説明

光学フィルム、光拡散フィルム並びにその製造方法及び使用方法

光学フィルム(120)の製造方法は、光学フィルムの総重量を基準にして80重量%以上のポリカーボネートを含む光学フィルムを、該光学フィルムを延伸するのに十分な温度に加熱する段階と、光学フィルムを延伸する段階とを含み、得られる延伸光学フィルムは延伸方向に平行な方向で測定して50×10−6cm/cm/℃以下の線膨張率を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム、光拡散フィルム並びにその製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バックライトコンピューターディスプレイ又は他のディスプレイ装置では、例えば光の誘導、拡散又は偏光を行うため、光学フィルム材料(シート、層、フォイルなどともいう)が常用される。例えば、バックライト型ディスプレイでは、輝度向上フィルム(BEF)は視軸(即ち、ディスプレイに垂直な軸線)に沿って光を誘導するためその表面にプリズム構造が用いられる。この構造は、ディスプレイのユーザーが観察する光の輝度を向上させ、所望の軸上照明レベルを生じるための装置の消費電力の削減を可能にする。かかるフィルムは、投写型ディスプレイ、交通標識及び照明看板のような広範囲の他の光学的デザインでも使用できる。
【0003】
現行のディスプレイ装置、例えば液晶ディスプレイ(LCD)では、光拡散フィルムの使用が望ましい。光拡散フィルムとは、光の全透過量を維持しながら、観察者への光を均等に分配するとともに導光板で生じかねない欠陥を隠すためLCDバックライト装置で使用される広範な物品をいう。これらの調光特性に加えて、これらの拡散フィルムはバックライト型ディスプレイ装置内での外観に関する特定の性質を満たす必要がある。特に、こうしたフィルムは装置内の他のフィルム上に平らに配設すべきである。一般に、この用途にポリカーボネートを使用する場合、その高い熱膨張率のため、高温のランプに近い部分のフィルムが膨張するが、ランプから遠いフィルムは膨張しないか、或いは同程度には膨張しない。そのため、フィルムのこれらの部分に表面のうねりを生じ、フィルム全体がバックライト型ディスプレイ装置での使用に適さなくなる。
【特許文献1】米国特許第6194497号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2003/0214728号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0066645号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0108710号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
当技術分野では、バックライト装置内のランプの熱の影響下での表面うねりを最小限に抑制或いは観察可能な表面うねりを生じないポリカーボネート光拡散フィルムが必要とされている。
【0005】
本明細書では、光学フィルム(例えば、光拡散フィルム)、光学フィルムの製造方法、及び光学フィルムを用いた液晶ディスプレイデバイスについて開示する。
【0006】
光学フィルムの製造方法の一実施形態は、光学フィルムの総重量を基準にして80重量%以上のポリカーボネートを含む光学フィルムを、該光学フィルムを延伸するのに十分な温度に加熱する段階と、光学フィルムを延伸して、延伸方向に平行な方向で測定して50×10−6cm/cm/℃以下の線膨張率を有する延伸光学フィルムを得る段階とを含む。
【0007】
液晶ディスプレイデバイスの一実施形態は、光源と、光源と光学的に連絡した導光板と、導光板と光学的に連絡した、ポリカーボネートを含む光学フィルムであって、光学フィルムの延伸方向に平行な方向で測定して50×10−6cm/cm/℃以下の線膨張率を有する光学フィルムとを備える。
【0008】
光学フィルムの一実施形態は、光学フィルムの総重量を基準にして80重量%以上のポリカーボネートを含むとともに、光学フィルムの延伸方向に平行な方向で測定して50×10−6cm/cm/℃以下の線膨張率を有する。
【0009】
上記その他の特徴は、以下の詳しい説明、添付の図面及び特許請求の範囲から当業者には明らかであろう。
【0010】
図面の簡単な説明
次に、例示的な実施形態を示す添付の図面について説明する。図面では、類似の構成要素には同じ番号を付す。
【0011】
図1は、光拡散フィルムを含むバックライト型ディスプレイデバイスの斜視図である。
【0012】
図2は、プリズム面を有する輝度向上フィルムの例示的な一実施形態を示す斜視図である。
【0013】
図3は、プリズム面を有する輝度向上フィルムの別の例示的な実施形態を示す断面図である。
【0014】
図4は、光を受光して出射する光を拡散させる光拡散フィルムの例示的な一実施形態を示す断面図及び略図である。
【0015】
図5は、互いに一定の角度をなして配置された2枚の輝度向上フィルムの例示的な一実施形態を示す斜視図である。
【0016】
図6は、複数の輝度向上フィルム及び複数の光拡散フィルムを含むバックライト型ディスプレイデバイスの例示的な一実施形態を示す斜視図である。
【0017】
図7は、光拡散フィルムの延伸方法の例示的な一実施形態を示す略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本明細書では、光学フィルム、さらに具体的にはポリカーボネートを含む光拡散フィルムであって、光源(例えば、蛍光灯)からの熱に起因する表面うねりを生じることなく液晶ディスプレイデバイス(例えば、バックライト型ディスプレイデバイス)に使用できる光拡散フィルム(「ディフューザー」ともいう)について開示する。さらに、光学フィルム(さらに具体的には光拡散フィルム)は、コーティングが存在しないことを特徴とする単一フィルム又はモノリシックフィルムであるのが望ましい。本明細書全体を通して光拡散フィルムに関する説明がなされるが、この記載は単に説明の便宜のためのものであり、他の種類の光学フィルムにも等しく適用し得る。反射に関して本明細書で用いる「全」という用語は、表面からの反射されるすべての光の合計反射率をいう。特記しない限り、本明細書で用いる「上部」及び「下部」という用語は、説明の便宜のためのものにすぎず、いかなる位置又は空間的配置にも限定されない。本明細書で用いる「約」という用語は、明示した値の±10%以内の値をいう。
【0019】
さらに、本明細書における「第一」、「第二」などの用語は順序、数量又は重要性を意味するものではなく、ある構成要素を別のものから区別するために用いられる。本明細書に単数形で記載したものは、数量を限定するものではなく、そのものが1以上存在することを意味する。さらに、本明細書で開示したすべての範囲は、上下限を含み、結合可能である(例えば、「約25重量%以下、望ましくは約5〜約20重量%、さらに望ましくは約10〜約15重量%」という範囲は、上下限を含み、範囲内のすべての中間値(例えば、「約5〜約25重量%」、「約5〜約15重量%」など)を含む)。
【0020】
以下、個々の図を参照してバックライト型ディスプレイデバイスの実施形態について説明する。各実施形態の構成部分の多くが他のものと同様又は同一であることは当業者には明らかであろう。これらの構成部分の各々は図1の説明で述べるが、他の実施形態では繰り返さず、各々の図/実施形態に関しては構造の相違点について説明する。
【0021】
まず図1を参照すると、全体を符号100で示すバックライト型ディスプレイデバイスの斜視図を示す。バックライト型ディスプレイデバイス100は、光104を発生するための光源102を備える。光源102と光学的に連絡する導光板106が、導光板106内での光104の内部全反射(TIR)によって光104を導く。導光板106の第一の表面110と物理的及び/又は光学的に連絡する反射フィルム108が、導光板106から出る光104を反射する。導光板106の第二の表面114と物理的及び/又は光学的に連絡する輝度向上フィルム(BEF)112が、導光板106からの光104を受光する。
【0022】
さらに詳しくは、BEF112は導光板106の第二の表面114と物理的及び/又は光学的に連絡する平坦面116を有するとともに、光拡散フィルム120と物理的及び/又は光学的に連絡するプリズム面118を有している。さらに、プリズム面118はピーク角α、高さh、ピッチp及び長さl(図2及び図3参照)を有する。これらのパラメーター(ピーク角α、高さh、ピッチp及び長さl)は、所定の値を有していてもよいし、或いはランダム化又は少なくとも擬似ランダム化された値を有していてもよい。ランダム化又は擬似ランダム化パラメーターを有するプリズム面をもつフィルムは、例えば、2002年5月20日出願の米国特許出願第10/150958号(Olcazk)に記載されている。
【0023】
BEF112は、光104を受光し、図1に示すz方向で誘導される光104を表す矢印で示す通り、BEF112に対して実質的に垂直な方向に光104を誘導するように働く。光拡散フィルム120は、BEF112からの光104を受光し、図4に示すように光を拡散(例えば、散乱)させる。光104は、光拡散フィルム120から液晶ディスプレイ(LCD)122に進む。
【0024】
さらに、様々な実施形態では、バックライト型ディスプレイデバイスは互いに光学的に連絡した複数の輝度向上フィルム(BEF)及び複数の光拡散フィルムを備えていてもよい。複数の輝度向上フィルム及び光拡散フィルムは、LCDで所望の結果が得られる任意の構成に配置できる。例えば、輝度向上フィルムは図5に示すように互いに物理的及び/又は光学的に連絡した状態で配置できる。さらに詳しくは、第一のBEF212は第一のBEF平坦面216及び第一のBEFプリズム面218を有する。第二のBEF224は第二のBEF平坦面226及び第二のBEFプリズム面228を有する。第一のBEF212及び第二のBEF224は、プリズム面(それぞれ218及び228)が互いに一定の角度(例えば、90度)をなして位置するように配置される。
【0025】
さらに、上述の通り、BEF及び光拡散フィルムの配置及び種類は、これらが用いられるバックライト型ディスプレイデバイスに依存する。バックライト型ディスプレイデバイスは、ノートブックコンピューターでの使用が普及しつつある。本明細書全体を通してノートブックコンピューターに関する説明するが、本明細書に開示した光拡散フィルムを他の用途に使用することは過度の実験を行わずに当業者が容易になし得る。
【0026】
ノートブックコンピューター用のバックライト型ディスプレイデバイス300を図6に示す。バックライト型ディスプレイデバイス300は、光304を発生するための光源302を備える。光源302と光学的に連絡する導光板306が、図1に関して述べた通り、光304の内部全反射によって光304を導く。導光板306の第一の表面310と物理的及び/又は光学的に連絡する反射フィルム308が、導光板306から出た光304を反射する。下部光拡散フィルム320及び上部光拡散フィルム330が、下部光拡散フィルム320と上部光拡散フィルム330との間に配設された第一のBEF312及び第二のBEF324と光学的に連絡している。光304は、光拡散フィルム330から液晶ディスプレイ(LCD)322に進む。
【0027】
図6に示す実施形態に関しては、下部光拡散フィルム320は主として、光304の均一性を高め、他のフィルム(例えば、BEF312及び324)との相互作用で可能な軸上輝度を高める機能をもつ。下部光拡散フィルム320のもう1つの機能は、導光板306で生じかねない光学的欠陥を隠すことである。上部光拡散フィルム330は主として、グレア及びBEF(例えば、312及び324)間の光学的結合(ニュートン環)を最小限にする機能をもつ。加えて、上部光拡散フィルム330は、BEFフィルム(312、324)に対する保護フィルムとしても機能し、BEFフィルムのプリズム面の破壊又は損傷の可能性を低減させる。さらに、上部光拡散フィルム(例えば、330)(即ち、液晶ディスプレイ(例えば、322)に近い光拡散フィルム)は、一般に85%以下のヘイズ、さらに具体的には50%以下のヘイズを有する。これに対して、下部光拡散フィルム(例えば、320)(即ち、導光板(例えば、306)に近い光拡散フィルム)は、一般に90%以上のヘイズ、さらに具体的には95%以上のヘイズを有する。
【0028】
%ヘイズは、次式から予測及び計算できる。
【0029】
【数1】

式中、全光線透過率は積分透過率であり、全散乱光透過率はASTM D1003で規定されるようにフィルムで散乱された光の透過率である。
【0030】
光源(例えば、102、302)は、液晶ディスプレイ(LCD)デバイスのバックライトの発生に適した光源を備えていればよく、高輝度光源及び低輝度光源の両方が挙げられる。高輝度光源には、特に限定されないが、冷陰極蛍光灯(CCFL)、蛍光灯などがある。低輝度光源には、特に限定されないが、発光ダイオード(LED)及び冷陰極蛍光灯がある。
【0031】
導光板(例えば、106、306)は、好ましくは光の内部吸収の少ない材料からなる。かかる材料には、特に限定されないが、アクリルフィルム並びにアクリル、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレン、セレン(Se)、塩化銀(AgCl)などの望ましくは透明な材料がある。導光板の形状は、バー、曲面、板、シートなどのような、使用に適した形状であればよい。導光板は単一片であっても複数のシートの積層物であってもよい。
【0032】
反射フィルム(例えば、108、308)は、光の反射に使用できる形状(例えば、板、シートなどの平面形状)を有していればよく、反射フィルムは反射性材料からなる。例えば、好適な反射性材料には、特に限定されないが、アルミニウム蒸着フィルム、銀蒸着フィルムなどがある。他の実施形態では、反射フィルムは熱可塑性材料、例えば、Labsphere社から市販のSpectralon(登録商標)又はGeneral Electric社から市販の酸化チタン着色Lexan(登録商標)からなる。
【0033】
上述の通り、輝度向上フィルム(例えば、112)では視軸(即ち、ディスプレイに垂直な軸線)方向に光を誘導するためにプリズム構造が使用される。これは、ディスプレイのユーザーが観察する光の輝度を向上させ、所望の軸上照明レベルを生じるための装置の消費電力の削減を可能にする。例えば、輝度向上フィルムは米国特許出願公開第2003/0108701号(Coyleら)に記載された材料を含んでいてもよい。さらに具体的には、輝度向上フィルムは、金属、紙、アクリル樹脂、ポリカーボネート、フェノール樹脂、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレンテレフタレート、及びこれらの1種以上を含む組合せからなる。
【0034】
ポリカーボネートを含む光拡散フィルム(例えば、120)は、光源からの熱に起因する光拡散フィルムの表面うねりを生じることなくバックライト型ディスプレイデバイスに使用できるものである。光拡散性能をもつフィルムの製造には、様々な技術が使用できる。例えば、フィルムの物理的改変により、フィルムの表面にテクスチャーを付して光を拡散させることができる(例えば、テクスチャー加工光拡散フィルム)。以下でさらに詳しく説明する通り、フィルムの上下両面をテクスチャー加工するのが望ましい。他の実施形態では、光拡散粒子をフィルム内に埋め込んでフィルムに光拡散性を付与することができる(例えば、バルク光拡散フィルム)。さらに別の実施形態では、これら2つの方法の組合せが使用できる。即ち、フィルムの表面にテクスチャーを付すとともに、フィルム内に光拡散粒子を埋め込んでもよい。
【0035】
一実施形態では、光拡散フィルムはポリカーボネート、帯電防止剤及び適宜光拡散粒子を含む。光拡散フィルムは、光拡散フィルムの総重量を基準にして80重量%以上のポリカーボネート、さらに具体的には90重量%以上のポリカーボネートを含む。例えば、一実施形態では、光拡散フィルムは、光拡散フィルムの総重量を基準にして約93〜約99.6重量%のポリカーボネート、約0.4〜約7重量%、さらに具体的には約0.4〜約2重量%の帯電防止剤、及び適宜約7重量%以下、さらに具体的には約2〜7重量%の光拡散粒子を含んでいてもよい。さらに具体的には、光拡散フィルムは、米国特許出願第10/787158号(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)に開示されたものを含んでいてもよい。
【0036】
光拡散フィルムの帯電防止剤は、フィルムに帯電防止性を付与するのに十分な量の帯電防止剤からなる。例えば、帯電防止剤にはスルホン酸ホスホニウムからなるものがある。さらに詳しくは、一実施形態では、帯電防止剤は米国特許第6194497号(Henricusら)に記載されているものである。さらに具体的には、スルホン酸ホスホニウムはフッ素化スルホン酸ホスホニウムであり、有機スルホン酸陰イオン及び有機ホスホニウム陽イオンを含むフルオロカーボンからなる。かかる有機スルホン酸陰イオンの例には、特に限定されないが、ペルフルオロメタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、ペルフルオロヘキサンスルホン酸、ペルフルオロヘプタンスルホン酸及びペルフルオロオクタンスルホン酸がある。ホスホニウム陽イオンの例には、特に限定されないが、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、トリメチルエチルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルエチルホスホニウム、トリオクチルメチルホスホニウム、トリメチルブチルホスホニウム、トリメチルオクチルホスホニウム、トリメチルラウリルホスホニウム、トリメチルステアリルホスホニウム、トリエチルオクチルホスホニウムのような脂肪族ホスホニウム、及びテトラフェニルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム、トリフェニルベンジルホスホニウム、トリブチルベンジルホスホニウムのような芳香族ホスホニウムがある。さらに具体的には、フッ素化スルホン酸ホスホニウムはこれらの有機スルホン酸陰イオン及び有機陽イオンのいずれかの任意の組合せから得ることができる。
【0037】
さらに一段と具体的には、本発明で用いられるスルホン酸ホスホニウムには以下の一般式を有するフッ素化スルホン酸ホスホニウムがある。
【0038】
{CF(CF)(SO)}θ{P(R)(R)(R)(R)}Φ
式中、Fはフッ素であり、nは1〜12の整数であり、Sは硫黄であり、R、R及びRは同一であって、各々炭素原子数1〜8の脂肪族炭化水素基又は炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素基であり、Rは炭素原子数1〜18の炭化水素基である。上記の式で表されるフッ素化スルホン酸ホスホニウムを主成分とする帯電防止剤組成物は、その帯電防止性及び相溶性を利用するとともに、その帯電防止性をポリカーボネートに付与する際に耐熱性を利用するため、様々な方法で使用できる。フルオロカーボンスルホン酸ホスホニウム塩は低融点の半固形物質であり、融液として取り扱うことができる。幾つかの実施形態では室温(即ち、約15〜約25℃の温度)で固体の結晶性物質であり、秤量、取扱い及びポリカーボネートへの添加が容易である。
【0039】
帯電防止剤はプロセスの任意の時点でポリカーボネートに添加できるが、ポリマー製造時にポリカーボネートに添加するのが望ましい。例えば、ポリカーボネート及び帯電防止剤を例えば押出などで処理すればよい。
【0040】
光拡散フィルムの好適な光拡散粒子は、ポリカーボネートに所望される物理的性質(例えば、衝撃強さ又は引張強さ)に顕著な悪影響を及ぼさない有機材料からなる。さらに詳しくは、光拡散粒子はアクリル系であって、ポリ(アクリレート)、ポリ(アルキルメタクリレート)(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA))及びこれらの有機材料の1種以上を含む混合物を含んでいてもよい。ここで、アルキル基は1〜約12の炭素原子を有する。さらに、光拡散粒子は光拡散フィルムに所望の拡散特性を付与するのに十分な粒度をもつ。例えば、光拡散粒子は(大径(即ち、最長径)で測定して)約3〜約10μmの平均粒度を有する。
【0041】
今回、ポリカーボネートを含む光拡散フィルムを以下に開示する方法で延伸すれば、所望の光透過性を維持しつつ、光源から発生する熱に原因するフィルムの表面うねりを生じない光拡散フィルムを製造できることが判明した。様々な実施形態では、かかる光拡散フィルムは上部光拡散フィルム又は下部光拡散フィルムとして使用できる。得られる光拡散フィルムは、(延伸方向に平行な方向で測定して)50×10−6(cm/cm/℃(cm/cm/℃)以下、さらに具体的には35×10−6cm/cm/℃以下の線膨張率を有しており、約17×10−6cm/cm/℃〜約35×10−6cm/cm/℃の線膨張率が望ましい。比較のため、本明細書で開示したポリカーボネートフィルムは、延伸前には(押出方向で測定して)約70×10−6cm/cm/℃の線膨張率を有する。
【0042】
次に図7を参照すると、光拡散フィルムを延伸するための例示的なプロセスを示す。この実施形態では、光拡散フィルム432はロール434から巻き出される。この作業では、光拡散フィルムはフィルムの上下両面に既にテクスチャー加工が施されており、及び/又は光拡散特性を付与するため光拡散粒子がフィルムに既に添加されている。理論に束縛されるものではないが、光拡散フィルム(例えば、432)のテクスチャー加工した上下両面は、延伸プロセスで生じかねないフィルム表面の擦過傷を最小限に抑える。さらに、以下の延伸方法は、光拡散フィルム製造の一部として(例えば、光拡散フィルムの押出及び任意工程のテクスチャー加工に続く作業として)容易に組み込むことができる。
【0043】
図7に示す実施形態では、光拡散フィルム432は縦方向延伸機(MDO)のような延伸ユニット436に導かれる。延伸ユニット436は、予熱ロール438、緩速引取ロール440、急速引取ロール442、並びに適宜アニールロール444及び冷却ロール446を備える。図7は滑り型MDOを示しているが、ランプからの熱に暴露された場合にフィルムが表面うねりを生じなければ、光拡散フィルムを製造できる他の延伸機構も使用できる。例えば、他の延伸機構には、特に限定されないが、片持ち型MDO、縦型MDOなどがある。さらに、ローラーのサイズ、ローラーの材料、ローラーの数、ローラーの周囲のフィルムラップなどは使用する延伸装置によって変動する。
【0044】
作業に際しては、光拡散フィルム432をロール434から巻き出し、緩速引取ロール440の上流に位置する予熱ロール438に導く。予熱ロール438及び緩速引取ロール440は、裂けることなく延伸できるように光拡散フィルムを軟化させるのに十分な温度に光拡散フィルムを加熱するため順次使用される。さらに詳しくは、光拡散フィルムをガラス転移温度に近い温度(例えば、フィルムのガラス転移温度の±50°F(約28℃)の温度、さらに具体的にはフィルムのガラス転移温度の±25°F(約14℃)の温度)に加熱する。光拡散フィルムの所望のテクスチャーを維持するため、光拡散フィルムをそのガラス転移温度よりも50°F(約28℃)低い温度に加熱し、具体的にはそのガラス転移温度よりも25°F(約14℃)低い温度に加熱するのが望ましい。例えば、光拡散フィルムの総重量を基準にして93重量%以上のポリカーボネートを含む光拡散フィルムは、約270°F(約132℃)〜約320°F(約160℃)の温度に加熱すればよい。一般に、予熱ロール438は緩速引取ロール440よりも低い温度に維持される。
【0045】
次いで、光拡散フィルムを緩速引取ローラー440と急速引取ローラー442との間で延伸する。ローラーについて用いる「緩速」及び「急速」という用語は、単に説明の便宜のため用いられる。さらに詳しくは、これらの用語は、第一の組のローラーとその下流の第二の組のローラーとの相対速度を表すために用いられる。一般に、作業に際しては、急速引取ローラー442がフィルムを加速するため、緩速引取ローラー440を通過する際のフィルムの寸法に比べてフィルムは長く、薄く、幅がやや狭く(ネック状に)なる。さらに、光拡散フィルムの配向(即ち、延伸)の程度は、一般に、急速引取ローラー442の表面速度と緩速引取ローラー440の表面速度との比である延伸比によって表される。さらに具体的には、延伸比は、例えば蛍光灯からの熱への暴露時にフィルムの表面うねりが回避されるように光拡散フィルムを製造するのに十分なものである。延伸比はフィルムの所望用途に依存し、さらに具体的にはフィルムの所望厚さ(例えば、約0.025〜約0.5mm、さらに具体的には約0.1〜約0.25mmの厚さ)に依存する。例えば、延伸比は約1.1〜約3、さらに具体的には約1.4〜約2である。2以上の延伸比はフィルムの擦過傷を生じる場合がある。
【0046】
さらに、様々な実施形態では、フィルム表面の擦過傷を最小限に抑えるため、フィルムの上下両面にテクスチャー加工を施すのが望ましい。例えば、上面及び/又は下面は、20マイクロインチ(約0.5μm)以上、具体的には40マイクロインチ(約1.0μm)以上、さらに具体的には60マイクロインチ(約1.5μm)以上の平均表面粗さ(Ra)を有する。表面粗さ(Ra)は、当業者には容易に理解される用語である。一般に、Raはフィルムの平均粗さの尺度である。これは、表面高さと平均高さとの差の絶対値を積分し、次いで一次元表面プロフィルに関しては測定長さで除すか、或いは二次元表面プロフィルに関しては測定面積で除すことによって求めることができる。
【0047】
急速引取ローラー442の下流には、適宜アニールローラー444及び冷却ローラー446が位置しており、これらは順に低い温度で動作する。さらに詳しくは、アニールローラー444は冷却ローラー446よりは高いが、急速引取ローラー442よりも低い温度で動作する。さらに、冷却ローラー446はアニールローラー444よりも低い温度で動作する。さらに、アニールローラー(例えば、444)及び冷却ローラー(446)は、室温(即ち、約15〜約25℃の温度)でのフィルムの外観を向上させる。
【実施例】
【0048】
これらの実施例では、米国特許出願第10/787158号に記載された方法と同様の方法を用いてGE Structured Products社(米国インディアナ州マウントバーノン)で製造され、0.008インチ(約200μm)の公称厚さを有するポリカーボネートフィルム(グレードXL4248−112)のロールを使用した。フィルムの上面は、Precision Devices社(米国ミシガン州ミラン)製のSurfometer測定器を用いて測定したところ、60マイクロインチ(約1.5μm)〜85マイクロインチ(約2.2μm)の平均粗さ(Ra)を有し、下面は12マイクロインチ(約0.3μm)〜30マイクロインチ(約0.8μm)の粗さを有していた。Surfometer測定器では以下の設定値を用いた。即ち、カットオフ長さは0.03インチ(約0.08cm)、ストローク長さは5カットオフ、Pc閾値は10マイクロインチ(約0.3μm)、粗さフィルターはガウス型であった。フィルムは、BYK−Gardner社(米国メリーランド州)から市販のHaze−Gard Plus測定器を用いて測定して65〜80%のヘイズ、及び同じくHaze−Gard Plusを用いて測定して約90.5%の光透過率を有していた。以下の表1に示す条件を用いて、縦方向延伸機でフィルムを延伸した。
【0049】
【表1】


1.6の延伸比で得られたフィルムは、0.0055インチ(約140μm)の公称厚さ、約35%のヘイズ及び約90.3%の光透過率を有していた。(延伸方向に平行な方向で測定される)線膨張率を、−10〜100℃の温度範囲で熱機械分析装置(TMA)を用いて測定し、20〜60℃の間のTMA曲線に対する直線フィットの勾配を用いて計算したところ、18.7×10−6cm/cm/℃であることが判明した。これに対して、押出方向で測定した未延伸フィルムの線膨張率は約70×10−6cm/cm/℃であることが判明した。
【0050】
得られたフィルムを市販の液晶ディスプレイ(LG Phillips社製のモデルLP121X01(A2))で既存のトップディフューザーフィルムの代わりに配設して、トップディフューザーとしての使用適性を評価した。Eldim EZ Contrast 160D測定器を用いて、(液晶パネルを取り除いた状態で)視角0度(即ち、軸上)での輝度を測定したところ、米国特許出願第10/787158号に記載されているようなGE Structured Products社製の市販トップディフューザーDL4248−112を使用して得られる値の100.3%であると判明した。換言すれば、輝度はDL4248−112で測定される値の90%以上であった。さらに、このフィルムを、PETフィルムに光拡散性を付与するために光拡散粒子で被覆したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムと比較した。さらに詳しくは、このフィルムを(株)ツジデンから市販のD117トップディフューザーと比較した。輝度は、(株)ツジデン製の市販トップディフューザーD117を使用したときに得られる値の99.5%であると判明した。
【0051】
別の試験では、表面うねりの程度を測定した。この実施例では、1.8の延伸比で得られたフィルムは、0.005インチ(約127ミクロン)の公称厚さ、約43%のヘイズ、及び約91%の光透過率を有していた。以下の方法を用いて表面うねりの程度を測定した。市販の15インチ(約38cm)ノートブックPCバックライトモジュール(Coretronic Industries社(台湾)製のモデルAD1511)から既存のトップディフューザーフィルムを取り除き、表面うねりを測定すべきフィルムと交換した。フィルムは、延伸方向がCCFLの長軸と平行になるように配置した。モジュールのCCFLを点灯し、系を10分間平衡させた。1/100インチ目盛の定規を用いて、トップディフューザーの最も高い波の最高部分の高さを、波の最高点の直下にあるBEFフィルム上の点の基線から測定した。
【0052】
その性能を、米国特許出願第10/787158号に記載されているようなGE Structured Products社から市販の市販トップディフューザーDL4248−112(厚さ0.005インチ(約127μm))の性能と比較した。DL4248−112が示す最大の波の高さを測定したところ、0.04インチ(約1mm)であったのに対し、延伸フィルムは0.00インチの波高さを有していた(即ち、波は認められなかった)。
【0053】
別の試験では、フィルムの外観/品質(例えば、美的品質)を以下のようにして評価した。上述の方法によって延伸比1.8で製造した光拡散フィルムのロールから、各々17インチ(約43cm)バックライトモジュールでの使用に適した16枚の隣接試料をカットした。次いで、暗室にしたクラス10000クリーンルーム環境において各試料を蛍光灯下で目視検査して評価した。かくして、全部で約2235平方インチ(約14418cm)を検査した。試料が(欠陥の大径(最大長さ)と欠陥の小径(最大長さに垂直な長さ)との平均として測定して)0.2mm以下の平均欠陥サイズを有していれば「OK」(即ち、合格)の評価を与え、そうでなければ「NG」(即ち、不合格)の評価を与えた。欠陥の例としては、特に限定されないが、擦過傷、きず、へこみきず、くぼみ、黒色斑点、褐色斑点、及びテクスチャーの不整合が挙げられる。欠陥のサイズは、アイルーペ(50ミクロンごとに印を付けた長さ測定用目盛を末端に取り付けたハンドヘルド拡大装置)を用いて決定した。上記の検査に基づいて、以下のようにして歩留りを計算した。3mm以上の長さを有する擦過傷をもったフィルムにも、すべて「NG」の評価を与えた。歩留り(%)は、「OK」試料の数を試料の総数で除して、100を乗じた値に等しい。この試験では、3枚のフィルムが不合格となり、歩留りは81%であった。換言すれば、2235平方インチ(約14418cm)の総観察面積で、各々14インチ(約35cm)×10インチ(約26cm)の寸法を有する13枚以上の試料を、上述のような欠陥及び擦過傷のない状態で得ることができる。
【0054】
上述の方法で製造した光拡散フィルムを試験することによって、高温及び高相対湿度条件での耐久性を評価した。一連の試験では、表1に示す作業条件及び1.5の延伸比を用いて、140μmの公称厚さを有するフィルムを製造した。フィルムの線膨張率を測定したところ、(延伸方向に平行な方向で測定して)39.4×10−6cm/cm/℃であった。光拡散フィルムを、15インチ(約38cm)バックライトモジュールでの使用に適した幾つかの長方形の試験片に切断した。2枚のかかる切断フィルムの各々を、フィルムよりも大きな幅と長さのガラス板上に配置した。1/100インチの目盛を有する定規を用いて、ガラス板に対するフィルムのいずれかの縁端の底面の最大高さ(即ち、平面度のずれ)を測定したところ、0.00インチであった。次いで、各フィルムを3つの縁端(2つの短い縁端及び1つの長い縁端)でガラス板にテープ留めした。これらの一方(セットA)を、温度65℃及び相対湿度95%に維持したチャンバー内に500時間配置した。他方(セットB)には、温度を85℃と−35℃との間で循環させたチャンバー(空気中の湿分は最小であって、例えば、相対湿度60%以下であった)内に置いて熱サイクル試験を行った。この場合、温度は各極端に1時間保ち、次いで20℃/分の速度で他の極端に変化させた。かかるサイクルを100回繰り返した。
【0055】
各試験の完了後、セットをチャンバーから取り出し、相対湿度22℃及び50%で14日間放置した。フィルムの縁端からテープを取り除き、いずれかの縁端における平面度の最大ずれを測定した。各セットに関し、この値は0.02インチ(約0.05cm)であると判明した。さらに、延伸方法でのセットBのフィルムの線膨張率を試験後に測定したところ、33×10−6cm/cm/℃であることが判明した。
【0056】
換言すれば、本明細書に開示した延伸光拡散フィルムは、ガラス板上に配置したときに縁端で測定して0.1インチ(約0.3cm)以下、さらに具体的には0.05インチ(約0.1cm)以下、さらに一段と具体的には0.02インチ(約0.05cm)以下の最大平面度ずれしか示さない。延伸光拡散フィルムは、上述のような高温高湿試験又は熱サイクル試験後に測定したときに、0.1インチ(約0.3cm)以下、さらに具体的には0.05インチ(約0.1cm)以下、さらに一段と具体的には0.03インチ(約0.08cm)以下の最大平面度ずれしか示さない。さらに、(延伸方法で測定した)延伸光拡散フィルムの線膨張率は、上述のような高温高湿試験又は熱サイクル試験後にも5×10−6cm/cm/℃以下しか増加しない。さらに、延伸光拡散フィルムは0.2mm以下の平均欠陥サイズを有する。この場合、平均欠陥サイズは欠陥の大径と欠陥の小径との数値平均である。
【0057】
有利なことには、本明細書に開示した方法で延伸した、ポリカーボネートを含む光拡散フィルムを使用すれば、バックライト型ディスプレイデバイスで使用される光源からの熱に暴露されたときにフィルムの表面うねりを生じない光拡散フィルムを製造できる。このような表面うねりはディスプレイデバイスを使用不可能にしかねないので、表面うねりの低減又は排除は望ましい。
【0058】
さらに、本明細書で開示した光拡散フィルムはポリカーボネートを含む。ポリカーボネートは、非晶質ポリエチレンテレフタレート(PET)の熱変形温度(HDT)が約70℃であるのに対して、約135℃の熱変形温度(HDT)を有する。HDTは、材料が曲がり又はたわみ始める温度である。したがって、他のすべてが同じであれば、ポリカーボネートは光拡散フィルムとして慣用されてきたPETに比べて構造的に安定な材料である傾向が高いであろう。
【0059】
以上、幾つかの実施形態に関して本発明を説明してきたが、本発明の技術的範囲から逸脱せずに様々な変更及び均等物による構成要素の置換をなし得ることは当業者には自明であろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱せずに特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるため、数多くの修正を行うことができる。したがって、本発明はその最良の実施の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属するあらゆる実施形態を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】光拡散フィルムを含むバックライト型ディスプレイデバイスの斜視図である。
【図2】プリズム面を有する輝度向上フィルムの例示的な一実施形態を示す斜視図である。
【図3】プリズム面を有する輝度向上フィルムの別の例示的な実施形態を示す断面図である。
【図4】光を受光して出射する光を拡散させる光拡散フィルムの例示的な一実施形態を示す断面図及び略図である。
【図5】互いに一定の角度をなして配置された2枚の輝度向上フィルムの例示的な一実施形態を示す斜視図である。
【図6】複数の輝度向上フィルム及び複数の光拡散フィルムを含むバックライト型ディスプレイデバイスの例示的な一実施形態を示す斜視図である。
【図7】光拡散フィルムの延伸方法の例示的な一実施形態を示す略図である。
【符号の説明】
【0061】
100 バックライト型ディスプレイデバイス
102 光源
104 光
106 導光板
108 反射フィルム
112 輝度向上フィルム
116 平坦面
118 プリズム面
120 光拡散フィルム
122 液晶ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学フィルムの製造方法であって、
光学フィルムの総重量を基準にして80重量%以上のポリカーボネートを含む光学フィルムを、該光学フィルムを延伸するのに十分な温度に加熱する段階と、
光学フィルムを延伸する段階とを含み、得られる延伸光学フィルムが延伸方向に平行な方向で測定して50×10−6cm/cm/℃以下の線膨張率を有する、方法。
【請求項2】
線膨張率が35×10−6cm/cm/℃以下である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
線膨張率が約17×10−6〜約35×10−6cm/cm/℃である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
光学フィルムを延伸するのに十分な温度が光学フィルムのガラス転移温度の±約28℃の温度である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
光学フィルムを延伸するのに十分な温度が光学フィルムのガラス転移温度の±約14℃の温度である、請求項1記載の方法。
【請求項6】
光学フィルムの表面が0.5μm以上の平均表面粗さ(Ra)を有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
平均表面粗さが1.0μm以上である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
平均表面粗さが1.5μm以上である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
光学フィルムの延伸段階が、第一の表面速度を有する第一の組のローラー間に光学フィルムを通すとともに、第二の表面速度を有する第二の組のローラー間にフィルムを通すことを含み、フィルムの延伸比が約1.1〜約3である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
延伸比が約1.4〜約2である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
さらに、第一の組のローラーの第一の動作温度及び第二の組のローラーの第二の動作温度よりも低いアニールローラー温度を有する1組のアニールローラー間にフィルムを通すことを含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
1組のアニールローラーが約93〜約127℃の温度で動作する、請求項11記載の方法。
【請求項13】
さらに、アニールローラー温度よりも低い冷却ローラー温度を有する1組の冷却ローラー間にフィルムを通すことを含む、請求項11記載の方法。
【請求項14】
1組の冷却ローラーが約21〜約38℃の温度で動作する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
延伸光学フィルムが約0.025〜約0.5mmの厚さを有する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
厚さが約0.1〜約0.25mmである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
延伸光学フィルムが、光学フィルムの縁端で測定して0.3cm以下の最大平面度偏差を有する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
最大平面度偏差が0.1cm以下である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
温度65℃及び相対湿度95%に維持した環境に延伸光学フィルムを500時間置く試験後に、延伸光学フィルムの線膨張率が5×10−6cm/cm/℃以下しか増加しない、請求項1記載の方法。
【請求項20】
各サイクルが、環境を第一の温度に1時間維持し、環境を20℃/分の速度で第一の温度から第二の温度に変化させ、環境を第二の温度に1時間維持することからなり、第一の温度及び第二の温度がそれぞれ−35℃又は85℃であり、第一の温度が第二の温度とは異なる100サイクルの試験後に、延伸光学フィルムの線膨張率が5×10−6cm/cm/℃以下しか増加しない、請求項1記載の方法。
【請求項21】
バックライト型ディスプレイデバイスの光源からの熱に暴露したときに、延伸光学フィルムが観察可能な表面うねりをもたない、請求項1記載の方法。
【請求項22】
延伸光学フィルムが光拡散フィルムである、請求項1記載の方法。
【請求項23】
光学フィルムがさらに、光学フィルムに帯電防止性を付与するのに十分な量の帯電防止剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項24】
帯電防止剤がフッ素化ホスホニウムスルホネートである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
17インチ液晶ディスプレイデバイスでの使用に十分なサイズに切断したときに、延伸光学フィルムが0.2mm以下の平均欠陥サイズ(ただし、平均欠陥サイズは欠陥の大径と欠陥の小径との数値平均である。)しかもたない、請求項1記載の方法。
【請求項26】
約14418cmの観察面積を定義し、観察面積から各々35cm×26cmの寸法の16枚の等寸法試料をカットし、13枚以上の試料が0.2mm以下の平均欠陥サイズ(ただし、平均欠陥サイズは欠陥の大径と欠陥の小径との数値平均である。)を有していれば合格とすることからなる外観試験において、延伸光学フィルムが外観試験に合格できる、請求項1記載の方法。
【請求項27】
液晶ディスプレイデバイスであって、
光源と、
光源と光学的に連絡した導光板と、
導光板と光学的に連絡した、ポリカーボネートを含む光学フィルムであって、光学フィルムの延伸方向に平行な方向で測定して50×10−6cm/cm/℃以下の線膨張率を有する光学フィルムと
を備える液晶ディスプレイデバイス。
【請求項28】
線膨張率が35×10−6cm/cm/℃以下である、請求項27記載の液晶ディスプレイデバイス。
【請求項29】
線膨張率が約17×10−6〜約35×10−6cm/cm/℃である、請求項28記載の液晶ディスプレイデバイス。
【請求項30】
光学フィルムが約0.025〜約0.5mmの厚さを有する、請求項27記載の液晶ディスプレイデバイス。
【請求項31】
厚さが約0.1〜約0.25mmである、請求項30記載の液晶ディスプレイデバイス。
【請求項32】
光学フィルムが光拡散フィルムである、請求項27記載の液晶ディスプレイデバイス。
【請求項33】
当該液晶ディスプレイがバックライト型ディスプレイデバイスである、請求項27記載の液晶ディスプレイデバイス。
【請求項34】
光学フィルムの表面が0.5μm以上の平均表面粗さ(Ra)を有する、請求項27記載の液晶ディスプレイデバイス。
【請求項35】
光学フィルムであって、光学フィルムの総重量を基準にして80重量%以上のポリカーボネートを含むとともに、光学フィルムの延伸方向に平行な方向で測定して50×10−6cm/cm/℃以下の線膨張率を有する光学フィルム。
【請求項36】
線膨張率が35×10−6cm/cm/℃以下である、請求項35記載の光学フィルム。
【請求項37】
線膨張率が約17×10−6〜約35×10−6cm/cm/℃である、請求項36記載の光学フィルム。
【請求項38】
光学フィルムが光拡散フィルムである、請求項35記載の光学フィルム。
【請求項39】
光学フィルムの表面が0.5μm以上の平均表面粗さ(Ra)を有する、請求項35記載の光学フィルム。
【請求項40】
光拡散フィルムの製造方法であって、
光拡散フィルムの総重量を基準にして80重量%以上のポリカーボネート及び光拡散フィルムに帯電防止性を付与するのに十分な量の帯電防止剤を含む光拡散フィルムを、該光拡散フィルムを延伸するのに十分な温度に加熱する段階と、
光拡散フィルムを延伸する段階とを含み、得られる延伸光拡散フィルムが延伸方向に平行な方向で測定して50×10−6cm/cm/℃以下の線膨張率を有する、方法。
【請求項41】
線膨張率が35×10−6cm/cm/℃以下である、請求項40記載の光拡散フィルム。
【請求項42】
線膨張率が約17×10−6〜約35×10−6cm/cm/℃である、請求項41記載の光拡散フィルム。
【請求項43】
光拡散フィルムの表面が0.5μm以上の平均表面粗さ(Ra)を有する、請求項40記載の光拡散フィルム。
【請求項44】
延伸光拡散フィルムが約0.025〜約0.5mmの厚さを有する、請求項40記載の光拡散フィルム。
【請求項45】
厚さが約0.1〜約0.25mmである、請求項44記載の光拡散フィルム。
【請求項46】
当該光拡散フィルムが単一フィルムである、請求項40記載の光拡散フィルム。
【請求項47】
単一フィルム上にコーティング材料が配設されていない、請求項44記載の光拡散フィルム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−500580(P2008−500580A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515115(P2007−515115)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/015563
【国際公開番号】WO2005/116701
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】