説明

光反応性硬化用の分散型光源およびシステム

【課題】インクジェット印刷などの処理のための、光反応性硬化機器用の光源において、インクの化学的性質により良く適合し、重合反応を単一の通過用途だけでなく複数の通過用途でも所望の/必要な処理速度に一致するよう制御することのできるビームプロファイルを提供する。
【解決手段】暗区域により分離された照射区域を備えるビームプロファイルを提供するよう配置された、複数の光源素子またはモジュールを備える。個々の光源素子(例えば、2つ以上の直線状のLEDアレイ)は分散された構成を有し、その相対位置または間隔が、最適な効果効率に必要な暗反応間隔に適合するように、照射区域と照射区域との間の暗期挿入を有する露光プロファイルが形成されるように設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク、コーティングおよび他の光反応性材料の光反応性硬化に関し、特に、高速印刷用途用の、改善された硬化効率および印刷品質のための光源に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くのインク、接着剤および他の硬化可能なコーティングはフリーラジカルをベースとした組成物またはカチオン組成物を備えており、これは、露光(通常、紫外(UV)の、または短い波長の可視光)により光硬化される。その用途には、広域のコーティングの硬化、接着剤硬化、インクジェット印刷などの印刷処理が含まれる。硬化の均一性は、多くの広域光誘起硬化処理にとって重要である。
【0003】
例えば、UV硬化性フリーラジカル光反応性インクは、インクジェットプリンタでの使用について、人気が高まっている。インクジェットプリンタは、ポリ塩化ビニル(PVC)および他の柔軟なポリマー材料などの柔軟な基板、ならびに、金属、木材およびプラスチックなどの剛性の基板上に印刷するために使用される。このようなインクは通常、1つ以上の層で基板の頂部に噴射され、硬化のためにUVまたは可視光源の下を通過する。インク配合内の光開始剤は、光子(例えばUV光エネルギー)により励起されて、フリーラジカルを形成する。フリーラジカルは、モノマーおよびオリゴマーなどの、インク中の他の成分との反応性が高い。その結果として、フリーラジカルによって開始された重合または架橋反応は、固体化されたインク層につながる。
【0004】
通常のインクジェット用途では、照射期間は何分の1秒またはそれ未満で生じる。インクが照射区域を離れても、重合または固体化が続く場合があり、これは、暗反応と呼ばれている。暗反応は通常それほど長くは続かない。ゆえに、多くの人は、通常の光重合実験または通常のUV硬化処理のタイムスケールと比較して、フリーラジカル重合反応は、照射区域を離れるとただちに終了すると考えている。しかし、高速インクジェット印刷用途では、暗反応は、2つの空間的に分離されたUV照射区域の間の移動時間、および/または、複数の走査モードでの同一のUV光源の隣接した露光の間の待ち時間に匹敵する、またはそれよりも長い場合がある。先行する露光により誘発された重合反応は、UVインクジェットプリンタ印刷処理での複数のUV露光手続きにおける、続くUV露光中に依然として進行している場合がある。暗反応を使用するための、UVインクジェットプリンタにおけるUVシステムの適切な配置または調整により、さらに最適な硬化が可能になり、よりよい印刷品質につながる場合がある。
【0005】
UVインクジェットプリンタを評価するための通常のパラメータには、印刷品質、印刷速度、印刷幅、基板の種類、信頼性などが含まれる。これらのうちで、印刷品質および速度の組み合わせがしばしば、最も難しいと考えられている。
インク滴の噴射の仕方を制御する印字ヘッドに加えて、硬化のために使用されるUV光源が、印刷品質および速度への影響という点で重要な役割を果たす。インクジェットプリンタで使用される従来のUV光源は通常、水銀(Hg)アーク燈および別のクラスのHgランプ、マイクロ波電球または無電極電球であるが、他のガス放電ランプを使用してもよい。これらのランプは、今日まで産業界で使用されている印刷速度で大半の種類のインクを硬化するのに十分高い能力を提供し、広い範囲のプリンタシステムで使用されている。
【0006】
しかし、ガス放電ランプから放射される熱の量は通常非常に多く、そのため、システム設計に制限が加えられる。過熱により作動上の問題および保守の問題が生じる場合もある。また、過剰な熱により、ある種の感熱基板上に印刷を行うインクジェットプリンタの能力が制限される。しかし、有害な熱の影響を避けるためにランプの能力を低下させると、印刷品質および速度が落ちるなどの弊害が生じる場合があり、硬化がまったく起きない場合もある。
【0007】
近年、発光ダイオードなどの固体発光装置(LED)が、光反応性または光開始性の処理(例えば、インク、接着剤および他のコーティングの光硬化)などの工業的な処理用の代替的な光源として開発されてきた。LEDは、従来のガス放電ランプよりもエネルギー効率がよい。固体光源はまた、環境面での理由および寿命がより長いことで、好まれる場合がある。UV LEDは、同一の使用可能な光出力に関して、ガス放電ランプよりも熱の発生がより少なく、電力消費がより少ないため、大きな注目を集めてきた。
【0008】
しかし、現在利用可能な最高性能のUV LEDチップであっても、硬化のためにUV LEDのみを使用するインクジェットプリンタには、低い印刷品質および/または遅い速度などの、いくつかの問題がある。いくつかの標準の印刷品質検査テストでは、UV LEDインクジェットプリンタからできた印刷サンプルは、表面硬化問題、接着剤問題または色にじみ問題を伴う不適切な硬化の証拠を示す場合がある。ゆえに、例えば、LEDが従来のUVガス放電ランプ光源に置き換わった用途および処理について、硬化処理を改善する必要がある。
【0009】
インクジェット産業で一般に使用されるUV LED源は、噴射されたインク層が連続的な照射を受けるように互いに近接して配置されたLEDラインを有している。インクジェットプリンタにおけるUV LED源の用途の多くは、光を広げる、または散乱するように、直接照射で、裸のLEDチップ、ダイスまたはアレイを使用している。
このような構成の例が、下記特許文献1および下記特許文献2に記載されている。これらの構成は、いくつかの用途について良好な印刷品質のために十分な強度を実現するのが困難な場合がある。より密に配置されたLEDチップが、高い強度を実現するために設けられる場合があるが、その際、液体冷却が必要になる場合があり、これはシステムの複雑性および経費を増加させる。このようなUV LEDヘッドは、必要とされるLEDチップの密度および数の多さのために、非常に高価である。
【0010】
硬化品質および速度を改善しようとする努力は主として、密に配置されたLEDを必要とする、より大きな力を伝えるためにより大きなビーム強度を有する光源を提供することに向けられてきた。例えば、下記特許文献3には、集中的なまたは集束された単一のビームを提供するために複数のLEDが凹面に配置された状態の、オーバーフォーカスされたビームを提供するUV LED装置を備える機器が開示されている。この種の集束されたビームは、過剰である場合がある。すなわち、短時間に高い強度を伝えることで、硬化効率を下げてしまう場合がある。同時係属中の下記特許文献4「System, method, and adjustable lamp head assembly for ultra-fast UV curing」に記載の理由で、光強度は、光反応を開始するために閾値よりも大きくなければならないが、高強度の照射は飽和値を超える場合がある。飽和値より上では、光反応または光硬化のために光が効率的に使用されない。
【0011】
また、同文献に記載されているように、暗反応または暗重合は、最終的な変換に大きく貢献することができる。ゆえに、インク層を第1光ビームで照射し、その後に暗反応のための期間が続き、第2光ビームによる第2UV照射があり、それに暗反応のための期間が続き、・・・という手順が好まれる場合がある。
最高の硬化効率を実現するために、暗反応のための期間は、UVビーム設定により制御され、インクの化学的性質および印刷速度に釣り合うよう調節される。
【0012】
例えば、連続照射の走査式インクジェットプリンタに関し、インク層は複数のUV照明(すなわち複数の走査)を受けてもよいが、各照明の間の期間は、例えば、印刷処理のための印刷エンジンおよび1つ以上の光源の構成ならびに走査率により決定され、通常、インクの化学的性質により、最適なUV照射要求に適合した柔軟な調節を提供しない。公知のシステムでは通常、1つまたは2つの光源が、新たに噴射されて基板の上に載っているインクを硬化するために、印字ヘッドに十分な近さで、しかし、迷光(または熱)が余りに早く硬化を開始しない、または噴射前もしくは噴射中にインクに悪影響を与えないだけの距離で、印字ヘッドに隣接して配置されている。各2つの照明の間の期間は、インクの化学的性質の暗反応要求に効果的に適合していなくてもよい。
【0013】
集束された単一のビームを提供するシステムでは、このようなUV光源はまた、暗反応を効果的に利用していない。これらのシステムは、硬化効率を最適化または改善するために、照射対暗重合の期間を十分に制御していない。
下記特許文献4は、高速印刷に適した調節可能なビームプロファイルを提供することにより、上述した問題のいくつかに取り組むシステム、方法およびランプヘッドアセンブリを開示している。
【0014】
ビームプロファイルの調節を可能にすることにより、この解決手段は、処理パラメータに依存した照明をより良く適合させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願第2007/0013757号明細書
【特許文献2】米国特許第7,137,696号明細書
【特許文献3】米国特許第7,470,921号明細書
【特許文献4】米国特許出願第12/582,492号明細書
【特許文献5】米国特許第6,683,421号明細書
【特許文献6】米国特許出願第61/139,203号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、いくつかの用途について、この解決手段は適切でない、または複雑過ぎる場合があり、代替的な、または、より簡単な、より経費のかからない解決手段が要求される場合がある。
また、光源の強度およびビームプロファイルを調節することができたとしても、走査式インクジェットプリンタにおいて、走査と走査との間の期間が固定されて機器に依存し、照射の期間と照射の期間との間の暗重合の間隔を制御することができないという上記欠点は克服されない。
【0017】
ゆえに、インクジェットプリンタ、特に走査式インクジェットプリンタなどの公知のUV硬化システムは、照射の空間的なパターンの十分な制御および暗期間挿入(dark interval)を提供できず、いくつかの用途について、印刷品質または硬化効率の問題につながる場合がある。
本発明は、UV硬化システム用の公知の光源の欠点を除去もしくは少なくとも低減すること、または少なくとも代替案を提供することを試みている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の光源は、光反応性硬化機器用の光源であって、複数の光源素子を備え、光源素子の相対的な間隔が、暗区域により分離された少なくとも第1照射区域および第2照射区域を備えるビームプロファイルを提供する。暗区域は、照射が相対的に少なく、その結果、例えば第1および第2被照射区域での照射照度が光反応のための閾値を超えている区域であってもよく、暗区域での照射が閾値未満であってもよく、または暗区域での照射が実質的にゼロであってもよい。
【0019】
光源は、一連の光源素子またはモジュールを備えていてもよく、光源素子の相対的な間隔が、第1照射区域、間隔による暗区域、第2照射区域、第2暗区域などを備えるビームプロファイルを提供する。暗区域は、2つの、より高い照射照度領域の間の相対的に低い照射照度領域であっても、または、光のない領域、もしくは、強度が効果的な光反応のための特定の閾値を下回る場合のある非常に弱い光のある領域であってもよい。
【0020】
好ましい実施形態では、照射のパターンを最適化するために2つ以上の光源素子またはモジュールの間の適切な間隔を設定または調節するため、照射もしくは照明の領域および暗区域を設けるため、例えば特定のインクの化学的性質に適合するための硬化中の暗反応および/または処理速度を利用するために、光源は、取り付け手段またはスペーサ手段を有するハウジングを含んでいる。
【0021】
光源素子は、コーティング、接着剤、および、インクジェットまたは他の印刷用途のためのインクなどの用途用に、光反応または光効果に適した波長の可視光またはUV照射を生成するための、従来のUVランプまたはUVもしくは可視LEDもしくはLEDアレイを備えていてもよい。例えば、各光源素子またはサブアセンブリは、硬化されることになる基板上に照明の線または縞を提供するためのLEDアレイ(例えば、1×nのUV LEDの直線状のアレイ)を備えていてもよい。各LEDアレイの間隔を整えて、UV強度が、光反応のための閾値よりも相対的に低くても、または光反応のための閾値未満であってもよい暗区域により分離された照射の第1および第2領域または区域を提供することによって、利用可能な力または光子線量が、より効率的に分散されて、効果的な硬化に貢献する照明または照射の期間の間の暗反応または暗重合を可能にしてもよい。光源素子を分散して配置することにより、利用可能なエネルギーをより効果的に使用してもよい。また、複数のLEDアレイまたはLEDアレイのグループの、分散された、または間隔を空けたアセンブリはそれほど高価でない場合があり、高価で高性能で密に詰まったLEDアレイに対して、冷却の必要が低減されている。このような構成はまた、感熱基板上での印刷または硬化用に好まれる場合がある。
【0022】
一つの好ましい構成では、アセンブリ中で少なくとも1つが他から間隔を空けられた状態で、直線状のLEDアレイなどの、複数の直線状の光源が固定された構成で提供される。各光源素子の相対的な位置決めまたは間隔は、例えば、デジタル印刷用途要求(すなわち印刷速度およびインクの化学的性質)に従い、特定の印刷機器用に、製造業者によって事前設定または事前選択されて、暗反応を利用するために暗期挿入を有する分散された光ビームプロファイルを提供してもよい。
【0023】
それぞれの相対的な位置決めまたは間隔を調節できる、複数の光源サブアセンブリの調節可能な構成を提供することにより、ビームプロファイルが制御されて、処理パラメータに依存した暗重合のための照射および間隔の期間のパターンを提供し、高速印刷用途のために、改良された硬化効率および印刷品質を提供してもよい。
いくつかの実施形態では、光源サブアセンブリと光源サブアセンブリとの間の間隔が、温度管理についての利点をも提供しており、かつ、より効率的な冷却を提供してもよい。このような構成は、レンズまたはフィルタなどの光学素子と組み合わされて、ビームプロファイルおよびまたは間隔の追加の制御を提供してもよい。
【0024】
他の実施形態では、暗領域により分離された照射の領域(すなわち、露光された領域および露光されていない領域)を有する所望のビームプロファイルを提供するために、光源素子の間隔が手動または自動で調節可能とされていてもよい。このようにして、所望のパターンの各源からの分散されたビームを提供するために、事前選択された間隔により間隔が空けられていてもよい、または、比較的調節可能な、複数の分散型の光源またはサブアセンブリを備えるランプヘッドアセンブリを使用することにより、暗重合または暗反応の照射および間隔の期間を提供するため、硬化されることになる基板の露光の制御されたパターンを提供するために調節できる、全体的なビームプロファイルを提供することができる。
【0025】
適切な暗期挿入を設定することにより、すなわち、分散型の光ビームの間の間隔を調節することにより、UV光源セットアップをインクの化学的性質と適合させて、単一の通過用途においてだけでなく、複数の通過用途においても所望の/必要な処理速度に適うよう重合反応を制御するために、特定の光プロファイルを有するUVビームを送ることができるようになる。
【0026】
本発明の実施形態は、高速印刷用の、走査式インクジェットプリンタおよび固定ヘッドデジタル印刷用途の両方、または、照明または照射の間の期間が他のやり方で調節できない光硬化用の光源を使用した他の用途に関して、特別な利点を有している。
本発明の実施形態では、各光源素子またはサブアセンブリが、少なくとも1つのUV LEDアレイ(例えば、1×nのUV LEDの直線状のアレイ)を備えている。各アレイは、同一の波長で放射してもよく、1つ以上のアレイが、例えば表面硬化を向上させるために、異なる波長を放射してもよい。
【0027】
光源サブアセンブリの間隔が自動で調節可能な場合、上記特許文献4に詳細に記載されているものと類似の、処理パラメータに依存した、ランプサブアセンブリとランプサブアセンブリとの間の間隔の調節用のランプパラメータの制御を可能にするために、制御システムが設けられていてもよい。
従来のUV光源(例えばアークランプ)を、このような構成で代替的に使用してもよいが、多くの用途について、LEDは、例えば寸法および形状因子、効率、電力消費ならびに冷却の必要に関し、利点を有している。ゆえに、本発明の実施形態に係る光源は追加のパラメータ(すなわち、走査率などの、他のプリンタパラメータから独立した2つ以上の照射期間の間の光源照射間隔または暗期挿入)を提供するのであり、かつ、従来の連続的なUV光源よりも高い硬化効率を可能にしてもよい。例えば、印刷速度などの、現在のデジタル印刷用途では利用できないインクの化学的性質および印刷パラメータに照射間隔を適合させることにより、改善された硬化効率を実現してもよい。感熱基板上での硬化も促進してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係るUV硬化システムを示す模式図である。
【図2】走査印字ヘッドを有するUVインクジェット印刷構成を備える、図1のシステムの一部を示す図である。
【図3】固定印字ヘッドのアレイを有するUVインクジェット印刷構成を備える、図1のシステムの一部を示す図である。
【図4】分散された光ビームを生成するための、第1実施形態に係るランプヘッドサブアセンブリの調節可能な構成を備えるランプヘッドを示す、簡略化された断面図である。
【図5】第1実施形態に係るランプヘッドサブアセンブリの、図4に示す側面図に対して垂直な方向への断面図である。
【図6】UV LEDの直線状のアレイをそれぞれ備える調節可能な構成ランプヘッドサブアセンブリを備える、第1実施形態に係るランプヘッドの底面図である。
【図7】分散されたUV光ビームを生成するための、共有された冷却機構を有するランプヘッドサブアセンブリの固定された構成を備える、第2実施形態に係るランプヘッドを示す、簡略化された断面図である。
【図8】直線状のLEDアレイを備える、図7に示す第2実施形態のランプヘッドの側面図である。
【図9】直線状のLEDアレイを備える、図7に示す第2実施形態のランプヘッドの底面図である。
【図10】図4〜図9に示す第1または第2実施形態に係るUV LED源により生成された光学プロファイルの例を示す図である。
【図11】図4〜図9に示すUV LED源により生成された光学プロファイルの別の例を示す図である。
【図12】スロットに取り外し可能に取り付けられた各モジュールを有する光源素子用の構成モジュール形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、本発明の実施形態の添付図面とともに、以下の詳細な説明から、より明らかになるであろう。説明は単なる例示である。
図面では、異なる図中の同一のまたは対応する素子が、同一の参照番号を有している。
本発明の実施形態に係る光源は、UV硬化システムで、および、特に、図1〜図3に模式的に示したようなUVインクジェットプリンタまたは記録機器で、使用される。本発明の実施形態に係る光源20を、図4〜図9を参照して、より詳細に説明する。
【0030】
図1は、デジタル印刷用途で使用するための一般的なUV硬化システム1の素子の簡略化された模式図である。
このシステムは、基板100にインクまたはコーティング102を噴射するための少なくとも1つの印字ヘッド18と、少なくとも1つの光源ユニットまたはランプヘッド20とを備えている。
【0031】
光源ユニットまたはランプヘッド20は、図4〜図9を参照して説明するように1つ以上の光源サブアセンブリ220a...220nを備えており、コーティング102,基板100の領域を照明または照射するために、所望の波長およびビームプロファイルを有するUVビーム24を生成して、インクおよびコーティング102を基板100上で光反応または光硬化させるためのものである。
【0032】
システム1は、運動制御器16と、基板100および印刷エンジンを相対的に移動させるための通常1つ以上の直線運動システムであって、硬化されることになるインクを送るための印字ヘッド18を備えた直線運動システムと、光反応または光硬化を起こすために、適切な波長で基板に通常UVまたは短波長の可視光を照射するための1つ以上のUV光源20(図2の20a/20b)とを備えている。
【0033】
デジタル印刷用途のUV硬化システム1の2つの一般的な構成を、図2および図3に示す。基板100が、UV光源20に照明された領域の下を移動してもよく(図3)、および/または、UV光源/ランプアセンブリ20が、印刷および硬化されることになる基板の領域を横切る照明された領域を走査するために、走査印刷エンジンとともに移動することができてもよい(図2)。通常、印刷用途では、基板と印字ヘッドとの間の相対速度は、0.2m/s〜2m/sであってもよく、いくつかの非常に高速の印刷用途について、相対速度は現在のところ最高2.5m/sであってもよい。
【0034】
図1を参照して、制御手段(例えば制御機器10)は、基板および印字ヘッド18の相対移動の電力および制御、ならびに、インク送り、較正、ランプ調節、基板の載置/除去、緊急停止および他の一般的な機能などの、機器の他の従来の制御を提供する。制御機器10はさらに、強度などのランプヘッドアセンブリ20のパラメータ、および、図4〜図9を参照してより詳細に説明するビームプロファイルに関連する他のパラメータを制御する光源制御器12を備えている。
【0035】
印字ヘッド制御器14は、噴射頻度、噴射パターン、グレースケール、色補正およびインク送りに関連する他のパラメータなどのパラメータを制御して、インクジェット印字ヘッドを操作する。運動制御器16は、基板100と、印字ヘッド18およびUV光源20を備える印刷エンジンとの相対移動を制御する。これにより、正確な位置較正、ならびに、必要であれば載置および除去などの他の移動が可能になる。
【0036】
図2は、印字ヘッド18およびUV光源20を備える印刷エンジンが2つのUVランプ20aおよび20bを移送させている、走査UVインクジェットプリンタセットアップ用の一般的な構成を示している。参照のために、xy軸を図中に示して、部品の相対運動の説明を助けている。印字ヘッド18/UVランプヘッド20は、固定のガイドレール17に沿って、前後に、基板100を横切るy軸に沿って、一緒に移動し、ランプヘッド20aおよび20bの下で露光された基板のバンドまたはスロットに対して、インクを噴射しインクをUV照射にさらす。
【0037】
一般に、1回以上の走査ののちに、基板は1ステップサイズまたはスロット幅だけ前進する(移動される)。ステップサイズ(スロット幅)は通常、プリンタの製造業者により決定され、インクジェット印字ヘッド18の噴射パターンに適合させられ、一般に1cm〜7.5cmとされている。ゆえに、この範囲で、噴射されたインクの次のスロットまたはバンドを印刷および硬化するために、ステップサイズは、x方向の照明ビーム寸法よりも小さくされている。
【0038】
通常、走査大判印刷用途に関し、印刷幅(すなわち、印字ヘッド18の効果的な走査/噴射距離)は1m〜5mであり、ゆえに、同一のインク層スロットに対する異なる走査からの2つのUV照射の間の間隔は、通常2秒以上であり、これは、UV硬化が何分の1秒かで起きることを普通に考えると、硬化効率を最適化するために暗反応を有効に使用するには、通常長過ぎる。また、異なる走査からの2つのUV照射の間の間隔は、印刷処理によって制限され、異なる印刷処理用に調節するのが容易でない。
【0039】
図3は、基板100を横切って延びる固定印字ヘッド18およびUV光源20を有するUVインクジェットプリンタ用の別の一般的な構成である。デジタル印刷用途のこの単一の通過構成では、印字ヘッド18により基板100の頂面上に噴射されるインク層は、基板100が印字ヘッド18および光源20の下を通過する際に、UV光源20によるUV照射の機会が一度あるのみである。基板100の幅全体を覆うために、基板102が、基板の横方向にわたって延びる固定印字ヘッド18およびUVランプ20の下を移動されるこの構成は、ラベル印刷、カード印刷、および、ある場合には大判印刷での用途がある。この構成により単一の通過印刷が可能になるため、必要なインク噴射速度および硬化速度が一般に非常に速い。
【0040】
一般に、図2および図3により説明された構成の両方について、露光された領域は、寸法Lによって特徴付けられていてもよい。寸法Lは、印刷エンジンと基板100との間の相対移動方向、および、印刷エンジンと基板100との間の相対移動方向に沿った寸法Wに垂直である。インクジェット印刷用途に関し、光強度プロファイルは、UV光源20の寸法Lにおいて均一であるのが好ましい。他の寸法Wに沿った(すなわち、UV露光中の基板100の相対運動の方向に沿った)ビーム強度プロファイルは、より良い、または、より制御された硬化のために印刷中の基板の一時的な露光を決定する際に、より重要である。
【0041】
以下に詳細に説明する本発明の実施形態に係る光源ユニットは、より良い硬化効率またはより高いインクフィルム品質のために必要な光照射の間隔と光照射の間隔との間の暗反応のための最適な時間間隔に適合する適切な空間をそれらの間に有する照射の適切な間隔を提供するために、集束および/または非集束ビームプロファイルを備える、寸法Wでの特別な光強度プロファイルを生成してもよい。
【0042】
通常、図1に模式的に示すように、従来の公知の光源は、光源20の下を通過する基板26の照明された領域に対して、狭くて強い、集束されたビームプロファイルを提供する。それに対し、本発明の第1実施形態に係る光源ユニット20は、図4〜図6に示すように、フレームまたはハウジング200内に取り付けられた複数の光源素子またはサブアセンブリ220a、220b、220cを備えている。例えば図10または図11に示すように、220aと220bとの間の間隔S1および220bと220cとの間の間隔S2は、特定のパターンの照射を提供するように配置されている。そこで、照射の領域または間隔は、「暗領域」もしくは「暗区域」(すなわち、基板が放射にさらされない領域もしくは間隔)により分離され、または、暗反応もしくは暗重合が起こる、光反応のための閾値未満であってもよい低い照射にのみさらされる。照射区域、または、照射もしくは照明の領域もしくは間隔は、本明細書では、光反応または光硬化のための閾値強度を超える領域として理解されたい。
【0043】
個々の光源サブアセンブリ220a、220bおよび220cの間の間隔により、追加のパラメータが提供される。追加のパラメータは、走査頻度などの他のプリンタパラメータから独立した、光源照射間隔(すなわち、2つの照明期間の間の間隔)を制御する。
選択された強度での照射の間隔を提供するためにビームプロファイルを適切に選択すること、および、照射の期間と照射の期間との間の暗期挿入を提供する間隔により、照射パターンが暗反応または暗重合を利用して、最大強度の単一の連続した激しい集束ビームを提供する傾向のある従来のUV光源に対して硬化効率を改善することができる。用途によっては、照射強度および間隔をインクの化学的性質および印刷速度などの印刷パラメータに適合させることにより、硬化効率を改善してもよく、それにより、現行のデジタル印刷システムで使用できない印刷パラメータに対するさらなる制御が提供される。
【0044】
図4〜図6に示す実施形態を参照して、各分散型の光源20は、複数の光源素子またはランプヘッドアセンブリ(例えば、図示したように3つのユニット220a、220b、220c、または任意の数)を備え、サブアセンブリの少なくとも2つは、暗反応または暗重合および光照射中の硬化を利用するために、より弱い照明の間隔または暗区域を設けるための特定の空間配置を有している。光源サブアセンブリと光源サブアセンブリとの間に適切な間隔を設けることにより、他のプリンタパラメータから独立した、追加のパラメータ(すなわち光源照射間隔)が提供されてもよい。デジタル印刷などの用途によっては、照射間隔をインクの化学的性質および印刷速度などの印刷パラメータに適合させることにより、硬化効率を改善してもよい。
【0045】
図4〜図6を参照して、第1実施形態に係るランプヘッド20は、ランプヘッドサブアセンブリ220a、220bおよび220cの形態の、例えば3つの類似の光源素子の固定された構成を備えている。220a、220bおよび220cはそれぞれ、直線状のLEDアレイ202を備えており、ランプヘッドサブアセンブリS1およびS2の間の間隔が、特定の処理のために事前選択されている、または、最も一般的な用途および処理のために適切にされることになる照明のラインを提供する。各ランプヘッドサブアセンブリ220a、220bおよび220cは、それぞれハウジング210を有しており、LEDアレイ202が取り付けられた基板204に熱接触しているヒートシンク206の形態の冷却手段とファン212とを収容している。レンズ208の形態の光学素子も、LEDアレイのビームプロファイルを形成するために設けられている。3つのサブアセンブリ220a、220bおよび220cはフレームまたはハウジング200内に取り付けられており、これは、間隔S1およびS2を設定する取り付けを提供する。
【0046】
一実施形態では、間隔S1およびS2は、より一般の標準的な処理および用途の範囲に適した、特定の印刷機器および処理パラメータの処理要求に適合するために、製造の時点で固定または事前設定されている。
別の実施形態では、光源20は、ランプヘッドサブアセンブリ220a、220bおよび220cの間の間隔S1およびS2が調節可能であることを除いて、図4〜図6に示すものに類似している。光源素子の間隔を手動または自動で調節できるよう、さまざまな取り付け構成が設けられてもよいことが理解されるであろう。間隔は連続的に調節可能であってもよく、または、2つ以上の事前設定された間隔の間での調節が設けられてもよい。個々のLEDまたはLEDのグループの出力制御により、暗区域のさらなる調節が実現されてもよい。
【0047】
暗反応は、インクの化学的性質、および、光源と基板との間の相対速度と密接に連携しているので、サブアセンブリの間の最適な間隔により、最適な領域での無照射または低照射の時間間隔を設けてもよい。暗反応のための最適な間隔は、効果的な硬化のために暗区域で重合反応率があまりに低下しない範囲にある。現在、光源と基板との間の相対速度は通常、0.1m/s〜2.5m/sである。このような速度範囲は現在のインク処方技術とともに、1ms〜10s、より好ましくは5ms〜5sの範囲に最適な暗区域を作ることになる。処理速度情報により、サブアセンブリまたはサブ素子の間の最適な間隔範囲を決定することができる。例えば、1m/sの処理速度で 10msの暗期挿入を可能にするには、光源素子の間隔は10mmとなるであろう。
【0048】
強度プロファイル調節により、フィルム品質および硬化効率を左右または改善することができる。適切な照射により(すなわち、フリーラジカルの光反応および生成のための閾値、または、開始点を超えて)重合反応が開始されると、終了前に光が存在してもしなくても、ポリマー鎖が成長または増殖して、ネットワークを形成することになる。ネットワーク形成およびその品質は、システム中のいくつかの機構により制御される。あまりに多くの開始点が一度に生成されると、必ずしも強固な重合ネットワークが形成されない場合がある。ゆえに、本明細書に説明するように分散型の光源を使用した、照射および暗区域の特定のパターンを有する複数の光源素子の適切な間隔により、より良い硬化品質を持たせるために暗反応をより効果的に利用する新規なやり方が提供される。
【0049】
本発明の別の実施形態に係るランプヘッドアセンブリでは、図7〜図9に示すように単独のアセンブリ30を備えるUV光源が設けられている。アセンブリ30は、単独の囲いまたはハウジング310内に取り付けられた、複数の光源素子(すなわちLEDの直線状のアレイ302)を備えている。直線状のLEDアレイはそれぞれ、UV LED302を有するPCB304を備えており、同一の基板に取り付けられて(すなわち、はんだ付けされて)、ヒートシンク306などの1つの冷却部品を共有しており、これはまた、1つ以上のヒートパイプ(図示せず)を備えていてもよい。LEDアレイを載置した3つのPCB304は、隣接したPCB対の間の空間S1S2と整列されて、上のようなサブアセンブリにより生成されるような光ビームプロファイル(例えば、図10または図11に示すプロファイル)の間に類似の間隔を生成する。任意で、図7に示すようなレンズまたはレンズアレイ308などの光学素子を、ランプヘッド囲い310内においてLED302の前方で使用し、異なる光学プロファイルを有する十分に高い強度を実現してもよい。強度および/または光ビームプロファイルが効果的な硬化のために最適であれば、レンズまたはレンズアレイ308は回避されてもよい。図8は、図7の断面側に垂直な、機器の別の側面図を示している。冷却ファン312が、ヒートシンク/ヒートパイプ306を冷却するために、ランプヘッド30のそれぞれの端部に取り付けられている。
【0050】
図9は、3つの直線状のLEDアレイ302を示し、任意のレンズ/レンズアレイ308が除去された、ランプヘッド30の底面図を示している。LEDアレイ302の間の空間S1,Sは、印刷処理要求(すなわちインクの化学的性質および印刷速度)に従ってランプ製造業者により事前選択されており、ランプヘッド30が、本用途において教示するインク/コーティング層に照射されるUVビームの特定の空間的なパターンを生成することを可能にする。
【0051】
他の実施形態では、冷却のための別の構成が設けられてもよいことを理解されたい。すなわち、冷却ファン312が、他の位置(すなわち、ヒートシンク/ヒートパイプ306の頂部)に取り付けられて適切な冷却を提供してもよく、ヒートシンク/ヒートパイプ306のみで適切な冷却が実現される場合、冷却ファン312は回避されてもよい。
共有の冷却を有し、個々のアレイまたはアレイのグループに適切な間隔のある、固定された構成における2つ以上のLEDアレイの他の構成は、暗区域により分離された第1および第2照明または照射区域を提供する、より簡単な、かつ、よりコスト効率のよい光源を提供することも理解されたい。有益なことに、最少の数のLEDが光源に設けられて、必要な照射のパターンおよび効果的な硬化のために十分な強度を提供してもよい。ゆえに、暗期挿入を有する固定された照射のパターンが必要である場合、このような構成は、密に詰まったLEDのアレイを選択的に照明するよりも、または、暗区域を設けるために光をマスクまたはブロックするよりも、低コストである。
(モジュール構成)
別の実施形態では、図12に示すように、光源素子またはサブアセンブリがモジュール形式で設けられていてもよく、各モジュール光源素子220a、220bまたは220cを、ハウジング400の複数のスロット440の1つに、取り外し可能に取り付けることができる。ゆえに、複数の光源素子を、隣接したスロットにまとめることができ、または、スロットを空のままにしておいて、1つ以上のモジュールの第1グループと1つ以上のモジュールの第2グループとの間に、より大きな間隔、およびそれゆえに、より長い暗期挿入を設けてもよい。便利なことに、異なるモジュールは、スロットまたは他の適切な取り付け構成内に取り外し可能に取り付けて、照射および暗期挿入のさまざまな空間的なパターンを有する異なるビームプロファイルを可能にすることができてもよい。モジュール光源素子を受け入れるためにスロットを説明および図示したが、レール、コネクタなどの他の適切な取り付け手段または整列/スペーサ手段を、光源のハウジングまたは囲い400内でモジュールを適切に接続する、および間隔を空けて配置するために設けてもよいことも理解されたい。
【0052】
図4、図5および図12に示すように、各サブアセンブリまたはランプ素子を、別体のモジュールとして、例えば独自の冷却および光学素子を有する独自のハウジング内に設ける場合、ユーザには、異なる用途のためにサブ素子の構成を採用するという自由がある。顧客は、特定の処理のために必要なスペーサの間の間隔を調節するという自由がある状態で、例えば、1〜いずれかの数のこのようなユニットを選択し、適切なスペーサとともに積載してもよい。
【0053】
複数の光源を1つのランプヘッドアセンブリ(例えば、複数のLEDを備えるLEDアレイ)で使用する場合、各光源は、本譲受人に譲渡された上記特許文献5に記載されているように制御可能であって、個々のランプまたはグループとしての光源(LEDs)の電力を制御することができ、したがって、ビームプロファイルを制御できる。例えば、図9に示す実施形態では、3つのLEDアレイ320a、320bおよび320cが別個に制御されて、例えば図10および図11に示すようなビームプロファイルを提供するために、全体のビームプロファイルを調節してもよい。
【0054】
照射源の空間的なパターンを制御することが望ましいUVインクジェット用途にとって特に有利な、さらなる実施形態について次に説明する。基板100がUV光源20の下を通過すると、相対運動により、硬化されることになるインク/コーティング層から分かるように、光源の空間的なパターンが一時的な照射に変えられる。この照射の一時的なパターンは、同時係属の上記特許文献6、「System, method and adjustable lamp head assembly for ultra-fast UV curing」に教示されているUV重合反応と密接に関連している。特に、光重合を誘起するために照明の期間に対して、および、暗重合が硬化に貢献できるように照明しない間隔に対して、より正確に制御を行い、それにより、硬化効率および/または印刷品質を改善することが可能である。
【0055】
上述した実施形態はUV LED光源を備えているが、別の実施形態では、各サブアセンブリは、光硬化または光開始に適した他の波長(例えば、〜400nmで発光する青色LED)を放射するLEDまたはLEDアレイであってもよい。あるいは、UVアークランプまたは他の公知の種類の光源などの他の種類のUV光源である。いくつかの用途では、異なる波長(例えば、異なるUV波長または他の可視波長、またはマイクロ波波長)を放射する1つ以上の光源サブアセンブリが使用されてもよい。同様に、LEDの直線状のアレイのサブアセンブリについて説明したが、曲線状のアレイ、環状もしくは筒型のアレイ、または他の恣意的に配置された光源などの他の形状が、例えば、特定の形状の製品を照射するために考えられ、例えば、本譲受人に譲渡された上記特許文献5に記載されたようなアドレサブルなアレイであってもよいアレイが考えられる。
【0056】
上述したように、直線状のLEDアレイを備える分散型の光源素子により提供される照明のラインなどの照射のパターンは、異なる種類のUVまたは可視LED(例えば異なる波長および視野角)により生成できることを理解されたい。選択的に、レンズまたは反射器などの光学素子を使用して、LEDまたはLEDアレイからのビームプロファイルを形成してもよい。この種類の空間的な照射パターンは、UV LEDによってだけでなく、アークランプ、マイクロ波ランプなどの他の種類のUV光源または組み合わせによっても生成できることも理解されたい。アークランプの例では、UV硬化機器用の従来の光源における1つの高出力アークランプ源を、ランプヘッドの間に距離を置いて空間的に分散したいくつかの低出力アークランプにより置き換えることができる。このような構成により、各ランプに対する冷却要求が大きく低下する。さらに、分散されたランプヘッドにより、感熱性がより大きい基板に印刷することが可能になる。これは、暗期挿入により、処理中の熱放散およびより低い温度が可能になるためである。
【0057】
本発明の実施形態を詳細に説明および図示したが、これらは単に説明および例示のためのものであって限定のためのものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることを明瞭に理解されたい。
本出願は、「Distributed Light Sources for Photo-reactive curing」と題する米国仮出願第61/161,281号に基づく優先権を主張し、「System, Method and Adjustable Lamp Head Assembly for Ultrafast UV Curing」と題する米国出願第12/582,492号に関し、これらは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、サブアセンブリとサブアセンブリとの間に特定の間隔を有する複数の光源素子またはサブアセンブリを備える分散型の光源が設けられて、暗反応および光照射中の反応が効果的な硬化に貢献することができる、UVインクジェット硬化用途などの光反応性硬化用途に適した特定の光照射パターンが提供される。特に、少なくとも1つの光源素子またはサブアセンブリが他の素子またはサブアセンブリから間隔を空けられているため、ビームプロファイルは強度の低い領域または暗区域を設けることができる。サブアセンブリまたはモジュールの適切な固定のまたは調節可能な間隔により、照明の期間と照明の期間との間の暗反応のために適切な間隔が設けられる。この構成により、光照射パターンの制御が改善されて、暗重合および光誘起重合が硬化処理に効率的に貢献する場合に特に、硬化速度および品質を改善することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反応性硬化機器(1)用の光源(20;30)であって、所定の走査速度(v)での当該光源と硬化されることになる層(102)との相対運動があり、当該光源(20;30)は複数の光源素子(220、320)を備え、前記光源素子(220、320)の相対間隔(Snm)により、当該光源と、暗区域(60)により分離された少なくとも第1照射区域(50)および第2照射区域(50)を備える基板との前記相対運動の方向(W)に、ビームプロファイルを提供している、光源。
【請求項2】
前記暗区域により、第1および第2照射区域の間に、より低い照射の領域が設けられ、所定の走査速度(v)について、光源素子(220、320)の前記間隔(Snm)が設定されて、照射の間隔と照射の間隔との間に所望の暗期挿入が設けられる、請求項1に記載の光反応性硬化機器用の光源。
【請求項3】
前記第1および第2照射区域が、光反応のための閾値を超える照射を提供し、前記暗区域が前記閾値未満の照射を提供する、請求項1または2に記載の光反応性硬化機器用の光源。
【請求項4】
前記暗区域での照射照度が実質的にゼロである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光反応性硬化機器用の光源。
【請求項5】
第1および第2光源素子を備え、前記第1および第2光源素子が間隔S12により間隔を空けられて、前記暗区域により前記第2照射区域から分離された前記第1照射区域が設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光反応性硬化機器用の光源。
【請求項6】
前記複数の光源素子が、光源素子のグループに配置され、各グループは、それぞれの照射区域を照射するための少なくとも1つの光源素子を備え、グループn,mのそれぞれの対は、間隔Snmにより間隔を空けられて、それらの間に前記暗区域が設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光反応性硬化機器用の光源。
【請求項7】
各光源素子が、UV/可視ランプ、UV LED、UV LEDアレイ、可視LED、可視LEDアレイから選ばれる1つを備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光源。
【請求項8】
各光源素子がLEDアレイを備え、前記複数のLEDアレイが少なくとも1つのLEDアレイのグループに配置され、各グループはそれぞれの照射区域を照射するためのものであり、少なくとも1つのLEDアレイの各グループ(n,m)は間隔Snmにより間隔を空けられて、それらの間に前記暗区域が設けられている、請求項5に記載の光反応性硬化機器用の光源。
【請求項9】
各LEDアレイは直線状のLEDアレイであり、前記複数のLEDアレイはハウジング内に取り付けられ、少なくとも2つのLEDアレイ(n,m)は間隔Snmにより間隔を空けられて、前記間隔Snmによりそれらの間に決定された暗区域を有する状態で、第1および第2の直線状の照射区域が設けられている、請求項8に記載の光源。
【請求項10】
ハウジングと、それぞれの間隔Snmにより間隔を空けて、各光源素子を前記ハウジング内に取り付けるための手段とを備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光反応性/光硬化機器用の光源。
【請求項11】
前記光源素子を冷却するための冷却手段をさらに備える、請求項10に記載の光反応性/光硬化機器用の光源。
【請求項12】
前記ビームプロファイルを形成するための光学素子をさらに備える、請求項11に記載の光反応性/光硬化機器用の光源。
【請求項13】
各光学素子が、少なくとも1つのLEDアレイを備え、サブアセンブリを形成し、各サブアセンブリが、それぞれの間隔Snmにより分離されて、ハウジング内に取り付け可能である、請求項7に記載の光反応性/光硬化機器用の光源。
【請求項14】
少なくとも1つのLEDアレイの各グループがサブアセンブリを備え、各サブアセンブリが冷却手段を備える、請求項8、9および13のいずれか1項に記載の光反応性/光硬化機器用の光源。
【請求項15】
少なくとも1つのLEDアレイの各グループがサブアセンブリを備え、各サブアセンブリが、当該サブアセンブリから前記ビームプロファイルを形成するための光学素子を備える、請求項8、9および13のいずれか1項に記載の光反応性/光硬化機器用の光源。
【請求項16】
少なくとも1つのサブアセンブリが、それぞれの間隔Snmを調節するために、前記ハウジングとともに調節可能に取り付け可能とされている、請求項13〜15のいずれか1項に記載の光反応性/光硬化機器用の光源。
【請求項17】
各サブアセンブリが、前記ハウジングから取り外し可能なモジュールを備え、前記ハウジングは、複数の前記モジュールを取り外し可能に取り付けるための取り付け手段を提供する、請求項13〜16のいずれか1項に記載の光反応性/光硬化機器用の光源。
【請求項18】
前記取り付け手段が、前記取り外し可能なモジュールの1つをそれぞれ受け入れるための複数のスロットを備え、前記スロットは、それぞれの間隔Sm,nにより間隔を空けられることになる少なくとも2つのモジュールを設ける、請求項17に記載の光反応性/光硬化機器用の光源。
【請求項19】
前記冷却手段が、1つ以上のファン、ヒートシンクおよびヒートパイプを備える、請求項11に記載の光源ユニット。
【請求項20】
2つ以上の光源素子または光源モジュールの間に空間を設定するためのスペーサを備える、請求項1〜19のいずれか1項に記載の光源。
【請求項21】
0.1m/s〜2.5m/sの範囲の走査速度(v)について、2つ以上の光源素子(220、320)の間の間隔(Snm)により、1ms〜10sの範囲の暗期挿入が提供される、請求項1〜19のいずれか1項に記載の光源。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の光源を備える、光反応性硬化システム。
【請求項23】
前記複数の光源素子の少なくとも強度を制御するための制御/調節手段をさらに備える、請求項22に記載の光反応性硬化システム。
【請求項24】
前記制御/調節手段が、2つ以上の前記複数の光源素子の間の間隔Smnを調節するための手段を備える、請求項23に記載の光反応性硬化システム。
【請求項25】
印刷速度(v)および他の処理パラメータに依存する前記ビームプロファイルを制御するために、光源パラメータの少なくとも1つと、前記ランプヘッドサブアセンブリの少なくとも1つの間隔Smnとを選択するための制御信号を受信するための入力手段をさらに備える、請求項24に記載の光反応性硬化システム。
【請求項26】
インクジェットプリンタを備える、請求項22〜24のいずれか1項に記載の光反応性硬化システム。
【請求項27】
走査式インクジェットプリンタを備える、請求項22〜24のいずれか1項に記載の光反応性硬化システム。
【請求項28】
請求項1〜21のいずれか1項に記載の光源を備える、インクジェットプリンタ。
【請求項29】
感光性材料のUV硬化のためのシステム(1)であって、硬化されることになる感光性材料(102)を備える基板、および、請求項1〜21のいずれか1項に記載の光源を支持するための手段(12)と、
前記基板の続いて照明する領域のために、所望の横方向の(走査)速度(v)で、前記基板および前記光源を相対的に移動させるための手段と、
前記印刷速度(v)および他の処理パラメータに依存して、相対間隔(S)および光源素子(220、320)の強度の少なくとも1つを制御することにより、前記基板と光源ユニットとの相対運動の方向に、ビームプロファイルを調節するために、前記光源(20、30)のランプパラメータを制御するためのビームプロファイル調節手段(12)を含む、制御手段(10)とを備える、システム。
【請求項30】
前記光源が、暗区域(60)により分離された第1および第2照射区域(50)を備えるビームプロファイルを生成し、前記暗区域は、前記第1および第2照射区域の間に、より低い照射の領域を設け、所定の横方向速度(v)に関し、光源素子(220、320)の前記間隔(Snm)が、照射の間隔と照射の間隔との間の所望の暗期挿入を提供するよう設定されている、請求項29に記載のシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2012−520779(P2012−520779A)
【公表日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500021(P2012−500021)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000411
【国際公開番号】WO2010/105365
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(511224243)ルーメン ダイナミクス グループ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】