説明

光制御遅延器及び分光装置

【課題】 本発明は,外乱の影響を受けにくく,精度を保ちつつ小型で簡便に遅延量を制御できる光制御遅延器,及び分光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 上記の課題は,光を分波する分波器(5)と,分波器(5)により分波された一方の光が入射する第1の波長変換器(1)と,第1の波長変換器(1)により波長が変換されたパルス光が入力される光遅延器(2)と,光遅延器(2)により遅延が与えられたパルス光の波長を変換するための第2の波長変換器(3)とを具備し,光遅延器(2)は,入射光の波長により,入射光に与える遅延量が異なるものであり,分波器(5)により分波された残りの光と,第1の波長変換器(1)に入射され,光遅延器(2)及び第2の波長変換器(3)を経て出力された光との間の遅延時間を制御できる,光制御遅延器により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,光制御遅延器などに関する。具体的に説明すると,本発明は,入射光の波長を制御することで遅延量を制御できる,光制御遅延器や分光装置に関する。また本発明は,超短光パルスを用いてテラヘルツ領域(100GHzから10THz)の電磁波の発生・検出及び分光にも用いることのできる光制御遅延器及び分光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信や物性研究等の分野において,フェムト秒(10−15秒)〜ピコ秒(10−12秒)オーダの時間内で変化する光信号の利用が盛んに行われている。そして,このような光信号の変化は,時間分解能の高い時間分解分光計測により測定することができる。そこで,精度の高い分光装置が望まれる。
【0003】
図1は,従来の光遅延制御器の構成例を示すブロック図である。図1に示されるように,従来の光遅延制御器101は,超短光パルスレーザであるモード同期レーザ102,レーザ光を分岐するビームスプリッタ103,機械的に駆動される可動鏡104,および光強度変調器105を含む。そして,1台の超短光パルスレーザからのパルス光を,ビームスプリッタにより2つあるいはそれ以上に分岐させる。そして,片方のパルス光を可動鏡で反射させることにより,他方の光パルスに対して任意の位置での到達時間を変化させる(非特許文献1)。この光遅延制御器は,可動ステージの機械精度に起因するタイミング制御の不正確さや,測定時間が長時間になること,あるいは分岐したすべてのパルス光が同一の波長であるという問題があった。
【0004】
図2は,従来の光遅延制御器の構成例であって,図1に示されるものとは異なるものを示すブロック図である。図2に示されるように,従来の光遅延制御器111として,2台の超短光パルスレーザ112,113を有するものがある。この光遅延制御器は,超短光パルスレーザの片方あるいは双方のレーザのキャビティ長を精密に制御し,互いに異なる繰返し周波数で動作させることにより,任意の位置での光パルスの到達時間を変化させる (非特許文献2)。この光遅延制御器は,異なる繰返し周波数を得るためのキャビティ長の制御機構が複雑であること,それぞれの光パルスレーザに独立にタイミングジッタが存在し,エネルギー分解能,精度およびSN比に難点があり,それを制御する機構が複雑であるという問題点があった。
【0005】
さらに,これら従来の光遅延制御器は,光学系の精密な制御が必要であったため,環境の変化(たとえば,温度変化や振動)による外乱に弱いという欠点があり,さらには繰返し周波数がほぼ固定であること,および装置が大きいという欠点があった。
【非特許文献1】Ultra fast Spectroscopy of Semiconductors and Semiconductor Nanostructures, 1.3節
【非特許文献2】Applied Physics Letters, vol. 87, p061101 (2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は,外乱の影響を受けにくい光制御遅延器,分光装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は,精度を保ちつつ,小型で簡便に遅延時間調整を行うことができる光制御遅延器,分光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は,基本的には,遅延量を波長により変化させることのできる光遅延器を用いることで,遅延量を簡便に制御できる光制御遅延器を提供できるという知見に基づくものである。特に,本発明では,分散媒質中の群速度分散を利用することで遅延を生成する光遅延器を用いることで,外乱の影響を受けにくい光制御遅延器を提供できるという知見に基づくものである。
【0009】
本発明の第1の側面に係る光制御遅延器は,光を分波する分波器5と,分波器5により分波された一方の光が入射する第1の波長変換器1と,第1の波長変換器1により波長が変換されたパルス光が入力される光遅延器2と,光遅延器2により遅延が与えられたパルス光の波長を変換するための第2の波長変換器3とをふくむ。そして,光遅延器2は,入射光の波長により,入射光に与える遅延量が異なるものであり,分波器5により分波された残りの光と,第1の波長変換器1に入射され,光遅延器2及び第2の波長変換器3を経て出力された光との間の遅延時間を制御できる。
【0010】
このように,入射光の波長により,入射光に与える遅延量が異なる光遅延器を用いることで,光学系の精密な制御を行う必要がないため,小型で簡便な光制御遅延器を提供できる。また,外乱の影響を受けにくい,光制御遅延器を提供できる。さらには,分波器5で分波された残りの光と,第1の波長変換器1に入射され,光遅延器2及び第2の波長変換器3を経て出力された光との間の遅延時間を制御できる光制御遅延器を提供できるため,簡便な時間分解計測を実現できる。
【0011】
本発明の第1の側面に係る光制御遅延器の好ましい態様は,第2の波長変換器3は,出力光の波長が,第1の波長変換器1に入射した光の波長となるように,入射光の波長を変化する,上記に記載の光制御遅延器である。
【0012】
第2の波長変換器3が,出力光の波長を第1の波長変換器1に入射した光と同じとなるように入射光の波長を変化させることで,分波器5により分波された一方の光の波長と同じとなるため,本発明の光制御遅延器により時間分解計測を行うことができる。
【0013】
本発明の第1の側面に係る光制御遅延器の好ましい態様は,分波器5に入射するパルス光を生成するための光パルス発生器4をさらに有し,光パルス発生器4は,モード同期ファイバレーザを含む,上記いずれかに記載の光制御遅延器である。
【0014】
モード同期ファイバレーザを光パルス発生器4として用いることで,発振周波数やパルスの繰り返し周波数が正確に固定された光パルス発生器を得ることができる。
【0015】
本発明の第1の側面に係る光制御遅延器の好ましい態様は,分波器5に入射するパルス光を生成するための光パルス発生器4をさらに有し,光パルス発生器4は,光コム発生器を含む,上記いずれかに記載の光制御遅延器である。
【0016】
光コム発生器を光パルス発生器4として用いることで,等間隔の周波数差を有する複数の光周波数成分を同時に生成することができ,正確に固定された光パルス発生器を得ることができる。
【0017】
本発明の第1の側面に係る光制御遅延器の好ましい態様は,分波器5に入射するパルス光を生成するための光パルス発生器4をさらに有し,光パルス発生器4は,半導体量子ドットコムレーザを含む,上記いずれかに記載の光制御遅延器である。
【0018】
半導体量子ドットコムレーザを光パルス発生器4として用いることで,発振周波数やパルスの繰り返し周波数が正確に固定された光パルス発生器を得ることができる。
【0019】
本発明の第1の側面に係る光制御遅延器の好ましい態様は,さらに,第1の波長変換器1が,半導体光増幅器を用いた波長変換器である,上記いずれかに記載の光制御遅延器である。
【0020】
第1の波長変換器1として,半導体光増幅器を用いることで,パルス光と調整光とで相互位相変調を行い,波長変換を行うことができる。
【0021】
本発明の第1の側面に係る光制御遅延器の好ましい態様は,第1の波長変換器1が,半導体光増幅器を含み,周波数が制御された調整光と入射光とを混合することで,出力光の波長を変換する波長変換器である,上記いずれかに記載の光制御遅延器である。調整光の周波数を制御することで,出力光の波長を制御し,これにより光遅延器2により与えられる遅延量を制御する。
【0022】
半導体光増幅器を含む第1の波長変換器1は,波長変換のために入射する調整光の周波数を制御し,周波数を変化させる。調整光の周波数を変化させることにより,光遅延器に与えられる遅延量を変化させることができるため,容易に遅延時間を制御することができる光制御遅延器を提供できる。
【0023】
本発明の第1の側面に係る光制御遅延器の好ましい態様は,第1の波長変換器1が,光ファイバである,上記いずれかに記載の光制御遅延器である。
【0024】
第1の波長変換器1として光ファイバを用いることで,四光波混合,自己位相変調,相互位相変調,又はラマン分光といった非線形光学効果により波長変換を行うことができる。
【0025】
本発明の第1の側面に係る光制御遅延器の好ましい態様は,第1の波長変換器1が,四光波混合により入射光の波長を変換する,半導体素子を用いた波長変換器である,上記いずれかに記載の光制御遅延器である。
【0026】
半導体素子として,例えば,ガリウム・アルミニウム砒素(GaAlAs)の半導体素子,分布帰還型(DFB)レーザ,分布反射型(DBR)レーザや,量子ドットレーザがある。これらの半導体素子を非線形光学素子として用いることで,四光波混合により波長変換を行うことができる。
【0027】
本発明の第2の側面に係る光制御遅延器は,第1の波長変換器1と,第1の波長変換器1により波長が変換されたパルス光が入力される光遅延器2と,光遅延器2により遅延が与えられたパルス光の波長を変換するための第2の波長変換器3とを含む。そして,光遅延器2は,入射光の波長により,入射光に与える遅延量が異なるものである。
【0028】
第1の波長変換器1による波長変換で,入射光の波長を変化させることにより,光遅延器2で入射光に与える遅延量を異ならせることができ,簡便に遅延量を制御することができる。
【0029】
本発明の第2の側面に係る光制御遅延器の好ましい態様は,パルス光の波長を変換するために第1の波長変換器1に入射される調整光と,第2の波長変換器3に入射される調整光の波長は同じである,上記に記載の光制御遅延器である。
【0030】
第1の波長変換器1に入射される調整光と,第2の波長変換器3に入射される調整光の波長を同じに構成しても,第2の波長変換器3から出力されるパルス光の波長は,第1の波長変換器に入射されるパルス光の波長である。従って,より簡便な光制御遅延器を得ることができる。
【0031】
本発明の第3の側面は,折り返し手段22を有する光制御遅延器に関する。具体的に説明すると,この光制御遅延器は,光を分波及び合波する分波・合波器20と,分波・合波器20により分波された一方の光が入射する波長変換器21と,波長変換器21により波長が変換された光が入力される光遅延器2と,光遅延器2からの出力光を折り返すための第1の折り返し手段22と,分波・合波器20により分波された残りの光を,分波・合波器20へ向けて折り返すための第2の折り返し手段23とを有する。
【0032】
このような構成を有するため,分波・合波器20により分波され,第2の折り返し手段23により前記分波・合波器20へ向けて折り返された光(第1の光)と;波長変換器21に入射され,光遅延器2を経て,折り返し手段22により折り返され,光遅延器2及び波長変換器21を経て,分波・合波器20へ向けて出力された光(第2の光)とが,分波・合波器20において合波される。そして,これらの光(第1の光及び第2の光)の間の遅延時間を制御できる。
【0033】
本発明の第4の側面の光制御遅延器は,光を分波する分波器5と,分波器5により分波された一方の光が入射する波長変換器21と,波長変換器21により波長が変換されたパルス光が入力される光遅延器2と,光遅延器2からの出力光を折り返すための折り返し手段22と,分波器5と波長変換器21の間に位置するサーキュレータ25を有する。そして,光遅延器2は,入射光の波長により,入射光に与える遅延量が異なるものである。このような構成を有するため,分波器5により分波された残りの光と;波長変換器21に入射され,光遅延器2を経て,折り返し手段22により折り返され,光遅延器2及び波長変換器21を経て,分波器5へ向けて出力された光との間の遅延時間を制御できる。そして,サーキュレータ25は,分波器5により分波された一方の光がサーキュレータ25へ入射した場合,この入射光を波長変換器21へ向けて出力する。一方,サーキュレータ25は,折り返し手段22により折り返され,波長変換器21に再度光遅延器2を経て出力された光がサーキュレータ25へ入射した場合,波長変換器21へ戻らないように出力する。
【0034】
本発明の第5の側面は,上記いずれかに記載の光制御遅延器を含む分光装置である。上記いずれかに記載の光制御遅延器を適用した分光装置であれば,任意に遅延時間を設定して時間分解分光計測を行うことができる分光装置を得ることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば,外乱の影響を受けにくい光制御遅延器,及び分光装置を提供することができる。
【0036】
本発明によれば,精度を保ちつつ,小型で簡便に遅延量を制御できる光制御遅延器,及び分光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は,従来の光遅延制御器の構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は,従来の光遅延制御器の構成例であって,図1に示されるものとは異なるものを示すブロック図である。
【図3】図3は,本発明に係る光遅延制御器の基本構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図4は,本発明の第1の実施形態に係る光遅延制御器を説明するためのブロック図である。
【図5】図5は,本発明の第2の実施形態に係る光遅延制御器を説明するためのブロック図である。
【図6】図6は,波長変換の原理を説明するための図である。
【図7】図7は,本発明のある光遅延制御器の基本構成を説明するためのブロック図である。
【図8】図8は,本発明のある光遅延制御器の基本構成を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下,図面を用いて本発明を具体的に説明する。本発明は,以下に説明する本発明の実施の形態に限定されず,当業者に自明な範囲で適宜修正しうる構成をも含む。図3は,本発明に係る光遅延制御器の基本構成を説明するためのブロック図である。図3に示されるように,本発明は,光を分波する分波器5と,分波器5により分波された一方の光が入射する第1の波長変換器1と,第1の波長変換器1により波長が変換されたパルス光が入力される光遅延器2と,光遅延器2により遅延が与えられたパルス光の波長を変換するための第2の波長変換器3とを有する。そして,光遅延器2は,入射光の波長により,入射光に与える遅延量が異なるものであり,分波器5により分波された残りの光と,第1の波長変換器1に入射され,光遅延器2及び第2の波長変換器3を経て出力された光との間の遅延時間を制御できる,光制御遅延器である。
【0039】
光遅延制御器は,光信号に制御された時間遅延を与えることができる装置である。光遅延制御器は,たとえば,上記非特許文献1及び2に開示されたものや,特開2009−65570号公報及び特開平10−224325号公報に開示されたものがあげられる。これらは参照することにより,本明細書に取り込まれるものである。本発明の光遅延制御器は,特に2つの光信号の一方に制御された時間遅延を与えることができる装置に好ましく用いることができる。
【0040】
分波器5は,入射された光を2つに分け,一方の光は第1の波長変換器1に入射し,他方は,そのまま出力されるようにする。ポンプ・プローブ測定による時間分解分光システムに本発明を適用する場合,第1の波長変換器1に入射される光が,プローブ光,そのまま出力される他方の光がポンプ光となる。分波器5は,例えば,ビームスプリッタである。
【0041】
第1の波長変換器1は,分波器5による分波された一方の光が入射され,入射された光の波長を変換する。具体的には,入射されたパルス光(λ)の周波数を制御するための調整光(λp1)を用いて,パルス光(λ1)の波長を変化させ,波長が変換された光(λ)を出力する。第1の波長変換器1は,例えば,半導体光増幅器により構成される。
【0042】
半導体光増幅器(SOA)を用いた波長変換器は,たとえば,波長多重通信システムにおいて用いられている。半導体光増幅器(SOA)を用いた波長変換器の例は,特開2008−224862号公報又は特開2006−78530号公報に開示されたものである。これらの文献は参照することにより本明細書に組み込まれるものである。
【0043】
第1の波長変換器1は,複屈折率を有する非線形光学結晶を用いたものであってもよい。このような複屈折率を有する非線形光学結晶を用いた波長変換器は,たとえば波長変換レーザ光源において広く用いられている。複屈折率を有する非線形光学結晶の例は,LiB(リチウムトリボレート:LBO),KTiOPO(リン酸チタニルカリウム:KTP),CsLiB10(セシウムリチウムボレート:CLBO)分極反転構造を形成したLiNbO(ニオブ酸リチウム:PPLN)及びLiTaO(タンタル酸リチウム:PPLT)である。これらの中では,PPLNが好ましい。PPLNを用いた波長変換装置の例は,特開2009−122606号公報又は特開2008−089873号公報に開示されたものである。これらの文献は参照することにより本明細書に組み込まれるものである。
【0044】
第1の波長変換器1は,シリコン系半導体を用い,和周波,差周波数,又はパラメトリック効果を利用したものであっても良い。シリコン系半導体を用いた波長変換器の例は,特開2008−209522号公報又は特開2004−70338号公報に開示されたものである。これらの文献は参照することにより本明細書に組み込まれるものである。
【0045】
光遅延器2は,光遅延器2に入射された光に遅延を与える。光遅延器2として分散媒質があげられ,具体的には光ファイバがあげられる。光遅延器2は,分散媒質中の群速度分散を利用して時間遅延を生成する。つまり,分散媒質にパルス光を入射すると,分散媒質中の群速度分散により所望の時間遅延を得ることができる。分散媒質中の群遅延をG(ps/km),媒質の長さをL(km)とすると,遅延量D(ps)は,下記式(1)のように表すことができる。
D=G×L (1)
【0046】
従って,第1の波長変換器1を経て光遅延器2の分散媒質中を通ったパルス光は,分波器5により分波された残りのパルス光と比較して,D(ps)だけ遅延して出射することとなる。また,分散媒質の屈折率は,分散媒質に入射される光の波長により変化するため,遅延量Dも変化する。つまり,同じ長さLの分散媒質であっても,分散媒質に入射する光の波長を変化させることにより,遅延量Dを変化させることができる。このため,第1の波長変換器1で光遅延器2に入射するパルス光の波長を変化させることで,遅延量Dを制御することが可能となる。
【0047】
このように,入射光の波長により,入射光に与える遅延量が異なる光遅延器を用いることで,機械的に光学系の精密な制御を行う必要がないため,小型で簡便な光制御遅延器を提供できる。また,外乱の影響を受けにくい,光制御遅延器を提供できる。さらには,分波器5で分波された残りの光と,第1の波長変換器1に入射され,光遅延器2及び第2の波長変換器3を経て出力された光との間の遅延時間を任意に設定できる光制御遅延器を提供できる。また,分散媒質として光ファイバを用いるので光の引き回しを自由に行うことができる。
【0048】
光遅延器2の上記と別の例は,誘電体又は半導体上に作製された導波路,フォトニック結晶導波路,フォトニック結晶ファイバ,グレーティングペアあるいはプリズムペア(例えば,特表2008−537342号公報や特開平6−088976号公報の中のグレーティングペア),及びアレイ導波路グレーティングである。
【0049】
アレイ導波路グレーティング(AWG)の例は特開2009−200733号公報に開示されたものである。AWGは,入力スラブカプラと,出力スラブカプラと,複数の光導波路とを有する。入力スラブカプラは,複数の入力ポートと接続されたスラブ導波路である。また,出力スラブカプラは,入力スラブカプラからの光が入力するスラブ導波路である。そして,入力スラブカプラと出力スラブカプラとは,複数の光導波路によって光学的に接続されている。また,それぞれの光導波路は,所定量ずつ長さが異なっており,経路長の差に応じた時間遅延を通過する光信号に与えることができる。この際与える時間遅延は波長に依存する。
【0050】
第2の波長変換器3は,光遅延器2より出力されたパルス光が入射され,入射された光の波長を変換する。具体的には,入射されたパルス光(λ)の周波数を制御するための調整光(λp2)を用いて,パルス光(λ)の波長を変化させ,波長が変換された光を出力する。第2の波長変換器3は,例えば,半導体光増幅器や光ファイバ,量子ドットレーザなどの半導体素子により構成される。また,好ましくは,第2の波長変換器3は,出力光の波長が,第1の波長変換器1に入射した光の波長となるように,入射光の波長を変化させる。第2の波長変換器3が,出力光の波長を第1の波長変換器1に入射した光(λ)と同じとなるように入射光の波長を変化させることで,分波器5により分波された一方の光の波長と同じとなるため,本発明の光制御遅延器により分光装置を構成して時間分解計測を行うことができる。
【0051】
好ましい態様では,パルス光の波長を変換するために第1の波長変換器1に入射される調整光(λp1)と,第2の波長変換器3に入射される調整光(λp2)の波長とを同じとする。第1の波長変換器1に入射される調整光と,第2の波長変換器3に入射される調整光の波長を同じに構成することで,より簡便な光制御遅延器を得ることができる。
【0052】
また,図3に示されるように,本発明の好ましい態様は,さらに,分波器5に入射するパルス光を生成するための光パルス発生器4を有する上記に記載の光制御遅延器である。光パルス発生器4から発生されたパルス光は,分波器5で分波され,第1の波長変換器1に入射され,光遅延器2及び第2の波長変換器3を経て出力された一方の光と,分波器で分波された残りの光とで時間分解計測を行う。
【0053】
パルス光光源として,連続光(CW)光源を用いたものがあげられる。光の帯域として,C−bandのみならず,その長波側のL−band又はその短波側のS−bandであってもよい。光強度として,1mW〜50mWがあげられる。
【0054】
具体的には,パルス光光源の例は,モード同期ファイバレーザを用いたものである。モード同期ファイバレーザの例は,フェムト秒レーザなどの超短光パルスレーザである。光パルスレーザの例は,Erでドープしたファイバモード同期レーザ,Ybでドープしたファイバモード同期レーザである。モード同期ファイバレーザを光パルス発生器4として用いることで,発振周波数やパルスの繰り返し周波数が正確に固定された光パルス発生器を得ることができる。モード同期ファイバレーザを用いたパルス光光源の例は,特開2009−064940号公報又は特開2008−311629号公報に開示されたものである。これらは参照することにより本明細書に取り込まれるものである。
【0055】
光パルス発生器4の別の好ましい態様は,光コム発生器を含むものである。光コム発生器は,等間隔の周波数差を有する複数の光周波数成分を同時に生成する。光周波数コム発生装置は既に知られている。光コム発生器を含む光パルス発生器の例は,特開2007−219323号公報又は特開平10−083004号公報に開示されたものである。これらは参照することにより本明細書に取り込まれるものである。
【0056】
光コム発生器を光パルス発生器4として用いることで,等間隔の周波数差を有する複数の光周波数成分を同時に生成することができ,正確に固定された光パルス発生器を得ることができる。
【0057】
光パルス発生器4のさらに別の好ましい態様は,半導体量子ドットコムレーザを含むものである。半導体量子ドットコムレーザは,活性層に歪み量子井戸を導入した,量子井戸構造を有する半導体レーザである。半導体量子ドットコムレーザは,半導体量子ドットレーザともよばれる。例えば,InGaAsやInGaAsPを用いた量子井戸構造を有する半導体レーザがあげられる。また,量子井戸構造を有すればよく,分布帰還型半導体レーザ(DFBレーザ)であってもよい。半導体量子ドットコムレーザを含む光パルス発生器4の例は,半導体量子ドットコムレーザと特表2007−525012号公報に開示された回路とを含むものである。この文献は参照することにより本明細書に取り込まれるものである。
【0058】
半導体量子ドットコムレーザを光パルス発生器4として用いることで,発振周波数やパルスの繰り返し周波数が正確に固定された光パルス発生器を得ることができる。
【0059】
本発明に係る光制御遅延器の動作を図3に基づいて説明する。光パルス発生器4で生成されたパルス光(λ1)が分波器5で分波され,一方の波が第1の波長変換器1に入力される。第1の波長変換器1では,調整光(λp1)を用いてパルス光(λ1)の波長を変化させ,波長が変換された光(λ)を出力する。光遅延器2には,変換された光(λ)が入射する。光遅延器2は,前述した式により定められる遅延量Dを光(λ)に与えて,出力する。出力された光(λ)は,第2の波長変換器3に入力され,調整光(λp2)を用いてパルス光(λ)の波長を変化させ,波長が変換された光(λ)を出力する。第2の波長変換器2により波長変換され,出力された光は,第1の波長変換器に入射された光と同じ波長であるが,光遅延器2により遅延量Dだけ遅延した光となる。つまり,分波器5で分波され,第1の波長変換器3に入射されなかった残りの光と比較して,遅延量Dだけ遅延した同じ波長の光が出力されるため,時間分解分光を簡便に行うことができるようになる。
【0060】
図4は,本発明の第1の実施形態に係る光遅延制御器を説明するためのブロック図である。なお,光パルス発生器4,分波器5,光遅延器2の構成は,図3と同様である。本実施形態に係る光制御遅延器は,第1の波長変換器1が,半導体光増幅器6を含む波長変換器である。第1の波長変換器1として,半導体光増幅器を含むもの用いることで,パルス光と調整光とで相互位相変調を行い,波長変換を行うことができる。
【0061】
また,第1の波長変換器1は,調整光の周波数を制御することで,出力光の波長を制御し,これにより光遅延器2により与えられる遅延量を制御する。半導体光増幅器を含む第1の波長変換器1は,波長変換のために入射する調整光の周波数を制御し,周波数を変化させる。調整光の周波数を変化させることにより,光遅延器に与えられる遅延量を変化させることができるため,容易に遅延時間を制御することができる光制御遅延器を提供できる。
【0062】
図4の示すとおり,本実施形態の光遅延制御器における第1の波長変換器1は,第1の半導体光増幅器6とサーキュレータ7とを含む。半導体光増幅器(Semiconductor Optical Amplifer; SOA)6は,広い波長可変範囲を有するため,遅延量の可変範囲も大きくできる。さらに,半導体光増幅器から出力される光を増幅することもできる。
【0063】
本実施形態に係る光遅延制御器の動作を説明する。パルス発生器4で生成されたパルス光(λ1)が分波器5で分波され,一方の波が第1の波長変換器1の第1の半導体光増幅器6に入力される。第1の半導体光増幅器6は,サーキュレータ7と接続されており,第1の半導体光増幅器6にパルス光(λ)が入力される。光遅延器2に入射するパルス光の波長を調整するために,周波数が制御された調整光(λp1)が,サーキュレータ7に入力される。サーキュレータ7に入力された調整光(λp1)は,パルス光に対向するように第1の半導体光増幅器6に入力される。第1の半導体光増幅器6内で,パルス光と調整光とで相互利得変調が生じて波長変換が行われ,パルス光と論理反転した光(λ)が第1の半導体光増幅器6より出力される。出力された光(λ)は,サーキュレータ7を介して,光遅延器2に入力される。なお,調整光(λp1)が,第1の半導体光増幅器6に入力される前に,例えば,偏波制御器によって波長変換の効率が最適になるように調整してもよい。また,サーキュレータ7からの出力光のうち出力された光(λ)のみを効果的に光遅延器2に入射させるため,サーキュレータ7と光遅延器2との間には,光(λ)を含む領域に透過領域を有するバンドパスフィルタが設けられていても良い。
【0064】
第2の波長変換器3は,光遅延器から出力されたパルス光(λ)と調整光(λp2)とが入力される合波器8と,パルス光(λ)と調整光(λp2)とから相互位相変調を行う第2の半導体光増幅器9と,第2の半導体光増幅器9から出力された光が入力される第1の偏光子10と,偏光子10を通過した光に遅延を与える複屈折素子11と,複屈折素子から出力された光を通す第2の偏光子12とを有するものがあげられる。出力光の波長が,第1の波長変換器1に入射されたパルス光(λ)と同じ波長となるように波長変換する。
【0065】
第2の半導体光増幅器9は,パルス光(λ)と調整光(λp2)との相互位相変調を行う。このため,第2の半導体光増幅器9から出力された光は位相が変化している。第1の偏光子10を透過した光は複屈折素子11に入力される。複屈折素子11としては,例えば,偏波保持ファイバや方解石を用い,2つの軸(速軸と遅軸)の伝搬速度の差を利用する。複屈折素子9を伝搬した光は,速軸方向と遅軸方向において位相変化に時間的ずれが生じる。第2の偏光子12は,この速軸方向と遅軸方向との間で時間的ずれが生じた区間のみを通過させることにより,位相変調を強度変調へと変換する。変換された光は,図示しないバンドパスフィルタを用いて,調整光(λp2)とパルス光(λ)とに分離する。出力されたパルス光(λ)は,第2の波長変換器3に入力されたパルス光(λ)に対して論理反転した光である。
【0066】
第1の半導体光増幅器6や第2の半導体光増幅器9は,例えば,量子ドットを活性層に用いた半導体光増幅器や,量子井戸構造を有する半導体光増幅器で構成することができる。
【0067】
図5は,本発明の第2の実施形態に係る光遅延制御器を説明するためのブロック図である。なお,光パルス発生器4,分波器5,光遅延器2の構成は,図3と同様である。図5に示されるように,本発明の第2の実施形態に係る光制御遅延器は,第1の波長変換器1が,第1の非線形光学素子13と第1の光波長フィルタ14とで構成され,第2の波長変換器3は,第2の非線形光学素子15と第2の光波長フィルタ16とを有する光制御遅延器である。非線形光学素子を用いることで,四光波混合,自己位相変調,相互位相変調,又はラマン分光といった非線形光学効果により波長変換を行う。
【0068】
第1の非線形光学素子13及び第2の非線形光学素子14として,例えば,光ファイバを用いる。また,半導体素子を用いてもよい。半導体素子として,例えば,ガリウム・アルミニウム砒素(GaAlAs)の半導体素子,分布帰還型(DFB)レーザ,分布反射型(DBR)レーザや,量子ドットレーザがあげられる。これらの半導体素子を非線形光学素子として用いることで,四光波混合,自己位相変調,相互位相変調,又はラマン分光といった非線形光学効果により波長変換を行うことができる。
【0069】
四光波混合を用いた波長変換方法の例は,特開2007−226076号公報又は特開2006−106440号公報に開示された方法である。自己位相変調を用いた波長変換の例は,特開2003−194713号公報又は特開2001−156715号公報に開示された方法である。相互位相変調を用いた波長変換の例は,特開2006−251360公報,特開2006−078530公報又は特開2004−020982公報に開示された方法である。ラマン分光を用いた波長変換方法の例は,特開2004−163558公報又は特開2002−229086に開示された方法である。これらの文献は引用することにより本明細書に取り込まれるものである。
【0070】
第1の光波長フィルタ14及び第2の光波長フィルタ16は,一定の範囲又は特定の波長を有する光だけを透過させるフィルタであり,例えば,バンドパスフィルタである。本実施形態においては,第1の光波長フィルタ14及び第2の光波長フィルタ16は,四光波混合により入射されたパルス光と調整光から生成された光(いわゆる,アイドラ光)のみを透過するように設計されている。
【0071】
本実施形態の光遅延制御器における四光波混合法を用いた場合の動作を説明する。パルス発生器4で生成されたパルス光(λ1)が分波器5で分波され,一方の波が第1の波長変換器1の第1の非線形光学素子13に入力される。第1の非線形光学素子13には,パルス光(λ1)とともに,パルス光の波長を変換するために周波数が制御された調整光(λp1)が入力される。第1の非線形光学素子13においてパルス光と調整光とを用いて,四光波混合を行う。これにより,第1の非線形光学素子13からは,パルス光(λ1)と,調整光(λp1),アイドラ光(λ2)の3つの光が出力される。四光波混合により,入射されたパルス光(λ1)と調整光(λp1)から,変換されたアイドラ光である変換光(λ2)が出力される。図6(a)は,この波長変換の原理を示す図である。本発明においては,第1の波長変換において,基本的には,各波長に対応する角速度には同一の下つき符号を付してある。ωp1とωとの差に相当する角速度分だけωp1よりずれた角速度を有するωが生ずる。この変換光(λ2)のみを第1の光波長フィルタ14で取り出し,光遅延器2へ入射する。
【0072】
光遅延器2から出力されたパルス光(λ2)は,一定の遅延量を有しており,第2の波長変換器の第2の非線形光学素子15に入力される。第2の非線形光学素子15には,パルス光(λ2)とともに,パルス光の波長を変換するために周波数が制御された調整光(λp2)が入力される。第2の非線形光学素子15においてパルス光と調整光とを用いて,四光波混合を行う。これにより,第2の非線形光学素子15からは,パルス光(λ2)と,調整光(λp2),アイドラ光(λ1)の3つの光が出力される。四光波混合により,パルス光と調整光から,変換されたアイドラ光である変換光(λ1)が出力される。図6(b)は,この波長変換の原理を示す図である。この変換光(λ1)のみを第2の光波長フィルタ14で取り出し,出力する。出力されたパルス光(λ1)は,分波器5で分波された残りの光(λ1)に対して,所定の遅延量をもった第1の波長変換器1に入射された光と同じ波長となるため,本発明の遅延制御器を用いて時間分解計測を行うことができる。
【0073】
第1の波長変換器1及び第2の波長変換器3の組みあわせは,これらの実施形態に限られるものではない。例えば,第1の波長変換器として,第1の実施形態に係る第1の波長変換器,つまり半導体光増幅器6とサーキュレータ7で構成し,第2の波長変換器として,第2の実施形態に係る第2の波長変換器,つまり第2の非線形光学素子15と第2の光波長フィルタ16で構成してもよい。
【0074】
図7は,本発明のある実施形態に係る光遅延制御器の基本構成を説明するためのブロック図である。図7に示されるように,この光制御遅延器は,光を分波及び合波する分波・合波器20と,分波・合波器20により分波された一方の光が入射する波長変換器21と,波長変換器21により波長が変換された光が入力される光遅延器2と,光遅延器2からの出力光を折り返すための第1の折り返し手段22と,分波・合波器20により分波された残りの光を,分波・合波器20へ向けて折り返すための第2の折り返し手段23とを有する。
【0075】
分波・合波器20は,入射光を分波することができるとともに,入射した複数の光を合波することができる装置である。分波・合波器20は,既に知られている。分波・合波器20は,たとえば,既に知られた光学素子を組み合わせて製作することができる。光遅延器2は先に説明したものを適宜用いることができる。波長変換器21は,先に説明した第1の波長変換器と同一のものを適宜用いることができる。折り返し手段22,23は,光を折り返すためも手段である。折り返し手段22,23の例は,ミラーである。このような構成を有するため,分波・合波器20により分波され,第2の折り返し手段23により前記分波・合波器20へ向けて折り返された光(第1の光)と;波長変換器21に入射され,光遅延器2を経て,折り返し手段22により折り返され,光遅延器2及び波長変換器21を経て,分波・合波器20へ向けて出力された光(第2の光)とが,分波・合波器20において合波される。そして,これらの光(第1の光及び第2の光)の間の遅延時間を,制御できる。
【0076】
また,先に説明した光制御遅延器と異なり,1つの波長変換器を用いて遅延時間を制御できるため装置を容易に制御でき,装置をコンパクトにすることができ,装置のコストも軽減できる。
【0077】
この光遅延制御器は,折り返し手段22により折り返され,波長変換器21に再度光遅延器2を経て出力された光が,分波・合波器20に戻されて,分波・合波器20により分波された残りの光と同一方向に出力される。このようにすることで,分波・合波器20により分波され,対象物へ向けて最初に出力された光と,所定の遅延時間をもって同一経路を経た光を対象物へ向けて出力することができる。
【0078】
図8は,本発明のある実施形態に係る光遅延制御器の基本構成を説明するためのブロック図である。図8に示されるように,この光遅延制御器は,分波器5と波長変換器21の間にさらにサーキュレータ25を含む。そして,サーキュレータ25は,分波器5により分波された一方の光がサーキュレータ25へ入射した場合,この入射光を波長変換器21へ向けて出力する。一方,サーキュレータ25は,折り返し手段22により折り返され,波長変換器21に再度光遅延器2を経て出力された光がサーキュレータ25へ入射した場合,波長変換器21へ戻らないように出力する。光遅延器2及びサーキュレータ25を経た光は,対象物へと向けて出力される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は,分光分析装置などの分野において好適に利用されうる。
【0080】
本発明は,テラヘルツ領域(100GHzから10THz)の電磁波の発生・検出及び分光にも用いることができる
【符号の説明】
【0081】
1 第1の波長変換器
2 光遅延器
3 第2の波長変換器
4 光パルス発生器
5 分波器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス光を分波する分波器(5)と,
前記分波器(5)により分波された一方のパルス光が入射する第1の波長変換器(1)と,
前記第1の波長変換器(1)により波長が変換されたパルス光が入力される光遅延器(2)と,
光遅延器(2)により遅延が与えられたパルス光の波長を変換するための第2の波長変換器(3)と,
を具備し,
光遅延器(2)は,入射光の波長により,入射光に与える遅延量が異なるものであり,分波器(5)により分波された残りの光と,第1の波長変換器(1)に入射され,光遅延器(2)及び第2の波長変換器(3)を経て出力された光との間の遅延時間を制御できる,
光制御遅延器。

【請求項2】
第2の波長変換器(3)は,
出力光の波長が,第1の波長変換器(1)に入射した光の波長となるように,入射光の波長を変化する,
請求項1に記載の光制御遅延器。

【請求項3】
前記分波器(5)に入射するパルス光を生成するための光パルス発生器(4)をさらに有し,
光パルス発生器(4)は,モード同期ファイバレーザを含む,
請求項1に記載の光制御遅延器。

【請求項4】
前記分波器(5)に入射するパルス光を生成するための光パルス発生器(4)をさらに有し,
光パルス発生器(4)は,光コム発生器を含む,
請求項1に記載の光制御遅延器。

【請求項5】
前記分波器(5)に入射するパルス光を生成するための光パルス発生器(4)をさらに有し,
光パルス発生器(4)は,半導体量子ドットコムレーザを含む,
請求項1に記載の光制御遅延器。

【請求項6】
第1の波長変換器(1)は,
半導体光増幅器を用いた波長変換器である,
請求項1に記載の光制御遅延器。

【請求項7】
第1の波長変換器(1)は,
半導体光増幅器を含み,
周波数が制御された調整光と入射光とを混合することで,出力光の波長を変換する波長変換器であり,
調整光の周波数を制御することで,出力光の波長を制御し,これにより光遅延器(2)により与えられる遅延量を制御する,
請求項1に記載の光制御遅延器。

【請求項8】
第1の波長変換器(1)は,
光ファイバである,
請求項1に記載の光制御遅延器。

【請求項9】
第1の波長変換器(1)は,
四光波混合により入射光の波長を変換する,半導体素子を用いた波長変換器である,
請求項1に記載の光制御遅延器。

【請求項10】
第1の波長変換器(1)と,
第1の波長変換器(1)により波長が変換されたパルス光が入力される光遅延器(2)と,
光遅延器(2)により遅延が与えられたパルス光の波長を変換するための第2の波長変換器(3)と,
を具備し,
光遅延器(2)は,入射光の波長により,入射光に与える遅延量が異なるものである,
光制御遅延器。

【請求項11】
パルス光の波長を変換するために第1の波長変換器(1)に入射される調整光と,第2の波長変換器(3)に入射される調整光の波長は同じである,
請求項10記載の光制御遅延器。

【請求項12】
パルス光を分波及び合波する分波・合波器(20)と,
前記分波・合波器(20)により分波された一方の光が入射する波長変換器(21)と,
前記波長変換器(21)により波長が変換されたパルス光が入力される光遅延器(2)と,
前記光遅延器(2)からの出力光を折り返すための第1の折り返し手段(22)と,
前記分波・合波器(20)により分波された残りの光を,前記分波・合波器(20)へ向けて折り返すための第2の折り返し手段(23)と,
を具備し,
前記光遅延器(2)は,入射光の波長により,入射光に与える遅延量が異なるものであり,
前記分波・合波器(20)により分波され,前記第2の折り返し手段(23)により前記分波・合波器(20)へ向けて折り返された光と;波長変換器(21)に入射され,光遅延器(2)を経て,折り返し手段(22)により折り返され,光遅延器(2)及び波長変換器(21)を経て,前記分波・合波器(20)へ向けて出力された光とが,前記,前記分波・合波器(20)において合波され,これらの光の間の遅延時間を制御できる,
光制御遅延器。

【請求項13】
折り返し手段(22)により折り返され,波長変換器(21)に再度光遅延器(2)を経て出力された光は,分波器(5)に戻されて,分波器(5)により分波された残りの光と同一方向に出力される,
請求項12に記載の光制御遅延器。

【請求項14】
パルス光を分波する分波器(5)と,
分波器(5)により分波された一方の光が入射する波長変換器(21)と,
波長変換器(21)により波長が変換されたパルス光が入力される光遅延器(2)と,
光遅延器(2)からの出力光を折り返すための折り返し手段(22)と,
を具備し,
光遅延器(2)は,入射光の波長により,入射光に与える遅延量が異なるものであり,分波器(5)により分波された残りの光と;波長変換器(21)に入射され,光遅延器(2)を経て,折り返し手段(22)により折り返され,波長変換器(21)に再度光遅延器(2)を経て出力された光との間の遅延時間を制御できる,
光制御遅延器であって,
前記分波器(5)と前記波長変換器(21)の間にさらにサーキュレータ(25)を含み,
前記サーキュレータ(25)は,
分波器(5)により分波された一方の光がサーキュレータ(25)へ入射した場合,この入射光を波長変換器(21)へ向けて出力し,
折り返し手段(22)により折り返され,再度前記光遅延器(2)を経て前記波長変換器(21)へ出力された光がサーキュレータ(25)へ入射した場合,前記波長変換器(21)へ戻らないように出力する,
光制御遅延器。

【請求項15】
請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の光制御遅延器を含む分光装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−95609(P2011−95609A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250898(P2009−250898)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】