説明

光学フィルムの巻重体及びその製造方法

【課題】巻きずれを抑制でき、更に巻き締まりによる皺の発生を抑制できる光学フィルムの巻重体を提供する。
【解決手段】長尺状の光学フィルム1Aがロール状に巻かれている光学フィルムの巻重体1である。光学フィルムの巻重体1では、光学フィルム1Aの表面がナーリング加工されており、ナーリング高さが2μm以上、50μm以下である。光学フィルム1Aは、ナーリング高さが3μm以上、30μm以下異なる2つの部分を有する。光学フィルムの巻重体1では、該2つの部分のうち、ナーリング高さが高い部分が光学フィルム1Aの内周部分に位置し、ナーリング高さが低い部分が上記内周部分よりも外側の光学フィルム1Aの外周部分に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶表示装置の表示品位を高めるために用いられる光学フィルムを含む巻重体に関し、長尺状の光学フィルムがロール状に巻かれており、光学フィルムの表面がナーリング加工されている光学フィルムの巻重体、並びに該光学フィルムの巻重体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)では、ディスプレイの画像品位を高めるために、多様な機能を有する光学フィルムが用いられる。例えば、液晶の複屈折に由来する光学歪みを補償したり、視野角依存性を解消したりするために、位相差フィルムなどの光学フィルムが用いられている。
【0003】
上記位相差フィルムは、例えば、所定の位相差を発現するために、溶融押出法により押し出された長尺状の原反フィルムを延伸することにより作製されている。延伸の後に、長尺状の位相差フィルムは、巻芯にロール状に巻き取られ、巻重体として保管又は搬送されている。
【0004】
位相差フィルムを巻き取る際に、位相差フィルムの材質などに起因して位相差フィルムの表面の滑り性が高い場合には、巻きずれ及び巻き緩みが生じるという問題がある。また、内層と外層との層間に空気が多く巻き込まれ、空気層が多く形成されることによっても、巻きずれ及び巻き緩みが生じるという問題がある。
【0005】
一方で、位相差フィルムの表面の滑り性が低かったり、内層と外層との層間に空気層がほとんど形成されない場合には、内層と外層とが密着してブロッキングが発生したり、位相差フィルムの厚みむらに起因してゲージバンドが発生したり、内層と外層とが擦れて傷が生じたりするという問題がある。
【0006】
また、ロール状に巻かれた位相差フィルムの巻重体が保管された場合には、外温などの影響により、位相差フィルムがわずかに膨張又は収縮したり、位相差フィルムが座屈したりする。このため、巻重体の内周部分において、巻き締まりにより皺が生じることがある。特に、巻重体の表層近傍の外周部分よりも内周部分の方が内部応力が高くなるために座屈しやすくなる。このため、皺の程度も巻重体の内側に近づくほど大きくなる傾向がある。
【0007】
上記のような問題点を改善するために、従来、位相差フィルムにプロテクトフィルムを貼り合わせて、プロテクトフィルムが貼り合わされた位相差フィルムを巻き取り、巻重体を得る方法が広く用いられている。しかしながら、この場合、プロテクトフィルムを用いるため、コストが高くなる。さらに、プロテクトフィルムの使用により、ブロッキング力の発生を抑制できるものの、巻きずれ、巻き緩み、ゲージバンド、及び巻き締まりなどの発生を充分に抑制することは困難である。
【0008】
また、フィルムの幅方向の両端部の表面を、ナーリング加工する方法も知られている。ナーリング加工は、ローレット加工又はエンボス加工とも呼ばれている。
【0009】
下記の特許文献1には、フィルムの幅方向の両端部の表面がナーリング加工されて、両端にナーリング部が設けられているフィルムの巻重体が開示されている。ここでは、フィルムの幅方向の厚み差がナーリング部を除いて5μm以下であり、ナーリング部の厚みが3〜15μmであるように、巻重体が作製されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−211803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ナーリング高さが高すぎると、内層と外層との間に空気が多く巻きこまれて、巻きずれ及び巻き緩みが生じやすくなる。ナーリング高さが低すぎると、内層と外層との間に空気層がほとんど形成されずに、内層と外層とが密着してブロッキングが発生したり、位相差フィルムの厚みむらに起因してゲージバンドが発生したり、内層と外層とが擦れて傷が発生したりする。
【0012】
従って、ナーリング高さを最適な高さに調整する必要がある。しかしながら、特許文献1に記載のように、フィルムの幅方向の両端部の表面をナーリング加工しただけでは、たとえナーリング高さを最適な高さに調整したとしても、巻きずれの発生、並びに巻き締まりによる皺の発生の双方を充分に抑制することは困難である。
【0013】
本発明の目的は、長尺状の光学フィルムがロール状に巻かれており、光学フィルムの表面がナーリング加工されている光学フィルムの巻重体であって、巻きずれを抑制でき、更に巻き締まりによる皺の発生を抑制できる光学フィルムの巻重体、及び該光学フィルムの巻重体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の広い局面によれば、長尺状の光学フィルムがロール状に巻かれている光学フィルムの巻重体であって、光学フィルムの表面がナーリング加工されており、ナーリング高さが2μm以上、50μm以下であり、光学フィルムは、ナーリング高さが3μm以上、30μm以下異なる2つの部分を有し、かつ該2つの部分のうち、ナーリング高さが高い部分が光学フィルムの内周部分に位置し、ナーリング高さが低い部分が上記内周部分よりも外側の光学フィルムの外周部分に位置する、光学フィルムの巻重体が提供される。
【0015】
本発明に係る光学フィルムの巻重体のある特定の局面では、光学フィルムの巻き始め部分のナーリング高さが、光学フィルムの巻き終わり部分のナーリング高さよりも3μm以上、30μm以下高い。
【0016】
本発明に係る光学フィルムの巻重体の他の特定の局面では、光学フィルムの巻き始め部分からの巻き終わり部分にかけて、ナーリング高さが連続的に又は段階的に低くなるように、光学フィルムの表面がナーリング加工されている。
【0017】
また、本発明の広い局面によれば、長尺状の光学フィルムがロール状に巻かれている光学フィルムの巻重体の製造方法であって、長尺状の光学フィルムの表面を、ナーリング高さが2μm以上、50μm以下であるようにナーリング加工する工程と、ナーリング加工された長尺状の光学フィルムをロール状に巻く工程とを備え、上記ナーリング加工する工程において、ナーリング高さが3μm以上、30μm以下異なる2つの部分を有するように、かつロール状に巻かれたときに、上記2つの部分のうち、ナーリング高さが高い部分が光学フィルムの内周部分に位置し、ナーリング高さが低い部分が上記内周部分よりも外側の光学フィルムの外周部分に位置するように、光学フィルムの表面をナーリング加工する、光学フィルムの巻重体の製造方法が提供される。
【0018】
本発明に係る光学フィルムの巻重体の製造方法のある特定の局面では、上記ナーリング加工する工程において、ロール状に巻かれたときに、光学フィルムの巻き始め部分のナーリング高さが、光学フィルムの巻き終わり部分のナーリング高さよりも3μm以上、30μm以下高くなるように、光学フィルムの表面がナーリング加工される。
【0019】
本発明に係る光学フィルムの巻重体の製造方法の他の特定の局面では、上記ナーリング加工する工程において、ロール状に巻かれたときに、光学フィルムの巻き始め部分からの巻き終わり部分にかけて、ナーリング高さが連続的に又は段階的に低くなるように、光学フィルムの表面がナーリング加工される。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る光学フィルムの巻重体では、ナーリング高さが2μm以上、50μm以下であり、光学フィルムはナーリング高さが3μm以上、30μm以下異なる2つの部分を有し、かつ該2つの部分のうち、ナーリング高さが相対的に高い部分が光学フィルムの内周部分に位置し、ナーリング高さが相対的に低い部分が上記内周部分よりも外側の光学フィルムの外周部分に位置するので、巻きずれを抑制でき、更に巻き締まりによる皺の発生を抑制できる。
【0021】
本発明に係る光学フィルムの巻重体の製造方法では、長尺状の光学フィルムの表面を、ナーリング高さが2μm以上、50μm以下であるように、光学フィルムの表面をナーリング加工する工程と、ナーリング加工された長尺状の光学フィルムをロール状に巻く工程とが備えられており、上記ナーリング加工する工程において、ナーリング高さが3μm以上、30μm以下異なる2つの部分を有するように、かつロール状に巻かれたときに、上記2つの部分のうち、ナーリング高さが高い部分が光学フィルムの内周部分に位置し、ナーリング高さが低い部分が上記内周部分よりも外側の光学フィルムの外周部分に位置するように、光学フィルムの表面をナーリング加工するので、巻きずれが抑制されており、かつ巻き締まりによる皺の発生が抑制されている光学フィルムの巻重体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る光学フィルムの巻重体を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す巻重体における光学フィルムを展開したときの光学フィルムを示す部分切欠平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0024】
図1に、本発明の一実施形態に係る光学フィルムの巻重体を模式的に斜視図で示す。
【0025】
図1に示す巻重体1は、長尺状の光学フィルム1Aがロール状に巻かれて構成されている。光学フィルム1Aをロール状に巻くために、巻芯2が用いられている。巻芯2に光学フィルム1Aは、長さ方向の一端1aから他端1bにかけてロール状に巻かれている。巻芯2に光学フィルム1Aが巻かれていることによって、巻重体1が巻芯2を取り囲んでいる。
【0026】
光学フィルム1Aの少なくとも一方の表面は、ナーリング加工されている。光学フィルム1Aの両側の表面が、ナーリング加工されていてもよい。光学フィルム1Aの表面の全領域がナーリング加工されていてもよく、一部の領域がナーリング加工されていてもよい。光学フィルム1Aの表面の一部の領域がナーリング加工されていることが好ましく、光学フィルム1Aの表面の両端部がナーリング加工されていることが好ましい。光学フィルム1Aは、ナーリング加工された表面に微細な凹凸を有する。なお、図1では、ナーリング加工された表面の微細な凹凸の図示は省略している。
【0027】
図2に、図1に示す光学フィルムの巻重体1を展開したときの光学フィルム1Aの部分切欠平面図を示す。
【0028】
光学フィルム1Aは、長さ方向の両端のうち、一端1aから巻芯に巻かれる。従って、一端1aとは反対側の他端1bは巻重体1において外側の表面に位置する。一端1aは巻き始め部分である。他端1bは、巻き終わり部分である。光学フィルム1Aの幅方向の一端1c部分と一端1cとは反対側の他端1d部分との表面が、ナーリング加工されている。すなわち、光学フィルム1Aの幅方向の両端部分の表面が、ナーリング加工されている。図2のハッチングを付して示す領域Aは、光学フィルム1Aの幅方向の両端部分である。該領域Aの光学フィルム1Aの表面が、ナーリング加工されている。光学フィルムの幅方向の中央の領域Bは、ナーリング加工されていない。本実施形態では、一端1aのナーリング高さが、他端1bのナーリング高さよりも3μm以上、30μm以下高い。ただし、巻重体1において、ナーリング高さが3μm以上、30μm以下異なる2つの部分を有し、かつ該2つの部分のうち、ナーリング高さが高い部分が光学フィルムの内周部分に位置し、ナーリング高さが低い部分が上記内周部分よりも外側の光学フィルムの外周部分に位置すれば、ナーリング高さが異なる2つの部分は巻き始め部分と巻き終わり部分とでなくてもよい。
【0029】
上記ナーリング加工とは、微小な凹凸型付けによる厚み出し加工のことをいう。上記ナーリング加工は、ローレット加工又はエンボス加工と呼ばれることもある。
【0030】
上記ナーリング加工の形態としては、光学フィルムの一方の表面に凸部(突起)を設けて、かつ他方の表面の凸部(突起)に対応する位置に凹部(凹陥)を設ける形態、光学フィルムの一方の表面に凸部(突起)と凹部(凹陥)とを設けて、かつ他方の表面を平滑にする形態、並びに光学フィルムの両面に、凸部(突起)と凹部(凹陥)とを設ける形態等が挙げられる。
【0031】
通常、上記のようなナーリング加工は、光学フィルムの表面の幅方向の両端部分に施される。幅方向の両端部分において、光学フィルムの表面がナーリング加工されていることが好ましい。幅方向の両端部分において帯状に、光学フィルムの表面がナーリング加工されていることが好ましい。光学フィルムの幅方向の両端部分の表面がナーリング加工されている場合には、ナーリング加工された両端部分の幅方向の各寸法(各ナーリング加工部の幅方向寸法、図2のハッチングを付して示す領域Aの幅方向寸法)は、位相差フィルムの幅方向寸法の0.5〜5%であることが好ましい。ナーリング加工された幅方向の両端部分の幅方向寸法の合計は、位相差フィルムの幅方向寸法の1.0〜10%であることが好ましい。また、ナーリング加工により形成される凸部(突起)と凹部(凹陥)との合計の個数は、1cmあたり10〜100個であることが好ましい。
【0032】
ナーリング加工により形成される凸部(突起)及び凹部(凹陥)の形状としては、台形、円錐台形、角柱台形、円柱、角柱、円錐及び角錐等が挙げられる。凸部(突起)及び凹部(凹陥)の形状は、不定形であってもよい。これらの2種以上の形状が混在していてもよい。
【0033】
光学フィルムのナーリング高さは、ナーリング高さが2μm以上、50μm以下である。光学フィルムの表面をナーリング加工する際に、ナーリング高さを2μm以上、50μm以下に調整する。ナーリング高さとは、光学フィルムのナーリング加工された領域の厚みから、ナーリング加工されていない領域の厚みを差し引いた値である。また、2μm以上、50μm以下であるナーリング高さは、ナーリング高さの平均値である。ナーリング高さが低すぎると、光学フィルムの巻き取りによる外観不良を十分に抑制できない。ナーリング高さが高すぎると、巻きずれが生じやすくなり、かつナーリング加工時又は加工後に光学フィルムが破断しやすくなる。なお、ナーリング加工されていない部分に厚み較差がある場合は、ナーリングされていない部分の平均厚みから、ナーリング高さが算出される。その際、ナーリング高さが該較差よりも大きいことが望ましい。
【0034】
ナーリング加工は、光学フィルムをナーリングロールに接触させることにより行われることが望ましい。ナーリング高さは、ナーリングロールの押し圧によって調整することが望ましい。ただし、押し圧以外の方法でナーリング高さを調整してもよい。ナーリングロール押し圧は、エアシリンダー等を装備したナーリングロールにおいてエアー量を調整して、設定されることが望ましい。ただし、該エアー量の調整以外の方法で、押し圧を設定してもよい。
【0035】
得られる光学フィルムの巻重体は、ナーリング高さが3μm以上、30μm以下異なる2つの部分を有し、かつ該2つの部分のうち、ナーリング高さが高い部分が光学フィルムの内周部分に位置し、ナーリング高さが低い部分が光学フィルムの上記内周部分よりも外側の光学フィルムの外周部分に位置する。すなわち、光学フィルムの長さ方向に異なる2つの部分である内周部分と該内周部分よりも外側の外周部分とにおいて、光学フィルムの内周部分のナーリング高さが光学フィルムの外周部分のナーリング高さよりも3μm以上、30μm以下高い。このようなナーリング高さを満たすように、光学フィルムの表面をナーリング加工する。
【0036】
巻重体では内周部分において内部応力が発生し、光学フィルムの表面に対して法線方向に応力が発生する。このため、巻重体の外周部分と比較して、内周部分の方が、ナーリングの効果が薄れてしまう傾向がある。特に、巻重体の巻き終わり部分を含む表層部分と比較して、内周部分の方がナーリングの効果がより一層薄れ、巻重体の外周部分と比較して、巻き始め部分の方がナーリングの効果がより一層薄れ、巻重体の巻き終わり部分を含む表層部分と比較して、巻き始め部分の方がナーリングの効果がより一層薄れる傾向がある。これを未然に防止するために、光学フィルムの長さ方向においてナーリング高さが異なる2つの部分を設けて、ナーリング高さが高い部分が光学フィルムの内周部分に位置し、ナーリング高さが低い部分が光学フィルムの上記内周部分よりも外側の光学フィルムの外周部分に位置するように巻重体を作製する。また、ナーリング高さが異なる2つの部分のナーリング高さの差を3μm以上、30μm以下とする。これによって、本発明者は、巻重体の巻きずれを抑制でき、更に巻き締まりによる皺の発生を抑制できることを見出した。
【0037】
ナーリング高さが異なる2つの部分のナーリング高さの差が3μm未満であると、内周部分において十分なナーリング高さが確保できず、内周部分において内部応力が発生し、巻き締まりが発生する。ナーリング高さが異なる2つの部分とのナーリング高さの差が30μmよりも大きいと、表層に近づくほど内層と外層との間に空気層が多く存在するために、外周部分において巻きずれが生じたり、また外周部分にナーリング加工を施す際の押し圧が高くなるため、ナーリング加工された光学フィルムの外周部分が破断するおそれがある。
【0038】
巻重体の巻きずれをより一層抑制し、更に巻き締まりによる皺の発生をより一層抑制する観点からは、光学フィルムの巻き始め部分のナーリング高さが、光学フィルムの巻き終わり部分のナーリング高さよりも3μm以上、30μm以下高いことが好ましい。ナーリング高さが異なる内周部分と外周部分とに関して、上記内周部分は、巻き始め部分であって、かつ上記外周部分が巻き終わり部分であることが好ましい。
【0039】
巻重体の巻きずれをより一層抑制し、更に巻き締まりによる皺の発生をより一層抑制する観点からは、巻重体は、内周部分の光学フィルムのナーリング高さが、該内周部分の光学フィルムに接するように積層されている外周部分の光学フィルムのナーリング高さよりも高い領域を有することが好ましい。巻重体の巻きずれをより一層抑制し、更に巻き締まりによる皺の発生をより一層抑制する観点からは、巻重体では、光学フィルムの巻き始め部分からの巻き終わり部分にかけて、ナーリング高さが連続的に又は段階的に低くなる部分を有するように、光学フィルムの表面がナーリング加工されていることが好ましい。光学フィルムの巻き始め部分からの巻き終わり部分にかけて、ナーリング高さが連続的に又は段階的に低くなるように、光学フィルムの表面がナーリング加工されていることがより好ましい。すなわち、内周部分から外周部分にかけて又は巻き始め部分から巻き終わり部分にかけてのナーリング高さの勾配はフラットに設定してもよいし、二次などの曲線形状に設定してもよい。また、巻き締まり対策などのために、フィルムの巻取り張力にテーパーテンションなどをつけている場合は、そのテーパーテンションの勾配に合わせて、ナーリング高さを設定することが有効である。
【0040】
上記のようにして表面がナーリング加工された光学フィルムを、巻芯に巻き取ることにより、巻重体を得ることができる。コロナ処理又はプラズマ処理等の適宜の表面処理が施された光学フィルムを用いる場合などは、ブロッキング性が高くなるために、巻き取る前に光学フィルムにプロテクトフィルムを貼り合わせてもよい。光学フィルムはプロテクトフィルムに貼り合わされた状態で、ロール状に巻かれていてもよい。ブロッキング性が低い光学フィルムを用いる場合には、光学フィルムにプロテクトフィルムを貼り合わせなくてもよい。
【0041】
得られる巻重体では、巻きずれが抑制され、巻き締まりによる皺の発生が抑制される。また、光学フィルムは所定のナーリング高さを有するので、巻き取っても、ブロッキング、巻き緩み、ゲージバンド、傷、及びナーリング加工された部分の破断等も生じ難く、巻き取り外観不良を防止することができる。
【0042】
以下、光学フィルムの材料、光学フィルム、及び光学フィルムの用途等の詳細を説明する。
【0043】
(光学フィルムの材料)
光学フィルムの材料は特に限定されない。光学フィルムの材料として、一般的に光学フィルムに用いられている材料を適宜用いることができる。光学フィルムの材料は、熱可塑性樹脂であることが好ましく、非晶性熱可塑性樹脂であることがより好ましい。光学フィルムの材料は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
上記非晶性熱可塑性樹脂の透明性は、高いことが好ましい。透明性が高い上記非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリカーボネート系、ポリスルホン系、ポリエーテルスルホン系、ポリスチレン系、環状オレフィン系、ポリビニルアルコール系、酢酸セルロース系、ポリ塩化ビニル系、ポリ(メタ)アクリル系、ポリアリレート系又はポリアミド系などの高分子が挙げられる。ポリ(メタ)アクリル系高分子としては、ポリメチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。非晶性熱可塑性樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0045】
上記非晶性熱可塑性樹脂は、環状オレフィン系高分子であることが好ましく、ノルボルネン系樹脂であることがより好ましい。ノルボルネン系樹脂は、光弾性係数が小さく、外部応力に対するレターデーション安定性に優れている。
【0046】
上記ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環(共)重合体、ノルボルネン系モノマーとオレフィン系モノマーとの付加共重合体、ノルボルネン系モノマー同士の付加(共)重合体及びこれらの誘導体等が挙げられる。ノルボルネン系樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0047】
開環を伴う(共)重合体では、必然的に、不飽和結合が残留することがある。さらに、付加(共)重合体であっても、モノマーの種類によっては不飽和結合が残留することがある。熱履歴による酸化劣化の抑制又は紫外線等による着変色の抑制などの耐久性を重視する観点からは、不飽和二重結合の量を少なくするために、上記ノルボルネン系樹脂は、水素添加により飽和されていることが好ましい。
【0048】
光学フィルムの機能を阻害しない範囲において、フィルム成形中における熱可塑性樹脂の劣化防止並びに光学フィルムの耐熱性、耐紫外線性及び平滑性等を向上させるために、上記熱可塑性樹脂に各種の添加剤が添加されてもよい。該添加剤としては、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤及び帯電防止剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0049】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。上記熱劣化防止剤としては、ラクトン系熱劣化防止剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びアクリロニトリル系紫外線吸収剤等が挙げられる。上記滑剤としては、脂肪族アルコールのエステル系滑剤、多価アルコールの部分エステル系滑剤及び部分エーテル系滑剤等が挙げられる。上記帯電防止剤としては、アミン系帯電防止剤等が挙げられる。
【0050】
(光学フィルム)
熱可塑性樹脂などの光学フィルムの材料を用いて、実質的に延伸されてない延伸前フィルム(原反フィルム)を得る方法としては、従来から汎用されている方法を用いることができる。延伸前フィルムは、実質的に無延伸のフィルムである。
【0051】
延伸前フィルムを得る方法としては、具体的には、熱可塑性樹脂などの光学フィルムの材料を溶解した溶液を適宜の担持体上に流延した後、溶剤を乾燥により除去し、更に担持体から剥離してフィルムを得る溶液キャスト法、並びに光学フィルムの材料を押出機に供給して溶融、混練し、押出機の先端に取り付けた金型からフィルム状に押し出してフィルムを得る溶融押出法等が挙げられる。コストが安く、かつ環境負荷が小さいことから、溶融押出法が好ましい。延伸前フィルムは、溶融押出フィルムであることが好ましい。
【0052】
延伸前フィルムとして、溶融押出フィルムが好ましく用いられる。光学フィルムを成膜する際には、先ず押出機から溶融状態の熱可塑性樹脂が押し出され、金型に供給される。金型から半溶融状態の熱可塑性樹脂がフィルム状に吐出され、冷却ロールに接触することで冷却、固化される。このようにして固化された延伸前フィルムは搬送ロールを経て巻き取られる。
【0053】
長尺状の延伸前フィルムを用いて、位相差フィルムなどの光学フィルムを製造するには、延伸前フィルムをそのガラス転移温度(Tg)近傍の温度で延伸することによって、ポリマー分子を所定方向に配向させればよい。
【0054】
所望の位相差及び配向角度を発現させるために、適宜の延伸方法が選択される。例えば、長尺状の延伸前フィルムを延伸する方法として、縦方向に延伸する縦一軸延伸法、横方向に延伸する横一軸延伸法、縦方向に延伸した後に横方向に延伸するか、又は横方向に延伸した後に縦方向に延伸する逐次二軸法、並びに縦方向と横方向とに同時に延伸する同時二軸法等がある。
【0055】
縦延伸法としては、例えば、ロール間ネックイン延伸法及び近接ロール延伸法等を適用できる。レターデーションを制御しやすく、フィルムに傷及び皺等の不良が発生しにくいといった利点があるので、ロール間ネックイン延伸法が望ましい。ロール間ネックイン延伸法とは、フィルム幅に比して十分に長い延伸ゾーンを挟んで位置する二対のニップロールで搬送中のフィルムを挟んで保持するとともに、上流側のニップロールの周速に対して下流側のニップロールの周速を大きくすることによって、所望の延伸倍率を得る方法である。なお、このとき、フィルムの幅方向の両端は拘束されない自由端であり、縦方向の延伸に伴って幅方向にネックイン現象を呈する。
【0056】
横延伸法としては、例えばフィルムの幅方向の両端をテンタークリップ等の任意の把持手段によって把持し、この把持手段を互いに離間する方向に徐々に変位させながら走行させるテンター延伸機を用いることが望ましい。
【0057】
同時二軸法としては、フィルムの幅方向の両端部をテンタークリップ等の任意の把持手段によって把持し、この把持手段を互いに離間する方向に徐々に変位させ、かつ同時にフィルムの長手方向にも把持手段を離間させ徐々に変位させながら走行させるテンター延伸機を用いることが望ましい。
【0058】
所望の位相差フィルムの幅にするために、延伸後のフィルムの幅方向の両端部をスリットして除去することが好ましい。このスリットの前にナーリング加工してもよく、スリットの後にナーリング加工してもよい。
【0059】
(光学フィルの用途)
本発明に係る光学フィルムの巻重体は、所定の大きさに切断された後に、複合偏光板、偏光板及び液晶表示装置において、位相差フィルムとして好適に用いられる。
【0060】
上記複合偏光板は、例えば、位相差フィルムと、該位相差フィルムの一方の面に積層された偏光板とを備える。上記位相差フィルムと上記偏光板とは一体化されていることが好ましい。
【0061】
上記偏光板は、例えば、上記位相差フィルムと、該位相差フィルムの一方の面に積層された接着剤層と、該接着剤層の上記位相差フィルムが積層された面とは反対側の面に積層された偏光子とを備える。上記位相差フィルムと上記偏光子とは、上記接着剤層を介して一体化されていることが好ましい。
【0062】
上記液晶表示装置は、例えば液晶セルを構成している一対の基板と、該一対の基板の少なくとも一方の外表面に、上記複合偏光板又は上記偏光板とを積層することにより得ることができる。この液晶表示装置は、液晶セルを構成している一対の基板と、該一対の基板の少なくとも一方の外表面に積層された上記複合偏光板又は偏光板とを備える。
【0063】
上記位相差フィルムは、液晶表示装置の部品として好適に用いられる。上記位相差フィルムは、単独で用いられてもよく、偏光板と積層されて複合偏光板として用いられてもよい。さらに、位相差フィルムは、偏光板の液晶セル側の保護フィルムのかわりとして、接着剤層を介して偏光子に積層されて偏光板として用いられてもよい。
【0064】
上記位相差フィルムを単独で用いた液晶表示装置を製造する方法としては、液晶セルを構成している一対の基板のそれぞれの外表面に偏光板を配設し、上記液晶セルの基板のうちの少なくとも一方の基板と該基板に対向する偏光板との間に上記位相差フィルムを配置し、更に、液晶セルにおける液晶表示面とは反対側の基板側に配設した偏光板上に、バックライト型又はサイドライト型の公知の照明システムを配設し、駆動回路を組み込む方法等が挙げられる。上記位相差フィルムは、液晶表示面側の基板の外表面に配置されることが好ましい。
【0065】
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。本発明は、以下の実施例に限定されない。
【0066】
(実施例1)
非晶性熱可塑性樹脂である飽和ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア1420」)を用意した。示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、商品名「DSC220C」)によって測定された上記飽和ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、135.5℃であった。
【0067】
上記飽和ノルボルネン系樹脂を一軸押出機に供給して、溶融し、混練し、一軸押出機の先端に取り付けたTダイから溶融押出しして、平均厚み60μm、幅方向寸法1600mmの長尺状の原反フィルムを得た。
【0068】
得られた長尺状の原反フィルムを連続的に巻き出して、テンター延伸機を用いて、延伸温度145℃及び延伸倍率2.5倍で、幅方向(横方向)に一軸延伸した。その後、23℃まで冷却して、長尺状の位相差フィルムを得た。得られた位相差フィルムの厚みは25μm、正面レターデーションRoは141.3nmであった。
【0069】
その後、位相差フィルムの片面に、プロテクトフィルム(厚み30μm、東レフィルム加工社製 商品名「トレテック7332」)を貼り合わせて、幅方向寸法が1300mmとなるように両端部をスリットして除去し、プロテクトフィルムが貼り合わされた位相差フィルムを得た。
【0070】
プロテクトフィルムが貼り合わされた位相差フィルムの表面を、幅方向の各両端部分の20mm幅に対して、冷間機械法により、ナーリング加工した。その際、ナーリングの形態は、片面に突起(あや目ローレットm=0.3)ロールを設け、もう片面に表面が平滑なウレタンゴムロール(硬度80°)を設ける形態とし、位相差フィルムに突起ロールが接するように、プロテクトフィルムにウレタンゴムロールが接するようにして、ナーリング加工をした。このとき、ナーリング高さは、突起ロールの接圧にて調整した。突起ロールの接圧は、エアシリンダー圧により調整した。
【0071】
位相差フィルムの巻き長さ(長さ方向寸法)は3000mとし、6インチのPVCコアに、プロテクトフィルム付き位相差フィルムを巻き付けた。位相差フィルムの巻き始め部分のナーリング高さが20μm、位相差フィルムの巻き終わり部分のナーリング高さが5μmとなるように、巻き始めから巻き終わりまで徐々に突起ロールの接圧を下げてナーリング高さを調整し、3000mの長尺状の位相差フィルムの巻重体を得た。得られた位相差フィルムの巻重体では、位相差フィルムの巻き始め部分からの巻き終わり部分にかけて、ナーリング高さが連続的に次第に低くなるように、光学フィルムの表面がナーリング加工されていた。
【0072】
(実施例2〜3)
位相差フィルムの巻き始め部分のナーリング高さ、及び位相差フィルムの巻き終わり部分のナーリング高さが下記の表1に示す値になるように、巻き始めから巻き終わりまで徐々に突起ロールの接圧を下げてナーリング高さを調整したこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムの巻重体を得た。得られた位相差フィルムの巻重体では、位相差フィルムの巻き始め部分からの巻き終わり部分にかけて、ナーリング高さが連続的に次第に低くなるように、光学フィルムの表面がナーリング加工されていた。
【0073】
(比較例1〜2)
位相差フィルムの巻き始め部分のナーリング高さ、及び位相差フィルムの巻き終わり部分のナーリング高さが下記の表1に示す値で一定になるように、突起ロールの接圧を調整したこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムの巻重体を得た。得られた位相差フィルムの巻重体では、位相差フィルムの巻き始め部分からの巻き終わり部分にかけて、ナーリング高さが均一であるように、光学フィルムの表面がナーリング加工されていた。
【0074】
(比較例3〜4)
位相差フィルムの巻き始め部分のナーリング高さ、及び位相差フィルムの巻き終わり部分のナーリング高さが下記の表1に示す高さになるように、巻き始めから巻き終わりまで徐々にナーリング突起ロールの接圧を上げてナーリング高さを調整したこと以外は実施例1と同様にして、位相差フィルムの巻重体を得た。得られた位相差フィルムの巻重体では、位相差フィルムの巻き始め部分からの巻き終わり部分にかけて、ナーリング高さが連続的に次第に高くなるように、光学フィルムの表面がナーリング加工されていた。
【0075】
(評価)
(1)巻きずれ
金尺を用いて、得られた巻重体の巻きずれの量を計測した。巻きずれの量が5mm以下の場合を「○」、巻きずれの量が5mmを超える場合を「×」として、結果を下記の表1に示した。また、巻きずれの量を下記の表1に示した。
【0076】
(2)巻き締まり
得られた巻重体から位相差フィルムを巻き剥がし、目視にて巻重体の巻き締まりによる皺の有無を確認した。巻き締まりによる皺が確認されなかった場合を「○」、巻き締まりによる皺が確認された場合を「×」として、結果を下記の表1に示した。
【0077】
【表1】

【符号の説明】
【0078】
1…巻重体
1A…光学フィルム
1a…長さ方向の一端(巻き始め部分)
1b…長さ方向の他端(巻き終わり部分)
1c…幅方向の一端
1d…幅方向の他端
2…巻芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の光学フィルムがロール状に巻かれている光学フィルムの巻重体であって、
光学フィルムの表面がナーリング加工されており、ナーリング高さが2μm以上、50μm以下であり、
光学フィルムは、ナーリング高さが3μm以上、30μm以下異なる2つの部分を有し、かつ該2つの部分のうち、ナーリング高さが高い部分が光学フィルムの内周部分に位置し、ナーリング高さが低い部分が前記内周部分よりも外側の光学フィルムの外周部分に位置する、光学フィルムの巻重体。
【請求項2】
光学フィルムの巻き始め部分のナーリング高さが、光学フィルムの巻き終わり部分のナーリング高さよりも3μm以上、30μm以下高い、請求項1に記載の光学フィルムの巻重体。
【請求項3】
光学フィルムの巻き始め部分からの巻き終わり部分にかけて、ナーリング高さが連続的に又は段階的に低くなるように、光学フィルムの表面がナーリング加工されている、請求項1又は2に記載の光学フィルムの巻重体。
【請求項4】
長尺状の光学フィルムがロール状に巻かれている光学フィルムの巻重体の製造方法であって、
長尺状の光学フィルムの表面を、ナーリング高さが2μm以上、50μm以下であるようにナーリング加工する工程と、
ナーリング加工された長尺状の光学フィルムをロール状に巻く工程とを備え、
前記ナーリング加工する工程において、ナーリング高さが3μm以上、30μm以下異なる2つの部分を有するように、かつロール状に巻かれたときに、前記2つの部分のうち、ナーリング高さが高い部分が光学フィルムの内周部分に位置し、ナーリング高さが低い部分が前記内周部分よりも外側の光学フィルムの外周部分に位置するように、光学フィルムの表面をナーリング加工する、光学フィルムの巻重体の製造方法。
【請求項5】
前記ナーリング加工する工程において、ロール状に巻かれたときに、光学フィルムの巻き始め部分のナーリング高さが、光学フィルムの巻き終わり部分のナーリング高さよりも3μm以上、30μm以下高くなるように、光学フィルムの表面をナーリング加工する、請求項4に記載の光学フィルムの巻重体の製造方法。
【請求項6】
前記ナーリング加工する工程において、ロール状に巻かれたときに、光学フィルムの巻き始め部分からの巻き終わり部分にかけて、ナーリング高さが連続的に又は段階的に低くなるように、光学フィルムの表面をナーリング加工する、請求項4又は5に記載の光学フィルムの巻重体の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−66922(P2012−66922A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214247(P2010−214247)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】