説明

光学ドライブ装置、信号生成方法

【課題】ピット又はマークがポジション記録された光記録媒体に関して、再生信号のジッタ等の影響でクロックが表すサンプリングタイミングが相対的にばらつく場合にもピットやマーク部分での振幅値を正確に検出できるようにする。
【解決手段】ピット又はマークの前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとで再生信号をサンプリングし、それらのサンプリング値を平均化する。このように前後双方のエッジタイミングでサンプリングした値を平均化することで、クロックが表すサンプリングタイミングが再生信号に対してばらつく場合にも、検出振幅値(つまり上記平均化により得られる値)にばらつきが生じないようにできる。すなわち、本来同じ振幅値が検出されるべき部分について、適正に同じ振幅値が検出されるようにできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録媒体についての記録又は再生を行う光学ドライブ装置とその信号生成方法とに関するものであり、特に、ピット又はマークがポジション記録された光記録媒体を対象とする場合に適用して好適なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開平07−153198号公報
【特許文献2】特開平07−169059号公報
【背景技術】
【0003】
光の照射により信号の記録/再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスクが普及している。
【0004】
これら光ディスクに対する記録手法の1つとして、ピット又はマークの形成部分を「1」、それ以外の部分を「0」とするいわゆるポジション記録が知られている。
図28(a)(b)に、このようなポジション記録の例を示す。
図28(a)では、いわゆるd、k制限を設けたポジション記録の例を示している。
ここでd、k制限とは、最小走行長d(d≠0)、最大走行長k(k>d)による走行長制限を指す。より具体的に、「走行長」とは、符号「1」と「1」との間の「0」の個数を指すものであり、例えばd=2且つk=10の走行長制限であれば、符号「1」と「1」との間の「0」の数を2以上10以下に制限することになる。
この図28(a)では、このようなd、k制限下において、記録符号として「100100001」が記録された状態を例示している。
【0005】
また、図28(b)は、所定間隔でピットやマークの形成可能位置を設定しておき、該形成可能位置でのピット又はマークの形成有無により、ビット「0」「1」を表現するポジション記録が行われる場合を例示している。
具体的にこの図28(b)においては、ピット又はマークの形成可能位置がピット又はマーク2つ分おきの間隔で設定されている例を示しており、この場合、記録符号としては「1101」が記録されていることになる。
【0006】
ここで、ポジション記録が行われる場合には、いわゆるマークエッジ記録(或いはピットエッジ記録)が行われる場合とは異なり、ピット又はマーク部分での振幅値が重要な意味を持つことが考えられる。
このとき、ピットやマークの形成部分での振幅値を検出するための1つの手法としては、ピークポジション検出の手法を挙げることができる。
【0007】
図29は、ピークポジションの検出手法の一例について説明するための図である。
ピット又はマーク部分での振幅値は、そのピークポジションを表すタイミング信号を生成し、該タイミング信号から生成したクロックに従って、再生信号(sum信号:全光量信号)の値をサンプリングすることで得ることができる。
具体的に、ピット又はマークのピークポジションを表すタイミング信号は、図のように所定の閾値Th1によりsum信号をスライスした信号と、同様に所定の閾値Th2でsum微分信号(sum信号を微分した信号)をスライスした信号とを生成し、これらのANDをとることで生成できる。
このようにして生成したピークポジションを表すタイミング信号に基づき、PLL(Phase Locked Loop)によりクロックを生成し、該クロックの立ち上がりタイミングでsum信号の値をサンプリングすることで、ピット又はマーク部分の振幅値を得ることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このようなピーク検出の手法は、検出マージンが少なく、sum信号にジッタがある場合には、適正に振幅値を検出することができない虞がある。すなわち、sum信号にジッタがあると、それに伴いPLLで生成されるクロックの品質悪化が悪化し、例えば図30に示すようにクロックに基づくサンプリングタイミング(クロックの立ち上がりタイミング)が、sum信号に対してばらつくものとなって、その結果、振幅値を適正に検出することができない虞がある。
【0009】
このようにしてサンプリングタイミングにばらつきが生じると、図31に示すように、本来は同じ振幅値が得られるはずのピット又はマークであっても、そのサンプリング値がばらつくものとなってしまう。このようであると、ピット又はマーク部分での振幅値を正しく検出することはできないことになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記のような問題点に鑑み、本発明では光学ドライブ装置として以下のように構成することとした。
すなわち、ピット又はマークがポジション記録された光記録媒体に対して光照射を行った結果得られる反射光を受光する受光部を備える。
また、上記受光部により得られた受光信号に基づき、上記ピット又はマークの前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとを表すクロック信号を生成するクロック生成部を備える。
また、上記クロック信号に基づいて、上記前方エッジタイミングと上記後方エッジタイミングとで上記受光信号に基づき得られる再生信号をサンプリングする両エッジサンプリング部を備える。
また、上記両エッジサンプリング部により得られた上記前方エッジタイミングでのサンプリング値と上記後方エッジタイミングでのサンプリング値とを平均化する平均化部を備えるようにした。
【0011】
上記のように本発明では、ピット又はマークの前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとで再生信号をサンプリングし、それらのサンプリング値を平均化するものとしている。このように前後双方のエッジタイミングでサンプリングした値を平均化することで、クロックが表すサンプリングタイミングが再生信号に対してばらつく場合にも、検出振幅値(つまり上記平均化により得られる値)にばらつきが生じないようにできる。換言すれば、本来同じ振幅値が検出されるべき部分について、適正に同じ振幅値が検出されるようにできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ピット又はマークがポジション記録された光記録媒体に関して、再生信号のジッタ等の影響でクロックが表すサンプリングタイミングが相対的にばらつく場合にも、ピット又はマーク形成部分での振幅値を適正に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】前提例、比較例、及び実施の形態で記録/再生対象とするバルク型記録媒体の断面構造図である。
【図2】バルク型記録媒体に対するマーク記録時の動作について説明するための図である。
【図3】バルク型記録媒体の再生時におけるサーボ制御について説明するための図である。
【図4】前提例、比較例、及び実施の形態の光学ドライブ装置が備える光学系の構成を主に示した図である。
【図5】skewに伴う録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを模式的に示した図である。
【図6】レンズシフトに伴う録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを模式的に示した図である。
【図7】前提例、比較例、及び実施の形態で用いるバルク型記録媒体の基準面の表面を一部拡大して示した平面図である。
【図8】基準面全体におけるピットの形成態様について説明するための図である。
【図9】アドレス情報のフォーマットについて説明するための図である。
【図10】バルク型記録媒体の回転駆動に伴い基準面上をサーボ用レーザ光のスポットが移動する様子と、その際に得られるsum信号、sum微分信号、及びPP(プッシュプル)信号の波形との関係を模式的に示した図である。
【図11】ピークタイミングを表すタイミング信号から生成されたクロックと、該クロックに基づき生成された各selector信号の波形と、基準面に形成された各ピット列(の一部)との関係を模式化して示した図である。
【図12】スポット位置ずれ補正の具体的な手法について説明するための図である。
【図13】前提例としての光学ドライブ装置全体の内部構成を示したブロック図である。
【図14】selector信号生成・選択部の内部構成を示した図である。
【図15】前提例及び比較例におけるクロック生成回路の内部構成を示した図である。
【図16】skewやレンズシフトに伴う反射光の受光スポット位置ずれについて説明するための図である。
【図17】比較例におけるトラッキング誤差信号の生成手法について説明するための図である。
【図18】比較例としてのトラッキング誤差信号の生成手法を実現するための構成について説明するための図である。
【図19】実施の形態としてのサンプリング手法について説明するための図である。
【図20】前方及び後方の両エッジタイミングを表すタイミング信号の生成手法について説明するための図である。
【図21】両エッジサンプリングによるトラッキング誤差信号を生成するための構成について説明するための図である。
【図22】実施の形態のクロック生成回路の内部構成を示した図である。
【図23】実施の形態のクロック信号と、該クロック信号に基づき生成された各selector信号の波形と、基準面に形成された各ピット列(の一部)との関係を模式化して示した図である。
【図24】変形例1について説明するための図である。
【図25】変形例2について説明するための図である。
【図26】変形例3としてのサンプリング手法について説明するための図である。
【図27】変形例3のサンプリング手法を実現するための構成について説明するための図である。
【図28】ピット又はマークのポジション記録について説明するための図である。
【図29】ピット又はマークのピーク検出手法について説明するための図である。
【図30】クロックによるサンプリングタイミングが再生信号に対してばらつくことを説明するための図である。
【図31】サンプリングタイミングのばらつきにより再生信号のサンプリング値がばらつくことについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。
本明細書においては、実施の形態の説明に先立ち、先ずは前提例、またこの前提例を改良した比較例についての説明を行う。
この点を踏まえ、説明は以下の順序で行うものとする。

<1.前提例>
[1-1.記録/再生対象とする光記録媒体]
[1-2.光学系の構成]
[1-3.スポット位置ずれの問題]
[1-4.基準面の構造]
[1-5.アドレス情報について]
[1-6.トラッキングサーボの具体的な手法]
[1-7.具体的なスポット位置ずれ補正手法]
[1-8.光学ドライブ装置の全体的な内部構成]
<2.比較例>
[2-1.前提例の問題]
[2-2.比較例としてのトラッキング誤差信号生成手法]
[2-3.比較例の光学ドライブ装置の構成]
<3.実施の形態>
[3-1.比較例の問題]
[3-2.実施の形態としてのトラッキング誤差信号生成手法]
[3-3.実施の形態の光学ドライブ装置の構成]
<4.変形例>
[4-1.変形例1]
[4-2.変形例2]
[4-3.変形例3]
[4-4.その他の変形例]
【0015】
<1.前提例>
[1-1.記録/再生対象とする光記録媒体]

図1は、前提例において記録/再生対象とする光記録媒体の断面構造図を示している。
ここで、この前提例をはじめとして、後述する比較例、及び実施の形態において記録/再生対象とする光記録媒体は、いわゆるバルク記録型の光記録媒体とされ、以下、バルク型記録媒体1と称する。
バルク型の光記録媒体とは、いわゆるバルク記録が行われる光記録媒体を指す。バルク記録とは、通常の多層光ディスクのような複数の記録膜が形成された多層構造は有さず、図のようなバルク層5としての記録層に対して逐次焦点位置を変えてレーザ光照射を行って多層記録を行う技術を指す。
【0016】
図1において、バルク型記録媒体1は、ディスク状の光記録媒体とされ、回転駆動されるバルク型記録媒体1に対するレーザ光照射が行われてマーク記録(情報記録)が行われる。また、記録情報の再生としても、回転駆動されるバルク型記録媒体1に対してレーザ光を照射して行われる。
なお光記録媒体とは、光の照射により情報の記録/再生が行われる記録媒体を総称したものである。
【0017】
図示するようにバルク型記録媒体1には、上層側から順にカバー層2、選択反射膜3、中間層4、バルク層5が形成されている。
ここで、本明細書において「上層側」とは、後述する光学ドライブ装置(記録再生装置10)側からのレーザ光が入射する面を上面としたときの上層側を指す。
【0018】
また、本明細書においては「深さ方向」という語を用いるが、この「深さ方向」とは、上記「上層側」の定義に従った上下方向と一致する方向(すなわち光学ドライブ装置側からのレーザ光の入射方向に平行な方向:フォーカス方向)を指すものである。
【0019】
バルク型記録媒体1において、上記カバー層2は、例えばポリカーボネートやアクリルなどの樹脂で構成され、図示するようにその下面側には、記録/再生位置を案内するための位置案内子として後述するピット列が形成されていることで、凹凸の断面形状が与えられている。カバー層2は、後述するピット列が形成されたスタンパを用いた射出成形などにより生成される。
なお、バルク型記録媒体1における上記ピット列の具体的な形成態様については後述する。
【0020】
また、上記ピット列が形成された上記カバー層2の下面側には、選択反射膜3が成膜される。
ここで、後述もするようにバルク記録方式では、記録層としてのバルク層5に対してマーク記録/再生を行うための光(録再用レーザ光)を照射すう一方で、上記のようなピット列などの位置案内子に基づきトラッキングやフォーカスのエラー信号を得るための光(サーボ用レーザ光)を別途に照射するものとされている。
このとき、仮に、上記サーボ用レーザ光がバルク層5に到達してしまうと、当該バルク層5内におけるマーク記録に悪影響を与える虞がある。このため、サーボ用レーザ光は反射し、録再用レーザ光は透過するという選択性を有する反射膜が必要とされている。
従来よりバルク記録方式では、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長帯の異なるレーザ光を用いるようにされており、これに対応すべく、上記選択反射膜3としては、サーボ用レーザ光と同一の波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するという、波長選択性を有する選択反射膜が用いられる。
【0021】
上記選択反射膜3の下層側には、例えばUV硬化樹脂などの接着材料で構成された中間層4を介して、記録層としてのバルク層5が積層(接着)されている。
バルク層5の形成材料(記録材料)としては、例えばポジ型マイクロホログラム方式やネガ型マイクロホログラム方式などのマイクロホログラム方式、或いはボイド記録方式など、採用するバルク記録の方式に応じて適宜最適なものが採用されればよい。
ここで、上記マイクロホログラム方式については、例えば下記の参考文献1に開示されている。また、ボイド記録方式は、下記の参考文献2に開示されている。

・参考文献1・・・特開2008−135144号公報
・参考文献2・・・特開2008−176902号公報

なお、本発明で対象とする光記録媒体に対するマーク記録方式は特に限定されるべきものではなく、バルク記録方式の範疇において任意の方式が採用されればよい。以下の説明では一例として、上記のボイド記録方式が採用される場合を例示する。ボイド記録方式は、マークとしてボイド(空孔、空包)を形成する記録方式である。
【0022】
ここで、図1に示すような断面構造を有するバルク型記録媒体1において、位置案内子が形成された選択反射膜3は、以下で説明もするようにサーボ用レーザ光に基づく録再用レーザ光の位置制御を行うにあたっての基準となる反射面となる。この意味で、選択反射膜3が形成された面を以下、基準面Refと称する。
【0023】
図2は、バルク型記録媒体1の記録手法について説明するための図である。
先ず、先にも触れたように、バルク型記録媒体1に対しては、マークの記録/再生を行うための録再用レーザ光と共に、位置制御用のレーザ光としてのサーボ用レーザ光とを照射するようにされる。
図示するようにこれら録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とは、共通の対物レンズ(後述する対物レンズ20)を介してバルク型記録媒体1に照射される。
【0024】
ここで、案内溝や反射膜の形成されていないバルク層5に対して多層記録を行うとしたときには、バルク層5内の深さ方向においてマークを記録する層位置を何れの位置とするかを予め定めておくことになる。図中では、バルク層5内においてマークを形成する層位置(マーク形成層位置:情報記録層位置とも呼ぶ)として、第1情報記録層位置L1〜第5情報記録層位置L5の計5つの情報記録層位置Lが設定された場合を例示している。図示するように第1情報記録層位置L1は、案内溝が形成された選択反射膜3(基準面Ref)からフォーカス方向(深さ方向)に第1オフセットof-L1分だけ離間した位置として設定される。また、第2情報記録層位置L2、第3情報記録層位置L3、第4情報記録層位置L4、第5情報記録層位置L5は、それぞれ基準面Refから第2オフセットof-L2分、第3オフセットof-L3分、第4オフセットof-L4分、第5オフセットof-L5分だけ離間した位置として設定される。
なお、これら基準面Refからの各層位置Lへのオフセットof-Lの情報は、後述する記録再生装置10におけるコントローラ40に設定されている。
【0025】
マークが未だ形成されていない記録時においては、録再用レーザ光の反射光に基づいてバルク層5内の各層位置Lを対象としたフォーカスサーボ、トラッキングサーボを行うことはできない。従って、記録時における対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御は、サーボ用レーザ光の反射光に基づき、当該サーボ用レーザ光のスポット位置が基準面Refにおいて案内溝に追従するようにして行うことになる。
【0026】
但し、上記録再用レーザ光は、マーク記録のために基準面Refよりも下層側に形成されたバルク層5に到達させる必要がある。このため、この場合の光学系には、対物レンズのフォーカス機構とは別途に、録再用レーザ光の合焦位置を独立して調整するための録再光用フォーカス機構が設けられることになる(図4における固定レンズ14、可動レンズ15、及びレンズ駆動部16を参照)。すなわち、このような録再光用フォーカス機構により、録再用レーザ光の合焦位置を基準面Refよりも下層側に合わせることができ、それよってバルク層5内の所要の層位置に記録を行うことができるものである。
【0027】
図3は、バルク型記録媒体1の再生時におけるサーボ制御について説明するための図である。
マーク記録が既に行われたバルク型記録媒体1について再生を行う際は、記録時のように対物レンズの位置をサーボ用レーザ光の反射光に基づいて制御する必要性はない。すなわち、再生時においては、再生対象とする情報記録層位置L(再生時については情報記録層Lとも称する)に形成されたマーク列を対象として、録再用レーザ光の反射光に基づいて対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を行えばよい。
【0028】
このようにバルク型記録媒体1に対しては、マーク記録/再生を行うための録再用レーザ光と位置制御用光としてのサーボ光とを共通の対物レンズを介して(同一光軸上に合成して)照射するようにした上で、記録時においては、サーボ用レーザ光が基準面Refの位置案内子に追従するように対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を行い且つ、上述の録再光用フォーカス機構により録再用レーザ光の合焦位置を別途調整することによって、バルク層5内に案内溝が形成されていなくとも、所要の位置(深さ方向及びトラッキング方向)にマーク記録ができるように図られている。
また、再生時には、既に記録されたマーク列に録再用レーザ光の焦点位置が追従するようにして当該録再用レーザ光の反射光に基づく対物レンズのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を行うことで、バルク層5内に記録されたマークの再生を行うことができる。
【0029】
[1-2.光学系の構成]

図4は、上記により説明したバルク型記録媒体1に対する記録/再生を行う光学ドライブ装置が備える主に光学系の構成について説明するための図である。具体的には、記録再生装置10が備える光学ピックアップOPの内部構成を主に示している。
【0030】
図4において、記録再生装置10に装填されたバルク型記録媒体1は、当該記録再生装置10における所定位置においてそのセンターホールがクランプされるようにしてセットされ、図示は省略したスピンドルモータによる回転駆動が可能な状態に保持される。
光学ピックアップOPは、上記スピンドルモータにより回転駆動されるバルク型記録媒体1に対して録再用レーザ光、サーボ用レーザ光を照射するために設けられる。
【0031】
光学ピックアップOP内には、マークによる情報記録、及びマークにより記録された情報の再生を行うための録再用レーザ光の光源である録再用レーザ11と、基準面Refに形成された位置案内子を利用した位置制御を行うための光であるサーボ用レーザ光の光源であるサーボ用レーザ24とが設けられる。
ここで、前述のように録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長が異なる。本例の場合、録再用レーザ光の波長はおよそ405nm程度(いわゆる青紫色レーザ光)、サーボ用レーザ光の波長はおよそ640nm程度(赤色レーザ光)とされる。
【0032】
また、光学ピックアップOP内には、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光のバルク型記録媒体1への出力端となる対物レンズ20が設けられる。
さらには、上記録再用レーザ光のバルク型記録媒体1からの反射光を受光するための録再光用受光部23と、サーボ用レーザ光のバルク型記録媒体1からの反射光を受光するためのサーボ光用受光部29とが設けられる。
【0033】
その上で、光学ピックアップOP内においては、上記録再用レーザ11より出射された録再用レーザ光を上記対物レンズ20に導くと共に、上記対物レンズ20に入射した上記バルク型記録媒体1からの録再用レーザ光の反射光を上記録再光用受光部23に導くための光学系が形成される。
【0034】
具体的に、上記録再用レーザ11より出射された録再用レーザ光は、コリメーションレンズ12を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。偏光ビームスプリッタ13は、このように録再用レーザ11側から入射した録再用レーザ光については透過するように構成されている。
【0035】
上記偏光ビームスプリッタ13を透過した録再用レーザ光は、固定レンズ14、可動レンズ15、及びレンズ駆動部16から成るエキスパンダに入射する。このエキスパンダは、前述した録再光用フォーカス機構に相当するものであり、光源である録再用レーザ11に近い側が固定レンズ14とされ、録再用レーザ11に遠い側に可動レンズ15が配置され、レンズ駆動部16によって上記可動レンズ15が録再用レーザ光の光軸に平行な方向に駆動されることで、録再用レーザ光について独立したフォーカス制御を行う。
後述もするように、当該録再光用フォーカス機構におけるレンズ駆動部16は、図13に示すコントローラ40によって、対象とする情報記録層位置Lに対応して設定されたオフセットof-Lの値に応じて駆動される。
【0036】
上記録再光用フォーカス機構を形成する固定レンズ14及び可動レンズ15を介した録再用レーザ光は、図のようにミラー17にて反射された後、1/4波長板18を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
ダイクロイックプリズム19は、その選択反射面が、録再用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されている。従って上記のようにして入射した録再用レーザ光は、ダイクロイックプリズム19にて反射される。
【0037】
上記ダイクロイックプリズム19で反射された録再用レーザ光は、図示するようにして対物レンズ20を介してバルク型記録媒体1に対して照射される。
対物レンズ20に対しては、当該対物レンズ20をフォーカス方向(バルク型記録媒体1に対して接離する方向)、及びトラッキング方向(上記フォーカス方向に直交する方向:バルク型記録媒体1の半径方向)に変位可能に保持する2軸アクチュエータ21が設けられる。
2軸アクチュエータ21には、フォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられ、それぞれに駆動信号(後述する駆動信号FD、TD)が与えられることで、対物レンズ20をフォーカス方向、トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
【0038】
ここで、再生時においては、上記のようにしてバルク型記録媒体1に対して録再用レーザ光が照射されることに応じて、バルク型記録媒体1(バルク層5内の再生対象の情報記録層Lに記録されたマーク列)より上記録再用レーザ光の反射光が得られる。このように得られた録再用レーザ光の反射光は、対物レンズ20を介してダイクロイックプリズム19に導かれ、当該ダイクロイックプリズム19にて反射される。
ダイクロイックプリズム19で反射された録再用レーザ光の反射光は、1/4波長板18→ミラー17→録再光用フォーカス機構(可動レンズ15→固定レンズ14)を介した後、偏光ビームスプリッタ13に入射する。
【0039】
ここで、このように偏光ビームスプリッタ13に入射する録再用レーザ光の反射光(復路光)は、1/4波長板18による作用とバルク型記録媒体1での反射時の作用とにより、録再用レーザ光11側から偏光ビームスプリッタ13に入射した録再用レーザ光(往路光)とはその偏光方向が90度異なるようにされる。この結果、上記のようにして入射した録再用レーザ光の反射光は、偏光ビームスプリッタ13にて反射される。
【0040】
このように偏光ビームスプリッタ13にて反射された録再用レーザ光の反射光は、集光レンズ22を介して録再光用受光部23の受光面上に集光する。
【0041】
また、光学ピックアップOP内には、上記により説明した録再用レーザ光についての光学系の構成に加えて、サーボ用レーザ24より出射されたサーボ用レーザ光を対物レンズ20に導き且つ、上記対物レンズ20に入射したバルク型記録媒体1からのサーボ用レーザ光の反射光をサーボ光用受光部29に導くための光学系が形成される。
図示するように上記サーボ用レーザ24より出射されたサーボ用レーザ光は、コリメーションレンズ25を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ26に入射する。偏光ビームスプリッタ26は、このようにサーボ用レーザ24側から入射したサーボ用レーザ光(往路光)は透過するように構成される。
【0042】
上記偏光ビームスプリッタ26を透過したサーボ用レーザ光は、1/4波長板27を介してダイクロイックプリズム19に入射する。
先に述べたように、ダイクロイックプリズム19は、録再用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されているため、上記サーボ用レーザ光はダイクロイックプリズム19を透過し、対物レンズ20を介してバルク型記録媒体1に照射される。
【0043】
また、このようにバルク型記録媒体1にサーボ用レーザ光が照射されたことに応じて得られる当該サーボ用レーザ光の反射光(基準面Refからの反射光)は、対物レンズ20を介した後ダイクロイックプリズム19を透過し、1/4波長板27を介して偏光ビームスプリッタ26に入射する。
先の録再用レーザ光の場合と同様にして、このようにバルク型記録媒体1側から入射したサーボ用レーザ光の反射光(復路光)は、1/4波長板27の作用とバルク型記録媒体1での反射時の作用とにより、往路光とはその偏光方向が90度異なるものとされ、従って復路光としてのサーボ用レーザ光の反射光は偏光ビームスプリッタ26にて反射される。
【0044】
偏光ビームスプリッタ26にて反射されたサーボ用レーザ光の反射光は、集光レンズ28を介してサーボ光用受光部29の受光面上に集光する。
【0045】
ここで、図示による説明は省略するが、実際において記録再生装置10には、上記により説明した光学ピックアップOP全体をトラッキング方向にスライド駆動するスライド駆動部が設けられ、当該スライド駆動部による光学ピックアップOPの駆動により、レーザ光の照射位置を広範囲に変位させることができるようにされている。
【0046】
また、この場合の光学ピックアップOP内においては、位置センサ30、及びskewセンサ31が設けられるが、これらについては後に改めて説明する。
【0047】
[1-3.スポット位置ずれの問題]

ここで、上記により説明したようなバルク記録方式を採用する場合には、いわゆるskew(チルト)の発生やディスク偏芯に伴う対物レンズ20のレンズシフトの発生に伴い、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とに記録面内方向におけるスポット位置ずれが生じることが知られている。
【0048】
図5は、skewの発生に伴う録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを模式的に示している。
図5(a)に示すskew無しの状態では、サーボ用レーザ光と録再用レーザ光のスポット位置は記録面内方向において一致している。これに対し、図5(b)に示すようなskewの発生に応じては、サーボ用レーザ光と録再用レーザ光とに光軸のずれが生じ、図中に示すようなスポット位置ずれΔxが生じてしまう。
【0049】
また図6は、レンズシフトに伴う録再用レーザ光とサーボ用レーザ光とのスポット位置ずれを模式的に示している。
図6(a)に示すレンズシフト無しの状態では、対物レンズ20が基準位置にあり、対物レンズ20の中心と該対物レンズ20に入射する各レーザ光の光軸cとが一致している。光学系は、このように対物レンズが基準位置にある状態において、各レーザ光の記録面内方向におけるスポット位置が一致するように設計されている。
【0050】
これに対し、トラッキングサーボ制御により図6(b)に示すようにディスク偏芯に追従するようにして対物レンズ20が基準位置からシフトしてしまった場合(この場合は紙面左方向へのシフトとしている)には、図中に示すようなスポット位置ずれΔxが生じる。
このようなレンズシフト起因のスポット位置ずれは、対物レンズ20に対するサーボ用レーザ光と録再用レーザ光の入射態様の差によって生じるものとなる。具体的には、サーボ用レーザ光は対物レンズ20に対して略平行光により入射するのに対し、録再用レーザ光は非平行光により入射することに起因するものである。
【0051】
このようなskewやレンズシフトに起因したサーボ用レーザ光と録再用レーザ光のスポット位置ずれが生じることによっては、バルク層5内における情報記録位置のずれが生じてしまう。つまり、先の説明からも理解されるように、記録時における録再用レーザ光のスポット位置は、サーボ用レーザ光の反射光に基づく対物レンズ20のトラッキングサーボ制御が行われることで制御されるので、上記のようなスポット位置ずれの発生に応じては、バルク層5内の意図した位置に記録を行うことができなくなってしまうものである。
【0052】
このとき、skew・偏芯の発生量やトラックピッチ(位置案内子の形成間隔)の設定によっては、隣接するトラック間で情報記録位置が重なってしまう虞がある。具体的にディスクの偏芯やskewは、スピンドルモータへのディスクのクランプのされかたなどにより、ディスクが装填されるごとに異なる態様で発生することがあるので、例えば或るディスクについてディスク付け替えを伴う追記が行われたとき、前回の記録時に生じていたskew・偏芯の態様と追記時に生じるskew・偏芯の態様とが異なることに起因して、既記録部分のマーク列と追記部分のマーク列とに重なりが生じたり、場合によっては交差してしまうという問題が生じるものである。
このようであると、正しく記録信号を再生することはできなくなる。
【0053】
このようなマーク列の重なりや交差の発生を防止するための一つの手法として、基準面Refにおけるトラックピッチを広めに設定しておくということを挙げることができる。
しかしながら、このように基準面Refのトラックピッチを広げた場合には、当然のことながらバルク層5における記録容量の縮小化を招くものとなってしまう。
【0054】
そこで、情報記録位置のずれ自体を防止するために、skewやレンズシフトを検出した結果から、録再用レーザ光のスポット位置ずれを補正するということが行われる。
図5や図6を参照して理解されるように、skewの発生量とスポット位置ずれ量、及びレンズシフト量とスポット位置ずれ量とは、それぞれ相関するものとなっている。この点より、skew量の検出結果からskew起因分のスポット位置ずれ補正量を求め、またレンズシフト量の検出結果からレンズシフト起因分のスポット位置ずれ補正量を求めた上で、それらの和を計算することで、skewとレンズシフトの双方に起因したスポット位置ずれを補正するための補正量を算出できる。そして、このように算出した補正量に基づき、情報記録位置のずれを補正できる。
【0055】
このような情報記録位置のずれ補正を行うために、記録再生装置10には、先の図4に示した位置センサ30及びskewセンサ31を設けるものとしている。
図4において、位置センサ30は、対物レンズ20の近傍に設けられ、当該対物レンズ20のトラッキング方向における位置(基準位置からの変位量)を検出する。すなわち、対物レンズ20のレンズシフト量を検出するものである。
位置センサ30による位置検出信号ps-olは、後述するコントローラ40に供給される。
なお、レンズシフト量を検出する手段としては上記位置センサ30以外にも多様に考えられる。
【0056】
また、skewセンサ31は、バルク型記録媒体1の傾き(skew)を検出する。例えばこの場合のskewセンサ31は、バルク型記録媒体1に対して所定角度で光を照射する光照射部と、該光照射部により照射した光についてのバルク型記録媒体1からの反射光を受光する受光部とを備え、該受光部による上記反射光の受光位置のずれ量を検出することでバルク型記録媒体1の傾き量を検出する。
skewセンサ31による検出信号(skew検出信号skとする)としても、コントローラ40に供給される。
なお、skewを検出するための具体的な構成についても、上記により例示した構成に限定されるべきものではない。
【0057】
ここで、上記の位置センサ30やskewセンサ31による検出結果に基づき得られた情報記録位置のずれ量に基づき情報記録位置を補正するための具体的手法の1つとしては、検出したずれ量に基づき、例えば録再用レーザ光の光軸を変化させるという手法を挙げることができる。具体的には、録再用レーザ光の光軸を例えばガルバノミラーなどを用いて変化させることで、情報記録位置のずれを補正することができる。
【0058】
しかしながらこのように録再用レーザ光の光軸を変化させる手法で情報記録位置のずれ補正を行うためには、上記のガルバノミラーなどの別途の構成を追加する必要があり、これに伴って部品点数の増加や製造コストの増加を招くものとなってしまう。
【0059】
そこで、前提例をはじめ、後述する比較例及び実施の形態においては、情報記録位置のずれ補正を、トラッキングサーボの対象位置を本来対象とすべき位置(つまり記録したいトラック)からずらすことで実現するものとしている。すなわち、先に説明したようなサーボ用レーザ光による位置案内子に従った対物レンズ20のトラッキングサーボ制御が行われる下で、トラッキングサーボの対象位置を、記録したいトラックから補正量に応じた分だけずらすというものである。このことで、結果的に情報記録位置が上記記録したいトラック位置に合致するように制御することができる。
このようにトラッキングサーボの対象位置を本来の対象位置からずらす手法とすることで、例えば上記のような録再用レーザ光の光軸を調整するための別途の追加構成は不要とでき、その分、部品点数の削減や製造コストの削減を図ることができる。
【0060】
[1-4.基準面の構造]

ここで、上記のようなサーボ用レーザ光によるトラッキングサーボの対象位置をオフセットさせることによる情報記録位置の補正を行うことに対応して、図1に示したバルク型記録媒体1は、その基準面Refに、以下で説明するような態様によるピット列が形成される。
【0061】
図7は、バルク型記録媒体1における基準面Ref(選択反射膜3)の表面を一部拡大した平面図である。
この図7においては、紙面の左側から右側に向かう方向をピット列の形成方向、つまりはトラックの形成方向としている。この場合、サーボ用レーザ光のスポットは、バルク型記録媒体1の回転駆動に伴い、紙面の左側から右側に移動するものとする。
また、ピット列の形成方向と直交する方向(紙面の縦方向)は、バルク型記録媒体1の半径方向である。
【0062】
また図7において、図中の白丸で示すA〜Fは、ピットの形成可能位置を表す。すなわち、基準面Refにおいて、ピットは、当該ピットの形成可能位置においてのみ形成されるものであって、ピットの形成可能位置以外にはピットの形成が行われない。
また、図中のA〜Fの符号の別はピット列の別(半径方向において配列されるピット列の別)を表し、これらA〜Fの符号に付される数字はピット列上におけるピットの形成可能位置の別を表す。
【0063】
ここで、図中の黒太線で表す間隔は、従来のバルク型記録媒体1において実現可能な最小トラックピッチ(従来限界トラックピッチ)を表している。このことからも理解されるように、本実施の形態のバルク型記録媒体1では、A〜Fの計6本のピット列が、半径方向において、従来限界の1トラック幅内に配列されていることになる。
【0064】
但し、従来限界の1トラック幅内にこれら複数のピット列を単純に配列したのみでは、ピット列形成方向においてピットの形成位置が重なってしまう虞があり、つまりはピット列形成方向におけるピットの間隔が光学限界を超えてしまう虞がある。
【0065】
そこで、本例においては、従来限界の1トラック幅内に配列される上記A〜Fの複数のピット列間で、ピット列形成方向におけるピット同士の間隔が光学限界を超えないようにするべく、以下のような条件を定めている。
すなわち、

1)A〜Fの各ピット列において、ピットの形成可能位置の間隔を所定の第1の間隔に制限する。
2)このようにピットの形成可能位置の間隔が制限されたA〜Fの各ピット列を、それぞれのピットの形成可能位置がピット列形成方向において所定の第2の間隔ずつずれたものとなるようにして配列する(つまり上記第2の間隔で各ピット列の位相をずらす)。

というものである。
【0066】
ここで、半径方向に配列されるA〜Fのピット列におけるそれぞれのピットの形成可能位置のピット列形成方向における間隔(上記第2の間隔)をnとおく。このとき、上記2)の条件が満たされるようにA〜Fの各ピット列が配列されることで、ピット列A−B、ピット列B−C、ピット列C−D、ピット列D−E、ピット列E−F、及びピット列F−Aの各ピット形成可能位置間の間隔は、図示するように全てnとなる。
また、A〜Fの各ピット列におけるピット形成可能位置の間隔(上記第1の間隔)は、この場合はA〜Fまでの計6つのピット列位相を実現するものとしているので、6nとなる。
【0067】
本例において、基準面Refにおけるサーボ用レーザ光による情報再生は、DVD(Digital Versatile Disc)の場合と同様の波長λ=640、開口数NA=0.65の条件で行うものとしている。このことに対応して本実施の形態では、各ピット形成可能位置の区間長はDVDにおける最短マークと同じ3T分(Tはチャネルビット)の区間長とし、またピット列形成方向におけるA〜Fの各ピット形成可能位置のエッジ間の間隔も、同様の3T分の長さに設定している。つまりこのことによると、n=6Tとなる。
この結果、上記1)2)の条件が満たされるものとなっている。
【0068】
ここで、基準面Ref全体におけるピットの形成態様について理解するために、次の図8を参照してより具体的なピット列の形成手法について説明する。
なお図8では、図示の都合上、ピット列の種類(位相)がA〜Cの3種のみとされた場合を例示している。
また図中において、黒丸はピット形成可能位置を表す。
【0069】
この図8を参照して分かるように、バルク型記録媒体1の基準面Refにおいては、それぞれ位相の異なる複数種のピット列(図8ではA〜Cの3種としているが実際にはA〜Fの6種となる)を1セットとし、該複数種のピット列の1セットがスパイラル状に形成されている。
このことで、上記複数種のピット列のうちの所要の1種のピット列を対象としたトラッキングサーボをかけ続けることで、スポット位置はスパイラル状の軌跡を描くことになる。
【0070】
また、基準面Refにおいて、ピットは、CAV(角速度一定)により形成されたものとなる。このことから、図示するよう複数種のピット列の個々は、半径方向において、そのピットの形成位置(ピットの形成可能位置)が同じ角度位置に揃うものとなる。
【0071】
[1-5.アドレス情報について]

続いて、図9により、基準面Refに記録されるアドレス情報のフォーマットの一例について説明する。
図9において、先ず図9(a)は、それぞれ異なるピット列位相を有するようにされた各ピット列(A〜F)のピット形成可能位置の関係を模式化して示している。なお図9(a)においては「*」マークによりピット形成可能位置を表している。
【0072】
ここで、後述もするように、記録再生装置10は、これらA〜Fのピット列のうちから1つのピット列を選択し、該選択した1つのピット列を対象としてトラッキングサーボをかけるようにされている。
但し、このとき問題となるのは、A〜Fの各ピット列は半径方向において従来の光学限界を超えた間隔で配列されているという点である。すなわち、この場合においてビームスポットがトラック上を移動(走査)して得られるトラッキングエラー信号(プッシュプル信号)としては、A〜Fの全てのピットを反映したものとなってしまうので、該トラッキングエラー信号に基づきトラッキングサーボをかけたとしても、選択した1つのピット列を追従することはできなくなる。
このために本例の記録再生装置10は、後述するように、選択したピット列におけるピット形成可能位置の区間のトラッキングエラー信号を抽出し、該抽出したトラッキングエラー信号に基づいて(いわば間欠的に)トラッキングサーボをかけるようにされる。
【0073】
そして、これと同様に、アドレス情報を読む場合にも、選択したピット列に記録される情報のみが選択的に読み出されるように、該選択したピット列のピット形成可能位置の区間の和信号(後述のsum信号)を抽出し、該抽出した和信号に基づきアドレス情報を検出するという手法が採られる。
【0074】
このような情報検出の手法に対応するために、本例では、ピット形成可能位置におけるピットの形成有無により、チャネルビット(記録符号)の「0」「1」を表現するフォーマットを採用するものとしている。すなわち、1つのピット形成可能位置が、1チャネルビット分の情報を担うものである。
【0075】
その上で、このようなチャネルビットの複数個による「0」「1」のデータパターンにより、データビットの1ビットを表現するものとしている。
具体的に本例では、図9(b)に示されるように、チャネルビット4つ分でデータビットの「0」「1」を表現するものとし、例えば4チャネルビットのパターン「1011」がデータビット「0」、4チャネルビットのパターン「1101」がデータビット「1」を表すものとしている。
【0076】
このとき重要であるのは、チャネルビット「0」が連続しないという点である。つまり、チャネルビット「0」が連続してしまうということは、上述のようにトラッキングエラー信号を間欠的に用いてサーボを行うとしたときに、エラー信号が得られない期間が連続してしまうということ意味するので、これに伴い、トラッキングサーボの精度を確保することが非常に困難となってしまうためである。
このため本例では、例えば上記のようなデータビットの定義により、チャネルビット「0」が連続しないという条件が満たされるようにしている。すなわち上記のようなデータビットの定義により、トラッキングサーボの精度低下が最小限に抑えられるようにしているものである。
【0077】
図9(c)は、シンクパターンの一例を示している。
例えばシンクパターンについては、図示するように12チャネルビットで表現するものとし、前半の8ビットを上記データビットの定義に当てはまらないチャネルビットパターン「11111111」とし、その後の4チャネルビットのパターンでシンクの別(種類)を表すものとしている。具体的に、上記8ビットに続く4チャネルビットのパターンが「1011」であればSync1、「1101」であればSync2としている。
【0078】
バルク型記録媒体1においては、アドレス情報が、上記のようなシンクの後に続けて記録されているものとする。
ここでアドレス情報としては、少なくとも絶対位置情報(半径位置の情報、及び回転角度位置の情報)を記録する。
なお確認のために述べておくと、本例では従来限界の1トラック幅内にA〜Fの複数本のピット列を配列するものとしているが、アドレス情報の記録は、各ピット列の半径位置が個別に表されるように(各ピット列の識別が可能となるように)、ピット列ごとに個別の情報が割り振られるようにして行う。すなわち、従来限界の1トラック幅内に配列されるA〜Fの各ピット列に対し同じアドレス情報を記録するものではない。
【0079】
なお、図9の説明からも理解されるように、バルク型記録媒体1における基準面Refに対しては、ピットがポジション記録されていることになる。前述もした通り、ポジション記録とは、ピット又はマークの形成部分を「1」、それ以外の部分を「0」とする記録手法を指すものである。
【0080】
[1-6.トラッキングサーボの具体的な手法]

上記のように従来の1トラック幅内に複数配列されるようにして形成されたピット列のうちから、任意のピット例を対象としてトラッキングサーボをかけるための手法は、具体的には以下で説明するものとなる。
【0081】
図10は、バルク型記録媒体1の回転駆動に伴い基準面Ref上をサーボ用レーザ光のスポットが移動する様子と、その際に得られるsum信号、sum微分信号、及びプッシュプル信号PP(PP信号とも表記する)の波形との関係を模式的に示している。
上記sum信号は、図4に示したサーボ光用受光部29としての複数の受光素子で得られた受光信号DT-svの和信号であり、上記sum微分信号はsum信号を微分して得られる信号である。
ここで、この図では説明の便宜上、図中の各ピット形成可能位置の全てにピットが形成されているものとする。
【0082】
図示するようにして、バルク型記録媒体1の回転に伴いサーボ用レーザ光のビームスポットが移動することに伴っては、sum信号は、A〜Fの各ピットのピット列形成方向における配置間隔に応じた周期でその信号レベルがピークを迎えることになる。つまりこのsum信号は、A〜Fの各ピットのピット列形成方向における間隔(形成周期)を表していることになる。
【0083】
ここで、この図の例ではサーボ用レーザ光のスポットがピット列A上に沿って移動するものとしているので、上記sum信号は、ピット列形成方向におけるピットAの形成位置の通過時にピーク値が最大(絶対値)となり、またピットB〜ピットDの各形成位置にかけて徐々にピーク値が減少していく傾向となる。そしてその後、ピットEの形成位置→ピットFの形成位置の順でピーク値は上昇傾向に転じ、再びピットAの形成位置に至ることでピーク値が最大となる。すなわち、ピット列形成方向における上記ピットE、Fの形成位置においては、外周側に隣接するピット列E、Fにおけるピットの影響を受けるので、sum信号のピーク値はピットE、Fの形成位置ごとで順に上昇することになる。
【0084】
また、上記sum信号を微分して生成されるsum微分信号、及びトラッキング誤差信号としてのPP信号としては、それぞれ図示するような波形が得られる。
上記sum微分信号は、各ピット列A〜Fのピット形成位置(厳密にはピット形成可能位置である)のピット列形成方向における間隔に応じたクロックCLKを生成するために用いられることになる。
【0085】
前提例、及び後述する比較例では、クロックCLKとして、各ピットのセンター位置(ピークポジション)に相当する位置(タイミング)を立ち上がり位置(タイミング)とする信号を生成するものとしている。具体的には、先の図10にも示した所定の閾値Th1でsum信号をスライスした信号と、同様に所定の閾値Th2でsum微分信号をスライスした信号とを生成し、これらのANDをとることで、上記ピークポジションに相当する立ち上がりタイミングを有するタイミング信号を生成する(先の図29を参照)。
【0086】
図11は、上記の手順により生成したタイミング信号から生成されたクロックCLKと、該クロックCLKに基づき生成された各selector信号の波形と、基準面Refに形成された各ピット列(の一部)との関係を模式化して示している。
この図に示すように、クロックCLKとしては、各ピット(ピット形成可能位置)のピークポジションに対応したタイミングで立ち上がり、且つ各立ち上がり位置間の中間点が立ち下がり位置とされた信号となる。
このようなクロックCLKは、上記のように生成されたタイミング信号を入力信号(参照信号)としたPLL(Phase Locked Loop)処理を行って生成する。
【0087】
このようにピットA〜Fの形成間隔に応じた周期を有するクロックCLKを生成した上で、該クロックCLKから、A〜Fの個々のピット形成可能位置のタイミングを表す6種のselector信号を生成する。
具体的にこれらselector信号としては、それぞれ上記クロックCLKを1/6に分周して生成されたものとなっており、且つそれぞれの位相が1/6周期ずつずれたものとなっている。換言すれば、これら各selector信号は、それぞれの立ち上がりタイミングが1/6周期ずつずれたものとなるように、クロックCLKをそれぞれのタイミングで1/6に分周して生成されるものである。
【0088】
これらselector信号は、それぞれ、A〜Fの対応するピット列のピット形成可能位置のタイミングを表す信号となる。前提例では、これらselector信号を生成した上で、任意のselector信号を選択し、該選択したselector信号が表す期間内におけるトラッキングエラー信号に従ってトラッキングサーボ制御を行うことで、A〜Fのピット列のうちの任意のピット列上にサーボ用レーザ光のビームスポットをトレースさせる。つまりこのようにすることで、サーボ用レーザ光のビームスポット位置をA〜Fのうちの任意のピット列上にトレースさせることができるものである。
【0089】
このようにA〜Fのピット列のうちの任意のピット列を対象としたトラッキングサーボ制御が可能となることで、録再用レーザ光による情報記録位置のずれの補正にあたって行われるべきサーボ用レーザ光のスポット位置のオフセットは、少なくともこれらA〜Fの各ピット列の間隔で行うことができる。つまりこれにより、録再用レーザ光による情報記録位置を従来の1トラック幅よりも狭い間隔で微調整することができる。具体的にこの場合は、従来の1トラック幅を6分割した精度により情報記録位置を補正することができる。
【0090】
[1-7.具体的なスポット位置ずれ補正手法]

実際にスポット位置ずれ補正を行うにあたっては、上記のようなピット列の選択による1/6トラック幅の精度による情報記録位置の補正を可能とした上で、さらに細かな精度による補正も可能となるようにする。具体的には、選択したピット列についてのトラッキングエラー信号に対してオフセットを与えるなど、トラッキングサーボループ内にオフセットを付与することで、1/6トラック幅を超えるさらなる微調整を可能とするものである。
【0091】
このようなトラッキングサーボループに対するオフセット付与による補正も含めた、前提例としてのスポット位置ずれ補正の具体的な手法について、次の図12を参照して説明する。
図12において、図12(a),図12(b)ではそれぞれ基準面Ref上の半径方向に配列されたピット列とサーボ用レーザ光、録再用レーザ光のそれぞれのスポットを示しており、図12(a)は無補正の状態、図12(b)は補正後の状態を示している。
【0092】
先ず図12(a)において、無補正の状態では、サーボ用レーザ光の反射光に基づくトラッキングサーボ制御が行われることに伴い、サーボ用レーザ光のスポット位置は記録したいトラック(ピット列)上にあることになる。
そして、skewやレンズシフトの発生に伴い、録再用レーザ光のスポット位置は、図のように上記記録したいトラックからずれた位置にあることになる。具体的にこの図においては、録再用レーザ光のスポット位置ずれがピット列8.5本分生じている場合を例示している。
【0093】
このような録再用レーザ光のスポット位置のずれ量は、先の図4に示した位置センサ30とskewセンサ31とにより検出することができる。つまり換言すれば、このように生じる録再用レーザ光のスポット位置のずれを補正するための補正量の値(図12(b))は、これら位置センサ30とskewセンサ31の検出結果に基づいて算出するものである。
【0094】
このとき、位置センサ30による位置検出信号ps-olの値、skewセンサ31によるskew検出信号skの値そのものは、図12(b)に示されているような補正量の値を直接的に表すものではなく、当然のことながらこれら位置検出信号ps-olの値やskew検出信号skの値を正規化して、トラッキングサーボ対象位置のオフセット量としての補正量の値を算出することになる。
具体的に、本例においては、以下のような考え方に基づき、skew及びレンズシフトに起因するスポット位置ずれを補正するための補正量(トラッキングサーボ対象位置のオフセット量)AD_OFSを計算するものとしている。
先ず、skew起因分のスポット位置ずれを補正するための補正量AD_SKと、レンズシフト起因分のスポット位置ずれを補正するための補正量AD_SHとを個別に考え、

AD_SK=(sk−offset_SK)×gain_SK ・・・[式1]

AD_SH=(ps-ol−offset_SH)×gain_SH ・・・[式2]

とする。ここで[式1]において、offset_SK、gain_SKは、skew検出信号skの値に基づきskew起因分のスポット位置ずれを補正するための補正量AD_SKを求めるにたって設定された補正係数である。
同様に[式2]において、offset_SH、gain_SHは、位置検出信号ps-olの値に基づきレンズシフト起因分のスポット位置ずれを補正するための補正量AD_SHを求めるにたって設定された補正係数である。
このようにskew起因分のスポット位置ずれについての補正量AD_SKとレンズシフト起因分のスポット位置ずれについての補正量AD_SHとを個別に扱うものとした上で、skew及びレンズシフトの双方に起因したスポット位置ずれを補正するための補正量AD_OFSを、次の[式3]により計算する。

AD_OFS=AD_SK+AD_SH+D_alm ・・・[式3]

但し[式3]において、D_almは、録再用レーザ光とサーボ用レーザ光の光軸位置のアライメントずれを表す補正係数である。
【0095】
上記のような[式1]〜[式3]の演算により、skewセンサ31によるskew検出信号skの値と、位置センサ30による位置検出信号ps-olの値とから、正規化された補正量AD_OFSを算出する。
【0096】
ここで、上記のように求めた補正量AD_OFSは、距離の情報となる。前述のように本例の場合、スポット位置ずれの補正は、トラッキングサーボの対象とするピット列の選択を伴うものとなるので、上記のようにして求まった補正量AD_OFSの値から、トラッキングサーボの対象とすべきピット列を特定する処理を行う必要がある。具体的には、補正量AD_OFSの値をピット列の形成ピッチの値によって除算することで、図12(a)の記録したいトラックからオフセットさせるべきピット列の本数が求まり、その結果から、トラッキングサーボの対象とすべきピット列を特定するものである。
【0097】
また、上記除算を行った結果得られる余りの値は、補正のためにトラッキングサーボループに対して与えるべきオフセットの値を表すものであり、この値も取得しておく。具体的に図12の例では、ピット列の形成ピッチの1/2の値が当該オフセットの値となる。
【0098】
ここで、このように補正量AD_OFSの値からトラッキングサーボの対象とすべきピット列を特定する過程で得られるオフセットの値(補正のためにトラッキングサーボループに付与すべきオフセットの値)については、オフセットofsと称する。
また、上記のようにして補正量AD_OFSの値から特定したピット列(補正のためにトラッキングサーボの対象とすべきピット列)については、補正用対象ピット列と称する。
【0099】
上記のようにして補正量AD_OFSの値に基づき補正用対象ピット列の特定、及びオフセットofsの取得を行った上で、これらの情報に基づき、サーボ用レーザ光によるトラッキングサーボ対象位置をオフセットさせる。具体的には、上記補正用対象ピット列のピット形成可能位置のタイミングを表すselector信号を選択し、該選択したselector信号が表すタイミングでプッシュプル信号PPをサンプルホールドして得られるトラッキング誤差信号に基づくトラッキングサーボ制御を行うことで、上記補正用対象ピット列を対象としたトラッキングサーボ制御が行われるようにすると共に、その状態においてトラッキングサーボループ内に上記取得したオフセットofsを与えることで、トラッキングサーボの対象位置を上記補正量AD_OFSに応じた分だけオフセットさせる。
このような補正用対象ピット列を対象としたトラッキングサーボ制御とトラッキングサーボループ内へのオフセットofsの付与とを行うことで、サーボ用レーザ光についてのトラッキングサーボ制御の目標値が、計算した補正量AD_OFSの値に応じた分だけオフセットされたことになる。従ってこのことで、サーボ用レーザ光のスポット位置は、図12(b)に示されるように、記録したいトラック位置から補正量AD_OFSの分だけオフセットされるものとなり、これに伴い、録再用レーザ光のスポット位置が、記録したいトラックに合わせ込まれることになる。つまりこの結果、情報記録位置のずれが補正されるものである。
確認のために述べておくと、上記のようにトラッキングサーボループ内に補正量AD_OFSから算出されたオフセットofsを与えることで、ピット列の形成間隔を超える精度での補正が実現される。
【0100】
なおこのとき、図12の例のように補正量AD_OFSが従来限界トラックの半本分以上の値となる(つまりこの場合はピット列3本分以上の値となる)場合は、ジャンプパルスを与えて、サーボ用レーザ光のスポット位置を補正用対象ピット列の方向に移動させることで、selector信号の選択切り替えによるトラッキングサーボ対象のピット列の選択切り替えが可能な状態となるようにする。
先の図10や図11を参照して理解されるように、或るピット列を対象としてトラッキングサーボをかけた状態において、selector信号の選択切り替えによりトラッキングサーボの対象として選択切り替え可能なピット列は、サーボ対象としているピット列を中心としてそれぞれ従来限界トラックの半本分(ピット列3本分)未満の距離内に位置するピット列までとなる。つまり図12(a)のように補正前のサーボ対象のピット列がピット列Aとされている状態では、selector信号の選択切り替えによりトラッキングサーボの対象として選択切り替え可能なピット列は、ピット列B、ピット列C、ピット列F、ピット列Eとなる。従って、図12に示す例のように補正用対象ピット列が現在トラッキングサーボの対象としているピット列から従来限界トラックの半本分以上離れた位置にある場合には、トラッキングサーボを一瞬オフとした上で、上記補正対象ピット列の方向へのジャンプパルスを与えて、サーボ用レーザ光のスポット位置を補正用対象ピット列方向に移動させる。このとき与えるジャンプパルスの大きさは、現在トラッキングサーボの対象としているピット列から補正用対象ピット列までの距離に応じて変化させる。そして、該ジャンプパルスの付与を行った上で、補正用対象ピット列のselector信号を選択して該補正用対象ピット列についてのトラッキングエラー信号を得るものとし、該トラッキングエラー信号に基づくトラッキングサーボが行われるようにする。
このようにすることで、補正量AD_OFSが従来限界トラックの半本分以上となる場合にも、トラッキングサーボの対象ピット列を上記補正用対象ピット列に切り替えることができる。
【0101】
なお、計算した補正量AD_OFSが従来限界トラックの半本分以上である場合に補正用対象ピット列を対象としたトラッキングサーボを行うための手法は、上記手法に限定されるべきものではなく、例えばトラッキングサーボの対象とするピット列を隣接するピット列に順次切り替えていって補正用対象ピット列に到達させるなど、他の手法を採ることもできる。
何れにしても、この場合のスポット位置ずれ補正の実現にあたっては、計算した補正量AD_OFSから特定した補正用対象ピット列を対象としてトラッキングサーボをかけるようにすることに変わりはない。
【0102】
[1-8.光学ドライブ装置の全体的な内部構成]

図13は、上記により説明した手法によりスポット位置ずれ補正を行う、前提例としての記録再生装置10の全体的な内部構成を示している。
なお図13において、光学ピックアップOPの内部構成については、先の図4に示した構成のうち録再用レーザ11、レンズ駆動部16、2軸アクチュエータ21、及び位置センサ30のみを抽出して示している。
【0103】
図13において、記録再生装置10には、バルク層5を対象とした記録/再生や、記録マークの再生時における対物レンズ20のフォーカス/トラッキング制御(つまり録再用レーザ光の反射光に基づく位置制御)を行うための信号処理系の構成として、図中の記録処理部32、録再光用マトリクス回路33、再生処理部34が設けられている。
【0104】
記録処理部32には、バルク型記録媒体1に対して記録すべきデータ(記録データ)が入力される。記録処理部32は、入力された記録データに対してエラー訂正符号の付加や所定の記録変調符号化を施すなどして、バルク型記録媒体1に実際に記録される例えば「0」「1」の2値データ列である記録変調データ列を得る。
記録処理部32は、このように生成した記録変調データ列に基づく記録パルスRCPにより、光学ピックアップOP内の録再用レーザ11の発光駆動を行う。
【0105】
録再光用マトリクス回路33は、図4に示した録再光用受光部23としての複数の受光素子からの受光信号DT-rp(出力電流)に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
具体的には、上述した記録変調データ列を再生した再生信号に相当する高周波信号(以降、再生信号RFと称する)、フォーカスサーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE-rp、トラッキングサーボ制御のためのトラッキングエラー信号TE-rpを生成する。
【0106】
録再光用マトリクス回路33にて生成された上記再生信号RFは、再生処理部34に供給される。
また、上記フォーカスエラー信号FE-rp、上記トラッキングエラー信号TE-rpは、録再光用サーボ回路35に対して供給される。
【0107】
再生処理部34は、上記再生信号RFについて、2値化処理や記録変調符号の復号化・エラー訂正処理など、上述した記録データを復元するための再生処理を行い、上記記録データを再生した再生データを得る。
【0108】
また、録再光用サーボ回路35は、マトリクス回路33から供給されるフォーカスエラー信号FE-rp、トラッキングエラー信号TE-rpに基づきフォーカスサーボ信号FS-rp、トラッキングサーボ信号TS-rpをそれぞれ生成し、これらフォーカスサーボ信号FS-rp、トラッキングサーボ信号TS-rpに基づくフォーカス駆動信号FD-rp、トラッキング駆動信号TD-rpに基づき、2軸アクチュエータ21のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することで、録再用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、トラッキングサーボ制御を行う。
先の説明からも理解されるように、このような録再用レーザ光の反射光に基づく2軸アクチュエータ21(対物レンズ20)のサーボ制御は、再生時において行われるものである。
【0109】
また、録再光用サーボ回路35は、再生時に対応してコントローラ40から為される指示に応じて、トラッキングサーボループをオフとして上記トラッキングコイルにジャンプパルスを与えることでトラックジャンプ動作を実現したり、トラッキングサーボの引き込み制御等も行う。また、フォーカスサーボの引き込み制御等も行う。
【0110】
また、記録再生装置10においては、サーボ用レーザ光の反射光についての信号処理系として、サーボ光用マトリクス回路36、アドレス検出回路37、サーボ光用サーボ回路38、selector信号生成・選択回路39、サンプルホールド回路SH1、及び加算器41が設けられる。
【0111】
サーボ光用マトリクス回路36は、図2に示したサーボ光用受光部29における複数の受光素子からの受光信号DT-svに基づき、必要な信号を生成する。
具体的にこの場合のサーボ光用マトリクス回路36は、プッシュプル信号PP、sum信号(和信号)、及びフォーカスサーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE-svを生成する。
図示するようにプッシュプル信号PPはサンプルホールド回路SH1に対して供給される。またフォーカスエラー信号FE-svはサーボ光用サーボ回路38に対して供給される。
またsum信号はアドレス検出回路37及びselector信号生成・選択部39に対して供給される。
【0112】
アドレス検出回路37は、selector信号生成・選択部39により後述するようにして生成・選択されたselector信号を入力し、該selector信号が表すピット形成可能位置のタイミング(この場合はselector信号がHレベルの区間)で上記サーボ光用マトリクス回路36からのsum信号の値をサンプリングした結果に基づき、基準面Refに記録されたアドレス情報(少なくとも半径位置情報や回転角度位置情報を含む絶対位置情報)を検出する。
ここで、先の図9を参照して説明したように、本例の場合、各ピット列のアドレス情報は、そのピット列におけるピット形成可能位置でのピット形成有無を1チャネルビットの情報として記録されるものである。これに応じアドレス検出回路37は、上記selector信号の立ち上がりタイミングでsum信号の値を識別することで、1チャネルビットの「0」「1」のデータ識別を行い、その結果に基づき、先の図9で説明したフォーマットに従ったアドレスデコード処理を行うことで、記録されたアドレス情報の検出(再生)を行う。
アドレス検出回路37で検出されたアドレス情報は、コントローラ40に対して供給される。
【0113】
selector信号生成・選択部39は、sum信号に基づくクロックCLKの生成、クロックCLKに基づく各selector信号の生成、及び生成したselector信号のうちの指示されたselector信号の選択出力を行う。
【0114】
図14は、selector信号生成・選択部39の内部構成を示している。
図示するようにselector信号生成・選択部39には、クロック生成回路45、selector信号生成回路46、及びselector信号選択回路47が設けられる。
サーボ光用マトリクス回路36からのsum信号は、クロック生成回路45に対して入力される。クロック生成回路45は、先に説明した手順に従ってクロックCLKを生成する。
【0115】
ここで、クロック生成回路45の内部構成は、図15に示すものとなる。
図15において、クロック生成回路45内にはスライス回路45A、sum微分回路45B、スライス回路45C、ANDゲート回路45D、及びPLL回路45Eが設けられる。
sum信号は、図示するようにスライス回路45Aとsum微分回路45Aとに入力される。スライス回路45Aは、設定された閾値Th1に基づき上記sum信号をスライスし、その結果を上記ANDゲート回路45Dに出力する。
上記sum微分回路45Bは、sum信号を微分して先に説明したsum微分信号を生成する。上記スライス回路45Cは、設定された閾値Th2に基づき、上記sum微分回路45Bにより生成されたsum微分信号をスライスし、その結果を上記ANDゲート回路45Dに出力する。
ANDゲート回路45Dは、上記スライス回路45Aからの出力と上記スライス回路45Cからの出力とのANDをとり、これによって先に説明したタイミング信号を生成する。
PLL回路45Eは、このようにANDゲート回路45Dで得られたタイミング信号を入力信号としてPLL処理を行って、クロックCLKを生成する。
【0116】
図14に戻り、クロック生成回路45により生成された上記クロックCLKは、selector信号生成回路46に供給される。
selector信号生成回路46は、クロックCLKに基づき、A〜Fの各ピット列のそれぞれのピット形成可能位置のタイミングを表す6種のselector信号を生成する。具体的にselector信号生成回路46は、クロックCLKを1/6に分周した信号として、それぞれ位相が1/6周期ずつずれた信号を生成することで、上記6種のselector信号を得る。
これら6種のselector信号はselector信号選択回路47に対して供給される。
【0117】
selector信号選択回路47は、入力した6種のselector信号のうちから、コントローラ40より供給される選択信号SLCTにより指示された位相のselector信号を選択・出力する。
【0118】
説明を図13に戻す。
selector信号選択回路47より出力されたselector信号は、前述したアドレス検出回路37に供給されると共に、図のようにサンプルホールド回路SH1に対しても供給される。
【0119】
サンプルホールド回路SH1は、A/D変換器を備え、サーボ光用マトリクス回路36から供給されるプッシュプル信号PPを上記selector信号の立ち上がりエッジでサンプルホールドする。
このようにしてサンプルホールド回路SH1によりselector信号に従ってプッシュプル信号PPをサンプルホールドして得られるトラッキングエラー信号については、以下、トラッキングエラー信号TE-svと称する。
【0120】
図示するようにサンプルホールド回路SH1により得られたトラッキングエラー信号TE-svは、加算器41を介してサーボ光用サーボ回路38に対して供給される。
またトラッキングエラー信号TE-svは、コントローラ40に対しても供給される。
【0121】
サーボ光用サーボ回路38は、フォーカスエラー信号FE-sv、及び加算器41を介したトラッキングエラー信号TE-svに基づき、それぞれフォーカスサーボ信号FS-sv、トラッキングサーボ信号TS-svを生成する。
そして、記録時には、コントローラ40からの指示に応じて、上記フォーカスサーボ信号FS-sv、トラッキングサーボ信号TS-svに基づき生成したフォーカス駆動信号FD-sv、トラッキング駆動信号TD-svに基づいて、2軸アクチュエータ21のフォーカスコイル、トラッキングコイルをそれぞれ駆動することで、サーボ用レーザ光についてのフォーカスサーボ制御、及び所要のピット列を対象としたトラッキングサーボ制御を実現する。
【0122】
また、サーボ光用サーボ回路38は、記録時に対応してコントローラ40から為される指示に応じて、トラッキングサーボループをオフとして2軸アクチュエータ21のトラッキングコイルにジャンプパルスを与えることでトラックジャンプ動作(ピット列間のジャンプ動作)を実現する。
【0123】
コントローラ40は、例えばCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ(記憶装置)を備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に記憶されたプログラムに従った制御・処理を実行することで、記録再生装置10の全体制御を行う。
例えばコントローラ40は、前述したように予め各層位置に対応して設定されたオフセットof-Lの値に基づいて、録再用レーザ光の合焦位置の制御(設定)を行う。具体的には、記録対象とする情報記録層位置Lに対応して設定されたオフセットof-Lの値に基づき、光学ピックアップOP内のレンズ駆動部16を駆動することで、深さ方向における記録位置の選択を行う。
【0124】
また、コントローラ40は、先に説明したような記録/再生時の対物レンズ20のサーボ制御切り替えを実現するための制御も行う。具体的にコントローラ40は、記録時には、サーボ光用サーボ回路38に対してフォーカス駆動信号FD-sv、トラッキング駆動信号TD-svの出力を指示し、また録再光用サーボ回路35にはフォーカス駆動信号FD-rp、トラッキング駆動信号TD-rpの出力を停止するように指示を行う。
一方、再生時には、録再光用サーボ回路35に対してフォーカス駆動信号FD-rp、トラッキング駆動信号TD-rpの出力を指示し、サーボ光用サーボ回路38に対しては、フォーカス駆動信号FD-sv、トラッキング駆動信号TD-svの出力を停止するように指示を行う。
【0125】
またコントローラ40は、サーボ光用サーボ回路38に対するシーク動作制御も行う。すなわち、サーボ用レーザ光のスポット位置を基準面Ref上における所定の目標アドレスに移動させるようにサーボ回路38に対する指示、及びselector信号生成・選択部39(selector信号選択回路47)に対する選択信号SLCTによるselector信号の選択指示を行う。
【0126】
ここで、この場合におけるシーク動作制御は、大まかには例えば以下のような手順で行われることになる。

1)前述のスライド駆動部を利用した光学ピックアップOP全体の移動による目標アドレス付近への移動
2)サーボ用レーザ光のフォーカスサーボON
3)sum信号に基づくクロックCLKの生成&各selector信号の生成
4)任意に選択したselector信号に基づき、任意のピット列を対象としたトラッキングサーボ制御を実行
5)上記4)にてトラッキングサーボがかかることで、アドレス情報(ピット列を識別するための情報)が読めるので、そのアドレスから目標アドレスまでのピット列ジャンプを行う

コントローラ40は、上記1)2)の動作が実行されるように、サーボ回路38に対する指示を行う。またコントローラ40は、上記4)における任意のselector信号の選択のために、選択信号SLCTにより、selector信号生成・選択部39に対し予め定められた位相によるselector信号の選択指示を行う。
またコントローラ40は、上記5)の動作の実現のために、上記4)によるトラッキングサーボがかかることに応じてアドレス検出回路37により検出されるアドレス情報を入力し、該アドレス情報に基づき、目標アドレスまでに要するピット列のジャンプ本数を計算し、該ジャンプ本数分だけピット列ジャンプ動作を実行させるための指示をサーボ回路38に対して行う。
【0127】
また、コントローラ40は、先に説明したスポット位置ずれ補正に係る制御処理として、以下のような処理も実行する。
つまりコントローラ40は、skewセンサ31によるskew検出信号skの値と、位置センサ30による位置検出信号ps-olの値とを逐次取得すると共に、これらskew検出信号skの値と位置検出信号ps-olの値と、補正係数offset_SK、gain_SK、offset_SH、gain_SH、D_almとを用いた先の[式1]〜[式3]の演算を行うことで、補正量AD_OFSを逐次計算する。
そして、計算した補正量AD_OFSの値をピット列の形成ピッチの値により除算した結果に基づき、補正量AD_OFS分の補正を行うために選択すべき補正用対象ピット列を特定すると共に、トラッキングエラー信号TE-svに与えるべきオフセットofsの値を取得する。
その上で、特定した補正用対象ピット列のピット形成可能位置のタイミングを表すselector信号の選択を、選択信号SLCTによってselector信号生成・選択部39に指示すると共に、取得したオフセットofsの値を、加算器41に出力してトラッキングエラー信号TE-svに対するオフセットofsの付与を実行させる。
なお、先に説明したように、計算した補正量AD_OFSが従来限界トラックの半本以上となる場合は、サーボ光用サーボ回路38に補正用対象ピット列が形成される方向へのジャンプパルスを与えることになる。
【0128】
また、コントローラ40は、このようなスポット位置ずれ補正動作に伴いサーボ用レーザ光のスポット位置が本来対象とすべきピット列上からオフセットさせることに伴い生じるアドレス情報の誤差を補正するための処理も行う。具体的には、スポット位置ずれ補正動作の実行中において、アドレス検出回路37から取得されるアドレス情報を、サーボ用レーザ光スポット位置のオフセット量(記録したいトラックから実際にサーボ対象としているピット列までのピット列本数)に応じて補正するものである。
【0129】
<2.比較例>
[2-1.前提例の問題]

上記により説明した前提例によれば、先の図5や図6にて説明したような情報記録位置のずれを補正して、バルク層5内の適正な位置にマークが記録されるようにできる。
しかしながら、前提例においては、トラッキングエラー信号TE-svとして、プッシュプル信号PPをサンプルホールドした信号を用いている。周知のようにプッシュプル信号PPには、skewやレンズシフトの成分が重畳してしまうことが知られている。
図16は、skewやレンズシフトに伴う反射光の受光スポット位置ずれについて説明するための図であり、図16(a)はskew・レンズシフトが生じていない理想状態におけるサーボ光用受光部29の受光面上の受光スポットを示し、図16(b)はskew・レンズシフトが生じた場合におけるサーボ光用受光部29の受光面上の受光スポットを示している。
なおこれら図16(a)(b)において、受光スポット内に示した斜線部は、ディスク上に形成されたピットからの一次回折光成分の重畳領域(プッシュプル信号成分重畳領域)を表している。
【0130】
先ず、確認のために述べておくと、プッシュプル信号PPは、図中の受光素子A,Bの組及び受光素子C,Dの組みがそれぞれディスクの半径方向に対応する方向に隣接する組であるとした場合、

PP=(Ai+Bi)−(Ci+Di) ・・・[式4]

により計算されるものである。但し[式4]において、Ai,Bi,Ci,Diはそれぞれ受光素子A,B,C,Dの受光信号である。
【0131】
ここで、サーボ用レーザ光のビームスポットは、対象とするピット列上を正確にトレースしていると仮定する。その場合において、skew・レンズシフトが生じていない図16(a)の理想状態であれば、上記[式4]に従って計算されるプッシュプル信号PPの値は「0」となる。
これに対し、図16(b)に示すようなskew・レンズシフトに伴う受光スポット位置ずれが生じている場合、[式4]により計算されるプッシュプル信号PPの値は、本来得られるべき「0」とは異なる値となってしまい、誤差が生じるものとなる。
【0132】
このことからも理解されるように、プッシュプル信号PPにはskewやレンズシフトに伴うオフセットが生じる。
このようなskewやレンズシフトに伴うオフセット成分が無視できる程度であれば、前提例にて説明したトラッキングエラー信号TE-svの生成手法は有効であるが、さらなるトラッキングサーボ制御の精度向上や安定性向上を図るとした場合には、skewやレンズシフトに伴うオフセットが重畳しないより精度の高いトラッキングエラー信号TE-svを生成できることが望ましい。
【0133】
そこで先に本出願人は、特願2010−066149などにおいて、以下で比較例として説明するようなトラッキングエラー信号TE-svの生成手法を提案した。
【0134】
[2-2.比較例としてのトラッキング誤差信号生成手法]

図17は、比較例としてのトラッキングエラー信号生成手法について説明するための図である。
なおこの図17では、基準面Refに形成された各ピット列A〜Fと、そのうちのピット列D上をトレースするようにトラッキングサーボがかけられている状態でのサーボ用レーザ光のスポット位置の移動軌跡(斜線部)と、該サーボ用レーザ光の移動に伴い得られるsum信号の波形とを示している。
【0135】
例えばこの図17に示されるようにサーボ用レーザ光のスポットがピット列D上を正確にトレースしている場合、sum信号の値としては、ピット列D上のピット形成位置と一致するタイミング(図中n)において最小値をとり、該ピット列Dに対する位相差が大となるピット列ほどそのピット形成位置での値が徐々に大となる傾向となる。
このとき、sum信号の値は、ピット列Dに対しそれぞれ隣接する(つまり同じ位相差を有する)ピット列C、ピット列Eのそれぞれのピット形成位置と一致するタイミング(図中n−1、n+1)にて同じ値をとり、また、ピット列Dに対しそれぞれ同じ位相差を有するピット列B、ピット列Fのそれぞれのピット形成位置と一致するタイミング(図中n−2、n+2)にて同じ値をとることになる。
【0136】
ここで、図中に示す状態とは異なり、サーボ用レーザ光のスポットがピット列D上から半径方向にずれた位置をトレースしたとすると、上記ピット列Dに対する位相差が等しいそれぞれのピット列の組における各ピット形成位置でのsum信号の値には、ずれが生じることが分かる。
つまりこのことからも理解されるように、トラッキングサーボの対象とするピット列に対する位相差が等しい各ピット列の組における各ピット形成位置でのsum信号(和信号)の値は、上記トラッキングサーボの対象とするピット列に対するトラッキング方向の誤差を反映していることになる。具体的に、トラッキング誤差情報は、上記位相差が等しい各ピット列の組における各ピット形成位置でのsum信号の値の差分を計算することで得ることができる。
【0137】
以上の点を踏まえ、比較例においては、具体的に以下のようにしてsum信号に基づくトラッキングエラー信号TE-svの生成を行う。
すなわち、先ずは、トラッキングサーボの対象とするピット列に対し位相差が等しい2つのピット列を選出する。具体的に本例では、トラッキングサーボの対象とするピット列にそれぞれ隣接するピット列を選出する。
その上で、これら選出した各ピット列のピット形成可能位置に対応するタイミング(図21におけるn−1とn+1が該当)で、sum信号の値をサンプリングし、それらサンプリングしたsum信号の値の差分を計算する。このように計算された差分値が、トラッキングエラー信号TE-svとなる。
【0138】
[2-3.比較例の光学ドライブ装置の構成]

図18は、上記により説明した比較例としてのトラッキングエラー信号生成手法を実現するための構成について説明するための図である。
なおこの図18をはじめとして以下で説明する各図において、既に説明済みとなった部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0139】
この図18と先の図13(及び図14)と比較して分かるように、この場合の記録再生装置においては、サーボ光用マトリクス回路36に代えてサーボ光用マトリクス回路50が設けられ、またselector信号生成・選択部39に代えてselector信号生成・選択部51が設けられる。
またこの場合は、サンプルホールド回路SH1に代えて、サンプルホールド回路SH2とサンプルホールド回路SH3とが設けられ、さらに減算器53が追加される。
【0140】
サーボ光用マトリクス回路50は、サーボ光用受光部29としての複数の受光素子からの受光信号DT-sv(図16に示した受光素子A〜Dからの受光信号Ai〜Di)に基づき、フォーカスエラー信号FE-svとsum信号とを生成する。図示するようにフォーカスエラー信号FE-svはサーボ光用サーボ回路38に供給され、sum信号はアドレス検出回路37、selector信号生成・選択部51、サンプルホールド回路SH2、及びサンプルホールド回路SH3に対してそれぞれ供給される。
【0141】
selector信号生成・選択部50は、その内部において、selector信号選択回路47に代えてselector信号選択回路52が設けられる点が先のselector信号生成・選択部39と異なる。
selector信号選択回路52は、selector信号生成回路46から供給される各selector信号のうちから、コントローラ40からの選択信号SLCTにより指示された位相のselector信号を選択・出力する共に、該選択信号SLCTにより指示された位相のselector信号に対応するピット列に対する位相差が等しい2つのピット列にそれぞれ対応するselector信号を選択・出力する。具体的に本例の場合は、選択信号SLCTにより指示された位相のselector信号と共に、該選択信号SLCTで指示されたselector信号に対応するピット列に対しそれぞれ隣接するピット列に対応する2つのselector信号を選択・出力する。
ここで、このようにselector信号選択回路52より選択出力されるselector信号のうち、選択信号SLCTにより指示された位相のselector信号については、単にselector信号と表記する。また、選択信号SLCTにより指示された位相のselector信号に対応するピット列に対する位相差が等しい2つのピット列にそれぞれ対応するselector信号については、それぞれselector_fw信号、selector_bw信号と表記する。
【0142】
selector信号選択回路52より出力されたselector信号は、アドレス検出回路37に供給される。また、selector信号選択回路52より出力されたselector_fw信号はサンプルホールド回路SH2に供給され、selector_bw信号はサンプルホールド回路SH3に対して供給される。
【0143】
サンプルホールド回路SH2は、上記selector_fw信号により示されるタイミングで、マトリクス回路50から供給されるsum信号の値をサンプルホールドし、その結果を減算器53に出力する。
サンプルホールド回路SH3は、上記selector_bw信号により示されるタイミングで、マトリクス回路50から供給されるsum信号の値をサンプルホールドし、その結果を減算器53に出力する。
【0144】
減算器53は、上記サンプルホールド回路SH2によるサンプルホールド出力値から、上記サンプルホールド回路SH3によるサンプルホールド出力値を減算し、トラッキングエラー信号TE-svを得る。該トラッキングエラー信号TE-svは、図示するように加算器41を介してサーボ回路38に供給される。
【0145】
上記により説明した比較例としてのトラッキングエラー信号TE-svの生成手法により、skewやレンズシフトに起因するオフセット成分による悪影響を排除して、より正確なトラッキングエラー信号TE-svが得られるようにでき、結果、トラッキングサーボ制御のさらなる安定性の向上及び精度向上を図ることができる。
【0146】
<3.実施の形態>
[3-1.比較例の問題]

上記のように比較例では、トラッキングエラー信号TE-svを、サーボ対象とするピット列に対する位相差がそれぞれ等しいピット列のsum信号から生成するので、プッシュプル信号PPを用いる場合のようなskewやレンズシフトに起因するエラー信号精度悪化の問題を有効に回避できる。
【0147】
ここで、比較例としてのトラッキングエラー信号TE-svの生成手法によると、トラッキングエラー信号TE-svの精度は、サンプルホールド回路SH2やSH3にてサンプリングされるsum信号の値の精度に依存することが分かる。
先の図18の説明からも理解されるように、サンプルホールド回路SH2,SH3におけるsum信号のサンプリングタイミングは、それぞれselector_fw信号、selector_bw信号の立ち上がりタイミングとなるが、これらselector信号は、クロックCLKに基づき生成されたものである。
そして、先の図11を参照して分かるように、クロックCLKは、ピット(ピットの形成可能位置)のピークポジションにて立ち上がる信号とされる。従って、上記サンプルホールド回路SH2,SH3におけるsum信号のサンプリングは、ピークポジション検出により行われている。
【0148】
図30、及び図31にて説明したように、ピークポジション検出を行う場合は、再生信号(sum信号)にジッタがある場合に、クロックに基づくサンプリングタイミングが相対的にばらつくことがあり、その結果、適正にピーク値を検出することができないものとなってしまう。
従ってこの点より、上述した比較例によってもなお、トラッキングエラー信号TE-svとして正確な値を検出することができない虞がある。
【0149】
[3-2.実施の形態としてのトラッキング誤差信号生成手法]

本実施の形態は、比較例と同様にサーボ対象のピット列に対する位相差がそれぞれ等しいピット列のsum信号からトラッキングエラー信号TE-svを生成するという手法を採る場合において、より正確なトラッキングエラー信号TE-svが得られるように図るものである。
そのための具体的なトラッキングエラー信号TE-svの生成手法は、以下に示す通りである。
【0150】
図19は、実施の形態としてのsum信号のサンプリング手法について説明するための図であり、図19(a)は、ピット形成部分でのsum信号の波形と本実施の形態で生成するクロック(後述するクロックCLK’)の波形との対応関係を示し、図19(b)は、上記クロックの立ち上がりタイミングがsum信号に対してばらついた場合にサンプリングされる値を模式的に示している。
【0151】
図19(a)に示されるように、本実施の形態では、ピット形成部分におけるsum信号の前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとの双方に立ち上がりタイミングを有するクロック(以下、クロックCLK’と称する)を生成する。
【0152】
そして本実施の形態では、このようにsum信号の両エッジタイミングで立ち上がるクロックCLK’を生成するものとした上で、該クロックCLK’に基づいて、前方及び後方の両エッジタイミングでsum信号の値をサンプリングし、それらの値を平均化した値をsum信号のサンプリング値として得る。
【0153】
このように両エッジタイミングでのサンプリング値を平均化する手法とすることで、サンプリングタイミングがsum信号に対してばらついても、sum信号の値を適正に検出することができる。
具体的に、図19(b)では、クロックCLK’によるサンプリングタイミング(クロックCLK’の位相)が適正な状態(最左側)、進んだ状態(中央)、遅れた状態(最右側)をそれぞれ示しているが、この図を参照すると、上記のように両エッジタイミングでのサンプリング値を平均化することによって得られる値としては、どの状態においても同値になることが理解できる。
このことからも理解されるように、本実施の形態によれば、sum信号のジッタ等の影響によりクロックCLK’によるサンプリングタイミングがsum信号に対して相対的にばらつく場合であっても、sum信号の値を正確に検出することができる。
このように正確なsum信号の値の検出ができることで、トラッキングエラー信号TE-svについても正確な値を検出することができ、結果、トラッキングサーボのさらなる精度向上及び安定性向上を図ることができる。
【0154】
ここで、以下に、クロックCLK’の具体的な生成手法の例を挙げておく。
図20は、前方及び後方の両エッジタイミングを表すタイミング信号の生成手法について説明するための図である。
本実施の形態において、クロックCLK’は、前方及び後方の両エッジタイミングを表すタイミング信号を生成し、該タイミング信号を入力信号としたPLL処理を行うことで生成するものとしている。図20は、このようなクロックCLK’の生成手法を採る場合において必要となる上記タイミング信号の生成手法について説明するための図となる。
【0155】
先ず、上記タイミング信号の生成にあたっては、sum信号を所定の閾値Th1を用いて2値化する。
この場合の2値化は、図中のjと示す2値化信号のようにsum信号の値が閾値Th1を下回った状態でHレベル、それ以外の状態でLレベルとなる2値化信号(以下2値化信号jとも表記)と、図中kと示す2値化信号のようにsum信号の値が閾値Th1を下回った状態ではLレベル、それ以外の状態でHレベルとなる2値化信号(以下2値化信号kとも表記)とを生成するようにして行う。
【0156】
そして、2値化信号j、2値化信号kのそれぞれをLPF(Low Pass Flter)にかけて、図中の信号l、及び信号mを生成する。
さらに、これら信号l、信号mに関して、それぞれを所定の閾値Th3によりスライスして、上述の2値化信号j、2値化信号mをそれぞれ所定時間だけ遅延させたものとなる2値化信号o、2値化信号pを生成する。
なお、これら2値化信号o、2値化信号pについては、上記のLPFを用いず、単に遅延回路によって上記2値化信号j、2値化信号mをそれぞれ遅延させて生成するようにもできる。
【0157】
その上で、2値化信号jと2値化信号oとから、sum信号の前方エッジタイミングを表す信号qを生成する。また、2値化信号kと2値化信号pとから、sum信号の後方エッジタイミングを表す信号rを生成する。
具体的に、信号qは、2値化信号jがHレベルで且つ2値化信号oがLレベルのときにHレベルとなり、それ以外の場合にLレベルとなる信号として生成する。同様に信号rとしても、2値化信号kがHレベルで且つ2値化信号pがLレベルのときにHレベルとなりそれ以外の場合にLレベルとなる信号として生成する。
【0158】
そして、これら信号qと信号rとを合成して、図中にsと示すようにsum信号の両エッジタイミングを表すタイミング信号(以下、両エッジタイミング信号とも称する)を生成する。
前述のクロックCLK’は、このようにして得られた両エッジタイミング信号を入力信号としたPLL処理を行うことで生成する。
【0159】
[3-3.実施の形態の光学ドライブ装置の構成]

図21は、上記により説明した実施の形態としてのサンプリング手法によりトラッキングエラー信号TE-svを生成するための構成について説明するための図である。
なお、実施の形態の記録再生装置としても先の図4に示したものと同様の光学ピックアップOPが備えられるが、図21においてはその図示は省略している。
また実施の形態の記録再生装置において、図21に示す以外の部分については先の図13にて説明したものと同様となるので、その図示は省略している。
【0160】
この図21と先の図18とを比較して分かるように、実施の形態の記録再生装置においては、比較例の場合の記録再生装置に設けられていたselector信号生成・選択部51に代えてselector信号生成・選択部55が設けられると共に、サンプルホールド回路SH2に代えて両エッジサンプリング部58が、またサンプルホールド回路SH3に代えて両エッジサンプリング部60が設けられる。さらに、平均化部59と平均化部61とが追加されたものとなる。
【0161】
先ず、selector信号生成・選択部55は、クロック生成回路45に代えてクロック生成部56が設けられ、またselector信号生成回路46に代えてselector信号生成回路57が設けられた点が先のselector信号生成・選択部51と異なる。
クロック生成回路55は、先に説明した手法により、sum信号の両エッジタイミングを表すクロックCLK’を生成する。
【0162】
図22は、クロック生成回路56の内部構成を示している。
図示するようにクロック生成回路56には、スライス回路62、反転回路63、LPF64、スライス回路65、タイミング信号生成回路66、LPF67、スライス回路68、タイミング信号生成回路69、加算器70、及びPLL回路71が設けられている。
【0163】
スライス回路62には、図21に示すサーボ光用マトリクス回路50からのsum信号が入力される。スライス回路62は、予め設定された閾値Th1によりsum信号をスライスして、先の図20に示したような2値化信号jを生成する。スライス回路62により得られた2値化信号jはLPF64とタイミング信号生成回路66とに供給されると共に、反転回路63に供給される。反転回路63を介した2値化信号jは、図20に示した2値化信号kとして、LPF67とタイミング信号生成回路69とに供給される。
【0164】
LPF64は、2値化信号jの所定のカットオフ周波数以下の成分を通過させて、図20に示した信号lを生成する。スライス回路65は、予め定められた閾値Th3により信号lをスライスして、図20に示した2値化信号oを生成する。
タイミング信号生成部66は、前述の2値化信号jと上記2値化信号oとに基づき、図20に示した信号qとしての、前方エッジタイミングを表す信号を生成する。具体的にタイミング信号生成部66は、2値化信号jがHレベルで且つ2値化信号oがLレベルのときにHレベルとなり、それ以外の場合にLレベルとなる信号を上記信号qとして生成・出力する。
【0165】
また、LPF67は、反転回路63より入力される2値化信号kの所定のカットオフ周波数以下の成分を通過させて、図20に示した信号mを生成する。スライス回路68は、予め定められた閾値Th3により信号mをスライスして、図20に示した2値化信号pを生成する。
タイミング信号生成部69は、反転回路63からの2値化信号kと上記2値化信号pとに基づき、図20に示した信号rとしての後方エッジタイミングを表す信号を生成する。具体的にタイミング信号生成部69は、2値化信号kがHレベルで且つ2値化信号pがLレベルのときにHレベルとなりそれ以外の場合にLレベルとなる信号を上記信号rとして生成・出力する。
【0166】
加算器70は、タイミング信号生成回路65より出力される信号qとタイミング信号生成回路68より出力される信号rとを加算(合成)し、図20に示した信号sとしての両エッジタイミング信号を生成する。
【0167】
PLL回路71は、加算器70より出力される両エッジタイミング信号を入力信号としたPLL処理を行い、クロックCLK’を生成する。
【0168】
説明を図21に戻す。
図21において、クロック生成回路56により生成されたクロックCLK’は、selector信号生成回路57に供給される。このselector信号生成回路57は、クロックCLK’に基づき、A〜Fの各位相によるピット列について、それぞれのピット形成可能位置の前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとを表す6種のselector信号を生成する。
【0169】
図23は、クロックCLK’と、該クロックCLK’に基づき生成された各selector信号の波形と、基準面Refに形成された各ピット列(の一部)との関係を模式化して示している。なおこの図23においても説明の便宜上、全てのピット形成可能位置に対してピットが形成されているものとする。
【0170】
この図23を参照して分かるように、selector信号生成回路57は、selector信号として、A〜Fの各ピット列におけるピット形成可能位置の両エッジタイミングをそれぞれ表す6種のselector信号を生成する。
具体的に、selector信号生成生成部57は、クロックCLK’に関して、それぞれ異なる区間をマスクすることで、この図23に示されるような、それぞれがA〜Fのうち対応するピット列上のピット形成可能位置の両エッジタイミングのみを表す各selector信号を生成する。
【0171】
selector信号生成回路57にて生成された各selector信号は、selector信号選択回路52に供給される。
この場合もselector信号選択回路52は、選択信号SLCTにより指示された位相のselector信号を出力すると共に、該指示された位相のselector信号に対する位相差がそれぞれ等しいものとなるselector_fw信号とselector_bw信号とを出力する。
ここで、先の比較例の場合におけるselector信号と区別するため、本実施の形態でクロックCLK’に基づき生成される図23に示したように両エッジタイミングを表すselector信号については、以下、selector’信号と表記する。同様にselector_fw信号、selector_bw信号についても、selector_fw’信号、selector_bw’信号と表記して区別する。
【0172】
selector信号選択回路52により選択・出力されたselector_fw’信号は、両エッジサンプリング部58に供給され、またselector_bw’信号は両エッジサンプリング部60に供給される。
両エッジサンプリング部58は、selector_fw’信号が表す前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとでsum信号の値をサンプリングし、これら両エッジタイミングでサンプリングした値を平均化部59に出力する。
平均化部59は両エッジサンプリング部58で得られた上記両エッジタイミングでのサンプリング値を平均化し、その結果を減算器53に出力する。
【0173】
また、両エッジサンプリング部60は、selector_bw’信号が表す前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとでsum信号の値をサンプリングし、これら両エッジタイミングでサンプリングした値を平均化部61に出力する。
そして平均化部61は、両エッジサンプリング部60で得られた上記両エッジタイミングでのサンプリング値を平均化し、その結果を減算器53に出力する。
【0174】
このような構成により、この場合のトラッキングエラー信号TE-svとしては、両エッジタイミングでサンプリングしたsum信号の値を平均化した値に基づいて生成することができ、その結果、比較例の場合のようにピークポジションにて検出したsum信号値を用いたエラー信号TE-svの生成を行う場合よりも、正確なエラー信号TE-svを生成できる。
【0175】
なおこの場合、アドレス検出回路37に対しては、selector信号選択回路52により選択・出力されたselector’信号を入力するものとしている。つまりこの場合、アドレス検出回路37は、このように入力されたselector’信号が表す両エッジタイミングでsum信号をサンプリングし、それらのサンプリング値を平均化した値に基づき、チャネルデータの「0」「1」判定を行うものとなる。
【0176】
但し、アドレス情報の検出にあたって行われるべきチャネルデータ「0」「1」の判定は、実施の形態としての両エッジサンプリングの手法を採るまでもなく、単にsum信号の2値化信号を用いて行うことができる。これは、チャネルデータの「0」「1」判定は、単にsum信号のH/Lの判定を行えば足るものであり、トラッキングエラー信号TE-svを生成する場合ほどsum信号のサンプリング値の正確性が要求されるものではないためである。
【0177】
<4.変形例>

以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
以下、本発明に基づき実現可能な各種の変形例について述べる。
【0178】
[4-1.変形例1]

変形例1は、クロックの生成手法についての変形例である。
図24は、変形例1について説明するための図であり、図24(a)は変形例1におけるクロック生成回路75の内部構成を示し、図24(b)は変形例1で生成されるクロックを用いる場合のサンプリング手法を模式的に示している。
【0179】
上記により説明した実施の形態では、クロックCLK’は、両エッジタイミングを表す両エッジタイミング信号を生成した上で、該両エッジタイミング信号に基づくPLL処理を行って生成するものとしたが、両エッジタイミングを表すクロックとしては、先の図20に示した2値化信号jに基づくPLL処理を行って生成したものを用いることもできる。
図24(a)は、その場合にクロック生成回路56に代えて設けられるべきクロック生成回路75の内部構成を示している。図示するようにクロック生成回路75としては、sum信号を閾値Th1によりスライスして2値化信号jを得るスライス回路62と、該スライス回路62により得られた2値化信号jを入力信号としたPLL処理を行ってクロックCLK''を生成するPLL回路76とを備えるようにする。
【0180】
上記クロック生成回路75にて生成されるクロックCLK''は、sum信号におけるピット形成可能位置の前方エッジタイミングで立ち上がり且つ後方エッジタイミングで立ち下がる信号となる。
従って、当該クロックCLK''に基づきselector信号生成回路57にて生成される各selector信号(selector''とする)としては、それぞれ、その立ち上がりタイミングが対応するピット列のピット形成可能位置の前方エッジタイミングを表し、その立ち下がりタイミングが後方エッジタイミングを表す信号が得られることになる。
【0181】
先の実施の形態では、selector_fw’信号、selector_bw’信号はその立ち上がりタイミングが前方と後方のエッジタイミングを表すものであったため、両エッジサンプリング部58,60は、それぞれselector_fw’信号、selector_bw’信号の立ち上がりタイミングのみでsum信号をサンプリングするものとしたが、上記説明からも理解されるようにこの変形例1の場合におけるselector_fw信号(以下、selector_fw''信号とする)、selector_bw信号(以下、selector_bw''信号とする)は、その立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングとで両エッジタイミングを表すので、この場合における両エッジサンプリング部58,60としては、selector_fw''信号、selector_bw''信号の立ち上がりタイミングと立ち下がりタイミングの双方でsum信号をサンプリングするように構成する(図24(b)を参照)。
【0182】
図24(b)は、先の図19(b)と同様に、サンプリングタイミングが適正な状態(最左側)、進んだ状態(中央)、遅れた状態(最右側)をそれぞれ示しているが、この図24(b)と図19(b)とを比較すると、上記のようにクロックCLK''から生成したselector''信号によりサンプリングを行う変形例1の場合も、クロックCLK'から生成したselector'信号によりサンプリングを行う実施の形態と同様の効果が得られることが理解できる。
【0183】
[4-2.変形例2]

図25は、変形例2について説明するための図である。
変形例2は、トラッキングエラー信号TE-svを増幅するものである。
ここで、図19(b)や図24(b)を参照して分かるように、実施の形態としての両エッジサンプリングの手法を採る場合には、ピークポジション検出で得られるサンプリング値に対して絶対値的に低い値が検出されることになる。換言すれば、ゲインの低下を避けられないものとなる。
【0184】
この点に鑑み、実施の形態としての両エッジサンプリングの手法でサンプリングを行って得た信号を増幅することとしたのが、変形例2である。
具体的に、変形例2においては、図示するように減算器53の直後となる位置に対して、増幅器80を設けるものとしている。
このような増幅器80を設けることで、両エッジサンプリングの手法を採る場合におけるトラッキングエラー信号TE-svのゲイン低下を防止できる。
【0185】
なお、ここでは減算器53の直後となる位置に増幅器80を挿入してゲイン低下の防止を図るものとしたが、増幅器80としては、両エッジサンプリングを行って生成される信号のゲイン低下が防止されるように設けられればよいものであって、例えば平均化部59,61のそれぞれの直後に対して設ける等といったことも可能である。
【0186】
[4-3.変形例3]

変形例3は、バルク層5に記録されたマーク列の再生信号に関して、両エッジサンプリングの手法を適用するものである。
ここで、バルク記録において、特にボイド記録を行う場合には、いわゆるマークエッジ記録ではなく、マークポジション記録を行うことが検討されている。これは、特にボイド記録の場合には、記録時にマークの長さをコントロールすることが非常に困難とされているためである。
また、マークポジション記録を行うとしても、マーク間の距離が近接し過ぎるとマーク同士が結合してしまう虞があり、このためバルク記録を行う場合においては、最小走行長d(d≠0)による走行長制限を設けたマークポジション記録を行うことになる。また、逆にマーク間の距離が離間し過ぎた場合はPLLの精度低下を招くため、この点で最大走行長k(k>d)による走行長制限も設ける。これらの点よりバルク記録においては、マークポジション記録として、先の図28(a)にて説明したようなd、k走行長制限付きのマークポジション記録を行うことが検討されている。
【0187】
ここで、マークポジション記録を行う場合には、マーク形成部分での振幅値が重要な意味を持つことが考えられ、従ってマーク列の再生信号について、両エッジサンプリングの手法を適用することが有効となり得る。
【0188】
図26は、バルク層5に記録されたマーク列の再生信号について両エッジサンプリングを行う、変形例3としてのサンプリング手法にについて説明するための図である。図26(a)は、先に説明した再生信号RFと両エッジサンプリングを行うために生成されるべきクロックCLK-rpの波形を示し、図26(b)は、クロックCLK-rpが表すサンプリングタイミングが再生信号RFに対してばらついた場合にサンプリングされる値を模式的に示している。
【0189】
先ず図26(a)において、再生信号RFは、先の図4に示した録再光用受光部23としての複数の受光素子により得られた受光信号DT-rpの和信号(sum信号)に相当するものとなる。
なお図示するように再生信号RFは、マークの形成部分でその振幅値が大となる信号となる。これは、本例にて記録マークとして形成されるボイドが反射体として機能することによるものである。
【0190】
変形例3では、このような再生信号RFに基づき、先の変形例1の手法と同様の手法によってクロックCLK-rpを生成する。具体的には、図中に示すような予め定められた閾値Th1-rpにより再生信号RFをスライスして、その立ち上がりタイミングがマークの前方エッジタイミングを表し且つその立ち下がりタイミングがマークの後方エッジタイミングを表す2値化信号を生成する。その上で、該2値化信号を入力信号としたPLL処理を行うことで、図中に示すようなクロックCLK-rpを生成する。
【0191】
変形例3においては、このように生成したクロックCLK-rpにより再生信号RFについての両エッジサンプリングを行う。具体的には、クロックCLK-rpの立ち上がり及び立ち下がりタイミングの双方で再生信号RFのサンプリングを行うと共に、これらクロックCLK-rpの立ち上がり及び立ち下がりタイミングでサンプリングした値を平均化する。
【0192】
図26(b)を参照して分かるように、このような変形例3としてのサンプリングを行うものとすれば、ジッタ等によりクロックCLK-rpによるサンプリングタイミングが再生信号RFに対してばらついても、再生信号RFの値を正確に検出することができる。
【0193】
確認のため、図27を参照し、変形例3のサンプリング手法を実現するための構成について説明しておく。
図示するようにこの場合の記録再生装置においては、録再光用マトリクス回路33から出力された再生信号RFを、スライス回路81と、両エッジサンプリング部83とにそれぞれ入力する。
スライス回路81は、予め定められた閾値Th1-rpにより再生信号RFをスライスして、その立ち上がりタイミングがマークの前方エッジタイミングを表し且つその立ち下がりタイミングがマークの後方エッジタイミングを表す2値化信号を生成する。
【0194】
図中のPLL回路82は、スライス回路81により生成された上記2値化信号を入力信号としたPLL処理を行ってクロックCLK-rpを生成し、両エッジサンプリング部83に与える。
両エッジサンプリング部83は、上記クロックCLK-rpの立ち上がり及び立ち下がりタイミングの双方で再生信号RFをサンプリングし、それらのサンプリング値を平均化部84に出力する。
平均化部84は、両エッジサンプリング部84にて得られたこれら立ち上がり及び立ち下がりタイミングの双方での再生信号RFのサンプリング値を平均化する。
平均化部84は、このようにして平均化した値をマーク部振幅値として出力する。
【0195】
なお、この変形例3においても、両エッジサンプリングによるゲイン低下の防止を図るべく、増幅器80を挿入可能であることは言うまでもない。
また、クロックCLK-rpに関しては、実施の形態で例示したように前方エッジタイミングと後方エッジタイミングの双方を表す両エッジタイミング信号を生成し、該両エッジタイミング信号に基づくPLL処理により生成してもよい。
【0196】
[4-4.その他の変形例]

ここで、これまでの説明では、バルク型記録媒体1を対象として記録又は再生を行う場合に本発明を適用する場合を例示したが、本発明は、ピット又はマークのポジション記録が行われた光記録媒体について記録又は再生を行う場合に広く好適に適用することができる。
【0197】
また、実施の形態のようにバルク型記録媒体1を対象とする場合に関して、基準面Refにおけるピット列は、スパイラル状に形成するのではなく、同心円状に形成することもできる。
ピット列を同心円状に記録する場合、バルク層5に対するマーク記録は、適正な半径方向ピッチが得られるようにして行うことになる。
例えば、マーク列の半径方向における適正な形成ピッチが従来限界トラックピッチ(ピット列6本分)である場合、マーク列の記録は、ピット列1周の記録を完了した後に、順次6本のピット列をジャンプしながら行うといった手法を挙げることができる。すなわち、或るピット列を1周記録→6本のピット列ジャンプ→ジャンプ先のピット列を1周記録→6本のピット列ジャンプ・・・を繰り返して、いわば同心円状記録に近いかたちでマーク列の記録を行うものである。
【0198】
また、同心円の場合であっても、ピット列を徐々にわたっていくことによるスパイラル記録を実現できる。具体的にスパイラル記録は以下のようにして行う。
先ず、スパイラル記録の実現にあたっては、或るピット列を対象としたトラッキングサーボの実行中に、サーボ対象のピット列の外周側に隣接するピット列についてのトラッキングエラー信号TE-svが並行して得られるようにしておく。つまりこの場合は、selector信号に応じたタイミングでsum信号をサンプリングしてトラッキングエラー信号TE-svを得るための構成を、少なくとも2つ設けるものとし、それらのうち何れか一方の出力を加算器41に選択出力できるようにしておく。
その上で、或るピット列についてのトラッキングサーボ実行中に、サーボループ内にその値が徐々に大となるオフセットを与える。このようなオフセットの付与により、スポット位置は徐々に外周側にシフトしていく。
上記オフセットの付与によりスポット位置が対象ピット列とその外周隣接ピット列との間の適当な位置(例えば中間位置)に到達したことに応じ、サーボ対象ピット列を外周隣接ピット列に切り替えると共に、サーボループ内に与えるオフセットの極性を反転させる。
オフセットの極性反転後は、オフセットの値が徐々に大となる(絶対値としては徐々に小となる)ことで、スポット位置は切り替え後の対象ピット列に徐々に近づいていくことになる(切り替え後のピット列からみるとスポット位置は内周側にずれた位置にあるため)。そして、その後もオフセットが与えられ続けると、スポット位置は切り替え後の対象ピット列を通過し(このときオフセットはゼロである)、その後、さらに外周側に隣接するピット列との間の適当な位置に到達する。このように外周隣接ピット列との間の適当な位置に到達したことに応じて、上記と同様にサーボ対象とするピット列を外周隣接ピット列に切り替えると共にオフセットの極性を反転させる。
このように、オフセットの付与と外周隣接ピット列へのサーボ対象ピット列の切り替えとによるいわば「ピット列わたり」を繰り返していくことで、上記オフセットの傾き(値の上昇率)に応じた任意ピッチによるスパイラル記録を実現できる。
【0199】
また、先の説明では、それぞれが異なるピット列位相を有する複数のピット列として、A〜Fの計6つを設定するものとし、半径方向においてはこれら6つのパターン(ピット列位相)によるピット列が繰り返し形成されるものとしたが、上記複数のピット列の数は6つに限定されるべきものではなく、より多くの本数、或いはより少ない本数とすることもできる。
【0200】
また、ピット列における各ピット形成可能位置の区間長は3T分の区間長とし、またピット列形成方向における各ピット形成可能位置のエッジ間の間隔も同様の3T分の長さに設定する(つまりn=6Tに設定する)場合を例示したが、これらはあくまで一例を示したものに過ぎない。これら各ピット形成可能位置の区間長、及びピット列形成方向における各ピット形成可能位置のエッジ間の間隔については、先に挙げた1)2)の条件が満たされるようにして設定されればよいものである。
【0201】
またこれまでの説明では、それぞれが異なるピット列位相を有する複数のピット列に関して、外周側ほどピット列位相が進み内周側ほどピット列位相が遅れるようにピット列を配列したが、例えば逆に内周側ほどピット列位相が進み外周側ほどピット列位相が遅れるようにピット列を配列するなど、上記複数のピット列の配列パターンは、ピット列形成方向において光学限界を超えないという条件の下で様々なパターンの設定が可能である。
【0202】
またこれまでの説明では、本発明が光記録媒体に対する記録及び再生の双方を行う記録再生装置に適用される場合を例示したが、本発明は光記録媒体に対する記録のみが可能とされた記録専用装置(記録装置)にも好適に適用できる(特に実施の形態のように基準面Refを有するバルク型の光記録媒体を対象とする場合)。
或いは、再生のみが可能とされた再生専用装置(再生装置)にも好適に適用できる。
【符号の説明】
【0203】
1 バルク型記録媒体、2 カバー層、3 選択反射膜、Ref 基準面、4 中間層、5 バルク層、L マーク形成層位置(情報記録層位置)、10 記録再生装置、11 録再用レーザ、12,25 コリメーションレンズ、13,26 偏光ビームスプリッタ、14 固定レンズ、15 可動レンズ、16 レンズ駆動部、17 ミラー、18,27 1/4波長板、19 ダイクロイックプリズム、20 対物レンズ、21 2軸アクチュエータ、22,28 集光レンズ、23 録再光用受光部、24 サーボ用レーザ、29 サーボ光用受光部、30 位置センサ、31 skewセンサ、32 記録処理部、33 録再光用マトリクス回路、34 再生処理部、35 録再光用サーボ回路、36,50 サーボ光用マトリクス回路、37 アドレス検出回路、38 サーボ光用サーボ回路、39,51,55 selector信号生成・選択部、40 コントローラ、41,70 加算器、SH1〜SH3 サンプルホールド回路、45,56,75 クロック生成回路、45A,45C,62,65,68,81 スライス回路、45B sum微分回路、45D ANDゲート回路、45E,71,76,82 PLL回路、46,57 selector信号生成回路、47,52 selector信号選択回路、53 減算器、58,60,83 両エッジサンプリング部、59,61,84 平均化部、63 反転回路、64,67 LPF、66,69 タイミング信号生成回路、80 増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピット又はマークがポジション記録された光記録媒体に対して光照射を行った結果得られる反射光を受光する受光部と、
上記受光部により得られた受光信号に基づき、上記ピット又はマークの前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとを表すクロック信号を生成するクロック生成部と、
上記クロック信号に基づいて、上記前方エッジタイミングと上記後方エッジタイミングとで上記受光信号に基づき得られる再生信号をサンプリングする両エッジサンプリング部と、
上記両エッジサンプリング部により得られた上記前方エッジタイミングでのサンプリング値と上記後方エッジタイミングでのサンプリング値とを平均化する平均化部と
を備える光学ドライブ装置。
【請求項2】
上記平均化部の出力値に基づき得られる信号についての増幅を行う増幅部をさらに備える
請求項1に記載の光学ドライブ装置。
【請求項3】
上記光記録媒体は、
1周回におけるピットの形成可能位置の間隔が第1の間隔に制限されたピット列がスパイラル状又は同心円状に形成されていると共に、半径方向に配列されるピット列において、上記ピットの形成可能位置のピット列形成方向における間隔が所定の第2の間隔ずつずれた位置に設定されて、複数のピット列位相を有するようにされており、
上記クロック信号に基づき、上記光記録媒体に形成されたそれぞれ異なるピット列位相を有する複数のピット列ごとに、そのピットの形成可能位置の前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとを表すタイミング選択信号をそれぞれ生成するタイミング選択信号生成部と、
上記タイミング選択信号生成部により生成された上記複数のピット列ごとの上記タイミング選択信号のうちから、指示されたタイミング選択信号に対する位相差が等しい2つのタイミング選択信号を選択するタイミング選択信号選択部と
をさらに備えると共に、
上記両エッジサンプリング部は、
上記タイミング選択信号選択部によって選択された一方のタイミング選択信号が表す前方エッジタイミングと後方エッジタイミングと、上記タイミング選択信号選択部によって選択された他方のタイミング選択信号が表す前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとのそれぞれにおいて、上記再生信号の値をサンプリングし、
上記平均化部は、
上記両エッジサンプリング部によって上記一方のタイミング選択信号が表す前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとでサンプリングされた各値と、上記両エッジサンプリング部によって上記他方のタイミング選択信号が表す前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとでサンプリングされた各値とのそれぞれを平均化して第1の平均値と第2の平均値とを得、
上記平均化部により得られた上記第1の平均値と上記第2の平均値との差分を計算して、上記指示されたタイミング選択信号によりそのピットの形成可能位置の前方及び後方エッジタイミングが表されるピット列に対するトラッキング誤差信号を生成するトラッキング誤差信号生成部をさらに備える
請求項1に記載の光学ドライブ装置。
【請求項4】
上記光記録媒体は、
深さ方向における複数位置に選択的にマーク記録が行われるバルク層を有するバルク型の光記録媒体とされ、且つ上記バルク層に対してマークポジション記録が行われており、
上記受光部は、
上記バルク層に形成されたマークからの反射光を受光する
請求項1に記載の光学ドライブ装置。
【請求項5】
上記クロック生成部は、
上記受光信号に基づき得られる再生信号を所定閾値によりスライスして2値化信号を生成し、該2値化信号に基づいて上記クロック信号を生成する
請求項1に記載の光学ドライブ装置。
【請求項6】
上記クロック生成部は、
上記2値化信号から、上記ピット又はマークの前方エッジタイミングを表す前方エッジタイミング信号と、上記ピット又はマークの後方エッジタイミングを表す後方エッジタイミング信号とをそれぞれ生成すると共に、これら前方エッジタイミング信号と後方エッジタイミング信号とを入力信号としたPLL(Phase Locked Loop)処理を行って上記クロック信号を生成する
請求項5に記載の光学ドライブ装置。
【請求項7】
上記クロック生成部は、
上記2値化信号を入力信号としたPLL処理を行って上記クロック信号を生成する
請求項5に記載の光学ドライブ装置。
【請求項8】
ピット又はマークがポジション記録された光記録媒体に対して光照射を行った結果得られる反射光を受光する受光手順と、
上記受光手順により得た受光信号に基づき、上記ピット又はマークの前方エッジタイミングと後方エッジタイミングとを表すクロック信号を生成するクロック生成手順と、
上記クロック信号に基づいて、上記前方エッジタイミングと上記後方エッジタイミングとで上記受光信号に基づき得られる再生信号をサンプリングする両エッジサンプリング手順と、
上記両エッジサンプリング手順により得られた上記前方エッジタイミングでのサンプリング値と上記後方エッジタイミングでのサンプリング値とを平均化する平均化手順と
を有する信号生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2011−238315(P2011−238315A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108999(P2010−108999)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】