説明

光学フィルタ

【課題】透過率の高い光学フィルタを得ること。
【解決手段】水晶板10,20および1/4波長板30間の対向面11,21,31,32に、先端部16,36に行くにしたがって断面積が小さくなる複数の凸部15,35が形成されている(凸部の例として図2(b)中で拡大して示した)。したがって、対向面11,31から先端部16,36にかけてのいわゆる有効屈折率は、凸部35間に存在する貼り合わせ層40,50の材料の占める割合と凸部35の材料の占める割合に応じて、それぞれの屈折率を合わせた屈折率にできる。この有効屈折率は、対向面11,31から先端部16,36にかけて連続して変化するので、屈折率の不連続点が存在せず、対向面11,31に対して入射した光に対して対向面11,31での反射を低減できる。対向面21,32に対しても同様の効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光学素子が積層された光学フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
光学フィルタは、撮像モジュール、デジタルスチルカメラまたはデジタルビデオカメラなどの撮像装置等の光学装置に用いられる。これらの光学装置で要求される仕様によっては、複数の光学素子が貼り合わされた光学フィルタが使用されている。
光学素子である複屈折板としての2つの水晶板および偏光制御素子としての1/4波長板が積層された3層構造の光学フィルタが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−70340号公報(6頁、段落番号[0032]〜[0033]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
屈折率の異なる光学素子を積層して光学フィルタを構成する場合、光学素子同士の界面での反射、あるいは積層の貼り合わせの際に用いる貼り合わせ層である接着層、粘着層等と光学素子との界面での反射によって光学フィルタの透過率が低下する課題がある。
本発明の目的は、透過率の高い光学フィルタを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光学フィルタは、対向するように配置される複数の光学素子を備え、前記光学素子の対向面のうち、片側または両側の面に、複数の凸部が形成され、前記複数の凸部は先端部に行くにしたがって断面積が小さくなることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、光学素子間の対向面に、先端部に行くにしたがって断面積が小さくなる複数の凸部が形成されている。したがって、対向面から先端部にかけてのいわゆる有効屈折率は、凸部間に存在する材料の占める割合と凸部の材料の占める割合に応じて、それぞれの屈折率を合わせた屈折率となる。この有効屈折率は、対向面から先端部にかけて連続して変化するので、屈折率の不連続点が存在せず、入射した光に対して対向面での反射が低減する。
ここで、先端部に行くにしたがって断面積が小さくなる凸部とは、先端部に行く途中に膨らみがあっても、全体として先端部に行くにしたがって断面積が小さくなる凸部も含む。
【0007】
本発明では、前記凸部の先端部間の距離は、50nm以上500nm以下であり、前記凸部の前記先端部から前記対向面までの距離は、100nm以上1000nm以下であるのが好ましい。
この発明では、凸部の先端部間の距離と凸部の先端部から対向面までの距離とで決まる光学膜厚が、可視光域の波長より小さいので、対向面に入射する光と出射する光の干渉による影響が少なく、対向面での反射が低減する。
【0008】
本発明の光学フィルタは、対向するように配置される複数の光学素子を備え、前記光学素子の対向面のうち、片側または両側の面に、複数の凹部が形成され、前記複数の凹部は開口部から底部に行くにしたがって断面積が小さくなることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、光学素子間の対向面に、開口部から底部に行くにしたがって断面積が小さくなる複数の凹部が形成されている。したがって、対向面から底部にかけてのいわゆる有効屈折率は、凹部に存在する材料の占める割合と光学素子材料の占める割合に応じて、それぞれの屈折率を合わせた屈折率となる。この有効屈折率は、対向面から底部にかけて連続して変化するので、屈折率の不連続点が存在せず、入射した光に対して対向面での反射が低減する。
ここで、開口部から底部に行くにしたがって断面積が小さくなる凹部とは、底部に行く途中に膨らみがあっても、全体として底部に行くにしたがって断面積が小さくなる凹部も含む。
【0010】
本発明では、前記凹部の前記底部間の距離は、50nm以上500nm以下であり、前記凹部の前記底部部から前記対向面までの距離は、100nm以上1000nm以下であるのが好ましい。
この発明では、凹部の底部間の距離と凹部の底部から対向面までの距離とで決まる光学膜厚が、可視光域の波長より小さいので、対向面に入射する光と出射する光の干渉による影響が少なく、対向面での反射が低減する。
【0011】
本発明では、前記光学素子は、貼り合わせ層によって互いに貼り合わせられているのが好ましい。
この発明では、貼り合わせ層が凸部間または凹部に充填される。貼り合わせ層の材料の屈折率として、凸部の屈折率または光学素子の屈折率に近い屈折率を選択することが可能なので、有効屈折率の変化がより緩やかになり、対向面での反射が低減する。
【0012】
本発明では、前記光学素子の1つまたは複数が合成樹脂であるのが好ましい。
この発明では、合成樹脂の光学素子は、加工が容易で異方性が少ないので、同じ形状の凸部または凹部の形成が行いやすい。したがって、有効屈折率の変化の仕方のばらつきが少なく、より対向面での反射が少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
実施形態では、光学フィルタとしての光学ローパスフィルタ1について説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0014】
(第1実施形態)
図1(a)は本実施形態の光学ローパスフィルタ1の概略斜視図、(b)は光学ローパスフィルタ1の構造を説明するための、光学軸と光線の進行方向に着目して描かれた分解概略斜視図である。(c)は、本実施形態における、水晶板10との1/4波長板30の対向面31の表面を拡大して示した拡大図である。
図1(a)において、光学ローパスフィルタ1は、光学素子である複屈折板としての2つの水晶板10,20と、1/4波長板30とを備えている。2つの水晶板10,20の間には、1/4波長板30が挟まれて貼り合わせ層40,50によって貼り合わされている。
【0015】
水晶板10,20は、光の透過方向に対する屈折率が1.55となるように光学軸を選んで加工されている。
1/4波長板30は、例えば、一軸延伸法により形成した高分子フィルムであり、この高分子フィルムの複屈折率を考慮して、フィルム厚を適宜設定することにより、1/4波長板30としての機能を実現する。高分子フィルムとしては、例えばポリカーボネートフィルムを用いることができる。
また、1/4波長板30として、高分子液晶フィルム等の機能性フィルムを用いることもできる。これらは、広い波長域で1/4波長板として機能する。
なお、1/4波長板30は、水晶板であってもよい。
【0016】
貼り合わせ層40,50は、光の透過率の高い材料であって、光学素子間の熱膨張差による伸縮を吸収できるように柔軟性のある層が好ましく、粘着層または接着層を用いることができる。例えば、粘着層として、アクリル系溶剤型粘着剤等を用いることができ、接着層として、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤等を用いることができる。
接着層の硬化方法としては、紫外線硬化、熱硬化等を用いることができる。
【0017】
図1(b)において、光入射側に配置される水晶板10は、光入射面と直交し、かつX−Z平面において、Z軸と約45度の方位角をなす図中矢印A1で示す方向に光学軸を有している。この水晶板10に入射した光線L1は、水晶板10の有する複屈折性によって、2つの光線L11、L12に分離されて出射する。これらの光線L11、L12は、それぞれ偏光状態が直線偏光に変化して出射する。
【0018】
1/4波長板30は、光入射面であるX−Y平面において、X軸と約45度の方位角をなす図中矢印A2で示す方向に光学軸を有している。これにより、1/4波長板30に入射した光線L11、L12は、それぞれ直線偏光から円偏光に偏光状態が変えられ、2つの光線L13、L14となって出射する。
【0019】
光出射側に配置される水晶板20は、光入射面と直交し、かつY−Z平面において、Y軸と約45度の方位角をなす図中矢印A3で示す方向に光学軸を有している。この水晶板20に入射した光線L13は、水晶板20の有する複屈折性によって、2つの光線L15、L16に分離されて出射する。同様に、水晶板20に入射した光線L14は、2つの光線L17、L18に分離されて出射する。これらの光線L15、L16、L17、L18は、それぞれ偏光状態が直線偏光に変化して出射する。
【0020】
図1(c)において、対向面31の表面には、凸部35が形成されている。また、図示しないが凸部が、水晶板10の1/4波長板30との対向面11、1/4波長板30の水晶板20との対向面32、水晶板20の1/4波長板30との対向面21にも設けられている。凸部35は、これら光学素子の対向面11,21,31,32のすべてに設けられていてもよいし、一部であってもよい。
【0021】
図2(a)には、図1(a)の光学ローパスフィルタ1の概略正断面図が示されている。(b)には、水晶板10、貼り合わせ層40、1/4波長板30付近の拡大断面図が示されている。さらに、(c)には、貼り合わせ層40、1/4波長板30付近を拡大した拡大断面図が示されている。なお、(c)の拡大断面図に対応した光の透過方向の距離Dと屈折率nの関係を示したグラフも合わせて示した。
【0022】
水晶板10には、凸部15が、1/4波長板30には、凸部35が形成されている。これらの凸部15,35は、水晶板10および1/4波長板30を加工して形成してもよいし、凸部15は、水晶板10と、凸部35は、1/4波長板30と異なる材料で形成されていてもよい。しかし、屈折率差の大きな材料では、形成面での反射が大きくなるので、略同じ屈折率の材料を用いるのが好ましい。
【0023】
加工による形成は、選択的なウェットエッチングあるいはドライエッチングによって加工できる。また、合成樹脂の場合、射出成形の金型の微細な凹部を設け、その凹部を転写して凸部15,35を形成する方法を用いることができる。
また、凸部15,35の形状は、本実施形態では略円錐形であるが、角錐形であってもよいし、先端部36が曲面であってもよい。先端部に行くにしたがって断面積が小さくなる形状であればどのような形状であってもよい。
【0024】
図2(b)において、凸部35の先端部36間の距離Wと、先端部36から対向面31までの距離Hとについて、凸部35を例にその範囲について説明する。
なお、凸部15の先端部16間の距離と、先端部16から対向面11までの距離の範囲も同様の範囲であるし、その他の対向面21,32に形成された凸部に関しても同様である。
先端部36間の距離Wは、50nm以上500nm以下が好ましい。また、先端部36から対向面31までの距離Hは、100nm以上1000nm以下が好ましい。
距離Wと距離Hはそれぞれの対向面11,21,31,32に形成された凸部によって異なっていてもよい。
【0025】
図2(c)において、貼り合わせ層40と1/4波長板30との界面付近の有効屈折率の変化を、図2(c)中右側にグラフとして示した。縦軸Lは、光の入射方向の位置を表し、横軸は光の入射方向の有効屈折率を表している。左に示した断面においては、破線で示した屈折率分布となるが、対向面全体の平均値としては、実線で示した屈折率分布となる。
図2(c)中右側に示したグラフにおいて、界面付近の有効屈折率は、凸部35の形状に応じて、貼り合わせ層40の屈折率n40と1/4波長板30の屈折率n30との間で連続的に変化することになる。本実施形態では、屈折率n40が屈折率n30より小さいので、貼り合わせ層40から1/4波長板30にかけて有効屈折率は連続して上昇する。
【0026】
以下に、貼り合わせ層40と1/4波長板30との界面付近において、1/4波長板30に凸部35を形成した場合と、形成しない場合の可視光域の透過率の測定結果について説明する。
図3には、1/4波長板30に貼り合わせ層40を形成したサンプルが示されている。
図3(a)には、貼り合わせ層40と1/4波長板30との界面に凸部35を形成したサンプル(a)を示し、(b)には、凸部35を形成しないサンプル(b)を示した。
貼り合わせ層40には、屈折率1.48のアクリル系粘着剤を用い、厚みは0.01mmとした。
1/4波長板30には、屈折率1.61の一軸延伸のポリカーボネートフィルムを用い、厚みは0.15mmとした。
【0027】
図4には、サンプル(a)およびサンプル(b)についての透過率測定結果を表す図が示されている。測定波長は、可視光領域を含む380nm〜780nmで行った。
界面に凸部35を形成したサンプル(a)の透過率は、凸部35を形成しないサンプル(b)と比較してほとんどの波長領域で1〜2パーセント高くなっている。
【0028】
以下、本実施形態の効果を記載する。
(1)水晶板10,20および1/4波長板30間の対向面11,21,31,32に、先端部16,36に行くにしたがって断面積が小さくなる複数の凸部15,35が形成されている(凸部の例として図2(b)中で拡大して示した)。したがって、対向面11,31から先端部16,36にかけてのいわゆる有効屈折率は、凸部35間に存在する貼り合わせ層40,50の材料の占める割合と凸部35の材料の占める割合に応じて、それぞれの屈折率を合わせた屈折率にできる。この有効屈折率は、対向面11,31から先端部16,36にかけて連続して変化するので、屈折率の不連続点が存在せず、対向面11,31に対して入射した光に対して対向面11,31での反射を低減できる。対向面21,32に対しても同様の効果を得ることができる。
【0029】
(2)凸部35の先端部36間の距離と凸部の先端部36から対向面31までの距離とで決まる光学膜厚が、可視光域の波長より小さいので、対向面31に入射する光と出射する光の干渉による影響が少なく、対向面31での反射を低減できる。対向面11,21,32に対しても同様の効果が得ることができる。
【0030】
(3)貼り合わせ層40,50が凸部35間に充填される。貼り合わせ層40,50の材料の屈折率として、凸部35の屈折率に近い屈折率を選択することが可能なので、有効屈折率の変化がより緩やかになり、対向面11,21,31,32での反射を低減できる。
【0031】
(4)高分子フィルムからなる1/4波長板30は、加工が容易で異方性が少ないので、同じ形状の凸部35の形成が行いやすい。したがって、有効屈折率の変化の仕方のばらつきが少なく、より対向面11,21,31,32での反射を少なくできる。
【0032】
(第2実施形態)
本実施形態の光学ローパスフィルタ60は、第1実施形態で対向面11,21,31,32に凸部35を形成するかわりに凹部38を形成した以外は、第1実施形態と構成は同様である。
【0033】
図1(d)は、対向面31の表面を拡大して示した拡大図である。
対向面31には、凹部38が形成され、凹部38は開口部37を有している。
【0034】
図5(a)には、光学ローパスフィルタ60の概略正断面図が示されている。(b)には、水晶板10、貼り合わせ層40、1/4波長板30付近の拡大断面図が示されている。さらに、(c)には、貼り合わせ層40、1/4波長板30付近を拡大した拡大断面図が示されている。(c)の拡大断面図に対応した光の透過方向の距離Dと屈折率nの関係をグラフとして合わせて示した。
【0035】
水晶板10には、凹部18が、1/4波長板30には、凹部38が形成されている。これらの凹部18,38は、水晶板10および1/4波長板30を加工して形成されている。
加工による形成は、選択的なウェットエッチングあるいはドライエッチングによって加工できる。また、合成樹脂の場合、射出成形の金型の微細な凸部を設け、その凸部を転写して凹部18,38を形成する方法を用いることができる。
また、凹部18,38の形状は、本実施形態では略円錐形であるが、角錐形であってもよいし、底部39が曲面であってもよい。開口部37から底部39に行くにしたがって断面積が小さくなる形状であればどのような形状であってもよい。
【0036】
図5(b)において、凹部38の底部39間の距離Wと、底部39から対向面31までの距離Dとについて、凹部38を例にその範囲について説明する。なお、凹部18の底部19間の距離と、底部19から対向面11までの距離の範囲も同様の範囲であるし、その他の対向面21,32に形成された凹部に関しても同様である。
底部39間の距離Wは、50nm以上500nm以下が好ましい。また、底部39から対向面31までの距離Dは、100nm以上1000nm以下が好ましい。
距離Wと距離Dはそれぞれの対向面11,21,31,32に形成された凹部によって異なっていてもよい。
【0037】
図5(c)において、貼り合わせ層40と1/4波長板30との界面付近の有効屈折率の変化を、図5(c)中右側に示したグラフに示した。縦軸Lは、光の入射方向の位置を表し、横軸は光の入射方向の有効屈折率を表している。左に示した断面においては、破線で示した屈折率分布となるが、対向面全体の平均値としては、実線で示した屈折率分布となる。
図5(c)中右側に示したグラフにおいて、界面付近の有効屈折率は、凹部38の形状に応じて、貼り合わせ層40の屈折率n40と1/4波長板30の屈折率n30との間で連続的に変化することになる。本実施形態では、屈折率n40が屈折率n30より小さいので、貼り合わせ層40から1/4波長板30にかけて有効屈折率は連続して上昇する。
【0038】
本実施形態においても、貼り合わせ層40と1/4波長板30との界面付近において、1/4波長板30に凹部38を形成した場合と、形成しない場合の可視光域の透過率の測定を第1実施形態と同様に行った。
その結果、第1実施形態と同様の結果が得られ、同様の効果が確認できた。
【0039】
次に、本発明の光学フィルタである光学ローパスフィルタを含んで構成される撮像モジュールおよび撮像装置の具体例について説明する。
【0040】
図6は、撮像モジュールの構成例とこの撮像モジュールを含む撮像装置の構成例を示す図である。同図に示す撮像モジュール100は、本発明を適用した光学ローパスフィルタ110と、CCD等のセンサからなり、光学像を電気信号に変換する撮像素子120と、この撮像素子120を駆動する駆動部130を含んで構成されている。
【0041】
この撮像モジュール100と、光入射側に配置されるレンズ200と、撮像モジュール100から出力される撮像信号の記録、再生等を行う本体部300を含んで、撮像装置を構成することができる。なお、図示しないが、本体部300には、撮像信号の補正を行う信号処理部、撮像信号を磁気テープ等の記録媒体に記録する記録部およびこの撮像信号を再生する再生部、再生された映像を表示する表示部など各種の構成要素が含まれる。また、上述したレンズ200も含めて撮像モジュールが構成されていてもよい。
【0042】
図7および図8は、撮像装置の(電子機器)の具体例を示す図である。図7では、撮像装置の一例として、静止画の撮影を行うデジタルスチルカメラを模式的に示した斜視図が示されている。また、図8では、撮像装置の一例として、動画の撮影を行うデジタルカメラを模式的に示した斜視図が示されている。なお、これらのデジタルスチルカメラやデジタルカメラ以外にも、いわゆるカメラ付き携帯電話、いわゆるカメラ付き携帯パーソナルコンピュータなど各種の電子機器においても、本発明にかかる光学フィルタや撮像モジュールを用いて撮像部を構成することができる。
【0043】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、貼り合わせ層の屈折率を、互いに固定されている光学素子のそれぞれの屈折率の間の値とすることによって、より界面での反射を抑えることができる。
また、光学素子として赤外線吸収ガラスを用いることもできる。
さらに、1つの対向面に凸部と凹部とを混在させて設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)は、本発明の実施形態における光学ローパスフィルタの概略斜視図、(b)分解概略斜視図、(c)は、対向面の表面を拡大して示した拡大図、(d)は、対向面の表面を拡大して示した拡大図。
【図2】(a)は、図1(a)の光学ローパスフィルタの概略正断面図、(b)は拡大断面図、(c)は、(b)をさらに拡大した拡大断面図。
【図3】(a)は、貼り合わせ層と1/4波長板との界面に凸部を形成したサンプルの断面図、(b)は、凸部を形成しないサンプルの断面図。
【図4】透過率測定結果を表す図。
【図5】(a)は、図1(a)の光学ローパスフィルタの概略正断面図、(b)は拡大断面図、(c)は、(b)をさらに拡大した拡大断面図。
【図6】撮像モジュールを含む撮像装置の構成例を示す図。
【図7】撮像装置としてのデジタルスチルカメラを示す図。
【図8】別の撮像装置としてのデジタルカメラを示す図。
【符号の説明】
【0045】
1…光学フィルタである光学ローパスフィルタ、10,20…光学素子である水晶板、30…光学素子である1/4波長板、11,21,31,32…対向面、35…凸部、16,36…先端部、37…開口部、18,38…凹部、19,39…底部、40,50…貼り合わせ層。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向するように配置される複数の光学素子を備え、
前記光学素子の対向面のうち、片側または両側の面に、複数の凸部が形成され、
前記複数の凸部は先端部に行くにしたがって断面積が小さくなる
ことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項2】
請求項1に記載の光学フィルタにおいて、
前記凸部の前記先端部間の距離は、50nm以上500nm以下であり、
前記凸部の前記先端部から前記対向面までの距離は、100nm以上1000nm以下である
ことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項3】
対向するように配置される複数の光学素子を備え、
前記光学素子の対向面のうち、片側または両側の面に、複数の凹部が形成され、
前記複数の凹部は開口部から底部に行くにしたがって断面積が小さくなる
ことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項4】
請求項3に記載の光学フィルタにおいて、
前記凹部の前記底部間の距離は、50nm以上500nm以下であり、
前記凹部の前記底部部から前記対向面までの距離は、100nm以上1000nm以下である
ことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルタにおいて、
前記光学素子は、貼り合わせ層によって互いに貼り合わせられている
ことを特徴とする光学フィルタ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルタにおいて、
前記光学素子の1つまたは複数が合成樹脂である
ことを特徴とする光学フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−32781(P2008−32781A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202912(P2006−202912)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】