説明

光半導体素子、及びその製造方法

【課題】主に1.55μm帯の光集積素子の導波路層としては、組成波長1.25μmから1.55μmの範囲にあり、膜厚が150nm以上のInGaAsP層が用いられてきた。本条件のInGaAsP層を、通常の格子整合条件下で再成長すると、多数の欠陥が発生し、素子特性を低下させていた。
【解決手段】本発明によれば、本InGaAsP層のInP基板との格子不整合度εを、+0.1%≦ε≦+0.4%の範囲内に設定することにより、非混和性を低下させ、欠陥の発生を抑制して良好な素子特性を実現する事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光半導体素子に係り、特に、波長可変レーザ、或いは半導体変調器集積型光源等の集積型光半導体素子、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインターネット人口の爆発的増大により、情報伝送の急速な高速化および大容量化が求められており、今後も光通信が重要な役割を果たすと考えられている。光通信で用いられる光源には、より高速な伝送特性が求められている。特に長距離の光通信においては、半導体レーザを直接変調することのみでは対応できないため、半導体レーザの前方に光変調器を集積した変調器集積型光源が用いられている。また、波長多重通信などに対応するため、波長を瞬時に切り替えられる波長可変光源のような付加価値の高い光源も急速に求められている。このような集積型光半導体素子においては、光を発生する活性層(レーザ部)の他に、変調器部や波長調整部といった領域が同一基板上に一括形成されている。
【0003】
図1は、波長可変光源の例である。光を発生するレーザ部と、光の位相を変調し波長を変化させる波長調整部から形成されている。図2は、変調器集積型光源の例である。光を発生するレーザ部、発生した光を変調する変調器部、及び、レーザ部から変調器部に到達する光を効率よく伝搬させる導波路部とから構成されている。これらの波長調整部や導波路部には、光を良好に閉じ込めながら伝播させるために、一般的に数100nm以上の膜厚の半導体層が用いられる。集積型光素子の半導体材料としては、InP基板上に形成されるInGaAsP、InGaAlAsといった材料が用いられる。特にInGaAsPは、材料自体が酸化されにくい特性を有しており、再成長工程を用いる集積型光素子の作製において、非常に適した材料である。
【0004】
ここで、図1の波長可変レーザを例にとって、集積型光素子の作製プロセスを説明する。これは、所謂、分布反射器(DBR: Distributed Bragg Reflector)型といわれる構造である。主に結晶成長に関するプロセス工程を図3に示した。まず、図3(a)に示すように、n-InP基板301上に、通常の結晶成長により、量子井戸構造から成る活性層302を形成する。続いて、図3(b)に示すように絶縁体マスク303を形成した後、不要部分をエッチングにより除去する。さらに、図3(c)に示すように、InGaAsP導波路層304、InPスペーサ層305、InGaAsP回折格子層306などを再成長にて形成する。最後に、図3(d)に示すように、回折格子306の形状を形成した後に、全体にp-InPクラッド層307を再成長にて形成する。この後、メサエッチング工程や電極蒸着工程等を経て、素子として完成する。
【0005】
このような集積型光素子作製においては、先に説明したように、通常光を発生する活性層が第一番目に形成される。これは、再成長表面のC、O、Siなどの不純物の影響や、マスク近傍での選択成長効果による歪の増大により、多重量子井戸活性層における発光特性の低下を避けるためである。そのため、導波路層は、再成長工程で形成される場合が殆どである。
【0006】
【非特許文献1】「ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス(Japanese Journal of Applied Phisics)」21巻、1982年、p.797
【非特許文献2】「ジャーナル オブ クリスタルグロース(Journal of Crystal Growth) 27巻、1974年、p.118
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在の石英系光ファイバの最低損失波長帯である1.55μm帯の光素子では、光吸収を抑制する為、InGaAsP導波路層の組成波長は1.55μm未満に設定される。典型的には、1.3μm〜1.45μmの範囲に設定される。InGaAsP層の結晶成長時の温度は、通常500-600℃である。成長温度が高すぎると、蒸気圧の高いP原子が表面から抜けてしまい、膜質の低下をもたらすためである。
ここで、InGaAsP層のInP基板からの格子不整合度ε(%)を下記の式で定義する。

ε(%)= [{(InGaAsPの格子定数) ― (InP基板の格子定数)}/ (InP基板の格子定数)]x100

導波路層に用いられるInGaAsP層の場合、数100nm以上の厚さが必要である。典型的には200〜500nmである。そこで、格子不整合転位の発生を防ぐ為、通常InP基板に格子整合する条件で形成する。その際のεの値としては、典型的に-0.05%≦ε≦+0.05%の範囲内に設定される。InP基板とInGaAsP層の熱膨張係数の違いを考慮すると、やや−歪側に設定するのが好ましい。
【0008】
我々が、組成波長1.4μm、膜厚300nm、ε=-0.05%のInGaAsP導波路層を、図3に示すような再成長工程によって結晶成長したところ、表面に多数の欠陥が発生することが判った。その表面写真を、図4(a)に示す。欠陥が大量に観測されている事が判る。作製した素子は、本欠陥を介してリーク電流が流れてしまい、素子特性が大幅に低下した。その後の追加検討により、本InGaAsP層における欠陥の発生は、再成長工程ではなく、第一番目の結晶成長工程で成長した場合には非常に少ない事、また、同じ再成長工程で形成しても、膜厚が100nm以下と薄い場合には、同様に発生量が非常に少ない事が判った。よって、本欠陥の発生は、単なる結晶成長条件のずれなどではなく、何らかの物理的な現象に起因するものであると考えられる。
よって、本発明の目的は、特に再成長により形成するInGaAsP導波路層の欠陥の発生を抑制し、それにより、良好な素子特性を有する集積型光半導体素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本欠陥の発生要因を鋭意検討した結果、次の現象と深く相関していることが判明した。以下に詳細を述べる。InGaAsPという半導体材料には、非混和領域がある事が知られている。非混和領域にあるInGaAsPは熱力学的に不安定で相分離しやすく、その結果、欠陥が発生しやすくなる。ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス 21巻、797頁、1982年には、OnabeによるInGaAsPの非混和領域(ミシビリティギャップ)の理論計算結果が記載されている。そのFig.1を図5に引用した。非混和領域は、各絶対温度における楕円領域の内部で示される。
【0010】
即ち、高温で成長するほど混晶が混ざりやすくなり、楕円領域が小さくなるため非混和性が緩和されることが判る。尚、ここで示す絶対温度は、有機金属気相成長(MOVPE: Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法や分子線エピタキシー(MBE: Molecular Beam Epitaxy)法等の非混和性の高い成長方法においては、成長温度とはあまり一致していない。
【0011】
本図には、組成波長1.4μmの等バンドギャップ(組成波長)線、及びInP基板の等格子定数線も同時に示している。先述の素子に適用した組成波長1.4μmのInGaAsP層は、InP基板に格子整合する組成条件において最も非混和性の高い組成である事が判る。先に述べたMOVPEやMBE等の非平衡性の高い成長手法を用いることにより、このような非混和性は大きく緩和され、非混和性の高い組成のInGaAsP層でも実素子にも適用可能な品質の膜が得られるようになってきた。しかしながら、本材料系の本質として、相分離しやすい要因は常に内包されていると考えられる。このことから、前項で述べた組成波長1.4μmのInGaAsP層における異常な欠陥の発生は、再成長を行う半導体表面における若干の不純物の付着等を種として、膜中に部分的な相分離が発生し始め、膜厚が厚い場合、それが蓄積して欠陥として出現したものと考えられる。
【0012】
図5の等バンドギャップ線(等組成波長線)を参照すると、In組成とP組成を共に増大させれば、組成波長を1.4μmに保ちつつ非混和性の低い左下の領域に移動できることが判る。よって、素子特性上影響を及ぼすことなく非混和性を低下させ、良質なInGaAsP導波路層を形成できると考えられる。このように、InGaAsP層の組成比を、非混和性の低い方向に等組成波長線に沿って変化させることは、結果としてεを+側に設定することと等価である。そこで、次に述べる実際の検討においては、εを用いて記述する。
【0013】
図4(b)、(c)は、組成波長を1.4μmに保ちながらIn組成、及びP組成を増大させてεを+側に変化させた場合のInGaAsP層(膜厚300nm、成長温度600℃)の表面写真である。図4(b)のε=+0.04%では、欠陥は依然として非常に多いままであったが、図4(c)のようにεが+0.1%以上になると、欠陥が殆ど観測されなくなった。よって、εを+側に増大することで、欠陥発生を抑制できる事が実験的に確認できた。図5には、本発明の効果が顕著に得られたε=+0.1%の点を示したが、非混和性という観点での低下は僅かであるように見える。このような僅かな非混和性の低下のみで、欠陥抑制に対して大きな効果が得られた原因は現時点で明確ではないが、+側に増大させた歪のエネルギーによって、非混和性がより大きく低下した可能性がある。いずれにしても、εを+側に設定することにより、再成長工程で顕著に見られた表面欠陥を抑制できることを見出すことができた。
【0014】
図5により、InP基板に格子整合する条件においては、組成波長1.3μmから1.5μmの範囲のInGaAsP層が、同程度の高い非混和性を有する事が判る。よって、先の実験において、組成波長1.4μmのInGaAsP層に対して確認した、εを+側に増大させた場合の欠陥抑制効果は、1.3μmから1.5μmの範囲の他組成波長においても同様に得ることができる。
【0015】
以上の考察から、InP基板上に再成長で形成するInGaAsP層において、εを+側にし、非混和性を低下させる方向に組成比を変化させることにより、再成長工程時に発生する欠陥を抑制できることが判った。このとき、組成波長は変化しないため、素子特性上への影響は非常に小さい。尚、図5に示した理論計算は従来から存在し、InGaAsPの非混和度についての指針を与えるものであった。しかしながら、実際のInGaAsP層に対して、欠陥の発生・抑制の範囲を定量的に明らかにするものではなかった。今回、我々は、InGaAsP層のεを+側の適切な値に設定することで、欠陥が抑制できることを初めて実験的に明らかにした。
【0016】
一方、εを+側にする場合、設定膜厚に対しての考慮が必要である。よく知られているように、各ε値に対しては、格子不整合転位の発生という点での膜厚上限値(臨界膜厚)が存在する。臨界膜厚は、Matthews等によって、ジャーナル オブ クリスタルグロース 27巻、118頁、1974年掲載の理論式に示されている。以下にその式を示す。
【0017】
【数1】

【0018】
ここで、bはBurgersベクトルの大きさ、νはPoisson比、αは転位線とBurgersベクトルのなす角度、λはすべり面と界面の交線に垂直な面とすべり方向のなす角度である。ここではIII-V族化合物半導体の一般的な値として、b=4, ν=1/3, cosα=1/2, cosλ=1/2としたが、この値は材料により多少変化することは言うまでも無い。
【0019】
図6に、上記(1)式に基づいたInP基板上に再成長で形成する組成波長1.4μmのInGaAsP層における本発明の有効範囲を示す。集積型光素子に使用する導波路層の膜厚の下限値は典型的に150nmである。Matthews等の理論式によると、臨界膜厚150nmに対応するεの値は、約+0.4%となる。この場合、本発明の有効範囲は、図6のABCで囲まれる斜線領域で具体的に示される。
【0020】
また、図4の検討では、In組成とP組成を同時に増大させてεを増大させたが、In組成のみの増大、或いはP組成のみの増大によっても、非混和性を低下させる事ができるのは言うまでも無い。但し、この場合は組成波長が変化するので、素子特性への影響を予め考慮することが必要である。
【0021】
尚、本発明は、再成長で形成するInGaAsP層に対して最も顕著な効果が得られるが、材料の本質としての非混和性は変わらないため、第一番目の成長工程で形成した場合でも、本発明による条件を適用する方がより高品質なInGaAsP膜が得られると考えられる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、主に1.55μm帯の光集積素子の導波路層として用いられる組成波長1.4μmのInGaAsP層において、そのInP基板との格子不整合度εを、+0.1%≦ε≦+0.4%の範囲内に設定することにより、欠陥の発生を抑制して、良質な膜を得る事ができる。その結果、本導波路層を用いた集積型光素子の特性の向上効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図1、図2を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
第1の実施例は、本発明を波長可変レーザに適用したものである。成長方法としては、MOVPE法を用いた。III族元素の原料は、トリエチルガリウム、トリメチルインジウムを用いた。V族元素の原料には、アルシンとフォスフィンを用いた。また、n型ドーパントとしてはジシランを、p型ドーパントとしてはジメチル亜鉛を用いた。尚、成長法としては、MOVPEのみに限定されるものではなく、MBE法、化学ビーム成長(CBE: Chemical Beam Epitaxy)法、有機金属文視線エピタキシー(MOMBE: Metal-Organic Molecular Beam Epitaxy)法などを用いても良い。
【0025】
図1は素子の断面構造を示している。成長方法としては、MOVPE法を用いた。III族元素の原料は、トリエチルガリウム、トリメチルインジウムを用いた。V族元素の原料には、アルシンとフォスフィンを用いた。また、n型ドーパントとしてはジシランを、p型ドーパントとしてはジメチル亜鉛を用いた。
n-InP基板102上に、InGaAsPから成る10周期の1.55μm帯多重量子井戸活性層109を形成した。次に、ホト工程によって、必要な部分に絶縁体マスクを形成した。これをマスクにして、ドライエッチングとウエットエッチングにより不要部分を除去した。続いて、膜厚300nmの組成波長1.4μmのInGaAsP導波路層103、InPスペーサ層104、組成波長1.15μmInGaAsP回折格子層105を形成した。InGaAsP導波路層103の歪量は+0.1%に設定したため、欠陥の発生は無く、表面状態は良好であった。続いて、回折格子層105の形状を加工し、絶縁体マスクを除去した後に、全体をp-InPクラッド層106で埋込み、最後にp-InGaAsコンタクト層107を形成した。その後、コンタクト層の一部を除去して素子分離し、メサエッチング、基板研磨後に、電極101、108を形成し、へき開後、両端面に反射膜を形成して素子として完成した。完成した素子のしきい値電流は10mA、波長可変幅は6nmと良好な値を示した。
【実施例2】
【0026】
第2の実施例は、本発明を変調器集積型光源に適用したものである。成長方法としては、ここでもMOVPE法を用いたが、それに限定されるものでは無く、同一の効果が得られれば他の手法でも良い。原料は、実施例1に加え、アルミニウム原料としてトリメチルアルミニウムを用いた。図2は素子の断面構造を示している。
【0027】
n-InP基板202上に、レーザ部としてInGaAlAsから成る4周期の多重量子井戸活性層210を形成した。次に、ホト工程によって、必要な部分に絶縁体マスクを形成した。これをマスクにして、ドライエッチングとウエットエッチングにより不要部分を除去した。続いて、変調器部として、InGaAlAsから成る8周期の多重量子井戸層203を形成し、連続的にInPスペーサ層204、InGaAsP回折格子層205を形成した。続いて、回折格子層205を凸型に加工し、絶縁体マスクを除去した後に、再度ホト工程によって必要な部分に絶縁体マスクを形成した。これをマスクにして、ドライエッチングとウエットエッチングにより不要部分を除去した。続いて、膜厚400nmの組成波長1.3μmのInGaAsP導波路層209を形成した。
【0028】
InGaAsP導波路層209の歪量は+0.1%に設定したため、欠陥の発生は無く、表面状態は良好であった。続いて、絶縁体マスクを除去した後に、全体をp-InPクラッド層206で埋込み、最後にp-InGaAsコンタクト層207を形成した。その後、コンタクト層の一部を除去して素子分離し、メサエッチング、基板研磨後に、電極201、208を形成し、へき開後、両端面に反射膜を形成して素子として完成した。完成した素子のしきい値電流は15mA、20℃から85℃の範囲で、10GHzの良好な変調特性を示した。
【実施例3】
【0029】
第3の実施例は、本発明を1.55μm帯スポット拡大器集積レーザに適用したものである。成長方法としては、ここでも実施例2と同様にMOVPE法を用いたが、それに限定されるものでは無く、同一の効果が得られれば他の手法でも良い。図7に素子の断面構造を示している。
【0030】
n-InP基板702上に、下側のn-InPクラッド層703を積層し、続いて、レーザ部としてInGaAlAsから成る10周期の多重量子井戸活性層708を形成した。次に、ホト工程によって、必要な部分に絶縁体マスクを形成した。これをマスクにして、ドライエッチングとウエットエッチングにより不要部分を除去した。続いて、スポット拡大部として、平坦基板上の設計値で膜厚200nmとなるように、組成波長1.3μmのInGaAsP導波路層704をテーバー状に形成した。InGaAsP導波路層704の歪量は+0.1%に設定したため、欠陥の発生は無く、表面状態は良好であった。続いて、絶縁体マスクを除去した後に、全体をp-InPクラッド層705で埋込み、最後にp-InGaAsコンタクト層707を形成した。その後、コンタクト層の一部を除去して素子分離し、メサエッチング、基板研磨後に、電極701、706を形成し、へき開後、両端面に反射膜を形成して素子として完成した。完成した素子のしきい値電流は5mA、FFPは垂直方向が12度、水平方向が11度と良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による波長可変レーザの構造図。
【図2】本発明による変調器集積型光源の構造図。
【図3】(a)-(d)は、図1で示す素子の結晶成長プロセス工程図。
【図4】(a)-(c)は、歪量の異なるInGaAsP層の表面写真。
【図5】InGaAsP層の非混和領域の理論計算図。
【図6】本発明の格子不整合度の絶対値と膜厚の関係を示す図(ABCで囲まれる斜線領域が、本発明範囲)。
【図7】本発明によるスポット拡大器集積レーザの構造図。
【符号の説明】
【0032】
101…n側電極、
102…n-InP基板、
103…InGaAsP導波路層、
104…InPスペーサ層、
105…InGaAsP回折格子層、
106…p-InPクラッド層、
107…p+-InGaAsコンタクト層、
108…p側電極、
109…InGaAsP多重量子井戸活性層、
201…n側電極、
202…n-InP基板、
203…InGaAlAs多重量子井戸活性層、
204…InPスペーサ層、
205…InGaAsP回折格子層、
206…p-InPクラッド層、
207…p+-InGaAsコンタクト層、
208…p側電極、
209…InGaAsP導波路層、
210…InGaAlAs量子井戸層、
301…n-InP基板、
302…InGaAsP多重量子井戸活性層、
303…絶縁体マスク、
304…InGaAsP導波路層、
305…p-InPスペーサ層、
306…InGaAsP回折格子層、
307…p-InPクラッド層、
308…p+-InGaAsコンタクト層、
701…n側電極、
702…n-InP基板、
703…n-InPクラッド層、
704…InGaAsP導波路層、
705…p-InPクラッド層、
706…p側電極、
707…p+-InGaAsコンタクト層、
708…InGaAlAs多重量子井戸活性層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
InP基板上に設けられた光を発生する活性層と、
前記InP基板上に前記活性層と光軸を揃えて設けられ、組成波長が1.3μmから1.5μmの範囲にあるInGaAsP層を含む半導体層を具備してなり、前記光を伝播させる光導波路層と、を有し、
前記InGaAsP層は、前記InP基板に対する格子不整合度(ε)が+0.1%以上となるようにInGaAsPの各元素組成が調整され、且つ、前記InGaAsP層の膜厚の上限値は、0.1%以上となる前記格子不整合度(ε)から算出される格子不整合転位が発生しない臨界膜厚範囲内にあることを特徴とする光半導体素子。
【請求項2】
前記InGaAsP層の組成波長は、1.4±0.01μmであり、前記InGaAsP層の膜厚は、150nm以上であり、前記InGaAsP層の前記InP基板に対する格子不整合度(ε)は、+0.1%以上で+0.4%以下の範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の光半導体素子。
【請求項3】
InP基板上に第1の光導波路層を形成する工程と、
前記第1の光導波路層の一部に選択的に第1のマスクを形成する工程と、
前記第1のマスクが形成されていない第1の光導波路層の領域をエッチングにより除去し前記InP基板の表面を露出する工程と、
前記エッチングにより露出した前記InP基板上に、組成波長が1.3μmから1.5μmの範囲内のInGaAsPを結晶成長させ第2の光導波路層を形成する工程と、を有し
前記第2の導波路層の膜厚の上限値は、前記第2の導波路層の前記InP基板に対する格子不整合度(ε)を+0.1%以上に設定した場合、前記格子不整合度(ε)から算出される格子不整合転位が発生しない膜厚範囲内であることを特徴とする光半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記第2の光導波路層の組成波長は、1.4±0.01μmであり、その膜厚は150nm以上であり、前記InP基板に対する格子不整合度(ε)は、+0.1%以上+0.4%以下の範囲内であることを特徴とする請求項3記載の光半導体素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−186902(P2008−186902A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17693(P2007−17693)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、フォトニックネットワーク技術の開発事業 (再)委託研究、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】