説明

光学キャリッジの検査装置及び光学キャリッジの検査方法

【課題】光源と画像読取センサと読取り光学系を備えた光学キャリッジの特性を簡単で、短時間に検査することを可能とする。
【解決手段】読取開口11を有するキャリッジフレーム15に、光源9と、画像読取センサ8と、光源からの反射光を画像読取センサに導くミラー10及びレンズ7と、を搭載した光学キャリッジCの検査装置を次のように構成する。キャリッジフレームを保持するキャリッジ支持台21と、テストチャートを保持するチャート支持台25と、これを位置移動する駆動手段28と、この駆動手段を制御する制御手段(コントローラ)30と、センサから出力される読取信号と基準値とを比較する判別手段(コンピュータ)35とを備える。キャリッジ支持台は、キャリッジフレームの両側端部を読取開口が下向き姿勢で支持する載置面22a、22bで構成し、チャート支持台はキャリッジフレームの読取開口と直交する方向に位置移動可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ装置、複写機、ファクシミリ等に使用される原稿画像を読み取る光学キャリッジの検査装置に係わり、特に光学系とイメージセンサが一体構成された光学ユニットにおける光学特性の検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原稿画像を読み取るスキャナ装置は、例えばコンピュータシステムの入力装置として、或いは複写機、ファクシミリ等の原稿読取装置として広く知られている。そしてその構造として、プラテン上にセットした原稿シートを、このプラテンに沿って移動する光学キャリッジで画像読取りする装置が知られている。
【0003】
この種のスキャナ装置は、例えば特許文献1に開示されているようにプラテンに沿って往復動する光学ユニット(以下「光学キャリッジ」という)を設け、この光学ユニットに光源ランプと、この光源からの光の反射光をミラーで所定方向に変更して集光レンズで光センサに導き、この光センサで光電変換した電気信号を電気的に処理(例えばデジタル化)して出力する装置が知られている。
【0004】
このように光学キャリッジは、樹脂成形などで形成したキャリッジフレームに光源と、偏向ミラーと、集光レンズと、光センサを搭載し、このキャリッジフレームをプラテンに沿って往復動可能にガイドレールに支持している。そしてこのキャリッジフレームを駆動モータで所定方向に一定速度で移動し、この移動過程でプラテン上の原稿画像をライン毎に読み取る。そして光センサとしてはCCDディバイスなど複数のセンサ素子をライン状に配列したセンサアレイが多く用いられている。
【0005】
そこで光学キャリッジの製作精度が読み取った画像データに影響を及ぼす。例えば原稿画像からの反射光を所定方向に偏向するミラーの位置精度(偏向角度)、集光レンズの収差特性によって読取画像に画像ボケ、色ズレ、歪曲などの問題が生ずる。そしてその原因は光学エレメント(ミラー、集光レンズなど)の部品精度と、その取付け精度(主に寸法精度)に存在する。そこで光学キャリッジの製作過程で、そのキャリッジが所定の仕様を満たすか否かを判別することが求められる。
【0006】
例えば特許文献2には光源と、反射ミラーと、集光レンズと、光センサとを具えた画像読取システムの品質検査装置が提案されている。同文献には、所定のパターン画像を形成したテストチャートを光センサで読み取って、その出力信号を解析して倍率精度および送り精度を確認するためのパターン画像が提案されている。
【0007】
また特許文献3には、光源と、集光レンズ(セルホックスレンズ)と、イメージセンサを具えた光学ユニットの検査装置が提案されている。同文献には、イメージセンサから出力される電圧出力値を測定する演算手段と、光源からの光量を検出する光量測定手段とを備え、この演算手段にセンサの分光感度、光学系の透過率(感度)を入力して光学ユニットの出力値の範囲を決定することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−035940号公報
【特許文献2】特開2001−274941号公報
【特許文献3】特許第3168029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように光学キャリッジの品質精度を検査する装置及び方法として、従来は前掲特許文献2、3に開示されているように光学キャリッジを装置内に画像を読み取る姿勢で組み込んで、その出力値を判断している。つまり、一般的に光学キャリッジはガラスプラテンの下方に配置され、上方に位置する原稿画像に光源から光を照射し、その反射光を光センサ基板上に結像してセンサからの出力値を基準値と比較する検査システムを採用している。
【0010】
このような検査システムでは、例えばテストチャートを上方に位置するプラテンガラスにセットし、その下方に検査する光学キャリッジを配置している。そして特許文献2の装置では光学キャリッジを副走査方向に位置移動して、その光センサからの出力値を得ている。また特許文献3の装置では光学キャリッジを固定した状態でその光センサからの出力値を得ている。このように従来の検査装置では検査する光学キャリッジをプラテンガラスの下方に配置している。
【0011】
このようなレイアウト構成で、例えば光センサをRGB3ラインのセンサ素子配列に構成すると、この各ラインのセンサ特性、例えば集光レンズ等の色倍率の違いによる色ズレを検出するためには光学キャリッジ自体を副走査方向に移動してその出力値を検出する必要がある。この場合に従来のプラテンの下方に検査する光学キャリッジを副走査方向に位置移動可能に配置することは、困難な作業を余儀なくされる。例えば上方に位置するプラテンを取り外して、その内部に光学キャリッジをセットし、このキャリッジを位置移動する駆動装置に連結することは時間を要し、同時にその移動精度など測定精度に問題を引き起こす。
【0012】
そこで本発明者は、光学キャリッジを上方に、テストチャートを下方に配置し、このテストチャートを副走査方向に位置移動するとの着想に至った。これにより光学キャリッジをその支持台に載置セットする作業で簡単にテストチャートを読み取ることが可能であることを究明した。
【0013】
本発明は、光源と画像読取センサと読取り光学系を備えた光学キャリッジの光学特性を簡単で、短時間に検査することが可能な光学キャリッジの検査装置の提供をその主な課題としている。
更に、本発明はカラーラインセンサを搭載した光学キャリッジの画像ブレを簡単で精度良く検出することが可能な光学キャリッジの検査方法の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を達成するため本発明は、光学キャリッジのキャリッジフレームを保持するキャリッジ支持台と、所定のパターン画像を具えたテストチャートを保持するチャート支持台と、このチャート支持台を位置移動する駆動手段とを備える。そして、上記キャリッジ支持台を、キャリッジフレームの両側端部を読取開口が下向きとなるように支持する左右一対の載置面で構成し、上記チャート支持台を、載置面に支持されたキャリッジフレームの下方でその読取開口と直交する方向に位置移動可能に構成することを特徴としている。
【0015】
以下その構成を詳述する。読取開口(11)を有するキャリッジフレーム(15)に、光源(9)と、画像読取センサ(8)と、光源からの反射光を画像読取センサに案内するミラー(10)及びレンズ(7)と、を搭載した光学キャリッジ(C)の検査装置であって、前記キャリッジフレームを保持するキャリッジ支持台(21)と、所定の検査画像を具えたテストチャートを保持するチャート支持台(25)と、前記チャート支持台を位置移動する駆動手段(28)と、前記チャート支持台を位置移動させて前記画像読取センサで前記検査画像を読取るように前記駆動手段を制御する制御手段(後述のコントローラ30)と、前記画像読取センサから出力される読取信号と予め設定した基準値とを比較判別する判別手段(後述のコンピュータ35)とを備える。
【0016】
そして前記キャリッジ支持台は、前記キャリッジフレームの両側端部(15a、15b)を前記読取開口が下向きとなるように支持する左右一対の載置面(22a、22b)で構成し、前記チャート支持台は、前記載置面に支持された前記キャリッジフレームの読取開口と直交する方向に位置移動可能に構成する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、光学キャリッジを保持するキャリッジ支持台を、キャリッジフレームの両側端部を読取開口が下向きとなるように支持する左右一対の載置面で構成し、この載置面に支持されたキャリッジフレームの下方にチャート支持台を、その読取開口と直交する方向に位置移動可能に構成し、このチャート支持台に所定のパターン画像を有するテストチャートを保持し、このパターン画像を副走査方向に位置移動して画像読取センサからの読取信号に基づいて光学キャリッジの光学特性を判別するようにしたものであるから以下の効果を奏する。
【0018】
光学特性を検査する光学キャリッジは、キャリッジフレームの両側端部を読取開口が下向きとなるように左右一対の載置面に載置セットして、下方に配置したチャート支持台上のパターン画像を位置移動するようにしたので光学キャリッジのセットが容易で検査に要する時間を短縮することが可能である。
【0019】
また、画像読取センサを複数のセンサ素子を有するラインセンサで構成し、チャート支持台には、その略々中央部にテストチャートの載置面を設け、中央部に位置するセンサ素子からの出力信号に基づいて光学特性を判別するように構成することによって、検査装置を小型でコンパクトに構成することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係わる光学キャリッジの全体構成の説明図。
【図2】図1の光学キャリッジの断面構成の説明図。
【図3】本発明に係わる検査装置のシステム構成図。
【図4】図3の検査装置の全体を示し、(a)は斜視図、(b)は要部平面の説明図。
【図5】図3の検査装置における色ズレ検出の光学レイアウトの説明図。
【図6】図1の光学キャリッジを搭載した画像読取装置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[光学キャリッジの構成]
まず本発明に係わる光学キャリッジの構成について説明する。図1に示すように本発明に係わる光学キャリッジ(以下「キャリッジ」という)6は、キャリッジフレーム15と、光源9と、反射ミラー10と、集光レンズ7と、画像読取センサ8と、から構成される。キャリッジフレーム15は、例えば耐熱性に富んだ樹脂で構成され、光源ランプ9と撮像素子(反射ミラー、集光レンズ)と、画像読取センサ8とを搭載する。
【0022】
このキャリッジフレーム15には原稿シートの有効読取幅Ls(図1参照)に応じた読取開口11が形成され、この読取開口11から原稿シートに照射し、その反射光を撮像素子で画像読取センサ8上に照射する。そしてこのキャリッジフレーム15にはスキャナユニットAに準備されるスライド支持部材12a、12bに係合する6a、6bが設けられている。図示の装置はスライド支持部材をガイドロッド12aとガイドレール12bで構成し、後述するプラテン2の左右に一対配置してあり、キャリッジフレーム15にはガイドロッド12aと嵌合する軸受係合部6aと、ガイドレール12bに係合するスライド係合部6bが設けてある。
【0023】
上記光源9は図2に示すようにキャリッジフレーム15の読取開口11に形成されている有効読取幅Lsに沿って線状光を照射する光源ランプで構成されている。図示15aは耐熱性のランプカバーであり、図示15bは反射板である。光源ランプ(光源)9は、蛍光灯、キセノンランプなどの棒状発光体或いは点状発光素子の光を線状光として照射する反射構造を採用する。このように構成された光源ランプ9はキャリッジフレーム15に一体的に取付けられ、読取開口11から後述するプラテン2上の原稿シートに読取光を照射することとなる。
【0024】
上記反射ミラー10は、所定長さの光路長を形成するように適宜複数枚で構成され、図示のものは10aで原稿画像の反射光を第2ミラー10bに向けて反射し、この光を第3ミラー10cから第4ミラー10dに導き、次いでこの第4ミラー10dからの光を第2ミラー10b、そして第1ミラー10a、第5ミラー10eで集光レンズ7に案内する。尚、原稿画像の反射光はこのような光路形成に限らず例えば第1、第2、2つのミラーで光路形成することも可能である。
【0025】
上記集光レンズ7は1枚若しくは複数枚の撮像レンズで構成され、反射ミラー10から送られた原稿画像の反射光を画像読取センサ8上に結像する。また、上記画像読取センサ8は、CCDなどの光電変換センサで構成され、集光レンズ7からおくられた原稿画像の反射光を光電変換する。特に、図示の画像読取センサ8は、カラーラインセンサで構成され、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各画素を構成するセンサ素子をライン状に3列配置している(図5参照)。このような構成の画像読取センサ8は基板8aに取付けられ、この基板8aがキャリッジフレーム15に固定されている。また、図1に示す18fは冷却ファンである。
【0026】
[検査装置の構成]
上述のキャリッジ6を検査する検査装置Dについて説明する。図3に示すように検査システムEは、画像読取部20とコントローラ30と、パーソナルコンピュータ35で構成されている。画像読取部20はキャリッジ6のフレーム(前述のキャリッジフレーム)15を載置セットするキャリッジ支持台21と、テストチャートを保持するチャート支持台25と、このチャート支持台25を位置移動する駆動手段28で構成されている。
【0027】
上記キャリッジ支持台21は、キャリッジ6を載置セットするように左右一対の載置面22a、22bと、この位置にキャリッジ6を位置決めする係合凹部23、24で構成されている。この左右一対の載置面22a、22bにキャリッジ6の読取開口11の両側部を載置支持し、このキャリッジ6の副走査方向の位置を係合凹部23、24で位置決めする。このため左右の載置面22a、22bはキャリッジ6を水平に支持する同一平面上に形成されている。また左右の係合凹部23、24はキャリッジ6の主走査方向xと直交する姿勢に位置決めするように形成されている。従ってキャリッジ6は、そのキャリッジフレーム15を載置面22a、22b上に載置し、その側面を係合凹部23、24に突き当て係合すると水平方向姿勢と副走査方向y姿勢が位置決め設定されることとなる。
【0028】
上記キャリッジ支持台21の下方に段差Ldを隔ててチャート支持台25が配置されている。このチャート支持台25は載置面22a、22bの形成する平面と平行に形成され、その中央部にTcの載置面が設けられている。このチャート支持台25は図示しないが装置フレーム27に副走査方向(図示y方向)に移動可能にガイドレールに嵌合支持されている。そしてこの副走査方向y方向にボールネジ26が回転可能に軸支持され、このボールネジ26にチャート支持台25は螺合されている。
【0029】
従ってボールネジ26を駆動回転することによってチャート支持台25は副走査方向yに往復動することとなる。上記ボールネジ26には駆動モータ(不図示;パルスモータ)が連結され、この駆動モータとボールネジ26で駆動手段28が構成されている。
【0030】
コントローラ30は前述の駆動手段28のモータにパルス電源を供給し、同時に供給するデューティ値で速度コントロールする。これと共にコントローラ30は光源(光源ランプ)9と画像読取センサ8に画像読取に要する駆動電流を供給する。このためコントローラ30にはキャリッジ6を制御する制御ボードが内蔵され、キャリッジ支持台21に支持された光学キャリッジ6と電気的に結線されている。
【0031】
また、光学キャリッジ6には内部の画像読取センサ8からの出力信号を増幅して画像処理する画像処理基板34に電気的に接続され、この画像処理基板34から出力信号をパーソナルコンピュータ35に電送するようになっている。パーソナルコンピュータ35は、画像処理基板34から送られた画像信号を予め設定し記憶手段に記憶されている基準値と比較して判別する判別手段を構成している。その判別方法については後述する。
【0032】
上述のチャート支持台25にはテストチャートTcが載置され、このテストチャートTcは図5に示すように主走査方向xにおける原稿シートの読取り許容最大サイズLh、有効読取幅Lsに対して中央部Lxの一部のみを検出するチャート幅Lcに形成されている。つまり画像読取センサ8の中央部Lxのみを検出するチャート幅Lc(Lc<Lh)に構成されている。これはセンサ中央部のみの検出で後述する「色ズレ」を判別することによってチャート支持台25の小型化と測定時間の短縮化を図るためである。
【0033】
[色ズレ判別]
検査装置Dで判別される色ズレは、以下のように発生する。画像読取センサ8には、R、G、B各色のセンサが配置されており、各センサは原稿からの反射光を集光レンズ7を通して読取る。通常はR、G、Bの各センサにより原稿を読取り、画像補正(画像補正を行う理由:カラーCCDはR,G,Bのライン間が読み取り解像度の整数倍だけ離れているため、同一位置を読むためにR,G,Bの位置をあわせる補正を行う。)を行うことにより、元の原稿と同じ画像を読取り結果として出力する。
【0034】
このとき、集光レンズ7の品質不良により、センサが本来読取るべき位置から外れた原稿上の点を読取り、画像補正を行っても元の原稿と異なる画像が出力される。このようにして色ズレが発生する。
【0035】
上述のサイズ構成に形成されたテストチャートTcには画像読取センサ8の色ズレを検出するための検査画像が形成されている。この検査画像は、例えば格子形状のラインで、RGBに色分けされている。この格子状ラインを画像読取センサ8で読取り、その読取り画像を基準の格子パターンと比較することによって集光レンズ等の色倍率の違いによる色ズレを判別することが出来る。図示の装置ではパーソナルコンピュータ35で画像読取センサ8からの読取り画像データに基づいてセンサの色ズレが許容範囲内であるか否かを合否判別するようになっている。従って読取り信号と予め設定した基準値とを比較判別する判別手段をパーソナルコンピュータ35が構成することとなる。
【0036】
特に図示の装置は、前述のコントローラ30でチャート支持台25の副走査方向yへの移動速度を可変に構成している。これは光学キャリッジ6が仕様に応じて複数の機種構成の場合に検査するキャリッジ仕様の標準読取り速度に、チャート支持台25の移動速度を合致させるためである。この速度変更は、例えば前述の駆動モータをパルスモータで構成し、その電源供給パルスのデューティを変更することによって行う。
【0037】
[検査方法]
次に上述の検査装置Dによる検査方法について説明する。まず光学キャリッジ6はキャリッジフレーム15に、読取開口11が形成され、この読取開口11を基準に、光源ランプ9と反射ミラー10と集光レンズ7と、この集光レンズ7の後方に画像読取センサ8が配置されている。そして画像読取センサ8はラインセンサ(図示のものはカラーラインセンサ)で複数のセンサ画素がライン状に配列されている。
【0038】
そこで上記構成の光学キャリッジ6のキャリッジフレーム15をキャリッジ支持台21に載置して固定する(キャリッジセット工程)、これと共にキャリッジフレーム15の読取開口11と対向する位置にチャート支持台25が配置され、このチャート支持台25は副走査方向yに位置移動可能に構成されている。
【0039】
次に、キャリッジフレーム15の読取開口11と対向して配置されているテストチャートTcを駆動手段28で位置移動する(読取工程)。このテストチャートTcの位置移動でチャート上の検査画像を画像読取する。
【0040】
上記検査画像の画像読取で取得した画像データ(画像読取センサ8の出力信号)を所定の基準値と比較する(判別工程)。この工程で光学キャリッジ6の色ズレ量が所定範囲内であるか否かによって光学キャリッジ6の合否を判別する。このときラインセンサの主走査方向xの略々中央部に位置するセンサ素子からの出力信号に基づいて色ズレ特性を判別する。
【0041】
次に上述の光学キャリッジ6を搭載した、画像読取装置の構成について説明する。図6に示す画像読取装置はスキャナユニットAと、原稿給送ユニットBとから構成され、原稿給送ユニットBはスキャナユニットAの上部に設置されている。スキャナユニットAは図6に示すように外装ケーシング(筐体)1の上面に原稿走行プラテン(以下「第1プラテン」という)2と原稿固定プラテン(以下「第2プラテン」という)3とが並設配置されている。上記原稿給送ユニットBは第1プラテン2に原稿シートを給送するフィーダ機構4と、上記第2プラテン3上の原稿を覆うプラテンカバー5とから構成され、スキャナユニットAの上面に開閉自在にヒンジ連結されている。以下各構成を詳述する。
【0042】
[スキャナユニットの構成]
スキャナユニットAは外装ケーシング1に上述の第1プラテン2と第2プラテン3を備え、このケーシング内部に上述の光学キャリッジ6が内蔵されている。この光学キャリッジ6は上記第1、第2プラテン2、3の画像読取位置に選択的位置移動し、第1プラテン上を所定速度で移動する原稿シートの画像を読取り、第2プラテン3上にセットされた静止原稿を読み取るように構成されている。
【0043】
外装ケーシング1には幅方向に平行な一対のガイドロッド12aとガイドレール12bが設けられ、キャリッジフレーム15にはガイドロッド12aに嵌合する軸受嵌合部6aとガイドレール12bに係合するスライド係合部6bが設けられている。従って光学キャリッジ6は、外装ケーシング1に固定されたガイドロッド12aに軸受嵌合部6aが、ガイドレール12bに係合するスライド係合部6bがそれぞれ支持され図6左右方向に移動可能に構成されている。そしてこの光学キャリッジ6は図示しないベルト、ワイヤなどの伝動手段でキャリッジ移動モータ(不図示)に連結されている。このようなキャリッジ移動の構成は広く知られているので詳細な説明を省く。
【0044】
上記光学キャリッジ6には前述したように光源(光源ランプ)9からプラテン上の原稿画像に光を照射し、その反射光を反射ミラー10で集光レンズ7に導き、ラインセンサ(画像読取センサ)8上に結像することとなる。そしてこの結像された光をラインセンサ(画像読取センサ)8で電気的に変換して出力ケーブル(図示せず)から出力する。尚この出力ケーブルからの電気信号は図示しないデータ処理部で2値化され、ディザ補正など画像処理され外部装置に出力される。
【0045】
以上画像原稿をセットするプラテンとして第1,第2、2つのプラテンを備える構成について説明したが、本発明は第1又は第2のいずれか1つのプラテンで構成しても良い。この場合、前述の第1プラテン2を単独のプラテンで構成するときには光学キャリッジ6はプラテン面に沿って移動可能に構成することなく、例えば外装ケーシング1の底部にシャーシ状に固定配置すれば良い。
【0046】
[原稿給送ユニットの構成]
原稿給送ユニットBは図6に示すように上述の第1,第2プラテン2、3を覆うようにその上方に配置され、上記第1プラテン2に原稿シートを給送するリードローラ13と、第1プラテン2から原稿シートを上方に掬い上げるガイド部材14と搬出ローラ16とを備えている。更に上記リードローラ13の上流側には原稿シートを積載収納する給紙スタッカ17と、この給紙スタッカ17に積載されてシートを1枚ずつ分離給送する給紙ローラ19と、分離給送されたシート先端をスキュ修正するレジストローラ対29が配置されている。図示P1は給紙スタッカ17から第1プラテン2に原稿シートを案内する給紙経路であり、図示S1はプラテンに至る原稿の先端を検知するリードセンサである。
【0047】
図示の装置は第1プラテン2の上方に原稿シートを案内するバックアップローラ31が配置されている。このバックアップローラ31はリードローラ13と同一周速度で回転し第1プラテン2上に原稿シートをフィットさせる為であり、このバックアップローラ31を設けることなくプラテン上方にバックアップガイドを配置しても良い。
【0048】
上記搬出ローラ16の下流側には排紙ローラ32と排紙スタッカ33が配置されている。この排紙スタッカ33は図1に示すように給紙スタッカ17の下方に上下並列に配置され、その底部には前述の第2プラテン3上の原稿シートを押圧支持するプラテンカバー5が設けられている。
【0049】
このように構成された原稿給送ユニットBはスキャナユニットAの上部筐体(外装ケーシング)1にヒンジ部材で開閉自在に据え付けられている。そして第2プラテン3を開放した状態で原稿シートを載置セットし、この原稿給送ユニットBのプラテンカバー5でこの原稿を覆うように構成されている。
【0050】
一方この原稿給送ユニットBを開閉する際に第1プラテン2とバックアップローラ31(又はバックアップガイド)との間隔(原稿搬送ギャップ)が変化しないように原稿給送ユニットBのフレームには第1プラテン2に当接する位置決め突起(ストッパ部材;不図示)が設けられている。
【符号の説明】
【0051】
6 光学キャリッジ
7 集光レンズ
8 画像読取センサ
8a 基板
9 光源(光源ランプ)
10 反射ミラー
11 読取開口
12a スライド支持部材(ガイドロッド)
12b スライド支持部材(ガイドレール)
15 キャリッジフレーム
15a ランプカバー
15b 反射板
20 画像読取部
21 キャリッジ支持台
22a 載置面
22b 載置面
23 係合凹部
24 係合凹部
25 チャート支持台
26 ボールネジ
27 装置フレーム
28 駆動手段
30 コントローラ
34 画像処理基板
35 パーソナルコンピュータ(判別手段)
Ls 有効読取幅
Lc チャート幅
Lx 中央部
Tc テストチャート
A スキャナユニット
B 原稿給送ユニット
D 検査装置
E 検査システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取開口を有するキャリッジフレームに、光源と、画像読取センサと、光源からの反射光を画像読取センサに案内するミラー及びレンズと、を搭載した光学キャリッジの検査装置であって、
前記キャリッジフレームを保持するキャリッジ支持台と、
所定の検査画像を具えたテストチャートを保持するチャート支持台と、
前記チャート支持台を位置移動する駆動手段と、
前記チャート支持台を位置移動させて前記画像読取センサで前記検査画像を読取るように前記駆動手段を制御する制御手段と、
前記画像読取センサから出力される読取信号と予め設定した基準値とを比較判別する判別手段と、
を備え、
前記キャリッジ支持台は、
前記キャリッジフレームの両側端部を前記読取開口が下向きとなるように支持する左右一対の載置面で構成され、
前記チャート支持台は、
前記載置面に支持された前記キャリッジフレームの読取開口と直交する方向に位置移動可能に構成され、
ていることを特徴とする光学キャリッジの検査装置。
【請求項2】
前記画像読取センサは、カラーラインセンサで構成され、
前記判別手段は、前記テストチャートの検査画像を読取った前記カラーラインセンサからの出力信号と予め設定した基準値とを比較して前記光学キャリッジの色ズレ特性を判別するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学キャリッジの検査装置。
【請求項3】
前記画像読取センサは、複数のセンサ素子を有するラインセンサで構成され、
前記チャート支持台は、前記読取開口の主走査方向の略々中央部にテストチャート載置面が形成され、
前記判別手段は、前記ラインセンサの前記読取開口の中央部に位置するセンサ素子からの出力信号と予め設定した基準値とを比較判別するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学キャリッジの検査装置。
【請求項4】
読取開口を有するキャリッジフレームに、光源と、画像読取センサと、光源からの反射光を画像読取センサに案内するミラー及びレンズと、を搭載した光学キャリッジの検査方法であって、
前記キャリッジフレームをキャリッジ支持台に載置して固定するキャリッジセット工程と、
前記キャリッジフレームの読取開口と対向配置されたテストチャートを位置移動する読取工程と、
前記読取工程における前記画像読取センサの出力信号を所定の基準値と比較する判別工程と、
から構成され、
前記画像読取センサは、カラーラインセンサで構成され、
前記判別工程では、前記カラーラインセンサの主走査方向の略々中央部に位置するセンサ素子からの出力信号に基づいて色ズレ特性を判別することを特徴とする光学キャリッジの検査方法。
【請求項5】
前記読取工程における前記テストチャートの位置移動は、複数の移動速度の1つを選択して実行することを特徴とする請求項4に記載の光学キャリッジの検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−273043(P2010−273043A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122317(P2009−122317)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】