説明

光学シート、バックライトユニット及びディスプレイ装置

【課題】バックライトユニット及びディスプレイ装置の軽量化、高輝度化、低消費電力化を図ることができるようにする。
【解決手段】板状に形成されて一方の面が光の入射面2bをなすと共に他方の面が光の出射面2aをなす光透過性の透光性基材2と、該透光性基材2の出射面2aに沿って延びて前記出射面2aに一体に設けられる複数の単位レンズ3とを備え、複数の単位レンズ3が、前記出射面2aに沿って当該単位レンズ3の長手方向に交差する方向に配列され、各単位レンズ3が、前記出射面2aの上方に突出するように形成された凸状の曲面5を有すると共に、その頂部に前記長手方向に延びるV字状溝4が形成されていることを特徴とする光学シート1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学シート、それを用いたバックライトユニット及びディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、OA分野のカラーノートPC(パーソナルコンピュータ)等に使用するディスプレイ装置には、例えばTFT型液晶パネルやSTN型液晶パネルを使用した液晶表示装置がある。このような液晶表示装置においては、液晶パネルの背面側に光源を配置し、この光源からの光で液晶パネルを照明する方式、いわゆる、バックライト方式が採用されている。
また、バックライト方式に使用するバックライトユニットには、大別して冷陰極管(CCFL)等の光源ランプから出射された光を、光透過性に優れたアクリル樹脂等からなる平板状の導光板内において多重反射させる「導光板ライトガイド方式」(エッジライト方式)と、導光板を用いない「直下型方式」とがある。
【0003】
導光板ライトガイド方式のバックライトユニットを搭載した液晶表示装置としては、例えば図15に示すように、2つの偏光板171,173に挟まれた液晶パネル172の下面側に、略長方形板状のPMMA(ポリメチルメタクリレート)やアクリル等の透明な基材からなる導光板179を設置すると共に、該導光板179と偏光板173との間に拡散フィルム(拡散層)178を設けたものがある。この構成においては、光源ランプ176が導光板179の側端部に取り付けられており、光源ランプ176の光を効率よく導光板179中に入射できるように、光源ランプ176の背面側を覆う高反射率のランプリフレクター181が設けられている。
【0004】
そして、拡散フィルム178に対向する導光板179の下面には、光源ランプ176から導光板179に導入された光を効率よく上記液晶パネル172方向に均一となるように散乱して反射されるための散乱反射パターン部(不図示)が印刷などによって設けられると共に、散乱反射パターン部下方に反射フィルム(反射層)177が設けられている。
この散乱反射パターン部は、白色である二酸化チタン(TiO)粉末を透明な接着剤等の溶液に混合した混合物を、所定パターン、例えばドットパターンにて印刷し乾燥、形成したものであり、光源ランプ176から導光板179内に入射した光に指向性を付与し、導光板179の光出射面側へと導く役割を果たしている。すなわち、散乱反射パターン部を設けることで、光利用効率を向上させて液晶表示装置の高輝度化を図っている。
【0005】
ところで、最近では、さらなる高輝度化を図るために、例えば図16に示すように、拡散フィルム178と液晶パネル172との間に、光集光機能を備えたプリズムフィルム(プリズム層)174,175を設けることが提案されている。このプリズムフィルム174,175は、導光板179の光出射面から射出されて拡散フィルム178において拡散された光を、高効率で液晶パネル172の有効表示エリアに集光させるものである。
【0006】
しかしながら、図15に示す構成の液晶表示装置では、視野角の制御は、拡散フィルム178の拡散性のみに委ねられており、その制御は難しく、液晶画面の中心部は明るく、周辺部に行くほど暗くなる特性は避けられない。そのため、液晶画面を横から見たときの輝度の低下が大きく、光の利用効率の低下を招いていた。
また、図16に示す構成の液晶表示装置では、プリズムフィルム174,175の枚数が2枚必要であるため、プリズムフィルム174,175において吸収される光量の低下が大きいだけでなく、構成部品点数の増加によりコストが上昇する原因にもなっていた。
【0007】
一方、直下型方式のバックライトユニットを搭載した液晶表示装置としては、例えば図17に示すように、2つの偏光板171,173に挟まれた液晶パネル172の下面側に蛍光管等の光源151を複数並べて配置すると共に、光源151と偏光板173との間に拡散フィルム182を設けたものがある。なお、光源151からの光を効率よく照明光として利用するために、光源151の背面にはリフレター152が配置されている。この構成の液晶表示装置では、光源151から出射されて拡散フィルム182において拡散された光を、高効率で液晶パネル72の有効表示エリアに集光させることができる。
しかしながら、図17に示す構成は、導光板の利用が困難な大型の液晶TVなどの液晶表示装置に対して有効であるものの、画面の視野角が拡散フィルム182の拡散性のみに依存していることからその制御が難しい。すなわち、液晶画面の中心部は明るく、周辺部に行くほど暗くなる、という特性を回避することができない。したがって、液晶画面を横から見たときの輝度の低下が大きく、光の利用効率の低下を招いていた。
【0008】
この問題を解決するために、従来では、例えば図18,19に示すように、拡散フィルム182の上に、米国3M社の登録商標である輝度強調フィルム(Brightness Enhancement Film:BEF)185を配置し、さらにその上に光拡散フィルム184を配置することが考えられている。ここで、BEF185は、透明部材186上に断面三角形状の単位プリズム187が一方向に配列されたフィルムである。
このプリズム187は光の波長に比較して大きいサイズ(ピッチ)である。BEF185は、“軸外(off−axis)”からの光を集光し、この光を視聴者に向けて“軸上(on−axis)”に方向転換(redirect)または“リサイクル(recycle)”するものである。
【0009】
液晶表示装置の使用時(観察時)に、BEF185は、軸外輝度を低下させることによって軸上輝度を増大させる。ここでいう「軸上」とは、視聴者の視覚方向に一致する方向であり、一般的には液晶画面に対する法線方向側である、すなわち、図19におけるF方向に相当している。
なお、プリズム187の反復的アレイ構造が1方向のみの配列では、その配列方向での方向転換またはリサイクルのみが可能であるが、プリズム187群の配列方向が互いに略直交するように、2枚のBEF185を重ねて組み合わせて用いることで、画面の水平方向および垂直方向の両方で表示光の輝度制御を行なうことができる。
【0010】
このようなBEF185を輝度制御部材として用いた光学シートでは、光源からBEF185に入射された光が、屈折作用によって制御された角度で輝度制御部材から出射されるため、視聴者の視覚方向の光の強度を高めるように制御することができる。したがって、電力消費を低減しながら所望の軸上輝度を達成することができる。
上述したBEF185に代表されるプリズムの反復的アレイ構造を有する輝度制御部材を液晶表示装置に採用することは、特許文献1〜3に例示されるように多数のものが知られている。
【特許文献1】特公平1−37801号公報
【特許文献2】特開平6−102506号公報
【特許文献3】特表平10−506500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述したBEF185を採用した場合には、視聴者の視覚方向に出射する光線の他に、視聴者の視覚方向に向かない横方向に無駄に出射する想定外の光線が存在する。このため、例えば図20に示すように、BEF185を採用した光学シートから出射される光強度分布は、視聴者の視覚方向(軸上方向)に対する角度が0°における光強度が最も高められるものの、視覚方向に対する角度が±90°となる近辺に、小さな光強度ピークSLpが生じる。すなわち、横方向に無駄に出射される光(サイドローブ)が増えてしまうという問題がある。
この様な光強度ピークを有する輝度分布は望ましくなく、±90°近辺に光強度ピークのない滑らかな輝度分布とすることが望ましい。
【0012】
また、上述したBEF185を採用した場合には、軸上方向の輝度のみが過度に大きくなるため、輝度分布の曲線におけるピーク幅が著しく狭くなって視野角が極端に限定されてしまう。さらに、ピーク幅を適度に拡げるためには、上述したBEF185とは別の光拡散フィルムを新たに設ける必要があり、光学シートの構成部品点数が増えてしまうという問題がある。
【0013】
さらに、光学シートには、光の利用効率の向上だけでなく、光源のムラの除去や液晶画面における視野角の確保など様々な機能が求められているため、従来では、これらの機能を個別に備えたシートを複数枚重ね合わせて光学シートを構成している。しかしながら、光学シートを構成するシートの枚数が多いと、液晶表示装置の組み立て作業が煩雑になり、またシート間のゴミの影響を受け、小型化や薄型化の妨げになるなどの問題もある。
【0014】
また、このような液晶表示装置に対しては、軽量、低消費電力、高輝度であることが市場ニーズとして強く要請されており、それに伴い、液晶表示装置に搭載されるバックライトユニットに対しても、軽量、低消費電力、高輝度であることが要求されている。特に、近年目覚しい発展をみるカラー液晶表示装置においては、液晶パネルのパネル透過率がモノクロ対応の液晶パネルと比較して格段に低いため、バックライトユニットの輝度向上を図ることが、液晶表示装置自体の低消費電力を得るために必須となっている。
しかしながら、これまで述べてきたように、従来の液晶表示装置では、軽量、低消費電力、高輝度の要請に充分に応えられているとは言い難い。
【0015】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、軽量、高輝度、低消費電力を実現できる光学シート、バックライトユニット及びディスプレイ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の光学シートは、板状に形成されて一方の面が光の入射面をなすと共に他方の面が光の出射面をなす光透過性の透光性基材と、該透光性基材の出射面に沿って延びて前記出射面に一体に設けられる複数の単位レンズとを備え、複数の単位レンズが、前記出射面に沿って当該単位レンズの長手方向に交差する方向に配列され、各単位レンズが、前記出射面の上方に突出するように形成された凸状の曲面を有すると共に、その頂部に前記長手方向に延びるV字状溝が形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、前記光学シートにおいては、前記曲面の形状が、前記頂部を中心として左右対称に形成されてもよい。
【0018】
さらに、前記光学シートにおいては、前記曲面が、前記単位レンズの高さ方向の位置関数をz、前記単位レンズの幅方向位置変数をr、補正係数を1/R,A,B,Cとして、
【数1】

によって定義されると共に、相互に隣り合う前記単位レンズのピッチを1と正規化した際の前記補正係数1/R,A,B,Cを、
−10<1/R<10
−5<A<5
−10<B<10
−30<C<30
の範囲内とした形状に形成されることが好ましい。
【0019】
また、前記光学シートにおいて、前記曲面が前記頂部の左右で相互に異なる形状に形成されている場合には、前記頂部よりも右側に位置する曲面、及び、前記頂部の左側に位置する曲面の形状が、
【数2】

によって個別に定義されると共に、前記頂部よりも左右に広がる前記曲面の幅の計を1と正規化した際の前記補正係数1/R,A,B,Cを、
−10<1/R<10
−5<A<5
−10<B<10
−30<C<30
の範囲内とした形状にそれぞれ形成されることが好ましい。
【0020】
さらに、前記光学シートにおいては、複数の単位レンズが、一定の間隔で配列されていてもよい。
また、前記光学シートにおいては、複数の単位レンズが、不規則な間隔で配列されていてもよい。そして、この場合には、複数の単位レンズにおける前記出射面から前記頂部までの高さが一定であることが好ましい。
【0021】
さらに、前記光学シートにおいては、前記V字状溝の開き角度が、70度以上110度以下であることが好ましい。
【0022】
また、前記光学シートにおいては、前記出射面から前記頂部までの前記レンズ高さTLと、前記頂部から前記V字状溝の谷部までの高さTVとの関係が、
0.3≦TV/TL≦0.7
の範囲内であることが好ましい。
【0023】
さらに、前記光学シートにおいては、前記V字状溝の谷部、及び、縁部が丸みを帯びた形状に形成されていてもよい。
【0024】
また、本発明のバックライトユニットは、前記光学シートと、該光学シートの前記入射面側に配されて、前記入射面に向けて光を照射する光源部とを備えることを特徴とする。
【0025】
さらに、本発明のディスプレイ装置は、前記バックライトユニットと、前記出射面側に配されて、前記バックライトユニットからの光を表示光として画像表示を行う液晶表示部とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、V字状溝を形成することで、バックライトユニット及びディスプレイ装置の軽量化、高輝度化、低消費電力化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、ここでは、本発明の実施形態にかかる光学シートについて、それを用いたバックライトユニット及びディスプレイ装置と共に説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係るディスプレイ装置100は、上方に光を照射するバックライトユニット11の上側に、液晶表示部13を重ねて設けることで構成される液晶表示装置であり、液晶表示部13から上側に向けて画像信号によって表示制御された表示光を出射することで、平面しく形状の画像を表示するものである。
以下では、このような配置に基づいて、図1の上方向を単に表示画面側、下方向を単に背面側と称する場合がある。
なお、このディスプレイ装置100は、液晶表示部13を備える液晶表示装置であるとしているが、少なくとも光学シート1を含んで構成されていれば、投射スクリーン装置、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等のように、画像を光により表示する表示装置の種類は問わない。
【0028】
液晶表示部13は、液晶15を2つの偏光板17,19により挟み込んで構成されている。
バックライトユニット11は、ランプハウス45内に収納されると共に、紙面奥行き方向に延びるシリンダー形状に形成された複数の光源43と、各光源43からの光Hを、液晶表示部13の液晶15に供給する光学シート1と、この光学シート1と光源43との間に配される拡散板21とを備えて構成されている。なお、図示例では、光学シート1は、偏光版19と拡散板21との間に光学シート1のみを設けた構成となっているが、例えば、拡散板21と光学シート1との間や、偏光版19と光学シート1との間に、拡散シートやレンズシート、マイクロレンズシート、プリズムシート、偏光分離反射シート等の各種光学シートが適宜設けられてもよい。
そして、図1中の符号47は、複数の光源43の背面側に配置された光反射板であり、これら複数の光源43、ランプハウス45及び光反射板47によってバックライトユニット11の光源部41が構成されている。
以下では、各光源43の長手方向をX方向(一方向)とし、この長手方向と直交する方向である複数の光源43の配列方向をV方向(一方向に直交する方向)と称する。
【0029】
拡散板21は、光源部から表示画面側に出射される光を拡散させる役割を果たしており、複数の光源43によるV方向の照度ムラを抑制するとともに、表示光に適宜の視野角を付与することができるようになっている。
この拡散板21は、透明樹脂とこの透明樹脂の中に分散された透明粒子とを具備して構成されており、これら透明樹脂の屈折率と透明粒子の屈折率が異なるものとされる。透明樹脂の屈折率と透明粒子の屈折率との差は、0.02以上であることが望ましい。屈折率の差がこれより小さいと十分な光散乱性能が得られない。また、屈折率差は、0.5以下であることが好ましい。
また、拡散板21は、この拡散板21に入射した光Hを散乱させつつ、表示画面側に透過させる必要がある。このため、拡散板21に含まれる透明粒子の平均粒径は、0.5μm〜10.0μmであることが望ましく、より好ましくは1.0μm〜5.0μmである。
なお、この拡散板21は、透明樹脂中に空気を含む微細な空洞を有した構造としてもよく、この場合には、透明樹脂と空洞との屈折率差によって拡散性能を得ることができる。
【0030】
拡散板21の透明樹脂としては、例えば、ボリカーボネート(PC)樹脂、アクリル系樹脂、アクリルニトリルスチレン共重合体、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、メチルスチレン樹脂及びフルオレン樹脂等を使用することができる。
また、拡散板21の透明粒子としては、無機酸化物からなる透明粒子又は樹脂からなる透明粒子が使用できる。例えば、無機酸化物からなる透明粒子としては、シリカやアルミナ等からなる粒子を挙げることができる。また、樹脂からなる透明粒子としては、アクリル粒子、スチレン粒子、スチレンアクリル粒子及びその架橋体や、メラミン−ホルマリン縮合物の粒子や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリフルオロビニリデン(PVDF)、及びエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等の含フッ素ポリマー粒子や、シリコーン樹脂粒子等を挙げることができる。これら透明粒子は、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0031】
そして、これら透明樹脂中に透明粒子を分散して、押し出し成形することにより、板状の拡散板21を製造することができる。この拡散板21の厚さは、1mm〜5mmであることが望ましい。1mm未満の場合、拡散板21は薄くこしがないのでたわみやすくなってしまう。一方、5mmを越えると、光源部41からの光の透過率が悪くなってしまう。
【0032】
光学シート1は、図2に示すように、板状に形成されて光透過性を有する透光性基材2と、その出射面2aに一体に設けられた複数の単位レンズ3とを備えている。なお、透光性基材2の出射面2aは、光Kが出射する液晶表示部13側の面を示しており、光Hが入射する光源部側の面が透光性基材2の入射面2bをなしている。なお、この透光性基材2は、拡散板21と同様の拡散性を有していてもよい。この場合、拡散板21は不要となる。
各単位レンズ3は、出射面2aに沿ってX方向に延設されており、透光性基材2の出射面2aに面する平坦面と、出射面2aから突出するように形成された凸状の曲面5とを有している。また、各単位レンズ3の頂部には、X方向に延びるV字状溝4が形成されている。
【0033】
そして、複数の単位レンズ3は、出射面2aに沿ってV方向に一定の間隔で配列されている。なお、この実施形態においては、各単位レンズ3の幅寸法がPであると共に、複数の単位レンズ3が隙間なく並べられているため、相互に隣り合う2つの単位レンズ3の頂部間のピッチ(配列ピッチ)は、幅寸法Pに等しい。
以上のように構成される単位レンズ3は、例えば、透光性基材2上にUVや放射線硬化樹脂を用いて成形されるとしてもよいし、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、アクリルニトリルスチレン共重合体等を用いて、周知の押し出し成形法、射出成型法、あるいは熱プレス成型法によって形成されてもよい。
【0034】
この光学シート1は、図1に示すように、光源43から拡散板21及び空隙(空気層)9を伝達してきた光Hを入射する入射面2bから入射させ、さらにその光を入射面2bの反対面、すなわち、複数の単位レンズの曲面から光学利得が1以上の光Kとして出射するものである。
ここで光学利得とは、光学的な拡散部材の拡散性を示す指標の一つであり、完全拡散する拡散体の輝度を1として、その光の輝度との比で表される。測定する拡散部材の拡散性が方向によって偏っている場合、方向ごとの光学利得を出すことで、その拡散部材の拡散特性を示すことが出来る。また、完全拡散とは、吸収が0で、かつ、どの方向にも一定の強度をもつとする理想的な拡散体のことを示す。つまり、光学利得が1以上であるということは、その測定する方向に光を集める効果を持つことを示し、その値が大きいほど集光効果が強いことを示す。
【0035】
次に、この光学シート1の作用について説明する。
図3は、光学シュミレーション(RayTracingシミュレーション)によって得られる光学シートの配光特性を示すグラフである。図3(a)はディスプレイ装置100に備える光学シート1の配向分布を示しており、また、図3(b)は従来のレンズシート、すなわち、V字状溝4が形成されていない光学シートの配光分布を示している。
図3に示すように、本実施形態の光学シート1では、V字状溝4の側面と空気層界面とで生じる光の全反射によって光のリサイクルを起こすため、従来のレンズシートよりも高い輝度上昇効果が得られる。また、輝度上昇フィルムとして一般的であるプリズムシートではサイドローブが生じる問題点があるが、本実施形態の光学シート1では、単位レンズ3のうちV字状溝4の両側の面は曲面5となっているため、サイドローブを最小限に抑えることができ、且つ視野に対する急激な輝度低下(カットオフ)を緩和する機能を果たす。したがって、プリズムシート同等の輝度が得られ、かつ、サイドローブを最小限に抑えてカットオフを緩やかとした光学シート1を提供することが可能となる。
【0036】
なお、この光学シート1では、前述の通り、プリズムシートと同等の輝度、最小限のサイドローブ及びカットオフの緩和という光学特性を得ることが可能であるが、これには単位レンズ3の曲面5の形状、及び、V字状溝4の開き角度θと深さ寸法のパラメータが重要となる。
図4は、本実施形態の光学シート1において、V字状溝4の開き角度θと深さをパラメータとした光学シミュレーション結果である。
図2(b)に示すように、単位レンズ3の高さをTL、V字状溝4の谷部までの高さをTVとし、これらの比TV/TLを深さのパラメータとした輝度変化を図4(a)に示す。なお、TV/TLが100%、すなわちV字状溝4が無い従来のレンズシートにおける輝度を100%としたとき、V字状溝4の効果により何%輝度が上昇するかを示している。この結果によれば、V字状溝4の開き角度が70度以上110度以下、TV/TLが75%以下の条件において、5%以上の輝度上昇効果が得られることが分かる。
【0037】
図4(b)には、TV/TLとV方向の半値角との関係についてシミュレーションした結果を示す。このグラフにおいては、簡単のため、上記V字状溝4の開き角度θの範囲を70度から110度までとした場合の結果を示している。この結果によれば、V字状溝4の開き角度θが小さいほど半値角は狭くなり、またTV/TLが小さくなるほど半値角が狭くなることが分かる。また、TV/TLが小さくなると、サイドローブが大きくなる。
【0038】
TV/TLとサイドローブとの関係については、図4(c)を用いて説明する。
図4(c)のグラフは、V字状溝4の開き角度θ毎に、サイドローブのピーク値と光学シート1のピーク値との比から、サイドローブのピーク割合を算出したものであり、サイドローブが生じ始めたTV/TLにおけるサイドローブピーク割合を0%と定義して、V字状溝4の各開き角度θにおいて、TV/TLが小さくなるにつれてサイドローブのピーク割合がどれだけ大きくなるかを示したグラフである。
その結果、TV/TLが75%以下となるとサイドローブが生じ始めることが分かる。そして、V字状溝4の開き角度θを70度以上90度以下とした場合には、TV/TLが30%を下回ると、サイドローブピーク割合が10%を超える。さらに、V字状溝4の開き角度θを100度以上110度以下とした場合には、TV/TLが30%でサチレーションを起こす。従って、V字状溝4のTV/TLは30%以上とすることが望ましい。
【0039】
また、高い輝度が得られ、且つ、V字状溝4の深さによって生じるサイドローブを抑制するための単位レンズ3の形状は、以下の〔数3〕によって定義される曲面5を有すると共に、単位レンズ3の頂部にV字状溝4を形成した形状である。
【0040】
【数3】

【0041】
ここで、zは単位レンズ3の高さ方向の位置関数、rは単位レンズ3の幅方向位置変数である(図5参照)。また、単位レンズ3のピッチを1と正規化したときに、〔数3〕の各係数1/R,A,B,Cは、
−10<1/R<10
−5<A<5
−10<B<10
−30<C<30
の範囲内となる。
【0042】
以上のように、〔数3〕によって定義される曲面5の形状は、その頂部を中心として左右対称に形成されるものであるが、これに限ることはなく、例えば頂部の左右で相互に異なる形状、すなわち頂部を中心として左右非対称に形成されてもよい。
この場合には、頂部よりも右側に位置する曲面5(右側曲面)、及び、頂部の左側に位置する曲面5(右側曲面)の形状を、それぞれ個別に〔数3〕で定義すればよい。なお、この場合には、単位レンズ3の頂部から左右に広がる曲面5の幅の計を1と正規化したときに、〔数3〕の各係数1/R,A,B,Cを、
−10<1/R<10
−5<A<5
−10<B<10
−30<C<30
の範囲内とすればよい。
【0043】
単位レンズ3の曲面5の形状を定義する〔数3〕について図5を用いて説明する。なお、図5においては、曲面5が左右対称である場合の単位レンズ3の断面が示されており、また、V字状溝4が省略されている。
zは、単位レンズ3の幅方向位置変数であるrの関数であり、その値は単位レンズ3の高さ方向を表す。上記〔数3〕は非球面レンズ形状の一般式であり、k=0で球面、−1<k<0で楕円、k=−1で放物面、k<−1で双曲面となる。また、1/Rはrにかかる係数であり、A,B,Cは補正項係数である。
また、上記〔数3〕における各係数1/R,A,B,Cの規定範囲(−10<1/R<10,−5<A<5,−10<B<10,−30<C<30)から外れた形状の単位レンズ3では、単体のレンチキュラーシートとして拡散フィルム程度の輝度向上効果しか得られず、V字状溝4を形成してもプリズム同等の輝度を得ることが出来ない。従って本実施形態の光学シート1において、各係数1/R,A,B,Cが規定範囲外となる単位レンズ3は適さない。
【0044】
なお、本実施形態の光学シート1では、V字状溝4の谷部や縁部が丸みを帯びていてもよい。縁部が丸みを帯びている場合には、耐磨耗性が向上し、カットオフを緩やかにする効果が得られる。また、谷部が丸みを帯びている場合には、カットオフを緩やかにする効果や、モアレの低減効果を得ることができる。
また、本実施形態の光学シート1は、上記の形状に限定されない。例えば、単位レンズ3の曲面5が頂部を中心として幅方向に左右非対称である光学シート1や、異なる形状の単位レンズ3が複数配列されてなる光学シート1も、本発明の主旨を逸脱するものではない。
【0045】
なお、光学シート1の厚みに関しては光学特性への影響よりは、むしろ製造プロセス、或いは、要求される光学シート1の物理特性等により決められる。
例えば、紫外線硬化樹脂プロセスにより単位レンズ3を形成した場合、透光性基材2の基材厚さTは、50μm以下だとシワが出てしまうので、50μmよりも大きくする必要がある。
また、透光性基材2の厚みは、光学シート1を備えるバックライトユニット11やディスプレイ装置100の画面サイズによって変化する。例えば、画面サイズが対角37インチ以上のディスプレイ装置100においては、基材厚さTを、0.05mm<T≦3mm、とすることが望ましい。
【0046】
ところで、上記実施形態においては、複数の単位レンズ3が一定の間隔で配列されている、すなわち、単位レンズ3の配列ピッチが一定であるとしている。このように光学シート1は周期的な構造を有していると、液晶表示部13等が周期的な画素構造を持っている場合に、これらの周期構造同士のモアレや、3つ以上の周期構造で発生する2次モアレなどの高次のモアレが生じ、画面の見た目が損なわれることがある。
そこで、例えば光学シート1における単位レンズ3の配列方向が、液晶表示部13等の周期構造の方向から所定の角度βだけずれるように、光学シート1を配置してもよい。ここで、角度βは0度よりも大きく、かつ、30度以内に設定することが好ましい。このように構成することで、液晶表示部13等の周期的な画素構造との間で生じるモアレを防止することができる。
【0047】
また、モアレを防止する他の方法としては、例えば各単位レンズ3を、透光性基材2の出射面2bに沿って蛇行するように延びて形成することが挙げられる。この場合には、複数の単位レンズ3は、その長手方向に交差する方向に配列されていればよい。
さらに、モアレを防止する他の方法としては、複数の単位レンズ3を、不規則な間隔で配列することが挙げられる。すなわち、複数の単位レンズ3は、その配列ピッチが規則的あるいは不規則に変化するように、配列されてもよい。この場合、出射面2bから頂部までの単位レンズ3の高さも同時に変化させてもよいが、外観上におけるムラの観点から単位レンズ3の高さを変えないことが望ましく、また、配列ピッチの不規則率(標準ピッチに対するピッチの増減率)は20%以下とすることが望ましく、10%以下とすることがさらに望ましい。
【0048】
この第1実施形態の光学シート1について、その実施例と測定や観察を行った結果について以下にまとめる。
(実施例1)
〔数3〕及びその各補正係数を調整することで、配列ピッチが100umで高さが50umの曲面5の形状を有すると共に、曲面5の頂部に開き角度θが80度でTV/TL=0.7となるV字状溝4を形成した単位レンズ3をUV硬化樹脂にて作製した。また、この単位レンズ3は、2軸延伸易接着PETフィルムからなる透光性基材2上に作製した。
このように作製された光学シート1を液晶テレビのバックライトユニット11に搭載し、分光放射輝度計にて画面中心輝度を測定した結果、V字状溝4が形成されていない場合と比較して輝度が10%上昇した。
(実施例2)
〔数3〕及びその各補正係数を調整することで、配列ピッチが100umで高さが50umの曲面5の形状を有すると共に、曲面5の頂部に開き角度θが90度でTV/TL=0.2となるV字状溝4を形成した単位レンズ3をUV硬化樹脂にて作製した。また、この単位レンズ3は、実施例1と同様に、2軸延伸易接着PETフィルムからなる透光性基材2上に作製した。
このように作製された光学シート1を液晶テレビのバックライトユニット11に搭載し、分光放射輝度計にて画面中心輝度を測定した結果、V字状溝4が形成されていない場合と比較して輝度が10%上昇したが、半値角が狭く且つサイドローブが大きいため、表示品位が悪化した。
【0049】
(実施例3)
〔数3〕及びその各補正係数を調整することで、配列ピッチが100umで高さが50umの曲面5の形状を有すると共に、曲面5の頂部に開き角度θが80度でTV/TL=0.7となるV字状溝を形成した単位レンズ3をPC樹脂にて作製した。また、この単位レンズ3は、透光性基材2と一体に押出成形することで作製した。すなわち、透光性基材2もPC樹脂にて作製されている。
このように作製された光学シート1を液晶テレビのバックライトユニット11に搭載し、分光放射輝度計にて画面中心輝度を測定した結果、V字状溝4が形成されていない場合と比較して輝度が12%上昇した。
(実施例4)
実施例3において作製された光学シート1の単位レンズ3の配列方向が、液晶テレビにおける液晶表示部13の画素配列方向に対して8度だけずれるように、前記光学シート1を設けてディスプレイ装置100を構成した。
そして、32インチから46インチまでの画面サイズのディスプレイ装置100について観察した結果、いずれの画面サイズにおいてもモアレは生じなかった。
【0050】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係るディスプレイ装置200の一例を示している。なお、このディスプレイ装置200において、図1に示す第1実施形態のディスプレイ装置100と同様の構成については同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分を重点に述べる。
【0051】
図6に示すように、本実施形態に係るディスプレイ装置200は、第1実施形態と同様の光源部41、拡散板21、透光性基材2、複数の単位レンズ3及び液晶表示部13に加えて、単位レンズ3と液晶表示部13との間に配された光学フィルム61を備えている。この光学フィルム61は光の屈折・透過・反射・偏光作用により、拡散・集光効果を達成する光学シートであり、例えば拡散シート、レンチキュラーシート、プリズムシート、偏光分離反射シート及び第1の実施の形態の光学シート1などがあり得る。
【0052】
特に、光学フィルム61が拡散シートである場合には、所謂下拡散シートと呼ばれるシート表面に拡散ビーズを配置した構成の拡散シートとすることが好ましい。この構成の場合、光学シート1から出射される集光された光が下拡散シートに入射すると、表面のビーズがマイクロレンズと同等の効果を表す。そのため、この光学フィルム61を使用することで、半値角が広く輝度の高い、そしてカットオフの生じない配光分布を得ることができ、光学シート1と液晶表示部13の画素との間にはモアレが生じない。
【0053】
この光学フィルム61は、接合要素51を介して透光性基材2上に配列された複数の単位レンズ3の頂部に固定される。接合要素51としては、感圧・感熱・UV等放射線硬化性の接着剤や粘着剤などが挙げられるが、例えば、エキシマ等レーザーによる接合、溶接等も挙げられる。また、粘着剤や接着剤としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコーン系の粘・接着剤が挙げられる。
以上のように例示した接合要素51は、いずれの場合も高温のバックライトユニットにおいて使用されるため、100℃で貯蔵弾性率が10kPa以上となることが望ましい。なお、貯蔵弾性率が10kPa未満の場合には、ディスプレイ装置200の使用中に光学フィルム61と単位レンズ3群とが相互にずれてしまう可能性がある。また、粘着剤・接着剤を安定させるために、粘着剤層・接着剤層の中に透明の微粒子、例えば、ビーズ等を混ぜても良い。さらに、粘着剤や接着剤は、両面テープ状のものとしてもよいし、単層のものでもよい。
このように、透光性基材2、単位レンズ3群及び光学フィルム61を一体積層して得られる光学シート36では、第1実施形態と同様に光学特性を向上できると共に、シートの厚みの点、部品点数の削減効果、及び、透光性基材2や単位レンズ3を保護できる等の効果も奏する。
【0054】
この第2実施形態の光学シート36について、その実施例と測定や観察を行った結果について以下にまとめる。
(実施例5)
実施例3で作製した光学シート1の出射面に、粘着材を使用して、下拡散シートに拡散ビーズが配置された構成の光学フィルム61を一体積層して光学シート36を作製した。この光学シート36を32インチから46インチまでの画面サイズの液晶テレビ(ディスプレイ装置200)に搭載して観察した結果、全ての画面サイズにおいてモアレは生じなかった。また分光放射輝度計にて画面中心を測定した結果、実施例3での測定結果に比べて8%輝度が上昇した。
【0055】
(第3実施形態)
図7及び図8は、本発明の第3実施形態に係るディスプレイ装置300,400の例を示している。なお、このディスプレイ装置200において、図1に示す第1実施形態のディスプレイ装置100や第2実施形態のディスプレイ装置200と同様の構成については同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分を重点に述べる。
図7及び図8に示すように、本実施形態に係るディスプレイ装置300,400においては、前述した2つの実施形態と同様の拡散板21が、固定要素29を介して透光性基材2の入射面側に固定されている。なお、図7に示すディスプレイ装置300においては、透光性基材2、複数の単位レンズ3、拡散板21及び固定要素29によって光学シート38が構成され、図8に示すディスプレイ装置400においては、透光性基材2、複数の単位レンズ3、拡散板21、固定要素29及び光学フィルム61によって光学シート39が構成されている。
【0056】
ここで、光学シート38,39を構成する拡散板21の透明樹脂が、ポリカーボネート、ポリスチレン、メチルスチレン樹脂及びシクロオレフィンポリマーである場合、これらの線膨張係数は、それぞれ6.7×10−5(cm/cm/℃)、7×10−5(cm/cm/℃)、7×10−5(cm/cm/℃)及び6〜7×10−5(cm/cm/℃)である。そして、透光性基材2及び単位レンズ3群の積層体(以下、光学シート1と呼ぶ)がPETを含む場合には、PETの線膨張係数が2.7×10−5(cm/cm/℃)であるため、拡散板21の線膨張係数の方が光学シート1よりも大きくなる。したがって、光学シート1が熱を受けて変形する場合には、拡散板21側に反りが発生する。
この実施形態では、光学シート1の線膨張係数が小さいことを考慮し、拡散板21の線膨張係数を、7.0×10−5(cm/cm/℃)以下とすることにより上述の変形を防止することが可能である。
なお、光学シート1が、ポリカーボネートを材料として押出しの方法により作成される場合は、その線膨張係数が他の透明樹脂とほぼ同等であるため、前述した反りは発生しない。
【0057】
そして、この拡散板21は、その入射面21bや出射面21aに微細な凹凸を具備し、この微細な凹凸によって光の拡散性を有する、としても良い。この場合、拡散板21は周知の押し出し法、キャスト法、または、これら押し出し法とキャスト法を併用した方法で作成される。
この拡散板21の具体例としては、図9(a)に示すように、拡散板21の一方の面に微細な凹凸を作製したものや、図9(b)、(c)に示すように、拡散板21の両面に微細な凹凸をつけたものが挙げられる。ここで、微細な凹凸の種類としては、図9(a)、(b)、(c)に示す凸状シリンドリカル形状のものの他に、レンズ形状のもの、三角プリズム形状が挙げられるが、これらに限らず、少なくとも拡散板21の光拡散機能が微細の凹凸の形成前と比較して向上する形状であればよい。
【0058】
このように、拡散板21の表面に微細な凹凸を形成することは、上述の光拡散機能の向上だけではなく、例えば、固定要素29に後述する工夫を施さなくても、拡散板21と透光性基材2との間に空隙9を確保することも可能とする。すなわち、拡散板21の出射面21aと透光性基材2の入射面2bを接合する際に、拡散板21の出射面21aに形成された微細な凹凸と透光性基材2の入射面2bとによって空隙9を形成することができる。この場合、微細な凹凸としては、例えばリブやマイクロレンズが挙げられるが、これに限ることはなく、少なくとも空隙9を確保することが可能な凹凸の形状であればよい。
【0059】
また、拡散板21は、例えば図9(d)に示すように、その両面に微粒子層23を形成したものであってもよいし、片面のみに微粒子層23を形成したものであってもよい。微粒子層23の具体例としては、例えば、ビーズ、スペーサー等の微粒子を含有する透明インキが挙げられるが、微粒子層23の厚さや、微粒子の種類及び大きさを限定する必要はなく、少なくとも拡散板21の光拡散機能が微粒子層23の形成前と比較して向上するものであればよい。
さらに、拡散板21が、第1実施形態において記載したように、透明樹脂中に空気を含む微細な空洞を有して構成されている場合には、例えば、予め透明樹脂中に含有された発泡剤を発泡させて拡散板21を作成してもよいし、透明樹脂が相溶しない樹脂を含有したものを少なくとも一軸方向に延伸する方法で拡散板21を作成してもよい。
【0060】
固定要素29の具体例としては、拡散板21によって散乱した光を透過する複数のリブや接着剤層、粘着剤層、あるいは、拡散板21によって散乱した光を拡散板21側に反射する複数の反射表面を有するもしくは反射材を含むリブや接着剤層、粘着剤層が挙げられる。
また、透光性基材2と拡散板21との固定は、固定要素29の接着剤層や粘着剤層によってなされることに限らず、固定要素29を用いて、溶着する方法、固定具を用いる方法、エキシマを照射し常温接合する方法によってなされてもよい。
【0061】
この固定要素29は、拡散板21の出射面21a及び透光性基材2の入射面2bの一部に接触するように形成されており、全体を覆うものではない。
すなわち、例えば図7及び図8に示すように、固定要素29を構成する複数のリブや接着剤層、粘着剤層が互いに間隔をおいて配置されることで、空隙9を形成することができる。この場合、拡散板21の出射面21aから出射した光は、空隙9を透過することで透光性基材2の入射面2bに到達することができる。なお、この空隙9には、例えば空気や窒素等の気体が存在する。
【0062】
次に、固定要素29が接着剤層や粘着剤層によって構成されている場合に、これら接着剤層、粘着剤層の配置について述べる。
接着剤層、粘着剤層は、拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bのうち、透光性基材2及び単位レンズ3群の使用領域の外側に配される。ここで、透光性基材2の使用領域は、透光性基材2及び単位レンズ3群のうち、ディスプレイ装置300,400の画面表示に使用する光が透過する領域のことを示している。ただし、固定要素29が画面において視認されない(画面表示品位に影響がない)場合には、接着剤層、粘着剤層が前述の使用領域内に配されてもよい。
【0063】
具体的に、固定要素29を構成する接着剤層や粘着剤層は、例えば図10(a)に示すように、拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bの周縁全体にわたってライン状に配されていればよい。また、例えば図10(b)、(c)に示すように、拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bの周縁のうち、相互に対向する一組の辺にわたってライン状に配されてもよい。
さらに、例えば図10(d)に示すように、拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bの周縁のうち、角部に配されてもよい。また、例えば図10(e)に示すように、拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bの周縁全体にわたって破線状に配されてもよい。なお、図10(b)、(c)の場合においても、接着剤層や粘着剤層をライン状ではなく、破線状に配してもよい。
なお、固定要素29がリブや白箔によって構成されると共にこれを接着剤や粘着剤によって、拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bに固定する場合には、接着剤や粘着剤が、リブや白箔と出射面21aや入射面2bとの間のみに形成されてもよいが、例えば出射面21aや入射面2bの全体にわたって形成されてもよい。
【0064】
接着剤や粘着剤としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコーン系のものが挙げられる。接着剤や粘着剤は、いずれの場合でも高温のバックライトユニットにおいて使用されるため、100℃で貯蔵弾性率が10kPa以上であることが望ましい。なお、貯蔵弾性率が10kPa未満の場合には、ディスプレイ装置300,400の使用中に拡散板21と透光性基材2とが相互にずれてしまう可能性がある。また、安定して空隙9を確保するために、接着剤層や粘着剤層の中に透明の微粒子、例えば、ビーズ等を混ぜてもよい。また、粘着剤や接着剤は両面テープ状のものとしてもよいし、単層のものでもよい。
【0065】
なお、接着剤や粘着剤が透光性基材2及び単位レンズ3群の使用領域に配される場合には、接着剤や粘着剤における光の吸収は1%以内とする必要がある。例えば光の吸収が1%よりも大きくなると、単位レンズ3群から出射する積算光量が減少し、透光性基材2及び単位レンズ3群の形状や寸法に関係なく、正面輝度が低下する。
接着剤や粘着剤を拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bに塗布する方法としては、例えば、コンマコーター等の各種塗工装置、印刷方式、ディスペンサーやスプレーを用いる方法、また、筆等を用いた手作業による塗工であってもよい。
【0066】
そして、固定要素29がリブや白箔によって構成される場合には、リブや白箔を一定の厚さに形成できるため、空隙9を極めて安定して形成できると共に、空隙9の厚みを均一に固定することができる。これにより、画面の表示品位(光学密着、ムラ、ニュートンリング)などの外観特性を向上することもできる。
リブは、例えば一定の形状に成形された透明樹脂から構成される。また透明樹脂中には、無機、有機粒子や気泡などを含有して、拡散や着色など他の効果を併せ持たせてもよい。
【0067】
リブを構成する透明樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、アクリルニトリルスチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリカーボネ−ト樹脂、ポリスチレン樹脂、メチルスチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、シクロオレフィンポリマー等の熱可塑性樹脂、あるいはポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等のオリゴマー又はアクリレート系等からなる放射線硬化性樹脂などの透明樹脂が一般的に用いられるが上記の材料以外にもリブの特性を出せる樹脂等も使用することができる。
【0068】
また、上述した透明樹脂中に分散させる粒子としては、シリカやアルミナ、酸化チタンやカーボンブラック、ガラスビーズなどの無機物や各種樹脂ビーズ等の有機物などが挙げられる。また、透明リブに分散させる各種粒子はリブ表面に反射特性を持たせるなど、局所的に配置させたりすることもできる。また樹脂中に気泡などを分散させて粒子の代わりに用いることもできる。これらの透明樹脂中に分散させる粒子や気泡は、使用する用途に応じて、複数種類を組み合わせて使用したり、あえて使用しなくてもよい。
【0069】
上記リブの高さは、光学シート39の歪みによる光学密着を妨げるために透光性基材2と拡散板21との間の空隙9の寸法を200nm以上に保持できるように設定する必要がある。ただし、リブの信頼性を考慮すると、拡散板21と接するリブ幅とリブ高さのアスペクト比が1:10以下であることが望ましく、更には1:5以下であることが望ましい。
【0070】
さらに、透光性基材2の入射面2bに対するリブの接地面積は、接着強度の低下や正面輝度の低下を妨げるために、拡散板21の出射面21a若しくは透光性基材2の入射面2bに接するリブの総接地面積を、拡散板21の出射面21a若しくは透光性基材2の入射面2bの面積の0.01%以上かつ60%以下にすることが望ましい。さらに、輝度低下を最小限に抑えるためには、拡散板21の出射面21aに対するリブの接地面積を1%以上20%以下にすることがより好ましい。
また、拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bに対してリブを配する位置は、透光性基材2及び単位レンズ3群の使用領域の外側に限らず、例えば拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bの全面としてもよい。
【0071】
また、リブの形状としては、拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bに沿って一方向に延在するレンチキュラー形状や台形形状、プリズム形状等の構造、多角錐や円錐(又は多角台錐、円錐台など)、あるいは、多角柱や円柱などの柱状、さらに、直方体や球状(又は半球状)、楕円体などの構造であってもよい。さらに、リブの作製方法によっては、リブの高さが一定であれば側面の形状は不特定の形状であってもよい。さらに、リブによって空隙9を形成する場合には、上記の1種類のリブ構造を全体に使用しても、複数種類のリブ構造を組み合わせて使用してもよい。また、これらのリブの配列はストライプ状や点線等の周期的なものでも不規則的なものでもよく、設計に応じて適宜選択することができる。
【0072】
また、拡散板21の出射面21aに対する1つ又は複数のリブの好ましい接地サイズは、上述したリブの形状によって異なる。
例えば、リブの形状がレンチキュラー形状や台形形状、プリズム形状などの構造である場合には、リブの接地サイズが、リブの幅方向に関して接地部分の線幅を50μm以下とすることが好ましい。また、例えば、リブの形状が円錐(又は多角台錐、円錐台など)や多角柱、円柱などの柱状、直方体や球状(又は半球状)、楕円体などの構造である場合には、リブの接地面積を2500μm以下とすることが好ましい。このようにすることで、透光性基材2の出射面21a側からリブムラの視認性を低下させることができる。
なお、視認性をさらに向上させるためには、前記線幅を30μm以下としたり、前記接地面積を900μm以下とすることがより好ましい。
【0073】
また、リブの硬さについては、ディスプレイ装置200の使用中に光源部によってリブが過熱されても、透光性基材2と拡散板21との間の反りを最小限に抑えることができる程度に、適度な柔軟性を有することが好ましい。
さらに、リブの高さについては、前述したように、全体的に均一であることが好ましいが、透光性基材2の剛性や熱、吸水などによる伸縮に合わせて、適度な高さの変動があってもよい。
【0074】
以上のような構造を有するリブを作製する際には、例えば、放射線硬化成形や押し出し成形、熱プレス成形など種々の方法によって、拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bに、リブの材料である透明樹脂や粒子等をリブ形状に作製すればよい。この際、リブは1つずつ作製してもよいし、複数同時に作製してもよい。また、リブは、例えば透明樹脂や粒子等をリブ形状に作製した後に、粘着剤や接着剤を使用して拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bに貼り付けられてもよい。このようにすることで、一定の空隙9を有するように拡散板21と透光性基材2とを一体化することができる。
さらに、他のリブ成形方法としては、予め粘着剤又は接着剤に多数のリブを分散させ、各種印刷法により拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bに塗工する方法がある。このようにすることで、粘着性または接着性を有したリブを一度に作製でき、更に散在させることができるため、前述の場合と同様に、一定の空隙9を有するように拡散板21と透光性基材2とを一体化することができる。
【0075】
次に、固定要素29が、複数の反射表面を有するリブ、もしくは、反射材を含有した接着剤層、あるいは、反射材を含有した粘着剤層からなる場合の作成方法について述べる。
反射材を含有した粘着材層や接着剤層は、金属粒子または高屈折率透明粒子を粘着材や接着剤に分散させたものを拡散板21に塗工することにより作成することができる。また、反射表面を有するリブは、リブを形成する透明樹脂の中に金属粒子または高屈折率透明粒子を練り混ぜることで作成することができるし、リブの表面に光反射性の高い銀やアルミウム、ニッケル等の金属を蒸着やスパッタ等の乾式成膜を施すことでも作成できる。
【0076】
さらに、反射表面を有するリブは、透明なリブの表面に高屈折率透明粒子を分散混合してなるインキ、もしくは、高屈折率透明粒子を分散混合してなる粘着剤や接着剤を塗布することによっても作成できる。なお、上記以外にも、反射性を有する固定要素29は、金属粒子または高屈折率透明粒子をバインダーに練りこんだものを転写で形成したり、白箔や金属箔のラミネート形成によっても形成することができる。
ここで、高屈折率透明粒子としては、例えば、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、クレー、水酸化アルミニウム、硫化亜鉛、シリカおよびシリコーンなどが挙げられる。また、金属粒子や金属箔としては、例えば、アルミニウムや銀が挙げられる。これらの高屈折率透明粒子、金属粒子や金属箔は1種類を使用しても良いし、これら複数種類を混ぜて使用しても良い。
なお、反射表面を有する固定要素29は、前述したように、反射表面を有さないリブの場合と同様に、拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bに配置すればよい。
【0077】
また、前述したすべての固定要素29について、これを溶着の手法によって拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bに固定する場合には、例えば、熱や超音波やレーザーを使用する方法が挙げられる。これらの方法は加工法が容易であり、表示領域外の接合に適している。
例えば、レーザー照射の場合には、光学シート38の四隅付近で表示領域外になる箇所や光学シート38の側面を、例えば炭酸ガスレーザーにより、光学シート38を構成する透光性基材2や単位レンズ3や拡散板21を溶かして溶着させる方法がある。
また、固定要素29を固定具により拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bに固定する場合、固定具としては、例えば樹脂や金属の止め具、ホチキス、テープなどが挙げられる。なお、樹脂や金属の止め具は、例えば光源部のランプハウス45等に一体化されていても構わない。このような固定具を使用する場合には、溶着よりもさらに固定要素29の固定が容易であり、表示領域外の接合に適している。
【0078】
また、固定要素29を拡散板21の出射面21aや透光性基材2の入射面2bに固定する際にエキシマを照射して常温接合する場合には、178nmのエキシマUVを接合する2つの素材の片方、もしくは両方に照射したのち、2つの素材をラミネートすればよい。なお、ラミネートと同時に熱をかけても良いし、ラミネート後に熱をかけても良い。
以上のように作製される第3実施形態の光学シート38,39は、光源部41から出射される光の輝度向上に用いる以外にも、LCD、ELやPDPなどディスプレイの視野角コントロールフィルムや、コントラスト向上フィルム、太陽電池用の光制御フィルム、投射スクリーンなどに用いることができる。
また、光学シート38,39は、光源43として冷陰極蛍光ランプを用いた場合はもちろん、近年、ディスプレイ用光源として注目を浴びているLED、EL、半導体レーザー等を光源として用いたディスプレイ装置にも用いることができる。すなわち、光学シート38,39の下面には、例えば図13に示すように、周知の導光板75の側端部に冷陰極蛍光ランプ(光源)からなる光源を設けた構成の光源部71が配置されてもよい。
【0079】
そして、LEDを用いる場合には、例えば図11に示すように、赤色、緑色、青色のLEDのアレイ(光源)42からの光を導光板等により混ぜ合わせて白色光とし、これを均一に出射するものを光源部44として構成してもよい。また、例えば図12に示すように、赤色、緑色、青色のLEDのアレイ(光源)46からの光を拡散板等により混ぜ合わせて白色光とし、これを均一に出射することができるものを光源部48として構成してもよい。
なお、光源としてELを用いる場合には、上述した光源部と同様に、光学シート38,39の下面側にEL光源部(光源部)77を配置すればよい(図14参照)。
【0080】
この実施形態の光学シート38,39によれば、光源部41,44,48,71,77と光学シート38,39との距離が短くなったとしても、隣り合う光源の間に暗い箇所が現れる等の視認性への悪影響をなくすことができるため、図7,8,12,14に示す直下型のバックライトユニット12や、図11,13に示すサイドエッジ型のバックライトユニット14として十分に使用することが可能である。したがって、バックライトユニットやディスプレイ装置の薄型化を図ることができる。
また、光学シート38,39は、薄くて強度が強く、さらに表示品位も優れているため、その大型化を容易に図ることができ、大画面のディスプレイ装置にも十分に対応することが可能である。
【0081】
この第3実施形態の光学シート38について、その実施例と測定や観察を行った結果について以下にまとめる。
(実施例6)
実施例4で作製した光学シート1の入射面2bに、粘着剤を使用して、入射面21bや出射面21bに微細な凹凸を形成した拡散板21を一体積層して光学シート38を作製した。この光学シート38を液晶テレビのバックライトユニットに搭載し、分光放射輝度計にて画面中心輝度を測定した結果、実施例4と比較して正面輝度は5%低下したものの、カットオフが緩やかになり、半値角も広がった。さらに、光学シート38の剛性もあがったため、結果として、表示品位の良い光学シート38が得られた。
【0082】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】この発明の第1実施形態に係るディスプレイ装置を示す概略断面図である。
【図2】図1のディスプレイ装置に備える光学シートを示しており、(a)は概略斜視図であり、(b)は概略断面図である。
【図3】光学シートの光学シミュレーション結果を示しており、(a)はこの発明の第1実施形態の光学シートの配向分布を示すグラフであり、(b)は従来の光学シートの配向分布を示すグラフである。
【図4】図2の光学シートの光学シミュレーション結果を示しており、(a)はV字状溝の深さと輝度の上昇率との関係を示すグラフであり、(b)はV字状溝の深さと半値角との関係を示すグラフであり、(c)はV字状溝の深さとサイドローブのピーク割合との関係を示すグラフである。
【図5】図2の光学シートにおいて、単位レンズの曲面形状を定義する〔数3〕の説明図である。
【図6】この発明の第2実施形態に係るディスプレイ装置を示す概略断面図である。
【図7】この発明の第3実施形態に係るディスプレイ装置の一例を示す概略断面図である。
【図8】この発明の第3実施形態に係るディスプレイ装置の一例を示す概略断面図である。
【図9】図7,8のディスプレイ装置に備える拡散板を示しており、(a)は片面に微小な凹凸を形成したものを示す斜視図であり、(b)は両面に形成された微小な凹凸の配列方向が同一であるものを示す斜視図であり、(c)は両面に形成された微小な凹凸の配列方向が互いに交差したものを示す斜視図であり、(d)は両面に微粒子層を形成したものを示す斜視図である。
【図10】図7,8のディスプレイ装置に備える固定要素の配置を示しており、(a)は入射面や出射面の周縁全体に配された平面図、(b)、(c)は入射面や出射面のうち相互に対向する一組の辺に配された平面図、(d)は入射面や出射面の角部に配された平面図、(e)は入射面や出射面の周縁において破線状に配された平面図である。
【図11】この発明の第3実施形態に係るディスプレイ装置の一例を示す概略断面図である。
【図12】この発明の第3実施形態に係るディスプレイ装置の一例を示す概略断面図である。
【図13】この発明の第3実施形態に係るディスプレイ装置の一例を示す概略断面図である。
【図14】この発明の第3実施形態に係るディスプレイ装置の一例を示す概略断面図である。
【図15】従来の液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図16】従来の液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図17】従来の液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図18】従来の液晶表示装置に備える拡散フィルム上にBEFを配置した構成を示す概略斜視図である。
【図19】図18の構成を備える従来の液晶表示装置を示す概略断面図である。
【図20】図19の液晶表示装置における光強度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
【0084】
1,36,38,39 光学シート
2 透光性基材
2a 出射面
2b 入射面
3 単位レンズ
4 V字状溝
5 曲面
11,12,14 バックライトユニット
13 液晶表示部
41,44,48,71 光源部
77 EL光源部
100,200,300,400 ディスプレイ装置
θ 開き角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成されて一方の面が光の入射面をなすと共に他方の面が光の出射面をなす光透過性の透光性基材と、該透光性基材の出射面に沿って延びて前記出射面に一体に設けられる複数の単位レンズとを備え、
複数の単位レンズが、前記出射面に沿って当該単位レンズの長手方向に交差する方向に配列され、
各単位レンズが、前記出射面の上方に突出するように形成された凸状の曲面を有すると共に、その頂部に前記長手方向に延びるV字状溝が形成されていることを特徴とする光学シート。
【請求項2】
前記曲面の形状が、前記頂部を中心として左右対称に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項3】
前記曲面が、
前記単位レンズの高さ方向の位置関数をz、前記単位レンズの幅方向位置変数をr、補正係数を1/R,A,B,Cとして、
【数1】

によって定義されると共に、
相互に隣り合う前記単位レンズのピッチを1と正規化した際の前記補正係数1/R,A,B,Cを、
−10<1/R<10
−5<A<5
−10<B<10
−30<C<30
の範囲内とした形状に形成されることを特徴とする請求項2に記載の光学シート。
【請求項4】
前記曲面が、前記頂部の左右で相互に異なる形状に形成され、
前記頂部よりも右側に位置する曲面、及び、前記頂部の左側に位置する曲面の形状が、
【数2】

によって個別に定義されると共に、
前記頂部よりも左右に広がる前記曲面の幅の計を1と正規化した際の前記補正係数1/R,A,B,Cを、
−10<1/R<10
−5<A<5
−10<B<10
−30<C<30
の範囲内とした形状にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学シート。
【請求項5】
複数の単位レンズが、一定の間隔で配列されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の光学シート。
【請求項6】
複数の単位レンズが、不規則な間隔で配列されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の光学シート。
【請求項7】
複数の単位レンズにおける前記出射面から前記頂部までの高さが一定であることを特徴とする請求項6に記載の光学シート。
【請求項8】
前記V字状溝の開き角度が、70度以上110度以下であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項9】
前記出射面から前記頂部までの前記レンズ高さTLと、前記頂部から前記V字状溝の谷部までの高さTVとの関係が、
0.3≦TV/TL≦0.7
の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の光学シート。
【請求項10】
前記V字状溝の谷部、及び、縁部が丸みを帯びた形状に形成されていることを特徴とする請求項1から請求項9の何れか1項に記載の光学シート。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の光学シートと、
該光学シートの前記入射面側に配されて、前記入射面に向けて光を照射する光源部とを備えることを特徴とするバックライトユニット。
【請求項12】
請求項11に記載のバックライトユニットと、
前記出射面側に配されて、前記バックライトユニットからの光を表示光として画像表示を行う液晶表示部とからなることを特徴とするディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−86208(P2009−86208A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−254719(P2007−254719)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】