光受信装置及びジッタトレランス制御方法
【課題】光受信装置において、最小受信感度を悪化させることなくジッタトレランスを確保することを目的とする。
【解決手段】入力光を光素子で受光して電気信号に変換し、前記光素子の出力する信号を等価、増幅及び識別する光受信装置において、前記入力光のパワーを検出する入力光パワー検出手段と、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する制御手段とを有する。
【解決手段】入力光を光素子で受光して電気信号に変換し、前記光素子の出力する信号を等価、増幅及び識別する光受信装置において、前記入力光のパワーを検出する入力光パワー検出手段と、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する制御手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッタトレランスを制御する光受信装置及びジッタトレランス制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジッタトレランスは、ITU−T(国際電気通信連合、電気通信標準化部門) GR253標準規格において1dBペナルティ法で規定されており、この規格に基づいて光のSNの悪い領域でジッタトレランス特性を確保する必要がある。
【0003】
ITU−T GR253標準規格におけるジッタトレランスに関する1dBペナルティ法とは、ジッタトレランスによる受信感度劣化を1dB以下に抑えるため、ジッタトレランスの測定閾値より1dB大きい入力光パワーを入力してジッタトレランスを測定する手法である。即ち、ジッタトレランスの測定閾値より1dB大きい入力光パワーを入力してジッタを印加し、BER(Bit Error Rate)がジッタトレランスの測定閾値と等しくなるまで測定する手法であり、その耐力がジッタトレランスである。
【0004】
一方、最小受信感度もITU−T GR253標準規格でBER=1×10−12(1E−12と表記)として規定されている。また、エンドユーザからの要求は、ITU−T GR253標準規格より厳しい要求となることもあり、最小受信感度をより小さくする必要がある。
【0005】
このため、従来技術として、最小受信感度を確保するように光受信部の識別点を一定の入力光パワーにおける最適点に固定する設定方法、また、入力光パワーに応じて識別点を最適点に可変する設定方法がある(例えば特許文献1,2参照)。
【0006】
上記の入力光パワーに応じて識別点を最適点に可変する設定方法でジッタトレランス特性が確保できない場合は、ジッタトレランス特性を確保するために、最小受信感度を大きくする必要がある。
【0007】
図1を用いて第1の従来技術を説明する。図1(A)に示すように、入力光パワーが大きくなるほどスライスレベル[%]を大きくして、識別点(スライスレベル)を最適点にしている。なお、図2に示すアイ開口波形において、スライスレベルは入力光パワーの何%であるかを示している。光素子であるアバランシェフォトダイオード(APD)では入力光のハイレベル側にノイズが乗りやすいのでスライスレベルは50%以下とし、入力光パワーが小さいほどスライスレベルを低下させている。
【0008】
図1(B)は横軸に入力光パワー、縦軸にBER(上側ほどBERは増加もしくは悪化)を示している。10Gbpsの光信号の入力光パワーが−24dBのとき標準規格の最小受信感度(BER=1E−12)をL字形で示す。入力光パワーに応じて識別点を最適点に可変した場合の入力光パワー/BER特性は実線に示すようになる。ここで、入力光パワー/BER特性における例えばBER=1E−10を測定閾値とし、この測定閾値より1dB大きい入力光パワーを入力してジッタトレランスを測定する。
【0009】
図3を用いて第2の従来技術を説明する。図3(A)に示すように、識別点(スライスレベル)を最適点より高くして悪化させた状態で、入力光パワーの大きさに拘わらず一定にしている。
【0010】
図3(B)は横軸に入力光パワー、縦軸にBERを示している。10Gbpsの光信号の入力光パワーが−24dBのとき標準規格(BER=1E−12)の最小受信感度をL字形で示す。ジッタトレランス特性が確保できない場合は、識別点(スライスレベル)を最適点より高くして最小受信感度をあえて悪くさせ、標準規格の最小受信感度とほぼ一致させる。このため、ジッタトレランスの測定閾値(BER=1E−10)における入力光パワーを大きくし、これより1dB大きくした入力光パワーも大きくなることで、光のSNを少しでも良くさせ、ジッタトレランス特性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−134160号公報
【特許文献2】特表2008−517552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図1の従来技術では、最小受信感度が改善されるが、ジッタトレランスの測定閾値(BER=1E−10)における入力光パワーも小さくなり、これより1dB大きくした入力光パワーも小さくなる。従って、光のSNが悪い状態となるため、光受信部の入力波形のアイ開口の開きが小さくなり、ジッタトレランスの確保が困難になるという問題があった。
【0013】
図2の従来技術では、ジッタトレランスを確保するために、最小受信感度をあえて悪化させなければならないという問題があった。
【0014】
開示の光受信装置は、最小受信感度を悪化させることなくジッタトレランスを確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
開示の一実施形態による光受信装置は、入力光を光素子で受光して電気信号に変換し、前記光素子の出力する信号を等価、増幅及び識別する光受信装置において、前記入力光のパワーを検出する入力光パワー検出手段と、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本実施形態によれば、最小受信感度を悪化させることなくジッタトレランスを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の従来技術を説明するための特性図である。
【図2】アイ開口波形を示す図である。
【図3】第2の従来技術を説明するための特性図である。
【図4】光受信装置の第1実施形態の構成図である。
【図5】光受信装置の第2実施形態の構成図である。
【図6】第1、第2実施形態を説明するための特性図である。
【図7】増幅器と識別点制御部の一例の詳細構成図である。
【図8】図7を説明するための波形図である。
【図9】光受信装置の第3実施形態の構成図である。
【図10】光受信装置の第4実施形態の構成図である。
【図11】第3、第4実施形態を説明するための特性図である。
【図12】APDバイアス部とAPDバイアス制御部の一例の詳細構成図である。
【図13】光受信装置の第5実施形態の構成図である。
【図14】光受信装置の第6実施形態の構成図である。
【図15】第5、第6実施形態を説明するための特性図である。
【図16】アイ開口波形を示す図である。
【図17】等価器と帯域制御部の一例の詳細構成図である。
【図18】図17を説明するための特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて実施形態を説明する。
【0019】
<第1、第2実施形態>
図4は光受信装置の第1実施形態の構成図を示す。図5は光受信装置の第2実施形態の構成図を示す。図4と図5において、同一部分には同一符号を付す。
【0020】
図4において、光素子11は例えばアバランシェフォトダイオードであり、光入力信号を受光して電気信号(受信信号)に変換してプリアンプ12に供給する。プリアンプ12は受信信号を増幅して等価器13に供給する。
【0021】
等価器13は受信信号の波形を整形して増幅器14に供給する。増幅器14はリミッタアンプであり、識別点制御部18から供給される識別点を用いて受信信号の値(1,0)を識別し識別回路15に供給する。識別回路15では受信信号からクロックを抽出し、増幅器14から供給される受信信号の値を上記クロックで打ち抜いてデータ(1,0)として出力する。
【0022】
一方、APDバイアス部20から供給されるAPDバイアス電圧で駆動される光素子11は、光入力信号の強度に応じて電流信号が変化する。このため、パワーモニタ部19で電流信号から光入力信号のパワーをモニタしてパワーモニタ情報を識別点制御部18に供給する。
【0023】
識別点制御部18は入力光のパワーモニタ情報に応じて、識別点を変化させて増幅器14に供給する。例えば図6(A)に示すように、入力光パワーが−26dB以上で識別点を最適点(スライスレベルは49%)とする。入力光パワー=−26dBは、識別点を最適点としたとき最小受信感度のBER値(=1E−12)に対応する値である。入力光パワーが−26dBから−28dB(所定値)まではスライスレベルを49%から52%まで入力光パワーに応じて増加させ、最適識別点からずらしている。入力光パワーが−28dB(所定値)以下ではスライスレベルを52%で一定とするリミット制御を行う。
【0024】
図5においては、BER監視部16は、識別回路15で識別したデータを供給され、データのBERを算出し、このBER情報を識別点制御部18に供給する。
【0025】
識別点制御部18は入力光のパワーモニタ情報と、識別したデータのBER情報に応じて識別点を変化させ増幅器14に供給する。例えば図6(A)に示すように、BERが1E−12以下で識別点を最適点(スライスレベルは49%)とする。BERが1E−12を超えて悪化すると、入力光パワーが−28dB(所定値)まではスライスレベルを49%から52%まで入力光パワーに応じて可変する。入力光パワーが−28dB(所定値)以下ではスライスレベルを52%とするリミット制御を行う。
【0026】
つまり、特定エラーレベル(BER=1E−12)になる感度(最小受信感度)より入力光パワーが小さい場合、増幅器14の識別点を最適点からずらすことで入力光パワー/BER特性を悪化させる(傾きの絶対値を大きくさせる)ように、識別点制御部18で制御する。なお、上記第1、第2実施形態で、最適識別点から識別点(スライスレベル)を大きくする方向にずらす代りに、最適点から識別点をさらに小さくする方向にずらしても良い。
【0027】
上記第1、第2実施形態では、図6(B)に実線で示す入力光パワー/BER特性となる。10Gbpsの光信号の入力光パワーが−24dBのとき標準規格の最小受信感度(BER=1E−12)をL字形で示している。
【0028】
図6(B)の入力光パワー/BER特性では、最小受信感度のBER値(=1E−12)以下となる入力光パワーが−26dB以上で識別点を最適点とする識別点制御部18の制御で、最小受信感度を確保する。
【0029】
ジッタトレランスの測定閾値は、最小受信感度におけるBER値(=1E−12)よりも大きく(悪く)設定できるため、ジッタトレランスの測定閾値における入力光パワー及びジッタトレランス測定点の入力光パワーを大きくすることになり、ジッタトレランスの測定閾値と、ジッタトレランス測定入力パワーとのBERの差が大きくなり、ジッタトレランス特性を増加させる。
【0030】
入力光パワーが最小受信感度以下、かつ、所定値(=−28dB)以下、もしくは第2のエラーレベル(=1E−3)以上であるときは、BERが大きくなることによる主信号の同期はずれを回避するために、識別点制御部18はスライスレベルを52%として最小受信感度を確保している。
【0031】
図7は、図5における増幅器14と識別点制御部18の一例の詳細構成図を示す。図7において、識別点制御部18は入力光のパワーモニタ情報とBER情報に基づいて増幅器14の入力オフセット電圧を制御する。すなわち、識別点制御部18はパワーモニタ情報とBER情報に基づいてOFFSET_P電圧信号とOFFSET_N電圧信号を出力する。
【0032】
増幅器14において、図8(A)に示すように、OFFSET_P電圧は差動入力信号の一方であるDATA_P信号に重畳される。また、図8(B)に示すように、OFFSET_N電圧は差動入力信号の他方であるDATA_N信号に重畳される。これにより、DATA_P信号とDATA_N信号による差動入力信号の識別点を図8(C)に示すように変化させることができる。
【0033】
<第3、第4実施形態>
図9は光受信装置の第3実施形態の構成図を示す。図10は光受信装置の第4実施形態の構成図を示す。図9と図10において、同一部分には同一符号を付す。
【0034】
図9において、光素子11は例えばアバランシェフォトダイオードであり、光入力信号を受光して電気信号(受信信号)に変換してプリアンプ12に供給する。プリアンプ12は受信信号を増幅して等価器13に供給する。
【0035】
等価器13は受信信号の波形を整形して増幅器14に供給する。増幅器14はリミッタアンプであり、固定の識別点を用いて受信信号の値(1,0)を識別し識別回路15に供給する。識別回路15では受信信号からクロックを抽出し、増幅器14から供給される受信信号の値を上記クロックで打ち抜いてデータ(1,0)として出力する。
【0036】
一方、APDバイアス部20から供給されるAPDバイアス電圧で駆動される光素子11は、光入力信号の強度に応じて電流信号が変化する。このため、パワーモニタ部19で電流信号から光入力信号のパワーをモニタしてパワーモニタ情報をAPDバイアス制御部21に供給する。
【0037】
APDバイアス制御部21は、入力光のパワーモニタ情報に応じてAPDバイアス部20の発生するAPDバイアス電圧を変化させる。例えば図11(A)に示すように、入力光パワーが−26dB以上でAPDバイアス電圧を最適点(28V)とする。入力光パワー=−26dBは、APDバイアス電圧を最適点としたとき最小受信感度のBER値(=1E−12)に対応する値である。入力光パワーが−26dBから−28dB(所定値)まではAPDバイアス電圧を28Vから26Vまで入力光パワーに応じて低下させる。つまり、APDバイアス電圧を最適点からずらしている。入力光パワーが−28dB(所定値)以下ではAPDバイアス制御部21はAPDバイアス電圧を26Vで一定とするリミット制御を行う。上記のようにAPDバイアス電圧を変化させることにより、入力光パワーに対する光素子11の光増倍率Mは図11(B)に示すように変化する。
【0038】
図10においては、BER監視部16は、識別回路15で識別したデータを供給され、データのBERを算出し、このBER情報をAPDバイアス制御部21に供給する。
【0039】
APDバイアス制御部21は入力光のパワーモニタ情報と、識別したデータのBER情報に応じて、APDバイアス電圧を変化させる。例えば図11(C)に示すように、BERが1E−12以下でAPDバイアス制御部21はAPDバイアス電圧を最適点(28V)とする。BERが1E−12を超えて悪化すると、APDバイアス制御部21は入力光パワーが−28dB(所定値)まではAPDバイアス電圧を28Vから26Vまで入力光パワーに応じて可変する。入力光パワーが−28dB(所定値)以下ではAPDバイアス制御部21はAPDバイアス電圧を26Vとするリミット制御を行う。
【0040】
つまり、特定エラーレベル(BER=1E−12)になる感度(最小受信感度)より入力光パワーが小さい場合、APDバイアス電圧を最適点から低くずらす(光増倍率Mを小さくする)ことで、入力光パワー/BER特性を悪化させる(傾きの絶対値を大きくさせる)よう、APDバイアス制御部21で制御を行う。
【0041】
上記第3、第4実施形態では、図11(C)に実線で示す入力光パワー/BER特性となる。10Gbpsの光信号の入力光パワーが−24dBのとき標準規格の最小受信感度(BER=1E−12)をL字形で示している。
【0042】
図11(C)の入力光パワー/BER特性では、最小受信感度のBER値(=1E−12)以下となる入力光パワーが−26dB以上で光増倍率Mを最適点とするAPDバイアス制御部21の制御で、最小受信感度を確保する。
【0043】
ジッタトレランスの測定閾値は、最小受信感度におけるBER値(=1E−12)よりも大きく(悪く)設定できるため、ジッタトレランスの測定閾値における入力光パワー及びジッタトレランス測定点の入力光パワーを大きくすることになり、ジッタトレランスの測定閾値と、ジッタトレランス測定入力パワーとのBERの差が大きくなり、ジッタトレランス特性を増加させる。
【0044】
入力光パワーが最小受信感度以下、かつ、所定値(=−28dB)以下、もしくは第2のエラーレベル(=1E−3)以上であるときは、BERが大きくなることによる主信号の同期はずれを回避するために、APDバイアス電圧を26Vとして最小受信感度を確保している。
【0045】
図12は、図10におけるAPDバイアス部20とAPDバイアス制御部21の一例の詳細構成図を示す。図12において、APDバイアス制御部21は入力光のパワーモニタ情報とBER情報に基づいてAPDバイアス部20のAPDバイアス電圧を制御する。すなわち、APDバイアス制御部21はパワーモニタ情報とBER情報に基づいてAPDバイアス制御電圧(Vcont)を出力する。
【0046】
APDバイアス部20は、例えば主にDC−DCコンバータ20aで構成されており、APDバイアス電圧(VAPD)は、APDバイアス制御電圧(Vcont)と、抵抗R1、抵抗R2で以下に示すように決定されるため、BER情報及びパワーモニタ情報に応じて、APDバイアス電圧(VAPD)を制御することができる。
【0047】
VAPD=Vcont×(1+R2/R1)
【0048】
<第5、第6実施形態>
図13は光受信装置の第5実施形態の構成図を示す。図14は光受信装置の第6実施形態の構成図を示す。図13と図14において、同一部分には同一符号を付す。
【0049】
図13において、光素子11は例えばアバランシェフォトダイオードであり、光入力信号を受光して電気信号(受信信号)に変換してプリアンプ12に供給する。プリアンプ12は受信信号を増幅して等価器13に供給する。
【0050】
等価器13は受信信号の波形を整形して増幅器14に供給する。増幅器14はリミッタアンプであり、固定の識別点を用いて受信信号の値(1,0)を識別し識別回路15に供給する。識別回路15では受信信号からクロックを抽出し、増幅器14から供給される受信信号の値を上記クロックで打ち抜いてデータ(1,0)として出力する。
【0051】
一方、APDバイアス部20から供給されるAPDバイアス電圧で駆動される光素子11は、光入力信号の強度に応じて電流信号が変化する。このため、パワーモニタ部19で電流信号から光入力信号のパワーをモニタしてパワーモニタ情報を帯域制御部22に供給する。
【0052】
帯域制御部22は、入力光のパワーモニタ情報に応じて等価器13の等価帯域つまりカットオフ周波数を変化させる。例えば図15(A)に示すように、入力光パワーが−26dB以上で等価器13におけるカットオフ周波数を最適点(8GHz)とする。入力光パワー=−26dBは、カットオフ周波数を最適点(8GHz)としたとき最小受信感度のBER値(=1E−12)に対応する値である。入力光パワーが−26dBから−28dB(所定値)まではカットオフ周波数を8GHzから6GHzまで入力光パワーに応じて低下させ、カットオフ周波数を最適点からずらしている。入力光パワーが−28dB(所定値)以下では帯域制御部22はカットオフ周波数を6GHzで一定とするリミット制御を行う。
【0053】
なお、等価器13のカットオフ周波数を8GHzとしたときのアイ開口波形が図2に示すものであるとした場合、カットオフ周波数を6GHzとしたときのアイ開口波形は図16に示すようになり、アイ開口が狭くなっているのが分かる。
【0054】
つまり、特定エラーレベル(BER=1E−12)になる感度(最小受信感度)より入力光パワーが小さい場合、等価器13のカットオフ周波数を最適点からずらすことで、入力光パワー/BER特性を悪化させる(傾きの絶対値を大きくさせる)よう、帯域制御部22で制御する。
【0055】
図14においては、BER監視部16は、識別回路15で識別したデータを供給され、データのBERを算出し、このBER情報を帯域制御部22に供給する。
【0056】
帯域制御部22は入力光のパワーモニタ情報と、識別したデータのBER情報に応じて、カットオフ周波数を変化させる。例えば図15(A)に示すように、BERが1E−12以下で帯域制御部22は等価器13のカットオフ周波数を最適点(8GHz)とする。BERが1E−12を超えて悪化すると、帯域制御部22は入力光パワーが−28dB(所定値)までは等価器13のカットオフ周波数を8GHzから6GHzまで入力光パワーに応じて可変する。入力光パワーが−28dB(所定値)以下では帯域制御部22は等価器13のカットオフ周波数を6GHzとするリミット制御を行う。
【0057】
つまり、特定エラーレベル(BER=1E−12)になる感度(最小受信感度)より入力光パワーが小さい場合、カットオフ周波数を低くするように、帯域制御部22で等価器13のカットオフ周波数を低くする制御を行う。
【0058】
上記第5、第6実施形態では、図15(B)に実線で示す入力光パワー/BER特性となる。10Gbpsの光信号の入力光パワーが−24dBのとき標準規格の最小受信感度(BER=1E−12)をL字形で示している。
【0059】
図15(B)の入力光パワー/BER特性では、最小受信感度のBER値(=1E−12)以下となる入力光パワーが−26dB以上で等価器13のカットオフ周波数を最適点とする帯域制御部22の制御で、最小受信感度を確保する。
【0060】
ジッタトレランスの測定閾値は、最小受信感度におけるBER値(=1E−12)よりも大きく(悪く)設定できるため、ジッタトレランスの測定閾値における入力光パワー及びジッタトレランス測定点の入力光パワーを大きくすることになり、ジッタトレランスの測定閾値と、ジッタトレランス測定入力パワーとのBERの差が大きくなり、ジッタトレランス特性を増加させる。
【0061】
入力光パワーが最小受信感度以下、かつ、所定値(=−28dB)以下、もしくは第2のエラーレベル(=1E−3)以上であるときは、BERが大きくなることによる主信号の同期はずれを回避するために、等価器13のカットオフ周波数を6GHzとして最小受信感度を確保している。
【0062】
図17は、図14における等価器13と帯域制御部22の一例の詳細構成図を示す。図17において、帯域制御部22は入力光のパワーモニタ情報とBER情報に基づいて等価器13のカットオフ周波数を制御する。すなわち、帯域制御部22はパワーモニタ情報とBER情報に基づいて帯域制御電圧(fc_cont)を出力する。
【0063】
等価器13は、帯域制御電圧(fc_cont)をパラメータとして図18(A)に示す周波数/ゲイン特性を有しており、また、図18(B)に示すような帯域制御電圧(fc_cont)/カットオフ周波数(fc)特性を有している。これにより、等価器13は帯域制御電圧(fc_cont)に応じて等価帯域つまりカットオフ周波数(fc)を変化させることができる。
【0064】
このように、上記実施形態によれば、ジッタトレランスを増加する対策を行っても最小受信感度以上の入力光に対し受信特性の劣化を生じない。また、最小受信感度以下の入力光に対し、受信特性が劣化するものの、そもそも最小受信感度以下であるため、問題にならない。
【0065】
ジッタトレランスの測定閾値は、最小受信感度におけるBER値よりも大きく(悪く)設定できるため、最小受信感度以下の入力光に対し、識別点を最適点からずらすように設定し、あるいはAPDバイアス電圧を低く設定し、あるいは等価器の帯域を低く設定して、ジッタトレランスの測定閾値における入力光パワーを大きくすることにより、ジッタトレランス測定点の入力光パワーを大きくし、ジッタトレランス測定点におけるエラーレートを向上させることができる。
(付記1)
入力光を光素子で受光して電気信号に変換し、前記光素子の出力する信号を等価、増幅及び識別する光受信装置において、
前記入力光のパワーを検出する入力光パワー検出手段と、
前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする光受信装置。
(付記2)
付記1記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記信号の識別に用いる識別点を、前記入力光パワーに応じて最適点からずらすことで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記3)
付記2記載の光受信装置において、
前記識別された信号のエラーレートを検出するエラーレート検出手段を有し、
前記制御手段は、前記エラーレート検出手段で検出したエラーレートが前記最小受信感度以下のとき、前記識別点を、前記入力光パワーに応じて最適点からずらすように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記4)
付記2又は3記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが前記最小受信感度に対応する値より小さい所定値以下のとき、前記識別点を一定に制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記5)
付記1記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記光素子のバイアス電圧を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くすることで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記6)
付記5記載の光受信装置において、
前記識別された信号のエラーレートを検出するエラーレート検出手段を有し、
前記制御手段は、前記エラーレート検出手段で検出したエラーレートが前記最小受信感度以下のとき、前記バイアス電圧を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くするように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記7)
付記5又は6記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが前記最小受信感度に対応する値より小さい所定値以下のとき、前記バイアス電圧を一定に制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記8)
付記1記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記信号の等価を行う等価器の等価帯域を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くすることで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記9)
付記8記載の光受信装置において、
前記識別された信号のエラーレートを検出するエラーレート検出手段を有し、
前記制御手段は、前記エラーレート検出手段で検出したエラーレートが前記最小受信感度以下のとき、前記等価帯域を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くするように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記10)
付記8又は9記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが前記最小受信感度に対応する値より小さい所定値以下のとき、前記等価帯域を一定に制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記11)
入力光を光素子で受光して電気信号に変換し、前記光素子の出力する信号を等価、増幅及び識別する光受信装置のジッタトレランス制御方法において、
前記入力光のパワーを検出するステップと、
検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御するステップと、
を有することを特徴とするジッタトレランス制御方法。
(付記12)
付記11記載のジッタトレランス制御方法において、
前記入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御するステップは、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記信号の識別に用いる識別点を、前記入力光パワーに応じて最適点からずらすことで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とするジッタトレランス制御方法。
(付記13)
付記11記載のジッタトレランス制御方法において、
前記入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御するステップは、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記光素子のバイアス電圧を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くすることで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とするジッタトレランス制御方法。
(付記14)
付記11記載のジッタトレランス制御方法において、
前記入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御するステップは、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記信号の等価を行う等価器の等価帯域を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くすることで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とするジッタトレランス制御方法。
【符号の説明】
【0066】
11 光素子
12 プリアンプ
13 等価器
14 増幅器
15 識別回路
18 識別点制御部
19 パワーモニタ部
20 APDバイアス部
21 APDバイアス制御部
22 帯域制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッタトレランスを制御する光受信装置及びジッタトレランス制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジッタトレランスは、ITU−T(国際電気通信連合、電気通信標準化部門) GR253標準規格において1dBペナルティ法で規定されており、この規格に基づいて光のSNの悪い領域でジッタトレランス特性を確保する必要がある。
【0003】
ITU−T GR253標準規格におけるジッタトレランスに関する1dBペナルティ法とは、ジッタトレランスによる受信感度劣化を1dB以下に抑えるため、ジッタトレランスの測定閾値より1dB大きい入力光パワーを入力してジッタトレランスを測定する手法である。即ち、ジッタトレランスの測定閾値より1dB大きい入力光パワーを入力してジッタを印加し、BER(Bit Error Rate)がジッタトレランスの測定閾値と等しくなるまで測定する手法であり、その耐力がジッタトレランスである。
【0004】
一方、最小受信感度もITU−T GR253標準規格でBER=1×10−12(1E−12と表記)として規定されている。また、エンドユーザからの要求は、ITU−T GR253標準規格より厳しい要求となることもあり、最小受信感度をより小さくする必要がある。
【0005】
このため、従来技術として、最小受信感度を確保するように光受信部の識別点を一定の入力光パワーにおける最適点に固定する設定方法、また、入力光パワーに応じて識別点を最適点に可変する設定方法がある(例えば特許文献1,2参照)。
【0006】
上記の入力光パワーに応じて識別点を最適点に可変する設定方法でジッタトレランス特性が確保できない場合は、ジッタトレランス特性を確保するために、最小受信感度を大きくする必要がある。
【0007】
図1を用いて第1の従来技術を説明する。図1(A)に示すように、入力光パワーが大きくなるほどスライスレベル[%]を大きくして、識別点(スライスレベル)を最適点にしている。なお、図2に示すアイ開口波形において、スライスレベルは入力光パワーの何%であるかを示している。光素子であるアバランシェフォトダイオード(APD)では入力光のハイレベル側にノイズが乗りやすいのでスライスレベルは50%以下とし、入力光パワーが小さいほどスライスレベルを低下させている。
【0008】
図1(B)は横軸に入力光パワー、縦軸にBER(上側ほどBERは増加もしくは悪化)を示している。10Gbpsの光信号の入力光パワーが−24dBのとき標準規格の最小受信感度(BER=1E−12)をL字形で示す。入力光パワーに応じて識別点を最適点に可変した場合の入力光パワー/BER特性は実線に示すようになる。ここで、入力光パワー/BER特性における例えばBER=1E−10を測定閾値とし、この測定閾値より1dB大きい入力光パワーを入力してジッタトレランスを測定する。
【0009】
図3を用いて第2の従来技術を説明する。図3(A)に示すように、識別点(スライスレベル)を最適点より高くして悪化させた状態で、入力光パワーの大きさに拘わらず一定にしている。
【0010】
図3(B)は横軸に入力光パワー、縦軸にBERを示している。10Gbpsの光信号の入力光パワーが−24dBのとき標準規格(BER=1E−12)の最小受信感度をL字形で示す。ジッタトレランス特性が確保できない場合は、識別点(スライスレベル)を最適点より高くして最小受信感度をあえて悪くさせ、標準規格の最小受信感度とほぼ一致させる。このため、ジッタトレランスの測定閾値(BER=1E−10)における入力光パワーを大きくし、これより1dB大きくした入力光パワーも大きくなることで、光のSNを少しでも良くさせ、ジッタトレランス特性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−134160号公報
【特許文献2】特表2008−517552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図1の従来技術では、最小受信感度が改善されるが、ジッタトレランスの測定閾値(BER=1E−10)における入力光パワーも小さくなり、これより1dB大きくした入力光パワーも小さくなる。従って、光のSNが悪い状態となるため、光受信部の入力波形のアイ開口の開きが小さくなり、ジッタトレランスの確保が困難になるという問題があった。
【0013】
図2の従来技術では、ジッタトレランスを確保するために、最小受信感度をあえて悪化させなければならないという問題があった。
【0014】
開示の光受信装置は、最小受信感度を悪化させることなくジッタトレランスを確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
開示の一実施形態による光受信装置は、入力光を光素子で受光して電気信号に変換し、前記光素子の出力する信号を等価、増幅及び識別する光受信装置において、前記入力光のパワーを検出する入力光パワー検出手段と、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本実施形態によれば、最小受信感度を悪化させることなくジッタトレランスを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の従来技術を説明するための特性図である。
【図2】アイ開口波形を示す図である。
【図3】第2の従来技術を説明するための特性図である。
【図4】光受信装置の第1実施形態の構成図である。
【図5】光受信装置の第2実施形態の構成図である。
【図6】第1、第2実施形態を説明するための特性図である。
【図7】増幅器と識別点制御部の一例の詳細構成図である。
【図8】図7を説明するための波形図である。
【図9】光受信装置の第3実施形態の構成図である。
【図10】光受信装置の第4実施形態の構成図である。
【図11】第3、第4実施形態を説明するための特性図である。
【図12】APDバイアス部とAPDバイアス制御部の一例の詳細構成図である。
【図13】光受信装置の第5実施形態の構成図である。
【図14】光受信装置の第6実施形態の構成図である。
【図15】第5、第6実施形態を説明するための特性図である。
【図16】アイ開口波形を示す図である。
【図17】等価器と帯域制御部の一例の詳細構成図である。
【図18】図17を説明するための特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて実施形態を説明する。
【0019】
<第1、第2実施形態>
図4は光受信装置の第1実施形態の構成図を示す。図5は光受信装置の第2実施形態の構成図を示す。図4と図5において、同一部分には同一符号を付す。
【0020】
図4において、光素子11は例えばアバランシェフォトダイオードであり、光入力信号を受光して電気信号(受信信号)に変換してプリアンプ12に供給する。プリアンプ12は受信信号を増幅して等価器13に供給する。
【0021】
等価器13は受信信号の波形を整形して増幅器14に供給する。増幅器14はリミッタアンプであり、識別点制御部18から供給される識別点を用いて受信信号の値(1,0)を識別し識別回路15に供給する。識別回路15では受信信号からクロックを抽出し、増幅器14から供給される受信信号の値を上記クロックで打ち抜いてデータ(1,0)として出力する。
【0022】
一方、APDバイアス部20から供給されるAPDバイアス電圧で駆動される光素子11は、光入力信号の強度に応じて電流信号が変化する。このため、パワーモニタ部19で電流信号から光入力信号のパワーをモニタしてパワーモニタ情報を識別点制御部18に供給する。
【0023】
識別点制御部18は入力光のパワーモニタ情報に応じて、識別点を変化させて増幅器14に供給する。例えば図6(A)に示すように、入力光パワーが−26dB以上で識別点を最適点(スライスレベルは49%)とする。入力光パワー=−26dBは、識別点を最適点としたとき最小受信感度のBER値(=1E−12)に対応する値である。入力光パワーが−26dBから−28dB(所定値)まではスライスレベルを49%から52%まで入力光パワーに応じて増加させ、最適識別点からずらしている。入力光パワーが−28dB(所定値)以下ではスライスレベルを52%で一定とするリミット制御を行う。
【0024】
図5においては、BER監視部16は、識別回路15で識別したデータを供給され、データのBERを算出し、このBER情報を識別点制御部18に供給する。
【0025】
識別点制御部18は入力光のパワーモニタ情報と、識別したデータのBER情報に応じて識別点を変化させ増幅器14に供給する。例えば図6(A)に示すように、BERが1E−12以下で識別点を最適点(スライスレベルは49%)とする。BERが1E−12を超えて悪化すると、入力光パワーが−28dB(所定値)まではスライスレベルを49%から52%まで入力光パワーに応じて可変する。入力光パワーが−28dB(所定値)以下ではスライスレベルを52%とするリミット制御を行う。
【0026】
つまり、特定エラーレベル(BER=1E−12)になる感度(最小受信感度)より入力光パワーが小さい場合、増幅器14の識別点を最適点からずらすことで入力光パワー/BER特性を悪化させる(傾きの絶対値を大きくさせる)ように、識別点制御部18で制御する。なお、上記第1、第2実施形態で、最適識別点から識別点(スライスレベル)を大きくする方向にずらす代りに、最適点から識別点をさらに小さくする方向にずらしても良い。
【0027】
上記第1、第2実施形態では、図6(B)に実線で示す入力光パワー/BER特性となる。10Gbpsの光信号の入力光パワーが−24dBのとき標準規格の最小受信感度(BER=1E−12)をL字形で示している。
【0028】
図6(B)の入力光パワー/BER特性では、最小受信感度のBER値(=1E−12)以下となる入力光パワーが−26dB以上で識別点を最適点とする識別点制御部18の制御で、最小受信感度を確保する。
【0029】
ジッタトレランスの測定閾値は、最小受信感度におけるBER値(=1E−12)よりも大きく(悪く)設定できるため、ジッタトレランスの測定閾値における入力光パワー及びジッタトレランス測定点の入力光パワーを大きくすることになり、ジッタトレランスの測定閾値と、ジッタトレランス測定入力パワーとのBERの差が大きくなり、ジッタトレランス特性を増加させる。
【0030】
入力光パワーが最小受信感度以下、かつ、所定値(=−28dB)以下、もしくは第2のエラーレベル(=1E−3)以上であるときは、BERが大きくなることによる主信号の同期はずれを回避するために、識別点制御部18はスライスレベルを52%として最小受信感度を確保している。
【0031】
図7は、図5における増幅器14と識別点制御部18の一例の詳細構成図を示す。図7において、識別点制御部18は入力光のパワーモニタ情報とBER情報に基づいて増幅器14の入力オフセット電圧を制御する。すなわち、識別点制御部18はパワーモニタ情報とBER情報に基づいてOFFSET_P電圧信号とOFFSET_N電圧信号を出力する。
【0032】
増幅器14において、図8(A)に示すように、OFFSET_P電圧は差動入力信号の一方であるDATA_P信号に重畳される。また、図8(B)に示すように、OFFSET_N電圧は差動入力信号の他方であるDATA_N信号に重畳される。これにより、DATA_P信号とDATA_N信号による差動入力信号の識別点を図8(C)に示すように変化させることができる。
【0033】
<第3、第4実施形態>
図9は光受信装置の第3実施形態の構成図を示す。図10は光受信装置の第4実施形態の構成図を示す。図9と図10において、同一部分には同一符号を付す。
【0034】
図9において、光素子11は例えばアバランシェフォトダイオードであり、光入力信号を受光して電気信号(受信信号)に変換してプリアンプ12に供給する。プリアンプ12は受信信号を増幅して等価器13に供給する。
【0035】
等価器13は受信信号の波形を整形して増幅器14に供給する。増幅器14はリミッタアンプであり、固定の識別点を用いて受信信号の値(1,0)を識別し識別回路15に供給する。識別回路15では受信信号からクロックを抽出し、増幅器14から供給される受信信号の値を上記クロックで打ち抜いてデータ(1,0)として出力する。
【0036】
一方、APDバイアス部20から供給されるAPDバイアス電圧で駆動される光素子11は、光入力信号の強度に応じて電流信号が変化する。このため、パワーモニタ部19で電流信号から光入力信号のパワーをモニタしてパワーモニタ情報をAPDバイアス制御部21に供給する。
【0037】
APDバイアス制御部21は、入力光のパワーモニタ情報に応じてAPDバイアス部20の発生するAPDバイアス電圧を変化させる。例えば図11(A)に示すように、入力光パワーが−26dB以上でAPDバイアス電圧を最適点(28V)とする。入力光パワー=−26dBは、APDバイアス電圧を最適点としたとき最小受信感度のBER値(=1E−12)に対応する値である。入力光パワーが−26dBから−28dB(所定値)まではAPDバイアス電圧を28Vから26Vまで入力光パワーに応じて低下させる。つまり、APDバイアス電圧を最適点からずらしている。入力光パワーが−28dB(所定値)以下ではAPDバイアス制御部21はAPDバイアス電圧を26Vで一定とするリミット制御を行う。上記のようにAPDバイアス電圧を変化させることにより、入力光パワーに対する光素子11の光増倍率Mは図11(B)に示すように変化する。
【0038】
図10においては、BER監視部16は、識別回路15で識別したデータを供給され、データのBERを算出し、このBER情報をAPDバイアス制御部21に供給する。
【0039】
APDバイアス制御部21は入力光のパワーモニタ情報と、識別したデータのBER情報に応じて、APDバイアス電圧を変化させる。例えば図11(C)に示すように、BERが1E−12以下でAPDバイアス制御部21はAPDバイアス電圧を最適点(28V)とする。BERが1E−12を超えて悪化すると、APDバイアス制御部21は入力光パワーが−28dB(所定値)まではAPDバイアス電圧を28Vから26Vまで入力光パワーに応じて可変する。入力光パワーが−28dB(所定値)以下ではAPDバイアス制御部21はAPDバイアス電圧を26Vとするリミット制御を行う。
【0040】
つまり、特定エラーレベル(BER=1E−12)になる感度(最小受信感度)より入力光パワーが小さい場合、APDバイアス電圧を最適点から低くずらす(光増倍率Mを小さくする)ことで、入力光パワー/BER特性を悪化させる(傾きの絶対値を大きくさせる)よう、APDバイアス制御部21で制御を行う。
【0041】
上記第3、第4実施形態では、図11(C)に実線で示す入力光パワー/BER特性となる。10Gbpsの光信号の入力光パワーが−24dBのとき標準規格の最小受信感度(BER=1E−12)をL字形で示している。
【0042】
図11(C)の入力光パワー/BER特性では、最小受信感度のBER値(=1E−12)以下となる入力光パワーが−26dB以上で光増倍率Mを最適点とするAPDバイアス制御部21の制御で、最小受信感度を確保する。
【0043】
ジッタトレランスの測定閾値は、最小受信感度におけるBER値(=1E−12)よりも大きく(悪く)設定できるため、ジッタトレランスの測定閾値における入力光パワー及びジッタトレランス測定点の入力光パワーを大きくすることになり、ジッタトレランスの測定閾値と、ジッタトレランス測定入力パワーとのBERの差が大きくなり、ジッタトレランス特性を増加させる。
【0044】
入力光パワーが最小受信感度以下、かつ、所定値(=−28dB)以下、もしくは第2のエラーレベル(=1E−3)以上であるときは、BERが大きくなることによる主信号の同期はずれを回避するために、APDバイアス電圧を26Vとして最小受信感度を確保している。
【0045】
図12は、図10におけるAPDバイアス部20とAPDバイアス制御部21の一例の詳細構成図を示す。図12において、APDバイアス制御部21は入力光のパワーモニタ情報とBER情報に基づいてAPDバイアス部20のAPDバイアス電圧を制御する。すなわち、APDバイアス制御部21はパワーモニタ情報とBER情報に基づいてAPDバイアス制御電圧(Vcont)を出力する。
【0046】
APDバイアス部20は、例えば主にDC−DCコンバータ20aで構成されており、APDバイアス電圧(VAPD)は、APDバイアス制御電圧(Vcont)と、抵抗R1、抵抗R2で以下に示すように決定されるため、BER情報及びパワーモニタ情報に応じて、APDバイアス電圧(VAPD)を制御することができる。
【0047】
VAPD=Vcont×(1+R2/R1)
【0048】
<第5、第6実施形態>
図13は光受信装置の第5実施形態の構成図を示す。図14は光受信装置の第6実施形態の構成図を示す。図13と図14において、同一部分には同一符号を付す。
【0049】
図13において、光素子11は例えばアバランシェフォトダイオードであり、光入力信号を受光して電気信号(受信信号)に変換してプリアンプ12に供給する。プリアンプ12は受信信号を増幅して等価器13に供給する。
【0050】
等価器13は受信信号の波形を整形して増幅器14に供給する。増幅器14はリミッタアンプであり、固定の識別点を用いて受信信号の値(1,0)を識別し識別回路15に供給する。識別回路15では受信信号からクロックを抽出し、増幅器14から供給される受信信号の値を上記クロックで打ち抜いてデータ(1,0)として出力する。
【0051】
一方、APDバイアス部20から供給されるAPDバイアス電圧で駆動される光素子11は、光入力信号の強度に応じて電流信号が変化する。このため、パワーモニタ部19で電流信号から光入力信号のパワーをモニタしてパワーモニタ情報を帯域制御部22に供給する。
【0052】
帯域制御部22は、入力光のパワーモニタ情報に応じて等価器13の等価帯域つまりカットオフ周波数を変化させる。例えば図15(A)に示すように、入力光パワーが−26dB以上で等価器13におけるカットオフ周波数を最適点(8GHz)とする。入力光パワー=−26dBは、カットオフ周波数を最適点(8GHz)としたとき最小受信感度のBER値(=1E−12)に対応する値である。入力光パワーが−26dBから−28dB(所定値)まではカットオフ周波数を8GHzから6GHzまで入力光パワーに応じて低下させ、カットオフ周波数を最適点からずらしている。入力光パワーが−28dB(所定値)以下では帯域制御部22はカットオフ周波数を6GHzで一定とするリミット制御を行う。
【0053】
なお、等価器13のカットオフ周波数を8GHzとしたときのアイ開口波形が図2に示すものであるとした場合、カットオフ周波数を6GHzとしたときのアイ開口波形は図16に示すようになり、アイ開口が狭くなっているのが分かる。
【0054】
つまり、特定エラーレベル(BER=1E−12)になる感度(最小受信感度)より入力光パワーが小さい場合、等価器13のカットオフ周波数を最適点からずらすことで、入力光パワー/BER特性を悪化させる(傾きの絶対値を大きくさせる)よう、帯域制御部22で制御する。
【0055】
図14においては、BER監視部16は、識別回路15で識別したデータを供給され、データのBERを算出し、このBER情報を帯域制御部22に供給する。
【0056】
帯域制御部22は入力光のパワーモニタ情報と、識別したデータのBER情報に応じて、カットオフ周波数を変化させる。例えば図15(A)に示すように、BERが1E−12以下で帯域制御部22は等価器13のカットオフ周波数を最適点(8GHz)とする。BERが1E−12を超えて悪化すると、帯域制御部22は入力光パワーが−28dB(所定値)までは等価器13のカットオフ周波数を8GHzから6GHzまで入力光パワーに応じて可変する。入力光パワーが−28dB(所定値)以下では帯域制御部22は等価器13のカットオフ周波数を6GHzとするリミット制御を行う。
【0057】
つまり、特定エラーレベル(BER=1E−12)になる感度(最小受信感度)より入力光パワーが小さい場合、カットオフ周波数を低くするように、帯域制御部22で等価器13のカットオフ周波数を低くする制御を行う。
【0058】
上記第5、第6実施形態では、図15(B)に実線で示す入力光パワー/BER特性となる。10Gbpsの光信号の入力光パワーが−24dBのとき標準規格の最小受信感度(BER=1E−12)をL字形で示している。
【0059】
図15(B)の入力光パワー/BER特性では、最小受信感度のBER値(=1E−12)以下となる入力光パワーが−26dB以上で等価器13のカットオフ周波数を最適点とする帯域制御部22の制御で、最小受信感度を確保する。
【0060】
ジッタトレランスの測定閾値は、最小受信感度におけるBER値(=1E−12)よりも大きく(悪く)設定できるため、ジッタトレランスの測定閾値における入力光パワー及びジッタトレランス測定点の入力光パワーを大きくすることになり、ジッタトレランスの測定閾値と、ジッタトレランス測定入力パワーとのBERの差が大きくなり、ジッタトレランス特性を増加させる。
【0061】
入力光パワーが最小受信感度以下、かつ、所定値(=−28dB)以下、もしくは第2のエラーレベル(=1E−3)以上であるときは、BERが大きくなることによる主信号の同期はずれを回避するために、等価器13のカットオフ周波数を6GHzとして最小受信感度を確保している。
【0062】
図17は、図14における等価器13と帯域制御部22の一例の詳細構成図を示す。図17において、帯域制御部22は入力光のパワーモニタ情報とBER情報に基づいて等価器13のカットオフ周波数を制御する。すなわち、帯域制御部22はパワーモニタ情報とBER情報に基づいて帯域制御電圧(fc_cont)を出力する。
【0063】
等価器13は、帯域制御電圧(fc_cont)をパラメータとして図18(A)に示す周波数/ゲイン特性を有しており、また、図18(B)に示すような帯域制御電圧(fc_cont)/カットオフ周波数(fc)特性を有している。これにより、等価器13は帯域制御電圧(fc_cont)に応じて等価帯域つまりカットオフ周波数(fc)を変化させることができる。
【0064】
このように、上記実施形態によれば、ジッタトレランスを増加する対策を行っても最小受信感度以上の入力光に対し受信特性の劣化を生じない。また、最小受信感度以下の入力光に対し、受信特性が劣化するものの、そもそも最小受信感度以下であるため、問題にならない。
【0065】
ジッタトレランスの測定閾値は、最小受信感度におけるBER値よりも大きく(悪く)設定できるため、最小受信感度以下の入力光に対し、識別点を最適点からずらすように設定し、あるいはAPDバイアス電圧を低く設定し、あるいは等価器の帯域を低く設定して、ジッタトレランスの測定閾値における入力光パワーを大きくすることにより、ジッタトレランス測定点の入力光パワーを大きくし、ジッタトレランス測定点におけるエラーレートを向上させることができる。
(付記1)
入力光を光素子で受光して電気信号に変換し、前記光素子の出力する信号を等価、増幅及び識別する光受信装置において、
前記入力光のパワーを検出する入力光パワー検出手段と、
前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする光受信装置。
(付記2)
付記1記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記信号の識別に用いる識別点を、前記入力光パワーに応じて最適点からずらすことで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記3)
付記2記載の光受信装置において、
前記識別された信号のエラーレートを検出するエラーレート検出手段を有し、
前記制御手段は、前記エラーレート検出手段で検出したエラーレートが前記最小受信感度以下のとき、前記識別点を、前記入力光パワーに応じて最適点からずらすように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記4)
付記2又は3記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが前記最小受信感度に対応する値より小さい所定値以下のとき、前記識別点を一定に制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記5)
付記1記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記光素子のバイアス電圧を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くすることで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記6)
付記5記載の光受信装置において、
前記識別された信号のエラーレートを検出するエラーレート検出手段を有し、
前記制御手段は、前記エラーレート検出手段で検出したエラーレートが前記最小受信感度以下のとき、前記バイアス電圧を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くするように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記7)
付記5又は6記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが前記最小受信感度に対応する値より小さい所定値以下のとき、前記バイアス電圧を一定に制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記8)
付記1記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記信号の等価を行う等価器の等価帯域を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くすることで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記9)
付記8記載の光受信装置において、
前記識別された信号のエラーレートを検出するエラーレート検出手段を有し、
前記制御手段は、前記エラーレート検出手段で検出したエラーレートが前記最小受信感度以下のとき、前記等価帯域を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くするように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記10)
付記8又は9記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが前記最小受信感度に対応する値より小さい所定値以下のとき、前記等価帯域を一定に制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
(付記11)
入力光を光素子で受光して電気信号に変換し、前記光素子の出力する信号を等価、増幅及び識別する光受信装置のジッタトレランス制御方法において、
前記入力光のパワーを検出するステップと、
検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御するステップと、
を有することを特徴とするジッタトレランス制御方法。
(付記12)
付記11記載のジッタトレランス制御方法において、
前記入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御するステップは、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記信号の識別に用いる識別点を、前記入力光パワーに応じて最適点からずらすことで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とするジッタトレランス制御方法。
(付記13)
付記11記載のジッタトレランス制御方法において、
前記入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御するステップは、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記光素子のバイアス電圧を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くすることで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とするジッタトレランス制御方法。
(付記14)
付記11記載のジッタトレランス制御方法において、
前記入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御するステップは、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記信号の等価を行う等価器の等価帯域を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くすることで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とするジッタトレランス制御方法。
【符号の説明】
【0066】
11 光素子
12 プリアンプ
13 等価器
14 増幅器
15 識別回路
18 識別点制御部
19 パワーモニタ部
20 APDバイアス部
21 APDバイアス制御部
22 帯域制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力光を光素子で受光して電気信号に変換し、前記光素子の出力する信号を等価、増幅及び識別する光受信装置において、
前記入力光のパワーを検出する入力光パワー検出手段と、
前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする光受信装置。
【請求項2】
請求項1記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記信号の識別に用いる識別点を、前記入力光パワーに応じて最適点からずらすことで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項3】
請求項2記載の光受信装置において、
前記識別された信号のエラーレートを検出するエラーレート検出手段を有し、
前記制御手段は、前記エラーレート検出手段で検出したエラーレートが前記最小受信感度以下のとき、前記識別点を、前記入力光パワーに応じて最適点からずらすように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが前記最小受信感度に対応する値より小さい所定値以下のとき、前記識別点をリミット制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項5】
請求項1記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記光素子のバイアス電圧を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くすることで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項6】
請求項5記載の光受信装置において、
前記識別された信号のエラーレートを検出するエラーレート検出手段を有し、
前記制御手段は、前記エラーレート検出手段で検出したエラーレートが前記最小受信感度以下のとき、前記バイアス電圧を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くするように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが前記最小受信感度に対応する値より小さい所定値以下のとき、前記バイアス電圧をリミット制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項8】
請求項1記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記信号の等価を行う等価器の等価帯域を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くすることで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項9】
請求項8記載の光受信装置において、
前記識別された信号のエラーレートを検出するエラーレート検出手段を有し、
前記制御手段は、前記エラーレート検出手段で検出したエラーレートが前記最小受信感度以下のとき、前記等価帯域を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くするように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項10】
入力光を光素子で受光して電気信号に変換し、前記光素子の出力する信号を等価、増幅及び識別する光受信装置のジッタトレランス制御方法において、
前記入力光のパワーを検出するステップと、
前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御するステップと、
を有することを特徴とするジッタトレランス制御方法。
【請求項1】
入力光を光素子で受光して電気信号に変換し、前記光素子の出力する信号を等価、増幅及び識別する光受信装置において、
前記入力光のパワーを検出する入力光パワー検出手段と、
前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する制御手段と、
を有することを特徴とする光受信装置。
【請求項2】
請求項1記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記信号の識別に用いる識別点を、前記入力光パワーに応じて最適点からずらすことで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項3】
請求項2記載の光受信装置において、
前記識別された信号のエラーレートを検出するエラーレート検出手段を有し、
前記制御手段は、前記エラーレート検出手段で検出したエラーレートが前記最小受信感度以下のとき、前記識別点を、前記入力光パワーに応じて最適点からずらすように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが前記最小受信感度に対応する値より小さい所定値以下のとき、前記識別点をリミット制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項5】
請求項1記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記光素子のバイアス電圧を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くすることで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項6】
請求項5記載の光受信装置において、
前記識別された信号のエラーレートを検出するエラーレート検出手段を有し、
前記制御手段は、前記エラーレート検出手段で検出したエラーレートが前記最小受信感度以下のとき、前記バイアス電圧を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くするように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが前記最小受信感度に対応する値より小さい所定値以下のとき、前記バイアス電圧をリミット制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項8】
請求項1記載の光受信装置において、
前記制御手段は、前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、前記信号の等価を行う等価器の等価帯域を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くすることで入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項9】
請求項8記載の光受信装置において、
前記識別された信号のエラーレートを検出するエラーレート検出手段を有し、
前記制御手段は、前記エラーレート検出手段で検出したエラーレートが前記最小受信感度以下のとき、前記等価帯域を、前記入力光パワーに応じて最適点から低くするように制御する、
ことを特徴とする光受信装置。
【請求項10】
入力光を光素子で受光して電気信号に変換し、前記光素子の出力する信号を等価、増幅及び識別する光受信装置のジッタトレランス制御方法において、
前記入力光のパワーを検出するステップと、
前記入力光パワー検出手段で検出した入力光パワーが最小受信感度に対応する値以下のとき、入力光パワーに対するエラーレートを悪化させるように制御するステップと、
を有することを特徴とするジッタトレランス制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−288219(P2010−288219A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142505(P2009−142505)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(309015134)富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 (72)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(309015134)富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社 (72)
【Fターム(参考)】
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