説明

光受信回路及び帯域幅制御方法

【課題】入力光に対する電気信号の特性を向上させることを課題とする。
【解決手段】光受信回路は、復調された光信号から変換された電気信号を増幅する電気信号増幅器の後段に配置される、該電気信号増幅器によって増幅された電気信号の帯域幅を調整するフィルタを有する。また、光受信回路は、入力光信号をモニタし、モニタされた入力光信号のモニタ値に対応するフィルタの帯域幅の制御値を記憶部から取得し、取得した制御値に基づいてフィルタの帯域幅を制御する。かかる記憶部には、入力光信号のモニタ値と、該モニタ値に対するフィルタの帯域幅の制御値とが対応付けて記憶されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光受信回路及び帯域幅制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光伝送の分野では、ネットワークの大容量化、高速化及び広帯域化に伴い、40Gbps回線が導入されている。広帯域性を生かしたWDM(Wavelength Division Multiplexing)等の高速且つ大容量の光伝送を実現する変調方式は、例えば、DQPSK(Differential Quadrature Phase Shift Keying)やDPSK(Differential Phase Shift Keying)等がある。
【0003】
図11は、従来技術に係る光受信回路の構成例を示す図である。例えば、図11に示すように、光受信回路1は、DQPSKの変調方式において、遅延干渉計部2と、受信PD(Photo Diode)部3と、電気信号増幅器4aと、電気信号増幅器4bと、フレーマ(Framer)部5とを有する。
【0004】
遅延干渉計部2は、例えば、位相変調された入力光の入力光信号を復調する。詳細には、遅延干渉計部2は、40Gbpsのレート(Rate)で入力された入力光信号を、該遅延干渉計部2に含まれるそれぞれの回路において20Gbps相当の入力光信号として検出する。入力光信号が2つに分岐されたそれぞれの回路のうち、例えば、分岐された上方の回路では、1ビット相当分の遅延時間が付与され、分岐された下方の回路では、π/4だけ位相シフトされる。すなわち、遅延干渉計部2は、遅延時間の付与された入力光信号と、位相シフトされた入力光信号とを干渉させることで、入力光信号を復調する。
【0005】
受信PD部3は、例えば、遅延干渉計部2によって復調された入力光信号を電気信号に変換する。詳細には、受信PD部3は、遅延干渉計部2に含まれるそれぞれの回路から出力された復調後の入力光信号を電気信号に変換する。電気信号増幅器4a及び電気信号増幅器4bは、例えば、受信PD部3によって変換された電気信号を増幅する。詳細には、電気信号増幅器4a及び電気信号増幅器4bは、受信PD部3に含まれるそれぞれのPD(ツインPD)から出力された電気信号を増幅する。ここで、電気信号増幅器4aと、電気信号増幅器4bとのそれぞれから出力される電気信号は、例えば、20Gbps以上のレートである。
【0006】
フレーマ部5は、例えば、電気信号増幅器4a及び電気信号増幅器4bによって増幅された電気信号からフレーム同期をとり、電気信号に対してフレーム単位に所定の処理を実行する。詳細には、フレーマ部5は、FEC(Forward Error Correction)デコーダを有し、20Gbps以上のレートである増幅された電気信号に対し、フレームのデータ誤りを検出して訂正し、40Gbpsのレートで出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−278249号公報
【特許文献2】特開2005−204019号公報
【特許文献3】特開2009−5110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術では、入力光に対する電気信号の特性が劣化するという問題がある。具体的には、従来技術では、高利得を優先して各増幅器の利得を調整しており、電気信号の帯域幅が適切な値にならないことがあった。このため、従来技術では、増幅器の後段に配置されたFECデコーダでの訂正に係る閾値を調整することで対応していた。ところが、かかる閾値は、入力光信号の状態に応じて変化するために調整が難しく、電気信号の帯域幅を適切な値にすることが困難であった。
【0009】
そこで、本願に開示する技術は、上記に鑑みてなされたものであって、入力光に対する電気信号の特性を向上させることが可能である光受信回路及び帯域幅制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本願に開示する光受信回路は、復調された光信号から変換された電気信号を増幅する電気信号増幅部の後段に配置され、該電気信号増幅部によって増幅された電気信号の帯域幅を調整するフィルタと、入力光信号の通信品質をモニタするモニタ部と、前記モニタ部によってモニタされた前記入力光信号のモニタ値に対応する前記フィルタの帯域幅の制御値を、前記入力光信号のモニタ値と、該モニタ値に対する前記フィルタの帯域幅の制御値とを対応付けて記憶する記憶部から取得し、取得した制御値に基づいて前記フィルタの帯域幅を制御する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本願に開示する光受信回路及び帯域幅制御方法の一つの様態は、入力光に対する電気信号の特性を向上させるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例1に係る光受信回路の構成例を示す図である。
【図2】図2は、記憶部によって記憶される情報の例を示す図である。
【図3A】図3Aは、DGD「0ps」、帯域幅「14GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3B】図3Bは、DGD「0ps」、帯域幅「14GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3C】図3Cは、DGD「0ps」、帯域幅「16GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3D】図3Dは、DGD「0ps」、帯域幅「16GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3E】図3Eは、DGD「0ps」、帯域幅「18GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3F】図3Fは、DGD「0ps」、帯域幅「18GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3G】図3Gは、DGD「20ps」、帯域幅「14GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3H】図3Hは、DGD「20ps」、帯域幅「14GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3I】図3Iは、DGD「20ps」、帯域幅「16GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3J】図3Jは、DGD「20ps」、帯域幅「16GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3K】図3Kは、DGD「20ps」、帯域幅「18GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3L】図3Lは、DGD「20ps」、帯域幅「18GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3M】図3Mは、DGD「30ps」、帯域幅「14GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3N】図3Nは、DGD「30ps」、帯域幅「14GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3O】図3Oは、DGD「30ps」、帯域幅「16GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3P】図3Pは、DGD「30ps」、帯域幅「16GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3Q】図3Qは、DGD「30ps」、帯域幅「18GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図3R】図3Rは、DGD「30ps」、帯域幅「18GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【図4A】図4Aは、DGD「0ps」、帯域幅「14GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4B】図4Bは、DGD「0ps」、帯域幅「14GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4C】図4Cは、DGD「0ps」、帯域幅「16GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4D】図4Dは、DGD「0ps」、帯域幅「16GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4E】図4Eは、DGD「0ps」、帯域幅「18GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4F】図4Fは、DGD「0ps」、帯域幅「18GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4G】図4Gは、DGD「20ps」、帯域幅「14GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4H】図4Hは、DGD「20ps」、帯域幅「14GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4I】図4Iは、DGD「20ps」、帯域幅「16GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4J】図4Jは、DGD「20ps」、帯域幅「16GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4K】図4Kは、DGD「20ps」、帯域幅「18GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4L】図4Lは、DGD「20ps」、帯域幅「18GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4M】図4Mは、DGD「30ps」、帯域幅「14GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4N】図4Nは、DGD「30ps」、帯域幅「14GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4O】図4Oは、DGD「30ps」、帯域幅「16GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4P】図4Pは、DGD「30ps」、帯域幅「16GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4Q】図4Qは、DGD「30ps」、帯域幅「18GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図4R】図4Rは、DGD「30ps」、帯域幅「18GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【図5】図5は、DGD値とQ値との関係の例を示す図である。
【図6】図6は、LPFの構成例を示す図である。
【図7】図7は、実施例1に係る帯域幅制御処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図8】図8は、実施例2に係る光受信回路の構成例を示す図である。
【図9】図9は、実施例2に係る帯域幅制御処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図10A】図10Aは、DPSKの変調方式においてLPFに対する帯域幅制御を実行する光受信回路の構成例を示す図である。
【図10B】図10Bは、DPSKの変調方式において電気信号増幅器に対する利得制御を実行する光受信回路の構成例を示す図である。
【図11】図11は、従来技術に係る光受信回路の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、本願に開示する光受信回路及び帯域幅制御方法の実施例を説明する。なお、以下の実施例により本発明が限定されるものではない。また、各実施例は、内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0014】
[実施例1に係る光受信回路の構成]
図1を用いて、実施例1に係る光受信回路の構成を説明する。図1は、実施例1に係る光受信回路の構成例を示す図である。なお、図1では、変調方式がDQPSKの光受信回路を例に挙げる。
【0015】
例えば、図1に示すように、光受信回路100は、記憶部101と、光分波器102と、遅延干渉計部103と、受信PD部104と、電気信号増幅器105aと、電気信号増幅器105bとを有する。また、光受信回路100は、LPF(Low Pass Filter)106aと、LPF106bと、フレーマ(Framer)部107と、モニタ(Monitor)部108と、制御部109とを有する。
【0016】
記憶部101は、例えば、入力光信号のモニタ値と、該モニタ値に対するLPF106a又はLPF106bの帯域幅の制御値とを対応付けて記憶するメモリである。図2は、記憶部101によって記憶される情報の例を示す図である。例えば、図2に示すように、記憶部101は、入力光モニタ値と、制御値とを対応付けて記憶する。例を挙げると、記憶部101は、項番「1」と、入力光モニタ値「0ps」(pico second)と、制御値「14GHz/1次」とを対応付けて記憶する。また、記憶部101は、項番「2」と、入力光モニタ値「20ps」と、制御値「14GHz/1次」とを対応付けて記憶する。また、記憶部101は、項番「N」(Nは、自然数)と、入力光モニタ値「30ps」と、制御値「18GHz/3次」とを対応付けて記憶する。なお、上記の「1次」や「3次」等は、LPF106a及びLPF106bに対するフィルタ傾斜特性であるガウシアン次数を表している。
【0017】
ここで、図3A〜図3R、図4A〜図4R及び図5を用いて、記憶部101に記憶される各情報の値について説明する。図3A〜図3Rは、入力光信号のDGD(Differential Group Delay)付加状態と電気信号特性のスペクトラムとの関係を示す図である。また、図4A〜図4Rは、入力光信号のDGD付加状態と電気波形との関係を示す図である。図5は、DGD値とQ値との関係の例を示す図である。この図からDGD値とQ値に相関があり、DGD値とフィルタ特性とからQ値を求めることができる。つまり、モニタ部108は、通信品質の一例としてQ値を測定することもできる。なお、入力光信号のDGD付加状態と電気信号特性のスペクトラムとの関係、入力光信号のDGD付加状態と電気波形との関係は、例えば、図1に示したLPF106a又はLPF106bの出力時にスペクトラムアナライザ等で検出したものである。
【0018】
詳細には、図3Aは、DGD「0ps」、帯域幅「14GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Bは、DGD「0ps」、帯域幅「14GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Cは、DGD「0ps」、帯域幅「16GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Dは、DGD「0ps」、帯域幅「16GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Eは、DGD「0ps」、帯域幅「18GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Fは、DGD「0ps」、帯域幅「18GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【0019】
また、図3Gは、DGD「20ps」、帯域幅「14GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Hは、DGD「20ps」、帯域幅「14GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Iは、DGD「20ps」、帯域幅「16GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Jは、DGD「20ps」、帯域幅「16GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Kは、DGD「20ps」、帯域幅「18GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Lは、DGD「20ps」、帯域幅「18GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【0020】
また、図3Mは、DGD「30ps」、帯域幅「14GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Nは、DGD「30ps」、帯域幅「14GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Oは、DGD「30ps」、帯域幅「16GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Pは、DGD「30ps」、帯域幅「16GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Qは、DGD「30ps」、帯域幅「18GHz/1次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。図3Rは、DGD「30ps」、帯域幅「18GHz/3次」のときのDGD−電気スペクトラム特性の例を示す図である。
【0021】
また、図4Aは、DGD「0ps」、帯域幅「14GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Bは、DGD「0ps」、帯域幅「14GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Cは、DGD「0ps」、帯域幅「16GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Dは、DGD「0ps」、帯域幅「16GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Eは、DGD「0ps」、帯域幅「18GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Fは、DGD「0ps」、帯域幅「18GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【0022】
また、図4Gは、DGD「20ps」、帯域幅「14GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Hは、DGD「20ps」、帯域幅「14GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Iは、DGD「20ps」、帯域幅「16GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Jは、DGD「20ps」、帯域幅「16GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Kは、DGD「20ps」、帯域幅「18GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Lは、DGD「20ps」、帯域幅「18GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【0023】
また、図4Mは、DGD「30ps」、帯域幅「14GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Nは、DGD「30ps」、帯域幅「14GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Oは、DGD「30ps」、帯域幅「16GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Pは、DGD「30ps」、帯域幅「16GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Qは、DGD「30ps」、帯域幅「18GHz/1次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。図4Rは、DGD「30ps」、帯域幅「18GHz/3次」のときのDGD−電気波形特性の例を示す図である。
【0024】
例えば、図3A〜図3F又は図4A〜図4Fに示すように、電気信号増幅器105a又は電気信号増幅器105bによって増幅されることで帯域幅を延ばすと、信号成分が増えることでより良い特性を得られることがわかる。すなわち、DGD「0ps」のときには、帯域幅を延ばした1次ガウシアンのフィルタ特性が最適となる。ここで、図3A〜図3F又は図4A〜図4Fに示すDGD「0ps」のときに、より良い特性を得られるものは、例えば、図3A又は図4Aに示す関係のものであるとする。また、同様に、図3G〜図3L又は図4G〜図4Lに示すDGD「20ps」のときに、より良い特性を得られるものは、図3G又は図4Gに示す関係のものであるとする。
【0025】
また、例えば、図3M〜図3R又は図4M〜図4Rに示すように、電気信号増幅器105a及び電気信号増幅器105bによって増幅されることで帯域幅を延ばすと、高調波成分が発生することがわかる。すなわち、DGD「30ps」のときには、帯域幅を制限した3次ガウシアンのフィルタ特性が最適となる。例を挙げると、図3Qに示すように、DGD「30ps」、帯域幅「18GHz/1次」においては、図中の円で示したように、増幅された電気信号の高調波成分であるノイズが出現する。このような高調波成分が出現することは、信号特性劣化の要因になる。これに対して、図3Rに示すように、DGD「30ps」、帯域幅「18GHz/3次」においては、高調波成分であるノイズが削られており、ノイズがより少ない信号成分を検出できていることがわかる。これらのことは、図3M及び図3N、或いは、図3O及び図3Pからもわかることである。ここで、図3M〜図3R又は図4M〜図4Rに示すDGD「30ps」のときに、より良い特性を得られるものは、例えば、図3R又は図4Rに示す関係のものであるとする。
【0026】
また、図5に示すように、DGD値とQ値との関係において、DGD「0ps」のときに最も大きいQ値をとる帯域幅は、「14GHz/1次」である。また、DGD「20ps」のときに最も大きいQ値をとる帯域幅は、「14GHz/1次」である。また、DGD「30ps」のときに最も大きいQ値をとる帯域幅は、「18GHz/3次」である。図5からもわかるように、帯域幅「14GHz/1次」については、DGD「0ps」及びDGD「20ps」のときには良い特性を示しているものの、DGD「30ps」のときには劣化していることがわかる。このDGD「30ps」のときには、帯域幅が大きく傾斜が急である「18GHz/3次」の方が良い特性を示していることがわかる。
【0027】
このようにして得られたDGDと帯域幅との関係から、記憶部101には、入力光信号のモニタ値と、該モニタ値に対応するLPF106a又はLPF106bの帯域幅の制御値とを対応付けて記憶させておく。
【0028】
図1の説明に戻り、光分波器102は、例えば、位相変調後に40Gbpsのレートで入力された入力光信号を分波して、遅延干渉計部103が有するそれぞれの回路と、モニタ部108とに出力するカプラ(coupler)である。図1の例では、DQPSKの変調方式によって位相変調される。
【0029】
遅延干渉計部103は、分岐されたそれぞれの回路において20Gpbs相当の入力光信号として検出する遅延干渉計であり、例えば、マッハツェンダ遅延干渉計を用いることができる。分岐されたそれぞれの回路のうち、例えば、上方の回路では、1ビット相当分の遅延時間が付与され、分岐された下方の回路では、π/4だけ位相シフトされる。これらにより、遅延干渉計部103は、遅延時間の付与された入力光信号と、位相シフトされた入力光信号とを干渉させることで、入力光信号を復調する。
【0030】
受信PD部104は、例えば、遅延干渉計部103によって復調された入力光信号を電気信号に変換するフォトダイオードを用いることができる。電気信号増幅器105a及び電気信号増幅器105bは、例えば、受信PD部104によって変換された電気信号を増幅する。ここで、電気信号増幅器105aと、電気信号増幅器105bとのそれぞれから出力される電気信号は、例えば、20Gbps以上のレートである。
【0031】
LPF106a又はLPF106bは、例えば、電気信号増幅器105a又は電気信号増幅器105bによって増幅された電気信号の帯域幅を調整するフィルタである。すなわち、かかるフィルタは、例えば、可変可能なフィルタであっても良いし、複数のフィルタを組み合わせて構成したフィルタであっても良い。また、帯域幅の調整に用いられる制御値は、例えば、制御部109によって入力される。すなわち、LPF106a及びLPF106bは、制御部109によって入力された制御値を用いて、増幅後の電気信号の帯域幅を調整する。
【0032】
図6は、LPF106aの構成例を示す図である。LPF106bの構成についてもLPF106aと同様である。なお、図6において、SWは、スイッチ(Switch)を示し、Rは、抵抗(Resistance)を示し、Cは、コンデンサ(Condenser)を示す。具体的には、図6に示すように、LPF106aは、各回路をスイッチで切り替えて組み合わせて出力することで、L成分、C成分、R成分を付加又は削除して、帯域幅とフィルタ傾斜特性(ガウシアン次数:1次,3次)とを制御する。
【0033】
フレーマ部107は、FEC部107aを有し、例えば、LPF106a及びLPF106bによって帯域幅調整された電気信号からフレーム同期をとり、電気信号に対してフレーム単位に所定の処理を実行する。FEC部107aは、例えば、20Gbps以上のレートである帯域幅調整された電気信号に対し、フレームのデータ誤りを検出して訂正し、40Gbpsのレートで出力する。また、FEC部107aは、例えば、データ誤りの訂正をどの程度実行したかを示すError Count情報を、FF制御後等の任意のタイミングや、制御部109からの要求に応じて制御部109に出力する。フレーム部107は、CPU(Central Processing Unit)及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて実現しても良い。
【0034】
モニタ部108は、例えば、光分波器102によって分波された入力光信号をモニタし、入力光信号の状態の検出結果であるモニタ値を制御部109に出力する。ここで、モニタ部108による入力光信号の状態の検出については、例えば、DGDや波長分散等のモニタ検出が挙げられる。ここでは、モニタ部108は、PMD(Polarization Mode Dispersion)測定器やDOP(Degree of Polarization)測定器を用いることができる。DOP値とDGD値とには相関があり、相関式を用いることによりDOP測定器で測定されたDOP値からDGD値を求めることができる。参考文献として、「Nobuhiko Kikuchi,“Analysis of Signal Degree of Polarization Degradation Used as Control Signal for Optical Polarization Mode Dispersion Compensation”,J.Lightwave.Technol.,Vol.19,No.4,April 2001」がある。
【0035】
制御部109は、例えば、モニタ部108によってモニタされた入力光信号のモニタ値に対応するLPF106a及びLPF106bの帯域幅の制御値を、記憶部101から取得し、取得した制御値に基づいてLPF106a及びLPF106bの帯域幅を制御する。例を挙げると、制御部109は、モニタ値であるDGD値が「0ps」である場合に、制御値「14GHz/1次」を記憶部101から取得し、取得した制御値をLPF106a及びLPF106bに出力する。制御部109は、CPU及び該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現される。或いは、FPGAを用いて実現しても良い。
【0036】
また、制御部109は、例えば、FEC部107aからError Count情報を取得し、取得したError Count情報に基づいて、LPF106a及びLPF106bの帯域幅を制御する。すなわち、制御部109は、モニタ部108を経由したFF(Feed Forward)制御によってダイナミックに帯域幅の最適化を実行するとともに、FEC部107aを経由したFB(Feed Back)制御によって帯域幅の微調整を実行していく。
【0037】
[実施例1に係る帯域幅制御処理]
次に、図7を用いて、実施例1に係る帯域幅制御処理を説明する。図7は、実施例1に係る帯域幅制御処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0038】
例えば、図7に示すように、モニタ部108は、入力光信号の光入力状態をモニタする(ステップS101)。光入力状態のモニタについては、例えば、DGDや波長分散等のモニタ検出が挙げられる。DGDのモニタ検出を例に挙げると、モニタ部108は、DGD値「0ps」をモニタ値として検出する。
【0039】
制御部109は、モニタ部108によるモニタによって得られるモニタ値を取得する(ステップS102)。そして、制御部109は、取得したモニタ値に対応する制御値を記憶部101から取得する(ステップS103)。続いて、制御部109は、記憶部101から取得した制御値に基づいて、LPF106a及びLPF106bの帯域幅制御を実行させる(ステップS104)。例を挙げると、制御部109は、DGD値「0ps」をモニタ部108から取得して、取得したDGD値に対応する制御値「14GHz/1次」を記憶部101から取得し、取得した制御値をLPF106a及びLPF106bに出力する。このとき、LPF106a及びLPF106bは、得られた制御値を用いて、増幅後の電気信号の帯域幅とフィルタ傾斜特性とを制御してフレーマ部107に出力する。
【0040】
また、制御部109は、FEC部107aからError Count情報を取得する(ステップS105)。そして、制御部109は、取得したError Count値が最小になるように、LPF106a及びLPF106bの帯域幅の微調整を実行する(ステップS106)。
【0041】
ここで、光受信回路100は、処理を終了する場合に(ステップS107肯定)、帯域幅制御処理の実行を終了する。一方、処理を終了しない場合に(ステップS107否定)、モニタ部108は、再度、光入力状態をモニタする(ステップS108)。そして、モニタ値を取得した制御部109は、モニタ値に変動が有るか否かを判定する(ステップS109)。このとき、制御部109は、モニタ値に変動が有る場合に(ステップS109肯定)、ステップS103の処理を実行することでダイナミックに帯域幅の最適化を実行していく。また、制御部109は、モニタ値に変動がない場合に(ステップS109否定)、ステップS105の処理を実行することで帯域幅の微調整を実行していく。
【0042】
[実施例1による効果]
上述したように、光受信回路100は、入力光信号から変換された電気信号の増幅後に帯域幅を調整するLPFに対して、入力光信号のモニタ値に対応するLPFの制御値を記憶部から取得し、取得した制御値を用いてLPFの帯域幅を制御する。この結果、光受信回路100は、FECデコーダのみで帯域幅を調整する従来技術と比較して、入力光に対する電気信号の特性を向上させることができる。
【0043】
また、光受信回路100は、入力光信号のモニタ値を利用したLPFの帯域幅制御と、FECデコーダからのError Count情報を利用したLPFの帯域幅制御とを実行するので、入力光に対する電気信号の特性をより向上させることができる。また、光受信回路100は、電気信号の増幅が高利得アンプによって実行される場合でも、モニタ値に対応するLPFの帯域幅を制御する最適な制御値を利用するので、入力光信号の状態や、アンプ等の部品の種類に関係なく、安定した電気信号の特性を得られる。
【実施例2】
【0044】
ところで、実施例1では、電気信号増幅器の後段に配置されたLPFでの帯域幅を制御する場合を説明したが、さらに、電気信号増幅器の利得を制御することとしても良い。そこで、実施例2では、電気信号増幅器の利得を制御する場合を説明する。
【0045】
[実施例2に係る光受信回路の構成]
図8を用いて、実施例2に係る光受信回路の構成を説明する。図8は、実施例2に係る光受信回路の構成例を示す図である。なお、図8では、実施例1と同様に、変調方式がDQPSKの光受信回路を例に挙げる。また、図8では、図1と同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。
【0046】
例えば、図8に示すように、光受信回路200は、記憶部101と、光分波器102と、遅延干渉計部103と、受信PD部104と、電気信号増幅器205aと、電気信号増幅器205bとを有する。また、光受信回路200は、LPF106aと、LPF106bと、フレーマ部107と、モニタ部108と、制御部209とを有する。
【0047】
電気信号増幅器205a及び電気信号増幅器205bは、例えば、制御部209によって入力された利得の制御値に基づいて、受信PD部104によって変換された電気信号を増幅する。制御部209は、例えば、FEC部107aからError Count情報を取得し、取得したError Count情報に基づいて、電気信号増幅器205a及び電気信号増幅器205bの利得を制御する。詳細には、制御部209は、取得したError Count値が最小になるように電気信号増幅器205a及び電気信号増幅器205bの利得を制御して最適化を実行する。
【0048】
また、制御部209は、一つの様態として、電気信号増幅器205a及び電気信号増幅器205bに対する利得制御について、LPF106a及びLPF106bに対する帯域幅制御後に実行する。
【0049】
[実施例2に係る帯域幅制御処理]
次に、図9を用いて、実施例2に係る帯域幅制御処理を説明する。図9は、実施例2に係る帯域幅制御処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0050】
例えば、図9に示すように、モニタ部108は、入力光信号の光入力状態をモニタする(ステップS201)。光入力状態のモニタについては、例えば、DGDや波長分散等のモニタ検出が挙げられる。DGDのモニタ検出を例に挙げると、モニタ部108は、DGD値「0ps」をモニタ値として検出する。
【0051】
制御部209は、モニタ部108によるモニタによって得られるモニタ値を取得する(ステップS202)。そして、制御部209は、取得したモニタ値に対応する制御値を記憶部101から取得する(ステップS203)。続いて、制御部209は、記憶部101から取得した制御値に基づいて、LPF106a及びLPF106bの帯域幅制御を実行させる(ステップS204)。例を挙げると、制御部209は、DGD値「0ps」をモニタ部108から取得して、取得したDGD値に対応する制御値「14GHz/1次」を記憶部101から取得し、取得した制御値をLPF106a及びLPF106bに出力する。このとき、LPF106a及びLPF106bは、得られた制御値を用いて、増幅後の電気信号の帯域幅とフィルタ傾斜特性とを制御してフレーマ部107に出力する。
【0052】
また、制御部209は、FEC部107aからError Count情報を取得する(ステップS205)。そして、制御部209は、取得したError Count値が最小になるように、LPF106a及びLPF106bの帯域幅の微調整を実行する(ステップS206)。また、制御部209は、FEC部107aからError Count情報を取得する(ステップS207)。そして、制御部209は、取得したError Count値が最小になるように、電気信号増幅器205a及び電気信号増幅器205bの利得を制御する(ステップS208)。
【0053】
ここで、光受信回路200は、処理を終了する場合に(ステップS209肯定)、帯域幅制御処理の実行を終了する。一方、処理を終了しない場合に(ステップS209否定)、モニタ部108は、再度、光入力状態をモニタする(ステップS210)。そして、モニタ値を取得した制御部209は、モニタ値に変動があるか否かを判定する(ステップS211)。このとき、制御部209は、モニタ値に変動が有る場合に(ステップS211肯定)、ステップS203の処理を実行することでダイナミックに帯域幅の最適化を実行していく。また、制御部209は、モニタ値に変動がない場合に(ステップS211否定)、ステップS205の処理を実行することで帯域幅や利得の微調整を実行していく。
【0054】
また、制御部209は、一つの様態として、電気信号増幅器205a及び電気信号増幅器205bに対する利得制御と、LPF106a及びLPF106bに対する帯域幅制御とを独立して実行する。制御部209は、FEC部107aからError Count情報を取得する(ステップS205)。そして、制御部209は、取得したError Count値が最小になるように、LPF106a及びLPF106bの帯域幅の微調整を実行し(ステップS206)、FEC部107aからError Count情報を取得する(ステップS205)。制御部209は、モニタ部108によるモニタによって得られるモニタ値を取得する(ステップS202)。そして、制御部209は、取得したモニタ値に対応する制御値を記憶部101から取得する(ステップS203)。続いて、制御部209は、記憶部101から取得した制御値に基づいて、LPF106a及びLPF106bの帯域幅制御を実行させ(ステップS204)、モニタ部108によるモニタによって得られるモニタ値を取得する(ステップS202)。
【0055】
このように、制御部209が、電気信号増幅器205a及び電気信号増幅器205bに対する利得制御と、LPF106a及びLPF106bに対する帯域幅制御とを独立して実行する場合、制御部209は、LPF106a及びLPF106bに対する帯域幅制御の制御周期と、電気信号増幅器205a及び電気信号増幅器205bに対する利得制御の制御周期とを異なる周期で実行することにより安定した制御を行なえる。例えば、制御部209は、LPF106a及びLPF106bに対する帯域幅制御よりも早い周期で電気信号増幅器205a及び電気信号増幅器205bに対する利得制御を実行することができる。
【0056】
上述したように、光受信回路200は、LPFの帯域幅制御に加え、FECデコーダからのError Count情報に基づいたアンプの利得制御を実行するので、入力光に対する電気信号の特性をより向上させることができる。また、光受信回路200は、LPFに対するFF制御によってダイナミックに最適化を実行した後に、LPFに対するFB制御とアンプに対するFB制御とによって微調整していくことで、電気信号特性の向上を図っている。また、光受信回路200は、LPF制御とアンプ制御とを独立して実行し、LPF制御よりも早い周期でアンプ制御を実行するので、LPF制御が実行された場合に十分に追従させた制御を行うことができる。また、LPF制御については、所定閾値よりも大きい特性変動を誘発しないステップを用意しておけば、運用時に、入力光信号の変動及び環境変動が発生した場合でも安定した特性を得ることができる。
【実施例3】
【0057】
さて、これまで本願に開示する光受信回路の実施例について説明したが、上述した実施例以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、(1)DPSKの変調方式、(2)FF制御のみ実行、(3)誤り検出、(4)入力光信号状態の検出、(5)構成、において異なる実施例を説明する。
【0058】
(1)DPSKの変調方式
上記実施例1又は2では、DQPSKの変調方式によって位相変調された入力光信号から帯域幅制御処理を実行する場合を説明したが、DPSKの変調方式によって位相変調された入力光信号から帯域幅制御処理を実行しても良い。そこで、図10A及び図10Bを用いて、DPSKの変調方式によって位相変調された入力光信号から帯域幅制御処理を実行する場合を説明する。
【0059】
図10Aは、DPSKの変調方式においてLPFに対する帯域幅制御を実行する光受信回路の構成例を示す図である。なお、図10Aでは、図1と同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。また、図1に示した電気信号増幅器105a及び電気信号増幅器105bについて、図10Aでは、電気信号増幅器105として図示する。また、図1に示したLPF106a及びLPF106bについて、図10Aでは、LPF106として図示する。
【0060】
例えば、図10Aに示すように、光受信回路300は、記憶部101と、光分波器102と、遅延干渉計部303と、受信PD部304と、電気信号増幅器105とを有する。また、例えば、光受信回路300は、LPF106と、フレーマ部107と、モニタ部108と、制御部309とを有する。
【0061】
遅延干渉計部303は、例えば、光分波器102によって分岐された入力光信号を40Gbps相当の入力光信号として検出し、検出した入力光信号を復調する。受信PD部304は、例えば、遅延干渉計部303によって復調された入力光信号を電気信号に変換する。
【0062】
制御部309は、例えば、モニタ部108によってモニタされた入力光信号のモニタ値に対応するLPF106の帯域幅の制御値を、記憶部101から取得し、取得した制御値に基づいてLPF106の帯域幅を制御する。また、制御部309は、例えば、FEC部107aからError Count情報を取得し、取得したError Count情報に基づいて、LPF106の帯域幅を制御する。
【0063】
図10Bは、DPSKの変調方式において電気信号増幅器に対する利得制御を実行する光受信回路の構成例を示す図である。なお、図10Bでは、図1又は図10Aと同様の機能を有するブロックに同一の符号を付し、同様の処理についてはその説明を省略する。
【0064】
例えば、図10Bに示すように、光受信回路400は、記憶部101と、光分波器102と、遅延干渉計部303と、受信PD部304と、電気信号増幅器105とを有する。また、例えば、光受信回路400は、LPF106と、フレーマ部107と、モニタ部108と、制御部409とを有する。
【0065】
制御部409は、例えば、FEC部107aからError Count情報を取得し、取得したError Count情報に基づいて、電気信号増幅器105の利得を制御する。詳細には、制御部409は、取得したError Count値が最小になるように電気信号増幅器105の利得を制御して最適化を実行する。
【0066】
また、制御部409は、一つの様態として、電気信号増幅器105に対する利得制御について、LPF106に対する帯域幅制御後に実行する。また、制御部409は、一つの様態として、電気信号増幅器105に対する利得制御と、LPF106に対する帯域幅制御とを独立して実行する。このとき、制御部409は、LPF106に対する帯域幅制御よりも早い周期で電気信号増幅器105に対する利得制御を実行する。
【0067】
(2)FF制御のみ実行
また、上記実施例1では、モニタ部108から得られるモニタ値に基づいたFF制御と、FEC部107aから得られるError Count情報に基づいたFB制御とを実行する場合を説明した。これに限らず、光受信回路100は、FF制御のみを実行することとしても良く、入力光に対する電気信号の特性を向上させるために、FF制御によって一定の効果を得られる。
【0068】
(3)誤り検出
また、上記実施例では、誤り検出としてFECを例に挙げて説明した。誤り検出については、FECに限らず、誤り検出や誤り訂正が可能なコードであれば何であっても良い。
【0069】
(4)入力光信号状態の検出
また、上記実施例では、入力光信号の状態の検出について、DGD値を利用する場合を説明した。入力光信号の状態の検出は、波長分散等のモニタ検出を利用することとしても良い。波長分散の場合、記憶部101には、波長分散に対応するモニタ値が記憶される。
【0070】
(5)構成
上記文書中や図面中等で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータ等を含む情報(例えば、記憶部101に記憶される情報等)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、記憶部101に記憶される情報は、入力光信号の状態のモニタ検出に応じて異なる。
【0071】
また、図示した光受信回路100や200等の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は、図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負担や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合することができる。例えば、光受信回路200において、制御部209は、LPFの帯域幅を制御する「帯域幅制御部」と、電気信号増幅器の利得を制御する「利得制御部」とに分散されていても良い。
【符号の説明】
【0072】
100 光受信回路
101 記憶部
102 光分波器
103 遅延干渉計部
104 受信PD部
105a,105b 電気信号増幅器
106a,106b LPF
107 フレーマ部
107a FEC部
108 モニタ部
109 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
復調された光信号から変換された電気信号を増幅する電気信号増幅部の後段に配置され、該電気信号増幅部によって増幅された電気信号の帯域幅を調整するフィルタと、
入力光信号の通信品質をモニタするモニタ部と、
前記モニタ部によってモニタされた前記入力光信号のモニタ値に対応する前記フィルタの帯域幅の制御値を、前記入力光信号のモニタ値と、該モニタ値に対する前記フィルタの帯域幅の制御値とを対応付けて記憶する記憶部から取得し、取得した制御値に基づいて前記フィルタの帯域幅を制御する制御部と
を有することを特徴とする光受信回路。
【請求項2】
前記制御部は、前記フィルタの後段に配置された誤り検出部から得られるエラー情報に基づいて、前記フィルタの帯域幅を制御することを特徴とする請求項1に記載の光受信回路。
【請求項3】
前記制御部は、前記フィルタの後段に配置された誤り検出部から得られるエラー情報に基づいて、前記電気信号増幅部の利得を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の光受信回路。
【請求項4】
前記制御部は、前記フィルタの制御後に、前記電気信号増幅部の利得を制御することを特徴とする請求項3に記載の光受信回路。
【請求項5】
前記制御部は、前記フィルタの帯域幅制御と前記電気信号増幅部の利得制御とを独立して実行し、前記フィルタの帯域幅制御の制御周期と前記電気信号増幅部の利得制御の制御周期とを異なる周期として該電気信号増幅部の利得を制御することを特徴とする請求項3に記載の光受信回路。
【請求項6】
コンピュータによって実行される帯域幅制御方法であって、
入力光信号の通信品質をモニタし、
モニタされた前記入力光信号のモニタ値に対応する、復調された光信号から変換された電気信号を増幅する電気信号増幅部の後段に配置された該電気信号増幅部によって増幅された電気信号の帯域幅を調整するフィルタの帯域幅の制御値を、前記入力光信号のモニタ値と、該モニタ値に対する前記フィルタの帯域幅の制御値とを対応付けて記憶する記憶部から取得し、
取得した制御値に基づいて前記フィルタの帯域幅を制御する
ことを特徴とする帯域幅制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【図3M】
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【図3N】
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【図3O】
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【図3P】
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【図3Q】
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【図3R】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図4J】
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【図4K】
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【図4L】
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【図4M】
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【図4N】
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【図4O】
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【図4P】
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【図4Q】
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【図4R】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−217050(P2012−217050A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81138(P2011−81138)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】