は光インタフェース部122に加えて、光電気インタフェース123を備えてもよい。一例において、光電気インタフェース123は、クライアント装置900からの光信号を受信して電気信号に変換する光送受信器231と、光送受信器231からの電気信号を所望の単位で切替える電気スイッチ232と、電気スイッチ232からの電気信号を受信して波長多重信号に適した光信号に変換する光送受信器233を備える。
【0038】
光分岐挿入部124において、光合分波部243aは、複数のインタフェース部からの波長多重用信号を合波し、又、伝送路からの信号を複数の波長多重用信号に分波する。WDM光信号処理部241aと光増幅部242aの組が、伝送路501aの光信号の送受信を行う。
【0039】
WDM光信号処理部241aは、通信制御部411、プロセッサ(CPU)412、切替状態情報413、性能情報取得部414、障害情報取得部415、駆動制御部416、そしてWDM光スイッチ部417を備えている。情報はメモリに格納されている。WDM光スイッチ部417は、光信号の波長多重分離及び切替を行う。WDM光スイッチ部417の詳細は、後に説明する。
【0040】
駆動制御部416は、CPU412の制御下において、WDM光スイッチ部417に電圧加えてそれを駆動する。CPU412は、切替状態情報413に制御情報を格納し、駆動制御部416は、切替状態情報413に従ってWDM光スイッチ部417を駆動する。CPU412は、駆動制御部416を直接に制御し、その制御結果としての情報を切替状態情報413に格納してもよい。
【0041】
性能情報取得部414は、入力信号の波長及び光パワー、出力する信号の光パワーをモニタし、これらの値を格納する。CPU412は、性能情報から光パワー損失を算出することができる。CPU412は、光パワー損失から、入出力の異常動作を検出することができる。
【0042】
障害情報取得部415は、WDM光スイッチ部417の障害を検出し、その情報を格納する。CPU412は、障害情報取得部415から定期的に情報を取得し、障害を示す情報を取得すると、通信制御部411を介して、ノード監視制御部121に通知する。なお、CPU412は他の電子回路が行う管理処理の一部を行ってもよく、CPU412の処理の一部を他の電子回路が行ってもよい。
【0043】
ノード監視制御部121は、複数のWDM光信号処理部を含む光伝送装置100の全体を監視、制御する。ノード監視制御部121は、通信制御部211、プロセッサ(CPU)212、構成管理情報213、障害管理情報214、性能管理情報215、切替管理情報216を備えている。CPU212が上記情報を収集し、その情報をメモリ内に格納する。他の電子回路がこの処理を行ってもよい。
【0044】
構成管理情報213は、光伝送装置100の構成情報、例えば、WDM光信号処理部の数、接続伝送路数などの情報を格納している。障害管理情報214は光伝送装置100の障害情報を格納し、性能管理情報215は光伝送装置100の性能情報を格納する。切替管理情報216は、WDM光信号処理部241a、241bの切替情報を格納している。
【0045】
CPU212は、通信制御部211を介して、統合監視制御装置10から、信号(伝送路の信号及び接続されているクライアントからの信号)の転送を行うための情報を取得し、その情報からWDM光信号処理部241aへの切替指示の情報を生成し、それを切替管理情報216に格納する。WDM光信号処理部241aは、切替管理情報216に格納されている情報をノード監視制御部121から受け、その情報に従って駆動制御部416を介して、WDM光スイッチ部417を操作する。
【0046】
光増幅部242aは、光波長多重信号を、光信号のまま増幅してファイバ伝送路501aへ送出する。光増幅部242aは、WDM光信号処理部241aからの信号を光増幅器421で増幅してファイバ伝送路へ送出し、又、ファイバ伝送路からの波長多重信号を増幅してWDM光信号処理部241aへ送る。さらに、光増幅部242aは、監視信号処理部422を備える。監視信号処理部422は、伝送路で伝送する波長多重信号に監視用制御信号を重畳し、ノード間の監視用制御信号の授受を行う。
【0047】
ファイバ伝送路へ送出する際の光パワーは、波長数、光ノード間伝送路損失、光増幅器の雑音指数と光信号対雑音との比(Optical Signal−to−Noise Ratio;OSNR)並びにファイバ中の非線形効果、波長分散、偏波分散による波形劣化及び雑音増加を考慮して決定される。
【0048】
非線形効果としては、自己位相変調(Self Phase Modulation;SPM)、相互位相変調(Cross Phase Modulation;XPM)、四波混合(Four Wave Mixing;FWM)などが知られている。波形劣化量は、波長数、ファイバの分散、非線形定数、ファイバへの入力パワー、光ファイバ損失等に依存する。
【0049】
光インタフェース部122へ送出する前の光増幅器421の出力パワーは、WDM光信号処理部241aの損失、パス端でのOSNR、そして受信器のダイナミックレンジ及び受信感度等を考慮して決められる。ファイバの波長分散による波形劣化を相殺する分散補償機能を光増幅部やインタフェース部に組み込んでもよい。
【0050】
分散補償機能を実現する手段としては、ファイバ伝送路と符号が異なる分散補償ファイバや、ファイバ回折格子、光学レンズ、共振器、電気信号処理など利用したものが知られている。光インタフェース部122から出力される波長は、例えばITU−T勧告G694.1やG694.2で規定される波長グリッド上の波長であり、その波長数は、8波、16波、20波、40波、64波、80波、128波、160波など、伝送条件を工夫することで様々な選択肢から選ぶことができる。
【0051】
図3は、接続された伝送路数が2のリング構成を有する光伝送装置100において、光信号の接続関係を模式的に示す図である。図3は、WDM光信号処理部241a、241bの一部の構成を模式的に示しており、説明の明確化のため、WDM光信号処理部241a、241bにおける多くの構成要素を省略している。なお、以下の光信号の接続関係の説明において、光カプラ(光スプリッタ)及び波長選択スイッチのポート数は一例に過ぎず、本実施形態の効果は特定のポート数に限定されない。
【0052】
WDM光信号処理部241aは、伝送路501a及び光合分波部243aに接続されている。WDM光信号処理部241bは、伝送路501b及び光合分波部243bに接続されている。光合分波部243a、243bにはそれぞれ、光インタフェース部122a、122bが接続されている。光合分波部243a、243bのそれぞれに複数のインタフェース部が接続されており、光インタフェース部122a、122bは、それらのうちの1つである。
【0053】
WDM光信号処理部241aは、波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch;WSS)171a及び光カプラ(OC)172aを備えている。WDM光信号処理部241bは、波長選択スイッチ171b及び光カプラ172bを備えている。光カプラ172a、172bは光スプリッタとして機能するため、以下においては、これらを光スプリッタ172a、172bと呼ぶ。
【0054】
図3の例においては、波長選択スイッチ171a、171bは、1x5波長選択スイッチであり、5入力1出力を備える。また、光スプリッタ172a、172bは、1x5光スプリッタであり、5入力1出力を備える。波長選択スイッチ171a、171b及び光スプリッタ172a、172bは、WDM光スイッチ部417の構成要素である。
【0055】
WDM光信号処理部241aの1つの出力は伝送路501aに接続し、他の1つの出力は、光合分波部243aを介して、光インタフェース122aに接続している。WDM光信号処理部241aの1つの入力は伝送路501aに接続し、他の1つの入力は、光合分波部243aを介して、光インタフェース122aに接続し、そして、他の1つの入力はWDM光信号処理部241bに接続している。
【0056】
具体的には、波長選択スイッチ171aの出力は、伝送路501aに接続し、光スプリッタ172aの出力は、もう一方のWDM光信号処理部241bの波長選択スイッチ171bの入力に接続している。伝送路501aは光スプリッタ172aの入力に接続し、光インタフェース122aは波長選択スイッチ171aの入力に接続し、WDM光信号処理部241bの光スプリッタ172bの出力が波長選択スイッチ171aの他の入力に接続している。
【0057】
WDM光信号処理部241bにおける光信号線接続も同様である。波長選択スイッチ171bの出力は伝送路501bに接続し、光スプリッタ172bの出力は、もう一方のWDM光信号処理部241aの波長選択スイッチ171aの入力に接続している。伝送路501bは光スプリッタ172bの入力に接続し、光インタフェース122bは波長選択スイッチ171bの入力に接続し、WDM光信号処理部241aの光スプリッタ172aの出力が波長選択スイッチ171bの他の入力に接続している。
【0058】
波長選択スイッチ171a、171bの他の入力及び光スプリッタ172a、172bの他の出力は拡張用であり、本構成においてそれらはいずれの構成要素とも接続されていない。
【0059】
次に、本構成における光信号の流れを説明する。光インタフェース122aからの入力光信号は、光合分波部243aにて他のインタフェース部の光信号と波長多重され、波長選択スイッチ171aへ入る(信号の挿入)。波長選択スイッチ171aは、光合分波部243aと他の伝送路501bからの光信号から必要な信号波長を選択し、選択した信号を合波する。波長選択スイッチ171aからの波長多重信号は、伝送路501aへ出力される。
【0060】
伝送路501aからの光信号は、光スプリッタ172aで分岐され、1つの信号は光合分波部243aに入り、他の1つの信号はWDM光信号処理部241bの波長選択スイッチ171bに入る。光合分波部243aは光スプリッタ172aからの光信号を分波し、光インタフェース122aはその対応波長の信号を受信してクライアント装置に送る(信号の分岐)。
【0061】
WDM光信号処理部241bにおける処理は、WDM光信号処理部241aにおける処理と同様である。光インタフェース122bから出力された光信号は、光合分波部243bにて他のインタフェース部の光信号と波長多重され、波長選択スイッチ171bへ入る(信号の挿入)。波長選択スイッチ171bは、光合分波部243bと他の伝送路501aからの光信号から必要な信号波長を選択し、選択した信号を合波する。波長選択スイッチ171bからの波長多重信号は、伝送路501bへ出力される。
【0062】
伝送路501bからの入力光信号は、光スプリッタ172bで分岐され、1つの信号は光合分波部243bに入り、他の1つの信号は波長選択スイッチ171aに入る。光合分波部243bは伝送路501bからの入力光信号を分波し、光インタフェース122bはその対応波長の信号を受信してクライアント装置に送る(信号の分岐)。
【0063】
以上の説明から理解されるように、この構成においては、挿入信号の出力先伝送路が固定されている。つまり、WDM光信号処理部241aにおいて挿入されたクライアント信号は、伝送路501aに出力される。WDM光信号処理部241bにおいて挿入されたクライアント信号は、伝送路501bに出力される。
【0064】
そのため、各伝送路に対応した光合分波部とインタフェース部が必要である。この構成は、伝送路数と同じ数のWDM光信号処理部があれば実現できるという利点がある。光合分波部としては、Arrayed Waveguide Grating(AWG)と呼ばれるPLC型素子を用いることができる。AWGにおいては出力ポートと波長が対応しているため、インタフェース部の入出力波長に合わせて、インタフェース部と光合分波部の入出力ポートとを接続する。
【0065】
図4A及び図4Bは、本実施形態における波長選択スイッチ171a、171bに適用可能な構成例171を説明する図である。波長選択スイッチ171は、複数の入力ポートからそれぞれ波長多重信号を入力し、所定の制御を行うことで、出力ポートから1つ又は複数の任意の波長を出力することが可能である。
【0066】
図4Aにおいて、PORT_1から波長λ1、λ2とλ5の光信号が入力し、PORT_2から波長λ2、λ7、λmの光信号が入力し、PORT_kから残りの波長λ3、λ4、λ6、λ8、・・・λm−1の光信号が入力している。出力ポートPORT_cが、波長多重信号を出力する。
【0067】
図4Aの例において、波長λ2の信号は、PORT_1、PORT_2の両方から入力する。波長選択スイッチ171は、いずれか一方の入力ポートからの波長λ2の信号を選択する。これにより、同一波長の光信号が、出力ポートPORT_cからの出力信号において重複しないようにすることができる。なお、λ2は一例であり、波長選択スイッチ171は、これ以外の1つあるいは複数の波長について同様の選択機能を備えている。
【0068】
図4Bに波長選択スイッチ171の機能ブロックの一例を示す。波長選択スイッチ171は、複数の分波器を備え、それぞれが各ポートに対応する。さらに、複数の選択スイッチを備え、それぞれが入力信号の各波長に対応する。図4Bは、PORT_1、PORT_2及びPORT_kのそれぞれに対応する分波器711a、711b、711cを明示している。また、波長λ1、λ2、λmのそれぞれに対応する選択スイッチ712a、712b、712cを明示している。
【0069】
波長選択スイッチ171において、PORT_1、PORT_2及びPORT_kから波長多重信号が入力されると、分波器711a、711b、711cは、それぞれ、その波長多重信号を異なる波長の信号に分離する。選択スイッチ712a、712b、712cは、それぞれ、波長λ1、λ2、λmの信号を受け、合波器713へ出力する光信号(ポート)を選択する。
【0070】
これにより、波長選択スイッチ171は、PORT_1からPORT_kにおいて同一の波長が入力されても、それらを重複することなく、合波器713から波長多重信号を出力することが可能である。本例では、λ2がPORT_1とPORT_2の両方に入力されているが、λ2用の選択スイッチ712bがいずれか1つのポートからの波長λ2の信号を選択して、合波器713へ出力する。
【0071】
図5は、図3に示すリング構成からメッシュ構成に拡張した光伝送装置100の構成を模式的に示している。図5の光伝送装置100において、ファイバ伝送路501cが新たに接続されており、3つの伝送路が光伝送装置に接続している。伝送路501cの増設に対応して、WDM光信号処理部241cが増設されている。さらに、WDM光信号処理部241d並びにそれに対応する光合分波部243c及び複数のインタフェース部が増設されている。インタフェース部のうち、一例として、光インタフェース部122c、122dが参照符号で指示されている。
【0072】
本構成の特徴として、WDM光信号処理部241dは、インタフェース部から入力された波長多重用信号をそれぞれの伝送路に送出することができる。これにより、メッシュ型ネットワークにおける経路選択の高い自由度を実現することができる。さらに、光伝送装置100の拡張において、既存の装置構成の変更は不要であり、リング構成における運用・保守性を維持しつつ、メッシュ構成へ拡張することができる。
【0073】
以下において、メッシュ構成の光伝送装置100の構成及び信号伝送処理について説明を行う。既に説明した構成については、必要がなければその説明を省略する。WDM光信号処理部241c、241dは、他のWDM光信号処理部241a、241bと同様の装置構成(ハードウェエア構成)を有している。
【0074】
WDM光信号処理部241cは波長選択スイッチ171c及び光スプリッタ172cを備え、WDM光信号処理部241dは波長選択スイッチ171d及び光スプリッタ172dを備える。WDM光信号処理部241c、241dは、この他、ノード監視制御部及び光分岐挿入部における他の構成を備えるが、説明を省略する。
【0075】
WDM光信号処理部241dは、他の構成要素との光信号線の接続において、他のWDM光信号処理部241a〜241cと異なる。具体的には、WDM光信号処理部241dにおいて、光スプリッタ172dの入力が、光合分波部243cの出力と接続している。光スプリッタ172dの3つの出力は、それぞれ、他のWDM光信号処理部241a〜241cの波長選択スイッチ171a〜171cの入力に接続している。このため、光合分波部243cからの光信号は、波長選択スイッチ171a〜171cの全ての入力信号である。
【0076】
WDM光信号処理部241dにおいて、波長選択スイッチ171dの出力は、光合分波部243cの入力に接続されている。波長選択スイッチ171dの3つの入力は、それぞれ、他のWDM光信号処理部241a〜241cの光スプリッタ172a〜172cに接続している。波長選択スイッチ171dは、伝送路501a〜501c(光スプリッタ172a〜172c)からの信号から、設定に従って波長を選択し、選択した波長の波長多重信号を光合分波部243cに出力する。
【0077】
このように、WDM光信号処理部241dにおいて、インタフェース部からの信号が光スプリッタ172dに入り、光スプリッタ172dが伝送路501a〜501c(波長選択スイッチ171a〜171c)に向けて光信号を分岐して出力する。これにより、光伝送装置100は、光信号を伝送路501a〜501cにおける任意の伝送路に出力することができる。
【0078】
また、伝送路501a〜501cからの光信号を受けた波長選択スイッチ171dが、光合分波部243cに光信号を出力する。これにより、光伝送装置100は、伝送路501a〜501cにおける任意の伝送路からの光信号を受信することができる。
【0079】
図6を参照して、光伝送装置100が、増設された光インタフェース部122cにおける波長λ1の光信号を、伝送路501aへ出力する処理例を説明する。インタフェース部122cの波長多重用信号λ1は、他のインタフェース部からの波長多重用信号と共に、光合分波部243cに入る。光合分波部243cは各インタフェース部からの波長多重用信号を合波し、波長多重信号を光スプリッタ172dに送る。
【0080】
光スプリッタ172dは、入力された光信号をほぼ均等な光パワーの複数の信号に分岐する。分岐された信号は、それぞれ全ての入力波長を含み、WDM光信号処理部241a〜241c内の波長選択スイッチ171a〜171cへ入る。
【0081】
波長選択スイッチ171aは、入力信号において、WDM光信号処理部241dからの光信号λ1を通過させる。この時、他のWDM光信号処理部からの別の波長の光信号を同時に通過させても良い。このことは以下の例でも同様である。光信号λ1を含む波長多重信号は、伝送路501aにより送信される。他の波長選択スイッチ171b、171cは、WDM光信号処理部241dからの光信号λ1を阻止する。光信号λ1は、伝送路501b、501cには出力されない。
【0082】
次に、図7を参照して、光伝送装置100が、増設されたインタフェース部122dにおける波長λkの光信号を、伝送路501cへ出力する処理例を説明する。インタフェース部122dの波長多重用信号λkは、他のインタフェース部からの波長多重用信号とともに光合分波部243cにおいて合波され、光スプリッタ172dに入る。
【0083】
光スプリッタ172dは、入力された光信号をほぼ均等な光パワーの複数の信号に分岐する。分岐された信号は、それぞれ、WDM光信号処理部241a〜241c内の波長選択スイッチ171a〜171cへ入る。
【0084】
波長選択スイッチ171cは、WDM光信号処理部241dからの入力信号である光信号λkを通過させる。光信号λkを含む波長多重信号は、伝送路501cにより送信される。他の波長選択スイッチ171a、171bは、光信号λkを阻止する。光信号λkは、伝送路501b、501cには出力されない。
【0085】
インタフェース部122cにおける波長多重用信号λ1を伝送路501bに出力する処理は、波長選択スイッチ171bでWDM光信号処理部241dの光スプリッタ172dから入力される光信号λ1を通過させ、他の波長選択スイッチ171a、171cにおいて光信号λ1を阻止する。
【0086】
次に、図8を参照して、伝送路501aからの入力信号に含まれる光信号λ1を、増設されたインタフェース部122cに伝送する処理例を説明する。WDM光信号処理部241aの光スプリッタ172aは、伝送路501aからの光信号をほぼ均等な光パワーの複数の信号に分岐する。分岐された複数の光信号は、それぞれ、他のWDM光信号処理部241b〜241dの波長選択スイッチ171b〜171dに入る。
【0087】
波長選択スイッチ171dは、WDM光信号処理部241aからの信号における光信号λ1を通過させる。他の波長選択スイッチ171b、171cは、光信号λ1を阻止する。波長選択スイッチ171dからの出力信号には、光信号λ1が含まれる。光合分波部243cは入力信号を分波して、光信号λ1をインタフェース部122cに出力する。
【0088】
このように、本実施形態によれば、光伝送装置100は、既存のリング構成の保守運用性を維持しながら、伝送路の増設に対応することができる。特に、増設するインタフェースの波長が既存のインタフェースと重複しないよう選ばれれば、既存のインタフェースは上記増設から何ら影響を受けることがない。
【0089】
さらに、光伝送装置100は、増設した挿入信号(クライアント信号)を光スプリッタにより分岐して、各伝送路の波長選択スイッチに入力することにより、挿入信号の出力先伝送路を任意に選択することができる。又、光伝送装置100は、各伝送路の光スプリッタからの信号を波長選択スイッチにより受け、1つもしくは複数の波長の信号を選択的に通過させることにより、任意の伝送路から光信号を受けることができる。
【0090】
上記構成において、4つのWDM光信号処理部241a〜241dは、同様の回路構成を有している。同様のハードウェア構成を有するモジュールを利用できるので、光伝送システム(光伝送装置)を効率的に構築することができる。このように、WDM光信号処理部は同様の構成を有することが好ましいが、これらは異なる構成を有していてもよい。
【0091】
例えば、WDM光信号処理部241a〜241dは、光スプリッタ172a〜172dに代えて、波長選択スイッチを備えることができる。光スプリッタは波長選択スイッチよりも構成がシンプルであるため、光スプリッタを使用することが好ましい。さらに、後の第3の実施形態で説明するポイント・ツー・マルチポイント型の通信に対応可能な構成を備えるために、WDM光信号処理部241a〜241dは、波長選択スイッチではなく、光スプリッタ172a〜172dを備えることが好ましい。
【0092】
WDM光信号処理部241a〜241cが、伝送路からの信号を受ける波長選択スイッチを備える場合、設計によっては、WDM光信号処理部241dにおける波長選択スイッチ171dでなく光スプリッタを用いてもよい。WDM光信号処理部241a〜241cの波長選択スイッチにより、WDM光信号処理部241dのインタフェース部に出力する光信号を選択する。
【0093】
図5〜図8の説明では省略したが、WDM光信号処理部241cに、光合分波部及びインタフェース部を接続することも可能である。設計によっては、波長選択スイッチ171a〜171dは、他のWDM光信号処理部の一部の光スプリッタの出力とのみ接続していてもよい。
【0094】
本実施形態の光伝送装置は3以上の伝送路と接続された光伝送装置に特に好適であるが、接続伝送路数が2の光伝送装置が、WDM光信号処理部241dを備えていてもよい。光伝送装置は、インタフェース部からWDM光信号処理部241dに入力した挿入信号を、2伝送路うちの任意の伝送路に出力することができる。又、任意の伝送路から入力された光信号を分岐してインタフェース部に接続されたクライアント装置に転送することができる。
【0095】
上記の光伝送装置100は、1つの任意伝送路選択用WDM光信号処理部241dを備えるが、光伝送装置100は複数の任意伝送路選択用WDM光信号処理部を備えることができる。
【0096】
<第2の実施形態>
以下において、図9を参照して、第2の実施形態を説明する。本実施形態は、既存のリング構成時の保守運用性を維持しながら伝送路の増設に対応し且つ挿入信号の出力先伝送路を任意に選択できるだけでなく、インタフェース部と光合分波部の接続関係を任意に選択することができる光伝送装置の例を説明する。
【0097】
第1の実施形態においては、光合分波部243cのインタフェース部への出力ポートにおける波長は固定であった。本実施形態の光伝送装置100は、光合分波部の出力ポートにおいて光信号の波長を選択することができる。これにより、インタフェース部は、送受信する波長によらず、任意の光合分波部のポートに接続することができる。
【0098】
図9は、本実施形態における光伝送装置100の一例を示す構成図である。図9の光伝送装置100において、既に説明した図3又は図5が示す構成と同一部分については、説明を省略する。図9に示す構成において、光合分波部243dは、k入力1出力の光カプラ431、1入力k出力の光カプラ432及び複数の波長可変フィルタを備えている。波長可変フィルタのうち、2つの波長可変フィルタが、参照符号433a、433bで指示されている。ここでは、機能を示すため、1入力k出力の光カプラ432を、光スプリッタと呼ぶ。
【0099】
光カプラ431の入力ポートには、複数のインタフェース部の出力が接続される。光カプラ431は、インタフェース部からの信号を結合して、光スプリッタ172dに送る。光スプリッタ432の出力ポートには、インタフェース部の入力が接続される。インタフェース部との接続のため、光カプラ431の入力ポート数と光スプリッタ432の出力ポート数は同数とする。このポート数は、各伝送路の最大波長多重数と同じであってもよく、それよりも少なくてもよい。
【0100】
光スプリッタ432の各出力ポートには、波長可変フィルタが実装されている。波長可変フィルタは、設定された波長の光信号を選択的に出力する。ノード監視制御部121は、統合監視制御装置10からの指示に従い、波長可変フィルタの通過波長を設定する。波長可変フィルタは、設定された波長の光信号を通過させ、設定範囲外の波長の信号を阻止する。これにより、波長可変フィルタは、対応するインタフェース部が受信すべき波長を選択して出力する。
【0101】
図9の構成において、波長可変フィルタ433aは光インタフェース部122cとの接続する出力ポートの波長選択を行う。具体的には、波長可変フィルタ433aは波長λ1の光信号のみを通過させる。波長可変フィルタ433bは光インタフェース部122dと接続する出力ポートの波長選択を行う。具体的には、波長可変フィルタ433bは波長λkの光信号のみを通過させる。
【0102】
本構成によれば、インタフェース部は、その光信号の波長によらず光合分波部243dの任意の入力ポートと接続することができる。又、波長可変フィルタの通過波長を適切に設定することにより、インタフェース部で受信すべき波長が出力ポートにおいて選択されるので、インタフェース部への入力光信号の波長によらず、そのインタフェース部を光合分波器243dの任意の出力ポートに接続できる。
【0103】
好ましくは、光合分波部243dの全ての出力ポートに波長可変フィルタを実装する。設計によっては、光合分波部243dの一部の出力ポートのみに波長可変フィルタを実行し、他の出力ポートには固定フィルタを実装してもよい。もしくは、波長可変フィルタをインタフェース部に実装しても良い。
【0104】
図9に示すように、好ましい構成において、WDM光信号処理部241a〜241dは、波長選択スイッチ171a〜171dの出力側及び光スプリッタ172a〜172dの入力側に、光増幅部175a〜175dを備える。光増幅部175a〜175cは、伝送路501a〜501cとの間で送受信する光信号のパワーをWDM光信号処理部241a〜241c以降のハードウェアでの処理および伝送する信号品質に適した値に増幅する。光増幅部175dは、合分波部243dとの間で送受信する光信号のパワーがWDM光信号処理部241d以降のハードウェアでの処理および信号品質に適した値に増幅する。
【0105】
上述のように光増幅部175a〜175cにより、伝送路及びインタフェース部に対して、適切なパワーの光信号を出力することができる。また、伝送路及びインタフェース部からの光信号のパワーをWDM光信号処理部に適切な値とすることができる。光伝送装置100は、伝送路のための光増幅器とインタフェース部のための光増幅器の一方のみを備えていてもよい。WDM光信号処理部241a〜241cは、インタフェース部のための光増幅器を備えることができる。
【0106】
<第3の実施形態>
以下において、図10及び図11を参照して、第3の実施形態を説明する。本実施形態において、上記第1及び第2の実施形態において説明した構成の説明を省略する。第1及び第2の実施形態において説明した光伝送装置100は、ポイント・ツー・マルチポイント型通信に対応可能な構成を有している。本実施形態においては、光伝送装置100によるポイント・ツー・マルチポイント型通信を説明する。特定の信号をポイント・ツー・マルチポイント通信に利用するため、光伝送装置100は、その光信号をマルチキャストする。
【0107】
光伝送装置100は、任意伝送路選択用WDM光信号処理部241dから挿入された光信号を、複数の伝送路に同時に転送することができる。伝送路501a〜501cに信号出力する波長選択スイッチ171a〜171cのうちの複数の波長選択スイッチが、挿入信号を選択して伝送路に出力する。
【0108】
また、任意の伝送路における光信号を、WDM光信号処理部241dに接続されたクライアント装置に転送すると共に、他の伝送路に転送することができる。WDM光信号処理部241dにおける波長選択スイッチ171d及び上記他の伝送路の波長選択スイッチが、同一の光信号を選択する。
【0109】
まず、WDM光信号処理部241dにおける挿入信号を、複数伝送路に出力する処理の例を、図10を参照して説明する。本処理例は、光インタフェース部122cからの挿入信号λ1を、2つの伝送路501a及び501cに出力する。
【0110】
光インタフェース部122cの波長多重用信号λ1は、他のインタフェース部からの光信号と共に、光合分波部243dの光カプラ431に入る。光カプラ431は複数のインタフェース部からの信号を結合し、波長多重信号を光スプリッタ172dに送る。
【0111】
光スプリッタ172dは、入力された光信号をほぼ均等な光パワーの複数の信号に分岐する。分岐された信号は、それぞれ全ての入力波長を含み、WDM光信号処理部241a〜241c内の波長選択スイッチ171a〜171cへ入る。
【0112】
波長選択スイッチ171a、171cは、入力信号において、WDM光信号処理部241dからの光信号λ1を通過させる。光信号λ1を含む波長多重信号は、光増幅器175a、175cにより増幅されて、伝送路501a、501cに出力される。波長選択スイッチ171bは、WDM光信号処理部241dからの光信号λ1を阻止する。光信号λ1は、伝送路501bには出力されない。
【0113】
次に、図11を参照して、伝送路501aからの波長多重信号における波長λ1の光信号を、光インタフェース部122c及び伝送路501bに転送する処理例を説明する。WDM光信号処理部241aの光スプリッタ172aは、伝送路501aから光増幅器175aを介して入力された波長多重信号をほぼ均等な光パワーの複数の信号に分岐する。分岐された複数の光信号は、それぞれ、他のWDM光信号処理部241b〜241dの波長選択スイッチ171b〜171dに入る。
【0114】
波長選択スイッチ171bは、WDM光信号処理部241aからの信号における光信号λ1を通過させる。波長選択スイッチ171bからの波長多重信号は光信号λ1を含み、光増幅器175bで増幅されて、伝送路501bに出力される。波長選択スイッチ171cは、WDM光信号処理部241aからの信号における光信号λ1を阻止する。
【0115】
波長選択スイッチ171dは、WDM光信号処理部241aからの信号における光信号λ1を通過させる。波長選択スイッチ171dからの出力信号には、光信号λ1が含まれる。波長選択スイッチ171dからの出力信号は、光増幅器175dを介して、光合分波部243dに入る。光スプリッタ432は入力信号を分岐し、波長可変フィルタ433aが、光信号λ1を通過させる。インタフェース部122cは、波長可変フィルタ433aから光信号λ1を受信する。
【0116】
以上のように、光スプリッタにより波長多重信号を分岐し、波長多重信号を受けた複数の波長選択スイッチがその波長多重信号から所望の波長の光信号を通過させることで、ポイント・ツー・マルチポイント型通信を行うことができる。上記光伝送装置は、第2の実施形態で説明した構成を備えるが、第1の実施形態で説明した構成においても、ポイント・ツー・マルチポイント型通信を同様に行うことができる。
【0117】
以上、本発明を添付の図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこのような具体的構成に限定されるものではなく、添付した請求の範囲の趣旨内における様々な変更及び同等の構成を含むものである。
【符号の説明】
【0118】
10…統合監視制御装置、11…制御ネットワーク、100〜104…光伝送装置、121…ノード監視制御部、122a〜122d…光インタフェース部、123…光電気インタフェース部、124…光分岐挿入部、171…波長選択スイッチ、171a〜171d…波長選択スイッチ、172a〜172d…光スプリッタ(光カプラ)、175a〜175d…光増幅部、211…通信制御部、213…構成管理情報、214…障害管理情報、215…性能管理情報、216…切替管理情報、231、233…光送受信器、232…電気スイッチ、242a〜243d…光増幅部、241a〜241d…WDM光信号処理部、411…通信制御部、413…切替状態情報、414…性能情報取得部、415…障害情報取得部、416…駆動制御部、417…WDM光スイッチ部、421…増幅器、422…監視信号処理部、431…光カプラ、432…光スプリッタ(光カプラ)、433a、433b…波長可変フィルタ、501a〜501c…ファイバ伝送路、711a〜711c…分波器、712a〜712c…選択スイッチ、713…合波器、801〜811…ファイバ伝送路、900…クライアント装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の伝送路に接続する光伝送装置であって、
それぞれが前記複数の伝送路のそれぞれに対応する、複数の第一の波長多重光信号処理部と、
クライアント装置と接続しクライアント信号と波長多重用信号との変換を行うインタフェース部と、
前記インタフェース部と接続し前記インタフェース部から前記波長多重用信号を受ける第二の波長多重光信号処理部と、を備え、
前記複数の第一の波長多重光信号処理部のそれぞれは、複数入力を備え、その複数入力からの光入力信号から選択した信号を合波して対応する伝送路に出力する波長選択スイッチを備え、
前記インタフェース部からの波長多重用信号を受ける前記第二の波長多重光信号処理部は、前記波長多重用信号を含む光信号を分岐し、前記複数の第一の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチのそれぞれに出力する光スプリッタを備える、光伝送装置。
【請求項2】
前記第二の波長多重光信号処理部は、前記複数の伝送路から入力された信号を受け、前記インタフェース部への出力信号を選択的に通過させる波長選択スイッチをさらに備える、請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記複数の第一の波長多重光信号処理部のそれぞれは、対応する伝送路からの光信号を受ける光スプリッタをさらに備え、
前記光スプリッタは、前記複数の第一の波長多重光信号処理部における他の波長多重光信号処理部の波長選択スイッチ及び前記第二の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチのそれぞれに、分岐された光信号を出力する、請求項2に記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記複数の第一の波長多重光信号処理部と前記第二の波長多重光信号処理部とは、同一の回路構成を備える、請求項3に記載の光伝送装置。
【請求項5】
前記複数の第一の波長多重光信号処理部と前記第二の波長多重光信号処理部は、それぞれ、前記波長選択スイッチの出力側及び前記光スプリッタの入力側に光増幅器をさらに備える、請求項3に記載の光伝送装置。
【請求項6】
前記第二の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチは、前記複数の伝送路の1つからの信号に含まれる所定の波長の光信号を選択的に通過させ、
前記複数の第一の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチの少なくとも1つは、前記複数の伝送路の1つからの信号に含まれる前記所定の波長の光信号を対応する伝送路に出力する、請求項3に記載の光伝送装置。
【請求項7】
前記複数の第一の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチにおける複数の波長選択スイッチは、前記第二の波長多重信号処理部の光スプリッタからの光信号を選択的に通過させて、対応する伝送路に出力する、請求項2に記載の光伝送装置。
【請求項8】
前記第二の波長多重光信号処理部は、前記インタフェース部を含む複数のインタフェース部と、光合分波部を介して接続されており、
前記光合分波部は、前記複数のインタフェース部と接続する出力ノードのそれぞれに波長可変フィルタを備える、請求項2に記載の光伝送装置。
【請求項9】
前記複数の第一の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチの少なくとも一部の入力は、インタフェース部と接続している、請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項10】
総合監視制御装置と、前記総合監視制御装置と制御ネットワークを介して接続され、ファイバ伝送路によって互いに接続されている複数の光ノードと、を備える光伝送システムであって、
前記総合監視制御装置は前記複数の光ノードの監視及び制御を実行し、
前記複数の光ノードのそれぞれは、前記総合監視制御装置からの指示に応じて前記光ノードの監視制御を行うノード監視制御部と、前記ノード監視制御部の制御下において動作する光分岐挿入部と、クライアント装置と接続しクライアント信号の送受信を行うインタフェース部とを備え、
前記光分岐挿入部は、複数の波長選択スイッチと光スプリッタとを備え、
前記光スプリッタは、前記インタフェース部からの信号を含む光信号を分岐し、前記複数の波長選択スイッチに出力し、
前記複数の波長選択スイッチのそれぞれは、複数入力を備え、複数の伝送路のそれぞれに対応し、前記複数入力からの光入力信号から選択した信号を合波して前記対応する伝送路に出力する、光伝送システム。
【請求項11】
前記複数の光ノードのそれぞれは、前記複数の伝送路から入力された信号を受け、前記インタフェース部へ出力する光信号を選択的に通過させる波長選択スイッチをさらに備える、請求項10に記載の光伝送システム。
【請求項12】
前記複数の光ノードのそれぞれは、それぞれが前記複数の伝送路のそれぞれに対応し、その対応する伝送路からの光信号を受ける複数の光スプリッタをさらに備え、
前記複数の光スプリッタのそれぞれは、前記複数の波長選択スイッチにおける他の伝送路に対応する波長選択スイッチに出力し、
前記複数の光スプリッタのそれぞれは、前記インタフェース部へ光信号を出力する前記波長選択スイッチに出力する、請求項11に記載の光伝送システム。
【請求項1】
複数の伝送路に接続する光伝送装置であって、
それぞれが前記複数の伝送路のそれぞれに対応する、複数の第一の波長多重光信号処理部と、
クライアント装置と接続しクライアント信号と波長多重用信号との変換を行うインタフェース部と、
前記インタフェース部と接続し前記インタフェース部から前記波長多重用信号を受ける第二の波長多重光信号処理部と、を備え、
前記複数の第一の波長多重光信号処理部のそれぞれは、複数入力を備え、その複数入力からの光入力信号から選択した信号を合波して対応する伝送路に出力する波長選択スイッチを備え、
前記インタフェース部からの波長多重用信号を受ける前記第二の波長多重光信号処理部は、前記波長多重用信号を含む光信号を分岐し、前記複数の第一の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチのそれぞれに出力する光スプリッタを備える、光伝送装置。
【請求項2】
前記第二の波長多重光信号処理部は、前記複数の伝送路から入力された信号を受け、前記インタフェース部への出力信号を選択的に通過させる波長選択スイッチをさらに備える、請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記複数の第一の波長多重光信号処理部のそれぞれは、対応する伝送路からの光信号を受ける光スプリッタをさらに備え、
前記光スプリッタは、前記複数の第一の波長多重光信号処理部における他の波長多重光信号処理部の波長選択スイッチ及び前記第二の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチのそれぞれに、分岐された光信号を出力する、請求項2に記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記複数の第一の波長多重光信号処理部と前記第二の波長多重光信号処理部とは、同一の回路構成を備える、請求項3に記載の光伝送装置。
【請求項5】
前記複数の第一の波長多重光信号処理部と前記第二の波長多重光信号処理部は、それぞれ、前記波長選択スイッチの出力側及び前記光スプリッタの入力側に光増幅器をさらに備える、請求項3に記載の光伝送装置。
【請求項6】
前記第二の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチは、前記複数の伝送路の1つからの信号に含まれる所定の波長の光信号を選択的に通過させ、
前記複数の第一の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチの少なくとも1つは、前記複数の伝送路の1つからの信号に含まれる前記所定の波長の光信号を対応する伝送路に出力する、請求項3に記載の光伝送装置。
【請求項7】
前記複数の第一の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチにおける複数の波長選択スイッチは、前記第二の波長多重信号処理部の光スプリッタからの光信号を選択的に通過させて、対応する伝送路に出力する、請求項2に記載の光伝送装置。
【請求項8】
前記第二の波長多重光信号処理部は、前記インタフェース部を含む複数のインタフェース部と、光合分波部を介して接続されており、
前記光合分波部は、前記複数のインタフェース部と接続する出力ノードのそれぞれに波長可変フィルタを備える、請求項2に記載の光伝送装置。
【請求項9】
前記複数の第一の波長多重光信号処理部の前記波長選択スイッチの少なくとも一部の入力は、インタフェース部と接続している、請求項1に記載の光伝送装置。
【請求項10】
総合監視制御装置と、前記総合監視制御装置と制御ネットワークを介して接続され、ファイバ伝送路によって互いに接続されている複数の光ノードと、を備える光伝送システムであって、
前記総合監視制御装置は前記複数の光ノードの監視及び制御を実行し、
前記複数の光ノードのそれぞれは、前記総合監視制御装置からの指示に応じて前記光ノードの監視制御を行うノード監視制御部と、前記ノード監視制御部の制御下において動作する光分岐挿入部と、クライアント装置と接続しクライアント信号の送受信を行うインタフェース部とを備え、
前記光分岐挿入部は、複数の波長選択スイッチと光スプリッタとを備え、
前記光スプリッタは、前記インタフェース部からの信号を含む光信号を分岐し、前記複数の波長選択スイッチに出力し、
前記複数の波長選択スイッチのそれぞれは、複数入力を備え、複数の伝送路のそれぞれに対応し、前記複数入力からの光入力信号から選択した信号を合波して前記対応する伝送路に出力する、光伝送システム。
【請求項11】
前記複数の光ノードのそれぞれは、前記複数の伝送路から入力された信号を受け、前記インタフェース部へ出力する光信号を選択的に通過させる波長選択スイッチをさらに備える、請求項10に記載の光伝送システム。
【請求項12】
前記複数の光ノードのそれぞれは、それぞれが前記複数の伝送路のそれぞれに対応し、その対応する伝送路からの光信号を受ける複数の光スプリッタをさらに備え、
前記複数の光スプリッタのそれぞれは、前記複数の波長選択スイッチにおける他の伝送路に対応する波長選択スイッチに出力し、
前記複数の光スプリッタのそれぞれは、前記インタフェース部へ光信号を出力する前記波長選択スイッチに出力する、請求項11に記載の光伝送システム。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1B】
【図1C】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−124772(P2012−124772A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274835(P2010−274835)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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