説明

光反射塗料とそれを用いた光反射塗膜

【課題】
従来のフッ化炭素基含有クロロシラン系の吸着剤を用いた防汚性化学吸着膜では、汚れにくいが表面反射性能が乏しいという課題があった。
【解決手段】
塗料に表面が撥水撥油性の被膜で被われている透明微粒子を分散したことを特徴とする光反射塗料を提供する。
さらにまた、その塗料を用いて撥水撥油防汚性の被膜で被われた透明微粒子が膜表面に一部露出している撥水撥油防汚性光反射塗膜を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布すると光反射効果が大きな塗膜になる塗料に関するものである。さらに詳しくは、壁面や案内板、表示板、交通標識、トンネル内の壁面等に用いる防汚機能が要求される光反射塗膜形成に用いる塗料に関するものである。さらに、それを用いた撥水撥油防汚性の光反射塗膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、壁面や案内板、表示板、交通標識、トンネル内の壁面等に用いる塗布すると光反射効果が大きな塗膜になる塗料が求められている。また、そのような塗料を用いて作成した塗膜で、防汚効果が高く長期に亘り高い光反射率を維持できる防汚性の塗膜が要望されている。
【0003】
一方、フッ化炭素基含有クロロシラン系の吸着剤と非水系の有機溶媒よりなる化学吸着液を用い、液相で化学吸着して単分子膜状の防汚性化学吸着膜を形成できることはすでによく知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このような溶液中での化学吸着単分子膜の製造原理は、基材表面の水酸基などの活性水素とクロロシラン系の吸着剤のクロロシリル基との脱塩酸反応を用いて単分子膜を形成することにある。
【特許文献1】特開平02−258032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のフッ化炭素基含有クロロシラン系の吸着剤を用いた防汚性化学吸着膜では、汚れにくいが表面反射性能が乏しいという課題があった。
【0006】
本発明は、汚れにくく、且つ表面反射性能に優れた塗膜を形成できる塗料およびそれを用いた汚れにくく且つ表面反射性能に優れた塗膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として提供される第一の発明は、塗料に表面が撥水撥油性の被膜で被われている透明微粒子および/または繊維を分散したことを特徴とする光反射塗料である。
【0008】
第二の発明は、第一の発明に於いて、撥水撥油性の被膜が透明微粒子および/または繊維表面に共有結合していることを特徴とする光反射塗料である。
【0009】
第三の発明は、第一の発明に於いて、撥水撥油性の被膜が透明微粒子および/または繊維表面に共有結合している単分子膜であることを特徴とする光反射塗料である。
【0010】
第四の発明は、第一乃至三の発明に於いて、透明微粒子および/または繊維が透光性のガラス、シリカ、アルミナ微粒子および/または繊維、あるいはジルコニア微粒子であることを特徴とする光反射塗料である。
【0011】
第五の発明は、第一乃至四の発明に於いて、塗料中に金属微粒子および/または繊維やマイカ微粒子を含むことを特徴とする光反射塗料である。
【0012】
第六の発明は、第五の発明に於いて、透明微粒子および/または繊維および金属微粒子および/または繊維やマイカ微粒子、顔料微粒子の大きさが少なくとも可視光の波長より大きいことを特徴とする光反射塗料である。
【0013】
第七の発明は、撥水撥油防汚性の被膜で被われた透明微粒子および/または繊維が膜表面に一部露出している撥水撥油防汚性光反射塗膜である。
【0014】
第八の発明は、第七の発明に於いて、塗膜中に金属微粒子および/または繊維やマイカ微粒子、顔料微粒子を含むことを特徴とする撥水撥油防汚性光反射塗膜である。
【0015】
第九の発明は、第七の発明に於いて、撥水撥油性の被膜が透明微粒子および/または繊維および/または繊維表面に共有結合していることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射塗膜である。
【0016】
第十の発明は、第七の発明に於いて、撥水撥油性の被膜が透明微粒子および/または繊維表面に共有結合している単分子膜であることを特徴とする撥水撥油防汚性光反射塗膜である。
【0017】
さらに詳しくは、本発明は、少なくとも塗料に表面が撥水撥油性の被膜で被われている透明微粒子および/または繊維を分散したことを特徴とする光反射塗料を提供することを要旨とする。
【0018】
ここで、撥水撥油性の被膜が透明微粒子および/または繊維表面に共有結合していると防汚耐久性を向上する上で都合がよい。
【0019】
また、撥水撥油性の被膜が透明微粒子および/または繊維表面に共有結合している単分子膜であると反射効率を向上する上で都合がよい。
【0020】
さらに、透明微粒子および/または繊維が透光性のガラス、シリカ、アルミナ微粒子および/または繊維、あるいはジルコニア微粒子であると反射効率を向上する上で都合がよい。
【0021】
さらにまた、塗料中に金属微粒子および/または繊維やマイカ微粒子、顔料微粒子を含むと、反射効率を向上させる上で都合がよい。
【0022】
また、透明微粒子および/または繊維および金属微粒子やマイカ微粒子、顔料微粒子の大きさが少なくとも可視光の波長より大きいと反射効率を向上させる上で都合がよいが、好ましくは、5mm〜1μmがよい。より好ましくは、100μm〜5μmがよい。
【0023】
さらにまた、本発明は、少なくとも撥水撥油防汚性の被膜で被われた透明微粒子および/または繊維が膜表面に一部露出している撥水撥油防汚性光反射塗膜を提供することを要旨とする。
【0024】
ここで、塗膜中に銀、アルミニウム、ステンレス等の光反射率の高い金属微粒子やマイカ微粒子、顔料微粒子を含んでいれば、塗膜の反射効率を向上させる上で都合がよい。
【0025】
また、撥水撥油性の被膜が透明微粒子および/または繊維表面に共有結合していると塗膜の反射効率を向上させる上で都合がよい。
【0026】
さらに、撥水撥油性の被膜が透明微粒子および/または繊維表面に共有結合している単分子膜であると塗膜の反射効率を向上させる上で都合がよい。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したとおり、本発明によれば、汚れにくく、且つ表面反射性能に優れた塗膜を形成できる塗料、およびそれを用いた汚れにくく且つ表面反射性能に優れた高耐久の撥水撥油防汚性光反射塗膜を提供できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、少なくとも化学吸着法を用いて被覆した表面がフッ化炭素系の化学吸着単分子膜よりなる撥水撥油性の被膜で被われている透明微粒子および/または繊維を塗料に分散した光反射塗料を提供するものである。
【0029】
また、少なくとも化学吸着法を用いて被覆した表面がフッ化炭素系の化学吸着単分子膜よりなる撥水撥油防汚性の被膜で被われた透明微粒子および/または繊維が膜表面に一部露出している撥水撥油防汚性光反射塗膜を提供するものである。
【0030】
したがって、本発明には、汚れにくく、且つ表面反射性能に優れた塗膜を形成できる塗料、およびそれを用いた汚れにくく且つ表面反射性能に優れた高耐久性の撥水撥油防汚性光反射塗膜を提供できる作用がある。
【0031】
以下、本願発明の詳細を実施例を用いて説明するが、本願発明は、これら実施例によって何ら制限されるものではない。
【0032】
なお、本発明に関する塗料には、壁面や案内板、表示板、交通標識、トンネル内の壁面等に用いる塗布すると光反射効果が大きな撥水撥油防汚性光反射塗膜になる塗料があるが、代表例としてトンネル内の壁面塗膜を取り上げて説明する。
【実施例1】
【0033】
あらかじめ、一端にフッ化炭素基(−CF)を含み他端にアルコキシシリル基を含む薬剤、例えば、CF(CF27(CH22Si(OCH)3で示す薬剤を99重量%、シラノール縮合触媒として、例えば、ジブチル錫ジアセチルアセトナートを1重量%となるようそれぞれ秤量し、シリコーン溶媒、例えば、ヘキサメチルジシロキサン溶媒に1重量%程度の濃度(好ましい化学吸着剤の濃度は、0.5〜3%程度)に溶かして化学吸着液を作成した。
【0034】
一方、大きさが10〜30ミクロンのガラス微粒子1(透明であればシリカやアルミナ、ジルコニアの微粒子および/または繊維でも良い。また、壁面の光反射効率を挙げるためには、大きさは、可視光波長(380〜700nm)より大きく、塗膜厚程度の微粒子および/または繊維がよい。好ましくは、5mm〜1μmがよいが、より好ましくは、100μm〜5μmであった。)を準備して、良く乾燥後した後、前記化学吸着液に混ぜ込み、普通の空気中で(相対湿度45%)撹拌しながら1時間程度反応させた。このとき、前記ガラス微粒子1の表面には水酸基2が多数含まれているの(図1(a))で、前記化学吸着剤の−Si(OCH)基と前記水酸基2がシラノール縮合触媒の存在下で脱アルコール(この場合は、脱CHOH)反応し、下記化学式(化2)に示したような結合を形成し、ガラス微粒子1の表面全面に亘り下記式(化1)で示されるフッ化炭素基を含む化学吸着単分子膜3が表面と化学結合し状態で約1ナノメートル程度の膜厚で形成される。
【0035】
その後、クロロホルム等の塩素系溶媒、あるいはアルコール等で余分な未反応の吸着液を洗浄除去すると、表面全面に亘り表面と化学結合したフッ化炭素基を含む化学吸着単分子膜で被われた撥水撥油性のガラス微粒子(表面が撥水撥油性化学吸着単分子膜で被われたガラス微粒子)4を製造できた(図1(b))。なお、単分子膜である必要がない場合には、洗浄除去の工程を省けばよい。
【0036】
【化1】

【0037】
一方、溶媒が蒸発すると前記ガラス微粒子のバインダーとなる塗料、例えば、白色顔料を含む水溶性のアクリル塗料を準備し、前記フッ化炭素基を含む化学吸着単分子膜で被われた表面が撥水撥油性のガラス微粒子4を混合撹拌した。ここで、バインダーとなる塗料の色調は、目的に応じて適宜選べばよい。
【0038】
その後、壁面5に30ミクロン程度の膜厚になるように塗布し溶培を蒸発させると、撥水撥油防汚性に優れた光反射塗膜6が形成できた。
【0039】
なお、このとき、フッ化炭素基を含む化学吸着単分子膜で被われた表面が撥水撥油性のガラス微粒子は、図2に示すように、表面が撥水撥油性であるため、塗布後前記塗料上に浮かび上がりアクリル樹脂膜7中に埋没することなく露出して、表面が十〜数ミクロンレベルで凸凹な光反射塗膜6となった。
【0040】
さらに、このガラス微粒子は、撥水撥油性の単分子膜で被われているため、塗膜としての見かけ上の表面エネルギーは、蓮の葉効果により2〜3mN/mと極めて小さく、撥水撥油防汚性能は極めて高かった。
【0041】
さらにまた、この塗膜表面に露出したガラス微粒子は、全く遮光効果のない厚みが1ナノメートルの超薄膜で被われているだけなので、光入射方向に光を反射する効果が極めて高かった。また、この単分子膜は、ガラス微粒子表面と共有結合して一体化しているため、剥離することもなく、耐久性が極めて高かった。
【0042】
一方、溶媒が水ではなくて、キシレン等の有機系溶媒系の場合でも、微粒子表面には撥水撥油性の単分子膜が形成されているため、同様の被膜を形成できた。
【0043】
さらにこのとき、塗料中に光反射効率の高い金属微粒子やマイカ微粒子、顔料を含めておくと、ガラス微粒子背面への光のもれを少なくでき、より光反射効率の高い塗膜となった。なお、混ぜ込む透明微粒子および金属微粒子やマイカ微粒子の大きさは、少なくとも可視光の波長より大きいことが必須である。小さな場合には、光が通過してしまい意味がない。
【0044】
なお、上記実施例1では、撥油性の単分子膜形成用の薬剤として、フッ化炭素系化学吸着剤であるCF3(CF(CHSi(OCHを用いたが、上記のもの以外にも、下記(1)〜(12)に示した物質が利用できた。
【0045】
(1) CF3CH2O(CH2)15Si(OCH)3
(2) CF3(CH2)Si(CH3)2(CH2)15Si(OCH)3
(3) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(OCH)3
(4) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(OCH)3
(5) CF3COO(CH2)15Si(OCH)3
(6) CF3(CF2)5(CH2)2Si(OCH)3
(7) CF3CH2O(CH2)15Si(OC)3
(8) CF3(CH2)Si(CH3)2(CH2)15Si(OC)3
(9) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(OC)3
(10) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(OC)3
(11) CF3COO(CH2)15Si(OC)3
(12) CF3(CF2)5(CH2)2Si(OC)3
さらに、実施例1に置いて、シラノール縮合触媒には、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル及びチタン酸エステルキレート類が利用可能である。さらに具体的には、酢酸第1錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクタン酸第1錫、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキセン酸鉄、ジオクチル錫ビスオクチリチオグリコール酸エステル塩、ジオクチル錫マレイン酸エステル塩、ジブチル錫マレイン酸塩ポリマー、ジメチル錫メルカプトプロピオン酸塩ポリマー、ジブチル錫ビスアセチルアセテート、ジオクチル錫ビスアセチルラウレート、テトラブチルチタネート、テトラノニルチタネート及びビス(アセチルアセトニル)ジープロピルチタネートを用いることが可能であった。
【0046】
なお、実施例1に於いて、シラノール縮合触媒を用いない場合には、下記(41)〜(52)に示した物質が利用できた。
【0047】
(41) CF3CH2O(CH2)15SiCl3
(42) CF3(CH2)Si(CH3)2(CH2)15SiCl3
(43) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3
(44) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9SiCl3
(45) CF3COO(CH2)15SiCl3
(46) CF3(CF2)5(CH2)2Si(NCO)3
(47) CF3CH2O(CH2)15Si(NCO)3
(48) CF3(CH2)Si(CH3)2(CH2)15Si(NCO)3
(49) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(NCO)3
(50) CF3(CF2)(CH2)2Si(CH3)2(CH2)9Si(NCO)3
(51) CF3COO(CH2)15Si(NCO)3
(52) CF3(CF2)5(CH2)2Si(NCO)3
また、膜形成溶液の溶媒としては、化学吸着剤がアルコキシシラン系、クロロシラン系何れの場合も、水を含まない有機塩素系溶媒、炭化水素系溶媒、あるいはフッ化炭素系溶媒やシリコーン系溶媒、あるいはそれら混合物を用いることが可能であった。なお、洗浄を行わず、溶媒を蒸発させて粒子濃度を上げようとする場合には、溶媒の沸点は50〜250℃℃程度がよい。
【0048】
具体的に使用可能な溶媒は、クロロシラン系の場合は、非水系の石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、ノナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
【0049】
さらに、吸着剤がアルコキシシラン系の場合で且つ溶媒を蒸発させて有機被膜を形成する場合には、前記溶媒に加え、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、あるいはそれら混合物が使用できた。
【0050】
また、フッ化炭素系溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(3M社製品)、アフルード(旭ガラス社製品)等がある。なお、これらは1種単独で用いても良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み合わせてもよい。さらに、クロロホルム等有機塩素系の溶媒を添加しても良い。
【0051】
一方、上述のシラノール縮合触媒の代わりに、ケチミン化合物又は有機酸、TiO等の金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を用いた場合、同じ濃度でも処理時間を半分〜2/3程度まで短縮できた。
【0052】
さらに、シラノール縮合触媒とケチミン化合物、又は有機酸、TiO等の金属酸化物、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物を混合(1:9〜9:1範囲で使用可能だが、通常1:1前後が好ましい。)して用いると、処理時間をさらに数倍早くでき、製膜時間を数分の一まで短縮できる。
【0053】
例えば、シラノール触媒であるジブチル錫オキサイドをケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を1時間程度にまで短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0054】
さらに、シラノール触媒を、ケチミン化合物であるジャパンエポキシレジン社のH3と、シラノール触媒であるジブチル錫ビスアセチルアセトネートの混合物(混合比は1:1)に置き換え、その他の条件は同一にしてみたが、反応時間を20分程度に短縮できた他は、ほぼ同様の結果が得られた。
【0055】
したがって、以上の結果から、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物がシラノール縮合触媒より活性が高いことが明らかとなった。
【0056】
さらにまた、ケチミン化合物や有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラン化合物の内の1つとシラノール縮合触媒を混合して用いると、さらに活性が高くなることが確認された。
【0057】
なお、ここで、利用できるケチミン化合物は特に限定されるものではないが、例えば、2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン等がある。
【0058】
また、利用できる有機酸としても特に限定されるものではないが、例えば、ギ酸、あるいは酢酸、プロピオン酸、ラク酸、マロン酸等があり、ほぼ同様の効果があった。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施例1においてガラス微粒子表面にフッ化炭素系単分子膜を形成する工程を説明するために分子レベルまで拡大した概念図であり、(a)は反応前のガラス微粒子の断面図、(b)は、フッ化炭素基を含む単分子膜が形成された後の図を示す。
【図2】本発明の実施例1において壁面表面にバインダーとなるアクリル樹脂膜を介してガラス微粒子が固定されている状態を示す。
【符号の説明】
【0060】
1 ガラス微粒子
2 水酸基
3 フッ化炭素基を含む化学吸着単分子膜
4 撥水撥油性化学吸着単分子膜で被われたガラス微粒子
5 壁面
6 光反射塗膜
7 アクリル樹脂膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗料に表面が撥水撥油性の被膜で被われている透明微粒子および/または繊維を分散したことを特徴とする光反射塗料。
【請求項2】
撥水撥油性の被膜が透明微粒子および/または繊維表面に共有結合していることを特徴とする請求項1記載の光反射塗料。
【請求項3】
撥水撥油性の被膜が透明微粒子および/または繊維表面に共有結合している単分子膜であることを特徴とする請求項1記載の光反射塗料。
【請求項4】
透明微粒子および/または繊維が透光性のガラス、シリカ、アルミナ微粒子および/または繊維、あるいはジルコニア微粒子であることを特徴とする請求項1乃至3記載の光反射塗料。
【請求項5】
塗料中にさらに金属微粒子および/または繊維やマイカ微粒子、顔料を含むことを特徴とする請求項1乃至4記載の光反射塗料。
【請求項6】
透明微粒子および/または繊維および金属微粒子および/または繊維やマイカ微粒子、顔料微粒子の大きさが少なくとも可視光の波長より大きいことを特徴とする請求項5記載の光反射塗料。
【請求項7】
撥水撥油防汚性の被膜で被われた透明微粒子および/または繊維が膜表面に一部露出している撥水撥油防汚性光反射塗膜。
【請求項8】
塗膜中にさらに金属の微粒子および/または繊維やマイカ微粒子、顔料微粒子を含むことを特徴とする請求項7記載の撥水撥油防汚性光反射塗膜。
【請求項9】
撥水撥油性の被膜が透明微粒子および/または繊維表面に共有結合していることを特徴とする請求項7記載の撥水撥油防汚性光反射塗膜。
【請求項10】
撥水撥油性の被膜が透明微粒子および/または繊維表面に共有結合している単分子膜であることを特徴とする請求項7記載の撥水撥油防汚性光反射塗膜。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−13651(P2008−13651A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185687(P2006−185687)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【Fターム(参考)】