説明

光学フィルム用表面保護フィルム、及び、表面保護フィルム付き光学フィルム

【課題】表面保護フィルムを貼り付けた状態で、プリズムシート等の微細凹凸を有する光学フィルムの外観検査が可能であり、接着信頼性に優れた光学フィルム用表面保護フィルム、および表面保護フィルム付き光学フィルムを提供する。
【解決手段】表面保護フィルム1が、基材層10の少なくとも片面に粘着剤層12を有し、前記粘着剤層12が、主としてゴム系ポリマーを含有する粘着剤により形成され、前記粘着剤層12を、プリズムシート14に貼り付けた後、50℃雰囲気下で、11g/cm圧で、1日間押し付けた際の前記プリズムシートの前記粘着剤層の厚みに対する食い込み度が、45%以下であり、前記基材層の粘着剤層側と反対面の測定範囲5mm×5mmの算術平均粗さ(Ra)と、測定範囲0.25mm×0.25mmの算術平均粗さ(Ra)との差(Ra−Ra)が、0.45〜0.90μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、有機EL(エレクトロルミネッセンス)、フィールドエミッションディスプレイなどを構成する光学フィルム(光学シート)の表面保護フィルムおよび表面保護フィルム付き光学フィルムに関する。本発明は、なかでも特に、透明性に優れたポリエステルフィルムなどの表面に、アクリル樹脂などのプリズムパターンを精密成形したプリズムシートやレンズシート、拡散フィルム、拡散シート、導光板などの微細凹凸を有する光学フィルムの表面保護フィルムに好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、プラスチック製品や金属板を加工、運搬等する際には、それら被着体の表面に傷等がつかないように、表面保護フィルムを仮貼付して被着体の表面の保護を図っている。このような被着体の表面保護フィルムとしては、基材フィルムの片面に粘着剤層を設けた粘着フィルムが用いられている。
【0003】
特に上記被着体としてプリズムシートまたはレンズシートと呼ばれる光学シート(光学フィルム)を用いた場合、精密成形されたアクリル樹脂のプリズム(レンズ)パターンへ光学的に悪影響を及ぼさないようにするため、これら光学フィルム用シートの表面保護フィルムに使用される粘着剤として、通常、ゴム系粘着剤が用いられる(たとえば、特許文献1参照)。しかしながら、プリズムの表面は数10μmの凹凸があるため、他の被着体に比べて、粘着剤との接触面積が非常に小さくなり、プリズム面に安定して貼り付けることが困難である。
【0004】
かかる問題に対して、粘着剤層の厚さを厚くすることによりプリズムの凹凸により密着させようと試みる手法が考えられる。しかしながら、プリズムの凹凸に食い込む(入り込む)粘着剤が部分的に不均一になり、光の透過率が異なってしまい、その結果、プリズム面に貼り付けた保護フィルムの外観にムラが発生し、保護フィルムを貼り付けた状態でプリズムシートの外観検査ができなくなってしまう問題が新たに生じてしまっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−181370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、本発明者らは、表面保護フィルムを光学フィルム(光学シート)に貼り合せ、温度や湿度調整がなされていない船舶や車両等により、運搬・保管されるような場合や、表面保護フィルムを光学フィルム(光学シート)に貼り合せた状態で、ロール体として保管する場合に、光学フィルム(光学シート)、特にプリズムシートのプリズム面の凹凸部分に対する食い込み深さが深い表面保護フィルムを使用すると、その後、表面保護フィルムからプリズムシートを剥離する際に、重剥離になったり、プリズム面の凹凸に食い込む(入り込む)粘着剤(層)が部分的に不均一となり、光の透過率にバラツキが生じ、プリズム面に貼り付けた表面保護フィルムの外観検査の際に、ムラが発生するなど、問題が生じてしまうことを見出した。
【0007】
そこで、本発明は、上述の問題に対処すべく、表面保護フィルムを貼り付けた状態で、プリズムシート等の微細凹凸を有する光学フィルムの外観検査が可能であり、前記光学フィルムに光学的な悪影響を及ぼすことがなく、接着信頼性に優れた光学フィルム用表面保護フィルム、およびそれを用いた表面保護フィルム付き光学フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、下記の光学フィルム用表面保護フィルムを用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の光学フィルム用表面保護フィルムは、微細凹凸を有する光学フィルム用の表面保護フィルムであって、前記表面保護フィルムが、基材層の少なくとも片面に粘着剤層を有するものであり、前記粘着剤層が、主としてゴム系ポリマーを含有する粘着剤により形成され、前記粘着剤層を、プリズムシートに貼り付けた後、50℃雰囲気下で、11g/cm圧で、1日間押し付けた際の前記プリズムシートの前記粘着剤層の厚みに対する食い込み度が、45%以下であり、前記基材層の粘着剤層側と反対面の測定範囲5mm×5mmの算術平均粗さ(Ra)と、測定範囲0.25mm×0.25mmの算術平均粗さ(Ra)との差(Ra−Ra)が、0.45〜0.90μmであることを特徴とする。
【0010】
なお、本発明における表面保護フィルムとは、表面保護テープや、表面保護シートなどのフィルム状の他の形態を含むものである。
【0011】
本発明の光学フィルム用表面保護フィルムは、前記粘着剤層の120℃における貯蔵弾性率が、0.30〜0.50MPaであることが好ましい。
【0012】
本発明の光学フィルム用表面保護フィルムは、前記粘着剤層の23℃×50%RH雰囲気下での引張速度0.3m/min.における10%応力緩和率A(%)と、50℃雰囲気下での引張速度0.3m/min.における10%応力緩和率B(%)との差(B−A)が、22%以下であることが好ましい。
【0013】
本発明の光学フィルム用表面保護フィルムは、前記ゴム系ポリマー中のスチレン含有量が、16〜40重量%であることが好ましい。
【0014】
本発明の光学フィルム用表面保護フィルムは、前記粘着剤層の厚さが、1.5〜10μmであることが好ましい。
【0015】
本発明の光学フィルム用表面保護フィルムのヘイズ値は、30〜70%であることが好ましい。
【0016】
本発明の光学フィルム用表面保護フィルムは、前記基材層表面に、前記粘着剤を塗工して粘着剤層を形成することが好ましい。
【0017】
本発明の光学フィルム用表面保護フィルムは、前記基材層及び前記粘着剤層を、共押し出し法により形成することが好ましい。
【0018】
本発明の表面保護フィルム付き光学フィルムは、前記光学フィルム用表面保護フィルムを光学フィルムの片面または両面に貼り合わせてなることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の光学フィルム用表面保護フィルムは、上記の特定範囲の表面粗さを有する基材層、および、特定の原料を使用し、特定範囲の食い込み度を有する粘着剤層を含む構成を有しているため、表面保護フィルムを貼り付けた状態で微細凹凸を有する被着体(光学フィルム)の外観検査も可能であり、前記光学フィルムに光学的な悪影響を及ぼすことがなく、接着信頼性に優れたものとなる。特に、表面保護フィルムを貼付けた光学フィルムのロール体として保存・運搬等を行う場合や、複数枚を重ね合わせて保存等する場合に、問題となる光学欠点(たとえば、表面保護フィルムをプリズムシートに貼付し、その後剥離した際に、プリズムシートに確認される輝点や、表面保護フィルムを貼付した状態で、プリズムシートに確認される輝点や輝点の集合体など)の発生を抑制できる。また、表面保護フィルムを貼り付けた状態で、光学フィルムの外観検査が容易に可能となるため、従来に比べて作業性を大きく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の光学フィルム用表面保護フィルムの使用状態の一態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0022】
本発明の光学フィルム用表面保護フィルムは、微細凹凸を有する光学フィルム用の表面保護フィルムであって、前記表面保護フィルムが、基材層の少なくとも片面に粘着剤層を有するものであり、前記粘着剤層が、主としてゴム系ポリマーを含有する粘着剤により形成され、前記粘着剤層を、プリズムシートに貼り付けた後、50℃雰囲気下で、11g/cm圧で、1日間押し付けた際の前記プリズムシートの前記粘着剤層の厚みに対する食い込み度が、45%以下であり、前記基材層の粘着剤層側と反対面の測定範囲5mm×5mmの算術平均粗さ(Ra)と、測定範囲0.25mm×0.25mmの算術平均粗さ(Ra)との差(Ra−Ra)が、0.45〜0.90μmであることを特徴とする。
【0023】
本発明の光学フィルム用表面保護フィルムは、図1に示すように、微細凹凸を有する光学フィルム14用の表面保護フィルム1であって、前記表面保護フィルム1が、基材層10の少なくとも片面に粘着剤層12を有するものである。なお、本発明の光学フィルム用表面保護フィルム1は、シート状やテープ状等で用いることができる。また、前記粘着剤層12は単独層であってもよく、また2層以上を積層して使用することもできる。
【0024】
また、上記基材層としては、プラスチックフィルムが適宜用いられる。前記プラスチックフィルムとしては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルムや、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルムなどがあげられる。また、これらのフィルムを単独または2以上を混合したプラスチックフィルムも含まれる。さらには、上記フィルムを積層したフィルムを上記プラスチックフィルムとして用いてもよい。
【0025】
上記基材層の厚さは、特に制限されないが、加工性の点から、通常10〜200μmとすることが好ましく、15〜100μmとすることがより好ましく、20〜70μmとすることが特に好ましい。厚みが薄くなりすぎると表面保護フィルムを剥離する際の強度や、表面保護機能が不十分となる傾向がある。一方、厚みが厚くなりすぎると、取り扱い性やコスト面で不利になる傾向がある。
【0026】
また、上記基材層には、劣化防止等を目的に、たとえば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤、帯電防止剤、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の充填剤、顔料、目ヤニ防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、発泡剤、ポリエチレンイミン等の添加剤を適宜添加することができる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0027】
前記基材層の粘着剤層側と反対面における測定範囲5mm×5mmの算術平均粗さ(Ra)と、測定範囲0.25mm×0.25mmの算術平均粗さ(Ra)との差(Ra−Ra)が、0.45〜0.90μmであり、好ましくは、0.45〜0.85μmであり、より好ましくは、0.50〜0.85μmである。RaとRaとの差が0.45μm未満や0.90μmを超える場合には、表面保護フィルムを光学フィルムに貼り付けた際に光学的な悪影響を及ぼす傾向にあり、好ましくない。なお、基材層の表面が所定範囲の表面粗さを有することで、平滑な基材層に比べて、プリズムシート側からの透過光が表面保護フィルムを透過した際に、部分的に透過光量が増えるような場合であっても、透過光が散乱され、透過光量のバラツキが抑えられるものと推察される。また、基材層表面の凹凸が大きい場合には、粘着剤層を介して前記凹凸に起因して、プリズムシートのレンズ頂角付近に応力が集中するなどの問題が生じ、表面保護フィルムの剥離後に、プリズムシート表面に光学欠点(輝点)が発生し、好ましくない。なお、前記輝点(白点のように見える点)とは、汚染物や粘着剤層に基づく糊残りではなく、恐らくプリズムシートそのものの部分的な変形によるものと推察される。
【0028】
また、上記基材層としては、たとえば、基材層の原料中に天然ゼオライト、合成ゼオライト、天然シリカ、合成シリカ、架橋PMMA、超高分子量PEなどのアンチブロッキング剤を、ブロックプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)、ランダムPP、ゴム成分とリアクターブレンドされたPP、エチレン・αオレフィン共重合体、プロピレン・αオレフィン共重合体、エチレン・プロピレン・αオレフィン共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、6−ナイロン、12−ナイロンなどと配合することにより、所望の表面粗さを有する基材層を形成することができる。上記表面粗さを有する基材層となり得る市販品としては、たとえば、商品名FMK−BT#40(フタムラ化学社製)等が挙げられる。
【0029】
さらに、上記基材層表面には、粘着剤層(または離型処理層)との密着性を考慮して、たとえば、コロナ放電処理、電子線照射処理、火炎処理、プラズマ処理やスパッタエッチング処理などの、粘着性の制御や貼付作業性等を目的とした表面処理、易接着処理、または下塗り処理を必要に応じて施すこともできる。
【0030】
上記粘着剤層は、主としてゴム系粘着剤を含有する粘着剤により形成される。前記ゴム系粘着剤としては、特に制限はされないが、光学フィルムとしてプリズムシートを使用する場合であって、そのプリズムシートがアクリル樹脂によって形成される場合には、そのプリズム面に対しては、外観上の光学欠点が発生しにくいとの観点からも、主として、ゴム系ポリマーを含有するゴム系粘着剤を使用する。
【0031】
粘着剤中のゴム系ポリマーとしては、たとえば、天然ゴム、天然ゴムとメチルメタクリレートなどのアクリル成分との共重合物、ならびに、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)およびその水素添加物(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)およびその水素添加物(SEPS)、水素添加スチレン−ブタジエンゴム(HSBR)などをもちいたものがあげられる。なかでも、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBS)およびその水素添加物(SEBS)や、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンブロック共重合体(SIS)およびその水素添加物(SEPS)が、特に好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0032】
前記ゴム系ポリマー中のスチレン含有量としては、16〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは、18〜35重量%である。16重量%未満であると、粘着剤層が柔らかくなり、基材層表面の凹凸の影響を受けやすく、プリズムシートのレンズ頂角付近に応力が集中しやすく、光学欠点(SEM画像や目視により観察されるプリズムシート上の輝点)の原因となり、一方、40重量%を超えると、粘着剤層が硬くなり、プリズムシートの粘着剤層への食い込み度が小さくなり、十分な接着面が得られなくなり、好ましくない。
【0033】
なお、上記粘着剤のムーニー粘度を制御することによって、作業性や接着信頼性を向上させることができる。
【0034】
上記粘着剤には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、架橋剤(加硫剤)、シランカップリング剤、粘着付与剤、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
【0035】
上記粘着付与剤としては、たとえば、脂肪族系共重合体、芳香族系共重合体、脂肪族・芳香族系共重合体系や脂環式系等の石油系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、アルキルフェノール系樹脂、重合ロジン系樹脂などのロジン系樹脂、キシレン系樹脂、さらにはこれらの水素化物などの、粘着剤に用いられている公知のものを単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用することができる。また、オレフィン樹脂とのブレンド物として市販されているものを使用することもできる。なかでも、剥離性や耐候性などの点から、水添系の粘着付与剤が好ましい。
【0036】
また、上記粘着付与剤の配合量は、特に限定はされないが、ゴム系ポリマー100重量部に対して、1〜200重量部が好ましく、より好ましくは10〜170重量部である。1重量部未満であると、粘着力不足となり、200重量部を超えると、重剥離となり、好ましくない。
【0037】
また、架橋剤(加硫剤)としては、たとえば、イソシアネート系架橋剤、チウラム系加硫剤、キノイド系加硫剤、キノンジオキシム加硫剤、マレイミド系加硫剤などを適宜使用することができる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0038】
さらに、上記粘着剤層の表面にはコロナ処理、プラズマ処理などの易接着処理をおこなってもよい。
【0039】
また、上記粘着剤層の厚さとしては、1.5〜10μmであることが好ましく、3.0〜9.0μmであることがより好ましく、3.0〜6.0μmであることがさらに好ましい。上記粘着剤層の厚さ10μmを超えると、粘着力が高くなり過ぎ、表面保護フィルムの使用後の剥離作業性を低下させる場合がある。さらに、光学フィルムであるプリズムシートのプリズム面に表面保護フィルムが貼り付けられ、ロール状態、または、それを打ち抜き加工し、表面保護フィルムが貼り付けられた光学フィルム(プリズムシート等)を数十枚重ねられた状態で保管等した場合、表面保護フィルムとプリズムシートの部分的に不均一な加圧(過密着)によって、表面保護フィルムに部分的に押し跡(プリズムシートに表面保護フィルムを貼付した状態で確認される輝点や輝点の集合体)が発生し、外観不良となり、表面保護フィルムを光学フィルム(プリズムシート等)に貼り合せた状態での検査ができなくなる。一方、上記粘着剤層の厚さが1.5μmより薄くなると、表面が規則的な形状のプリズム面などに安定して密着できず、貼り付かなくなる場合がある。
【0040】
また、上記粘着剤層が露出して保存される場合には、実用に供されるまで剥離処理した剥離シート(セパレーター、剥離フィルム)で粘着剤層表面を保護してもよい。
【0041】
上記剥離シートの構成材料としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などをあげることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
【0042】
上記プラスチックフィルムとしては、上記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されないが、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
【0043】
上記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。
【0044】
上記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、長鎖アルキル(炭素数12〜22のもの)系樹脂もしくは脂肪酸アミド系樹脂、またはこれらの変性体の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、上記セパレーターの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、上記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
【0045】
また、本発明の光学フィルム用表面保護フィルムは、前記粘着剤層を、プリズムシートに貼り付けた後、50℃雰囲気下で、11g/cm圧で、1日間(24時間)押し付けた際の前記プリズムシートの前記粘着剤層の厚みに対する食い込み度は、45%以下であり、好ましくは、5〜45%であり、特に好ましくは、10〜40%である。前記食い込み度が5%未満であると、光学フィルムであるプリズムシートに前記表面保護フィルムを貼り付けた際に、前記表面保護フィルムの浮きが発生してしまい、一方、45%を超えると、前記表面保護フィルムをプリズムシートに貼り付けた際に、例えば、光学フィルムであるプリズムシートのプリズム面に表面保護フィルムが貼り付けられ、ロール状態、または、それを打ち抜き加工し、表面保護フィルムが貼り付けられた光学フィルム(プリズムシート等)を数十枚重ねられた状態で保管等した場合、表面保護フィルムとプリズムシートとの間の部分的に不均一な加圧(過密着)によって、表面保護フィルムに部分的に押し跡が発生し、外観不良となり、表面保護フィルムを光学フィルム(プリズムシート等)に貼り合せた状態での検査ができなくなるなど、光学フィルムに光学的な悪影響を及ぼすことになりまた、粘着力が非常に重くなり、表面保護フィルムを剥離する際の作業性が著しく低下するなどの問題が生じ、好ましくない。
【0046】
前記粘着剤層の120℃における貯蔵弾性率としては、好ましくは0.30〜0.50MPaであり、より好ましくは、0.35〜0.50MPaである。0.30MPa未満であると、表面保護フィルムを光学フィルムに貼り付けた際に光学的な悪影響を及ぼす傾向にあり、一方、0.50MPaを超えると、表面保護フィルムを光学フィルムに貼り付けた際に、十分な接触面積が得られず、表面保護フィルムの浮きが発生する恐れがあり、好ましくない。
【0047】
前記粘着剤層の23℃×50%RH雰囲気下での引張速度0.3m/min.における10%応力緩和率A(%)と、50℃雰囲気下での引張速度0.3m/min.における10%応力緩和率B(%)との差(B−A)が、22%以下であることが好ましく、より好ましくは 20%以下である。応力緩和率の差が22%を超えると、表面保護フィルムを光学フィルムに貼り付けた際に光学的な悪影響を及ぼす傾向にあり、好ましくない。
【0048】
本発明に用いられる粘着剤層の、光学フィルム(プリズムシート等の微細凹凸を有する光学フィルム)に対する粘着力としては、初期粘着力(N/20mm、初期粘着力は貼り合せ後、30分後に測定)、及び、50℃×7日間貼付保存後の粘着力(N/20mm)が、共に0.01〜0.50N/20mmであることが好ましく、より好ましくは、0.02〜0.30N/20mmである。前記粘着力が0.01N/20mm未満であると、表面保護フィルムを50℃×7日間、貼付保存した後に、前記表面保護フィルムの浮きが発生してしまい、0.50N/20mmを超えると、光学フィルムを表面保護フィルムから剥離する際に、被着体となる光学フィルム(プリズムシートなど)が折れ曲がる恐れがあり、好ましくない。
【0049】
また、本発明の光学フィルム用表面保護フィルムにおいては、上記基材層の粘着剤層側とは反対面に離型処理層を設けてもよい。
【0050】
上記離型処理層を形成するのに用いられる離型処理剤としては、たとえば、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、長鎖アルキル(炭素数12〜22のもの)系樹脂もしくは脂肪酸アミド系樹脂、またはこれらの変性体などがあげられる。なかでも、得られる特性およびコストの面などから、シリコーン系樹脂や、アクリル系モノマーとシリコーン系モノマーのグラフトポリマーを用いることが好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0051】
また、離型処理層の形成方法は、塗布や転写など、公知の形成手法を適宜用いることができる。
【0052】
他方、上記基材層と粘着剤層を有する光学用表面保護フィルムの製造方法としては、たとえば、各層を構成する樹脂材料を溶融共押し出しして、積層物に成形する方法、各層を押出し等により別個にフィルム状に成形し、これらを粘着剤等により接着する方法、基材層表面に粘着剤を塗工・乾燥して、粘着剤層を形成する方法等が例示される。これらの方法のなかでも、各層間の密着性が良好であり、また工程を簡略にする観点からは、共押し出し成形、溶融共押し出し成形による方法が好適である。
【0053】
前記光学フィルム用表面保護フィルムのヘイズ値は、30〜70%であることが好ましく、より好ましくは、35〜60%である。ヘイズ値が30%未満であると、貼り合せ時などの不均一な加圧(過密着)によって、表面保護フィルムに部分的に発生する押し跡が見えやすくなり、表面保護フィルムを貼り合せた状態での光学フィルム(プリズムシート等)の外観検査に悪影響を及ぼす恐れがある。一方、70%を超えると、光学フィルム(プリズムシート等)に表面保護フィルムを貼り合せた状態で光学フィルムの外観検査することが困難となる場合があり、好ましくない。
【0054】
さらには、本発明の表面保護フィルム付き光学フィルムは、上記表面保護フィルムを光学フィルムの片面または両面に貼り合わせてなることが好ましく、なかでも特にプリズムシートの片面または両面に貼り合わせてなることが好ましい。本発明の表面保護フィルム付き光学フィルムは、上記作用を奏する光学用表面保護フィルムを備えるため、表面保護フィルムを貼り付けた状態で外観検査が可能であり、上記被着体(光学フィルム)に、光学的な悪影響を及ぼすことがなく、接着信頼性に優れたものとなる。
【0055】
なお、上記微細凹凸を有する光学フィルムとしては、たとえば、プリズムパターンを精密成形したプリズムシートやレンズシート、拡散フィルム、拡散シート、導光板などの微細凹凸を有する光学フィルムを用いることができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして行った。
【0057】
〔実施例1〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.84μmで、厚さが30μmのポリプロピレンフィルム(MK−92 #30、サントックス社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)(タフテックH1041、旭化成社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、ガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0058】
〔実施例2〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.71μmで、厚さが40μmのポリプロピレンポリエチレンブレンドフィルム(FMK−BT #40、二村化学社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)(タフテックH1062、旭化成社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、ガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0059】
〔実施例3〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.84μmで、厚さが30μmのポリプロピレンフィルム(MK−92 #30、サントックス社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)(タフテックH1053、旭化成社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、ガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0060】
〔実施例4〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.84μmで、厚さが30μmのポリプロピレンフィルム(MK−92 #30、サントックス社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)(タフテックH1062、旭化成社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、ガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0061】
〔実施例5〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.84μmで、厚さが30μmのポリプロピレンフィルム(MK−92 #30、サントックス社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEPS)(セプトン2007、クラレ社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、ガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0062】
〔実施例6〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.84μmで、厚さが30μmのポリプロピレンフィルム(MK−92 #30、サントックス社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)(タフテックH1062、旭化成社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、ガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ1.5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0063】
〔実施例7〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.84μmで、厚さが30μmのポリプロピレンフィルム(MK−92 #30、サントックス社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)(タフテックH1062、旭化成社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、ガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ9μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0064】
〔実施例8〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.45μmで、厚さが30μmのポリプロピレンフィルム(MK−92 #30、サントックス社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)(タフテックH1062、旭化成社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、ガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0065】
〔比較例1〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.34μmで、厚さが40μmのポリプロピレンフィルム(サントックスMK−84、サントックス社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)(タフテックH1062、旭化成社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、ガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0066】
〔比較例2〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.84μmで、厚さが30μmのポリプロピレンフィルム(MK−92 #30、サントックス社製)を用いた。また、粘着剤層として、水素添加スチレン−ブタジエンゴム(HSBR)(ダイナロン1321P、JSR社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)30重量部を加えたものを、ガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0067】
〔比較例3〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.84μmで、厚さが30μmのポリプロピレンフィルム(MK−92 #30、サントックス社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)(ダイナロン8601P、JSR社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、ガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0068】
〔比較例4〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.84μmで、厚さが30μmのポリプロピレンフィルム(MK−92 #30、サントックス社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)(クレイトンG−1657、クレイトンポリマー社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、トルエン792重量部に溶解して粘着剤溶液(固形分濃度15重量%)とし、これをガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0069】
〔比較例5〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が0.98μmで、厚さが35μmのポリプロピレンフィルム(東洋紡績社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)(タフテックH1062、旭化成社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、トルエン792重量部に溶解して粘着剤溶液(固形分濃度15重量%)とし、これをガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0070】
〔比較例6〕
基材層として、粘着剤層側と反対面の算術表面平均粗さの差(Ra−Ra)が1.50μmで、厚さが35μmのポリプロピレンフィルム(東洋紡績社製)を用いた。また、粘着剤層として、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物(SEBS)(タフテックH1062、旭化成社製)100重量部に対し、粘着付与樹脂(アルコンP−125、荒川化学工業社製)40重量部を加えたものを、トルエン792重量部に溶解して粘着剤溶液(固形分濃度15重量%)とし、これをガラス板上に水をひいた状態で配置した基材層上に、アプリケーターを使用して、塗布し、その後乾燥させ、厚さ5μmの粘着剤層を形成して、光学フィルム用表面保護フィルムを得た。
【0071】
実施例および比較例で得られた表面保護フィルムについて下記評価を行った。結果を表1及び表2に示した。
【0072】
(スチレン含有量の分析)
使用するゴム中のスチレン含有量(重量%)の特定は、以下の装置及び条件にて行った。
分析装置 :NMR装置(UNITY−INOVA−400、Varian社製)
観測周波数 :400MHz(H)、100MHz(13C)
フリップ角 :45°
測定溶媒 :CDCl
測定温度 :室温
化学シフト基準:測定溶媒(H:7.25ppm、13C:77.05ppm)
試料回転数 :H 2600Hz、13C 2300Hz
【0073】
(貯蔵弾性率)
サンプル作成方法:シリコーン処理剤を塗布したPET基材からなる剥離ライナー(ダイアホイル、三菱樹脂社製)上のシリコーン処理面に、アプリケーターを使用して、粘着剤を乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、7分風乾後、更に90℃×3分間乾燥させ、粘着剤層を得た。この粘着剤層の剥離ライナーの貼付されていない面に、更に剥離ライナーのシリコーン処理剤の塗布された面に貼り合せ、更に5cm×5cmに切断、このサンプルの片側の剥離ライナーを剥離し気泡が入らないように粘着剤同士を重ね合わせ、厚みが2〜3mmになるまでこの作業を繰り返し試料を作製した。
【0074】
(算術表面平均粗さRa
サンプル作成方法:スライドガラス上に、基材なしでPETの剥離ライナーを使用した糊厚25±3μmの両面テープ(CS9621、日東電工社製)を貼り合せ、その上に測定したい面を上にして保護フィルムを貼った。
【0075】
光学式プロファイラー(NT−9100、Veeco社製)を使用して、VSI方式で対物レンズ:2.5倍、内部レンズ:1.0倍、Backscan:20μm、Length:15μm、threshold:1%、Window Filtering:None、Data Restore:On、光量:4.00、測定範囲:5mm×5mmの条件で、n=5で測定を実施した。そのうち上限値と下限値を除く残りの3つのデータの平均で判断し、MDとTDの平均値をとり、各算術表面平均粗さRaを算出した。
【0076】
(算術表面平均粗さRa
サンプル作成方法:スライドガラス上に、基材なしでPETの剥離ライナーを使用した糊厚25±3μmの両面テープ(CS9621、日東電工社製)を貼り合せ、その上に測定したい面を上にして表面保護フィルムを貼った。
【0077】
光学式プロファイラー(NT−9100、Veeco社製)を使用して、VSI方式で対物レンズ:50.0倍、内部レンズ:1.0倍、Backscan:20μm、Length:15μm、threshold:1%、Window Filtering:None、Data Restore:On、光量:10.00、測定範囲:0.25mm×0.25mmの条件で、n=5で測定を実施した。そのうち上限値と下限値を除く残りの3つのデータの平均で判断し、MDとTDの平均値をとり、各算術表面平均粗さRaを算出した。
【0078】
(粘着剤層への食い込み深さ)
光学式プロファイラー(NT−9100、Veeco社製)を使用して、VSI方式で対物レンズ:10.0倍、内部レンズ:1.0倍、Backscan:20μm、Length:15μm、threshold:1%、Window Filtering:None、Data Restore:On、光量:4.00、測定範囲:1mm×1mmの条件で、測定した。サンプルは、プリズムシート(プリズム角度:90°、プリズムピッチ:50μm)に表面保護フィルムを線圧:18N/cm、速度:3m/分で貼り合わせし、圧力11g/cmがかけた状態で50℃、24時間保存し作成した。その後、室温(23℃、50%RH)にて1時間以内に表面保護フィルム(50mm×150mm)を剥離し、表面保護フィルムのしわを伸ばした状態で、測定した。測定データを2Dで傾き補正し、プリズムシート接触跡(糊面のV字型の変形)の最深点と、最深点から両側5μmの範囲以内のプリズムシート接触跡の最高点との差(μm)を計測した。測定範囲内に存在する全てのプリズムシート接触跡について測定し、最深点と最高点の差の平均値を食い込み深さとした。また、食い込み度(%)としては、食い込み深さTと粘着剤層厚さTから、以下の式より、算出した。
食い込み度(%)=(T/T)×100
【0079】
(応力緩和率)
サンプル作成方法:シリコーン処理剤を塗布したPET基材からなる剥離ライナー(ダイアホイル、三菱樹脂社製)上のシリコーン処理面に、アプリケーターを使用して、粘着剤を乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、7分風乾後、更に90℃×3分間乾燥させ、粘着剤層を得た。この粘着剤層の剥離ライナーの貼付されていない面に、更に剥離ライナーのシリコーン処理剤の塗布された面に貼り合せ、更に5cm×5cmに切断して、一方の剥離ライナーを剥離し、粘着剤層のみを指で気泡が入らないようにしながら棒状に丸めて、試料を作製した。この試料を、測定前に、50℃雰囲気下で10分間エージング後、測定し、最大値Smaxと最小値Sminから、以下の式より、応力緩和率(%)を算出した。
応力緩和率(%)=100×(Smax−Smin)/Smax
【0080】
インストロン型引張試験機(AUTOGRAPH AG−G、島津製作所社製)を使用して、雰囲気温度50℃で、引張速度0.3m/分、チャック間30mmでチャック間を10%引張った状態で10分間応力変化を測定した。測定はn=5で実施し、その平均値を算出した。
【0081】
(光学欠点の評価(i))
プリズムシート(プリズム角度:90°、プリズムピッチ:50μm)に表面保護フィルムを線圧:18N/cm、速度:3m/分で貼り合わせし、圧力11g/cmがかけられた状態で50℃、24時間保存した。その後、室温(23℃×50%RH)にて表面保護フィルム(50mm×150mm)を剥離し、目視により、プリズムシートのプリズムと反対のフラット面から光学欠点の有無を確認した。
○:プリズムシートに光学欠点は全く観察されなかった場合
×:プリズムシートに光学欠点が観察された場合:×
【0082】
(光学欠点の評価(ii))
プリズムシート(プリズム角度:90°、プリズムピッチ:50μm)に表面保護フィルムを線圧:18N/cm、速度:3m/分で貼り合わせし、圧力11g/cmがかけられた状態で50℃、24時間保存した。その後、室温(23℃×50%RH)にて表面保護フィルムを貼り付けた状態で、目視により、プリズムシートのプリズムと反対のフラット面から光学欠点の有無を確認した。
○:プリズムシートに光学欠点は全く観察されなかった場合
×:プリズムシートに光学欠点が観察された場合:×
【0083】
(粘着力)
インストロン型引張試験機(AUTOGRAPH AG−IS、島津製作所社製)を用いて、プリズムシート(プリズム角度:90°、プリズムピッチ:50μm)に表面保護フィルムを線圧:18N/cm、速度:3m/分で貼り合わせし、JIS Z0237に準じて、初期粘着力(N/20mm)と、50℃×7日間貼付保存後の粘着力(N/20mm)を測定した。なお、初期粘着力は、室温(23℃)で30分、貼り合せ後に測定した。
【0084】
(ヘイズ値)
へイズメーター(HM−150、村上色彩技術研究社製)を使用して、JIS K7136に準じて測定を行なった。
【0085】
【表1】

【0086】
【表2】

【0087】
表1から、実施例1〜8で作製した光学フィルム用表面保護フィルムは、プリズムシートを被着体に用いた場合でも、被着体に貼り付けた状態でプリズムシートの外観検査が可能であり、上記被着体に光学的な悪影響を及ぼすことがなく、接着信頼性に優れたものであることが確認できた。
【0088】
一方、比較例1〜6の全てにおいて、プリズムシートを貼り付けた状態で、外観検査を行ったところ、光学欠点が確認された。具体的には、比較例1においては、算術平均粗さの差が所定範囲を下回る(基材層の凹凸が小さすぎる)場合、光学欠点が確認され、比較例2~4においては、プリズムシートの食い込み度が大きいため、光学欠点が確認され、特に比較例2においては、食い込み度が非常に大きいため、50℃×7日間保存後の粘着力が初期粘着力に比べて、9倍大きな値となり、保存後の剥離が非常に重いことがわかり、接着信頼性が劣り、比較例5及び6においては、算術平均粗さの差が、所定範囲より大きいため、つまりは、基材層の表面の凹凸が大きいため、光学欠点が確認され、実施例よりも、比較例が光学特性や粘着特性において、劣ることが確認された。
【符号の説明】
【0089】
1 :光学フィルム用表面保護フィルム
l0:基材層
l2:粘着剤層
14:プリズムシート(光学フィルム)







【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細凹凸を有する光学フィルム用の表面保護フィルムであって、
前記表面保護フィルムが、基材層の少なくとも片面に粘着剤層を有するものであり、
前記粘着剤層が、主としてゴム系ポリマーを含有する粘着剤により形成され、
前記粘着剤層を、プリズムシートに貼り付けた後、50℃雰囲気下で、11g/cm圧で、1日間押し付けた際の前記プリズムシートの前記粘着剤層の厚みに対する食い込み度が、45%以下であり、
前記基材層の粘着剤層側と反対面の測定範囲5mm×5mmの算術平均粗さ(Ra)と、測定範囲0.25mm×0.25mmの算術平均粗さ(Ra)との差(Ra−Ra)が、0.45〜0.90μmであることを特徴とする光学フィルム用表面保護フィルム。
【請求項2】
前記粘着剤層の120℃における貯蔵弾性率が、0.30〜0.50MPaであることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム用表面保護フィルム。
【請求項3】
前記粘着剤層の23℃×50%RH雰囲気下での引張速度0.3m/min.における10%応力緩和率A(%)と、50℃雰囲気下での引張速度0.3m/min.における10%応力緩和率B(%)との差(B−A)が、22%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルム用表面保護フィルム。
【請求項4】
前記ゴム系ポリマー中のスチレン含有量が、16〜40重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム用表面保護フィルム。
【請求項5】
前記粘着剤層の厚さが、1.5〜10μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム用表面保護フィルム。
【請求項6】
ヘイズ値が、30〜70%である請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルム用表面保護フィルム。
【請求項7】
前記基材層表面に、前記粘着剤を塗工して粘着剤層を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム用表面保護フィルム。
【請求項8】
前記基材層及び前記粘着剤層を、共押し出し法により形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム用表面保護フィルム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルム用表面保護フィルムを光学フィルムの片面または両面に貼り合わせてなることを特徴とする表面保護フィルム付き光学フィルム。


【図1】
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【公開番号】特開2011−13496(P2011−13496A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158106(P2009−158106)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】