説明

光学ガラス検査治具

【課題】光学ガラス検査治具に保持された光学ガラスの透過光の、光学ガラス検査治具の表面からの反射の影響を排除して、光学ガラスの傷等の検査精度向上と迅速化を図る。
【解決手段】光学ガラス検査治具の構成を、一または複数の光学ガラスを載置するためのガラス載置部31nと、載置された光学ガラスを保持するためのガラス保持部32とを有し、さらにガラス載置部31nが光学ガラス検査治具30Aの表面30xと裏面30yの間を連通する治具開口部31cを備え、ガラス保持部32が治具開口部31cの少なくとも2つの領域に配設されて光学ガラスを保持することができるとともに、光学ガラス35を通過した光が更に治具開口部31cを通過する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の光学機器において使用されるカバーガラスやカバーレンズ等の光学ガラスを検査するための光学ガラス検査治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラ等の光学機器、特に携帯電話と一体化され小型化されたデジタルカメラは、ンズの前方にカバーガラス等(以下、「光学ガラス」または「ガラス」と表記することがある)を配設して、レンズを保護している。こうしたガラスでは、撮像素子の小型化に伴って、小さな傷やしみがあると撮像された影像にしみ等を生じることがある。またガラスは、赤外線カットフィルター等の光学フィルタとなる干渉膜をコーティングしたものや、透過率を高めるための無反射コーティング膜を形成したものもある。これらコーティング膜等の傷等も像にしみ等を生じさせるため、傷等を確実かつ迅速に検査する技術が開発されてきた。
【0003】
例えば、ビデオカメラを使用してガラスの表面画像と裏面画像を得て、傷や汚れの有無を検査する技術である(特許文献1)。この検査技術では、光学ガラス検査治具(以下、「検査治具」と表記することがある)に保持されたガラスに光を照射してガラスの傷等の有無が判断される。ここで検査治具はテーブル(検査治具を搭載する搭載部)上に搭載され、ガラスの鉛直線方向の上方にはビデオカメラが配設され、ガラスの斜め上方に複数の光源が配設され、ビデオカメラはこれら光源の照射光で得られた影像を電気信号に変換して映像信号とし、この映像信号に所定の処理を施すことで傷等の検査が行なわれる。
【0004】
この検査では、検査治具の縦横方向に多数のガラスが載置されており、テーブルは縦横方向に移動して、任意のガラスをビデオカメラの撮像位置に位置づける。ガラスに照射された光は、ガラスに傷等がなければ、ガラスを透過するからビデオカメラで検出されない。しかしガラスに傷等があると、傷等で反射または散乱した光による影像がビデオカメラで検出される。目視の場合には顕微鏡で傷等を検出できる。
【0005】
しかしガラスの裏面と相対する検査治具の表面領域において、ガラスを透過した光がわずかであるが反射または散乱する。検査治具に無反射黒色加工等を施しても、反射率を数%(例えば2〜4%)程度以下にすることは困難だからである。しかも、多数のガラスを短時間に検査するための検査治具はトレイのような形状となって、ガラス裏面と検査治具の表面領域との間隔が数mm(例えば1〜2mm)程度となる。従って検査治具の表面領域での反射光や散乱光等が傷等の検出を妨げることもある。
【0006】
ここで反射光等と傷等の影像との分別性を向上させようとすると、目視の場合には、検査員の技量に依存することになって検査時間がかり、また検査員の疲労原因となる等の問題が生じる。ビデオカメラで得た映像信号で検査する場合には、映像処理を工夫することで分別性が高まるが、処理時間の増加や装置の複雑化等が生じる。
【0007】
また光学ガラスを該検査治具に載置するときに、光学ガラスが該検査治具と接触して、光学ガラスに傷等が生じ得るという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−085617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上記問題を解消するために、検査治具で保持された光学ガラスを透過した光の、検査治具の表面領域における反射光または散乱光の影響を排除することができて、光学ガラスの傷等の検査の精度向上と、迅速化を図ることができる(検査コストを低減できる)検査治具の実現を課題とするものであり、また光学ガラスに傷等を生じさせないために光学ガラスと該治具との接触面積を極力小さくすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明にかかる検査治具は、一または複数の光学ガラスを載置するためのガラス載置部、および載置された光学ガラスを保持するためのガラス保持部を有している。さらにガラス載置部が該検査治具の表面と裏面との間を連通する治具開口部を備え、ガラス保持部が治具開口部の少なくとも2つの領域に配設されて、光学ガラスを保持できるようになっている。
【0011】
すなわち光学ガラスを載置した該検査治具を光学ガラス検査装置(以下、「検査装置」と表記することがある)の搭載部に搭載して、光源から光学ガラスに光を照射することで、光学ガラスに傷やしみ等があれば、照射された光が傷等で反射または散乱されて、顕微鏡等で傷として検出される。一方、ガラスの傷やしみ等で反射または散乱されなかった光は、光学ガラスおよび治具開口部を通過する。こうして光学ガラスおよび治具開口部を通過した光が、治具開口部に、反射光や散乱光として戻ってこなければ、傷等の検出が妨げられることはない。
【0012】
ここで検査装置が、該検査治具を搭載する搭載部に搭載部開口を有し、搭載部開口と治具開口部とが相対するように該検査治具を搭載するようになっていれば、光学ガラスおよび治具開口部を通過した光は、さらに検査装置の搭載部開口を通過する。こうした光を吸収しまたは治具開口部に戻らない方向に反射すれば、傷等の検出が妨げられることはない。
【0013】
また治具開口部の2つの領域に配設されたガラス保持部は、それぞれ保持部斜面を有し、これら保持部斜面の上端と治具開口部の中心との間隔が、これら保持部斜面の下端と治具開口部の中心との間隔よりも広くなっていれば、これら保持部斜面が光学ガラスの周辺縁と線接触して、光学ガラスを保持することができる。このような栓接触であれば、光学ガラスの裏面または表面(以下、「裏面等」と表記することがある)に傷等が生じることを回避することができる。
【0014】
または該検査治具が、治具開口部の縁部に形成された開口縁部とガラス支持部とを有して、光学ガラスの端面と相対する開口縁部で該光学ガラス検査治具の表面方向における光学ガラスの載置位置を規定するとともに、光学ガラスの裏面等と接するガラス支持部で該光学ガラス検査治具の厚さ方向における光学ガラスの載置位置を規定して、光学ガラスを保持することができる。この場合には、光学ガラスにおける光束通過領域を除いた光学ガラスの光学ガラスの周辺縁の近傍領域だけがガラス支持部と面接触するようする(面接触で光学ガラスにしみ等が生じても、これによるカメラ等における影像のしみを回避することができる。)。
【0015】
なお治具開口部における2つの領域とは、代表的には平面視長方形状の光学ガラスの場合には相対する長辺領域および短辺領域であり、円板形状の光学ガラスの場合には点対称の円周領域等である。また光学ガラスにおける光束通過領域とは、例えばデジタルカメラ等の光学機器において、光学像を結像するために必要な光束が光学ガラスを通過するために必要とされる領域である。
【発明の効果】
【0016】
以上のとおり本発明にかかる光学ガラス検査治具は、治具開口部を設けたことによって、該検査治具に搭載された光学ガラスを透過した光の、該検査治具の表面領域における反射光または散乱光の影響を排除することができて、光学ガラスの傷等の検査の精度向上と、迅速化を図ることができる。
【0017】
また本発明にかかる光学ガラス検査治具は、光学ガラスが該検査治具と接触する領域を極めて僅かにすることができて、光学ガラスを該検査治具に載置することで生じ得る傷等の発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる光学ガラス検査治具を使用して光学ガラスの検査を行う検査装置の一例(概略構成例)を示す図である。
【図2】本発明の一実施例(実施例1)にかかる光学ガラス検査治具の平面視概略構成を示す図である。
【図3】図2に示す光学ガラス検査治具におけるガラス載置部とその近傍の概略構成を示す図である。
【図4】図2に示すガラス載置部とその近傍の概略斜視図である。
【図5】本発明にかかる光学ガラス検査治具を使用して光学ガラスの検査を行う検査装置の他の例(概略構成例)を示す図である。
【図6】実施例1の光学ガラス検査治具の変形例におけるガラス載置部とその近傍の概略断面構成を示す図であり、同図(a)は変形例1における概略断面構成を示し、同図(b)は変形例2における概略断面構成を示す図である。
【図7】実施例1の光学ガラス検査治具において、ガラス支持部を治具開口部の相対する2組の領域(4つの領域)に設けた場合の平面視概略構成を示す図である。
【図8】本発明の他の実施例(実施例2)にかかる光学ガラス検査治具のガラス載置部とその近傍の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明にかかる光学ガラス検査治具について説明する。
【実施例1】
【0020】
先ず、検査装置の概要を説明したのちに、本発明にかかる光学ガラス検査治具について説明する。
【0021】
(検査装置)
検査装置1(図1)は、顕微鏡10、光源15、水平に位置づけられたテーブル21と、テーブル21を駆動する駆動装置22とを有する位置決め機構20、黒色の反射部40および黒色の光吸収部50を有している。
【0022】
顕微鏡10は、対物レンズ11(以下、「レンズ11」と表記する)、顕微鏡本体12および接眼レンズ13を有して、水平に位置づけられたテーブル21の上方に配設され、レンズ11の光軸11xがテーブル21と直交している。光軸11x近傍には、2つの光源15aおよび15bを有する光源15が顕微鏡本体12と一体になって配設されている。光源15aおよび15bが照射する光は、光軸11xと略平行する領域内(図1中、1点鎖線15xおよび15yで示す領域内)を比較的狭い光ビームとなって、テーブル21に照射される。
【0023】
位置決め機構20は、テーブル21と、このテーブル21を水平面上で直交する2方向に変位させるための駆動装置22を有している。テーブル21は、その略中央部領域に、表面21aと裏面21bとを連通するテーブル開口21cを有している。テーブル21の表面21aでは、テーブル開口21cを囲むように検査治具位置決め部21dが突出して形成されて、テーブル21に搭載する検査治具の搭載位置を規定している。
【0024】
テーブル開口21cの下方に配設された黒色の反射部(反射板)40は、光軸11x上の位置Pにおいて、光軸11xと交叉角θ(例えばθ=45度)で交叉している。ここで反射部40の反射面40aは平面をなしている。従って位置Pでは、入射角および反射角が45度で、反射光の光軸40xがテーブル21と平行するようになっている。反射面40aは、例えば反射率2〜4%程度であり、さらに光源15から照射された光ビームを殆どとらえることができる面積を有している。反射光の光軸40x方向には、光軸40xと直交する低反射率(黒色)の光吸収面50aを有した光吸収部50が配設されており、反射面40aからの反射光は、光吸収部50で殆ど吸収される。
【0025】
従って、光源15が、照射した光でテーブル開口21cを通過した光は、反射部40で吸収されるとともに、反射部40で反射された反射光は、光吸収部50で吸収されて、テーブル開口21cの近傍に戻らない。
【0026】
(検査治具)
本発明の一実施例にかかる光学ガラス検査治具(検査治具)30Aは、図2に示すように平面視で略長方形状をなし、表面等が無反射黒色加工されたアルミ等の金属で形成され、その長辺および短辺方向に整列して配列された平面視が長方形状のガラス載置部31n(n=1、2・・・n)を有している。
【0027】
ガラス載置部31n近傍の平面視および断面構成(A−A断面構成)を図3に、斜視図を図4に示すように、ガラス載置部31nは検査治具30Aの表面30xと裏面30yとを連通する長方形状の治具開口部31cを有し、この治具開口部31cは2つの短辺周壁31aおよび長辺周壁31bを有している(いずれの周壁も検査治具30Aの表面30xと直交している。)。ここで2つの短辺周壁31aには、相対するガラス保持部32がそれぞれ形成されているが、2つの長辺周壁31bにはガラス保持部32が形成されていない。
【0028】
ガラス保持部32は、その上端32aが検査治具30Aの表面30xより若干裏面30yに寄った位置に、その下端32bが検査治具30Aの裏面30yより若干表面30xに寄った位置にそれぞれ位置づけられた保持部斜面32sを有している。この保持部斜面32sは、上端32aから下端32bにかけて、下端32b側が治具開口部31cの中心31xに向けて傾斜しており、相対した保持部斜面32sの上端32aの間隔はW1であり、下端32bの間隔はW2である(W1>W2である。)。
【0029】
このようにガラス載置部31nは、相対する2つのガラス保持部32において検査治具30Aの表面30x側が裏面30y側よりも開いている。ここで治具開口部31cをガラス35の平面視形状よりも若干大きく且つ略相似形状に形成し、保持部斜面32sにおいて、その上端32aの間隔W1をガラス35の長手方向の長さより長く、その下端32bの間隔W2をガラス35の長手方向の長さより短く形成することで、表面30x側から載置されたガラス35を保持部斜面32sで保持することができる(ガラス35の周辺縁35aが保持部斜面32sと線接触する。)。
【0030】
なお検査治具30Aの表面30xと保持部斜面32sの上端32aとの間には、検査治具30Aの表面30xと直交するガラス保持部32の上部壁部32uが形成されている。また検査治具30Aの裏面30yと保持部斜面32sの下端32bとの間には、検査治具30Aの裏面30yと直交するガラス保持部32の下部壁部32tが形成されており、ガラス35の光束通過範囲は相対する下部壁部32tの間に位置づけられる。
【0031】
(光学ガラスの検査)
次に、検査治具30Aを使用した光学ガラスの検査について説明する。検査装置1によるガラス35の検査は以下の手順で行われる。所定の形状にカットされたガラス35は、図示しないピックアップ装置によって、検査治具30Aのガラス載置部31nに載置され、この検査治具30Aがテーブル21に搭載される。このとき、すべてのガラス載置部31nがテーブル開口21cの上方に位置づけられる。
【0032】
傷等の検出は、検査治具30Aのガラス載置部31nについて、例えばn=1、2・・・nの順番で行われる(駆動装置22によってテーブル21を水平方向で2次元的に変位させることで、すべてのガラス載置部31nが順番に光軸11x上に位置づけられる。)。光軸11x上に位置づけられたガラス載置部31nの領域が検査領域となって、光源15が照射した光ビームが光軸11xと交叉するガラス載置部31nに照射される。
【0033】
傷等の検出は次のように行われる。検査領域に位置づけられたガラス35に傷やしみがある場合には、これら傷等の性状に応じた反射光や散乱光が生じる。これら反射光等を顕微鏡10でとらえて傷等を検査する。ここでガラス35に傷やしみがない場合には、照射された光はガラス35を透過し、治具開口部31cおよびテーブル開口21cを通過して黒色の反射部40へ到達する。ここで吸収されなかった光は、光軸40xとその近傍を通過して光吸収部50の光吸収面50aに到達して吸収される。
【0034】
図5に示す検査装置2は、検査装置1における反射部40を光吸収部50に置き換えたものである。光吸収部50は、光軸11xと直交し、かつテーブル21の下方に配設されている。光吸収面50aは、例えば黒色のフェルトによって覆われており入射した光を吸収する。
【0035】
検査治具30Aは、いずれの検査装置においても、ガラス載置部31nに載置したガラス35を透過した光を、さらに治具開口部31cを通過させることで、検査治具30Aの表面領域における反射光または散乱光の発生を防いで、光学ガラスの傷等の検査精度向上と、迅速化を図ることができる。
【0036】
(検査治具の変形例)
次に検査治具30Aの変形例を図6(a)および(b)に示す。図6(a)に示す検査治具30B(変形例1)は、その表面30xにおいて治具開口部31cを取り囲むように突出して形成された開口縁部33aを有している。検査治具30Bの例では、開口縁部33aがガラス保持部32の上端32aと同じ高さて突出している。開口縁部33aは、治具開口部31cの4辺に設けられていてもよく、2つの短辺周壁31aに接するように設けられてもよく、または2つの長辺周壁31bに接するように設けられてもよい。
【0037】
図6(b)に示す検査治具30C(変形例2)は、その表面30xに保持部斜面32sの上端32aが位置づけられ、その裏面30yに保持部斜面32sの下端32bが位置づけられている(検査治具30Aから、ガラス保持部32の上部壁部32uおよび下部壁部32tを除いた構成となっている。)。
【0038】
なおガラス保持部32は、図7に示すように、相対する2つの短辺周壁31aおよび2つの長辺周壁31bにそれぞれ設けてもよく、または相対する2つの長辺周壁31bに設けてもよい(図示せず)。
【0039】
また図3中において、ガラス保持部32の下部壁部32tの近傍領域が検査治具30Aの面方向(図3中の水平方向)に僅かに突出していてもよい。この場合には、保持部斜面32sの下端32bと下部壁部32tの上端との間に検査治具30Aの裏面30yと平行する僅かな平面が形成されるが、ガラス35の周辺縁35aが保持部斜面32sと線接触して、ガラス35の裏面等は上記突出した下部壁部32tと面接触しない。
【実施例2】
【0040】
本発明の他の実施例(実施例2)にかかる検査治具30Dを図8(a)および(b)に基づいて説明する。ここで実施例1と同様の機能を有する構成要素については、同一の符合を付してそれらの説明を省略する。
【0041】
検査治具30Dは、治具開口部31cの周辺部において表面30xから突出して形成された開口縁部33aを有している。開口縁部33aと治具開口部31cとの間にはガラス支持部33bが形成され、このガラス支持部33bは検査治具30Dの表面30xと平行する平面をなしている。そして開口縁部33aの周壁33uおよびガラス支持部33bの下方の周壁33tが検査治具30Dの表面30xと略直交している。
【0042】
これら開口縁部33a、およびガラス支持部33bが、長方形状のガラス保持手段33を形成しており、開口縁部33aは検査治具30Dの表面方向におけるガラス35の位置を規定し、ガラス支持部33bは検査治具30Dの厚さ方向におけるガラス35の位置を規定する。こうしてガラス保持手段33はガラス35が載置される位置を規定する。
【0043】
ここでガラス35の4つの辺部を支えるガラス支持部33bは、極力狭いことが望ましい。なぜならばガラス支持部33bを極力狭くすることで、ガラス35の周辺縁35aの近傍領域におけるガラス35の裏面等とガラス支持部33bとが接する面積を極力狭くして、ガラス35の裏面等に傷等が生じることを防止できるからである。また開口縁部33aの周壁33uとガラス35の4辺周面との間は、若干の隙間が形成されて、ガラス保持手段33へのガラス35の載置等が円滑に行われるようになっている。もちろんガラス35における光束通過領域は、ガラス支持部33bの下方の周壁33tの間に位置づけられるようになっている。
【0044】
なお開口縁部33aが検査治具33Dの表面30xから突出する必要はなく(例えば、開口縁部33aの上面が検査治具33Dの表面30xとなるように構成されていてもよく)、ガラス保持手段33は、開口縁部33aの周壁33u、およびガラス支持部33bとを有していれば、ガラス35を保持することができる。
【0045】
ところで本発明にかかる検査治具の治具開口部におけるガラス保持部を設ける領域とは、検査治具の治具開口部において、光学ガラスを保持するために必要なガラス保持部を配設するための領域であり、治具開口部の中心からみて異なる方向の領域をいう。かかる領域は、治具開口部の中心からみて、方向が90度以上異なる少なくとも2つ必要となる。従って治具開口部の周壁近傍のすべての領域は、方向が90度以上異なる複数の領域の集合となる。
【0046】
例えば、平面視長方形状の光学ガラスの場合には、治具開口部の一方の長辺周壁の両端側領域(2つの領域)と他方の長辺周壁の中央部領域(1つの領域)の、計3つの領域であってもよい。また平面視円形形状の光学ガラスの場合には、治具開口部の円形形状の円周壁を3等分した周壁上の3つの領域であってもよい。さらに治具開口部の内周壁のすべての領域に連続したガラス保持部を設けた場合においては、方向が90度以上異なる複数の領域に設けたガラス保持部の集合となるのである。
【0047】
このように本発明にかかる光学ガラス検査治具は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明にかかる光学ガラス検査治具は、それを工業的および商業的に製造、販売および使用等できるものだから経済的価値を有して産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0049】
1、2 光学ガラス検査装置
30A、30B、30C、30D 検査治具(光学ガラス検査治具)
30x 光学ガラス検査治具の表面
30y 光学ガラス検査治具の裏面
31a 治具開口部の短辺周壁(治具開口部の領域)
31b 治具開口部の長辺周壁(治具開口部の領域)
31c ガラス載置部の治具開口部
31n ガラス載置部
31x 治具開口部の中心
32 ガラス保持部
32a 保持部斜面の上端
32b 保持部斜面の下端
32s 保持部斜面
33 ガラス保持手段
33a 開口縁部
33b ガラス支持部
35 ガラス(光学ガラス)
35a ガラスの周辺縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学ガラスを検査装置で検査するための光学ガラス検査治具であって、
一または複数の前記光学ガラスを載置するためのガラス載置部と、
前記ガラス載置部に載置された前記光学ガラスを保持するためのガラス保持部とを有し、
さらに前記ガラス載置部が該光学ガラス検査治具の表面と裏面との間を連通する治具開口部を備え、
前記ガラス保持部が前記治具開口部の少なくとも2つの領域に配設されて前記光学ガラスを前記ガラス載置部において保持することができるとともに、
前記ガラス載置部に照射された光は、前記光学ガラスを通過して、さらに前記治具開口部を通過すること特徴とする光学ガラス検査治具。
【請求項2】
前記治具開口部の少なくとも2つの領域に配設された前記ガラス保持部は、
それぞれが保持部斜面を有し、前記保持部斜面の上端と前記治具開口部の中心との間隔が、前記保持部斜面の下端と前記治具開口部の中心との間隔よりも広くなっており、前記保持部斜面が前記光学ガラスの周辺縁と線接触して、前記光学ガラスを保持すること、
または前記治具開口部の縁部に形成された開口縁部とガラス支持部とを有して、前記開口縁部が、前記光学ガラスの端面と相対して、該光学ガラス検査治具の面方向における前記光学ガラスの載置位置を規定するとともに、前記ガラス支持部が、前記光学ガラスの表面または裏面と接して、該光学ガラス検査治具の厚さ方向における前記光学ガラスの載置位置を規定して、前記光学ガラスを保持することを特徴とする光学ガラス検査治具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−198072(P2012−198072A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61683(P2011−61683)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(511072116)株式会社サンテック (3)
【Fターム(参考)】