説明

光伝送装置

【課題】強度変調光信号と位相変調光信号とが混在するネットワークシステムにおいて伝送品質の劣化を抑圧する。
【解決手段】強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、入力される前記波長多重信号光について、伝送先方路となる伝送路を選択的に切り替える方路切り替え部61,63,64と、前記光伝送装置が適用されるネットワークを構成する伝送路の特性や伝送光信号の変調方式に関するネットワーク管理情報を収集する情報収集部2と、該情報収集部2で収集された前記管理情報をもとに、方路切り替え部61,63,64による方路切り替え設定を制御する制御部3Dと、をそなえたことを特徴とする、光伝送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長分割多重方式の光通信システムにおいて用いて好適の、光伝送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、数十波長の2.5Gbpsや10Gbpsなどの強度変調光信号(On-Off Keying)を用いる波長多重(WDM)伝送技術が、アクセスネットワークシステム、メトロネットワークシステムや長距離ネットワークシステムなどの陸上伝送システムおよび海底伝送システムで実用化されている。そして、まもなく実用化を迎える40Gbps WDM伝送システムについても、要素技術やデバイスの開発が加速しているが、10 Gbpsシステムと同等の伝送距離や周波数利用効率が求められている。
【0003】
この40Gbps WDM伝送システムの実現手段として、例えば光デュオバイナリ(Optical Duobinary)、CS−RZ(Carrier Suppressed-Return to Zero)、DPSK(Differential Phase Shift Keying)、DQPSK(Differential Quadrature Phase-Shift Keying)などの変調方式の研究開発が活発になっている。これらの変調方式は、従来10 Gbps以下のシステムで適用されてきたNRZ(Non Return to Zero)変調方式に比べて、周波数利用効率、光信号対雑音比(OSNR)耐力、非線形性耐力の一部または全部が優れているため、40Gbps WDM伝送システムの実現手段として有望な変調技術である。
【0004】
このうち、DQPSK変調方式は、一つの周波数チャンネルの光を4値位相変調することによって、1符号あたり2ビットを同時に伝送する方式である。この方式は、伝送するデータ速度(例えば40Gbps)に対してパルス繰り返し周波数すなわち符号伝送速度が半分(例えば20 GHz)で済むため、従来の強度変調方式などと比較して信号スペクトル幅が約半分となり、周波数利用効率、波長分散耐力、光デバイス透過特性などの点で優れている。このため、光伝送システムの分野では、DPSK変調方式やDQPSK変調方式に代表される位相変調方式の適用が盛んに検討されている。
【0005】
様々なシステムで広く実用化されている2.5Gbpsや10Gbpsなどの強度変調光信号を用いたWDM伝送システムは、波長多重数を増加させることで増強させることができる。例えば、C-band光増幅器は信号光帯域が約32nm程度のものがあるため、波長間隔100GHz (約0.8nm)とすると、最大40波伝送させることができる。WDM伝送システム自体そのものは40波(チャンネル)を伝送させる能力があることになるが、ネットワークの運用状況によって、運用者が徐々に使用波長数を増加させるのである。
【0006】
ただし、上記のように、システムを増強するために波長多重数を増加させていくと、波長間隔が狭くなり、波長間のウォークオフの量が小さくなり、波長間の非線形効果である、相互位相変調(XPM:cross phase modulation)の影響が大きくなる。XPMとは、ある波長の光信号の強度変化に比例して光ファイバの屈折率が変化し、他の波長の光信号に位相変調を与える現象である。
【0007】
図42(a)〜図42(c)は光パルスによる相互位相変調の現象を示す概念図である。図42(a)において、λ1とλ2は2つの異なる波長の光パルスであり、伝搬する光ファイバの分散特性により、λ1の光パルスの速度はλ2の光パルスより速いとする。2つの光パルスが光ファイバ内を伝搬するとき、λ1の光パルスはλ2の光パルスより速く進むので、図42(b)に示すように、λ1の光パルスの立ち上がり部分がλ2の光パルスの立ち下がり部分と重なり始める。
【0008】
そのとき、λ2の光パルスの立ち下がり部分は、λ1の光パルスの立ち上がり部分で誘起されたレッドチャープにより位相シフトを受ける。さらに、λ1とλ2の光パルスの伝送が進むと図42(c)に示されるように、λ1の光パルスはλ2の光パルスを抜き去ることになり、λ1の光パルスの立ち下がり部分がλ2の光パルスの立ち上がり部分と重なる。このとき、λ2の光パルスの立ち上がり部分は、λ1の光パルスの立ち下がり部分で誘起されたブルーチャープにより位相シフトを受けることになる。
【0009】
図43(a)〜図43(d)は、中継区間に生じる相互位相変調の影響による残留チャープが生じる原理について説明するための図である。図43(a)に示すように、正の分散値からなる伝送路ファイバ210が、複数の集中増幅器220を介して複数段接続された場合には、図43(b)に示すように、2つの集中増幅器220間での伝送路ファイバ210で伝送される光は、集中増幅器220からの出力直後は比較的大きな信号光パワーを有しているが、伝送とともに減衰していく(第1中継区間)。そして、次の集中増幅器220に入力されると、再び比較的大きな信号光パワーに増幅されて、下流側の伝送路ファイバ210を順次伝送されてゆくが、ここでも伝送とともに減衰していく(第2中継区間)。
【0010】
いま、図43(a)における2つの集中増幅器220間の中継間隔は100[km]とし、信号光波長近傍での波長分散は2.5[ps/km/nm]、信号波長間隔は0.8[nm]、伝送速度は20[Gbit/s]とする。このとき、隣接波長の信号光が波長分散によって生じる遅延量は、Dを波長分散、Lを伝送距離、Δλを波長間隔として、次式で表すことができる。
Delay[ps]=D[ps/km/nm]*L[km]*Δλ[nm] ・・・・・・・・(1)
この式(1)から、波長多重信号光が25[km]伝播されたとすると隣接波長間の遅延量は2.5[ps/km/nm]×25[km]×0.8[nm]=50[ps]となり、これは伝送速度20[Gbit/s]の信号のビット周期が50[ps]であるので、隣接する光パルスが1ビット遅延することを意味している。
【0011】
つまり、ある集中増幅器220からの出力直後の地点(座標0[km])において、隣接波長λ1,λ2(図42(a)〜図42(c)参照)の光パルスがこれから衝突しようとしている場合には、25[km]を伝送する間にレッドチャープおよびブルーチャープを1回ずつ発生することになる。つまり、中継区間100[km]を伝送する間には遅延量は2.5[ps/km/nm]×100[km]×0.8[nm]=200[ps]となり、隣接する光パルスは4ビット遅延し、4回ずつブルーチャープとレッドチャープが発生することになる。例えば、λ2の光パルスは、100kmの伝送路ファイバ210を伝搬すると、λ1の光パルスよりも4ビット時間だけ遅れて到着する。
【0012】
ここで、2つの異なる隣接波長信号λ1,λ2の信号ビットパターンは「1」の連続であると仮定して、隣接する2波長λ1,λ2間の相互位相変調を考える。このとき、波長多重信号光は集中定数型光増幅器220により所望の光レベルまで増幅された後、次段の伝送路ファイバ210の区間を伝送する。この伝送路ファイバ210の区間を伝送する間に、2つの異なる波長λ1,λ2間で上述のごとき相互位相変調効果を受ける。
【0013】
この隣接波長の光パルスが伝送される伝送路ファイバ210において、光パワーの減衰がない場合には、λ2の光パルスがλ1の光パルスにより受けるレッドチャープとブルーチャープの量は等しくなるため、λ2の光パルスがλ1の光パルスに追いつかれ追い抜かれる間に発生するチャープは打ち消し合いあい、λ2の光パルスが相互位相変調効果による位相シフトを受けることはない。
【0014】
しかしながら、図43(b)に示すように、光信号は、伝送路ファイバ210を伝搬していくに従い光パワーは減衰してしまうため、図43(c)に示すように、λ1の光パルスがλ2の光パルスに追いつき、重なる間に生じるレッドチャープ量は、λ1の光パルスがλ2の光パルスと重なった状態からλ1の光パルスがλ2の光パルスを追い抜く間に生じるブルーチャープ量よりわずかに大きくなるため、両者のチャープ量は打ち消し合わずに、光信号パワーが高い地点で生じたレッドチャープがわずかに残留してしまう。
【0015】
このように、伝送路ファイバ210の区間を伝送する間では、図43(d)に示すように、相互位相変調の影響で常にレッドチャープが残留してしまい、全体でΔCだけ残ってしまうことになるのである。この場合、λ2の光パルスはこの残留したレッドチャープにより位相シフトが生じ、光ファイバを伝搬する群速度が変化する。
また、通常、集中増幅器220を構成する中継装置においては、波形劣化を抑制するため分散補償を行なっている。この分散補償機能により、各中継段での隣接波長λ1,λ2の光信号の伝搬遅延時間差が補償されて、各段の集中増幅器220に入力される隣接波長信号のビット配置が実質的に同じとなる場合、各中継段において上述のレッドチャープの残留が累積していくことになるため、図43(c),図43(d)に示すように、単位中継区間での残留チャープ量ΔCが中継段数倍されていってしまい、大きな波形劣化につながる。
【0016】
したがって、λ2の光パルスはこの残留したレッドチャープにより位相シフトが生じ、光ファイバを伝搬する群速度が変化し、この影響が更に各中継間隔で残留していくため、強度変調光信号の場合は、受信端においてジッタ(受信パルスの中心位置ずれ)となり、位相変調光信号の場合は、データシンボルの直接的な雑音成分となり、伝送性能を劣化させることになる。
【0017】
このように、相互位相変調は、隣接波長間における強度歪みが位相揺らぎを生じさせ伝送特性を劣化させるため、隣接波長間における光パルスの衝突が繰り返される波長多重の長距離光伝送システムにおいては非常に問題となる。
なお、本願発明に関連する技術として下記の非特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】G.Charlet et.al., “Nonlinear Interactions Between 10Gb/s NRZ Channels and 40Gb/s Channels with RZ-DQPSK or PSBT Format, over Low-Dispersion Fiber”, Mo3.2.6, ECOC2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
強度変調光信号のチャンネルとともに、上述のごとき位相変調方式で変調された位相変調光信号のチャンネルを混在させて伝送することが検討されている。即ち、強度変調光信号と位相変調光信号とを混在させることで周波数利用効率を高めることができたり、既存の強度変調光信号による波長多重伝送のための設備を用いながら、段階的且つ効率的に伝送システムのアップグレードを図ることができたりするのである。
【0020】
しかしながら、伝送システムのアップグレードの際に、上述のごとく強度変調光信号と位相変調光信号を混在させて伝送する必要がある場合には、強度変調光信号の強度変化により生じる非線形効果(XPM)の影響が、位相変調光信号の受信品質に特に大きく影響する。
すなわち、強度変調光信号の波長多重伝送を前提としたシステムでは、単位長さ当たりの波長分散が比較的小さい、例えば分散シフトファイバ(NZDSF:non-zero dispersion shifted fiber)等を伝送路ファイバとして適用することにより、上述のごときSPMやXPM等の影響のバランスをとって、最適な受信信号品質を得るようにすることが行なわれる場合がある。
【0021】
ところが、このような単位長さ当たりの波長分散の小さい伝送路ファイバをそなえた伝送システムにおいて、DQPSK変調信号のごとき位相変調光信号を多重する機能を追加することを想定すると、NZDSFは、位相変調光信号が受けるXPMの影響を回避できるほど波長チャネル間の符号ウォークオフ(又は伝送路中の相対的な伝搬速度差)は大きいとはいえない。
【0022】
言い換えれば、NZDSFを用いれば、従来強度変調光信号の波長多重に使用可能であったチャンネル配置をもって位相変調光信号を配置して、他のチャンネルの強度変調光信号とともに混在させると、位相変調光信号のみのWDM伝送の場合よりも、XPMによる位相変調光信号の受信信号品質の劣化が大きくなるのである。
非特許文献1においても、10Gbpsの強度変調光信号と43Gbpsの位相変調光信号を混在させて、波長分散値の小さいファイバであるNZDSFを伝送する場合には、43Gbpsの位相変調光信号の隣接波長に10Gb/sの強度変調光信号を配置すると、すべての波長チャネルに43Gbpsの位相変調光信号を配置する場合に比べて、受信信号品質が劣化する結果が得られている。尚、この非特許文献1では、偏波状態が最適な(直交)状態であっても、43Gbpsの位相変調光信号のみのWDM伝送よりも受信信号品質を示すQ値は劣化し、偏波平行状態ではQ値が3dB程度劣化する結果が得られている。
【0023】
すなわち、伝送システムのアップグレードの際に、上述のごとく強度変調光信号と位相変調光信号を混在させて伝送する場合には、従来の10Gbpsの強度変調光信号のみのWDM伝送や、位相変調光信号についてのWDM伝送の場合に比べても、XPMの影響を抑制するためより積極的な対策を講じる必要がある。
非特許文献1においては、このような強度変調光信号と位相変調光信号を混在させて伝送する場合の、位相変調光信号が受けるXPMの影響について抑制する手段を提供するものではない。
【0024】
そこで、本発明の目的の一つは、強度変調光信号と位相変調光信号とが混在するネットワークシステムにおいて伝送品質の劣化を抑圧することにある。
なお、上記目的に限らず、後述する発明を実施するための最良の形態に示す各構成により導かれる効果であって、従来の技術によっては得られない効果を奏することも本発明の他の目的の1つとして位置づけることができる。
【課題を解決するための手段】
【0025】
このため、本発明は、以下の光伝送装置を特徴とするものである。
(1)すなわち、本発明の光伝送装置は、強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、入力される前記波長多重信号光について、伝送先方路となる伝送路を選択的に切り替える方路切り替え部と、前記光伝送装置が適用されるネットワークを構成する伝送路の特性や伝送光信号の変調方式に関するネットワーク管理情報を収集する情報収集部と、該情報収集部で収集された前記管理情報をもとに、方路切り替え部による方路切り替え設定を制御する制御部と、をそなえたことを特徴としている。
【0026】
(2)また、本発明の光伝送装置は、強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、入力される前記波長多重信号における一部の波長帯の光信号を他の波長帯の光信号から分離する分離部と、該分離部で分離された前記一部の波長帯の光信号について波長割り当てを変更する波長割り当て変更部と、該波長割り当て変調部で波長割り当てが変更された光信号と、前記他の波長帯の光信号と、を波長多重して中継する波長多重中継部と、をそなえたことを特徴としている。
【0027】
(3)さらに、本発明の光伝送装置は、強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、入力される前記波長多重信号における前記強度変調光信号と前記位相変調光信号とについて交互に波長配置されるように波長配置の変換を行なって、波長多重光信号として出力する波長配置変換部と、該波長配置変換部で波長配置の変換がなされた波長多重光信号について、1波長おきの波長組を1組とした2組の波長グループに分けるインターリーバ分波部と、該インターリーバ分波部で分けられた2つの波長グループに対し、相対的に異なるビット時間差を付与するビット時間差付与部と、該ビット時間差付与部からの前記2つの波長グループの光信号を合波し出力するインターリーバ合波部と、をそなえたことを特徴としている。
【0028】
(4)また、本発明の光伝送装置は、強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、入力される前記波長多重信号における前記強度変調光信号と前記位相変調光信号とを分離する分離部と、該分離部で分離された前記位相変調光信号及び前記強度変調光信号に強度差を付与する強度差付与部と、該強度差付与部で前記強度差が付与された前記強度変調光信号と前記位相変調光信号とを波長多重して中継する波長多重中継部と、をそなえたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0029】
このように、本発明によれば、強度変調光信号と位相変調光信号を混在するネットワークシステムにおいて、伝送品質の劣化を抑圧できる。また、位相変調光信号による伝送システムのアップグレードが可能となるため、システム性能(周波数利用効率、光信号対雑音比特性など)の向上が期待できるとともに、ネットワーク設計・管理の柔軟性を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる光伝送装置が適用されるネットワークシステムを示す図である。
【図2】第1実施形態における光伝送装置の構成についてデータ転送ネットワークの構成例とともに説明するブロック図である。
【図3】遅延ブロック部の具体的構成例を説明するための図である。
【図4】遅延ブロック部の具体的構成例を説明するための図である。
【図5】情報収集部で収集するネットワークシステムの管理情報の種別例を示す図である。
【図6】(a),(b)はともに強度変調光信号と位相変調光信号との間に伝搬遅延時間差を設けることにより、信号受信端での相互位相変調の影響を抑圧できることについて説明するための図である。
【図7】強度変調光信号と位相変調光信号との間に伝搬遅延時間差を設けることにより、信号受信端での相互位相変調の影響を抑圧できることについて説明するための図である。
【図8】強度変調光信号と位相変調光信号との間に伝搬遅延時間差を設けることにより、信号受信端での相互位相変調の影響を抑圧できることについて説明するための図である。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図10】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図11】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図12】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図13】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図14】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図15】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図16】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図17】本発明の第1実施形態の変形例を示す図である。
【図18】第1実施形態および第1実施形態に派生した第1〜第3変形例による作用効果を説明するための図である。
【図19】第1実施形態および第1実施形態に派生した第1〜第3変形例による作用効果を説明するための図である。
【図20】本発明の第2実施形態にかかる光伝送装置を示すブロック図である。
【図21】本発明の第2実施形態における作用効果について説明するための図である。
【図22】本発明の第2実施形態における作用効果について説明するための図である。
【図23】本発明の第2実施形態における作用効果について説明するための図である。
【図24】本発明の第2実施形態における作用効果について説明するための図である。
【図25】本発明の第3実施形態にかかる光送信装置(光伝送装置)を示すブロック図である。
【図26】第3実施形態における他の光送信装置を示すブロック図である。
【図27】第3実施形態における他の光送信装置を示すブロック図である。
【図28】(a)〜(e)はいずれも、強度変調光信号に波長分散を付与することにより、信号受信端での相互位相変調の影響を抑圧できることについて説明するための図である。
【図29】(a)〜(e)はいずれも、強度変調光信号に波長分散を付与することにより、信号受信端での相互位相変調の影響を抑圧できることについて説明するための図である。
【図30】本発明の第3実施形態における作用効果について説明するための図である。
【図31】本発明の第3実施形態における作用効果について説明するための図である。
【図32】本発明の第4実施形態にかかる光伝送装置が適用されるデータ転送ネットワークの構成を示す図である。
【図33】本発明の第4実施形態にかかる光伝送装置を示すブロック図である。
【図34】本発明の第5実施形態にかかる光伝送装置が適用されるデータ転送ネットワークの構成を示す図である。
【図35】本発明の第5実施形態にかかる光伝送装置を示すブロック図である。
【図36】本発明の第6実施形態にかかる光伝送装置が適用されるデータ転送ネットワークの構成を示す図である。
【図37】本発明の第6実施形態にかかる光伝送装置を示すブロック図である。
【図38】本発明の第7実施形態にかかる光伝送装置が適用されるデータ転送ネットワークの構成を示す図である。
【図39】本発明の第7実施形態にかかる光伝送装置を示すブロック図である。
【図40】本発明の第8実施形態にかかる光伝送装置を示すブロック図である。
【図41】本発明の第9実施形態にかかる光伝送装置を示すブロック図である。
【図42】(a)〜(c)はいずれも光パルスによる相互位相変調の現象を示す概念図である。
【図43】(a)〜(d)はいずれも中継区間に生じる相互位相変調の影響による残留チャープが生じる原理について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照することにより、本発明の実施の形態について説明する。
なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。又、上述の本願発明の目的のほか、他の技術的課題,その技術的課題を解決する手段及び作用効果についても、以下の実施の形態による開示によって明らかとなる。
〔A〕第1実施形態の説明
図1は本発明の第1実施形態にかかる光伝送装置が適用されるネットワークシステムを示す図である。この図1に示すネットワークシステム100は、データ転送ネットワーク110,データ転送ネットワーク110を制御する制御ネットワーク120,および制御ネットワーク120を管理するマネージメントプレーン130から構成される。データ転送ネットワーク110は、複数の光伝送装置111が相互に接続されてなるものである。又、制御ネットワーク120は、データ転送ネットワーク110をなす光伝送装置111に対応して備えられた複数の制御ノード121が相互に接続されて構成される。
【0032】
これにより、制御ネットワーク120をなす制御ノード121では、データ転送ネットワーク110における制御対象の光伝送装置(中継装置)111が有する情報を抽出する一方で制御対象の光伝送装置111(図1中の各点線参照)における動作設定を制御することができる。又、マネージメントプレーン130では、各制御ノード121が抽出した情報をSNMP(Simple Network Management Protocol)などの管理プロトコルで吸い上げる。
【0033】
図2は、光伝送装置111の構成についてデータ転送ネットワーク110の構成例とともに説明するブロック図である。この図2に示すデータ転送ネットワーク110においては、光伝送装置111−1〜111−5が分散値の小さい伝送路ファイバ(例えばNZDSF)140を通じてリング状に接続されるとともに、光伝送装置111−4〜111−8についても分散値が比較的小さい伝送路ファイバ(例えばNZDSF)140を通じてリング状に接続されている。尚、図2中において、光伝送装置111−1〜111−8について区別しない場合には、単に光伝送装置111と記載する。
【0034】
ここで、この図2に示すデータ転送ネットワーク110をなす光伝送装置111−1〜111−8は、入力される波長多重信号についての波長(チャンネル)単位での方路切り替等の機能を有するのに加えて、波長多重光信号として強度変調光信号と位相変調光信号とが混在している(即ち、波長多重されるチャンネルに強度変調方式の光信号と位相変調方式による光信号とが混在している)光信号を入力された場合に、強度変調光信号から位相変調光信号が受けるXPMの影響による受信端での波形劣化を抑制できる信号処理を行なうことができるようになっている。
【0035】
具体的には、光伝送装置111は、図2に示すようにOXC4をそなえるとともに、OXC4の前段または後段において、入力される波長多重光信号(位相変調光信号と強度変調光信号との混在信号)をなす位相変調光信号(図中では位相変調信号と記載)と強度変調光信号(図中では強度変調信号と記載)とに遅延差を与える遅延ブロック部1がそなえられ、かつ情報収集部2及び制御部3をそなえることができる。更に、遅延ブロック部1の前段においては伝送路ファイバの分散を補償する分散補償部をそなえ、下流側伝送路ファイバへの光信号の送出端においては集中増幅器をそなえることができる。
【0036】
遅延ブロック部1は、入力される混在信号における強度変調光信号および位相変調光信号を分波する分波部11,分波部11で分波された強度変調光信号および位相変調光信号に対して遅延差を与えるための遅延部12および遅延部12で遅延差が与えられた強度変調光信号および位相変調光信号を合波する合波部13をそなえる。遅延部12としては、強度変調光信号および位相変調光信号に遅延時間差が与えられればよいので、図2中では位相変調光信号に遅延が与えられているが、強度変調光信号に遅延を与えることとしてもよいし、双方に異なる時間の遅延を与えることとしてもよい。さらに、上記の説明ならびに図2中では分波部11によって強度変調光信号および位相変調光信号が分離されると記したが、この強度変調光信号および位相変調光信号の選択機能の実装は分岐部11に限らない。例えば、分波部11は波長選択性のない単なる光分岐であって、合波部13は波長選択的なスイッチ機能を具備し強度変調光信号および位相変調光信号を2の入力端子から選択的に合波することができるように構成してもよいし、さらに遅延部12に波長選択的な阻止機能が具備されていてもよい。
【0037】
図3,図4は遅延ブロック部1の具体的構成例を説明するための図である。遅延ブロック部1は、例えば図3に示すように、光サーキュレータ14,波長選択スイッチ15,遅延器16および反射器17をそなえて構成する。
光サーキュレータ14を通じて波長選択スイッチ15に入力された混在信号に関し、強度変調光信号の波長の光については、波長選択スイッチ15内の反射器15aでの反射を介し遅延器16の無いポートに出力された後、反射器17で反射されて波長選択スイッチ15の入力ポートに戻る。これに対し、位相変調光信号の波長の光については、波長選択スイッチ15で遅延器16のあるポートに出力された後、反射器17で反射されて波長スイッチ15の入力ポートに戻る構成をとる。従って、強度変調光信号と位相変調光信号とについて遅延時間差を与えることができる。尚、上述の波長選択スイッチ15は、図2に示す分波部11および合波部13としての機能を有し、遅延器16は図2に示す遅延部12としての機能を有する。
【0038】
または、遅延ブロック部1は、例えば図4に示すように、図3と同様の光サーキュレータ14,遅延器16および反射器17をそなえるとともに、図3とは異なる方路切り替え動作がなされる波長選択スイッチ15′をそなえて構成することもできる。
光サーキュレータ14を通じて波長選択スイッチ15′に入力された混在信号に関し、強度変調光信号の波長の光は、波長選択スイッチ15′内の反射器15aで反射されて、外部の反射器での反射を経ずに波長選択スイッチ15′の入力ポートに戻る。これに対し、位相変調光信号の波長の光は、遅延器16のあるポートに出力された後、反射器17で反射されて波長選択スイッチ15′の入力ポートに戻る構成をとる。このように構成された遅延ブロック部1においても、強度変調光信号と位相変調光信号の間に遅延差を与えることができる。
【0039】
したがって、上述の分波部11をなす波長選択スイッチ15,15′および遅延部12としての遅延器16により、入力される波長多重光信号から、相対的に異なるビット時間差を有する少なくとも2つの光信号を生成するビット時間差付与信号生成部を構成する。更に、分波部11は、入力される波長多重光信号について、位相変調光信号および強度変調光信号に分離させる分離部としての機能を有し、遅延部12は、分波部11で分離された各光信号に対し、互いに異なるビット時間差を付与するビット時間差付与部を構成する。
【0040】
そして、後述するように、上述のごとく遅延ブロック部1で強度変調光信号と位相変調光信号との間で遅延時間差を与えることで、強度変調光信号から位相変調光信号が受けるXPMの影響による受信端での波形劣化を抑制させることができるようになっている。
なお、上述の図3,図4に示す波長選択スイッチ15,15′においては、光サーキュレータ14からの光信号を入力される入力ポートに合分波器15bがそなえられ、光サーキュレータ14からの波長多重光信号は分波されて波長ごとに対応付けられた反射器15aに入射される一方、各反射器15aから光サーキュレータ14に通じる入力ポートに入射される光信号が合波されるようになっている。又、各反射器15aは、制御部3による制御を受けて反射面角度が回動自在に設定されるよう構成されて、上述の合分波器15bがそなえられた入力ポートと、他のポートと、の光学的結合関係を適宜切り替えることができるようになっている。
【0041】
これにより、上述の合波部13をなす波長選択スイッチ15,15′により、ビット時間差付与信号生成部からの少なくとも2つの光信号を入力されて、位相変調光信号および強度変調光信号の間でビット時間差が付与された波長多重光信号を生成し出力する波長多重光信号出力部を構成する。
また、情報収集部2は、制御ノード121(図1参照)との間での制御信号のやりとりを通じて、ネットワークシステム100についての管理情報を収集するものである。更に、制御部3は、情報収集部2で収集した管理情報をもとに光伝送装置111の動作を制御するものである。具体的には、情報収集部2で収集した管理情報をもとに、伝送路ファイバ140中で位相変調光信号がXPMの影響を受けやすい状態であるか否かを判断し、位相変調光信号がXPMの影響を受けやすいと判断される場合には、遅延ブロック部1の波長選択スイッチ(図3の符号15又は図4の符号15′)を制御して、上述のごとき位相変調光信号および強度変調光信号間に遅延差を与えるように制御する。
【0042】
情報収集部2で収集するネットワークシステム100の管理情報の種別例を図5に示す。この図5に示すように、情報収集部2では、伝送路ファイバ140の種類(種別♯1)、分散補償モジュールの分散量(種別♯2)、伝送路ファイバ140のスパンロス(種別♯3)、伝送路ファイバ140の距離(種別♯4)、各チャンネルの光信号の変調方式(種別♯5)、各信号のビットレート(又はシンボルレート、種別♯6)、および、信号光波長の使用状況(種別♯7)に関する情報を収集するようになっている。
【0043】
なお、上述の種別♯1,♯2,♯4〜♯7の管理情報については、制御ネットワーク120との間でやり取りする設定制御情報から抽出することができ、種別♯3の管理情報(スパンロス)については、信号光の当該光伝送装置111への入力パワー(A)をモニタするとともに、OSC(Optical Supervisory Channel)光中に含まれる、当該入力パワーをモニタした信号光を上流側光伝送装置111で伝送したときの出力パワー(B)を取得し、かつ図示しないラマン増幅器がそなえられている場合には伝送路ファイバのラマン利得の情報(C)を取得して、計算(スパンロス=B−A−C)により導出することができる。
【0044】
たとえば、図2に示す光伝送装置111−3においては、光伝送装置111−2からの光信号の入力パワー(A)をモニタするとともに、OSC光を通じて光伝送装置111−2での光信号の出力パワー情報(A)を取得するとともに、光伝送装置111−2,111−3間の伝送路ファイバ140におけるラマン利得を取得(C)し、これらの情報から、スパンロス(=B−A−C)を導出する。
【0045】
なお、上述の種別♯5〜♯7の情報については、信号光波長帯域の光スペクトルをモニタする光スペクトルモニタの情報から抽出することもできる。又、種別♯1の情報であるファイバ種類の情報については、得られている種別♯2〜♯4の情報から推定することもできる。即ち、ファイバ種類が不明の場合でも、分散補償モジュールの分散量と伝送路ファイバのスパンロス、伝送路ファイバの距離から適用する伝送路ファイバを推定可能である。
【0046】
前述の制御部3においては、例えば上述の種別♯1の管理情報をもとに、信号伝送先の伝送路ファイバ140が、SMF(Single Mode Fiber)等の分散値が比較的大きいファイバである場合には、強度変調光信号および位相変調光信号のウォークオフが大きいので、伝送路ファイバ140中で位相変調光信号が受けるXPMの影響は比較的小さい(影響を受けにくい)と判断する一方、信号伝送先の伝送路ファイバ140がNZDSF等の分散値が比較的小さいファイバである場合には、伝送路ファイバ140中で位相変調光信号が受けるXPMの影響は比較的大きい(影響を受けやすい)と判断することができる。
【0047】
そして、制御部3では、このようにXPMの影響が比較的大きいと判断する場合には、前述したような位相変調光信号と強度変調光信号との間に遅延時間差が設けられるように遅延ブロック部1を制御する。この場合においては、合波部13としての波長選択スイッチ15,15′(図2〜図4参照)における選択経路を制御することにより、当該合波部13では、位相変調光信号については遅延部12からの光信号を、強度変調光信号については遅延部12を経由しない光信号を、それぞれ出力する。換言すれば、制御部3は、情報収集部で収集された管理情報をもとに、分波部11としての波長選択スイッチ15,15′での光信号の分離を制御する。
【0048】
また、遅延部12における遅延時間を可変しうるように構成することとすれば、制御部3においては、情報収集部2で収集された管理情報をもとに、ビット時間差付与信号生成部としての遅延部12で付与するビット時間差の量を可変制御することもできる。
上述のごとく構成された光伝送装置111では、制御部3において、情報収集部2で収集する管理情報により、伝送路ファイバ140中でXPMの影響を受けやすい状態であること(伝送路ファイバ140の波長分散値が小さいことなど)を認識すると、遅延ブロック部1を制御することにより、強度変調光信号と位相変調光信号の中継装置内部でのルートを変更することにより、両光信号間に遅延時間差を与えている。
【0049】
そして、このような遅延時間差を各中継段の光伝送装置111で与えることにより、各光伝送装置111出力での信号間のビット配置が重ならなくなるため、XPMによる位相変調の累積量が減少し、位相変調光信号の波形劣化を抑圧することができる。ここで、強度変調光信号、位相変調光信号とも1信号に限らず、複数信号一括でルートを切り替えてもよい。また、図では位相変調光信号が辿るルートに遅延部12がそなえられているが、強度変調光信号と位相変調光信号のルートが入れ替わり、強度変調光信号が辿るルートに遅延部が備えられることとしてもよい。また、遅延部12は、XPMの影響がおおきくなるファイバを含む伝送区間の下流側にあって最初に波長分散補償モジュールが具備される中継ノードに備えられると効果的である。更に、各光伝送装置111の遅延器の遅延量はランダムである方が望ましい場合もある。各中継段での光伝送装置111内での送出される波長多重光信号における強度変調光信号と位相変調光信号との相対的なビット配置の関係が不規則となる結果、中継区間ごとの分散補償残量が規則正しい場合であっても、レッドチャープ累積が単純加算的に増大するリスクを抑制できるからである。
【0050】
図6(a),図6(b),図7及び図8は、強度変調光信号と位相変調光信号との間に伝搬遅延時間差を設けることにより、信号受信端での相互位相変調の影響を抑圧できることについて説明するための図である。例えば、RZ信号化された位相変調光信号と強度変調光信号とのビット配置のモデルを単純化して2つの場合を想定すると、光伝送装置111間での1伝送区間(1スパン)において、強度変調光信号の4ビット時間分だけ位相変調光信号の伝搬速度が速い場合には、図6(a),図6(b)に示すような、位相変調光信号の強度変調光信号のビット波形レベルでの追い抜きの態様を想定することができる。
【0051】
すなわち、図6(a)の場合においては、1スパン中でも伝送路ファイバ140の上流側において、位相変調光信号が、強度変調光信号の立上がりおよび立下りを1箇所ずつ追い抜くとともに(レッドチャープおよびブルーチャープの発生)、中流部分で強度変調光信号の立ち上がりを追い抜き(レッドチャープの発生)、次の中継段への入力箇所において、送信時点では4ビット先の強度変調光信号のビットの立下りと位相変調光信号の立下りとが揃うようになっている(ブルーチャープの発生)。
【0052】
これに対し、強度変調光信号を位相変調光信号よりも4ビット時間分だけ遅延させた場合には、ビット波形レベルでの追い抜きの態様は、例えば図6(b)に示すように、4ビット時間分先の4ビットのパターンに応じて、図6(a)の場合とは異なってくる。この場合には、伝送路ファイバ140の上流側において、位相変調光信号が、強度変調光信号の立下りを追い抜くとともに、中流部分では、送信時点では2ビット先の強度変調光信号の立ち上がりおよび立下りを追い抜き(レッドチャープおよびブルーチャープの発生)、次の中継段への入力箇所においては、送信時点では4ビット先の強度変調光信号のビットの立ち上がりと位相変調光信号のビットの立ち上がりとが揃うようになっている(レッドチャープの発生)。
【0053】
ここで、光伝送装置111における遅延ブロック部1の前段に図示しない分散補償機能をそなえるとともに、伝送路への送出の前段位置に集中増幅器30をそなえることとすると、伝送路ファイバ140に介装される光伝送装置111において位相変調光信号および強度変調光信号間での遅延時間差は設けず、かつ、上述の分散補償機能によって伝送路ファイバ140の分散が「0」に補償される場合には、集中増幅器30に入力される時点での強度変調光信号および位相変調光信号の相対的なビット配置の関係は常に同一(例えば常に図6(a))になる。この場合には、図7に示すように、各中継区間での残留チャープが累積することとなるので、信号受信端ではXPMの影響を受けることになる。
【0054】
これに対し、伝送路ファイバ140に介装される光伝送装置111において位相変調光信号および強度変調光信号間での遅延時間差を設ける場合には、上述の分散補償機能によって遅延ブロック部1に入力される時点で波長分散が「0」に補償されていても、OXC4の出力側にそなえられる集中増幅器30に入力される時点での強度変調光信号および位相変調光信号の相対的なビット配置の関係は、各中継段で異なることになり、例えば図6(a)や図6(b)に示すようになる。この場合には、図8に示すように、各中継区間での残留チャープが全体として相殺されることになるので、図7に示す場合よりも、信号受信端でのXPMの影響、特に位相変調光信号が受ける影響を抑圧させることができるのである。
【0055】
このように、本発明の第1実施形態によれば、遅延ブロック部1をなす遅延部12および合波部13により、信号受信端でのXPMの影響を抑圧させることができるので、強度変調光信号と位相変調光信号とが混在するネットワークシステムにおいて伝送品質の劣化を抑圧することができる利点がある。また、位相変調光信号による伝送システムのアップグレードが容易に可能となるため、システム性能(周波数利用効率、光信号対雑音比特性などの向上が期待できるとともに、ネットワーク管理の柔軟性を増大させることができる。
【0056】
〔A1〕第1実施形態の第1変形例の説明
上述の第1実施形態の光伝送装置111においては、強度変調光信号と位相変調光信号との間でビット遅延時間を与えるため遅延ブロック部1をそなえているが、本発明によれば、例えば図9〜図12に示すように、波長ごとの光信号の分岐/挿入を行なう分岐挿入部としての機能に遅延ブロック部1としての機能を組み込むことができる。
【0057】
たとえば、図9に示すように、入力された波長多重光信号(強度変調光信号と位相変調光信号との混在信号)を2分岐する光カプラ(分岐部)21と、光カプラ21で分岐された一方の経路の波長多重光信号(強度変調光信号および位相変調光信号)に対して遅延差(ビット時間差)を与えるための遅延器(ビット時間差付与部)22と、N(Nは複数)入力で1出力のアド/スルー機能を有する波長選択スイッチ23と、をそなえて構成する。
【0058】
すなわち、遅延器22で遅延された波長多重光信号を、N−1個のうちの一つのアドポート(又は遅延された波長多重光信号のための第1スルーポートTP1)を通じて入力される一方、分岐分21で分岐された他方の、遅延器22で遅延されていない波長多重光信号を、スルーポート(第2スルーポートTP2)を通じて入力され、スルーポートTP1,TP2および各アドポートから入力される光信号について、出力ポートから出力すべき光信号を波長ごとに選択して、波長多重された光信号として出力するようになっている(混在信号出力)。
【0059】
すなわち、波長単位で変調方式が規定された波長多重光信号を混在信号として入力されると、制御部3において波長選択スイッチ23を制御することにより、波長選択スイッチ23では、強度変調光信号の波長信号についてはスルーポートからの光信号を出力ポートへ出力する一方、位相変調光信号の波長信号についてはアドポートからの遅延器22で遅延された光信号を出力ポートへ出力するように動作させることができる。尚、この場合は、スルーポートからの位相変調光信号、およびアドポートからの強度変調光信号については出力ポートへの出力は遮断(ブロック)させる。
【0060】
こうすることにより、出力された混在信号は、位相変調光信号に遅延差を付加されて出力されることになる。従って、波長選択スイッチ23は、遅延器22でビット時間差が付与された光信号を含めて波長多重光信号を出力する波長多重光信号出力部を構成する。尚、図9では、位相変調光信号を遅延させているが、強度変調光信号を遅延させることとしてもよい。
【0061】
また、図10に示すものにおいては、光カプラ21aで分岐した一方の光を更に2分岐する光カプラ21bをそなえるとともに、光カプラ21bで分岐した一方は遅延器22へ、他方を複数のドロップポートに導く波長選択スイッチ21cと、をそなえている点が図9に示すものと異なる。この波長選択スイッチ21は、光カプラ21bからの波長多重光信号について、複数のドロップポートへ出力する光信号を、波長単位に選択して出力することができるようになっている。
【0062】
さらに、図11に示すものにおいては、図10に示す光カプラ21a,21bおよび波長選択スイッチ21cとしての機能を、1入力で3以上の出力ポートを有する単一の波長選択スイッチ21dで実現するものである。波長選択スイッチ21dは、入力される混在信号について、そのままの波長成分の混在信号を、波長選択スイッチ23のスルーポートへ通じる出力ポートから出力するとともに、遅延器22に通じる出力ポートからも出力する。尚、波長選択スイッチ21dの残りの出力ポートは、ドロップポートとして使用することができる。
【0063】
また、図12に示すものにおいては、光カプラ21aで分岐した一方の混在信号を入力されて出力ポートの一つを遅延器22に導く一方、他の出力ポートをドロップポートとして適用する波長選択スイッチ21eが介装されている点が図9に示すものと異なる構成である。
なお、図9〜図12中、同一の符号はほぼ同様の機能を具備するものである。上述の図9〜図12に示すような構成の光伝送装置においては、波長選択スイッチ21c〜21e,23により、波長ごとに分岐または挿入を行なうOADM機能とともに、位相変調光信号および強度変調光信号に、前述の第1実施形態の場合と同様のビット遅延時間差を設ける遅延ブロック部としての機能を併せ持つことができる。
【0064】
なお、図9の場合においては、光カプラ21および遅延器22が協働してビット時間差付与信号部を構成するとともに、波長選択スイッチ23が波長多重信号出力部を構成する。又、図10の構成の場合には、光カプラ21a,21bおよび遅延器22によりビット時間差付与信号生成部を構成するとともに、波長選択スイッチ23が波長多重信号出力部を構成する。
【0065】
同様に、図11の構成の場合には、波長選択スイッチ21dおよび遅延器22が協働してビット時間差付与信号生成部を構成するとともに、波長選択スイッチ23が波長多重信号出力部として機能する。又、図12の構成の場合には、光カプラ21a,波長選択スイッチ21eおよび遅延器22が協働してビット時間差付与信号生成部を構成するとともに、波長選択スイッチ23が波長多重信号出力部を構成する。
【0066】
〔A2〕第1実施形態の第2変形例の説明
上述の第1変形例にかかる光伝送装置においては、波長ごとの光信号の分岐/挿入を行なう分岐挿入部としての機能に遅延ブロック部1としての機能を組み込んだ構成としているが、本発明によれば、例えば図13〜図15に示すように、OXC部としての機能に遅延ブロック部1としての機能を組み込む構成とすることもできる。
【0067】
図13に示す光伝送装置においては、前述の第1実施形態の場合と同様の情報収集部2および制御部3がそなえられ、図11に示す光伝送装置におけるものと同様の構成要素(符号21d,22,23)をなす波長選択スイッチ24−1,24−2,遅延器(ビット時間差付与部)25−1,25−2および波長選択スイッチ(波長多重光信号出力部)26−1,26−2が、入出力ポート対の数(2)に対応して並列してそなえられている。
【0068】
これにより、波長選択スイッチ24−1は第1入力ポート(Port1-IN)からの混在信号を導入するとともに、波長選択スイッチ26−1は第1出力ポート(Port1-OUT)を通じて混在信号を出力する。又、波長選択スイッチ24−2は第2入力ポート(Port2-IN)からの混在信号を導入するとともに、波長選択スイッチ26−2は第2出力ポート(Port2-OUT)を通じて混在信号を出力する。
【0069】
また、入力側の波長選択スイッチ24−1,24−2は、それぞれドロップポートの少なくとも一つが他方の出力ポートに相当する波長選択スイッチ26−2,26−1のアドポートに接続されている。これにより、第1入力ポート(Port1-IN)からの光信号の方路を波長ごとに切り替えて、第2出力ポート(Port2-OUT)から出力したり、第2入力ポート(Port2-IN)からの光信号の方路を波長ごとに切り替えて、第1出力ポート(Port1-OUT)から出力したりすることでOXCを実現する。尚、図13中においては、波長選択スイッチ24−2のドロップポートと波長選択スイッチ26−1のアドポートとの接続に着目して図示されている。
【0070】
ここで、この図13に示す光伝送装置においては、方路切り替えがなされた混在信号についても、強度変調光信号と位相変調光信号とで前述の第1実施形態の場合と同様のビット遅延時間差を設ける構成を具備するものである。例えば、波長選択スイッチ24−2のドロップポートと波長選択スイッチ26−1のアドポートとの間に遅延器27−2および光カプラ28−2がそなえられている。尚、図示は省略しているが、波長選択スイッチ24−1のドロップポートと波長選択スイッチ26−2のアドポートとの間にも同様の構成をそなえることができる。
【0071】
遅延器27−2は、波長選択スイッチ24−2における一のドロップポートD1からの出力信号について、第1実施形態における遅延器22と同様のビット遅延時間を付与するものであり、光カプラ28−2は、遅延器27−2の出力と波長選択スイッチ24−2の(遅延器27−2が接続されていない)他のドロップポートD2の出力とを合波して波長選択スイッチ26−1のアドポートに出力するものである。
【0072】
なお、制御部3は、情報収集部2で収集する管理情報に基づいて、各波長選択スイッチ24−1,24−2,26−1,26−2における方路切り替えを設定制御することができる。
このように構成された図13に示す光伝送装置において、第2入力ポート(Port2-IN)から入力した信号が第1出力ポート(Port1-OUT)に出力される場合の動作について説明する。第2入力ポート(Port2-IN)から入力した混在信号は波長選択スイッチ24−2で経路を切り替えられ、位相変調光信号は遅延器27−2があるポートD1に出力され、強度変調光信号は遅延器27−2が無いポートD2に出力される。その後、光カプラ28−2で合波された後、出力が第1出力ポート(Port1-OUT)に導かれる波長選択スイッチ26−1のアドポートに入力された後、波長選択スイッチ26−1の出力を通じて第1出力ポート(Port1-OUT)に出力される。
【0073】
このようにして出力された混在信号をなす位相変調光信号には、入力元が第1,第2入力ポートであるかにかかわらず、強度変調光信号に対する遅延差が付加されて出力されるようにすることができる。尚、図13に示す例では位相変調光信号のルートに遅延器27−2を挿入しているが、強度変調光信号と位相変調光信号のルートを入れ替えて、強度変調光信号のルートに遅延器を挿入することとしてもよい。
【0074】
また、図13においては、2つの入力ポートおよび2つの出力ポートをそなえたOXCについて例示しているが、本発明によれば、2つ以上の入出力ポートをそなえたOXCとすることもできる。この場合においては、ビット遅延時間が付与された混在信号を分岐する光カプラ28−2を、(入出力ポートの並列数−1)の分岐数で分岐して、分岐した混在信号をそれぞれの出力ポートに導かれる波長選択スイッチのアドポートに接続するようにする。分岐数の増大に伴って光カプラ28−2の光挿入損失が増大する場合には、この光カプラ28−2と波長選択スイッチ26−1の接続上に、図示されていない波長多重光増幅器を具備して損失を補償してもよい。
【0075】
さらに、図14に示すものにおいては、方路切り替えがなされた混在信号についてビット遅延時間差を設ける構成として、例えば前述の図13の場合とは異なる機能を有する光カプラ28a−2および遅延器27a−2をそなえたものである。尚、図示は省略しているが、波長選択スイッチ24−1のドロップポートと波長選択スイッチ26−2のアドポートとの間にも同様の構成をそなえることができる。
【0076】
ここで、光カプラ28a−2は、波長選択スイッチ24−2からの一のドロップポートからの混在信号を2分岐するものであって、2分岐した一方は遅延器27a−2で前述の第1実施形態の場合と同様のビット時間差の遅延が与えられて第1アドポートA1に入力され、2分岐した他方は遅延器27a−2で遅延されずに第2アドポートに入力されるようになっている。このように構成しても、OXC機能を実現するとともに、出力される位相変調光信号には入力元が第1,第2入力ポートであるかにかかわらず、強度変調光信号に対する遅延差が付加されて出力されるようにすることができる。
【0077】
また、図15に示すものにおいては、図10に示す光伝送装置におけるものと同様の構成要素(符号21a〜21c,22,23)をなす光カプラ24a−1〜24c−1,24a−2〜24c−2,遅延器25−1,25−2および波長選択スイッチ26−1,26−2が、入出力ポート対の数(2)に対応して並列してそなえられている。そして、入力側の波長選択スイッチ24c−1,24c−2は、それぞれドロップポートの少なくとも一つが、他方の出力ポートを導く波長選択スイッチ26−2,26−1のアドポートに接続されている。これにより、第1入力ポート(Port1-IN)からの光信号の方路を波長ごとに切り替えて、第2出力ポート(Port2-OUT)から出力したり、第2入力ポート(Port2-IN)からの光信号の方路を波長ごとに切り替えて、第1出力ポート(Port1-OUT)から出力したりすることでOXCを実現する。
【0078】
ここで、この図15に示す光伝送装置においては、方路切り替えがなされた混在信号についても、強度変調光信号と位相変調光信号とで前述の図14の場合と同様のビット遅延時間差を設ける構成を具備するものである。例えば、波長選択スイッチ24−2のドロップポートと波長選択スイッチ26−1のアドポートとの間に光カプラ28a−2および遅延器27a−2がそなえられている。尚、図示は省略しているが、波長選択スイッチ24−1のドロップポートと波長選択スイッチ26−2のアドポートとの間にも同様の構成をそなえることができる。
【0079】
〔A3〕第1実施形態の第3変形例の説明
上述の第1変形例にかかる光伝送装置においては、図9〜図12に示すように、波長選択スイッチ21c〜21e,26を適宜用いることにより、波長ごとの光信号の分岐/挿入を行なう分岐挿入部としての機能に遅延ブロック部1としての機能を組み込んだ構成としているが、これらの波長選択スイッチ21c〜21e,26に代えて、例えば図16,図17に示すように、AWG(Arrayed Waveguide Grating)などのPLC(Planer Lightwave Circuit)型波長選択性素子から構成されるものを用いて、同様の装置を構成することもできる。
【0080】
図16に示すものにおいては、前述の図9に示すものと同様の光カプラ21をそなえるとともに、光カプラ21で分岐した一方の光信号をドロップポートへ導くための構成としてAWG31aおよび光スイッチ(SW)31bをそなえるとともに、光カプラ21で分岐した他方を光信号をスルーさせ又はアドポートからの光信号を挿入(アド)させるための構成としてAWG32a,32bおよび光スイッチ32c,32dをそなえ、かつ、位相変調光信号と強度変調光信号との混在信号を出力する際に両者に相対的なビット遅延差を与える遅延器33をそなえている。
【0081】
AWG31aは、光カプラ21からの一方の分岐光である混在信号(波長多重光信号)を入力されて、波長ごとの光信号に分波して出力するものである。又、光スイッチ31bは、AWG31aで分波された各波長成分に対応して設けられ、AWG31aからの分波出力された光信号についてドロップポートか又はアドポートへ通じる方路へ切り替えるものである。
【0082】
さらに、ビット時間差付与部としての遅延器33は、光スイッチ31bを通じて入力される、AWG31aからの分波出力光信号について、前述の第1実施形態における遅延器22と同様の遅延時間(ビット時間差)を付与するものであり、光スイッチ31bと同様、AWG31aで分波出力された波長の光信号に対応してそなえられている。又、光スイッチ32dは、遅延器33で遅延された光信号と、アド側の対応波長を有する光信号と、のいずれか一方を選択的に出力するものである。
【0083】
さらに、AWG32aは、光カプラ21からの他方の分岐光である混在信号(波長多重光信号)を入力されて、波長ごとの光信号に分波して出力するものである。又、光スイッチ32cは、AWG32aで分波された各波長成分に対応して設けられ、光スイッチ32dからアドポートを通じて入力された光信号とAWG32aからのスルー入力された光信号とのいずれか一方を選択的に出力するものである。更に、AWG32bは、光スイッチ32cから出力される光信号を合波(波長多重)して出力するものである(混在信号出力)。
【0084】
なお、図16中においては、光スイッチ31b,32dは、一波長についてのスイッチングを行なう構成に着目して図示されているが、他の波長についてのスイッチングを行なう構成についても同様にそなえることができる。又、制御部3Aは、上述の各光スイッチ31b,32c,32dでの切り替えを情報収集部2で収集した管理情報に基づいて制御するものである。
【0085】
したがって、上述の光カプラ21,AWG31a,光スイッチ31bおよび遅延器33により、入力される前記波長多重光信号から、相対的に異なるビット時間差を有する少なくとも2つの光信号を生成するビット時間差付与信号生成部を構成する。
上述のごとく構成された光伝送装置では、光カプラ21に入力される混在信号のうちで、強度変調光信号については、光スイッチ32cでのスイッチングを通じて、スルーで出力させるが、ポートから出力させる光スイッチ31bでのスイッチングを通じてドロップポートを通じて出力させることもできる。
【0086】
したがって、上述のAWG32a,32b,光スイッチ32c,32dが協働することにより、上述のビット時間差付与信号生成部からの少なくとも2つの光信号を入力されて、位相変調光信号および強度変調光信号の間でビット時間差が付与された波長多重光信号を生成し出力する波長多重信号出力部を構成する。
また、光カプラ21に入力される混在信号のうちで、位相変調光信号については、光スイッチ31bでのスイッチングを通じて、遅延器33を通過させた信号を、光スイッチ32d,32cでのスイッチングを通じて、AWG32bから出力する。即ち、ドロップ側のAWG31aで分波された後、Drop portに設置された光スイッチ31bで経路を切替え、遅延器33を通してAdd port側に配置している光スイッチ32d,32cを経由して、一対のAWG32a,32bのアドポートに入力される。こうすることにより、AWG32bから出力された混在信号は、位相変調光信号に遅延差を付加されて出力されることになる。ここで、図16では位相変調光信号に遅延器33を挿入しているが、強度変調光信号と位相変調光信号のルートが入れ替ってもよい。
【0087】
さらに、図17に示すものにおいては、AWG32aで分波された各分波光の伝搬経路上であって、アドポートからの光信号のAWG32b側への出力(挿入)およびAWG32aからのスルー信号のAWG32bへの出力(スルー)を波長単位に切り替える各光スイッチ32cの上流側に、波長単位に遅延器32eを通じた迂回経路を設定しうる光スイッチ32dおよび遅延器32eをそなえている。
【0088】
すなわち、図17に示す光伝送装置においては、図16に示すようにドロップ側のAWG31aを経由して遅延器33を通過する方路を設定せずに、AWG32a,32b間において遅延器32eを通過する(又は通過しない)方路を設定することができるようになっている。具体的には、前述の図16の場合と同様の制御部3Aにより、位相変調光信号をなす波長の光信号については、光スイッチ32dを切り替えて遅延器32eを通過する迂回経路を設定する一方、強度変調光信号をなす波長の光信号については、光スイッチ32dを切り替えて遅延器32eを通過せずに光スイッチ32cに出力される経路を設定する。
【0089】
このように構成された図16,図17に示す光伝送装置においても、前述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
〔A4〕第1実施形態および第1実施形態の第1〜第3変形例による作用効果の説明
第1実施形態および第1実施形態に派生した第1〜第3変形例による作用効果を計算したモデルを図18に、結果を図19に示す。
【0090】
図18に示すように、伝送路ファイバ140は波長分散2.4ps/nm/km, 中継スパン80kmであり、中継器としての光伝送装置111内では、入力される波長多重光信号(混在信号)について、分散補償ファイバ29で分散補償が行なわれ、光アンプ30aで増幅された後、光カプラ21aで強度変調光信号と位相変調光信号を分岐し、位相変調光信号に遅延器22を挿入して遅延を与えた後、波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch, WSS)23で合波している。そして、WSS23からの出力を光アンプ30bで増幅して伝送路ファイバ140に送出するようになっている。
【0091】
図18に示すモデルについては、図19に示すような計算結果が得られた。即ち、各スパンで遅延を付加することにより、最悪のQペナルティ量が約3dB低減できた(波長分散補償率100%の場合)。尚、チャネル間の遅延量差は波長分散と関係があり、遅延の負荷量によっては波長分散補償ずれにより、かえってビット配置が揃ってしまう場合がある。そのため、各光伝送装置111では、分散補償ファイバ29で補償する伝送路ファイバ140での分散量に対する残留分散量で生じることとなる遅延量よりも十分大きい遅延差を与えることが望ましい。例えば、送信器112から受信器113の間での伝送路全体での10Gbps伝送信号の波長分散トレランスは概ね±1000ps/nmであるので、波長間隔0.8nmを想定すると、各中継器としての光伝送装置111では、合計して±800ps以上の遅延を負荷すれば安全である。
【0092】
〔B〕第2実施形態の説明
図20は本発明の第2実施形態にかかる光伝送装置111Aを示すブロック図である。この図20に示す光伝送装置111Aは、前述の第1実施形態における光伝送装置111(図2参照)に比して、遅延部12に代えて波長分散付与器(ビット時間差付与部)12Aをそなえた遅延ブロック部1Aをそなえている点が異なっており、これ以外については基本的に同様の構成を有している。尚、図20中、図2と同一の符号はほぼ同様の部分を示すものである。
【0093】
すなわち、分岐部11としての光カプラ11において、入力される混在信号を2分岐し、一方はそのまま合波部13としての波長選択スイッチ13に出力するとともに、他方は波長分散付与器12Aにおいて更に波長分散を付与する。これにより、光カプラ11で2分岐されてそのまま波長選択スイッチ13に入力される光信号と、波長分散付与器12Aで波長分散が付与されて波長選択スイッチ13に入力される光信号と、の間では波長分散量に差が設けられる。
【0094】
したがって、上述の光カプラ11および波長分散付与器12Aにより、入力される波長多重光信号から、(異なる波長分散量を負荷することを通じて)相対的に異なるビット時間差を有する少なくとも2つの光信号を生成するビット時間差付与信号生成部を構成する。
そして、波長選択スイッチ13においては、上述のごとく光カプラ11で分岐されて直接入力された光信号と、波長分散付与器12Aを経由した光信号と、を入力されて、出力ポートを通じて出力すべき光信号を波長ごとに選択的に切り替えて出力することができる。
【0095】
このとき、制御部3においては、情報収集部2で収集した管理情報に基づいて、出力先伝送路ファイバ140がXPMの影響を受けやすい状態であると判断した場合には、波長選択スイッチ13を制御することにより、例えば位相変調光信号をなす波長の光信号については、波長分散付与器12Aを経由した光信号を出力ポートを通じて出力する一方、強度変調光信号をなす波長の光信号については、光カプラ11で分岐されて(波長分散付与器12Aを経由せずに)直接入力された光信号を出力ポートを通じて出力するように方路切り替えを設定することができる。これにより、位相変調光信号と強度変調光信号との間において、実質的にビット遅延時間の差を与えることができ、前述の第1実施形態の場合と同様に、XPMによるレッドチャープの残留を抑制させることができるようになる。
【0096】
したがって、上述の波長選択スイッチ13は、光カプラ11および波長分散付与器12Aからの2つの光信号を入力されて、位相変調光信号および強度変調光信号の間でビット時間差が付与された波長多重光信号を生成し出力する波長多重光信号出力部を構成する。
なお、上述の図20においては、分岐部としての光カプラ11をそなえるとともに、合波部としての波長選択スイッチ13をそなえて構成したが、本発明によれば、光カプラ11に代えて分波部としての波長選択スイッチをそなえるとともに波長選択スイッチ13に代えて光カプラ等の合流素子により構成することも可能である。勿論、第1実施形態の場合の波長選択スイッチ15,15′(図3,図4参照)のように、一つの波長選択スイッチにより分波部および合流部としての機能を併せ持つこととしてもよい。
【0097】
上述の構成による、第2実施形態にかかる光伝送装置111Aでは、制御部3において、情報収集部2において収集した管理情報に基づいて、伝送路ファイバ140中でXPMの影響を受けやすい状態であること(伝送路ファイバの波長分散値が小さいファイバであることなど)を認識すると、遅延ブロック部1Aをなす波長選択スイッチ13を制御することにより、当該光伝送装置111A内で位相変調光信号と強度変調光信号とに波長分散差を与える。
【0098】
図21に示される分散マップ(伝送距離対累積波長分散のグラフ)のように、各中継器としての光伝送装置111Aにおける、分散補償機能部での分散補償率が100%の場合、各光伝送装置111Aでビット配置が重なるため、XPMにより受ける位相変調が累積する。それに対し、図20に示すように、光伝送装置111A内で経路を変更し、位相変調光信号に波長分散を付与する波長分散付与器12Aを通すことにより、分散マップが図22に示すようになり、各光伝送装置111Aでの分散補償率を100%からずらすことができる。このようにすると、ビット配置が各光伝送装置111Aで重ならなくなるため、XPMによる位相変調の累積量が減少する。ここで、図20では位相変調光信号に波長分散付与器12Aを挿入しているが、強度変調光信号と位相変調光信号のルートを入れ替えて構成することとしてもよい。
【0099】
第2実施形態の効果を計算したモデルを図23に、計算結果を図24に示す。図23に示すモデルについても、図18に示すモデルに比して遅延器22に代えて波長分散付与器12Aがそなえられている点が異なっている。伝送路ファイバ140は波長分散2.4ps/nm/km, 中継スパン80kmである。光伝送装置111A内では分波部としての光カプラ21a,21bで強度変調光信号と位相変調光信号とを分岐し、位相変調光信号に波長分散付与器12Aを挿入して遅延を与えた後、合波部としての波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch, WSS)23で合波している。図24の計算結果が示すように、各光伝送装置111Aでの強度変調光信号と位相変調光信号との分散補償率の比を100%からずらすことにより、XPMを受けるビット配置が各中継器で重ならなくなるため、XPMによる位相変調の累積量を減少させることができる。
【0100】
このように、本発明の第2実施形態においても、波長分散付与器12Aおよび合波部13により、前述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
〔C〕第3実施形態の説明
図25は本発明の第3実施形態にかかる光送信装置(光伝送装置)を示すブロック図である。この図25に示す光送信装置は、強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて送信する光送信装置であって、少なくとも一つの(ここでは複数波長の)チャンネルが設定された強度変調光信号を発生させる強度変調光信号発生部41と、少なくとも一つの(ここでは複数波長の)チャンネルが設定された位相変調光信号を発生させる位相変調光信号発生部42と、をそなえるとともに、波長分散付与器43,合波器44a〜44c,情報収集部2および制御部3Bをそなえている。
【0101】
ここで、合波器44aは、強度変調光信号発生部41からの強度変調光信号について、特に複数チャンネルの強度変調光信号についてこれらを合波(波長多重)するものである。同様に、合波器44bは、位相変調光信号発生部42からの位相変調光信号について、特に複数チャンネルの位相変調光信号についてこれらを合波(波長多重)するものである。
【0102】
また、波長分散付与器43は、強度変調光信号発生部41で発生する(した)強度変調光信号の波形立上り/立下りを鈍化させる波長分散付与部としての機能を有し、合波部44aからの強度変調光信号(図25のA参照)について、波長分散を付与することにより、立ち上がりおよび立下りをなまらせた強度変調光信号(図25のB参照)として出力するものである。
【0103】
さらに、合波器44cは、波長分散付与器43で波長分散が付与された強度変調光信号および合波器44bからの位相変調光信号について合波(波長多重)して、強度変調光信号および位相変調光信号の混在信号として出力するものである。従って、上述の合波器44a〜44cにより、波長分散付与器43からの強度変調光信号と位相変調光信号発生部42からの位相変調光信号とを多重して送信する多重送信部を構成する。
【0104】
図26は第3実施形態における他の光送信装置を示すブロック図である。図26に示す光送信装置は、図25に示すものに加えて、合波器44bからの位相変調光信号に波長分散を付与する波長分散付与器43bと、合波器44cからの波長多重光信号(混在信号)に、伝送路における過補償分の波長分散を付与する波長分散付与器43cと、をさらにそなえている。
【0105】
図27は第3実施形態における別の光送信装置を示すブロック図である。図27に示す光送信装置は、図25,図26に示すものと異なり、波長分散付与器43,43b,43cに代えて、強度変調光信号発生部41で発生させる強度変調光信号が、前述の図25、図26に示すような波形がなまった強度変調光信号となるように、電気信号段での予等化処理をチャンネルに対応して行なう予等化処理部45をそなえている。即ち、この予等化処理部45は、該強度変調光信号発生部で発生する(発生することとなる)強度変調光信号の波形立ち上がり/立下りを鈍化させる波長分散付与部を構成する。
【0106】
上述の構成による、本発明の第3実施形態にかかる光送信装置では、発生した強度変調光信号に分散を負荷し、強度変調光信号の送信波形をなまらせて混在信号を送信する。すなわち、強度変調光信号波形の立ち上がり時間および立下り時間が長くなることにより、強度変化量が小さくなるため、XPMによる効果が小さくなる。
図28(a)〜図28(e),図29(a)〜図29(e)は、強度変調光信号に波長分散を付与することにより、信号受信端での相互位相変調の影響を抑圧できることについて説明するための図である。図28(c),図29(c)に示すように、光送信装置150が、伝送路ファイバ140および光増幅器を含む中継装置160により多段に接続されてなるネットワークに、位相変調光信号と強度変調光信号との混在信号を送出する場合を想定する。
【0107】
そして、光送信装置150において送信する混在信号としては、波形がなまった強度変調光信号とせずに混在信号を伝送する場合には、例えば図28(a),図28(b)に示すようなビット配置のモデルを想定することができる。即ち、図28(c)に示すように、光送信装置150から次の中継装置160までの1伝送区間(1スパン)において、強度変調光信号の4ビット時間分だけ位相変調光信号の伝搬速度が速い場合には、これらの図28(a),図28(b)に示すような、位相変調光信号の強度変調光信号のビット波形レベルでの追い抜きの態様を想定することができる。
【0108】
すなわち、図28(d)に示すように、1スパン中でも伝送路ファイバ140の上流側において、位相変調光信号が、強度変調光信号の立ち上がりおよび立下りを1箇所ずつ追い抜くとともに(レッドチャープおよびブルーチャープの発生)、中流部分で強度変調光信号の立ち上がりを追い抜き(レッドチャープの発生)、次の中継段への入力箇所において、送信時点では4ビット先の強度変調光信号のビットの立下りと位相変調光信号の立下りとが揃うようになっている(ブルーチャープの発生)。
【0109】
言い換えれば、光送信装置150から送信する混在信号のビット配置としては、図28(a),図28(b)に示すように、強度変調光信号および位相変調光信号の相対的なビット配置の関係が揃うことを想定できる。この場合には、図28(e)に示すように、各中継区間での残留チャープが累積することとなるので、信号受信端ではXPMの影響を受けることになる。
【0110】
これに対し、強度変調光信号に波形をなまらせる波長分散を付与する場合には、例えば図29(a),図29(b)に示すように、強度変調光信号および位相変調光信号の相対的なビット配置の関係が揃っていたとしても、図29(c)に示すように、伝送路ファイバ140上で発生するレッドチャープおよびブルーチャープの発生自体を、前述の図28(d)の場合よりも低減させることができるので、中継区間で累積する残留チャープの量についても、図29(e)に示すように低減させることができるのである。
【0111】
このように、本発明の第3実施形態によれば、波長分散付与器43により、伝送路上でのXPMによるチャープの発生自体を低減させることができるので、信号受信端でのXPMの影響を抑圧させることができるので、強度変調光信号と位相変調光信号とが混在するネットワークシステムにおいて伝送品質の劣化を抑圧することができる利点がある。また、位相変調光信号による伝送システムのアップグレードが容易に可能となるため、システム性能(周波数利用効率、光信号対雑音比特性などの向上が期待できるとともに、ネットワーク管理の柔軟性を増大させることができる。
【0112】
なお、第3実施形態においては、光送信装置において生成する強度変調光信号に波形をなまらせる波長分散を付与しているが、本発明によれば、例えば再生中継を行なう光中継装置においても、生成する強度変調光信号に波形をなまらせる波長分散を付与する機能をそなえる構成としてもよい。
さらに、上述の第2実施形態における分散付与の態様と、第3実施形態における分散付与の態様と、を組み合わせて実施することもできる。第2実施形態と第3実施形態での分散付与の態様を組み合わせた場合の分散マップの一例を図31に、対比例としての分散マップを図30に示す。図30の分散マップでは、強度変調光信号と位相変調光信号ともに波長分散補償率100%であるのに対し、図31の分散マップでは強度変調光信号の送信部で波長分散を付与するとともに、各中継装置としての光伝送装置111Aにおける波長分散付与器12Aにおいて、強度変調光信号に対する波長分散補償率を100%からずらした構成となっている。こうすることにより、強度変調光信号の伝送特性をなるべく長距離にわたり確保したまま、XPMによる波形劣化を抑圧することができる。
【0113】
〔D〕第4実施形態の説明
図32は本発明の第4実施形態にかかる光伝送装置が適用されるデータ転送ネットワークの構成を示す図で、この図32に示すように、第4実施形態におけるデータ転送ネットワーク110Cにおいても、前述の図1に示すデータ転送ネットワーク(符号110)として適用されるものであって、光伝送装置111C−1〜111C−5が分散値の小さい伝送路ファイバ(例えばNZDSF)140を通じてリング状に接続されるとともに、光伝送装置111C−4〜111C−8についても分散値が比較的小さい伝送路ファイバ(例えばNZDSF)140を通じてリング状に接続されている。
【0114】
このような構成のデータ転送ネットワーク110Cにおいて、光伝送装置111−2に入力される、強度変調光信号と位相変調光信号との混在信号が、光伝送装置111C−3,111C−4,111C−8および111C−7を通じて順次中継伝送される場合を想定する(図32のA参照)。
このとき、特に光伝送装置111C−4での中継処理に着目すると、光伝送装置111C−4においては、入力される混在信号のうちで、強度変調光信号と位相変調光信号のいずれか一方(たとえば強度変調光信号)を、光伝送装置111C−5との間で形成される迂回路(図32のB参照)を経由して、光伝送装置111C−8及び111C−7への中継を行なうようになっている。
【0115】
すなわち、光伝送装置111C−4においては、光伝送装置111C−5と協働することにより、強度変調光信号と位相変調光信号のルートを変えることにより、両信号間に遅延差を与えているので、この場合にも前述の第1実施形態の場合と同様に受信端でのXPMの影響を抑制させることができる。
図33は、上述のごとき迂回路を設定しうる光伝送装置111Cの構成を示すブロック図である。光伝送装置111Cは、この図33に示すように、光カプラ51,52および波長選択スイッチ53〜56をそなえるとともに、前述の第1実施形態の場合と基本的に同様の情報収集部2および制御部3Cをそなえる。
【0116】
光カプラ51は、入力される(強度変調光信号および位相変調光信号の)混在信号について3分岐し、一つは出力先伝送路ファイバ140に導かれる波長選択スイッチ53へ、もう一つはドロップ用の波長選択スイッチ55へ、更にもう一つは迂回ルートをなす伝送路ファイバ140へ導かれる波長選択スイッチ54のアドポートへ、それぞれ出力されるようになっている。
【0117】
以下、図32のAに示す経路で伝送される混在信号を中継伝送する光伝送装置111C−4に着目すると、光カプラ51は、混在信号についての第1の分岐光を、中継経路Aをなす光伝送装置111C−8と接続される伝送路ファイバ140に導かれる波長選択スイッチ53へ、第2の分岐光をドロップ用の波長選択スイッチ55へ、第3の分岐光を迂回ルート(光伝送装置111C−5との間での経路)Bをなす伝送路ファイバ140へ導かれる波長選択スイッチ54のアドポートへ、それぞれ出力されるようになっている。
【0118】
また、光カプラ52は、迂回ルートBをなす(光伝送装置111C−5との間の)伝送路ファイバ140に接続されて、この迂回ルートBをなす伝送路ファイバ140からの光信号について3分岐して、一つは出力先ルートAをなす伝送路ファイバ140に導かれる波長選択スイッチ53のアドポートへ、もう一つはドロップ用の波長選択スイッチ56へ、更にもう一つは迂回ルートBをなす伝送路ファイバ140へ導かれる波長選択スイッチ54へ、それぞれ出力されるようになっている。
【0119】
さらに、波長選択スイッチ53は、光カプラ51からの分岐光である、中継経路Aをなす上流側の伝送路ファイバ140を伝搬してきた混在信号を入力されるとともに、光カプラ52からの分岐光である、迂回ルートBをなす伝送路ファイバ140からの光信号をアドポートを通じて入力されて、中継経路Aをなす下流側の伝送路ファイバ140へ中継伝送すべき波長の光信号を選択的に切り替えて出力する。
【0120】
また、波長選択スイッチ54は、光カプラ52からの迂回ルートBをなす伝送路ファイバ140からの光信号を入力されるとともに、光カプラ51からの分岐光についてもアドポートから入力されて、出力ポートから出力すべき波長を選択的に切り替えることができるものである。
制御部3Cは、情報収集部2において収集した管理情報に基づいて波長選択スイッチ53〜56の波長ごとの方路切り替えを設定制御するものである。例えば、情報収集部2からの管理情報に基づいて、伝送先経路をなす伝送路ファイバ140がXPMの影響を受けやすいと判断した場合には、制御部3Cでは、上述の波長選択スイッチ53,54での波長ごとの方路切り替え設定を制御することにより、強度変調光信号の迂回伝送のために、光伝送装置111C−5との間で迂回ルートBを設定する。
【0121】
具体的には、波長選択スイッチ54を制御することにより、アドポートを通じて入力される光カプラ51からの混在信号のうちで、強度変調光信号および位相変調光信号のいずれか一方(図33の場合には強度変調光信号)に相当する波長の光信号を迂回ルートBへ送出する。
また、波長選択スイッチ53を制御することにより、光カプラ51から入力される混在信号のうちで、強度変調光信号および位相変調光信号のいずれか他方(図33の場合には位相変調光信号)に相当する波長の光信号を下流側の中継経路Aへ送出する一方で、アドポートから入力される光カプラ52からの(迂回ルートBを経由した)強度変調光信号を下流側の中継経路Aへ送出する。
【0122】
したがって、上述の光カプラ51,波長選択スイッチ53および波長選択スイッチ54が協働することにより、入力される波長多重信号における強度変調光信号と位相変調光信号とを分離する分離部としての機能を実現する。又、波長選択スイッチ54により、分離部で分離された強度変調光信号および位相変調光信号のいずれか一方を迂回路へ送出する迂回路送出部を構成する。又、光カプラ51,52および波長選択スイッチ53が協働することにより、迂回路を通じて入力される強度変調光信号と位相変調光信号のいずれか一方と、分離部からの強度変調光信号と位相変調光信号のいずれか他方と、を波長多重して中継する波長多重中継部を構成する。
【0123】
上述のごとく構成された図32に示す光伝送装置111C−4では、図33に示すように、情報収集部2で収集する管理情報をもとに、中継経路Aをなす下流側の伝送路ファイバ140中でXPMの影響を受けやすい状態であること(伝送路ファイバ140の波長分散値が小さいファイバであることなど)を認識した後、制御部3Cでの波長選択スイッチ53,54への方路切り替えの制御を行なうことにより、強度変調光信号と位相変調光信号のルートを変えて、両信号間に遅延差を与える。
【0124】
すなわち、波長と変調方式を1対1で対応させるとともに、波長選択スイッチ53,54を用いて波長を切り替えることにより、変調方式に応じた光信号のルーティングを行なう。これにより、図33に示すように、強度変調光信号を迂回ルートBを経由させて遅延を与えた後、合波することにより、位相変調光信号と強度変調光信号のビット配置が後段の各光伝送装置111C−8,111C−7で重ならなくなるため、XPMによる位相変調の累積量を減少させることができる。
【0125】
このように、本発明の第4実施形態にかかる光伝送装置によれば、迂回ルート設定部により、強度変調光信号と位相変調光信号との間のいずれか一方に迂回ルートを設定することができるので、強度変調光信号と位相変調光信号との間にビット時間差を設けることができるので、前述の第1実施形態の場合と同様に、迂回ルートを経由した強度変調光信号と迂回ルートを経由しない位相変調光信号とを波長多重して伝送することで、双方の変調信号を迂回ルートを経由しないで伝送する場合よりもレッドチャープの累積を低減させることができるので、信号受信端でのXPMの影響を抑圧させることができるので、強度変調光信号と位相変調光信号とが混在するネットワークシステムにおいて伝送品質の劣化を抑圧することができる。
【0126】
また、位相変調光信号による伝送システムのアップグレードが容易に可能となるため、システム性能(周波数利用効率、光信号対雑音比特性などの向上が期待できるとともに、ネットワーク管理の柔軟性を増大させることができる。
〔E〕第5実施形態の説明
図34は本発明の第5実施形態にかかる光伝送装置が適用されるデータ転送ネットワークの構成を示す図で、この図34に示すように、第5実施形態におけるデータ転送ネットワーク110Dは、光伝送装置111D−1〜111D−3が、分散値が比較的大きいファイバ(例えばシングルモードファイバ,SMF)141を介して連結接続されるとともに、光伝送装置111D−1,111D−4,111D−3が、分散値が比較的小さいファイバ(例えばNZDSF)142を介して連結接続されている。
【0127】
すなわち、このような構成のデータ転送ネットワーク110Dにおいては、光伝送装置111D−1に入力される波長多重光信号を光伝送装置111D−3側へ出力するにあたっては、上述のSMF141を経由したルートおよびNZDSF142を経由したルートのいずれかを用いることができる。前述したように、波長多重光信号に強度変調光信号および位相変調光信号が混在している場合には、NZDSF142のごとき分散値の比較的小さい光ファイバを伝送する場合には、これらの信号間でのウォークオフが小さいので、受信端でのXPMの影響を受けやすいと判断される。そこで、このようなXPMの影響を受けやすい混在信号を伝送する場合には、SMF141側のルートを経由して光伝送装置111D−3へ中継伝送することで、受信端でのXPMの影響を低減させることができるようになる。
【0128】
一方、入力される波長多重信号における各チャンネルの変調方式や波長配置によっては、SMF141よりもNZDSF142を経由した方が受信品質を良好とすることができると想定できる場合には、当該NZDSF142側のルートを経由して光伝送装置111D−3へ中継伝送することもできる。
図35は、上述のごとき経由ルートを決定する機能を有する光伝送装置111Dの構成を示すブロック図である。光伝送装置111Dは、この図35に示すように、光カプラ61,62および波長選択スイッチ63〜66をそなえるとともに、前述の第1実施形態の場合と基本的に同様の情報収集部2および制御部3Dをそなえる。
【0129】
すなわち、図35に示す光伝送装置111Dにおいては、SMF141での中継伝送システムとして、光カプラ62,波長選択スイッチ64およびドロップ用の波長選択スイッチ66をそなえるとともに、NZDSF142での中継伝送システムとして、光カプラ61,波長選択スイッチ63およびドロップ用の波長選択スイッチ65をそなえて構成することができる。
【0130】
光カプラ61は、入力される波長多重光信号(例えば強度変調光信号および位相変調光信号の混在信号)について3分岐し、一つはNZDSF142へ導かれる波長選択スイッチ63へ、もう一つはドロップ用の波長選択スイッチ65へ、更にもう一つはSMF141へ導かれる波長選択スイッチ64のアドポートへ、それぞれ出力されるようになっている。
【0131】
以下、図34に示す光伝送装置111D−1から光伝送装置111D−3側に波長多重光信号を中継伝送する場合に着目すると、光カプラ61は、入力される波長多重光信号についての第1の分岐光を、NZDSF142に導かれる波長選択スイッチ63へ、第2の分岐光をドロップ用の波長選択スイッチ65へ、第3の分岐光をSMF141へ導かれる波長選択スイッチ64のアドポートへ、それぞれ出力されるようになっている。
【0132】
また、光カプラ62は、光カプラ61とは異なる上流側伝送路ファイバ(例えばSMF)に接続されて、この上流側伝送路ファイバからの光信号について3分岐して、一つはNZDSF142に導かれる波長選択スイッチ63のアドポートへ、もう一つはドロップ用の波長選択スイッチ66へ、更にもう一つはSMF141へ導かれる波長選択スイッチ64へ、それぞれ出力されるようになっている。
【0133】
さらに、波長選択スイッチ63は、光カプラ61からの分岐光を入力されるとともに、光カプラ62からの分岐光をアドポートを通じて入力されて、NZDSF142へ中継伝送すべき波長の光信号を選択的に切り替える。又、波長選択スイッチ64は、光カプラ62からの分岐光を入力されるとともに、光カプラ61からの分岐光についてもアドポートから入力されて、SMF141へ中継伝送すべき波長の光信号を選択的に切り替える。
【0134】
したがって、上述の光カプラ61,波長選択スイッチ63および波長選択スイッチ64が協働することにより、入力される波長多重信号光について、伝送先方路となる伝送路を選択的に切り替える方路切り替え部を構成する。
そして、制御部3Dは、情報収集部2において収集した管理情報に基づいて波長選択スイッチ63〜66の波長ごとの方路切り替えを設定制御するものである。
【0135】
例えば、情報収集部2からの管理情報に基づいて、入力される波長多重光信号の変調方式の組み合わせ(強度変調光信号および位相変調光信号の混在の有無)やその波長配置の情報に基づいて、受信端でXPMの影響を受けやすいと判断した場合には、制御部3Dでは、上述の波長選択スイッチ63,64での波長ごとの方路切り替え設定を制御することにより、受信端でのXPMの影響を抑制するためのルートとしてSMF141を経由するルートを設定する。
【0136】
具体的には、波長選択スイッチ64を制御することにより、光カプラ61からの混在信号についてSMF141へ送出する。一方、波長選択スイッチ63を制御することにより、光カプラ61から入力される混在信号についてはNZDSF142への送出を遮断(ブロック)する。
なお、情報収集部2からの管理情報に基づいて、SMF141のルートよりもNZDSF142のルートが適当であると判断される場合には、制御部3Dでは、上述の波長選択スイッチ63,64での波長ごとの方路切り替え設定を制御することにより、NZDSF142を経由するルートを設定し、SMF141へのルートを遮断する。
【0137】
換言すれば、制御部3Dは、情報収集部2で収集された管理情報をもとに、方路切り替え部としての波長選択スイッチ63,64によるSMF141又はNZDSF142への方路切り替え設定を制御する。
このように、本発明の第5実施形態によれば、制御部3Dにより、情報収集部2で収集された管理情報をもとに、方路切り替え部としての波長選択スイッチ63,64による方路切り替え設定を制御することができるので、受信端でのXPMの影響を受けやすい場合には適応的にその影響を最小限とするルートに切り替えることができ、伝送品質の劣化を抑圧することができる利点がある。また、位相変調光信号による伝送システムのアップグレードが容易に可能となるため、システム性能(周波数利用効率、光信号対雑音比特性などの向上が期待できるとともに、ネットワーク管理の柔軟性を増大させることができる。
【0138】
〔F〕第6実施形態の説明
図36は本発明の第6実施形態にかかる光伝送装置が適用されるデータ転送ネットワークの構成を示す図である。この図36に示すように、第6実施形態におけるデータ転送ネットワーク110Eは、光伝送装置111E−1〜111E−4が、分散値が比較的小さいファイバ(例えばNZDSF)142を介してリング状に相互に連結接続されている。
【0139】
すなわち、このような構成のデータ転送ネットワーク110Eにおいては、光伝送装置111E−1に入力される波長多重光信号を光伝送装置111E−3側へ出力するにあたっては、光伝送装置111E−2を経由したルート(図36のA参照)および光伝送装置111E−4を経由したルート(図36のB参照)のいずれかを用いることができる。
第6実施形態にかかる光伝送装置111Eにおいては、図37に示すように、上述の第5実施形態における光伝送装置111Dと基本的に同様の構成(図35の符号61〜66,2,3D参照)により、入力される波長多重光信号が強度変調光信号と位相変調光信号との混在信号である場合には、これらの混在信号をなす位相変調光信号と強度変調光信号とで送出先ルートを別々のルート(図36の光伝送装置111E−1に着目するとルートA,B)となるように決定するようになっており、これにより、強度変調光信号および位相変調光信号の混在信号の伝送による受信端でのXPMの影響を抑圧させることができるようになる。
【0140】
したがって、第6実施形態においても、受信端でのXPMの影響を受けやすい場合には適応的にその影響を最小限とするルートに切り替えることができ、伝送品質の劣化を抑圧することができる利点がある。また、位相変調光信号による伝送システムのアップグレードが容易に可能となるため、システム性能(周波数利用効率、光信号対雑音比特性などの向上が期待できるとともに、ネットワーク管理の柔軟性を増大させることができる。
【0141】
なお、ネットワークシステムのルートが2重化されている場合には、位相変調光信号および強度変調光信号をメインルートおよび予備ルートに割り振ってルーティングすることとしてもよい。
〔G〕第7実施形態の説明
図38は本発明の第7実施形態にかかる光伝送装置が適用されるデータ転送ネットワークの構成を示す図で、この図38に示すように、第7実施形態におけるデータ転送ネットワーク110Fは、前述の第5実施形態におけるデータ転送ネットワーク110Dと同様に、光伝送装置111F−1〜111F−3が、分散値が比較的大きいファイバ(例えばSMF)141を介して連結接続されるととともに、光伝送装置111F−1,111F−4,111F−3が、分散値が比較的小さい光ファイバ(例えばNZDSF)142を介して連結接続されている。
【0142】
すなわち、このような構成のデータ転送ネットワーク110Fにおいては、光伝送装置111F−1に入力される波長多重光信号を光伝送装置111F−3側へ出力するにあたっては、上述のSMF141を経由したルートおよびNZDSF142を経由したルートのいずれかを用いることができる。前述したように、波長多重光信号に強度変調光信号および位相変調光信号が混在している場合には、NZDSF142のごとき分散値の比較的小さい光ファイバを伝送する場合には、これらの信号間でのウォークオフが小さいので、受信端でのXPMの影響を受けやすいと想定できる。
【0143】
そこで、第7実施形態にかかる光伝送装置111Fでは、このようなNZDSF142の経路を上述のごとき混在信号を伝送させる場合には、XPMの影響を受けやすい位相変調光信号および隣接の強度変調光信号の波長配置を変更するようになっている。
図39は上述の波長配置を変更する機能を有する光伝送装置111Fを示すブロック図である。この図39に示すように、光伝送装置111Fは、分波器71,波長変換器72および合波器73をそなえた波長配置変換部70とともに、前述の第1実施形態の場合と同様の情報収集部2および制御部3Fをそなえている。
【0144】
なお、図38の光伝送装置111F−1として適用された場合に着目すると、SMF141およびNZDSF142のいずれか一方に出力先方路を波長単位で切り替える構成をそなえることもでき、この場合には、図35に示す光伝送装置111Dにおける構成をそなえるとともに、図35の波長選択スイッチ63とNZDSF142との間に、図39に示す波長配置変換部70をそなえることとしてもよい。
【0145】
ここで、分波器71は、入力される前記波長多重信号における一部の波長帯の光信号を他の波長帯の光信号から分離する分離部であって、例えば制御部3Fからの制御に応じて波長ごとの出力方路を切り替える波長選択スイッチにより構成することができる。特に分離した一部の光信号についてはチャンネルごとに異なる経路を伝搬させるように構成することができる。
【0146】
また、波長変換器72は、分波器71で分離された一部の波長帯の強度変調光信号について波長割り当てを変更する波長割り当て変更部を構成するものであり、例えば想定する一部の波長帯の光信号の波長数に応じて、互いに異なる変換波長を有する光/電気変換素子および電気/光変換素子の対を並列配置することにより構成する。これにより、分波器71で分離した一部の波長帯の光信号について、変換元の波長数に応じて互いに異なる変換後波長の光信号とすることができる。
【0147】
なお、分波器71では位相変調光信号にかかる波長の光信号についても分離させることが可能であるが、この場合には、波長変換器72としては、分離した位相変調光信号を一旦復調したのち再度変換元の波長とは異なる波長の光信号に位相変調を行なうように構成する。
また、上述の波長変換器72での波長割り当ての変更態様としては、図38のAに示すように、XPMの影響を受けやすい位相変調光信号Pのチャンネルのみを、分散値の比較的大きい長波長側の未使用チャンネル(好ましくは隣接チャンネルが未使用のチャンネル)へシフトすることでXPMの影響を抑圧することができ、図38のBに示すように、XPMの影響を受けやすい位相変調光信号に隣接する強度変調光信号Iのチャンネルを、未使用チャンネル(例えば長波長側のチャンネル)にシフトすることで、位相変調光信号のチャンネルに対する実質的なガードバンドを設けることができる。更に、図38のCに示すように、XPMの影響を受けやすい位相変調光信号Pおよびその位相変調光信号Pに隣接する強度変調光信号Iのチャンネルを、まとめて分散値の大きい長波長側のチャンネルにシフトすることで、XPMの影響を抑圧することができる。
【0148】
さらに、合波器73は、波長変換器72で波長割り当てが変更された光信号と、分波器71からの波長割り当てが変更されていない他の波長帯の光信号と、を波長多重して中継する波長多重中継部であり、例えば光カプラにより構成することができる。
上述のごとく構成された光伝送装置111Fでは、制御部3Fにおいて、情報収集部2で収集した管理情報に基づいて、出力先の伝送路ファイバ中でXPMの影響を受けやすい状態であること(出力先の伝送路ファイバがNZDSF142等の波長分散値が小さいファイバであることなど)を認識した後、そのXPMの影響を受けやすい状態である区間において、強度変調光信号と位相変調光信号の波長間の非線形効果を抑圧するように波長配置を変更すべく、波長選択スイッチ71における波長変換器72に導かれる方路を波長ごとに切り替える。
【0149】
このようにして波長間隔や波長分散を大きくするとで、信号間のウォークオフを大きくさせることができるので、位相変調の累積量を減少させることができる。
したがって、第7実施形態においても、受信端でのXPMの影響を低減させ、伝送品質の劣化を抑圧することができる利点がある。また、位相変調光信号による伝送システムのアップグレードが容易に可能となるため、システム性能(周波数利用効率、光信号対雑音比特性などの向上が期待できるとともに、ネットワーク管理の柔軟性を増大させることができる。
【0150】
〔H〕第8実施形態の説明
図40は本発明の第8実施形態にかかる光伝送装置111Gを示すブロック図である。この図40に示す光伝送装置111Gについても、強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送するものであるが、前述の第7実施形態におけるものとほぼ同様の波長配置変換部70,情報収集部2および制御部3Fをそなえるとともに、インターリーバ分波器81,遅延器82およびインターリーバ合波器83をそなえている。
【0151】
ここで、波長配置変換部70は、入力される波長多重信号における強度変調光信号と位相変調光信号とについて交互に波長配置されるように波長配置の変換を行なって、波長多重光信号として出力するものである。このために、波長変換器72においては、全波長チャンネルについての波長変換機能について、変調方式(強度変調光信号および位相変調光信号)ごとにそなえて構成することができる。
【0152】
また、インターリーバ分波器(インタリーバ分波部)81は、波長配置変換部70で波長配置の変換がなされた波長多重光信号について、1波長おきの波長組を1組とした2組の波長グループに分けるものである。即ち、前述の波長配置変換部70において1波長おきに変調方式の異なる波長配置に変換されているので、一方の組の波長グループは強度変調光信号の波長の光信号にグループ化されるとともに、他方の組の波長グループは位相変調光信号の波長の光信号にグループ化されるようになっている。
【0153】
そして、遅延器82は、インターリーバ分波部81で分けられた2つの波長グループに対し、相対的に異なるビット時間差を付与するビット時間差付与部であり、図40に示すものにおいては、インターリーバ分波部81で分けられた2つの波長グループのうちのいずれか一方(即ち強度変調光信号および位相変調光信号のいずれか一方のグループ)の光信号に対して、後段のインターリーバ合波器83に出力するタイミングに所定の遅延時間を与えるものである。
【0154】
さらに、インターリーバ合波器83は、遅延器82で遅延された一方のグループの光信号と、遅延器82で遅延が与えられていないグループの光信号と、を合波し出力するものであり、ビット時間差付与部からの2つの波長グループの光信号を合波し出力するインターリーバ合波部である。
このように構成された第8実施形態にかかる光伝送装置111Gでは、波長配置変換部70において、強度変調光信号と位相変調光信号の波長配置をそれぞれ偶数チャネルと奇数チャネルというように入れ子になるように割当て波長を変えた後、インターリーバ分波器81で位相変調光信号と強度変調光信号でブロック分けを行ない、例えば位相変調光信号に遅延器82を通して遅延差を与えている。これにより、光伝送装置111Gが分散値の比較的小さい光ファイバを通じて連結接続された場合において、各光伝送装置111Gで強度変調光信号と位相変調光信号の間に遅延差を与えることができるため、各光伝送装置出力での信号間のビット配置が重ならなくなるため、XPMによる位相変調の累積量が減少し、位相変調光信号の波形劣化を抑圧することができる。
【0155】
したがって、第8実施形態においても、前述の第1実施形態の場合と同様の利点を得ることができる。
〔I〕第9実施形態の説明
図41は本発明の第9実施形態にかかる光伝送装置111Hを示すブロック図である。この図41に示す光伝送装置111Hについても、強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送するものであるが、前述の第1実施形態におけるものとほぼ同様の情報収集部2をそなえるとともに、入力される波長多重光信号を増幅する光アンプ91,分波器92,可変減衰器(VOA)93,合波器94,伝送路ファイバを通じて送出すべき光信号を増幅する光アンプ95および制御部3Hをそなえている。
【0156】
分波器92は、光アンプ91を通じて入力される波長多重信号について波長(チャンネル)ごとに分波するものであり、波長多重光信号における強度変調光信号と位相変調光信号とを分離する分離部である。VOA93は、分波器92で分波されたチャンネルに対応してそなえられ、チャンネルごとの光信号についてそれぞれ可変の減衰量を与えうるものであり、分波部92で分離された位相変調光信号及び前記強度変調光信号に強度差を付与する強度差付与部である。
【0157】
また、合波器94は、VOA93で可変減衰された各チャンネルの光信号を合波(波長多重)するものであり、VOA93で強度差が付与された強度変調光信号と位相変調光信号とを波長多重して中継する波長多重中継部である。尚、合波部94で合波された波長多重光信号は光アンプ95を通じて伝送路ファイバへ送出されるようになっている。
制御部3Hでは、情報収集部2で収集した管理情報に基づいて、伝送路ファイバ中でXPMの影響を受けやすい状態であること(伝送路ファイバの波長分散値が小さいファイバであることなど)を認識した後、強度変調光信号と位相変調光信号の光伝送装置111Hの出力パワーを低減させて非線形効果の影響を抑圧させる。
【0158】
具体的には、制御部3Hは、各VOA93の減衰量について制御することにより、強度変調光信号にかかるチャンネルに対応するVOA93での減衰量と、位相変調光信号にかかるチャンネルに対応するVOA93での減衰量と、が異なるように(例えば強度変調光信号の減衰量が位相変調光信号の減衰量よりも大きくなるように)する。こうすることにより、前述の第3実施形態の場合と実質的に同様に、伝送路ファイバ中で生じる非線形効果であるXPMを抑圧させることができるため、位相変調光信号と強度変調光信号間のXPMを抑圧でき、位相変調光信号のXPMによる波形劣化を低減することができる。
【0159】
また、中継器の励起光パワーを調整することによって位相変調光信号と強度変調光信号とのパワー差を与えて、位相変調光信号のXPMによる波形劣化を低減させることもできる。
〔J〕その他
上述した実施形態にかかわらず、本発明の請求項記載の発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0160】
たとえば、上述の各実施形態について、各々独立に適用してもよいし、一部示したように、いくつかの実施形態を組み合わせて適用してもよい。
また、上述した実施形態の開示により、当業者であれば本発明の装置を製造することは可能である。
〔K〕付記
(付記1)
強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重光信号を伝送路を通じて伝送する光伝送装置であって、
入力される前記波長多重光信号から、相対的に異なるビット時間差を有する少なくとも2つの光信号を生成するビット時間差付与信号生成部と、
該ビット時間差付与信号生成部からの前記少なくとも2つの光信号を入力されて、前記位相変調光信号および前記強度変調光信号の間で前記ビット時間差が付与された波長多重光信号を生成し出力する波長多重光信号出力部と、をそなえたことを特徴とする、光伝送装置。
【0161】
(付記2)
該ビット時間差付与信号生成部は、前記2つの光信号として、該波長多重信号出力部へ入力されるタイミングに、遅延による時間差が付与された光信号を生成するように構成されたことを特徴とする、付記1記載の光伝送装置。
(付記3)
該ビット時間差付与信号生成部は、前記2つの光信号として、前記2つの光信号として互いに異なる波長分散量が負荷された光信号を生成するように構成されたことを特徴とする、付記1記載の光伝送装置。
【0162】
(付記4)
前記ビット時間差付与信号生成部が、
入力される前記波長多重光信号を分岐する分岐部と、
前記分岐部で分岐された各光信号に対し、互いに異なるビット時間差を付与するビット時間差付与部と、をそなえたことを特徴とする、付記1記載の光伝送装置。
【0163】
(付記5)
該波長多重光信号出力部は、波長選択スイッチにより構成されたことを特徴とする、付記4記載の光伝送装置。
(付記6)
前記光伝送装置が適用されるネットワークを構成する伝送路の特性や伝送光信号の変調方式に関するネットワーク管理情報を収集する情報収集部と、
該情報収集部で収集された前記管理情報をもとに、前記波長選択スイッチによる波長選択を制御する制御部と、をそなえたことを特徴とする、付記5記載の光伝送装置。
【0164】
(付記7)
前記ビット時間差付与信号生成部が、
入力される前記波長多重光信号について、前記位相変調光信号および前記強度変調光信号に分離させる分離部と、
前記分離部で分離された各光信号に対し、互いに異なるビット時間差を付与するビット時間差付与部と、をそなえたことを特徴とする、付記1記載の光伝送装置。
【0165】
(付記8)
前記波長多重光信号出力部は、該ビット時間差付与部で前記ビット時間差が付与された各光信号について合流させる合流部として構成されたことを特徴とする、付記7記載の光伝送装置。
(付記9)
前記光伝送装置が適用されるネットワークを構成する伝送路の特性や伝送光信号の変調方式に関するネットワーク管理情報を収集する情報収集部と、
該情報収集部で収集された前記管理情報をもとに、該分離部での光信号の分離を制御する制御部と、をそなえたことを特徴とする、付記7記載の光伝送装置。
【0166】
(付記10)
前記波長多重信号光を伝送する光伝送装置が伝送路を介して複数段接続された光通信システムにおける前記光伝送装置であって、
各光伝送装置が、
上流側光伝送路を通じて入力された波長多重信号光についての波長分散を補償する分散補償部をそなえ、
該ビット時間差付与信号生成部は、該分散補償部からの前記強度変調光信号および前記位相変調光信号に対し、該分散補償部での前記補償が行なわれた後の残留分散量よりも実質的に大きな時間差を与えるべく、前記ビット時間差を有する光信号を生成するように構成されたことを特徴とする、付記1記載の光伝送装置。
【0167】
(付記11)
該波長多重光信号出力部からの波長多重光信号について増幅する増幅部を更にそなえたことを特徴とする、付記1記載の光伝送装置。
(付記12)
前記波長多重信号光を伝送する光伝送装置が伝送路を介して複数段接続されるとともに、各光伝送装置が上流側光伝送路を通じて入力された波長多重信号光についての波長分散を補償する分散補償部をそなえた光通信システムにおける前記光伝送装置であって、
該ビット時間差付与信号生成部で生成する各光信号の前記ビット時間差は、該波長多重光信号出力部で出力される前記強度変調光信号および前記位相変調光信号に対し、前記波長多重信号光の受信端での残留分散量の許容量よりも実質的に大きな時間差を与える時間差であることを特徴とする、付記1記載の光伝送装置。
【0168】
(付記13)
前記伝送路は、分散シフトファイバであることを特徴とする、付記1〜12のいずれか1項記載の光伝送装置。
(付記14)
強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて送信する光伝送装置であって、
前記強度変調光信号を発生させる強度変調光信号発生部と、
前記位相変調光信号を発生させる位相変調光信号発生部と、
該強度変調光信号発生部で発生する前記強度変調光信号の波形立ち上がり/立下りを鈍化させる波長分散付与部と、
該波長分散付与部からの前記強度変調光信号と該位相変調光信号発生部からの前記位相変調光信号とを多重して送信する多重送信部と、をそなえたことを特徴とする、光伝送装置。
【0169】
(付記15)
強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、
入力される前記波長多重信号を第一の分離波長多重信号と第二の分離波長多重信号とに分離する分離部と、
該分離部で分離された前記第一の分離波長多重信号を迂回路へ送出する迂回路送出部と、
前記迂回路を通じて入力される前記第一の分離波長多重信号、および、該分離部からの前記第二の分離波長多重信号を波長多重して中継する波長多重中継部と、をそなえ、さらに、
前記分離部、前記迂回路送出部、前記波長多重中継部のうち、少なくとも一つは、前記第一の分離波長多重信号から、前記強度変調光信号と前記位相変調光信号のいずれか一方の透過を選択的に阻止する機能をそなえ、かつ、
前記分離部、前記迂回路送出部、前記波長多重中継部のうち、少なくとも一つは、前記第二の分離波長多重信号から、前記強度変調光信号と前記位相変調光信号のいずれか一方の透過を選択的に阻止する機能をそなえたことを特徴とする、光伝送装置。
【0170】
(付記16)
強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、
入力される前記波長多重信号光について、伝送先方路となる伝送路を選択的に切り替える方路切り替え部と、
前記光伝送装置が適用されるネットワークを構成する伝送路の特性や伝送光信号の変調方式に関するネットワーク管理情報を収集する情報収集部と、
該情報収集部で収集された前記管理情報をもとに、方路切り替え部による方路切り替え設定を制御する制御部と、をそなえたことを特徴とする、光伝送装置。
【0171】
(付記17)
強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、
入力される前記波長多重信号における一部の波長帯の光信号を他の波長帯の光信号から分離する分離部と、
該分離部で分離された前記一部の波長帯の光信号について波長割り当てを変更する波長割り当て変更部と、
該波長割り当て変調部で波長割り当てが変更された光信号と、前記他の波長帯の光信号と、を波長多重して中継する波長多重中継部と、をそなえたことを特徴とする、光伝送装置。
【0172】
(付記18)
強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、
入力される前記波長多重信号における前記強度変調光信号と前記位相変調光信号とについて交互に波長配置されるように波長配置の変換を行なって、波長多重光信号として出力する波長配置変換部と、
該波長配置変換部で波長配置の変換がなされた波長多重光信号について、1波長おきの波長組を1組とした2組の波長グループに分けるインターリーバ分波部と、
該インターリーバ分波部で分けられた2つの波長グループに対し、相対的に異なるビット時間差を付与するビット時間差付与部と、
該ビット時間差付与部からの前記2つの波長グループの光信号を合波し出力するインターリーバ合波部と、をそなえたことを特徴とする、光伝送装置。
【0173】
(付記19)
強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、
入力される前記波長多重信号における前記強度変調光信号と前記位相変調光信号とを分離する分離部と、
該分離部で分離された前記位相変調光信号及び前記強度変調光信号に強度差を付与する強度差付与部と、
該強度差付与部で前記強度差が付与された前記強度変調光信号と前記位相変調光信号とを波長多重して中継する波長多重中継部と、をそなえたことを特徴とする、光伝送装置。
【0174】
(付記20)
強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて伝送する光伝送方法であって、
前記強度変調光信号により前記位相変調光信号が受ける相互位相変調量を調整するため、前記波長多重信号光として伝送される前記強度変調光信号及び前記位相変調光信号に対し、前記各光信号の変調時とは相対的に異なるビット時間差を付与し、
前記ビット時間差が付与された光信号を含めて前記波長多重信号光を出力することを特徴とする、光伝送方法。
【0175】
(付記21)
波長多重信号光を入力する入力ポートと、出力ポートを有する光デバイスであり、該入力ポートから該出力ポートに至る通過遅延時間の大小を、該波長多重信号光の波長チャネルごとに、少なくとも二段階の設定から選択して設定することができることを特徴とする、波長選択可変遅延器。
【0176】
(付記22)
付記21の波長選択可変遅延器であり、さらに
該入力ポートと該出力ポートが共通であり、さらに
内部に具備する反射ミラーの角度を調整することによって,該入力ポートから該出力ポートに至る反射遅延時間の大小を、該波長多重信号光の波長チャネルごとに選択することができることを特徴とする、波長選択可変遅延器
【符号の説明】
【0177】
1,1A 遅延ブロック部
2 情報収集部
3,3A〜3F,3H 制御部
4 OXC
11 分波部
12 遅延部
12A 波長分散付与器
13 合波部
14 光サーキュレータ
15,15′,21c〜21e,23,24−1,24−2,24c−1,24c−2,26−1,26−2 波長選択スイッチ
15a,17 反射器
16,22,25−1,25−2,27−1,27−2,27a−2,32e,33 遅延器
21,21a,21b,24a−1,24a−2,24b−1,24b−2,28−1,28−2,28a−2 光カプラ
29 分散補償ファイバ
30 集中増幅器
30a,30b 光アンプ
31a,32a,32b AWG
31b,32c,32d 光スイッチ
41 強度変調光信号発生部
42 位相変調光信号発生部
43,43b,43c 波長分散付与器
44a〜44c 合波器
45 予等化処理部
51,52,61,62 光カプラ
53〜56,63〜66 波長選択スイッチ
70 波長配置変換部
71 波長選択スイッチ
72 波長変換器
73 光カプラ
81 インターリーバ分波器
82 遅延器
83 インターリーバ合波器
91,95 光アンプ
93 VOA
92 分波器
94 合波器
100 ネットワークシステム
110,110C〜110F データ転送ネットワーク
111,111−1〜111−8,111A,111C〜111H,111C−1〜111C−8,111D−1〜111D−4,111E−1〜111E−4,111F−1〜111F−4 光伝送装置
112 送信器
113 受信器
120 制御ネットワーク
121 制御ノード
130 マネージメントプレーン
140 伝送路ファイバ
141 SMF
142 NZDSF
150 光送信装置
160 中継装置
210 伝送路ファイバ
220 集中増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、
入力される前記波長多重信号光について、伝送先方路となる伝送路を選択的に切り替える方路切り替え部と、
前記光伝送装置が適用されるネットワークを構成する伝送路の特性や伝送光信号の変調方式に関するネットワーク管理情報を収集する情報収集部と、
該情報収集部で収集された前記管理情報をもとに、方路切り替え部による方路切り替え設定を制御する制御部と、をそなえたことを特徴とする、光伝送装置。
【請求項2】
強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、
入力される前記波長多重信号における一部の波長帯の光信号を他の波長帯の光信号から分離する分離部と、
該分離部で分離された前記一部の波長帯の光信号について波長割り当てを変更する波長割り当て変更部と、
該波長割り当て変調部で波長割り当てが変更された光信号と、前記他の波長帯の光信号と、を波長多重して中継する波長多重中継部と、をそなえたことを特徴とする、光伝送装置。
【請求項3】
強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、
入力される前記波長多重信号における前記強度変調光信号と前記位相変調光信号とについて交互に波長配置されるように波長配置の変換を行なって、波長多重光信号として出力する波長配置変換部と、
該波長配置変換部で波長配置の変換がなされた波長多重光信号について、1波長おきの波長組を1組とした2組の波長グループに分けるインターリーバ分波部と、
該インターリーバ分波部で分けられた2つの波長グループに対し、相対的に異なるビット時間差を付与するビット時間差付与部と、
該ビット時間差付与部からの前記2つの波長グループの光信号を合波し出力するインターリーバ合波部と、をそなえたことを特徴とする、光伝送装置。
【請求項4】
強度変調光信号と位相変調光信号との波長多重信号光を伝送路を通じて中継伝送する光伝送装置であって、
入力される前記波長多重信号における前記強度変調光信号と前記位相変調光信号とを分離する分離部と、
該分離部で分離された前記位相変調光信号及び前記強度変調光信号に強度差を付与する強度差付与部と、
該強度差付与部で前記強度差が付与された前記強度変調光信号と前記位相変調光信号とを波長多重して中継する波長多重中継部と、をそなえたことを特徴とする、光伝送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2013−34216(P2013−34216A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−199258(P2012−199258)
【出願日】平成24年9月11日(2012.9.11)
【分割の表示】特願2011−107868(P2011−107868)の分割
【原出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】